説明

ポンプ装置

【課題】ポンプハウジングの複雑化を抑制することができるポンプ装置を提供すること。
【解決手段】ポンプハウジング3内に回転自在に設けられた第1歯車(インナギヤ22)と、第1歯車と噛み合いながら回転する第2歯車(アウタギヤ21)と、第1歯車の回転軸方向に延びるハウジング側駆動軸挿通孔(貫通孔34)と、作動液を収容するリザーバタンク5と、ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられた第1軸受6及び第2軸受7によって回転自在に軸支される第1歯車を回転駆動する駆動軸4と、ポンプハウジング3に設けられ、第2軸受7よりも他方側端部側においてハウジング側駆動軸挿通孔(第2軸受部360)と連続しかつ駆動軸4の外周側を包囲するように形成されたシール室37と、第1歯車を貫通するように第1歯車に設けられ、第1軸受6及び第2軸受7の軸方向端面と対向するように配置された連通路(連通溝223)と、を有することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転体によりポンプ室を形成し、ポンプハウジングに回転自在に支持される駆動軸により回転体を回転駆動することでポンプ室から作動液の吐出を行うポンプ装置において、ポンプ室から駆動軸の摺動隙間に沿って漏洩する作動液を排出するため、排出用の通路をポンプハウジングに設けたものが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−71077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のポンプ装置は、排出用の通路を設けることでポンプハウジングの構造が複雑化するおそれがあった。本発明の目的とするところは、ポンプハウジングの複雑化を抑制することができるポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のポンプ装置は、好ましくは、駆動軸の摺動隙間と連通する連通路を回転体または駆動軸に設けた。
【発明の効果】
【0006】
よって、上記連通路と駆動軸の摺動隙間とにより排出用の通路を構成することで、ポンプハウジングの複雑化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のポンプ装置が適用されるパワーステアリング装置のシステム構成図である。
【図2】実施例1のポンプ装置を回転軸方向から見た図である。
【図3】実施例1のポンプ装置の回転軸を通る断面図である(図2及び図4のI-I視断面)。
【図4】実施例1のポンプ装置を回転軸直方向で切った断面図である(図3のII-II視断面)。
【図5】実施例2のポンプ装置を回転軸直方向で切った断面図である。
【図6】実施例3のポンプ装置の回転軸を通る断面図である
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のポンプ装置を実現する形態を、図面に基づき説明する。
【0009】
[実施例1]
実施例1のポンプ装置は、自動車のパワーステアリング装置1に適用され、その作動液(作動油)の液圧源として用いられる。図1は、パワーステアリング装置1のシステムの概略構成を示す。運転者がステアリングホイール(操舵輪)100を操舵すると、シャフト(操舵軸)101を介してピニオン102が回転駆動され、所謂ラック&ピニオン機構(操舵機構)によりラック軸103が軸方向に移動し、ラック軸103の両端に連結された転舵輪を操舵する。パワーステアリング装置1は所謂電動油圧式であり、パワーシリンダ(パワーステアリング機構)10と、パワーシリンダ10に液圧を供給する液圧装置11と、電動モータ12と、トルクセンサ13と、コントロールユニット14とを有し、モータ12により駆動されるポンプ2の液圧を用いて、運転者の操舵力に応じた操舵アシスト力を発生する。以下、説明のため、図1の矢印方向(ラック軸103の軸方向)にX軸を設ける。
【0010】
パワーシリンダ10は、ラック軸103と一体にX軸方向に移動可能なピストン10cと、ピストン10cにより画成された第1シリンダ室10a及び第2シリンダ室10b(圧力室)とを有しており、油圧によりピストン10cが移動することでラック軸103を左右に移動させる。液圧装置11は、ポンプ2と、各種バルブを備えた液圧回路とを有しており、ポンプ2が発生した油圧を液圧回路を介してパワーシリンダ10の第1,第2シリンダ室10a,10bに対して選択的に供給する。モータ12は、例えば3相ブラシレスDCモータ等の電動機であり、車載電源(バッテリ)からの電力により回転駆動される。トルクセンサ13はシャフト2に設けられており、運転者の操舵トルクを検出する。コントロールユニット14は、トルクセンサ13からトルク信号を入力されると共に、モータ12に駆動信号を出力してポンプ2の作動(パワーシリンダ10への油圧供給)を制御することで、運転者の操舵トルクに応じてラック軸103の移動をアシストする電子制御ユニットECUである。
【0011】
液圧回路は、第1,第2シリンダ室10a,10bに対応した2系統の油路、すなわち第1シリンダ室10aに接続された第1油路111と、第2シリンダ室10bに接続された第2油路112とを有している。ポンプ2は、正回転・逆回転の双方向に回転可能な可逆式ポンプであり、ポンプ2の回転方向に応じてそれぞれ吸入口又は吐出口として機能する一対のポート(第1ポート23a,第2ポート23b)を有している。第1油路111は第1ポート23aに接続され、第2油路112は第2ポート23bに接続されている。
【0012】
第1、第2油路111,112においてポンプ2とパワーシリンダ10との間にはバイパスバルブ15が設けられている。バイパスバルブ15は、第1油路111に接続されると共にドレン油路116を介してリザーバタンク5に接続される第1バルブ15aと、第2油路112に接続されると共にドレン油路116を介してリザーバタンク5に接続される第2バルブ15bと、第1,第2バルブ15a,15bの間に設けられ、油路115を介して第1、第2油路111,112に接続される第3バルブ15cとを有している。第1、第2バルブ15a,15bは、それぞれ第1、第2油路111,112内の油圧によってX軸方向にストローク(移動)する弁体(メインピストン)を有している。第3バルブ15cは、油路115を介して第1,第2油路111,112の差圧を受け、X軸方向にストロークする弁体(パイロットピストン)を有している。第3バルブ15cの弁体は、X軸方向にストロークして第1、第2バルブ15a,15bの弁体の一方に当接すると、これを押圧してストロークさせるように設けられている。アシストトルクがゼロの状態(ノーマル状態)では、第1バルブ15aの弁体はスプリング150によってX軸正方向に付勢され、第1油路111(油路115)とドレン油路116(リザーバタンク5)との連通を遮断する。第2バルブ15bの弁体はスプリング150によりx軸負方向に付勢され、第2油路112(油路115)とドレン油路116(リザーバタンク5)との連通を遮断する。第1油路111が第2油路112よりも高圧の場合、第1バルブ15aはノーマル状態と同様、第1油路111とドレン油路116とを遮断する。一方、第3バルブ15cは、その弁体がX軸正方向にストロークする。第2バルブ15bは、その弁体が第3バルブ15cの弁体に押圧されてスプリング150の付勢力に抗してX軸正方向にストロークする。これにより第2バルブ15bが開弁され、第2油路112(油路115)とドレン油路116が連通状態となり、第2油路112内の作動油がリザーバタンク5に排出される。第2油路112が第1油路111よりも高圧の場合、第2バルブ15bは、ノーマル状態と同様、第2油路112とドレン油路116とを遮断する。また、第3バルブ15cの弁体が第1バルブ15aの弁体をX軸負方向に移動させるため、第1バルブ15aが開弁されて第1油路111とドレン油路116とが連通状態となり、第1油路111内の作動油がリザーバタンク5に排出される。このように、バイパスバルブ15によって非加圧側の油圧を素早くリザーバタンク5へ排出することで、加圧側回路の油圧上昇が促進され、操舵応答性が高められる。また、ドレン油路116には、第1、第2バルブ15a,15bからリザーバタンク5への流れのみを許容し、リザーバタンク5からの逆流を抑制するリリーフバルブ16が設けられている。
【0013】
第1油路111においてポンプ2とバイパスバルブ15との間には第3油路113が接続され、第3油路113はリザーバタンク5と接続する。また、第2油路112においてポンプ2とバイパスバルブ15との間には第4油路114が接続され、第4油路114はリザーバタンク5と接続する。第3、第4油路113,114にはそれぞれチェックバルブ17a,17bが設けられている。チェックバルブ17a,17bは、リザーバタンク5への作動油の逆流を抑制するとともに、第1、第2油路111,112における作動油が不足した場合にはリザーバタンク5から作動油を補給する。また、ポンプ2からリークする作動油は、油路110を介してリザーバタンク5に導入される。バイパスバルブ15とパワーシリンダ10との間で鋼管により形成される第1、第2油路111,112の配管の一部には、ゴム(又は合成樹脂)で形成された配管Rが設けられている。配管Rの膨張/収縮によって第1、第2油路111,112内の圧力の急上昇を吸収すると共に油圧脈動を低減して制御性の安定化を図ることができ、また配管のレイアウト(取り回し)性を向上させることができる。
【0014】
第1、第2油路111,112におけるバイパスバルブ15とパワーシリンダ10との間は、第1、第2連通路117,118により互いに接続されている。第1、第2連通路117,118は、接続油路119によって互いに接続されている。第1連通路117にはチェックバルブ18a,18bが設けられている。チェックバルブ18a,18bは、第1連通路117における接続油路119との接続点を挟んで両側に設けられ、第1、第2油路111,112からの作動油の流れのみを許容する。第2連通路118にも、接続油路119との接続点を挟んで両側にチェックバルブ18c,18dが設けられている。チェックバルブ18c,18dは、接続油路119から第1、第2油路111,112への流れのみを許容する。接続油路119には、(非通電時に開く)常開の電磁切換弁19が設けられている。電磁切換弁19は、(操舵アシストを行う)通常時においては通電により遮断される一方、フェイル時に開弁されてマニュアルステアを確保する構成となっている。マニュアルステアとはシステム失陥時に運転者の操舵力によって転舵を行う状態であり、電磁切換弁19を介して第1、第2シリンダ室10a,10b間を作動油が移動することで達成される。コントロールユニット14には、トルクセンサ13からのトルク信号に加え、変速機信号、イグニッションスイッチからのスイッチ信号、エンジン回転数センサからのエンジン回転数信号、及び車速センサからの車速信号等が入力され、これら各種信号に基づいて操舵アシスト力を決定し、モータ12および電磁切換弁19に対し指令信号を出力する。
【0015】
[ポンプの詳細]
ポンプ装置は、ポンプ要素としてのポンプ2と、ポンプ2を収容するハウジング部材(ポンプハウジング3)と、ポンプ2を回転駆動する駆動軸4と、作動液を収容するリザーバタンク5と、を一体の液圧ユニットHUとして有している。図2は、液圧ユニットHUの外観を示し、液圧ユニットHUの一側面をポンプ2(インナギヤ22)の回転軸Oが延びる方向から見た図である。図3は、液圧ユニットHUの内部を示し、回転軸Oを通る平面で液圧ユニットHUを切った部分断面図である。図4は、液圧ユニットHUのポンプ部分を示し、回転軸Oに直交する平面で液圧ユニットHUを切った部分断面図である(図3のII-II視断面)。なお、図3は、図2及び図4のI-I視断面に略相当する。以下、説明のため、直交座標系を設ける。回転軸Oが延びる方向にz軸を設け、リザーバタンク5が設置される側を正方向とする。z軸方向に直交する平面内でバイパスバルブ15の軸方向にx軸を設け、図4の左側を正方向とする。x軸に直交する方向にy軸を設け、図4の上側を正方向とする。液圧ユニットHUは、y軸正方向側が鉛直上方向となるように車両に設置される。
【0016】
ポンプハウジング3は、ポンプカバーとしての第1ハウジング31、ポンプボディとしての第2ハウジング32、及びカムリング33としての第3ハウジングを有する。第2ハウジング32のz軸正方向側には、第1ハウジング31を包み込むようにカバー50が取付けられ、カバー50の内周側の空間に、作動液を収容する低圧部としてのリザーバタンク5が設けられている。図2に示すように、リザーバタンク5はポンプハウジング3からy軸正方向側(鉛直方向上側)に延び広がるように設けられており、そのy軸正方向端には、作動油を外部から補充するための蓋部が設けられている。ポンプハウジング3(第2ハウジング32)のz軸負方向側にはモータ12が取付けられ、モータ12の出力軸が駆動軸4に連結される。
【0017】
図3及び図4に示すように、ポンプ2は、アウタギヤ21およびインナギヤ22を有する内接式のギヤポンプであり、ポンプハウジング3の内部に設けられたポンプ要素収容部30に収容される。アウタギヤ21は、内周側に複数(本実施例1では13個)の歯210を有する内歯歯車であり、ポンプ要素収容部30内であってカムリング33の内周側に回転自在に収装されるアウタロータである。インナギヤ22は、外周側に複数(本実施例1では12個)の歯220を有する外歯歯車であり、ポンプ要素収容部30内であってアウタギヤ21の内周側に回転自在に収装されるインナロータである。インナギヤ22のピッチはアウタギヤ21のピッチと略同じに設けられ、インナギヤ22の歯数はアウタギヤ21の歯数よりも1つ少なく設けられている。第1、第2ハウジング31,32は、カムリング33をz軸方向両側から挟持するように取付けられ、カムリング33の内周面と、第1ハウジング31のz軸負方向側面と、第2ハウジング32のz軸正方向側面とで囲まれる空間により、ポンプ要素収容部30が形成される。ポンプ要素収容部30には、外周側から内周側に向かって順に、アウタギヤ21、インナギヤ22、駆動軸4が配置されて収装される。図4に示すように、収装時にはアウタギヤ21の歯210とインナギヤ22の歯220が噛合う。
【0018】
第2ハウジング32のz軸正方向側の面には、回転軸Oよりもx軸正方向の領域に第1ポート23aが設けられ、x軸正方向の領域に第2ポート23bが設けられている。第1ポート23a及び第2ポート23bは、アウタギヤ21とインナギヤ22の間の隙間に開口するようにそれぞれ三日月状に形成されると共に、I-I直線近傍において開口を閉塞し、かつI-I直線に対し対称に設けられている。第1ハウジング31のz軸負方向側の面にも、同様形状の第1ポート23a及び第2ポート23が設けられている。アウタギヤ21はインナギヤ22に対してy軸負方向側に偏心して噛合い、この偏心により両ギヤ21,22の間の隙間にポンプ室24が形成される。y軸正方向へ向かうほど両ギヤ21,22は密に噛合い、y軸正方向端部(噛合い部)で完全に噛合ってポンプ室24は最小容積となる。また、y軸負方向へ向かうほど両ギヤ21,22は噛合を解かれ、y軸負方向端部(閉込み部)において完全に噛合を解かれてポンプ室24は最大容積となる。なお、閉込み部における両ギヤ21,22のクリアランスは、接触を回避しつつ略ゼロとなるよう設けられている。駆動軸4の回転に伴ってインナギヤ22は回転駆動され、アウタギヤ21は、インナギヤ22と噛み合いながら回転することで作動液の吸入および吐出を行う。すなわち、両ギヤ21,22が例えば反時計回りに回転されると、I-I直線(噛合い部と閉込み部を結ぶ仮想線)に対しx軸正方向側領域(第1ポート23aに対応)では回転に伴ってポンプ室24の容積が増加する吸入領域となり、x軸負方向側領域(第2ポート23bに対応)では回転に伴って容積が減少する吐出領域となる。駆動軸4が正逆回転を行うことでポンプ2は双方向ポンプとして機能する。
【0019】
カムリング33は略円環状であり、複数(6個の)ボルト孔330が周方向で略等間隔にz軸方向に貫通形成されている。カムリング33のy軸正方向側には、I-I直線を挟んで略対称位置に、隣接するボルト孔330間に、第3、第4油路113,114がz軸方向に貫通形成されている。カムリング33のy軸負方向側には、I-I直線上に、隣接するボルト孔330間に、リリーフバルブ収容孔334がz軸方向に貫通形成されている。カムリング33の外周のy軸正方向側には、I-I直線上に凹部331が設けられている。カムリング33の外周のy軸負方向側には、I-I直線を挟んで略対称位置に凹部332,333が設けられている。凹部332,333は、リリーフバルブ収容孔334とボルト孔330との間に配置されている。ピン38,39が凹部331,332にそれぞれ係合した状態で第2ハウジング32に固定されることで、カムリング33は、第2ハウジング32に対してxy平面内の移動が規制されて位置決めされる。また、ピン38,39が、第1ハウジング31の外周に設けられた凹部310等に係合することにより、第1ハウジング31が第2ハウジング32に対し位置決めされる。カムリング33は、ボルトBがボルト孔330にそれぞれ挿通された状態で第1、第2ハウジング31,32に共締めされることで、第1、第2ハウジング31,32と一体に固定される。第1ハウジング31はz軸正方向側から、第2ハウジング32はz軸負方向側から、アウタギヤ21、インナギヤ22及びカムリング33を挟持する。カムリング33のz軸正方向側面は第1ハウジング31のz軸負方向側面に当接し、カムリング33のz軸負方向側面は第2ハウジング32のz軸正方向側面に当接する。一方、アウタギヤ21とインナギヤ22のz軸方向両側面とこれらに対向する第1,第2ハウジング31,32のz軸方向側面との間には僅かな隙間が存在し、両ギヤ21,22が第1,第2ハウジング31,32に対して摺動可能に設けられている。なお、ピン38,39の係合部がカムリング33や第1ハウジング31の外周に設けられた凹部331,332, 310等であるため、第1ハウジング31やカムリング33の内部にリリーフバルブ16やボルトBを収容するための孔334,330等を設けるためのスペースを容易に確保することができる。また、凹部331〜333が周方向で孔334,330等の間に設けられ、これにより凹部331〜333と孔334,330等との間の径方向距離を短縮することが可能となるため、第1ハウジング31やカムリング33の径方向寸法の増大を抑制し、ポンプ装置の小型化を図ることができる。
【0020】
第2ハウジング32の内部には、第1,第2ポート23a,23bのそれぞれと接続する第1,第2油路111,112が設けられている。第1ハウジング31及びカムリング33の内部には、リザーバタンク5と第1,第2ポート23a,23bとを接続する第3、第4油路113,114(の一部)が設けられている。第2ハウジング32の内部には、チェックバルブ17a,17bが設けられており、第2ハウジング32のz軸正方向側面であって、z軸方向から見てカムリング33の第3、第4油路113,114とそれぞれ重なり合う位置に開口する。第2ハウジング32の内部にはバイパスバルブ15が設けられ、第1ハウジング31及び第2ハウジング32の内部には、バイパスバルブ15とリザーバタンク5とを接続するドレン油路116が設けられている。第2ハウジング32内のドレン油路116は、z軸負方向側で第1、第2バルブ15a,15bに接続し、z軸正方向側でカムリング33のリリーフバルブ収容孔334に開口する。第1ハウジング31内のドレン油路116は、z軸負方向側でリリーフバルブ収容孔334に開口し、z軸正方向側でリザーバタンク5内に開口して、その開口部がリザーバタンク5に包囲される。カムリング33のリリーフバルブ収容孔334には、リリーフバルブ16が収容される。リリーフバルブ16の弁体は、第2ハウジング32のz軸正方向側面であってドレン油路116の開口部周囲に着座可能に設置されている。この弁体を付勢するバネの一端は、第1ハウジング31のz軸負方向側面であってドレン油路116の開口部周囲に設置される。このようにカムリング33のリリーフバルブ収容孔334等をそのままリリーフバルブ16のケーシングとして用いることにより、部品点数を削減することができる。
【0021】
インナギヤ22には、その回転軸Oに沿って(回転軸Oと略同軸上に)貫通孔221が形成されている。貫通孔221の直径は駆動軸4の直径と略等しく、貫通孔221には、駆動軸4が挿通して設置される。すなわち、貫通孔221は、ポンプ装置における歯車側の駆動軸挿通孔である。貫通孔221の内周には、z軸方向(インナギヤ22の回転軸Oの方向)に延びるピン保持溝222が形成されている。ピン保持溝222は、z軸方向から見て、貫通孔221から径方向(回転軸Oから離れる方向である外径方向)に延びる凹溝であり、インナギヤ22のz軸方向両側面に開口する。一方、駆動軸4はピン40を有しており、駆動軸4には、その内部を(回転軸Oを通って)径方向に貫通するように、ピン保持孔41が形成されている。ピン40が、ピン保持孔41に設置・保持されると共に、その一端がインナギヤ22のピン保持溝222と係合することで、インナギヤ22と駆動軸4の相対回転が規制される。ピン保持孔41の直径及びピン保持溝222の幅はピン40の直径と略等しく、ピン保持孔41から突出するピン40の先端部はピン保持溝222の底部と当接するように設けられている。
【0022】
インナギヤ22には、z軸方向に延び、インナギヤ22をz軸方向に貫通する連通溝223が設けられている。連通溝223は、貫通孔221の内周に貫通孔221と連続するように形成され、z軸方向から見て、貫通孔221から径方向(外径方向)に延びる凹溝であり、インナギヤ22のz軸方向両側面に開口する。連通溝223は、回転軸Oを挟んでピン保持溝222とは反対側、すなわち貫通孔221の中心Oの周りでピン保持溝222に対して略180°の対称位置に、ピン保持溝222と略同形状(略同じ径方向寸法・周方向寸法)に形成されている。インナギヤ22において、回転軸Oの周り方向(周方向)における連通溝223の位置は、インナギヤ22の1つの歯220の歯先の周方向位置と略一致するように設けられている。
【0023】
図3に示すように、ポンプハウジング3には、z軸方向に延びてポンプハウジング3を貫通する貫通孔34が設けられている。貫通孔34は、ポンプ装置におけるハウジング側の駆動軸挿通孔であり、第1ハウジング31内(ポンプ要素収容部30に対してz軸正方向側)に設けられた第1貫通孔35と、第2ハウジング32内(ポンプ要素収容部30に対してz軸負方向側)に設けられた第2貫通孔36とを、略同軸(回転軸O)上に有している。貫通孔34内には、第1軸受6及び第2軸受7が設置される。第1,第2軸受6,7はすべり軸受(ブッシュ)であり、第1軸受6は、第1貫通孔35内(貫通孔34における第1ハウジング31側)に配置され、第1貫通孔35に圧入固定される。第2軸受7は、第2貫通孔36内(貫通孔34における第2ハウジング32側)に配置され、第2貫通孔36に圧入固定される。第1,第2軸受6,7の内周の直径は、駆動軸4(の外周)の直径よりも僅かに大きく設けられている。第1貫通孔35は、z軸正方向側へ向かって順に、第1軸受6が設置される第1軸受部350と、第1軸受部350よりも小径の連通部351と、z軸正方向側の開口部で連通部351よりも大径に設けられたフィルタ設置部352とを有している。第2貫通孔36は、z軸負方向側へ向かって順に、第2軸受7が設置される第2軸受部360と、第2軸受部360よりも大径であるシール部361とを有している。第2軸受部360とシール部361とは、テーパを介して連続する。シール部361のz軸負方向側は大径となって第2ハウジング32の外部へ開口する。
【0024】
第1ハウジング31には、第1貫通孔35のz軸正方向側端部(フィルタ設置部352)の開口部(開口端)に、オイルフィルタ8が設けられている。オイルフィルタ8は、フィルタ設置部352の(リザーバタンク5内への)開口部を覆うように設置されている。第2ハウジング32には、第2貫通孔36において第2軸受7よりもz軸負方向側(シール部361の内周側)に、シール室37が設けられている。シール室37には、シール部361の内周と駆動軸4の外周との間の隙間を塞ぐように、シール部材9が設けられている。シール室37は、第2軸受部360と連続しかつ駆動軸4の外周側を包囲するように形成されている。シール部材9は所謂オイルシールであり、シール室37を液密に封止し、ポンプ要素収容部30から第2貫通孔36内に浸み出して第2貫通孔36のz軸負方向側(モータ12の設置側)へ漏洩しようとする作動液をシールする。
【0025】
駆動軸4は、ポンプハウジング3の貫通孔34内に収装されており、その一端がモータ12に接続されると共に、インナギヤ22の貫通孔221を貫通するように設けられ、インナギヤ22を回転駆動する。駆動軸4は、第1,第2貫通孔35,36内において、第1軸受6及び第2軸受7によって回転自在に軸支される。駆動軸4(の外周面)は第1,第2軸受6,7(の内周面)に対して摺動可能に設けられており、駆動軸4と第1,第2軸受6,7の間には、摺動隙間(リーク油の流路となり得る軸受隙間)が形成されている。インナギヤ22の連通溝223は、第1軸受6及び第2軸受7のz軸方向端面(上記摺動隙間)とz軸方向で対向するように配置される。第1ハウジング31の第1貫通孔35(第1軸受部350)における駆動軸4と第1軸受6の間の摺動隙間は、z軸負方向側でインナギヤ22の連通溝223に対向して開口する。第1貫通孔35において上記摺動隙間と連通する連通部351は、そのz軸正方向側の端部(フィルタ設置部352)がリザーバタンク5内に開口して、その開口部(オイルフィルタ8)がリザーバタンク5に包囲される。すなわち、第1貫通孔35においては、第1軸受6の摺動隙間を介して、ポンプ要素収容部30とリザーバタンク5とが連通している。第2ハウジング32の第2貫通孔36(第2軸受部360)における駆動軸4と第2軸受7の間の摺動隙間は、z軸正方向側でインナギヤ22の連通溝223に対向して開口する。第2貫通孔36のシール室37は、z軸正方向側で上記摺動隙間と連通すると共に、z軸負方向側でシール部材9により液密に封止される。すなわち、第2貫通孔36においては、第2軸受7の摺動隙間を介して、ポンプ要素収容部30とシール室37とが連通している。また、第1貫通孔35と第2貫通孔36は、インナギヤ22の連通溝223を介して連通している。
【0026】
[実施例1の作用]
次に、本実施例1のポンプ装置の作用を説明する。図3の二点鎖線に示すように、ポンプ2の作動時、ポンプ室24で圧縮された高圧の作動油は、ポンプ室24から駆動軸4に沿って漏洩する。具体的には、アウタギヤ21及びインナギヤ22のz軸方向両側面と第1,第2ハウジング31,32のz軸方向側面との間の摺動隙間から、駆動軸4と第1,第2軸受6,7との間の摺動隙間へ、作動油が漏出(リーク)する。これにより第1,第2軸受6,7が潤滑される。ポンプ装置は、ポンプ2とリザーバタンク5とが一体の液圧ユニットHUとして設けられており、ポンプハウジング3を貫通して駆動軸4が収容される貫通孔34の一方側(第1軸受6が設置される第1貫通孔35)の端部(フィルタ設置部352)の開口部は、リザーバタンク5によって包囲されるように設けられている。これにより、ポンプ室24から駆動軸4に沿って上記一方側へ漏洩する作動油が、貫通孔34の開口部から効率的に(リーク経路とは別に特に排出油路を形成する必要もなく)排出される。貫通孔34の他方側(第2軸受7が設置される第2貫通孔36)の端部(シール部361)は、駆動軸4をモータ12に連結するために開口形成されている。この開口部(シール部361)にシール部材9を収容してシール室37を形成することで、ポンプ室24から駆動軸4に沿って上記他方側へ漏洩する作動油が、ポンプハウジング3から漏れ出すことを抑制する。シール室37内に貯留する作動油は、以下の構成により、リザーバタンク5に排出される。よって、シール室37内の圧力(シール部材9にかかる圧力)の上昇を抑制し、シール部材9のめくれや耐久性の低下を抑制することができる。すなわち、第1貫通孔35において駆動軸4と第1軸受6との間の摺動隙間を通って連通部351へ流れ出した作動油は、オイルフィルタ8を通って低圧のリザーバタンク5内に排出される(この排出経路を第1経路という。)。一方、第2貫通孔36において駆動軸4と第2軸受7との間の摺動隙間を通ってシール室37へ流れ込んだ作動油は、その流入量がシール室37の容積を超えて所定圧以上になると、再び上記摺動隙間を通ってポンプ要素収容部30内に戻り、連通溝223を通ってインナギヤ22のz軸正方向側(第1貫通孔35側)に移動し、その後、上記第1経路を介して、低圧のリザーバタンク5内に排出される(この排出経路を第2経路という。)。このように、第1経路(第1軸受6の摺動隙間→連通部351→リザーバタンク5)及び第2経路(第2軸受7の摺動隙間→シール室37→第2軸受7の摺動隙間→連通溝223→第1軸受6の摺動隙間→連通部351→リザーバタンク5)により、ポンプ室24から駆動軸4に沿って漏洩する作動油をリザーバタンク5に導入する油路110が形成されている。
【0027】
以下、従来技術との対比において本実施例1のポンプ装置の作用効果を説明する。従来のポンプ装置では、シール室に流入したリーク油は、ハウジング部材(ポンプハウジング)の内部にリーク経路とは別に形成された排出油路(例えば駆動軸に対し傾斜して穿設される斜め孔)を介してリザーバタンクに排出されるようになっている。しかしながら、ハウジング部材の内部にリーク経路とは別に排出用の油路を形成することは、製造上コスト高となり、また構造が複雑化してポンプ装置の大型化につながる。例えば、ハウジング部材を金属材料で形成した場合であって、排出用の油路(ドレン油路)として、ハウジング部材の内部にシール室から低圧部へ連通する斜め孔を加工した場合、この斜め孔を加工するためのコストがかかると共に、ハウジング部材の構造が複雑化するおそれがある。これに対し、本実施例1のポンプ装置は、第1,第2軸受6,7の摺動隙間同士を連通する連通路として、インナギヤ22を貫通する連通溝223を設け、この連通溝223を、第1軸受6及び第2軸受7のz軸方向端面と対向するように配置した。よって、シール室37は、上記第2経路を介して、すなわち第2軸受7の摺動隙間、連通溝223、第1軸受6の摺動隙間、及び第1貫通孔35の端部(連通部351〜フィルタ設置部352)の開口部を介して、リザーバタンク5と連通することになるため、ポンプハウジング3にシール室37の圧力を抜くためのドレン油路を別途設ける必要が無い。言換えると、インナギヤ22に連通路(連通溝223)を設けて第1,第2軸受6,7の摺動隙間(リーク経路)同士を連通させることで、第1,第2軸受6,7の摺動隙間(リーク経路)を1つのドレン油路110として構成し、シール室37内の作動油を、第1軸受6の摺動隙間(リーク経路)を介して積極的に排出することとした。したがって、ポンプハウジング3にリーク経路とは別のドレン油路(例えば第2ハウジング32内でシール室37と連通する油路や、第1ハウジング31内でリザーバタンク5と連通する油路)を設ける必要がなく、斜め孔等を加工する必要がないため、ポンプハウジング3の構造の簡素化を図ることができる。
【0028】
なお、本実施例1では、インナギヤ22を回転軸方向(z軸方向)に貫通するように連通路(連通溝223)を設けたが、要は、インナギヤ22のz軸方向両側(第1,第2軸受6,7の摺動隙間同士)を連通させることができればよいため、インナギヤ22において回転軸方向(z軸方向)に対して傾くように連通路(連通溝223)を形成してもよい。本実施例1では、z軸方向に延びるように連通路(連通溝223)を設けたため、インナギヤ22における連通路(連通溝223)の成形を容易にして、ポンプ装置の製造性をより向上することができる。また、連通路(連通溝223)の流路長を最短として、リーク油をより速やかに排出することができる。
【0029】
本実施例1では、インナギヤ22を貫通して第1,第2軸受6,7の摺動隙間同士を連通させる連通路は、インナギヤ22の貫通孔221と連続する凹溝(連通溝223)であることとしたが、上記連通路は、貫通孔221と連続せずにインナギヤ22を貫通する孔(連通孔)であってもよい。ただし、このようにインナギヤ22において上記連通孔と貫通孔221とが径方向に離間して設けられる場合、両者間の薄肉部の肉厚を十分に確保しなければ、上記連通孔の形成が困難となる。また、肉厚を十分に確保した場合には、インナギヤ22の径方向寸法が増大し、ポンプ装置の大型化を招くおそれがある。これに対し、本実施例1のポンプ装置では、連通溝223は貫通孔221と連続するように形成されるため、両者間の肉厚を確保する必要が無く、ポンプ装置の小型化を図ることができる。また、両者間に薄肉部が設けられることも無いため、例えば、焼結等によりインナギヤ22を型成型することが可能であり、ポンプ装置の製造性を向上することができる。なお、インナギヤ22における連通溝223の周方向寸法(幅)や径方向寸法(深さ)及び形状は、本実施例1のものに限られない。
【0030】
連通路(連通溝223)は、第1,第2軸受6,7の摺動隙間にz軸方向で対向するように配置される。よって、第1軸受6の摺動隙間から連通路(連通溝223)を通って第2軸受7の摺動隙間へ向かうリーク油の流路抵抗を低減し、上記第2経路を介してリーク油を速やかに排出することによって、シール室37内の圧力の上昇を抑制することができる。
【0031】
本実施例1では、第1軸受6及び第2軸受7は、ポンプハウジング3の貫通孔34(第1,第2軸受部35,36)に圧入固定され、駆動軸4との間に摺動隙間を有することとしたが、駆動軸4に圧入固定され、貫通孔34との間に摺動隙間を有するように設けてもよい。本実施例1のように、両軸受6,7を貫通孔34に圧入固定すれば、連通溝223が貫通孔221と連続して設けられている限り、第1軸受6及び第2軸受7と駆動軸4との間の摺動隙間を、z軸方向でインナギヤ22の貫通孔221(連通溝223)と対向して配置させることができる。よって、上記のように、リーク油の流路抵抗を低減して、シール部材37にかかる圧力を低減することができる。
【0032】
連通路(連通溝223)が形成される部位ではインナギヤ22の重量が低減するため、インナギヤ22の周方向の重量バランス(慣性モーメントのバランス)が崩れて、インナギヤ22(ポンプ2)の回転が不安定になるおそれがある。これに対し、本実施例1では、連通路(連通溝223)を、貫通孔221(の中心O)に対しピン保持溝222と反対側(対称位置)に設けた。よって、インナギヤ22の重心が回転軸Oに近くなるため、インナギヤ22のモーメントバランスが向上し、ポンプ2の回転を安定させることができる。また、連通路(連通溝223)の形状をピン保持溝222と略同じとしたため、インナギヤ22の重心を回転軸Oにより近づけ、回転バランスを更に向上することができる。
【0033】
連通路(連通溝223)が設けられる部分では、インナギヤ22の径方向肉厚(インナギヤ22の内周から外周までの径方向距離)が最も薄くなる。特に、インナギヤ22の外周には複数の歯220が形成されているため、連通路(連通溝223)の周方向位置が歯220の谷の部分(歯底)と一致した場合には、径方向肉厚(連通路からインナギヤ22の外周までの径方向距離)が最も減少する。これにより、インナギヤ22の強度が不足する等のおそれがある。これに対し、本実施例1では、連通路(連通溝223)が歯220の山の部分に対応して設けられている。すなわち、連通路(連通溝223)の周方向位置は、インナギヤ22の1つの歯220の歯先の周方向位置と略一致するように設けられる。よって、インナギヤ22に連通路(連通溝223)を設けた場合でも、その周方向位置を歯先と略一致させることにより、歯底と一致させた場合に比べ、最薄部位の肉厚をある程度確保し、連通路(連通溝223)による径方向厚さの減少の影響を小さくすることができる。すなわち、インナギヤ22の強度を確保しつつ、その径方向寸法の増大を抑制し、ポンプの小型化を図ることができる。なお、連通路(連通溝223)の周方向位置が歯先と厳密に一致している必要はなく、例えば歯底と歯先の中間位置よりも歯先側であれば、上記作用効果を得ることができる。また、本実施例1では、連通路(連通溝223)と同様、ピン保持溝222の周方向位置も、インナギヤ22の1つの歯220の歯先の周方向位置と略一致するように設けたため、上記と同様の作用効果を得ることができる。本実施例1では、インナギヤ22の歯数を偶数個(12個)としたため、上記のように連通路(連通溝223)をピン保持溝222と反対側(対称位置)に設けた場合でも、両者の周方向位置を共にインナギヤ22の歯先と略一致させ、上記作用効果を得ることができる。
【0034】
[実施例1の効果]
以下、実施例1のポンプ装置が奏する効果を列挙する。
(1)内部にポンプ要素収容部30を有するポンプハウジング3(第1,第2ハウジング31,32、カムリング33)と、ポンプ要素収容部30内に回転自在に設けられ、外周側に複数の歯220を有する第1歯車(インナギヤ22)と、第1歯車に設けられ、第1歯車の回転軸Oに沿って貫通するように形成された歯車側駆動軸挿通孔(貫通孔221)と、ポンプ要素収容部30内に回転自在に設けられ、第1歯車と噛み合いながら回転することで作動液の吸入及び吐出を行う第2歯車(アウタギヤ21)と、第1歯車の回転軸方向(z軸方向)に延びるようにポンプハウジング3に設けられた貫通孔であるハウジング側駆動軸挿通孔(貫通孔34)と、ハウジング側駆動軸挿通孔の一方側端部(第1貫通孔35のフィルタ設置部352)の開口部を包囲するように設けられ、作動液を収容するリザーバタンク5と、ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、ポンプ要素収容部30よりも一方側端部側(第1貫通孔35)に配置された第1軸受6と、ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、ポンプ要素収容部30よりもハウジング側駆動軸挿通孔の他方側端部側(第2貫通孔36)に配置された第2軸受7と、第1軸受6及び第2軸受7によって回転自在に軸支され、歯車側駆動軸挿通孔を貫通するように設けられ、第1歯車を回転駆動する駆動軸4と、ポンプハウジング3に設けられ、第2軸受7よりも他方側端部側(第2貫通孔36のシール部361)においてハウジング側駆動軸挿通孔(第2軸受部360)と連続しかつ駆動軸4の外周側を包囲するように形成されたシール室37と、シール室37に設けられ、ポンプ要素収容部30から他方側端部側へ漏洩する作動液をシールするシール部材9と、第1歯車を貫通するように第1歯車に設けられ、第1軸受6及び第2軸受7の軸方向端面と対向するように配置された連通路(連通溝223)と、を有する。
よって、ポンプハウジング3にシール室37の圧力を抜くための油路を別途設ける必要が無いため、ポンプハウジング3の構造の簡素化を図ることができる。
【0035】
(2)連通路(連通溝223)は、第1歯車(インナギヤ22)の回転軸方向(z軸方向)に貫通するように第1歯車に設けられる。
よって、ポンプ装置の製造性を向上することができる。
【0036】
(3)連通路は、歯車側駆動軸挿通孔(貫通孔221)と連続するように形成される連通溝223である。
よって、第1歯車(インナギヤ22)の径方向寸法の増大を抑制し、ポンプ装置の小型化を図ることができる。
【0037】
(4)第1軸受6及び第2軸受7は、ハウジング側駆動軸挿通孔(貫通孔34)に圧入固定され、駆動軸4との間に摺動隙間を有するように設けられる。
よって、連通溝223と摺動隙間を対向させることができ、リーク油の流路抵抗を低減することによって、シール部材9にかかる圧力を低減することができる。
【0038】
(5)第1歯車(インナギヤ22)は、歯車側駆動軸挿通孔(貫通孔221)から径方向に延びるピン保持溝41を有し、駆動軸4は、ピン保持溝41と係合するピン40を有し、連通路(連通溝223)は、歯車側駆動軸挿通孔に対しピン保持溝41と反対側に設けられる。
よって、第1歯車(インナギヤ22)の重心を回転軸Oに近づけ、その回転の安定性を向上することができる。
【0039】
(6)連通路(連通溝223)は、第1歯車(インナギヤ22)の1つの歯220の歯先と周方向位置(位相)が略一致するように設けられる。
よって、第1歯車(インナギヤ22)の強度を確保しつつ、その径方向寸法の増大を抑制し、ポンプ装置の小型化を図ることができる。
【0040】
[実施例2]
インナギヤ22における連通路(連通溝223)の数は、実施例1のように1つに限られない。実施例2のポンプ装置は、連通溝223の数を複数(具体的には2つ)としたものである。まず、構成を説明する。図5は、実施例2の液圧ユニットHUのポンプ部分を示し、図4と同様の部分断面図である。2つの連通溝223は、I-I直線を挟んで反対側、具体的には、貫通孔221の中心Oの周りでピン保持溝222に対して略120°等配分で点対称位置に形成されている。2つの連通溝223は、周方向で互いに略120°の距離分だけ離れ、かつピン保持溝222に対して略120°の距離分だけ離れた位置に設けられている。すなわち、各溝222,223間の周方向間隔は略等しい。また、各連通溝223の周方向位置は、インナギヤ22の1つの歯220の歯先の周方向位置と略一致するように設けられている。その他の構成は実施例1と同様であるため、対応する構成に同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
次に、作用を説明する。本実施例2では、連通溝223を2つ設けた。よって、シール室37の作動油をリザーバタンク5に導入するドレン油路110の流路断面積が実施例1の2倍となり、拡大する。したがって、ドレン油路110を流れるリーク油の流路抵抗を低減して、シール部材37にかかる圧力をより低減することができる。また、複数の溝222,223を回転軸Oの周りの点対称位置に、すなわち周方向間隔が略等しくなるように配置した。よって、インナギヤ22の重心が回転軸Oに近くなるため、インナギヤ22のモーメントバランスが向上し、ポンプ2の回転を安定させることができる。また、各連通溝223の周方向位置は、インナギヤ22の1つの歯220の歯先の周方向位置と略一致するように設けられるため、インナギヤ22の最薄部位の径方向肉厚を確保して、連通溝223による径方向厚さの減少の影響を小さくすることができる。なお、連通溝223の数は2に限らず、3以上でもよい。ピン保持溝222と連通溝223の合計数をインナギヤ22の歯数(12個)の約数とすれば、各溝222,223を点対称に配置しつつ、各溝222,223の周方向位置をインナギヤ22の歯先と略一致させることができる。他の作用効果は実施例1と同様である。
【0042】
実施例2のポンプ装置は、以下の効果を奏する。
(7)連通路(連通溝223)を複数有する。
よって、連通路の流路断面積を拡大して、シール部材37にかかる圧力をより低減することができる。
【0043】
[実施例3]
実施例1では、連通路(連通溝223)をインナギヤ22に設けたが、要は、ポンプハウジング3に新たな油路を形成することなく第1軸受6と第2軸受7の摺動隙間同士を連通させることができればよいため、駆動軸4の側に連通路を設けることとしてもよい。実施例3のポンプ装置は、連通溝223をインナギヤ22に設けると共に、駆動軸4に連通溝42を設けたものである。まず、構成を説明する。図6は、実施例3の液圧ユニットHUの内部を示し、図3と同様の部分断面図である。駆動軸4の外周には、インナギヤ22が取付けられるz軸方向位置に、z軸方向に延び、インナギヤ22のz軸負方向側(第2軸受7のz軸正方向端)とインナギヤ22のz軸正方向側(第1軸受6のz軸負方向端)とを連通する連通溝42が設けられている。連通溝42は、駆動軸4の外周から径方向(内径方向)に延びる凹溝であり、そのz軸負方向端はインナギヤ22のz軸負方向側面よりもz軸負方向側(好ましくは第2軸受7よりもz軸正方向側)に位置し、そのz軸正方向端はインナギヤ22のz軸正方向側面よりもz軸正方向側(好ましくは第1軸受6よりもz軸負方向側)に位置するように設けられている。連通溝42は、ピン保持孔41の開口部位(及びこれと径方向で対向するインナギヤ22の連通溝223)と略同じ周方向位置に形成されている。連通溝42の周方向寸法(幅)は、ピン保持孔41(及び連通溝223)と略同じに設けられている。連通溝42の径方向寸法(深さ)は、ピン保持孔41に設置されたピン40の端面と連通溝42の底面とが略同じ平面上になるように設けられている。その他の構成は実施例1と同様であるため、対応する構成に同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
次に、作用を説明する。本実施例3では、第1,第2軸受6,7の摺動隙間同士を連通する連通路として、駆動軸4に連通溝42を設けた。よって、シール室37内の作動油は、第2軸受7の摺動隙間を通って第2軸受7のz軸正方向側(インナギヤ22のz軸負方向側)に移動した後、連通溝42及び連通溝223を通ってインナギヤ22のz軸正方向側に移動し、その後、第1軸受6の摺動隙間を通ってリザーバタンク5内に排出される(第2経路)。このように、インナギヤ22の両端面を連通する連通路として、連通溝223に加え、駆動軸4に連通溝42を設けた。よって、シール室37の作動油をリザーバタンク5に導入するドレン油路110の流路断面積が実施例1よりも拡大する。したがって、ドレン油路110を流れるリーク油の流路抵抗を低減して、シール部材37にかかる圧力をより低減することができる。他の作用効果は実施例1と同様である。
【0045】
なお、連通溝42の幅や深さや形状は、本実施例3のものに限られない。また、連通溝42の周方向位置も任意であり、ピン保持孔41の開口部位やインナギヤ22の連通溝223の周方向位置と一致させなくてもよい。また、インナギヤ22の連通溝223を省略することとしてもよく、この場合、貫通孔34におけるインナギヤ22のz軸負方向側の作動油は、駆動軸4の連通溝42のみを通って、インナギヤ22のz軸正方向側へ移動することになる。また、実施例2と同様、連通溝42を複数設けることとしてもよい。また、本実施例3では、駆動軸4の外周に、駆動軸4の回転軸方向(z軸方向)に延びる連通溝42を設けたが、要は、インナギヤ22のz軸方向両側(第1,第2軸受6,7の摺動隙間同士)を連通させることができればよいため、駆動軸4において回転軸方向(z軸方向)に対して傾くように連通溝42を形成してもよいし、駆動軸4の内部を斜めに貫通してインナギヤ22のz軸方向両側に開口する連通孔を形成することとしてもよい。本実施例3では、駆動軸4の外周にz軸方向に延びるように連通溝42を設けたため、駆動軸4における連通溝42の成形を容易にして、ポンプ装置の製造性をより向上することができる。
【0046】
実施例3のポンプ装置は、以下の効果を奏する。
(8)内部にポンプ要素収容部30を有するポンプハウジング3(第1,第2ハウジング31,32、カムリング33)と、ポンプ要素収容部30内に回転自在に設けられ、外周側に複数の歯220を有する第1歯車(インナギヤ22)と、第1歯車に設けられ、第1歯車の回転軸Oに沿って貫通するように形成された歯車側駆動軸挿通孔(貫通孔221)と、ポンプ要素収容部30内に回転自在に設けられ、第1歯車と噛み合いながら回転することで作動液の吸入及び吐出を行う第2歯車(アウタギヤ21)と、第1歯車の回転軸方向(z軸方向)に延びるようにポンプハウジング3に設けられた貫通孔であるハウジング側駆動軸挿通孔(貫通孔34)と、ハウジング側駆動軸挿通孔の一方側端部(第1貫通孔35のフィルタ設置部352)の開口部を包囲するように設けられ、作動液を収容するリザーバタンク5と、ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、ポンプ要素収容部30よりも一方側端部側(第1貫通孔35)に配置された第1軸受6と、ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、ポンプ要素収容部30よりもハウジング側駆動軸挿通孔の他方側端部側(第2貫通孔36)に配置された第2軸受7と、第1軸受6及び第2軸受7によって回転自在に軸支され、歯車側駆動軸挿通孔を貫通するように設けられ、第1歯車を回転駆動する駆動軸4と、ポンプハウジング3に設けられ、第2軸受7よりも他方側端部側(第2貫通孔36のシール部361)においてハウジング側駆動軸挿通孔(第2軸受部360)と連続しかつ駆動軸4の外周側を包囲するように形成されたシール室37と、シール室37に設けられ、ポンプ要素収容部30から他方側端部側へ漏洩する作動液をシールするシール部材9と、駆動軸4に設けられ、第1軸受6の軸方向端(z軸負方向端)と第2軸受7の軸方向端(z軸正方向端)とを連通する連通路(連通溝42)と、を有する。
よって、ポンプハウジング3にシール室37の圧力を抜くための油路を別途設ける必要が無いため、ポンプハウジング3の構造の簡素化を図ることができる。
【0047】
(9)第1歯車(インナギヤ22)を貫通するように第1歯車に設けられ、第1軸受6の軸方向端(z軸負方向端)と第2軸受7の軸方向端(z軸正方向端)とを連通する連通路(連通溝223)を有する。
よって、連通路の流路断面積を拡大して、シール部材37にかかる圧力をより低減することができる。
【0048】
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例1〜3に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。例えば、実施例では、ピン40を用いて駆動軸4と第1歯車(インナギヤ22)とを結合したが、結合の仕方はこれに限られず、要は、第1歯車(インナギヤ22)を跨いでその軸方向両側間で駆動軸4の摺動隙間同士が連通することが制限されるような結合の仕方であればよいため、例えば、圧力嵌めやセレーションにより第1歯車(インナギヤ22)を駆動軸4に締結することとしてもよい。実施例では、第1,第2軸受6,7を、駆動軸4及びポンプハウジング3から独立した別部材としたが、駆動軸4又はポンプハウジング3と一体の部材としてもよい。また、第1,第2軸受6,7はすべり軸受であることとしたが、ニードル軸受等の転がり軸受であってもよい。
【0049】
実施例では、ポンプ2は内接ギヤ式、すなわち駆動軸4により回転駆動される第1歯車(インナギヤ22)に噛合う第2歯車(アウタギヤ21)が内歯歯車であるタイプとしたが、第2歯車が外歯歯車である外接ギヤ式であってもよい。この場合も、実施例と同様の構成により同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
また、実施例のポンプ2をギヤ式ではなくベーン式としてもよい。このポンプ装置は、第1歯車(インナギヤ22)の代わりに、ベーンが進退自在に収容される複数のスリットを外周側に有するロータを備え、このロータ及び/又は(ロータを回転駆動する)駆動軸4に、連通路(連通溝223や連通溝42)が設けられることになる。この場合も、実施例と同様の構成により同様の作用効果を得ることができる。なお、ロータにおけるスリットと連通溝223との周方向位置(位相)の関係については、実施例のインナギヤ22における歯220の歯底と連通溝223との周方向位置(位相)の関係と同様のことが言える。このポンプ装置は、例えば以下の効果を奏する。
【0051】
(10)内部にポンプ要素収容部30を有するポンプハウジング3(第1,第2ハウジング31,32、カムリング33)と、ポンプ要素収容部30内に回転自在に設けられ、外周側に複数のスリットを有するロータと、ロータに設けられ、ロータの回転軸Oに沿って貫通するように形成されたロータ側駆動軸挿通孔(貫通孔221)と、スリットに進退自在に設けられ、ポンプ要素収容部30及びロータと共に複数のポンプ室を形成し、ロータが回転することで作動液の吸入および吐出を行う複数のベーンと、ロータの回転軸方向(z軸方向)に延びるようにポンプハウジング3に設けられた貫通孔であるハウジング側駆動軸挿通孔(貫通孔34)と、ハウジング側駆動軸挿通孔の一方側端部(第1貫通孔35のフィルタ設置部352)の開口部を包囲するように設けられ、作動液を収容するリザーバタンク5と、ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、ポンプ要素収容部30よりも一方側端部側(第1貫通孔35)に配置された第1軸受6と、ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、ポンプ要素収容部30よりもハウジング側駆動軸挿通孔の他方側端部側(第2貫通孔36)に配置された第2軸受7と、第1軸受6及び第2軸受7によって回転自在に軸支され、ロータ側駆動軸挿通孔を貫通するように設けられ、ロータを回転駆動する駆動軸4と、ポンプハウジング3に設けられ、第2軸受7よりも他方側端部側(第2貫通孔36のシール部361)においてハウジング側駆動軸挿通孔(第2軸受部360)と連続しかつ駆動軸4の外周側を包囲するように形成されたシール室37と、シール室37に設けられ、ポンプ要素収容部30から他方側端部側へ漏洩する作動液をシールするシール部材9と、ロータを貫通するようにロータに設けられ、第1軸受6及び第2軸受7の軸方向端面と対向するように配置された連通路(連通溝223)と、を有する。
よって、ポンプハウジング3にシール室37の圧力を抜くための油路を別途設ける必要が無いため、ポンプハウジング3の構造の簡素化を図ることができる。
【0052】
(11)連通路(連通溝223)は、ロータの回転軸方向(z軸方向)に貫通するようにロータに設けられる。
よって、ポンプ装置の製造性を向上することができる。
【0053】
(12)連通路は、ロータ側駆動軸挿通孔(貫通孔221)と連続するように形成される連通溝223である。
よって、ロータの径方向寸法の増大を抑制し、ポンプ装置の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0054】
21 アウタギヤ(第2歯車)
22 インナギヤ(第1歯車)
220 歯
221 貫通孔(歯車側駆動軸挿通孔)
223 連通溝(連通路)
3 ポンプハウジング
30 ポンプ要素収容部
31 第1ハウジング
32 第2ハウジング
33 カムリング
34 貫通孔(ハウジング側駆動軸挿通孔)
37 シール室
4 駆動軸
5 リザーバタンク
6 第1軸受
7 第2軸受
9 シール部材
O 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にポンプ要素収容部を有するポンプハウジングと、
前記ポンプ要素収容部内に回転自在に設けられ、外周側に複数の歯を有する第1歯車と、
前記第1歯車に設けられ、前記第1歯車の回転軸に沿って貫通するように形成された歯車側駆動軸挿通孔と、
前記ポンプ要素収容部内に回転自在に設けられ、前記第1歯車と噛み合いながら回転することで作動液の吸入および吐出を行う第2歯車と、
前記第1歯車の回転軸方向に延びるように前記ポンプハウジングに設けられた貫通孔であるハウジング側駆動軸挿通孔と、
前記ハウジング側駆動軸挿通孔の一方側端部の開口部を包囲するように設けられ、作動液を収容するリザーバタンクと、
前記ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、前記ポンプ要素収容部よりも前記一方側端部側に配置された第1軸受と、
前記ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、前記ポンプ要素収容部よりも前記ハウジング側駆動軸挿通孔の他方側端部側に配置された第2軸受と、
前記第1軸受および前記第2軸受によって回転自在に軸支され、前記歯車側駆動軸挿通孔を貫通するように設けられ、前記第1歯車を回転駆動する駆動軸と、
前記ポンプハウジングに設けられ、前記第2軸受よりも前記他方側端部側において前記ハウジング側駆動軸挿通孔と連続し且つ前記駆動軸の外周側を包囲するように形成されたシール室と、
前記シール室に設けられ、前記ポンプ要素収容部から前記他方側端部側へ漏洩する作動液をシールするシール部材と、
前記第1歯車を貫通するように前記第1歯車に設けられ、前記第1軸受および前記第2軸受の軸方向端面と対向するように配置された連通路と、
を有することを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
内部にポンプ要素収容部を有するポンプハウジングと、
前記ポンプ要素収容部内に回転自在に設けられ、外周側に複数の歯を有する第1歯車と、
前記第1歯車に設けられ、前記第1歯車の回転軸に沿って貫通するように形成された歯車側駆動軸挿通孔と、
前記ポンプ要素収容部内に回転自在に設けられ、前記第1歯車と噛み合いながら回転することで作動液の吸入および吐出を行う第2歯車と、
前記第1歯車の回転軸方向に延びるように前記ポンプハウジングに設けられた貫通孔であるハウジング側駆動軸挿通孔と、
前記ハウジング側駆動軸挿通孔の一方側端部の開口部を包囲するように設けられ、作動液を収容するリザーバタンクと、
前記ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、前記ポンプ要素収容部よりも前記一方側端部側に配置された第1軸受と、
前記ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、前記ポンプ要素収容部よりも前記ハウジング側駆動軸挿通孔の他方側端部側に配置された第2軸受と、
前記第1軸受および前記第2軸受によって回転自在に軸支され、前記歯車側駆動軸挿通孔を貫通するように設けられ、前記第1歯車を回転駆動する駆動軸と、
前記ポンプハウジングに設けられ、前記第2軸受よりも前記他方側端部側において前記ハウジング側駆動軸挿通孔と連続し且つ前記駆動軸の外周側を包囲するように形成されたシール室と、
前記シール室に設けられ、前記ポンプ要素収容部から前記他方側端部側へ漏洩する作動液をシールするシール部材と、
前記駆動軸に設けられ、前記第1軸受の軸方向端と前記第2軸受の軸方向端とを連通する連通路と、
を有することを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
内部にポンプ要素収容部を有するポンプハウジングと、
前記ポンプ要素収容部内に回転自在に設けられ、外周側に複数のスリットを有するロータと、
前記ロータに設けられ、前記ロータの回転軸に沿って貫通するように形成されたロータ側駆動軸挿通孔と、
前記スリットに進退自在に設けられ、前記ポンプ要素収容部および前記ロータと共に複数のポンプ室を形成し、前記ロータが回転することで作動液の吸入および吐出を行う複数のベーンと、
前記ロータの回転軸方向に延びるように前記ポンプハウジングに設けられた貫通孔であるハウジング側駆動軸挿通孔と、
前記ハウジング側駆動軸挿通孔の一方側端部の開口部を包囲するように設けられ、作動液を収容するリザーバタンクと、
前記ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、前記ポンプ要素収容部よりも前記一方側端部側に配置された第1軸受と、
前記ハウジング側駆動軸挿通孔内に設けられ、前記ポンプ要素収容部よりも前記ハウジング側駆動軸挿通孔の他方側端部側に配置された第2軸受と、
前記第1軸受および前記第2軸受によって回転自在に軸支され、前記ロータ側駆動軸挿通孔を貫通するように設けられ、前記ロータを回転駆動する駆動軸と、
前記ポンプハウジングに設けられ、前記第2軸受よりも前記他方側端部側において前記ハウジング側駆動軸挿通孔と連続し且つ前記駆動軸の外周側を包囲するように形成されたシール室と、
前記シール室に設けられ、前記ポンプ要素収容部から前記他方側端部側へ漏洩する作動液をシールするシール部材と、
前記ロータを貫通するように前記ロータに設けられ、前記第1軸受および前記第2軸受の軸方向端面と対向するように配置された連通路と、
を有することを特徴とするポンプ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のポンプ装置において、
前記連通路は、前記歯車側駆動軸挿通孔と連続するように形成される溝であることを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
請求項3に記載のポンプ装置において、
前記連通路は、前記ロータ側駆動軸挿通孔と連続するように形成される溝であることを特徴とするポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−197722(P2012−197722A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62583(P2011−62583)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】