説明

ボトルホルダーおよびこれを用いた包装体

【課題】複数のボトルをセットして一つの梱包とし、セット販売するためのボトルホルダーであって、簡単な構造によってボトルを確実に保持することができ、また店頭における展示効果にも優れたボトルホルダーを提供する。
【解決手段】整列させた複数本のボトル2の首部を通して引掛ける係止孔を備えた保持プレート4を有し、該保持プレートの後端から起立する、手持孔8を有する提げ手片7と、該提げ手片の上端に連続し、下方に折り返された後板9と、該後板下端に連続した底板10とを備えてなることを特徴とするボトルホルダー1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の包装容器用ボトルをまとめて保持、収納するためのボトルホルダーとこれを用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックボトルやガラス瓶に入れて販売される物品は多岐にわたるが、複数のボトルを持ち運ぶ必要がある場合に、ばらばらでは取り扱い上不便なため、複数のボトルをとりまとめて集積するためのボトルホルダーが知られている(特許文献1、2、3参照)。これらは、主に店頭で顧客の利便のために提供されるものであるが、初めから複数本をまとめて販売するためのボトルホルダーも存在する(特許文献4参照)。
【0003】
ボトルの内容物によっては、主に開封後の保存性の問題や保存スペースの問題から、小型の使い切りサイズのボトルが好まれる場合がある。しかし内容物によっては、1回分の使用量ではボトルが小さくて取り扱い上不便な場合がある。このような場合に、複数の小型ボトルを予め1単位にまとめて包装し、セット販売するための専用のボトルホルダーが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭44-19570号公報
【特許文献2】特許第3251377号公報
【特許文献3】実開平7-22964号公報
【特許文献4】実開昭58-12166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された瓶類の提手、および特許文献2に記載された容器保持ハンドルは、いずれも店頭で複数の瓶を購入する顧客の利便のために提供されるものであり、工場出荷段階からセットされることを前提としていないため、商品をアピールするための表示スペースが殆どなく、展示効果が十分ではない。また瓶をセットした場合に把手が突出しているため、瓶をセットした状態で箱詰め梱包することには困難が伴う。
【0006】
特許文献3に記載されたボトル用の集積ホルダーは、前面板が存在するため、表示スペースは確保されているが、ボトルの保持方法がボトルの首部を頸部支持板によって支えるだけの構造であるため、ボトルがぶらぶらと動き、工場でセットして梱包するセット販売用としては、使用しにくいものである。
【0007】
特許文献4に記載された瓶セットの包装材は、単にトレー状の包装材の上部から瓶を差込んだだけの構造であるため、瓶の抜き差しが容易すぎて、容器ごと傾けると瓶が落下する恐れがある。また瓶の個別の抜き差しが可能であるため、消費者が間違えて瓶を1本だけ抜き取って購入しようとする可能性もあり、やはりセット販売用には不都合である。
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、複数のボトルをセットして一つの梱包とし、セット販売するためのボトルホルダーであって、簡単な構造によってボトルを確実に保持することができ、また店頭における展示効果にも優れたボトルホルダーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、整列させた複数本のボトルの首部を通して引掛ける係止孔を備えた保持プレートを有し、該保持プレートの後端から起立する、手持孔を有する提げ手片と、該提げ手片の上端に連続し、下方に折り返された後板と、該後板下端に連続した底板とを備えてなることを特徴とするボトルホルダーである。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記底板に連続しボトル前面に位置する前面板と、該前面板と前記後板の左右側縁同士を連結する側壁板を有することを特徴とする請求項1に記載のボトルホルダーである。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記係止孔に、ボトル首部に係止する係止片が係止孔の内方に向かって1以上設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のボトルホルダーである。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のボトルホルダーにボトルをセットし、全体をシュリンク包装したことを特徴とする包装体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るボトルホルダーは、整列させた複数本のボトルの首部を通して引掛ける係止孔を備えた保持プレートを有し、該保持プレートの後端から起立する、手持孔を有する提げ手片と、該提げ手片の上端に連続し、下方に折り返された後板と、該後板下端に連続した底板とを備えているので、ボトルの首部は保持プレートの係止孔によって保持され、またボトルの背面は、後板により、またボトルの底面は底板によって保持されるため、ボトルの位置が確定し、全体をシュリンク包装することによって、しっかりと一定の形状を保持する一つの包装体となる。
【0014】
本発明に係るボトルホルダーは、ボトルの前面のほとんどの部分が正面から見えるので、商品棚に陳列した場合の展示効果についても、問題はない。また、提げ手片や保持プレートの表面をアイキャッチ用のスペースとして利用できる。また後板の背面前面あるいは、ボトルを取り去ったあとの、後板の表面を商品の取り扱い方法の説明表示用のスペースとして利用することができる。
【0015】
また、底板に連続しボトル前面に位置する前面板と、該前面板と前記後板の左右側縁同士を連結する側壁板を有するようにした場合には、ボトルの下部が前面板と側壁板とによって囲まれるように保持されるため、場合によってはシュリンク包装がなくても一定の形状を保持する一つの包装体となりうる。
【0016】
またさらに、前記係止孔に、ボトル首部に係止する係止片が係止孔の内方に向かって1以上設けられている場合にあっては、係止孔に挿入したボトルの首部が抜け落ちるのを防止し、ボトルを保持プレートにセットした際に、ぐらぐらせずに確実に保持できる。また、簡単ないたずら防止効果をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明に係るボトルホルダーの一実施態様に、ボトルをセットした状態を示した斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したボトルホルダーのブランクシートの平面図である。
【図3】図3は、図2に示したブランクシートをボトルホルダーとして組み立てた状態を示した斜視図である。
【図4】図4は、本発明に係るボトルホルダーの他の実施態様に、ボトルをセットした状態を示した斜視図である。
【図5】図5は、図4に示したボトルホルダーのブランクシートの平面図である。
【図6】図6は、図5に示したブランクシートをボトルホルダーとして組み立てた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明に係るボトルホルダーの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係るボトルホルダーの一実施態様に、ボトルをセットした状態を示した斜視図である。また図2は、図1に示したボトルホルダーのブランクシートの平面図である。本発明に係るボトルホルダー1は、整列させた複数本のボトル2の首部を通して引掛ける係止孔5を備えた保持プレート4を有し、保持プレート4の後端から起立する、手持孔8を有する提げ手片7と、提げ手片7の上端に連続し、下方に折り返された後板9と、後板9の下端に連続した底板10とを備えてなるボトルホルダーである。
この実施態様においては、収納するボトル2の数は2本であり、ボトルホルダー1は、保持プレート4の前端に連続し下方に折り曲げられた前垂れ板12と、底板10に連続しボトル前面に位置する前面板11を有しており、さらに2つの係止孔5には、ボトル首部に係止する係止片6が係止孔5の内方に向かって6個づつ設けられている。
【0019】
図1では省略してあるが、図1の状態のもの全体をシュリンク包装して一つの包装体とする。そうすることにより、しっかりと一定の形状を保持する一つの包装体となる。その際、前面板11、前垂れ板12が存在することにより、包装体とする際の作業性と、最終の包装体の外観が向上する。また前面板11や前垂れ板12には、商品をアピールするために着色を施したり、画像や文字を表示することができる。
【0020】
収納するボトル2の数は、2本以上である以外に特に制限はない。目的とするボトルの大きさや用途、内容物や価格等によって決定される。ボトルの材質についても特に制約はなく、プラスチックボトルでもガラス瓶でも良い。ただしガラス瓶の場合には、瓶と瓶とが直接触れないように、間に仕切りを入れるのが好ましい。
【0021】
ボトルホルダー1の材質については、板紙が一般的であるが、用途によっては、段ボールやプラスチック板でも良い。板紙の表面あるいは裏面に印刷を施す場合には、コートボール紙のような、印刷効果の良い板紙を使用すると良い。
【0022】
図2は、図1に示したボトルホルダーのブランクシートの平面図である。また図3は、図2に示したブランクシートをボトルホルダーとして組み立てた状態を示した斜視図である。図2によって明らかなように、本発明に係るボトルホルダーは、1枚のブランクシート3から組み立てることができる。図2に示した実施態様において、折り込み線のうち、保持プレート4と提げ手片7の間の折り込み線18を谷折りする以外は、残りすべての折り込み線15を山折りすることによって、図3に示したようなボトルホルダーが完成する。
【0023】
提げ手片7に設けられた手持ち孔8は、提げ手片7と後板9に切り込み線17によって形成されており、提げ手片7と後板9の間の折り込み線15を180°折り込んだ際に重なって一致するようになっている。なお後板に設けられた手持ち孔8は、単純な孔であるが、提げ手片7に設けられた手持ち孔8は、切り込み線17が一部途切れて、手持ち孔の
上部が繋がっており、この繋がった部分を後板の方向に折り込むことにより、手で持った時に、手持ち孔8の上部に紙の切断端面が露出して、手を痛めるのを防ぐ働きをしている。
【0024】
この実施態様においては、保持プレート4に設けられた係止孔5に、ボトル首部に係止する係止片6が係止孔5の内方に向かって6つづつ設けられている。係止片6は、ボトル2の頭部を係止孔5に下から挿入した時に、上方に傾き、ボトル首部の凸部を通過した時点で首部の径が細くなっている部分でばねのように戻って、首部の上端面に引っ掛かってボトルが落下するのを防止する。係止片6は、大きな係止片が一つないしは二つでもよいし、この例のように片側に3つづつ、計6つでもよい。係止片の数は、任意である。ボトルの形状や大きさや重さによっては、係止片が無くても良い場合もある。
【0025】
図4は、本発明に係るボトルホルダーの他の実施態様に、ボトルをセットした状態を示した斜視図である。また、図5は、図4に示したボトルホルダーのブランクシートの平面図である。また、図6は、図5に示したブランクシートをボトルホルダーとして組み立てた状態を示した斜視図である。この実施態様においては、ボトルホルダー1が、底板10に連続しボトル2の前面に位置する前面板11と、前面板11と後板9の左右側縁同士を連結する側壁板13を有することを特徴としている。
【0026】
図5に示したブランクシート3を図6に示したボトルホルダー1に組み立てるためには、折り込み線18を谷折りする以外は、残りすべての折り込み線15を山折りすることによって組み立てることができる。
【0027】
図5に示したブランクシートに見られるように、前面板11の左右側縁には、糊代部14が設けられており、折り込み線15を山折りして後板9の左右側縁に設けた側壁板13の裏面と糊代部14の表面を接着することにより、簡単な函構造が出来上がる。このようにしたことにより、ボトル2をセットした時に、ボトル2の下部が底板10から外れることもなく、所定の位置に納まる。このため、ボトルの大きさや重さ、形状によっては、ボトルホルダー1にボトル2をセットした後に、全体をシュリンク包装する必要がない場合もある。
【0028】
なお底板10と側壁板13の中央部に設けられたミシン目折り込み線16は、側壁板13と前面板11の糊代部14とを接着して、函にした状態で、ボトルホルダー1をこのミシン目折り込み線16で折り畳んで積み重ねて輸送することができるようにするために設けられたものである。
以下実施例に基づき、本発明に係るボトルホルダーについて、具体的に説明する。
【実施例1】
【0029】
坪量400g/m2の板紙の表面に必要な印刷を施した後、打ち抜いて、図2に示したようなブランクシートを作製した。折り込み線18を谷折りし、折り込み線15をすべて山折りすることにより、図3に示したようなボトルホルダーが完成した。このボトルホルダーに、プラスチックボトル入りのうがい薬を2本セットして、図1に示したような状態とし、次に全体をシュリンク包装して、包装体とした。なおプラスチックボトルの高さは、およそ100mmであり、幅はおよそ60mm、厚さはおよそ25mmである。
【実施例2】
【0030】
坪量400g/m2の板紙の表面に必要な印刷を施した後、打ち抜いて、図5に示したようなブランクシートを作製した。折り込み線18を谷折りし、折り込み線15をすべて山折りし、糊代部14を側壁板13に接着することにより、図6に示したようなボトルホルダーが完成した。このボトルホルダーに、プラスチックボトル入りの機能性洗剤を2
本セットして、図1に示したような状態とし、次に全体をシュリンク包装して、包装体とした。なおプラスチックボトルの高さは、およそ200mmであり、幅はおよそ90mm、厚さはおよそ40mmである。
【符号の説明】
【0031】
1・・・ボトルホルダー
2・・・ボトル
3・・・ブランクシート
4・・・保持プレート
5・・・係止孔
6・・・係止片
7・・・提げ手片
8・・・手持ち孔
9・・・後板
10・・・底板
11・・・前面板
12・・・前垂れ板
13・・・側壁板
14・・・糊代部
15・・・折り込み線
16・・・ミシン目折り込み線
17・・・切り込み線
18・・・折り込み線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整列させた複数本のボトルの首部を通して引掛ける係止孔を備えた保持プレートを有し、該保持プレートの後端から起立する、手持孔を有する提げ手片と、該提げ手片の上端に連続し、下方に折り返された後板と、該後板下端に連続した底板とを備えてなることを特徴とするボトルホルダー。
【請求項2】
前記底板に連続しボトル前面に位置する前面板と、該前面板と前記後板の左右側縁同士を連結する側壁板を有することを特徴とする請求項1に記載のボトルホルダー。
【請求項3】
前記係止孔には、ボトル首部に係止する係止片が係止孔の内方に向かって1以上設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のボトルホルダー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のボトルホルダーにボトルをセットし、全体をシュリンク包装したことを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−254349(P2010−254349A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107721(P2009−107721)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】