説明

ポリスチレン系発光ダイオード用反射体

【課題】初期反射率の高いポリスチレン系LED用反射体及び発光ダイオードを提供する。
【解決手段】下記成分(1)〜(2)を含み、波長460nmでの反射率が95%以上である発光ダイオード用反射体。
(1)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(2)酸化チタン:35〜55質量部

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)素子を用いた発光装置等に用いられるポリスチレン系反射体に関する。
【背景技術】
【0002】
1990年代以降、LEDの進歩は目覚しく、高出力化とともに多色化が進んでいる。なかでも白色LEDは従来の白色電球、ハロゲンランプ、HIDランプ等を代替する次世代の光源として期待されている。実際、LEDは長寿命、省電力、温度安定性、低電圧駆動等の特長が評価され、ディスプレイ、行き先表示板、車載照明、信号灯、非常灯、携帯電話、ビデオカメラ等に応用されている。かかる発光装置は、通常、合成樹脂をリードフレームと一体成形してなる反射板にLEDを固定し、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の封止材料で封止することにより製造されている。LED反射板用材料には、LEDが発する光を効率よく取出すために、高い光反射率が要求される。さらに、発光装置の製造時(封止工程等)や使用時の熱により反射率が低下しない(耐熱黄変性)ことも重要である。
【0003】
LED反射材としては、特許文献1,2に開示されているようなポリアミド系の材料が用いられることが多いが、ポリアミド系反射材はLED製造時や使用時の熱で反射率が大きく低下する問題がある。
【0004】
一方、本発明者らは特許文献3において、耐熱黄変性に優れた材料としてシンジオタクチックポリスチレン(SPS)系反射材を開示している。特許文献3には当時としては高い反射性能を有するSPS/TiOを含むLED用反射材が開示されているが、現在では初期反射率のレベルは十分ではない。
【特許文献1】特開平2−288274号公報
【特許文献2】特開2002−294070号公報
【特許文献3】特開2007−2096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、初期反射率が高いポリスチレン系LED用反射体及び発光ダイオードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の組成で配合したSPS系ドライブレンド物を混練する際に、混練時の材料温度を一定の範囲内に制御すると、SPS系反射体の特徴である耐熱黄変性を損なうことなく、初期反射率を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明によれば、以下のLED用反射体及び発光ダイオードが提供される。
1.下記成分(1)〜(2)を含み、波長460nmでの反射率が95%以上である発光ダイオード用反射体。
(1)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(2)酸化チタン:35〜55質量部
2.下記成分(3)〜(5)を含み、波長460nmでの反射率が91%以上、かつ、熱変形温度が240℃以上である発光ダイオード用反射体。
(3)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(4)酸化チタン:15〜40質量部
(5)ガラス繊維:8〜23質量部
3.下記成分(1)〜(2)を、材料温度310〜330℃で混練し、
得られた混合物を成形する請求項1記載の発光ダイオード用反射体の製造方法。
(1)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(2)酸化チタン:35〜55質量部
4.下記成分(3)〜(5)を、材料温度310〜330℃で混練し、
得られた混合物を成形する請求項2記載の発光ダイオード用反射体の製造方法。
(3)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(4)酸化チタン:15〜40質量部
(5)ガラス繊維:8〜23質量部
5.1又は2記載の反射体と、前記反射体上に形成した発光素子と、前記発光素子を覆う封止部と、を含む発光ダイオード。
6.前記封止部が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂又はシリコーン系樹脂からなる5記載の発光ダイオード。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、初期反射率の高いポリスチレン系LED用反射体及び発光ダイオードを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第一のLED用反射体は、下記成分(1)〜(2)を含み、波長460nmでの反射率が95%以上である。
(1)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(2)酸化チタン:35〜55質量部
【0010】
高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とは、核磁気共鳴法(NMR法)により定量されるタクティシティーが、ダイアットで85%以上又はラセミペンタッド[rrrr]で50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは95%以上のシンジオタクティシティーを有することを意味する。上記のタクティシティー(立体規則性)が高いほど結晶構造を多く含み、耐熱性が向上するため、耐熱性も併せて要求される高出力のLEDの場合などでは、よりシンジオタクティシティーが高いスチレン系樹脂を好適に使用することができる。このようなスチレン系重合体の具体例をあげれば、ポリスチレンをはじめ、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(ジメチルスチレン)、ポリ(t−ブチルスチレン)等のポリ(アルキルスチレン)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フルオロスチレン)等のポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(クロロメチルスチレン)等のポリ(ハロゲン置換アルキルスチレン)、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等のポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(カルボキシメチルスチレン)等のポリ(カルボキシエステルスチレン)、ポリ(ビニルベンジルプロピルエーテル)等のポリ(アルキルエーテルスチレン)、ポリ(トリメチルシリルスチレン)等のポリ(アルキルシリルスチレン)、ポリ(ビニルベンゼンスルホン酸エチル)、ポリ(ビニルベンジルメトキジホスファイド)等が挙げられ、またこれら混合物、さらにはこれらを主成分とする共重合体等がある。
【0011】
このように本発明における高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とは、上述の如く必ずしもそれが単一化合物である必要はない。シンジオタクティシティーが、上記範囲に存する限り、アイソタクチックもしくはアタクチック構造のスチレン系重合体との混合物や共重合体鎖中に組み込まれたものであってもよい。また、このスチレン系共重合体は、分子量の異なるものの混合物であってもよく、重合度は少なくとも5以上、好ましくは10以上のものである。重合度が5未満であると、強度が不十分となる場合がある。
【0012】
高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体のMFR(300℃、荷重1.2kgで測定)は限定されないが、8g/10分以上であることが好ましい。MFRが小さすぎると、混練不良や押出機の運転が不安定となる恐れがある。
【0013】
上記高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、各種の方法により製造することができるが、好ましくは特開昭62−187708号公報に記載された方法を挙げることができる。
【0014】
酸化チタンは特に限定されず、ルチル型酸化チタン、アナタース型酸化チタンのいずれも使用することが可能である。
【0015】
高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の配合量は40〜60質量部であり、好ましくは45〜55質量部である。60質量部を超えると、反射率が十分増大しない場合がある。40質量部未満であると、溶融粘度が増大し、流動性が著しく低下する。その結果、酸化チタンの分散性が悪化し反射率が低下したり、スクリュートルクが増大し混練機が停止する恐れがある。
【0016】
酸化チタンの配合量は35〜55質量部であり、好ましくは40〜50質量部である。35質量部未満であると、反射率が十分増大しない場合がある。55質量部を超えると、酸化チタンによる押出機シリンダーの磨耗が激しくなる恐れがある。
【0017】
第一のLED用反射体の波長460nmでの反射率は95%以上である。尚、この反射率の測定方法は実施例にて初期反射率の測定方法として後述する。
【0018】
本発明の第二のLED用反射体は、下記成分(3)〜(5)を含み、波長460nmでの反射率が91%以上、かつ、熱変形温度が240℃以上である。
(3)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(4)酸化チタン:15〜40質量部
(5)ガラス繊維:8〜23質量部
【0019】
第二のLED用反射体において使用するスチレン系重合体(3)及び酸化チタン(4)は第一のLED用反射体と同じである。
ガラス繊維は特に限定されないが、通常市販されているものを使うことができる。
【0020】
高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の配合量は40〜60質部%であり、好ましくは45〜55質量部である。60質量部を超えると、反射率が不足する場合がある。40質量部未満であると、溶融粘度が増大し、流動性が著しく低下する。その結果、酸化チタンの分散性が悪化し反射率が低下したり、スクリュートルクが増大し混練機が停止する恐れがある。
【0021】
酸化チタンの配合量は15〜40質量部であり、好ましくは20〜35質量部である。15質量部未満であると、反射率が不十分となる場合がある。40質量部を超えると、酸化チタンの分散性が悪化したり、トルクオーバーにより混練不能となることがある。
【0022】
ガラス繊維の配合量は8〜23質量部であり、好ましくは10〜20質量部である。8質量部未満であると、熱変形温度が低くなり、高温で荷重がかかった状態での使用ができなくなる恐れがある。20質量部を超えると、反射率が不十分となる恐れがある。
【0023】
第二のLED用反射体は、波長460nmでの反射率が91%以上である。また、熱変形温度が240℃以上である。
【0024】
第一及び第二のLED用反射体は、さらに酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等がある。フェノール系酸化防止剤は、自動酸化の初期過程で発生するラジカルを捕捉する機能を有し、最も一般的に使われている。リン系酸化防止剤は、溶融時の物性低下や変色を抑制する働きをする。イオウ系酸化防止剤は、長期間の耐熱性が必要な場合に用いられることが多い。以上の機能を鑑みて、SPS系LED用反射体には、フェノール系、リン系、イオウ系全ての酸化防止剤を相当量用いることが多かった(例えば、配合量は0.5質量部ずつ)。ところが、後述する実施例に示すように、フェノール系酸化防止剤は0.5質量部を維持しつつも、リン系酸化防止剤、及び、イオウ系酸化防止剤をそれぞれ0.35質量部以下に低減したところ、初期反射率が増大した。通常、リン系酸化防止剤を低減すると樹脂が変色するので、これは驚くべき結果である。また、イオウ系酸化防止剤を減らしたので長期耐熱性の低下も懸念されたが、その兆候は全く見られなかった。酸化防止剤の好ましい配合量は、フェノール系酸化防止剤は1.0〜0.1質量部、より好ましくは0.5〜0.2質量部である。リン系酸化防止剤は好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.35質量部以下、特に好ましくは0.3質量部以下である。イオウ系酸化防止剤は好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.35質量部以下、特に好ましくは0.3質量部以下である。また、リン系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤の合計は、好ましくは0.7〜0.01質量部、より好ましくは0.5〜0.05質量部、特に好ましくは0.3〜0.1質量部である。
【0025】
酸化防止剤以外にも必要に応じて、各種添加剤(結晶核剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、耐電防止剤、離型剤等)を配合することができる。
【0026】
またさらに、他の熱可塑性樹脂や相溶化剤を配合してもよい。例えば、熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンエーテルやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリペンテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド等のポリチオエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸メチル、エチレン−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、フッ素化ポリエチレン、ポリアセタール、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリブタジエン、スチレン系エラストマー(SBR、SBS、SEBS、SEPS等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂の好適な配合量は0〜10質量部であり、より好ましくは3〜10質量部である。
【0027】
相溶化剤としては、特に限定しないが、ポリフェニレンエーテル系重合体の変性体が好ましい。特に、ポリ(2,6−ジメチレンフェニレン−1,4−エーテル)系の材料で、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、アミノ基、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基等が導入されたものが好ましい。
【0028】
第一及び第二のLED用反射体は、それぞれ上記の配合組成の材料を用い、材料温度310〜330℃の間で混練し、成形することにより得ることができる。例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機等により混練する。
【0029】
混練時の材料温度は310〜330℃の間で制御するが、好ましくは、310〜325℃である。310℃未満の場合には、溶融粘度が非常に高くなるために、酸化チタンの分散が不十分で十分な反射率が得られない場合がある。また、場合によっては、トルクオーバーにより押出機が止まってしまうこともある。330℃を超えると、材料劣化が顕著になり反射率が低下する恐れがある。また、ベース樹脂分子量の著しい低下により、射出成形時に金型内での固化が十分でなく、離型不良につながる場合がある。尚、材料温度は、例えば、混練を継続している状態で、二軸スクリュー押出機のダイス出口に熱電対を挿入することによって測定することができる。
【0030】
材料温度を制御する因子としては、(i)バレル又はシリンダー温度の制御、(ii)押出機(スクリュー)の回転数、(iii)樹脂溶融粘度、(iv)樹脂組成物中のフィラー配合率等があるが、(i)〜(iv)を組み合わせて制御する必要がある。特に押出機の型式によって異なるため、(i)〜(iv)を個別に特定することは、意味を有しない。実施例に記載のとおり、(i)〜(iv)を総じて調整して樹脂温度を上記範囲内に設定することにより、従来にない反射性能を有するLED用反射体が得られる。
【0031】
通常、混練は空気下で行うが、窒素やアルゴン等の不活性ガス下で行うと酸化劣化が抑制されるのでより好ましい。
【0032】
混練後の原料は、各種成形方法によって所望の形状のLED用反射体に成形できる。例えば上記原料をペレット状に造粒したものを、射出成形機等に投入することにより成形できる。射出成形機のシリンダー温度は280〜320℃の範囲に設定して成形するのが好ましい。
【0033】
第一のLED用反射体は、特に高反射率を要求される用途に好適に用いることができる。第二のLED用反射体も91%以上の反射率を有する高反射体であるが、特に、荷重がかかった状態で、高温にさらされる用途に好適に用いられる。また、第一及び第二のLED用反射体に共通する特性として、熱に対する色変化が極めて少ないことが挙げられる。この性質は、LED照明の寿命向上に大きく寄与するものである。
【0034】
続いて、本発明の反射体を使用した発光ダイオードの一例について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の反射体の一実施形態を示す概略図であり、(a)は上面図を、(b)は断面図を示す。
反射体11は、リードフレーム12と一体成形して作製される。リードフレーム12は、発光素子に電圧を印加するために導電性を有し、2つに分離して反射体11に組み込まれている。
反射体の大きさは数ミリ程度でとても小さい。例えば、3辺(縦×横×高さ)がそれぞれ3mm程度である場合がある。
【0035】
図2は、本発明の発光ダイオードの一実施形態の概略断面図である。
発光ダイオードは、リードフレーム12と一体成形された反射体11と、リードフレーム12上に形成した発光素子(チップ)13及び金ワイヤー14と、素子を覆う封止部15とを含む。
反射体11は、発光素子13が発した光を、発光ダイオードの外部に効率よく光を反射するものである。発光素子13は、リードフレーム12を介して電圧を印加することにより発光する素子である。封止部15は、発光素子13を外部環境から保護するものである。
【0036】
本発明の発光ダイオードにおいて、発光素子13は公知の半導体発光素子を問題なく使用できる。発光色も限定されない。
リードフレーム12としては、銅、銀、鉄、パラジウム等が使用できる。
封止部15としては、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等が使用できる。これらは、液状(オリゴマー状)の熱硬化型樹脂を硬化することにより形成できる。なかでも高透明、かつ高耐久性であるエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂が好ましい。これらの樹脂の特性を十分に発揮させるためには、できるだけ硬化度を高くする必要がある。そのためには、高い温度で硬化処理する必要があるが、本発明の反射体を使用することにより熱処理による反射体の反射性能の劣化を低減できる。
【0037】
本発明の発光ダイオードは、上述した本発明の反射体を用いる他は、公知の方法により製造できる。具体的には、リードフレーム12上に発光素子13を固定した後、熱硬化型樹脂を発光素子13を覆うように供給し、加熱硬化させることにより形成できる。
本発明の製造方法では、熱硬化型樹脂を150℃以上(250℃以下)の温度に加熱し硬化させ、封止部を形成する工程を有する。本発明の反射体は、封止工程時の加熱に対し十分な抵抗力を備えているため、封止工程時の加熱で生じる反射率の低下が小さい。従って、高い温度で封止部を反射体上に形成しても、優れた反射性を保持したまま、発光ダイオードを製造することができる。
【実施例】
【0038】
実施例及び比較例に使用した材料を以下に示す。
(a)シンジオタクチックポリスチレン(SPS)
SPS(ラセミペンタッドタクティシティー=98%、MFR=30)(300ZC(出光興産))
SPS(ラセミペンタッドタクティシティー=98%、MFR=13)(130ZC(出光興産))
SPS(ラセミペンタッドタクティシティー=98%、MFR=9)(90ZC(出光興産))
【0039】
(b)酸化チタン
酸化チタン(PF−726(石原産業))
(c)ガラス繊維
ガラス繊維(JAFT164G(旭ファイバーグラス))
(d)熱可塑性樹脂
スチレン系エラストマー(SEBS)(セブトン8006(クラレ))
【0040】
(e)酸化防止剤
フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ.))
リン系酸化防止剤(PEP36(ADEKA))
イオウ系酸化防止剤(AO412S(ADEKA))
(f)添加剤
結晶核剤(NA11(ADEKA))
【0041】
[実施例1]
SPS(MFR=13)(130ZC(出光興産))を54質量部、酸化チタン(PF−726(石原産業))を30質量部、ガラス繊維(JAFT164G(旭ファイバーグラス))を10質量部、SEBS(セプトン8006(クラレ))を6質量部、フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ.))を0.5質量部、リン系酸化防止剤(PEP36(ADEKA))を0.5質量部、イオウ系酸化防止剤(AO412S(ADEKA))を0.5質量部、結晶核剤(NA11(ADEKA))を0.5質量部配合し、ドライブレンドした後、内径30mmの二軸押出機のホッパーに投入し、空気雰囲気で、スクリュー回転数300rpm、シリンダー設定温度300℃、材料温度325℃で溶融混練後、ペレットにした。混練時の材料温度の測定は、混練中、ダイス出口部分に熱電対を配置し、ダイスから出てくる溶融物の温度を直接測定することにより行った。
【0042】
ペレットを70℃で一昼夜乾燥後、バレル温度290℃、金型温度150℃で射出成形し、80mm角2mm厚の角板(試験片1)及び125mm×12mm×3mmの短冊(試験片2)を数枚ずつ得た。離型時に試験片が変形したものを×、変形しなかったものを○として離型性を評価した。その他の特性の評価方法は以下の通りである。
【0043】
(1)反射率の測定
(株)島津製作所製・自記分光光度計UV−2400PCに(株)島津製作所製・マルチパーパス大形試料室ユニットMPC−2200形を取りつけ、試験片1について波長460nmでの反射率(%)を測定した。尚、レファレンスとして硫酸バリウムを使用した。
【0044】
(2)熱処理後の反射率
試験片1を200℃にセットしたオーブン内で8時間熱処理したのち、(1)の方法で反射率を測定した。
【0045】
(4)UV照射後の反射率
耐候性試験機(ジャスコインターナショナル製、solarbox1500e)を用い、試験片1に500W/mの出力で1000時間試料に紫外光を照射した。その後、(1)の方法で反射率を測定した。
【0046】
(5)熱変形温度
試験片2を用い、JIS K7191に準拠して荷重0.45MPaでの熱変形温度を測定した。
【0047】
[実施例2〜13、比較例1〜6]
配合材料を表1又は2に示す割合で配合し、表1又は2に示す条件で溶融混練した他は、実施例1と同様にペレットを製造した。比較例2では、溶融物の温度測定はできたが、混練開始5分後にトルクオーバーによりスクリューが停止し、十分な量のペレットを得ることができなかった。従って、それ以上の評価は実施しなかった。
【0048】
混練を良好に行えたものについては、実施例1と同様に試験片1,2を得て評価した。結果を表1又は2に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の反射体は発光ダイオードに好適に使用できる。また、本発明の反射体を使用した発光ダイオードはディスプレイ、行き先表示板、車載照明、信号灯、非常灯、携帯電話、ビデオカメラ等に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の反射体の一実施形態を示す概略図であり、(a)は上面図を、(b)は断面図を示す。
【図2】本発明の発光ダイオードの一実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0053】
11 反射体
12 リードフレーム
13 発光素子
14 金ワイヤー
15 封止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(1)〜(2)を含み、波長460nmでの反射率が95%以上である発光ダイオード用反射体。
(1)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(2)酸化チタン:35〜55質量部
【請求項2】
下記成分(3)〜(5)を含み、波長460nmでの反射率が91%以上、かつ、熱変形温度が240℃以上である発光ダイオード用反射体。
(3)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(4)酸化チタン:15〜40質量部
(5)ガラス繊維:8〜23質量部
【請求項3】
下記成分(1)〜(2)を、材料温度310〜330℃で混練し、
得られた混合物を成形する請求項1記載の発光ダイオード用反射体の製造方法。
(1)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(2)酸化チタン:35〜55質量部
【請求項4】
下記成分(3)〜(5)を、材料温度310〜330℃で混練し、
得られた混合物を成形する請求項2記載の発光ダイオード用反射体の製造方法。
(3)高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体:40〜60質量部
(4)酸化チタン:15〜40質量部
(5)ガラス繊維:8〜23質量部
【請求項5】
請求項1又は2記載の反射体と、前記反射体上に形成した発光素子と、前記発光素子を覆う封止部と、を含む発光ダイオード。
【請求項6】
前記封止部が、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂又はシリコーン系樹脂からなる請求項5記載の発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−4592(P2009−4592A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164596(P2007−164596)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】