説明

ポリイミドフィルムの製造方法

【課題】 従来知られている通常のポリアミック酸を経由するポリイミドの調整において、より温和な条件でイミド化反応からポリイミドを製造する際に用いた有機溶媒ならびに触媒化合物の残存量の少ないポリイミドフィルムの製造方法に関する。
【解決手段】 ポリアミック酸と、前記のポリアミック酸と酸塩基相互作用可能な触媒化合物からなる溶液を用い流延法により製膜し、得られたフィルムを、前記溶液中の触媒化合物および製膜溶媒が可溶である液に浸漬した後、フィルムを乾燥することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドフィルムの製法に関する。詳しくは、従来知られている通常のポリアミック酸を経由するポリイミドの調整において、より温和な条件でイミド化反応からポリイミドを製造する際に用いた有機溶媒ならびに触媒化合物の残存量の少ないポリイミドフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの一般的なポリイミドは溶媒不溶性のため、溶媒可溶性のポリアミック酸の状態で加工、例えば基板上に流延し、加熱してフィルム状のポリイミドとするが、通常、その加工温度は最終的には得られるポリイミドのガラス転移温度(Tg)以上に加熱しないと完全にイミド化することはできない。そのために耐熱性の優れた高いTgのポリイミドを得ようとするほど、より高温のイミド化条件が必要となる。
例えば、半導体用途などの溶液で用いる高Tgの耐熱性の必要なパッシベーション膜、遮蔽膜等の用途においては、前駆体であるポリアミック酸からなる溶液を塗布し、300℃以上の高温での加熱処理によりポリイミドに変換している。
しかし、300℃以上という高温での熱処理が必要なため、他の部分へのダメージが発生しやすく、適用用途が限定され、より低温でイミド化が完結する材料が望まれていた。
この比較的低温でポリアミック酸をイミド化する方法としては、ポリアミック酸溶液にイミド化促進剤4−ヒドロキシピリジンやイミダゾールなどの添加剤をいれることで、低温でイミド化が完結することが報告されている(特開平9−302225、特開2004−115813)。しかしこれらの手法では、イミド化促進剤をポリアミック酸のカルボン酸に対し、等量以上添加しなければならず、さらにポリイミド膜中にイミド化促進剤が残存してしまうという問題があった。また数10μmを超えるポリイミドフィルムを低温でイミド化させて作製しようとした場合、イミド化促進剤のみならず、製膜に用いている溶媒が残存してしまうという問題があった
【特許文献1】特開平9−302225号
【特許文献2】特開2004−115813
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記従来技術を背景になされたものであり、従来よりも低温でイミド化を行い、かつ得られるポリイミドフィルム中に触媒成分や溶媒成分が残存しないポリイミドフィルムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
下記一般式(A)で表される繰返し単位を有する重合体(以下、「ポリアミック酸」という)を、前記のポリアミック酸と酸塩基相互作用可能な触媒化合物からなる溶液を用い流延法により製膜し、得られたフィルムを、前記触媒化合物や製膜溶媒が可溶である溶液に浸漬した後、フィルムを乾燥することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法を提供するものである。
【0005】
【化1】

・・・一般式(A)
{一般式(A)において、Xは四価の有機基であり、Yは二価の有機基を示す。}
【0006】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する触媒化合物の中で含窒素系の塩基性化合物は、その共役酸の酸解離常数であるpKa(水中25℃)が0〜13の範囲にあり、好ましくは2〜13、さらに好ましくは2.5〜13である化合物であり、ポリアミック酸のカルボキシル基と酸塩基相互作用可能な化合物である。
具体例としては、n−ブチルアミン、n−アミルアミン、tert−ブチルアミン、エチレンジアミン,ベンジルアミン等の脂肪族アミンおよびそのアルキル置換体ならびにその誘導体、
イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、インダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ジピリジル、ジキノリル、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フタラジン、キノキサアリン、キナゾリン、シンノリン、ナフチリジン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾキノリン、ベンゾイソキノリン、ベンゾシンノリン、ベンゾフタラジン、ベンゾキノキサリン、ベンゾキナゾリン、フェナントロリン、フェナジン、カルボリン、ペリミジン、トリアジン、テトラジン、プテリジン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チジアソール、ピロールジオン、インドールジオン、ピロリジンジオン、ベンゾイソキノリジン、ヘキサメチレンテトラミン、ピロリジン、1,2−ジメチルピロリジン、n−メチルピロリジン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルシクロヘキシルアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ピペリジン、1,2−ジメチルピペリジン、2,5−ジアザビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、4−アミノピリジン、4−メチルアミノピリジン、4−ヒドロキシピリジン等の窒素含有複素環化合物およびそのアルキル置換体ならびにその誘導体等が挙げられる。
【0007】
次に触媒化合物として用いられる置換もしくは非置換のアミノ酸化合物としては、特に限定されないが、例えば、グリシン、サルコキシン、フェニルグリシン、グルタミン酸、ロイシン等の非置換アミノ酸化合物やこれらのアミノ基を置換した化合物などが挙げられる。
続いて、触媒化合物として用いられる分子量1000以下の少なくとも2個以上のヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環化合物からなる化合物について説明する。前記化合物に関しては特に限定されないが、分子量が1000を超えてしまうと、気化点(沸点、昇華点、分解点)が高くなりすぎるため膜中に大量に残存してしまうため好ましくない。
本発明において、これら触媒化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0008】
本発明に用いられる触媒化合物は、用いる触媒化合物にもよるが、ポリアミック酸のカルボキシル基に対して、4当量以下、好ましくは2.5〜0.01当量である。
触媒化合物の量が少なすぎると低温の熱処理ではイミド化が不十分であり、多すぎるとワニスの貯蔵安定性の悪化やポリイミドフィルムの膜特性の悪化につながる。
【0009】
本発明に用いられるポリアミック酸は、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を反応させて得られる。ここで、使用されるジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の例示は下記のとおりである。
【0010】
(ジアミン)
具体例としては、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノジフェニルプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,3′−ジアミノベンズアニリド、4,4′−ジアミノ−2,2′−トリフルオロメチルビフェニル、3,3′−ジアミノ−2,2′−トリフルオロメチルビフェニル、1,1−メタキシリレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5−ジアミノ−1−[(4−トリフルオロメチル)フェノキシフェニル]ベンズアミド、1−[2,2−ビス(トリフルオロメチル)−3,3,4,4,5,5,5,−ヘプタフルオロペンチル]−3,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノナフタリン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェノキシ)フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(3−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン、9,9−ビス〔4−(2−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレンなどや、これらの芳香環の低級アルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、もしくはハロゲン化アリール基の置換体などの芳香族ジアミン、
1,3−ビス(4−アミノフェニル)アダマンタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]アダマンタン、1,6−ビス(4−アミノフェニル)ジアマンタン、1,6−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ジアマンタン、4,9−ビス(4−アミノフェニル)ジアマンタン、4,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ジアマンタン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、5−アミノ−1,3,3,−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(別名:イソホロンジアミン)、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、およびその3,3’−ジメチル置換体、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ジアミノアダマンタン、3,3‘−-ジアミノ−1,1’−ビアダマンチル、4,4‘−ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(シクロヘキシルアミン)4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(シクロヘキシルアミン))
1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミンなどの脂肪族および脂環式ジアミン;
下記式(III)で示されるモノ置換フェニレンジアミン類;下記式(IV)で示されるジアミノオルガノシロキサン;
【0011】
【化2】

(式中、R5は、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の有機基を示し、R6は、ステロイド骨格またはトリフルオロメチル基を有する1価の有機基を示す。)
【0012】
【化3】

(式中、R7は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するR7は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
下記式(9)〜(13)で示される化合物などを挙げることができる。
【0013】
【化4】

(式中、yは2〜12の整数であり、zは1〜5の整数である。)
【0014】
上記式(III)で表される化合物の例としては下記式(14)〜(19)で表される化合物も挙げることができる。
【0015】
【化5】

これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
(テトラカルボン酸二無水物)
テトラカルボン酸二無水物としては、下記のような化合物が挙げられる。
ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、
3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、
9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−フェニルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−メチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−エチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−3−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−2−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−2−t−ブチルフェニル〕フルオレン二無水物 等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、
ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(I)および(II)で示される化合物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
【0017】
【化6】

(式中、R1およびR4は、芳香環を有する2価の有機基を示し、R2およびR3は、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するR2およびR3は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)、
エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(1)〜(4)で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0018】
【化7】

【0019】
上記式(I)で表される化合物としては、例えば、下記式(5)〜(7)で表される化合物が、上記式(II)で表される化合物としては、例えば、下記式(8)で表される化合物が挙げられる。
【0020】
【化8】

これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0021】
(溶媒)
ポリアミック酸の合成に用いられる有機溶媒としては、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物および反応で生成するポリアミック酸を溶解し得るものであれば特に制限はなく、例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホリルトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。
有機溶媒の使用量(A)は、反応原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との総量(B)が反応溶液の全量(A+B)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プレピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−エチル−3−メトキシブタノール、2−メチル−2−メトキシブタノール、2−エチル−2−メトキシブタノール、3−メチル−3−エトキシブタノール、3−エチル−3−エトキシブタノール、2−メチル−2−エトキシブタノール、2−エチル−2−エトキシブタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
イミド化反応条件は通常は得られるポリイミドのガラス転移温度に依存するが、温度範囲としては80℃以上250℃、好ましくは100℃から220℃の範囲である。80℃以下であれば、溶媒や触媒の残留が多すぎて好ましくない。
処理時間は5分から360分の間。好ましくは10分から240分の範囲である。5分以下であれば、溶媒や触媒の残留が多すぎて好ましくない。
【0023】
本発明において、ポリイミドフィルムは、ポリアミック酸および触媒化合物を含む溶液をキャスティングにより、基体に流延し、フィルム状に成形するキャスティング法などにより形成することができる。ここで、上記基体としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば特に限定されず、例えば、プラスチック製、ガラス製、金属製などの基体が用いられる。
また、本発明を適用することのできるポリイミドフィルムの厚さは、通常、5〜300μm程度である。
【0024】
上記のようにして作製したポリイミドフィルムは、用いた触媒化合物と製膜溶媒を溶解させる液に浸漬することで、フィルム中に残存している触媒化合物や溶媒を除去できる。
前記用いた触媒化合物と製膜溶媒を溶解させる溶液としては、形成したポリイミドフィルムは溶解せずに、用いた触媒化合物と製膜溶媒のみを溶解する溶液であれば、特に限定されない。好ましくは、触媒や製膜溶媒を除去した後、ポリイミドフィルムを乾燥するときに120℃以下の低温で乾燥できることが望ましい。例えば、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、アセトニトリル等の低沸点溶剤、あるいはこれらの水溶液を用いることができる。
触媒化合物や製膜溶媒が残存しているポリイミドフィルムを浸漬する際は、ポリイミドフィルム1重量部に対し、触媒化合物や製膜溶媒を溶解する液を10重量部以上、好ましくは30重量部以上の接触比となるようにすることがよい。ポリイミドフィルム中の残存触媒化合物や溶媒量をできるだけ少なくするためには、できるだけ大きな接触比維持するのが良い。また浸漬する溶液を交換したり、オーバーフローさせたりすることも、残存量を低減するためには有効である。浸漬している液を攪拌すること有効である。
浸漬温度としては、用いる溶液の沸点にもよるが、5℃〜100℃の範囲が好ましい。100℃を超えてしまうと、浸漬する液が蒸発してしまうので好ましくない。
浸漬時間としては、残存している触媒化合物や製膜溶媒の量や接触比、処理温度にもよるが、通常10分〜240時間の範囲である。好ましくは30分〜100時間の範囲である。
上記のように浸漬処理を行った後、ポリイミドフィルムを取り出し、30〜120℃、好ましくは50〜100℃で、10分〜180分、好ましくは15〜60分乾燥してポリイミドフィルムを得ることができる。
【0025】
実施例
以下に本発明の実施例を示す。
測定方法
(1)ポリアミック酸溶液の粘度測定
ηinhは、ポリマー濃度0.5g/dL、30℃、DMFc中でウベローデ粘度計で測定した。0.32dL/gηinhは0.32dL/g(濃度0.5g/L、30℃、DMFc)、30℃、DMFc)
(2)イミド化率の測定
ガラス基盤上にキャストしたフィルムについて加熱処理を行い、ダイヤモンドATR法を用い、処理前後の赤外吸収スペクトルの吸収ピーク比からイミド化率を算出した。ピロメリット酸二無水物と4,4‘−ジアミノジフェニルエーテルから得られるカプトンタイプポリイミドの場合、ポリアミック酸およびポリイミド状態での影響を受けないフェニルエーテル部位のC−O伸縮(b:1235cm−1)とイミド環生成に伴って生じるC−N伸縮(a:1375cm−1)の吸収ピーク強度に着目し、下記計算式からイミド化率を求めた。

イミド化率(%)={a/b[sample] a/b[initial]}/{a/b[imide reference] a/b[initial]} × 100

a/b:1375cm−1/1235cm−1の吸収ピーク比
[initial]:未処理サンプル
[sample]:熱処理サンプル
[imide reference]:350℃で6時間熱処理した100%イミド化サンプル
(3)フィルム中の残存触媒量ならびに残存溶媒量の測定
添加した化合物のフィルム中の残存量は、キャストしたフィルムのTDS(Thermal Desorption Spectrometor)測定により行った。初期減圧度1E−10で室温から300℃まで1℃/分の昇温条件で測定し、化合物に由来するマスナンバーのシグナルから残存触媒ならびに残存溶媒の有無を確認した。
【0026】
ポリアミック酸の製造
合成例1
攪拌機および窒素ガス導入管を備えた容器に窒素ガスを流して、容器内を窒素ガスで十分置換し、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)119gを入れたのち、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル10.012g(50ミリモル)を加えて、室温で十分溶解した。次いで、ピロメリット酸二無水物10.906g(50ミリモル)を加えた。モノマー濃度は15重量%であった。重合反応は室温で20時間攪拌して行い、対応するポリアミック酸の溶液を得た。得られたポリアミック酸の粘度はηinhは0.74dL/gであった。
【0027】
合成例2
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物11.209g(50ミリモル)用いた他は合成例1と同様にして、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸の粘度はηinhは0.82dL/gであった。
【0028】
実施例1
合成例1で調製したポリアミック酸溶液(ポリアミック酸濃度15重量%)10gに1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクテン0.075g(Fw=112.17、ポリマーに対して5重量%、生成可能なイミド環に対して0.093当量)を添加し、室温で十分溶解させたポリアミック酸溶液を、ガラス基板およびシリコンウエハーにキャストし、ホットプレートで75℃1時間、100℃1時間で溶媒を除去し、200℃1時間加熱処理して膜厚50μmのポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムを10cm角にカットし1Lの水に室温で24時間浸漬した後、取り出して80℃の熱風循環式オーブンで1時間乾燥した。
赤外吸収スペクトルから算出したイミド化率は100%であった。TDS測定からは1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクテンやDMAcに由来するマスナンバーのシグナルが観測されなかった。
【0029】
実施例2
実施例1において、合成例1で製造したポリアミック酸のかわりに合成例2で製造したポリアミック酸を用いた以外は、実施例1と同様に1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクテンを添加し操作を実施しポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムを10cm角にカットし1Lの水に室温で24時間浸漬した後、取り出して80℃の熱風循環式オーブンで1時間乾燥した。
赤外吸収スペクトルから算出したイミド化率は100%であった。TDS測定からは1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクテンやDMAcに由来するマスナンバーのシグナルは観測されなかった。
また得られたポリイミドは、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やDMAc等の有機溶媒に可溶であった。
【0030】
実施例3
実施例1において1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクテンのかわりに、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン0.075g(Fw=152.24、ポリマーに対して5重量%、生成可能なイミド環に対して0.069当量)使用、他の操作は同様に実施しポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムを10cm角にカットし1Lの水に室温で24時間浸漬した後、取り出して80℃の熱風循環式オーブンで1時間乾燥した。
赤外吸収スペクトルから算出したイミド化率は100%であった。TDS測定からは1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンやDMAcに由来するマスナンバーのシグナルが観測されなかった。
【0031】
実施例4
実施例1において、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクテンのかわりに、4−ヒドロキシピリジン0.375g(Fw=95.10、生成可能なイミド環に対して0.545当量)を用いた以外は実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムを10cm角にカットし1Lの水に室温で24時間浸漬した後、取り出して80℃の熱風循環式オーブンで1時間乾燥した。
赤外吸収スペクトルから算出したイミド化率は98%であった。TDS測定からは4−ヒドロキシピリジンならびにDMAcに由来するマスナンバーのシグナルが観測されなかった。認められなかった。
【0032】
実施例5
実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムを10cm角にカットし1Lのメタノールに室温で24時間浸漬した後、取り出して60℃の熱風循環式オーブンで1時間乾燥した。
赤外吸収スペクトルから算出したイミド化率は100%であった。TDS測定からは1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクテンやDMAcに由来するマスナンバーのシグナルが観測されなかった。
【0033】
実施例6
実施例4でと同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムを10cm角にカットし1Lの30重量%メタノール水溶液に室温で24時間浸漬した後、取り出して80℃の熱風循環式オーブンで1時間乾燥した。
赤外吸収スペクトルから算出したイミド化率は100%であった。TDS測定からは4−ヒドロキシピリジンならびにDMAcに由来するマスナンバーのシグナルが観測されなかった。認められなかった。
【0034】
比較例1
実施例1で調製したポリアミック酸溶液(ポリアミック酸濃度15重量%)を、ガラス基板にキャストし、ポットプレートで75℃1時間、100℃1時間で溶媒を除去し、200℃1時間加熱処理して膜厚50μmのポリイミドフィルムを得た。
赤外吸収スペクトルから算出したイミド化率は100%であったが、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクテンとDMAcに由来するマスナンバーのシグナルが観測された。
【0035】
比較例2
実施例2で調製したポリアミック酸溶液(ポリアミック酸濃度15重量%)を、ガラス基板にキャストし、ポットプレートで75℃1時間、100℃1時間で溶媒を除去し、200℃1時間加熱処理して膜厚50μmのポリイミドフィルムを得た。
赤外吸収スペクトルから算出したイミド化率は100%であったが、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクテンとDMAcに由来するマスナンバーのシグナルが観測された。
【0036】
比較例3
実施例4で調製したポリアミック酸溶液(ポリアミック酸濃度15重量%)、ガラス基板にキャストし、ホットプレートで75℃1時間、100℃1時間で溶媒を除去し、200℃1時間加熱処理して膜厚50μmのポリイミドフィルムを得た。
赤外吸収スペクトルから算出したイミド化率は98%であった。TDS測定からは4−ヒドロキシピリジンとDMAcに由来するはマスナンバーのシグナルが観測された。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(A)で表される繰返し単位を有するポリアミック酸と、前記のポリアミック酸と酸塩基相互作用可能な触媒化合物からなる溶液を用い流延法により製膜し、得られたフィルムを、前記溶液中の触媒化合物および製膜溶媒が可溶である液に浸漬した後、フィルムを乾燥することを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。

・・・一般式(A)
{一般式(A)において、Xは四価の有機基を示し、Yは二価の有機基を示す。}
【請求項2】
前記ポリイミドフィルムを浸漬する液が水であることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記ポリイミドフィルムを浸漬する液が、得られたポリイミドフィルムは溶解せず、用いた触媒化合物と溶媒が可溶である有機溶媒からなることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記触媒化合物が、含窒素系の塩基性化合物、置換もしくは非置換のアミノ酸化合物、分子量が1000以下である少なくとも2個以上のヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であること特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。


【公開番号】特開2006−56956(P2006−56956A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239000(P2004−239000)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】