説明

ホールダウン金物及び構造体の固定構造

【課題】圧縮力と引張力に対応できるとともに、アンカー部材の変形を抑制することが可能なホールダウン金物及び構造体の固定構造を提供する。
【解決手段】基礎2に設けられたアンカーボルト2aを介して柱4を土台3に固定するホールダウン金物1であって、柱4の側面に接合される接合用プレート11と、接合用プレート11の土台3側の端部から延出して土台3に当接する当接用プレート12と、当接用プレート12から土台3と反対側に離間した接合用プレート11の中間部から延出し、アンカーボルト2aを挿通するための貫通孔13aを有する中間プレート13と、を備え、引張力作用時に、中間プレート13が、中間プレート13に対して土台3と反対側でアンカーボルト2aに螺合したナットN1に係止され、圧縮力作用時に、当接用プレート12が土台3を押圧することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールダウン金物及び構造体の固定構造に関し、より詳しくは、引張力だけでなく圧縮力にも対応可能なホールダウン金物及び構造体の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物に水平力が作用した際に、柱や耐力壁などの構造体にかかる引張力(引き抜き力)に対抗するために、柱や耐力壁にホールダウン金物を取り付け、基礎や土台に設置したアンカー部材と連結することが行われている。
【0003】
図5は、従来のホールダウン金物による構造体の固定構造であり、(a)は正面図、(b)は引張側の拡大図、(c)は圧縮側の拡大図、である。
図5(a)、(b)、(c)に示すように、従来のホールダウン金物による固定構造100は、アンカーボルト109を有するコンクリート基礎101と、コンクリート基礎101の上に設置された土台102と、土台102の上に互いに間隔を空けて立設された2本の柱103と、2本の柱103の上端部に渡し掛けられた梁104と、各柱103とアンカーボルト109とを連結するホールダウン金物105と、を備えている。ホールダウン金物105は、柱103の側面であって土台102から上方に離間した位置にラグスクリューボルト106を介して固定されている。また、ホールダウン金物105のベースプレート105aには、アンカーボルト109が挿通されている。このアンカーボルト109の上端からナット107を螺合することにより、柱103を土台102に引き付けている。
【0004】
図5(a)に示すように、このような固定構造100に対して、例えば図5の左側から右側に向かって地震による水平力Pが作用すると、左側の柱103には引抜力F1が作用し、右側の柱103には圧縮力F2が作用する。
このとき、図5(b)に示すように、引張側のホールダウン金物105は、ベースプレート105aとナット107とが係合するので、引張力F1をアンカーボルト109に負担させることができる。
【0005】
ところが、図5(c)に示すように、圧縮側のホールダウン金物105では、ベースプレート105aがナット107から離れる方向に圧縮力F2が作用するので、圧縮力F2をアンカーボルト109で負担することができない。そうすると、柱103の下端が土台102を押圧する力(以下、「めり込み応力」という場合がある。)が大きい場合に、土台102の上面が例えば沈下量y1だけ沈下することがある。土台102の上面が沈下すると、ベースプレート105aも下がるので、ベースプレート105aとナット107との間にも隙間y2が生じる。このような状態で、例えば地震による水平力Pが交互に作用すると、圧縮側と引張側が交互に入れ替わるため、引張時にも隙間y2だけ柱103が浮き上がり、徐々に固定構造100のガタ(揺れ)が大きくなってしまう。
この対策としては、例えば、特許文献1に記載のように、ベースプレート105aの下側にナットをもう一つ螺合して、アンカーボルト109に圧縮力を負担させることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4167609号公報(段落0018、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の構造では、アンカーボルト109が座屈変形する可能性がある。
【0008】
本発明は、かかる問題を解決するために成されたものであり、圧縮力と引張力に対応できるとともに、アンカー部材の変形を抑制することが可能なホールダウン金物及び構造体の固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、構造体を支持する支持体に、前記支持体側に設けられたアンカー部材を介して前記構造体を固定するホールダウン金物であって、前記構造体の側面に接合される接合用プレートと、前記接合用プレートの前記支持体側の端部から延出して前記支持体に当接するとともに、前記アンカー部材を挿通するための挿通部を有する当接用プレートと、前記当接用プレートから前記支持体と反対側に離間した前記接合用プレートの中間部から延出し、前記アンカー部材を挿通するための挿通部を有する中間プレートと、を備え、引張力作用時に、前記中間プレートが、前記中間プレートに対して前記支持体と反対側で前記アンカー部材に螺合した第1のナットに係止され、圧縮力作用時に、前記当接用プレートが前記支持体を押圧することを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、引張力作用時に、中間プレートが、前記中間プレートに対して支持体と反対側でアンカー部材に螺合した第1のナットに係止されるので、引張力をアンカー部材で負担することができ、構造体が支持体から浮き上がることを抑制できる。また、圧縮力作用時に、当接用プレートが支持体を押圧するので、圧縮力を構造体と当接用プレートとで分散支持することができ、支持体に作用する圧縮応力を軽減することができる。また、アンカー部材に圧縮力が作用しないので、アンカー部材の変形を抑制することができる。
【0011】
なお、「支持体側に設けられたアンカー部材」とは、構造体よりも支持体側にある部材にアンカー部材が設けられている状態をいう。例えば、支持体が基礎の上に設置された土台で、構造体が土台の上に設置された柱であるような場合に、アンカー部材が土台又は基礎に設置されている状態である。
【0012】
また、本発明は、圧縮力作用時に、前記中間プレートが、前記中間プレートに対して前記支持体側で前記アンカー部材に螺合した第2のナットに係止される構成とするのが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、圧縮力作用時に、中間プレートが、前記中間プレートに対して支持体側でアンカー部材に螺合した第2のナットに係止されるので、圧縮力の一部をアンカー部材でも負担することができる。そのため、アンカー部材の変形を抑制しつつ、支持体に作用する圧縮押力を軽減することができる。
【0014】
また、本発明は、引張力作用時に、当接用プレートが、前記当接用プレートに対して支持体と反対側でアンカー部材に螺合した第3のナットに係止される構成とするのが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、引張力作用時に、当接用プレートが、前記当接用プレートに対して支持体と反対側でアンカー部材に螺合した第3のナットに係止されるので、引張力を中間プレートと当接用プレートの2部材に分散して負担させることができる。そのため、中間プレートだけで引張力を負担する場合に比較して、中間プレートの変形を抑制することができる。
【0016】
また、本発明は、構造体と、前記構造体を支持する支持体と、前記支持体から離間した位置で前記構造体に接合されたホールダウン金物と、前記支持体側に設けられ、前記ホールダウン金物と係合するアンカー部材と、前記アンカー部材を挿通する挿通部を有し、前記支持体に当接する当接用プレートと、を備える構造体の固定構造であって、前記ホールダウン金物は、前記アンカー部材を挿通するための挿通部を有するベースプレートと、前記ベースプレートの前記構造体側の端部に連結され、前記構造体の側面に接合される接合用プレートと、を備え、前記ベースプレートは、前記アンカー部材に螺合した一対のナットに挟持され、前記当接用プレートは、前記当接用プレートに対して前記支持体と反対側で前記アンカー部材に螺合した他のナットに係止されていることを特徴とする。
【0017】
このような構造体の固定構造によれば、柱に引張力が作用した際に、ベースプレートが、ナットに係止されるので、引張力をアンカーボルトで負担することができ、柱の浮き上がりを防止することができる。また、柱に圧縮力が作用した場合には、柱と当接用プレートの2部材で圧縮力を負担することができるので、土台に作用する圧縮応力を小さくして、柱のめり込みを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、圧縮力と引張力に対応できるとともに、アンカー部材の変形を抑制することが可能なホールダウン金物及び構造体の固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るホールダウン金物を用いた構造体の固定構造の斜視図である。
【図2】図1のI−I線断面図である。
【図3】図1のI−I線断面図における力の状態を示した説明図であり、(a)は引張力作用時、(b)は圧縮力作用時、をそれぞれ示している。
【図4】変形例に係る構造体の固定構造を示す断面図である。
【図5】従来のホールダウン金物による構造体の固定構造であり、(a)は正面図、(b)は引張側の拡大図、(c)は圧縮側の拡大図、である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係るホールダウン金物について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、基礎の上に設置した支持体としての土台に、構造体としての柱を固定する場合を例にとって説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
図1、図2に示すように、本実施形態に係るホールダウン金物1を用いた構造体の固定構造10は、アンカー部材としてのアンカーボルト2aを有するコンクリート基礎2と、コンクリート基礎2の上に設置された支持体としての土台3と、土台3の上に立設された構造体としての柱4と、柱4とアンカーボルト2aとを連結するホールダウン金物1と、を主に備えている。
【0022】
コンクリート基礎2は、例えば布基礎や、べた基礎の立ち上がり部であり、アンカーボルト2aを有している。アンカーボルト2aの下端側は、コンクリート基礎2に埋設支持されており、アンカーボルト2aの上端側は、コンクリート基礎2の上面から突出している。アンカーボルト2aの上端側には、後記するナットを螺合するためのねじ溝が形成されている。アンカーボルト2aには、後記する3つのナットN1,N2,N3が螺合されている。
【0023】
土台3は、柱4を支持するための支持体となる断面四角形状の木製部材であり、コンクリート基礎2の上面に設置されている。土台3は、アンカーボルト2aを挿通するための貫通孔3a(図2参照)を有している。
なお、コンクリート基礎2と土台3の間には、複数の基礎パッキン3bが設置されている。これにより、コンクリート基礎2と土台3の間には隙間が形成されている。
【0024】
柱4は、引張力及び圧縮力が作用する構造体となる四角柱状の木製部材であり、土台3の上に立設されている。柱4は、図示しない他の柱と梁とでラーメン構造(図5(a)参照)を構成している。そのため、ラーメン構造に地震による水平力が交互に作用すると、柱4の下端部には引張力F1と圧縮力F2(図3参照)が交互に作用する。
【0025】
ホールダウン金物1は、柱4を土台3に引き付けて固定する金属製の部材である。ホールダウン金物1は、接合用プレート11と、当接用プレート12と、中間プレート13と、一対の補強プレート14,14と、を備えている。
【0026】
接合用プレート11は、柱4の側面に接合される板状部材である。接合用プレート11は、ラグスクリューボルト16を挿通するための貫通孔11aを有している。本実施形態では、接合用プレート11は、2本のラグスクリューボルト16によって柱4の側面に固定されている。
【0027】
当接用プレート12は、平面視で四角形状を呈する板状部材であり、土台3の上面に当接している。当接用プレート12は、接合用プレート11の下端部(土台3側の端部)から土台3に沿って延設されている。当接用プレート12の柱3側の端部は、接合用プレート11の下端部に溶接固定されている。当接用プレート12の中央部には、アンカーボルト2aを挿通するための挿通部である貫通孔12aが設けられている。当接用プレート12の上面には、アンカーボルト2aに螺合したナットN3が当接している。なお、このナットN3が特許請求の範囲における「第3のナット」に相当する。
【0028】
中間プレート13は、平面視で四角形状を呈する板状部材である。中間プレート13は、当接用プレート12から上方に所定距離だけ離間した接合用プレート11の中間部から、当接用プレート12と平行に延設されている。中間プレート13の柱4側の端部は、接合用プレート11の中間部に溶接固定されている。中間プレート13の中央部には、アンカーボルト2aを挿通するための挿通部である貫通孔13aが設けられている。中間プレート13の上面には、アンカーボルト2aに螺合したナットN1が当接しており、中間プレート13の下面には、アンカーボルト2aに螺合したナットN2が当接している。つまり、中間プレート2aは、ナットN1とナットN2に挟持されている。なお、このナットN1が特許請求の範囲における「第1のナット」に相当し、ナットN2が特許請求の範囲における「第2のナット」に相当する。
【0029】
補強用プレート14は、当接用プレート12と中間プレート13の変形を抑制するための板状部材である。補強用プレート14は、接合用プレート11の両側部から延出し、当接用プレート12と中間プレート13とを両側から挟むように設けられている。補強用プレート14の柱4側の端部は、接合用プレート11の両側部に溶接固定されている。また、補強用プレート14の下端部は、当接用プレート12の側端部に溶接固定されている。また、補強用プレート14の内側面は、中間プレート13の側端部に溶接固定されている。
【0030】
本実施形態に係るホールダウン金物1を用いた構造体の固定構造10は、以上のように構成されるものであり、次に、図3を参照してホールダウン金物1の作用効果について説明する。
【0031】
まず、図3(a)に示すように、柱4に引張力F1が作用すると、この引張力F1は、ラグスクリューボルト16を介してホールダウン金物1に伝達される。このとき、ホールダウン金物1の中間プレート13は、その上側に設置されたナットN1に係止されているとともに、当接用プレート12は、その上側に設置されたナットN3に係止されているので、ホールダウン金物1に伝達された引張力F1は、ナットN1,N3を介してアンカーボルト2aに伝達される。アンカーボルト2aは、コンクリート基礎2に移動不能に埋設されているので、引張力F1による反力R1が発生し、柱4及びホールダウン金物1の浮き上がりが抑制される。
【0032】
一方、図3(b)に示すように、柱4に圧縮力F2が作用すると、この圧縮力F2は、ラグスクリューボルト16を介してホールダウン金物1に伝達されるとともに、柱4の下端部4aから土台3に伝達される(符号R2参照)。そして、ホールダウン金物1の当接用プレート12は、土台3の上面に当接しているので、ホールダウン金物1に伝達された圧縮力F2の一部は、当接用プレート12からも土台3に伝達される(符号R3参照)。このように、柱4の下端部4aからだけでなく、ホールダウン金物1の当接用プレート12からも土台3に圧縮力F2が伝達されるので、土台3の上面に係る圧縮応力を小さくすることができる。
【0033】
また、ホールダウン金物1の中間プレート13は、その下側に設置されたナットN2に係止されているので、ホールダウン金物1に伝達された圧縮力F2の一部は、ナットN2を介してアンカーボルト2aにも伝達される(符号R4参照)。そのため、柱4に作用する圧縮力F2を土台3とアンカーボルト2aに分散して負担させることができ、土台3のめり込み抑制とアンカーボルト2aの座屈変形の抑制を両立することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。
【0035】
例えば、引張力F1に対して、ナットN1だけで対抗可能である場合は、ナットN3を省略してもよい。
【0036】
また、圧縮力F2に対して、柱4の下端部4aと当接用プレート12だけで土台3にかかる圧縮応力を十分低減できる場合は、ナットN2を省略してもよい。この場合は、アンカーボルト2aが圧縮力F2を負担することがないので、アンカーボルト2aの座屈変形を防止することができる。
【0037】
また、本実施形態では、当接用プレート12及び中間プレート13に、アンカーボルト2aを挿通するための挿通部として、貫通孔12a,13aを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当接用プレート12及び中間プレート13に切り欠き部を形成することで、挿通部を構成してもよい。
【0038】
また、本実施形態では、建物の1階部分の柱3の固定構造に本発明を適用した場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、基礎に設置したアンカーボルトを1階と2階の間の境界梁から上端が突出するまで延長し、2階の柱とアンカーボルトとをホールダウン金物で連結して、2階の柱を境界梁に引き付けて固定するいわゆるタイダウンシステムに適用してもよい。
【0039】
また、本実施形態では、接合用プレート11の下端部を土台3の上面まで延設し、接合用プレート11の下端部に当接用プレート13を溶接固定したが、当接用プレート13をホールダウン金物1と別体に構成してもよい。以下、図4を参照して構造体の固定構造10の変形例について説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
図4は、変形例に係る構造体の固定構造の断面図である。
図4に示すように、変形例に係る構造体の固定構造10Aは、ホールダウン金物20と、当接用プレート30とが別体に構成されている点が、前記した構造体の固定構造10と異なっている。
【0041】
ホールダウン金物20は、当接用プレート21と、当接用プレート21の下端部から土台3と平行に延出するベースプレート22と、当接用プレート21の側部とベースプレート22の側部とを連結する補強プレート23と、を備えている。ホールダウン金物20は、柱4の側面であって、土台3の上面から所定距離だけ離間した位置に、ラグスクリューボルト16を介して固定されている。
【0042】
ベースプレート22の中央部には、アンカーボルト2aを挿通するための貫通孔22aが形成されている。ベースプレート22は、ベースプレート22の上側でアンカーボルト2aに螺合したナットN1と、ベースプレート22の下側でアンカーボルト2aに螺合したナットN2と、によって挟持されている。このナットN1,N2が、特許請求の範囲(請求項4)における「一対のナット」に相当する。
【0043】
当接用プレート30は、平面視で四角形状を呈する板状部材である。当接用プレート30の中央部には、アンカーボルト2aを挿通するための貫通孔30aが形成されている。当接用プレート30は、この貫通孔30aにアンカーボルト2aを挿通した状態で、土台3の上面に当接するように配置されている。当接用プレート30の上面には、アンカーボルト2aに螺合したナットN3が係合している。このナットN3が、特許請求の範囲(請求項4)における「他のナット」に相当する。
【0044】
このような構造体の固定構造10Aによれば、柱4に引張力が作用した際に、ベースプレート22が、ナットN1に係止されるので、引張力をアンカーボルト2aで負担することができ、柱4の浮き上がりを防止することができる。
【0045】
また、柱4に圧縮力が作用した場合には、圧縮力が、柱4、ラグスクリューボルト16、ホールダウン金物20、ナットN2、アンカーボルト2a、ナットN3、当接用プレート30、土台3、の順に伝達される。これにより、柱4と当接用プレート30の2部材で圧縮力を負担することができるので、土台3に作用する圧縮応力を小さくして、柱4のめり込みを抑制することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 構造体の固定構造
2 コンクリート基礎
2a アンカーボルト
3 土台
4 柱
1 ホールダウン金物
11 接合用プレート
12 当接用プレート
13 中間プレート
14 補強プレート
N1,N2,N3 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体を支持する支持体に、前記支持体側に設けられたアンカー部材を介して前記構造体を固定するホールダウン金物であって、
前記構造体の側面に接合される接合用プレートと、
前記接合用プレートの前記支持体側の端部から延出して前記支持体に当接するとともに、前記アンカー部材を挿通するための挿通部を有する当接用プレートと、
前記当接用プレートから前記支持体と反対側に離間した前記接合用プレートの中間部から延出し、前記アンカー部材を挿通するための挿通部を有する中間プレートと、
を備え、
引張力作用時に、前記中間プレートが、前記中間プレートに対して前記支持体と反対側で前記アンカー部材に螺合した第1のナットに係止され、
圧縮力作用時に、前記当接用プレートが前記支持体を押圧することを特徴とするホールダウン金物。
【請求項2】
圧縮力作用時に、前記中間プレートが、前記中間プレートに対して前記支持体側で前記アンカー部材に螺合した第2のナットに係止されることを特徴とする請求項1に記載のホールダウン金物。
【請求項3】
引張力作用時に、前記当接用プレートが、前記当接用プレートに対して前記支持体と反対側で前記アンカー部材に螺合した第3のナットに係止されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のホールダウン金物。
【請求項4】
構造体と
前記構造体を支持する支持体と、
前記支持体から離間した位置で前記構造体に接合されたホールダウン金物と、
前記支持体側に設けられ、前記ホールダウン金物と係合するアンカー部材と、
前記アンカー部材を挿通する挿通部を有し、前記支持体に当接する当接用プレートと、を備える構造体の固定構造であって、
前記ホールダウン金物は、
前記アンカー部材を挿通するための挿通部を有するベースプレートと、
前記ベースプレートの前記構造体側の端部に連結され、前記構造体の側面に接合される接合用プレートと、を備え、
前記ベースプレートは、前記アンカー部材に螺合した一対のナットに挟持され、
前記当接用プレートは、前記当接用プレートに対して前記支持体と反対側で前記アンカー部材に螺合した他のナットに係止されていることを特徴とする構造体の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−112139(P2012−112139A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260750(P2010−260750)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000174884)三井ホーム株式会社 (87)
【Fターム(参考)】