説明

ポリマー用の圧縮ペレット化添加剤ブレンド

圧縮添加剤ブレンドまたはポリマー安定化剤を、ポリマーの加工性を向上させるために後重合プロセスの間に加えることができる。特定の圧縮助剤、例えば高融点または非溶融金属シリケートその他の添加は、圧縮された添加剤ペレットの耐脆性を増加させる。
これらの圧縮助剤は、圧縮プロセスの間、そして、ポリマー樹脂への導入の後、非移動性であり、悪影響を有しない。添加剤ブレンドは、圧縮助剤に加えて様々な適切な添加剤を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年12月12日付けで出願された「ポリマー用の圧縮ペレット化添加剤ブレンド(COMPACTED PELLETIZED ADDITIVE BLENDS FOR POLYMERS)」という発明名称の米国特許仮出願第61/122,247号についての優先権を主張し、その全ての内容は参照することによって本願明細書に含まれる。
【0002】
一般に、本発明はポリマー添加剤の分野に関する。そして、具体的には、本発明は、ポリマーの加工性および性質性能を向上させるために、後重合プロセスにおいて加えることができる圧縮添加剤ブレンドまたはポリマー安定化剤ブレンドに関する。
【背景技術】
【0003】
添加剤および添加剤ブレンドは、典型的には、ポリマーを熱酸化分解から保護するために、熱または光に対する長期の抵抗性を与えるために、残留触媒を中和するために、完成品のさまざまな性能性質を向上させるために、使用される。ポリマー添加剤は、典型的には、液体、粉、顆粒、ビーズ、パステルまたはペレットの形態において使用される。これらの添加剤は、ポスト反応押出動作の間、ポリマーに加えることができる。多数の技術を、工程流れにおいて添加剤をポリマーに導入するために使用することができる。溶液、懸濁またはスラリー相重合プロセスにおいて、添加剤および添加剤ブレンドを、ポスト反応ポリマー/液スラリーに導入する前に、液に加える。あるいは、添加剤は、添加剤を溶融させることができて、それらをポリマー流に導入することができるサイドアーム押出機または他の装置を介してポリマーの最終的な溶融流に加えることができる。この場合、更に押出機または他の混合装置によって混合し、最終的なポリマー樹脂をペレット化するためのダイによるポリマー/添加剤混合物のポンプ輸送を行っている。気相式反応器を使用しているもののような他の重合プロセスにおいて、ポリマーは、粉末化された「反応器顆粒」として反応器を出る。この場合には、添加剤は、いくつかの異なる方法でポリマーに加えることができる。添加剤は、固体の「反応器顆粒」粉末流に加えることができる。これは最終的な販売可能な製品としてパックすることができる、または、ポリマーに混合されてポリマーを均質にして、溶融ポリマーに添加剤を分散させるために押出機または他の溶融装置に更に供給されることができる。添加剤が固体の「反応器顆粒」粉末流に加えられるときに、添加剤は、それらの純粋な形態(典型的には、粉末)で、または、濃縮物またはマスターバッチの形態でこの段階において導入することができる。その後、この混合物は、ペレット化のためのダイを通して、ポンプ輸送される。あるいは、この種の方法で、添加剤は、サイドアーム押出機を介して導入することができる。サイドアーム押出機は、添加剤を溶融させて溶融ポリマー流に添加剤を供給し、添加剤を最終ポリマーに更に混合して、ペレット化する。これらの技術の全てにおいて、粉末形態の添加剤の添加は、取り扱いおよび供給の観点から困難であることがあり、そして、いくつかの添加剤の場合、潜在的健康、火災および爆発の危険を有し得る。ポリマー系がいくつかの成分の添加を必要とする場合、添加剤は予め混合済みでなければならず、または、複数の供給器の使用が必要とされる。サイドアーム押出機が用いられるときに、多くの理由から直接に粉末状の添加剤を供給することは一般的でない。押出機に粉末形態の添加剤を扱って供給することに関する上述した問題に加えて、添加剤および添加剤混合物の溶融および粘性挙動は、典型的には、この方法によって直接添加に適していない。
【0004】
粉塵を伴わないペレット形態の添加剤ブレンドを調製することによって、これらの問題の多くが解決される。これらの方法の中で、100%のもしくは全ての添加剤ブレンドを押し出してペレット化することは、従来技術の特許において教示されている。「Process for Obtaining Granular Forms of Additives for Organic Polymers」という表題の米国特許第5,240,642号は、押出機を使用して、フェノール系酸化防止剤および酸中和剤を含む添加剤ブレンドの低粉塵顆粒を形成する方法について記載している。「Process for Obtaining Granular Forms of Additives for Organic Polymers」という標題の米国特許第5,844,042号は、顆粒形態の添加剤ブレンドを押出法によって調製することを記載している。添加剤ブレンドをダイに通してストランドを形成させ、その後、ストランドをカットしてペレットを形成する。
【0005】
「Low-Dust Granules of Plastic Additives」という標題の米国特許第5,597,857号は、10〜100%のステアリン酸カルシウムを含む、押し出された添加剤ブレンドペレットについて記載している。ステアリン酸カルシウムは少なくとも80%溶融され、ブレンドがダイに通され、フェイス・カット(ウォーターリングまたはアンダーウォーター)され、その後冷却される。
【0006】
「Preparation of Low-Dust Stabilizers」という標題の米国特許第6,740,694B2号は、無定形の添加剤を含む添加剤ブレンドの押し出しについて記載している。添加剤ブレンドは溶融され、サブクールされ、それによって高粘度のストランドが形成され、ペレット化される。
【0007】
上記の方法は添加剤ブレンドの押し出しを含んでいるが、添加剤を圧縮してペレット化する別の技術が記載されている。米国特許第5,846,656号(Ciba Specialty Chemicals, Basel, スイス)は、ペレットミル型圧縮方法であって、2〜50%の「溶融防止化合物」(結合剤)を安定化剤もしくは添加剤系に添加して安定化剤の溶融を防止する方法を対象にしている。比較的低融点のバインダーは、Irganox(登録商標)1076(Ciba)などの立体障害を有するフェノール系酸化防止剤(AO)、ステアリン酸カルシウム、グリセリル・モノステアレート(GMS)、オレアミド、ステアリン酸、パルミチン酸、低密度ポリエチレン(LDPE)などであってよい。
【0008】
「Granular Polymer Additives and Their Preparation」という標題の米国特許第6,515,052号(Albemarle Corporation, Baton Rouge、ルイジアナ州)は、圧縮方法において溶剤を使用して、ホスファイト安定化剤を含む圧縮添加剤ブレンドの収率及び品質(より低い破砕性)を向上させることを記載している。ある溶剤(例えば、アルコール、ヘキサン)を乾燥添加剤ブレンドに添加し、その後混合物をペレットミルに通して処理する。溶剤はホスファイトを部分的に溶媒和させる。ペレットミルを通過させた後、溶剤を除去する。湿潤したペーストが押し出されるので、これによって非常に高い収率が得られる。
【0009】
「Sterically Hindered Phenol Antioxidant Granules Having Balanced Hardness」という標題の米国特許第6,800,228号(Albemarle)は、フェノール系AOを含む圧縮された添加剤ブレンドの調製に溶剤を用いることを記載している。この特許は、米国特許第6,515,052号において教示される技術をフェノール系酸化防止剤へ拡張する。溶剤は、通常、アルコール、シクロヘキサンまたはそれらの混合物であり、溶剤の量および割合を調節することによって、製造されるペレットの硬度および破砕性(脆さ、脆砕性)を制御することができる。
【0010】
米国特許第6,596,198号(Albemarle)は、5〜50%の安定化剤と、低融点バインダー、例えばオレアミド(潤滑剤もしくは離型剤)、Irganox(登録商標)1076(Ciba)、グリセリン、GMS(例えば、他のもの(例えばPationic(登録商標)1042、Caravan Ingredients, Kansas City, ミズーリ州)等との圧縮ブレンドについて広く教示している。この特許は、添加剤ブレンドを調製するための押出方法についても教示している。
【0011】
米国特許第6,033,600号(General Electric Company, Fairfield, コネチカット州)は、典型的には、10〜90%のペンタエリトリトールジホスファイト、10〜90%のフェノール系酸化防止剤、2〜60%の金属ステアレートおよび1〜10%のハイドロタルサイトの混合物である圧縮されたペレットブレンドについて記載している。ペレットミル操作前における(例えば、ローラーミルでの)予備圧縮化は、ペレットの収率を著しく増大させるということも教示されている。
【0012】
上述の文献は、ポリマーに添加するためのポスト反応押出操作に対して、より簡便で正確に供給することができる、低粉塵形態の添加剤ブレンドを提供する。そのような固体の添加剤ブレンドは、押出機もしくは他の溶融装置の中へのポリマー流に直接添加することができ、それによってポリマーは溶かされ、次に添加剤が溶融ポリマーにブレンドされ、その後ペレット化される。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、圧縮されたペレットの耐脆性(耐脆砕性)(resistance to friability)を向上させるために、高融点または非溶融の金属シリケートもしくは他の添加剤を圧縮助剤として用いる、圧縮された添加剤ブレンドに関する。この利点に加えて、本発明の圧縮助剤は、ミル内の圧縮プロセス中での添加剤の溶融傾向を最小化することができる。
【0014】
本発明は、固体の非溶融結合助剤を用いることによって、ペレットミル内での圧縮によって製造されるペレットの破砕性(friability)もしくは摩砕性(attrition)パフォーマンスを向上させる。破砕性および摩砕性は、通常は、ペレットの移送の間に、そのコンテナの内部でペレットが微粉を生成し得る、同じ現象を意味する。非常に小さな微粉が生じるため、破砕性または摩砕性に対する耐性は非常に望ましい。このことは高い摩砕性パフォーマンスと称される。破砕性は、実験室内で、篩(シーブ)スタック(sieve stack)内で、スチールボールを用いて、振とうさせながらペレットに衝撃を与える、摩砕性試験によって評価される。添加剤圧縮プロセスにおいて使用される常套の結合剤は、米国特許第5,846,656号に記載されているように、比較的低い融点の有機添加剤、例えばオレアミド、グリセリル・モノステアレート、Irganox 1076(Ciba)等である。驚くべきことに、無機物を含む固体の非溶融で非移動性の添加剤は、向上した摩砕性パフォーマンス(より少ない微粉生成)を達成することができるように、圧縮プロセスを支援することができるということが見出された。
【0015】
本発明において「非溶融」という用語は、固体の高融点結合助剤もしくは圧縮助剤が圧縮ミルの環境において、即ち、圧縮プロセスの運転温度および他の条件下で、液状に溶融しないことを意味する。本発明の圧縮助剤は、典型的には、300℃以上の融点を有する。このことは、圧縮の間に結合剤が溶融して、他の成分をペレット粒子へ一体に結合させることを支援する、低融点固体が結合剤としての機能を果たす従来技術(例えば、上記引用したCibaの第5,846,656号特許)とは対照的である。本発明において、「非移動性(non-migratory)」という語句は、本発明の固体の圧縮助剤が添加剤ペレット中において、ある位置から他の位置へ拡散しないということを意味する。圧縮された添加剤ペレットの内部において固体の結合助剤は実質的には移動性を有さない。対照的に、従来技術の低融点結合剤は、圧縮中に溶融して、生じる液体は移動したり、または添加剤ペレットの内部でより低い(ゼロを含む)濃度の異なる位置へ、スペース内で移動したり拡散したりし得る。本発明は、いずれかの溶剤または予備圧縮技術を用いることなく、本発明のペレット化および高い摩耗パフォーマンスが達成されるという事実によって、従来技術を超える向上を示しおよび従来技術から識別される。本発明は、摩砕性もしくは破砕性の低下したペレットを、生成する微粉をより少なくして目的地へ移送することができるという点で、圧縮された添加剤ペレットを商業的に、より良好に利用することができることから有用である。摩砕性改良のためのそのような固体結合助剤技術は、本発明よりも前には利用できなかった。望ましくない高い摩砕性を有するペレットは、著しいレベルの細粉を伴ってユーザーの設備に到着する。後者は、(例えばオペレーターの粉塵への暴露、爆発の問題等のために)好ましくなく、使用可能な生成物のロスをしばしば呈する。
【0016】
本発明において使用される高融点または非溶融タイプの添加剤は、それらがポリマー樹脂へ導入された後では、本質的に不活性および非移動性であるため、最終的な使用に悪影響を有しない。本発明は、圧縮助剤の非溶融性で非移動性の固体粒子特性を考慮すると、驚くべきものである。従来使用されていた圧縮プロセスでは、バインダーとしては一般的に低融点材料が使用される。典型例は、(CibaによってIrganox 1076として、またはSongwonによってSongnox 1076等として市販されている)オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、グリセリル・モノステアレート(GMS)、オレアミド、エルカミド等である。これらの添加剤は、圧縮プロセス中に溶融して他の添加剤を湿らせ、それらを一体に結合させて、添加剤ブレンドの圧縮されたかたまりを形成する。高融点の材料は、従来技術における結合剤としては不適当であると考えられてきた。
【0017】
ブレンドが固体の摩耗させる粒状物によって衝撃を受けたり、製造および取り扱いプロセスにおいて移送されたりする場合、典型的な市販の圧縮された添加剤ブレンドはしばしば高い破砕性を示す。そのような条件下では、圧縮された材料は微粉を生じる。本発明では、新しいおよび新規性のある添加剤ブレンド組成物(場合により、「スーパーブレンド(Superblend)」とも称される)が提供され、圧縮された添加剤ペレットの破砕性は、金属シリケートおよびシリカ粒子を含む、非溶融性で非移動性の成分を添加することによって低減される。その結果、(他の既知のブレンドと比較して)圧縮された添加剤ブレンドからはるかに低レベルの微粉が生成し、それによって、製造およびペレット移送プロセスにおける経済性が改善される。
【0018】
圧縮されたペレット化添加剤ブレンドは、合計して100%の添加剤の2種又はそれ以上の添加剤の混合物から成っており、即ち、ポリマー担体は存在しない。本発明での圧縮助剤は一般に高融点金属シリケートまたはシリカ系材料である。圧縮されたペレット化添加剤ブレンド中の圧縮助剤の範囲は、約1重量%〜約30重量%、好ましくは約3重量%〜約20重量%、および最も好ましくは約5重量%〜約10重量%の範囲であってよい。本明細書において用いる「重量%」は、高純度の圧縮されたペレット化添加剤ブレンドの重量における割合(百分率)を意味する。本発明において用いるベース添加剤は、ポリオレフィンまたは他のポリマーの通常の処理温度の範囲の、ピーク溶融温度(もしくは添加剤の融点)を有する一般に結晶性の添加剤であるか、またはガラス転移温度(もしくは添加剤ガラス転移温度)を有する無定形の添加剤である。圧縮されたペレット化添加剤ブレンド中のベース添加剤の範囲は、約70重量%〜約99重量%、好ましくは約80重量%〜約97重量%、および最も好ましくは約90重量%〜約95重量%の範囲であってよい。これらの圧縮された添加剤ブレンドは、ポリマー樹脂製造プロセスにおいて、特に、重合後、ポリマーを押出機もしくはその他のポリマーを溶融させるデバイスの中に供給して、溶融したポリマー流れに添加剤が導入されるポリマーの製造において有用である。そのような添加剤は、ポリマーの特性の維持および向上のため、並びに前記ポリマーに官能性もしくは他のパフォーマンス特徴を付与するために不可欠なものである。
【0019】
本発明の技術を使用すると、純粋な添加剤のブレンドが、それらは空気圧移送を用いて容易に移送することができる点で、粉塵を伴わずおよび堅牢に製造することができる。そのようなブレンドは押出機もしくは他のデバイスへ容易に供給され、そこでブレンドは溶融ポリマー流れの中に導入される。このステップでは、添加剤ブレンドは、安定化のため、または製造されるポリマー樹脂への適当な添加剤官能性導入のために、最終末端使用レベルへ希釈される。そのような100%の添加剤ブレンドは、最終的な溶融、混合およびペレット化の前に、固体ポリマーに直接供給されて、ベースポリマーと物理的にブレンドされるか、または、ポリマー樹脂を製造するための最終的な溶融、混合およびペレット化デバイスに同時に供給したりする場合にも有用であり得る。そのような100%の添加剤ブレンドは、最終的な溶融、混合およびペレット化の前に、固体ポリマーに直接供給されて、ベースポリマーと物理的にブレンドされるか、または、ポリマー樹脂を製造するための最終的な溶融、混合およびペレット化デバイスに同時に供給したりする場合にも有用であり得る。低減された破砕性を有する、このように製造された純粋な添加剤のブレンドは、種々のポリマー樹脂製造プロセスにおいて著しいコスト削減がもたらされる。
詳細な説明
【0020】
本明細書に記載する発明の詳細は、発明の例示に過ぎない。それらは、発明の種々の態様例を説明することを目的とするものであって、発明の原理もしくは概念を限定することを目的とするものではない。
【0021】
以下に記載するのは、この技術分野において既知の、簡潔で切り詰めた(および決して包括的ではない)慣習的な定義であって、その簡潔な定義は本発明の記載の助けとなり得る。
【0022】
「ベースポリマー」:添加剤または添加剤ブレンドによって、安定化、着色、官能化もしくはその他の変更がなされるポリマー。
【0023】
「Ingenia スーパーブレンド(登録商標)」または「スーパーブレンド(登録商標)」: 100%もしくは純粋な添加剤ブレンドまたは添加剤、フィラー、着色剤、および他の成分の濃縮物であって、添加剤、フィラーもしくは着色剤を独立して添加するよりも、安定化、着色もしくはその他の変更がなされるようにその後にベースポリマーに配合される。添加剤の例には、立体障害を有するフェノール系酸化防止剤(Irganox 1010、1076、Ethanox 330など)が含まれる;ホスファイト酸化防止剤(Irgafos 168、Ultranox 626など);ホスホナイト酸化防止剤(Sandostab P-EPQなど);酸中和剤(ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイトDHT-4A(マグネシウム・アルミニウム・ヒドロキシ-カーボネート水和物である)など);紫外線(UV)光安定剤(Cliimassorb 944、Tinuvin 622、Cyasorb UV 2908など)、成核剤(安息香酸ナトリウムなど);清澄剤,例えば1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチル・ベンジリデン・ソルビトール、(Milliken Chemicalによって、Millad 3988として販売されている)など;帯電防止剤(グリセリル・モノステアレート;エトキシ化アミンなど);スリップ剤(エルカミド、オレアミド、ベヘンアミドなど);粘着防止剤(シリカなど);およびフィラー(炭酸カルシウム、タルク、珪灰石など)。「Ingeniaスーパーブレンド(登録商標)」もしくは「スーパーブレンド(登録商標)」はペレット化されたか、または粒状化(pastillated)された固体添加剤ブレンドまたは混合物であって、a)添加剤が高レベルで(例えば50〜90重量%)添加されたポリマー・マスターバッチ;b)粒状化され、および設備内で製造された、rotoformerなど;c)パレットで運ばれた圧縮された添加剤ブレンド;およびd)添加剤ブレンドの溶融押出されたペレット等であってよい。
【0024】
「結合助剤」もしくは「バインダー」:従来技術における添加剤ブレンドのペレット化および圧縮のミリングプロセスの間に添加剤結合を促進し得る、低融点もしくは液状の添加剤。
【0025】
「融点」:示差走査熱量測定(「DSC」)もしくは他の機器によって測定されるような、結晶質もしくは半結晶質ポリマーまたは結晶質ポリマー添加剤のピーク融点。
【0026】
「ポリマー樹脂」:ベースポリマーおよび添加剤の組合せもしくは添加剤から得られる最終の処方。
【0027】
「軟化点」:示差走査熱量測定(「DSC」)もしくは他の機器によって測定されるような無定形添加剤のガラス転移温度。
【0028】
本発明の、ペレット化されて担体を含まない100%の添加剤ブレンドまたは濃縮物またはスーパーブレンドは、2種又はそれ以上の成分から構成されている。成分は、20℃から300℃未満の範囲、より好ましくは40℃〜200℃の範囲の融点もしくは軟化点によって特徴付けられる種々の添加剤である。
【0029】
添加剤ブレンドは、ベース添加剤混合物および1種又はそれ以上の圧縮助剤から構成される。圧縮助剤には、金属シリケート、モンモリロナイト・ナノクレイ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛もしくは、これらのいずれかの混合物を含むその他の物質から選ばれる、低濃度(典型的に25%未満(<25%))で存在する、1種又はそれ以上の鉱物もしくは無機高融点添加剤が含まれる。スーパーブレンド(Superblend)は、ポリマー樹脂製造において、特に、重合後、ポリマーを押出機もしくはその他のポリマーを溶融させるデバイスの中に供給して、溶融したポリマー流れに添加剤が導入されるポリマー樹脂の製造において有用である。
【0030】
特に記載しない限り、この明細書中における添加剤濃度は重量パーセント(「重量%」)を意味する。成分の重量%は、成分の質量を、混合物中のすべての成分の総質量で除することによって計算され、百分率で表される。例えば、20グラムの添加剤Aおよび80グラムの他の添加剤を含むペレット化された添加剤ブレンドにおいては、添加剤Aの重量%は20%になる。
【0031】
本発明の好ましいベースポリマーには、ポリオレフィン、例えば種々のタイプのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/α−オレフィンコポリマー、ポリブテン−1、ポリスチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマー、およびそれらのブレンド;および、上述のモノマーから誘導されるコポリマーが含まれる。
【0032】
本発明のブレンド中に100%総濃度(担体ポリマーを含まない)で存在する添加剤には、フェノール系酸化防止剤、加工安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤を含む紫外線(「UV」)光安定剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、スリップ剤、粘着防止剤、成核剤、潤滑剤および離型剤、難燃剤並びにこれらのいずれかの混合物を含むその他の物質として当業者に知られている添加剤が含まれる。そのような添加剤の例には、特に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイトおよびホスホナイト安定剤、ヒンダードアミン、金属(例えばカルシウム、亜鉛)ステアリン酸塩、トリアジン、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、3−(4−2−アセトキシエトキシ)フェニル)−5,7−ジ-tert-ブチル−ベンゾフラン−2−オンを含むベンゾフラン、ジ(菜種油)アルキル−N−メチルアミンオキシドであって、約20℃〜約300℃の範囲、特に約40℃〜約200℃の範囲の融点または軟化点を有するものが含まれる。好ましい態様では、示差走査熱量測定もしくは他の適切な装置によって測定して、ベース添加剤混合物は90℃未満の溶融温度を有する。本発明に有用な添加剤のいくつかの例は以下のとおりである。
【0033】
ヒンダードフェノールは、プラスチック用の主要な(プライマリーまたは1級)酸化防止剤として知られており、下式の基を1つもしくはそれ以上有している。
【化1】

[式中、R1およびR2は、メチル基、tert-ブチル基、非置換のアルキル基もしくは置換アルキル基である。]
【0034】
本発明において1もしくはそれ以上の酸化防止添加剤として有用なヒンダードフェノールは、約50℃〜約300℃の範囲、より好ましくは約100℃〜約250℃の範囲の融点もしくは軟化点を有するべきである。本発明に特に有用なヒンダードフェノールには、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
(a) 以下の構造を有するAO-10、もしくはペンタ-エリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオナート、例えば、Evemox 10、Irganox 1010、Anox 20等;
【化2】

(b) 以下の構造を有するAO-1790、もしくは1,3,5-トリス(4-tertブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン;
【化3】

(c) 以下の構造を有するAO-129、もしくは2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール);
【化4】

(d) 以下の構造を有するAO-702、もしくは4,4'-メチレンビス(2.6-ジ-tert-ブチルフェノール);
【化5】

または
(e) 以下の構造を有するAO-246、もしくは2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール。
【化6】

【0035】
ホスファイトおよびホスホナイトは、芳香族ホスファイトおよびホスホナイトを含む、プラスチック用の加工安定剤型抗酸化防止剤として知られている。本発明において1もしくはそれ以上の高濃縮添加剤として有用なホスファイトおよびホスホナイトは、約80℃〜約210℃の範囲、より好ましくは約100℃〜約200℃の範囲の融点もしくは軟化点を有している。本発明に特に有用なホスファイトおよびホスホナイトには、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
(a) 以下の構造を有するAO-168もしくはトリス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト;
【化7】

(b) 以下の構造を有するAO-626もしくはビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト;
【化8】

(c) 以下の構造を有するAO-641、もしくは2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト;
【化9】

(d) 以下の構造を有するAO-PEPQ、もしくはテトラキス(2,4-ジ-tertブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4'-ジイル-ビス-ホスホナイト。
【化10】

【0036】
使用し得る酸中和剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属ステアリン酸塩、(合成ハイドロサルタイトとしても知られている)マグネシウム・アルミニウム・ヒドロキシ炭酸塩水和物 、酸化亜鉛およびそれらの混合物が含まれる。
【0037】
本発明において有用なヒンダードアミンは、基本的にヒンダードアミン光安定剤(「HALS(hindered amine light stabilizers)」)として知られている。これらは、以下に示す化学式の基を1もしくはそれ以上含んでいる:
【化11】

【0038】
これらの化合物は、低分子量もしくは高分子量であってよく、本質的にモノマーまたはオリゴマーであってよい。本発明において高濃縮添加剤として有用なHALS添加剤は、約50℃〜約210℃の範囲の融点を有するべきである。より好ましくは、本発明において有用なHALSは、約100℃〜約200℃の範囲の融点を有する。本発明において高濃縮添加剤として有用なHALSには、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
(a) 以下の一般構造を有する、HALS-119;
【化12】

[式中、Rは、
【化13】

で示され、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン,N,N'''-[1,2-エタン-ジイル-ビス-[[[4,6-ビス-[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン2-イル]イミノ]-3,1-プロパンジイル]]ビス[N',N''-ジブチル-N',N''-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-}としても知られる。]
(b) 以下の構造を有するHALS-944;
【化14】

[式中、nは1もしくはそれ以上であって、ポリ[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]]}としても知られる。]
(c) 以下の構造を有するHALS-20;
【化15】

[式中、nは0もしくはいずれかの正の偶数(例えば、0、2、4、6、8・・・)であって、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンを有する1,6-ヘキサンジアミン、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ポリマーとしても知られ、N-ブチル-1-ブタンアミンとN-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物。]
(d) 以下の構造を有するHALS-3346;
【化16】

[式中、nは1もしくはそれ以上であって、ポリ[(6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル)[2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]としても知られる。]
(e) 以下の構造を有するHALS-3529;
【化17】

[式中、nは1もしくはそれ以上であって、1,6-ヘキサンジアミン、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-としても知られ、モルホリン-2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとのポリマー。]
(f) 以下の構造を有するHALS-144;
【化18】

ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-2-ブチル-2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)プロパンジオエートとしても知られる。
(g) 以下の構造を有するHALS-4050;
【化19】

{N,N'-ビスホルミル-N,N'-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ヘキサメチレンジアミン}としても知られる。
または
(h) 以下の構造を有するHALS-5050;
【化20】

[式中、nは1以上である。]
【0039】
HALS添加剤は立体障害を有するアミンであって、モノマーもしくはオリゴマーのいずれかであってよい。
【0040】
紫外線吸収剤として本発明において有用なトリアジンは、下式の基を1もしくはそれ以上有する:
【化21】

【0041】
本発明において高濃縮添加剤として有用なトリアジンは、約80℃〜約210℃の範囲の融点を有すべきである。より好ましくは、本発明において有用なトリアジンは、約100℃〜約200℃の範囲の融点を有する。本発明において高濃縮添加剤として有用なトリアジンには、下式で示される構造を有するLS-1 164、もしくは{2-(4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(オクチロキシ)-フェノール}が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【化22】

【0042】
本発明において有用なベンゾフェノンは、紫外線吸収剤として主に知られている。それらは、下式の基を1もしくはそれ以上有する:
【化23】

【0043】
本発明において高濃縮添加剤として有用なベンゾフェノンは、約80℃〜約210℃の範囲の融点を有すべきである。より好ましくは、本発明において有用なベンゾフェノンは、約100℃〜約200℃の範囲の融点を有する。
【0044】
本発明において有用なベンゾトリアゾールも、光吸収剤として主に知られている。これらは、下式の基を1もしくはそれ以上有する:
【化24】

【0045】
本発明において高濃縮添加剤として有用なベンゾトリアゾールは、約80℃〜約210℃の範囲の融点を有すべきである。より好ましくは、本発明において有用なベンゾトリアゾールは、約100℃〜約200℃の範囲の融点を有する。本発明において高濃縮添加剤として有用なベンゾトリアゾールには、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
(a) 以下の構造を有するLS-234、 もしくは2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール)。
【化25】

(b) 以下の構造を有するLS-326、もしくは2-(3'-tert-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール。
【化26】

(c) 以下の構造を有するLS-327、もしくは2-(3',5'-ジ-tert-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール。
【化27】

(d) 以下の構造を有するLS-328、もしくは2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジtertペンチルフェノール。
【化28】

(e) 以下の構造を有するLS-329、もしくは2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール。
【化29】

(f) 以下の構造を有するLS-3033、もしくは2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェニル。
【化30】

【0046】
本発明において紫外線吸収剤として有用なヒドロキシベンゾエートは、約80℃〜約210℃の範囲の融点を有すべきである。より好ましくは、本発明において有用なヒドロキシベンゾエートは、約100℃〜約200℃の範囲の融点を有する。本発明において高濃縮添加剤として有用なヒドロキシベンゾエートには、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。以下の構造を有するLS-340、 もしくは2,4-ジ-tert-ブチルフェニル(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート)。
【化31】

【0047】
ベース添加剤ブレンドの一部として使用できる帯電防止剤には、グリセリル・モノステアレート(GMS)、エトキシ化アミン、およびこれらの混合物を含むその他の物質が含まれる。
【0048】
金属不活性化剤の1つの例は、2,3-ビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル)プロピオンヒドラジドであって、その混合物を含む他の物質を使用することもできる。
【0049】
スリップ剤は、例えば、エルカミド、オレアミド、ベヘンアミド、エルシルエルカミド、およびその混合物を含む他の物質を含み得る。
【0050】
添加剤ブレンドに含むことができる粘着防止剤には、合成もしくは天然シリカ、ナトリウム・カルシウムアルミノシリケート、およびその混合物を含む他の物質を含み得る。
【0051】
添加剤ブレンドに含むことができる成核剤には、安息香酸ナトリウム、1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチル・ベンジリデン・ソルビトールなどのソルビトール・アセタール;2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ナトリウムなどの芳香族ホスフェートナトリウム塩;ナトリウム・アジペート、およびその混合物を含む他の物質を含み得る。
【0052】
ベース添加剤混合物に添加される圧縮助剤には、金属シリケート、モンモリロナイト粘土、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの混合物が含まれ得る。
【0053】
本発明において圧縮助剤添加剤として有用な金属シリケートは、250℃以上の融点を有するべきである。より好ましくは、本発明において有用な金属シリケートには約300℃以上の融点を有する。本発明において圧縮助剤として有用な金属シリケートには、カリウム・マグネシウムアルミノシリケート、ナトリウム・カルシウムアルミノシリケート、無水アルミノシリケート、ナトリウムカリウムアルミノシリケート、カルシウムシリケート、タルクなどの水和マグネシウムシリケート、ナトリウムアルミノシリケート、合成マグネシウム・ナトリウム・リチウム・フルオロシリケート、合成マグネシウム・ナトリウム・リチウムホスフェートフルオロシリケート、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
カリウム・マグネシウムアルミノシリケートは、金雲母、白雲母あるいはその混合物であってよい。圧縮助剤が金雲母または白雲母から構成される場合、これらは添加剤ブレンドの約0.5%〜約20%、好ましくは添加剤ブレンドの3%〜10%で存在すべきである。そのような濃縮物が望ましい場合、金雲母または白雲母は、示差走査熱量測定あるいは他の好適な装置によって、または他の状況で測定して、ベース添加剤混合物が90℃未満の融点有する場合などには、添加剤ブレンドの約15重量%〜約20重量%で存在することができる。
【0055】
圧縮助剤として使用されるモンモリロナイト粘土は、第4級アンモニウム塩によって変性させることができる。
【0056】
圧縮助剤として使用される二酸化チタンは、添加剤ブレンドの約0.5重量%〜約20重量%で存在することができる。二酸化チタン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸亜鉛など金属ステアリン酸塩によってコーティングすることができる。さらに、圧縮助剤は、二酸化チタンと雲母(金雲母または白雲母のいずれか)との混合物であってよい。そのような混合物が使用される場合、二酸化チタンは添加剤ブレンドの添加剤ブレンドの約0.5重量%〜約10重量%で存在すべきであり、雲母は添加剤ブレンドの約0.5重量%〜約10重量%で存在すべきである。
【0057】
圧縮助剤は、添加剤ブレンドの約0.5重量%〜約20重量%で存在し、好ましくは添加剤ブレンドの3重量%〜10重量%で存在する、合成無定形シリカをも含み得る。
【0058】
本発明のスーパーブレンド中において、主要なポリマー添加剤または合計100%の濃度(圧縮助剤を含む)で存在する添加剤は、当業者に既知の添加剤、例えば酸化防止剤、光安定剤、酸中和剤および特に列記しないがその他の物質を含むことができる。添加剤の具体例には、立体障害を有するフェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール)、ホスファイト、ホスホナイト、立体障害を有するアミン(ヒンダードアミン)、トリアジン、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾールおよびステアリン酸金属塩等が含まれ、その場合の添加剤のピーク溶融温度はポリオレフィンの処理に典型的に用いられる温度範囲、または約150℃〜約300℃の範囲であってよい。さらに、スーパーブレンドは他の添加剤および金属シリケート、シリカまたは他の物質を含み得る。
【0059】
典型的に、ペレット化された添加剤ブレンド(例えばIngeniaスーパーブレンド(登録商標))を調製する場合、一例として、酸化防止剤ブレンドにより、周囲温度フィードを用いて、圧縮操作が行われる。処理中に、添加剤混合物の温度は約50℃から約90℃へ典型的に上昇する。その後、圧縮された添加剤のペレット化ブレンドの温度は周囲温度へ降下する。添加剤のブレンドが不十分であると、ブレンドからダストが生成し得る。驚くべきことに、ベース添加剤混合物に固体の高融点金属シリケート、シリカおよび他の圧縮助剤を添加することによって、圧縮された添加剤ペレットの破砕性が大幅に低減するということが見出された。
【0060】
本発明は、さらに圧縮助剤として高融点または非溶融の非移動性固体を使用して、圧縮された添加剤ブレンドを製造するための無溶剤圧縮プロセスにも関する。これらの固体にはシリケートが含まれ、圧縮プロセス中に溶融することはない。無担体(即ち、ポリマーが存在しない)添加剤ブレンドを調製した後、ポリマー添加剤(もしくは添加剤ブレンド)の圧縮された混合物を押出機もしくは他の混合装置へ供給し、ダイに通してカットして、プラスチック・ペレットを製造する。混合中に、ブレンド温度が一部の添加剤の溶融温度を超えるように、1もしくはそれ以上の添加剤は溶融される。場合によっては、押出の間に、いずれの添加剤もポリマー・メルト・マトリックスの中で溶融しないこともあり得る。混合ステップは、ツインスクリューもしくはシングルスクリュー押出機の中で典型的に行なわれ、それによって添加剤の分散および処理の容易さが向上する。このことによって、押出機の中、例えば押出機スクリューとダイ壁との間で、もしくは混錬ブロックを含む混合セクションまたは他の混合デバイスにおいて、添加剤の効率的な混合が行われる。
【0061】
圧縮プロセスでは、(フェノール系およびホスファイト酸化防止剤、並びに金属シリケートタイプもしくは他の圧縮助剤から成ってもよい)添加剤ブレンドは、圧縮ミルに供給され、ダイを通されてペレットが製造される。
圧縮中に、ポリマー添加剤は圧縮(compression)力および剪断力に付され、それによって、ペレットへ圧縮される際であっても、粒子の摩耗が生じ得る。
【0062】
この圧縮プロセスの第1段階は、添加剤をペレットミルへ供給することである。個々の添加剤はあらかじめ混合され、次いで上述のペレットミルへ供給されたり、または、それらは独立して計量されたりし得る。予備ブレンディングは成分を計量し、それらを一緒に混合することによって行うことができる。ブレンディングは、ハンドミキシング、タンブル・ブレンディング、リボン・ブレンディングおよび高負荷ミキシングを含む、従来技術において知られるいずれかの手段によって行うことができるが、これらに限定されるものではない。添加剤を独立して計量することは、容積分析的にもしくはロス-イン-ウェイトフイーダーによって、従来技術において知られるいずれかの手段によって行うことができる。
【0063】
その後、添加剤または添加剤ブレンドはペレットミルに供給される。ペレットミルは、従来技術において知られるいずれかのタイプのものであってよい。そのようなタイプのミルの製造業者には、米国特許第4,080,134号に記載されているCalifornia Pellet Mill (CPM)(Crawfordsville、インディアナ州)、Kahl and Munch (ドイツ)、およびBliss Industries (Ponca City、オクラホマ州)等が含まれる。ペレットミルは、添加剤ブレンドを、(a)回転する円筒状ダイおよび固定ローラに(例えばCPM、Munchのミル)、または(b)固定ダイおよび回転ローラに(例えばKahlミル)通すことによってペレットを製造する。ローラとダイとの間および材料とダイとの間の剪断および圧縮は、顆粒状もしくは粉体状添加剤がペレットへ圧縮される際にそれらに摩砕を引き起こす場合がある。形成されたストランドペレットは、顆粒状もしくは粉体状添加剤の粒子よりもかなり大きい。本発明の圧縮プロセスは、添加剤と圧縮助剤のブレンディング、低減した破砕性の提供、即ち、圧縮された添加剤ブレンドペレットの摩砕性に対する耐性の向上の提供に関する。
【0064】
低融点(典型的には、示差走査熱量測定もしくはDSCによって測定して、90℃未満の)添加剤混合物の圧縮中において、処理中、即ちミル内でメルトを生じさせる間に、問題が生じ得る。そのような望ましくない状況においては、ミルを停止もしくはシャットダウンさせ、その後添加剤を除去し、そして装置を清掃する必要がある。溶融現象は、ダイを適切に選択することによって緩和することができる。一般に、低L/D(長さの直径に対する比)ダイは、メルトの生成を低減する。本発明のシリケートもしくは他の結合助剤を、低融点ベース添加剤混合物に10〜25重量%の濃度で添加すると、圧縮チャンバー内におけるメルト現象は著しく低減され、それによってプロセスの運転効率が向上し得る。15〜20重量%の本発明のシリケートもしくは他の圧縮助剤をベース添加剤混合物に添加すると、ミル内における溶融現象が最小限に抑制される。
【0065】
本発明は、さらにポリマー樹脂を製造する方法にも関する。第1段階は、ベースポリマーを加熱して溶融ポリマー流れを形成することである。次に、上述した添加剤ブレンドを溶融ポリマー流れに加えて、添加剤が添加されたポリマー流れを形成する。最後に、処理したポリマー流れを冷却および硬化させて、ポリマー樹脂を形成する。好ましい態様では、添加剤流れはポリマー担体なしで添加することができる。
【実施例】
【0066】
以下に記載する実施例における添加剤の圧縮は、実験室モデル・カリフォルニア・ペレットミル(CPM (California Pellet Mill)) ペレタイザーにおいて実施した。この方法では、回転するダイに添加剤の混合物を通し、それによって添加剤をロッド状のストランドへ圧縮化および緻密化し、これがより小さなペレットのピースにカットされる。
【0067】
破砕性は、製造されたペレットを機械式のシーブ振とうし、スチールボール・ベアリングがスクリーン内に入れられた時にペレットをふるい分けすることによる、上述のペレットの粒子寸法分布試験を行って測定した。後の場合では、ボールの衝撃によって摩砕効果が生じ、それによってペレットの粒子寸法が小さくなり、微粉が生成した。ペレットの高い摩砕性によって高い破砕性が示されるが、これは望ましくない効果である。シーブ振とうの間に、大きなボールベアリングと小さなボールベアリングとの組合せが衝撃に用いられた。シーブは、0.265メッシュから200メッシュまでの開口度の範囲で積み重ねる。大きなボールは、0.25〜1インチの直径を有し得る。小さなボールは、1/16〜1/2の直径を有し得る。シーブは、典型的に、5〜15分間、振とうさせた。
【0068】
圧縮されたペレットの摩砕性もしくは破砕性試験については、摩砕されたペレットのシーブ試験結果を、最初のもしくは摩砕試験に付していないペレットのものと比較した。シーブは、最も粗いメッシュ寸法(最も大きな開口度)のものを頂部に配し、以下、順次より細かい開口度のものを下側に配し、シーブのスタックの底部にパンを配して積み重ねた。シーブのシーケンスは、0.265メッシュをトップとして、下方へ4、8、14、18、120、200メッシュを配し、パンを底部とした。100グラムのペレットサンプルを積み重ねたシーブの頂部に入れた。シーブスタックを機械的シーブ振盪機にかけて5分間振とうさせた。摩砕試験については、以下のようにして、ボールベアリングをシーブに配置した:4メッシュのシーブに、7と5/8インチの直径および20と1/4インチの直径のベアリング;8メッシュのシーブに、3と5/8インチの直径および10と1/4インチの直径のベアリング;14メッシュのシーブに、10と1/4インチの直径のベアリング;および18メッシュのシーブに、5と1/4インチの直径のベアリング。これらのベアリングを用いて振とうした後、さきの処理を行った。
【0069】
ペレットの摩砕性の効果の特徴づけに、2つのパラメーターを使用した。それらは、ペレットの摩砕パフォーマンスの手段に関係がある。典型的な粒度分布曲線から、初期ペレットの50パーセンタイルメジアン粒径をPS0として報告し、摩耗後のペレットについてはPS1として報告する。アトリション・インデックス(もしくは破砕性インデックス)は、百分率で表して、(PS1/PS0)×100として定義される。摩砕性がまったく無い場合には、PS1=PS0、従って、摩砕性インデックスは100%である。摩砕性が増大すると、摩砕されたペレットの平均粒度は低下し、PS1も小さくなる。これによって、摩砕インデックスが低下する。摩砕性インデックスのより高い値は、より良好な摩砕性パフォーマンス、即ち、ボールベアリングによるミリングの後での粒径の低下がより少ないことを示す。
【0070】
破砕性パフォーマンスのもう1つの目安、即ち、磨耗試験の後で14メッシュのスクリーン上に保持される粒子量の変化の百分率がここで報告される。この数値が小さい場合(より小さな変化を意味し)、ペレットのより少ない摩砕性またはより良好な摩砕性パフォーマンスが示される。このパラメーターは、14メッシュ摩砕性もしくは破砕性と称される。シーブ振とう試験中に、14メッシュのスクリーンが7段のスクリーンのスタックの中央に配置されたことに注意されたい。
【0071】
実施例における実験で使用された添加剤について説明する。Evernox(登録商標)10(Everspring Chemical)は、ヒンダードフェノール系の主要な酸化防止剤(AO)であって、処理および長期加熱老化安定のために使用する。これは、約110℃〜約125℃の範囲の溶融温度を有する。エルカミド(Erucamide)は、ポリマーフィルム中でスリップ剤として使用される脂肪アミドである。これは、約80〜85℃溶融温度を有する。GMS-52は、52%のα-モノステアレート含量を有するグリセリルモノステアレート(GMS)である。これは、ポリマー中で、帯電防止剤、潤滑剤および離型剤として使用される。これは、約50℃の溶融温度を有する。安息香酸ナトリウムは、晶析速度を向上させ、ポリプロピレン(PP)のようなポリマーの成形サイクル時間を短くするために使用される異種成核剤である。安息香酸ナトリウムは、高融点(300℃以上)の添加剤であって、従来のポリマー押出プロセスにおいては未溶融を保つ。
【0072】
次の固体(即ち、圧縮条件下での非溶融)圧縮助剤は、以下の実施例において記載する実験で使用しており、各添加剤は5重量%のレベルで使用した。珪灰石(Wollastonite) Nyad(登録商標)5000は、Nyco Minerals (Calgary, Alberta, カナダ)から入手した。これは2.2ミクロンのメジアン粒径のケイ酸カルシウムである。
【0073】
Minbloc(登録商標)HC-400(Unimin、New Canaan、コネチカット)は、2.8ミクロンのメジアン粒径のナトリウムカリウムアルミノシリケートである。
【0074】
Kaopolite(登録商標)SF(Imerys, Paris, フランス)は、0.7ミクロンのメジアン粒径の無水アルミノシリケートである。Kaopolite(登録商標)1147(Imerys)は、1.6ミクロンのメジアン粒径の無水アルミノシリケートである。
【0075】
Sylobloc(登録商標)45(Grace Davison, Columbia、メリーランド)は、約3〜4ミクロンの平均粒径の合成無定形シリカである。これはクエン酸コーティングを有する。
【0076】
Silton(登録商標)JC30(Mizusawa Chemical, Tokyo、日本)は、約3ミクロンの平均粒径の、ナトリウムカルシウムアルミノシリケートである。Silton(登録商標)JC50(Mizusawa Chemical)は、約5ミクロンの平均粒径のナトリウムカルシウムアルミノシリケートである。
【0077】
Suzorite雲母400-HK(Kings Mountain Minerals / Zemex Industrial Minerals, Atlanta、ジョージア)は、15ミクロンの平均粒径のカリウムマグネシウムアルミノシリケートである。それは金雲母型の雲母である。
【0078】
雲母C-4000は、Zemex Industrial Minerals (Kings Mountain Mining, Kings Mountain、ノースカロライナ)からの白雲母であって、平均粒径17ミクロン、アスペクト比6および、1グラム当たり6.3平方メートルのBET表面積を有する
【0079】
酸化亜鉛AZO77HSA(U.S. Zinc, Houston, テキサス)は、0.1ミクロンの平均粒径を有し、French processによって製造された。
【0080】
使用する硫酸バリウムには、Hitox(Corpus Christi、テキサス)からのBartex(登録商標)65が指定された。
【0081】
ハイドロタルサイトDHT-4V(Kisuma / Kyowa Chemical, Tokyo、日本)は、マグネシウムアルミニウムヒドロキシ炭酸塩水和物であって、約0.4の平均粒径を有する。
これは、植物由来のステアレートコーティングを有する。
【0082】
3つの等級のタルクを使用した。いずれもRio Tinto Minerals (Greenwood Village Colorado, 以前のLuzenac, Melbourne、オーストラリア))から入手。Cimpact(登録商標)610は、3.2ミクロンのメジアン粒径を有するパウダーである。Cimpact(登録商標)550Cは、3.6ミクロンのジアン一次粒子寸法から圧縮化されたタルクである。Cimpact(登録商標)710Cは、1.8ミクロンのメジアン粒径を有する圧縮化されたタルクである。
【0083】
Sipernat(登録商標)44MS(Evonik, 以前のDegussa, Essen, ドイツ)は、約3.5ミクロンの平均粒径のナトリウムアルミニウムシリケートである。
【0084】
Cloisite(登録商標)15AおよびCloisite(登録商標)Na+は、Southern Clay Products (Gonzales, テキサス)からのナノクレイである。いずれのクレイについても、90重量%が13ミクロンのスクリーンを通過する。Cloisite(登録商標)15 Aは、アルキル第四級アンモニウムベントナイトである。これは第4級アンモニウム塩によって変性された天然のモンモリロナイトである。有機変性剤は、塩化物アニオンを有するジメチルジ水素化獣脂第四級アンモニウムである。Cloisite(登録商標)Na+は、未変性のモンモリロナイトもしくは水和アルミニウムシリケートである。
【0085】
Laponite(登録商標)B(Southern Clay Products)は、合成層状マグネシウムナトリウムリチウムフルオロシリケートであって、典型的に55%のSiO2、27%のMgO、1.4%のLi2O、3.8%のNa2Oおよび5.6%のFを有する。Laponite Sは、合成層状マグネシウムナトリウムリチウムフルオロシリケートであって、典型的に51%のSiO2、25%のMgO、6%のNa2O、1.3%のLi2O、3.3%のP2O5および5.0%のFを有する。
【0086】
比較例として、以下の工程を用いて、純粋なまたは100%の添加剤ブレンドを調製した。添加剤ブレンドE0(組成については下記の表1を参照)は、個々の添加剤を計量し、その後、Prodex Henschel (Kassel、ドイツ)の強力ミキサーの中でそれらを混合することによって調製した。Evernox(登録商標)10(Everspring Chemical)は、エルカミド(Crodamide ER)、GMS-52(Caravan, Lenexa、カンザスからのPationic(R) 1052)、および安息香酸ナトリウム20M(Tulstar、Tulsa、オクラホマ)と、ドライブレンドした。その後、この添加剤ブレンド(ポリマー無し)は、laboratory model California Pellet Millに供給され、ペレットへ処理された。CPM圧縮機は、長さ1インチおよび直径3/16インチのダイ、即ち長さ/直径比(L/D)5.3のダイを用い、521RPM(毎分回転数)の速度、約316ポンド/時間の流量および約60%の電動機負荷にて運転した。外部加熱もしくは冷却は使用しなかった。ペレット化したストランドはナイフブレードによってカットした後、バケットに集めた。ペレットと粉体の混合物は、6メッシュスクリーンを通して篩かけして、パウダーはリサイクルした。安定した圧縮条件下では、良好なストランドが形成された。得られたペレットは、ペレット表面に粉あるいはダストを示した。(DSCによる)ペレットのピーク溶融温度は、10℃/分の加熱速度にて、63.0℃であった。
【0087】
初期粉末混合物の未処理のかさ密度は、53.2g/100ccであった。下記の表1は、得られたペレットについての結果を示している。摩砕性インデックスは11.2%であり、ペレットの14メッシュ摩砕性は89%と測定され、この比較例のペレットの摩砕性が高レベルであることが示された。
【0088】
実施例1〜23では、上述した比較例について記載したものと同じ添加剤混合物のベース処方を使用したが、5重量%の圧縮助剤を添加した。結果を、下記の表に示す。計量した圧縮助剤を、ヘンシェルインテンシブミキサー内で既に処理した4種の添加剤の混合物に加えて、得られた5種の添加剤ブレンドをプラスチックバッグに手で詰めた。それから、最終ブレンドを、上述した比較例と同様の操作手順にてCPMペレット化装置内で圧縮した。実施例1〜23では、未処理の添加剤粉末混合物は53g/100ccのかさ密度を有していた。下記の表1は、摩砕性試験を含めて、実施例1〜7に記載した圧縮添加剤混合物の処方およびペレット特性を示している。
【表1】


(実施例1)
【0089】
実施例1では、5重量%の珪灰石(ウォラストナイト)Nyad(登録商標)5000の粉を使用した。摩砕性インデックスは14.8%であり、14メッシュ摩砕性は74%で、対照試料(比較例)と対比して向上したことが示された。より低い14メッシュ摩砕性値がより望ましい。それは摩砕されていないペレットと対比して、摩砕されたペレットの変化がより小さいことを示す。得られたペレットは、滑らかな外側表面を有することが観察された。
(実施例2)
【0090】
実施例1と同じ粉末添加剤混合物のベース処方を使用したが、圧縮助剤としては5重量%のMinbloc(登録商標)HC400粉末を用いた。実施例1と同じ操作を用いて、5種の添加剤混合物を乾燥タンブルした後、CPM装置内で処理した。摩砕性インデックスは16.4%であり、14メッシュ摩砕性は68%であった。得られたペレットは、滑らかな外側表面を有することが観察された。
(実施例3)
【0091】
実施例1と同じ粉末添加剤混合物のベース処方を使用したが、圧縮助剤としては5重量%のKaopolite(登録商標)SF粉を用いた。実施例1と同じ操作を用いて、5種の添加剤混合物を乾燥タンブルした後、CPM装置内で処理した。摩耗インデックスは13.4%であり、14メッシュ摩砕性は80%であった。得られたペレットは、滑らかな外側表面を有することが観察された。
(実施例4)
【0092】
実施例1と同じ粉末添加剤混合物のベース処方を使用したが、圧縮助剤としては5重量%のKaopolite(登録商標)1147パウダーを用いた。実施例1と同じ操作を用いて、5種の添加剤混合物を乾燥タンブルした後、CPM装置内で処理した。得られたペレットは、滑らかな外側表面を有することが観察された。摩砕性インデックスは19.1%であり、ペレットの14メッシュ摩砕性は60%であった。
(実施例5)
【0093】
実施例1と同じ粉末添加剤混合物のベース処方を使用したが、圧縮助剤としては5重量%のSylobloc(登録商標)45パウダーを用いた。実施例1と同じ操作を用いて、5種の添加剤混合物を乾燥タンブルした後、CPM装置内で処理した。得られたペレットは、滑らかな外側表面を有することが観察された。摩砕性インデックスは16.2%であり、ペレットの14メッシュ摩砕性は66%であった。
(実施例6)
【0094】
比較例と同じ粉末添加剤混合物のベース処方を使用したが、5重量%のSilton(R)JC30パウダーを更に用いた。実施例1と同じ操作を用いて、5種の添加剤混合物を乾燥タンブルした後、CPM装置内で処理した。得られたペレットは、滑らかな外側表面を有することが観察された。摩砕性インデックスは18.7%であり、ペレットの14メッシュ摩砕性は55%として測定された。
ペレット化されたストランドは滑らかな表面外観を有していた。
(実施例7)
【0095】
比較例と同じ粉末添加剤混合物のベース処方を使用したが、5重量%の金雲母Suzorite 400-HKパウダーを更に用いた。比較例と同じ操作を用いて、5種の添加剤混合物を乾燥タンブルした後、CPM装置内で処理した。得られたペレットは、滑らかな外側表面を有することが観察された。ペレットの摩砕性インデックスは20.7%であり、14メッシュ摩砕性は53%として測定された。
【0096】
下記の表2は、実施例8〜14について、摩砕性試験を含めて、圧縮添加剤混合物の処方およびペレット特性を示している。
【表2】


(実施例8)
【0097】
比較例と同じ粉末添加剤混合物のベース処方を使用したが、5重量%の金雲母Suzorite 400-HKパウダーを更に用いた(異なるサンプル)。比較例と同じ操作を用いて、5種の添加剤を含むこの混合物を乾燥タンブルした後、CPM装置内で処理した。得られたペレットは、滑らかな外側表面を有することが観察された。摩砕性インデックスは、比較例についての10.7%と比較して、20.0%として測定された。ペレットの14メッシュ摩砕性は53%として測定された。両パラメーターは、比較例(または対照、即ち圧縮助剤を含まない例)を上回る向上を示している。
(実施例9)
【0098】
比較例と同じ粉末添加剤混合物のベース処方を使用したが、5重量%の白雲母C-4000パウダーを更に用いた。比較例と同じ操作を用いて、5種の添加剤を含むこの混合物を乾燥タンブルした後、CPM装置内で処理した。得られたペレットは、滑らかな外側表面を有することが観察された。摩砕性インデックスは20.2%として測定された。ペレットの14メッシュ摩砕性は54%であった。両パラメーターは、摩砕性パフォーマンスまたは破砕性について、比較例(対照)を上回る向上を示している。
(実施例10〜14)
【0099】
処方および試験結果は上記の表2に示している。Silton(R)JC50、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよび二酸化チタンは、摩砕性パフォーマンスが比較例を上回るように向上させた。DHT-4VおよびCloisite(登録商標)Na+は、摩砕性パフォーマンスについて、比較例と対比して、ぎりぎりのもしくはわずかな向上を示した。
【0100】
以下の表3は、摩砕の前後における粒子寸法(PS)を含めて、圧縮されたペレットの処方およびペレットの特性を示している。
【表3】


(実施例15〜23)
【0101】
次の実施例および比較例(E00)では、異なるダイ、すなわち長さ1.25インチおよび直径3/16インチ(L/D比6.73)のダイを使用し、他の操作および加工条件は実施例2と同じとした。下記の比較例E00では、添加剤処方は、上記表1の比較例と同じとした。実施例24では、実施例2と同じ添加剤処方、即ち、5重量%のMinbloc(登録商標)HC400圧縮助剤パウダーを使用した。実施例2と同じ操作を用いて、5種の添加剤の混合物を乾燥タンブルした後、CPM装置内で処理した。比較例E00については、摩砕性インデックスは38.8%であって、14メッシュ摩砕性は38.9%であった。実施例24については、摩砕性インデックスは72.4%であって、14メッシュ摩砕性は20.2%であった。実施例24についての両パラメーターは、比較例を上回る向上を示している。
【0102】
以下の表4は、異なるダイを使用して、摩砕の前後における粒子寸法(PS)を含めて、圧縮されたペレットの処方およびペレットの特性を示している。
【表4】

【0103】
摩砕性インデックスは、添加剤混合物全体の中のシリケートまたは他の圧縮助剤の濃度を最適化させることによって;ベース添加剤混合物の種類および比率を変えることによって;異なるダイを使用することによって、等で更に増大させる(即ち、向上させる)ことができる。シリケートを含む他の無機物は、摩砕性インデックスをさらに増加させることもできる。そのような技術を使用すると、80〜90%またはそれ以上の摩砕性インデックスを達成できる可能性もある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースポリマーの脆さを低減させるための添加剤ブレンドであって、
(a)ベース添加剤混合物;および
(b)金属シリケート、モンモリロナイト・ナノ粘土、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤であって、一種以上の圧縮助剤は、圧縮ミルの環境で液体に溶融しない圧縮助剤
を含んでなる添加剤ブレンド。
【請求項2】
ベース添加剤混合物が、一種以上のフェノール系酸化防止剤、加工安定剤、酸性中和剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、スリップ剤、粘着防止剤、成核剤、潤滑剤、離型剤、難燃剤またはそれらの混合物を含んでなる請求項1に記載の添加剤ブレンド。
【請求項3】
ベース添加剤混合物は一種以上のフェノール系酸化防止剤を含んでなり、そして、フェノール系酸化防止剤は立体障害を有するフェノール性の主要な酸化防止剤である請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項4】
ベース添加剤混合物が一種以上の加工安定剤を含んでなり、加工安定剤がホスファイト、ホスホナイトまたはそれらの混合物である請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項5】
ベース添加剤混合物が一種以上の酸性中和剤を含んでなり、酸性中和剤が金属ステアレート、マグネシウム・アルミニウム・ヒドロキシ基を含む炭酸塩水和物、酸化亜鉛またはそれらの混合物である請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項6】
ベース添加剤混合物が一種以上の紫外線安定剤を含んでなり、紫外線安定剤が、立体障害を有するアミン光安定剤である請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項7】
ベース添加剤混合物が一種以上の紫外線吸収剤を含んでなり、紫外線吸収剤がトリアジン、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾエートまたはそれらの混合物である請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項8】
ベース添加剤混合物が一種以上の帯電防止剤を含んでなり、帯電防止剤はグリセリル・モノステアレート(「GMS」)、エトキシル化アミンまたはそれらの混合物である請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項9】
ベース添加剤混合物が一種以上の金属不活性化剤を含んでなり、そして金属不活性化剤がプロピオノヒドラジドを含んでなる請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項10】
ベース添加剤混合物が一種以上のスリップ剤を含んでなり、スリップ剤がエルカミド、オレアミド、ベヘンアミド、エルシルエルカミドまたはそれらの混合物である請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項11】
ベース添加剤混合物は一種以上の粘着防止剤を含んでなり、粘着防止剤は合成シリカ、天然シリカ、ナトリウム・カルシウム・アルミノシリケートまたはそれらの混合物である請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項12】
ベース添加剤混合物が成核剤を含んでなり、成核剤が安息香酸ナトリウム、ソルビトール・アセタール、ナトリウム芳香族のホスフェート、ナトリウム・アジピン酸塩またはそれらの混合物である請求項2に記載の添加剤ブレンド。
【請求項13】
一種以上の圧縮助剤が金属シリケートであり、金属シリケートは、カリウム・マグネシウム・アルミノシリケート、ナトリウム・カルシウム・アルミノシリケート、無水アルミニウムシリケート、ナトリウム・カリウム・アルミノシリケート、カルシウムシリケート、水和マグネシウムシリケート、ナトリウムアルミノシリケート、合成マグネシウム・ナトリウム・リチウム・フルオロシリケートである、合成のマグネシウム・ナトリウム・リチウム・リン酸化フルオロシリケートまたはそれらの混合物である請求項1に記載の添加剤ブレンド。
【請求項14】
金属シリケートがカリウム・マグネシウム・アルミノシリケートであり、カリウム・マグネシウム・アルミノシリケートが金雲母、白雲母またはそれらの混合物である請求項13に記載の添加剤ブレンド。
【請求項15】
金属シリケートが金雲母または白雲母であり、金雲母または白雲母は、添加剤ブレンドの約15〜約20重量%である請求項13に記載の添加剤ブレンド。
【請求項16】
一種以上の圧縮助剤がモンモリロナイト粘土であり、そして、モンモリロナイト粘土が第4級アンモニウム塩によって変性されている請求項1に記載の添加剤ブレンド。
【請求項17】
一種以上の圧縮助剤が二酸化チタンであり、二酸化チタンが金属ステアレートで被覆されている請求項1に記載の添加剤ブレンド。
【請求項18】
一種以上の圧縮助剤がカリウム・マグネシウム・アルミノシリケートおよび二酸化チタンである、カリウム・マグネシウム・アルミノシリケートが金雲母、白雲母またはその混合物である請求項1に記載の添加剤ブレンド。
【請求項19】
一種以上の圧縮助剤が合成非晶質シリカである請求項1に記載の添加剤ブレンド。
【請求項20】
ベース添加剤混合物が、約90℃未満の溶融温度を有する請求項1に記載の添加剤ブレンド。
【請求項21】
ポリマー樹脂を製造する方法であって、
溶融ポリマーストリームを出すためにベースポリマーを加熱すること;
添加剤添加されたポリマーストリームを製造するために、請求項1に記載の添加剤ブレンドを溶融ポリマー流に加えること;
添加剤添加されたポリマー流を冷却し硬化させて、ポリマー樹脂を得る
ことを含んでなる製造方法。
【請求項22】
添加剤ブレンドにはポリマー担体がない請求項19に記載の方法。
【請求項23】
ベースポリマーがそのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン―α―オレフィン共重合体、ポリブテン―1、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコール共重合体、ブタジエンスチレン共重合体ならびにそれらの混合物および共重合体である請求項19に記載の方法。
【請求項24】
低減した脆さを有する、ベースポリマーに添加するための添加剤ブレンドであって、
(a) 立体障害を有するフェノールの主要な酸化防止剤;
(b) エルカミド;
(c)グリセリル・モノステアレート;
(d) 安息香酸ナトリウム;
および
(e)金雲母、白雲母、二酸化チタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤。
【請求項25】
一種以上の圧縮助剤が金雲母であり、金雲母が添加剤ブレンドの約0.5〜約20重量%である請求項22に記載の添加剤ブレンド。
【請求項26】
一種以上の圧縮助剤が白雲母であり、白雲母が添加剤ブレンドの約0.5%〜約20重量%である請求項22に記載の添加剤ブレンド。
【請求項27】
一種以上の圧縮助剤が、添加剤ブレンドの約0.5%〜約10重量%の酸化チタンと、添加剤ブレンドの約0.5%〜約10重量%の金雲母、白雲母またはその混合物との混合物である請求項22に記載の添加剤ブレンド。

【公表番号】特表2012−512274(P2012−512274A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540863(P2011−540863)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/067315
【国際公開番号】WO2010/068666
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511141928)インジェニア・ポリマーズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Ingenia Polymers, Inc.
【Fターム(参考)】