説明

ポリエステル発泡方法のための鎖延長濃縮物の調製及び利用

【課題】安定した発泡プロセスと微細且つ均質な独立気泡を有する芳香族ポリエステル及びポリエステルブレンドからなる発泡材料の製造。
【解決手段】芳香族ポリエステル及びポリエステルブレンドからなる発泡材料の製造において鎖延長用濃縮物を使用する。鎖延長用濃縮物は、エチレン−アクリレートコポリマー、高温熱可塑性樹脂及び多官能性化合物を含有する。製造方法は、二つのステップからなる:1)多官能性化合物及びHT熱可塑性樹脂を、密閉式ミキサー内でエチレン−アクリレートコポリマーのマトリックス中に混合及び溶融ブレンドし、2)混合物を多官能性化合物の融点又は反応温度より低い温度で押し出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
芳香族ポリエステル発泡体、特にPET及びPBT樹脂ベースの発泡材料は、反応性発泡押出を実行することにより、現在、益々製造されてきており、該押出は、その工程中に、芳香族ポリエステル樹脂の分子量及び伸長粘度を向上又は改善することを含む。多くの場合、鎖延長剤として、多官能性テトラカルボン酸二無水物を含む多官能性化合物が好ましい。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第08016250号には:
1)立体障害性フェノール末端基を含む抗酸化剤を、テトラカルボン酸二無水物と組み合わせると、加熱及び混合の工程中にポリエステルの分子量を有意に増大させるが、これはそのような混合物がポリエステルの伸長粘度も著しく高めるためであること、
2)更に、立体障害性フェノール抗酸化剤とテトラカルボン酸二無水物との混合物中にオキサゾリンを添加すると、熱及び混合の工程の所定の時間枠内においてポリエステル溶融物の品質が劇的に向上し、かつポリエステル溶融物の伸長粘度は高く維持されること、
3)立体障害性フェノール抗酸化剤、テトラカルボン酸二無水物及びオキサゾリンを含有するこの調合物からなる濃縮物は、ポリエステルの発泡押出に使用できることを開示している。驚くべきことに、欧州特許第08016250号において、二軸スクリュー押出機内にそのような濃縮物を加えることによって、押出工程が改善されることが発見されている。オキサゾリンを適用することにより、機械的剛性の改善、発泡押出物のより良好な等方性、及び押出スループットの増大が期待される。また、オキサゾリンにより変更されたポリエステル発泡体のセル構造は更に改善され、非常に微細なセルを得ることができる。
【0003】
前記反応性発泡押出の不安定性の問題を低減又は排除するためには、例えば欧州特許第08016250号、米国特許第5,288,764号、国際公開第WO9509884号、及び欧州特許第0801108号により推奨される、テトラカルボン酸二無水物及び担体ポリマーを含有する多官能性鎖延長/分岐形成化合物を溶融ブレンドして得られる濃縮物(マスターバッチ)を使用することが最も好ましい。次いで、この濃縮物を所定の濃度にて押出機(好ましくは二軸スクリュー押出機)内でポリエステルと混合して、安定な工程において芳香族ポリエステル樹脂を発泡させる。
【0004】
しかしながら、適用されたいくつかの鎖延長成分の融点は、担体材料よりも低いか、又は調製工程の温度範囲を下回るか/該温度範囲内である。欧州特許第08016250号、米国特許第5,288,764号、国際公開第WO9509884及び欧州特許第0801108号の実施例で使用されているそのような成分を、表1に列挙する:
表1:成分の融点
【0005】
【表1】

【0006】
そのようなマスターバッチの製造は、諸成分が濃縮物の調製工程中に、少なくとも部分的に、既に溶融されていることがある事実により、不可能ではないが困難である。製造された濃縮物の効率は、前記濃縮物の製造中の望まれない化学反応のために損なわれることがある。一方、不適切な担体材料の選択は反応性発泡押出製造における困難に繋がり、又は押出製造を中断しさえすることがある。両方の事実に関連して、米国特許第5,288,764号、国際公開第WO9509884号、及び欧州特許第0801108号に従って濃縮物を調製する場合、以下の問題が生じ得る:
米国特許第5,288,764号は、担体材料としてのPETと、多官能性化合物としてのピロメリット酸二無水物とを含有する濃縮物を開示しており、同濃縮物は、PET発泡の反応性押出工程に使用される。濃縮物は、溶融PET中でPMDAを280〜300℃もの高温で混合することにより得られ、この溶融ブレンド工程中にPET分子の枝分かれとゲル形成が起こる。諸成分の混合に要する高い工程温度により、押出機ヘッドにてPMDAが昇華し得る。そのような問題は、不安定な発泡工程と、一貫性のない発泡体品質との原因となる。
【0007】
欧州特許第0801108号に記載されている、担体材料としてのPCの適用は、上記と同様の問題をもたらし、即ちポリカーボネートの分子の枝分かれとゲル形成が生じる。高い工程温度により、それに加えてPCの粘着問題により引起されるPMDAの昇華の問題は、押出機ヘッドにおいて避けられない。担体材料としてPCを含有する濃縮物は、連続して安定な発泡工程を提供できないことが見出されている。加えて、製造された発泡体製品のセル構造は、殆どの場合、不均一である。
【0008】
別のタイプのマスターバッチは、国際公開公報WO9509884号に従って、50〜99重量%の溶融ポリオレフィン中で1〜約50重量%の多官能性カルボン酸無水物を溶融ブレンドすることにより得られる。該濃縮物は続いて、高温(280〜300℃)でのポリエステル発泡工程に適用され、この温度でポリオレフィンは分解する傾向がある。最悪の場合、ポリオレフィンの分解は押出機及びダイ内で劇的な圧力低下を生じ、それにより発泡剤がポリエステル溶融物中に残留できず、発泡が不可能となる。比較的低いポリオレフィンの軟化点及び融点(国際公開第WO9509884号の例で使用されているLDPEは、例えば約110℃の融点を有する)と、比較的高いPETの乾燥温度(通常、温度110〜165℃)とは、安定で連続的な発泡工程を保証できない。即ち、1)ポリオレフィンを高い割合で含有するこのマスターバッチの乾燥は、ポリオレフィンの低い軟化点を原因とする粘着及びブリッジングの問題により容易ではなく、2)融解ゾーンが濃縮物を軟化し、また溶融さえもする前の、乾燥PETと前記濃縮物との直接的な接触により、フィーダー、ホッパー、又は押出機の供給ゾーンさえも閉塞され、その後、押出製造の工程が不安定となり、又は中断さえもする。更に、ポリオレフィンとポリエステルとの間の乏しい相溶性により、不安定な発泡工程と不均質なセル(気泡)構造とが、該成分の低分散とポリエステル溶融物中に生じることがある活性核生成サイトのために生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した問題を解決/排除するために、鎖延長剤/分岐形成剤として作用する多官能性化合物を含有する新しいタイプの濃縮物を開発する必要がある。この新しい濃縮物は、乾燥から押出迄の工程の連鎖からなる安定な発泡方法を可能にし、また微細で均一でばらつきのないセル構造を有するポリエステルからなる気泡発泡材料の大量生産を可能にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、一方では、上述した問題を有さない安定した発泡プロセスを確実にし、かつ、微細で均質でばらつきのない独立気泡を有する芳香族ポリエステル及びポリエステルブレンドからなる気泡発泡材料の製造に使用できるマスターバッチを得ることができることを見出した。他方では、該調製方法は、多官能性鎖延長化合物を、鎖延長成分を含む該多官能性化合物の融点よりも低い温度で、担体材料からなるマトリックス中に溶融分配して、濃縮物を製造することを含む該調製工程は、分子の枝分れ及びゲル形成が全くなく首尾良く進行する。
【0011】
該マスターバッチは、極性エチレン−アクリレートコポリマー及び高温(HT)熱可塑性樹脂、鎖延長成分もしくはそのような成分の混合物を含む多官能性化合物からなるポリマーブレンドを含む。
【0012】
該濃縮物の調製方法は、基本的に二つのステップからなる:1)粉末又は液体状態の多官能性化合物と、粉末状態のHT熱可塑性樹脂とを、密閉式ミキサー内でエチレン−アクリレートコポリマーのマトリックス中に溶融分配し、2)更に、押出機、好ましくは一軸スクリュー押出機を使用することによりその溶融混合物を均質化し、ペレット化する。
【0013】
両方の調製ステップに先だって、HT熱可塑性樹脂がもし顆粒の形態で入手可能な場合には、後の混合工程で使用するために粉末に粉砕される必要があると共に、顆粒状のエチレン−アクリレートコポリマーは、溶融マトリックスに加工される。本発明では、HTポリマー粉末の粒度(DIN EN ISO4610に従って)は、平均500μm未満であり、好ましくは200μm未満である一方、HT熱可塑性粉末の少なくとも80重量%は200μm未満の粒度を有する。更なる方法のステップに先だって、ある種のHT熱可塑性樹脂は、HT熱可塑性樹脂の数種が水分に対して反応性を有するため、樹脂供給者の推奨する所定の温度及び時間にて乾燥し、多官能性化合物の効率低下を避ける必要がある。乾燥温度は、多官能性化合物の融点又は反応温度よりも低くなければならない。
【0014】
多官能性化合物が融解を開始する温度は、その融点と定義される。前記の反応温度は、多官能性化合物の化学反応が開始する最も低い温度である。本発明で使用される多官能性化合物が液体状態でしか入手できないか、又はその融点が140℃未満の場合、反応温度が優先される。
【0015】
一成分のみからなる多官能性化合物の場合には、この成分の融点が、すなわち前記多官能性化合物の融点である。多官能性化合物が二成分以上からなる混合物で構成される場合には、多官能性化合物の融点は、その多官能性化合物組成物中の他の成分と比較して最も低い融点を有する成分の融点である。同じ定義が多官能性化合物の反応温度に使用される。
【0016】
次に、HT熱可塑性粉末と多官能性化合物(殆どの場合、200μm未満の粒度を有する粉末の状態でのみ入手可能)とを、混合機器を回転速度100〜400rpmで使用することにより混合する。
【0017】
エチレン−アクリレートコポリマーの顆粒を分散混練/混合装置(バンバリーミキサー)に加えるが、該装置は、8形の混合チャンバと、円筒状の8形のハウジングのセグメント内に入れられた逆回転する二つのらせん形状のブレードとからなる。エチレン−アクリレートコポリマー顆粒を(約40〜50℃で)軟化させた後、該粉末の混合物をバンバリーミキサー内に加える。この密閉式ミキサーを使用することにより、これらの粉末はエチレン−アクリレート樹脂系中にて混合され、分散され、配合される。ロータは、加熱又は冷却の媒体の循環のためにその芯を抜いてもよいが、一方、チャンバも媒体の補助により調節することができる。顆粒とブレード間の強い摩擦により、エチレン−アクリレートは剪断応力を受け、剪断熱により溶融される。測定によって連続的に監視される溶融温度は、ロータの回転速度により、さらにブレードコア内及び/又はチャンバにおける加減(tempering)媒体により影響を受けることがあり、またそれらにより制御することができる。バンバリーミキサー内での混合プロセスは、多官能性化合物の融点又は反応温度よりも少なくとも20℃、好ましくは少なくとも60℃低い溶融温度が確実に得られるよう実施される。
【0018】
加えて、溶融温度は、非晶質HT熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも少なくとも20℃低く、又は結晶質HT熱可塑性樹脂の融点よりも60℃低く保持される必要がある。一般に、該プロセス及び溶融温度は、120〜175℃の範囲内にとどまる。ブレード回転による混合物の更なる剪断により、所定の時間枠内(一般に、約4〜8分間)で、非溶融粉末成分が溶融エチレン−アクリレートコポリマーのマトリックス中に更に分配されて、比較的均質な混合物が確実に得られる。
【0019】
次いで、配合した混合物を、80〜100℃に加熱されたロールミルにより押出機内に連続的に供給する。即ち、ロールミルは、最初に塊をシートに圧縮し、次にシートが細長片にスライスされ、細長片状態の混合物が押出機、好ましくは一軸スクリュー押出機に供給される。一軸スクリュー押出機の適用は、スクリュー回転速度によりマスターバッチのスループットを容易に制御するのに好ましい。一軸スクリュー押出機の別の利点は、二軸スクリュー押出機と比較して、剪断による熱可塑性材料の局所過熱が全くないか非常に少ないことと関連する。該混合物の押出も、多官能性化合物の融点又は反応温度のいずれかの温度よりも少なくとも20℃、好ましくは少なくとも60℃低い温度で実行される。加えて、押出温度は、非晶質HT熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも少なくとも20℃低く、又は結晶質HT熱可塑性樹脂の融点よりも少なくとも60℃低く保持される必要がある。一般に、濃縮物の調製のための押出ステップは、120〜175℃の温度範囲内で実行される。該混合物は、押出機にて更に均質化され、ペレット化される。顆粒状態の濃縮物は冷却され、乾燥工程後に包装される。バンバリーミキサーの高いスループット能力により、不連続な分散/混合工程を、連続的な押出ペレット化工程と同期することができる。
【0020】
前記濃縮物を調製する別の実施態様は、二軸スクリュー押出機を使用して、多官能性化合物とHT熱可塑性樹脂との粉末混合物を、多官能性化合物の融点又は反応温度のいずれかよりも少なくとも20℃、好ましくは少なくとも60℃低い温度で、エチレン−アクリレートコポリマーのマトリックス中に溶融ブレンドすることである。一般に、濃縮物の押出調製は、120〜175℃の温度範囲内で実行される。多官能性成分とHTポリマーとからなる混合物は、好ましくはサイドフィーダーにより押出機内に仕込まれる一方、エチレン−アクリレートコポリマーの顆粒は、ホッパーを介して押出機内に加えられる。
【0021】
本発明の利点は、以下に記載する通りである:
ポリオレフィンと比較して、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)及びエチレンメチルアクリレート(EMA)(図1)を含む、エチレン−アクリレートコポリマーは、それらの融点が90〜100℃と低いものであっても、有意により良好な熱及び加工の安定性を有する特徴がある。例えばEMA類は、空気中で350℃迄安定な状態であり、EEA類は、窒素雰囲気中で400℃を越えて安定である。よって工程温度を劣化を起すことなく300℃迄設定することができる。より重要なことは、それらの高い極性の結果として、エチレン−アクリレートコポリマーは、ポリオレフィンのみでなく、PA、PBT、PET、ABS、PC又はLCP(液晶ポリマー)等の幅広い範囲のエンジニアリングプラスチックと相溶性を有する。エチレンブチルアクリレート樹脂(EBA)は、加えて卓越した低温靱性と耐衝撃性とを与える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)及びエチレンメチルアクリレート(EMA)の化学式を示す図である。
【0023】
マスターバッチ担体樹脂として作用して、エチレン−アクリレートコポリマーは、それらの改質剤としての役割における場合と同様の利点を示す。即ち、一般的目的である靱性、熱安定性、エンジニアリングポリマーとの相溶性、及び高い充填剤受容性を示す。更に、現在に知識によれば、エチレン−アクリレートコポリマーは、それが添加されるエンジニアリングポリマーの機械的特性に悪影響を与えない。本発明の最も重要な利点は、エチレン−アクリレートコポリマーの低い融点(90〜100℃)と高い熱安定性(350〜400℃迄)を有利に利用して、本発明の濃縮物を低温で調製し、芳香族ポリエステルを高温で発泡させることができることである。従って、鎖延長成分は、該調製工程中、100%未反応のままであり、後の発泡工程に提供されて最大の効率をもたらし得る。本発明では、顆粒状態のエチレン−アクリレートコポリマーは、前もって粉砕されることなく処理されて、前記濃縮物を得る。最後に大切なことであるが、エチレン−アクリレートコポリマーの樹脂は、非粘着性ペレットとして分級される。3〜50重量%のアクリレート分を含み、190℃/2.16kgで0.1〜50g/10分のメルトフローインデックス(ISO 1133に従って)により特徴付けられるエチレン−アクリレートコポリマーは、本発明において濃縮物の成分としてクレームされる。
【0024】
1)結晶質の場合には200℃以上の低い融点を有し、又は2)非晶質ポリマーの場合には140℃以上のガラス転移温度を有する、前記濃縮物の担体材料組成物においてブレンドパートナーとして作用し、高温(HT)熱可塑性樹脂を導入して、該マスターバッチに、エチレン−アクリレートコポリマーのそれよりも遙かに高い全体の軟化点及び融点を与え、それにより1)まず第一に、該濃縮物は、国際公開第WO9509884号に記載されている濃縮物よりも高い温度で乾燥することができ、2)フィーダー、ホッパー及び押出機供給ゾーンでのブリッジング及び粘着の問題を低減又は排除することができる。しかしながら、選択されるHT熱可塑性樹脂は、300℃迄に完全に溶融されて、発泡工程においてどのような不均質部分であっても生じるのを防止されるという条件を満たさなくてはならない必要がある。
【0025】
PMMAのガラス転移温度は約110℃であるので、140℃より低くても、この非晶質ポリマーは、PMMAの樹脂が剛性であるため、例外的に濃縮物組成物における前記HT熱可塑性樹脂として使用され得る。
【0026】
PET、PBT、PTT、PEN又はPBN等の芳香族ポリエステル樹脂(非晶質ポリエステルを含む)の使用は好ましく、ポリエステル溶融物中での多官能性鎖延長化合物の分散を更に改善し得る。しかし、この目的のためにPC、PA、PPO、PSU又はPES等の他のHT熱可塑性樹脂の選択も可能であり、その場合芳香族ポリエステルと非相溶性でさえあるエチレン−アクリレートコポリマーでもこのマスターバッチの使用候補となる。というのは、該エチレンアクリレートコポリマーは該芳香族ポリエステル樹脂と相溶性でかつカップリング材として作用するからである。更に、HT熱可塑性樹脂は、芳香族ポリエステルの最終的な気泡発泡体の、延性、カップリング機能又は伝導性等のいくつかの特性を改善するよう選択され得る。従って、幅広い入手可能な/使用可能なHT熱可塑性樹脂又はその混合物があることは、本発明の別の利点である。最も好ましいHT熱可塑性樹脂は、PET、PBT及びPEN(ASTM 4603によるI.V.(固有粘度)=0.4〜1.4dl/g)から選択される芳香族ポリエステルである。
【0027】
エチレン−アクリレートコポリマーとHT熱可塑性樹脂/HT熱可塑性樹脂の混合物とを含む、担体材料としての前記ポリマーブレンドの適用により、調製中のみならず、続く発泡工程においても、ポリマーの劣化が確実に全く生じなくなる。本発明の最も重要な利点は、多官能性化合物が、発泡工程中に均一に分配し、完全に分散される点に見出すことができ、これは多官能性化合物が少なくともエチレン−アクリレートコポリマー中に封入され、該コポリマーが芳香族ポリエステル溶融物と完全に相溶するためである。
【0028】
エチレン−アクリレートコポリマーの代わりに、エチレン−ビニルアセテート(EVA)コポリマーも濃縮物組成物中の担体材料のブレンドパートナーとして、該コポリマーは低い融点、良好な相溶性及び充填剤受容性を有するので、使用することができる。しかし、EVAの耐熱性は、エチレン−アクリレートコポリマー程優れていない。
【0029】
本発明に使用される多官能性化合物は、140℃より高い融点又は反応温度のいずれかを有する一種又はそれ以上の鎖延長/分岐形成成分を含み、好ましくはテトラカルボン酸二無水物、ポリエポキシド、オキサゾリン、オキサジン、アシルラクタム及び立体障害性フェノール性末端基を含む抗酸化剤、又はそれらの混合物からなる群より選択される。
【0030】
本発明で使用される最も重要な多官能性鎖延長化合物は、該濃縮物の2〜30重量パーセント、好ましくは5〜15重量パーセントの量のテトラ又はポリカルボン酸二無水物からなり、例えばピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビスフェノールAビスエーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ヒドロキノンビスエーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホキシド二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物及びそれらのブレンドのような、−分子当たり少なくとも二つの無水物を含有する群から選択される。
【0031】
好ましいテトラカルボン酸二無水物は、芳香族環を含むものである。
【0032】
特に好ましいテトラカルボン酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及びそれらの混合物である。
【0033】
最も好ましいテトラカルボン酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物(PMDA)である。
【0034】
別の重要な多官能性化合物は、−分子当り少なくとも二つのエポキシ基を有するポリエポキシドである。典型的なポリエポキシドは、ジエポキシ化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテレフタレート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及びビニルシクロヘキサンジエポキシド等である。
【0035】
特に好ましくは、4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−2−イル]フェノールのような、ビスフェノールA型のジグリシジルエーテルの固体ポリエポキシドであり、これは150〜152℃の融点を有する。
【0036】
欧州特許第08016250号において、立体障害性フェノール性末端基をテトラカルボン酸二無水物との組み合わせで含む抗酸化剤は、加熱及び混合工程中にポリエステルの分子量を有意に増大させることが見出されており、これはそのような混合物が、ポリエステルの伸長粘度をも著しく増大させたためである。従って、本発明では、立体障害性フェノール性抗酸化剤:4−((3,5−ビス((4−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル−フェニル)メチル)−2,4,6−トリメチル−フェニル)メチル)−2,6−ジtert−ブチル−フェノール、立体障害性ヒドロキシフェニルアルキルホスホン酸エステル又は半エステル等の一次抗酸化剤も、テトラカルボン酸二無水物と組み合わせて適用される。
【0037】
上述した抗酸化剤の他に、いわゆる一次抗酸化剤の群から選択される、特に好適な立体障害性フェノール抗酸化剤には、例えば:ペンタエリトリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド))、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンが含まれる。
【0038】
特に好ましい立体障害性フェノール抗酸化剤は:4−((3,5−ビス((4−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル−フェニル)メチル)−2,4,6−トリメチル−フェニル)メチル)−2,6−ジtert−ブチル−フェノール又はカルシウムビス(モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート)等のヒドロキシフェニルプロピオネート及びヒドロベンジルの群から選択される。
【0039】
更に、ポリエステルの発泡性を更に改善するためのオキサゾリンを、立体障害性フェノール抗酸化剤及びテトラカルボン酸二無水物からなる混合物を含む多官能性化合物の配合物(recipe)中に含ませてもよい。異なるオキサゾリンからなる混合物を濃縮物配合物中に適用してもよい。好ましいオキサゾリンは、モノキサゾリン、例えば2−、3−又は4−オキサゾリン及びビスオキサゾリンである。特に好ましいビスオキサゾリンは、1,3−フェニルビスオキサゾリン及び1,4−フェニルビスオキサゾリンである。代替的に、トリオキサゾリンを前記濃縮物の配合物に組み入れてもよい。
【0040】
こうして、本発明は、2〜30重量%、好ましくは10〜15重量%の多官能性化合物を含有する濃縮物の調製及び適用に関する。マスターバッチ中に使用される担体材料は、(該濃縮物の重量の)10〜85重量%のエチレン−アクリレートコポリマーと(該濃縮物の重量の)10〜85重量%のHT熱可塑性樹脂とからなる。該エチレン−アクリレートコポリマー及びHT熱可塑性樹脂は、各々、濃縮物の30〜60重量%の量で用いられることが好ましい。
【0041】
低密度気泡発泡体を製造する反応押出工程において、濃縮物とポリエステル樹脂とを含む混合物の1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量の濃縮物が適用されるが、押出ラインは、基本的に押出機、ダイ、添加設備、ガス注入器、熱交換器、静的ミキサー及びダイからなることが好ましい。押出ラインには、プラー(puller)、空冷を伴う運搬ロール、鋸盤ユニット(sawing unit)、更に冷却及び粉砕及び包装等の下流設備が続く。本発明において、該反応発泡押出のためにあらゆるタイプの発泡押出機、即ち一軸スクリュー又は共/逆回転二軸スクリュー押出機、一次押出機(二軸又は一軸スクリュー押出機)と二次/冷却一軸スクリュー押出機からなるタンデム押出ラインを使用することができる。
【0042】
膨張に必要な発泡剤は、一般に、二酸化炭素、窒素、アルコール、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、フルオロ炭化水素又はそれらの混合物から選択される。
【0043】
濃縮物は更に、工程/熱安定剤、造核剤(nucleating agents)、UV安定剤及び難燃剤等の更なる添加剤を配合物中に含んでもよい。代表的な難燃剤は、例えばハロゲン化、炭形成性(charforming)(リン含有のような)又は水放出性化合物、炭形成性及び水放出性(ホウ酸亜鉛のような)化合物である。通常使用されている核形成タイプは、タルク、TiO、MgO、BaSO、SiO、Al、CdO、ZnO、雲母フラー土、珪藻土又は同様物である。
【0044】
前記濃縮物の適用は、全ての熱可塑性ポリマー工程(例えば、ブロー成形、バッチ工程、射出成形又は熱成形のためのシート押出)に見出すことができるが、広い範囲の芳香族ポリエステルを加工するための反応発泡押出に主に焦点を当てる。芳香族ポリエステルを発泡させるための工程は、一般に発泡押出であり、ここでプロファイル、環状、多孔及びフラットダイが適用されて、押出物を要求される最終形状に形成することができる。
【0045】
最終的な気泡発泡体製品の製造のための好ましい芳香族ポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸及び同様物又はアルキルエステルから誘導されたものを含む。特に好ましくは、I.V.=約0.4〜1.4dl/g(ASTM 4603に従う)を有する、ホモポリマー及びコポリマーを含むDMT又はPTAベースのPETである。代替的に、ポリエステル/ポリオレフィン(例えば、PET/LLDPE、PET/LDPE又はPET/PP)、ポリエステル/ポリエステル(PET/PBT、PET/PEN、PET/PC)、ポリエステル/スチレンコポリマー(PET/SAN、PET/SEBS)、ポリエステル/高温熱可塑性樹脂等を含むポリエステルブレンドを、本発明の濃縮物の補助により加工することができる。
【実施例】
【0046】
本発明を、例示を目的として提供され、本発明を限定し又はそれが実行され得る様式に限定するものと見なすべきではない以下の実施例により説明する。
【0047】
実施例1
46.5重量部のPETコポリマー顆粒(I.V.=0.76dl/g)を、200μm未満の粒子を少なくとも80重量%有する粉末に粉砕し、165℃で8時間乾燥した。PET粉末を、12重量部のPMDA及び0.15重量部のIrganox B900とミキサー内で混合した。
【0048】
41.35重量部のElvaloy 1820(DuPont)を最初に5000cmのバンバリーミキサーに加えた。エチレン−アクリレートコポリマーを40〜50℃で軟化させた後、上記の粉末の混合物をミキサーに加えて混合し、Elvaloy 1820と30〜40rpmで4〜7分間ブレンドした。ミキサーの回転速度を、160〜170℃の溶融温度を確実にするよう調整した。化合物を80〜100℃に加熱したロールミルに供給し、薄いシートにプレスした。該シートを細長片にスライスした後、細長片形態の混合物を一軸スクリュー押出機(φ45mm/30D)内に連続的に供給した。ストランドダイを通して混合物を押し出した。ストランドを水浴中で冷却し、ペレット化し、乾燥機内で急速に乾燥した。
【0049】
工程パラメーターは:
押出機:直径45mm、長さ30Dの一軸スクリュー押出機
スクリューの速度:70〜120rpm
バレル温度:100〜165℃
ダイ温度:165℃
スループット:30〜35kg/hであった。
次いで、調製した濃縮物を、アルミニウムで被覆した袋内に包装し、密封した。
【0050】
実施例2
実施例1の手順を、2.5重量部のIrganox 1330を加え、12重量部の代わりに10重量部のPMDA、41.35重量部の代わりに40.85重量部のElvaloy 1820を調製工程に使用した点で相違させて繰り返した。
【0051】
実施例3
実施例2の手順を、1.5重量部の1,3 PBO(Evonikより)を加え、10重量部の代わりに8.5重量部のPMDAを適用した点で相違させて繰り返した。PET粉末を、165℃で8時間の代わりに、110℃で少なくとも10時間乾燥した後、この粉末をバンバリーミキサーに加えた。更なる相違は、バンバリーミキサー内と一軸スクリュー押出機内との溶融温度に見出される。実施例3では、バンバリーミキサーを実施例2よりも低回転速度で稼働して、120〜125℃の溶融温度を有した。押出機は、温度:
バレル温度:100〜125℃
ダイ温度:125℃
に設定された。
【0052】
実施例4
実施例1の手順を、PETの代わりに46.5重量部のUltrason E 2020 SR micro(<100μmの粒径を有する粉末の形態にてBASFより供給)を調製工程に使用した点で相違させて繰り返した。PES樹脂に関する乾燥条件は、PETに関する乾燥条件と同一であった。
【0053】
実施例5
PETコポリマー(I.V.=0.78dl/g)を170℃で8時間乾燥し、実施例1の濃縮物を80℃で8時間乾燥した。a)全スループットの各々、3.4重量%の濃縮物と効果的に0.65重量%の造核剤とを有するPET樹脂を連続的に押し出し、共回転二軸スクリュー押出機BC180(φ180mm/L/D=28、BC Foamにより製造)の補助により、350〜400kg/hのスループットで発泡させた一方、発泡剤としてのCOを速度3.5kg/hで押出機内に注入した。二軸スクリュー押出機には、静的ミキサーと、分岐アダプター及び多孔プレートからなる押出工具(ストランドダイ)が取り付けられていた。発泡させた押出物をカリブレーター内で形成し、冷却した。押出機の温度設定は、表2に見出すことができる:
表2:温度設定
【0054】
【表2】

【0055】
厚さ60〜68mmの発泡押出物を空気で更に冷却し、鋸盤ユニットに牽引して切断した。
【0056】
押出工程は非常に安定であり、微細かつ均一なセル構造を有する押出PET発泡体が得られた一方、発泡体密度は、158kg/mであった。圧縮試験による結果は、強度2.5MPa及び弾性率92MPa(ISO 844に従って)を示した。
【0057】
実施例6
実施例5の発泡押出を、実施例1の濃縮物の代わりに実施例2の濃縮物を使用し、COの代わりにシクロペンタンを8〜9kg/hの速度で押出機内に注入した点で相違させて繰り返した。
【0058】
押出工程は非常に安定であり、微細かつ均一なセル構造を有する押出PET発泡体が、発泡体密度110kg/mにて得られた。圧縮試験による結果は、強度1.65MPa及び弾性率74MPa(ISO 844に従って)を示した。
【0059】
実施例7
実施例6の発泡押出を、1)実施例2の濃縮物の代わりに実施例3の濃縮物を使用し、2)シクロペンタンを10〜11kg/hの速度で押出機に注入した点で相違させて繰り返した。
【0060】
押出工程は非常に安定であり、微細かつ均一なセル構造を有する押出PET発泡体が、発泡体密度81kg/mにて得られた。圧縮試験による結果は、強度1.20MPa及び弾性率32MPa(ISO 844に従って)を示した。
【0061】
実施例8
本実施例では、スクリュー直径φ75mm及びL/D=32を有する共回転二軸スクリュー押出機(FG75、Fagerdalaにより製造)と、続く静的ミキサー及びストランドダイとを適用した。発泡工具は、出口領域67.5×35.5mm上に分配された74オリフィスからなるストランドダイであった。発泡体押出物は、ストランドダイを去った後に較正を受けて、矩形ボードに成形された。
【0062】
PETコポリマー(I.V.=0.78dl/g)を165℃で8時間乾燥し、実施例4の濃縮物を80℃で8時間乾燥した。a)全スループットの各々、3.4重量%の濃縮物と効果的に0.65重量%の造核剤とを有するPET樹脂を連続的に押し出し、スループット45kg/hにて発泡させた。PET樹脂及び濃縮物は、個々の添加ユニットにより、別個に二軸スクリュー押出機内に供給された。混合物が押し出され、発泡剤としてn−ペンタンの補助により発泡された。工程パラメータを表3に列挙する:
表3:工程パラメータ
【0063】
【表3】

【0064】
押出工程は非常に安定であり、微細かつ均一なセル構造を有する製造されたPET発泡体が、発泡体密度115kg/mにて得られた。
【0065】
実施例9
実施例8の発泡押出を、1)全スループットの3.4重量%の実施例4の濃縮物の代わりに、全スループットの5.5%重量の量の実施例3の濃縮物を使用し、2)低粘度のPETコポリマー(I.V.=0.60dl/g)を発泡させた点で相違させて繰り返した。
【0066】
押出工程は非常に安定であり、微細かつ均一なセル構造を有する押出PET発泡体が、発泡体密度115kg/mにて得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−アクリレートコポリマー、高温(HT)熱可塑性樹脂、及び140℃を越える融点又は反応温度のいずれかを有する一種又はそれ以上の鎖延長/分岐形成成分から選択される多官能性化合物を含有する、鎖延長/分岐形成剤として有用な濃縮物(マスターバッチ)。
【請求項2】
請求項1に記載の濃縮物であって、多官能性化合物が、好ましくはテトラカルボン酸二無水物、ポリエポキシド、オキサゾリン、オキサジン、アシルラクタム及び立体障害性フェノール末端基を含む抗酸化剤、又はそれらの混合物からなる群より選択される、濃縮物。
【請求項3】
請求項1に記載の濃縮物であって、10〜85重量パーセント、好ましくは30〜60重量パーセントの、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)及びエチレンメチルアクリレート(EMA)コポリマーから選択されるエチレン−アクリレートコポリマーを含有する、濃縮物。
【請求項4】
請求項3に記載の濃縮物であって、前記エチレン−アクリレートコポリマーが、好ましくは、該エチレン−アクリレートコポリマーの3〜50重量パーセント量のアクリレート分を含み、190℃/2.16kgで0.1〜50g/10分のメルトフローインデックスを有する、濃縮物。
【請求項5】
請求項1に記載の濃縮物であって、10〜85重量パーセント、好ましくは30〜60重量パーセントの、1)結晶質ポリマーの場合には200℃以上の融点を有するか、又は2)非晶質ポリマーの場合には140℃以上のガラス転移温度を有する複数種の熱可塑性樹脂の一種又はそれらの混合物から選択される高温(HT)熱可塑性樹脂を含有する濃縮物。加えて、HT熱可塑性樹脂は、300℃迄に完全に溶融される必要がある。
【請求項6】
請求項5に記載の濃縮物であって、前記の好ましい高温熱可塑性樹脂が芳香族ポリエステル、特に好ましくは0.4〜1.4dl/gの固有粘度を有するPET、PBT又はPENである、濃縮物。
【請求項7】
請求項1〜2のいずれか一項に記載の濃縮物であって、該濃縮物の2〜30重量パーセント、好ましくは10〜15重量パーセントで前記の多官能性化合物を含有する、濃縮物。
【請求項8】
請求項7に記載の濃縮物であって、非常に好ましくは一分子当り二つ又はそれ以上の酸無水物基を有するテトラカルボン酸二無水物、最も好ましくはピロメリット酸二無水物(PMDA)から選択される多官能性化合物を、該濃縮物の2〜30重量パーセント、好ましくは5〜15重量パーセントの量で含有する、濃縮物。
【請求項9】
請求項8に記載の濃縮物であって、更に0.1〜10重量パーセント、好ましくは0.5〜5重量パーセントの立体障害性フェノール抗酸化剤を含有する、濃縮物。
【請求項10】
請求項9に記載の濃縮物であって、更に0.1〜10重量パーセント、好ましくは0.5〜5重量パーセントのオキサゾリンを含有する、濃縮物。
【請求項11】
請求項9に記載の濃縮物であって、立体障害性フェノール抗酸化剤が、カルシウムビス(モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート)(Irgamod 195)又は4−((3,5−ビス((4−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル−フェニル)メチル)−2,4,6−トリメチル−フェニル)メチル)−2,6−ジtert−ブチル−フェノール(Irganox 1330、Ethanox 330又はAlvinox 100)である、濃縮物。
【請求項12】
請求項10に記載の濃縮物であって、前記オキサゾリンがモノオキサゾリン、又はビスオキサゾリン、又はトリオキサゾリン、又はそれらの混合物である濃縮物。特に好ましいビスオキサゾリンが、
a.1,3−フェニルビスオキサゾリン(1,3 PBO)及び
b.1,4−フェニルビスオキサゾリン(1,4 PBO)から選択される。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の濃縮物であって、前記多官能性化合物が、一分子当り少なくとも二つのエポキシ基を有するポリエポキシド、好ましくはビスフェノールA型のジグリシジルエーテルから選択される、濃縮物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の濃縮物であって、更に該濃縮物の0.1〜5.0重量パーセントの量の、二次(予防)抗酸化剤又は該二次抗酸化剤と立体障害性フェノールとの混合物から選択される熱及び/又は工程安定剤を含有する、濃縮物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の濃縮物の製造方法であって、全て粉末形態である前記HT熱可塑性樹脂及び前記多官能性化合物が、該多官能性化合物の融点又は反応温度の少なくとも20℃、好ましくは少なくとも60℃低い温度で、かつバンバリーミキサー、押出機又は任意の類似するポリマー加工設備等の密閉式ミキサーを使用することにより、前記エチレン−アクリレートコポリマーのマトリックス中に混合され、均質に混合される、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の濃縮物の製造方法であって、密閉式ミキサーからの混合物が、押出機、好ましくは一軸スクリュー押出機内に連続的に供給され、該多官能性化合物の融点又は反応温度の少なくとも20℃、好ましくは少なくとも60℃低い温度で押し出される、方法。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の濃縮物の製造方法であって、押出機、好ましくは二軸スクリュー押出機を使用して、前記多官能性化合物の融点又は反応温度の少なくとも20℃、好ましくは少なくとも60℃低い温度で多官能性化合物とHT熱可塑性樹脂との混合物をエチレン−アクリレートコポリマーの溶融物中に溶融ブレンドすることを含む、方法。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか一項に記載の濃縮物の製造方法であって、該濃縮物組成物が、好ましくは120℃〜175℃の温度で処理される、方法。
【請求項19】
芳香族ポリエステルからなる発泡気泡材料を製造するための発泡方法であって、0.4〜1.4dl/gの固有粘度を有する未使用の樹脂、リサイクル樹脂又はそれらの混合物からなる群より選択されるポリエステル樹脂が、混合物の1〜20重量パーセント、好ましくは1〜10重量パーセントの量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の濃縮物の補助により発泡される、方法。
【請求項20】
請求項19に従って得ることができる発泡気泡材料。
【請求項21】
請求項20に記載の発泡材料を含む物品。

【図1】
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【公開番号】特開2010−270321(P2010−270321A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−98707(P2010−98707)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(508358689)アルマツェル・エンテルプリーゼ・ゲーエムベーハー (5)
【氏名又は名称原語表記】Armacell Enterprise GmbH
【Fターム(参考)】