説明

ポータブル機器固定装置

【課題】ポータブル機器を車両用シートに固定するための構成が、機器未使用時において乗降時などに邪魔になることのない、使い勝手に優れるポータブル機器固定装置を提供すること。
【解決手段】車両用シートの背面に形成された凹部91内に収容可能な大きさに形成されるとともに、ポータブル機器Pを保持する機器保持機構が一側面101側に構築された固定部10と、前記固定部10を、前記凹部91内に収容された状態から前記一側面を上方に向けた所定の状態まで回動自在に支持する支持部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型テレビジョン受像機などのポータブル機器を、車両用シートに固定するために用いられるポータブル機器固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されるような、小型テレビジョン受像機などのポータブル機器を自動車内に取り付ける装置が公知である。特許文献1に従来技術として記載される装置(特許文献1の図3、図4に記載の装置)は、ヘッドレストの取付ポールを利用して車両用シートにケースを取り付け、このケースにポータブル機器を収容するものである。また、特許文献1に一実施例として記載される装置(特許文献1の図1、図2に記載の装置)は、ポータブル機器をヘッドレストの取付ポールに固定し、ヘッドレストとともにポータブルポータブル機器を上下させる構成である。ヘッドレストを下方に移動させると、ポータブル機器はシートバック上端に形成された凹部内に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−128007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に従来技術として記載される装置は、ポータブル機器を使用していない場合であっても、常にシートバック背面にケースが取り付けられた状態にあるため、乗降時などにおいてケースが邪魔になるし、見た目も悪い。また、特許文献1に一実施例として記載される装置は、ヘッドレストを上方に移動させなければポータブル機器を使用することができない構成であり、使い勝手が悪い。
【0005】
上記実情に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、ポータブル機器を車両用シートに固定するための構成が、機器未使用時において乗降時などに邪魔になることのない、使い勝手に優れるポータブル機器固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、車両用シートに設けられるポータブル機器固定装置であって、前記車両用シートの背面に形成された凹部内に収容可能な大きさに形成されるとともに、ポータブル機器を保持する機器保持機構が一側面側に構築された固定部と、前記固定部を、前記凹部内に収容された状態から前記一側面を上方に向けた所定の状態まで回動自在に支持する支持部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
本発明にかかるポータブル機器固定装置は、ポータブル機器が固定される固定部を、ポータブル機器の未使用時にはシートバックの凹部内に収容することができるため、乗降時などにおいて固定部が邪魔になることがない。また、凹部内に固定部を収容した状態は、すっきりとして見た目もよい。さらには、支持部を介して固定部を回動させることで簡単に固定部を凹部内に収容することができるため使い勝手がよい。
【0008】
また、前記車両用シートに対して前記固定部を所定の角度で保持する角度保持機構を有していればよい。
【0009】
また、前記機器保持機構は、車両用シートの前後方向にスライド自在に設けられていればよい。
【0010】
固定部は、車両用シートに設けられるものであるため、車両用シートの傾斜角度(リクライニングの状態)によって固定部の角度が変化する。上記構成のように、車両用シートに対して所定の角度で固定部を保持する角度保持機構や、機器保持機構を前後方向にスライドさせる構成を有していれば、車両用シートの傾斜角度に拘わらず、ポータブル機器が使用しやすい角度や位置となるように固定部の角度やポータブル機器の取付位置を調整することができる。
【0011】
また、固定部の角度や、固定部に対するポータブル機器の取付位置を調整することによって、ポータブル機器を車両用シートに接触させた状態で支持することもできる。すなわち、ポータブル機器を、機器保持機構および車両用シートによって二点支持された状態で取り付けることができる。これにより、振動等が発生する車内環境下においても、ポータブル機器の取付状態が安定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるポータブル機器固定装置は、ポータブル機器が固定される固定部を、ポータブル機器の未使用時にはシートバックの凹部内に収容することができるため、乗降時などにおいて固定部が邪魔になることがなく、使い勝手もよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態にかかるポータブル機器固定装置の外観図であって、固定部が凹部内に収容された状態を示したものである。
【図2】本発明の一実施形態にかかるポータブル機器固定装置の外観図であって、固定部を後方に傾倒させた状態を示したものである。
【図3】本発明の一実施形態にかかるポータブル機器固定装置の外観図であって、後方に傾倒させた固定部にポータブル機器が固定された状態を示したものである。
【図4】本発明の一実施形態にかかるポータブル機器固定装置の断面を模式的に示した図(ハッチングは省略)であって、固定部が凹部内に収容された状態を示したものである。
【図5】本発明の一実施形態にかかるポータブル機器固定装置の断面を模式的に示した図(ハッチングは省略)であって、後方に傾倒させた固定部にポータブル機器が固定された状態を示したものである。
【図6】本発明の一実施形態にかかるポータブル機器固定装置の断面を模式的に示した図(ハッチングは省略)であって、ポータブル機器の上方を車両用シートに接触させて固定した状態を示したものである。
【図7】固定部が凹部内に収容されている状態における、角度保持機構の内部構成を示した概略図である。
【図8】固定部を最も後方に傾倒させた状態における、角度保持機構の内部構成を示した概略図である。
【図9】固定部を最も後方に傾倒させた状態から少し起立させた状態における、角度保持機構の内部構成を示した概略図である(図6に示した状態に相当する)。
【図10】機器保持機構の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明における上下方向(高さ方向)とは車両用シートの高さ方向をいい、図4〜図6における上下方向をいう。また、前方向とは車両用シートの着座面側であって図4〜図6における左方向を、後(背面)方向とはその反対方向であって図4〜図6における右方向をいう。また、幅方向とは車両用シートの幅方向をいい、上下方向および左右方向に直交する方向をいう。
【0015】
本実施形態にかかるポータブル機器固定装置1は、小型のテレビジョン受像機や、カーナビゲーション装置などのポータブル機器Pを車両用シートに固定するための装置であり、車両用シートのシートバック90上端に設けられている。ポータブル機器固定装置1は、固定部10と、この固定部10を回動自在に支持する支持部20とを備える。
【0016】
固定部10は、板状の本体部分の一側面101側にポータブル機器Pを保持する機器保持機構を有する。かかる固定部10は、車両用シートのシートバック90背面に形成された凹部91に収容可能な大きさに形成されている。具体的には、固定部10は凹部91よりも若干小さく形成されている。固定部10が凹部91内に収容されると、固定部10の外周と凹部91の内周との間に微小な隙間が生ずる状態(両者の間にほとんど隙間がない状態)となる。さらに、シートバック90の背面に形成された凹部91は、シートバック90の上端部に形成されるとともに、その上方が開放している。固定部10は、その上端が、凹部91内に収容された状態においてシートバック90の上端と略同じ高さとなる大きさに設定されている。
【0017】
固定部10の一側面101側に構築された機器保持機構は、当該一側面101上にポータブル機器Pを固定するための構成である。この機器保持機構としては、図示されるように、固定部10を貫通するねじ部材11を設けた構成が例示できる。固定部10には前後方向に延びる長孔12が形成されており、この長孔12にねじ部材11が挿通されている。ポータブル機器Pには、機器外側にねじ穴(雌ねじ)が形成されているものが多く、このねじ穴に上記ねじ部材11を螺合させることによってポータブル機器Pを固定部10に固定する。かかるねじ部材11は、長孔12に挿通されているから、前後方向にスライド自在である。すなわち、機器保持機構は、固定部10の一側面101上において前後方向にスライド自在に構築されている。機器保持機構がこのような構成であるから、本実施形態では、固定部10上におけるポータブル機器Pの取付位置を前後方向に移動させること(当該スライド可能な範囲において任意の位置に固定部10を固定すること)ができる。なお、ポータブル機器Pに形成されたねじ穴は機器によってその大きさが異なる場合があるため、ねじ部材11は長孔12に対して着脱自在に構成されている。すなわち、ポータブル機器Pに形成されたねじ穴に対応するねじ部材11を取り付けることが可能である。
【0018】
固定部10における機器保持機構が構築された一側面101の反対側の面(背面)には、ねじ部材11を覆うカバー部材13が設けられている。カバー部材13は、例えばインテグラルヒンジなどによって固定部10の本体部分に対して開閉自在に設けられている。ねじ部材11を操作しないときには、カバー部材13によってねじ部材11を覆うことができるため、見栄えがよい。かかるカバー部材13を含む固定部10の背面は、固定部10が凹部91内に収容された状態において、シートバック90の背面と連続するような形状となっている。すなわち、シートバック90の背面をそのまま凹部91の方向に延ばした仮想的な面が、固定部10の背面と合致する。したがって、固定部10を凹部91内に収容し、かつ、カバー部材13を閉じた状態では、シートバック90の背面と固定部10の背面とが面一となるため、見栄えがよい。
【0019】
なお、凹部91内には、ポータブル機器Pに電源を供給するためなどに用いられる端子911が設けられている。端子911が示された各図は、図をわかりやすくするため一つの端子911のみを図示しているが、使用できるポータブル機器Pの種類を増やすため凹部91内には予め様々な種類の端子911が設けられていることが好ましい。
【0020】
このような構成の固定部10は、支持部20を介して車両用シートに取り付けられている。具体的には、支持部20は凹部91の下端部両側に構築されており、この凹部91の下端部両側と固定部10の下端部とを繋ぐ。かかる支持部20は、固定部10を回動自在に支持する。つまり、固定部10は、支持部20に連結された下端部を支点として車両用シートの背面側(後方)に傾倒する。ポータブル機器固定装置1が設けられた車両用シートの背面側に着座する者(後部座席に着座する者)にとって見れば、自身の手前側に固定部10が傾倒する。また、このように支持部20に回動自在に支持された固定部10では、ポータブル機器Pが固定される一側面101は、固定部10が凹部91に収容された状態において凹部91の底面と対向する。したがって、固定部10を後方に傾倒させると、ポータブル機器Pが固定される一側面101は上方を向く。すなわち、固定部10は、凹部91内に収容された状態から当該一側面101を上方に向けた所定の状態まで支持部20を介して回動自在に支持されている。なお、ここでいう「上方」とは、一側面101が上下方向(重力方向)と直交する状態をいうものではなく、一側面101がおおよそ上方を向いた状態をいう(具体的にはシート背面と固定部10の一側面101のなす角度が0度以上180度以下の範囲内における所定の状態をいう)。本実施形態では、固定部10が最も傾倒した状態におけるシート背面と固定部10の一側面101のなす角度(最大角度)が略90度となっている。
【0021】
また、ポータブル機器固定装置1は、車両用シートに対して固定部10を所定の角度で保持する角度保持機構を有する。かかる角度保持機構の一例を図7〜図9を参照して以下簡単に説明する。図7〜図9に示した角度保持機構は、固定部10を回動自在に支持する支持部20に設けられており、カム部材21と、ボール22と、ばねプレート23と、保持解除部材24と、傾動部材25と、ガイドプレート26と、板ばね27とを備える。
【0022】
カム部材21は、外周が波形に形成された部材であって固定部10の回動に伴って回転する。カム部材21の外周には図示されないリング部材が設けられており、外周が波形に形成されたカム部材21とともに空間を構築する。かかる空間は、回転方向の一方側(固定部10を傾倒させる方向;矢印Bの方向)に向かって幅広であり、他方側(固定部10を起立させる方向;矢印Aの方向)に向かって幅狭である。この空間にボール22が収容されている。ばねプレート23は、当該空間が幅狭である方向(矢印Aの方向)に向かってボール22を付勢する。保持解除部材24は、上記空間に入り込む突起241を有し、引っ張りばね243によって矢印Aの方向に付勢されている。この引っ張りばね243の付勢力に逆らって保持解除部材24が矢印Bの方向に回転すると、空間に入り込んだ突起241が、空間が幅広である方向(矢印Bの方向)にボール22を押圧する。傾動部材25は図示されないねじりコイルばねによって矢印Cの方向に回動するように付勢されている。このねじりコイルばねの付勢力に逆らって傾動部材25が矢印Cの方向とは反対の方向に回動すると、保持解除部材24のアーム242に作用して保持解除部材24を矢印Bの方向に回転させる。ガイドプレート26は、径方向外向きに突出したガイド部261を有する。固定部10を回動させてもガイドプレート26は回転しない(ガイド部261の回転方向位置は変化しない)。このガイドプレート26のガイド部261の外側に傾動部材25が乗り上げた状態にあるときには、傾動部材25が保持解除部材24のアーム242に作用する。板ばね27は、ガイドプレート26のガイド部261の外周縁をそのまま矢印Bの方向に延ばした位置に設けられている。この板ばね27は、その外面にねじりコイルばねによって付勢された傾動部材25が作用しても変形しないような弾性力を有する。
【0023】
このような構成を備える角度保持機構の動きを、固定部10の傾倒動作と併せて説明する。固定部10が凹部91に収容された状態(固定部10が起立状態)から凹部91を傾倒させるとき、図7に示すように、傾動部材25はガイドプレート26のガイド部261の外側に乗り上げた状態にある。よって、傾動部材25は保持解除部材24のアーム242に作用し、保持解除部材24を矢印Bの方向に回動させる。そのため、ボール22は、保持解除部材24の突起241によって空間が幅広である方向(矢印Bの方向)に押圧される。このようにボール22が幅広である箇所に位置していれば、ボール22によってカム部材21がロックされることはない。したがって、固定部10は容易に傾倒する。
【0024】
そのまま固定部10を徐々に傾倒させると、傾動部材25はガイドプレート26のガイド部261の外側および板ばね27の外側に乗り上げた状態で移動する。そして、図8に示すように、固定部10を最も傾倒させた状態とすると、傾動部材25の板ばね27の外側に乗り上げた状態が解消され、傾動部材25がねじりコイルばねの付勢力によって径方向内側に移動する。そうすると、傾動部材25が保持解除部材24のアーム242に作用した状態が解消され、引っ張りばね243によって保持解除部材24が矢印Aの方向に回動する。したがって、保持解除部材24の突起241によるボール22の押圧状態が解消されるため、ボール22はばねプレート23によって空間が幅狭である方向(矢印Aの方向)に付勢される。これによりボール22が空間の幅狭である方向に移動し、カム部材21とその外周に位置するリング部材との間に噛み込むと、カム部材21の矢印B方向への回転が阻止された状態となる。すなわち、固定部10の矢印B方向への回転が阻止された状態(固定部10にブレーキが掛かった状態)となる。このように、固定部10を、最も傾倒させた状態から板ばね27の内側(図7〜9においてKで示す部分;当該部分の角度をθ度とする)に傾動部材25が位置する範囲内において、任意の位置(任意の角度)で保持することができる。
【0025】
さらにA方向に固定部10を回転させると、傾動部材25は板ばね27を径方向外側に押し上げ、再度ガイドプレート26のガイド部261の外側に乗り上げた状態となる。これにより、固定部10の矢印B方向への回転が阻止された状態(固定部10にブレーキが掛かった状態)が解消される。
【0026】
以上説明したように、本実施形態では、角度保持機構によって、シート背面と固定部10の一側面101のなす角度が略90度である状態(固定部10を最も傾倒させた状態)から[90−θ]度の範囲内において、固定部10を所定の角度で保持することができる。すなわち、上記角度保持機構は、当該範囲内において固定部10の角度を無段階に調整できる無段階調整式のブレーキ機構である。シート背面と固定部10の一側面101のなす角度を小さくすればするほど、ポータブル機器Pはその上端が前方に移動する方向に傾倒し、シート背面と第一固定部10の挟持部のなす角度を小さくすればするほど、ポータブル機器Pはその上端が後方に移動する方向に傾倒する。このような角度保持機構を採用することにより、車両用シートの傾斜角度(リクライニングの状態)に拘わらず、ポータブル機器Pが使用しやすいようにポータブル機器Pの取付角度を調整することが可能である。
【0027】
なお、かかる角度保持機構の構成は一例であり、固定部10を所定の角度で保持できる構成であれば別の構成を採用することもできる。例えば、ラチェット機構を用いて段階的に固定部10の角度を調整することができる構成としてもよい。
【0028】
以上説明した本実施形態にかかるポータブル機器固定装置1によれば、次のような作用効果が奏される。第一に、ポータブル機器Pの未使用時には、ポータブル機器Pが固定される固定部10をシートバック90の凹部91内に収容することができるため、乗降時などにおいて固定部10が邪魔にならない。また、固定部10の背面はシートバック90の背面に沿った形状となっているため、凹部91内に固定部10を収容した状態がすっきりとして見た目もよい。さらには、支持部20を介して固定部10を回動させることで簡単に固定部10を凹部91内に収容することができるため使い勝手がよい。
【0029】
また、本実施形態にかかるポータブル機器固定装置1は、車両用シートに設けられるものであるため、車両用シートの傾斜角度(リクライニングの状態)によって固定部10の角度が変化する。本実施形態では、車両用シートに対して所定の角度で固定部10を保持する角度保持機構や、機器保持機構が前後方向にスライド自在に構成されているため、車両用シートの傾斜角度に拘わらず、ポータブル機器Pが使用しやすい角度や位置となるように固定部10の角度やポータブル機器Pの取付位置を調整することができる。例えば、ポータブル機器Pがテレビジョン受像機であれば、映像が見やすくなるように画面の角度や位置を自在に調節できる。
【0030】
また、角度保持機構によって固定部10の角度が調整可能であることや、機器保持機構(ねじ部材11)が前後方向にスライド自在に構成されていることを利用し、固定部10に対するポータブル機器Pの取付角度や取付位置を調整することにより、ポータブル機器Pをより安定した状態で取り付けることができる。具体的には、図6に示すように、ポータブル機器Pの上方を車両用シートに接触させた状態で支持することもできる。このような構成とすれば、ポータブル機器Pが、固定部10の機器保持機構および車両用シートによって二点支持された状態となり、振動等が発生する車内環境下におけるポータブル機器Pの取付状態が安定する。
【0031】
また、固定部10は、その下端部が支持部20によって回動自在に支持されているから、固定部10におけるポータブル機器Pを取り付けるスペースが大きい。
【0032】
また、シートバック90の背面に形成された凹部91は、シートバック90の上端部に形成されるとともにその上方が開放しており、固定部10の上端は、凹部91内に収容された状態においてシートバック90の上端と略同じ高さとなる大きさに設定されている。したがって、凹部91内に固定部10が収容された状態において、シートバック90の上端で固定部10の上端が露出した状態にあるから、固定部10を後方に傾倒させやすい(固定部10の上端に手を引っ掛けることで容易に固定部10を傾倒させることができる)。
【0033】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0034】
例えば、上記実施形態では、ポータブル機器固定装置1が、車両用シートのシートバック90に設けられていることを説明したが、車両用シートのヘッドレストに設けることもできる。
【0035】
また、上記実施形態において、機器保持機構は、長孔12に挿通されたねじ部材11を介してポータブル機器Pが固定部10に固定される構成であることを説明したが、かかる機器保持機構の構成は一例である。機器保持機構の一変形例として図10に示すような構成が考えられる。かかる変形例は、固定部10の一側面101上にベース板51を前後方向にスライド自在に設け、当該ベース板51上に固定板52および可動板53を設けた構成である。可動板53は固定板52にねじ部材54を介して取り付けられており、当該ねじ部材54を回転させることによって固定板52に対して前後方向に移動する。かかる構成とすれば、ポータブル機器Pを固定板52と可動板53との間に挟み込んで保持することができるから、ポータブル機器Pの厚みの大小(図10には、相対的に厚いポータブル機器P1が固定された状態(a)と、相対的に薄いポータブル機器P2が固定された状態(b)を比較して示した)を問わず、ポータブル機器Pを固定部10に固定することができ、汎用性が向上する。
【符号の説明】
【0036】
1 ポータブル機器固定装置
10 固定部
101 一側面
20 支持部
91 凹部
P ポータブル機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートに設けられるポータブル機器固定装置であって、
前記車両用シートの背面に形成された凹部内に収容可能な大きさに形成されるとともに、ポータブル機器を保持する機器保持機構が一側面側に構築された固定部と、
前記固定部を、前記凹部内に収容された状態から前記一側面を上方に向けた所定の状態まで回動自在に支持する支持部と、
を備えることを特徴とするポータブル機器固定装置。
【請求項2】
前記車両用シートに対して前記固定部を所定の角度で保持する角度保持機構を有することを特徴とする請求項1に記載のポータブル機器固定装置。
【請求項3】
前記機器保持機構は、車両用シートの前後方向にスライド自在に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポータブル機器固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−106546(P2012−106546A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255531(P2010−255531)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】