説明

ポリマー椎弓根ロッド及び製造方法

少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた内部補強されたポリマーコアを備える脊柱椎弓根ロッド。可撓性ロッドが、i)骨又は脊椎骨内で固定するためのシャンクと、ii)シャンクに連結されるヘッドと、iii)ヘッドの受容部と、iv)ヘッドに作用する可動要素と、を備える一対の動的固定装置と組み合わされる、骨用動的安定化装置。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
脊柱奇形及び椎間板変性を治すために、金属ベースの椎弓根ロッド及びねじシステムが脊柱手術においてよく使用される。これらのシステムは有用であることが示されているが、それでもなお、これらのシステムに伴う数多くの臨床に関する問題が文書により報告されている。まず、骨の剛性よりも有意に高い材料剛性に起因する椎弓根ねじの緩みに関する報告がある。金属部材の電波撮像に伴って生じるアーチファクトに起因する低下した術後の視覚化に関する報告がある。低い椎体間融合率は、これもまた骨の剛性よりも有意に高い材料剛性に起因する、後柱を介する過大な荷重伝達に原因があると考えられる。最後に、隣接レベルの過剰運動(adjacent level hypermotion)、過大荷重、及び生理学的損傷もまた、金属ロッドの使用に起因すると考えられている。
【0002】
これら問題に応えて、脊柱装置会社は、最近、金属インプラントに伴う撮像散乱を最小限にし、かつ、実行レベルで前方荷重支承を増大させる目的で、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマーロッドシステムを発売した。脊柱装置会社は、同様にこれら臨床に関する問題に対処する目的で、後椎弓根ベースのモーションシステムを更に開発した。
【0003】
米国特許第4,743,260号は、ポリマー椎弓根ロッドを開示しており、強度を高めるために、炭素繊維補強材と共にポリマーを使用することを教示している。更に、アクロン大学のバリ(Balli)によって編集された1995年の論文は、椎弓根ベースの脊柱固定システムへの短繊維炭素繊維強化PEEKの使用を具体的に開示している。
【0004】
PCT国際公開特許WO2006/118866号(トリュー(Trieu))は、脊柱固定システムで使用する複合部材を開示しており、この複合部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は別の非再吸収性若しくは再吸収性高分子材料と、少なくとも1つの金属と、を含む。PEEK、又は別の非再吸収性若しくは再吸収性高分子材料を構成要素に組み込むことで、構成要素の平均的な又は中間的な物理的性質(例えば、引張り強度、弾性率等)を調節することができる。複合要素の組成及び配向は、所望の物理的特性を備える構成要素を作り出すために有利に選択され得る。
【0005】
米国特許出願第2006/0229607号(ブラムフィールド(Brumfield))は、脊柱の多様なレベルに対して配置されるように構成された複数の細長い支持要素を含む、脊柱を治療するシステム、キット、及び方法を開示しており、この細長い支持要素のうちの少なくとも1つは第1の材料から形成され、この細長い支持要素のうちの少なくとも他の1つは第1の材料と異なる第2の材料で形成され、第1の材料は第2の材料の弾性率と異なる弾性率を有する。多くの細長い支持要素を脊柱に係合するように構成され、かつ第1及び第2の材料のそれぞれと生体適合性のある第3の部材で形成される、複数の固定要素が提供される。2つ以上の材料を有する細長い支持要素(椎弓根ロッド)を備える手術用キット、即ち金属及びポリマーロッドを有するキットが更に開示される。
【0006】
この主題に関連したその他の特許及び公開された特許出願には、米国特許出願第2004/0225289号(ビーダーマン(Biedermann)I)、米国特許出願第2005/0154390号(ビーダーマンII)、欧州特許第1579816号(ビーダーマンIII)、米国特許出願第2005/0143823号(ボイド(Boyd))、米国特許出願第2005/0182409号(カラハン(Callahan))、米国特許出願第2004/0236329号(パンジャビ(Panjabi)I)、米国特許出願第2005/0222569号(パンジャビII)、米国特許出願第2004/0236327号(ポール(Paul)I)、米国特許出願第2004/0236328号(ポールII)、米国特許出願第2005/0171543号(ティム(Timm)I)、米国特許出願第2005/0182401号(ティムII)、米国特許出願第2005/0177164号(ウォルターズ(Walters))、及び米国特許出願第2005/0182400号(ホワイト(White))が挙げられる。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は、後椎弓根ロッドと椎弓根ねじとを有する脊柱安定化システムの革新的装置及び製造方法に関する。これらの装置は、少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた内部補強されたポリマーコアを有するロッドを使用する。好ましい実施形態は、少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた炭素繊維強化PEEK(CFRP)コアを使用する。中央コアの直径及び形状、並びに外部ロッドの輪郭は、様々な運動面内での剛性を調整するように設計され得る。コア又は外部ロッドの輪郭は、様々な面内での支持を高めるリブを備えることができる。炭素繊維層の数、炭素繊維の割合、並びに繊維配向の直径、構造、及び面は、様々な平面内でのロッドの剛性を更にカスタマイズするために、様々な製造方法を介して調整され得る。これら装置は、更に系統群に分けられてキットとして提供されることができ、所望の形状及び後方剛性/拘束補助のレベルを選択するという手術中の柔軟性を可能にする。
【0008】
したがって、本発明によると、ポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた内部補強されたポリマーコアを備える脊柱椎弓根ロッドが提供される。
【0009】
また、本発明によると、
a.少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた内部補強されたポリマーコアを備える脊柱椎弓根ロッドと、
b.ロッドを受け入れるための凹部を有する骨固定装置と、
を備え、
ロッドが骨固定装置の凹部の中に固定される、脊柱アセンブリが提供される。
【0010】
また、本発明によると、連続炭素繊維を含むコアを備える脊柱椎弓根ロッドが提供され、このコアは、ポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられる。
【0011】
本発明の概念は、
−疲労耐久性を高め、かつ位置決めねじ/ロッドの境界面の摩耗を最小限にする、具体的なPEEKコーティングされたCFRP椎弓根ロッド設計を開示している、
−強化繊維を所望の方向に配向させ、コアを純PEEKでコーティングするための具体的な製造方法を採用している、
−連続繊維内部補強材を使用する実施形態を開示している、
−様々な運動面内での剛性及び強度と、疲労耐久性との均衡を保つ繊維配向の具体的な形状を開示している、並びに
−MIS挿入手段の取り付けにCFRPコアを使用している、
という理由から、従来技術とは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1a】本発明の脊柱アセンブリの斜視図。
【図1b】ロッドが、ポリマーコーティング内に入れられた内部補強されたポリマーコアを有する、図1aのロッドの軸断面。
【図1c】ロッドが、ポリマーコーティング内に入れられた内部補強されたポリマーコアを有する、図1aのロッドの軸断面。
【図2a】少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた炭素繊維強化PEEK(CFRP)コアを使用するロッドの図であり、中央コアの直径及び形状、並びに外部ロッドの輪郭が、様々な運動面内での剛性を調整するように設計されている。
【図2b】少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた炭素繊維強化PEEK(CFRP)コアを使用するロッドの図であり、中央コアの直径及び形状、並びに外部ロッドの輪郭が、様々な運動面内での剛性を調整するように設計されている。
【図2c】少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた炭素繊維強化PEEK(CFRP)コアを使用するロッドの図であり、中央コアの直径及び形状、並びに外部ロッドの輪郭が、様々な運動面内での剛性を調整するように設計されている。
【図2d】少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた炭素繊維強化PEEK(CFRP)コアを使用するロッドの図であり、中央コアの直径及び形状、並びに外部ロッドの輪郭が、様々な運動面内での剛性を調整するように設計されている。
【図3a】コア又は外部ロッドの輪郭が、様々な平面内での支持を強化するための複数のリブを含む、ロッドの矢状の断面。
【図3b】コア又は外部ロッドの輪郭が、様々な平面内での支持を強化するための複数のリブを含む、ロッドの軸の断面。
【図4a】引き抜き成形されたコアを有するロッド。
【図4b】図4aの引き抜き成形されたコアの長手方向断面。
【図4c】図4aの軸断面。
【図5a】ロッドの全長にわたって変化する炭素繊維コアを有するロッド。
【図5b】図5aのコアの長手方向断面。
【図5c】ロッドの中間部分に入れられた引き抜き成形されたコアの軸断面。
【図5d】ロッドの端部に入れられた引き抜き成形されたコアの軸断面。
【図6a】連続繊維を有するCFRPコアを有するロッドを開示し、コアの螺旋形部分がフィラメントワインディングによって形成されている。
【図6b】図6aのコアの長手方向図。
【図6c】図6aの軸断面。
【図7a】MIS挿入特徴部を備えるポリマー椎弓根ロッドの図。
【図7b】MIS挿入特徴部を備えるポリマー椎弓根ロッドの図。
【図7c】MIS挿入特徴部を備えるポリマー椎弓根ロッドの図。
【図8】一対の動的固定装置と組み合わされた本発明の可撓性ロッド。
【図9】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図10】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図11】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図12】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図13】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図14】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図15】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図16】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図17】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図18】繊維コアを有する可撓性ポリマーロッド。
【図19】一対の動的固定装置と組み合わされた本発明の可撓性ロッド。
【図20】一対の動的固定装置と組み合わされた本発明の可撓性ロッド。
【図21】装着されていない状態の固定装置の実施形態の部分断面図。
【図22】静止位置にある装着された状態の図21による固定装置の部分断面図。
【図23】固定要素上に力が作用している間の、装着された状態の図21の固定装置の部分断面図。
【0013】
〔発明の詳細な説明〕
ここで図1a〜図1cを参照すると、少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた内部補強されたポリマーコアを使用する装置が提供される。具体的には、
a)少なくとも1つのポリマーコーティング7内に少なくとも部分的に入れられた内部補強されたポリマーコア5を備える脊柱椎弓根ロッド3と、
b)ロッドを受け入れるための凹部9を有する骨固定装置8と、
を備え、
ロッドが骨固定装置の凹部の中に固定される、脊柱固定アセンブリ1である。
【0014】
図1aは、目的領域の中の脊柱の湾曲に対応するために、ロッドを曲げても(予め脊柱前湾対応させても)よいことを更に示している。図1b〜図1cは、図1aのロッドの軸断面を開示しており、このロッドは、ポリマーコーティング7内に入れられた内部補強されたポリマーコア5を有する。図1bが円形断面を開示しているのに対して、図1cは楕円形断面を開示している。非円形断面は、ねじれ及び/又は屈曲−伸展の際に、特定の平面内でより良好な剛性を提供する。
【0015】
ここで図2a〜図2bを参照すると、少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた炭素繊維強化PEEK(CFRP)コアを使用するロッドの好ましい実施形態が提供され、中央コアの直径及び形状、並びに外部ロッドの輪郭は、様々な運動面内でのこれらの剛性を調整するように設計され得る。いくつかの実施形態では、コアは非円形の軸断面を有する。いくつかの実施形態では、軸断面は高さと幅とを有し、高さは幅よりも大きい。具体的には、図2cは、半楕円形の軸断面を有するコア11を開示している。コアの半楕円形状は、屈曲−伸展面内でのロッドの剛性を望ましく高めると考えられている。図2dのような他の実施形態において、コア13は円錐台形の軸断面を有する。コアの円錐台形状は、所望の平面内(図のような屈曲/伸展)での高い剛性という望ましい特性をロッドに付与すると考えられている。これらの実施形態において、コーティング7の形状はコアの断面と類似する。
【0016】
ここで図3a〜図3bを参照すると、コア又は外部ロッドの輪郭が様々な平面内での支持を高めるためのリブを含むことができるロッドが提供される。具体的には、図3a〜図3bは、一対の端部19とそれらの間の中間部分20とを有し、中間部分のコアが、基部21と、この基部から延びるリブ23とを有する、ロッドを開示する。図3a〜図3bのリブは、屈曲/伸展面内でのロッドの剛性を望ましく高めると考えられている。図3bは外側コーティング7も開示している。
【0017】
ここで図4a〜図5dを参照すると、様々な平面内でのロッドの剛性を更にカスタマイズするために、炭素繊維層の数、炭素繊維の割合、並びに繊維配向の直径、構造、及び面が、様々な製造方法によって調整されるロッドが提供される。
【0018】
具体的には、図4aは、引き抜き成形されたコアを有するロッドを開示している。連続炭素繊維はPEEKで含浸され、かつ押出成形機を通して引かれて、引き抜き成形されたコアが製造される。引き抜き速度、繊維形状、繊維束数、及び配向は、引張、曲げ、及び圧縮耐久性を最適化するために調整される。このため、図4b(コアのみを開示している)に示されるように、炭素繊維25は、コア27内でロッドの長手方向軸に沿って自発的に整列する(align themselves)。図4cは、ロッド全体の軸断面を示す。図4a〜図4cのこの実施形態は、高い曲げ剛性という利点を有するので、同様の寸法の中実のPEEK装置(solid PEEK device)と実質的に同等の曲げ剛性を提供する小さな断面及びロッド寸法が可能となると考えられている。図4cは外側コーティング7を更に開示する。
【0019】
図5aは、可変炭素繊維コアを有するロッドを開示する。具体的には、図5b(コアのみを開示している)に示されるように、このロッドのコアは、一対の端部31と、それらの間の中間部分35と、を有し、この中間部分は高充填密度の連続炭素繊維を有し、この端部は低充填密度の連続炭素繊維を有する。また、図5bに示されるように、コア全体に及ぶ炭素繊維25は、ロッドの長手方向軸に沿って自発的に整列する。図5cは、ロッドの中間部分に入れられた引き抜き成形されたコアの軸断面を開示し、図5dは、ロッドの端部に入れられた引き抜き成形されたコアの軸断面を開示する。図5a〜図5dのこの実施形態は、所望の位置にカスタマイズ可能な曲げ及び圧縮剛性を提供するという利点を有すると考えられている。図5c〜図5dはまた外側コーティング7を開示している。
【0020】
ここで図6aを参照すると、連続繊維を有するCFRPコアを有し、このコアがフィラメントワインディングによって形成される、ロッドが提供される。連続炭素繊維のマンドレルは、ベース樹脂(PEEK)で含浸された連続炭素繊維で同心円状に巻かれている。したがって、図6bに示されるように、ロッドのコアは、i)コアの長手方向軸に沿って延在する連続炭素繊維中心部41と、ii)連続炭素繊維中心部に螺旋状に巻き付いているフィラメント43と、を含み、このフィラメントは、ポリマーマトリクスに組み込まれる炭素繊維を含む。好ましくは、ポリマーマトリクスに組み込まれる炭素繊維は細断される。図6cは図6aの軸断面を示す。図6a〜図6cのこの実施形態は、PEEK又はCFRPと比べると、所与の断面積に対して高い圧縮及び曲げ剛性を提供するという利点を有すると考えられている。図6cは外側コーティング7も開示している。
【0021】
ここで図7a〜図7cを参照すると、低侵襲手術(MIS)中に挿入するための特徴部を含むポリマー椎弓根ロッドが提供される。これら特徴部は外側コーティング57上に設けることができるが、好ましい実施形態では、この特徴部は、挿入時にコアが高い強度、剛性、及び耐損傷性を提供するように、連続炭素繊維コア上に設けられる。この特定の一連の図7a〜図7cにおいて、ロッドは、一対の端部51と、それらの間の中間部分53と、を有し、MIS挿入特徴部は、長手方向軸に垂直な少なくとも1つのノッチ55(例えば、複数のノッチ)を含む。他の実施形態では、MIS挿入特徴部はテーパ形状端部である。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明のCFRPコアは、短繊維炭素繊維の形態、又は連続炭素繊維の形態のいずれかである炭素繊維で製造される。
【0023】
コア内に入れるのに短繊維炭素繊維が選択される場合は、一定の又は可変の直径及び長さの炭素繊維セグメントを、椎弓根ロッドに形成されるPEEK樹脂の中にブレンドする。このプロセスは、CFRPの押し出された棒材若しくは成形品からの直接機械加工、又はブレンドされたCFRP樹脂の最終的形状への圧縮若しくは射出成形のいずれかを含むことができる。繊維の配向は、一般に、組み込まれた方向にそろえられる。
【0024】
連続炭素繊維は、繊維配向面内での加工された形態の剛性を高める。連続炭素繊維は、通常、装置の軸平面内で配向され、それにより脊柱構成物の圧縮強度を増大させる。コア内に入れるのに連続炭素繊維が選択される場合、連続炭素繊維は、シートを含む多数のストランド状、編組状、束状、又は織成状であることができる。連続炭素繊維は、PEEKでコーティング及び含浸されることができ、ホットプレス法、フィラメントワインディング、及び引き抜き成形等の方法によって椎弓根ロッドに加工されることができる。
【0025】
ホットプレス法が選択される場合、連続炭素繊維はPEEKと共に、機械加工用半加工品又は最終的ロッド形態に加熱加圧される。
【0026】
フィラメントワインディングが選択される場合、連続炭素繊維のマンドレルは、ベース樹脂(PEEK)で含浸された連続炭素繊維で同心円状に巻かれる。巻き形状、繊維束数、及び配向等の製造変数は、引張、曲げ、及び圧縮耐久性を最適化するために調整され得る。半加工品又は最終的形状の形態のいずれかを製造することができる。
【0027】
引き抜き成形が選択される場合、連続炭素繊維はPEEKで含浸され、かつ押出成形機を通して引かれる。引き抜き速度、繊維形状、繊維束数、及び配向等の製造変数は、引張、曲げ、及び圧縮耐久性を最適化するために調整され得る。加えられた繊維の配向及び外部ロッドの前弯形状は、テイクオフロール、又はそれに続く熱曲げによって変化させることができる。
【0028】
概して、任意の非再吸収性の生体適合性ポリマーを、本発明の純コーティングとして使用することができる。好ましい実施形態では、炭素繊維/ポリマーマトリクスコアはPEEKコーティングでコーティングされる。ポリマーコーティングは、位置決めねじがコア上に直接接触するのを防止するので、使用中にロッドの中の炭素繊維が摩耗するのを最小限にする。ポリマーコーティングの厚さは、マイクロメートルからミリメートルに及ぶことができる。この厚さは、位置決めねじのロッドへの衝突及び/又は圧縮のための基材も提供するので、取り付けを強化し、並びに、コアの内側境界に形成される場合があるあらゆる残屑を捕捉するための容器を提供する。表面機械加工、吹き付け、化学/レーザエッチング、ディッピング法、プライミング、接着剤の適用、及びばち形及びアンダーカットリング等の表面特徴部を含ませるといった、コアの表面改質又は前処理によって、コーティングの付着を増進させることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、ホットプレス法でコーティングが適用され、炭素繊維コアは、熱曝露下で直接圧縮又はロールコーティングを用いてコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、スパッタリング又はホットスプレーコーティングでコーティングが適用され、溶融PEEKのスプレーが炭素繊維コアをコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、オーバーモールドでコーティングが適用され、コアが中心に存在するという特徴を有して又は有さずに、炭素繊維コアをPEEK樹脂でオーバーモールドする。いくつかの実施形態では、共押し出しでコーティングが適用され、連続炭素繊維/ポリマーマトリクスコアがPEEKコーティングと一緒に共押し出しされる。いくつかの実施形態では、内部モールド(充填PEEKスリーブ)でコーティングが適用され、管形状のPEEKが、標準的な射出成形又は連続流動成形(CFM)によってCFRP又は連続炭素繊維PEEKと共に射出される。
【0030】
好ましい実施形態では、放射線マーカを本発明のロッドに加えることができる。これは、ロッドの末端部に放射線不透過性部品(タンタル又はチタンビーズ、ロッド、又は繊維)をプレス嵌め、熱かしめ(heat staking)、接着、オーバーモールドすることにより、又はCFRPコアで作られた若しくはCFRPコア内に織り込まれた金属糸により、達成することができる。放射線不透過性マーカを提供する代替手段は、ポリマー表面上に放射線不透物質を印刷することを更に含む。硫酸バリウム、硫酸カルシウム、及びジルコニアなどの非金属放射線不透過性充填剤をポリマーに含ませることができる。
【0031】
更に、金属の位置決めねじは、典型的には、本発明のロッドを、アセンブリのねじの凹部の中に固定するのに使用される。位置決めねじと本発明のロッドとの間で金属とポリマーが接触するのを避けるために、これらの位置決めねじには、非金属のインサート又はライナーが取り付けられてよく、これによって、摩耗及びスリップの可能性を最小限とし、並びにねじ圧縮がもたらすロッドの損傷を最小限とする。
【0032】
本発明のこれらの構成要素は、手術に適した金属、並びに炭素繊維複合体、ポリマー、及びセラミックスなどの非金属材料を含むがこれらに限定されない、人間の外科的移植に適した任意の非再吸収性材料で作製され得る。特に、脊柱ロッドはCFRPコア及びポリマーコーティングを有するのが好ましい。骨固定装置は、通常、金属及び/又はセラミックスで作製される。
【0033】
構成要素の構造材としてポリマーを選択する場合、ポリマーは、好ましくは、ポリエステル(特に、ポリアルキレンテレフタレートのような芳香族エステル);ポリアミド;ポリアルケン;ポリ(フッ化ビニル);PTFE;ポリアリールエチルケトン;PAEK;及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0034】
構成要素の構造材としてセラミックスを選択する場合、セラミックスは、好ましくは、アルミナ、ジルコニア、及びこれらの混合物からなる群から選択される。セラムテック(CeramTec)(ドイツ、プロッヒンゲン(Plochingen))から入手可能なバイオロックスデルタ(BIOLOX delta)(商標)などの、アルミナ−ジルコニアセラミックスを選択するのが好ましい。選択された材料に応じて、性能を向上させ、かつ粒子状摩耗残屑を減らすために、該材料の上に滑面コーティングを施してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、骨固定装置は、金属材料、好ましくはチタン合金又はクロム−コバルト合金から本質的になる。いくつかの実施形態では、摩耗を防ぐために、ダイヤモンド薄膜などの耐摩耗性コーティングを骨固定装置にコーティングしてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、ロッドコアは、炭素繊維を含む複合材料で作製される。炭素繊維を含む複合材料は、それらが、典型的には、ポリアリールエチルケトン(PAEK)などの純ポリマー材料よりも優れた強度及び剛性を有するという点で有利である。いくつかの実施形態では、ロッドは、PEEK−炭素繊維複合材料などのポリマー複合材料で作製される。
【0037】
好ましくは、炭素繊維を含む複合材料はポリマーを更に含む。好ましくは、ポリマーはポリアリールエチルケトン(PAEK)である。より好ましくは、PAEKは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及びポリエーテルケトン(PEK)からなる群から選択される。好ましい実施形態では、PAEKはPEEKである。
【0038】
いくつかの実施形態では、炭素繊維は、1体積%〜60体積%(より好ましくは、10体積%〜50体積%)の複合材料を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー及び炭素繊維は均質に混合される。他の実施形態では、材料は積層体である。いくつかの実施形態では、炭素繊維は細断された状態で存在する。好ましくは、短繊維炭素繊維は、1mm〜12mm、より好ましくは4.5mm〜7.5mmの平均長を有する。いくつかの実施形態では、炭素繊維は連続ストランドとして存在する。
【0039】
特に好ましい実施形態において、複合材料は、
a)40〜99%(より好ましくは、60〜80体積%)のポリアリールエチルケトン(PAEK)と、
b)1〜60%(より好ましくは、20〜40体積%)の炭素繊維と、
を含み、
ポリアリールエチルケトン(PAEK)は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及びポリエーテルケトン(PEK)からなる群から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態では、複合材料は、PAEK及び炭素繊維から本質的になる。より好ましくは、複合材料は、60〜80重量%のPAEKと、20〜40重量%の炭素繊維と、を含む。更により好ましくは、複合材料は、65〜75重量%のPAEKと、25〜35重量%の炭素繊維と、を含む。
【0041】
ロッドの好ましい実施形態は純PEEKコーティングを採用するが、ポリウレタン、UHMWPE、及びセラミックスなどの代替コーティングを使用することができる。
【0042】
炭素繊維は現在のところ、本発明の好ましい補強材であるが、業界で知られるその他の内部補強材(例えば、ガラス、PET、ケブラー(KEVLAR)(商標)(商標名?)、粘土、パラアミド(pararamid)、自己補強性ポリフェニレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、PMMA、DYNEEMA(商標)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、及びタルク)を使用してもよい。
【0043】
使用する際、強化ポリマーロッドは、切開手術及びMIS挿入手段などの、当該技術分野において既知の金属のロッド及びねじシステムの埋め込みと同様の方法で、埋め込まれる。
【0044】
本発明の可撓性ロッドは、可動ねじの概念で有利に使用することも可能である。いくつかの実施形態では(図8、図19、及び図20に示される)、可動ねじは、ねじヘッドとロッドとの間に配置される可動軸受要素を含み、この可動要素は、ねじヘッドと共にボールソケット連結を形成する。(図21〜図23にあるような)他の実施形態では、可動ねじはヘッドに作用する弾性圧力要素を使用し、この要素が受容部に対するシャンクの第1の角度位置から第2の角度位置へと移動する際、圧力要素はヘッドに戻り力を加えて、要素を第1の角度位置へと付勢する。
【0045】
可動ねじがねじヘッドとロッドとの間に可動軸受要素を使用する実施形態では(この可動要素はねじヘッドと共にボールソケット連結を形成する)、このような動的ねじの様々な実施形態が本明細書の図8、図19、及び図20に開示される。ねじヘッドとボールソケット軸受連結を形成する可動軸受要素の同様の実施形態が、米国特許出願第2008/0161863号(アーノルド(Arnold)I)及び同第2008/0161853号(アーノルドII)に開示されており、当該特許明細書は参照によってそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
可動軸受要素がねじヘッドと共にボールソケット連結を形成する一実施形態では(ここでは図8を参照する)、脊柱安定化システムの動的ねじは、骨係合部材105と受け部材109とを備える少なくとも1つの骨固定装置アセンブリ103を備える。骨係合部材は、受け部材内に保持されるねじヘッドと、受け部材から延在するねじシャンクと、を含む骨ねじを備えてもよい。受け部材内に配置される可動軸受要素111は、その上にねじヘッドを枢動可能に保持することができる。可撓性の細長い連結部材101は受け部材に接続される。細長い連結部材は、2つ以上の骨固定装置アセンブリの間にわたるロッドとして設けられてもよい。細長い連結部材は、骨固定装置アセンブリの受け部材に枢動可能に接続される。
【0047】
別の実施形態において、可撓性の細長い連結部材と受け部材との間の枢動可能な連結は、受け部材の空洞内に提供される軸受面と係合する、ロッドの上のボール状の枢動部材によって提供される。したがって、ロッドの枢着点は受け部材の空洞内に提供され得る。このような一実施形態では、ロッドは軸を画定することができ、その軸は、ロッドが受け部材に対して旋回するときに、軸上の枢着点を中心に旋回する。他の実施形態では、ロッドの枢着点は、ロッドによって画定される軸からオフセットされる。
【0048】
可撓性ロッドは固定長であってもよく、異なるセグメント単位及び異なる寸法の患者に対応するために、調整可能であってもよい。調整可能な実施形態では、ロッドは、可撓性の中央部分と、少なくとも1つの調整可能な末端部と、を備えるシャフトを備える。様々な手段によって調整可能な末端部を提供することができる。例えば、調整可能な末端部は、ロッドのシャフト内を摺動するように構成された支柱を備えてもよい。一実施形態において、調整可能な末端部は、シャフトとねじ込み可能に係合するように構成される。別の実施形態において、調整可能な末端部は形状記憶合金から構成される。
【0049】
組み立てられると、脊柱安定化システムは、通常、少なくとも2つの骨固定装置を備え、ロッドがその2つの骨固定装置の間に延在する。上述のように、各骨固定装置は、骨ねじと、骨ねじを保持するように構成された受け部材と、を含む。ロッドは2つの受け部材の間に延在する。受け部材に対してロッドが固定される一実施形態では、ロッドは、受け部材が互いに対して移動すると曲がるように適合される。別の実施形態において、ロッドは両方の受け部材に枢動可能に連結され、かつ、ロッドは、受け部材が互いに対して移動すると延びる又は縮むように適合される。
【0050】
代替実施形態では、脊柱安定化システムの1つ以上の骨固定装置は、骨ねじの軸受を受け部材の中に係止する役割を果たす、保持部材の形態のインサートを備える。このため、受け部材は、ねじヘッド空洞とロッド空洞とを含み、インサートは、ねじヘッド空洞とロッド空洞との間に位置付けられる。ねじヘッド空洞は、骨ねじのヘッドを、受け部材から延在するねじシャンクと係合させる軸受を受容するように構成される。一実施形態では、骨ねじの軸受は割り軸受である。インサートは、ロッド空洞と軸受部材との間に位置付けられ、割り軸受を受け部材内に固定するように構成される。インサートは、受け部材の内部側壁に形成される溝の中に嵌合するように提供されてもよい。この実施形態では、インサートは、割り軸受をねじ空洞内に固定する保持リングを備える。別の実施形態において、インサートは、軸受部材とロッド空洞との間に位置付けられる圧縮性材料で構成される。ロッドがロッド空洞内に位置付けられると、インサートは軸受部材に対して圧縮されて、軸受部材をねじ空洞内に係止する。
【0051】
更に別の実施形態では、骨固定装置アセンブリは高さが低く構成され、ロッドは、固定ねじを使用せずに受け部材内に係止される。この実施形態では、骨固定装置アセンブリは、ヘッドと、ヘッドから延在するねじシャンクと、を備える。ねじシャンクはヘッドに対して枢動可能である。更に、ロッド空洞はヘッド内に形成される。ロッドの末端部は、ロッドがロッド空洞の中に挿入されるとロッドをロッド空洞内に係止して、ロッドをヘッドに連結させる特徴部を備える。例えば、一実施形態では、ロッドの末端部は、ロッドをロッド空洞内に係止するために張り出していてもよい複数の指状突起を備える。ロッドは、ロッドを空洞内に更に固定するために、ロッド空洞を把持する、又はロッド空洞と噛み合う複数の歯群を更に備える。
【0052】
したがって、本発明によると、a)骨係合部材と、b)骨係合部材に枢動可能に連結する受け部材であって、連結部材空洞と、骨係合部材と接触している軸受とを備える、受け部材と、c)受け部材の連結部材空洞の中に延在する可撓性の細長い連結部材と、d)細長い連結部材と受け部材内の軸受との間に位置付けられる保持部材であって、軸受を保持部材内の適所に固定するように構成された、保持部材と、を備える、脊柱安定化システムが提供される。
【0053】
動的安定化装置、特に脊椎骨用の動的安定化装置は、本明細書に開示される可撓性ロッドによって連結される一対の可動ヘッド多軸椎弓根ねじを備える。可動ヘッド多軸ねじは、運動が可能となるようにトグルで留められると同時に、ねじと骨との境界面へのトルク伝達を妨げる。可撓性ロッドは、ある程度曲がることができるように、従来の硬い金属ロッドよりもより柔軟な材料(PEEK等のポリマーなど)で作製され、好ましくはいくらかの内部補強材を含む。相まって構成要素は完全な動的安定化システムとして機能する。更に、柔軟なポリマーロッドと一対の可動ヘッド多軸ねじとを含む外科用インプラントセットを提供するモジュラーシステムも開示される。指示に応じて、外科医は、動的融合又は動的安定化構造物を作り出すために、構成要素の一方を使用するか、又は両方を使用するかを選択することができる。
【0054】
したがって、本発明は、後方動的安定化(PDS:posterior dynamic stabilization)システムを作り出すために、可動ヘッド多軸ねじと強化可撓性ポリマーロッドとを一組にすることを意図する。動的椎弓根ねじのトグルは、屈曲及び伸展中の脊椎弓根間距離を変化させることを可能とし、可撓性ポリマーロッドは、椎骨体部の動きに適合するように屈曲する。
【0055】
本発明の動的多軸ねじは、ねじと骨との境界面へのトルク伝達を防止する。ねじ内のボールソケット(好ましくは、ポリマー)構成要素は、シャンクをねじヘッドに対してトグルで留めるのを可能とし、一方、可撓性ロッドは受容部に係止する。
【0056】
可撓性ポリマーロッドは、通常、可撓性複合材料ロッドであり、いくつかの実施形態では、強化繊維によって強度が補強される。可撓性ポリマーロッドは、様々な可撓性の生体適合性材料から作製され得る。PEEK、ポリカーボネート−ウレタン(PCU)、及びCFRPなどのポリマーは、中でも好ましい選択肢である。可撓性ポリマーロッドは、純ポリマーから、又は強化繊維で補われたポリマーからのいずれかで作製され得る。しかしながら、その他の実施形態では、可撓性ロッドは、ニチノール又はチタン等の金属で作製されてもよい。一定又は可変寸法であり得る様々な異なる断面を有する可撓性ポリマーロッドを構成することができる。所望の強度及び可撓性をもたらすために、可撓性ポリマーロッドの断面全体のあらゆる場所に補強材を設置することができる。可撓性は、異なる可動域に剛性を提供するための曲げ軸に応じて異なってもよい。例えば、可撓性ポリマーロッドは、屈曲よりも回転においてより硬くされてもよい。
【0057】
繊維補強材を有する複合材料の可撓性ポリマーロッドは、特定の装置の強度及び可撓性条件を微調整するために、様々な構成で構築され得る。図9のロッド113は、生体適合性ポリマー、金属、又はこれらの組合せなどの様々な材料で構成されてもよい。
【0058】
ここで図9に示される形状は、本発明の範囲を制限することを意図しておらず、むしろ、PDS装置の耐用期間中、破壊することなく曲げ及び可撓性を可能とする様々な構成で可撓性ポリマーロッドを作製することができることを示している。ロッドの性能特性を変化させるために、中央コア補強材の直径、及び補強織りの寸法を調整することができる。概念から逸脱することなく同じ機能を提供する、繊維のワッフル状マトリックス又は任意のその他の形状若しくは配向によって、織りの特徴を達成することも可能である。織り及び長手方向繊維は、図9においては軸の周囲に集中しているが、ロッドの片側に偏っていてもよい。
【0059】
好ましい実施形態では、図9のロッド113は、中心繊維コア117を取り囲む、典型的にはPEEKで作製されるポリマーシェル115を備える。図10は、長手方向繊維117の織りを詳しく示している、図9のロッド113の側面図を開示している。
【0060】
ここで図11を参照すると、ロッド119が、織りのない長手方向繊維コア121を有する別の実施形態が提供される。
【0061】
図12〜図18は、複合材料ロッドを作製するのに使用される補強材の異なる配向の例を開示している。PEEKポリマー材料は、補強材の周囲に射出成形されてもよく、あるいは、ポリマーは、補強材マトリックスの周囲に熱硬化されてもよい。ここでは、円形ロッド断面がこれらの図に示されているが、使用可能なロッド断面の種類に制限はない。
【0062】
ここで図12及び図13を参照すると、ロッドの中間深度に位置決めされる織られた繊維125を有することにより屈曲(張力)の強度を提供する、本発明のロッド123の様々な図が提供される。繊維は螺旋パターンを形成し、それにより断面において繊維の環状リングを形成する。繊維コアを取り囲むポリマー被覆物は可撓性を可能とし、かつ締付面を提供する。このため、ロッドの断面は、ポリマー中央部分131、繊維中間部分133、及びポリマー外側部135を示す。
【0063】
ここで図14を参照すると、繊維が中央の編組されたコア137を形成している、本発明のロッドの別の実施形態が提供される。
【0064】
ここで、図15及び図16を参照すると、繊維が、ロッドの外側表面141の真下に位置する環状リング139を形成する、本発明のロッドの別の実施形態が提供される。繊維の位置は、所望のロッドの特徴によって決定される。
【0065】
ここで図17及び18を参照すると、ロッドが、特定の動きに応じてより大きな剛性を提供するために、ロッドの中心に沿って配向される繊維の平面143を有する、本発明のロッドの別の実施形態が提供される。例えば、このロッドは、更なる屈曲/伸展の動きを可能とし得るが、横曲げに関する動きは小さい。
【0066】
図19及び図20に提供された2つの画像は、これらの機能をより良く説明するために半透明で示されている。強度を提供する内部強化繊維を可視化させるために、バルクロッドの材料151は半透明である。上側の動的ねじ153は、内部機能をより良く説明するために半透明で示されている。ポリマーインサート軸受155は、運動が生じるように可動表面を提供するシャンクねじヘッド157を取り囲む。ロッドはチタンヘッドに係止する。ロッド151及びねじ153は共に機能して、後方動的安定化を可能とする。ねじヘッドがトグルで留められると可撓性ポリマーロッド151は屈曲し、脊椎弓根間距離の変化が可能となる。
【0067】
ロッドの設計、及び動的多軸ねじ内の可動域を変えることで、PDSシステムの可撓性を微調整することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、可動ねじヘッドは一平面上の動き/トグルのみを可能とするので、本発明のPDSシステムは、ねじれ安定性を改善する。ロッド上のトルクはねじシャンクに伝達されないので、可動ヘッドのねじは、更に、ねじと骨との間の減少した境界応力をもたらす。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明の可動ヘッドの構成要素は、米国特許出願第2004/0225289号(ビーダーマン(Biedermann))に記載の弾性可動ヘッドの構成要素と実質的に同様であり、当該特許明細書は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
ここで図21〜図23を参照すると、本発明のいくつかの実施形態において、本発明の可撓性ロッド300は、一対の動的固定装置201と組み合わされる。好ましくは、これら動的固定装置のそれぞれは、i)骨又は脊椎骨内で固定するためのシャンク203と、ii)シャンクに連結されるヘッドと、iii)ヘッドの受容部205と、iv)ヘッドに作用する弾性(好ましくは、エラストマーの)圧力要素220と、を備える。圧力要素が受容部に対するシャンクの第1の角度位置から第2の角度位置へと移動する際、圧力要素は、ヘッドに戻り力を加えるように形成されかつ位置決めされる。したがって、本発明は、動的安定化装置、特に脊椎骨用動的安定化装置を含む。このような安定化装置では、可撓性ロッドは2つの固定装置に連結される。固定装置の少なくとも一方は、動的固定要素として構成される。
【0071】
したがって、本発明は、骨又は脊椎骨の中に固定するためのシャンク、及びシャンクに連結されるヘッドを有する要素と、ヘッドを受容するための受容部と、ヘッドに作用する圧力要素と、を備える固定装置、を提供し、この圧力要素は弾性であり、その結果、圧力要素が受容部に対するシャンクの第1の角度位置から第2の角度位置へと要素が移動する際、圧力要素はヘッドに戻り力を加えて、この要素を第1の角度位置へと付勢する。
【0072】
本発明による骨固定装置要素の好ましい実施形態は、以下の特徴の1つ以上を有する。
【0073】
好ましくは、弾性圧力要素は、ヘッドの、シャンクから遠い方の側に作用し、エラストマーで形成される。好ましくは、弾性圧力要素は少なくとも1つのバネ要素を備える。
【0074】
この装置は、圧力要素のヘッドと反対側に作用する剛性要素を更に備えてもよい。好ましくは、圧力要素は、実質的に円筒形であり、弾性である第1の部分と、剛性でありかつヘッドの反対側に位置決めされる第2の部分とを備える。典型的には、この第2の部分は、受容部の中に受容されるロッドを受容するためのU字形の凹部を備え、この凹部は2つの離れた脚部を形成し、凹部の深さはロッドの直径よりも大きい。典型的には、圧力要素の第1の部分及び第2の部分は別個の部品である。好ましくは、圧力要素は、エラストマーで作製されるインサートで形成され、かつ、ヘッドがもたれかかる支持体表面を有する。好ましくは、圧力要素は、ロッドがU字形の凹部の底部に位置すると、ロッドによって予圧縮される。好ましくは、圧力要素は予応力下で受容部の中に配置される。
【0075】
いくつかの実施形態では、環状のヘッドを取り囲む第2の弾性圧力要素が存在する。この第2の圧力要素はOリング又は成形リングとして成形されてもよい。
【0076】
好ましくは、ヘッドは、シャンクから遠い方の側に平坦な表面を備え、弾性圧力要素は、これと協働する平坦な表面を備える。ヘッドは、シャンクに隣接する球台形状部分、及びシャンクから遠い方の側にカラーを備えてもよい。好ましくは、ヘッド及びシャンクは別個の部品であり、ヘッドは中心軸を有し、シャンクはこの中心軸に対して所定角度αでヘッドに連結可能である。
【0077】
好ましくは、受容部は、ヘッドを支持するための支持体表面を備え、支持体表面及び/又はヘッドは、摩擦を低減するために研磨又はコーティングされる。
【0078】
好ましくは、受容部は、ロッドを挿入するためのU字形の凹部を備え、ロッドが受容部の中に挿入されると、圧力要素はヘッドとロッドとの間に配置される。
【0079】
本発明は、可撓性ポリマーロッドに連結された少なくとも2つの固定装置を有し、この固定装置の一方が上述の固定装置として形成される、骨、特に脊椎骨用の動的安定化装置を更に提供する。
【0080】
更に、本発明は、動的固定装置の使用方法、及び骨を安定させる方法、特に脊椎骨を安定させる方法を提供し、この固定装置は上述の固定装置として形成される。
【0081】
特に図21〜図23に見られるように、本発明の一実施形態によると、動的固定要素201は多軸ねじとして形成される。動的固定要素201は、ねじ付きシャンク部203を備えるねじ要素202と、ねじ要素202と一体に形成されたヘッド204と、受容部205と、を備える。ヘッド204は、実質的に球台の形状に形成され、かつシャンク部203と反対側の末端部に拡張縁部又はカラー206を有し、その結果、ヘッドの球台形状部分の直径よりも大きな直径を有する平坦な前面207が形成される。ねじ込み工具と係合させる凹部が前面207に更に形成される。
【0082】
受容部205は、実質的に円筒状に対称に形成され、かつ、その一方の末端部に同軸の第1のボア210を有し、この第1のボア210の直径は、シャンク203のねじ付き部分の直径よりも大きく、かつヘッド204の球台形状部分の球径よりも小さい。受容部205は、第1のボア210の反対側の末端部で開放された同軸の第2のボア211を更に有し、この第2のボア211の直径は、ねじ要素202をこの開放された末端部を通って挿入させるのに十分大きく、ねじ要素202のねじ付き部分は第1のボア210を通過し、かつヘッド204の球台形状部分は第2のボアの底部にある。受容部の中には、中空球の部分のような形の部分212が第1のボア210に隣接して設けられ、この部分212の半径は、球台形状ヘッド204の部分の半径と実質的に同一である。受容部は、開放されている末端部から第1のボア210に向かって延在するU字形の凹部213を更に有し、このU字形の凹部213の底部は第1のボア210に向けられており、これにより2つの開いた脚部214が形成され、この図にはその一方のみが図示されている。脚部214の開放された末端部に隣接する受容部の中に雌ネジ部215が形成される。U字形の凹部213の幅は、凹部213の中に受容されていくつかのこのような多軸ねじを連結するロッド300の直径よりも最小限に大きい。U字形の凹部の深さは、ロッドが挿入されたときに、固定ねじ216が脚部の間にねじ込まれることができるような寸法に設定される。
【0083】
中空球の部分のような形状の受容部の部分212は、受容部の部分212中でヘッド204を容易に旋回させることができるように、滑らかに研磨されるか、又は摺動能力を増大させる材料でコーティングされるのが好ましい。あるいは、又は更には、ヘッド204は滑らかに研磨又はコーティングされる。
【0084】
挿入されたロッド300とねじ要素のヘッド204との間には、圧力要素220が設けられる。圧力要素220は円筒形状に形成され、その直径は、受容部の第2のボア211の内径よりも小さく、好ましくはヘッドの前面207の直径と同一である。圧力要素220の軸方向長さは、ヘッド204の前面207と、挿入された状態のU字形の凹部213の底部との間の距離よりわずかに大きいか、又は同一である。圧力要素は弾性であり、例示の実施形態では、エラストマー、例えば、ポリウレタン又はポリシロキサンから形成される。しかしながら、任意の好適な生体適合性材料を使用することができる。
【0085】
圧力要素220と挿入されたロッド300との間には、ロッドに面した側の圧力要素を覆い、かつ、非可撓性材料、例えば、合成材料又は人体適合性金属から構成されるキャップ221が設けられる。キャップ221の外径は、受容部の第2のボア内を揺動することによってキャップが変位可能となるように寸法設定され、キャップの内径は、装着されていない状態の圧力要素220の外径に実質的に対応する。キャップは、圧力要素が荷重を受けた状態にあるときに半径方向に広がることが可能である程度に、圧力要素と重なり合う。
【0086】
図21は、ねじ要素202、圧力要素220、及びキャップ221が受容部中に挿入され、ロッド300がU字形の凹部213の中に定置されているが、内側ねじはまだねじ込まれていない、装着されていない状態を示す。この状態では、ロッドの下側がキャップの表面222の上に置かれ、したがって、ロッドの下側とU字形の凹部213の底部との間にすき間213が形成されるように、圧力要素213から遠い方のキャップ221の側部222は、U字形の凹部213の底部よりもわずかに高い位置にある。
【0087】
図21に示される操作では、まず、ヘッドが、中空球の部分のような形状の受容部の部分212にもたれかかるまで、ねじ要素202が受容部205の開放された末端部から受容部205に挿入される。次に、ねじ要素が脊椎骨の中にねじ込まれる。その後、圧力要素220は、圧力要素220の上に設置されたキャップ221と共に、受容部の中に挿入され、受容部を整列させて、ロッドを挿入する。最後に、内側ねじ216が受容部の中にねじ込まれる。
【0088】
図22に示されるように、内側ねじがロッドをU字形の凹部の底部に対して押圧して、ロッドを固定するまで、内側ねじをねじ込む。同時に、ロッドは、ロッドによって加えられた圧力の力を圧力要素の全表面に均一に分配する役割を果たすキャップ221を圧迫する。圧力要素の弾性に起因して、ロッドによって加えられた力によって圧力要素は予圧縮される。同時に、圧力要素は、図22に示される半径方向に外側へ湾曲する形状を呈する。図22に示される状態では、圧力要素220はねじヘッド204に関してバイアス下にあり、その戻り力によって、圧力要素220はその下側でヘッドの前面207を均一に圧迫する。このように、ヘッドは受容部の部分212に押圧される。
【0089】
椎骨体部の中にねじ込まれたねじ要素202は、脊柱の自己運動によってその静止位置から移動する。脊椎骨がロッドの軸線に対して90°の角度でロッドに向かって移動すると、圧力要素が均一に圧縮し、受容部に対するシャンクの角度は変化しない。図23に示されるように、脊椎骨がロッドの軸線に対して90°以外の角度で移動すると、ヘッドが旋回し、これが受容部の部分212内で容易に摺動する。このため、ねじヘッドの前面207は、圧力要素の縁部に近い片側を圧縮する圧縮力を圧力要素の片側に加える。一方で、その反対側では、予圧力にさらされている圧力要素は圧力の緩和のせいで広がる。そのため、圧力要素は常にねじヘッドと接触したままである。
【0090】
圧力要素の弾性に起因して、圧縮はねじヘッドに戻り力をもたらす。このようにして、外科医が定置した元の場所に脊椎骨が戻る動きが補助される。
【0091】
所望の圧縮率を備えるエラストマー材料を圧力要素用に選択することにより、脊椎骨の動きの制限を調整することができる。圧縮性の小さな材料の場合は、装置は、静止位置からほんのわずかな偏向しか可能としない。材料特性が変わると、より大きな旋回範囲が可能となる。当業者は、所定の実験によって材料を容易に置き換えることができる。身体適合性エラストマー、例えばポリウレタン又はポリシロキサンを、エラストマー材料として使用することができる。
【0092】
受容部の第2のボア211の直径に対するねじヘッドのカラー206の直径を選択することによって、更に又は追加的に、旋回範囲を設定することができる。ねじ要素202が旋回位置にある状態でカラー206が受容部の壁部に当接すると、それ以上の旋回は不可能となる。
【0093】
〔実施の態様〕
(1) ポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた内部補強されたポリマーコアを備える、脊柱椎弓根ロッド。
(2) 前記コアが非円形の軸断面を有する、実施態様1に記載のロッド。
(3) 前記コアが半楕円形の軸断面を有する、実施態様2に記載のロッド。
(4) 前記コアが円錐台形の軸断面を有する、実施態様2に記載のロッド。
(5) 前記コアが高さと幅とを有する軸断面を有し、前記高さは前記幅よりも大きい、実施態様2に記載のロッド。
(6) 前記コアが前記ポリマーコーティング内に実質的に完全に入れられる、実施態様1に記載のロッド。
(7) 一対の端部とそれらの間の中間部分とを有し、前記中間部分の前記コアが、基部と、前記基部から延びるリブとを有する、実施態様1に記載のロッド。
(8) 前記コアが、細断された繊維補強材を含む、実施態様1に記載のロッド。
(9) 前記コアが連続繊維補強材を含む、実施態様1に記載のロッド。
(10) 長手方向軸を有し、前記連続炭素繊維が前記コア内で前記ロッドの前記長手方向軸に沿って自発的に整列する、実施態様9に記載のロッド。
【0094】
(11) 前記コアが連続繊維補強材を含み、前記コアが、一対の端部と、それらの間の中間部分とを有し、前記中間部分が高充填密度の連続炭素繊維を有し、前記端部が低充填密度の連続炭素繊維を有する、実施態様1に記載のロッド。
(12) 長手方向軸を有し、前記コア全体に及ぶ前記炭素繊維が、前記コア内で前記ロッドの前記長手方向軸に沿って自発的に整列する、実施態様11に記載のロッド。
(13) 前記コアが、i)連続炭素繊維中心部と、ii)前記連続炭素繊維中心部に巻き付いているフィラメントと、を含む、実施態様1に記載のロッド。
(14) 前記フィラメントが、ポリマーマトリクスに組み込まれる炭素繊維を含む、実施態様13に記載のロッド。
(15) 前記ポリマーマトリクスに組み込まれる前記炭素繊維が細断される、実施態様14に記載のロッド。
(16) 前記ロッドが、一対の端部と、それらの間の中間部分とを有し、少なくとも1つの端部がMIS挿入特徴部を有する、実施態様1に記載のロッド。
(17) 前記MIS挿入特徴部が、前記ロッドの軸に垂直なノッチを含む、実施態様16に記載のロッド。
(18) 前記MIS挿入特徴部がテーパ形状端部である、実施態様16に記載のロッド。
(19) 連続炭素繊維を含むコアを備える脊柱椎弓根ロッドにおいて、前記コアがポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられる、ロッド。
(20) 脊柱アセンブリにおいて、
a.少なくとも1つのポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた内部補強されたポリマーコアを備える脊柱椎弓根ロッドと、
b.前記ロッドを受け入れるための凹部を有する骨固定装置と、
を備え、
前記ロッドが前記骨固定装置の前記凹部の中に固定される、脊柱アセンブリ。
【0095】
(21) 骨、特に脊椎骨用の動的安定化装置において、
a)少なくとも2つの固定装置であって、前記固定装置の少なくとも一方が、
i)骨又は脊椎骨内で固定するためのシャンクと、
ii)前記シャンクに連結されるヘッドと、
iii)前記ヘッドを受容するための受容部と、
iv)前記ヘッドに作用する可動要素と、
を備える、固定装置と、
b)可撓性ポリマーロッドと、
を備え、
前記少なくとも2つの固定装置が前記ロッドに連結される、装置。
(22) 前記可撓性ポリマーロッドが複合材料である、実施態様21に記載の装置。
(23) 前記複合材料が、複数の繊維を含む繊維補強材を含む、実施態様22に記載の装置。
(24) 前記繊維補強材が、実質的に前記ロッドの長手方向軸に沿って配向される繊維を含む、実施態様23に記載の装置。
(25) 前記繊維補強材が、実質的に前記ロッドの前記長手方向軸に沿って配向される前記繊維を取り囲む繊維の織りを更に含む、実施態様24に記載の装置。
(26) 前記繊維補強材が繊維の織りを更に含む、実施態様23に記載の装置。
(27) 前記繊維の織りが実質的に前記ロッドのコアに位置決めされる、実施態様26に記載の装置。
(28) 前記繊維の織りが実質的に前記ロッドの外側表面の直下に位置決めされる、実施態様26に記載の装置。
(29) 前記繊維の織りが実質的に中間深度に位置決めされる、実施態様26に記載の装置。
(30) 前記繊維の織りが環を形成する、実施態様23に記載の装置。
【0096】
(31) 前記繊維補強材が、所定の方向により大きな剛性を提供する繊維の平面を含む、実施態様23に記載の装置。
(32) 前記繊維補強材が、編組された繊維を更に含む、実施態様23に記載の装置。
(33) 前記繊維が螺旋を形成する、実施態様23に記載の装置。
(34) 前記可動要素が可動軸受要素である、実施態様21に記載の装置。
(35) 前記可動軸受要素が前記ヘッドと共にボールソケット連結を形成する、実施態様34に記載の装置。
(36) 前記可動要素が弾性圧力要素である、実施態様21に記載の装置。
(37) 前記要素が、前記受容部に対する前記シャンクの第1の角度位置から第2の角度位置へと移動する際、前記圧力要素が前記ヘッドに戻り力を加えて、前記要素を前記第1の角度位置へと付勢する、実施態様36に記載の装置。
(38) 骨を安定させる方法、特に脊椎骨を安定させる方法において、前記方法が、
a)骨又は脊椎骨の中に固定するためのシャンク、及び前記シャンクに連結されるヘッドを有する要素と、前記ヘッドを受容するための受容部と、前記ヘッドに作用する可動要素と、を備える第1の骨固定装置を提供し、前記シャンクを第1の骨部分又は第1の脊椎骨に固定し、第2の骨固定装置を第2の骨部分又は第2の脊椎骨に固定する工程と、
b)前記第1及び第2の骨固定装置を、可撓性ポリマーロッドを用いて外部装置に連結する工程と、
を含む、方法。
(39) 前記可動要素が可動軸受要素である、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記可動軸受要素が前記ヘッドと共にボールソケット連結を形成する、実施態様39に記載の方法。
【0097】
(41) 前記可動要素が弾性圧力要素である、実施態様38に記載の方法。
(42) 前記要素が、前記受容部に対する前記シャンクの第1の角度位置から第2の角度位置へと移動する際、前記圧力要素が前記ヘッドに戻り力を加えて、前記要素を前記第1の角度位置へと付勢する、実施態様41に記載の装置。
(43) 骨、特に脊椎骨用の動的安定化装置において、
a)可撓性ポリマーロッドに連結される少なくとも2つの固定装置であって、前記固定装置の少なくとも一方が、骨又は脊椎骨の中に固定するためのシャンク、及び前記シャンクに連結されるヘッドを有する要素と、前記ヘッドを受容するための受容部と、前記ヘッドに作用する可動要素と、を備え、前記装置が前記ロッドに連結されると、前記圧力要素が前記ロッドと前記ヘッドとの間に位置決めされる、少なくとも2つの固定装置、を備える、装置。
(44) 前記可動要素が可動軸受要素である、実施態様43に記載の装置。
(45) 前記可動軸受要素が前記ヘッドと共にボールソケット連結を形成する、実施態様44に記載の装置。
(46) 前記可動要素が弾性圧力要素である、実施態様43に記載の方法。
(47) 前記要素が、前記受容部に対する前記シャンクの第1の角度位置から第2の角度位置へと移動する際、前記圧力要素が前記ヘッドに戻り力を加えて、前記要素を前記第1の角度位置へと付勢する、実施態様46に記載の装置。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図7A】

【図7B】

【図7C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーコーティング内に少なくとも部分的に入れられた内部補強されたポリマーコアを備える、脊柱椎弓根ロッド。
【請求項2】
前記コアが非円形の軸断面を有する、請求項1に記載のロッド。
【請求項3】
前記コアが半楕円形の軸断面を有する、請求項2に記載のロッド。
【請求項4】
前記コアが円錐台形の軸断面を有する、請求項2に記載のロッド。
【請求項5】
前記コアが高さと幅とを有する軸断面を有し、前記高さは前記幅よりも大きい、請求項2に記載のロッド。
【請求項6】
前記コアが前記ポリマーコーティング内に実質的に完全に入れられる、請求項1に記載のロッド。
【請求項7】
一対の端部とそれらの間の中間部分とを有し、前記中間部分の前記コアが、基部と、前記基部から延びるリブとを有する、請求項1に記載のロッド。
【請求項8】
前記コアが、細断された繊維補強材を含む、請求項1に記載のロッド。
【請求項9】
前記コアが連続繊維補強材を含む、請求項1に記載のロッド。
【請求項10】
長手方向軸を有し、前記連続炭素繊維が前記コア内で前記ロッドの前記長手方向軸に沿って自発的に整列する、請求項9に記載のロッド。

【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2011−508623(P2011−508623A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539701(P2010−539701)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/086979
【国際公開番号】WO2009/085749
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(504003396)デピュイ・スパイン・インコーポレイテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Spine,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,MA 02767,U.S.A.
【Fターム(参考)】