説明

ボンディング装置及びボンディング方法

【課題】複雑な形状の異形パッドを対象とする場合にあっても、目合わせ処理を十分な精度で行うことができるボンディング装置およびボンディング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】チップを基板5に形成されたパッド10にボンディングするボンディング処理において、対象となるパッド10が目視による位置合わせが困難な矩形以外の輪郭形状を有する異形パッドである場合には、認識処理部による自動認識処理が不調のときに実行される目合わせ処理において、認識画像5aと重ね合わせた状態でこの認識画像5aの視認を妨げない特性を有するレファレンスパターン5*を使用し、基板保持部4上の基板5を手動操作で移動させながら、表示画面25a上でパッド画像10aとパッドパターン10*とのパターンマッチングを目視により行い、パッド10の基準位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップチップなどの電子部品を基板に形成されたパッドにボンディングするボンディング装置およびボンディング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フリップチップなどの電子部品を基板に実装する方法として、熱圧着などのボンディングによる方法が知られている。ボンディング対象となる基板や電子部品のファイン化の進展に伴いボンディングに必要とされる位置精度も高度化したことから、基板や電子部品をカメラで撮像した画像を認識処理して位置検出を行う、画像認識を用いた位置合わせが用いられている。この位置合わせにおいては、予め準備された参照用のレファレンスパターンと取得された認識画像とをパターンマッチングすることにより、ボンディング対象のパッドなどの位置が自動的に認識される。
【0003】
この画像認識において、過大なノイズなど認識処理を妨げる外乱の存在によって認識条件が満たされなかった場合には、正常な認識結果が出力されずいわゆる認識NGとなる。そしてこの場合には、作業者が目視によって認識画像中の基準位置を探し、モニタに表示されるクロスラインなどの光学座標基準を基準位置に手動操作によって合わせるいわゆる目合わせ処理が行われる(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術では、ワイヤボンディング装置における目合わせ処理の例を示している。ここでは、予め記憶されたICチップ上の定点の画像示す参照画像を、目合わせ時にモニタに表示させるようにしており、これにより作業者が参照画面を見ながら容易に目合わせが行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−299369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年の電子機器の小型化に伴い、半導体装置などの電子部品が実装される基板の形態も小型化・高密度化し、ボンディング実装において位置合わせの対象となるパッドも、従来のように1つの半導体装置が実装される単純な矩形パッドの形態から、複雑な形状の異形パッドに複数種類の半導体装置を実装する形態に移行する傾向にある。このため、認識NGが発生した場合の目合わせ処理においては、従来の単純な位置特定操作では正確な目合わせを行うことが難しくなっている。すなわち従来は矩形パッドの中心位置を目測することのみでほぼ十分な精度の目合わせが行えたが、複雑な形状の異形パッドを対象とする場合には明瞭な中心位置は存在しないため、目測による方法では十分な精度を確保することが難しい。そして複数の半導体装置毎に基準位置を特定する必要がある場合には、さらに位置検出が困難になる。このように、従来のボンディング装置には、複雑な形状の異形パッドを対象とする場合には、画像認識による基準位置の特定が不調の場合に行われる目合わせ処理が困難であるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、複雑な形状の異形パッドを対象とする場合にあっても、目合わせ処理を十分な精度で行うことができるボンディング装置およびボンディング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のボンディング装置は、ボンディングヘッドに保持された電子部品を基板に形成されたパッドにボンディングするボンディング装置であって、前記ボンディングヘッドを移動させることにより、部品供給機構によって供給される前記電子部品を基板保持部に保持された基板にボンディングするボンディング機構と、前記基板保持部に保持された基板を撮像して前記パッドを含む認識画像を取得する撮像手段と、前記認識画像と当該基板について予め記憶されたレファレンスパターンとのパターンマッチングにより前記パッドに設定された基準位置を検出する認識処理部と、前記認識処理部による認識処理が不調であった場合に、前記認識画像を作業者の手動操作によって前記レファレンスパターンに対して相対的に移動させながら、前記認識画像と前記レファレンスパターンとのパターンマッチングを目視により行って前記パッドの前記基準位置を検出する目合わせ処理手段とを備え、前記パッドが矩形以外の輪郭形状を有する異形パッドである場合には、前記目合わせ処理において前記認識画像と重ね合わせた状態でこの認識画像の視認を妨げない特性を有するレファレンスパターンを使用する。
【0008】
本発明のボンディング方法は、ボンディングヘッドに保持された電子部品を基板に形成されたパッドにボンディングするボンディング方法であって、前記ボンディングヘッドを移動させることにより、部品供給部から前記電子部品を取り出して基板保持部に保持された基板にボンディングするボンディング工程に先立って、前記基板保持部に保持された基板を撮像して前記パッドを含む認識画像を取得する撮像工程と、前記認識画像と当該基板について予め記憶されたレファレンスパターンとのパターンマッチングにより前記パッドの位置を認識する画像認識工程とを実行し、前記認識処理部による認識処理が不調であった場合には、前記認識画像を作業者の手動操作によって前記レファレンスパターンに対して相対的に移動させながら、前記認識画像と前記レファレンスパターンとのパターンマッチングを目視により行って前記パッドの前記基準位置を検出する目合わせ処理工程を実行し、前記パッドが矩形以外の輪郭形状を有する異形パッドである場合には、前記目合わせ処理において前記認識画像と重ね合わせた状態でこの認識画像の視認を妨げない特性を有するレファレンスパターンを使用する。
【発明の効果】
【0009】
電子部品を基板に形成されたパッドにボンディングするボンディング処理において、目視による位置合わせが困難な矩形以外の輪郭形状を有する異形パッドである場合には、認識処理部による自動認識処理が不調のときに実行される目合わせ処理において、認識画像と重ね合わせた状態でこの認識画像の視認を妨げない特性を有するレファレンスパターンを使用することにより、複雑な形状の異形パッドを対象とする場合にあっても、目合わせ処理を十分な精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態のボンディング装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態のボンディング装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態のボンディング装置による電子部品の基板へのボンディング形態の説明図
【図4】本発明の一実施の形態のボンディング装置における基板および電子部品の撮像動作の説明図
【図5】本発明の一実施の形態のボンディング装置における基板および電子部品の撮像動作の説明図
【図6】本発明の一実施の形態のボンディング装置におけるボンディング動作の説明図
【図7】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング装置の制御系の構成を示すブロック図
【図8】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング装置における目合わせ処理の説明図
【図9】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング装置によるボンディング処理を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1、図2を参照して、ボンディング装置1の構成について説明する。ボンディング装置1は、半導体チップなどの電子部品を基板に接合して実装する機能を有するものである。図1において、基台2上には移動プレート3aを備えたXYテーブル3が配設されている。移動プレート3aには基板保持部4が装着されており、基板保持部4は上面に電子部品接合用のパッド10(図3参照)が形成された基板5を真空吸着などの方法によって保持している。XYテーブル3を駆動することにより、基板保持部4は移動プレート3aとともにXY方向に水平移動し、これにより基板5は基板保持部4の上方に配設されたボンディング機構6のボンディングヘッド7に対して位置合わせされる。
【0012】
図2に示すように、ボンディング機構6は、固定配置されたフレーム部材6aの側面に配設された昇降テーブル15に、ブラケット16を介してボンディングヘッド7を装着した構成となっている。ボンディングヘッド7は、下端部に電子部品である半導体チップ8(以下、「チップ8」と略記)を吸着して保持するボンディングツール7aを備えており、昇降テーブル15を駆動することによりボンディングヘッド7は昇降する(矢印a参照)。昇降テーブル15はボンディングヘッド7を移動させるヘッド移動機構となっている。
【0013】
チップ8のボンディングヘッド7への供給は、部品供給機構9によって行われる。すなわちチップ8を載置した部品供給機構9をボンディングヘッド7と基板5との間に進出させ、次いでボンディングヘッド7を昇降させることにより、ボンディングツール7aによってチップ8を部品供給機構9からピックアップする。またボンディングヘッド7は加熱機構を内蔵しており、ボンディングツール7aに保持されたチップ8は、ボンディングツール7aを介して伝達される熱によって加熱される。
【0014】
図3(a)に示すように、基板5の上面には、チップ8が接合されるパッド10が形成されている。本実施の形態においては、基板5として携帯機器などの高密度実装基板が対象であり、1つのパッド10に複数のチップ8をボンディングにより実装するようになっている。このため、パッド10の形状は、図3(b)に示すように、通常の矩形形状ではなく異形形状(ここでは2つの矩形部L1,L2を直角方向に組み合わせたL字形状)に設定されている。そして矩形部L1,L2には、それぞれ異なる種類のチップ8を実装するための実装位置8a,8bが設けられている。
【0015】
図2において、フレーム部材6aの下面側にはカメラ移動機構11が配設されており、カメラ移動機構11には鏡筒部12を備えた撮像部13が装着されている。カメラ移動機構11を駆動することにより、鏡筒部12は撮像部13とともにXY方向に移動する。撮像時には、図4に示すように、鏡筒部12を基板保持部4とボンディングヘッド7との間に進出させて(矢印b)、撮像用開口部12a、12b(図5参照)をそれぞれボンディングヘッド7に保持されたチップ8の下方および基板5の上方に位置させることにより、基板5におけるパッド10を認識する基板パッド認識のための撮像と、チップ8の位置を認識する部品認識のための撮像を同時に行うことができる。
【0016】
図5に示すように、鏡筒部12の先端部には、上面および下面にそれぞれ撮像用開口部12a、12bが設けられており、撮像用開口部12a、12bを介して受光した撮像光はプリズム12cによって水平方向に屈折され(矢印c、d参照)、それぞれ撮像部13に備えられた部品撮像カメラ13a、基板撮像カメラ13bに入光する。これにより、撮像用開口部12aの上方および撮像用開口部12bの下方の撮像対象の画像が、部品撮像カメラ13a、基板撮像カメラ13bによってそれぞれ取得される。部品撮像カメラ13a、基板撮像カメラ13bによって取得された画像は、認識処理部24(図7参照)によって認識処理される。したがって基板撮像カメラ13bは、基板保持部4に保持された基板5を撮像してパッド10を含む認識画像を取得する撮像手段となっている。
【0017】
チップ8のボンディングにおいては、図6に示すように、鏡筒部12をボンディングヘッド7の下方から退避させ(矢印f)、チップ8を保持したボンディングヘッド7を基板保持部4に保持された基板5に対して下降させて(矢印e)、チップ8を基板5のパッド10(図3参照)に対して押圧しながらチップ8を加熱する。これによりチップ8はパッド10にボンディングにより実装される。すなわちボンディング機構6は、チップ8を保持したボンディングヘッド7をヘッド移動機構によって移動させることにより、チップ8を基板保持部4に保持された基板5にボンディングする。
【0018】
次に図7を参照して、制御系の構成を説明する。装置制御部20は、認識処理部24、撮像部13、カメラ移動機構11、XYテーブル3、ボンディング機構6、表示部25、手動操作部26に接続され、これら各部を制御する。装置制御部20は記憶部23を内蔵しており、記憶部23には基板パッドデータ23a、パターンデータ23bが記憶されている。装置制御部20による上述各部の制御処理には、これらのデータが参照される。
【0019】
基板パッドデータ23aは、基板5に形成されているパッド10の形状種別についてのデータであり、ボンディング作業対象となる基板5のパッド10が、目合わせ処理が困難な形状の異形パッド(単純矩形形状以外のパッド)であるか否かの区分を規定する。パターンデータ23bは、作業対象の各基板5のパターンマッチングによる基板パッド認識に用いられるレファレンスパターンを記憶する。ここで、パッド10が上述の矩形以外の輪郭形状を有する異形パッドに該当する場合には、本実施の形態では、レファレンスパターンとして、目合わせ処理において認識画像と重ね合わせた状態でこの認識画像の視認を妨げない特性、すなわち光学的に半透明の特性を有するレファレンスパターン(図8(a)に示すレファレンスパターン5*参照)を使用するようにしている。ここでは、パッド10の輪郭のみならず、パッド10を撮像した画像における濃淡などの画像情報もレファレンスパターンの構成要素とするようにしている。
【0020】
認識処理部24は、装置制御部20に制御されて、基板撮像カメラ13bおよび部品撮像カメラ13aによる撮像結果を認識処理する。この認識処理により、基板パッド認識処理24a、部品認識処理24bが実行される。基板パッド認識処理24aは、基板撮像カメラ13bによって基板5を撮像した認識画像を認識処理することにより、基板5におけるパッド10の位置を認識する処理である。ここでは、認識画像と当該基板5について予め記憶されたレファレンスパターンとのパターンマッチングにより、パッド10に設定されたボンディング動作における位置合わせ用の基準位置を検出する。このとき、ノイズや照明条件の不良など認識処理を妨げる外乱の存在によって認識条件が満たされなかった場合には、正常な認識結果が出力されずいわゆる認識NGとなる。この場合には、作業者が目視によりパッド10の基準位置を検出する目合わせ処理が実行される。また部品認識処理24bは、部品撮像カメラ13aによってチップ8の下面側を撮像した画像を認識処理することにより、チップ8の外形やチップ8に設けられた特徴部の位置や配列を認識する処理である。
【0021】
表示部25は液晶パネルなどの表示装置であり、撮像部13によって撮像された画像や、装置操作時の案内画面などの各種の画像を表示する。前述の目合わせ処理においては、レファレンスパターンと認識画像を重ね合わせた画像が表示部25に表示され、作業者が認識画像とレファレンスパターンとのマッチング度合いを目視で判断することにより、認識画像におけるパッド10の基準位置を検出する。手動操作部26は、作業者が手動入力によりXYテーブル3を操作して、基板保持部4を水平面内でX方向、Y方向に任意に移動させる機能を有している。手動操作部26は、認識処理部24によるパッド10の基準位置検出のための認識処理が不調であった場合に実行される目合わせ処理において使用される。
【0022】
次に、装置制御部20に内部処理機能として備えられているボンディング処理部21、目合わせ処理部22の各部の機能について説明する。ボンディング処理部21は、認識処理部24の認識結果に基づきボンディング機構6、カメラ移動機構11を制御することによりボンディング動作を実行させる制御処理を行う。目合わせ処理部22は、認識処理部24によるパッド10の基準位置検出のための認識処理が不調であった場合に、作業者の手動操作によりパッド10の基準位置を検出する目合わせ処理を実行する。
【0023】
この目合わせ処理について、図8を参照して説明する。図8(a)に示すように、目合わせ処理においては、基板保持部4に保持された基板5を基板撮像カメラ13bによって撮像し、パッド10の基準位置検出のための認識画像5aを取得する。認識画像5aにはパッド10に対応したパッド画像10aが含まれており、認識画像5aを対象としてレファレンスパターン5*を用いて行われるパターンマッチングにおいては、パッドパターン10*とパッド画像10aとのマッチング度合いを作業者の目視により観察する。
【0024】
すなわち予め基板撮像カメラ13bの光学座標系においてボンディング機構6の機械座標の基準位置にレファレンスパターン5*の基準位置を一致させた状態において、図8(b)に示すように、認識画像5aを光学的に半透明のレファレンスパターン5*とを重ね合わせて、表示部25の表示画面25aに表示させる。この表示画面25aでは、認識画像5aとレファレンスパターン5*との相対位置が目視により可能となっており、この状態で作業者が手動操作部26を手動操作することにより、認識画像5aをレファレンスパターン5*に対してX方向、Y方向に相対移動させながら、認識画像5aとレファレンスパターン5*とのパターンマッチングを目視により行う。
【0025】
そして、パッドパターン10*とパッド画像10aとのマッチング度合いが最大となった状態における基板5の位置を、パッド10に対してチップ8をボンディングすべき基準位置として検出する。すなわち、目合わせ処理部22および手動操作部26は、上述の目合わせ処理を実行する目合わせ処理手段を構成する。なお、このパターンマッチングにおいては、単にパッド10の外形を示す輪郭形状のみならず、パッド画像10aにおける濃淡などの画像情報も、マッチング度合いを判断するための要素として勘案される。
【0026】
次にボンディング装置1によって行われる電子部品のボンディング処理について、図9のフローに則して各図を参照しながら説明する。このボンディング処理は、ボンディング装置1によって基板5に形成されたパッド10にボンディングするボンディング方法を示すものである。まず、ボンディング対象のチップ8の受け取りが行われる(ST1)。すなわち図2に示すように、チップ8を載置した部品供給機構9をボンディングヘッド7と基板5との間に進出させ、次いでボンディングヘッド7を昇降させることにより、ボンディングツール7aによってチップ8を部品供給機構9からピックアップする。
【0027】
次いで鏡筒部12を撮像位置に移動させるカメラ移動が行われる(ST2)。すなわち図4に示すように、カメラ移動機構11を駆動して、鏡筒部12をボンディングツール7aに保持されたチップ8と基板保持部4に保持された基板5との間に進出させる。そして部品撮像カメラ13a、基板撮像カメラ13bによってそれぞれチップ8および基板5を撮像して認識画像5aを取り込み(撮像工程)(ST3)、この認識画像5aを認識処理部24によって認識処理することにより、チップ8および基板5を認識する(ST4)。すなわち認識画像5aと当該基板5について予め記憶されたレファレンスパターンとのパターンマッチングによりパッド10の位置を認識する(画像認識工程)。
【0028】
この画像認識工程において、基板5を撮像した認識画像5aを対象とする基板パッド認識が正常に行われたか否かを判断する(ST5)。ここで、認識が正常に行われたならば、この認識結果に基づいてアライメント動作およびカメラ移動が行われる(ST7)。すなわち(ST4)における認識結果に基づいてXYテーブル3を駆動して基板保持部4の位置を調整することにより、チップ8を基板5のパッド10のボンディング位置に位置合わせする。これとともに、チップ8と基板5との間に進出していた鏡筒部12を退避させる。
【0029】
また(ST5)において、認識処理部24による認識処理が不調の場合には、作業者による目合わせ処理(ST6)を行った後、上述のアライメント動作およびカメラ移動を行う。すなわち、認識画像5aを手動操作部26による作業者の手動操作によってレファレンスパターン5*に対して相対的に移動させながら、認識画像5aとレファレンスパターン5*とのパターンマッチングを目視により行って、パッド10の基準位置を検出する(目合わせ処理工程)。そしてこの目合わせ処理工程において、パッド10が矩形以外の輪郭形状を有する異形パッドである場合には、認識画像5aと重ね合わせた状態でこの認識画像5aの視認を妨げない特性を有する、光学的に半透明のレファレンスパターン5*を用いるようにしている。
【0030】
この後、ボンディングヘッド7を下降させ(ST8)、次いでボンディング動作を実行する(ボンディング工程)(ST9)。すなわちボンディングツール7aに保持したチップ8を基板5に着地させてパッド10に押圧するとともに、チップ8を加熱して所定時間保持する。次いで、ボンディングヘッド7を上昇させることにより(ST10)、ボンディング処理の1サイクルを完了する。
【0031】
上記説明したように、本実施の形態においては、チップ8を基板5に形成されたパッド10にボンディングするボンディング処理において、対象となるパッド10が目視による位置合わせが困難な矩形以外の輪郭形状を有する異形パッドである場合には、認識処理部24による自動認識処理が不調のときに実行される目合わせ処理において、認識画像5aと重ね合わせた状態でこの認識画像5aの視認を妨げない特性を有するレファレンスパターン5*を使用するようにしたものである。これにより、目測によって中心位置を推定することが難しく目視による位置合わせが困難な複雑な形状の異形パッドを対象とする場合にあっても、目合わせ処理を十分な精度で行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の電子部品のボンディング装置およびボンディング方法は、複雑な形状の異形パッドを対象とする場合にあっても、目合わせ処理を十分な精度で行うことができるという効果を有し、電子部品を基板にボンディングにより実装する分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 ボンディング装置
3 XYテーブル
4 基板保持部
5 基板
5a 認識画像
5* レファレンスパターン
6 ボンディング機構
7 ボンディングヘッド
8 チップ
10 パッド
10a パッド画像
10* パッドパターン
12 鏡筒部
13 撮像部
13a 部品撮像カメラ
13b 基板撮像カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディングヘッドに保持された電子部品を基板に形成されたパッドにボンディングするボンディング装置であって、
前記ボンディングヘッドを移動させることにより、部品供給機構によって供給される前記電子部品を基板保持部に保持された基板にボンディングするボンディング機構と、
前記基板保持部に保持された基板を撮像して前記パッドを含む認識画像を取得する撮像手段と、
前記認識画像と当該基板について予め記憶されたレファレンスパターンとのパターンマッチングにより前記パッドに設定された基準位置を検出する認識処理部と、
前記認識処理部による認識処理が不調であった場合に、前記認識画像を作業者の手動操作によって前記レファレンスパターンに対して相対的に移動させながら、前記認識画像と前記レファレンスパターンとのパターンマッチングを目視により行って前記パッドの前記基準位置を検出する目合わせ処理手段とを備え、
前記パッドが矩形以外の輪郭形状を有する異形パッドである場合には、前記目合わせ処理において前記認識画像と重ね合わせた状態でこの認識画像の視認を妨げない特性を有するレファレンスパターンを使用することを特徴とするボンディング装置。
【請求項2】
ボンディングヘッドに保持された電子部品を基板に形成されたパッドにボンディングするボンディング方法であって、
前記ボンディングヘッドを移動させることにより、部品供給部から前記電子部品を取り出して基板保持部に保持された基板にボンディングするボンディング工程に先立って、
前記基板保持部に保持された基板を撮像して前記パッドを含む認識画像を取得する撮像工程と、前記認識画像と当該基板について予め記憶されたレファレンスパターンとのパターンマッチングにより前記パッドの位置を認識する画像認識工程とを実行し、
前記認識処理部による認識処理が不調であった場合には、前記認識画像を作業者の手動操作によって前記レファレンスパターンに対して相対的に移動させながら、前記認識画像と前記レファレンスパターンとのパターンマッチングを目視により行って前記パッドの前記基準位置を検出する目合わせ処理工程を実行し、
前記パッドが矩形以外の輪郭形状を有する異形パッドである場合には、前記目合わせ処理において前記認識画像と重ね合わせた状態でこの認識画像の視認を妨げない特性を有するレファレンスパターンを使用することを特徴とするボンディング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−238718(P2011−238718A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107838(P2010−107838)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】