説明

マイクロスイッチ

【課題】レバー部材の剛性を高めつつ、汎用性の低下を防止することが可能なマイクロスイッチを提供すること。
【解決手段】マイクロスイッチ1は、スイッチ機構2が内蔵される筺体3と、スイッチ機構2に動力を伝達するプランジャ4と、筺体3にその基端側が支持されるレバー部材5とを備えている。このマイクロスイッチ1では、レバー部材5の長手方向における中間位置でレバー部材5の下面5cにプランジャ4の先端が当接するとともに、レバー部材5の先端側でレバー部材5の上面5dに被検出物が当接可能となっている。また、レバー部材5の上面5dに、かつ、被検出物が当接する被検出物当接部17を避けた位置に第1補強部5fが形成され、レバー部材5の下面5cに、かつ、プランジャ4の先端が当接するプランジャ当接部16を避けた位置に第2補強部5eが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の被検出物を検出するためのマイクロスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の被検出物を検出するためのマイクロスイッチとして、たとえば、図5に示すマイクロスイッチ101が知られている。このマイクロスイッチ101は、固定側接点102、103、可動側接点104および板バネ105、106が内蔵された筺体107と、板バネ105に動力を伝達するプランジャ108と、筺体107にその一端側が支持されるレバー部材109とを備えている。レバー部材109は、金属製の平板状部材が図6に示すように略L形状に折り曲げられることで形成された板バネである。
【0003】
マイクロスイッチ101では、図5におけるレバー部材109の右端側の上面に被検出物(図示省略)が当接し、レバー部材109がその一端側を支点にして、図5の時計方向へ回動すると、レバー部材109がプランジャ108を押し下げる。プランジャ108が押し下げられると、板バネ105、106が変形して、固定側接点102に接触していた可動側接点104が固定側接点102から離れて固定側接点103に接触する。また、可動側接点104が固定側接点103に接触することで、マイクロスイッチ101によって被検出物が検出される。
【0004】
なお、従来、レバー部材の曲げに対する補強手段が形成された剛性の高いレバー部材を備えるマイクロスイッチも知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のマイクロスイッチでは、レバー部材に、補強手段としての補強フランジまたは補強リブがレバー部材の長手方向に沿って形成されている。あるいは、このマイクロスイッチでは、レバー部材に、補強手段としての補強梁がレバー部材の長手方向に沿って形成されている。具体的には、レバー部材の、プランジャが当接する面と反対側の面に補強手段が形成されている。また、このマイクロスイッチでは、レバー部材の先端側に、被検出物が当接するローラが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−161609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に記載のマイクロスイッチでは、レバー部材に補強手段が形成されているため、レバー部材の剛性を高め、マイクロスイッチの誤動作を防止することが可能になる。同様に、図6に示すレバー部材109に補強手段を形成すれば、レバー部材109の剛性を高め、マイクロスイッチ101の誤動作を防止することが可能になる。
【0007】
しかしながら、マイクロスイッチ101では、レバー部材109の、プランジャ108が当接する面と反対側の面(図5の上面)に被検出物が直接、当接する。そのため、レバー部材109に、特許文献1に記載のレバー部材に形成された補強手段がそのまま形成されると、マイクロスイッチ101では、補強手段に被検出物が当接するおそれがある。したがって、マイクロスイッチ101では、レバー部材109に補強手段が形成されている場合と形成されていない場合とで、マイクロスイッチ101で被検出物が検出される際のマイクロスイッチ101と被検出物との相対距離が変わってしまうおそれがある。そのため、レバー部材109に、特許文献1に記載の補強手段がそのまま形成される場合には、マイクロスイッチ101の配置位置の変更等が必要となる。また、レバー部材109に、特許文献1に記載の補強手段がそのまま形成されると、マイクロスイッチ101では、マイクロスイッチ101の外形寸法が大きくなってしまう。このように、マイクロスイッチ101において、レバー部材109に、特許文献1に記載の補強手段がそのまま形成されると、マイクロスイッチ101の汎用性が低下するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、レバー部材の剛性を高めつつ、汎用性の低下を防止することが可能なマイクロスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のマイクロスイッチは、スイッチ機構が内蔵される筺体と、筺体に移動可能に保持されスイッチ機構に動力を伝達するプランジャと、筺体にその基端側が支持されるとともにその基端側を支点にして回動可能な板バネ状のレバー部材とを備え、レバー部材の長手方向における中間位置でレバー部材の回動方向におけるレバー部材の一方の面にプランジャの先端が当接するとともに、レバー部材の先端側でレバー部材の回動方向におけるレバー部材の他方の面に被検出物が当接可能であり、レバー部材の、プランジャの先端が当接する部分をプランジャ当接部とし、レバー部材の、被検出物が当接する部分を被検出物当接部とすると、レバー部材の他方の面に、かつ、被検出物当接部を避けた位置にレバー部材の強度を補強するための第1補強部が形成され、レバー部材の一方の面に、かつ、プランジャ当接部を避けた位置にレバー部材の強度を補強するための第2補強部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のプランジャでは、レバー部材の強度を補強するための第1補強部および第2補強部がレバー部材に形成されている。そのため、本発明では、レバー部材の剛性を高めることが可能になる。
【0011】
また、本発明では、レバー部材の回動方向におけるレバー部材の一方の面にプランジャの先端が当接するとともに、レバー部材の回動方向におけるレバー部材の他方の面に被検出物が当接可能となっている。また、レバー部材の他方の面に、かつ、被検出物当接部を避けた位置に第1補強部が形成され、レバー部材の一方の面に、かつ、プランジャ当接部を避けた位置にレバー部材の強度を補強するための第2補強部が形成されている。そのため、第1補強部および第2補強部とプランジャの先端との接触を防止し、かつ、第1補強部および第2補強部と被検出物との接触を防止することが可能になる。したがって、第1補強部および第2補強部がレバー部材に形成されていても、マイクロスイッチで被検出物が検出される際のマイクロスイッチと被検出物との相対距離が変わりにくくなる。また、プランジャの先端が当接するレバー部材の一方の面に第2補強部が形成され、かつ、レバー部材の先端側の被検出物当接部を避けた位置に第1補強部が形成されているため、レバー部材に第1補強部および第2補強部が形成されている場合であっても、マイクロスイッチの外形寸法が変わりにくくなる。したがって、たとえば、従来のマイクロスイッチ101と本発明のマイクロスイッチとの間で互換性を持たせることが可能になる。その結果、本発明では、マイクロスイッチの汎用性の低下を防止することが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、第1補強部は、レバー部材の基端側からプランジャ当接部に向かって形成され、第2補強部は、レバー部材の先端側からプランジャ当接部に向かって形成されている。この場合には、第1補強部および第2補強部は、レバー部材の長手方向において途切れないように連続的に形成されていることが好ましい。すなわち、第1補強部および第2補強部は、レバー部材の長手方向において途切れないように連続して形成されていることが好ましい。このように構成すると、レバー部材の剛性をより高めることが可能になる。
【0013】
本発明において、レバー部材の長手方向における第1補強部の、レバー部材の先端側端は、プランジャ当接部よりもレバー部材の先端側に配置され、レバー部材の長手方向における第2補強部の、レバー部材の基端側端は、プランジャ当接部よりもレバー部材の先端側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、第2補強部とプランジャの先端との接触を確実に防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、レバー部材の長手方向における第1補強部の、レバー部材の先端側端と、レバー部材の長手方向における第2補強部の、レバー部材の基端側端とが、レバー部材の長手方向において略一致することが好ましい。また、本発明において、レバー部材の長手方向における第1補強部の、レバー部材の先端側端部分と、レバー部材の長手方向における第2補強部の、レバー部材の基端側端部分とが、レバー部材の長手方向において互いに重なっていることがさらに好ましい。このように構成すると、レバー部材の剛性をより高めることが可能になる。
【0015】
本発明において、第1補強部および/または第2補強部は、たとえば、レバー部材の長手方向に直交する方向におけるレバー部材の端部が折り曲げられて形成された補強フランジ、または、レバー部材の長手方向に沿って形成される補強リブである。
【0016】
本発明において、筺体は、熱可塑性樹脂で形成されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、マイクロスイッチを廃棄する際には、筺体を構成する樹脂を再利用することが可能になる。したがって、環境負荷を軽減することが可能になる。また、この場合には、筺体は、液晶性の熱可塑性樹脂で形成されていることが好ましい。このように構成すると、筺体が熱可塑性樹脂で形成されている場合であっても、筺体の耐熱性を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明のマイクロスイッチでは、レバー部材の剛性を高めつつ、汎用性の低下を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態にかかるマイクロスイッチの断面図であり、(A)はマイクロスイッチがオフの状態を示す図、(B)はマイクロスイッチがオンの状態を示す図である。
【図2】図1に示すレバー部材の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるマイクロスイッチの応差と従来技術にかかるマイクロスイッチの応差との相違を説明するためのグラフである。
【図4】本発明の他の実施の形態にかかるレバー部材の斜視図である。
【図5】従来技術にかかるマイクロスイッチの断面図である。
【図6】図5に示すレバー部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(マイクロスイッチの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるマイクロスイッチ1の断面図であり、(A)はマイクロスイッチ1がオフの状態を示す図、(B)はマイクロスイッチ1がオンの状態を示す図である。図2は、図1に示すレバー部材5の斜視図である。
【0021】
本形態のマイクロスイッチ1は、所定の被検出物(図示省略)を検出するための検出装置である。このマイクロスイッチ1は、スイッチ機構2と、スイッチ機構2が内蔵される筺体3と、筺体3に移動可能に保持されスイッチ機構2に動力を伝達するプランジャ4と、筺体3にその基端側が支持されるレバー部材5とを備えている。なお、以下の説明では、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、X方向を「左右方向」、Y方向を「前後方向」、Z方向を「上下方向」とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0022】
スイッチ機構2は、いわゆるスナップアクション機構であり、第1端子7、第2端子8および第3端子9の3個の端子と、第2端子8に固定される固定側接点10と、第3端子9に固定される固定側接点11と、可動側接点12と、可動側接点12を保持する接点バネ13と、接点バネ13を付勢する湾曲バネ14とを備えている。接点バネ13および湾曲バネ14は、金属製の板バネである。
【0023】
第1端子7、第2端子8および第3端子9の上端側は、筺体3の内部に配置され、第1端子7、第2端子8および第3端子9の下端側は、筺体3の外側に突出している。接点バネ13の基端(左端)は、第1端子7の上端側に保持され、接点バネ13の先端(右端)は、可動側接点12を保持している。固定側接点10と固定側接点11とは、上下方向で対向するように配置され、固定側接点10と固定側接点11との間に、可動側接点12が配置されている。
【0024】
筺体3は、熱可塑性樹脂で形成されている。具体的には、筺体3は、液晶ポリマー(LCP)等の液晶性の熱可塑性樹脂で形成されている。プランジャ4は、上下方向に移動可能となるように、筺体3に保持されている。プランジャ4の基端(下端)は、接点バネ13に当接している。また、プランジャ4の先端(上端)は、レバー部材5に当接している。なお、プランジャ4の基端および先端は、図1に示すように、前後方向から見たときの形状が略円弧状になるように形成されている。
【0025】
レバー部材5は、図2に示すように、略長方形状に形成された金属製の板状部材が略L形状に折り曲げられることで形成された板バネである。このレバー部材5は、レバー部材5の基端側を構成する短辺部5aと、短辺部5aに略直交するとともに短辺部5aよりも長い長辺部5bとを備えている。短辺部5aの下端(図2の上端)には、前後方向の両側へ突出する凸部5jが形成されている。上述のように、レバー部材5の基端側は、筺体3に支持されている。すなわち、短辺部5aは、筺体3に支持されている。また、レバー部材5は、短辺部5aの凸部5jを支点にして回動可能となっている。具体的には、長辺部5bは、短辺部5aの凸部5jを支点にして回動可能となっている。
【0026】
上述のように、プランジャ4の先端は、レバー部材5に当接している。具体的には、プランジャ4の先端は、長辺部5bの長手方向における中間位置(より具体的には、長辺部5bの長手方向の中心よりも短辺部5aに近い位置)で、長辺部5bの下面5cに当接している。また、本形態では、長辺部5bの先端側(右端側)に被検出物が当接可能となっている。具体的には、長辺部5bの先端側の上面5dに被検出物が当接可能となっている。本形態では、レバー部材5の、プランジャ4の先端が当接する部分はプランジャ当接部16となっており、レバー部材5の、被検出物が当接する部分は被検出物当接部17となっている。
【0027】
なお、上述のように、プランジャ4の先端は、前後方向から見たときの形状が略円弧状になるように形成されており、レバー部材5に線接触している。また、上述のように、レバー部材5は、短辺部5aの凸部5jを支点にして回動可能となっており、レバー部材5が短辺部5aの凸部5jを支点にして回動すると、レバー部材5の、プランジャ4の先端が線接触する部分は、長辺部5bの長手方向にずれる。そのため、本形態では、図2の二点鎖線で囲まれた領域がプランジャ当接部16となっている。
【0028】
図2に示すように、長辺部5bの下面5cには、長辺部5bの強度を補強するための補強フランジ5eが下側(図2の上側)に突出するように形成され、長辺部5bの上面5dには、長辺部5bの強度を補強するための補強フランジ5fが上側(図2の下側)に突出するように形成されている。
【0029】
具体的には、被検出物当接部17を避けた位置に補強フランジ5fが形成され、プランジャ当接部16を避けた位置に補強フランジ5eが形成されている。より具体的には、図1に示すように、長辺部5bの長手方向における長辺部5bの基端(左端)からプランジャ当接部16の少し右側までの間に補強フランジ5fが長辺部5bの長手方向において途切れないように連続的に形成され、長辺部5bの長手方向におけるプランジャ当接部16の少し右側から長辺部5bの先端までの間に補強フランジ5eが長辺部5bの長手方向において途切れないように連続的に形成されている。すなわち、補強フランジ5fは、レバー部材5の基端側からプランジャ当接部16に向かって形成され、補強フランジ5eは、レバー部材5の先端側からプランジャ当接部16に向かって形成されている。また、補強フランジ5fの右端は、プランジャ当接部16よりも右側に配置され、補強フランジ5eの左端は、プランジャ当接部16よりも右側に配置されている。
【0030】
本形態では、補強フランジ5e、5fは、補強フランジ5fの右端と補強フランジ5eの左端とが長辺部5bの長手方向において略一致するように形成されている。また、補強フランジ5e、5fは、前後方向における長辺部5bの両端部が略直角に折り曲げられて形成されている。本形態の補強フランジ5fは、レバー部材5の強度を補強するための第1補強部であり、補強フランジ5eは、レバー部材5の強度を補強するための第2補強部である。
【0031】
以上のように構成されたマイクロスイッチ1では、レバー部材5の先端側に被検出物が当接していないときには、図1(A)に示すように、固定側接点11と可動側接点12とが接触している。この状態は、マイクロスイッチ1のオフの状態である。一方、レバー部材5の先端側に被検出物が当接すると、図1(B)に示すように、レバー部材5がその基端側を支点にして回動し、プランジャ4を押し下げる。プランジャ4が押し下げられると、接点バネ13および湾曲バネ14が変形して、可動側接点12が固定側接点11から離れ固定側接点10に接触する。固定側接点10と可動側接点12とが接触すると、マイクロスイッチ1はオンの状態になる。
【0032】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、レバー部材5に補強フランジ5e、5fが形成されている。そのため、レバー部材5の剛性を高めることができる。特に、本形態では、補強フランジ5e、5fは、補強フランジ5fの右端と補強フランジ5eの左端とが長辺部5bの長手方向において略一致するように形成されているため、長辺部5bの長手方向において、補強フランジ5fの右端と補強フランジ5eの左端との間に隙間が形成されている場合と比較して、レバー部材5の剛性を効果的に高めることができる。また、本形態では、補強フランジ5e、5fは、長辺部5bの長手方向において途切れないように連続的に形成されているため、補強フランジ5e、5fが長辺部5bの長手方向において断続的に形成されている場合と比較して、レバー部材5の剛性を効果的に高めることができる。
【0033】
したがって、本形態では、たとえば、従来のマイクロスイッチ101と比較して、マイクロスイッチ1の応差(ヒステレシス)を小さくすることができる。すなわち、図3に示すように、従来のマイクロスイッチ101の応差MD1よりも、マイクロスイッチ1の応差MD2を小さくすることができる。したがって、本形態では、従来のマイクロスイッチ101と比較して、マイクロスイッチ1の検出精度を高めることができる。
【0034】
なお、図3において、「FP」は、レバー部材5、109に被検出物が当接していないときのプランジャ4、108の位置を表している。また、「OP1」は、レバー部材109に作用する外力が増加していきマイクロスイッチ101がオフからオンに切り替わるときのプランジャ108の位置を表し、「RP1」は、レバー部材109に作用する外力が減少していきマイクロスイッチ101がオンからオフに切り替わるときのプランジャ108の位置を表している。また、「OP2」は、レバー部材5に作用する外力が増加していきマイクロスイッチ1がオフからオンに切り替わるときのプランジャ4の位置を表し、「RP2」は、レバー部材5に作用する外力が減少していきマイクロスイッチ1がオンからオフに切り替わるときのプランジャ4の位置を表している。また、「OF」は、OP1、OP2となったときにプランジャ4、108に作用する力を表し、「RF」は、RP1、RP2となったときにプランジャ4、108に作用する力を表している。
【0035】
本形態では、長辺部5bの長手方向における長辺部5bの基端からプランジャ当接部16の少し右側までの間に補強フランジ5fが形成され、長辺部5bの長手方向におけるプランジャ当接部16の少し右側から長辺部5bの先端までの間に補強フランジ5eが形成されている。また、補強フランジ5fは、被検出物が当接する長辺部5bの上面5dに形成され、補強フランジ5eは、プランジャ4の先端が当接する長辺部5bの下面5cに形成されている。そのため、補強フランジ5e、5fとプランジャ4の先端とが当接せず、また、補強フランジ5e、5fと被検出物とが当接しない。したがって、補強フランジ5e、5fがレバー部材5に形成されていても、マイクロスイッチ1で被検出物が検出される際のマイクロスイッチ1と被検出物との相対距離が変わりにくくなる。また、レバー部材5の先端側では、レバー部材5の下面5cに補強フランジ5eが形成されているため、補強フランジ5eがレバー部材5に形成されていても、マイクロスイッチ1の外形寸法が変わりにくくなる。したがって、たとえば、従来のマイクロスイッチ101と、本形態のマイクロスイッチ1との間に互換性を持たせることが可能になる。その結果、本形態では、マイクロスイッチ1の汎用性の低下を防止することが可能になる。
【0036】
本形態では、筺体3は、熱可塑性樹脂で形成されている。そのため、たとえば、マイクロスイッチ1を廃棄する際には、筺体3を構成する樹脂を再利用することが可能になる。したがって、本形態では、環境負荷を軽減することが可能になる。また、本形態では、筺体3は、液晶性の熱可塑性樹脂で形成されているため、筺体3が熱可塑性樹脂で形成されている場合であっても、筺体3の耐熱性を高めることが可能になる。
【0037】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0038】
上述した形態では、レバー部材5には、第1補強部として補強フランジ5fが形成され、第2補強部として補強フランジ5eが形成されている。この他にもたとえば、図4(A)に示すように、レバー部材5には、第1補強部として補強リブ5gがレバー部材5の長手方向に沿って形成され、第2補強部として補強リブ5hがレバー部材5の長手方向に沿って形成されても良い。すなわち、長辺部5bの長手方向における長辺部5bの基端からプランジャ当接部16の少し右側までの間で、長辺部5bの上面5dに補強リブ5gが上側(図4(A)の下側)に突出するように連続的に形成され、長辺部5bの長手方向におけるプランジャ当接部16の少し右側から長辺部5bの先端までの間で、長辺部5bの下面5cに補強リブ5hが下側(図4(A)の上側)に突出するように連続的に形成されても良い。
【0039】
なお、図4(A)に示す例では、補強リブ5g、5hは、補強リブ5gの右端と補強リブ5hの左端とが長辺部5bの長手方向において略一致するように形成されている。また、図4(A)に示す例では、補強リブ5g、5hは、前後方向における長辺部5bの略中心部分が略円弧状に曲げられて形成されている。なお、補強リブ5g、5hは、前後方向における長辺部5bの所定の部分が略三角形状や略四角形状等の略多角形状に曲げられて形成されても良い。また、略円柱状の梁や略多角柱状の梁が長辺部5bの下面5cや上面5dに固定されることで、補強リブ5g、5hが形成されても良い。
【0040】
また、図4(B)に示すように、レバー部材5には、第1補強部として補強リブ5gが形成され、第2補強部として補強フランジ5eが形成されても良い。すなわち、長辺部5bの長手方向における長辺部5bの基端からプランジャ当接部16の少し右側までの間で、長辺部5bの上面5dに補強リブ5gが形成され、長辺部5bの長手方向におけるプランジャ当接部16の少し右側から長辺部5bの先端までの間で、長辺部5bの下面5cに補強フランジ5eが形成されても良い。
【0041】
この場合には、図4(B)に示すように、補強リブ5gおよび補強フランジ5eは、補強リブ5gの右端側部分と補強フランジ5eの左端側部分とが長辺部5bの長手方向において互いに重なるように形成されることが好ましい。このようにすると、レバー部材5の剛性をより効果的に高めることができる。なお、レバー部材5には、第1補強部として補強フランジ5fが形成され、第2補強部として補強リブ5hが形成されても良い。
【0042】
上述した形態では、補強フランジ5e、5fは、補強フランジ5fの右端と補強フランジ5eの左端とが長辺部5bの長手方向において略一致するように形成されている。この他にもたとえば、長辺部5bの長手方向において、補強フランジ5fの右端と補強フランジ5eの左端との間に隙間が形成されるように補強フランジ5e、5fが形成されても良い。また、上述した形態では、補強フランジ5e、5fは、長辺部5bの長手方向において途切れないように連続的に形成されているが、補強フランジ5eおよび/または補強フランジ5fは、長辺部5bの長手方向において断続的に形成されても良い。また、補強フランジ5eおよび/または補強フランジ5fが長辺部5bの長手方向において断続的に形成される場合には、断続的に形成された補強フランジ5eおよび/または補強フランジ5fの隙間に、補強リブ5g、5hが形成されても良い。
【0043】
上述した形態では、長辺部5bの長手方向における長辺部5bの基端からプランジャ当接部16の少し右側までの間に補強フランジ5fが形成され、長辺部5bの長手方向におけるプランジャ当接部16の少し右側から長辺部5bの先端までの間に補強フランジ5eが形成されている。この他にもたとえば、長辺部5bの長手方向における長辺部5bの基端からプランジャ当接部16までの間に補強フランジ5fが形成され、長辺部5bの長手方向におけるプランジャ当接部16から長辺部5bの先端までの間に補強フランジ5eが形成されても良い。また、長辺部5bの長手方向における長辺部5bの基端からプランジャ当接部16の少し左側までの間に補強フランジ5fが形成され、長辺部5bの長手方向におけるプランジャ当接部16の少し右側から長辺部5bの先端までの間に補強フランジ5eが形成されても良い。
【0044】
上述した形態では、補強フランジ5fは、レバー部材5の基端側からプランジャ当接部16に向かって形成され、補強フランジ5eは、レバー部材5の先端側からプランジャ当接部16に向かって形成されている。この他にもたとえば、被検出物当接部17を避けた位置に補強フランジ5fが形成され、プランジャ当接部16を避けた位置に補強フランジ5eが形成されるのであれば、補強フランジ5fは、レバー部材5の基端側からプランジャ当接部16に向かって形成されていなくても良いし、補強フランジ5eは、レバー部材5の先端側からプランジャ当接部16に向かって形成されていなくても良い。
【0045】
上述した形態では、筺体3は、液晶ポリマー等の液晶性の熱可塑性樹脂で形成されている。この他にもたとえば、筺体3は、結晶性の熱可塑性樹脂で形成されても良い。この場合には、筺体3の耐熱性を高めるため、筺体3にアニール処理を行うことが好ましい。また、筺体3は、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で形成されても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 マイクロスイッチ
2 スイッチ機構
3 筺体
4 プランジャ
5 レバー部材
5c 下面(レバー部材の一方の面)
5d 上面(レバー部材の他方の面)
5e 補強フランジ(第2補強部)
5f 補強フランジ(第1補強部)
5g 補強リブ(第1補強部)
5h 補強リブ(第2補強部)
16 プランジャ当接部
17 被検出物当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ機構が内蔵される筺体と、前記筺体に移動可能に保持され前記スイッチ機構に動力を伝達するプランジャと、前記筺体にその基端側が支持されるとともにその基端側を支点にして回動可能な板バネ状のレバー部材とを備え、
前記レバー部材の長手方向における中間位置で前記レバー部材の回動方向における前記レバー部材の一方の面に前記プランジャの先端が当接するとともに、前記レバー部材の先端側で前記レバー部材の回動方向における前記レバー部材の他方の面に被検出物が当接可能であり、
前記レバー部材の、前記プランジャの先端が当接する部分をプランジャ当接部とし、前記レバー部材の、前記被検出物が当接する部分を被検出物当接部とすると、
前記レバー部材の前記他方の面に、かつ、前記被検出物当接部を避けた位置に前記レバー部材の強度を補強するための第1補強部が形成され、
前記レバー部材の前記一方の面に、かつ、前記プランジャ当接部を避けた位置に前記レバー部材の強度を補強するための第2補強部が形成されていることを特徴とするマイクロスイッチ。
【請求項2】
前記第1補強部は、前記レバー部材の基端側から前記プランジャ当接部に向かって形成され、前記第2補強部は、前記レバー部材の先端側から前記プランジャ当接部に向かって形成されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロスイッチ。
【請求項3】
前記第1補強部および前記第2補強部は、前記レバー部材の長手方向において途切れないように連続的に形成されていることを特徴とする請求項2記載のマイクロスイッチ。
【請求項4】
前記レバー部材の長手方向における前記第1補強部の、前記レバー部材の先端側端は、前記プランジャ当接部よりも前記レバー部材の先端側に配置され、
前記レバー部材の長手方向における前記第2補強部の、前記レバー部材の基端側端は、前記プランジャ当接部よりも前記レバー部材の先端側に配置されていることを特徴とする請求項3記載のマイクロスイッチ。
【請求項5】
前記レバー部材の長手方向における前記第1補強部の、前記レバー部材の先端側端と、前記レバー部材の長手方向における前記第2補強部の、前記レバー部材の基端側端とが、前記レバー部材の長手方向において略一致することを特徴とする請求項3または4記載のマイクロスイッチ。
【請求項6】
前記レバー部材の長手方向における前記第1補強部の、前記レバー部材の先端側端部分と、前記レバー部材の長手方向における前記第2補強部の、前記レバー部材の基端側端部分とが、前記レバー部材の長手方向において互いに重なっていることを特徴とする請求項3または4記載のマイクロスイッチ。
【請求項7】
前記第1補強部および/または前記第2補強部は、前記レバー部材の長手方向に直交する方向における前記レバー部材の端部が折り曲げられて形成された補強フランジ、または、前記レバー部材の長手方向に沿って形成される補強リブであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマイクロスイッチ。
【請求項8】
前記筺体は、熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマイクロスイッチ。
【請求項9】
前記筺体は、液晶性の熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項8記載のマイクロスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−70933(P2011−70933A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221094(P2009−221094)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】