説明

ポリアスパルテート、ポリイソシアネートおよびアクリレート含有化合物に基づく二重硬化性被覆組成物

【課題】放射線硬化性被覆組成物及び、該被覆組成物で被覆された基材を提供する。
【解決手段】該組成物は、a)アミノ官能性ポリアスパルテート;b)(シクロ)脂肪族ポリイソシアネート;c)アクリレート官能性化合物;およびd)光開始剤を、被覆組成物の重量を基準として、ポリアスパルテート(a)とポリイソシアネート(b)を合わせた量は該組成物の15重量%〜70重量%を構成し、アクリレート官能性化合物(c)の量は該組成物の30重量%〜85重量%を構成し、および光開始剤(d)の量は該組成物の0.3重量%〜10重量%を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアスパルテート、ポリイソシアネートおよびアクリレート官能性化合物に基づく二重硬化性被覆組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆組成物におけるポリアスパルテートの使用は、化学薬品耐性が不十分であること、および適切なポットライフを得るために溶媒が必要であることなどの特定の欠点の原因となる。ポリアスパルテートの選択は、硬化速度に影響を及ぼすことがあり、特定の用途が回避すべき溶媒の使用を必要とするので困難なことがある。さらに、ポリアスパルテートとポリイソシアネートの間の重量差に起因して、1:1体積比を達成することは困難であり得る。
【0003】
UV被覆物は概して、種々の欠点、例えば収縮および亀裂の原因となる厚い断面の被覆物の脆化などが問題となる。着色系を硬化しようとする際、さらなる困難が生じる。必要とされるのは、先行技術の被覆物の欠点を克服する二重硬化性被覆物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況下、ポリアスパラギン酸二重硬化性被覆物が従来のポリアスパラギン酸被覆物の化学薬品耐性を強化し、および溶媒を添加せずに被覆物系のポットライフを延長することを見出した。より速い硬化性の被覆物により、被覆物を塗布した領域の素早い使用が可能となり、濃い着色系および厚い断面の硬化が可能となる。こうした全ては、揮発性有機化合物(VOC)をほとんど用いずに、あるいは全く用いずに達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は従って、
a)アミノ官能性ポリアスパルテート、
b)(シクロ)脂肪族ポリイソシアネート、
c)アクリレート官能性化合物、および
d)光開始剤
を含んでなる放射線硬化性被覆組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
実施例を含む本明細書および特許請求の範囲においては、特記のない限り、全ての数値は、単語「約」が明確に付加されていない場合でも、該用語を修飾させて読んでよい。また、特許請求の範囲および明細書に記載の任意の数値範囲は、該範囲に包含される全ての下位の範囲を含むと意図される。
【0007】
本発明の被覆組成物は、好適には、(a)と(b)のNCO:NH比が0.5NCO:1NH〜3NCO:1NHである。
【0008】
被覆組成物の重量を基準として、ポリアスパルテート(a)とポリイソシアネート(b)を合わせた量は該組成物の15重量%〜70重量%を構成し、アクリレート官能性化合物(c)の量は該組成物の30重量%〜85重量%を構成し、および光開始剤(d)の量は該組成物の0.3重量%〜10重量%を構成する。
【0009】
より好適な実施態様においては、被覆組成物の重量を基準として、a)とb)を合わせた量は55重量%〜65重量%であり、およびc)の量は35重量%〜45重量%である。
【0010】
本発明の被覆組成物中に用いるアミノ官能性ポリアスパルテートは、米国特許第5126170号、同第5236741号および同第5489704号に記載されている(参照によって本明細書に全て組み込む)。これらのポリアスパルテートは式(I):
【化1】

で示される化合物を含んでなる。
【0011】
式(I)の化合物において、残基Xは、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジアミン、2,4’−および/または4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4,4’−トリアミノ−5−メチルジシクロヘキシルメタンおよび脂肪族的に結合した第1級アミノ基を有し、数平均分子量148〜6000g/molを有するポリエーテルポリアミンから選択されるn価のポリアミンから好ましく得られる。
【0012】
残基Xは、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンからより好ましく得られる。
【0013】
表現「反応条件下でイソシアネート基に不活性」は、基Rおよび基Rを定義するために使用され、これらの基がOH、NHまたはSHのようなツェレビチノフ活性水素(CH−酸化合物;Roempp Chemie Lexikon、Georg Thieme Verlag Stuttgartを参照されたい)を有さないことを意味する。
【0014】
およびRは、互いに独立して、好ましくはC〜C10アルキル残基、より好ましくはメチル残基またはエチル残基である。
【0015】
Xが2,4,4’−トリアミノ−5−メチルジシクロヘキシルメタンから得られる残基である場合、RおよびRは好ましくはエチル残基である。
【0016】
およびRは同一または異なって、水素または100℃以下の温度でイソシアネート基に不活性な有機基、好ましくは水素またはC〜C10アルキル残基、より好ましくは水素、メチル残基またはエチル残基を表し得る。もっとも好ましくは、RおよびRはいずれも水素である。
【0017】
式I)においては、nは好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4の整数である。
【0018】
アミノ官能性ポリアスパルテートの製造は、式:
【化2】

で示される、相当する第1級ポリアミンを、式:
【化3】

〔式中、R、R、RおよびRは前記の定義のとおりである〕
で示されるマレイン酸エステルまたはフマル酸エステルと反応させることによって既知の方法で実施する。
【0019】
適当なポリアミンは上記のジアミンまたはトリアミン(例えばJeffamine T−403およびNTA)である。適当なマレイン酸エステルまたはフマル酸エステルの例は、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジブチルマレエートおよび相当するフマレートである。
【0020】
上記の出発物質からのアミノ官能性ポリアスパルテートの製造は、0〜100℃の温度範囲内で好ましく実施する。出発物質は、各第1級アミノ基に対して少なくとも1個、好ましくは1個のオレフィン二重結合が存在するような量で使用する。過剰に使用した任意の出発物質は、反応後の蒸留によって除去してよい。該反応は、適当な溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ジオキサンまたはこれらの混合物の存在下または不存在下に行ってよい。特に好適なアミノ官能性ポリアスパルテートは、ピッツバーグ、ペンシルベニア州のBayer MaterialScienceから市販されているDesmophen(登録商標)NH 1420である。
【0021】
本発明の被覆組成物は、1以上のポリイソシアネートをさらに含んでなる。適当なポリイソシアネートの非限定的な例として、モノマーの脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族のジイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートの例として、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリ−メチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン (イソホロンジイソシアネート)、4,4−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアナトシクロヘキサンおよびこれらの混合物が挙げられる。4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネートは、さらに変性させずに用いる。
【0022】
上記の種類のポリイソシアネートは、5〜25重量%のNCO基含量、2.0〜5.0、好ましくは2.8〜4.0の平均NCO官能価、および1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の、これらの調製に用いるモノマージイソシアネートの残存量を好ましく有する。
【0023】
本発明に用いるポリイソシアネートはまた、完全または部分的にブロックされたNCO基を含有し得る。ブロックトポリイソシアネートの製造方法ならびにブロック剤は当業者に既知である。好適なブロック剤は、例えばε−カプロラクタム、ブタノンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、トリアゾール、フェノール、フェノール誘導体、第2級アミンおよび/またはアルキルマロネートである。
【0024】
ウレタン基を含有するポリイソシアネートは、例えば、2,4−ジイソシアナトトルエンおよび必要に応じて2,6−ジイソシアナトトルエンまたは1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサンおよび必要に応じて1−メチル−2,6−ジイソシアナトシクロヘキサンと、半化学量論量のトリメチロールプロパンまたは単純ジオール、例えば異性体のプロパンジオールおよびブタンジオールなどとトリメチロールプロパンの混合物との反応生成物を用い得る。実質的にモノマーを含有しない形態でウレタン基を含有するこの種のポリイソシアネートの製造は、例えばDE−A1090196に記載されている。
【0025】
適当なイソシアネートとして、これらに限定されないが、ダイマー、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレットジオンなど、トリマー、例えば1,6−ヘキサンジイソシアネートのビウレットおよびイソシアヌレートおよびイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートなどおよびポリマーオリゴマーを含むオリゴマーポリイソシアネートを挙げることができる。これらに限定されないが、カルボジイミドおよびウレットジオンおよびこれらの混合物を含む変性ポリイソシアネートを用いてもよい。好適なポリイソシアネートの例は、ビウレット、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を含有するものである。イミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネートおよびその調製は、例えばEP−A798299、EP−A896009、EP−A962454およびEP−A962455に見出すことができる。1,6−ジイソシアナトヘキサンおよび/またはイソホロンジイソシアネートに基づく脂肪族、脂肪族/脂環式および/または脂環式の単一型トリマーまたは混合トリマーは特に好適であり、これらは、例えば米国特許第4324879号、同第4288586号、DE−A3100262、DE−A3100263、DE−A3033860またはDE−A3144672に従って得られ、これらの幾つかは、DESMODUR(登録商標) N 3200、DESMODUR(登録商標) N 3300、DESMODUR(登録商標) N 3400、DESMODUR(登録商標) XP 2410、およびDESMODUR(登録商標) XP 2580を含む、ピッツバーグ、ペンシルベニア州のBayer MaterialScience製の名称DESMODUR(登録商標)として入手可能である。
【0026】
本発明の被覆組成物として、1以上のアクリレート官能性化合物がさらに挙げられる。適当なアクリレート官能性化合物として、ウレタンアクリレートおよびアクリレート官能性ポリイソシアネートに関連して、以下に本明細書に記載される全てのものが挙げられる。適当なアクリレート官能性化合物はエポキシ基を有していてもよいが、その例はグリシジル(メタ)アクリレート、またはアクリル酸もしくはメタクリル酸とジエポキシド化合物の当モル量の反応生成物、例えばネオペンチルグリコールジグリシジルエステルなどである。ヒドロキシルを含有する重合可能なモノマーの反応生成物、例えばヒドロキシエチルアクリレートおよびジエポキシドなども適当である。好適なアクリレート含有化合物は、商品名Sartomer SR238として販売されているヘキサンジオールジアクリレートである。
【0027】
好ましくは、本発明の被覆組成物として、米国特許第6232360号(参照によって本明細書に組み入れる)に記載の1以上のウレタンアクリレートが挙げられる。ウレタンアクリレートは、成分A1)の全重量を基準として30ヒドロキシル当量%までの他のアルコールと必要に応じて混合された、アルキル基中に2〜4個の炭素原子を有する1以上のヒドロキシアルキルアクリレートである少なくとも70重量%の成分A1)、およびイソシアヌレート基を含有し、1,6−ジイソシアナトヘキサンに基づき、および22〜23.5重量%のNCO含量および23℃で800〜1400mPa・sの粘度、および必要に応じて、成分A2)の30重量%までの肪族ポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート成分である30重量%までの成分A2)の反応生成物であり、これらの割合は成分A)の重量を基準とする。
【0028】
ウレタンアクリレートは、反応生成物の製造において成分A1)およびA2)を0.9:1〜1.1:1、好ましくは約1:1のNCO/OH当量比で用いることを意味する「本質的にヒドロキシル基およびイソシアネート基を含有しない」ものである。
【0029】
適当な化合物A1)は、ヒドロキシルアルキル基中に2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルアクリレート、またはあまり好ましくはないが、このようなヒドロキシアルキルアクリレートとアルコールのヒドロキシル基を有する他の化合物との混合物である。適当なヒドロキシアルキルアクリレートとして、2−ヒドロキシエチルアクリレート、プロピレンオキシドのアクリル酸への付加によって形成された異性体混合物、または4−ヒドロキシブチルアクリレートが挙げられる。2−ヒドロキシエチルアクリレートは好適である。
【0030】
他の適当なヒドロキシル化合物として、32〜400の分子量を有する一価ないし三価の脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−ヘキサノール、イソオクタノール、イソドデカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールおよびこれらのアルコールからアルコキシル化によって得られたアルコールが挙げられる。
【0031】
成分A2)は、1,6−ジイソシアナトヘキサン(ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)に基づき、および22〜23.5重量%のNCO含量および23℃で800〜1400mPa・sの粘度を有するイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートから選択される。これらのポリイソシアネートは、反応混合物が42〜45、好ましくは42.5〜44.5重量%のNCO含量を有するまでHDIを三量化し、次いで該反応を停止し、未反応HDIを0.5重量%未満の残存量まで蒸留により除去することによって既知の方法で得られる。
【0032】
出発成分A1)およびA2)を反応させることによる成分A)の製造を、既知の方法によって、必要に応じて、適当なウレタン触媒を用いることによって実施してよい。前述したように、該反応は0.9:1〜1.1:1、好ましくは約1:1のNCO/OH当量比で実施する。
【0033】
この実施態様の好適なウレタンアクリレートは、Bayer MaterialScience(ピッツバーグ、ペンシルベニア州)製のDesmolux(登録商標) VP LS 2308である。
【0034】
本発明の被覆組成物は、さらに必要に応じて、米国特許第6599955号(参照によって本明細書に組み入れる)に記載の1以上のアクリレート官能性ポリイソシアネートを含んでよい。アクリレート官能性ポリイソシアネートは、(メタ)アクリロイル基を含有する一価アルコールおよびジ−またはポリイソシアネートから調製される。本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、遊離イソシアネート基を含有し、ウレタンアクリレートのために記載したように概して調製されるが、NCO基とOH基の当量比は1:0.2〜1:0.8、好ましくは1:0.3〜1:0.6である。
【0035】
(メタ)アクリロイル基を含有する一価アルコールは、遊離ヒドロキシル基を含有するアクリル酸またはメタクリル酸と二価アルコールとのエステル、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたは2−、3−もしくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよびこのような化合物の混合物などを包含すると理解される。(メタ)アクリロイル基を含有する一価アルコール、または(メタ)アクリル酸によるn価アルコールのエステル化によって得られる、このようなアルコールを実質的に含有する反応生成物も可能である。異なったアルコールの混合物を用いることも可能であり、従って、nは2〜4の整数または分数、好ましくは3を表し、(n−0.8)〜(n−1.2)、好ましくは(n−1)モルの(メタ)アクリル酸を上記のアルコール1モルに対して用いる。これらの化合物または生成物混合物として、i)グリセロール、トリメチルロールプロパンおよび/またはペンタエリトリトール、このようなアルコールの低分子量アルコキシル化生成物(例えばエトキシル化またはプロポキシル化トリメチロールプロパン、例えばOH価550のトリメチロールプロパンに対するエチレンオキシドの付加生成物)、またはこのような少なくとも三価のアルコールと二価アルコールとの混合物(例えばエチレングリコールまたはプロピレングリコール)と、ii)(メタ)アクリル酸との、上記のモル比での反応生成物が挙げられる。
【0036】
これらの化合物は、116〜1000、好ましくは116〜750、より好ましくは116〜158の数平均分子量Mを有する。
【0037】
適当なアクリレート官能性物質のいくつかの具体的な例として、ヒドロキシルメチル(メタ)アクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、2種の異性体:
【化4】

および
【化5】

を含み得るGAMA(グリシジル(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル酸付加物)が挙げられ、またはポリカプロラクトンヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(PCHEA)を用いてよいが、任意のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートを先に定義された構造に記載されるように用いてよい。
【0038】
本発明の特別な態様においては、PCHEAは、単独でまたは低粘性物質を得るために他のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートとの混合物の状態で用いられる。
【0039】
本発明のさらなる実施態様においては、PCHEAは、DOW Chemical Corp.(ミッドランド、ミシガン州)から市販されているTONE(登録商標) M 100(2−ヒドロキシエチルアクリレートのポリ(ε−カプロラクトン)エステル)である。
【0040】
本発明の他の特別な態様において、HEAまたはHPAは、単独のヒドロキシ官能性アクリレートとして有用であるが、場合によっては、これらの物質は結晶化しやすい傾向があるため、樹脂をうまく使用することができず、溶解させなければならない。溶媒、典型的にはエステル、エーテルまたは炭化水素溶媒を用いてよい。特に有用なエステル、例えばヘキサンジオールジアクリレートなどは、アクリル官能基も有し、UV/EB条件下で溶液を100%反応性にする。
【0041】
適当なジ−またはポリイソシアネートとして、芳香族、芳香脂肪族、脂環式および脂肪族の化合物が挙げられ、脂肪族化合物が好適である。その例として、ブチレン−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−ジイソシアネート(HDI)、イソホロン−ジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレン−ジイソシアネート(2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−ジイソシアネート)、ネオペンチルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアネートまたは4−イソシアナトメチル−1,8−オクタン−ジイソシアネートおよびウレタン基、イソシアヌレート基、アロファネート基、ビウレット基、ウレットジオン基および/またはイミノオキサジアジンジオン基を含有する、これらのジイソシアネートの誘導体が挙げられる。ウレタン基を含有し、ジ−またはポリイソシアネートと二価アルコールに基づくジ−またはポリイソシアネートも適当である。
【0042】
特に好適なアクリレート官能性ポリイソシアネートは、ピッツバーグ、ペンシルベニア州のBayer MaterialScienceから市販されているDesmolux(登録商標) VP LS 2337である。
【0043】
アクリレート官能性ポリイソシアネートを被覆組成物中に用いる際、ポリイソシアネートの量を減らして、イソシアネート基とイソシアネート反応性基の所望の比を維持する。当業者はこれらの化合物の量を調節して、被覆組成物における所望の特性を達成することができる。
【0044】
本発明の被覆組成物には、熱的におよび/または放射線によって活性化され得るラジカル重合の開始剤がさらに含まれる。UVまたは可視光によって活性化される光開始剤は、本発明において好適である。光開始剤は、それ自体既知の市販されている化合物であり、単分子(I型)の開始剤と二分子(II型)の開始剤に区別される。適当な(I型)系は、芳香族ケトン化合物、例えば、三級アミンとの組み合わせにおけるベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは上記の型の混合物である。さらに適当なものは、(II型)開始剤、例えばベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノンおよびα−ヒドロキシアルキルフェノンである。
【0045】
開始剤は、フィルム形成性バインダーの重量を基準として0.1重量%と10重量%の間、好ましくは0.1重量%〜5重量%の量で用いられ、個々の物質として、あるいはしばしば有利な相乗効果のため、互いに組み合わせて用いてよい。
【0046】
紫外線の代わりに電子線を使用する場合、光開始剤は必要ではない。当業者に知られているように、電子線は、熱放射により発生し、電位差により加速される。次いで、高エネルギー電子は、チタン箔を通過し、硬化されるバインダーへと誘導される。電子線硬化の一般的な原理は、「Chemistry & Technology of UV & EB Formulations for Coatings, Inks & Paints」、第1巻、P K T Oldring(編)、SITA Technology、ロンドン、英国、第101〜157頁、1991年 に詳細に記載されている。
【0047】
活性化二重結合の熱硬化の場合、熱分解性ラジカル開始剤を加えて行うこともできる。当業者に知られているように、例えば、ジアルコキシジカーボネートのようなペルオキシ化合物、例えばビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなど、ジアルキルパーオキシド、例えばジラウリルパーオキシドなど、芳香族酸または脂肪族酸のパーエステル、例えばtert−ブチルパーベンゾエートまたはtert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエートなど、無機過酸化物、例えばパーオキソ二硫酸アンモニウム、パーオキソ二硫酸カリウムなど、有機過酸化物、例えば2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシドなど、あるいはアゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1−[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミドなどは適当である。高度に置換された1,2−ジフェニルエタン(ベンズピナコール)、例えば3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2,2−テトラフェニルエタン−1,2−ジオールまたはそのシリル化誘導体も使用可能である。
【0048】
紫外線によっておよび熱的に活性化可能な開始剤の組み合わせを用いることも可能である。
【0049】
本発明の被覆組成物は、1以上の反応性希釈剤を必要に応じてさらに含む。任意の適当な反応性希釈剤を本発明の組成物中に用いてよい。
【0050】
反応性希釈剤として、紫外線硬化の過程において、同様に(共)重合し、従ってポリマーネットワークに組み込まれ、およびNCO基に対して不活性である化合物を用いることが可能である。このような反応性希釈剤は、P.K.T.Oldring(編)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings, Inks & Paints、第2巻、1991年、SITA Technology、ロンドン、第237〜285頁に例示されている。これらは、アクリル酸またはメタクリル酸、好ましくはアクリル酸と単官能性または多官能性のアルコールとのエステルであり得る。適当なアルコールの例として、異性体のブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールおよびデカノール、ならびに脂環式アルコール、例えばイソボルノール、シクロヘキサノールおよびアルキル化シクロヘキサノール、ジシクロペンタノール、アリール脂肪族アルコール、例えばフェノキシエタノールおよびノニルフェニルエタノールおよびテトラヒドロフルフリルアルコールが挙げられる。
【0051】
さらに、これらのアルコールのアルコキシル化誘導体を用いることが可能である。適当な二価アルコールは、例えばアルコール、例えばエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサン−1,6−ジオール、2−エチルヘキサンジオールおよびトリプロピレングリコールあるいはこれらのアルコールのアルコキシル化誘導体である。好ましい二価アルコールは、ヘキサン−1,6−ジオール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールである。適当な三価アルコールは、グリセロールまたはトリメチロールプロパンまたはこれらのアルコキシル化誘導体である。四価アルコールは、ペンタエリトリトールまたはこのアルコキシル化誘導体である。
【0052】
さらに適当な反応性希釈剤として、アルキルが1〜8個の炭素原子のアルキル基であるアルキルモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ(メタ)アクリレート(これらはいずれもエポキシ基を含有することができる)、および必要に応じてエーテル酸素原子を含有するアルカンジオールのビス−アクリレート(但し、該ビス−アクリレートは350未満の分子量を有する)が挙げられる。これらのビスアクリレートは、用いる反応性希釈剤の全重量を基準として20重量%までの三官能性ないし六官能性のアルコールの他のアクリル酸エステルと混合し得る。適当なビス−アクリレートとして、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレートおよび1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。適当な高級アルコールのアクリル酸エステルとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレートまたはソルビトールヘキサアクリレートが挙げられる。特に好適な反応性希釈剤は、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、例えばエクソン、ペンシルベニア州のSartomer Companyから市販されているSartomer(登録商標) SR−238などである。
【0053】
本発明による組成物は、溶媒によって希釈された形態で用いてもよい。適当な溶媒の例として、アセトン、2−ブタノン、エチルアセテート、n−ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテートまたは(メタ)アクリル酸の低分子量エステルが挙げられる。このような(メタ)アクリル酸のモノ−、ジ−またはオリゴエステルは、被覆技術において既知の化合物であって、反応性シンナーと称され、硬化中に重合する化合物として、未硬化被覆物の粘度を低下させる。このような化合物は、P.K.T. Oldring(編)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations for Coatings, Inks & Paints、第2巻、1991年、SITA Technology London、第237〜235頁に記載されている。その例として、アクリル酸またはメタクリル酸、好ましくはアクリル酸と、モノ−、ジ−、トリ−およびポリアルコールとのエステルが挙げられる。適当な一価アルコール(モノアルコール)として、異性体のブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールおよびデカノール;脂環式アルコール、例えばイソボルノール、シクロヘキサノールおよびアルキル化シクロヘキサノールおよびジシクロペンタノール;アリール脂肪族アルコール、例えばフェノキシエタノールおよびノニルフェニルエタノール;およびテトラヒドロフルフリルアルコールが挙げられる。これらのアルコールのアルコキシル化誘導体をさらに用いてよい。
【0054】
被覆組成物の成分、例えばポリアスパルテート、ポリイソシアネート、アクリレート含有化合物および任意のアクリレート含有ポリイソシアネートおよび反応性希釈剤を既知の方法で一緒に混合する。典型的には、ポリイソシアネートを最後に添加するが、この順番は要件ではない。
【0055】
本発明による被覆組成物は、既知の添加剤と混合することができる。これらには、従来の量で用いられる、充填剤、繊維ガラス、安定剤、接着促進剤、触媒、顔料、色素、チキソトロープ剤、均展剤、帯電防止剤、抗酸化剤、艶消剤または流動剤が含まれる。
【0056】
本発明による被覆系は、スプレー、流延またはローラー塗布によって好ましく塗布され得る。
【0057】
本発明による被覆系は、木材、フィルム、プラスチック、革、鉱物基材、金属(例えば、前処理されていてもよい金属板、および例えばワイヤー形態の銅)および既にラッカー塗または被覆されている基材を被覆するのに用いられる。適当な基材の幾つかの具体的な非限定的例として、これらに限定されないが、天然および/または合成の石、セラミック、ガラス、れんが、セメント、コンクリート、シンダーブロック、木材ならびにこれらの複合材料およびラミネート;壁板、乾式壁、シートロック、セメント板、プラスチック、紙、PVC、発泡スチレン、プラスチック複合材料、アクリル複合材料、衝撃(ballistic)複合材料、アスファルト、繊維ガラス、土、砂利などを挙げることができる。金属として、これらには限定されないが、アルミニウム、冷間圧延鋼、電気亜鉛めっき鋼、熱浸漬亜鉛めっき鋼、チタンおよび合金を挙げることができる;プラスチックとして、これらには限定されないが、TPO、SMC、TPU、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアミド(ナイロン)を挙げることができる。該物質は、下塗りされた金属および/またはプラスチックであってよい;すなわち、有機または無機の層をそれに適用する。さらに、本発明の被覆組成物を前記基材に塗布して、1以上の広範な種類の特性、例えば、これらに限定されないが、耐腐食性、耐摩耗性、衝撃損傷、炎および/または熱の耐性、化学薬品耐性、紫外線耐性、構造的保全性、衝撃(ballistic)緩和、爆風緩和、消音性、装飾などを付与することができる。非制限的な例においては、本発明の被覆組成物を建築構造物または製品の少なくとも一部に適用してよい。製品は建築構造物であってよい。「建築構造物」として、これらに限定されないが、住居用、商業用および軍事用の構造物を含む構造物の少なくとも一部、例えば、屋根、床、支持梁、壁などが挙げられる。本発明においては、用語「基材」とは、製品の少なくとも一部または製品それ自体についての外部または内部のいずれかの表面のことであり得る。
【0058】
本発明による被覆物の硬化は、化学線への暴露によって、好ましくは高エネルギー放射線、すなわち紫外線または昼光、例えば200〜750nmの波長を有する光への暴露によって、または高エネルギー電子(電子線、150〜300keV)での照射によって実施する。光または紫外線に用いる放射線源の例として、高圧水銀蒸気ランプが挙げられる。水銀蒸気をガリウムまたは鉄のような他の元素でドープすることにより改質させることも可能である。レーザー、パルスランプ(名称UV閃光ランプとして知られている)、ハロゲンランプまたはエキシマエミッターも適当である。UV−A硬化は、Panacol−Elosol GmbH(ドイツ)製Panacol UV−F 900 UV−Aランプによって達成してよい。照射すべき材料が機械装置によって放射線源へ通過するようにランプを固定させ得るか、あるいはランプが可動性であり、照射すべき材料を硬化中に固定した状態にさせ得る。UV硬化の場合、架橋させるのに通常十分な放射線量は、80〜5000mJ/cmである。
【0059】
用いる任意の開始剤の性質および濃度を、放射線量および硬化状態に従って既知の方法で変化させる。日光で硬化させる用途のために、UV−Aおよび/または可視光によって活性化される光開始剤が好適である。光開始剤は、次の二つの型に分類される、それ自体既知の市販されている化合物である:単分子(I型)の開始剤および二分子(II型)の開始剤。I型系の例は、芳香族ケトン化合物、例えば三級アミンとの組み合わせにおけるベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは上記の型の混合物などである。II型開始剤、例えばベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノンおよびα−ヒドロキシアルキルフェノンなども適当である。これらの化合物の混合物を用いることも有利であり得る。光開始剤の型および濃度は、硬化に用いる放射線源に従って、当業者に既知の方法で適合させなければならない。より詳細な説明は、P.K.T. Oldring(編)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations for Coatings, Inks & Paints、第3巻、1991年、SITA Technology London、第61〜328頁に見出し得る。
【0060】
好適な実施態様においては、本発明の被覆物を建築物または道路の外部表面に適用する場合、硬化は日光または周囲光の作用によって達成される。硬化は1時間以内、好ましくは45分以内、より好ましくは40分以内に達成される。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、多少なりとも本発明を制限すると解釈されるべきではない。
【0062】
実施例1:透明なポリウレア/ウレタンアクリレート二重硬化の調製
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
ポリアスパラギン酸二重硬化の調製:
【0066】
ポリアスパラギン酸エステル物質をプラスチック製100g混合カップ中に計量した。ポリアスパラギン酸エステルの添加後、Desmolux 2308およびSartomer SR 238を該カップ中に計量した。該物質を、スピンミキサー(Flacktek speed mixer DAC 400FVZ)の30秒間、〜20000rmpで混合した。試料を均質にした後、ポリイソシアネート(Desmodur 2410および2337)を該カップに添加した。全ての物質を該カップ中に添加した際、光開始剤を投入した。試料を、スピンミキサーを用いて1分間、20000rmpで混合した。
【0067】
各処方物(A〜E)の複数の試料を3インチ×6インチガラスパネル上に10ミル湿潤厚さで延展した。該試料を、任意の型のUV照射を実施する前に30分間、そのままの状態にした。
【0068】
最初の30分間の後、試料の1セットを周囲光において硬化し、他のセットをH&S Autoshot light(UVA 400 415ワット)により4分間10インチの距離で硬化し、最後の試料のセットをFusion high intensity light(Fusion UV/マイクロ波)により水銀球を用いて硬化した。
【0069】
試料の微少硬度は2週間の期間にわたって定期的に計測した。微少硬度はx−yプログラマブルステージを有するFischerscope HC100 microindentorにより計測した。圧子は与えられた力で表面に衝撃を与え、生じた損傷に基づいて物質の硬度(HM)を決定する。データを、UVとポリウレアの割合を変化させた場合の特性における変化を示す表1に集約する。表1は、UV成分を含有する物質が紫外線への暴露によって硬化することを例示する。表1はまた、従来的な硬化ポリアスパラギン酸エステル(PAE)と比べてより急速な速度でより高い硬度が得られる物質を示す。周囲条件下では、UVのみまたは主としてUV特性を含有する系が試験するのに十分な特性を形成しないことを見ることもできる。より高い割合のポリアスパラギン酸被覆物を含有する系は、UV照射に暴露しなくても物理的乾燥する。
【0070】
【表3】

【0071】
被覆物の化学薬品耐性は、種々の積極的溶媒に浸した綿ボールの設置によって被覆物上に生じた損傷の決定によって評価した。綿ボールを特定の時間、被覆物表面上に設置して、著しい暴露の時間にわたって影響を決定する。調査に用いた溶媒は、イソプロパノール(IPA)およびトルエンであった。完全な硬化を確実とする調製を実施してから14日後に分析を完了させた。UV成分(E)のみを含有する系は、周囲光に暴露した場合、試験するのに硬化が十分ではない。UV照射に暴露する場合、溶媒に対する化学薬品耐性はUV含量が増加すると増大する。この情報を表2に集約する。
【0072】
【表4】

【0073】
実施例2:透明ポリウレア物質のポットライフの延長と硬化時間
【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【0076】
前記マトリックスをプラスチック製混合カップ中に各物質を計量することによって調製した。全ての物質をカップ中に添加した際、該物質をスピンミキサーによって1分間、〜20000rpmで混合した。約100gの混合物質を粘度測定のために2オンスジャーに注いだ。粘度測定はBrookfiled DV−I+ viscometerにより行った。粘度測定に加えて、物質の乾燥時間を観測した。
【0077】
【表7】

【0078】
試料を5ミル湿潤膜厚でガラスパネル上に延展した。UV硬化性剤を含有する試料を30分間そのままの状態にし、次いで高輝度紫外線により硬化した。硬化時間後、該パネルを観察して、試料が硬質乾燥特性を有する前に必要な時間(初期硬化時間を含む)の長さを決定した。UV成分を有さない試料は、硬質乾燥特性について単に観察した。硬質乾燥特性は、フィルム上に綿ボールを設置し、該物質によって綿ボールからいかなる繊維も取り出されない際に決定することによって決定した。
【0079】
【表8】

【0080】
実施例3:厚い膜の着色したポリウレア/ウレタンアクリレート二重硬化の調製
【0081】
【表9】

【0082】
【表10】

【0083】
【表11】

【0084】
Aの調製:
Desmophen NH 1420をクォート缶中に計量した。該缶を顔料の分散のためにコールズブレード下に設置した。該ブレードを試料中に設置し、低剪断下に数分間混合した。Ti−Pureを計量し、混合物質中にゆっくり添加した。全Ti−Pureを該缶に添加した後、UOP Powderを添加し、該物質を緩やかな剪断で30分間 混合した。試料が一定のコンシステンシーに達した後、コールズブレードを停止し、缶を取り出した。
【0085】
さらなる物質を缶に計量した。成分1のための全物質を添加した際、該缶を塗料振盪機(Red Devil Model # 5KC43HG2464EY)上に設置し、20分間激しく混合した。
【0086】
成分2のための全物質を第2のクォート缶に計量した。全物質を添加した際、該缶を塗料振盪機上で20分間振盪し、試料を適用し得る前に24時間そのままにして、脱気した。
【0087】
Bの調製:
Desmolux VP LS 2308をクォート缶に計量した。該缶を顔料の分散のためにコールズブレード下に設置し、低剪断下に数分間混合した。Ti−Pureを計量し、混合物質中にゆっくり添加した。全Ti−Pureを添加した後、UOP Powderを添加し、該物質を緩やかな剪断で30分間混合した。試料が一定のコンシステンシーに達した後、コールズブレードを停止し、缶を取り出した。
【0088】
さらなる物質を缶に計量し、次いで、該缶を塗料振盪機(Red Devil Model # 5KC43HG2464EY)上に設置し、20分間激しく混合した。
【0089】
塗布〜
ブラシ、ローラーを用いて、または試料を延展して該物質を塗布した。良好な完全硬化(through cure)を過剰な20ミル湿潤膜に見出す。
【0090】
また、該物質を低圧カートリッジガン塗布によって塗布してよい。成分1をプラスチックカートリッジ中に添加し、成分2を第2のカートリッジに添加してよい。カートリッジを適切な濃度に満たした後、試料を低圧の適用によって塗布してよい。試料の混合は2個のカートリッジの末端に設置されたスタティックミキサー中において行った。該物質を太陽からのUV照射への暴露によって硬化させる。20分後、被覆物は機械的交通に耐えることができる。
【0091】
ポリアスパラギン酸特性を含まない物質(B)は、0.2p/b比を含有する被覆物において25ミル湿潤膜厚を越えて太陽に暴露する場合、完全硬化(through cure)しない。
【0092】
実施例4:薄い膜の着色されたポリウレア/ウレタンアクリレート二重硬化の調製
【0093】
【表12】

【0094】
【表13】

【0095】
【表14】

【0096】
成分1を半ガロン金属缶に混合した。全成分を缶に入れた際、試料を塗料振盪機上で10分間激しく混合した。同じ方法を成分2について行った。混合工程の完了の際、該試料を24時間そのままの状態にして、混合によって導入され得た、いかなる空気をも排除した。該物質は1:1の体積比であった。成分1および成分2を一緒に添加し、混合のために手攪拌した。顔料ペーストを添加し、攪拌して混合してよい。該物質が均質である場合、該試料をローラー塗布用に注いでよい。被覆物は、ガラス、金属およびコンクリートを含む種々の基材上に〜10ミルで適用してよい。
【0097】
該試料を少なくとも45分間硬化させる。この時間が経過した後、該試料をUV硬化してよい。UVA(H&S Autoshot、4分、基材から10インチの距離で)、および高輝度UV(Fusion、水銀球)を含むいくつかの硬化方法を用いてよい。照射が完了すると、該被覆物は物理的に乾燥する。該被覆物試料は時間をかけて硬化し続ける。
【0098】
ポリアスパラギン酸特性を含有しない物質(B)は、顔料割合が高く、および膜厚が厚い場合には完全硬化(through cure)しない。
【0099】
実施例5:透明な被覆物の塗布のための厚いポリウレア/ウレタンアクリレート二重硬化の調製
【0100】
【表15】

【0101】
【表16】

【0102】
【表17】

【0103】
成分1用の成分は、プラスチック製スピンミキサーカップ中に合わせてよい。全成分を一緒に添加した場合、成分1を1分間スピードミキサーによって混合する。成分1を混合した後、成分2を添加してよい。全物質を合わせた際、該試料を〜20000rpmでスピンミキサーによって30秒間混合する。混合相の完了により、均質な被覆物を製造し、該試料を適用してよい。該基材を、50ミルを越える被覆厚さを生じさせながら流し塗りする。該被覆物を数時間(2時間)硬化する。該試料が表面で粘着性になった後、該被覆物を高輝度光で硬化してよい。UV照射が完了すると、試料の表面は乾燥し、歩行するのに十分な硬さになる。
【0104】
ポリアスパラギン酸特性を含有しない物質は、厚い膜厚では非常に収縮し、割れやすい。
【0105】
例示の目的で本発明の特定の態様を上記に説明したが、本発明の詳細の多く変形が特許請求の範囲において定義される本発明から逸脱せずになされることは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アミノ官能性ポリアスパルテート、
b)(シクロ)脂肪族ポリイソシアネート、
c)アクリレート官能性化合物、および
d)光開始剤
を含んでなる放射線硬化性被覆組成物。
【請求項2】
(a)と(b)のNCO:NH比は0.5NCO:1NH〜3NCO:1NHである、請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項3】
被覆組成物の重量を基準として、ポリアスパルテート(a)とポリイソシアネート(b)を合わせた量は該組成物の15重量%〜70重量%を構成し、アクリレート官能性化合物(c)の量は該組成物の30重量%〜85重量%を構成し、および光開始剤(d)の量は該組成物の0.3重量%〜10重量%を構成する、請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項4】
被覆組成物の重量を基準として、a)とb)を合わせた量は55重量%〜65重量%であり、およびc)の量は35重量%〜45重量%である、請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項5】
(b)、アミノ官能性ポリアスパルテートは、式I:
【化1】

〔式中、Xはn価のポリアミンから第1級アミノ基を除くことによって得られたn価の有機基を表し、R、Rは、反応条件下でイソシアネート基に対して不活性である同一または異なった有機基を表し、およびnは少なくとも2の整数を表す〕
に相当する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1以上のポリイソシアネートは、ウレタン基、ウレットジオン基、アロファネート基、ビウレット基、イミノオキサジアジンジオン基および/またはイソシアヌレート基を含有し、5〜25重量%のNCO基含量、2.0〜5.0の平均NCO官能価および1重量%未満のモノマージイソシアネートの残存量を有する、請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項7】
NCO官能価は2.8〜4.0である、請求項6に記載の被覆組成物。
【請求項8】
モノマージイソシアネートの残存量は0.5重量%未満である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
アクリレート官能性化合物はウレタンアクリレートである、請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項10】
ウレタンアクリレートは、1以上のイソシアヌレート含有ポリイソシアネートと、少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つのオレフィン二重結合を含有する1以上の化合物の反応生成物である、請求項9に記載の被覆組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つのオレフィン二重結合を含有する化合物は、ヒドロキシルメチル(メタ)アクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル酸付加物またはポリカプロラクトンヒドロキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される、請求項10に記載の被覆組成物。
【請求項12】
反応性希釈剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項13】
反応性希釈剤はヘキサンジオールジアクリレートであり、該反応性希釈剤は全被覆組成物の重量を基準として2.5重量%〜15重量%の間の量で存在する、請求項12に記載の被覆組成物。
【請求項14】
1以上のアクリレート官能性ポリイソシアネートをさらに含む、請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項15】
アクリレート官能性ポリイソシアネートは(メタ)アクリロイル基を含有する1以上の1価アルコールと1以上のジ−またはポリイソシアネートの反応生成物であり、NCO基とOH基の当量比が1:0.2〜1:0.8である、請求項14に記載の被覆組成物。
【請求項16】
1以上の添加剤をさらに含んでなる、請求項14に記載の被覆組成物。
【請求項17】
請求項14に記載の被覆組成物で被覆された基材。
【請求項18】
基材はアスファルトである、請求項17に記載の基材。
【請求項19】
基材はコンクリート表面である、請求項17に記載の基材。
【請求項20】
基材は建築物の内部または外部の表面である、請求項17に記載の基材。
【請求項21】
硬化を化学線への暴露によって達成させる、請求項17に記載の基材。
【請求項22】
化学線源は日光である、請求項21に記載の基材。

【公開番号】特開2009−185288(P2009−185288A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−23746(P2009−23746)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】