説明

ホーム・ロケーション・レジスタにデータ冗長性を持たせる方法

本発明は、HLRにデータ冗長性を持たせる方法を開示しており、その方法は、1)マスタHLRsに保存されている加入者データについて冗長センタHLRへのカットオーバを実行するステップと、2)マスタHLRsの実行時間においてシステムデータとマスタHLRsの前記加入者データとに関連して良好に実行された操作およびメンテナンス命令の全てを保存するステップと、3)マスタHLRsに保存された前記操作およびメンテナンス命令を冗長センタHLRに転送するステップと、4)受信された操作およびメンテナンス命令を冗長センタHLRにとって認識可能な内部操作命令に変換するとともに、それらを冗長センタHLRのホスト装置にロードするステップとを有する。本発明は、加入者データの一致性を高めるとともに、冗長センタHLRのメンテナンス作業負荷を削減し且つメンテナンスの複雑度を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムにおけるホーム・ロケーション・レジスタ(HLR)に対してデータ冗長性に持たせる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話加入者の急激な増加と通信技術の絶え間ない開発とにより、移動通信システムにおける単一HLRの装置容量は、何万またはそれ以上になっている。複数のHLRが携帯電話加入者の申込み情報を保存しているので、停電、火事、地震または落雷などのような予測できない原因のために、契約時間(time due)について長時間複数のHLRが機能しないとき、全ての加入者に対するモバイルサービスが中断する。したがって、複数のHLRに対して遠隔冗長性を持たせることは急を要する。
【0003】
複数のHLRの冗長性は2つの態様を有しており、第1態様は、単に加入者データをバックアップするためのデータ冗長性であり、他方の態様は、第1態様に基づくサービス冗長性であり、すなわち、マスタHLRが故障したとき、発信サービスが最大レベルで中断することを防止するために、冗長HLRは、バックアップされた加入者データに対応した信号経路の切り替えによってサービスを引き継ぐことができる。
【0004】
複数のHLRに対するデータ冗長性のトポロジ構造は、2つのタイプに分類される。1つは、1+1冗長性解法であり、そして、他方がN+1冗長性解法である。
【0005】
いわゆる1+1冗長性解法は、外部サービスのリアルタイムのバックアップを達成するために、既存ネットワークにおいて各マスタHLRに冗長HLRを持たせる。1+1冗長性解法は、マスタHLRが機能しなくなったとき、冗長HLRを採用することによって、サービスを継ぎ目なく引き継ぐことができるが、いくつかの非常に重要な箇所は別として、この解法の適用分野は、高い投資額と低い利用率のために比較的限定されている。
【0006】
N+1冗長性解法は、複数のNマスタHLRに冗長性を持たせるために特別な冗長センタHLRを設定することである。N+1冗長性解法では、その冗長性は、複数のマスタHLR(マスタHLRs)と冗長センタHLRとが同じメーカーのものであるか否かの結果に応じて、互換冗長性と非互換冗長性とにさらに分割できる。多くのHLR設備プロバイダがあるとともに、別個の複数のHLRは別個のデータ保存フォーマットとデータ処理方法とを持つので、互換性のある解法がより広く使用される。N+1互換冗長性解法は、リアルタイムで加入者の動的データをバックアップすることができないので、故障が生じた後の期間において加入者が被呼者として行動できないとともに、サービスを引き継ぐことができない状況に導く。しかしながら、一つの冗長センタが別個のメーカーによって製造された複数のマスタHLRのデータをバックアップすることができるため、N+1互換冗長性解法の投資における収益率は比較的良く、その結果この解法はネットワークにおいて広く適合されている。
【0007】
現在では、N+1互換冗長性解法は、主に2つのタイプを持っており、1つはベースライン同期解法であり、そして他方は命令同期解法を進展させたBOSS(事業活動支援システム)である。
【0008】
いわゆるベースライン同期解法は、定期的に複数のマスタHLRによって、加入者のサービス・データ・ベースラインなどの、全ての加入者の申込み情報を有するデータファイルを出力することであり、そして、冗長センタHLRにとって認識可能なフォーマットに、冗長センタによってこれらのファイルフォーマットを自動的に変換するとともに、冗長センタHLRにそのファイルをロードする。その結果、複数のマスタHLRと冗長センタHLRとの間における加入者データの同期化を達成する。ベースライン同期解法は、全ての加入者のサービス・データ・ベースラインを定期的に出力するために複数のマスタHLRを必要とすることに、冗長センタHLRのホスト・マシンの性能が大きく影響を受けるとともに、加入者データについて変換および同期を実行するために相当に時間がかかるので、実際の工学技術ではほとんど使用されない。
【0009】
命令同期解法を進展させたBOSSは、冗長センタHLRのインターフェースフォーマットに従って加入者の申込みデータを変更するために、複数のマスタHLRに以前送られたものであって良好に実行された事業活動(business operation)命令を変換するとともに、冗長センタHLRのホスト・マシンの事業活動インターフェースを介してリアルタイムでホスト・マシンに命令をロードする。したがって、複数のマスタHLRと冗長センタHLRとが初期状態における一時期でベースライン同期を実行する限り、複数のマスタHLRと冗長センタHLRとの間における加入者データの一致性は、その後進展した命令またはデータの同期を達成するこの方法によって保証される。
【0010】
BOSS解法は、冗長センタHLRのホスト・マシンの性能及び機能について特別条件を全く持たないとともに、BOSSにおいて別個のメーカーフォーマットの操作命令について機能を変換することを追加するだけであるので、この解法は、要求される技術作業が低いため、簡素であるとともに低廉である。したがって、その解法は、ネットワークで広く使用されるとともに、N+1冗長性解法の主流に徐々に変わっていった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ビジネスホール(business hall)によって処理される操作命令のみがBOSS解法によって自動的に同期化することができ、HLRのローカル・メンテナンス・端末(LMT)における加入者サービスのバッチを設定するとともに、システムレベルでHLRのパラメータを設定するための操作命令のような、ビジネスホール以外で処理された他の多くの操作命令は、処理に関して管理者によって手動で同期化できるにすぎない。したがって、この解法のメンテナンス作業負荷は、大きい。
【0012】
上記に鑑みて、本発明の目的は、HLRにデータ冗長性を持たせることと、複数のマスタHLRと冗長センタHLRとの間で加入者データの一致性を確保することと、冗長センタHLRのメンテナンス作業負荷を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明による技術思想は、以下のようにして達成される。
【0014】
ホーム・ロケーション・レジスタ(HLR)にデータ冗長性を持たせる方法であって、
1)マスタHLRsに保存されている加入者データについて冗長センタHLRへのカットオーバ(切り替え)を実行するステップと、
2)マスタHLRsの実行時間においてシステムデータとマスタHLRsの前記加入者データとに関連して良好に実行された操作およびメンテナンス命令の全てを保存するステップと、
3)マスタHLRsと冗長センタHLRとの間でデータ通信を実行するとともに、マスタHLRsに保存されている前記操作およびメンテナンス命令を冗長センタHLRに転送させるステップと、
4)ステップ3)で受信された操作およびメンテナンス命令を冗長センタHLRにとって認識可能な内部操作命令に変換するとともに、内部操作命令を冗長センタHLRのホスト装置にロードするステップとを有する。
【0015】
ここで、前記ステップ1)でカットオーバされたデータは、加入者データについて複数のマスタHLRsから冗長センタHLRへのカットオーバをそれぞれ実行されたものとしてもよい。
【0016】
前記方法は、各マスタHLRsに対して別個のマスタHLRをそれぞれ設定するとともに、加入者データと冗長センタHLRによって受信された操作およびメンテナンス命令とに、マスタHLRのアイデンティティを追加するステップをさらに有することとしてもよく、
前記加入者データのカットオーバの実行は、それぞれ、別個のマスタHLRのアイデンティティに基づいて、別個のマスタHLRsから冗長センタHLRのホスト装置へ加入者データをロードすることを有し、
冗長センタHLRによって前記命令を変換するとき、マスタHLRのアイデンティティを保留するとともに、変換された内部操作命令を、それぞれ、別個のマスタHLRのアイデンティティに関連付けて冗長センタHLRのホスト装置へロードすることとしてもよい。
【0017】
前記ステップ2)において、マスタHLRsにおける操作およびメンテナンス命令は、ログファイルとして保存されており、
前記ステップ3)における操作およびメンテナンス命令の転送は、操作およびメンテナンス命令を有するログファイルを転送させることとしてもよい。
【0018】
前記ステップ3)における操作およびメンテナンス命令を転送させる方法は、冗長センタHLRがマスタHLRのオープンリストから操作およびメンテナンス命令を有するログファイルを定期的に取ってくることとしてもよい。
【0019】
前記ステップ3)における操作およびメンテナンス命令を転送させる方法は、冗長センタHLRが操作およびメンテナンス命令を転送させるための指令をマスタHLRに出し、マスタHLRが前記指令を受けた後に自身が保持しているログファイルを取り出すとともに、冗長センタHLRに前記ログファイルを返送することとしてもよい。
【0020】
前記ステップ4)におけるメンテナンス命令を変換する方法は、操作およびメンテナンス命令を有する受信されたログファイルを分析するとともに、ログファイルにおける運用加入者番号と、操作命令のタイプと、操作内容と、操作結果とに基づいて、冗長センタHLRにとって認識可能な内部操作命令に操作およびメンテナンス命令を変換することとしてもよい。
【0021】
前記マスタHLRsと冗長センタHLRとは、広域ネットワーク(WAN)を介してデータ通信を実行することとしてもよい。
【0022】
前記マスタHLRsと冗長センタHLRとは、デジタル・データ・ネットワーク(DDN)、またはX25プロトコルモード、またはE1モードを介してデータ通信を実行することとしてもよいが、これらのモードに限定されない。
【0023】
前記マスタHLRsと冗長センタHLRとは、ファイル転送プロトコル(FTP)またはソケット(SOCKET)モードで前記操作およびメンテナンス命令を転送することとしてもよいが、これらのモードに限定されない。
【0024】
HLRにデータ冗長性を持たせる方法である本発明の技術思想によれば、冗長センタHLRは、システムデータとマスタHLRsの加入者データとに関連付けられたものであって良好に実行された操作およびメンテナンス命令の全てを取得し、それらを冗長センタにとって認識可能な内部操作命令に変換するとともに、それらを冗長センタに直接ロードする。したがって、冗長センタHLRとマスタHLRsとの間において全ての操作およびメンテナンス命令の同期化が達成できるとともに、マスタHLRsと冗長センタHLRとの間で加入者データの一致が得られる。さらに、冗長センタの管理者によって実行される手動同期はもはや必要とはならないとともに、冗長センタHLRのメンテナンス作業負荷を削減し、且つメンテナンスの複雑度を低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の目的、技術的解決手段および効果をより明確にするために、添付図面を参照して本発明の更なる詳細な説明を以下に記載する。
【0026】
HLRにデータ冗長性を持たせる方法についての本発明の中核思想は、複数のマスタHLRと冗長センタHLRとの間でデータの一致を達成するために、データ冗長性を必要としている複数のマスタHLRに対応して冗長センタHLRを設定し、次いで、各マスタHLRの加入者(subscribers)データおよびシステムデータに関連付けて操作(operation)およびメンテナンス命令を記録するとともに、前記データを冗長センタHLRに同期させることである。本発明は、N+1冗長モードを適用対象とするが、1+1冗長モードに対してもまた適用可能である。唯一の相違点は、N+1モードでは複数のマスタHLRが存在するのに対して、1+1モードではもっぱら1つのマスタHLRが存在することである。
【0027】
本発明は、複数のマスタHLRのオペレーションログを同期化することによって、複数のマスタHLRと冗長センタHLRとの間で加入者データについて一致を得る、という以下の実施形態によって詳細に説明される。
【0028】
日常のメンテナンスに関する条件を満たすために、前記オペレーションログを出力する機能は、ネットワークにおける複数のHLRによって基本的にサポートされている。すなわち、複数のHLRは、複数のマスタHLRのシステムデータおよび加入者データに関連付けられるとともに良好に実行され且つビジネスホールのインターフェースと「ローカル・メンテナンス・ターミナル」を介して実行されたオペレーションを有する詳細な操作内容とともに、オペレーションログのモードにおいて管理者によって発行された全てのオペレーションおよびメンテナンス命令を保存することができる。別個の製品のオペレーションログは相互に異なっているが、しかし、ある製品のHLRメンテナンスログのフォーマットは比較的固定されているとともに、製造業者がログについてどのようなフォーマットを採用しても、MDN(Mobile Directory Number)および移動加入者識別番号(IMSI)のような運用加入者番号(operated subscriber number)と、操作命令のタイプと、操作内容と、操作結果などとを有する基本要素は同じである。したがって、固定フォーマットのログは、冗長センタHLRによって認識可能な一定フォーマットに変換される限り、冗長センタに直接ロードすることができる。
【0029】
このように、前記複数のマスタHLRに関連付けられる全ての操作およびメンテナンス命令は、複数のマスタHLRと冗長センタHLRとの間で同期化することができ、その結果、複数のマスタHLRと冗長センタHLRとの間における全ての静的なデータの自動同期が実行されるとともに、冗長システムを維持するための複雑度が削減される。
【0030】
図1を参照すると、データ冗長方法の実現構成を示す本発明の好適実施形態の概略図が示されており、N+1冗長モードがこの実施形態に導入されている。本実施形態では、全ての前記複数のマスタHLR101がオリジナル・メンテナンス・ログ出力システムに基づいて変更されているとともに、複数のマスタHLRのシステムデータおよび加入者データに関する全ての良好に実行された操作およびメンテナンス命令は、指定されたリストに属するログファイルのモードで保存される。日常のメンテナンスに関する条件を満たすために、ネットワークにおいて別個のメーカーによって提供される全ての複数のHLRが、ログファイルを出力するための機能を支援することができ、したがって、本発明の実用化は比較的簡単である。
【0031】
本実施形態の冗長センタHLR110は、汎用HLRに基づいて変更される。さらに、冗長センタHLRのホスト装置114と、通信モジュール111と、複数のマスタHLRと同じ数のメンテナンスログ変換モジュール112と、内部命令ロードモジュール113とが冗長センタHLRに大規模に加えられている。そして、冗長センタHLR110が稼働し始める前に、冗長センタHLR110のホスト装置に対して、予め全てのマスタHLR101のそれぞれから加入者データについてカットオーバ(cutover)を実行する。ここで、カットオーバには、ある場所から他の場所へデータを移動させることも含まれる。
【0032】
前記冗長センタHLR110における別個の複数のマスタHLRデータの結合を減少させるために、各マスタHLR101は、本実施形態の冗長センタHLR110におけるマスタHLRのアイデンティティ(identity)が指定されている。したがって、別個のマスタHLRのアイデンティティは、別個の複数のマスタHLR101のデータ独立性を保証することに使用されるとともに、冗長センタHLR110のメンテナンスを促進する。加入者データについてカットオーバを実行するとき、冗長センタHLR110は、別個の複数のマスタHLRのアイデンティティに基づいて、冗長センタHLR110のホスト装置に、別個の複数のマスタHLR101の加入者データをロードする。
【0033】
ここで、前記通信モジュール111は、ファイル転送プロトコル(FTP)通信モジュール、またはソケット(SOCKET)通信モジュールを採用することによって実現される。複数のマスタHLR101のそれぞれは、広域ネットワーク(WAN)を介して冗長センタHLR110とデータ伝送を実行するとともに、そのデータ伝送のモードはデジタル・データ・ネットワーク(DDN)、X.25またはE1とすることができる。通信モジュール111は、操作およびメンテナンス命令を有してテキストファイルとして保存されている複数のNマスタHLR101のオープン・リストから、定期的にログファイルを取ってくる業界における従来の方法を使用する。また、通信モジュール111は、操作およびメンテナンス命令を得るために、複数のマスタHLR101へ指令を送信することができ、複数のマスタHLRは、前記指令を受けた後に、自ら保存しているログファイルを取り出して、通信モジュール111へそれらを返送する。ログファイルを受け取った後、通信モジュール111は、複数のマスタHLR101の別個のログファイルに、別個のマスタHLRのアイデンティティを追加するとともに、そのログファイルをマスタHLRのアイデンティティと一緒にメンテナンスログ変換モジュール112へ送信する。
【0034】
前記メンテナンスログ変換モジュール112は、ログファイルを分析するとともに、運用加入者番号と、操作命令のタイプと、操作内容と、操作結果とに基づいて冗長センタHLRにとって認識可能な内部操作命令に、操作およびメンテナンス命令を変換する。操作およびメンテナンス命令の変換を実行しているとき、マスタHLRのアイデンティティを保留するとともに、変換された内部操作命令を、別個のマスタHLRのアイデンティティに基づいて内部命令ロードモジュール113へ送信する。
【0035】
別個のメーカーについてのオペレーションログの多様性のために、一つのマスタHLR101は、本実施形態における一つのメンテナンスログ変換モジュール112に対応しているとともに、各メンテナンスログ変換モジュール112は、システムデータと複数のマスタHLRの加入者データとに関連するものであって、良好に実行されたあるメーカーフォーマットのメンテナンス命令を、冗長センタHLR110にとって認識可能な内部操作命令に、変換することについて責任をもっている。同一メーカーによって製造された別個の複数のマスタHLR101は、メンテナンスログ変換モジュール112を共同使用することができるが、本実施形態は、目的達成の容易さに伴って、各マスタHLR101にメンテナンスログ変換モジュール112を持たせる。
【0036】
前記内部命令ロードモジュール113は、別個のマスタHLRのアイデンティティに基づいて、内部操作命令を冗長センタHLR110のホスト装置にロードするとともに、ホスト装置は、別個のマスタHLRのアイデンティティに関連付けて別個の複数のHLRのデータを識別することができる。
【0037】
本実施形態のデータ冗長方法は、2つの処理手順を有している。
【0038】
第1に、加入者データについてカットオーバを実行する。本実施形態の冗長センタHLRは、それ自身が稼働し始める前に、既存ネットワークのHLRにおける加入者データのカットオーバ・モードに関して、複数のマスタHLRからの加入者データについてカットオーバを実行する。すなわち、それは冗長システムのために初期加入者データのベースラインを確立する。ネットワークにおける複数のHLRの中での加入者データ移行操作は、技術的な問題のない慣用技術の一つであるので、さらに議論されることはない。冗長センタHLRは、別個の複数のマスタHLRから移動してきた加入者データに別個のマスタHLRのアイデンティティを追加する。
【0039】
第2に、前記操作およびメンテナンス命令を同期化させる。図2を参照すると、図1に示す本実施形態の操作およびメンテナンス命令についての同期手順を示すフローチャートが示されており、本手順は以下のステップを有する。
【0040】
[ステップ201]
前記複数のマスタHLRは、指定されたリストに基づく固定ログフォーマットで、加入者データと複数のマスタHLRのホスト装置のシステムデータとに関する良好に実行された操作およびメンテナンス命令の全てを保存する。
【0041】
[ステップ202]
前記冗長センタHLRは、テキストファイルとして保存されているとともに操作およびメンテナンス命令を有する複数のNマスタHLRのオープン・リストから、定期的にログファイルを取ってくる業界における従来の方法を使用する。また、操作およびメンテナンス命令を転送させるための指令を、複数のマスタHLRに送信することができる。指令を受けた後に、複数のマスタHLRは、自ら保存しているログファイルを取り出して、それらを冗長センタHLRに返送する。同時に、冗長センタHLRは、複数のマスタHLRの別個のログファイルに、別個のマスタHLRの索引アイデンティティを追加する。
【0042】
[ステップ203]
前記冗長センタHLRは、ログファイルを分析するとともに、そのファイルから操作およびメンテナンス命令を読み取る。
【0043】
[ステップ204]
前記ログファイルにおける運用加入者番号と、操作命令のタイプと、操作内容と、操作およびメンテナンス命令の実行結果とに基づいて、操作およびメンテナンス命令を、冗長センタHLRにとって認識可能な内部操作命令に変換する。操作およびメンテナンス命令の変換を実行しているとき、マスタHLRのアイデンティティを保持するとともに、変換された内部操作命令を、別個のマスタHLRのアイデンティティに基づいて内部命令ロードモジュール113へ送信する。
【0044】
[ステップ205]
変換された前記内部操作命令を、それぞれ、別個のマスタHLRのアイデンティティに基づいて、冗長センタHLRのホスト装置へロードする。
【0045】
このように、前記冗長センタHLRは、その冗長性の範囲で、複数のN作動マスタHLRの全ての静的データをバックアップする。
【0046】
作動している複数のNマスタHLRのいずれかに異常が生じた場合、前記冗長センタHLRは、信号カットオーバを実行するために、故障したマスタHLRに局所的に保存されたバックアップの静的データを使用するとともに、故障したマスタHLRの加入者についてのローミングおよび発呼のようなサービスを提供する。上記は、サービス冗長手順であるとともに、従来技術のサービス冗長法と共に実現することができる。
【0047】
上記実施形態に示すように、本発明のHLRのためのデータ冗長方法は、自動的に同期化するために、冗長センタHLRと複数のマスタHLRとの間で増加したサービスデータの全てを確実にする。したがって、本発明のHLRのためのデータ冗長方法は、複数のマスタHLRと冗長センタHLRとの間で加入者データの一致性を高めるとともに、冗長センタHLRのメンテナンス作業負荷を削減し且つメンテナンスの複雑度を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】データ冗長方法の実施構造を示す本発明の好適実施形態の概略図である。
【図2】図1に示す実施形態のオペレーションおよびメンテナンス命令についての同期手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
101 複数のマスタHLR
110 冗長センタHLR
111 通信モジュール
112 メンテナンスログ変換モジュール
113 内部命令ロードモジュール
114 ホスト装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホーム・ロケーション・レジスタ(HLR)にデータ冗長性を持たせる方法であって、
1)マスタHLRsに保存されている加入者データについて冗長センタHLRへのカットオーバを実行するステップと、
2)マスタHLRsの実行時間においてシステムデータとマスタHLRsの前記加入者データとに関連して良好に実行された操作およびメンテナンス命令の全てを保存するステップと、
3)マスタHLRsと冗長センタHLRとの間でデータ通信を実行するとともに、マスタHLRsに保存されている前記操作およびメンテナンス命令を冗長センタHLRに転送させるステップと、
4)ステップ3)で受信された操作およびメンテナンス命令を冗長センタHLRにとって認識可能な内部操作命令に変換するとともに、前記内部操作命令を冗長センタHLRのホスト装置にロードするステップとを有することを特徴とするデータ冗長方法。
【請求項2】
前記ステップ1)でカットオーバされた前記データは、加入者データについて複数のマスタHLRsから冗長センタHLRへのカットオーバをそれぞれ実行されたものである請求項1に記載のデータ冗長方法。
【請求項3】
各マスタHLRsに対して別個のマスタHLRのアイデンティティをそれぞれ設定するステップと、
加入者データと冗長センタHLRによって受信された操作およびメンテナンス命令とに、マスタHLRのアイデンティティを追加するステップとをさらに有し、
前記加入者データのカットオーバを実行するとき、それぞれ、別個のマスタHLRのアイデンティティに基づいて、別個のマスタHLRsから冗長センタHLRのホスト装置へ加入者データをロードし、
冗長センタHLRによって操作およびメンテナンス命令を変換するとき、マスタHLRのアイデンティティを保留するとともに、変換された内部操作命令を、それぞれ、別個のマスタHLRのアイデンティティに関連付けて冗長センタHLRのホスト装置へロードする請求項2に記載のデータ冗長方法。
【請求項4】
前記ステップ2)において、マスタHLRsにおける操作およびメンテナンス命令は、ログファイルとして保存されており、
前記ステップ3)における操作およびメンテナンス命令の転送は、操作およびメンテナンス命令を有するログファイルを転送させることである請求項1に記載のデータ冗長方法。
【請求項5】
前記ステップ3)における操作およびメンテナンス命令を転送させる方法は、
冗長センタHLRがマスタHLRのオープンリストから操作およびメンテナンス命令を有するログファイルを定期的に取ってくることを有する請求項4に記載のデータ冗長方法。
【請求項6】
前記ステップ3)における操作およびメンテナンス命令を転送させる方法は、
冗長センタHLRが操作およびメンテナンス命令を転送させるための指令をマスタHLRに出し、
マスタHLRが前記指令を受けた後に自身が保持しているログファイルを取り出すとともに、冗長センタHLRに前記ログファイルを返送することを有する請求項4に記載のデータ冗長方法。
【請求項7】
前記ステップ4)における操作およびメンテナンス命令を変換する方法は、
操作およびメンテナンス命令を有する受信されたログファイルを分析するとともに、ログファイルにおける運用加入者番号と、操作命令のタイプと、操作内容と、操作結果とに基づいて、冗長センタHLRにとって認識可能な内部操作命令に操作およびメンテナンス命令を変換することを有する請求項4に記載のデータ冗長方法。
【請求項8】
マスタHLRsと冗長センタHLRとは、広域ネットワーク(WAN)を介してデータ通信を実行する請求項1に記載のデータ冗長方法。
【請求項9】
マスタHLRsと冗長センタHLRとは、デジタル・データ・ネットワーク(DDN)、またはX25プロトコルモード、またはE1モードを介してデータ通信を実行する請求項8に記載のデータ冗長方法。
【請求項10】
マスタHLRsと冗長センタHLRとは、ファイル転送プロトコル(FTP)またはソケット(SOCKET)モードで前記操作およびメンテナンス命令を転送する請求項1に記載のデータ冗長方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−535206(P2007−535206A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538637(P2006−538637)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/CN2004/001274
【国際公開番号】WO2005/046120
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(504277388)▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司 (220)
【Fターム(参考)】