説明

ポンプ

【課題】本発明では、作動部材の押し下げ操作時に大きな力を必要とせずに優れたバックサクション機能を発揮することができ、しかも、その構造変化は従来品と比較して小さな変化で済み、耐久性にも優れるポンプを提案する。
【解決手段】シリンダB内周に外周縁を摺動可能に嵌合させ、ステムD1外周に相対上下動が可能に装着され、且つ、ステムの下降時に吐出弁孔41を開放し、上昇時に閉塞する環状ピストンD4を備え、ステムの下端開口よりステム内下部に摺動可能に棒部36の上端部を突出するとともに、ステムの上昇時に棒部の上端部が相対下降してステム内の容積を増大し、下降時に棒部の上端部が相対上昇してステム内容積を減少するバックサクション機構を備えたポンプであって、棒部先端縁のステム内最下降位置から、棒部先端縁のステム内最上昇位置までの縦巾を備えた吐出弁孔41を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプに関し、詳しくは、バックサクション機構を備えて液切れの良いポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は液切れの良いポンプの押下げヘッドに関して提案している。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記特許文献1に記載されたポンプは、容器体内に垂下して装着され、底部に吸込み弁を備えたシリンダと、シリンダに対して上方付勢状態で押し込み可能に装着した作動部材とを備えている。作動部材は、上方付勢状態で押し込み可能に設けたステムの上端に押下ヘッドを嵌着し、また、ステム外周に相対上下動が可能に環状ピストンが装着されている。環状ピストンはステムの下降時にステムに設けた吐出弁孔を開放し、ステムの上昇時には閉塞する吐出弁を構成する。また、下端部とシリンダ底部とで吸込み弁を構成するとともに、上方に起立した棒部をステムの下端開口よりステム内下部に摺動可能に突出し、ステムの上昇時にステム内容積を増大し、ステムの下降時にステム内容積を減少するポペットを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−225359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この様なポペット及び吐出弁を備えたポンプは優れたバックサクション機能を発揮し液切れが良いという特有の効果を発揮するものである。
【0006】
しかしながら、この種の構成のバックサクション機能を備えたポンプは、作動部材の押し下げ操作時に大きな力が必要となるという不都合を生じる場合がある。
【0007】
本発明では、作動部材の押し下げ操作時に大きな力を必要とせずに優れたバックサクション機能を発揮することができ、しかも、その構造変化は従来品と比較して小さな変化で済み、耐久性にも優れるポンプを提案する。また、シリンダ内の液の容器体内への逆流の虞のない優れたポンプを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、容器体100 内に垂下して装着されたシリンダBと、シリンダBに対して上方付勢状態で押し込み可能に装着した作動部材Dとを備え、作動部材Dは、シリンダB内周に外周縁を摺動可能に嵌合させるとともに、ステムD1外周に相対上下動が可能に装着され、且つ、ステムD1の下降時にステムD1に設けた吐出弁孔41を開放し、上昇時に閉塞する環状ピストンD4を備えてなり、ステムD1の下端開口よりステムD1内下部に摺動可能に棒部36の上端部を突出するとともに、ステムD1の上昇時に棒部36の上端部が相対下降してステムD1内の容積を増大し、ステムD1の下降時に棒部36の上端部が相対上昇してステムD1内の容積を減少するバックサクション機構を備えたポンプであって、棒部36先端縁のステムD1内最下降位置から、棒部36先端縁のステムD1内最上昇位置までの縦巾を備えた吐出弁孔41を設けた。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、吐出弁孔41を対向位置に一対設けた。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかの手段に於いて、作動部材は、上方付勢状態で押し込み可能に設けたステムD1に対して上方付勢状態で相対上下動可能に装着し、且つ、押し下げ時に梃部材D7の作用で吐出口81側付勢状態の開閉弁部材D6を移行させて吐出口81を開口する押下ヘッドD5を備え、ステムに対する押下ヘッドの押下効力がステム自体の押下効力より小である如く構成した。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、下端に一体に設けた圧接弁体32によりシリンダB下端の吸込み弁孔22を閉塞する吸込み弁33を構成するとともに、上方に棒部36を一体に起立した吸込み弁部材Cを設けた。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、棒部36先端縁のステムD1内最下降位置から、棒部36先端縁のステムD1内最上昇位置までの縦巾を備えた吐出弁孔41を設けているため、棒部36存在部分のステムD1内を広く形成でき、その結果、ポンプ作動時の加重増加を生じることがなく、所謂押し下げが重くなるという不都合がなく、軽快な液の吐出を行える。
【0013】
吐出弁孔41を対向位置に一対設けた場合には、二つの吐出弁孔41の存在でより大きな液の流動空間を得ることができるとともに、吐出弁孔41の配置のバランスが良いため、強度的にも優れるという利点がある。
【0014】
作動部材を、上方付勢状態で押し込み可能に設けたステムD1に対して上方付勢状態で相対上下動可能に装着し、且つ、押し下げ時に梃部材D7の作用で吐出口81側付勢状態の開閉弁部材D6を移行させて吐出口81を開口する押下ヘッドD5を備え、ステムに対する押下ヘッドの押下効力がステム自体の押下効力より小である如く構成した場合には、棒部36とステムD1とで構成するバックサクション機能に加えて、押下ヘッドD5の備えるバックサクション機能が加わり、より確実な液垂れ防止を図れ、しかも、操作後吐出口81は開閉弁部材D6により閉塞されるため、この点からも確実な液垂れ防止機能を発揮する。
【0015】
下端に一体に設けた圧接弁体32によりシリンダB下端の吸込み弁孔22を閉塞する吸込み弁33を構成するとともに、上方に棒部36を一体に起立した吸込み弁部材Cを設けた場合には、吸込み弁孔22から容器体100 内への液の逆流を確実に防止できる利点を兼ね備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ポンプの縦断面図である。(実施例1)
【図2】吸込み弁部材の平面図である。(実施例1)
【図3】吸込み弁部材の一部切欠平面図である。(実施例1)
【図4】ポンプの平面図である。(実施例1)
【図5】ポンプの縦断面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1乃至図4は容器体100 に装着したポンプ1の一例を示す。容器体100 は胴部101 より肩部102 を介して口頸部103 を起立している。
【0019】
ポンプ1は、装着キャップAと、シリンダBと、吸込み弁部材Cと、作動部材Dとを備えている。
【0020】
装着キャップAは、口頸部103 外周に螺着した螺筒10を頂板11の下面より垂設し、頂板11の外周上面より案内筒12を起立している。案内筒12の内面には一対の案内凹溝13を縦設し、各案内凹溝13の上端部より案内筒12の周面に沿って側方へ、それぞれ係止用凹溝14を延設している。また、頂板11の内周縁に、上下に延びる係合筒部15を周設している。
【0021】
シリンダBは上下端を開口した筒状をなし、外周上端より外方へ延設したフランジ20を、係合筒部15と螺筒10との間に嵌合して装着キャップAに固定している。また、下端部の開口は筒状の吸込み弁座21で囲成された吸込み弁孔22として構成している。また、下面からは吸込み弁孔22と連通するパイプ嵌合筒23を延設している。そして、容器体100 内に挿入垂下させるとともに、パッキン24を介して口頸部103 上にフランジ20を載置し、口頸部103 と装着キャップ頂板11とで挟持固定している。また、パイプ嵌合筒23にはパイプ25の上端を嵌着し、パイプ25の下端は容器体100 内底部に垂下している。
【0022】
吸込み弁部材Cは、シリンダBの下部外周に嵌着固定した嵌合筒部30を備え、嵌合筒部30の内周には図3に示す如く周方向三本の弾性片31を介して圧接弁体32を延設し、圧接弁体32をシリンダBの下端の吸込み弁座21上に圧設して吸込み弁33を構成している。この吸込み弁33はシリンダB内の負圧化により開弁し、負圧化が解消すると各弾性片31の弾性復元力によりもとの閉弁状態に戻る如く作用する。
【0023】
また、嵌合筒部30の両側から起立した一対の支持板34の上端間に支持台板35を掛け渡し、支持台板35の中央から上方に棒部36を起立している。棒部36は上部が小径に形成され、この小径部36a が後述するステムD1の下端開口に液密摺動可能な径に形成されている。また、下部の大径部36b 外周には周方向複数のリブ37が突縦設され、後述コイルスプリングの嵌合部位を構成する。
【0024】
作動部材Dは、ステムD1と、連結筒部材D2と、装着筒部材D3と、環状ピストンD4と、押下ヘッドD5とを備えている。
【0025】
ステムD1は、吸込み弁部材Cのリブ37外周に下端部を嵌合させて棒部36の周囲に起立させたコイルスプリングsの上端に下端部を当接支持させて、常時コイルスプリングsにより上方へ付勢された上下端開口の筒状をなし、外周下部に環状の吐出弁座40を突設し、吐出弁座40直上の筒壁部分には一対の吐出弁孔41を穿設している。また、ステムD1の上部には連結筒部材D2を介して装着筒部材D3を連結している。連結筒部材D2は下部をステムD1の上部に嵌着させ、嵌着部分の下端部は大径筒部50に形成してステムD1との間に環状ピストンD4の一部を嵌合させる環状空間を形成している。
【0026】
各吐出弁孔41は対向位置に穿設された縦長なもので、棒部36先端縁のステムD1内最下降位置から、棒部36先端縁のステムD1内最上昇位置までの縦巾を備えている。図1では作動部材Dが最上昇位置にあり、即ちステムD1が最上昇位置にあり、この際棒部36の先端縁はステムD1内の最下降位置にある。また、作動部材Dを押し下げてステムD1を押し下げれば、棒部36は相対的に上昇してその先端縁は図1の二点鎖線で示す位置にある。従って、各吐出弁孔41は各位置間の縦巾を備えている。
【0027】
この場合前記規定内で若干の誤差は当然包含される。また、それ以上の長さを備えることも包含される。また、吐出弁孔41下端縁の下限位置は突出弁座40を設けた位置よりも少なくとも上方でなくてはならず、上端縁の上限位置は上記要件を満たせばそれ以上延ばすことは可能である。更に、吐出弁孔41は対向位置に一対設けた場合に限らず、前記要件を満たせば1カ所であっても3個所以上であっても良い。但しステムD1の耐久性と、液の流動効率との配分を考慮すれば、対向位置に一対設けた場合がより好ましく採用できる。
【0028】
また、図示例では吐出弁孔41の上端縁を外方へ傾斜上昇する如く構成しているが、内方へ傾斜上昇する如く構成することで、棒部36上方への液の流動性をより円滑に行える。
【0029】
装着筒部材D3は、連結筒部材D2の内周上部に嵌合させた装着筒60を頂板部61裏面より垂設するとともに、頂板部61中央には装着筒60内と連通する摺動筒62を立設している。更に、頂板部61周縁部にはその上下に亘り案内筒部63を周設している。
【0030】
環状ピストンD4は、外周筒状部70と内周筒状部71とを連結部72で連結した断面H形状をなし、外周筒状部70をシリンダB内周に液密摺動可能に嵌合させ、内周筒状部71の上部を連結筒部材D2の大径筒部50内周に液密摺動可能に嵌合させている。また、内周筒状部71の下端が吐出弁座40に密接した状態から連結部72上面が連結筒部材D2の大径筒部50の下端面に当接するまでの間を、ステムD1に対して相対上下動が可能に構成し、吐出弁座40とで吐出弁73を形成している。
【0031】
押下ヘッドD5は、ステムD1に装着筒部材D3を介して押下げ可能に連結したもので、摺動筒62外周に摺動下降可能に嵌合させたシリンダ部80の上方に、先端に吐出口81を開口した弁室Rを備え、装着筒部材D3に対して押し下げ可能に設けている。
【0032】
また、弁室R内には開閉弁部材D6を吐出口81側へ付勢状態で装着している。開閉弁部材D6は、弁室R内周に後部外周を摺動可能に嵌合させるとともに、前方付勢状態で吐出口81を閉塞している。また、弁室R内とシリンダ部80内とは連絡口により連通させ、これにより、シリンダ部80内から連絡口を介して吐出口81に至る液流路を画成している。前方付勢手段としては、弁室Rの後壁前面と、開閉弁部材D6の逆スカート状部の分岐部分とに第2コイルスプリングs1を介在させて行っている。更に、開閉弁部材D6の後端部を弁室Rの後壁の窓孔より突設し、突出部分に梃部材係合用の環状凹部を凹設している。
【0033】
更に、押下ヘッドD5内には梃部材D7を設けている。梃部材D7は、開閉弁部材D6後端部に上端を連係させるとともに、下端部を装着筒部材D3の頂板部61上面に当接係止させており、また、装着筒部材D3に対する押下ヘッドD5の押し下げ時に開閉弁部材D6を後方へ引き出す如く揺動可能に枢着している。
【0034】
図示例に於ける梃部材D7は、上端部を開閉弁部材D6の後端部に連係した垂直板部90下端部より前方へ下る二股の傾斜板部91を延設するとともに、各傾斜板部91の下端部を摺動筒62両側の頂板部61上面に当接係止させている。梃部材D7と開閉弁部材D6との連係は、垂直板部90の上端部中央に設けた切欠部に開閉弁部材D6の上記環状凹部を嵌合させている。
【0035】
また、屈折部分両側に突設した枢着軸を、それぞれ両側の軸受に回動可能に嵌合させている。そして、第2コイルスプリングs1により前方付勢された開閉弁部材D6により垂直板部90上部の連係部分を常時前方へ付勢させており、押下ヘッドD5の押し下げにより、装着筒部材D3の頂板部61が傾斜板部91を押し上げて梃部材D7を回動させ、第2コイルスプリングs1の前方付勢力に抗して開閉弁部材D6を後方へ引き出す如く構成している。
【0036】
この様な押下ヘッドD5は、ステムD1に対する押下ヘッドD5の押下抗力がステム自体の押下抗力より小になる様に構成している。この様に構成するために、基本的には装着するポンプのステムを上方付勢させるための弾性材よりも、開閉弁部材D6を前方付勢させるための弾性材の弾発力を小さく選択すれば良く、その他摺動筒とシリンダとの摩擦力,梃部材の揺動時の摩擦力等を考慮してこれらを選択すれば良い。
【0037】
押下ヘッドD5の外周下部には前記案内筒12の各案内凹溝13に対して上下動可能に嵌合する一対の突部82を突設している。各突部82が案内凹溝13位置にある場合には押下ヘッドD5の押し込みが可能であり、牽いては作動部材Dの上下動が可能である。一方、その状態から押下ヘッドD5を回動させて係止用凹溝14上に位置させれば、押下ヘッドD5の押し下げを防止できる。
【0038】
上記の如く構成したポンプ1は、図1の状態から押下ヘッドD5を押し下げると、最初ステムD1は下がらず、装着筒部材D3に対して押下ヘッドD5が下降する。この際、梃部材D7の下端部が装着筒部材D3の頂板部61上面に押し上げられて枢着軸を中心に回動し、その上端部が後方へ回動して開閉弁部材D6を第2コイルスプリングs1の弾発力に抗して後方へ移行させ、吐出口81が開く。
【0039】
次いでステムD1が下降し、該ステムD1の下降により環状ピストンD4がステムD1に対して相対上昇して吐出弁73が開き、シリンダB内の加圧液が吐出弁孔41を介してステムD1内を通り、摺動筒62内に導入され、次いでシリンダ部80内、弁室R内を通り、吐出口81より吐出される。この際吸込み弁部材Cの棒部36はステムD1内にその先端の突出幅を大きく浸入してくる。
【0040】
次に押下ヘッドD5の押圧を解除すると、最初ステムの上方付勢力により押下ヘッドD5が上昇する。この際、例えば押下ヘッドD5上面を押圧した手が離れないうちにステムの上昇が行われ、吐出口81は開いたままの状態で行われる。同時に環状ピストンD4がステムD1に対して相対下降して吐出弁73が閉じる。また、同時に棒部36の上端部がステムD1に対して相対的に下降するため、ステムD1の内容積が増大する。従って、この時点でステムD1内及び弁室R内は負圧状態となり、バックサクション機能を発揮する。次いで、手を離す余地ができ、第2コイルスプリングs1の弾発力により開閉弁部材D6が前方へ移行して吐出口81を閉塞し、それに伴い梃部材D7により押下ヘッドD5を装着筒部材D3に対して上方へ押上げ、装着筒部材D3と押下ヘッドD5との関係が元の状態に戻る。
【0041】
作動部材Dの上昇に伴いシリンダB内は負圧化し、それに伴って吸込み弁33が開いてパイプ25を介して容器体100 内の液がシリンダB内に導入される。
【0042】
図5は他の例を示すもので、別形態の吸込み弁部材C1を使用した例を示す。本例に於ける吸込み弁部材C1は、図1の例と同様に上部の小径部36a 及び下部の大径部36b を備えた棒部36を備え、大径部36b の下面からは筒状部38を垂設し、その下面とシリンダBの底面位置の吸込み弁座21とで吸込み弁33を構成している。シリンダB内周下端部に周方向複数突設したリブ板26の間に筒状部38外周に突設した突起39を挿入し、筒状部38下面と吸込み弁座21とが圧接する状態から、リブ板26上面に係止されているコイルスプリングsの下面に突起39が当接するまでの間の上下動が可能に構成している。この吸込み弁部材C1は棒部36とステムD1の下端開口部分との摩擦力で上下動する如く構成しており、所謂ポペット弁体と呼ばれる形態のものである。この場合も図1の例と同様形態の吐出弁孔41を備えている。その他は図1の例と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
この場合には、図5の状態から押下ヘッドD5を押し下げると、最初ステムD1は下がらず、装着筒部材D3に対して押下ヘッドD5が下降する。この際、梃部材D7の下端部が装着筒部材D3の頂板部61上面に押し上げられて枢着軸を中心に回動し、その上端部が後方へ回動して開閉弁部材D6を第2コイルスプリングs1の弾発力に抗して後方へ移行させ、吐出口81が開く。
【0044】
次いでステムD1が下降し、それとともに吸込み弁部材C1が下降し、吸い込み弁33を閉じ、また、ステムD1の下降により環状ピストンD4がステムD1に対して相対上昇して吐出弁73が開き、シリンダB内の加圧液が吐出弁孔41を介してステムD1内を通り、摺動筒62内導入され、次いでシリンダ部80内、弁室R内を通り、吐出口81より吐出される。この際吸込み弁部材C1の棒部36はステムD1内にその先端の突出幅を大きく浸入してくる。
【0045】
次に押下ヘッドD5の押圧を解除すると、最初ステムの上方付勢力により押下ヘッドD5が上昇する。この際、例えば押下ヘッドD5上面を押圧した手が離れないうちにステムの上昇が行われ、吐出口81は開いたままの状態で行われる。同時に環状ピストンD4がステムD1に対して相対下降して吐出弁73が閉じる。また、吸込み弁部材C1は当初ステムD1と一緒に上昇するが突起39がコイルスプリングs下面に当接した後はステムに対して相対下降し、従って棒部36の上端部がステムD1に対して相対的に下降するため、ステムD1の内容積が増大する。この時点でステムD1内及び弁室R内は負圧状態となり、バックサクション機能を発揮する。次いで、手を離す余地ができ、第2コイルスプリングs1の弾発力により開閉弁部材D6が前方へ移行して吐出口81を閉塞し、それに伴い梃部材D7により押下ヘッドD5を装着筒部材D3に対して上方へ押上げ、装着筒部材D3と押下ヘッドD5との関係が元の状態に戻る。
【0046】
尚、作動部材Dの上昇に伴い吸込み弁33が開いてシリンダB内は負圧化し、パイプ25を介して容器体100 内の液がシリンダB内に導入される。
【符号の説明】
【0047】
1…ポンプ
A…装着キャップ
10…螺筒,11…頂板,12…案内筒,13…案内凹溝,14…係止用凹溝,15…係合筒部 B…シリンダ
20…フランジ,21…吸込み弁座,22…吸込み弁孔,23…パイプ嵌合筒,
24…パッキン,25…パイプ,26…リブ板
C…吸込み弁部材(C1
30…嵌合筒部,31…弾性片,32…圧接弁体,33…吸込み弁,34…支持板,
35…支持台板,36…棒部,36a …小径部,36b …大径部,37…リブ,38…筒状部, 39…突起
D…作動部材
D1…ステム
40…吐出弁座,41…吐出弁孔
D2…連結筒部材
50…大径筒部
D3…装着筒部材
60…装着筒,61…頂板部,62…摺動筒,63…案内筒部
D4…環状ピストン
70…外周筒状部,71…内周筒状部,72…連結部,73…吐出弁
D5…押下ヘッド(R:弁室)
80…シリンダ部,81…吐出口,82…突部
D6…開閉弁部材
D7…梃部材
90…垂直板部,91…傾斜板部
s…コイルスプリング
s1…第2コイルスプリング
100 …容器体
101…胴部,102 …肩部,103 …口頸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体100 内に垂下して装着されたシリンダBと、シリンダBに対して上方付勢状態で押し込み可能に装着した作動部材Dとを備え、作動部材Dは、シリンダB内周に外周縁を摺動可能に嵌合させるとともに、ステムD1外周に相対上下動が可能に装着され、且つ、ステムD1の下降時にステムD1に設けた吐出弁孔41を開放し、上昇時に閉塞する環状ピストンD4を備えてなり、ステムD1の下端開口よりステムD1内下部に摺動可能に棒部36の上端部を突出するとともに、ステムD1の上昇時に棒部36の上端部が相対下降してステムD1内の容積を増大し、ステムD1の下降時に棒部36の上端部が相対上昇してステムD1内の容積を減少するバックサクション機構を備えたポンプであって、棒部36先端縁のステムD1内最下降位置から、棒部36先端縁のステムD1内最上昇位置までの縦巾を備えた吐出弁孔41を設けたことを特徴とするポンプ。
【請求項2】
吐出弁孔41を対向位置に一対設けた請求項1記載のポンプ。
【請求項3】
作動部材は、上方付勢状態で押し込み可能に設けたステムD1に対して上方付勢状態で相対上下動可能に装着し、且つ、押し下げ時に梃部材D7の作用で吐出口81側付勢状態の開閉弁部材D6を移行させて吐出口81を開口する押下ヘッドD5を備え、ステムに対する押下ヘッドの押下効力がステム自体の押下効力より小である如く構成した請求項1又は請求項2のいずれかに記載のポンプ。
【請求項4】
下端に一体に設けた圧接弁体32によりシリンダB下端の吸込み弁孔22を閉塞する吸込み弁33を構成するとともに、上方に上記棒部36を一体に起立した吸込み弁部材Cを設けた請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−174833(P2010−174833A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20668(P2009−20668)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】