説明

マイクロプラズマ発生器及びその応用

【課題】連続する線状又はリング状のプラズマを発生するマイクロプラズマ発生器を提供する。
【解決手段】低温、大気圧下で使用するマイクロプラズマ発生器100は、誘電体基板の上に少なくとも一つの金属細片101を備えており、該金属細片101の第1の端部107は接地平面105に接続されていると共に、第2の端部110は接地電極111に隣接している。また、金属細片101の第2の端部110と接地電極111との間には隙間115が設けられている。細片101には高周波電力が供給されており、その周波数は、細片101の長さが該細片101に沿って移動する波長(λ)の1/4の奇数倍となるように選択されている。マイクロプラズマは、細片101の第2の端部110と接地電極111との間の隙間115に、その領域の電場に起因して発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年4月28日に出願した米国仮出願番号61/173334の利益を享受することを主張する。
【0002】
本発明は、米国エネルギー省からの許可Grant DE-SC0001923に基づくサポートによりなされたものであり、従って、米国政府は、本発明について一定の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
基板表面の処理技術についての改善が要望されている。例えば、光電池(PV)素子は、太陽電池を形成するために、ガラスシートなどのような基板材料の上に、各種材料、例えばシリコンや金属などの複数の薄膜層を堆積して製造するのが典型例である。
【0004】
PV素子は、化石燃料に比べてまだコストが高い。一般に、PV素子の製造は、もともと半導体工業によって発展してきた半導体技術を基礎とするものである。半導体チップは非常に高機能であるけれども、サイズ(面積)は小さい(高々約1cm程度)。これとは対照的に、光電池(PV)素子は比較的単純な素子であって、サイズ(面積)は非常に大きい。10個からなる半導体チップを製造する技術は、単一で大型サイズのダイオード(例えば、PV電池など)の製造には必ずしもうまく適合していない。それにもかかわらず、チップ技術は、現在、寸法的には、PV製造のスケールになっている。現在、PV製造用設備には、高度の真空技術を使用しており、連続的にチャンバーからチャンバーへ大きなシート状のガラスを転送し、太陽電池形成のためにそのガラスの基板にシリコンや金属を複数層堆積させている。所謂、このバッチ法での製造方法は、大きな体積のものを低コストで製造する用途とは矛盾する。
【発明の概要】
【0005】
[発明の要約]
本発明の一態様によれば、本発明のマイクロプラズマ発生器は、少なくとも1つの金属細片を有する。その金属細片の第1の端部は隣接する接地平面に接続されていると共に、該金属細片の第2の端部はその細片の接地電極に隣接しており、該第2の端部と接地電極との間には隙間を備えている。高周波電力がその細片に供給されており、好ましくは、入力インピーダンスが電源のインピーダンスとマッチングしているのがよい。ある実施形態においては、周波数は、細片上を移動する信号の波長の1/4の奇数倍となるように選択されている。マイクロプラズマは、細片の第2の端部と接地電極との間の隙間に、当該領域での電場に起因して発生する。
【0006】
本発明の他の態様として、マイクロプラズマ発生器は、互いに近接した金属細片のアレイを備えている。当該細片の少なくとも1つは、高周波数電力に対する入力を有している。細片の残りは、少なくとも1つの電力が供給されている細片からの結合に起因して共振する。マイクロプラズマは、各細片の端部と接地電極との間の隙間(ギャップ)に発生する。ある実施形態においては、前記アレイの細片は、前記隙間が実質的に互いに隣接し合うように配置されており、各隙間は、実質的に連続したプラズマを生成するために重なり合っている。一実施形態では、前記隙間は同一直線上にあり、プラズマの“ライン”を形成している。別の一実施形態では、前記隙間は概ね円形に配置され、プラズマリングを生み出している。
【0007】
一実施形態では、上記アレイへ供給される電力周波数は、結合されたアレイの動作モードの励起周波数に対応するように選択されている。また、他の実施形態では、プラズマの不均一性を改善するために、動作モードのそれぞれの励起周波数に対応する少なくとも2以上の周波数が供給される。
【0008】
さらに、本発明の別の態様によれば、少なくとも1つの金属細片を備えてなるマイクロプラズマ発生器は、基板の表面を変性するために用いられる。また、他の実施形態では、基板の表面は、例えば、SiH(水素化ケイ素)のような化学的によく反応するガスを用いることにより材料を付加(例えば、堆積)、あるいは、CF(四フッ化メタン)のような反応性のガスを用いることによって材料を除去(例えば、エッチング)、あるいは、酸素や水蒸気などを用いて化学的に変性するなどにより変性される。
【0009】
本発明に係る方法及びシステムでは、本発明のマイクロプラズマ発生器は、“ロールからロールへのコーティング(roll-to-roll coating)”方法において、基板上に材料を堆積するために用いられる。基板材料は、回転(ロール)形式によって供給することができ、そして、そのロールに巻かれた基板材料はロールから解かれ、マイクロプラズマ発生器によって処理される。このマイクロプラズマ発生器は、好ましくは線形プラズマを生成するマイクロプラズマアレイであって、その基板は再度ロールに巻かれる。基板は、その基板上に薄いフィルム層を堆積することにより製造(加工)することができる。この方法の利点は、マイクロプラズマが冷たいから、例えばプラスチックのような低コストの基板材料の使用が可能になることである。また、そのマイクロプラズマは、大気圧又はこれに近い圧力で発生され、ロールに巻かれた材料が処理領域を出たり入ったりするので、高価な差動ポンプ(differential pumping)を用いる必要がない。また、ある実施形態では、光電池(PV)素子を提供するため、マイクロプラズマ発生器が、少なくとも1つの材料層を基板上に堆積させるのに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の好ましい実施例の記述、請求項及び添付図面を参照することにより明らかになるであろう。
【0011】
【図1A】図1Aは、本発明に係る1/4波長の線形共振器及びマイクロプラズマ発生器の平面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの線形共振器の側断面図である。
【図2】図2は、共振周波数で動作した単一共振器の等価回路を示す説明図である。
【図3】図3は、列状に重なり合ったマイクロプラズマを生成するための線形共振器アレイを示す平面図である。
【図4】図4は、その構造及び5つの共振細片の上に誘導された高周波電流を示す説明図である。
【図5】図5は、電力が、5列の線形共振器アレイのための電磁シミュレーション及び測定された反射係数の双方のために吸収される固有周波数を示すグラフである。
【図6】図6は、5つの共振システムでの最初の2つの固有モード及び当該最初の2つの固有モードの重ね合わせに対するエネルギー分布を示すグラフである。
【図7A】図7Aは、線形アレイと、第1モード(733Torrで、f=413MHz、0.66W)における放電隙間でのプラズマ分布を示す図である。
【図7B】図7Bは、線形アレイと、第2モード(731Torrで、f=471MHz、0.63W)における放電隙間でのプラズマ分布を示す図である。
【図7C】図7Cは、線形アレイと、第1モード及び第2モードの重ね合わせによって生成されるプラズマ分布を示す図である。
【図8】図8は、多重周波数でのマイクロプラズマ発生器アレイ及び電力供給用の電源を示す説明図である。
【図9】図9は、多重周波数入力を備えたアレイを示す図である。
【図10】図10は、本発明に係るマイクロプラズマの線形アレイの写真である。
【図11】図11は、露光時間を減らした状態での図4のアレイの写真である。
【図12】図12は、36要素を備えたアレイを示す図である。
【図13】図13は、細片ラインに対して直接電力供給される電源を備えた16要素アレイを示す図である。
【図14】図14は、幾何学的に円形なマイクロプラズマ発生器アレイを示す図である。
【図15】図15は、円形アレイの配置構成を示す説明図である。
【図16】図16は、リング状のマイクロプラズマを発生する円形アレイを示す図である。
【図17】図17は、本発明の一態様に係る線形マイクロプラズマアレイを用いたロールからロールへの被覆装置の機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、2009年4月28日に提出された米国仮出願No.61/173,334の利益享受を主張するものであって、その全ての内容が以下に網羅されている。
【0013】
図1A及び図1Bは、それぞれ本発明の一態様に係るマイクロプラズマ発生器100の平面図及び側部断面図を示す。本実施形態のマイクロプラズマ発生器100は、誘電体(材料)103の表面に支持された単一の金属細片101を備えている。接地平面105は、金属細片101とは反対側に位置する誘電体103の上に設けられている。金属細片101の第1の端部107は、誘電体103において、単一のビア(via)109を通って接地平面105に接続されている。接地電極111は、ビア113を通って接地平面105に接続されている。隙間(ギャップ)115は、金属細片101の第2の端部110と接地電極111との間の領域に形成されている。
【0014】
高周波数電力の電源117は、上記細片101に、好ましくは、入力インピーダンスと電力インピーダンスがマッチングする細片上の場所で、接続されている。電源の動作周波数は、細片101の長さが細片上を進む波長の1/4の奇数倍となるように選択されるのが好ましい。マイクロプラズマ120は、細片101の第2の端部110と接地電極111との間の隙間115において、その領域の電場に基づいて生成される。図1A及び図1Bに示す実施形態では、前記細片101は、波長の1/4であって、比誘電率(relative dielectric constant;相対的な誘電定数)9.8を有する誘電体層103の上の接地平面105の上方で支持されている。
【0015】
一つの態様によれば、隙間115に形成されるマイクロプラズマ120は、低温(即ち、“コールド(冷温)”)の大気圧でのプラズマである。当該技術分野で知られているように、プラズマはイオン化されたガスであって、電場によって加熱された電子はガス原子をイオン化するように作用する。ガス圧が低いときには、プラズマ内部のホットエレクトロン(熱電子)は、比較的、ガス原子と殆ど衝突しない。従って、蛍光(圧力が高々略1Torr程度)で観察されるように、ガスは冷たいままである。しかしながら、大気圧又はそれに近い圧力(圧力が略760Torr程度)では、プラズマ内部の自由電子はガス原子と頻繁に衝突し、ガスを非常に高温(例えば、5,000〜10,000K)にまで加熱する。大気圧雰囲気中のプラズマの例としては、稲妻や溶接アーク等が含まれる。高温プラズマは有害であり、従って、光電池(PV)の製造を含む多くの工業的な処理には不向きである。
【0016】
近年、大気圧又はこれに近い低圧下で比較的低温のプラズマを生成するプラズマ発生器の開発が行われている。これらの、いわゆる低温大気圧プラズマは“冷たい”プラズマとして知られており、しばしば500K以下で、一般には300〜1000Kの範囲にある、より低いガス温度によって特徴付けられている。これらの“冷たい”プラズマ放電は、アーク放電に限られるものではなく、典型的には、かなり小さな(<1mm)ものであり、工業的処理に必要とされる1mまでの比較的広い領域をカバーするものではない。しかしながら、これらの低温大気圧プラズマは、非常に多くの製品の工業的処理への適用に有利であり、特に、例えばプラスチックのような熱に敏感で、低廉な日用品用途の素材を処理するために有利である。
【0017】
大気圧雰囲気での冷温プラズマを生成させるマイクロプラズマ発生器の例としては、分割されたリング状共振器(SRR:Split Ring Resonator)がある。この装置では、マイクロプラズマは、リング状の微小細片の伝送ライン(microstrip transmission line)に形成される放電隙間(例えば、25μm)に生成される。冷温大気圧雰囲気プラズマは、共振回路を用いることで、マイクロ波エネルギー(0.4〜2.4GHz)をプラズマ電子と結合させることによって生成される。その共振回路は、ガス分子の回転及び振動の各モードとの強力な結合を行うことなく(即ち、多大な熱を生じることなく)、プラズマ電子を加熱するような高電場E(Eは略10MV/m程度)を生成する。プラズマ内部の気体温度は、窒素分子の回転スペクトルを使用して測定することができ、典型的には、100〜400℃の範囲内にある。SRRプラズマ発生器の具体的な例としては、ホップウッドら(Hopwood et al.)の米国特許第6917165号に記載されており、その全ての内容が本明細書に参考として組み入れられている。
【0018】
本発明に係るマイクロプラズマ発生器には、好ましくは、冷温大気圧雰囲気プラズマを生成するためのマイクロ波共振回路が用いられる。冷温プラズマ技術について知る限り、マイクロ波共振器についての研究により、最も低いガス温度と最も長い電極寿命が維持されるようになる一方、最強の電子密度が提供されるようにもなったのである。
【0019】
図2は、共振周波数で運転動作された単一の共振器100の等価回路を示す。この実施形態では、前記共振器は、高い比誘電率(ε=10.2)を有する材料で製造された微細細片の伝送ラインからなり、共振器の端部と接地グランドとの間に形成される200μmの放電隙間を横断する、最大電圧差rfを有する1/4波長共振器に基づいて設計されている。
【0020】
入力ポートの物理的な位置が、その電力インピーダンス(50Ω)とマッチングするように選択されているので、マイクロ波電源は、ネットワークとマッチングさせることなく、共振器と直接接続されている。1/4波長共振器の入力インピーダンスは、図2に示した等価伝送ライン回路を基礎としており、2ラインの区間(Z‖Z)の平行インピーダンスよって計算されている。これは、J.ChoiらのPlasma Source Sci. Technology 18, 025029 (2009)の伝送ラインモデルから導出されており、その全ての内容は本明細書に参考として組み入れられている。プラズマの発生が見られない単一ライン共振器での共振周波数は、f=473.9MHzである。マイクロプラズマのインピーダンス[Zp=Rp+jXp(Ω)]は、F. Iza及びJ. HopwoodのPlasma Sources Sci. Technol. 14, 397 (2005) に記載された方法を用いて、周波数に対する、前方及び反射の電力(S11)の割合(比)から導出されており、その全ての内容は本明細書に参考として組み入れられている。概括するに、プラズマインピーダンスは、抵抗と容量の成分を有する複素数である。共振周波数は、プラズマの表皮(シース)容量(Xp=−910Ω)に起因して、fから456MHzへシフトしており、共振吸収曲線は、マイクロプラズマ(Rp=492Ω)による共振器の抵抗負荷に起因して、広がっている。
【0021】
現行の冷温プラズマ発生器について不都合なことの一つは、工業的な製法について、特に基板の表面を変性するための処理に対して、幾何学的な配置が最適化されていないことである。例えば、SRR装置は、単一の“点”としての幾何学的な配置に限られており、その結果、広い領域(面積)を有する基板の処理に対する有効性が厳しく制限されている。
【0022】
図1A及び1Bに示すマイクロプラズマ発生器100の利点は、多数の微細片共振器を、隙間115が互いに隣接するようにすぐ近くに配置できることである。マイクロプラズマは、広がった領域に亙って実質的に連続的なプラズマ放電を生み出すために、各隙間が重なり合った状態で形成されている。一実施形態では、微細片共振器が、前記複数の隙間が互いに同一直線上にあってプラズマによる連続した“ライン”を作り出すように配置されている。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、金属細片201の線形アレイ200の一例が、図3に示されている。この実施形態では、線形マイクロプラズマアレイ200が、強力に結合された1/4波長微細片共振器によって駆動される。該細片のアレイは、重畳するマイクロプラズマを生成し、実質的に連続したプラズマライン203を生成している。前記アレイは多かれ少なかれ複数の細片を含むことができることが理解されるであろうが、これを例証するために、16本の細片のみが示されている。好ましい実施形態においては、アレイ200は多数の細片(例えば、およそ100本程度或いはそれ以上)を備えている。その細片は、一つのrf回路基板の上に、ミクロ機械加工されている。個々の電源(位相干渉性は失われているであろう)を備えた各共振器を駆動させることは、一般的に現実的ではない。従って、好ましい実施形態では、共振器の線形アレイは、強力な共振結合の助けにより、単一の電源205により駆動される。結合モード理論は、複数の共振器間のエネルギー交換のための正確なモデルを与える。
【0024】
結合モード理論は、次式

により、共振器システム間の相互作用を規定している。式中、aは、共振周波数ω及び減衰Γを有する共振システムmに貯蔵されたエネルギーを示す。mとnとの間の結合係数は、κmn及び強制関数F(t)によって与えられる。もし、すべてのシステムが同一の共振周波数を有するのであれば、そして、(κmn/ΓΓ>1であるならば、エネルギーは効果的にmからnへ及びnからmへ移送される。
【0025】
強力な共振結合は、2つのSRRを分離している共通の接地平面で組み立てられた2つのSRR共振器の場合において、実証されてきた。しかしながら、このシステムは、2つのマイクロプラズマが連続した接地平面によって互いに完全に隔離されているので、線形プラズマ用としては適さない。アレイ上に都合良く組み立てられるマイクロプラズマ発生器を製造するためには、前記SRRの実質的な修正が必要である。このSRRは、対称的な電圧定在波を備えた半波長共振器である。リングの中心と放電隙間とを通って延びる対称面を選択することによって、対称面で前記リングを接地すると共に、前記共振器に影響を与えることなく、隙間の中央配置で接地平面を挿入することが可能となる。半波長共振器を直線に変えるように変更することにより、図1A及び1Bに示した前記λ/4共振器を形成することができる。電源入力117の位置は、任意の現実の駆動源(典型的には50Ω)に対してインピーダンス整合を図るようにする。2つの接地バイアス109、113は、対称垂直面によって誘起された接地を示す。
【0026】
線形共振器の発展とともに、例えば、強固に結合した線形共振器のアレイを作り出すことが可能となる。図4は、その構造を示すものであって、5本の共振細片の上に高周波電流が誘導されている。5つの結合された線形共振器の電磁気的な応答性は、Ansoft社(米国、ピッツバーグのLLC)のENSEMBLETM(登録商標)シミュレータツールを使用してモデル化された。5つのマイクロ放電隙間は、同図の右上隅に示すように、互いに整列して(一列に並んで)配置されている。電源は最も左側の共振器にのみつながれている。残りの4つの共振器の応答性は強力な電磁結合に起因する。
【0027】
n個の共振器のアレイを考慮し、aとして示すi番目の共振器に蓄えられているエネルギーを定義すると、n個の共振器間の結合は、最低次数について、次式

で表すことができる。式中、ωは、隔離したi番目の共振器の共振周波数、Γは減衰係数、
は外部入力関数、κはi番目とm番目の共振器間の結合係数を示す。
【0028】
単一のn−共振器系に対するn個の微分方程式(2)の解は、結合された複数の共振器のシステムに対するn個の固有周波数を与える。図5は、5つの共振器アレイを有する特別の場合において吸収される電力の擬似(シミュレーション)固有周波数及び実測固有周波数を示す。3次元シミュレーションには、ANSOFT HFSSTM(登録商標)が用いられると共に、計測には、HP438A電力計、HP8481A電力センサ及びナルダ マイクロ波双方向同軸カプラー(Narda Microwave bidirectional coaxial coupler)が用いられた。5つの固有周波数のうちの4つは、はっきり目視できる。最後のモードは、前記4番目のものと重なっており、共振器の有限の品質係数Qのために解くことができない。シミュレーションと実験との間の周波数のずれは、製造の間に誘電体基板の細りに起因して起こり、S11の全般的な減少は、実験的な電力伝送ロスによって生じる。
【0029】
方程式(2)を解くことにより、最初の2つの固有モード及び5つの共振器システムでの2つの固有モードの重ね合わせに対するエネルギー分布を示している図6に示すように、最初の2つの固有モードに対する共振器間のエネルギー分布が算出される。これらの結果は、図7A,7Bに示すように、電場のシミュレーション及びマイクロプラズマ生成実験によっても実証されている。全ての場合において、電力は第1共振器(i=1)にのみ供給され、残りの共振器は共振結合を介して動作する。アレイに沿った均一な分布のプラズマの生成のため、全共振器は最初の2つの固有モード(図6)の重ね合わせによって動作させることができる。図7Cに示すように、最初の2つのモードを加算することにより生じる放電は、不均一さを改善している。このモードの重ね合わせは、上述したように、rf電力結合器を使用し、かつ、この増幅された波形を第1共振器のみに適用して、2つのrf信号生成器から2つの周波数を結合させることで、簡単に実行される。図7Cに示す例では、プラズマは、全出力が733Torrで0.63Wを発生させるために、413MHzで0.54W(第1モード)及び471MHzで0.09W(第2モード)の重ね合わせによって生成される。
【0030】
一般に、マイクロプラズマ発生器アレイは、Nモードでの運転態様を有しており、ここでNはアレイでの要素の数である。それぞれのモードは、アレイでのマイクロ波電力を吸収する固有の周波数を有している。そのモードはまた共振器間のエネルギー分布について固有のパターンを有している。図8に概要を示すように、マイクロプラズマ発生器アレイ200は、一方が396MHz、他方が427MHzで動作する、2つのrf生成器源231、233によって電力供給がなされる。これらの周波数は、マイクロプラズマ発生器アレイ200のそれぞれのモードに対して、励起周波数に対応している。図8に示すように、2つの生成器231,233からの2つの信号が一つに合算され、増幅され、アレイ200へ供給される。図9は、重畳周波数入力を有する単一のアレイを示す。この例では、周波数が低くなるほどアレイの中心へ向かうマイクロプラズマが励起され、周波数が高いほどアレイの端部へ向かうマイクロプラズマが励起される。2モードの重ね合わせは、マイクロプラズマのほぼ均一ラインの近傍に与えられる(この例では、前記プラズマは、(ちょうど中心である)共振器の4番目に電力が直接供給される場所で僅かに大きくなる。)。この実施形態では、2つの周波数が入力に加えられ、各周波数は前記アレイの一つのモードを励起する。2以上の周波数が入力に加えられることが分かるであろう。一実施形態においては、前記アレイの動作のために単一モードでの励起周波数にそれぞれ対応する、Nまでの異なる周波数を入力に加えることができる。一態様として、励起周波数のモードの重ね合わせは、プラズマの均一性を改善する。
【0031】
図10は、大気圧のほぼ半分のアルゴン中でのマイクロプラズマ動作中の実際の線形アレイを示す写真である。電力は、前記写真の上部における共軸線を通る最上部の共振器へ供給される。5つ全てのマイクロプラズマは、隣接する共振器の密接な結合を通して維持されている。この実施形態では、マイクロプラズマアレイは、413MHz、1ワットの出力で動作する。
【0032】
図11は、個々のマイクロプラズマがより明らかになるように、露光が減ぜられた図10の線形アレイの写真である。
【0033】
図12は、36要素を有する単一の線形マイクロプラズマ発生器アレイの一例である。最上部の右角隅の大きな銅の小片(破片)は、インピーダンス整合用キャパシタ(面積=w×1)である。そのマイクロプラズマはそのアレイの左側に沿って形成されている。インピーダンス整合は、図13の16要素アレイに示すように、微細細片ラインの一つへ電力が直接供給されることで改善される。これは、インピーダンス整合キャパシタに対する必要性を除去している。
【0034】
図14は、幾何学的に円形を有するマイクロプラズマ発生器アレイ300を示す。上述の線形アレイの場合のように、円形アレイ300は1/4波長微細細片共振器301と強く結合することによって駆動される。前記細片のアレイ300は、円形パターンを形成している各細片において、隙間305を伴った中央軸302の周囲に配置されている。各隙間305に発生するマイクロプラズマは、実質的に連続するリング状マイクロプラズマを作り出すために重なり合っている。
【0035】
その円形アレイの構成は、円筒物、チューブ、ワイヤなどの表面を処理するために役立つ。一実施形態では、加工品が基板及びプラズマの中心を通過するのを許容するために、開口307が誘電性基板305に形成されている。他の実施形態では、マイクロプラズマリングは、プラズマリングの中心を流れる流体(例えば、液体又は気体)を処理することができる。例えば、解析化学への応用において、解析物(例えば、気体或いは液体中の蛋白質)はリングから出射された高エネルギー状態の光子によって光イオン化され、その後、解析のために質量スペクトロメータへ導入される。もう一つの別の実施形態では、プラズマリングからの光子は、気体又は液体(これはプラズマリングの中心を通ってチューブの中を流れる)中で蛍光を誘導するために使用される。従って、その蛍光信号の光学的な出射(発光)スペクトルは、サンプルの化学的な性質の分析のために使用される。
【0036】
図15及び16は、円形アレイ装置の典型的な一例を示す。図15はその装置の構成を示すとともに、図16はリング状のマイクロプラズマを示す。絶縁性ディスクは、中心領域にプラズマを閉じ込めるためにアレイに対してテープが張られている。
【0037】
前記円形アレイは、上述したように、プラズマの均一性を改善するために、多重入力周波数を用いて動作させることができることが理解できるであろう。また、上述の線形及び円形プラズマアレイに加えて、前記アレイは、楕円、2つのプラズマラインを作り出すための二重平面アレイ、3次元アレイを形成するために垂直に積み重ねた複数の線形アレイを含んだ、任意の適切な幾何学的配列を含むことができる。
【0038】
本発明のマイクロプラズマ発生装置は、酸化アルミニウム(Al)、ガラス 、或いはロジャース社(Rogers Corporation)のデュリオド(登録商標:DuriodTM)製の基板を使用して、組み立てることができる。その好ましい材料としては、化学反応に対する抵抗性に優れた酸化アルミニウムが挙げられる。低い電磁損失(即ち、低損失の接平面を有する)を示す任意の誘電体が好適である。誘電体の厚さは、0.1mmから数mmの範囲でよい。前記誘電体層の正面と背面は、粘着(接着)促進層及び高導電性金属で完全に被覆されているのが好ましい。例えば、金の貼着を改善するために、金を被覆する前に薄いクロム層でガラス基板を覆うことがしばしば必要となっている。金属層は、全て高い電気伝導率を示すものがよく、好ましくは磁性材料でないのがよい。典型的な金属は、銅及び金を含む。
【0039】
前記1/4λの微細細片の上面に、誘電体(例えば、ガラス)、或いは耐熱性の金属(例えば、タングステン)の薄い保護層で金属層を被覆することは有益かも知れない。一つの実施形態では、マイクロプラズマ発生器の金属構造をプラズマから保護するために、第2の誘電体層を金属細片及び接地電極の上に形成することができる。そのマイクロプラズマはこの保護誘電体層の上面に形成される。この保護誘電体層は、ガラスや酸化アルミニウムなどが好ましいが、任意の誘電体で構成することができる。この保護誘電体層の厚さは、例えば、1μm〜500μmの範囲である。この保護誘電体層は厚くなればなるほど保護性能は増大するが、その反面マイクロプラズマの強さは減ぜられる。
【0040】
前記装置の金属層を備えた前記構造は、例えば、(1)回路基板の原型治具(例えば、LPFK回路基板の研磨治具が、デュリオド(Duriod)/銅ラミネートをパターン化するために用いられる)を用いて望ましくない表面を研磨したり、或いは(2)(電子工業において知られている方法に従った)フォトリソグラフィ的に所望の構造を定め、引き続き、保存すべきことが望まれている構造を保護するフォトレジストマスクを備えた酸或いはプラズマを利用して金属層をエッチングすることにより形成することができる。さらなる組み立て方法は、フォトレジスト層上への金属の積層を伴う、誘電体基板上に直接フォトグラフィによって金属構造を形成することである。フォトレジスト層の除去により、誘電体上に金属パターンを残すことができ、この方法は、リフトオフ法として知られている。これらの処理法(手順)の全てが、電子工業、特にマイクロ波集積回路工業では普通に実施されている。
【0041】
本装置の特徴的な大きさは、幾つかの実施形態によれば、
隙間;1〜1000μm(用いる気体(空気=20ミクロン(微子サイズ)、アルゴン=200ミクロン(微子サイズ))にもよるが、好ましい隙間幅は25〜250μm)
微細細片の幅;1mm
微細細片の長さ;1/4・λ(Alを用いた場合、450MHzで約60mm;長さは比誘電率に依存する)
微細細片の厚さ;50μm
誘電体の厚さ;2.5mm
電力周波数;100MHz〜10GHz(好ましくは、約1〜3GHz)
電力;各細片当たり、0.1〜1.0W(このパラメータは気体と処理方法に依存する)
【0042】
薄膜積層
本発明の低温大気圧マイクロプラズマ発生器は、非常に多くの工業的製法での応用に使用することができる。例えば、かかるマイクロプラズマ発生器は、例えば、プラスチックなどのような廉価な商品の基板を含む様々な基板材料の上に、高品質の薄膜を堆積するために使用される。
【0043】
現在、基板上に素子品質に優れた半導体(例えば、シリコン)薄膜を堆積させる最も一般的な方法は、(1)高温化学気相成長(堆積)法(CVD)、および(2)低圧プラズマ化学気相成長(堆積)法(PECED)である。前者の方法で要求される高温度は、コスト効率のよい基板に使えず、従って、CVD法は、一般に高価なシリコンウエハの製造に制限されている。一方、後者のPECVD法は、高価で、複雑な高真空技術及びバッチ処理に用いられる。PECVD法の利点は、エネルギーの高いプラズマ電子の方が、熱的方法より返って、必要な化学反応を誘導しやすいため、低温での操作が可能である点である。かくして、PECVD法は、ガラスのようなよりコスト効率の良い基板に用いられる。
【0044】
図17は、マイクロプラズマ発生器701を用いて基板703上に薄膜を堆積するための装置700を示す。この実施形態では、装置700は、ロールからロールへの被覆装置(a roll-to-roll coating apparatus)を備えており、基板703は、被覆用ローラ705から巻かれずに供給され、低温大気圧プラズマを用いて薄膜707が被覆され、それから巻き戻される。
【0045】
ロールからロールへの被覆技術は、プラスチックのような安価な基板上に金属薄膜を堆積するための低コストの方法として、広く使用されている。例えば、ポテトチップ袋の製造において、ロールコーティング法は、ごくわずかなコストで、これらのプラスチック袋の内側に高品質の金属薄膜を堆積するために用いられている。その金属(典型的にはアルミニウム)は、電子ビーム蒸発器からのエネルギーを用いて蒸着される。ロールコーティング法は、現在、プラスチック上へ金属を堆積するために使用されるけれども、従来のロールコーティング技術は、例えば半導体材料の堆積や光電池装置の製造のような、より複雑な応用に対しては適していない。
【0046】
本発明の一実施形態では、現在の線形マイクロプラズマ発生器アレイは、プラスチックのような低コスト商品用基板を含む基板を、装置グレードのシリコン薄膜を含む高品質の薄膜で被覆するため、ロールからロールへの被覆処理に使用されている。低温大気圧プラズマを使用するロールからロールへの堆積処理は、低温基板(CVDとは違って)及び大気圧または略大気圧(従前のPECVDとは違って)で実施できるため、従前のCVD法やPECVD法に比べて有利である。従って、従前のPECVD法による複雑で高価な真空技術やバッチ処理技術を回避できると共に、ロールからロールへの被覆のような安価な被覆技術を大気圧または略大気圧で実施できる。
【0047】
図17に示すロール被覆装置700において、マイクロプラズマ発生器701は、好ましくは、例えば図3に示すような、実質的にプラズマの連続線を生成する結合線形共振器のアレイを備えている。幅広いプラズマ発生領域を与えるためには、共振器の数は一般的に多数(例えば、およそ100或いはそれ以上)であることが好ましいけれども、その共振器の数は、個々の適用例に依存して変更できる。基板への被覆を均一にするには、理想的には、前記プラズマの “線(ライン)”がローラ705の全幅を横切るようにすればよい。
【0048】
前記本発明のマイクロプラズマ発生器701は、好ましくは、安定化した、ライン状のプラズマの高プラズマ密度n(1014cm−3程度)を与えるのがよい。安定した線形マイクロプラズマアレイからの高密度イオンが、基板上への薄膜層の堆積を十分に可能にし得る高エネルギーフラックス(high energy flux)(即ち、これは低エネルギーイオンの高フラックスである)を供給する。例えば、本発明の線形マイクロプラズマアレイは、薄膜堆積を意図するものとして報告されている他の試み(例えば、誘電体障壁放電:dielectric barrier discharges)よりも、3桁高いイオンのフラックスを与えることができると考えられている。
【0049】
フィルム(薄層)被覆処理において、線形プラズマは、プラズマの周辺において気体分子を解離するために用いられると共に、解離した分子の断片を用いて基板上にフィルム(薄層)を堆積するために用いる。その堆積は、好ましくは、大気圧若しくは大気圧近傍で行われる。一つの態様として、前記線形プラズマはシランガス(例えば、SiH)ガスを解離すると共に、基板上に高品質シリコンフィルム(薄層)を堆積する。他の実施形態では、前記プラズマは、炭化水素ガス(例えば、CH)を解離すると共に、アモルファスのカーボン薄膜を堆積する。当業者によって理解されているように、様々な他のフィルム(薄層)がこのような方法で堆積される。
【0050】
図17に示したロールからロールへの被覆方法及び装置は、線形マイクロプラズマアレイを用いた、薄膜の堆積処理の一実施例にすぎない。本発明の線形マイクロプラズマアレイは、任意の好適なプラズマに基づく堆積技術を用いて、基板上に材料を堆積するために利用することができる、といったことが当業者によって理解されるであろう。
【0051】
堆積処理に加えて、線形マイクロプラズマアレイは、マイクロプラズマの周辺に、例えばCFのような好適な反応性ガスを用いて、基板から材料を除去することによって、基板表面を変性(例えば、エッチング)するために利用することができる。また、前記マイクロプラズマアレイは、酸素、水蒸気などを用いて基板の表面を化学的に変性するために使用することができる。これらの処理は、低温プラズマと大気圧或いは略大気圧近くの圧力を用いて有利に実施することができる。さらに、その線形プラズマアレイに加えて、他の幾何学配置を有するプラズマアレイは、上述の円形幾何学配置のような、基板表面の変性のために用いることができる。
【0052】
前記大気圧線形プラズマは、また、効率的な風力の生成と航空機の設計のための航空翼アクチュエータ分野にも応用できる。表面を制御するためにプラズマの流れを付加すると、例えば、高い迎角(high angles of attack)において、薄膜層の流れ(層流)を維持することができるといった、興味深い結果をもたらした。本発明に係る薄層堆積技術は、また、例えば、新規な触媒材料の創出への応用にも利用できる。
【0053】
本発明に係るマイクロプラズマ発生器のその他の応用には、光源;VUV、UV、及び可視光子群のライン状光源;情報表示装置;分析化学;分析目的のための化学サンプルのイオン化(電離化)または励起(例えば、質量スペクトル計、ガスクロマトグラフィ、原子分子発光分光計);UV蛍光計測計;及び、荷電粒子のための電子源(例えば、写真複写、粒子検知器)などが挙げられる。
【0054】
本明細書では、本発明についてその好ましい実施形態と共に述べてきたが、当業者は、本明細書を読取った後、この中に記載した構成(組成物)及び方向に対する効果的な様々な変更、等価物の置換、及び変性が可能になるであろう。従って、本特許出願によって許可される特許の保護範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0055】
100 発生器
103 誘電体
101 金属細片
105 接地平面
107 端部
109 ビア
109,113 接地バイアス
110 端部
111 接地電極
113 ビア
115 隙間
115 隙間
117 電源
120 マイクロプラズマ
201 金属細片
200 マイクロプラズマ発生器アレイ
203 プラズマライン
231,233 生成器
300 マイクロプラズマ発生器アレイ
301 微細細片共振器
302 中央軸
305 隙間
305 基板
307 開口
700 ロール被覆装置
701 マイクロプラズマ発生器
703 基板
705 被覆用ローラ
707 薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び第2の表面を有する基板と、
前記基板の第1の表面の上に設けた第1の端部及び第2の端部を有し、かつ動作周波数(λ)の1/4の奇数倍の長さを有する細片と、
前記基板の前記第2の表面上に設けられ、かつ前記細片の第1の端部が接続された接地平面と、
前記細片の第2の端部に隣接し、かつ前記接地平面に接続された接地電極とを備え、
前記細片の第2の端部と前記接地電極との間には放電隙間が設けられ、
さらに、前記細片への給電用電源への接続のためのコネクタと
を備えたことを特徴とするプラズマ発生器。
【請求項2】
前記基板が誘電材料を含んでなる平面基板であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項3】
前記細片が金属細片からなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項4】
前記接地平面に対して前記細片の第1の端部を接続させるために基板を介して設けられた第1のビアをさらに備えると共に、前記接地平面に対して前記接地電極を接続させるために基板を介して設けられた第2のビアを備えることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項5】
前記コネクタは、電源のインピーダンスに適合するイピーダンスを供給するために、前記細片の上の任意の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項6】
前記細片に供給された電源がマイクロ波電源であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項7】
大気圧または大気圧近傍でプラズマを発生することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項8】
前記プラズマの温度が300〜1000Kの範囲であることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ発生器。
【請求項9】
プラズマ発生器アレイを形成するために前記基板の第1の表面上に複数の細片をさらに設けたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項10】
前記細片及び接地電極に亙って保護層がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項11】
プラズマ発生器アレイであって、
第1の表面及び第2の表面を有する基板と、
前記基板の第1の表面に設けられた複数の強固に接続された共振細片とを備え、
該共振細片の端部と、対応する接地電極との間に複数の放電隙間が設けられ、かつ該放電隙間は互いに隣接しており、
さらに、少なくとも一つの細片への電力供給のために電源と接続するためのコネクタと
を備えたことを特徴とするプラズマ発生器アレイ。
【請求項12】
前記放電隙間が互いに同一直線上にあることを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項13】
前記基板の第2の表面上に設けられた接地平面をさらに有することを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項14】
前記各共振細片が動作周波数(λ)の1/4の奇数倍の長さを有することを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項15】
前記電源がマイクロ波電力を供給することを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項16】
前記基板上に少なくとも100の共振細片を備えることを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項17】
電力は一つの共振細片へのみ供給され、残りの共振細片は共振結合を介してプラズマを発生することを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項18】
大気圧又は大気圧近傍の圧力で連続なプラズマを生み出すことを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項19】
前記プラズマは実質的に線形であることを特徴とする請求項18に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項20】
前記プラズマの温度が300〜1000Kであることを特徴とする請求項18に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項21】
前記共振細片及び接地電極に亙って保護層がさらに設けられていることを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項22】
前記放電隙間は、概ね円形配置で配列されていることを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項23】
大気圧又は大気圧近傍の条件で連続なリング状のプラズマを生み出すことを特徴とする請求項22に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項24】
少なくとも2以上の周波数を含む入力電力を供給する電源をさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項25】
前記それぞれの周波数は、前記アレイの異なる動作モードを励起することを特徴とする請求項24に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項26】
前記複数の周波数には前記アレイの固有周波数を含むことを特徴とする請求項24に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項27】
前記基板を通して延びる開口をさらに備えると共に、前記放電隙間はリング状のプラズマを形成するために該開口の周囲に配列されていることを特徴とする請求項11に記載のプラズマ発生器アレイ。
【請求項28】
第1の端部及び第2の端部を有し、動作周波数(λ)の1/4の奇数倍である長さを有する一つの細片へ動作周波数の電力を供給し、前記細片の第2の端部と接地電極との間に形成された放電隙間にプラズマを発生させることを特徴とするプラズマ発生方法。
【請求項29】
前記動作周波数にはマイクロ波周波数を含むことを特徴とする請求項28に記載のプラズマ発生方法。
【請求項30】
少なくとも2以上の周波数でさらに電力を供給することを特徴とする請求項28に記載のプラズマ発生方法。
【請求項31】
基板上に設けた複数の強固に結合された共振細片を有してなるプラズマ発生器アレイに電力を供給し、前記各共振細片の端部と、対応する接地電極との間に複数の放電隙間を設け、該放電隙間は互いに隣接して設けられて連続したプラズマを発生させることを特徴とするプラズマ発生方法。
【請求項32】
前記プラズマが線形であることを特徴とする請求項31に記載のプラズマ発生方法。
【請求項33】
前記プラズマがリング形状であることを特徴とする請求項31に記載のプラズマ発生方法。
【請求項34】
前記各共振細片の長さが動作周波数(λ)の1/4の奇数倍であることを特徴とする請求項31に記載のプラズマ発生方法。
【請求項35】
少なくとも1以上の動作周波数で電力を供給することさらに備えたことを特徴とする請求項31に記載のプラズマ発生方法。
【請求項36】
少なくとも2以上の動作周波数で電力を供給することをさらに備えたことを特徴とする請求項35に記載のプラズマ発生方法。
【請求項37】
前記それぞれの動作周波数は、前記アレイの異なる動作モードを励起することを特徴とする請求項36に記載のプラズマ発生方法。
【請求項38】
前記複数の周波数には前記アレイの固有周波数を含むことを特徴とする請求項36に記載のプラズマ発生方法。
【請求項39】
一つの共振細片へ電力を供給し、共振結合を介して残りの共振細片へプラズマを発生することをさらに備えたことを特徴とする請求項31に記載のプラズマ発生方法。
【請求項40】
前記基板を通して延びた開口に製造中の一つの加工品を供給し、発生するプラズマで該加工品を処理するために前記開口の周囲に放電隙間を設けることをさらに備えたことを特徴とする請求項31に記載のプラズマ発生方法。
【請求項41】
前記基板を通して延びた開口を通じて流体を流し、発生するプラズマで該流体を処理するために前記開口の周囲に前記放電隙間を設けることをさらに備えたことを特徴とする請求項31に記載のプラズマ発生方法。
【請求項42】
前記プラズマで前記流体を光イオン化させることをさらに備えたことを特徴とする請求項41に記載のプラズマ発生方法。
【請求項43】
前記流体中に蛍光を含むことをさらに備えたことを特徴とする請求項41に記載のプラズマ発生方法。
【請求項44】
各細片の端部と対応する接地電極との間に互いに隣接する複数の放電隙間を区画する複数の強固に結合された共振細片を有してなるプラズマ発生器アレイを供給し、
前記プラズマ発生器アレイの少なくとも一つの細片に電源を接続し、
前記プラズマ発生器アレイの近くに変性させるべき表面の位置を定め、
前記表面を変性させるために連続したプラズマを発生させることを特徴とする基板表面の変性方法。
【請求項45】
前記放電隙間が実質的に同一直線上にあり、前記プラズマが実質的に線形であることを特徴とする請求項44に記載の基板表面の変性方法。
【請求項46】
前記放電隙間を概ね円形配置すると共に、前記プラズマがリング状プラズマであることを特徴とする請求項44に記載の基板表面の変性方法。
【請求項47】
前記プラズマが、前記表面に材料を加えることにより該表面を変性することを特徴とする請求項44に記載の基板表面の変性方法。
【請求項48】
前記プラズマが、前記表面から材料を除去することにより該表面を変性することを特徴とする請求項44に記載の基板表面の変性方法。
【請求項49】
前記プラズマが、前記基板の表面を化学的に変性することにより該表面を変性することを特徴とする請求項44に記載の基板表面の変性方法。
【請求項50】
前記プラズマが、前記表面を変性するために気体と反応することを特徴とする請求項44に記載の基板表面の変性方法。
【請求項51】
前記気体がシランガスであり、前記表面がシリコンの堆積により変性されることを特徴とする請求項50に記載の基板表面の変性方法。
【請求項52】
前記気体がフッ化炭素ガスであり、前記表面がエッチングにより変性されることを特徴とする請求項50に記載の基板表面の変性方法。
【請求項53】
前記線状プラズマが、大気圧又は大気圧近傍の圧力で発生されることを特徴とする請求項44に記載の基板表面の変性方法。
【請求項54】
前記プラズマの温度が300〜1000Kの範囲であることを特徴とする請求項53に記載の基板表面の変性方法。
【請求項55】
前記基板がプラスチックを含んでなることを特徴とする請求項44に記載の基板表面の変性方法。
【請求項56】
前記基板の表面が光電池素子を供給するために変性されることを特徴とする請求項44に記載の基板表面の変性方法。
【請求項57】
基板上に材料を堆積するための装置であって、
大気圧又は大気圧近傍の圧力で連続した複数のプラズマを発生する、強固に結合した複数の共振細片を備えるプラズマ発生器アレイと、
前記基板上に材料を堆積させるために線形状のプラズマの近くに前記基板の位置を定める供給機構と
を備えることを特徴とする基板に材料を堆積させるための装置。
【請求項58】
前記基板上に材料を堆積するために前記プラズマと反応する気体の供給源をさらに備えていることを特徴とする請求項57に記載の基板に材料を堆積させるための装置。
【請求項59】
前記プラズマの温度が300〜1000Kであることを特徴とする請求項57に記載の基板に材料を堆積させるための装置。
【請求項60】
前記装置がロールからロールへの被覆装置を備えていることを特徴とする請求項57に記載の基板に材料を堆積させるための装置。
【請求項61】
前記装置が、光電池素子を形成するために前記基板上に材料を堆積することを特徴とする請求項57に記載の基板に材料を堆積させるための装置。
【請求項62】
前記プラズマが実質的に線形状であることを特徴とする請求項57に記載の基板に材料を堆積させるための装置。
【請求項63】
前記プラズマが実質的にリング状であることを特徴とする請求項57に記載の基板に材料を堆積させるための装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−525684(P2012−525684A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508591(P2012−508591)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/032571
【国際公開番号】WO2010/129277
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(510300430)トラスティーズ オブ タフツ カレッジ (12)
【Fターム(参考)】