説明

ポリエチレングリコール結合GLP−1化合物

本発明は、非ペグ化(unPEGylated)ペプチドと比べて、半減期が延長され、クリアランスが遅延化された生物活性ペプチドが得られる、少なくとも1個のポリエチレングリコール分子に共役結合したGLP-1化合物をまたはその誘導体提供する。これらのペグ化(PEGylated)GLP-1化合物および組成物は、糖尿病、肥満、過敏性腸症候群、ならびに血糖を低下させること、胃および/または腸運動性を抑制すること、および胃および/または腸内容排出を抑制すること、または食物摂取を抑制することが有益であるその他の健康状態の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1個またはそれ以上のポリエチレングリコール分子に共役的に結合したGLP-1化合物またはその誘導体および関連組成物、ならびに血糖を低下させること、食物摂取を減らすこと、胃または腸内容排出を減少させること、または胃または腸運動性を低下させることが有益である健康状態または障害の治療に有用な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、インスリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の抑制、胃内容排出の抑制、胃運動性または腸運動性の抑制、グルコース利用の増進および減量の促進といったような数多くの生物学的作用を誘発する。さらにGLP-1は、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)の進行を引き起こす膵臓β細胞の劣化を防止するように作用する。GLP-1の重要な特徴は、インスリン療法またはインスリン発現を増加させることによって作用する幾つかのタイプの経口療法を用いる場合に見られる低血糖の危険性をともなうことなくインスリン分泌を刺激するその能力である。
GLP-1ペプチドを含む療法の有用性は、GLP-1(1-37)が活性に乏しく、2つの天然のトランケートされたペプチドであるGLP-1(7-37)OHおよびGLP-1(7-36)NH2が、インビボにおいて急速にクリアされ、インビボでの半減期が非常に短いという事実によって制限されている。内因性のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)が、N末端ヒスチジンおよびアラニン残基を除去することによって循環するGLP-1ペプチドを不活性化し、インビボにおける半減期が短いことの主たる理由であることが知られている。
【0003】
生物活性を維持しながら、GLP-1ペプチドの排出半減期を延長するか、または身体からの該ペプチドのクリアランスを減少させるための種々のアプローチが企てられている。米国特許No. 5,705,483は、ペプチドのN末端において修飾を組み込むことによって、GLP-1ペプチド類縁体がDPP-IV分解に対する耐性をもつようになることを教示している。GLP-1ペプチドの半減期を延長するための別のアプローチは、誘導体化であり、DPP-IVがペプチドのN末端に近づくのを妨げる大きなアシル基をGLP-1の種々のアミノ酸に結合させる(DK 仮出願Nos 0931/96、August 30、1996出願、同1259/96、November 8、1996出願および同1470/96、December 20、1996出願優先権主張する「GLP-1 Derivatives」と題する国際出願No. PCT/DK97/00340、August 22、1997出願を参照)。
【0004】
特定のGLP-1類縁体が、すべて「Extended Glucagon-Like Peptide-1 Analogs」と題する米国特許出願Nos. 60/346474、January 8、2002出願;および60/405,097、August 21、2002出願;ならびに国際出願No. PCT/US03/058203、January 3、2003出願に記載されており、これらは全体を参考文献として本発明に援用される。これらの出願は、GLP-1(7-37)OHの類縁体を記載しており、ここでは、種々のアミノ酸がC末端に付加されて、天然の分子よりも、半減期が延長され、クリアランスが減少されたGLP-1ペプチド類縁体が生じる。さらに、増進された効力をもつGLP-1類縁体が、「Glucagon-Like Peptide-1 Analogs」と題する米国特許出願No. 60/314,573、August 23、2001出願および国際出願No. PCT/US02/21325、August 14、2002出願(これらは全体を参考文献として本発明に援用される)に記載されている。エキセンジン-4(Exendin-4)は、インスリン分泌細胞などの特定の細胞型においてインビトロでGLP-1受容体に作用することができる[Gokeら、J. Biol. Chem.、(1993)268:19650-19655]。特定のペグ化エキセンジンおよびエキセンジンアゴニスト分子が、国際出願番号PCT/US00/11814(これらは全体を参考文献として本発明に援用される)に記載されている。
【0005】
種々のアプローチによって、天然のGLP-1と比べてより長い半減期またはより強い効力をもつGLP-1化合物がもたらされているが、さらにGLP-1化合物のクリアランスを減少させ、GLP-1化合物の半減期を延長させて、長期使用中に最少の回数で投与されうる治療薬として有用なその能力を最適化するためには、さらなるアプローチが必要である。GLP-1またはエキセンジン-4などの小さい生物活性ペプチドに、1個またはそれ以上のポリエチレングリコール分子を共役結合させると、分子を治療薬として用いるには不適当にするほど過酷に、分子を不安定にし、生物活性を低下させるといったような不都合な特徴がもたらされる危険性がある。しかしながら、本発明は、GLP-1化合物の特定の残基に、1個またはそれ以上のPEG分子を共役結合させると、天然のGLP-1またはVal8-GLP-1と比べて、半減期が延長され、クリアランスが減少された、生物活性をもつペグ化GLP-1化合物がもたらされるという発見に基づくものである(または本発明の修飾されたエキセンジン-4に対しての天然のエキセンジン-4)。
【0006】
本発明のペグ化GLP-1化合物は、天然のGLP-1の生物活性のすべてまたは一部を保持しており、さらに、天然のGLP-1化合物またはVal8-GLP-1(7-37)OHと比べて、半減期が延長され、および/またはクリアランスが減少されているので、天然のGLP-1と比べて、より大きな治療薬としての有用性ならびにより高い使用便宜性をもつ。GLP-1(7-37)の血清半減期は、わずか3〜5分間である。GLP-1(7-36)アミドの作用時間は、皮下投与された場合、約50分間である。内因性プロテアーゼ切断に耐性があるGLP-1類縁体および誘導体でさえ、24時間にわたって繰り返し投与をしなくてもよい程度の長い半減期をもたない。本発明のペグ化GLP-1化合物は、長期間にわたって該化合物の高い血中濃度を維持しながらその投与回数をより少なくしうる、24時間を越える半減期をもつ。本発明のペグ化GLP-1化合物が、24時間の間に必要とする用量がより少なくてよいという特有の利点をもって、このようなペグ化GLP-1化合物を、糖尿病、肥満、胃および/または腸運動性異常ならびに胃および/または腸内容排出異常などの障害(これらに限定されるものではない)をもつ患者を治療するために治療的に用いることができ、このような療法を必要とする患者に対する便宜性および投薬要件に対する患者のコンプライアンスの可能性の両方を増加させることができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、1個またはそれ以上のポリエチレングリコール(PEG)分子に共役的に結合したGLP-1化合物またはその誘導体を提供し、ここで、各PEGは、ペプチドのCysまたはLysアミノ酸もしくはカルボキシ末端にて結合し、その結果として、少なくとも1時間、好ましくは少なくとも3、5、7、10、15、20時間、最も好ましくは少なくとも24時間の排出半減期をもつペグ化GLP-1化合物がもたらされる。本発明のペグ化GLP-1化合物は、好ましくは200 ml/時間/kg以下、より好ましくは180、150、120、100、80、60 ml/時間/kg以下、最も好ましくは50、40または20 ml/時間/kg以下というクリアランス値をもつ。
【0008】
本発明の1つの態様は、配列番号:1で示すGLP-1(7-37)OHのアミノ酸配列ならびにLys26、Lys34およびGly37から選ばれる残基の3、2または1個に共役的に結合したPEG分子を含むペグ化GLP-1化合物である:
7His-Ala-Glu-10Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-15Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-20Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-25Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-30Ala-Trp-Leu-Val-Lys-35Gly-Arg-37Gly
(配列番号:1)。
本発明のもう1つの態様は、配列番号:2で示すGLP-1(7-36)NH2のアミノ酸配列ならびにLys26、Lys34およびArg36から選ばれる残基の3、2または1個に共役的に結合したPEG分子を含むペグ化GLP-1化合物である:
7His-Ala-Glu-10Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-15Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-20Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-25Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-30Ala-Trp-Leu-Val-Lys-35Gly-Arg
(配列番号:2)。
本発明の別の態様は、式(I)で示されるアミノ酸配列(配列番号:3)を含むペグ化GLP-1化合物である:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37
式(I)(配列番号:3)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Ala、Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:Phe、Trp、TyrまたはCys;
Xaa16は:Val、Trp、Ile、Leu、Phe、TyrまたはCys;
Xaa18は:Ser、Trp、Tyr、Phe、Lys、Ile、Leu、Val;
Xaa19は:Tyr、TrpまたはPhe;
Xaa20は:Leu、Phe、TyrまたはTrp;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:Glu、Ile、AlaまたはCys;
Xaa30は:Ala、GluまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:LysまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:ArgまたはCys;
Xaa37は:Gly、His、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
カルボキシ末端アミノ酸は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]。
【0009】
本発明の別の態様は、式(II)で示されるアミノ酸配列(配列番号:4)を含むペグ化GLP-1化合物である:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Tyr-Leu-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37
式(II)(配列番号:4)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Gly、Ala、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:PheまたはCys;
Xaa16は:Val、Phe、Tyr、TrpまたはCys;
Xaa18は:Ser、Tyr、Trp、Phe、Lys、Ile、LeuまたはVal;
Xaa19は:TyrまたはPhe;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:GluまたはCys;
Xaa30は:AlaまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:LysまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:ArgまたはCys;および
Xaa37は:Gly、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
カルボキシ末端アミノ酸は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]。
【0010】
本発明の別の態様は、式(III)で示されるアミノ酸配列(配列番号:5)を含むペグ化GLP-1化合物である:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47-Xaa48-Xaa49-Xaa50
式(III)(配列番号:5)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Ala、Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:Phe、Trp、TyrまたはCys;
Xaa16は:Val、Trp、Ile、Leu、Phe、TyrまたはCys;
Xaa18は:Ser、Trp、Tyr、Phe、Lys、Ile、LeuまたはVal;
Xaa19は:Tyr、TrpまたはPhe;
Xaa20は:Leu、Phe、TyrまたはTrp;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:Glu、Ile、AlaまたはCys;
Xaa30は:Ala、GluまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:Lys、Asp、Arg、GluまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:Gly、Pro、ArgまたはCys;
Xaa37は:Gly、Pro、SerまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、Ala、CysまたはNH2または不在;
Xaa43は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Gly、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Pro、Gly、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;
Xaa48は:Gly、His、Cys、NH2または不在;
Xaa49は:Pro、His、Cys、NH2または不在;
Xaa50は:Ser、His、Cys、Ser-NH2、His-NH2、Cys-NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
カルボキシ末端アミノ酸は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa42、Xaa43、Xaa44、Xaa45、Xaa46、Xaa47、Xaa48またはXaa49が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]。
【0011】
本発明の別の態様は、式(IV)で示されるアミノ酸配列(配列番号:6)を含むペグ化GLP-1化合物である:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47
式(IV)(配列番号:6)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Ala、Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:Phe、Trp、TyrまたはCys;
Xaa16は:Val、Trp、Ile、Leu、Phe、TyrまたはCys;
Xaa18は:Ser、Trp、Tyr、Phe、Lys、Ile、Leu、Val;
Xaa19は:Tyr、TrpまたはPhe;
Xaa20は:Leu、Phe、TyrまたはTrp;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:Glu、Ile、AlaまたはCys;
Xaa30は:Ala、GluまたはCys
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:Lys、Asp、Arg、GluまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:Gly、Pro、ArgまたはCys;
Xaa37は:Gly、Pro、SerまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa43は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
カルボキシ末端アミノ酸は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa42、Xaa43、Xaa44、Xaa45またはXaa46が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]。
【0012】
本発明の別の態様は、式(V)で示されるアミノ酸配列(配列番号:7)を含むペグ化GLP-1化合物である:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Ser-Tyr-Lys-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47
式(V)(配列番号:7)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:PheまたはCys;
Xaa16は:Val、Trp、Ile、Leu、Phe、TyrまたはCys;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:GluまたはCys;
Xaa30は:AlaまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:Lys、Asp、Arg、GluまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:Gly、Pro、ArgまたはCys;
Xaa37は:Gly、Pro、SerまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、AlaまたはCys;
Xaa43は:Pro、AlaまたはCys;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
カルボキシ末端アミノ酸は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa44、Xaa45、Xaa46またはXaa47が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]。
【0013】
本発明の別の態様は、式(VI)で示されるアミノ酸配列(配列番号:8)を含むペグ化GLP-1化合物である:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Ser-Tyr-Lys-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47
式(VI)(配列番号:8)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:PheまたはCys;
Xaa16は:ValまたはCys;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:GluまたはCys;
Xaa30は:AlaまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:LysまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:GlyまたはCys;
Xaa37は:ProまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、AlaまたはCys;
Xaa43は:Pro、AlaまたはCys;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
カルボキシ末端アミノ酸は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa44、Xaa45、Xaa46またはXaa47が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]。
【0014】
本発明の別の態様は、式(VII)で示されるアミノ酸配列(配列番号:9)を含むペグ化GLP-1化合物である:
His-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-Gly-Gly-Pro-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47-Xaa48-Xaa49-Xaa50
式(VII)(配列番号:9)
[ここで、Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:PheまたはCys;
Xaa16は:ValまたはCys;
Xaa22は:GlyまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:AlaまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:GluまたはCys;
Xaa30は:AlaまたはCys;
Xaa34は:LysまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:GlyまたはCys;
Xaa37は:ProまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa43は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Gly、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Pro、Gly、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;
Xaa48は:Gly、His、Cys、NH2または不在;
Xaa49は:Pro、His、Cys、NH2または不在;および
Xaa50は:Ser、His、Cys、Ser-NH2、His-NH2、Cys-NH2または不在である;
ここで、GLP-1化合物は、1〜7個のさらなる置換基を含む;
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
カルボキシ末端アミノ酸は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa44、Xaa45、Xaa46またはXaa47が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する;
ただし、Xaa42、Xaa43、Xaa44、Xaa45、Xaa46、Xaa47、Xaa48またはXaa49が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である]。
【0015】
式(I)−(VII)で示される化合物の好ましい具体例として、7アミノ酸以上、6アミノ酸以上、5アミノ酸以上、4アミノ酸以上または3アミノ酸以上、GLP-1(7-37)OHとは相異しないGLP-1化合物が挙げられる。式(I)−(VII)で示されるGLP-1化合物が、8位にバリンまたはグリシンおよび22位にグルタミン酸を有するのもまた好ましい。式(I)−(VII)で示されるGLP-1化合物が、8位にバリンまたはグリシンおよび30位にグルタミン酸を有するのもまた好ましい。式(I)−(VII)で示されるGLP-1化合物が、8位にバリンまたはグリシンおよび37位にヒスチジンまたはシステインを有するのもまた好ましい。式(I)−(VII)で示されるGLP-1化合物が、2または1または0個のシステイン残基を有するのもまた好ましい。GLP-1化合物当たり、1個のPEG分子が存在するのもまた好ましい。
【0016】
本発明の別の態様は、式(VIII)で示されるアミノ酸配列(配列番号:10)を含むペグ化GLP-1化合物である:
Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30-Xaa31-Xaa32-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45
式(VIII)(配列番号:10)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、Arg、Tyr、AlaまたはVal;
Xaa8は:Gly、Ser、AlaまたはThr;
Xaa9は:Glu、AlaまたはAsp;
Xaa10は:Gly、AlaまたはVal;
Xaa11は:Thr、CysまたはAla;
Xaa12は:Phe、Cys、AlaまたはTyr;
Xaa13は:ThrまたはSer;
Xaa14は:Ser、AlaまたはThr;
Xaa15は:AspまたはGlu;
Xaa16は:Leu、Cys、Ala、Ile、ValまたはMet;
Xaa17は:SerまたはAla;
Xaa18は:LysまたはAla;
Xaa19は:GlnまたはAla;
Xaa20は:Met、Ala、Leu、IleまたはVal;
Xaa21は:GluまたはAla;
Xaa22は:Glu、CysまたはAla;
Xaa23は:Glu、CysまたはAla;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Val、CysまたはAla;
Xaa26は:Arg、CysまたはAla
Xaa27は:Leu、CysまたはAla;
Xaa28は:Phe、AlaまたはTyr;
Xaa29は:Ile、Val、Leu、GlyまたはMet;
Xaa30は:Glu、Cys、AlaまたはAsp;
Xaa31は:Trp、Ala、PheまたはTyr;
Xaa32は:LeuまたはAla;
Xaa33は:LysまたはAla;
Xaa34は:Asn、CysまたはAla;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:GlyまたはCys;
Xaa37は:ProまたはCys
Xaa38は:Ser、Cys、NH2または不在;
Xaa39は:Ser、Cys、NH2または不在;
Xaa40は:Gly、Cys、NH2または不在;
Xaa41は:Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa42は:Pro、Cys、NH2または不在;
Xaa43 is Pro、Cys、NH2または不在;
Xaa44 is Pro、Cys、NH2または不在;および
Xaa45 is Ser、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、分子内に2または1個のCysが存在する;
また、ただし、3個以下のXaa9、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa14、Xaa15、Xaa16、Xaa17、Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa26、Xaa27、Xaa30、Xaa31、Xaa32がAlaであり;また、ただし、Xaa1がHis、ArgまたはTyrである場合、少なくとも1個のXaa9、Xaa10およびXaa16がAlaであり;また、ただし、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43またはXaa44が不在である場合、各アミノ酸下流は不在である]。
式(VIII)の7、28、29、31および32位は、得られる容認できない活性の損失をともなうことなく、システインアミノ酸であることはできない。
【0017】
本発明に用いるポリエチレングリコールポリマー(「PEG」)は、分子量が500〜100,000ダルトンであるのが好ましく、20,000〜60,000ダルトンであるのがより好ましく、20,000〜40,000ダルトンであるのが最も好ましく、直線または分枝鎖分子であってよく、当業界で周知のポリエチレングリコール誘導体であってよい。
本発明は、GLP-1の刺激を必要とする患者におけるGLP-1受容体を刺激する方法であって、有効量の本明細書に記載するペグ化GLP-1化合物を患者に投与するステップを含む方法を包含する。また本発明は、GLP-1の刺激を必要とする患者におけるGLP-1受容体を刺激する方法であって、有効量の、配列番号3〜10で示される配列を有する非ペグ化GLP-1化合物(ただし、分子内に2または1個のCysが存在する)を患者に投与するステップを含む方法を包含する。GLP-1受容体の刺激を必要とする患者として、非インスリン依存性糖尿病糖尿病、ストレス誘発性高血糖、肥満、過敏性腸症候群および機能性消化不良といったような胃および/または腸運動性もしくは内容排出障害の患者が挙げられる。
【発明の詳細な記載】
【0018】
グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)は、食物摂取に応答して腸のL細胞によって分泌される37アミノ酸ペプチドである。多くのGLP-1類縁体および誘導体が、当業界で記載されている。本発明は、排出半減期の延長および/またはクリアランスの減少が得られるGLP-1化合物に対する修飾を記載する。ペプチドの特定のアミノ酸部位への1または2個のCys残基の組み入れは、ポリエチレングリコール(PEG)またはPEG誘導体が共役的に結合してペグ化GLP-1化合物が得られるチオール基を提供する。さらに、本発明のGLP-1ペプチド、類縁体またはフラグメントのリシン残基またはカルボキシ末端は、1個またはそれ以上のPEG分子またはPEG誘導体に共役的に結合して、排出半減期が延長および/またはクリアランスが減少された分子が得られる。
【0019】
GLP-1(7-37)OHは、ア配列番号:1のアミノ酸配列を有する:
7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
His-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-

18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Gly-Phe-

29 30 31 32 33 34 35 36 37
Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-Gly-Arg-Gly (配列番号:1)
【0020】
本明細書で用いる用語「ポリペプチド」または「ペプチド」は、さらに修飾(アセチル化、カルボン酸化、リン酸化など)されても、されなくともよい、5アミノ酸残基以上を含むアミノ酸配列のいずれかの構造的形体(たとえば、一次、二次または三次体など)を示すことを意図する。用語「天然」は、天然に見出されるアミノ酸と同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。用語「天然」は、当該ポリペプチドの対立遺伝子変異体を含むことを意図する。
【0021】
用語「アミノ酸」は、本明細書においてその最も広い意味で用いられ、天然のアミノ酸ならびにアミノ酸範囲対および誘導体といったような非天然アミノ酸を含む。当業者であれば、この広い定義を考慮して、本明細書におけるアミノ酸として、たとえば、天然タンパク原性L-アミノ酸;D-アミノ酸;アミノ酸変異体および誘導体などの化学修飾されたアミノ酸;ノルロイシン、β-アラニン、オルニチンなどの天然非タンパク原性アミノ酸;およびアミノ酸の特徴である当業界で公知の特性を有する化学的に合成された化合物などが挙げられることを理解するであろう。非天然アミノ酸の例として、α-メチルアミノ酸(α-メチルアラニンなど)、D-アミノ酸、ヒスチジン様アミノ酸(2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンおよびα-メチル-ヒスチジンなど)、側鎖に余分のメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸)および側鎖中のカルボン酸官能基アミノ酸がスルホン酸基で置換されるアミノ酸(システイン酸など)が挙げられる。しかしながら、本明細書に他に特記されている場合を除き、本明細書のGLP-1化合物が天然アミノ酸のみを含むのが好ましい。
【0022】
本明細書で用いる用語「GLP-1化合物」として、天然GLP-1、[GLP-1(7-37)OHまたはGLP-1(7-36)NH2]、GLP-1類縁体、GLP-1誘導体、GLP-1生物活性フラグメント、伸長GLP-1または伸長GLP-1ペプチドの類縁体もしくはフラグメント(たとえば、米国特許出願Nos. 60/346474および60/405,097を参照)、エキセンジン-4類縁体および本明細書に記載するペプチドの特定の位置に1または2個のCys残基を含むエキセンジン-4誘導体が挙げられる。
当業界の慣例によって、天然GLP-1(7-37)OHのアミノ末端には残基番号7、カルボキシ末端には番号37が付与されている。ポリペプチドにおける他のアミノ酸は、配列番号:1に示すように連続的に番号付けされる。たとえば、天然分子において、位置12はフェニルアラニンであり、位置22はグリシンである。
【0023】
本明細書で用いる「GLP-1フラグメント」または「GLP-1化合物のフラグメント」は、GLP-1化合物のN末端および/またはC末端から1個またはそれ以上のアミノ酸のトランケーションが生じた後に得られた生物活性ポリペプチドである。GLP-1(7-37)OHを記述するために用いた命名法は、GLP-1フラグメントに適用される。たとえば、GLP-1(9-36)OHは、N末端から2個およびC末端から1個のアミノ酸のトランケーションによって得られたGLP-1フラグメントを意味する。フラグメント中のアミノ酸は、GLP-1(7-37)OH中の対応するアミノ酸と同じ番号によって示される。たとえば、GLP-1(7-37)OHと同様に、GLP-1(9-36)OH中のN末端グルタミン酸は位置9であり;位置12はフェニルアラニンによって占められ;位置22はグリシンによって占められる。
【0024】
GLP-1化合物として、GLP-1類縁体およびエキセンジン-4類縁体が挙げられる。明確にするために、「GLP-1化合物」に含まれる「エキセンジン-4類縁体」は、常に1または2個のCys残基を有する。GLP-1類縁体が、GLP-1(7-37)OH、または「Extended Glucagon-Like Peptide-1 Analogs」と題する米国特許出願Nos. 60/346474、August 1、2002出願または60/405,097、August 21、2002出願に記載の伸長GLP-1ペプチド、または1、2、3、4、5または6個のアミノ酸がGLP-1(7-37)OHの対応する位置におけるアミノ酸と相異するように修飾されたそのフラグメント、またはGLP-1(7-37)OHのフラグメント、または伸長されたGLP-1ペプチドの対応する位置におけるアミノ酸配列とは0、1、2、3、4、5または6個のアミノ酸が相異するように修飾されたフラグメントのアミノ酸配列を有するのが好ましい。最も好ましいGLP-1類縁体は、本明細書に記載の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)および(VII)で示される化合物である。最も好ましいエキセンジン-4類縁体は本明細書に記載の式(VIII)で示される化合物である。
【0025】
本明細書のGLP-1化合物に言及する場合の用語「ペグ化」は、の1個またはそれ以上のポリエチレングリコール分子の共役結合によって化学的に修飾されたGLP-1化合物またはその誘導体を意味する。さらに、用語「PEG」は、当業界で周知のように、ポリエチレングリコールまたはその誘導体を意味することが意図される(たとえば、米国特許Nos:5,445,090;5,900,461;5,932,462;6,436,386;6,448,369;6,437,025;6,448,369;6,495,659;6,515,100および6,514,491を参照)。本発明のペグ化GLP-1化合物において、PEG(またはその誘導体)が、GLP-1化合物の1個またはそれ以上のリシンまたはシステイン残基に共役的に結合するのが好ましい。PEGが、GLP-1化合物の1個またはそれ以上のシステイン残基に共役的に結合するのがより好ましい。本発明のペグ化エキセンジン-4類縁体にとっては、PEGは、エキセンジン-4またはエキセンジン-4類縁体に式(VIII)において同定された位置で導入された1または2個のシステイン残基に結合する。必要に応じて、PEG分子が、リンカーまたはスペーサー分子を介してGLP-1化合物に結合してもよい(例として、米国特許6,268,343に記載のスペーサー分子を参照)。
【0026】
GLP-1化合物を明示するために本明細書で用いた命名法では、置換アミノ酸およびその位置が、親ペプチドの名称に続いて示される。たとえば、Glu22-GLP-1(7-37)OHは、通常、GLP-1(7-37)OHの位置22に見出されるグリシンが、グルタミン酸で置換されたGLP-1化合物を示し;Val8Glu22-GLP-1(7-37)OH (またはV8E22-GLP-1(7-37)OH)は、通常、GLP-1(7-37)OHの位置8に見出されるアラニンおよび通常、位置22に見出されるグリシンが、それぞれバリンおよびグルタミン酸で置換されたGLP-1化合物を示す。Val8-エキセンジン4は、通常、エキセンジンの位置8に見出されるセリンがバリンで置換されたGLP-1化合物を示す。本明細書のGLP-1化合物が、インスリン分泌活性を有するのが好ましい。
【0027】
「インスリン分泌活性」は、血糖値の上昇に応答してインスリン分泌を刺激する能力を意味し、それによって細胞によるグルコース摂取が引き起こされ、血糖値が低下する。インスリン分泌活性は、たとえば、それぞれEP 619,322、Gelfandら、および米国特許No. 5,120,712に記載されているような膵島細胞または膵島腫細胞を使用するアッセイなどのGLP-1受容体結合活性または受容体活性化を測定するインビボ実験およびインビトロアッセイの利用などの当業界で公の方法によって評価することができる。インスリン分泌活性は、ヒトにおいて、インスリン濃度またはCペプチド濃度を測定することによって日常的に測定される。
本発明ために、インビトロGLP-1受容体シグナリングアッセイを用いて、本発明のペグ化GLP-1化合物がインビボでインスリン分泌活性を示すかどうかを決定する。インスリン分泌活性は、ペグ化GLP-1化合物が生物学的に活性であることを立証するために用いることができる活性である。
【0028】
本明細書で用いる「インビトロ効力」は、細胞ベースアッセイにおいてGLP-1受容体を活性化するペプチドの能力の尺度である。インビトロ効力は、1回用量−反応実験において50%活性をもたらす化合物の有効濃度である「EC50」として表される。本発明のために、ヒトGLP-1受容体を安定して発現するHEK-293細胞を使用する蛍光アッセイを用いてインビトロ効力を決定する。これらのHEK-293細胞は、β-ラクタマーゼ遺伝子(BLAM)の発現を駆動させるcAMP応答エレメント(CRE)を有するDNAベクターを安定して組み込む。GLP-1化合物(またはアゴニスト)と受容体との相互作用が、cAMP応答エレメントの活性化および続いて起こるβ-ラクタマーゼの発現をもたらすシグナルを開始する。次いで、β-ラクタマーゼ(PanVera LLC)によって切断される場合に蛍光を放出するβ-ラクタマーゼCCF2/AM基質を、特定量のGLP-1アゴニストに曝露された細胞に加えて、GLP-1アゴニスト効力の尺度を提供する。このアッセイは、Zlokarnikら、(1998) Science 279:84-88に詳しく記載されている。上記のBLAMアッセイを用いて、実施例4に列挙した化合物のEC50値を決定した。コントロールとしてVal8-GLP-1(7-37)OHまたは天然GLP-1を用い、コントロールを100%の参照値に割り当てることにより、相対的インビトロ効力値を確立することができる。
【0029】
用語「血漿中半減期」は、排出される前に当該分子の半分が血漿中を循環する時間を意味する。その他に用いられる用語は、「排出半減期」である。結晶中半減期または排出半減期に関連して用いる用語「延長された」または「より長い」は、比較できる条件下で測定した参照分子(たとえば、ペプチドの非ペグ化体または天然ペプチドなど)の半減期と比較して、ペグ化GLP-1化合物の半減期に統計的に有意な増加があることを示す。本発明のペグ化GLP-1化合物は、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも3、5、7、10、15、20時間および最も好ましくは少なくとも24時間の排出半減期を有する。本明細書の実施例5で報告される半減期は、排出半減期である;それは排出の終端対数線形率(terminal log-linear rate)に対応する。当業者であれば、半減期が、クリアランスと分布容積の関数として変化する派生パラメーター(derived parameter)であることを理解するであろう。
【0030】
クリアランスは、薬物を排出する身体の能力の尺度である。たとえば、薬物への修飾によりクリアランスが減少するにつれて、半減期は増加することが予測される。しかし、この相互関係は、分布容積に変化がない場合にのみ正確である。終端対数線形半減期(t1/2)、クリアランス(C)および分布容積(V)間の有用な近似的関係は、等式:t1/2=約0.693 (V/C)によって得られる。クリアランスは、どの程度の量の薬物が除去されているのかを示すものではなく、むしろ、排出を明らかにする、完全に薬物フリーとなっている血液または血漿などの体液の体積を示す。クリアランスは、単位時間当たりの体積で表される。本発明のペグ化GLP-1化合物は、好ましくは200 ml/時間/kg以下、より好ましくは180、150、120、100、80、60 ml/時間/kg以下、最も好ましくは50、40または20 ml/時間/kg以下のクリアランス値を有するのが好ましい(実施例5参照)。
【0031】
本発明においては、得られるペプチドの活性が失われるので、Cysアミノ酸をGLP-1またはGLP-1類縁体ペプチドの位置7、28、29、31または32に組み入れることはできない。すべての他の残基がシステインと置換されてもよいが、このようなシステインが、GLP-1またはGLP-1類縁体ペプチドの位置11、12、16、22、23、24、25、26、27、30、34、35、36および37から選ばれる位置に組み入れられるのが好ましく、1分子当たり2または1個以下のCysアミノ酸であるのが好ましい。Cysアミノ酸が、GLP-1分子に存在する場合、22、26、34、35、36および37から選ばれる位置にあるのがより好ましく、26および/または34にあるのがさらにより好ましい。得られる分子をCysアミノ酸位置でペグ化することができ、非修飾分子の半減期または天然分子の半減期と比べて、より長い半減期をもちながらも、すべてまたは一部の生物活性を保持する修飾分子が得られる。別法として、本発明において、GLP-1またはGLP-1類縁体ペプチドを、位置18、22および26の1、2または3個のリシン残基;またはペプチドのカルボキシ末端のアミノ酸にてペグ化することができる。
【0032】
本発明の別の態様は、配列番号配列3-10を有する非ペグ化GLP-1化合物(ただし、分子中2または1個のCysが存在する)である。出願人は、GLP-1化合物の特定の位置にある残基をCysで置換することができ、生物活性もなお保持しうることを発見した。これらの非ペグ化GLP-1化合物は、本発明のペグ化GLP-1化合物の製造工程において用いうる中間体である。また、これらの化合物は、過敏性腸症候群などの半減期の延長を必要としない障害の治療薬として用いることができる。
【0033】
本発明において使用するためのペプチドを製造して精製し、すぐに少なくとも1個のPEG分子をCysまたはLys残基またはカルボキシ末端アミノ酸に共役的に結合させることによって修飾する。デリケートなペプチドまたはタンパク質分子の機能性を損失することなく、ポリマーを結合させることによってそれらに適当な新しい特性を付与することは困難である。PEGへの共役的結合を製造するための種々の方法が当業界で記載されており、本発明に用いるための特定の方法は、限定を意図するものではない(総論として、Roberts、M.らのAdvanced Drug Delivery Reviews、54:459-476、2002を参照)。PEGのカルボキシ末端アタッチメントは、先駆体として組換えGLP-1ペプチドを用いる酵素的カップリングを介して、あるいは当業界で公知であり、米国特許4,343,898またはInternational Journal of Peptide & Protein Research.43:127-38、1994などに記載の別法を介して結合させることができる。タンパク質のペグ化は、治療薬としてのペプチドまたはタンパク質の使用に関連する多くの薬理学的および毒性学/免疫学的問題を克服することができる。しかし、どの個々のペプチドについても、ペプチドの非ペグ化体と比較して、ペプチドのペグ化体に生物活性において有意な損失が起こるかどうかは不確実である。
【0034】
ペグ化タンパク質の生物活性は、以下の因子などによって影響を受けうる:i)PEG分子の大きさ;ii)結合の特定部位;iii)修飾の程度;iv)逆カップリング条件;v)リンカーが結合に用いられるかどうか、またはポリマーが直接結合されるかどうか;vi)有害な副産物の生成;vii)活性化ポリマーによって課される損害;またはviii)電荷の保持。使用したカップリング反応に応じて、特に、サイトカインのポリマー修飾が、生物活性における劇的減少もたらす[Francis、G.E.ら、(1998) PEGylation of cytokines and other therapeutic proteins and peptides:the importance of biological optimization of coupling techniques、Intl. J. Hem. 68:1-18]。
【0035】
本発明のペグ化GLP-1化合物は、天然のGLP-1の生物活性またはより好ましくはVal8-GLP-1(7-37)OHの生物活性の少なくとも0.5%のインビトロ生物活性をもつ。より好ましくは、本発明のペグ化GLP-1化合物は、天然のGLP-1の生物活性またはより好ましくはVal8-GLP-1(7-37)OHの生物活性の少なくとも1%または3%のインビトロ生物活性をもつ。このような生物活性は、本明細書に記載のインビトロ効力アッセイ(実施例4)によるか、または当業界で公知の他のGLP-1アッセイによって決定することができる。特定のアッセイで測定したように、いくつかの本発明のペグ化GLP-1化合物は、天然のGLP-1またはVal8-GLP-1(7-37)OHよりも生物活性が低いが、この活性低下は、化合物の延長された半減期および/または低下したクリアランス値によって補償され、延長された排出半減期をもつGLP-1化合物の有利な特性ですらある。
【0036】
生物活性を消失することなくシステイン残基を収容することが見出されているGLP-1ペプチドの位置が、エキセンジン-4における類似の位置においてシステインで置換されてもよく、なおGLP-1受容体を結合しうるエキセンジン-4類縁体がもたらされることが、さらに企図される。本発明のエキセンジン-4類縁体一分子当たり2または1個以下のCysアミノ酸が存在するのが好ましい。分子内に存在するCysが、11、12、16、22、23、24、25、26、27、30、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43および44から選ばれる位置(式(VIII)を参照);好ましくは、22、26、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43および 44から選ばれる位置;より好ましくは、位置26および/または34にあるのが好ましい。分子内に存在するCysアミノ酸が、PEG分子に共役的に結合して、天然のエキセンジン-4の排出半減期よりも長い排出半減期をもつペグ化エキセンジン-4類縁体が得られる。好ましい本発明のペグ化エキセンジン-4類縁体ペプチド(式(VIII)に記載の通り)は、非ペグ化エキセンジン-4類縁体の少なくとも0.5%、1.0%、3%、10%、30%または50%の生物活性を有する。野生型エキセンジン-4の配列は:HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPS(配列番号:11)である。
【0037】
その典型的形体において、PEGは、末端ヒドロキシ基を有し、式:HO-CH2CH2-(CH2CH2O)n-CH2CH2-OH(ここで、nは約8〜約4000である)で表される線状ポリマーである。末端水素は、アルキルまたはアルカノール基などの保護基で置換することができる。PEGが、少なくとも1個のヒドロキシ基を有するのが好ましく、それが、末端ヒドロキシ基であるのがより好ましい。ペプチドと反応するために好ましく活性化されるのは、このヒドロキシ基である。本発明に有用な多くの形体のPEGがある。多数のPEG誘導体が当業界に存在し、本発明に用いるのに適している(たとえば、米国特許Nos:5,445,090;5,900,461;5,932,462;6,436,386;6,448,369;6,437,025;6,448,369;6,495,659;6,515,100および6,514,491ならびにZalipsky、S. Bioconjugate Chem. 6:150-165、1995などを参照)。本発明のGLP-1化合物に共役的に結合したPEG分子は、特定のタイプに限定されることを意図するものではない。PEGの分子量は、好ましくは500-100,000ダルトン、より好ましくは20,000-60,000ダルトン、最も好ましくは20,000-40,000ダルトンである。PEGは、直線または分枝であってよく、本発明のペグ化GLP-1化合物は、ペプチドに結合した1、2、3、4、5または6個のPEG分子を有することができる。ペグ化GLP-1化合物1分子当たり1個のPEG分子が存在するのが、最も好ましい;しかし、1個のペプチド分子当たり、より多くのPEG分子が存在する場合、6個以下であるのが好ましい。2またはそれ以上のGLP-1化合物を一緒に架橋させるために、PEG分子の両方の端が、ホモ-またはheroly-官能化されることもさらに意図される。
【0038】
本発明は、GLP-1に共役的に結合する1個またはそれ以上のPEG分子を有するGLP-1化合物を提供する。本発明のペグ化GLP-1化合物の製造方法の1つは、ペプチドのチオール基にPEGを直接結合するPEG-マレイミドの使用を含む。チオール官能基の導入は、前述した位置におけるペプチドへのCys残基の付加または挿入によって達成することができる。チオール官能基をペプチドの側鎖に導入することもできる(たとえば、チオール含有酸のリシンε-アミノ基のアシル化など)。本発明のペグ化方法は、安定したチオエーテルリンカーを形成するためにマイケル付加を用いる。反応は、非常に特異的であり、他の官能基の存在下に穏やかな条件下で行われる。ペグ化マレイミドは、明確な生物活性PEG-タンパク質複合体の製造のための反応性ポリマーとして用いられている。反応を完了させるために、PEGマレイミドに関してモル過剰のチオール含有GLP-1化合物を用いる手順が好ましい。室温にて15〜40時間、pH 4.0〜9.0で反応を行うのが好ましい。過剰の非ペグ化チオール含有ペプチドは、通例の分離法によって、ペグ化生成物から容易に分離される。GLP-1化合物のペグ化に必要な例示的条件を実施例1にて説明する。PEGマレイミドまたは二分岐PEGマレイミドを用いて、システインペグ化を行ってもよい。
【0039】
GLP-1化合物は、種々の生物活性を有する。たとえば、GLP-1が、インスリン放出を刺激することにより、細胞によるグルコース取り込みおよび血糖値の低下を引き起こすことが見出されている(たとえば、Mojsov、S.、(1992) Int. J. Peptide Protein Research、40:333を参照)。GLP-1は、低血糖のリスクをもたらすことなくNIDDM治療を提供するので、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)の治療薬として特に有望である。GLP-1は、肥満、過敏性腸症候群および機能性消化不良の治療薬であることも意図される。
本発明のペグ化GLP-1化合物の使用が、非インスリン依存性糖尿病、肥満、脳卒中、心筋梗塞、過敏性腸症候群または機能性消化不良の治療のための医薬の製造における使用を含むことも意図される。GLP-1化合物のペグ化は、GLP-1の半減期を長くするための当業界で公知の他の修飾と組み合わせることもでき(たとえば、米国特許出願Nos. 60/346474、August 1、2002出願および60/405,097、August 21、2002出願を参照)、それによって、ペグ化のみまたは他の修飾法のみよりも、さらに化合物の半減期を長くすることができる。
【0040】
本明細書で用いる用語「GLP-1化合物」は、本明細書に記載の化合物の医薬的に許容しうる塩も含む。本発明のGLP-1化合物は、十分に酸性、十分に塩基性または両方の官能基を含むことができ、それによって、多くの無機塩基、ならびに無機および有機酸のいずれかと反応して、塩を形成することができる。酸付加塩を形成するために通例用いられる酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸およびp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、カルボン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸である。このような塩の例として、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩などが挙げられる。
塩基付加塩として、水酸化アンモニウムまたはアルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などの無機塩基から誘導された塩が挙げられる。したがって、本発明の塩を製造するのに有用なこのような塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。
【0041】
本発明のペグ化GLP-1化合物は、非経口投与に特に適しており、経口、経鼻投与または吸入によって投与することもできる。非経口投与として、たとえば、筋肉内、静脈内、皮下または腹腔内注射などの全身投与を挙げることができる。ペグ化GLP-1化合物は、前述した障害を治療するための医薬組成物の一部として、医薬的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて患者に投与することができる。医薬組成物は、溶液または非経口投与の場合、GLP-1化合物の懸濁液または亜鉛などの二価金属カチオンと複合したGLP-1化合物の懸濁液でありうる。安定した医薬組成物は、ペプチドまたはペプチド誘導体と相互作用しない不活性成分を含むことができる。Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAに記載されているような標準的医薬製剤技術を用いることができる。非経口投与のための安定した医薬的担体として、たとえば、滅菌水、生理食塩水、静菌的食塩水(約0.9% mg/mlベンジルアルコールを含む)、リン酸緩衝食塩水、ハンクス液、リンガー乳酸塩などが挙げられる。安定した賦形剤の例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、トレハロース、ソルビトールおよびマンニトールが挙げられる。
【0042】
本発明のペグ化GLP-1化合物は、効能のある範囲内に長期間血糖値が維持されるような投与用に製剤されてもよい。有効な経口ペプチドドラッグデリバリーに対する主たる障壁は、酸および酵素によるペプチドの分解のために、ペプチドのバイオアベイラビリティが乏しいこと、上皮膜を通っての吸収が悪いこと、および消化管内で酸性pH環境に曝露されるとペプチドが不溶性形体に移行することである。本発明に包含される経口デリバリーシステムは、当業界で公知である。たとえば、ペグ化GLP-1化合物を、ミクロスフェアを用いてカプセル化し、経口でデリバリーすることができる。たとえば、ペグ化GLP-1化合物を、市販の生体適合性および生体分解性ポリマーであるポリ(ラクチド-co-グリコリド)-COOHおよび充填剤としてのオリーブ油からなるマイクロスフィア内にカプセル化することができる。Josephらの(2000) Diabetologia 43:1319-1328を参照。他のタイプのマイクロスフィア技術も、生体分解性ポリマーMedisorb(登録商標)およびProlease(登録商標)などとしてAlkermesから市販されている。Medisorb(登録商標)ポリマーは、いずれかのラクチド異性体で製造することができる。ラクチド:グリコリド比は、広い範囲のポリマー特性が提供されうる0:100〜100:0の間で変化することができる。このことによって、数週〜数月の範囲の再吸収時間をもつデリバリーシステムおよびインプラントデバイスの設計ができるようになる。ヘミスフィアについてもまた、ペプチドおよびタンパク質のための経口デリバリー技術を議論する数多くの論文が刊行されている。たとえば、吸収を促進するための修飾アミノ酸からなる特定の担体を開示するLeone-bayらによるWO 9528838を参照。
【0043】
本明細書に記載するペグ化GLP-1化合物を用いて、多種多様な疾患および健康状態の患者を治療することができる。本発明に包含されるペグ化GLP-1化合物は、「GLP-1受容体」(Dillonら、(1993) Cloning and Functional Expression of the Human Glucagon-like Peptide-1 (GLP-1) Receptor、Endocrinology、133:1907-1910を参照)と呼ばれる受容体で作用することによってその生物学的効果を発揮する。したがって、GLP-1受容体刺激またはGLP-1化合物の投与に対して都合よく応答する疾患および/または健康状態の患者を、本発明のペグ化GLP-1化合物で治療することができる。これらの患者は、「GLP-1化合物による治療を必要とする」または「GLP-1受容体刺激の必要がある」と言われる。
【0044】
患者には、非インスリン依存性糖尿病、インスリン依存性糖尿病、脳卒中(EfendicによるWO 00/16797を参照)、心筋梗塞(EfendicによるWO 98/08531を参照)、肥満(EfendicによるWO 98/19698を参照)、機能性消化不良および過敏性腸症候群(EfendicによるWO 99/64060を参照)の患者が含まれる。患者には、たとえば、非インスリン依存性糖尿病の発症の危険がある患者などのGLP-1化合物による予防的処置を必要とする患者も含まれる(WO 00/07617を参照)。その他の患者として、耐糖能異常または空腹時糖異常の患者が挙げられ、体重が患者の身長および体質に対する正常体重の約25%増である患者、部分的膵切除を受けた患者、一人以上の非インスリン依存性糖尿病の親をもつ患者、妊娠性糖尿病の患者および急性または慢性膵炎の患者は、非インスリン依存性糖尿病の発症の危険がある。
【0045】
本発明のペグ化GLP-1化合物を用いて、血糖値を正常化し、膵臓β細胞劣化を予防し、β細胞増殖を誘発し、インスリン遺伝子転写を刺激し、IDX-1/PDX-1または他の成長因子をアップレギュレートし、β細胞の機能を改善し、休眠β細胞を活性化し、細胞をβ細胞へ分化させ、β細胞複製を刺激し、β細胞アポトーシスを阻害し、体重を調節し、減量を誘導することができる。
【0046】
ペグ化GLP-1化合物の「有効量」は、GLP-1受容体刺激の必要がある患者に投与したときに、容認できない副作用を引き起こすことなく、所望の治療的および/または予防的効果をもたらす量である。「所望の治療効果」として、1つ以上の以下のものが挙げられる:1)疾患または健康状態に関連する症状の改善;2)疾患または健康状態に関連する症状の開始の遅延;3)治療を行わない場合と比べての寿命の延長;および4)治療を行わない場合と比べての生活の質の向上。たとえば、糖尿病治療用ペグ化GLP-1化合物の「有効量」は、それによって、網膜症、神経障害または腎臓病などの糖尿病合併症の開始の遅延がもたらされる、治療を行わない場合と比べて高度な血糖濃度の調節をもたらす量である。糖尿病の予防のためのペグ化GLP-1化合物の「有効量」は、治療を行わない場合と比べて、スルホニルウレア、チアゾリジノン、インスリンおよび/またはビスグアニジンなどの血糖降下薬による治療を必要とする血糖値の上昇の開始を遅らせる量である。
【0047】
患者に投与されるペグ化GLP-1化合物の「有効量」は、疾患の型および重篤度ならびに全般的健康状態、年齢、性別、体重および薬物耐性といったような患者の特徴にもまた従属する。典型的には、本発明のペグ化GLP-1化合物は、血漿レベルが約5 pmol/l〜約200 pmol/lの範囲になるように投与される。Val8-GLP-1(7-37)OHに対する最適血漿レベルは、30 pmol/l〜約200 pmol/lであると決定された。
本発明のペグ化GLP-1化合物の典型的な用量範囲は、成人で約0.01 mg/日〜約1000 mg/日である。用量は、好ましくは、約0.1 mg/日〜約100 mg/日、より好ましくは、約1.0 mg/日〜約10 mg/日の範囲である。
「患者」は、哺乳動物、好ましくはヒトであるが、たとえば、ペット(イヌ、ネコなど)、家畜(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)および実験動物(ラット、マウス、モルモットなどの動物でもありうる。
【0048】
本発明のペグ化GLP-1化合物を製造するのに用いたペプチドは、液相または固相ペプチド合成技術の標準的方法を用いることによって製造することができる。ペプチド合成機は、Applied Biosystems in Foster City CAなどから市販されている。固相合成用試薬は、Midwest Biotech (Fishers、IN)などから市販されている。固相ペプチド合成機は、妨害基をブロックし、反応すべきアミノ酸を保護し、カップリングし、脱カップリングし、次いで、未反応のアミノ酸をキャッピングするための使用説明書にしたがって用いることができる。
【0049】
典型的には、樹脂上の伸長するペプチド鎖のα-N-カルバモイル保護アミノ酸およびN末端アミノ酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび1-ヒドロキシベンゾトリアゾールなどのカップリング剤ならびにジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンまたは塩化メチレンなどの不活性溶媒中、室温にてカップリングさせる。トリフルオロ酢酸またはピペリジンなどの試薬を用いて、得られるペプチド樹脂からα-N-カルバモイル保護基を除去し、ペプチド鎖に付加される次の所望のN-保護アミノ酸でカップリング反応を繰り返す。適当なアミン保護基は、当業界で周知であり、たとえば、Green and Wuts、「Protecting Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons、1991などに記載されており、これらは全体を参考文献として本発明に援用される。例として、t-ブチルオキシカルボニル(tBoc)およびフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。
【0050】
ペプチドは、t-ブトキシカルボニル-またはフルオレニルメトキシカルボニル-α-アミノ酸および適当な側鎖保護を用いる標準的自動固相合成プロトコルを用いても合成される。合成完了後、標準的フッ化水素法を用いる同時側鎖脱保護により固相支持体からペプチドを切断する。次いで、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中のアセトニトリル勾配を用いるVydac C18カラムにおける逆相クロマトグラフィーを用いて、粗ペプチドを精製する。アセトニトリルを除去するために、0.1 % TFA、アセトニトリルおよび水を含む溶液からペプチドを凍結乾燥する。純度は、分析的逆相クロマトグラフィーによって証明することができる。ペプチドの同一性は、質量分析によって証明することができる。ペプチドは、中性pHにて水性緩衝液に可溶化することができる。
決して限定を意図するものではない以下の実施例によって本発明を説明する。
【実施例】
【0051】
実施例1:GLP-1関連類縁体のペグ化
チオエーテル結合の形成を可能にする条件下でペグ化反応を行う。さらに詳しくは、溶液のpHが約4〜9の範囲であり、チオール含有ペプチド濃度が、メトキシ-PEG-2-MAL濃度の1〜10モル過剰の範囲である。ペグ化反応は通常、室温にて行う。次いで、逆相HPLCまたはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、ペグ化GLP-1ペプチドを単離する。分析的RP-HPLC、HPLC-SEC、SDS-PAGEおよび/またはMALD質量分析を用いて、ペグ化GLP-1類縁体の特性を決定する。
チオール含有GLP-1ペプチドを、40 kDaのポリエチレングリコール-マレイミド(PEG-マレイミド)と反応させて、チオエーテル結合を介して共役的に結合したPEGとの誘導体を製造する。たとえば、ペプチドCex-51-C(V8E22I33C40 GLP-1、長さ45aa(アミノ酸);7.5 mg、1.8 μmol)を20 mM EDTAを含有する200 mM リン酸緩衝液(pH 7.4)2 mlに溶解する。次いで、溶液をアルゴンでパージする。この溶液に、40 mgのメトキシ-PEG2-MAL、二分岐PEGマレイミド(Lot# PT-02B-10、Shearwater Polymers、Inc.、Huntsville、Alabama)(PEG対ペプチドのモル/モル比が0.55:1)を加える。反応は2時間行う。次いで、25 mgのペグ化ペプチドをRP-HPLCによって精製し、サイズ排除HPLCによって特性決定し、インビトロ活性についてテストする。
【0052】
実施例2:GLP類縁体と40kDa-PEGマレイミドの反応
C16E22V8GLPおよびV8C38GLPなどのGLP-1類縁体は、マレイミド活性化二分岐40 kDa mPEG (Shearwater Polymers,Inc.)を用いて、導入されたシステイン残基において選択的にペグ化される。ペグ化反応のために、ペグ化されるペプチドを100 mM TRIS緩衝液(pH 8.0)に溶解し、1.25倍モル過剰の大量の40 kDa-mPEGを加える。反応物を室温にて2〜3時間攪拌し、次いで、10 mM クエン酸塩、10 mM リン酸塩(pH 7.4)に対して約5℃にて一夜透析する(7 kDa膜)。中性pHにてNaCl勾配を用いるMono-Qカラム(Amersham Biosciences Corp、Piscataway、NJ)による陰イオン交換クロマトグラフィーによって、ペグ化GLP-1分子を精製する。
【0053】
実施例3:GLP-1類縁体とDSPE-3.4kDa-PEG-マレイミドの反応
C16E22V8GLP-1およびV8C38GLP-1などのGLP-1類縁体は、脂質、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)末端マレイミド活性化3.4 kDa mPEG(Shearwater Polymers,Inc.)を用いて、導入されたシステイン残基において選択的にペグ化される。ペグ化反応のために、ペプチドを100 mM TRIS緩衝液(pH 8.0)に溶解し、1.25倍モル過剰の大量のDSPE-3.4kDa-PEG-マレイミドを加える。約17%まで無水エタノールを加えて、DSPE-3.4kDa-PEG-マレイミドの溶解を助ける。反応物を室温にて2〜3時間攪拌し、次いで、10 mM クエン酸塩、10 mM リン酸塩(pH 7.4)に対して約5℃にて一夜透析する(7 kDa膜)。中性pHにてNaCl勾配を用いるMono-Qカラム(Amersham Biosciences Corp、Piscataway、NJ)による陰イオン交換クロマトグラフィーによって、ペグ化ペプチドを精製する。
【0054】
実施例4:インビトロ活性アッセイ
PanVera LLC CRE-BLAMシステムを用いて、ヒトGLP-1受容体を発現するHEK-293細胞を、20,000〜40,000細胞/ウエル/10%FBSを含むDMEM培地100 μlにて、ポリ-d-リシン被覆96ウエル黒色透明底プレートに播種する。播種の翌日、培地を除去し、80 μlの無血漿DMEM培地を加える。播種後第3日に、種々の濃度のペグ化GLP-1化合物を含む20 μlの0.5% BSA含有無血漿DMEM培地を各ウエルに加えて、用量反応曲線を作成する。一般に、3ナノモル〜30ナノモルのペグ化ペプチドを含む14個の希釈物を用いて、EC50値を決定することができる用量反応曲線を作成する。ペグ化ペプチドを5時間インキュベートした後、20 μlのβ-ラクタマーゼ基質(CCF2/AM、PanVera LLC)を加え、1時間インキュベートし、この時点で細胞蛍光測定装置にて蛍光を測定する。このアッセイは、Zlokarnikら(1998)、Science、278:84-88にさらに記載されている。記載の通り、以下のペグ化GLP-1ペプチドをテストし、下記のEC50値を得た(V8GLP-1が100%に相当する):
V8C16-3.4kDa DPSE-PEG 4%
V8-3.4kDa PEG-FMOC 87%
V8C38-3.4kDa DPSE-PEG 18%
V8C38-40kDa PEG 3%
V8E22C16-40 kDa PEG 0.7%
V8E22I33C40-40kDa PEG (CEX-51) 9.4 +/-1.5 % [n=5]
【0055】
実施例5:誘導体化GLP-1ペプチドの薬物動態分析
ペグ化GLP-1類縁体(V8E22I33C40-40 kDa PEG (ペグ化、C40-修飾CEX-51))を、雄性SDラットに、0.1 mg/kgの用量にて、静脈内(IV)または皮下(SC)経路で投与する。動物(IVに対する時点毎にラット2匹、SCに対する時点毎にラット3匹)を投与後0〜336時間における種々の時点で出血させる。各サンプルから血漿を集め、ラジオイムノアッセイによって分析する。従属モデル(IVデータ)および独立モデル(SCデータ)法(WinNonlin Pro)を用いて、薬物動態学的パラメーターを計算する。薬物動態学的パラメーターを下記の表1に報告する。IV投与によって、ペグ化GLP-1類縁体の排出半減期は、約1.5日となるが、SC投与では、約1.3日である。0.1 mg/kg V8E22I33C40-40kDaPEGのIVまたはSC投与は、悪い臨床的所見をともなわない。本発明化合物に関して、延長された排出半減期、遅延化されたクリアランスおよび相対的に高い皮下バイオアベイラビリティ(約60%)が観察される。
【0056】
表1
【表1】


a 観察された最大血漿濃度
b 観察された最大血漿濃度の時間
c 0〜∞で測定された血漿濃度-時間曲線下の領域
d 排出半減期(日)
e バイオアベイラビリティの関数としての全身クリアランス
f バイオアベイラビリティの関数としての定常状態における分布容積
g バイオアベイラビリティパーセント
【0057】
V8-GLP(7-37)OHをフィッシャー344ラットに10 μg/kgの用量で同様にIV投与すると、下記のように、大いに異なるクリアランスおよび排出半減期が得られる。
クリアランス:1449 ml/hr/kg
t1/2 (時間):0.05
【0058】
ペグ化GLP-1類縁体(V8E22I33C40-40 kDa PEG(ペグ化、C40-修飾CEX-51))を、雄性カニクイザルに、0.1 mg/kgの用量にて、静脈内(IV)または皮下(SC)経路によって投与する。動物を投与後0〜336時間における種々の時点で出血させる。各サンプルから血漿を集め、ラジオイムノアッセイによって分析する。従属モデル(IVデータ)および独立モデル(SCデータ)法(WinNonlin Pro)を用いて、薬物動態学的パラメーターを計算する。薬物動態学的パラメーターを下記の表2に報告する。IV投与によって、ペグ化GLP-1類縁体の排出半減期は、約59.5時間となるが、SC投与では、約61.6時間である。
【0059】
表2
【表2】



a 観察された最大血漿濃度
b 観察された最大血漿濃度の時間
c 0〜∞で測定された血漿濃度-時間曲線下の領域
d 排出半減期(日)
e バイオアベイラビリティの関数としての全身クリアランス
f バイオアベイラビリティの関数としての定常状態における分布容積
g バイオアベイラビリティパーセント
SD=標準偏差
【0060】
実施例6:誘導体化GLP-1ペプチドの薬力学的分析
ペグ化GLP-1類縁体(V8E22I33C40-40 kDa PEG(ペグ化、C40-修飾CEX-51))を、雄性C57BL/6OlaHsd-Lepobマウスに、3 nmol/kg (12.33mg/kg=0.62 μg/50g マウス)または10 nmol/kg (41mg/kg=2 μg/50g マウス)の用量にて、皮下(SC)経路によって投与し、コントロールにはビヒクルのみを投与する。動物(時点毎にマウス6匹)に、ペグ化GLP-1類縁体またはビヒクルのいずれかを、午前11:00に、1回注射で投薬する。次いで、マウスを一夜絶食させ、IPTGG(1 g デキストロース/kg i.p.)を行う。グルコース注射の15、30、60、90および120分後に、グルコースおよびインスリンのためのリピートサンプルを採取する。薬力学的パラメーターを下記表に記録する。
【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


【表10】


【表11】


【表12】


【表13】


【表14】


【表15】


【表16】


【表17】


【表18】


【配列表】


























【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のPEG分子に共役的に結合したGLP-1化合物を含むペグ化GLP-1化合物であって、各PEGがGLP-1化合物に、CysまたはLysアミノ酸にて、もしくはカルボキシ末端アミノ酸に結合し、ペグ化GLP-1化合物が少なくとも1時間の排出半減期をもつペグ化GLP-1化合物。
【請求項2】
26位のLysおよび34位のLysおよび37位のGlyから選ばれる残基の3、2または1個にてPEG分子に共役的に結合した、配列番号:1で示すGLP-1(7-37)OHのアミノ酸配列を有するペグ化GLP-1化合物。
【請求項3】
26位のLysおよび34位のLysおよび36位のArgから選ばれる残基の3、2または1個にてPEG分子に共役的に結合した、配列番号:2で示すGLP-1(7-36)OHのアミノ酸配列を有するペグ化GLP-1化合物。
【請求項4】
以下の式(I):
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37
式(I)(配列番号:3)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Ala、Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:Phe、Trp、TyrまたはCys;
Xaa16は:Val、Trp、Ile、Leu、Phe、TyrまたはCys;
Xaa18は:Ser、Trp、Tyr、Phe、Lys、Ile、Leu、Val;
Xaa19は:Tyr、TrpまたはPhe;
Xaa20は:Leu、Phe、TyrまたはTrp;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:Glu、Ile、AlaまたはCys;
Xaa30は:Ala、GluまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:LysまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:ArgまたはCys;
Xaa37は:Gly、His、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]
で示されるアミノ酸配列(配列番号:3)を含むペグ化GLP-1化合物。
【請求項5】
以下の式(II):
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Tyr-Leu-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37
式(II)(配列番号:4)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Gly、Ala、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:PheまたはCys;
Xaa16は:Val、Phe、Tyr、TrpまたはCys;
Xaa18は:Ser、Tyr、Trp、Phe、Lys、Ile、LeuまたはVal;
Xaa19は:TyrまたはPhe;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:GluまたはCys;
Xaa30は:AlaまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:LysまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:ArgまたはCys;および
Xaa37は:Gly、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]
で示されるアミノ酸配列(配列番号:4)を含むペグ化GLP-1化合物。
【請求項6】
以下の式(III):
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47-Xaa48-Xaa49-Xaa50
式(III)(配列番号:5)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Ala、Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:Phe、Trp、TyrまたはCys;
Xaa16は:Val、Trp、Ile、Leu、Phe、TyrまたはCys;
Xaa18は:Ser、Trp、Tyr、Phe、Lys、Ile、LeuまたはVal;
Xaa19は:Tyr、TrpまたはPhe;
Xaa20は:Leu、Phe、TyrまたはTrp;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:Glu、Ile、AlaまたはCys;
Xaa30は:Ala、GluまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:Lys、Asp、Arg、GluまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:Gly、Pro、ArgまたはCys;
Xaa37は:Gly、Pro、SerまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、Ala、CysまたはNH2または不在;
Xaa43は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Gly、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Pro、Gly、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;
Xaa48は:Gly、His、Cys、NH2または不在;
Xaa49は:Pro、His、Cys、NH2または不在;
Xaa50は:Ser、His、Cys、Ser-NH2、His-NH2、Cys-NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa42、Xaa43、Xaa44、Xaa45、Xaa46、Xaa47、Xaa48またはXaa49が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]
で示されるアミノ酸配列(配列番号:5)を含むペグ化GLP-1化合物。
【請求項7】
以下の式(IV):
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47
式(IV)(配列番号:6)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Ala、Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:Phe、Trp、TyrまたはCys;
Xaa16は:Val、Trp、Ile、Leu、Phe、TyrまたはCys;
Xaa18は:Ser、Trp、Tyr、Phe、Lys、Ile、Leu、Val;
Xaa19は:Tyr、TrpまたはPhe;
Xaa20は:Leu、Phe、TyrまたはTrp;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:Glu、Ile、AlaまたはCys;
Xaa30は:Ala、GluまたはCys
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:Lys、Asp、Arg、GluまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:Gly、Pro、ArgまたはCys;
Xaa37は:Gly、Pro、SerまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa43は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa42、Xaa43、Xaa44、Xaa45またはXaa46が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]
で示されるアミノ酸配列(配列番号:6)を含むペグ化GLP-1化合物。
【請求項8】
以下の式(V):
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Ser-Tyr-Lys-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47
式(V)(配列番号:7)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:PheまたはCys;
Xaa16は:Val、Trp、Ile、Leu、Phe、TyrまたはCys;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:GluまたはCys;
Xaa30は:AlaまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:Lys、Asp、Arg、GluまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:Gly、Pro、ArgまたはCys;
Xaa37は:Gly、Pro、SerまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、AlaまたはCys;
Xaa43は:Pro、AlaまたはCys;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa44、Xaa45、Xaa46またはXaa47が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]
で示されるアミノ酸配列(配列番号:7)を含むペグ化GLP-1化合物。
【請求項9】
以下の式(VI):
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Xaa11-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Ser-Tyr-Lys-Glu-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Trp-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47
式(VI)(配列番号:8)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジン;
Xaa8は:Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThr;
Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:PheまたはCys;
Xaa16は:ValまたはCys;
Xaa22は:Gly、Glu、Asp、LysまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Ala、Val、Ile、LeuまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:GluまたはCys;
Xaa30は:AlaまたはCys;
Xaa33は:ValまたはIle;
Xaa34は:LysまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:GlyまたはCys;
Xaa37は:ProまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、AlaまたはCys;
Xaa43は:Pro、AlaまたはCys;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa44、Xaa45、Xaa46またはXaa47が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する]
で示されるアミノ酸配列(配列番号:8)を含むペグ化GLP-1化合物。
【請求項10】
以下の式(VII):
His-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-Gly-Gly-Pro-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45-Xaa46-Xaa47-Xaa48-Xaa49-Xaa50
式(VII)(配列番号:9)
[ここで、Xaa11は:ThrまたはCys;
Xaa12は:PheまたはCys;
Xaa16は:ValまたはCys;
Xaa22は:GlyまたはCys;
Xaa23は:GlnまたはCys;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:AlaまたはCys;
Xaa26は:LysまたはCys;
Xaa27は:GluまたはCys;
Xaa30は:AlaまたはCys;
Xaa34は:LysまたはCys;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:GlyまたはCys;
Xaa37は:ProまたはCys;
Xaa38は:Ser、Pro、HisまたはCys;
Xaa39は:Ser、Arg、Thr、Trp、LysまたはCys;
Xaa40は:Ser、GlyまたはCys;
Xaa41は:Ala、Asp、Arg、Glu、Lys、GlyまたはCys;
Xaa42は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa43は:Pro、Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa44は:Pro、Ala、Arg、Lys、His、Cys、NH2または不在;
Xaa45は:Ser、His、Pro、Lys、Arg、Gly、Cys、NH2または不在;
Xaa46は:His、Ser、Arg、Lys、Pro、Gly、Cys、NH2または不在;および
Xaa47は:His、Ser、Arg、Lys、Cys、NH2または不在;
Xaa48は:Gly、His、Cys、NH2または不在;
Xaa49は:Pro、His、Cys、NH2または不在;および
Xaa50は:Ser、His、Cys、Ser-NH2、His-NH2、Cys-NH2または不在である;
ここで、GLP-1化合物は、1〜7個のさらなる置換基を含む;
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する、あるいは
3、2または1個のLys残基は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、Xaa44、Xaa45、Xaa46またはXaa47が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である;
ただし、分子内に2、1または0個のCysが存在する;
ただし、Xaa42、Xaa43、Xaa44、Xaa45、Xaa46、Xaa47、Xaa48またはXaa49が不在である場合、各アミノ酸下流は、不在である]
で示されるアミノ酸配列(配列番号:9)を含むペグ化GLP-1化合物。
【請求項11】
さらなる置換が、次の置換:
a.7位のHisが、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシ-ヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジンまたはα-メチル-ヒスチジンで置換される;
b.8位のAlaが、Gly、Val、Leu、Ile、SerまたはThrで置換される;
c.12位のPheが、TrpまたはTyrで置換される;
d.16位のValが、Trp、Ile、Leu、PheまたはTyrで置換される;
e.18位のSerが、Trp、Tyr、Phe、Lys、Ile、LeuまたはValで置換される;
f.19位のTyrが、TrpまたはPheで置換される;
g.20位のLeuが、Phe、TyrまたはTrpで置換される;
h.22位のGlyが、Glu、AspまたはLysで置換される;
i.25位のAlaが、Val、IleまたはLeuで置換される
j.27位のGluが、IleまたはAlaで置換される;
k.30位のAlaが、Gluで置換される;
l.33位のValが、Ileで置換される;および
m.34位のLysが、Asp、ArgまたはGluで置換される;
の少なくとも1つから選ばれる、請求項10に記載のペグ化GLP-1化合物。
【請求項12】
以下の式(VIII):
Xaa7-Xaa8-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Xaa21-Xaa22-Xaa23-Xaa24-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Xaa28-Xaa29-Xaa30-Xaa31-Xaa32-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42-Xaa43-Xaa44-Xaa45
式(VIII)(配列番号:10)
[ここで、Xaa7は:L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、デスアミノ-ヒスチジン、2-アミノ-ヒスチジン、β-ヒドロキシヒスチジン、ホモヒスチジン、α-フルオロメチル-ヒスチジン、α-メチル-ヒスチジン、Arg、Tyr、AlaまたはVal;
Xaa8は:Gly、Ser、AlaまたはThr;
Xaa9は:Glu、AlaまたはAsp;
Xaa10は:Gly、AlaまたはVal;
Xaa11は:Thr、CysまたはAla;
Xaa12は:Phe、Cys、AlaまたはTyr;
Xaa13は:ThrまたはSer;
Xaa14は:Ser、AlaまたはThr;
Xaa15は:AspまたはGlu;
Xaa16は:Leu、Cys、Ala、Ile、ValまたはMet;
Xaa17は:SerまたはAla;
Xaa18は:LysまたはAla;
Xaa19は:GlnまたはAla;
Xaa20は:Met、Ala、Leu、IleまたはVal;
Xaa21は:GluまたはAla;
Xaa22は:Glu、CysまたはAla;
Xaa23は:Glu、CysまたはAla;
Xaa24は:AlaまたはCys;
Xaa25は:Val、CysまたはAla;
Xaa26は:Arg、CysまたはAla
Xaa27は:Leu、CysまたはAla;
Xaa28は:Phe、AlaまたはTyr;
Xaa29は:Ile、Val、Leu、GlyまたはMet;
Xaa30は:Glu、Cys、AlaまたはAsp;
Xaa31は:Trp、Ala、PheまたはTyr;
Xaa32は:LeuまたはAla;
Xaa33は:LysまたはAla;
Xaa34は:Asn、CysまたはAla;
Xaa35は:GlyまたはCys;
Xaa36は:GlyまたはCys;
Xaa37は:ProまたはCys
Xaa38は:Ser、Cys、NH2または不在;
Xaa39は:Ser、Cys、NH2または不在;
Xaa40は:Gly、Cys、NH2または不在;
Xaa41は:Ala、Cys、NH2または不在;
Xaa42は:Pro、Cys、NH2または不在;
Xaa43 is Pro、Cys、NH2または不在;
Xaa44 is Pro、Cys、NH2または不在;および
Xaa45 is Ser、Cys、NH2または不在である;および
ここで、2または1個のCys残基は、PEG分子に共役的に結合する;
ただし、分子内に2または1個のCysが存在する;
また、ただし、3個以下のXaa9、Xaa10、Xaa11、Xaa12、Xaa14、Xaa15、Xaa16、Xaa17、Xaa18、Xaa19、Xaa20、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa26、Xaa27、Xaa30、Xaa31、Xaa32がAlaであり;また、ただし、Xaa1がHis、ArgまたはTyrである場合、少なくとも1個のXaa9、Xaa10およびXaa16がAlaであり;また、ただし、Xaa38、Xaa39、Xaa40、Xaa41、Xaa42、Xaa43またはXaa44が不在である場合、各アミノ酸下流は不在である]
で示されるアミノ酸配列(配列番号:10)を含むペグ化GLP-1化合物。
【請求項13】
GLP-1の刺激を必要とする患者におけるGLP-1受容体を刺激する方法であって、有効量の請求項1〜12のいずれか1つに記載のペグ化GLP-1化合物を患者に投与するステップを含む方法。
【請求項14】
患者が、非インスリン依存性糖尿病を治療される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者が、非インスリン依存性糖尿病を予防的に治療される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
患者が、肥満、脳卒中、心筋梗塞、過敏性腸症候群または機能性消化不良を治療される請求項13に記載の方法。
【請求項17】
使用が、非インスリン依存性糖尿病、肥満、脳卒中、心筋梗塞、過敏性腸症候群または機能性消化不良の治療のための医薬の製造における請求項1〜12のいずれか1つに記載のペグ化GLP-1化合物の使用。
【請求項18】
医薬が、非インスリン依存性糖尿病を治療するために用いられる請求項17に記載の使用。
【請求項19】
医薬が、肥満を治療するために用いられる請求項17に記載の使用。
【請求項20】
医薬が、過敏性腸症候群または機能性消化不良を治療するために用いられる請求項17に記載の使用。


【公表番号】特表2006−520818(P2006−520818A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508916(P2006−508916)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/006082
【国際公開番号】WO2004/093823
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】