説明

ポリウレタン発泡ローラの製造方法及びその方法により得られたポリウレタン発泡ローラ

【課題】ポリウレタン発泡ローラのセル骨格を形成する膜を表面近傍及び内部において破断させ、通気性に優れた連通セルを形成することの出来るポリウレタン発泡ローラを得ることができるポリウレタン発泡ローラの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエーテルポリオールと、トリレンジイソシアネートとおよび、ジフェニルメタンジイソシアネートとを含む組成物を、金型内に予め配置した芯金の周囲に発泡硬化してなるポリウレタン発泡ローラの製造方法において、該金型内で発泡硬化し脱型した後、該ポリウレタン発泡ローラに対して、圧縮率20〜90%で圧迫しつつ、10〜200回の回転を施すクラッシング処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン発泡ローラに関し、特には、複写機やプリンター等の画像形成装置において、感光体や紙等の画像形成体にトナー(現像剤)を供給してその表面に可視画像を形成する現像ローラに対しトナーを供給するために用いるトナー供給ローラとして好適に用いられるポリウレタン発泡ローラの製造方法及びその方法により得られたポリウレタン発泡ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置や静電気記録装置等においては、電子写真プロセスにおける帯電、トナー層形成、現像、クリーニング、給紙、搬送等の各工程で、帯電ローラ、トナー供給ローラ、現像ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、搬送ローラ等の弾性材料や樹脂材料からなるローラが多様な役割を果たしている。
【0003】
これら各種ローラ部材において多く使用されているのが、ローラ軸の外周に、ポリウレタン材料を主成分とするポリウレタン層が形成されているポリウレタン発泡ローラである。かかる各種ローラ部材としてのポリウレタン発泡ローラにおいては、ポリウレタンフォーム層が全体として均一な内部及び表面構造を有しており、抵抗値や硬度等のローラ性能に局所的なバラツキが無いことが要求される。
【0004】
一般にかかる各種ローラ部材としてのポリウレタン発泡ローラの製造方法としては、ポリウレタンフォーム層を金軸と一体で筒型内において発泡成形する方法が一般的である(例えば特許文献1参照)。この方法に基づいて、従来の水を発泡剤とする一般的な低圧発泡方法を用いてポリウレタンフォーム層を得る技術に対し、機械的攪拌により液体を形成するメカニカルフロスの技術を用いて、より微細なセル構造を有するポリウレタンフォーム形成品を得る技術も提案されている(例えば特許文献2参照)。これら各種方法により製造されるポリウレタンフォームは、通常、膜により隔てられ、互いに連通しない独立空間として形成された多数のセル骨格から成り立っている。
【0005】
一方、ポリウレタン発泡ローラからなるローラ部材の各種性能を十分確保するためには、ポリウレタンフォーム層の表面性や内部構造が重要となる。例えば、トナー供給ローラの場合には、トナーを均一に供給し、掻き取るために、表面が自由度を有することが必要である。また、実機搭載の画像特性向上のためには、内部の通気性の向上を図ることも必要となる。よって、内部のセルを連通化させるために、型内成形後直ちにポリウレタンフォームに負荷応力を与えながらローラを1〜10回回転させることで、ローラ表面および内部において良好な連通セル構造を有するポリウレタン発泡ローラを得る技術も提案されている(例えば特許文献3参照)。しかしながら、使用するポリイソシアネート中のジフェニルメタンジイソシアネートの質量比が高くなると、極めて連通度が低く独立気泡型のポリウレタンフォームとなりやすい。従って、型内成形後直ちにクラッシング処理を十分に行う必要がある。さもないと、十分な連通度が得られず製品が収縮してしまうばかりか、安定した通気度を得ることが困難である。
【特許文献1】特開平9−274373号公報
【特許文献2】特開2003−211461号公報
【特許文献3】特開2004−226953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、(特に、高独立気泡性のポリウレタンフォーム層からなる)ポリウレタン発泡ローラのセル骨格を形成する膜を表面近傍及び内部において破断させ、通気性に優れた連通セルを形成することの出来るポリウレタン発泡ローラの製造方法および、その方法により得られたポリウレタン発泡ローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、以下の通りである。
【0008】
(1)金型内に予め配置した芯金の周囲に、ポリエーテルポリオールと、トリレンジイソシアネートとおよび、ジフェニルメタンジイソシアネートとを含む組成物を、発泡硬化してなるポリウレタン発泡ローラの製造方法において、該金型内で該組成物を発泡硬化し脱型した後、得られたポリウレタン発泡ローラに対して、圧縮率20〜90%で圧迫しつつ、10〜200回の回転を施すクラッシング処理を行うことを特徴とするポリウレタン発泡ローラの製造方法。
【0009】
(2)該クラッシング処理における該ポリウレタン発泡ローラの回転を、回転速度4rpm以上にて行う上記のポリウレタン発泡ローラの製造方法。
【0010】
(3)該クラッシング処理後の該ポリウレタン発泡ローラの通気度が0.5〜3.0l/mmとなることを特徴とする上記の製造方法により製造されたポリウレタン発泡ローラ。
【0011】
(4)該ポリエーテルポリオールの末端にエチレンオキシドが付加され、該ポリエーテルポリオールの質量平均分子量が2000〜10000であり、該トリレンジイソシアネートと該ジフェニルメタンジイソシアネートの質量比がトリレンジイソシアネート/ジフェニルメタンジイソシアネート=20/80〜70/30である該組成物からなることを特徴とする上記の製造方法により製造されたポリウレタン発泡ローラ。
【0012】
(5)該ポリウレタン発泡ローラがトナー供給ローラであることを特徴とする上記のポリウレタン発泡ローラ。
【0013】
(6)画像形成装置において、その電子写真プロセスにおける各工程に使用される各種ローラが、上記のポリウレタン発泡ローラであることを特徴とする上記画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、(特に、高独立気泡性のポリウレタンフォーム層からなる)ポリウレタン発泡ローラのセル骨格を形成する膜を表面近傍及び内部において破断させ、通気性に優れた連通セルを形成することの出来るポリウレタン発泡ローラを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、金型内に予め配置した芯金の周囲に、ポリエーテルポリオールと、トリレンジイソシアネート(以下TDIと記す)とおよび、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと記す)とを含む組成物を、発泡硬化してなるポリウレタン発泡ローラの製造方法において、該金型内で該組成物を発泡硬化し脱型した後、得られたポリウレタン発泡ローラに対して、圧縮率20〜90%で圧迫しつつ、10〜200回の回転を施すクラッシング処理を行うことを特徴とするポリウレタン発泡ローラの製造方法である。
【0016】
以下、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
本発明によるクラッシング処理は型内成形後のポリウレタン発泡ローラに対し圧縮率20〜90%で圧迫するのが好ましい。より好ましくは圧縮率40〜80%である。圧縮率が20%未満であると、該ポリウレタン発泡ローラの内部セル膜の破断が行われず、表面近傍だけがセル連通化するため、ローラ全体の通気性は低くなる。一方、該圧縮率が90%以上であると、ローラを回転させた際に、ローラ表面のちぎれ・欠落等の不具合が起こりうる。また、ここで言う、圧縮率とは、成形金型の内径、該芯金の直径をそれぞれa、b、クラッシング処理時の該芯金2の外周とポリウレタン発泡ローラを圧迫させる部材とを結ぶ最短幅をcとしたとき、関係式:{1−2c/(a−b)}×100%で求められる値を圧縮率と定義した。
【0018】
該ポリウレタン発泡ローラの回転は10〜200回が好ましく、より好ましくは毎分50〜150回である。該ポリウレタン発泡ローラの回転が9回以下であるとセル骨格を形成する膜の破断が不十分であるため、セルの連通度が低くなり、通気性は向上しない。さらには、フォーム自体が収縮した状態になり形状不良になる恐れがある。一方、回転が201回以上であると、フォーム表面に若干の毛羽立ちが認められ、場合によってはフォームちぎれや欠落が発生してしまう可能性がある。
【0019】
なお、前述したように、ポリウレタンフォームに対するクラッシング処理によりセルの連通化を図ることは公知の技術であるが、極めて連通度が低く独立気泡型のポリウレタンフォームについてはこれまで検討されておらず、本発明により始めて明らかになった知見である。
【0020】
また、本発明による上記クラッシング処理は、例えば、図1に示すようなロール対4の間に、処理前のポリウレタン発泡ローラを挟み込む方法を用いて行うことができる。図示する方法においては、平行に配置されたポリウレタン発泡ローラ1を該ロール対4に対して平行に配置する。このとき該ポリウレタン発泡ローラ1の軸となる芯金2の両端部は回転可能に固定されている。次いで、該ポリウレタン発泡ローラ1を該ロール対4で所望の圧縮率に圧迫させた状態で該ロール対4を同方向、同速度で回転させ、該ポリウレタン発泡ローラ1を矢印方向に回転させることにより、クラッシング処理を行うことができる。該ロールの材質は、SUJ2(軸受鋼)を好ましく用いることができるが、これに限定されることはなく、一般鉄鋼材料、ステンレス鋼材料、アルミニウム合金材料、樹脂系材料等を使用してもよい。また、該ロールの表面については特に制限がなく、鏡面加工したもの、粗し加工したもの、凹凸をつけたもの等を使用することができる。該クラッシング処理の際に芯金を軸としてその両端部を回転可能に固定する方法で処理を行うため、本発明におけるポリウレタン発泡ローラは芯金の外周に担持された発泡硬化層を備えるポリウレタン発泡ローラであることが好ましい。該芯金の材質は特に制限はなく、例えば硫黄快削鋼などの鋼材にニッケルなどのメッキを施した金属部材、アルミニウム、ステンレス鋼、マグネシウム合金などの金属部材が挙げられ、芯金外径としては、例えばφ3〜10mmである。
【0021】
本発明によるクラッシング処理は、ポリウレタン発泡ローラの回転速度を4rpm以上にすることが好ましい。これよりも回転速度が小さい場合には、ポリウレタン発泡ローラのセル骨格を形成する膜の破断が不十分となり、十分なクラッシング処理が行われない。
【0022】
前記クラッシング処理によって製造された該ポリウレタン発泡ローラは、通気度0.5〜3.0l/mmであることが好ましい。より好ましくは、0.8〜2.5l/mmである。該通気度が0.5l/mm以下であると、該ポリウレタン発泡ローラの表面セルもしくは内部セルは高独立気泡性となる。一方、該通気度が3.0l/mm以上であると、該クラッシング処理により、セル骨格を形成する膜の破断だけではなく、セル骨格自体が破断されている可能性があり、フォームの欠落、ちぎれ等の不具合を招く恐れがある。また、ここで言う、通気度とは、図3に示すように、成形後のポリウレタン発泡ローラ1を円筒5の一端を大気に晒す一方、その他端を、流量計6を介して、真空ポンプ7に接続する。次いで、円筒5の、真空ポンプ7に接続された側の圧力を圧力計8にて計測して、それが125Paになるように真空ポンプ7を作動させ、その時の空気流量を流量計6で測定するものである。
【0023】
本発明によるクラッシング処理において、該ポリウレタン発泡ローラのポリウレタンフォーム層の組成は特に制限はなく、例えば、該ポリエーテルポリオールの末端にエチレンオキシドが付加され、該ポリエーテルポリオールの質量平均分子量が2000〜10000であり、該TDIと該MDIの質量比がTDI/MDI=20/80〜70/30である組成物からなる高独立気泡性のポリウレタンフォーム層に対しても、常に安定して、通気性の優れたポリウレタン発泡ローラを得ることができる。
【0024】
本発明でのポリウレタン発泡ローラは、ポリウレタンフォームからなることが特徴であり、このポリウレタンフォームの製造においては、ポリウレタンフォーム形成材料として、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、発泡剤及び所望により用いられる導電性付与剤、触媒、整泡剤などを含有するものが使用される。
【0025】
該ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネートやジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート及びその誘導体が好ましいが、従来公知の各種ポリイソシアネートの中から、適宜選択して使用しても何ら問題はない。このポリイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート及びその誘導体、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート及びその誘導体などが挙げられる。
【0026】
該ポリオールとしては、特に制限は無く、従来公知の各種ポリオールの中から、適宜選択して使用することが出来る。このポリオールの例としては、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキシレンアジペート(PHA)、エチレンアジペートとブチレンアジペートの共重合体、ダイマー酸系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオールや、ポリオキシアルキレングリコール等のポリエーテルポリオールが挙げられる。また、あらかじめポリイソシアネートと重合させたプレポリマーとして用いても差し支えない。
【0027】
該ポリイソシアネート、ポリオールと共に用いられる整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとEO/PO共重合物からの水溶性ポリエーテルシロキサン、スルホン化リシノール酸のナトリウム塩やこれらとポリシロキサン・ポリオキシアルキレンコポリマーとの混合物等が挙げられる。この中でもポリエーテルポリオール系整泡剤としては、水溶性ポリエーテルシロキサンが好適である。
【0028】
該ポリイソシアネート、ポリオールとともに用いられる発泡剤は、水、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、メチレンクロライド、トリクロロフルオロメタン、n−およびイソ−ペンタン、特にこれらの工業的混合物、n−およびイソ−ブタン、プロパンのような液状炭化水素、フラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルのようなエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メチルホルマート、ジメチルオキサラート、エチルアセタート等のカルボン酸アルキルエステル等、二酸化炭素等が単独又は混合して使用されるが、環境保護の観点より水を単独で使用することが好ましい。
【0029】
本発明に用いられる触媒としては、公知のもので特に限定はないが、例えば、アミン系触媒としては、1,2−ジメチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−オクタデシルモルホリン、ジエチレントリアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス〔2−(N.N−ジメチルアミノ)エチル〕エーテル、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N′,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンジアミンの塩類、第一及び第二アミンのアミノ基のオキシアルキレン付加物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、N,N−ジアルキルピペラジン類のようなアザシクロ化合物、種々のN,N′,N″−トリアルキルアミノアルキルヘキサヒドロトリアミン類等があり、有機金属系ウレタン化触媒としては、酢酸錫、オクチル酸錫、オクテタン酸錫、オレイン酸錫、ラウリン酸錫、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等があり、前記アミン系触媒及び有機金属系触媒の初期活性を低下させた有機酸塩触媒(カルボン酸塩やホウ酸塩等)がある。
【0030】
また、必要により使用される架橋剤の構造は特に限定されないが、アルキレングリコール、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)等のトリオール類、ペンタエリスルトール等のテトラオール類、エチレンジアミン(EDA)等のジアミン類、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)等のアミノアルコール類等を、単独、又は混合して使用することが出来る。さらには、必要により導電性を付与するための導電性材料としては、一般の導電性付与剤が使用でき、例えばイオン導電性物質も用いることができる。イオン導電剤としては、第四級アンモニウム塩等があげられ、単独でもしくは併せて用いられる。その他添加剤として、難燃剤、着色剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、酸化防止剤、破泡剤等を必要に応じて使用することが出来る。
【0031】
本発明におけるクラッシング処理で成形されたポリウレタン発泡ローラは帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、クリーニングローラなどの弾性を有するローラ等の形態で用いられるが、トナー供給ローラとして使用するのが最適である。
【0032】
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1〜2]
まず、混合ポリオールとして、FA−908(三洋化成株式会社製ポリエーテルポリオール)100質量部、ジエタノールアミン0.5質量部、L5366(日本ユニカー株式会社製シリコーン系整泡剤)1質量部、ToyoCat−ET(東ソー株式会社製第3級アミン触媒)0.1質量部、TEDA−L33(東ソー株式会社製第3級アミン触媒)0.5質量部、水(発泡剤)2質量部を混合し、その後、T80(三井武田ケミカル株式会社製イソシアネート、NCO%=48)と、M200(三井武田ケミカル株式会社製イソシアネート、NCO%=31)を1:1で調合したものをNCOインデックス100となるように混合攪拌し、次いで、内径がΦ14mmである成形金型に注型し、温度60℃の加熱を行ない発泡成形することにより、図2に示されるが如き回転軸となる芯金2の周りに、ポリウレタンフォーム層3を一体的に形成せしめてなるポリウレタン発泡ローラ1を製造した。なお、使用した成形金型の内径はφ14mmであり、成形されたポリウレタン発泡ローラ1の芯金径は6mmである。
【0033】
クラッシング処理条件である圧縮率、ローラの回転回数及び回転速度をそれぞれ表1に示す値に設定した。圧縮率は図1に示すフォームを圧縮するロール対4の隙間で調整した。また、成形後のローラの通気度を測定し、クラッシング処理によるセル連通及び通気性を調べ、その結果を表1に示した。
【0034】
さらに、成形後のローラ表面の欠落、毛羽立ちの発生の有無を目視にて調べ、その結果を表1に示した。その評価においては、○がローラ表面の欠落・毛羽立ちの認められないもの、△がローラ表面に若干の欠落・毛羽立ちが認められるが使用上何ら問題ないもの、×はローラ表面の欠落・毛羽立ちの発生が顕著であることを示す。
【0035】
【表1】


【0036】
かかる表1の結果より明らかなように、本発明に従う実施例1〜6に関しては、通気性に優れたローラであることが認められ、ローラ表面の欠落や毛羽立ちに関しても、実施例4及び6で若干のローラ表面の毛羽立ちが見られたが、使用するには何ら問題のないレベルであり、本発明が優位であることが認められる。
【0037】
比較例1及び3に関しては、クラッシングが不十分となり、結果的に通気度が低くなり、極めて高独立気泡性のポリウレタンフォーム層となる。また、比較例2及び4については、通気性に優れてはいるが、クラッシング処理によるローラ表面の欠落が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る通気性に優れた連通セルを形成することの出来るポリウレタン発泡ローラは、複写機やプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置や静電気記録装置等における利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明におけるクラッシング処理(ロールクラッシング時)の断面図である。
【図2】本発明におけるポリウレタン発泡ローラの概略図である。
【図3】本発明におけるポリウレタンフォーム層の通気度の測定手法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1‥‥ポリウレタン発泡ローラ
2‥‥芯金
3‥‥ポリウレタンフォーム層
4‥‥(クラッシング用)ロール対
5‥‥円筒
6‥‥流量計
7‥‥真空ポンプ
8‥‥圧力計


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内に予め配置した芯金の周囲に、ポリエーテルポリオールと、トリレンジイソシアネートとおよび、ジフェニルメタンジイソシアネートとを含む組成物を、発泡硬化してなるポリウレタン発泡ローラの製造方法において、該金型内で該組成物を発泡硬化し脱型した後、得られたポリウレタン発泡ローラに対して、圧縮率20〜90%で圧迫しつつ、10〜200回の回転を施すクラッシング処理を行うことを特徴とするポリウレタン発泡ローラの製造方法。
【請求項2】
該クラッシング処理における該ポリウレタン発泡ローラの回転を、回転速度4rpm以上にて行う請求項1に記載のポリウレタン発泡ローラの製造方法。
【請求項3】
該クラッシング処理後の該ポリウレタン発泡ローラの通気度が0.5〜3.0l/mmとなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の製造方法により製造されたポリウレタン発泡ローラ。
【請求項4】
該ポリエーテルポリオールの末端にエチレンオキシドが付加され、該ポリエーテルポリオールの質量平均分子量が2000〜10000であり、該トリレンジイソシアネートと該ジフェニルメタンジイソシアネートの質量比がトリレンジイソシアネート/ジフェニルメタンジイソシアネート=20/80〜70/30である該組成物からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の製造方法により製造されたポリウレタン発泡ローラ。
【請求項5】
該ポリウレタン発泡ローラがトナー供給ローラであることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載のポリウレタン発泡ローラ。
【請求項6】
画像形成装置において、その電子写真プロセスにおける各工程に使用される各種ローラが、前記請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン発泡ローラであることを特徴とする上記画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−312661(P2006−312661A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134984(P2005−134984)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】