説明

ポリウレタン分散液系発泡体を物品へ適用する方法

ポリウレタン発泡体の基材への接着により得られる、2種又はそれ以上の成分の発泡体複合材料の製造方法であって、水性ポリウレタン配合物を起泡させ;その起泡体を基材に適用し;そしてその起泡体を乾燥して乾燥密度35kg/m3〜160kg/m3(2.2〜10 lbs/cft)を有する発泡体にする工程を含む方法を開示する。本方法は、フレームラミネーション工程を必要とすることなく、又はそのテキスタイルと発泡体層との間の接着剤層を必要とすることなく、発泡体裏打ちテキスタイルの製造を可能にし、また必要に応じて、ポリウレタン成型発泡体クッションをカバーする優れた取扱特性へと最適化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン発泡体の薄い裏打ち被覆層(back-coated thin layer)を有する基材(又は下地)(substrate)及びそのような基材を含む製品に関する。更に詳しくは、本発明は、その背面又は内面に発泡ポリウレタン(foamed polyurethane)の薄層を有する、布帛(fabric)、テキスタイル(textile)又はプラスチックからなるロール状製品を含む複合体カバー材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡体裏打ち材料(foam backed materials)、特に布帛は、様々な用途、例えば乗物のシート、シートのクッション、ヘッドレスト、ヘッドライナー、肘掛、サンバイザー、ドアパネル、小物棚(parcel shelves)等の自動車用途並びに家具、寝具及び服飾品の布張り地(upholstery)での使用などに用いられている。発泡体裏打ち生地は、また、様々なテキスタイルや使い捨て製品のクッション層又は吸収層にも使用できる。
【0003】
そのような発泡体裏打ち布帛は、通常、幾つかの工程で製造される。先ず、ポリイソシアネート、ポリオール及びその他の補助的な成分を、当業者には公知の条件の下に反応させて発泡体を製造し、次いでその発泡体を所望の厚さにスライスし又は剥離する。布帛に発泡体を接着させるため、布帛は、必要に応じて、水系ポリマーバインダー、典型的にはアクリル系ポリマーに浸漬して、寸法安定性及び適切な硬さを付与することができ、そして引き続いて別の工程で、処理した布帛を削り取った(srived)発泡体に、フレームラミネーション又は接着剤接合により接合させる。
【0004】
フレームラミネーション工程及び接着剤接合工程には、別な場所で行われる幾つかの製造上の操作、例えば製造業者がその布帛を、発泡業者であるか又はそうではないフレームラミネーション業者又は接着剤接合業者に輸送し、その複合体布帛は、次いで、自動車のOEMに輸送する前に、シートカバーとして裁断・縫製するため、及び/又はシートに組み立てるため送り返すなどの作業が含まれる。後方業務(logistics)に加えて、フレームラミネーション及び接着剤接合の工程は、フレームラミネーション工程の場合における溶融ポリウレタンポリマーの分解からの揮発性有機化合物の放出又は接着剤接合工程からの有機溶媒の放出の何れかに関する不利益を有している。
【0005】
或いは、所望の最終製品の形状を有する透過性のカバー布帛(cover fabric)を供給し、モールド中に形作られたカバー布帛の上に反応性の発泡性ポリウレタン配合物を注ぎ、そのカバー布帛に一体に接着された成型発泡体を形成することにより、上にカバー布帛が一体に接着された軟らかい発泡製品が製造できる。望ましくない発泡体の特性は、注入された材料がそのカバー布帛にしみ込み又は透過することから生じる。液体の貯蔵原料を直接、透過性のカバー布帛の内側表面に適用するとき、化学的もしくは熱的発泡の前又は間に、手触りが好ましくなく、自動車品質スペックにも合致しない、部分的に剛直した面や硬い点の原因となる飛躍的な浸透が布帛に生じるおそれがある。
【0006】
或いは、カバー布帛への発泡体本体の透過又は浸透を避ける目的で、カバー布帛の内側表面に気密性のフィルムを適用する技法が、多くの米国特許の中で提案されている。例えば特許文献1〜4には、気密性のフィルム、好ましくはポリ塩化ビニルフィルムをカバー布帛の裏面に適用することが開示されている。しかしながらそのような気密性又は非浸透性のフィルムは、最終発泡製品から透水性及び通気性を奪い、その製品の表面に、湿っぽい又はべたべたするなどの不快な感覚をもたらす。これら幾つかの不都合を避けるため、特許文献5には、布帛に接合したラテックス発泡体の薄層を用いることにより複合体カバー材料を製造することが提案されている。この後者の発明を重要な商品にすることについての欠陥は、より高密度での使用が重量軽減の妨げになるというコスト競争密度において、従前から入手できる発泡システム、例えばスチレン−ブタジエンポリマーなどが性能面で不適当であるということにより説明できる。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,247,347号明細書。
【特許文献2】米国特許第4,247,348号明細書。
【特許文献3】米国特許第4,264,386号明細書。
【特許文献4】米国特許第4,287,143号明細書。
【特許文献5】米国特許第5,460,873号明細書。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、より優れた作業効率を有し、製造の間に生じる揮発分の発生の少ない発泡体裏打ちを有する複合材料を製造するための簡素化された方法を持つことは、有利なことであろう。更に詳しくは、適切な製品を創製する方法は、フレームラミネーション工程、接着剤接合を含む多段階工程の必要性や、基材と組合される非透過性層を有することの必要性を回避する。OEMの要求にも合致しつつ、カバー材料に用いられる布帛の、選択の自由度を高める燃焼性改良特性を有することもまた、そのように製造される製品には有利なことであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの側面において、本発明は、ポリウレタン発泡体の基材への接着により得られる、2種又はそれ以上の成分の発泡体複合材料の製造方法であって、水性ポリウレタン配合物を起泡させ(frothing);その起泡体を基材に適用し;そしてその起泡体を乾燥して乾燥密度35kg/m3〜160kg/m3(2.2〜10 lbs/cft)を有する発泡体にする工程を含む方法である。
【0010】
別の側面において、本発明は、フレームラミネーション工程又は接着剤バインダー層を使用することなく、2種又はそれ以上の成分の複合材料の製造方法であって、配合された水性ポリウレタン分散液を起泡させ;その起泡体を生地に適用し;そしてその起泡体を乾燥して乾燥密度35kg/m3〜160kg/m3(2.2〜10 lbs/cft)を有する発泡体にする工程を含む方法であり、その発泡体複合材料は燃焼性改良試験(combustion modification test)FMVSS302に合格する。
【0011】
また別の側面において、本発明は、ポリウレタン分散液に十分な量の難燃剤が添加された発泡体複合材料の製造であり、それにより、そのような分散液から発泡体を製造したときに、その発泡体が燃焼性改良試験FMVSS302に合格する。ポリウレタン分散液には補助的な成分を添加することができ、その結果、最終的な分散液は50〜95重量部の乾燥固体を含むことになる。
【0012】
補助的な側面において、本発明は、自動車の座席などの最終用途において、その生地を取扱う際に、取扱の容易さを向上させるため表面の摩擦係数が改善されるように、その発泡体の表面特性が適切に改質された発泡体複合材料の製造である。そのような発泡体の表面特性の改質は、幾つかの異なる方法で達成される。第一に、起泡に先立って、ワックスなどの適当な添加剤を配合ポリウレタン分散液又はコンパウンドに添加して、乾燥段階の間に、その発泡体の表面にワックスを吹き出させて表面の滑らかさを導くこと。第二に、乾燥炉を出た直後に乾燥発泡体の表面に、シリコーンなどの水系のスプレーコーティングを適用して、ロール状製品として巻き上げてロール状貯蔵品にする前の、熱い又は温かい複合体の発泡体表面上にそれが乾燥して滑性のフィルムとなるようにすること。第三に、乾燥炉をでた後でロール製品として巻き上げてロール状製品にする前に、薄いフィルム、例えば“Pink Poly”(INTEGRAL(商標)899及びDAF(商標)780、Dow Chemical Company製)のような軽量ポリエチレン不織布を、ニップロールにより、直接、乾燥発泡体表面に熱積層すること。第四に、布帛は、湿潤起泡体の乾燥前に湿潤起泡体の上に載置することができ、出来上がった複合材料は単一行程の乾燥工程で乾燥する。
【発明の効果】
【0013】
一つの態様において、本発明は、基材にポリウレタン起泡体を適用することによって、基材上にポリウレタン発泡体を接着することによる発泡複合体の製造方法である。基材がテキスタイルであるとき、この方法では、フレームラミネーション工程の必要性又は、テキスタイルと別に作製されたスライス発泡体との間のバインダー又は接着剤の必要性がなくなる。本方法ではまた、布帛の中への配合物の浸透による布帛の手触りの粗さを避け又は減じるために、透過性のテキスタイルと適用される発泡体の配合物との間に非透過性の層を設けることの必要性がなくなる。フレームラミネーション工程を行わないことは、発泡複合体の製造に必要な多くの工程を削減し、フレームラミネーション工程に伴う排出物の発生を防止する。ある種の選択された難燃剤の添加に伴って、意外にも、その複合材料はハロゲン化難燃剤の存在を必要とせずに、要求される難燃特性に合格することを見出した。
【0014】
驚くべきことには、水系のポリウレタン分散液は35〜80重量部の固形分を配合することができるが、なお35〜40kg/m3程度の低密度及び弾性率(resiliency)10〜50%の最終発泡体を得ることができることを見出した。更に、燃焼性改質剤(combustion modifying agent)と組合されたそのような分散液から製造された複合体は、燃焼性改良試験FMVSS302に合格することを見出した。
【0015】
前記のポリウレタン分散液の使用は、その他の水性ポリマー系、例えばスチレン−ブタジエンラテックスよりも有利である。そのようなラテックスが機械的に起泡された発泡体を提供できることは周知である。しかしながら、これらの分散液から得られる低密度材料の物理的特性は、現行のフレームラミネーション又は接着剤結合製品の要求性能には合格しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施において有用なポリウレタン分散液には、水とポリウレタン;ポリウレタンを生成することができる混合物;又は/及び界面活性剤の何れかとが含まれる。本発明で使用するポリウレタン生成性物質とは、ポリウレタンポリマーを製造するために用いることができる物質である。ポリウレタン生成性物質には、例えばポリウレタンプレポリマーが含まれる。ポリウレタンプレポリマーは、分散の後も、ある一定の時間、イソシアネート反応性を幾らか残していてもよいが、本発明の目的のためには、ポリウレタンプレポリマー分散液は完全に反応したポリウレタンポリマー分散液とみなされるであろう。また本発明の目的のためには、ポリウレタンプレポリマー又はポリウレタンポリマーは、その他のタイプの構造、例えば尿素基を含むことができる。
【0017】
本発明の実施において有用なポリウレタンプレポリマーは、活性水素化合物と、活性水素物質に対して化学量論的に過剰な何れかの量のイソシアネートとの反応により製造される。本発明で有用なプレポリマー中のイソシアネート官能価は0.2重量%〜20重量%の量で存在することができる。適当なプレポリマーは、100〜10,000の範囲の分子量を有することができる。本発明の実施において有用なプレポリマーは、分散の状態で実質的に液体であるべきである。
【0018】
本発明のプレポリマー配合物にはポリオール成分が含まれる。ポリウレタン製造に最も一般的に用いられる活性水素含有化合物は、少なくとも2つの水酸基又はアミン基を有する化合物である。これらの化合物は、ここではポリオールと称される。適当なポリオールの代表例は一般に公知であり、“High Polymer”,XVI巻,“Polyurethanes,Chemistry and Technology”(Saunders and Frisch,Interscience Publishers,New York刊)、I巻、p.32−42、44−54(1962年)及びII巻、p.5−6、198−199(1964年);“Organic Polymer Chemistry”,(K.J.Saunders,Chapman and Hall,London刊)、p.323−325(1973年);及び“Development in Polyurethanes”,I巻(J.M.Burst編Applied Science Publishers刊)、p.1−76(1978年)などの刊行物に記載されている。しかしながら、本発明では何れの活性水素含有化合物も使用することができる。そのような物質の実例には、次の合成物類から選ばれるものを、単独で、又は混合して含む。(a)ポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加体;(b)非還元性糖類及び糖類誘導体のアルキレンオキシド付加体;(c)亜リン酸(phosphorus acid)又はポリ亜リン酸のアルキレンオキシド付加体;及び(d)ポリフェノールのアルキレンオキシド付加体。これらのタイプのポリオールは、ここでは「基本ポリオール」と称する。ここで有用なポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加体の実例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ジヒドロキシプロパン、1,4−ジヒドロキシブタン及び1,6−ジヒドロキシヘキサン、グリセロール、1,2,4−トリヒドロキシブタン、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリカプロラクトン、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールの付加体がある。ここでポリヒドロキシアルカンのアルキレンオキシド付加体として好ましいものは、ジヒドロキシ又はトリヒドロキシアルカンの、プロピレンオキシド付加体及びエチレンオキシド付加プロピレンオキシド付加体である。その他の有用なアルキレンオキシド付加体には、エチレンジアミン、グリセリン、ピペラジン、水、アンモニア、1,2,3,4−テトラヒドロブタン、フルクトース、スクロースの付加体が含まれる。本発明で有用なものはまた、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、トリオール、テトロール及びヘキソール並びにエチレンオキシドが付加したこれらの何れかである。これらのポリオールにはポリ(オキシプロピレンオキシエチレン)ポリオールも含まれる。オキシエチレンの含有量は、好ましくはポリオールの合計重量の約80重量%より少ない量、より好ましくは約40重量%より少ない量を含むべきである。エチレンオキシドは、それを用るとき、ポリマー鎖に沿ってどのようにも組み込むことができ、例えば中間ブロックとして、末端ブロックとして、もしくは随意分散ブロックとして、又はそれらの何れかの組合せとして組み込むこともできる。
【0019】
ポリエステルポリオールは、本発明のポリウレタン分散液を製造するために用いることができる。ポリエステルポリオールは、一般に、芳香族又は脂肪族であるエステル繰り返し単位により、また末端の一級又は二級のヒドロキシル基により特徴付けられるが、少なくとも2つの活性水素基で終結している何れのポリエステルも本発明では使用することができる。例えば、グリコールとポリエチレンテレフタレートとのエステル交換の反応生成物を、本発明の分散液を製造するために用いることができる。
【0020】
ポリウレタン分散液については、好ましくは、ポリウレタン又はポリウレタンプレポリマーを製造するために用いられる、活性水素化合物の少なくとも50重量%が、分子量600〜20,000、好ましくは1,000〜10,000、最も好ましくは3,000〜8,000を有するポリエーテルポリオールである。好ましくは、ポリオールは少なくとも2.2の水酸基官能価を有している。好ましくは、このポリオールは2.2〜5.0、より好ましくは2.3〜4.0、更に一層好ましくは2.5〜3.8の水酸基官能価を有している。最も好ましくは、ポリウレタン又はポリウレタンプレポリマーを製造するために用いられる活性水素化合物は、水酸基官能価2.6〜3.5及び分子量3,000〜8,000を有している。本発明の目的のために、官能価は、ポリオール製造の間に官能価に影響する何れか公知の副反応についても更に調整された、全ポリオール開始剤の平均計算官能価を意味することと定義される。
【0021】
本発明の配合物のポリイソシアネート成分は、任意の有機ポリイソシアネート、変性ポリイソシアネート、イソシアネートに基づくポリマー及びそれらの混合物を用いて製造することができる。これらには、脂肪族及び脂環式イソシアネートが含まれうるが、芳香族及び、特に多官能性芳香族イソシアネート、例えば2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートと、その対応する異性体混合物;4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と、その対応する異性体混合物;4,4’−、2,4’−及び2,2’−、ジフェニルジフェニルメタンジイソシアネートと、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)との混合物;並びに、PMDIとトルエンジイソシアネートとの混合物;が好ましい。最も好ましくは、本発明のプレポリマー配合物を製造するために用いられるポリイソシアネートは、MDIもしくはPMDI又はそれらの任意の粗混合物である。
【0022】
本発明での使用のためのプレポリマーには、連鎖延長剤又は架橋剤が含まれる。連鎖延長剤は、連鎖延長剤とポリウレタンプレポリマー中のイソシアネート官能価との反応、即ちポリウレタンプレポリマーを連鎖延長することにより、ポリウレタンプレポリマーの分子量を構築するために使用される。適当な連鎖延長剤又は架橋剤は、典型的には、分子当たり約2又はそれ以上の活性水素基を有する、対応する低当量の活性水素含有化合物である。連鎖延長剤は、典型的には約2又はそれ以上の活性水素基を有するが、架橋剤は約3又はそれ以上の活性水素基を有する。活性水素基はヒドロキシル基、メルカプチル基又はアミノ基であることができる。アミン連鎖延長剤は、ブロック化し、カプセル化し又はその他の方法で低活性化することができる。その他の物質、特に水も鎖長を延長するために機能することができ、本発明のための連鎖延長剤である。
【0023】
ポリアミンは好ましい連鎖延長剤及び/又は架橋剤である。連鎖延長剤は、アミン末端ポリエーテル、例えばJEFFAMINE D−400(Huntsman Chemical Company製)、アミノエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1,5−ジアミノ−3−メチルペンタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルエタノールアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンペンタミン、エタノールアミン、リシンの立体異性体の何れか及びそれらの塩、ヘキサンジアミン、ヒドラジン及びピペラジンよりなる群から選ばれることが特に好ましい。本発明の実施において、連鎖延長剤は水溶液として使用することができる。
【0024】
その分散液の生成において、連鎖延長剤は、連鎖延長剤の1当量と反応するイソシアネート1当量に基づいて、プレポリマー中に存在するイソシアネート官能価の0〜100%と反応するのに十分な量使用する。水を連鎖延長剤として機能させ、且つ存在するイソシアナト官能価の幾らか又は全てと反応させることは望ましいことでありうる。触媒も、必要に応じて、連鎖延長剤とイソシアネートとの間の反応を促進させるために使用することができる。本発明の連鎖延長剤が2つより多くの活性水素基を有するとき、それらはまた同時に架橋剤としても機能しうる。
【0025】
安定な分散液を製造するために有用な界面活性剤は、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤であることができる。アニオン界面活性剤の実例には、スルホン酸塩、カルボン酸塩及びリン酸塩が含まれる。カチオン界面活性剤の実例には4級アミンが含まれる。ノニオン界面活性剤の実例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はそれらの混合物を含むブロックポリマー、及びシリコーン界面活性剤が含まれる。
【0026】
ポリウレタン分散液に有用な界面活性剤は、外部界面活性剤又は内部界面活性剤の何れかであることができる。外部界面活性剤は、分散液製造の間に化学的に反応してポリマー中に入り込むようなことがない。ここで有用な外部界面活性剤の実例には、ドデシルベンゼンスルホン酸塩及びラウリル硫酸塩が含まれる。内部界面活性剤は、分散液製造の間に化学的に反応してポリマー中に入り込むような界面活性剤である。ここで有用な内部界面活性剤の実例には、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)及びその塩、又は塩化アンモニウムで中和されたスルホン化ポリオールが含まれる。界面活性剤は、本発明の配合物中にポリウレタン成分100重量部当り0.01〜8重量部の範囲の量で含まれることができる。
【0027】
最近、最も購入しやすいポリウレタン分散液は、DMPAを内部界面活性剤として含んでおり、本発明で利用することができる。対照的に、DMPAを含まず、むしろ内部界面活性剤としてエチレンオキシドに基づく非イオン性変性剤と組合されているポリウレタン分散液も、同じように本発明を実施するために適しており、本方法に他の技術的及び商業的利益を提供する。米国特許第6,271,276号明細書を参照されたい。
【0028】
一般に、ポリウレタン分散液を製造する技術分野の当業者には公知の任意の方法を用いることができる。ここで定義される適当な貯蔵安定性のポリウレタン分散液は、約5μmより小さい平均粒子径を持つ任意のポリウレタン分散液である。貯蔵安定性の悪いポリウレタン分散液は5μmより大きい平均粒子径を持つ可能性がある。例えば、適当な分散液は、ポリウレタンプレポリマーを水と混合し、ミキサーを用いてそのプレポリマーを水中に分散することにより製造することができる。或いは、適当な分散液は、プレポリマーを水と共に静電混合装置に供給し、その静電混合機中で水とプレポリマーを分散させることにより製造することができる。ポリウレタンの水性分散液を製造する連続法は公知であり、本発明の実施に使用することができる。例えば米国特許第4,857,565号;第4,742,095号;第4,879,322号;第3,437,624号;第5,037,864号;第5,221,710号;第4,237,264号;及び第4,092,286号の全明細書には、ポリウレタン分散液の製造に有用な連続法が記載されている。更に、高比率の分散相を有するポリウレタン分散液は、米国特許第5,539,021号明細書に記載されたような連続法により製造することができる。
【0029】
本発明で使用する発泡体を製造するのに適したポリウレタン配合物(以下、コンパウンド)はポリウレタン分散液並びに起泡用及び安定化用界面活性剤から製造することができる。驚くべきことに、起泡用及び安定化用界面活性剤の選択又はそれらの組合せを用いることにより、耐摩耗性、引張、引裂及び伸長(TTE)、圧縮永久歪み、フォーム回復性、湿潤強度、強靱性並びに基材接着性などの所望の発泡体特性を維持しながら、低めの密度の発泡体を得ることができるということを見出した。一つの性質を最適化するとその他の特性値に影響を及ぼすことになるので、当業者はこれらの特性の範囲を受入れ可能な値の組合せが維持されるように変えることができる。例えば約35kg/m3の密度を有する発泡体について、通常、産業上受入れ可能な発泡体特性には、ASTM D−3574での測定に従い30%より大きいレジリエンス;ASTM D−3574での測定に従い最小引張強度78(MPa);ASTM D−3574での測定に従い120%より大きい伸長率;が含まれる。約40kg/m3の密度を有する発泡体について、通常、産業上受入れ可能な発泡体特性には、28%より大きいレジリエンス;最小引張強度196(MPa);140%より大きい伸長率;が含まれる。
【0030】
通常、起泡された分散液から製造される発泡体は、35kg/m3〜160kg/m3の密度を有することになる。好ましくは、発泡体は40〜150kg/m3の密度を有する。より好ましくは、発泡体は50〜120kg/m3の密度を有する。最も好ましくは、発泡体は60〜80kg/m3の密度を有する。
【0031】
起泡体を製造するために有用な界面活性剤は、ここでは起泡用界面活性剤と称する。起泡用界面活性剤は、起泡に用いられる気体、通常は空気を均一に、且つ効果的に配合された発泡分散液中に分散させる。好ましくは、起泡用界面活性剤は、乾燥後、非泡立ち性の複合体発泡製品を製造する。
【0032】
本発明の低密度発泡体を製造するための起泡用界面活性剤は、アニオン性、カチオン性又は両性のものから選択することができる。一般に用いられるアニオン界面活性剤の実例には、ラウリル硫酸ナトリウムがあるが、この界面活性剤は最終発泡製品に後泡立ち性という不都合がある。好ましくは、起泡用界面活性剤はカルボン酸塩である。そのような界面活性剤は、一般式:
RCO2-+ (式1)
により表すことができ、ここでRはC8〜C20の直鎖又は分枝鎖のアルキルを表すが、そのアルキルは芳香族環、脂環族環又は複素環を含むことができ;Xは対イオンである。一般に、X+はNa、K又は、NH4+、モルホリン、エタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミンである。
【0033】
好ましくは、Rは炭素原子10〜18である。より好ましくは、Rは炭素原子12〜18を含む。その界面活性剤は複数の異なるRの種、例えばC8〜C20アルキルの脂肪酸塩の混合物などを含むことができる。好ましくはXはアミンである。より好ましくは界面活性剤はステアリン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩である。
【0034】
使用する起泡用界面活性剤の量は、ポリウレタン分散液の固形分に対する界面活性剤の乾燥固形分含有量の、100部当たりの部数に基づく。一般に、ポリウレタン分散液(の固形分)100部に対して、乾燥界面活性剤1〜15部を用いる。好ましくは、ポリウレタン分散液(の固形分)100部に対して、乾燥界面活性剤1〜10部を用いる。より好ましくは、ポリウレタン分散液(の固形分)100部に対して、乾燥界面活性剤1〜5部を用いる。より高いレベルで起泡用界面活性剤を使用する一方で、安定化用界面活性剤レベルを低下させることも可能であるが、同時に水の添加量が増加するため望ましくはない。更に、界面活性剤レベルを高くすることは、発泡複合体に曇りや汚れを増やすなどの有害な影響を及ぼす。
【0035】
安定な起泡体を製造するために有用な界面活性剤はここでは安定化用界面活性剤と称する。本発明の低密度発泡体を製造するために用いられる安定化用界面活性剤は、スルホン酸塩に基づくもの、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸塩、スルホコハク酸塩などである。好ましい硫酸塩は、一般式:
2OOCCH2CH(SO3-+)COOR2 (式2)
により表されるスルホコハク酸エステル類である。ここでR2は、それぞれ独立して、C6〜C20の直鎖又は分枝鎖のアルキルであり、そのアルキルは芳香族環又は脂環族環を含むことができ、Mは対イオンである。
【0036】
一般に、Mはアンモニア又は、周期律表1A族の構成員、例えばリチウム、カリウム又はナトリウムである。好ましくは、R2は炭素原子8〜20である。より好ましくは、R2は炭素原子10〜18である。その界面活性剤は、それぞれ異なるR2の種を含むことができる。好ましくは、Rはアミンである。より好ましくは、その界面活性剤はアンモニア塩である。好ましくは、安定化用界面活性剤はオクタデシルスルホコハク酸塩である。一般に、ポリウレタン分散液100部当り、乾燥界面活性剤0.01〜20部を用いる。好ましくは、ポリウレタン分散液100部当り、乾燥界面活性剤0.05〜10部を用いる。より好ましくは、ポリウレタン分散液100部当り、乾燥界面活性剤0.1〜6部を用いる。
【0037】
上記したアニオン界面活性剤の組合せに加えて、好ましくは、そのコンパウンドにはまた、起泡性及び/又は起泡体の安定性を向上させるために、両性界面活性剤を含ませることができる。好ましい両性界面活性剤は、N−アルキルベタインであり、好ましいものはβ−アルキルプロピオン酸誘導体である。N−アルキルベタインは一般式で表されることができる。そのような界面活性剤は、一般式:
3+(CH32CH2COO-+ (式3)
3+Cl-+ (式4) 又は
3+Br-+ (式5)
ここで、R3はC6〜C20の直鎖又は分枝鎖アルキルであり、そのアルキルは芳香族環又は脂環族環を含むことができ、R及びMは前記のとおりである。これを使用するとき、一般に、ポリウレタン分散液100部当り、乾燥両性界面活性剤0.01〜5部を用いる。好ましくは、ポリウレタン分散液100部当り、乾燥界面活性剤0.05〜4部が用いられる。
【0038】
上記のアニオン及び両性界面活性剤は市販されている。
【0039】
上に列挙した界面活性剤に加えて、起泡性及び/又は起泡体の安定性に悪影響を及ぼさないその他の界面活性剤も使用することができる。詳しくは、追加のアニオン、両性又はノニオン界面活性剤は、上で列挙した界面活性剤と組合せて使用することができる。
【0040】
ポリウレタン分散液、起泡用及び安定化用界面活性剤に加えて、そのコンパウンドには難燃剤が含まれることが好ましい。驚くべきことに、無機質充填剤のレベル及び最終発泡体の所望の物理的特性は、上記のアニオン及び両性界面活性剤の組合せにより得られることができることを見出した。界面活性剤の組合せはそのコンパウンド中での充填剤の分散安定性を促進するが、起泡体や発泡体の安定性に悪影響を及ぼすことはない。
【0041】
そのコンパウンドに添加される難燃剤には、典型的なラテックス発泡体に対して優れた難燃性を付与するために典型的に用いられるものが含まれる。そのような難燃剤には、ホスホン酸エステル、リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステル又はそれらの混合物が含まれる。ホスホン酸エステルの代表的な実例には、ホスホン酸ジメチル(DMMP)及びエチルホスホン酸ジエチル(DEEP)が含まれる。リン酸エステルの代表的な実例には、リン酸トリエチル及びリン酸トリクレジルが含まれる。ホスホン酸又はリン酸エステル難燃剤は、それらが用いられるとき、最終発泡体中に、その最終発泡体の0.5〜10重量%のレベルで存在する。
【0042】
ハロゲン化リン酸エステルの代表的な実例には、リン酸2−クロロエタノール(C612Cl24P);リン酸1−クロロ−2−プロパノール[リン酸トリス(1−クロロ−2−プロピル)](C918Cl34P)(TCPP)、リン酸1,3−ジクロロ−2−プロパノール(C915Cl64P)[リン酸トリス(1,3−ジクロロ−2−プロピル)ともいう];リン酸トリ(2−クロロエチル);リン酸トリ(2,2−ジクロロイソプロピル);リン酸トリ(2,3−ジブロモプロピル);リン酸トリ(1,3−ジクロロプロピル);エチレン二リン酸テトラキス(2−クロロエチル);2−クロロエチルホスホン酸ビス(2−クロロエチル);二リン酸エステル類[2−クロロエチル二リン酸];エチレン二リン酸テトラキス(2−クロロエチル);リン酸トリス(2−クロロエチル);リン酸トリス(2−クロロプロピル);リン酸トリス(2,3−ジブロモプロピル);リン酸トリス(1,3−ジクロロプロピル);エチレン二リン酸テトラキス(2−クロロエチル);及びエチレンオキシエチレン二リン酸テトラキス(2−クロロエチル);が含まれる。難燃剤として用いるとき、ハロゲン化リン酸エステルは、最終発泡体の0.5〜10重量%含まれるであろう。
【0043】
本分散液との使用のために好ましい難燃剤は脱水性難燃剤であり、そのうちの幾つかはある種の製品の充填剤として使用されてきたものである。そのような難燃剤には、珪酸アルカリ、ゼオライト又はその他の水和リン酸塩、硼珪酸塩又は硼酸塩、水酸化アルミニウム、シアヌル酸誘導体、粉末メラミン、膨潤性の黒鉛及びマイカ、ひる石及びパーライト並びにアルミノ水和方解石(alumino hydrocalcite)、水和菱苦土鉱(hydromagnesite)、ソーマサイト(thaumasite)及びワームランダイト(wermlandite)などの結晶水を含む鉱物類が含まれる。Al23・3H2O三水和アルミナ(水和酸化アルミニウム又は水和アルミナとしても知られている)が好ましい。
【0044】
脱水性難燃剤は、ポリウレタン分散液に、一般に、最終コンパウンドの分散液固形分100部当り5〜120部の量で添加する。好ましくは、この難燃剤は最終コンパウンドの分散液固形分100部当り20〜100部の量で添加する。より好ましくは、この難燃剤は最終コンパウンドの分散液固形分100部当り50〜80部の量で添加する。
【0045】
そのような脱水性難燃剤の使用は、ハロゲン化難燃剤使用を必要とせずに、ある種の燃焼試験、例えばFMVSS302などに合格するポリウレタン含有複合材料の製造を可能にする。そのコンパウンドは、そのテキスタイル自体が燃焼性改良試験に合格するテキスタイルに適用されることができる。そのような場合、燃焼性改良性能に何らの悪影響を及ぼさず、通常は燃焼性改良特性が改善される。発泡されたコンパウンドが、それ自体は特定の燃焼性試験に合格しないテキスタイルに付加すると、脱水性難燃剤を含む発泡コンパウンドの使用が、最終複合体の燃焼性改良特性を向上させる。
【0046】
慣用の充填剤の実例には、粉砕ガラス、炭酸カルシウム、三水和アルミニウム(aluminum trihydrate)、タルク、ベントナイト、三酸化アンチモン、カオリン、フライアッシュ、又はその他の公知の充填剤が含まれる。本発明の実施において、ポリウレタン分散液中に負荷する適当な充填剤は、最終コンパウンドの分散液固形分100部当り0〜200部(pphds)の量であることができる。好ましくは、充填剤は約100pphdsより少ない量で、最も好ましくは約80pphdsより少ない量で負荷させることができる。無機質充填剤の添加は、乾燥で除去されるべきコンパウンド中の水の百分率が低くなるので、製造ラインでの乾燥速度をそれだけ早くすることによって発泡複合体の製造を促進する。
【0047】
必要に応じて、充填剤用湿潤剤を存在させることができる。充填剤用湿潤剤は、一般にその充填剤とポリウレタン分散液との親和性を改善することができる。有用な湿潤剤には、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン酸塩が含まれる。充填剤用湿潤剤は、本発明のコンパウンド中に、少なくとも約0.5pphdsの濃度で含ませることができる。
【0048】
ポリウレタン分散液、燃焼性改良剤及び発泡安定剤に加えて、本発明のコンパウンドには、必要に応じて:ポリウレタン分散液の製造において、一般に用いられるものとは別の化学的実在物である架橋剤{反応剤(reactive agents)として又は水分散液としてのエポキシ樹脂、水分散性イソシアネート、低反応性脂肪族イソシアネート};充填剤;分散剤;増粘剤;吸収剤;香料及び/又は、ポリマー発泡体製品の製造に有用な、この技術分野では公知のその他の物質を含ませることができる。「コンパウンド」なる用語は、特に、それが乾燥されて安定な発泡体を形成するような起泡体を製造するために、機械的起泡装置に投入される物質を意味する。
【0049】
本発明では、必要に応じて、増粘剤が含有される。増粘剤は、本発明において、低粘度のポリウレタン分散液の粘度を上昇させるために有用である。本発明の実施における使用に適した増粘剤は、この技術分野では公知の任意のものであることができる。例えば適当な増粘剤にはALCOGUM(商標)VEP−II(Alco Chemical Corporationの商標)及びPARAGUM(商標)241(Para−Chem Southern,Inc.の商標)が含まれる。その他の適当な増粘剤には、セルロース誘導体、例えばMethocel(商標)製品(Dow Chemical Companyの商標)が含まれる。増粘剤は、所望の粘度のコンパウンドを製造するために必要な、何れかの量で用いられることができる。
【0050】
本発明の目的に対しては任意的であるが、幾つかの成分はその製造工程の間及びその後における製品の安定性及び耐久性にとって、大いに有利でありうる。例えば、そのコンパウンド中に酸化防止剤、殺生剤及び防腐剤を含有させることは、本発明の実施では大いに有利でありうる。
【0051】
コンパウンドから起泡体を製造するために、通常、気体の起泡剤が使用される。適当な起泡剤の実例には:気体及び/又は気体の混合物、例えば空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが含まれる。起泡剤は、典型的には、大気圧より高い圧力で液体のコンパウンド中へ気体を導入することにより導入され、所定の滞留時間の間に機械的剪断力により均一な起泡体を形成する、即ち機械的起泡である。起泡化ポリウレタン裏打ち材の製造において、コンパウンドの全ての成分を混合し、次いでその混合物に、OAKES,COWIE & RIDING又はFIRESTONEの起泡機などの装置を用いて、気体を混入することが好ましい。
【0052】
水性ポリマー分散液のその他のタイプが、本発明のポリウレタン分散液と組合せて使用することができる。本発明のポリウレタン分散液とブレンドするために有用な適当な分散液には:スチレン−ブタジエン分散液;スチレン−ブタジエン−塩化ビニリデン分散液;スチレン−アクリル酸アルキル分散液;エチレン−酢酸ビニル分散液;ポリクロロプロピレンラテックス;ポリエチレン共重合体ラテックス;エチレン−スチレン共重合体ラテックス;ポリ塩化ビニルラテックス;又はアクリル系分散液、同様の配合物及びそれらの混合物が含まれる。
【0053】
本発明のポリウレタン発泡体は弾力性(resilient)である。本発明の目的に対して、弾力性のある発泡体は、ボール落下法でテストしたとき、最小レジリエンシー5%を有するものである。この方法、ASTM D3574は、一般に、既知重量のボールを標準の高さから明記された厚さの発泡体試料上に落下させ、次いでそのボールの跳ね返りを、それが落とされた高さの百分率として測定することからなる。好ましくは、本発明の発泡体は5〜80%のレジリエンシー、より好ましくは10〜60%のレジリエンシー、最も好ましくは15〜50%のレジリエンシーを有している。
【0054】
本発明のポリウレタン分散液は、基材、例えばレザーを含むテキスタイル、プラスチックフィルム、PVCなどの合成シート、紙、木材積層フローリング、シート状岩床などの構造材パネル、プロファイル板材用金属ホイルなどへ後で適用するために貯蔵することができる。典型的には、ポリウレタン分散液は、通常は起泡されたコンパウンドの形体で、安定な起泡体として基材の表面に、ドクターナイフもしくはロール、エアナイフ又はドクターブレードなど、層に適用測定する装置を用いて適用する(米国特許第5,460,873号及び米国特許第5,948,500号の各明細書を参照されたい)。その起泡体の生地への適用において、テキスタイルは、通常、起泡体付与の前に加熱する(米国特許第5,460,873号明細書を参照されたい)。好ましくは、テキスタイルは起泡体を適用する前に25〜50℃に加熱される。テキスタイルを加熱することは、液体の起泡体の粘度を低下させて界面でのテキスタイルへの浸透を促すものと信じられている。更に、テキスタイルを加熱することはまた、表面張力に影響を与えてその起泡体とテキスタイルとの親和性を高めるものと信じられている。
【0055】
起泡体を基材に適用した後、その材料は、その起泡体中に存在する実質的に全ての水分を除去して、弾力性のあるポリウレタン気泡発泡体を含む複合体である材料をもたらすような方法で処理する。水分の除去は、一般に適当なエネルギー源、例えば赤外線オーブン、慣用のオーブン、マイクロ波又は熱板などの使用によってなされる。好ましくは、乾燥は加熱によりなされる。乾燥は周囲温度であることもできるが、好ましくはオーブン中で50〜200℃の温度で行われる。
【0056】
テキスタイルを被覆するために用いられる発泡されたコンパウンドの量は、テキスタイルの特性、所望の被覆量及び被覆厚によって、乾燥重量で1.5〜25oz/yd2(0.053kg/m2〜0.85kg/m2)である。例えば厚さ3〜6mmの発泡体では、好ましい被覆重量は、乾燥重量で2〜12oz/yd2(0.067kg/m2〜0.4kg/m2)である。厚さ約12mmを有する発泡体では、好ましい被覆重量は、乾燥重量で10〜25oz/yd2(0.335kg/m2〜0.85kg/m2)である。
【0057】
一般的には本発明のポリウレタン発泡体裏打ち基材、及び特に本発明のポリウレタン発泡体裏打ちテキスタイルにおいて、基材に適用された後できるだけ早急に発泡ウレタンコンパウンドを乾燥することが有利である。本発明の発泡ウレタンコンパウンドの少なくとも最初の乾燥を、赤外線ヒーターを用いて行うことは、この実施がそのヒーターに面している表面に対して、審美的に望ましく、またエンボス又はその他ある種の形状形成工程を行うことができるような、平滑な皮膜形成を促進するので特に有利である。
【0058】
本発泡複合体を別の材料に載置し又はそれを覆うことを助けるためには、起泡配合物に「滑性」補助手段を組合せること、又はポリウレタン発泡体の完全な硬化の前もしくは後で更に滑性層を付与することが有利である。そのような補助手段は、発泡体表面の摩擦係数特性を緩和し、より取扱い易いところに複合体を摺動させることを可能にする。そのような滑性補助手段には、ポリオレフィンフィルムの積層、テフロン(登録商標)被覆、シリコーン等の噴霧などが含まれる。起泡物に組込むことができるそのような成分には、ワックス、特に種々のコンパウンド成分と相溶性のあるワックスエマルジョンが含まれる。
【0059】
本発明のポリウレタン発泡体の1つの特性は、より耐黄変性を有することである。汎用のポリウレタン発泡体、特にMDIやTDIなどの芳香族出発原料で製造されたものは、空気や紫外線への暴露により黄変する可能性がある。本発明の発泡体は、汎用のポリウレタン発泡体では早急な黄変の原因となるような条件で黄変に抵抗する驚くべき能力を有している。
【0060】
コンパウンドの製造において、粘度が低く良好な混合が得られるので、界面活性剤は、通常、酸化防止剤、殺生物剤等と共にポリウレタン分散液に添加する。次いで分散剤を添加し、続いて無機質充填剤を、良好な分散を保証し、その充填剤が凝集し/塊状になることを避けるのに十分なだけゆっくりと添加すべきである。最後に、所望の配合物粘度になるまで増粘剤を添加する。本適用において、充填剤及び増粘剤の添加の後にステアリン酸アンモニウムを添加することが、混合の間にコンパウンド粘度の低下をもたらすポリウレタン分散液の粒子の膨潤を回避するものと信じられている。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は本発明を詳説するために提供される。これらの実施例は本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、そのように解釈されるべきではない。全ての百分率は、別段の記載がない限り重量基準である。
【0062】
実施例で用いる物質:
【0063】
【表1】

【0064】
プレポリマーの製造:
プレポリマーは、VORANOL4701 504g、MPEG950 14g、ジエチレングリコール9.19g、ISONATE125M 86.45g及びISONATE50OP 86.45gを、ガラスボトル(その蓋のボトルへの接着を防ぐためにガラスボトルのねじ山がテフロン(DUPONTの登録商標)で巻かれたもの)に添加することにより製造する。ボトルは密閉し、成分が均一になるまで激しく震盪し、次いでボトルローラー上で10分間回転する。ボトルは、次いで70℃に保持されたオーブン中に約15分間静置し、その後取り出して、使用の前に室温まで放冷した。
【0065】
水性ポリウレタン分散液の製造:
ポリウレタン分散液は、水中でプレポリマーをピペラジンで、化学量論0.75、固形分52.7%となるまで連鎖延長することにより製造する。この分散液は、ポリマー固形分に基づいて、3%のBIO−TERG AS−40により製造する。そのウレタン分散液は、容積平均粒子径0.229μmを有している。
【0066】
例1
低密度弾性(low density resilient)ポリウレタン起泡発泡体の製造:
表Iに示す次の化合物を室温で製造し、粘度上昇させるため約1時間静置する。
【0067】
【表2】

【0068】
コンパウンドは“Oakes Laboratory Mixer”(E.T.Oakes Corporation; Hauppauge, New York)を用いて密度約110g/Lまで起泡させ、無被覆(uncoated)ポリエステル不織布布帛上に厚さ3.6mmで流延する。その発泡体は赤外線加熱で10秒間、引き続いてオーブン中、143℃で20分間乾燥させる。得られた発泡体の試験は下記の表IIIに列挙する。
【0069】
例2
難燃性用途の低密度弾性ポリウレタン起泡発泡体の製造:
表IIに示す次の化合物を室温で製造し、粘度上昇させるため約1時間静置する。
【0070】
【表3】

【0071】
表IIのコンパウンドは“Oakes Laboratory Mixer”(E.T.Oakes Corporation; Hauppauge, New York)を用いて密度約110g/Lまで起泡させる。その起泡体は、無被覆(uncoated)ポリエステル不織布布帛上に厚さ3.5mmで流延させる。その布帛は流延工程の間、暖められる(25〜50℃)べきである。その発泡体は赤外線加熱で5〜10秒間、引き続いて慣用のオーブン中、143℃で20分間乾燥させる。得られた発泡体の試験は下記の表IIIに列挙する。
【0072】
【表4】

【0073】
例3
難燃性用途の低密度弾性ポリウレタン起泡発泡体の製造:
表IVに示す次の化合物を室温で製造し、粘度上昇させるため約1時間静置する。
【0074】
【表5】

【0075】
表IVに記載されたコンパウンドは、商用銘柄のポリエステル布帛の上に流延した。この布帛試料は、被覆物を適用する前に、FMVSS302に従って難燃性(flammability resistance)についてテストした。発泡体/布帛複合体もまた、乾燥の後で難燃性についてテストした。試験結果は表Vに示す。
【0076】
【表6】

【0077】
本発明は、詳説する目的で前述のように詳細に記載されてきたが、そのような詳細は真にその目的のためだけであり、本発明の精神及び範囲から乖離することなく、当業者により変更がなされうるということは、理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン分散液、起泡用界面活性剤及び安定化用界面活性剤から製造される水性ポリウレタン配合物を起泡させ;その起泡体を基材に適用し;そしてその起泡体を乾燥して乾燥密度35kg/m3〜160kg/m3(2.2〜10 lbs/cft)を有する発泡体にする工程を含んでなる、前記ポリウレタン発泡体の基材への接着により得られる2種又はそれ以上の成分の発泡体複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記ポリウレタン分散液が水、連鎖延長剤、界面活性剤、ポリウレタンプレポリマーを、安定な分散液を製造するのに十分な混合条件下で混合することにより製造される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記界面活性剤がアニオン界面活性剤である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記起泡用界面活性剤がカルボン酸塩である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記起泡用界面活性剤が式:
RCO2-+ (式1)
(式中、Rは芳香族環、脂環族環又は複素環を含むことができるC8〜C20の直鎖又は分枝鎖のアルキルを表し;Xは対イオンである)
の1種又はそれ以上の界面活性剤である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
+がNa、K又はアミンである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
+がNH4+である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ポリウレタン分散液の固形分100重量部当り、乾燥界面活性剤重量1〜15重量部で存在する請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記界面活性剤がステアリン酸アンモニウムである請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記安定化用界面活性剤が少なくとも1種のスルホン酸塩に基づくアニオン界面活性剤である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記安定化用界面活性剤が式:
2OOCCH2CH(SO3-+)COOR2 (式2)
(式中、R2は、それぞれ独立して、芳香族環又は脂環族環を含むことができるC6〜C20の直鎖又は分枝鎖のアルキルを表し;Mは対イオンである)
の1種又はそれ以上の界面活性剤である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Mがアンモニア又は周期律表1A族の構成員である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤がオクタデシルスルホコハク酸塩である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記安定化用界面活性剤が、ポリウレタン分散液の固形分100重量部当り、乾燥界面活性剤重量0.01〜10重量部で存在する請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記配合物が発泡体複合材料が燃焼性改良試験FMVSS302に合格するような難燃剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記難燃剤がホスホン酸エステル、リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステル、脱水性難燃剤又はそれらの混合物である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記難燃剤が珪酸アルカリ、ゼオライト又はその他の水和リン酸塩、硼珪酸塩又は硼酸塩、水酸化アルミニウム、シアヌール酸誘導体、フェノール、メラミン又は尿素ホルムアルデヒド樹脂、膨潤性黒鉛及びマイカ、ひる石並びにパーライトから選ばれる脱水性難燃剤である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記難燃剤が水酸化アルミニウム、水和酸化アルミニウム、水和アルミナ又はそれらの混合物である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記難燃剤が、分散液の固形分100重量部当り、5〜120重量部の量で存在する請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記基材がテキスタイル、プラスチックフィルム、合成シート又は紙から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記基材がポリビニルシートである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記基材がテキスタイルである請求項20に記載の方法。
【請求項23】
その少なくとも一方の表面上を、ポリウレタン分散液、界面活性剤及び、そのような可撓性ポリウレタン発泡体を製造するための、それ自体公知のその他の添加剤を含む起泡ポリウレタン組成物に由来する、乾燥密度35kg/m3〜160kg/m3を有する可撓性発泡体で被覆された、織布から構成されるテキスタイル布帛−可撓性ポリウレタン複合材料。
【請求項24】
発泡体の表面特性が起泡ポリウレタン組成物中に、分散液の固形分100重量部当り、1.0〜10.0重量部の好適なレベルでワックスを含有させることによって変性されている請求項23に記載の複合材料。
【請求項25】
布帛に接する表面とは反対側の発泡体の表面特性が、シリコーンポリマーを、好ましくは水系エマルジョン又は分散液として、噴霧法又はロールコート法により、適用することにより変性されている請求項23に記載の複合材料。
【請求項26】
可撓性の発泡体に、3成分複合材料の製造に際して、そのテキスタイル又は発泡体に否定的な影響を及ぼすことのない圧力及び温度で、熱積層法により軽量ポリエチレン不織布が適用されている請求項23に記載の複合材料。

【公表番号】特表2006−508836(P2006−508836A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559152(P2004−559152)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/037273
【国際公開番号】WO2004/053223
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】