説明

ポリマ材料をガス抜きするためのベント式押出し機ならびにベント式押出し機を使用してポリマ、溶剤および/またはモノマから成るシロップをガス抜きするための方法

本発明は、ポリマ材料をガス抜きするためのベント式押出し機(1)であって、少なくとも1つの押出し機シリンダ(2)と、回転可能に駆動される、該押出し機シリンダ(2)内に支承された少なくとも1つの押出し機スクリュ(3)と、少なくとも1つの材料装入部と、少なくとも1つの押出し物取出し部と、少なくとも1つのガス抜きゾーン(9)とが設けられている形式のものに関する。当該ベント式押出し機(1)は特に、ガス抜きゾーン(9)で生じたガスの少なくとも一部のためのガス流出部が、ポリマ材料の搬送方向に関して材料装入部の上流側に設けられていることによりすぐれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ポリマ材料をガス抜きするためのベント式押出し機(Entgasungsextruder)であって、少なくとも1つの駆動装置と、少なくとも1つの押出し機シリンダと、回転可能に駆動される、該押出し機シリンダ内に支承された少なくとも1つの押出し機スクリュと、少なくとも1つの材料装入部と、少なくとも1つの押出し物取出し部と、少なくとも1つのガス抜きゾーンと、少なくとも1つのガス取出し部とが設けられている形式のものに関する。
【0002】
さらに本発明は、ベント式押出し機を使用してポリマ、溶剤および/またはモノマ(単量体)から成るシロップをガス抜きするための方法に関する。
【0003】
背景技術
重合プロセスにおいて、重合はしばしば溶剤中で実施される。この場合、溶剤は第1にモノマ溶液自体であり、かつ/または不活性溶剤であってもよい。ポリマを得るためには、残留モノマまたは溶剤が、たとえば蒸発によって分離除去されなければならない。このようなガス抜きは通常、ベント式押出し機において行われる。また、特に原料プラスチックから残留モノマを除去したい場合には、熱可塑性のプラスチックを製造するためにもベント式押出し機が使用される。
【0004】
溶剤および/またはモノマの、蒸発させたい質量含量に応じて、ベント式押出し機の第1の使用領域では、極めて大きな蒸気容積流が導入されて、大型の熱交換器内で凝縮されなければならない。
【0005】
公知のベント式押出し機は通常、ガス抜きしたい材料流が押出し機スクリュの駆動装置側で供給され、ガス抜きされた押出し物がスクリュ先端部へ向かって搬送されるように形成されている。この場合、押出し機内での増圧後に通常、材料装入部の下流側の経路の一部において、材料の放圧が行われる。この放圧時には、材料のガス抜きが大気圧において、または真空の補助下に行われる。このためには、通常、ベント式押出し機においてスクリュ螺条が1個所で深く切削されているので、この個所では圧力が真空レベルまたは大気圧レベルにまで低下し、蒸気やガスを吸い出すことができる。次いで、このいわゆるガス抜きゾーンの背後では、材料が再び圧縮され、新しい圧力が形成される。
【0006】
冒頭で述べた形式の単軸スクリュ型のベント式押出し機は、たとえば欧州特許出願公開第0490359号明細書に記載されている。このベント式押出し機は、前で説明した形式で形成されていて、熱可塑性のプラスチックの製造時に残留モノマを原料プラスチックから除去するために働く。このためには、溶融液に共留剤(Schleppmittel)が混合される。この場合、溶融液は押出し機のガス抜き範囲において、できるだけ強力な気泡形成下にガス抜きされる。まず、溶融液圧力は、使用された共留剤の固有蒸発圧よりも上にある値にまで高められる。この値が達成されると、共留剤と溶融液とは液相の形で容易に互いに混合されて、引き続き著しい気泡形成下に膨張され得る。
【0007】
しかし、上記欧州特許出願公開第0490359号明細書に基づき公知のベント式押出し機は、比較的高い溶剤含量または比較的高いモノマ含量を有するシロップをガス抜きするためには適していない。
【0008】
ガス抜き出力を向上させるために、押出し機には、装入個所に対して下流側に設置されたガス抜きゾーンからスクリュ先端部にまで、一貫して増大されたシリンダ直径およびスクリュ直径が備えられる。このような構成は、たとえば欧州特許出願公開第0102400号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第3026842号明細書に記載されている。シリンダ直径増大により、ガス速度を低下させることができる。しかし、この押出し機は下流側でガス抜きゾーンの背後において直径が過剰寸法設定されている。それゆえに、高いモノマ含量および/または高い溶剤含量を有するポリマシロップのガス抜きのためには、第1のガス抜きゾーンを、ガスが材料装入部の上流側で導出され、ポリマが下流側で搬送されるように形成する方が好都合となる。このような実施態様は、たとえば欧州特許出願公開第0015457号明細書に開示されている。ガスならびにモノマ蒸気および溶剤蒸気が材料装入部と変速機との間で導出されるので、変速機の方向におけるガス流出に対する押出し機シリンダとスクリュ軸部との間のシールのために高められた手間がかけられなければならない。
【0009】
変速機に対するシール問題を解決するためには、滑りリングパッキンの他に変速機の手前の空間を不活性ガスで掃気することも提案されている。このような実施態様は、特開2003−348300号公報に記載されている。しかし、この解決手段の提案には、大きなモノマ流および/または大きな溶剤流の場合に高い不活性ガス流が必要となるという欠点がある。これによって、この実施態様は高い運転コストおよび高い投資コストを招く。なぜならば、不活性ガスがモノマガスおよび/または溶剤ガス中で、これらのガスの凝縮時の熱伝達を減少させるからである。これによって、大きな熱交換面が必要とされる。
【0010】
課題
したがって、本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた形式のベント式押出し機を改良して、溶剤およびモノマの比較的高い含量を有するシロップ流において溶剤およびモノマを蒸発によってできるだけ効率良くポリマから分離することができ、これにより溶剤および/またはモノマの小さな残量しか有しないポリマを得ることのできるようなベント式押出し機を提供することである。明細書中、用語を簡単にする目的で、以下において「溶剤」は「モノマ」をも包含するものとする。
【0011】
特に、高い溶剤含量を有する高い通過量の場合には、ポリマがガス流と一緒に連行されてしまい、モノマも溶剤あるいはポリマも、変速機に到達しなくなることが阻止されることが望ましい。
【0012】
解決手段
上記課題は、まずポリマ材料をガス抜きするためのベント式押出し機であって、少なくとも1つの駆動装置と、少なくとも1つの押出し機シリンダと、回転可能に駆動される、該押出し機シリンダ内に支承された少なくとも1つの押出し機スクリュと、少なくとも1つの材料装入部と、少なくとも1つの押出し物取出し部と、少なくとも1つのガス抜きゾーンと、少なくとも1つのガス取出し部とが設けられている形式のものにおいて、駆動装置が、押出し機スクリュの、ポリマの搬送方向に関して下流側に設置された端部の範囲に設けられていることを特徴とする、ポリマ材料をガス抜きするためのベント式押出し機により解決される。このような構成には、ガス抜きゾーンで生じたガスの主量をポリマ材料の搬送方向とは逆向きの方向で導出することが可能となるという利点がある。これにより、モノマおよび溶剤に比べて高い粘度を有するポリマ材料に対してのみ駆動装置をシールすることが可能となる。さらに、駆動装置のシール部は使用される溶剤に対して耐性を有していなくても済むようになる。
【0013】
本発明によるベント式押出し機の特に有利な構成では、ガス抜きゾーンで生じたガスの少なくとも一部のためのガス流出部が、ポリマ材料の搬送方向に関して材料装入部の上流側に設けられているので、ガスはスクリュ先端部の範囲においてポリマ流に対する向流の形で導出され得る。
【0014】
ポリマ材料中に場合によってはまだ含まれているモノマおよび/または溶剤量は下流側で1つまたは複数のガス抜きゾーンにおいて引き続きガス抜きされ得る。
【0015】
言い換えれば、本発明の構成では、これまで公知先行技術においてそうであったものとは異なり、ガス流はポリマの搬送方向とは逆の方向で上流側にスクリュ先端部の方向へ案内されるわけである。ガス流出はスクリュ先端部において端面側および/または半径方向および/または押出し機シリンダに対して接線方向で行われ得る。ポリマは蒸発とは逆向きの方向でガス抜きゾーンから搬出される。これにより、比較的高い通過量においてポリマ、モノマおよび/または溶剤の特に有効な分離が保証されている。
【0016】
本発明によるベント式押出し機の有利な変化形では、前記ガス流出部に凝縮室が直接に(つまりたとえば直接にフランジ締結されて)後置されている。凝縮を直接に押出し機シリンダのガス流出部のところで行うことにより、蒸気を導出するための大容積の導管を不要にすることができる。また、場合によっては加熱されている管路を介してガスを凝縮装置に供給することも可能である。
【0017】
前記ガス流出部が、スクリュ先端部の範囲で、押出し機シリンダの、上流側に設置された端部に設けられていると有利である。押出し機シリンダは、たとえば上流側の端面側において開いていてよいので、スクリュ自由端部によって、押出し機に取り付けられたユニットの取外しなしに凝縮室を通じて押出し機スクリュを押出し機から引き出すことが可能となる。
【0018】
凝縮室内に流入したガスを凝縮させるために、ベント式押出し機の特に有利な変化形では、凝縮室内に流入したガスを凝縮させるための液体が凝縮室内へ噴霧供給またはノズル供給されるようになっている。噴霧供給された液体を用いた凝縮は、大きな熱交換器を不要にすることを可能にする。このような構成により、高い含量の溶剤および/またはモノマを有するシロップ流をも、小さなスペースで凝縮させることができる。ガス流によって偶然に凝縮室内に流入したポリマは、ポリマと混合可能である凝縮液の選択によって自動的に溶解されかつ搬出され得る。もちろん、付加的にまたは単独に、凝縮室内に流入したガスを、凝縮室に接続されている1つの熱交換器内で凝縮させることも可能である。この変化形では、凝縮物(凝縮液)を凝縮室内に戻し、かつ/または他の手段により導出することができる。
【0019】
本発明によるベント式押出し機のさらに別の特に有利な構成では、ガス抜きゾーンが、材料装入部の範囲に設けられている。このことは、ガス流をポリマ流とは逆向きの方向で搬送したい場合に特に有利である。圧力および温度下に、もしくは加圧および加熱下に装入された材料は直接に材料装入部の範囲で押出し機内へ膨張させられるので、ガス抜きゾーンでは溶剤またはモノマの蒸発が行われる。このときに、大きな蒸気容積流が発生し、この蒸気容積流はできるだけポリマ連行なしに凝縮室の方向へ導出される。
【0020】
ガス抜きゾーンが、押出し機シリンダの、拡張された内径を有する区分により形成されると有利である。材料装入はこの場合、拡張された押出し機シリンダの範囲において、または拡張部の縁部のうちの1つで、または拡張部が材料装入個所の上流側に位置する場合には拡張部外で行われる。公知先行技術においては、押出し機スクリュの螺条深さを変えるか、または押出し機スクリュのコア直径を減少させることが知られているが、しかしこのことはあまり有利ではない。なぜならば、特に後者の変化形、つまり押出し機スクリュのコア直径を減少させることは、押出し機スクリュ横断面の弱化を招くからである。
【0021】
上で述べたスクリュ改良のための2つの手段は、当然ながら付加的に使用することができる。
【0022】
押出し機シリンダにおける直径拡張には特に次のような利点がある。すなわち、蒸気のガス速度が減じられ、このことは同じくポリマの連行を減少させる。
【0023】
本発明の有利な構成では、ガス抜きゾーンにおける押出し機シリンダの内径が、ガス抜きゾーン外における押出し機シリンダの内径の1.01倍〜3倍、有利には1.01倍〜2倍、特に有利には1.01倍〜1.6倍である。
【0024】
シリンダの、拡大された内径を有する範囲では、内側表面において付加的にウェブが設けられていてよい。これらのウェブはポリマ溶融液の搬送を下流側で助成する。これらのウェブは螺旋状に形成されており、これによりデッドボリューム(無駄容積)が回避される。さらにウェブは、均一でかつ安定したガス抜きをもたらす。
【0025】
本発明のさらに別の有利な構成では、ガス抜きゾーンの長さが、ガス抜きゾーン外の押出し機シリンダの内径の0.5倍〜10倍、有利には1倍〜7倍、特に有利には1倍〜5倍である。
【0026】
材料装入部が、押出し機シリンダの周面において、ガス抜きゾーンにおける、直径方向で背中合わせに位置する2つの個所に設けられていると特に有利である。押出し機シリンダの全周にわたってシロップ流を分配することにより、ガス抜きゾーンからの蒸気および部分ガス抜きされたポリマの一層良好な搬送が保証されている。押出し機容積の均一な利用はガス抜きゾーンにおけるダスト形成傾向を減少させる。
【0027】
少なくとも1つの装入弁が設けられていると有利である。この装入弁は制御可能であると有利である。この装入弁によって材料装入部の容積流が制御可能である。理想的には、直径方向で互いに向かい合って位置して配置された2つの装入弁が設けられており、両装入弁によって材料装入部の容積流が制御可能である。このことには、調量流が、プロセス中の圧力特性の影響を受けることなく別個に、弁の通流特性線内の所望の値に調節可能となるという利点がある。
【0028】
本発明によるベント式押出し機のさらに別の特に有利な構成では、押出し機スクリュが、軸方向で、閉じられた蒸気通路によって貫通されており、該蒸気通路が、蒸発可能な液体の部分充填物を有している。この蒸気通路は、押出し機スクリュの長手方向における溶融液の温度勾配を補償するために働く。溶融液温度はシロップ装入部の範囲においては溶剤およびモノマの蒸発によって極めて低く形成され、それに対して取出し部の直前では押出し機スクリュの摩擦熱に基づいて極めて高く形成される。過度に高い溶融液温度は、製品の損傷をもたらし、それに対して極めて低い溶融液温度は押出し機内での溶融液の搬送を損なう。
【0029】
蒸気通路内では、通路内に含まれている液体が、材料装入部の範囲において凝縮し、自由になった凝縮熱は、この範囲における溶融液の過度に強力な冷却を阻止する。それに対して、押出し機スクリュのその他の範囲においては、蒸気通路内に含まれている液体が蒸発し、こうして過剰加熱を阻止する。
【0030】
蒸気通路は、たとえば約20℃の周辺温度で測定して20容量%〜80容量%、有利には30容量%〜60容量%の充填度を有していてよい。
【0031】
本発明の根底を成す課題はさらに、ベント式押出し機を使用して、ポリマ、溶剤および/またはモノマから成るシロップをガス抜きするための方法において、ガス抜き時に生じたガス流を、押出し機内部でポリマ流とは逆向きの方向に案内することを特徴とする、ベント式押出し機を使用して、ポリマ、溶剤および/またはモノマから成るシロップをガス抜きするための方法により解決される。
【0032】
シロップのガス抜きの大部分は、押出し機内への装入部の範囲、つまり第1のガス抜きゾーンにおいて行われると有利である。
【0033】
この第1のガス抜きゾーンの範囲では、モノマおよび/または溶剤の全量に関して>50重量%のモノマおよび/または溶剤がガス抜きされる。
【0034】
本発明による方法の有利な変化形では、発生したガスが、直接に押出し機のガス流出部において容器内で凝縮される。
【0035】
凝縮は噴霧凝縮(Spruehkondensation)の形で液体の噴霧供給下または流下供給(Einrieselung)下に、有利にはポリマが溶解可能となる液体の流下供給下または噴霧供給下に実施され得る。しかし、凝縮室に接続された熱交換器内での凝縮も考えられる。
【0036】
別のガス抜きゾーンおよび別のガス抜き流出部が、下流側にも上流側にも設けられていてよく、これらのガス抜きゾーンおよびガス抜き流出部はポリマの残分ガス抜きのために働く。
【0037】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ベント式押出し機ならびに該ベント式押出し機に接続された凝縮室を、駆動装置なしに部分的に断面して示す概略図である。
【図2】本発明によるベント式押出し機を、変速機およびモータと共に、ただし接続された凝縮室なしに示す概略図である。
【0039】
図1には、符号1で示したベント式押出し機の一部のみが図示されている。ベント式押出し機1は押出し機シリンダ2と、この押出し機シリンダ2内に回転可能に支承された押出し機スクリュ3とを有している。押出し機スクリュ3は駆動装置4によって、中間接続された変速機5を介して回転させられる。駆動装置4としては、たとえば電動モータが設けられていてよい。
【0040】
既に前で述べたように、駆動装置4および変速機5は図1には図示されていないが、図面で見て右側に位置している。ポリマ/モノマ混合物は分岐した供給管路6を介して、押出し機シリンダ2の直径方向で互いに向かい合って位置する2つの個所において装入弁7を介して押出し機シリンダ2に供給される。
【0041】
本発明によるベント式押出し機1は、いわゆる単軸スクリュ型押出し機として形成されている。しかし、ベント式押出し機1は二軸スクリュ型押出し機として形成されていてもよい。
【0042】
ベント式押出し機1は装入弁7の範囲において横断面拡張されている。すなわち、ベント式押出し機1の内径はこの範囲外におけるベント式押出し機1の標準の内径よりも約1.01〜3倍だけ大きく形成されている。装入弁7の範囲外において、ベント式押出し機2の内径は押出し機スクリュ3のスクリュ螺条の外径にほぼ相当している(場合によっては存在する公差を考慮して)。押出し機シリンダ2の大内径の範囲はガス抜きゾーンを規定している。モノマ/ポリマ混合物および/または溶剤/ポリマ混合物は供給管路6を介して、加圧および加熱下に押出し機シリンダ2内に装入される。ガス抜きゾーン9では、著しい減圧が行われるので、モノマおよび/または溶剤はポリマから脱気することができる。さらに、この範囲では、材料の流速が減じられる。ポリマは図面で見て右側へ向かって駆動装置の方向に搬送される。これに関連して使用される用語「下流側」および「上流側」は、常にポリマの搬送方向を基準としている。
【0043】
本発明の構成では、ガス抜きゾーン9で生じたガスもしくはガス抜きゾーン9で生じた蒸気が、図面で見て左側へ向かって、つまり装入弁7の上流側に搬送される。
【0044】
押出し機シリンダ2の、上流側に設置された端部10は、端面側で開いていて、凝縮室11に開口している。この凝縮室11内には、ガス抜きゾーン9に生じたガスが流入する。
【0045】
符号12で液体の噴霧部が示されている。この噴霧部12を介して、凝縮室11内のガス/蒸気は冷却され、かつ凝縮される。使用される液体は有利にはポリマと混合可能であるので、場合によっては存在するポリマ連行物が液体中に溶解される。択一的にまたは付加的に、凝縮のための別の手段、たとえば熱交換器/凝縮器を使用することができる。
【0046】
図2に図示されているように、駆動装置4は装入弁7の下流側に配置されている。すなわち、ポリマは押出し機先端部/スクリュ先端部から駆動装置側の方向へ搬送される。
【0047】
図2からさらに判るように、本発明によるベント式押出し機1の、装入個所6とは反対の側の端部は、接線方向もしくは半径方向の押出し物取出し部13を有している。
【0048】
図1から判るように、押出し機スクリュは軸方向で、閉じられた蒸気通路15によって貫通されている。この蒸気通路15は蒸発可能な液体の部分充填物を有している。溶剤またはモノマの蒸発は押出し機の調量範囲においてポリマの著しい冷却を招く。蒸気通路15内の液体が凝縮すると、この蒸気通路15を用いて、著しく冷却されたポリマを短い区間に沿って再び加熱することができる。蒸気通路15は装入範囲における押出し機シリンダ2の加熱および押出し機スクリュ3の摩擦熱と共に、シロップの装入範囲における(部分)ガス抜きされた溶融液のための付加的な熱源を成している。これによって、このような構成により、押出し機における通過量を最大限に増大させることができる。押出し物取出し部13の範囲では、押出し機スクリュ3内部での蒸発が、溶融液もしくは押出し物を冷却する。
【0049】
過剰摩擦熱を導出することができる。このことは製品に穏やかに作用する。
【0050】
本発明によるベント式押出し機1では、駆動装置4および変速機5が、ベント式押出し機1の、ポリマの搬送方向で見て下流側に設置された端部、つまり第1の材料装入個所6とは反対の側の端部に設けられている。
【0051】
押出し機スクリュ3は第1のねじ山区分17を有しており、この第1のねじ山区分17では、押出し機シリンダ2内で第1の材料装入部6から押出し物取出し部13へ向かう方向に引きずり流(Schleppstroemung)が形成されるように螺条プロファイルが向けられている。
【0052】
ベント式押出し機1の押出し物取出し部13は押出し機スクリュ3の長手方向軸線に関して半径方向または接線方向に向けられているので、ポリマは変速機5および駆動装置4の上流側で取り出される。
【0053】
押出し機スクリュ3はさらに、第2のねじ山区分18を有している。この第2のねじ山区分18では、第1のねじ山区分17の搬送方向とは逆方向の戻し搬送が得られるように螺条プロファイルが向けられている。したがって、第2のねじ山区分18はポリマの主搬送流に対する押出し機の駆動装置側におけるシールのために働く。
【0054】
符号19で、ポリマの主搬送流から分岐された搬送流が示されている。この搬送流19はバイパス14と第2の材料装入部20とを介して、押出し機シリンダ2の第2のねじ山区分18の範囲に装入される。バイパス14は押出し機シリンダ2の内部または外部に延びていてよい。主搬送流から分岐されたポリマを介して、押出し機スクリュ3の第2のねじ山区分18の範囲では、新しいポリマを用いた不断の逆洗(Rueckspuelung)が生ぜしめられる。この範囲では、ポリマが変速機5の方向から押出し物取出し部13の方向へ搬送される。したがって、この範囲では、押出し物取出し部13の下流側にポリマ残分が滞留し得なくなる。
【0055】
図面から判るように、押出し物取出し部13はほぼ、第1のねじ山区分17の、下流側に設置された端部に配置されている。
【0056】
本発明によるベント式押出し機は公知の形式で加熱されると有利である。
【符号の説明】
【0057】
1 ベント式押出し機
2 押出し機シリンダ
3 押出し機スクリュ
4 駆動装置
5 変速機
6 供給管路
7 装入弁
8 凝縮物流出部
9 ガス抜きゾーン
10 ベント式押出し機の、上流側に設置された端部
11 凝縮室
12 噴霧部
13 押出し物取出し部
14 バイパス
15 蒸気通路
16 ガス流出部
17 第1のねじ山区分
18 第2のねじ山区分
19 分離されたポリマ流
20 第2の材料装入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマ材料をガス抜きするためのベント式押出し機(1)であって、少なくとも1つの駆動装置(4)と、少なくとも1つの押出し機シリンダ(2)と、回転可能に駆動される、該押出し機シリンダ(2)内に支承された少なくとも1つの押出し機スクリュ(3)と、少なくとも1つの材料装入部と、少なくとも1つの押出し物取出し部(13)と、少なくとも1つのガス抜きゾーン(9)と、少なくとも1つのガス取出し部とが設けられている形式のものにおいて、駆動装置が、押出し機スクリュ(3)の、ポリマの搬送方向に関して下流側に設置された端部の範囲に設けられていることを特徴とする、ポリマ材料をガス抜きするためのベント式押出し機。
【請求項2】
ガス抜きゾーン(9)で生じたガスの少なくとも一部のためのガス流出部が、ポリマ材料の搬送方向に関して材料装入部の上流側に設けられている、請求項1記載のベント式押出し機。
【請求項3】
前記ガス流出部に凝縮室(11)が直接に後置されている、請求項1または2記載のベント式押出し機。
【請求項4】
前記ガス流出部が、押出し機シリンダ(2)の、上流側に設置された端部に設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項5】
前記凝縮室(11)内に、液体の噴霧またはノズル供給のための手段が設けられている、請求項2から4までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項6】
ガス抜きゾーン(9)が、材料装入部の範囲に設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項7】
ガス抜きゾーン(9)が、押出し機シリンダ(2)の、拡張された内径を有する区分により形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項8】
ガス抜きゾーン(9)における押出し機シリンダ(2)の内径が、ガス抜きゾーン(9)外における押出し機シリンダ(2)の内径の1.01倍〜3倍である、請求項1から7までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項9】
ガス抜きゾーン(9)における押出し機シリンダ(2)の内径が、ガス抜きゾーン(9)外における押出し機シリンダ(2)の内径の有利には1.01倍〜2倍である、請求項1から8までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項10】
ガス抜きゾーン(9)における押出し機シリンダ(2)の内径が、ガス抜きゾーン(9)外における押出し機シリンダ(2)の内径の有利には1.01倍〜1.6倍である、請求項1から9までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項11】
押出し機シリンダ(2)内にガス抜きゾーンの範囲で、ポリマ溶融液の搬送を助成する取付け物が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項12】
前記取付け物として螺旋状のウェブが設けられている、請求項11記載のベント式押出し機。
【請求項13】
ガス抜きゾーン(9)の長さが、ガス抜きゾーン(9)外の押出し機シリンダ(2)の内径の0.5倍〜10倍である、請求項1から12までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項14】
ガス抜きゾーン(9)の長さが、ガス抜きゾーン(9)外の押出し機シリンダ(2)の内径の1倍〜7倍である、請求項1から13までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項15】
ガス抜きゾーン(9)の長さが、ガス抜きゾーン(9)外の押出し機シリンダ(2)の内径の有利には1倍〜5倍である、請求項1から14までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項16】
材料装入部が、ガス抜きゾーン(9)における、押出し機シリンダ(2)の周面に位置する少なくとも1つの個所に設けられている、請求項1から15までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項17】
少なくとも1つの装入弁(7)が設けられている、請求項1から16までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項18】
少なくとも1つの装入弁(7)が設けられており、該装入弁(7)によって材料装入部の容積流が制御可能である、請求項1から17までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項19】
押出し機スクリュ(3)が、軸方向で、閉じられた蒸気通路(15)によって貫通されており、該蒸気通路(15)が、蒸発可能な液体の部分充填物を有している、請求項1から18までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項20】
蒸発可能な液体が水である、請求項1から19までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項21】
蒸気通路(15)の、蒸発可能な液体または水による充填度が、約20℃の周辺温度で測定して20容量%〜80容量%である、請求項1から20までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項22】
蒸気通路(15)の、蒸発可能な液体または水による充填度が、約20℃の周辺温度で測定して30容量%〜60容量%である、請求項1から21までのいずれか1項記載のベント式押出し機。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか1項記載のベント式押出し機を使用して、ポリマ、溶剤および/またはモノマから成るシロップをガス抜きするための方法において、ガス抜き時に生じたガス流を、押出し機内部でポリマ流とは逆向きの方向に案内することを特徴とする、ベント式押出し機を使用して、ポリマ、溶剤および/またはモノマから成るシロップをガス抜きするための方法。
【請求項24】
ガス抜き時に生じたガスを、直接に押出し機のガス流出部において凝縮室内で凝縮させる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
凝縮を、液体の噴霧またはノズル供給下に吹付け凝縮として実施する、請求項23記載の方法。
【請求項26】
凝縮を熱交換器によって実施する、請求項23記載の方法。
【請求項27】
シロップのガス抜きを、押出し機内への装入部の範囲で行う、請求項23から26までのいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
第1のガス抜きステップにおけるシロップのガス抜き度が、モノマおよび/または溶剤の全量に関して>50重量%である、請求項23から27までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−538878(P2010−538878A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525287(P2010−525287)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060574
【国際公開番号】WO2009/040189
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】