説明

ポリアルキレングリコール系化合物とその用途

【課題】直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のような直鎖アルキル系のアニオン性界面活性剤を用いる場合に「界面活性剤の析出」を抑制できるような、水系に添加して用い得るポリアルキレングリコール系化合物を提供する。また、該ポリアルキレングリコール系化合物を用いた洗剤用ビルダーおよび洗剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、ポリアルキレングリコール鎖と、該ポリアルキレングリコール鎖の一方の末端に酸素原子を介して結合した疎水基と、該ポリアルキレングリコール鎖の他方の末端に硫酸エステル基またはその塩を含有する基を有し、該ポリアルキレングリコール鎖の長さが、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数で10〜50モルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアルキレングリコール系化合物とその用途に関する。詳細には、ポリアルキレングリコール鎖と疎水基と硫酸エステル基またはその塩を含有する基とを有するポリアルキレングリコール系化合物とその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアルキレングリコール鎖と硫酸エステル基またはその塩を含有する基とを有するポリアルキレングリコール系化合物は、アニオン性界面活性剤として有用である。
【0003】
例えば、アルコールサルフェート、アルコールエーテルサルフェート、脂肪酸モノグリセライドサルフェート等に代表される硫酸エステル化合物は、アニオン性界面活性剤として、シャンプー、台所用洗剤、衣料用洗剤、住居用洗剤、化粧品等のトイレタリー製品を中心として使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
他方、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のような直鎖アルキルスルホン酸系のアニオン性界面活性剤は、洗剤用ビルダーや洗剤組成物に好適な界面活性剤の1つである。しかし、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のような直鎖アルキルスルホン酸系のアニオン性界面活性剤は、水系に含まれる金属と塩を形成して析出してしまうという問題があり、この「界面活性剤の析出」のために洗浄力が低下するという問題がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開昭2000−247947号公報
【非特許文献1】Louis Ho Tan Tai,“Formulating Detergents and Personal Care Products”,AOCS Press,pp.53−54(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のような直鎖アルキル系のアニオン性界面活性剤を用いる場合に「界面活性剤の析出」を抑制できるような、水系に添加して用い得るポリアルキレングリコール系化合物を提供することにある。また、該ポリアルキレングリコール系化合物を用いた洗剤用ビルダーおよび洗剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、ポリアルキレングリコール鎖と、該ポリアルキレングリコール鎖の一方の末端に酸素原子を介して結合した疎水基と、該ポリアルキレングリコール鎖の他方の末端に硫酸エステル基またはその塩を含有する基を有し、
該ポリアルキレングリコール鎖の長さが、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数で10〜50モルである。
【0008】
好ましい実施形態においては、上記ポリアルキレングリコール鎖が、エチレンオキサイド由来の構造を含む。
好ましい実施形態においては、上記ポリアルキレングリコール鎖が、一般式(1)で表される構造を含む。
【0009】
【化1】

【0010】
(一般式(1)中、lは10〜50の整数を表す。)
好ましい形態においては、上記疎水基が、分岐あるいは直鎖の炭素数6〜22の飽和炭化水素基、炭素数6〜22の芳香族炭化水素基を含む。
好ましい実施形態においては、上記疎水基が、下記一般式(2)で表される構造を含む。
【0011】
【化2】

【0012】
(一般式(2)中、mは0〜20の整数、nは0〜20の整数を表す。)
好ましい実施形態においては、上記硫酸エステル基またはその塩を含有する基が、一般式(3)で表される構造を含む。
【0013】
【化3】

【0014】
(一般式(3)中、Mは水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アンモニウム基を表す。)
本発明の別の局面によれば、洗剤用ビルダーが提供される。本発明の洗剤用ビルダーは、本発明のポリアルキレングリコール系化合物を含む。
【0015】
本発明の別の局面によれば、洗剤組成物が提供される。本発明の洗剤組成物は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物を含む。
【0016】
好ましい実施形態においては、本発明の洗剤組成物は、界面活性剤を含む。
【0017】
好ましい実施形態においては、上記界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩を含むものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のような直鎖アルキル系のアニオン性界面活性剤を用いる場合に「界面活性剤の析出」を抑制できるような、水系に添加して用い得るポリアルキレングリコール系化合物を提供することができる。
また、該ポリアルキレングリコール系化合物を用いた洗剤用ビルダーおよび洗剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔ポリアルキレングリコール系化合物〕
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、ポリアルキレングリコール鎖と、該ポリアルキレングリコール鎖の一方の末端に酸素原子を介して結合した疎水基と、該ポリアルキレングリコール鎖の他方の末端に硫酸エステル基またはその塩を含有する基を有する。
本発明のポリアルキレングリコール系共重合体は、模式的に、式(A)で表される。
【0020】
【化4】

【0021】
(式(4)中、PAGはポリアルキレングリコール鎖、Oは酸素原子、HBGは疎水基、SAGは硫酸エステル基またはその塩を含有する基を表す。)
上記ポリアルキレングリコール鎖は、任意の適切なアルキレンオキシド単位の繰り返しによって構成され得る。上記アルキレンオキシドとしては、好ましくは炭素数2〜22のアルキレンオキシド、より好ましくは炭素数2〜10のアルキレンオキシド、さらに好ましくは2〜4のアルキレンオキシド、特に好ましくはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドであり、最も好ましくはエチレンオキシドである。エチレンオキシド単位の繰り返しによれば、鎖長を容易に伸ばすことが可能となる。エチレンオキシド単位の繰り返しを有する場合、その含有割合は、ポリアルキレングリコール鎖中、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%である。
【0022】
上記ポリアルキレングリコール鎖は、1種のみのアルキレンオキシド単位の繰り返しによって構成されていても良いし、2種以上のアルキレンオキシド単位の繰り返しによって構成されていても良い。2種以上のアルキレンオキシド単位の繰り返しによって構成されている場合、それらのアルキレンオキシド単位の繰り返し構造は任意の適切な構造を採用し得る。例えば、ランダム構造、ブロック構造、交互構造などが挙げられる。
【0023】
上記ポリアルキレングリコール鎖の長さは、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数で10〜50モルであり、好ましくは10〜45モル、より好ましくは12〜45モル、さらに好ましくは15〜40モル、特に好ましくは15〜35モルである。上記ポリアルキレングリコール鎖の長さが、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数で10モル未満の場合、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のような直鎖アルキル系のアニオン性界面活性剤を用いる場合に「界面活性剤の析出」を抑制する効果が小さくなるおそれがある。上記ポリアルキレングリコール鎖の長さが、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数で50モルを超える場合、ポリアルキレングリコール鎖の他方の末端に導入するスルホン酸基またはその塩を含有する基の効果が小さくなるおそれがある。
【0024】
上記ポリアルキレングリコール鎖は、好ましくは、一般式(1)で表される構造を含む。
【0025】
【化5】

【0026】
(一般式(1)中、lは10〜50の整数を表す。)
一般式(1)中のlは、好ましくは10〜45モル、より好ましくは12〜45モル、さらに好ましくは15〜40モル、特に好ましくは15〜35モルである。上記ポリアルキレングリコール鎖の長さが、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数で10モル未満の場合、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のような直鎖アルキル系のアニオン性界面活性剤を用いる場合に「界面活性剤の析出」を抑制する効果が小さくなるおそれがある。上記ポリアルキレングリコール鎖の長さが、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数で50モルを超える場合、ポリアルキレングリコール鎖の他方の末端に導入するスルホン酸基またはその塩を含有する基の効果が小さくなるおそれがある。
【0027】
上記疎水基は、任意の適切な疎水性を有する基を採用し得る。例えば、炭素数6〜22の炭化水素基、カルボキシル基を有する基が挙げられる。これらの基は、疎水性を有する限り、任意の適切な別の基で置換されていても良い。
【0028】
上記炭素数6〜22の炭化水素基としては、例えば、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基;シクロオクチル基、コレスタニル基、ラノスタニル基等の多環式アルキル基;などを挙げることができる。
上記炭素数6〜22の炭化水素基としては、特に好ましくは、直鎖または分岐の炭素数6〜20の飽和炭化水素基、炭素数6〜22の芳香族炭化水素基である。
直鎖の炭素数6〜22の飽和炭化水素基としては、例えば、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、オクタデシル基、ドコシル基が挙げられる。
分岐の炭素数6〜20の飽和炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜22の第2級の分岐アルキル基、炭素数6〜22の第3級の分岐アルキル基が挙げられる。
炭素数6〜22の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;モノメチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、モノエチルフェニル基、モノブチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基;フタル酸モノエステル基、フタル酸ジエステル基、フェニレンジカルバマート基等の芳香族カルボン酸基由来の基;などが挙げられる。
【0029】
上記カルボキシル基を有する基としては、例えば、安息香酸由来の基、フタル酸由来の基、トリメリト酸由来の基、テトラヒドロフタル酸由来の基、これらの酸の無水物由来の基、これらの酸の塩由来の基、などが挙げられる。上記塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩、などが挙げられる。上記アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、などが挙げられる。上記アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、などが挙げられる。上記有機アンモニウム塩を構成する有機アミンとしては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;トリエチルアミン;などが挙げられる。
【0030】
上記疎水基は、好ましくは、一般式(2)で表される構造を含む。
【0031】
【化6】

【0032】
(一般式(2)中、mは0〜20の整数、nは0〜20の整数を表す。)
上記疎水基は、より好ましくは、上記一般式(2)で表される構造を含み、且つ、m+n=9〜11の分岐アルキル基である。上記疎水基が直鎖構造の場合、水系で用いると粘度が増加するおそれがある。上記疎水基が芳香族基を有する場合、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のような直鎖アルキル系のアニオン性界面活性剤を用いる場合に「界面活性剤の析出」を抑制する効果が小さくなるおそれがある。
【0033】
上記硫酸エステル基またはその塩を含有する基としては、該基の末端に硫酸エステル基またはその塩を少なくとも1個有する基であれば、任意の適切な基を採用し得る。この場合、該基中、該基における硫酸エステル基またはその塩と上記ポリアルキレングリコール鎖との間には、任意の適切な連結基が存在し得る。ここで、連結基とは、2個以上の基を連結させるための基であり、例えば、P−基とQ−基とを連結するための連結基をRで表すと、連結後の構造はP−R−Qと表される。
【0034】
上記連結基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜20のアリレン基、置換された炭素数1〜8のアルキル基、置換された炭素数6〜20のアリレン基、エステル結合を含む基、エーテル結合を含む基、二重結合を含む基などが挙げられる。
【0035】
上記硫酸エステル基またはその塩を含有する基としては、好ましくは、一般式(3)で表される構造を含む。
【0036】
【化7】

【0037】
(一般式(3)中、Mは水素原子、金属原子、アンモニウム基、または有機アンモニウム基を表す。)
上記金属原子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられる。上記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。上記アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。
〔ポリアルキレングリコール系化合物の製造方法〕
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、任意の適切な方法で製造し得る。例えば、下記の方法が挙げられる。
(I)アルキルアルコールのアルキレンオキサイド付加物の末端水酸基に対する、無水硫酸(SO3)、クロールスルホン酸(HCl・SO3)、発煙硫酸、スルファミン酸等の硫酸化剤の反応により硫酸化し、場合によりその後に中和する方法。
本発明の硫酸化反応に用いる硫酸化剤としては公知の何れのものを用いることも可能であるが、反応性の面から、好ましくはクロールスルホン酸、スルファミン酸、発煙硫酸であり、クロールスルホン酸、スルファミン酸が最も好ましい。用いる硫酸化剤の量は原料のアルキルアルコール(水酸基換算)1モルに対して0.3〜2.0モルが好ましく、0.5〜1.5モルが特に好ましい。なお、飽和アルコールと不飽和アルコールの混合物や、鎖長の異なるアルキルアルコールの混合物を原料として使用しても良い。過剰量の硫酸化剤の使用は、不必要であるばかりでなく、中和物中の無機硫酸塩含有量の増加を招くため、上記範囲に設定することが好ましい。
【0038】
好ましい反応温度は、無水硫酸、クロールスルホン酸の場合10〜30℃、発煙硫酸の場合50〜80℃、スルファミン酸の場合、60〜150℃である。
【0039】
〔洗剤用ビルダー〕
本発明の洗剤用ビルダーは、本発明のポリアルキレングリコール系化合物を含む。具体的には、本発明の洗剤用ビルダーは、本発明のポリアルキレングリコール系化合物のみからなっていてもよいし、他の任意の適切な洗剤用ビルダーとの混合物からなっていてもよい。
【0040】
本発明の洗剤用ビルダー中における本発明のポリアルキレングリコール系化合物の含有割合は、本発明の洗剤用ビルダー100重量%に対して、0.1〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜70重量%、さらに好ましくは5〜65重量%である。本発明のポリアルキレングリコール系化合物の含有割合が0.1重量%未満であると、洗剤組成物として用いた場合の洗浄力が不十分になるおそれがある。本発明のポリアルキレングリコール系化合物の含有割合が80重量%を超えると、不経済になるおそれがある。
【0041】
本発明の洗剤用ビルダーに用いる本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、必要に応じて、アルカリ性物質で中和したものであってもよい。アルカリ性物質で中和する場合は、pHを好ましくは6〜11、より好ましくは6.25〜10.5、特に好ましくは6.5〜10の範囲に調整することが好ましい。
【0042】
上記他の任意の適切な洗剤用ビルダーとしては、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ボウ硝、炭酸ナトリウム、ニトリロトリ酢酸ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウムやカリウム、ゼオライト、多糖類のカルボキシル誘導体、(メタ)アクリル酸(共)重合体塩、フマル酸(共)重合体塩などの水溶性重合体等が挙げられる。
【0043】
本発明の洗剤用ビルダーは、液体洗剤用であっても粉末洗剤用であってもよい。本発明の洗剤用ビルダーは界面活性剤との相溶性に優れる。このため、高濃縮の液体洗剤組成物 とすることができる点では液体洗剤用が好ましい。
【0044】
本発明の洗剤用ビルダーは、本発明のポリアルキレングリコール系化合物以外のその他の成分について、その種類や配合比率は、本発明の作用効果を損なわない範囲で、任意の適切な種類や配合比率を設定し得る。
【0045】
本発明の洗剤用ビルダーは、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応することができ、再汚染防止能等の特性に優れる。
【0046】
〔洗剤組成物 〕
本発明の洗剤組成物は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物を含む。好ましくは、本発明の洗剤用ビルダーを含む。
【0047】
本発明の洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であっても良いし、液体洗剤組成物であっても良い。本発明の洗剤組成物は、通常、洗剤に用い得る、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。上記添加剤としては、例えば、アルカリビルダー、キレートビルダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等のよごれ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適に挙げられる。また、粉末洗剤組成物の場合には、ゼオライトを配合することが好ましい。
【0048】
本発明の洗剤組成物中の本発明の洗剤用ビルダーの含有割合は、本発明の洗剤組成物100重量%に対して、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.2〜40重量%、さらに好ましくは0.3〜35重量%、特に好ましくは0.4〜30重量%、最も好ましくは0.5〜20重量%である。本発明の洗剤用ビルダーの含有割合が0.1重量%未満であると、十分な洗浄性能を発揮できないおそれがある。本発明の洗剤用ビルダーの含有割合が20重量%を超えると、経済性が低下するおそれがある。
【0049】
本発明の洗剤組成物における、本発明のポリアルキレングリコール系化合物あるいは本発明の洗剤用ビルダーの配合形態は、液状でも良いし、固形状でも良い。洗剤の販売時の形態(例えば、液状物または固形物)に応じて決定すれば良い。また、重合後の水溶液の形態で配合しても良いし、水溶液の水分をある程度減少させて濃縮した状態で配合しても良いし、乾燥固化した状態で配合しても良い。
【0050】
なお、本発明の洗剤組成物は、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含む。本発明のポリアルキレングリコール系重合体は、キレート能に優れるため、微量金属を捕捉することにより、過酸化水素を安定でき、漂白剤の安定化能に優れることから、好適に用いることができる。
【0051】
本発明の洗剤組成物は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物以外に、界面活性剤を含むことが好ましい。本発明において、界面活性剤には、本発明のポリアルキレングリコール系化合物は含まれないものとする。
【0052】
本発明の洗剤組成物中に好ましく含まれる界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、および、両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。これらの界面活性剤は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0053】
界面活性剤を2種以上併用する場合、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤とを合わせた使用量は、全界面活性剤100重量%に対して、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上である。
【0054】
上記アニオン系界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩等を挙げることができる。また、これらのアニオン系界面活性剤のアルキル基、アルケニル基の中間にメチル基等のアルキル基が分枝していても良い。
【0055】
上記ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等を挙げることができる。また、これらのノニオン系界面活性剤のアルキル基、アルケニル基の中間にメチル基等のアルキル基が分枝していても良い。
【0056】
上記カチオン系界面活性剤の具体例としては、第4アンモニウム塩等を挙げることができる。カチオン系界面活性剤のアルキル基、アルケニル基の中間にメチル基等のアルキル基が分枝していても良い。
【0057】
上記両性界面活性剤の具体例としては、カルボキシル型またはスルホベタイン型両性界面活性剤等を挙げることができる。両性界面活性剤のアルキル基、アルケニル基の中間にメチル基等のアルキル基が分枝していても良い。
【0058】
本発明においては、上記界面活性剤の中として、洗剤組成物の洗浄力が向上することから、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩を含むことが特に好ましい。前述したように、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のようなアニオン性界面活性剤を用いる場合に洗浄力の低下の原因となる「界面活性剤の析出」が起こり易いが、本発明によれば、特に水系用途において高い性能(特に、「界面活性剤の析出」や「汚れによる再汚染」の抑制)を発揮できるからである。
【0059】
洗剤組成物が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩を含む場合、本発明のポリアルキレングリコール系化合物に対する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩の好ましい配合量の割合は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物1質量部に対して2.5質量部以上、60質量部以下、好ましくは3質量部以上、50質量%以下、さらに好ましくは3.5質量部以上、40質量%以下である。本発明のポリアルキレングリコール系化合物に対する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩の配合量が60質量%を超えると、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩に対する本発明のポリアルキレングリコール系化合物の割合が少なくなるため、界面活性剤の析出能が低下する。すなわち本発明のポリアルキレングリコール系化合物と直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩の相乗効果が小さくなる。その結果、汚れによる再汚染の抑制能が低下する傾向にある。本発明のポリアルキレングリコール系化合物に対する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩の配合量が2.5質量%未満となると、汚れによる再汚染の抑制能が低下する傾向にある。
【0060】
本発明の洗剤組成物に含まれる界面活性剤の配合割合は、洗剤組成物中、好ましくは10〜60重量%であり、より好ましくは15〜50重量%であり、さらに好ましくは20〜45重量%であり、特に好ましくは25〜40重量%である。界面活性剤の配合割合が10重量%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できなくなるおそれがある。他方、60重量%を超えると、経済性が低下するおそれがある。
【0061】
本発明の洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物100重量%に対して、好ましくは0.1〜75重量%、より好ましくは0.2〜70重量%、さらに好ましくは0.5〜65重量%、さらに好ましくは0.7〜60重量%、特に好ましくは1〜55重量%であり、最も好ましくは1.5〜50重量%である。
【0062】
本発明の洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物は、カオリン濁度が、好ましくは200mg/L以下、より好ましくは150mg/L以下、さらに好ましくは120mg/L以下、特に好ましくは100mg/L以下、最も好ましくは50mg/L以下である。
【0063】
本発明のポリアルキレングリコール系重合体を洗剤用ビルダーとして液体洗剤組成物に添加する場合としない場合とでのカオリン濁度の変化(差)は、好ましくは500mg/L以下、より好ましくは400mg/L以下、さらに好ましくは300mg/L以下、特に好ましくは200mg/L以下、最も好ましくは100mg/L以下である。
【0064】
カオリン濁度は、例えば、厚さ10mmの50mm角セルに均一に撹拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製の濁度計(NDH2000)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
【0065】
上記洗剤組成物に配合し得る酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ、アルカリセルラーゼが好ましい。上記酵素の添加量は、洗剤組成物100重量%に対して、5重量%以下が好ましい。5重量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなるおそれや、経済性が低下するおそれがある。
上記洗剤組成物に配合し得るアルカリビルダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が好適である。
上記洗剤組成物に配合し得るキレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、STPP(トリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸等が好適である。本発明におけるポリアルキレングリコール系重合体以外のその他の成分を含むものを添加しても良い。
【0066】
本発明の洗剤組成物は、液体洗剤用であっても粉末洗剤用であってもよいが、界面活性剤との相溶性に優れ、高濃縮の液体洗剤組成物とすることができる点では液体洗剤用が好ましい。
【0067】
本発明の洗剤組成物は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物あるいは本発明の洗剤用ビルダー以外のその他の成分について、その種類や配合比率は、本発明の作用効果を損なわない範囲で、任意の適切な種類や配合比率を設定し得る。
本発明の洗剤組成物は、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応することができ、再汚染防止能等の特性に優れる。
【0068】
〔その他の用途〕
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、顔料分散剤やスケール防止剤に用いることもできる。また、繊維加工、建材加工、塗料、窯業等の分野においても幅広く応用できる。
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、水処理剤、繊維処理剤に用いることもできる。
【0069】
上記水処理剤は、冷却水系、ボイラー水系等の水系に添加されることにより、例えば、炭酸カルシウムやシリカ等のスケール防止性や金属の腐食防止性等にとって有利となる可能性がある。
上記繊維処理剤は、各種繊維を処理することにより、例えば、吸水性、柔軟性、耐磨耗性、汚れの防止性、触感性等にとって有利となる可能性がある。
【0070】
上記水処理剤や上記繊維処理剤において、本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、そのまま添加しても良いし、本発明のポリアルキレングリコール系化合物以外の他の成分とともに添加しても良い。
上記水処理剤や上記繊維処理剤は、本発明のポリアルキレングリコール系化合物以外のその他の成分について、その種類や配合比率は、本発明の作用効果を損なわない範囲で、任意の適切な種類や配合比率を設定し得る。
上記水処理剤や上記繊維処理剤は、親水性や疎水性の汚れといった種々の汚れに対応することができ、再汚染防止能等の特性に優れる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は重量基準である。各種測定方法は下記の通りである。
(高速液体クロマトグラフィー)
測定装置:東ソー株式会社製 8020シリーズ
カラム:株式会社資生堂製 CAPCELL PAK UG120
温度:40.0℃
溶離液:10mmol/Lリン酸水素二ナトリウム・12水和物水溶液(リン酸でpH7に調整)/アセトニトリル=45/55(体積比)
流速:1.0ml/min
検出器:RI、UV(検出波長215nm)
(実施例1)
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えた容量1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、炭素数12〜14の2級アルコールのエチレンオキサイド30モル付加物((株)日本触媒製;商品名『ソフタノール300』、以下、SFT300と称す。)304.0g、および、シクロヘキサン180.0gを仕込み、乾燥した窒素ガスを流入しながら、液温を10℃に調整した。液温10℃を維持したまま無水硫酸16.0gを2時間かけて滴下し、その後さらに2時間反応させた。液温10℃を維持したまま10%水酸化ナトリウム水溶液80.0gを添加し、中和した。
この反応液を2000mlナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータで溶媒がなくなるまで濃縮し、化合物(1)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、収率は88%であった。
【0072】
(実施例2)
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えた容量1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、SFT300を304.0g、および、シクロヘキサン172.7gを仕込み、乾燥した窒素ガスを流入しながら、液温を10℃に調整した。液温10℃を維持したままクロロスルホン酸23.3gを2時間かけて添加し、その後さらに2時間反応させた。液温10℃を維持したまま10%水酸化ナトリウム水溶液80.0gを添加し、中和した。
この反応液を2000mlナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータで溶媒がなくなるまで濃縮し、化合物(2)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、収率は91%であった。
【0073】
(実施例3)
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えた容量1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、SFT300を304.0g、およびスルファミン酸19.4gを仕込み、乾燥した窒素ガスを流入しながら、液温を120℃に調整し、5時間反応させた。室温まで冷却後、10%水酸化ナトリウム水溶液80.0gを添加し、中和した。
この反応液を2000mlナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータで溶媒がなくなるまで濃縮し、化合物(3)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、収率は86%であった。
【0074】
(実施例4)
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えた容量1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、炭素数12〜14の2級アルコールのエチレンオキサイド20モル付加物((株)日本触媒製;商品名『ソフタノール200』、以下、SFT200と称す。)216.0g、および、シクロヘキサン260.7gを仕込み、乾燥した窒素ガスを流入しながら、液温を10℃に調整した。液温10℃を維持したままクロロスルホン酸23.3gを2時間かけて添加し、その後さらに2時間反応させた。液温10℃を維持したまま10%水酸化ナトリウム水溶液80.0gを添加し、中和した。
この反応液を2000mlナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータで溶媒がなくなるまで濃縮し、化合物(4)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、収率は93%であった。
【0075】
(実施例5)
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えた容量1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、炭素数12〜14の2級アルコールのエチレンオキサイド12モル付加物((株)日本触媒製;商品名『ソフタノール120』、以下、SFT120と称す。)145.6g、および、シクロヘキサン331.1gを仕込み、乾燥した窒素ガスを流入しながら、液温を10℃に調整した。液温10℃を維持したままクロロスルホン酸23.3gを2時間かけて添加し、その後さらに2時間反応させた。液温10℃を維持したまま10%水酸化ナトリウム水溶液80.0gを添加し、中和した。
この反応液を2000mlナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータで溶媒がなくなるまで濃縮し、化合物(5)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、収率は95%であった。
【0076】
(実施例6)
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えた容量1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、フェノールのエチレンオキサイド20モル付加物(以下、PH20と称す。)194.8g、および、シクロヘキサン281.9gを仕込み、乾燥した窒素ガスを流入しながら、液温を10℃に調整した。液温10℃を維持したままクロロスルホン酸23.3gを2時間かけて添加し、その後さらに2時間反応させた。液温10℃を維持したまま10%水酸化ナトリウム水溶液80.0gを添加し、中和した。
この反応液を2000mlナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータで溶媒がなくなるまで濃縮し、化合物(6)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、収率は95%であった。
【0077】
(実施例7)
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えた容量1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、炭素数18の1級アルコールのエチレンオキサイド20モル付加物(以下、Ste20と称す。)230.0g、および、シクロヘキサン246.7gを仕込み、乾燥した窒素ガスを流入しながら、液温を10℃に調整した。液温10℃を維持したままクロロスルホン酸23.3gを2時間かけて添加し、その後さらに2時間反応させた。液温10℃を維持したまま10%水酸化ナトリウム水溶液80.0gを添加し、中和した。
この反応液を2000mlナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータで溶媒がなくなるまで濃縮し、化合物(7)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、収率は90%であった。
【0078】
(比較例1)
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えた容量1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、炭素数12〜14の2級アルコールのエチレンオキサイド3モル付加物((株)日本触媒製;商品名『ソフタノール30』、以下、SFT30と称す。)66.4g、および、シクロヘキサン410.3gを仕込み、乾燥した窒素ガスを流入しながら、液温を10℃に調整した。液温10℃を維持したままクロロスルホン酸23.3gを2時間かけて添加し、その後さらに2時間反応させた。液温10℃を維持したまま10%水酸化ナトリウム水溶液80.0gを添加し、中和した。
この反応液を2000mlナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータで溶媒がなくなるまで濃縮し、化合物(C1)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、収率は93%であった。
【0079】
(比較例2)
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えた容量1000mlのガラス製セパラブルフラスコに、炭素数12〜14の2級アルコールのエチレンオキサイド100モル付加物(以下、SFT1000と称す。)920.0gを仕込み、乾燥した窒素ガスを流入しながら、液温を10℃に調整した。液温10℃を維持したままクロロスルホン酸23.3gを2時間かけて添加し、その後さらに2時間反応させた。液温10℃を維持したまま10%水酸化ナトリウム水溶液80.0gを添加し、中和した。
この反応液を2000mlナスフラスコに移し、ロータリーエバポレータで溶媒がなくなるまで濃縮し、化合物(C2)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、収率は86%であった。
【0080】
〔評価〕
≪界面活性剤析出抑制能≫
(1)グリシン9.3793g、塩化ナトリウム9.6452g、水酸化ナトリウム5.1975gに純水を加えて1000.0gとし、グリシンバッファを調製した。
(2)15%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)水溶液1.50g、硫酸ナトリウム0.80g、(1)で調製したグリシンバッファ11.25gに純水を加えて、500.0gとした。
(3)0.1%重合体水溶液を調製した。
(4)1M塩化カルシウム2水和物水溶液を調製した。
(5)100mlビーカーに、(3)で調製した0.1%重合体水溶液1.80g、純水8.20g、(2)で調製したもの80.00gを加え、試験液とした。
(6)試験液に、(4)で調製した1M塩化カルシウム2水和物水溶液を滴下、撹拌し、濁度変化を測定した。測定には、平沼産業製自動滴定装置(本体:COM−550、光度測定ユニット:M−500)を用いた。濁度変化は、波長650nmにおける透過率変化で測定した。
(7)1M塩化カルシウム2水和物水溶液の添加量が0.270mlの時点における透過率の値を界面活性剤析出抑制能とした。この値が大きいほど、界面活性剤析出抑制能に優れることを意味する。評価結果を表1に示した。なお、ポリアルキレングリコール系化合物を加えない場合をブランクとした。
【0081】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のポリアルキレングリコール系化合物は、特に水系用途において高い性能(特に、「界面活性剤の析出」や「汚れによる再汚染」の抑制)を発揮できる。したがって、洗剤用ビルダー、洗剤組成物、分散剤、洗浄剤、水処理剤に用いた場合に特に優れた性能を発揮できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアルキレングリコール鎖と、該ポリアルキレングリコール鎖の一方の末端に酸素原子を介して結合した疎水基と、該ポリアルキレングリコール鎖の他方の末端に硫酸エステル基またはその塩を含有する基を有し、
該ポリアルキレングリコール鎖の長さが、アルキレンオキシド単位の平均付加モル数で10〜50モルである、
ポリアルキレングリコール系化合物。
【請求項2】
前記ポリアルキレングリコール鎖が、エチレンオキサイド由来の構造を含む、請求項1に記載のポリアルキレングリコール系化合物。
【請求項3】
前記疎水基が、上記疎水基が、分岐あるいは直鎖の炭素数6〜22の飽和炭化水素基、炭素数6〜22の芳香族炭化水素基を含む、請求項1または2に記載のポリアルキレングリコール系化合物。
【請求項4】
請求項1から4までのいずれかに記載のポリアルキレングリコール化合物を含む、洗剤用ビルダー。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載のポリアルキレングリコール系化合物を含む、洗剤組成物。
【請求項6】
界面活性剤を含む、請求項6に記載の洗剤組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩を含む、請求項7に記載の洗剤組成物。

【公開番号】特開2009−221257(P2009−221257A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64677(P2008−64677)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】