説明

ポ―タブルガンの回転支持軸受構造

【課題】軸受の回転抵抗の少ない精密な玉軸受を用いこれをポ―タブルガンの回転支持軸受構造に容易に組み込むようにして、組み付けが容易で作業者の回転操作時の負担が少なく長期の使用に耐え得る、ポ―タブルガンの回転支持軸受構造を提供する。
【解決手段】ガン本体2が吊り金具に吊り下げられたベルサポ―トにより支持されたポ―タブルガンにおいて、ガン本体の外周にベルサポ―トの玉軸受3の内輪31を軸支し、該玉軸受の外輪32をガン本体支持リング4に形成した凹穴41の周面42に密着させ、該玉軸受を介してガン本体とガン本体支持リングとを相互に回動可能に一体化したポ―タブルガンの回転支持軸受構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガン本体が吊り金具に吊り下げられたベルサポ―トにより支持されたポ―タブルガンにおけるポ―タブルガンの回転支持軸受構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,ガン本体が吊り金具に吊り下げられたベルサポ―トにより支持されたポ―タブルガンにおけるポ―タブルガンの回転支持軸受構造として、ガン本体側に整形されたボ―ル受け溝とガン本体支持リング側に整形されたボ―ル受け溝との間に多数のボ―ルを挿入配置し、該ボ―ルを介してガン本体とガン本体支持リングとを相互に回動可能に一体化したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特公平7―63850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ポ―タブルガンの回転支持軸受構造においては、作業者の回転操作時の負担をできるだけ小さくするため軸受の回転抵抗を少しでも小さくする必要があるが、上記従来の技術においては、ガン本体側及びガン本体支持リング側に精度の高い受け溝を整形するのが難しく、その加工も大変であり、ボ―ルの受け側の材質硬度にも難点があり、しかも多数のボ―ルを挿入する作業も容易でなく、リティナ―の使用も不可能に近く、結果的にボ―ルの軌道面が傷つきやすくまたボ―ルの回転抵抗が大きくしかも長期の使用に耐え難い、という問題がある。
【0005】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軸受の回転抵抗の少ない精密な玉軸受を用いこれをポ―タブルガンの回転支持軸受構造に容易に組み込むようにして、組み付けが容易で作業者の回転操作時の負担が少なく長期の使用に耐え得る、ポ―タブルガンの回転支持軸受構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明におけるポ―タブルガンの回転支持軸受構造は、ガン本体の外周にベルサポ―トの玉軸受の内輪を軸支し、該玉軸受の外輪をガン本体支持リングに形成した凹穴の周面に密着させ、該玉軸受を介してガン本体とガン本体支持リングとを相互に回動可能に一体化したことを特徴とする、ものである。
【0007】
また、前記玉軸受の内輪の外表面を複数の係止部材によりガン本体に係止し、玉軸受の外表面をリング状の覆い板で覆うと共に該覆い板の複数箇所を前記ガン本体支持リングに止着したことを特徴とする、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るポ―タブルガンの回転支持軸受構造では、ガン本体でベルサポ―トの玉軸受の内輪を軸支し、該玉軸受の外輪をガン本体支持リングに密着させ、該玉軸受を介してガン本体とガン本体支持リングとを相互に回動可能に一体化したので、軸受に精度のある市販の玉軸受が簡単,容易に組み込まれ、組み付けが容易で作業者の回転操作時の負担が少なく長期の使用に耐え得るポ―タブルガンの回転支持軸受構造となる。
【0009】
また、前記玉軸受の内輪の外表面を複数の係止部材によりガン本体に係止し、玉軸受の外表面をリング状の覆い板で覆うと共に該覆い板の複数箇所を前記ガン本体支持リングに止着した場合には、玉軸受がガン本体とガン本体支持リング間に確実に保持され軸受の精度に狂いがない、しかも覆い板によりグリスの漏れも少ない更に長期の使用に耐え得るポ―タブルガンの回転支持軸受構造となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1ないし図3は本発明を実施するのに適したポ―タブルガンの回転支持軸受構造を示すものであり、この回転支持軸受構造1は、ガン本体2の外周21にベルサポ―トの玉軸受3の内輪31を軸支し、該玉軸受3の外輪32をガン本体支持リング4に形成した凹穴41の周面42に密着させ、該玉軸受3を介してガン本体2とガン本体支持リング4とを相互に回動可能に一体化したもの、である。
【実施例1】
【0011】
図1において、X型ポ―タブルガンは、固定ア―ム5と可動ア―ム6とを軸支する主軸7を備え、固定ア―ム5側のガン本体2には、前記両ア―ム5,6へ溶接電流を流通させるトランス8と前記可動ア―ム6を揺動させる駆動装置9が取り付けられている。
【0012】
そして、該ポ―タブルガンは、ガン本体2が吊り金具(図示せず)に吊り下げられた回転支持軸受構造1によって、その姿勢が任意に変更できるようになっている。
【0013】
図2,3をも参照すると、回転支持軸受構造1では、ガン本体2の外周21の縮径された断差部22にベルサポ―トの玉軸受3の内輪31が軸支されている。このガン本体2の後端側には前記トランス8や駆動装置9が取り付けられ、前端側には前記固定ア―ム5が取り付けられている。また、前記可動ア―ム6はこのガン本体2に設けた前記主軸7を支点として揺動可能に軸支されている。
【0014】
ガン本体支持リング4は断面L字形でリングに構成され、該リングの外側一側には吊り金具側に接続される接続具43が形成されている。そして、前記リングには凹穴41が形成され、該凹穴41の周面42には前記玉軸受3の外輪32が密着されるように取り付けられる。
【0015】
このように、ガン本体2で玉軸受3の内輪31を軸支し、該玉軸受3の外輪32をガン本体支持リング4に密着させ、該玉軸受3を介してガン本体2とガン本体支持リング4とを相互に回動可能に一体化したので、軸受に精度のある市販の玉軸受3が簡単,容易に組み込まれ、組み付けが容易で作業者の回転操作時の負担が少なく長期の使用に耐え得るポ―タブルガンの回転支持軸受構造となる。
【実施例2】
【0016】
上記実施例1に記載のポ―タブルガンの回転支持軸受構造において、ガン本体2には、前記玉軸受3の内輪31の外表面を該ガン本体2に係止するための係止部材23を取り付ける取り付けねじ孔24が複数個形成せれている。
【0017】
また、玉軸受3の外表面にはリング状の覆い板33が配置され、該覆い板33は前記ガン本体支持リング4に複数箇所で止着されるようになっている。そのためにガン本体支持リング4には、覆い板33を止着する取り付けねじ孔44が複数個形成せれている。
【0018】
このように、玉軸受3の内輪31の外表面を複数の係止部材23によりガン本体2に係止し、玉軸受3の外表面をリング状の覆い板33で覆うと共に該覆い板33の複数箇所を前記ガン本体支持リング4に止着した場合には、玉軸受3がガン本体2とガン本体支持リング4間に確実に保持され軸受3の精度に狂いがない、しかも覆い板33によりグリスの漏れも少ない更に長期の使用に耐え得るポ―タブルガンの回転支持軸受構造1となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明に係る回転支持軸受構造を備えたX型ポ―タブルガンの概略構成説明図である。
【図2】図2は本発明に係る回転支持軸受構造の正面図である。
【図3】図3は図図2のA―A断面で一部拡大図を含むものである。
【符号の説明】
【0020】
1 回転支持軸受構造
2 ガン本体
3 玉軸受
4 ガン本体支持リング
21 ガン本体の外周
23 係止部材
24 ねじ孔
31 玉軸受の内輪
32 玉軸受の外輪
33 覆い板
41 凹穴
42 凹穴の周面
44 ねじ孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガン本体が吊り金具に吊り下げられたベルサポ―トにより支持されたポ―タブルガンにおいて、ガン本体の外周にベルサポ―トの玉軸受の内輪を軸支し、該玉軸受の外輪をガン本体支持リングに形成した凹穴の周面に密着させ、該玉軸受を介してガン本体とガン本体支持リングとを相互に回動可能に一体化したことを特徴とするポ―タブルガンの回転支持軸受構造。
【請求項2】
前記玉軸受の内輪の外表面を複数の係止部材によりガン本体に係止し、玉軸受の外表面をリング状の覆い板で覆うと共に該覆い板の複数箇所を前記ガン本体支持リングに止着したことを特徴とする請求項1記載のポ―タブルガンの回転支持軸受構造。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−75829(P2007−75829A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263181(P2005−263181)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000184366)OBARA株式会社 (72)
【Fターム(参考)】