説明

ポリエステルポリオール及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】
本発明の目的は、高難燃性のポリエステルポリオールとそれを用いた高難燃性の硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【解決手段】
テレフタル酸及びイソフタル酸とポリオキシアルキレングリコールとをエステル化反応して得られるポリエステルポリオールであって、テレフタル酸とイソフタル酸のモル比が90:10〜75:25である高難燃性のポリエステルポリオールを提供すると共に、ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤、難燃剤をポリイソシアネートと混合反応させる硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、ポリオールとして、当該高難燃性のポリエステルポリオールを用いる高難燃性の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として断熱材等として使用される硬質ポリウレタンフォーム用のポリオール及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。詳しくはポリオールの少なくとも一部として使用されるポリエステルポリオールにおいて、原料として用いる特定のカルボン酸の比率を規定することにより、高難燃性のポリエステルポリオールを提供すること、及び、それを用いて得られる高難燃性の硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性により建築外壁材・構造材として、マンション、ビル及び一戸住宅等、冷蔵庫等の家電製品などの製品分野における断熱材として用いられている。この硬質ポリウレタンフォームの製造には、主原料であるポリオール、発泡剤とポリイソシアネートとを混合反応、発泡、硬化させることに形成される。硬質ポリウレタンフォームに要求される特性としては、難燃性が挙げられる。このような難燃性に優れた硬質ポリウレタンフォームを製造するにあたって、原料としてフタル酸系ポリエステルポリオールを用いて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法が公知である。しかしながら、近年では建築基準法の改正により、防火材料試験(難燃・準不燃・不燃材料)もコーンカロリーメーター試験による国際的な基準が導入されるようになり、硬質ポリウレタンフォームの高難燃化の要求が一層高まってきている。
【0003】
硬質ポリウレタンフォームの難燃性の向上の為、フタル酸の種類(オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸)及び比率を限定したポリエステルポリオールを用いる方法が提案されている。例えば、オルトフタル酸を含有する原料混合物を反応させてなるポリエステルポリオール用いた方法(特許文献1)が提案されているが、オルトフタル酸を用いて得られるポリエステルポリオールはテレフタル酸及び/またはイソフタル酸から得られるポリエステルポリオールに比べて、燃焼し易い点があり、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性が不足する。また、テレフタル酸、イソフタル酸に加えて、脂肪族多価カルボン酸を併用して得られるポリエステルポリオール用いた方法(特許文献2)が提案されているが、脂肪族多価カルボン酸を使用すると、得られる硬質ポリウレタンフォームの自己接着性は改善されるが、同様に難燃性が不足する。
【0004】
一方、テレフタル酸とイソフタル酸を併用するポリエステルポリオールとしてテレフタル酸/イソフタル酸のモル比が30/70〜70/30であるポリエステルポリオールを用いる方法(特許文献3)が提案され、具体的には、テレフタル酸/イソフタル酸のモル比が30/70及び50/50であるポリエステルポリオールが例示されている。また、イソフタル酸のみからなるポリエステルポリオールを用いる方法(特許文献4)も提案されているが、十分な難燃性を得る為、ポリエステルポリオール中の芳香環濃度を24重量%以上とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−1561号公報
【特許文献2】特開2004−51693号公報
【特許文献3】特開2011−16854号公報
【特許文献4】特開2008−88356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は高難燃性のポリエステルポリオールとそれを用いた高難燃性の硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは硬質ポリウレタンフォームに使用されるポリエステルポリオールにおいて、原料であるテレフタル酸とイソフタル酸の比率について、鋭意研究した結果、それらを特定の比率にすることにより、更に難燃性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の骨子を有するものである。
(1)硬質ポリウレタンフォーム用のポリエステルポリオールであって、カルボン酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸を用い、アルコール成分としてポリオキシアルキレングリコールを用いてエステル化反応して得られるものであり、テレフタル酸とイソフタル酸のモル比が90:10〜75:25であることを特徴とするポリエステルポリオール。
(2)ポリオキシアルキレングリコールの分子量又は数平均分子量が、100〜1000であることを特徴とする上記(1)に記載のポリエステルポリオール。
(3)エステル化反応によって得られるポリエステルポリオールの水酸基価が、100〜400mgKOH/gであることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のポリエステルポリオール。
(4)ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤及び難燃剤をポリイソシアネートと混合反応させる硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、ポリオールとして上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のポリエステルポリオールを用いることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、高難燃性のポリエステルポリオールの提供及びそれを用いた高難燃性の硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリエステルポリオールは、カルボン酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸を用い、アルコール成分としてポリオキシアルキレングリコールを用いてエステル化反応して得られるものである。
【0011】
カルボン酸成分として用いるテレフタル酸とイソフタル酸のモル比としては、通常90:10〜75:25、好ましくは88:12〜77:23、より好ましくは85:15〜80:20の範囲である。なお、このモル比は合計を100として、テレフタル酸:イソフタル酸の比で表す。上記の範囲外、例えば、イソフタル酸のモル比が10未満の場合、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性が低下する。他方、イソフタル酸のモル比が25を超える場合、同様に難燃性が低下する。尚、テレフタル酸、イソフタル酸についてはジメチルエステル等の誘導体等を用いても良く、これらを単独又は2種以上の併用が可能であり、エステル等の誘導体を用いる場合はそれぞれテレフタル酸やイソフタル酸に換算したモル数で扱う。
【0012】
難燃性の観点から、カルボン酸成分の全量をテレフタル酸及びイソフタル酸として、上記のモル比の範囲で用いるのが好ましいが、難燃性の低下が許容できる範囲で、上記テレフタル酸及びイソフタル酸以外の脂肪族多価カルボン酸及び芳香族多価カルボン酸を併用することもできる。例えば、脂肪族多価カルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マレイン酸、及びこれらのエステル誘導体が挙げられる。また、芳香族多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、及びこれらエステル誘導体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上の併用も可能である。難燃性を著しく低下させない為に、これらのカルボン酸を併用する場合、その使用量は全カルボン酸成分中50モル%以下が好ましく、より好ましくは40モル%以下である。
【0013】
アルコール成分として用いるポリオキシアルキレングリコールとしては、通常、分子量又は数平均分子量が100〜1000のポリオキシアルキレングリコールであり、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールやポリエチレングリコールの他、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらのうち分子量又は数平均分子量が100〜400のポリオキシアルキレングリコールが好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが最も好ましい。また、これらのうち1種または2種以上の併用も可能である。なお、ジエチレングリコール等の単一成分のときはその分子量を、ポリエチレングルコールのように単一成分でないときはその数平均分子量をこれらの範囲とする。
【0014】
コストや粘度の観点からアルコール成分の全量をポリオキシアルキレングリコールとするのが好ましいが、コストや粘度の上昇が許容できる範囲で上記ポリオキシアルキレングリコール以外の多価アルコールを併用することもできる。例えば脂肪族多価アルコールとして、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1 ,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2 メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1, 9−ノナンジオール等の2官能性アルコールやグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多官能性アルコールが挙げられ、これらのうち1種または2種以上の併用も可能である。これらの多価アルコールを併用する場合、その使用量は全アルコール成分中50モル%以下が好ましく、より好ましくは40モル%以下である。
【0015】
本発明のポリエステルポリオールの製造方法は特に限定されず、通常公知のエステル化反応によって製造することができる。例えば、充填塔、冷却塔及び攪拌装置を備えた耐圧容器に、上記カルボン酸成分とアルコール成分を所定量仕込み、窒素等の不活性ガス雰囲気下で混合攪拌しながら加熱してエステル化反応を行う。エステル化の反応温度は、通常150〜250℃、好ましく180〜230℃である。一方、圧力に関しては常圧でも構わないが、副生する水を系外に除去して反応を速やかに完結させる為に、反応の進行に伴って徐々に減圧するとよい。
【0016】
上記のエステル化反応によって得られるポリエステルポリオールの水酸基価は100〜400mgKOH/g、好ましくは110〜390mgKOH/g、より好ましくは120〜380mgKOH/gである。上記の範囲外、例えば、水酸基価が100mgKOH/g未満の場合、ポリエステルポリオールの粘度が増大し、硬質ポリウレタンフォームの製造時の作業性が低下する恐れがある。他方、水酸基価が400mgKOH/gを超える場合、得られる硬質ポリウレタンフォームが脆くなる恐れがある。
【0017】
本発明における高難燃性の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤及び難燃剤をポリイソシアネートと混合反応させるものである。ポリオールの少なくとも一部として本発明の上記ポリエステルポリオールを使用し、その使用量は、通常全ポリオール中30重量%以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上であり、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性をより高める観点から、その全量を本発明の上記ポリエステルポリオールとするのが好ましい。上記の範囲外、例えば、本発明の上記ポリエステルポリオールが30重量%未満の場合、硬質ポリウレタンフォームの十分な難燃性が得ることが困難となる。
【0018】
硬質ポリウレタンフォームの製造において、ポリオールの全量を本発明の上記ポリエステルポリオールとしない場合には、他の各種公知であるポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオール等を併用する。併用するポリエステルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、フタル酸系ポリエステルポリオール、テレフタル酸系ポリエステルポリオール(本願の上記ポリエステルポリオールを除く、以下同じ。)、アジピン酸系ポリエステルポリオール等が挙げられ、得られる硬質ポリウレタンフォームの難燃性の観点から、芳香族多価カルボン酸を主成分とするポリエステルポリオール使用することが好ましく、テレフタル酸系ポリエステルポリオールを用いることがより好ましい。
【0019】
併用するポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークロス、ビスフェノールA、ノボラック等の多価アルコール類、フェノール類とアルデヒド類を反応させたベンジリックエーテル誘導体化合物、フェノール類及びアルデヒド類及びアミン類を反応させたマンニッヒ化合物及び/又はこれらのポリヒドロキシ化合物にアルキレンオキサイドを付加重合させたポリエーテルポリオール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トルエンジアミン等活性水素を2個以上含有する化合物および/又はこれらのアミン類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等を付加重合させたポリエーテルポリオールおよびポリテトラメチレングリコール、ポリマーポリオールが挙げられ、これらのうち1種または2種以上の併用も可能である。その水酸基価は、30〜800mgKOH/gであることが好ましい。
【0020】
本発明で使用する発泡剤は、特に限定されるものでなく、硬質ポリウレタンフォームの製造に使用される発泡剤が使用できる。例えば、HFC類、水、液化炭酸ガス、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素やペンタン等の低沸点炭化水素やHFO類等が挙げられる。又、これらは単独又は2種以上混合して用いても良い。
【0021】
本発明において硬質ポリウレタンフォームの製造に使用できる触媒としては、通常硬質ポリウレタンフォームの製造に使用される全ての触媒が使用できる。例えば、3級アミン類のテトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ジメチルアミノヘキサノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、テトラメチル−2−ヒドロキシプロピル−ジエチレントリアミン、テトラメチルジプロピレントリアミン、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール等が挙げられる。又、4級アンモニウム塩類や、アルカリ金属塩類のオクチル酸カリウム、酢酸カリウムや、金属化合物のオクチル酸鉛、オクチル酸ビスマス、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸鉛、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ラウレート等が使用できる。これらは単独又は2種以上混合して用いても良い。
【0022】
本発明で使用できる整泡剤としては、特に限定されるものでなく、硬質ポリウレタンフォームの製造用として効果のあるもの全て使用できる。例えば、シリコン系界面活性剤が好ましく、各種整泡剤を単独で又は2種以上混合して用いても良い。
【0023】
さらに難燃性を高めるために本発明で使用できる難燃剤としては、汎用の難燃剤を使用することができ、例えば、非ハロゲン系リン酸エステル、含ハロゲン系リン酸エステル、非ハロゲン系リン酸縮合エステル、含ハロゲン系リン酸縮合エステル等が挙げられる。難燃性に優れた硬質ポリウレタンフォームを得るため特に含ハロゲンリン酸エステルのトリス(クロロエチル)フォスフェートやトリス(β−クロロプロピル)フォスフェート、アルキルリン酸エステルのトリブチルフォスフェートやトリブトキシエチルフォスフェートやトリエチルフォスフェート、アリールリン酸エステルのクレジルフェニルフォスフェート、ホスホン酸エステルのジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート等を使用することが好ましく、その量は全ポリオール成分100質量部に対して、通常5〜50質量部、好ましくは10〜40質量%である。これらは単独又は2種以上混合して用いても良い。
【0024】
本発明における硬質ポリウレタンフォームの製造には、上記の成分以外に、可塑剤、充填剤、安定剤、着色剤及び酸化防止剤等の硬質ポリウレタンフォーム製造に用いられる物質がいずれも使用可能である。
【0025】
本発明で使用し得るポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートもしくは、2,6−トリレンジイソシアネート又はこれらの混合物、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’ジメチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’ジクロル−4,4’ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネートまたは1,5ナフタレンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)及びジフェニルメタンジイソシアネートの各種誘導体を用いることができる。このうち、安全性、コスト、取り扱い性(液状でハンドリングに優れること)から粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)が好適に用いられる。
【0026】
本発明における高難燃性の硬質ポリウレタンフォームを製造する際のポリイソシアネートとポリオールとの量的な比率、即ちNCO/OH比(モル比)は、0.8〜4.0まで自由に選定でき、好ましくは1.0〜3.5、より好ましくは1.3〜3.0である。とりわけ、良好な難燃性が得られる観点から三量化触媒の存在下、イソシアヌレートで変性された硬質ポリウレタンフォームを得ることが好ましい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、これらに限定するものではない。
【0028】
(合成例1〜2および合成比較例1〜4)
実施例、比較例で使用するポリエステルポリオールをそれぞれ合成例1〜3、合成比較例1〜4として公知の方法により合成し、原料組成、性状を表1に示した。尚、ポリエステルポリオールの原料組成において、テレフタル酸はTPA、イソフタル酸はIPA、ジエチレングリコールはDEG、トリエチレングリコールはTEGと示した。また、表1中の組成比は全カルボン酸成分中のモル%及び全アルコール成分中のモル%であり、芳香環濃度は、ポリエステルポリオール中の芳香環を構成する炭素原子の重量%である。
【0029】
(分析方法)
実施例、比較例で使用するポリエステルポリオールの分析方法はJIS K1557に準じた。
【0030】
【表1】

【0031】
(実施例1〜3および比較例1〜4)
表2に示す配合表に従って、25 ℃に調温したポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤、難燃剤を含む配合液(A液)とクルードMDI(B液)の2成分を用意した。尚、各原料は以下のものを用い、表2中、配合液(A液)及びB液の各成分は重量部であらわした。
(ポリオールG)
川崎化成工業(株)製、ポリエステルポリオール(MAXIMOL RFK−505)、水酸基価250mgKOH/g、粘度5500mPa・s、芳香環濃度22重量%(カルボン酸成分としてテレフタル酸を用いたポリエステルポリオール)
(触媒)
触媒A:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、アミン系触媒(NIAX A−1)
触媒B:花王(株)製、アミン系触媒(カオーライザーNo.300)
触媒C:エアープロダクツジャパン(株)製、カリウム系触媒(DABCO K−15)
触媒D:東ソー(株)製、4級アンモニウム塩系触媒(TOYOCAT TRX)
(整泡剤)
整泡剤:東レ・ダウコーニング(株)製、シリコン系整泡剤(SH−193)
(難燃剤)
大八化学(株)製、リン酸系難燃剤(TMCPP)
(ポリイソシアネート)
日本ポリウレタン工業(株)製、クルードMDI(ミリオネート MR−200)、NCO含量=30.9%
(面材)
上面材:厚さ0.5mmのガルバリウム鋼板(白色)
下面材:厚さ0.5mmのガルバリウム鋼板(無垢)
【0032】
(難燃性評価法)
一辺300mm四方、深さ30mmの型の上下面に上記面材を設置し60℃に温調した。決められた配合比でA液とB液をハンドミキサーにて8秒間攪拌し、成形密度が55kg/mになるよう調整して型に注入し、5分後に脱型後、アフターキュアーを60℃で2時間実施した。1日放置後、一辺99mm四方の試験片(厚さ30mm)を切り出し、更に1週間養生期間を経て、建築基準法の不燃材料の発熱性試験(コーンカロリー試験)を行った。20分間の総発熱量を、それぞれ3回測定した結果を表2に示した。
【0033】
【表2】

【0034】
表2より以下のことが明らかである。すなわち、本発明のテレフタル酸とイソフタル酸のモル比が90:10〜75:25であるポリオールA、Bを用いた実施例1、2は、総発熱量が概ね8MJ/m3未満と難燃性が良好であるのに対し、上記範囲外のテレフタル酸/イソフタル酸の比率であるポリオールを用いた比較例1〜4の場合、総発熱量が概ね10MJ/m3を超え難燃性が低下した。また、実施例3では本発明のポリエステルポリオール以外の他のポリエステルポリオールと併用しても、難燃性を大きく損なうことはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリウレタンフォーム用のポリエステルポリオールであって、カルボン酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸を用い、アルコール成分としてポリオキシアルキレングリコールを用いてエステル化反応して得られるものであり、テレフタル酸とイソフタル酸のモル比が90:10〜75:25であることを特徴とするポリエステルポリオール。
【請求項2】
ポリオキシアルキレングリコールの分子量又は数平均分子量が、100〜1000であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルポリオール。
【請求項3】
エステル化反応によって得られるポリエステルポリオールの水酸基価が、100〜400mgKOH/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステルポリオール。
【請求項4】
ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤及び難燃剤をポリイソシアネートと混合反応させる硬質ポリウレタンフォームの製造方法において、ポリオールとして請求項1乃至3のいずれかに記載のポリエステルポリオールを用いることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。

【公開番号】特開2013−103957(P2013−103957A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246841(P2011−246841)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000199795)川崎化成工業株式会社 (133)
【Fターム(参考)】