説明

ポリプロピレン樹脂組成物

【課題】 各色カラーコンパウンド等の高温紡糸時における粘度が揃ったポリプロピレン樹脂組成物の提供。
【解決手段】 同一分子内にフォスファイト構造と式(1)で示されるヒンダードフェノール構造とを有する酸化防止剤並びにポリプロピレンを含み、ポリプロピレン100重量部当り酸化防止剤を0.001〜1重量部含む組成物を1回押出加工して得たときのメルトフローレートをMFRMi;上記組成物をさらに5回繰返し押出加工して得たときのメルトフローレートをMFRM5;前記組成物に対しポリプロピレン100重量部当り顔料を0.001〜5重量部配合した後5回繰返し押出加工して得たときのメルトフローレートをMFRP5としたときに式(2)を満足する組成物。
0.80≦[(MFRP5−MFRMi)/(MFRM5−MFRMi)]≦1.20 (2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレンと顔料と酸化防止剤とを含有するポリプロピレン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポリオレフィン樹脂と、充填剤と、同一分子内にフォスファイト構造及びヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤とを含む樹脂組成物が記載されている。そして、該樹脂組成物はさらに顔料を含んでもよいことが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−121331号公報(特許請求の範囲、及び段落番号0034を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリプロピレンは、繊維に加工されることが多い。例えば、多色の繊維を同時に紡糸し、カラフルなカーマットとして使用される。また、繊維の生産性を高めるために、比較的高温で紡糸されることが多く、高温紡糸時における良好な熱安定性が要求されている。そこで、上記のポリプロピレンには、各種顔料以外にフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤やヒンダードアミン系光安定剤等の各種安定剤が配合される。
しかしながら、顔料と上記安定剤の組合せによっては、上記ポリプロピレンに顔料と各種安定剤を配合して得たポリプロピレン樹脂組成物の粘度(流れ性)が異なり、多色の繊維を高温紡糸してカラフルなカーマットを得ることが困難であった。
本発明の目的は、ポリプロピレンと顔料と安定剤とを含む組成物において、各色カラーコンパウンド等の高温紡糸時における粘度(流れ性)が揃ったポリプロピレン樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、同一分子内にフォスファイト構造と下式(1)で示されるヒンダードフェノール構造とを有する酸化防止剤並びにポリプロピレンを含み、ポリプロピレン100重量部当り酸化防止剤を0.001〜1重量部含む組成物を1回押出加工して得たときのメルトフローレートをMFRMi;上記組成物をさらに5回繰り返し押出加工して得たときのメルトフローレートをMFRM5;前記組成物に対し上記ポリプロピレン100重量部当り顔料を0.001〜5重量部配合した後5回繰り返し押出加工して得たときのメルトフローレートをMFRP5としたときに、下式(2)を満足することを特徴とする顔料と酸化防止剤とポリプロピレンとを含有するポリプロピレン樹脂組成物を提供するものである。
0.80≦[(MFRP5−MFRMi)/(MFRM5−MFRMi)]≦1.20 (2)
但し、5回繰返しの押出加工は、30mmφの単軸のスクリューを内部に備えた押出し機を用いて温度270℃、毎分40回転で行うものとする。
【0006】

【0007】
[式中、Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は**−COR−基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、**は式(1)で示されるフォスファイト構造における3個の酸素原子のいずれか一つに結合していることを示す。
及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R及びRの一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。]
【0008】
なお、上記のメルトフローレートは、JIS K 7210(1976)に規定された方法等により測定される。また、30mmφの単軸のスクリューを内部に備えた押出し機としては、例えば田辺プラスチック(株)製のVS30−28型押出し機が挙げられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の顔料と酸化防止剤とポリプロピレンとを含有するポリプロピレン樹脂組成物によれば、ポリプロピレンの熱安定性が向上してより高温で紡糸が可能となり、また、ポリプロピレンの流れ性が安定して、その結果として多色の細糸の生産が可能となる。また、紡糸時の生産性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリプロピレンと顔料と安定剤とを含む組成物においては、上式(2)が下式(2’)を満足するものであることが好ましい。
0.90≦[(MFRP5−MFRMi)/(MFRM5−MFRMi)]≦1.10 (2’)
【0011】
本発明において用いられるポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン;プロピレンとエチレンのブロック又はランダム共重合物;プロピレンとα−オレフィンのブロック又はランダム共重合物;プロピレンとエチレン及び/又は1種以上のα−オレフィンとの3元共重合物や4元以上の共重合物;これらのポリマーにさらにポリスチレンやゴム等の改質材を含んだものが挙げられる。
【0012】
本発明の組成物におけるポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレンが好ましい。
【0013】
本発明においては、同一分子内にフォスファイト構造と上式(1)で示されるヒンダードフェノール構造とを有する酸化防止剤が用いられる。同一分子内にフォスファイト構造と上式(1)で示されるヒンダードフェノール構造とを有する酸化防止剤としては、下式(I)で示される化合物が好ましい。
【0014】

【0015】
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、イオウ原子又は−CHR−基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を表す。
Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−COR−基を表す。Rは単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*印を付した−CO−の炭素原子は式(I)におけるフォスファイト構造の酸素原子と結合していることを表す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R及びRの一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
また、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。さらに、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。そして、式(I)における2個のRは互いに同一でもよく、異なってもよい。]
【0016】
本発明で用いられる好ましい式(I)で示される化合物はとしては、例えば6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(以下、化合物B−1という)、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等が挙げられる。
【0017】
上式(I)で示される化合物の使用量は、ポリプロピレン100重量部当り、通常0.001〜1重量部の範囲であり、好ましくは0.01〜0.5重量部の範囲であり、より好ましくは0.03〜0.2重量部の範囲である。
【0018】
本発明における顔料は有機顔料であってもよく、無機顔料であってもよい。
顔料の使用量は、ポリプロピレン100重量部当り、通常0.001〜5重量部の範囲であり、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
本発明における顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレン又はペリニン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロ・ピロール系顔料、複素環系アンスラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、カーボンブラック、酸化チタン(チタン白)、亜鉛華、弁柄、炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム等が挙げられる。
これらの中でも、ジスアゾ系イエロー顔料、縮合アゾ系イエロー顔料、ベンズイミダゾロン系イエロー顔料、縮合アゾ系レッド顔料、キナクリドン系レッド顔料、フタロシアニン系ブルー顔料、フタロシアニン系グリーン顔料、カーボンブラック、酸化チタン(チタン白)、亜鉛華や弁柄が好ましい。
【0019】
以下、本発明において用いられる顔料を具体的に例示する。
C.I.Pigment Violet 19(以下、C−1という)、
C.I.Pigment Red 144(以下、C−2という)、
C.I.Pigment Red 101、
C.I.Pigment Red 102、
C.I.Pigment Red 53、
C.I.Pigment Red 48、
C.I.Pigment Yellow 180(以下、C−3という)、
【0020】

[ジスアゾ縮合系顔料(以下、C−4という)]、
C.I.Pigment Yellow 181、
C.I.Pigment Yellow 154、
C.I.Pigment Yellow 156、
C.I.Pigment Yellow 94、
C.I.Pigment Yellow 95、
C.I.Pigment Blue 15、
【0021】

(以下、C−6という)
【0022】
C.I.Pigment White 6(以下、C−7という)、
C.I.Pigment Black 7(以下、C−8という)、
C.I.Pigment White 4、
【0023】
フタロシアニン系顔料

(以下、C−5という)
【0024】
キナクリドン系顔料

【0025】
本発明のポリプロピレン樹脂組成物においては、ポリプロピレン100重量部当り、通常は顔料の0.001〜5重量部を配合する。顔料はポリプロピレン100重量部当り、0.01〜1重量部配合することが好ましい。
ポリプロピレン100重量部当りの顔料の配合量が0.001重量部未満であるポリプロピレン樹脂組成物は、目的とする色濃度の製品が得られないばかりでなく、製品の光に対する安定性も不満足なことがある。一方、ポリプロピレンの100重量部当り、顔料の配合量が5重量部を超えても、製品の色濃度及び光に対する安定性が向上せず、経済的に不利である。
また、本発明で用いる顔料は、粉末状ドライカラー、顆粒状マスターパウダー及び顆粒状マスターバッチのいずれでも使用することができる。上記顔料は、操作上の観点からは、マスターパウダーやマスターバッチであることが好ましい。前記顔料は、顔料表面を表面処理した顔料でもよく、表面処理していない顔料でもよい。
本発明における顔料の配合方法は特に限定されない。好ましくは、顔料をそのままポリプロピレンに混合する方法や予め顔料を高濃度に配合したマスターバッチをポリプロピレンに混合する方法等が挙げられる。
【0026】
本発明においては、ポリプロピレン、上記酸化防止剤及び上記顔料の他に、必要に応じて、前記以外の酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤や中和剤等を配合することもできる。
必要に応じて配合する酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス (3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス (3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(以下、AO−1という)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)−トリオン(以下、AO−2という)、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス (6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス (6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス (6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2−(1−(2−ヒドロキシ−3,5−t−アミルフェニル)エチル)−4,6−ジ−t−アミルフェニル アクリレート、ジアルキル(C12−18) 3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(以下、P−1という)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリチル ジフォスファイトやビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチル ジフォスファイト等が挙げられる。
【0027】
光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、琥珀酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3、−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールや2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0028】
中和剤としては、例えば、合成ハイドロタルサイト、天然ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム等が挙げられる。滑剤としては、例えば、パラフィン、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ブチルステアレート、硬化ひまし油、ステアリルアルコールやステアリン酸カルシウム等が挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、第1級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン系帯電防止剤;硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン系の帯電防止剤;多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等の非イオン系の帯電防止剤;カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性系の帯電防止剤が挙げられる。
防曇剤としては、例えば、ステアリン酸 モノグリセリド、オレイン酸 モノグリセリド、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ソルビタン モノラウレートやソルビタン モノステアレート等が挙げられる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0030】
実施例1
[樹脂組成物の調製]
ポリプロピレン(ホモポリマー)100重量部に上記B−1を0.1重量部ドライブレンドした組成物を得、この組成物を30mmφ単軸押出し機[田辺プラスチック(株)製のVS30−28型押出し機]により250℃で押出して、ペレットMiを得た。次に、このペレットMiに上記C−1を0.2重量部ドライブレンドした組成物を得、この組成物を上記の30mmφ単軸押出し機により270℃で5回繰り返し押出して、ペレットMP5を得た。
別途、上記ペレットMiを上記30mmφ単軸押出し機により270℃で5回繰り返し押出して、比較用ペレットMを得た。
【0031】
[熱安定性評価]
上記ペレットMiのメルトフローレート(MFRMi)を測定した。また、上記ペレットMのメルトフローレート(MFRM5)を測定した。さらにペレットMP5のメルトフローレート(MFRP5)を測定した。なお、上記のメルトフローレートは、JIS K 7210(1976)表−1の試験条件の14に規定された方法により測定した。
実施例2−21と比較例1−5は、実施例1と同様に操作した。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
*:ストランドを引けなかった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により得られるポリプロピレンは、例えば、カーマット用の繊維に加工される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一分子内にフォスファイト構造と下式(1)で示されるヒンダードフェノール構造とを有する酸化防止剤並びにポリプロピレンを含み、ポリプロピレン100重量部当り酸化防止剤を0.001〜1重量部含む組成物を1回押出加工して得たときのメルトフローレートをMFRMi;上記組成物をさらに5回繰返し押出加工して得たときのメルトフローレートをMFRM5;前記組成物に対し上記ポリプロピレン100重量部当り顔料を0.001〜5重量部配合した後5回繰返し押出加工して得たときのメルトフローレートをMFRP5としたときに、下式(2)を満足することを特徴とする顔料と酸化防止剤とポリプロピレンとを含有するポリプロピレン樹脂組成物。
0.80≦[(MFRP5−MFRMi)/(MFRM5−MFRMi)]≦1.20 (2)
但し、5回繰返しの押出加工は、30mmφの単軸のスクリューを内部に備えた押出し機を用いて温度270℃、毎分40回転で行うものとする。

[式中、Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は**−COR−基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、**は上記フォスファイト構造における3個の酸素原子のいずれか一つに結合していることを示す。
及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
但し、Yがヒドロキシル基であるときは、R及びRの一方は炭素数3〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。]
【請求項2】
下式(2’)を満足する請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
0.90≦[(MFRP5−MFRMi)/(MFRM5−MFRMi)]≦1.10 (2’)
【請求項3】
顔料として、有機顔料を配合した請求項1又は2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項4】
有機顔料が、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリニン系顔料、キノフタロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロ・ピロール系顔料、複素環系アンスラキノン顔料、ジオキサジン系顔料及びジスアゾ縮合系顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項5】
顔料として、無機顔料を配合した請求項1又は2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
【請求項6】
無機顔料が、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のポリプロピレン樹脂組成物。

【公開番号】特開2006−182793(P2006−182793A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353773(P2004−353773)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】