説明

ポリイミド系材料、ポリイミド系樹脂組成物、フィルム及びその製造方法

【課題】難燃性、耐熱性及び透明性に優れたフィルムを形成しうるポリイミド系材料の提供。
【解決手段】(A)式(1)のイミノ形成化合物と、(B)脂肪族及び/又は脂環族テトラカルボン酸二無水物並びにこれらの反応性誘導体から選ばれるアシル化合物と、を反応させて得られるポリイミド系材料。


(m=、n=0〜5の整数。R及びRは、−NH、−N=C=O、アルコキシ基等。Rは、直接結合、−CH−、−O−、−S−等で連結されるジフェニル化合物。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリイミド系材料、該材料を含む組成物、ならびに該材料からなるフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンから得られる全芳香族ポリイミドは、分子の剛直性や、分子が共鳴安定化していること、強い化学結合を有すること等に起因して、優れた耐熱性、機械的特性、電気特性、耐酸化・加水分解性を有しており、電気、電池、自動車および航空宇宙産業などの分野において、フィルム、コーティング剤、成型部品、絶縁材料として幅広く使用されている。
一方、光学部材に使用される材料には、優れた耐熱性、機械的特性等に加えて、無色透明性、易成形(成型)性、光学特性(高屈折率等)に優れることが必要とされる。
ここで、例えば、Kapton(東レ・デュポン社製)に代表される全芳香族ポリイミドフィルムは、上述のとおり、優れた耐熱性等を有し、電気等の分野には適するものの、着色性が高く、また、成形性が低いことから、光学材料としての使用には制限があるという問題がある。
すなわち、上記フィルムは、分子間あるいは分子内の電荷移動相互作用に由来する可視光領域の吸収により、黄色から褐色に着色しているという問題がある。また、上記フィルムは、フィルム状に成形するのに、高温での熱処理を要するなど、プロセス負荷が高く成形性が低いという問題がある。具体的には、上記フィルムを形成するポリイミドは有機溶媒に対する溶解性が低く、ポリイミドをそのまま用いてフィルムを形成することができない。そのため、前記ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の溶液を用い、基板への塗布などによりフィルム状の塗膜とした後、該塗膜を400℃程度の高温で熱処理することにより、塗膜中のポリアミック酸をイミド化し、ポリイミドからなるフィルムを得る必要がある。
【0003】
このような問題を解決するために、非着色性や透明性を向上させたり、有機溶媒に対する可溶性を付与して成形性を向上させてなるポリイミドが種々提案されている。
例えば、パーフルオロアルキル基を有する特定の繰り返し構造からなる(全芳香族)ポリイミド共重合体が提案されている(特許文献1)。
また、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物及び1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンとから得られるポリイミドが提案されている(非特許文献1)。このポリイミドは、芳香族と脂肪族の二無水物を併用してなる、半芳香族のポリイミドである。
さらに、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物およびこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル含有化合物と、特定の式で表される、少なくとも一つのフェニレン基とイソプロピリデン基を有する化合物から選ばれる少なくとも1種のイミノ形成化合物とを反応させてなるポリイミド樹脂が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3131940号公報
【特許文献2】特開2006−199945号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】High Performance Polymer 19、P175−193 (2007)
【非特許文献2】Devendra Kumar,et.al.,Macromolecules,Vol.29,p.5320(1995)
【非特許文献3】Gabino A.Carriedo,et.al.,European Journal of Inorganic Chemistry,p.1502(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献に記載されているポリイミド樹脂は、一つ以上の物性(例えば、耐熱性等)が向上しているものの、難燃性が低いという課題があった。このため、フィルム、コーティング剤、成型部品、絶縁材料等の各種用途に用いるには性能が十分ではないという問題点があった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、難燃性、耐熱性、及び透明性に優れたフィルムを形成しうるポリイミド系材料、該ポリイミド系材料を含む組成物、該組成物からなるフィルム、及び、該フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定のイミノ形成化合物(ホスファゼン骨格を有する芳香族ジアミン化合物)と、特定のアシル化合物(具体的には、脂肪族及び/または脂環族テトラカルボン酸二無水物およびこれらの反応性誘導体から選ばれる化合物)を反応させて得られるポリイミド樹脂が、難燃性等に優れることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]を提供するものである。
[1] (A)下記式(1)で表されるイミノ形成化合物及びこれらの反応性誘導体から選ばれる少なくとも1種のイミノ形成化合物及び(B)脂肪族及び/又は脂環族テトラカルボン酸二無水物並びにこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、を反応させて得られることを特徴とするポリイミド系材料。
【化1】

(式(1)中、m=0〜5の整数、n=0〜5の整数を示す。ただし、m+n=3〜5の整数を示す。RおよびRは、各々独立して、−NH、−N=C=O、−NHSi(R19)(R20)(R21)、下記式(1−1)で表される基、炭素数が1〜5のアルコキシ基、または炭素数6〜20のアリールオキシ基である。Rは、各々独立して、下記式(1−2)で表される基である。ただし、R〜Rの少なくとも2つは−NH、−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)で表される基を有する。R19〜R21は、各々独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)
【化2】

(式(1−1)中、Zは−NH、−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)であり、Yは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−C(CH−、>C=O、−SO−、または−N=N−であり、R〜R10は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ビニル基、アリール基、ハロゲンから選ばれる基であり、lは0〜3の整数である。R19〜R21は、各々独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)
【化3】

(式(1−2)中、Yは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−C(CH−、>C=O、−SO−、または−N=N−であり、R11〜R18は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ビニル基、アリール基、ハロゲン、−NHまたは−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)から選ばれる基である。R19〜R21は、各々独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)
[2] (B)脂肪族及び/又は脂環族テトラカルボン酸二無水物が、下記(a−2)成分、(b)成分、及び(c)成分からなる群より選ばれる少なくとも一種のアシル化合物である上記[1]に記載のポリイミド系材料。
(a−2)5員環の酸無水物骨格及び架橋環構造を有し、かつ、該架橋環構造を構成する少なくとも2つの炭素原子が酸無水物骨格を形成し、6員環の酸無水物骨格を有しない化合物、及びこれらの反応性誘導体
(b)5員環の酸無水物骨格及び6員環の酸無水物骨格を有する化合物、及びこれらの反応性誘導体
(c)6員環の酸無水物骨格を有し、かつ、5員環の酸無水物骨格を有しない化合物、及びこれらの反応性誘導体
[3] 上記(A)成分と上記(B)成分とのモル比((A):(B))が、0.95:1〜1.05:1である上記[1]または[2]に記載のポリイミド系材料。
[4] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリイミド系材料、及び溶媒を含むポリイミド系樹脂組成物。
[5] 上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリイミド系材料からなるフィルム。
[6] 光学部材用である上記[5]に記載のフィルム。
[7] プリント配線用基板用である上記[6]に記載のフィルム。
[8] 上記[5]〜[7]のいずれか1つに記載のフィルムの製造方法であって、上記(A)イミノ形成化合物と上記(B)アシル化合物とを反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと、有機溶媒とを含む溶液を、基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から前記溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程とを含む、フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリイミド系材料は、耐熱性、透明性、及び難燃性に優れている。
本発明のポリイミド系材料は、発光ダイオード、太陽電池、フラットディスプレー周辺材料等の電子材料関連の部材、具体的には、封止剤、レンズ、耐熱透明フィルム、導電性透明フィルム、フレキシブルプリント基板等に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】合成例1で得たビフェノール置換ホスファゼンのNMRスペクトル(1H CDCl)を示す図である。
【図2】合成例2で得たホスファゼンジアミンのNMRスペクトル(1H DMSO−d6)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリイミド系材料は、(A)下記式(1)で表されるイミノ形成化合物及びこれらの反応性誘導体から選ばれる少なくとも1種のイミノ形成化合物及び(B)脂肪族及び/又は脂環族テトラカルボン酸二無水物並びにこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、を反応させて得られることを特徴とするポリアミック酸及び/又はポリイミドを主体とするものである。
【化4】

(式(1)中、m=0〜5の整数、n=0〜5の整数を示す。ただし、m+n=3〜5の整数を示す。RおよびRは、各々独立して、−NH、−N=C=O、−NHSi(R19)(R20)(R21)、下記式(1−1)で表わされる基、炭素数が1〜5のアルコキシ基、または炭素数6〜20のアリールオキシ基である。Rは、各々独立して、下記式(1−2)で表される基である。ただし、R〜Rの少なくとも2つは−NH、−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)で表される基を有する。R19〜R21は、各々独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)
【化5】

(式(1−1)中、Zは−NH−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)であり、Yは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−C(CH−、>C=O、−SO−、または−N=N−であり、R〜R10は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ビニル基、アリール基、ハロゲンから選ばれる基であり、lは0〜3の整数である。R19〜R21は、各々独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)
【化6】

(式(1−2)中、Yは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−C(CH−、>C=O、−SO−、または−N=N−であり、R11〜R18は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ビニル基、アリール基、ハロゲン、−NH、−N=C=O、及び−NHSi(R19)(R20)(R21)から選ばれる基である。R19〜R21は、各々独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)
【0011】
本発明のジアミン化合物((A)成分)は、上記式(1)で表される芳香族イミノ形成化合物を少なくとも含む。
ここでアミノフェノール基を有する環状ホスファゼン化合物は、例えば、前記の非特許文献2、非特許文献3等に記載の方法に従って製造することができる。
具体的には、下記式(2)で表されるホスファゼン含有化合物と、NH、シアン酸塩、シリルアミノ化合物、下記式(3−1)で表される化合物または下記式(3−2)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物を反応させて、上記式(1)で表される化合物を得る工程とからなる。
反応させる際の反応温度は30〜150℃であることが好ましく、30〜100℃であることがより好ましい。また、反応時間としては1〜48時間であることが好ましく、1〜24時間であることがより好ましい。また、下記式(3−1)で表される化合物または下記式(3−2)で表される化合物が、−NH、−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)で表される基を有する場合には、炭酸セシウムの存在下で反応させることが好ましい。また、下記式(3−1)で表される化合物または下記式(3−2)で表される化合物が、−NH、−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)で表される基を含まない場合には、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、金属ナトリウムの存在下で反応させることが好ましい。
【0012】
また、反応させるNH、シアン酸塩、シリルアミノ化合物、下記式(3−1)で表される化合物または下記式(3−2)で表される化合物は2種以上を用いることもできる。2種以上用いる場合には、各化合物を同時に反応させることもできるし、一の化合物を反応させた後に、順次他の化合物を反応させることも可能である。
【化7】

(式(2)中、k=3〜5の整数を示す。Xは、各々独立に、ハロゲン原子を表す。)
【化8】

(式(3−1)中、Z、Y、R〜R10、lは式(1−1)と同義である。)
【化9】

(式(3−2)中、Y、R11〜R18は式(1−2)と同義である。)
【0013】
また、イミノ形成化合物((A)成分)としては、上記式(1)で表される化合物に、他のジアミン化合物((C)成分)を含むことができる。他のジアミン化合物の具体例としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2’,6,6’−テトラクロロベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジクロロ−5,5’−ジメトキシベンジジン、4,4’’−ジアミノ−p−ターフェニルなどの芳香族ジアミン類;ジアミノテトラフェニルチオフェンなどのヘテロ原子を有する芳香族ジアミン類;1,1−メタキシリレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族または脂環族ジアミン類;などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらジアミン化合物は市販品をそのまま使用してもよいし、市販品を再還元してから使用してもよい。
ジアミン化合物として、式(1)で表される化合物以外の化合物を含む場合には、式(1)で表される化合物とその他のジアミン化合物とのモル比(式(1)で表される化合物:他のジアミン化合物)が0.01:0.99〜0.99:0.01であることが好ましく、0.3:0.7〜0.95:0.05であることがより好ましい。
なお、これらイミノ形成化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
[(B)成分]
本発明で用いられる(B)成分としては、5員環の酸無水物骨格及び/又は6員環の酸無水物骨格を有する化合物、及びこれらの反応性誘導体が挙げられる。
ここで、反応性誘導体とは、脂肪族及び/又は脂環族テトラカルボン酸二無水物に変化しうる化合物であり、例えば、脂肪族及び/又は脂環族テトラカルボン酸二無水物の当該無水物に代えて2つのカルボキシル基を有する化合物、これら2つのカルボキシル基の中の片方または両方がエステル化されたエステル化物である化合物、またはこれら2つのカルボキシル基の中の片方または両方がクロル化された酸クロライド等が好適に用いられる。
具体的には、下記(a)〜(c)が挙げられる。
(a)5員環の酸無水物骨格を有し、かつ6員環の酸無水物骨格を有しない化合物、及びこれらの反応性誘導体
(b)5員環の酸無水物骨格及び6員環の酸無水物骨格を有する化合物、及びこれらの反応性誘導体
(c)6員環の酸無水物骨格を有し、かつ、5員環の酸無水物骨格を有しない化合物、及びこれらの反応性誘導体
さらに、上記(a)成分の具体例としては、下記(a−1)〜(a−2)が挙げられる。
(a−1)5員環の酸無水物骨格を有し、かつ架橋環構造を有しない化合物及びこれらの反応性誘導体
(a−2)5員環の酸無水物骨格及び架橋環構造を有し、かつ、該架橋環構造を構成する少なくとも2つの炭素原子が酸無水物骨格を形成する化合物、及びこれらの反応性誘導体
【0015】
上記(a−1)成分(5員環の酸無水物骨格を有し、かつ架橋環構造を有しない化合物、及びこれらの反応性誘導体)としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、下記式(4)で表される化合物、及びこれらの反応性誘導体が挙げられる。
【0016】
なお、下記式(4)で表される化合物の具体例としては、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
【化10】

(式中、Rは、芳香環を有する2価の有機基を示し、Rは、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【化11】

【0017】
上記(a−2)成分(5員環の酸無水物骨格及び架橋環構造を有し、かつ、該架橋環構造を構成する少なくとも2つの炭素原子が無水物骨格を形成する化合物、及びこれらの反応性誘導体)としては、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基等を含む化合物が挙げられる。例えば、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体が挙げられる。
【0018】
上記(b)成分(5員環の酸無水物骨格及び6員環の酸無水物骨格を有する化合物、及びこれらの反応性誘導体)としては、例えば、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、及びこれらの反応性誘導体等が挙げられる。
上記(c)成分(6員環の酸無水物骨格を有し、かつ、5員環の酸無水物骨格を有しない化合物、及びこれらの反応性誘導体)としては、例えば下記式(6)で表される化合物、及びこれらの反応性誘導体が挙げられ、具体的な化合物としては下記式(7)〜(9)で表される化合物、及びこれらの反応性誘導体が挙げられる。
【化12】

(式中、Rは、芳香環を有する2価の有機基を示し、Rは、水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【化13】

これらのアシル化合物は1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0019】
上記のうち、(a−1)成分(5員環の酸無水物骨格を有し、架橋環構造を有しない化合物、及びこれらの反応性誘導体)は、比較的分子構造にゆがみが少なく、特に高いイミド化率(例えば95%以上)を達成することができる点で好ましく用いられる。さらに、このような化合物を(A)成分として用いることにより、耐水性(低吸水性)や非着色性等に優れたポリイミドフィルムを得ることができる。また、上記(a−1)成分は、入手性およびコストの観点からも好ましい。
一方、(a−2)成分(5員環の酸無水物骨格及び架橋環構造を有し、かつ、架橋環構造を構成する少なくとも2つの炭素原子が無水物骨格を形成する化合物、及びこれらの反応性誘導体)、(b)成分(5員環の酸無水物骨格及び6員環の酸無水物骨格を有する化合物、及びこれらの反応性誘導体)、(c)成分(6員環の酸無水物骨格を有する化合物、及びこれらの反応性誘導体)は、(a−1)成分に比して歪みは大きいものの、十分に高いイミド化率(例えば85%以上)を達成することができる。なお、上記(a−2)成分、(b)成分、及び(c)成分のうち、溶解性、加工性の観点から、(b)成分が好ましく用いられる。
【0020】
なお、(B)成分としては、無水物(脂肪族及び/又は脂環族テトラカルボン酸二無水物)、及びこれらの反応性誘導体のうち、無水物が好ましく用いられる。無水物を(B)成分として用いると、無水物ではないものを用いる場合に比して、温和かつハンドリング性よくポリアミック酸を合成することができる。
また、(B)成分としては、上述のテトラカルボン酸二無水物の中でも、脂環族テトラカルボン酸二無水物が好ましく用いられる。脂環族テトラカルボン酸二無水物を(B)成分として用いると、透明性、非着色性、耐熱性、機械的特性等に優れたポリイミドフィルムを得ることができる。
【0021】
(B)成分の反応性誘導体としては、無水物(脂肪族テトラカルボン酸二無水物)が好ましく用いられる。無水物を(B)成分として用いると、無水物ではないものを用いる場合に比して、温和かつハンドリング性よくポリアミック酸を合成することができる。
また、(B)成分としては、上述の脂肪族テトラカルボン酸二無水物の中でも、脂環式テトラカルボン酸二無水物が好ましく用いられる。脂環族テトラカルボン酸二無水物を(B)成分として用いると、透明性、非着色性、耐熱性等に優れたポリイミドフィルムを得ることができる。
さらに、(B)成分としては、6員環の酸無水物骨格を有する化合物、もしくは、架橋環構造を構成する少なくとも二つの炭素原子が無水物骨格を形成する化合物が好ましく用いられる。6員環の酸無水物骨格を有する化合物、もしくは、架橋環構造を構成する少なくとも二つの炭素原子が無水物骨格を形成する化合物を(B)成分として用いると、生成するポリイミドの有機溶媒に対する溶解性を改良可能であり、製膜工程でのプロセス負荷を低減できる。また、これらのポリイミドからは、透明性、非着色性、耐熱性等に特に優れたフィルムを得ることができる。
【0022】
次に、本発明のフィルムの製造方法について説明する。
本発明のフィルムの製造方法は、上記(B)アシル化合物と上記(A)芳香族イミノ形成化合物とを反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を、基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程とを含むものである。
本発明のフィルムの製造方法は、ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を調製する前工程を含む場合、上記(A)成分と上記(B)成分とを反応させて、ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を調整する工程(a)と、前記ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を基板上に塗布して塗膜を形成する工程(b)と、該塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程(c)とを含む。
【0023】
[工程(a)]
工程(a)は、上記(A)成分と上記(B)成分とを反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を準備する工程である。
ここで、上記ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液は、例えば以下のようにして得られる。
まず、(A)成分と(B)成分とを有機溶媒中で反応させて、ポリアミック酸とし、次いで、該ポリアミック酸の少なくとも一部をイミド化し、ポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液を得る。
(A)成分と(B)成分とを反応させる際の具体的な方法としては、少なくとも1種の(B)芳香族イミノ形成化合物を有機溶媒に溶解した後、得られた溶液に、少なくとも1種の(A)アシル化合物を添加し、0〜100℃の温度で、1〜60時間撹拌する方法が挙げられる。
上記有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素等の非プロトン系極性溶媒;クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール系溶媒;等が挙げられる。中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
これらの溶媒は一種単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。
なお、反応液中の芳香族イミノ形成化合物とアシル化合物の合計量は、反応液全量の5〜30質量%であることが好ましい。
(A)アシル化合物と(B)芳香族イミノ形成化合物との割合は、成分(B)のアミノ基又はイソシアナート基1当量に、成分(A)の酸無水物基が0.8〜1.2当量となる割合が好ましく、1.0〜1.1当量となる割合がより好ましい。成分(B)のアミノ基又はイソシアナート基1当量に対して、成分(A)の酸無水物基の量が、0.8当量未満、若しくは1.2当量を超えると、分子量が低くなりフィルムを形成することが困難なことがある。
なお、ポリアミック酸とは、酸無水物基とアミノ基とが反応して生じる、−CO−NH−、及び、−CO−OHを含む構造を有する酸、または、その誘導体(具体的には、例えば、CO−NH−、及び、−CO−OR(ただし、Rはアルキル基等である。)を含む構造を有するもの)をいう。ポリアミック酸は、加熱等によって、−CO−NH−のHと、−CO−OHのOHとが脱水して、環状の化学構造(−CO−N−CO−)を有するポリイミドとなる。
【0024】
次いで、得られたポリアミック酸を、脱水閉環することによりイミド化するが、この方法としては、脱水剤を用いる方法(化学イミド化)や、160℃〜350℃(溶液では160〜220℃程度、キャストフィルムでは一般的に300℃以上)で熱処理する方法(熱イミド化)が挙げられる。
化学イミド化における脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、もしくは相当する酸クロライド類、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等が挙げられる。なお、化学イミド化の際には、60〜120℃の温度で加熱することが好ましい。
熱イミド化の場合には、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて水を共沸除去することができる。
また、イミド化の際には、必要に応じて、ピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルピペリジン、イミダゾール等の塩基触媒を用いることができる。上記脱水剤又は塩基触媒は、アシル化合物1モルに対し、それぞれ0.1〜8モルの範囲で用いることが好ましい。
イミド化の方法としては、より低温での加熱によってイミド化を行うことができることなどから、化学イミド化が好ましい。
なお、イミド化は、ポリアミック酸の少なくとも一部、好ましくは75モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上をイミド化するように行われる。
【0025】
得られたポリアミック酸及び/又はポリイミドと有機溶媒とを含む溶液は、そのまま使用することもできるが、ポリイミド等を固体分として単離した後、有機溶媒に再溶解して用いることもできる。なお、再溶解する有機溶媒としては、上記有機溶媒と同様のものが挙げられる。ポリイミド等を単離する方法としては、ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を、メタノール等のポリイミドに対する貧溶媒に投じてポリイミド等を沈殿させ、濾過・洗浄・乾燥等によりポリイミド等を固体分として分離する方法が挙げられる。このような操作をすることにより、イミド化の際に使用した脱水触媒(イミド化触媒)の除去も図ることができる。
本発明においては、ポリアミック酸とポリイミドの合計100モル%中、ポリイミドの割合は、75モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。ポリイミドの割合が75モル%未満であると、フィルムの吸水率が高くなったり、耐久性が低下することがある。
【0026】
[工程(b)]
工程(b)は、上記ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を基板上に塗布して塗膜を形成する工程である。
上記基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、SUS板等が挙げられる。
ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を基板上に塗布する方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、ドクターブレードを用いる方法等を使用することができる。
塗膜の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜250μmである。
【0027】
[工程(c)]
工程(c)は、上記塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより除去し、フィルムを得る工程である。
具体的には、塗膜を加熱することにより、該塗膜中の有機溶媒を蒸発させて除去する。
上記加熱の条件は、有機溶媒が蒸発すればよく特に限定されないが、例えば60〜250℃で1〜5時間である。なお、加熱は二段階で行ってもよい。例えば、100℃で30分加熱した後、150℃で1時間加熱するなどである。また、必要に応じて、窒素雰囲気下、もしくは減圧下にて乾燥を行ってもよい。
本工程では、有機溶媒を除去することができればよく、イミド化を行う必要がないため、従来技術に比して低温でフィルムを得ることができる。そのため、光学部材を形成する他の部材が耐熱性の低いものであっても、該部材に直接上記ポリイミド等及び有機溶媒を含む溶液を塗布して、有機溶媒を蒸発除去することにより、フィルムを形成することができる。
得られたフィルムは、基板から剥離して、あるいは剥離せずにそのまま用いることができる。
【0028】
得られたポリアミック酸及び/又はポリイミドは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が50,000〜500,000、好ましくは100,000〜400,000である。
本発明のフィルムにおいては、ポリアミック酸とポリイミドの合計100モル%中、ポリイミドの割合は、75モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。ポリイミドの割合が75モル%未満であると、フィルムの吸収率が高くなったり、耐久性が低下することがある。
本発明のフィルムにおいては、厚みが1〜250μm、好ましくは5〜200μmである。また、本発明のフィルムを基材として使用する場合には10〜150μmであることが特に好ましい。
本発明のフィルムは、厚さが20μmである場合に、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは88%以上の全光線透過率を有する。
本発明のフィルムは、ガラス転移温度(Tg)が、150℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましい。このようなガラス転移温度を有することにより、優れた耐熱性を獲ることができる。
【0029】
本発明のフィルムは、発光ダイオード周辺材料、太陽電池周辺材料、フラットディスプレー周辺材料、電子回路周辺材料に使用することができる。具体的には、耐熱透明フィルム、導電性透明フィルム等の光学部材に使用することができる。また、電子回路周辺材料としては、プリント配線基板用基板として使用することもでき、フレキシブルプリント配線用基板、リジットプリント配線用基板、光電子プリント配線用基板、COF(Chip on Film)用基板、TAB(Tape Automated Bonding)用基板を挙げることができる。プリント配線用基板として用いる場合には、例えば、配線用の銅層を設けることもできる。本発明のフィルムに銅層を設ける方法としては、ラミネート法、メタライジング法等を挙げることができる。ラミネート法の場合には、例えば、本発明のフィルムに銅箔を熱プレスすることで銅層が設けられたプリント配線用基板を製造することができる。メタライジング法の場合には、例えば、本発明のフィルムの金属との親和性を発現させるために表面改質を行った後に、蒸着法またはスパッタリング法によって、ポリイミドと結合するNi系の金属層と湿式電気めっきに必要なシード層を形成する。そして、湿式めっき法により所定の膜厚の銅層を設けることで、銅層が設けられたプリント配線用基板を製造することができる。
【0030】
また、ポリイミド等及び有機溶媒を含有するポリイミド系溶液は、ポリイミド系樹脂組成物として、発光ダイオード周辺材料、太陽電池周辺材料、フラットディスプレー周辺材料、電子回路周辺材料等に用いることもできる。具体的には、封止剤、レンズ材、プリント配線基板形成用材料等に用いることができる。例えば、プリント配線基板形成用材料として用いる場合には、キャスティング法によりプリント配線用基板を製造することができる。具体的には、銅箔の上に前記ポリイミド系樹脂組成物を塗布した後に、熱処理することで、銅層が設けられたプリント配線用基板を製造することができる。
なお、前記ポリイミド系樹脂組成物において、共溶媒として、沸点が150℃以下の有機溶媒を使用することができる。該有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
これらの溶媒は1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。
なお、ポリイミド系樹脂組成物中のポリアミック酸及び/又はポリイミドの濃度は、反応液全量の5〜30質量%であることが好ましい。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[(A)ホスファゼン含有イミノ形成化合物の合成]
ホスファゼン含有イミノ形成化合物を下記の方法により製造し、NMRによりその構造を確認した。
(合成例1;ビフェノール置換ホスファゼンの合成)
温度計、撹拌機、冷却管を取り付けた3Lの4つ口フラスコにヘキサクロロシクロトリホスファゼン50g(144mmol)、2,2’−ビフェノール53g(285mmol)、炭酸カリウム100g(726mmol)、アセトン1500mlを加え室温で24時間撹拌した。反応終了後ろ別し、ろ液を減圧濃縮した。濃縮したろ液にクロロホルムを加え蒸留水で抽出を3回行った後、油層を減圧乾固しビフェノール置換ホスファゼンを得た(収量72g)。上記ビフェノール置換ホスファゼンについて、NMR(1H CDCl)により構造分析を行った(図1参照)。
【0032】
(合成例2;ホスファゼンジアミンの合成)
合成例1で得たビフェノール置換ホスファゼン4.00g(7mmol)、4−アミノフェノール1.53g(13.9mmol)、炭酸セシウム8.00g(24.6mmol)、アセトン100mlを加え12時間加熱還流した。室温まで冷却後、ろ別し、ろ液を減圧減縮した。濃縮したろ液にクロロホルムを加え水酸化ナトリウム水溶液で2回、蒸留水で抽出を2回行った後、油層を減圧乾固し、本発明で用いる(A)成分に該当するホスファゼンジアミンを得た(収量4.23g)。
上記ホスファゼンジアミンについて、NMR(1H DMSO−d6)により構造分析を行った(図2参照)。
【0033】
[実施例1]
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに2,
2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン8.33g(20.3mmol)とホスファゼンジアミン1.62g(2.3mmol)を添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという。)58mlを加え均一になるまで攪拌した。得られた溶液に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物5.05g(22.5mmol)を室温で加え、そのままの温度で24時間攪拌を続けて、ポリアミック酸溶液を得た。
得られたポリアミック酸溶液に対し、N−メチルピペリジン2.1ml、無水酢酸5.7mlを加え、75℃で4時間攪拌しイミド化を行った。室温まで冷却後、大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末とした(収量13.3g、収率93.3質量%)。
次いで、得られたポリマーをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に再溶解し、20質量%の樹脂溶液を得た。該樹脂溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板上にドクターブレード(100μmギャップ)を用いて塗布し、100℃で30分、ついで150℃で60分乾燥してフィルムとした後、PET基板より剥離した。その後、フィルムをさらに150℃、減圧下で3時間乾燥して、膜厚20μmのフィルムを得た。
上記ポリマーについて、IR(KBr法)により構造分析を行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1737cm−1および1686cm−1及びホスファゼン環の特性吸収が1167cm−1であった。
また、上記ポリマーについて、下記の方法により、重量平均分子量、ガラス転移温度、リン濃度、難燃性を求めた。
結果を表1に示す。
【0034】
(1)重量平均分子量
重量平均分子量は、TOSOH製HLC−8020型GPC装置を使用して測定した。溶媒には、臭化リチウム及び燐酸を添加したNMPを用い、測定温度40℃にて、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
Rigaku社製8230型DSC測定装置を用いて、昇温速度を20℃/minとして測定した。
(3)リン濃度
イミド化率が100モル%であると仮定すると、得られたポリマー中の繰り返し単位の分子量は、(アシル化合物の分子量)+(芳香族アミンの分子量×芳香族アミンのmol比+ホスファゼンジアミンの分子量×ホスファゼンジアミンのmol比))−2HOで求められる。下記式により求めた。
[リン濃度](単位:質量%)=(ホスファゼンジアミンの分子量×ホスファゼンジアミンのmol比×ホスファゼンジアミンのリン含量)/{(アシル化合物の分子量)+(芳香族アミンの分子量×芳香族アミンのmol比+ホスファゼンジアミンの分子量×ホスファゼンジアミンのmol比)−2HO}×100
(4)難燃性
得られたフィルム膜厚30μmを100mm×10mmの短冊状サンプルを3枚切り出し、着火試験を行い燃焼状態を観察した。自己消火性があるものを○、それ以外を×とした。
【0035】
[実施例2]
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン7.07g(17.2mmol)とホスファゼンジアミン3.10g(4.3mmol)を添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、NMP58mlを加え均一になるまで攪拌した。得られた溶液に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物4.83g(21.5mmol)を室温で加え、そのままの温度で24時間攪拌を続けて、ポリアミック酸溶液を得た。
得られたポリアミック酸溶液に対し、N−メチルピペリジン1.7ml、無水酢酸4.9mlを加え、75℃で4時間攪拌しイミド化を行った。室温まで冷却後、大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末とした(収量13.2g、収率91.8質量%)。
次いで、得られたポリマーに対して実施例1と同様に処理して、膜厚20μmのフィルムを得た。
得られたポリマーの構造分析を実施例1と同様にして行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1737cm−1および1686cm−1及びホスファゼン環の特性吸収が1167cm−1であった。
また、得られたポリマーの各種物性について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0036】
[実施例3]
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに2,
2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン7.22g(17.6mmol)とホスファゼンジアミン3.16g(4.4mmol)を添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、NMP58mlを加え均一になるまで攪拌した。得られた溶液に1−cis−2−cis−3−trans−4−trans−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物4.62g(22.0mmol)を室温で加え、そのままの温度で24時間攪拌を続けて、ポリアミック酸溶液を得た。
得られたポリアミック酸溶液に対し、N−メチルピペリジン1.7ml、無水酢酸4.9mlを加え、75℃で4時間攪拌しイミド化を行った。室温まで冷却後、大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末とした(収量13.2g、収率92.3質量%)。
次いで、得られたポリマーに対して実施例1と同様に処理して、膜厚20μmのフィルムを得た。
得られたポリマーの構造分析を実施例1と同様にして行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1783cm−1および1719cm−1及びホスファゼン環の特性吸収が1166cm−1であった。
また、得られたポリマーの各種物性について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0037】
[実施例4]
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン7.07g(17.2mmol)とホスファゼンジアミン3.10g(4.3mmol)を添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、NMP58mlを加え均一になるまで攪拌した。得られた溶液に1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物4.83g(21.5mmol)を室温で加え、そのままの温度で24時間攪拌を続けて、ポリアミック酸溶液を得た。
得られたポリアミック酸溶液に対し、N−メチルピペリジン1.7ml、無水酢酸4.9mlを加え、75℃で4時間攪拌しイミド化を行った。室温まで冷却後、大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末とした(収量13.1g、収率90.8質量%)。
次いで、得られたポリマーに対して実施例1と同様に処理して、膜厚20μmのフィルムを得た。
得られたポリマーの構造分析を実施例1と同様にして行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1770cm−1および1699cm−1及びホスファゼン環の特性吸収が1165cm−1であった。
また、得られたポリマーの各種物性について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0038】
[実施例5]
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに2,
2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン6.33g(15.4mmol)とホスファゼンジアミン2.77g(3.9mmol)を添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、NMP58mlを加え均一になるまで攪拌した。得られた溶液に1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物5.90g(19.3mmol)を室温で加え、そのままの温度で24時間攪拌を続けて、ポリアミック酸溶液を得た。
得られたポリアミック酸溶液に対し、N−メチルピペリジン1.7ml、無水酢酸4.9mlを加え、75℃で4時間攪拌しイミド化を行った。室温まで冷却後、大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末とした(収量13.4g、収率92.7質量%)。
次いで、得られたポリマーに対して実施例1と同様に処理して、膜厚20μmのフィルムを得た。
得られたポリマーの構造分析を実施例1と同様にして行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1768cm−1および1697cm−1及びホスファゼン環の特性吸収が1166cm−1であった。
また、得られたポリマーの各種物性について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0039】
[比較例1]
温度計、攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン9.70g(23.6mmol)を添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、NMP58mlを加え均一になるまで攪拌した。得られた溶液に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物5.30g(23.6mmol)を室温で加え、そのままの温度で12時間攪拌を続けて、ポリアミック酸溶液を得た。
得られたポリアミック酸溶液に対し、N−メチルピペリジン2.4ml、無水酢酸6.7mlを加え、75℃で3時間攪拌しイミド化を行った。室温まで冷却後、大量のメタノールに投じ、ろ別によりポリマーを単離した。得られたポリマーは60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末とした(収量13.5g、収率95.3質量%)。
次いで、得られたポリマーに対して実施例1と同様に処理して、膜厚20μmのフィルムを得た。
得られたポリマーの構造分析を実施例1と同様にして行った。結果は、カルボニル基の特性吸収が、1735cm−1および1682cm−1であった。
また、得られたポリマーの各種物性について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0040】
[比較例2]
比較例1で得られたポリマーをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に20質量%で再溶解し、シクロフェノキシホスファゼン(大塚化学製SPB−100)をポリマーに対して30質量%加え樹脂溶液を得た。該樹脂溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板上にドクターブレード(100μmギャップ)を用いて塗布し、100℃で30分、ついで150℃で60分乾燥してフィルムとした後、PET基板より剥離した。その後、フィルムをさらに150℃、減圧下で3時間乾燥して、膜厚20μmのフィルムを得た。
また、得られたポリマーの各種物性について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0041】
[比較例3]
比較例1で得られたポリマーをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に20質量%で再溶解し、シクロフェノキシホスファゼン(大塚化学製SPB−100)をポリマーに対して20質量%加え樹脂溶液を得た。該樹脂溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板上にドクターブレード(100μmギャップ)を用いて塗布し、100℃で30分、ついで150℃で60分乾燥してフィルムとした後、PET基板より剥離した。その後、フィルムをさらに150℃、減圧下で3時間乾燥して、膜厚20μmのフィルムを得た。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0042】
[比較例4]
比較例1で得られたポリマーをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に20質量%で再溶解し、シクロフェノキシホスファゼン(大塚化学製SPB−100)をポリマーに対して10質量%加え樹脂溶液を得た。該樹脂溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板上にドクターブレード(100μmギャップ)を用いて塗布し、100℃で30分、ついで150℃で60分乾燥してフィルムとした後、PET基板より剥離した。その後、フィルムをさらに150℃、減圧下で3時間乾燥して、膜厚20μmのフィルムを得た。
また、得られたポリマー及びフィルムの各種物性について、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から、(A)成分と(B)成分を反応させた実施例1〜5では、難燃性、耐熱性、透明性の全てが良好であり、物性のバランスが良いことがわかる。
一方、(B)成分と、(A)成分以外のジアミン化合物を反応させた比較例1では、耐熱性、透明性に優れているものの、難燃性が非常に劣り、物性のバランスが悪いことがわかる。また、(A)成分の代わりにシクロフェノキシホスファゼンを添加した比較例2〜4では、難燃性、透明性に優れているものの、耐熱性が劣り、物性のバランスが悪いことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)で表されるイミノ形成化合物及びこれらの反応性誘導体から選ばれる少なくとも1種のイミノ形成化合物と、
(B)脂肪族及び/又は脂環族テトラカルボン酸二無水物並びにこれらの反応性誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種のアシル化合物と、
を反応させて得られることを特徴とするポリイミド系材料。
【化1】

(式(1)中、m=0〜5の整数、n=0〜5の整数を示す。ただし、m+n=3〜5の整数である。RおよびRは、各々独立して、−NH、−N=C=O、−NHSi(R19)(R20)(R21)、下記式(1−1)で表される基、炭素数が1〜5のアルコキシ基、または、炭素数6〜20のアリールオキシ基である。Rは、各々独立して、下記式(1−2)で表される基である。ただし、R〜Rの少なくとも2つは−NH2、−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)で表される基を有する。R19〜R21は、各々独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)
【化2】

(式(1−1)中、Zは−NH2、−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)であり、Yは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−C(CH−、>C=O、−SO−、または−N=N−であり、R〜R10は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ビニル基、アリール基、ハロゲンから選ばれる基であり、lは0〜3の整数である。R19〜R21は、各々独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)
【化3】

(式(1−2)中、Yは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−C(CH−、>C=O、−SO−、または−N=N−であり、R11〜R18は、各々独立して、水素原子、アルキル基、ビニル基、アリール基、ハロゲン、−NH、−N=C=O、または−NHSi(R19)(R20)(R21)から選ばれる基である。R19〜R21は、各々独立して、炭素数1〜15のアルキル基である。)
【請求項2】
(B)脂肪族及び/又は脂環族テトラカルボン酸二無水物が、下記(a−2)成分、(b)成分、及び(c)成分からなる群より選ばれる少なくとも一種のアシル化合物である請求項1に記載のポリイミド系材料。
(a−2)5員環の酸無水物骨格及び架橋環構造を有し、かつ、該架橋環構造を構成する少なくとも2つの炭素原子が酸無水物骨格を形成し、6員環の酸無水物骨格を有しない化合物、及びこれらの反応性誘導体
(b)5員環の酸無水物骨格及び6員環の酸無水物骨格を有する化合物、及びこれらの反応性誘導体
(c)6員環の酸無水物骨格を有し、かつ、5員環の酸無水物骨格を有しない化合物、及びこれらの反応性誘導体
【請求項3】
上記(A)成分と上記(B)成分とのモル比((A):(B))が、0.95:1〜1.05:1である請求項1または2に記載のポリイミド系材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド系材料、及び溶媒を含むポリイミド系樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド系材料からなるフィルム。
【請求項6】
光学部材用である請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
プリント配線用基板用である請求項6に記載のフィルム。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法であって、上記(A)イミノ形成化合物と上記(B)アシル化合物とを反応させて得られるポリアミック酸及び/又はポリイミドと、有機溶媒とを含む溶液を、基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から前記溶媒を蒸発させることにより除去してフィルムを得る工程とを含む、フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−74209(P2011−74209A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226845(P2009−226845)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】