説明

マイクロポンプ装置

【課題】 ガス発生材料からのガス発生量ひいてはマイクロポンプの送液量の制御性の良いマイクロポンプ装置を提供する。
【解決手段】 このマイクロポンプ装置は、マイクロポンプ10と制御装置50とを備えている。マイクロポンプ10は、液体の流路であるマイクロ流路22と、光の照射を受けてガスを発生して当該ガスをマイクロ流路22に供給するガス発生材料34と、ガス発生材料34に光44を照射する光源42とを有している。制御装置50は、各ビットが光源42を点灯させる第1レベルと消灯させる第2レベルの2状態を取ることができる一定数の複数ビットから成るパルス列パターンを繰り返すことによって、光源42を2値状態で明滅させる制御パルス信号CSを光源42に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光照射を受けてガスを発生させるガス発生材料に光を照射してガスを発生させて、当該ガスによって例えば検体、試薬、希釈液等の液体を搬送するマイクロポンプと、その制御装置とを備えているマイクロポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光照射を受けてガスを発生させるガス発生材料に光を照射してガスを発生させて、当該ガスをマイクロ流路に供給して、当該ガスによってマイクロ流路内の液体を搬送するマイクロポンプが従来から提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
ガス発生材料からガスが発生するのは、簡単に言えば、光照射を受けてガス発生材料の分解反応(化学反応の一種)が生じ、それによってガスが発生するからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記マイクロポンプを使用する上で、そのガス発生材料からのガス発生量ひいてはマイクロポンプの送液量を制御することが重要であるけれども、その制御手段は、上記特許文献1、2には記載されていない。
【0005】
上記制御手段としては、通常、次の手段が考えられる。
(1)ガス発生材料に照射する光の強度を強弱に変える。
(2)ガス発生材料に照射する光の照射時間を長短に変える。
【0006】
しかしながらこれらには次の課題がある。
【0007】
上記(1)の場合、ガス発生材料の照射光強度に対する分解速度特性が、例えば図1中の特性A、C等のように、必ずしも特性Bのようにリニヤでないために、照射光強度の単なる強弱ではガス発生量の制御が難しい。つまり、照射光強度を少し強くすると、ガス発生材料の分解速度が急増してガス発生量が急増する場合がある。照射光強度を少し強くしたのでは、ガス発生材料の分解速度がなかなか増大せず、ガス発生量がなかなか増大しない場合もある。従って、ガス発生量の制御ひいては送液量の制御が難しい。
【0008】
上記(2)の場合、光照射時間の単なる長短では、中間段階のガス発生量を精度良く実現するのが難しい。これは、少しの光照射時間の誤差が、ガス発生量に大きく影響するからである。従って、この場合も、ガス発生量の制御ひいては送液量の制御が難しい。
【0009】
そこでこの発明は、ガス発生材料からのガス発生量ひいてはマイクロポンプの送液量の制御性の良いマイクロポンプ装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るマイクロポンプ装置の一つは、(a)液体の流路であるマイクロ流路と、光の照射を受けてガスを発生して当該ガスを前記マイクロ流路に供給するガス発生材料と、前記ガス発生材料に光を照射する光源とを有するマイクロポンプと、(b)各ビットが前記光源を点灯させる第1レベルと消灯させる第2レベルの2状態を取ることができる一定数の複数ビットから成るパルス列パターンを繰り返すことによって、前記光源を2値状態で明滅させる制御パルス信号を前記光源に供給する制御装置とを備えていることを特徴としている。
【0011】
このマイクロポンプ装置においては、制御装置から光源に供給する制御パルス信号の第1レベルのビット時に、光源が点灯してガス発生材料の分解反応が始まり、ガスが発生する。制御パルス信号の第2レベルのビット時に、光源が消灯してガス発生材料の分解反応が停止して、ガス発生は停止する。即ち、制御パルス信号に含まれる第1レベルのビット数に応じて、ガス発生材料の分解反応の持続時間が決まる。
【0012】
従って、制御パルス信号のパルス列パターンを構成する第1レベルのビットと第2レベルのビットとの組み合わせで、一定時間内のガス発生材料の分解量の総量(以下、「ガス発生材料みかけ分解速度」と言う。)を制御することができる。分解反応によって発生したガスは、ガス発生材料内で拡散して、マイクロ流路に湧出する。このマイクロ流路に湧出するガスの体積分だけ、マイクロ流路内の液体が搬送される。
【0013】
上記のような作用によって、制御パルス信号のパルス列パターンを構成する第1レベルのビットと第2レベルのビットとの組み合わせで、ガス発生材料からのガス発生量ひいてはマイクロポンプの送液量を、中間段階を含む複数段階に精度良く制御することができる。
【0014】
しかも、上記制御パルス信号は光源を2値状態で明滅させるものであるので、上記ガス発生材料の照射光強度に対する分解速度特性上の一定の動作点を利用することができる。従って、上記分解速度特性がリニヤでなくても、上記ガス発生材料みかけ分解速度をほぼリニヤに制御することができる。その結果、ガス発生量の制御が容易になり、ガス発生量の制御性が良くなる。
【0015】
前記ガス発生材料は、前記光源の点灯による光照射によって開始された当該ガス発生材料の分解反応が、前記光源の消灯時から前記制御パルス信号の各ビットのパルス幅以下の時間内に終結するものであっても良い。
【0016】
この発明に係るマイクロポンプ装置が複数の前記マイクロポンプを備えていて、前記制御装置は、複数の前記マイクロポンプの各光源に、複数の前記制御パルス信号を別々に供給するものである、という構成を採用しても良い。
【0017】
前記制御装置は、より具体的には例えば、(a)前記各マイクロポンプの出力レベルをそれぞれ指令する複数のポンプ出力指令値を記憶するポンプ出力指令値記憶部と、(b)シリアルのビット情報の伝送を同期させるクロック信号を生成するクロック信号生成部と、(c)前記クロック信号を前記マイクロポンプの数だけカウントしてラッチ信号を生成するラッチ信号生成部と、(d)前記ポンプ出力指令値記憶部内の前記各ポンプ出力指令値を、一つのポンプ出力指令値ずつ前記クロック信号のタイミングで順次取り出して、前記マイクロポンプ用の前記制御パルス信号の前記パルス列パターンに対応するビットパターンに変換して出力するビットパターン変換部と、(e)前記ビットパターン変換部から出力される一つのポンプ出力指令値のビットパターンを記憶するビットパターンレジスタと、(f)前記ビットパターンレジスタ内のビットパターンから前記クロック信号のタイミングごとに1ビットのビット情報を取り出し、かつ当該ビット情報を取り出す位置を前記ラッチ信号に従って一つずつシフトすることによって、前記複数のマイクロポンプ用の複数のビットパターンの同一桁のビット情報をシリアルビットパターンとして出力するビットセレクタと、(g)前記ビットセレクタからの前記シリアルビットパターン、前記クロック信号生成部からの前記クロック信号および前記ラッチ信号生成部からの前記ラッチ信号をそれぞれ伝送する3本の伝送路と、(h)前記3本の伝送路からの前記シリアルビットパターン、前記クロック信号および前記ラッチ信号を取り込むシフトレジスタを有していて、前記シリアルビットパターンに基づいて、前記各マイクロポンプ用の前記制御パルス信号をパラレルに生成して、当該制御パルス信号をパラレルに出力する制御パルス信号生成部とを備えていても良い。
【0018】
前記制御装置のより具体的な構成としては、上記以外の構成も採り得る。
【発明の効果】
【0019】
請求項1〜13に記載の発明によれば、制御装置から光源に供給する制御パルス信号は光源を2値状態で明滅させるものであり、それによってガス発生材料の照射光強度に対する分解速度特性上の一定の動作点を利用することができるので、ガス発生材料からのガス発生量の制御性が良くなり、ひいてはマイクロポンプの送液量の制御性が良くなる。
【0020】
しかも、上記制御パルス信号のパルス列パターンを構成する第1レベルのビットと第2レベルのビットとの組み合わせで、ガス発生材料からのガス発生量ひいてはマイクロポンプの送液量を、中間段階を含む複数段階に精度良く制御することができる。従ってこの観点からも制御性が良い。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、マイクロポンプはガス発生室がなくてもポンプとして働くので、マイクロポンプをより小型化かつ薄型化することができる。その結果例えば、複数のマイクロポンプが大規模に集積されたマイクロポンプ装置を構成することがより容易になる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、制御パルス信号は、固定長のパルス列パターンを一定周期で繰り返すものであるので、長さおよび周期が任意に変化するパルス列パターンを繰り返す場合に比べて、制御パルス信号の生成が遥かに容易になる。その結果、制御装置の構成を簡素化することができる。この効果は、マイクロポンプの数が多くなるほど顕著になる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、光源の消灯時に速やかにガス発生材料の分解反応を停止させることができるので、分解反応の不所望な蓄積を抑えて、所望のガス発生量を正確に実現することが容易になる。ひいては、マイクロポンプの所望の送液量を正確に実現することが容易になる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、ポンプ出力指令値記憶部は、それに記憶しているポンプ出力指令値をマイクロポンプの動作中または動作前に書き替え可能なものであるので、ポンプ出力指令値の変更を速やかにマイクロポンプの出力レベルに反映させて、マイクロポンプの出力を速やかに変更することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、複数のマイクロポンプを備えており、かつ制御装置は、複数のマイクロポンプの各光源に制御パルス信号を別々に供給するものであるので、一つの制御装置で複数のマイクロポンプを別々に制御することができる。従って、マイクロポンプ数の多いマイクロポンプ装置を構成することが容易になる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、シリアルデータ生成部から制御パルス信号生成部へ、複数のマイクロポンプ用の各ビットパターンを構成するビット情報をシリアルに伝送することができるので、伝送路の数を少なくすることができる。しかもマイクロポンプの数が増えても、必要な伝送路の数は変らない。その結果、制御パルス信号生成部を複数のマイクロポンプの光源に近付けて配置し、それらと分離して、制御装置の残りの構成要素を配置することが容易になるので、配線処理が簡単になると共に、装置構成の自由度が増大する。以上の効果は、マイクロポンプの数が多くなるほど顕著になる。従ってマイクロポンプ数の増大にも容易に対応することができるので、大規模に集積されたマイクロポンプ装置を構成することが容易になる。
【0027】
請求項11に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、ビットパターンレジスタは一つのポンプ出力指令値のビットパターンを記憶することができるものであれば良いので、マイクロポンプの数が増大しても、ビットパターンレジスタの容量を増大させる必要がない。これに加えて、請求項10記載の発明の上記効果と同様の効果を奏する。従って、マイクロポンプ数の増大にも、より容易かつ安価に対応することができる。従って、マイクロポンプ数の多い大規模に集積されたマイクロポンプ装置を構成することがより容易になる。
【0028】
請求項12に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、制御装置が上記のようなコマンドインタープリタを備えているので、外部から与えられるコマンド列によって、個々のマイクロポンプの動作および出力を、任意のタイミングで動的に制御することができる。従って、各マイクロポンプの制御がより柔軟かつ容易になる。
【0029】
請求項13に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、制御装置が上記のようなコマンドインタープリタ、イベント情報記憶部、イベントマネジメント部等を備えているので、外部から与えられるコマンド列に基づくイベント情報を記憶しておいて、個々のマイクロポンプをそれらの実行予約時刻にそれぞれ制御することができる。即ち、個々のマイクロポンプを、外部装置の制御下から離れて、言わば自律的に制御することができる。しかも、制御装置は外部から与えられるコマンド列に基づくイベント情報を記憶しておくので、制御装置にコマンド列を常時与える必要はなく、従ってコマンド列の通信速度上の制約がなくなる。その結果、より大規模に集積されたマイクロポンプ装置にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ガス発生材料の照射光強度に対する分解速度特性の概略例を示す図である。
【図2】この発明に係るマイクロポンプ装置の一実施形態を示す図である。
【図3】制御パルス信号および光源の明滅パターンの例を示す図である。
【図4】ポンプ出力指令値、ビットパターンおよび照射エネルギーの対応関係の一例を示す図である。
【図5】マイクロポンプの制御特性を測定した結果の一例を示す図である。
【図6】ガス発生材料の分解反応の応答性の一例を示す概略図である。
【図7】ガス発生材料の分解反応の応答性の他の例を示す概略図である。
【図8】この発明に係るマイクロポンプ装置の他の実施形態を示す図である。
【図9】この発明に係るマイクロポンプ装置の更に他の実施形態を示す図である。
【図10】この発明に係るマイクロポンプ装置の更に他の実施形態を示す図である。
【図11】この発明に係るマイクロポンプ装置の更に他の実施形態を示す図である。
【図12】この発明に係るマイクロポンプ装置の更に他の実施形態を示す図である。
【図13】一つのイベント情報の構成(A)および複数のイベント情報から成るイベント情報列(B)の一例を示す図である。
【図14】複数のビットパターンを便宜的に桁を揃えて並べた図である。
【図15】マイクロポンプの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(1)第1の実施形態
図2は、この発明に係るマイクロポンプ装置の一実施形態を示す図である。
【0032】
このマイクロポンプ装置は、液体の流路であるマイクロ流路22と、光の照射を受けてガスを発生して当該ガスをマイクロ流路22に供給するガス発生材料34と、ガス発生材料34に光44を照射する光源42とを有するマイクロポンプ10を備えている。更に、マイクロポンプ10の光源42に、当該光源42を2値状態で明滅(即ち点灯および消灯)させる制御パルス信号CSを供給する制御装置50を備えている。
【0033】
マイクロポンプ10は、ガス発生材料34から発生したガスをマイクロ流路22に供給することによって、供給したガスの体積分だけマイクロ流路22内の液体を搬送することができる。即ちポンプの働きをする。
【0034】
マイクロポンプ10は、この実施形態では、マイクロ流路22に連通しているガス発生室32を更に有しており、ガス発生材料34はこのガス発生室32内に配置されている。従ってガス発生材料34は、光44の照射を受けて発生したガスをガス発生室32からマイクロ流路22に湧出させる。
【0035】
制御装置50から光源42に供給する制御パルス信号CSの一例を図3に示す。制御パルス信号CSは、図3(A)に示すように、各ビットが光源42を点灯させる実質的に一定の第1レベル(例えば高レベル)Hと、光源42を消灯させる実質的に一定の第2レベル(例えば0レベルまたは低レベル)Lの2状態を取ることができる一定数の複数ビット(図3の例は8ビット)から成るパルス列パターンPPを繰り返すことによって、図3(B)に示すように、光源42を2値状態で明滅させるものである。従って、制御パルス信号CSと、光源42の明滅パターンとは互いに同期していて、同じパターンになる。なお、図3(B)中の1は点灯状態を示し、0は消灯状態を示す(図6、図7においても同様)。
【0036】
制御パルス信号CSの各パルス幅τは例えば10ms(ミリ秒)であり、従って光源42は高速で明滅を繰り返す。
【0037】
制御装置50の構成は後で説明することにして、まずマイクロポンプ10の構成について詳細に説明する。
【0038】
図2に示すように、この実施形態では、マイクロポンプ10を構成するマイクロ流路22は流路基板20内に形成されており、ガス発生室32はポンプ基板30内に形成されている。両基板20、30は、例えば、熱融着や図示しない接着層によって互いに接着されている。但し、マイクロ流路22とガス発生室32を同一の基板内に形成しても良い。
【0039】
マイクロ流路22は、例えば、50μm〜2mm程度の幅を持つ微小な流路である。このマイクロ流路22の構造、長さ等は任意である。例えば、一つのマイクロ流路22が単独で存在していても良いし、複数に分岐していても良いし、他のマイクロ流路22等と連通していても良い。
【0040】
マイクロ流路22内を図示しない液体が流れる。液体は、例えば、水、油、生化学的緩衝液、血液、リンパ液、尿、土壌抽出水、水耕水等である。マイクロ流路22が上記のように微小であるから、上記液体は例えば液滴である。
【0041】
マイクロ流路22は、ガス発生室32に連通する連通部24を有している。この連通部24は、例えば、幅が0.2μm〜20μm程度の1本以上の微細流路、最大孔径が5μm程度の多孔質体、または幅が50μm程度以下の撥水性の流路等である。
【0042】
ガス発生室32の大きさは、例えば、総体積が1cm3 程度以下である。このガス発生室32は、例えば、単一の円筒状空間や多面体状空間でも良いし、複数に分岐する短い流路の集合体等でも良い。ガス発生室32の内壁には、ピラー形状や溝形状、格子形状等の凹凸が設けられていても良い。
【0043】
ガス発生材料34は、例えば光照射でガスを発生する化合物をバインダー樹脂に分散または相溶させた材料である。光照射でガスを発生する化合物は、光照射によりガスを発生する役目を果たす。バインダー樹脂は、光照射でガスを発生する化合物を固定したり、ガス発生材料に種々の機能を付加する役目を果たす。
【0044】
光照射でガスを発生する化合物としては、光源42からの光44を受けてガスを発生させるものであれば、種類は特に限定されない。
【0045】
上記光照射でガスを発生する化合物としては、光分解反応によりガスを発生する化合物(A)、光酸発生剤と酸刺激ガス発生剤の混合物(B)、光塩基発生剤と塩基増殖剤の混合物(C)等を挙げることができる。これらのより具体例は後で詳述する。
【0046】
ガス発生材料34をガス発生室32内に配置する態様には様々なものが採り得る。例えば図示例のように、ガス発生室32の蓋をする透光性板36を設けておいて、その内面にガス発生材料34を取り付けても良い。
【0047】
透光性板36は、光44を透過させるものであり、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(略称PET)、シクロオレフィンポリマー(略称COP)、ガラス等から成る。ポンプ基板30を透光性基板として、ポンプ基板30と透光性板36とを一体で形成しても良い。
【0048】
あるいは、ガス発生材料34は、錠剤としてガス発生室32内に置かれても良いし、ガス発生室32の内壁に塗りつけられたり、貼りつけられたりしていても良い。不織布や織布その他の多孔質体に含浸させたガス発生材料34がガス発生室32に嵌め込まれていても良い。また、ガス発生室32の壁面を構成する部材がガス発生材料34を兼ねていても良い。
【0049】
光源42としては様々なものが採り得る。制御パルス信号CSによって光源42を直接制御しても良いし、光源用制御回路(後述する光源用制御回路45参照)等を介して制御しても良い。いずれにするかは、光源42の特性等に応じて決めれば良い。
【0050】
光源42から発する光44の波長は、ガス発生材料34の分解反応(即ちガス発生反応)を生じさせることができるものであれば良く、特定の波長に限定されない。紫外光や近紫外光でも良い。また、単一波長でも良いし、広い発光バンド幅を有していても良い。もっとも、ガス発生材料34の分解反応を生じさせるのに都合が良い波長周辺の半値幅が10nm程度の発光バンド幅のものが好ましく、その方が効率が良い。
【0051】
光源42は、この実施形態では発光ダイオード(略称LED)であり、光源基板40上に設けられている。トランジスタ46、ダイオード48等を有する光源用制御回路45も光源基板40上に設けられている。光源基板40はポンプ基板30に実質的に対向させて配置している。光源基板40とポンプ基板30との間には、レンズや光導波路等の光学系が介在していても良い。
【0052】
光源42は、光源用制御回路45を介して、制御パルス信号CSによって制御されて、2値状態で、しかも高速で明滅を繰り返す。即ち、制御パルス信号CSが第1レベルHのときにダイオード48に順電流が流れてダイオード48の両端に実質的に一定値の順電圧が発生し、この順電圧によってトランジスタ46がオンし、それによって電源Vccから光源42に実質的に一定値の電流が流れて光源42が実質的に一定の強度で発光する。制御パルス信号CSが第2レベルLのときはトランジスタ46がオフし、光源42は消灯する。このような動作か繰り返される。これによって、前述したように、光源42は制御パルス信号CSと同じパターンで明滅を繰り返す。
【0053】
光源用制御回路45は、上記のように光源42の特性等に応じて、必要がある場合に設けられるものであり、機能上は光源42の一部を構成している。
【0054】
電源Vccは定電流制御されている方が好ましく、そのようにすれば、光源42の発光強度をより一定に近付けることができる。トランジスタ46のベースに印加する電圧を高くするために、複数のダイオード48を互いに直列接続しても良い。
【0055】
発光ダイオードは、応答速度が速い、高効率、低消費電力、発熱が少ない、小型で高密度実装が可能等の利点を有しており、光源42に好適である。
【0056】
より具体的には、光源42用の発光ダイオードとして、例えば、波長が330nm〜410nm程度の紫外光から紫の光44を発するもので、発光出力が10mW〜400mW程度の紫外発光ダイオードを選んでも良い。このような特性の光44は、ガス発生材料34の温度を殆ど上昇させずに済む。
【0057】
光源42は、発光ダイオードに限られるものではなく、前記明滅を繰り返すことができるものであれば、その他の光源でも良い。例えば、エレクトロルミネッセンス素子(略称EL素子)、プラズマ発光素子等でも良い。更に光源42には、(a)外部電極形蛍光ランプ(EEFL)、マイクロハロゲンランプ等の連続発光の光源と光シャッターとの組み合わせによって、取り出す光を明滅させることができる光源、(b)連続発光の光源、光ファイバーおよび光セレクタの組み合わせによって、取り出す光を明滅させることができる光源、等を用いることもできる。上記光シャッター、光セレクタを制御パルス信号CSで制御すれば良い。
【0058】
次に、制御装置50について説明する。
【0059】
制御装置50は、図2に示す実施形態では、マイクロポンプ10の出力レベルを指令するポンプ出力指令値を記憶するポンプ出力指令値記憶部52と、このポンプ出力指令値記憶部52内のポンプ出力指令値を前記制御パルス信号CSの前記パルス列パターンPPに対応するビットパターンに変換して出力するビットパターン変換部54と、このビットパターン変換部54からのビットパターンに基づいて前記制御パルス信号CSを生成する制御パルス信号生成部56とを備えている。制御パルス信号生成部56は、ビットパターン変換部54から供給されたビットパターンを記憶しておく記憶手段(例えば、メモリ、レジスタ等)を有している。
【0060】
図4に、上記ポンプ出力指令値、ビットパターンおよび光44の照射エネルギーの対応関係の一例を示す。図3では、図示の簡略化のためにパルス列パターンPPが8ビットの例を示したが、この図4の例は、ビットパターンは20ビットであり、従ってそれに対応するパルス列パターンPPも20ビットになる。即ち、このビットパターン中の論理値1のビットがパルス列パターンPP中の第1レベルHのビットに対応し、論理値0のビットが第2レベルLのビットに対応している。換言すれば、パルス列パターンPPは、このビットパターンの1をHに、0をLに読み替えたような構造をしている。
【0061】
ポンプ出力指令値は、マイクロポンプ10の出力レベルを0から最大までの複数レベル(段階)に指令するものである。図4に示す例では、0〜15までの16段階である。
【0062】
この各ポンプ出力指令値がビットパターン変換部54によって各ビットパターンに変換され、各ビットパターンが制御パルス信号生成部56によってパルス列パターンPPに変換され、かつ当該パルス列パターンPPを繰り返して出力することによって制御パルス信号CSが生成される。この制御パルス信号CSを光源42に供給することによって、光源42を前述したように明滅させて、ガス発生材料34に照射する光44の各照射エネルギーを実現することができる。
【0063】
より具体的には、各ビットパターンは、各ポンプ出力指令値にそれぞれ対応するものであり、ポンプ出力指令値が大きくなるほど、論理値1のビットの数が増えている。制御パルス信号生成部56は、このビットパターン中の1を所定のパルス幅τ(図3参照)で上記第1レベルHのパルスに変換し、0を所定のパルス幅τで上記第2レベルLのパルスに変換してパルス列パターンPPを生成し、かつこのパルス列パターンPPを繰り返して出力して、上記制御パルス信号CSを生成して出力する。
【0064】
この実施形態では、制御パルス信号CSの各ビットのパルス幅τは互いに等しくかつ一定であり、パルス列パターンPPは一定周期で繰り返される。即ち、制御パルス信号CSは、固定長のパルス列パターンPPを一定周期で繰り返すものである。パルス幅τは例えば10ms(ミリ秒)であり、従って光源42は高速で明滅を繰り返す。但し、パルス幅τは10msに限られるものではなく、10ms以下でも良いし、10ms以上でも良い。例えば100ms程度でも良い。
【0065】
上記照射エネルギーは、単位時間当たりの照射エネルギーのことであり、その単位の次元はW/m2 、この実施形態ではmW/cm2 である(図5も参照)。
【0066】
上記ポンプ出力指令値、照射エネルギーおよびマイクロポンプ10の出力(即ち流量または送液量)の間には、それぞれ、図5に示す例のように、光源42およびガス発生材料34の特性等に応じて、実質的に一定の対応関係がある。この各対応関係は、必ずしもリニヤである必要はない。実質的に一定の関係があれば良い。この対応関係を利用することによって、ポンプ出力指令値によって、所望の流量を実現することができる。
【0067】
上記ビットパターンおよびパルス列パターンPPのビット数は上記8ビットや20ビットに限られるものではなく、一定数の複数ビットであれば上記例以外のビット数でも良い。例えば、4ビッド、16ビット、32ビット等でも良い。ビット数が多い方が、ガス発生材料34からのガス発生量ひいてはマイクロポンプ10の送液量を、より多くの段階に制御することができる。
【0068】
制御装置50の全部または一部を、例えばマイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータによって実現しても良い。後述する他の実施形態における制御装置50も同様である。
【0069】
この実施形態のマイクロポンプ装置においては、制御装置50から光源42に供給する制御パルス信号CSの第1レベルHのビット時に、光源42が点灯してガス発生材料34の分解反応が始まり、ガスが発生する。制御パルス信号CSの第2レベルLのビット時に、光源42が消灯してガス発生材料34の分解反応が停止して、ガス発生は停止する。即ち、制御パルス信号CSに含まれる第1レベルHのビット数に応じて、ガス発生材料34の分解反応の持続時間が決まる。
【0070】
従って、制御パルス信号CSのパルス列パターンPPを構成する第1レベルHのビットと第2レベルLのビットとの組み合わせで、一定時間内のガス発生材料34の分解量の総量、即ち前述したガス発生材料みかけ分解速度を制御することができる。分解反応によって発生したガスは、ガス発生材料34内で拡散して、前述したようにマイクロ流路22に湧出する。このマイクロ流路22に湧出するガスの体積分だけ、マイクロ流路22内の液体が搬送される。
【0071】
上記のような作用によって、制御パルス信号CSのパルス列パターンPPを構成する第1レベルHのビットと第2レベル間のビットとの組み合わせで、ガス発生材料34からのガス発生量ひいてはマイクロポンプ10の送液量を、中間段階を含む複数段階に精度良く制御することができる。
【0072】
しかも、上記制御パルス信号CSは光源42を2値状態で明滅させるものであるので、前述した(図1参照)ガス発生材料34の照射光強度に対する分解速度特性上の一定の動作点を利用することができる。例えば、図1中の線12との交点における動作点を利用することができる。従って、上記分解速度特性がリニヤでなくても、上記ガス発生材料みかけ分解速度をほぼリニヤに制御することができる。その結果、ガス発生量の制御が容易になり、ガス発生量の制御性が良くなる。
【0073】
なお、上記ビットパターンは、図4に示す例のように、ポンプ出力指令値が0以外のときは、即ちマイクロポンプ10の出力を0にするとき以外は、0のビットが4ビット以上連続しないようにしても良い。パルス列パターンPPで言えば、マイクロポンプ10の出力を0にするとき以外は、第2レベルLのビットが4ビット以上連続しないようにしても良い。そのようにすると、ガス発生材料34から発生するガスのリップルを少なくすることができる。
【0074】
図5は、図4に示したビットパターンに基づいて生成した制御パルス信号CSによってマイクロポンプ10を(より具体的にはその光源42を)制御したときの特性を測定した結果の一例を示すものである。
【0075】
この測定に用いたマイクロポンプ10は、上記光分解反応によりガスを発生する化合物(A)系の化合物を用いたガス発生材料34を、直径8mm、深さ2mmのガス発生室32内に配置した構造のものである。光源42には、ピーク波長365nm、発光出力100mW、指向性100度の紫外発光ダイオードを用いた。
【0076】
光源42から発する光44の照射エネルギーは、ガス発生材料34に代えて、光パワーメータを置いて測定した値である。流量は、深さ50μm、幅200μmの矩形断面を持つ直線状のマイクロ流路22に水滴を導入してマイクロポンプ10で送液を行い、ビデオ画像の分析から求めた。
【0077】
この図5からも分かるように、ポンプ出力指令値に従って、マイクロポンプ10の流量を、中間段階を含む多段階に精度良く制御することができた。
【0078】
なお、制御パルス信号CSは、前述したように固定長のパルス列パターンPPを一定周期で繰り返すものが好ましく、それによって、長さおよび周期が任意に変化するパルス列パターンを繰り返す場合に比べて、制御パルス信号CSの生成が遥かに容易になる。その結果、制御装置50の構成を簡素化することができる。この効果は、マイクロポンプ10の数が多くなるほど顕著になる。
【0079】
例えば、マイクロポンプ10の数が多くなると、パルス列パターンPPの長さおよび周期を任意に許した場合、各マイクロポンプ用の制御パルス信号CSの生成が面倒になり、制御装置50が複雑になるけれども、上記のような制御パルス信号CSを用いればそのような不都合を防止することができる。従って、大規模に集積されたマイクロポンプ装置を構成する場合にも有利になる。
【0080】
また、ガス発生材料34は、光源42の点灯による光照射によって開始された当該ガス発生材料34の分解反応が、光源42の消灯時から制御パルス信号CSの各ビットのパルス幅τ以下の時間内に終結するものが好ましい。このようなガス発生材料34の例は後述する。このような、いわゆる応答性の良いガス発生材料34を用いると、光源42の消灯時に速やかにガス発生材料34の分解反応を停止させることができるので、分解反応の不所望な蓄積を抑えて、所望のガス発生量を正確に実現することが容易になる。ひいては、マイクロポンプ10の所望の送液量を正確に実現することが容易になる。
【0081】
光源42の消灯時に速やかに分解反応が停止するガス発生材料34の応答性の一例を図6に示し、それよりも応答性の悪い例を図7に示す。両図は概略図であり、かつ図示を簡略化するために、光源42の明滅パターンの1周期を3ビットにしている(図6(A)、図7(A)参照)。
【0082】
図6(B)に示すように、ガス発生材料34の分解反応が光源42の消灯時から上記パルス幅τ以下の時間内に終結する場合は、光源42の明滅パターンを繰り返しても、ガス発生材料34の分解反応の不所望な蓄積を抑えることができるので、所望のガス発生量G1 を正確に実現することが容易になる(図6(C)参照)。
【0083】
一方、図7(B)に示すように、ガス発生材料34の分解反応が光源42の消灯時から上記パルス幅τ以下の時間内に終結しない場合は、光源42の明滅パターンを繰り返すと、ガス発生材料34の分解反応が徐々に蓄積され、それに伴ってガス発生量が徐々に増えるので、所望のガス発生量G1 を正確に実現することが難しくなる(図7(C)参照)。
【0084】
制御装置50のポンプ出力指令値記憶部52は、それに記憶している前記ポンプ出力指令値を、マイクロポンプ10の動作中または動作前に書き替え可能なものであっても良い。この書き替えは、例えば、ディップスイッチのような直接的な手段によって行うようにしても良いし、ソフトウエアによって行うようにしても良い。
【0085】
ポンプ出力指令値記憶部52を上記のように書き替え可能にものにすることによって、ポンプ出力指令値の変更を速やかにマイクロポンプ10の出力レベルに反映させて、マイクロポンプ10の出力を速やかに変更することができる。
【0086】
(2)ガス発生材料34の例
前述したように、ガス発生材料34は、例えば光照射でガスを発生する化合物をバインダー樹脂に分散または相溶させた材料である。光照射でガスを発生する化合物は、光照射によりガスを発生する役目を果たす。バインダー樹脂は、光照射でガスを発生する化合物を固定したり、ガス発生材料に種々の機能を付加する役目を果たす。
【0087】
光照射でガスを発生する化合物としては、光分解反応によりガスを発生する化合物(A)、光酸発生剤と酸刺激ガス発生剤の混合物(B)、光塩基発生剤と塩基増殖剤の混合物(C)等を挙げることができる。
【0088】
光分解反応によりガスを発生する化合物(A)の具体例としては、例えば、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)などのアゾ化合物や、3−アジドメチル−3−メチルオキセタンなどのアジド化合物、酸素原子含有量が15〜55重量%のポリオキシアルキレン樹脂などが挙げられる。
【0089】
光酸発生剤と酸刺激ガス発生剤の混合物(B)の具体例としては、(a)光照射により効率的に分解し、強酸を発生させる従来公知の光酸発生剤、例えば、キノンジアジド化合物、オニウム塩、スルホン酸エステル類及び有機ハロゲン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種、より好ましくは、スルホン酸オニウム塩、ベンジルスルホン酸エステル、ハロゲン化イソシアヌレート及びビスアリールスルホニルジアゾメタンからなる群から選ばれた少なくとも1種と、(b)酸の刺激すなわち酸の作用によりガスを発生する酸刺激ガス発生剤、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、水素化ホウ素ナトリウム等との組み合わせが挙げられる。
【0090】
光塩基発生剤と塩基増殖剤の混合物(C)の具体例としては、(a)光照射により分解し、ガス状の塩基を発生させる光塩基発生剤、例えば、コバルトアミン系錯体、カルバミン酸o−ニトロベンゼン、オキシウムエステル、カルバモイルオキシイミノ基含有化合物と、(b)塩基ガスと反応することによって、塩基ガスを発生する塩基増殖剤、例えば、9−フルオレニルカルバメート誘導体との組み合わせが挙げられる。
【0091】
バインダー樹脂は、光照射でガスを発生する化合物を固定したり、ガス発生材料34に種々の機能を付加するために添加されるものである。
【0092】
光照射でガスを発生させる化合物を固定するバインダー樹脂としては、アクリル系、エポキシ系の樹脂が好適に用いられる。しかしながら、光照射でガスを発生する化合物を分散または相溶させるという目的に合致するものであれば、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂そのものが、光刺激によるガス発生能を有していてもよい。例えば、酸素原子を15〜55重量%含むポリオキシアルキレン樹脂は、光照射により自ら分解しつつガスを発生する。
【0093】
ガス発生材料34は、支持部材に付着されていても良い。支持部材は、例えば不織布により形成されている。不織布の表面に、上記ガス発生材料を付着させて用いることにより、ガス発生室32内にガス発生材料34のみを充填させた場合に比べて、ガス発生材料の単位体積当りの表面積を増加させ、それによって、ガスの発生効率を高めることができる。すなわち、繊維状部材である不織布では、多数の繊維が集合されて絡み合っており、繊維間の隙間から発生したガスが速やかに外部に放出される。上記不織布の各繊維の表面に上記ガス発生材料が付着されるように、ガス発生材料が不織布に含浸されて付着されている。この場合、支持部材を構成している不織布に、ガス発生材料が付着した段階においても、不織布の繊維間の隙間が残存する程度にガス発生材料が付着されている。そのため、光の照射によりガスが発生すると、ガスが上記隙間から速やかに外部に放出されることとなる。
【0094】
支持部材として、例えば不織布が用いられているが、不織布以外の、他の繊維状部材を用いてもよい。すなわち、綿、ガラス繊維、ポリエチレンテレフタレートやアクリルなどの合成繊維、パルプ繊維、金属繊維などが集合し、絡み合っている適宜の繊維状部材を支持部材として用いることができる。
【0095】
また、繊維状部材に限らず、発生したガスが外部に速やかに放出され得る限り、繊維状部材だけでなく、繊維状部材を含む様々な多孔性部材を支持部材として用いることができる。ここで、多孔性部材とは、外表面に連なった多数の孔を有する部材を広く含むものとし、上記不織布などのように、繊維間の隙間が外部に連なっている部材もまた多孔性部材に含めることとする。
【0096】
従って、上記繊維状部材以外に、内部から外表面に連なる多数の孔が形成されている、例えば、スポンジ、破泡処理発泡体、多孔質ゲル、粒子融着体、ガス圧補助拡厚成形体、ハニカム構造体、筒状ビーズ、波折チップスなどの多孔性材料も上記支持部材を構成する多孔性部材として好適に用いることができる。また、ピラー等の表面積を大きくする工夫も好ましく施される。
【0097】
また、上記支持部材の材質は、特に限定されず、様々な無機材料または有機材料を用いることができる。このような無機材料としては、ガラス、セラミック、金属、または金属酸化物、有機材料としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、セルロース、アセタール樹脂、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、またはポリイミドなどを用いることができる。
【0098】
バインダー樹脂の含有により、ガス発生材料34を所望の形状に加工することが容易となる。例えば、フィルム状などの固形のガス発生材料34を容易に得ることができる。従って、図15を参照して後で説明するマイクロポンプ10のように、フィルム状、テープ状のような薄いガス発生材料34を用いる場合にも適している。
【0099】
バインダー樹脂は、粘着性を付与するために、例えば、粘接着剤樹脂を含むものであってもよい。ガス発生材料34にバインダーとして粘接着剤樹脂を含有させることにより、ガス発生材料34と基板(例えば図15中の基板21。以下同様)との粘着性、接着性を高めることができる。
【0100】
なお、上記粘接着剤樹脂は、光照射で粘着性が低下しないものが好ましい。これによって、ガス発生材料34に対する光照射が開始された後もガス発生材料34と基板との高い粘接着性を維持することができるからである。また上記粘接着剤樹脂は、例えば、光照射によって架橋されないものであることが好ましい。
【0101】
上記粘接着剤樹脂の具体例としては、例えば、ゴム系粘接着剤樹脂、(メタ)アクリル系粘接着剤樹脂、シリコーン系粘接着剤樹脂、ウレタン系粘接着剤樹脂、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体系粘接着剤樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体粘接着剤樹脂、エポキシ系粘接着剤樹脂、イソシアネート系粘接着剤樹脂等が挙げられる。
【0102】
ガス発生材料34には、光照射でガスを発生する化合物とバインダー樹脂の他に、光増感剤が添加されてもよい。光増感剤の具体例としては、例えばチオキサントン、ベンゾフェノン、アセトフェノン類、ポルフィリンなど既知の増感剤が挙げられる。
【0103】
ガス発生材料34は、光照射でガスを発生する化合物とバインダー樹脂の他に、必要に応じて、従来知られている種々の添加剤を更に含んでいてもよい。そのような添加剤としては、例えば、カップリング剤、可塑剤、界面活性剤、安定剤等を挙げることができる。また、多孔質体、フィラー、金属箔、マイクロカプセルその他の粒子と複合化されていてもよい。ガス発生材料34に分散された多孔質体、フィラー、金属箔、マイクロカプセルその他の粒子は、ガスの拡散を見かけ上早くするのに役立つ。
【0104】
上に挙げたガス発生材料34は、いずれも、光源42の消灯と共に速やかにガス発生反応が停止する。即ち、前述した応答性の良いガス発生材料34として適している。
【0105】
上記ガス発生材料34には、必要に応じて、更に連鎖反応抑制剤が配合されてもよい。
【0106】
連鎖反応抑制剤としては、t−ブチルカテコール、ヒロドキノン、メチルエーテル、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ系酵素ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール類、リノレイン酸等の既知のラジカルスカベンジャーが挙げられるが、これに限られるわけではなく、連鎖反応を抑制する効果があるものであれば、何でもよい。
【0107】
なお、連鎖反応抑制剤は、連鎖反応における連鎖成長段階を部分的に抑制するものであって、連鎖開始段階を抑制するものではない。
【0108】
(3)マイクロポンプ装置の他の実施形態に共通の説明
図8〜図12に示す各実施形態の説明においては、先に説明した実施形態(例えば図2に示す実施形態)と同一または相当する部分には同一符号を付し、先に説明した実施形態との相違点を主体に説明する。
【0109】
図8〜図12に示す各マイクロポンプ装置は、それぞれ、前述したようなマイクロポンプ10を複数備えている。但し、各マイクロポンプ10等の図示を簡略化している。各マイクロポンプ10等の詳細は、各図よりも前の実施形態の説明、例えば図2に示す実施形態の説明を参照するものとする。
【0110】
複数のマイクロポンプ10をそれぞれ構成する各マイクロ流路22は、一つの流路基板20に設けられていても良いし、別々の部材に設けられていても良い。各ガス発生室32も、一つのポンプ基板30に設けられていても良いし、別々の部材に設けられていても良い。各光源42も、一つの光源基板40に設けられていても良いし、別々に設けられていても良い。
【0111】
マイクロポンプ10の数は、図8〜図12に示す例では、図示の簡略化のために比較的少ない数で図示しているが、これらの例のものに限らない。複数のマイクロポンプ10の各マイクロ流路22(図2参照)は、互いに独立していても良いし、一部または全部が互いに連通していても良い。また、複数のマイクロポンプ10は、1次元に配列されていても良いし、2次元に配列されていても良い。
【0112】
図8〜図12に示す各制御装置50は、それぞれ、複数のマイクロポンプ10の各光源42に、複数の制御パルス信号CS1 〜CS4 (またはCS1 〜CS8 等)を別々に供給するものである。各制御パルス信号CS1 〜CS4 (またはCS1 〜CS8 等)は、前記制御パルス信号CSと同様のものである。従って、一つの制御装置50で複数のマイクロポンプ10を別々に制御することができる。その結果、マイクロポンプ数の多いマイクロポンプ装置を構成することが容易になる。
【0113】
(4)第2の実施形態
図8に示す実施形態では、制御装置50は、各マイクロポンプ10の出力レベルをそれぞれ指令する複数のポンプ出力指令値を記憶するポンプ出力指令値記憶部52aと、このポンプ出力指令値記憶部52a内の各ポンプ出力指令値を各マイクロポンプ10用の制御パルス信号CS1 〜CS4 の前記パルス列パターンPPにそれぞれ対応する複数のビットパターンにそれぞれ変換して出力するビットパターン変換部54aと、このビットパターン変換部54aからの各ビットパターンに基づいて各マイクロポンプ10用の制御パルス信号CS1 〜CS4 をそれぞれ生成して、当該制御パルス信号CS1 〜CS4 をパラレルに出力する制御パルス信号生成部56aとを備えている。この各制御パルス信号CS1 〜CS4 が、各光源42にそれぞれ供給される。
【0114】
制御パルス信号生成部56aは、ビットパターン変換部54aから供給された複数のビットパターンを記憶しておく記憶手段(例えば、メモリ、レジスタ等)を有している。
【0115】
所望のマイクロポンプ10を停止させるには、当該マイクロポンプ10用のポンプ出力指令値を0にすれば良い。後述する他の実施形態においても同様である。
【0116】
ポンプ出力指令値記憶部52aは、それに記憶している複数のポンプ出力指令値を、マイクロポンプ10の動作中または動作前に書き替え可能なものであっても良い。ポンプ出力指令値記憶部52aを上記のように書き替え可能にものにすることによって、ポンプ出力指令値の変更を速やかに、対応するマイクロポンプ10の出力レベルに反映させて、対応するマイクロポンプ10の出力を速やかに変更することができる。以上のことは、図9〜図12に示すポンプ出力指令値記憶部52aについても言える。
【0117】
(5)第3の実施形態
図9に示す実施形態では、制御装置50は、図8で説明したようなポンプ出力指令値記憶部52aおよびビットパターン変換部54aと、当該ビットパターン変換部54aからの各マイクロポンプ10用の各ビットパターンを構成するビット情報をシリアルに出力するシリアルデータ生成部58と、このシリアルデータ生成部58からの前記ビット情報に基づいて各マイクロポンプ10用の制御パルス信号CS1 〜CS4 ・・・をパラレルに生成して、当該制御パルス信号CS1 〜CS4 ・・・をパラレルに出力する制御パルス信号生成部56bとを備えている。この各制御パルス信号CS1 〜CS4 ・・・が、各光源42にそれぞれ供給される。
【0118】
シリアルデータ生成部58から制御パルス信号生成部56bへの信号は、伝送路64を用いて伝送される。伝送路64は、例えば有線、無線、赤外線等のいずれでも良いし、インターネットを経由しても良い。
【0119】
制御パルス信号生成部56bは、この実施形態では、光源基板40に搭載している。制御パルス信号CS1 〜CS4 ・・・の信号線をできるだけ短くするためである。この制御パルス信号生成部56bは、配置上はシリアルデータ生成部58等と離れているけれども、機能上は制御装置50の一部を構成している。図10に示す制御パルス信号生成部56cも同様である。
【0120】
シリアルデータ生成部58は、例えば、ビットパターン変換部54aから供給される複数のビットパターンを記憶するビットパターン記憶部(例えばメモリ、レジスタ等)と、このビットパターン記憶部からパラレルに取り出したビット情報を1ビットずつシリアルに出力する並直列データ変換器とを有している。この並直列データ変換器は、例えばシフトレジスタである。
【0121】
制御パルス信号生成部56bは、シリアルデータ生成部58からシリアルに送られて来るビット情報を、各マイクロポンプ10用のビットパターンに並び替えてパラレルに出力する直並列データ変換器を有している。この直並列データ変換器は、例えばシフトレジスタである。
【0122】
後の説明を簡略化するために、上記ビットパターン変換部54aおよびシリアルデータ生成部58を含む回路を、変換回路60と呼ぶことにする。
【0123】
この実施形態では、シリアルデータ生成部58から制御パルス信号生成部56bへ、複数のマイクロポンプ10用の各ビットパターンを構成するビット情報をシリアルに伝送することができるので、伝送路64の数を少なくすることができる。しかもマイクロポンプ10の数がいくら増えても、必要な伝送路64の数は変らない。
【0124】
例えば、ビット情報を伝送する伝送路64は1本で済む。これに加えて補助信号(例えば図10に示すクロック信号CLKおよびラッチ信号LCHに相当するもの)を伝送するとしても、伝送路64の数は3本程度で済む。しかもマイクロポンプ10の数をいくら増やしても、伝送路64の数は上記本数で変らない。
【0125】
その結果、制御パルス信号生成部56bを複数のマイクロポンプ10の光源42に近付けて配置し、それらと分離して、制御装置50の残りの構成要素(即ちポンプ出力指令値記憶部52aおよび変換回路60)を配置することが容易になるので、配線処理が簡単になると共に、装置構成の自由度が大幅に増大する。以上の効果は、マイクロポンプの数が多くなるほど顕著になる。
【0126】
例えばこの実施形態のように、制御パルス信号生成部56bは光源42と同じ光源基板40に搭載し、制御装置50の残りの構成要素は光源基板40と離して任意の位置に配置することができる。
【0127】
しかも、マイクロポンプ数の増大にも容易に対応することができる。例えば、マイクロポンプ10の数が40〜200程度、あるいはそれ以上に増えると、図8に示した実施形態では、制御装置50と光源基板40との間の制御パルス信号CS1 ・・・の信号線の数もマイクロポンプ10と同数になり、従ってその配線処理が面倒になる。これに対して、この実施形態では、制御パルス信号生成部56bを各光源42に近付けて配置することができるので、例えば制御パルス信号生成部56bを光源42と同じ光源基板40に搭載することができるので、制御パルス信号CS1 ・・・の信号線の配線は非常に短くて済み、従ってその配線処理が容易になる。マイクロポンプ10の数がいくら増えても、伝送路60の数は上述したように変らない。従ってマイクロポンプ数の増大にも容易に対応することができるので、大規模に集積されたマイクロポンプ装置を構成することが容易になる。
【0128】
(6)第4の実施形態
図10に示す実施形態では、制御装置50は、各マイクロポンプ10の出力レベルをそれぞれ指令する複数のポンプ出力指令値を記憶するポンプ出力指令値記憶部52aと、シリアルのビット情報の伝送を同期させるクロック信号CLKを生成するクロック信号生成部76と、当該クロック信号CLKをマイクロポンプ10の数だけカウントしてラッチ信号LCHを生成するラッチ信号生成部78とを備えている。
【0129】
ポンプ出力指令値記憶部52aは、例えば、図8、図9に示したポンプ出力指令値記憶部52aと同様のものである。但しこの実施形態では、このポンプ出力指令値記憶部52aからは、次に述べるビットパターン変換部54bによって、ポンプ出力指令値は一つずつ取り出される。
【0130】
クロック信号生成部76は、所定の周期で、例えば0.25ms周期で、クロック信号CLKを出力する。
【0131】
ラッチ信号生成部78は、クロック信号CLKをマイクロポンプ10の数だけカウントする度に1パルスを出力する。これがラッチ信号LCHである。例えば、クロック信号CLKの周期が0.25ms、マイクロポンプ10の数が40の場合、0.25×40=10msごとに1パルスが出力される。即ち、ラッチ信号LCHの周期はこの例では10msである。
【0132】
制御装置50は、更に、ポンプ出力指令値記憶部52a内の各ポンプ出力指令値を、一つのポンプ出力指令値ずつクロック信号CLKのタイミングで順次取り出して、マイクロポンプ10用の前記制御パルス信号CSの前記パルス列パターンPPに対応するビットパターンに変換して出力するビットパターン変換部54bと、このビットパターン変換部54bから出力される一つのポンプ出力指令値のビットパターンを記憶するビットパターンレジスタ72と、このビットパターンレジスタ72内のビットパターンからクロック信号CLKのタイミングごとに1ビットのビット情報を取り出し、かつ当該ビット情報を取り出す位置をラッチ信号LCHに従って一つずつシフトすることによって、複数のマイクロポンプ10用の複数のビットパターンの同一桁のビット情報をシリアルビットパターンSBとして出力するビットセレクタ74とを備えている。
【0133】
ビットパターン変換部54bは、この実施形態では、ポンプ出力指令値記憶部52a内の各ポンプ出力指令値を、一つのポンプ出力指令値ずつクロック信号CLKのタイミングで巡回しながら順次取り出して出力する巡回セレクタ70と、この巡回セレクタ70から一つのポンプ出力指令値が出力される度にそれをビットパターンに変換して出力する変換部71とを備えている。この変換部71は、例えば、図2に示したビットパターン変換部54と実質的に同じ機能を有している。
【0134】
ビットパターンレジスタ72は、変換部71から一つのビットパターンが出力される度に、最新の一つのビットパターンを記憶する。
【0135】
ビットセレクタ74の動作を、図14を参照しながら説明する。この図14は、理解を容易にするために、便宜的に、複数のビットパターンを桁を揃えて並べたものであり、複数のビットパターンが実際に図14に示すようにマトリクス状に配列されているわけではない。また、この図14では、説明を簡略化するために、ポンプが四つ、各ビットパターンが8ビットの場合を例示しているが、これに限られるものではない。
【0136】
ビットパターンレジスタ72には、クロック信号CLKのタイミング(例えば0.25ms)ごとに、例えば、初めはポンプ番号1のビットパターン、次はポンプ番号2のビットパターン、・・・というように、一つのビットパターンが順次上書きされて行く。ビットパターンレジスタ72に記憶されるのは、あくまでも一つのビットパターンである。
【0137】
ビットセレクタ74は、ビットパターンレジスタ72内のビットパターンからクロック信号CLKのタイミングごとに1ビットのビット情報を取り出す。ところが、上記のようにビットパターンレジスタ72内のビットパターンはクロック信号CLKのタイミングごとに上書きされて行くので、結局、ビットセレクタ74は、図14に示す例えば第1桁のビット情報を、クロック信号CLKのタイミングごとに1ビットずつ順次取り出して出力することになる。これが、上述した、複数のビットパターンの同一桁のビット情報をシリアルビットパターンSBとして出力することである。そして、ビットセレクタ74は、ラッチ信号LCHの変化のタイミング(例えば立下り。以下同様)ごとに、ビット情報を取り出す桁を一つずつシフトする。例えば第2桁、第3桁、・・・とシフトする。
【0138】
以上のような動作によって、ビットセレクタ74からは、例えば、ポンプ番号1〜4の第1桁の各1ビットがシリアルになった(換言すれば時系列になった)シリアルビットパターンSBが出力され、次いでポンプ番号1〜4の第2桁のシリアルビットパターンSBが出力され、以下同様にしてポンプ番号1〜4の第8桁のシリアルビットパターンSBが出力され、以降は上記と同様の動作が繰り返される。
【0139】
制御装置50は、更に、ビットセレクタ74からの前記シリアルビットパターンSB、クロック信号生成部76からのクロック信号CLKおよびラッチ信号生成部78からのラッチ信号LCHをそれぞれ伝送する3本の伝送路65〜67と、この伝送路65〜67からのシリアルビットパターンSB、クロック信号CLKおよびラッチ信号LCHを取り込むシフトレジスタ57を有していて、シリアルビットパターンSBに基づいて、各マイクロポンプ10用の前記制御パルス信号CS1 〜CS8 をパラレルに生成して、当該制御パルス信号CS1 〜CS8 をパラレルに出力する制御パルス信号生成部56cとを備えている。この各制御パルス信号CS1 〜CS8 が、各光源42にそれぞれ供給される。
【0140】
伝送路65〜67は、例えば、有線、無線、赤外線等のいずれでも良いし、インターネットを経由しても良い。
【0141】
制御パルス信号生成部56cは、図10に示す例では、互いに直列接続された二つのシフトレジスタ57を有しているが、これに限られるものではなく、シフトレジスタ57の数は、そのビット数(出力端子数)とマイクロポンプ10の数との関係で決めれば良い。即ち、マイクロポンプ10の数に一つのシフトレジスタ57のビット数が不足していれば、不足を解消することができる数のシフトレジスタ57を互いに直列接続すれば良い。図10中の符号SBIはシリアルビットパターンSBの入力端子、符号SBOは溢れたシリアルビットパターンSBの出力端子である。
【0142】
各シフトレジスタ57は、公知のシフトレジスタであり、上記ビットセレクタ74における動作とほぼ反対の動作によって、取り込んだシリアルビットパターンSBのビット情報を、クロック信号CLKのタイミングごとに各マイクロポンプ10用に振り分け、ラッチ信号LCHのタイミングごとにパラレルに出力する。ラッチ信号LCHのタイミング間(例えば上記10ms)は、直前の状態を保持している。このような動作によって、二つのシフトレジスタ57から、即ち制御パルス信号生成部56cから、上記制御パルス信号CS1 〜CS8 をパラレルに出力することができる。
【0143】
後の説明を簡略化するために、上記ビットパターン変換部54b、ビットパターンレジスタ72、ビットセレクタ74、クロック信号生成部76およびラッチ信号生成部78を含む回路を、変換回路60aと呼ぶことにする。
【0144】
この実施形態では、ビットパターンレジスタ72は一つのポンプ出力指令値のビットパターンを記憶することができるものであれば良いので、マイクロポンプ10の数が増大しても、ビットパターンレジスタ72の容量を増大させる必要がない。つまり、制御装置50に必要とする記憶部の容量を小さく抑えることができる。従って、制御装置50の小型化かつ低コスト化を図ることができると共に、マイクロポンプ数の多い大規模なマイクロポンプ装置を構成することがより容易になる。
【0145】
それに加えて、各マイクロポンプ10用のビットパターンを構成するビット情報をシリアルに伝送する方式であるので、図9に示した実施形態の効果と同様の効果を奏することができる。
【0146】
即ち、マイクロポンプ10の数に依らずに、伝送路65〜67の数を3本にすることができる。また、制御パルス信号生成部56cを複数のマイクロポンプ10の光源42に近付けて配置し、例えば光源基板40に搭載し、それと分離して、制御装置50の残りの構成要素を配置することが容易になるので、配線処理が簡単になると共に、装置構成の自由度が増大する。従ってマイクロポンプ数の増大にも容易に対応することができるので、大規模に集積されたマイクロポンプ装置を構成することが容易になる。
【0147】
(7)第5の実施形態
図11に示す実施形態では、制御装置50は、図10に示したポンプ出力指令値記憶部52aおよび変換回路60aに加えて、外部から与えられるコマンド列COMを解釈して、ポンプ出力指令値記憶部52a内の複数のポンプ出力指令値を、マイクロポンプ10の動作中または動作前に書き替えるコマンドインタープリタ86を備えている。このコマンドインタープリタ86は、図12に示すコマンドインタープリタ86aと違って、ポンプ出力指令値記憶部52a内のポンプ出力指令値を書き替える動作を、コマンド列COMに応答してすぐに実行する。
【0148】
光源基板40の構成は図10に示す実施形態と同様のものであるので、ここでは図示を簡略化している。図12に示す実施形態においても同様である。
【0149】
コマンド列COMは、例えば、複数のマイクロポンプ10のポンプ番号、ポンプ出力指令値、ポンプの起動、ポンプの停止等を指令するコマンドを含んでいる。
【0150】
コマンド列COMは、例えば、ASCII(アスキー。American Standard Code for Information Interchangeの略称)文字による対話的なコマンド列である。
【0151】
コマンドインタープリタ86へは、例えば、外部装置80から、通信部82、84を介して、上記コマンド列COMが与えられる。外部装置80は、例えば、パーソナルコンピュータである。コマンド列COMを伝送する手段としては、有線方式、無線方式、赤外線方式、インターネット経由等の公知の手段が採り得る。
【0152】
この実施形態では、制御装置50が上記のようなコマンドインタープリタ86を備えているので、外部から与えられるコマンド列COMによって、個々のマイクロポンプ10の動作および出力を、任意のタイミングで動的に制御することができる。従って、各マイクロポンプ10の制御がより柔軟かつ容易になる。
【0153】
(8)第6の実施形態
図12に示す実施形態では、制御装置50は、図11に示したコマンドインタープリタ86の代わりに、コマンドインタープリタ86a、イベント情報記憶部88、タイマー90、プリフェッチ部92およびイベントマネジメント部94を有している。
【0154】
コマンドインタープリタ86aは、外部から与えられるコマンド列COMを解釈して、ポンプ番号、ポンプ出力指令値および実行予約時刻を組とするイベント情報(これはイベントクロージャーとも呼ばれる)を複数生成する。
【0155】
一つのイベント情報の構成の一例を図13(A)に示す。実行予約時刻、ポンプ番号およびポンプ出力指令値が組になっている。このような複数のイベント情報から成るイベント情報列の一例を図13(B)に示す。この例では、実行予約時刻、ポンプ番号およびポンプ出力指令値は、いずれも、整数で表現されている。但しこれに限られるものではない。
【0156】
コマンドインタープリタ86aに与えられる上記コマンド列COMには、この実施形態では、上記実行予約時刻を指令するコマンドも含まれている。
【0157】
イベント情報記憶部88は、コマンドインタープリタ86aからの複数の上記イベント情報を記憶する。具体的には、図13(B)に例示したようなイベント情報列を記憶する。
【0158】
タイマー90は、基準となる時刻を刻むものである。
【0159】
プリフェッチ部92は、イベント情報記憶部88から複数のイベント情報をそれらの実行より先に取り出すものである。より具体的には、上記イベント情報列から実行予約時刻順にイベント情報を取り出す。
【0160】
イベントマネジメント部94は、プリフェッチ部92内に取り出されたイベント情報内の実行予約時刻とタイマー90の時刻とを比較して、時刻が実行予約時刻に達しているイベント情報があれば、当該イベント情報内のポンプ番号のポンプ出力指令値をポンプ出力指令値記憶部52aに与えて、対応するポンプ番号のポンプ出力指令値を書き替える。これによって、対応するマイクロポンプ10の出力が変更される。
【0161】
この実施形態では、制御装置50が上記のようなコマンドインタープリタ86a、イベント情報記憶部88、イベントマネジメント部94等を備えているので、外部から与えられるコマンド列COMに基づくイベント情報を記憶しておいて、個々のマイクロポンプ10をそれらの実行予約時刻にそれぞれ制御することができる。即ち、個々のマイクロポンプ10を、外部装置80の制御下から離れて、言わば自律的に制御することができる。しかも、制御装置50は外部から与えられるコマンド列COMに基づくイベント情報を記憶しておくので、制御装置50にコマンド列を常時与える必要はなく、従ってコマンド列COMの通信速度上の制約がなくなる。その結果、より大規模に集積されたマイクロポンプ装置にも対応することができる。
【0162】
イベント情報記憶部88を不揮発性の記憶手段を用いて構成しても良く、そのようにすれば、外部装置80からコマンド列COMを与えた後に制御装置50の電源を切断し更に再起動しても、自律的に個々のマイクロポンプ10の出力を制御することができる。
【0163】
なお、図11に示すコマンドインタープリタ86等を用いる技術思想や、図12に示すコマンドインタープリタ86a、イベントマネジメント部94等を用いる技術思想を、図1、図8、図9に示す制御装置50に適用しても良い。
【0164】
(9)マイクロポンプ10の他の例
マイクロポンプ10は、前記ガス発生室32を有していなくても良い。要は、光源42からの光44の照射を受けてガス発生材料34から発生したガスをマイクロ流路22に供給すれば良く、それによって前述したポンプの働きをするからである。即ち、ガス発生材料34から発生したガスをマイクロ流路22に供給することによって、供給したガスの体積分だけマイクロ流路22内の液体を搬送することができ、ポンプとして働く。
【0165】
ガス発生室32を有していないマイクロポンプ10の一例を図15に示す。
【0166】
このマイクロポンプ10は、基板21内に形成されておりかつ当該基板21の主面に開いた開口25を有しているマイクロ流路22と、基板21の前記主面にマイクロ流路22の開口25を覆って配置されているガス発生材料34と、このガス発生材料34の、前記マイクロ流路22の開口25を覆う領域に光44を照射する光源42とを有している。
【0167】
基板21とガス発生材料34とは、例えば、図示しない接着層によって接着されている。
【0168】
上記光源42に、例えば図1に示す制御装置50から前記制御パルス信号CSが供給される。マイクロポンプ装置は、上記マイクロポンプ10を複数有していても良く、その場合は、各マイクロポンプ10の各光源42に、例えば図8〜図12に示す制御装置50から複数の前記制御パルス信号CS1 、CS2 、・・・が別々に供給される。
【0169】
マイクロ流路22、ガス発生材料34、光源42、制御装置50等の説明は、これ以前の実施形態の説明を参照するものとし、ここでは重複説明を省略する。
【0170】
ガス発生材料34の表面に、ガスを阻止するものであって透光性のガスバリア層37を配置しておいても良い。そのようにすれば、ガス発生材料34で発生したガスをより効率良くマイクロ流路22に供給することができるので、マイクロ流路22において高いガス圧を得ることが容易になる。
【0171】
基板21、ガス発生材料34およびガスバリア層37は、例えば、フィルム状、テープ状等の形状をしていても良い。
【0172】
上記のようなマイクロポンプ10によれば、マイクロポンプ10のより小型化、薄型化が可能になる。その結果、例えば、多数のマイクロポンプ10が大規模に集積されたマイクロポンプアレイを構成することも容易になる。
【符号の説明】
【0173】
10 マイクロポンプ
20 流路基板
21 基板
22 マイクロ流路
25 開口
30 ポンプ基板
32 ガス発生室
34 ガス発生材料
40 光源基板
42 光源
44 光
50 制御装置
52 ポンプ出力指令値記憶部
52a ポンプ出力指令値記憶部
54、54a、54b ビットパターン変換部
56、56a、56b、56c 制御パルス信号生成部
58 シリアルデータ生成部
64〜67 伝送路
70 巡回セレクタ
71 変換部
72 ビットパターンレジスタ
74 ビットセレクタ
76 クロック信号生成部
78 ラッチ信号生成部
80 外部装置
86、86a コマンドインタープリタ
88 イベント情報記憶部
90 タイマー
92 プリフェッチ部
94 イベントマネジメント部
CS 制御パルス信号
PP パルス列パターン
SB シリアルビットパターン
CLK クロック信号
LCH ラッチ信号
COM コマンド列
【先行技術文献】
【特許文献】
【0174】
【特許文献1】特開2005−297102号公報
【特許文献2】特開2007−279068号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)液体の流路であるマイクロ流路と、光の照射を受けてガスを発生して当該ガスを前記マイクロ流路に供給するガス発生材料と、前記ガス発生材料に光を照射する光源とを有するマイクロポンプと、
(b)各ビットが前記光源を点灯させる第1レベルと消灯させる第2レベルの2状態を取ることができる一定数の複数ビットから成るパルス列パターンを繰り返すことによって、前記光源を2値状態で明滅させる制御パルス信号を前記光源に供給する制御装置とを備えているマイクロポンプ装置。
【請求項2】
(a)液体の流路であるマイクロ流路と、前記マイクロ流路に連通しているガス発生室と、前記ガス発生室内に配置されていて、光の照射を受けてガスを発生して当該ガスを前記ガス発生室から前記マイクロ流路に湧出させるガス発生材料と、前記ガス発生材料に光を照射する光源とを有するマイクロポンプと、
(b)各ビットが前記光源を点灯させる第1レベルと消灯させる第2レベルの2状態を取ることができる一定数の複数ビットから成るパルス列パターンを繰り返すことによって、前記光源を2値状態で明滅させる制御パルス信号を前記光源に供給する制御装置とを備えているマイクロポンプ装置。
【請求項3】
(a)液体の流路であって、基板内に形成されておりかつ当該基板の主面に開いた開口を有しているマイクロ流路と、前記基板の前記主面に、前記マイクロ流路の開口を覆って配置されているガス発生材料と、前記ガス発生材料の、前記マイクロ流路の開口を覆う領域に光を照射する光源とを有しているマイクロポンプと、
(b)各ビットが前記光源を点灯させる第1レベルと消灯させる第2レベルの2状態を取ることができる一定数の複数ビットから成るパルス列パターンを繰り返すことによって、前記光源を2値状態で明滅させる制御パルス信号を前記光源に供給する制御装置とを備えているマイクロポンプ装置。
【請求項4】
前記制御パルス信号の各ビットのパルス幅は互いに等しくかつ一定であり、前記制御パルス信号の前記パルス列パターンは一定周期で繰り返される請求項1、2または3記載のマイクロポンプ装置。
【請求項5】
前記ガス発生材料は、前記光源の点灯による光照射によって開始された当該ガス発生材料の分解反応が、前記光源の消灯時から前記制御パルス信号の各ビットのパルス幅以下の時間内に終結するものである請求項4記載のマイクロポンプ装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記マイクロポンプの出力レベルを指令するポンプ出力指令値を記憶するポンプ出力指令値記憶部と、
前記ポンプ出力指令値記憶部内の前記ポンプ出力指令値を、前記制御パルス信号の前記パルス列パターンに対応するビットパターンに変換して出力するビットパターン変換部と、
前記ビットパターン変換部からの前記ビットパターンに基づいて前記制御パルス信号を生成する制御パルス信号生成部とを備えている請求項1ないし5のいずれかに記載のマイクロポンプ装置。
【請求項7】
前記ポンプ出力指令値記憶部は、それに記憶している前記ポンプ出力指令値を、前記マイクロポンプの動作中または動作前に書き替え可能なものである請求項6記載のマイクロポンプ装置。
【請求項8】
このマイクロポンプ装置は、複数の前記マイクロポンプを備えており、
前記制御装置は、複数の前記マイクロポンプの各光源に、複数の前記制御パルス信号を別々に供給するものである請求項1ないし7のいずれかに記載のマイクロポンプ装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記各マイクロポンプの出力レベルをそれぞれ指令する複数のポンプ出力指令値を記憶するポンプ出力指令値記憶部と、
前記ポンプ出力指令値記憶部内の前記各ポンプ出力指令値を、前記各マイクロポンプ用の前記制御パルス信号の前記パルス列パターンにそれぞれ対応する複数のビットパターンにそれぞれ変換して出力するビットパターン変換部と、
前記ビットパターン変換部からの前記各ビットパターンに基づいて前記各マイクロポンプ用の前記制御パルス信号をそれぞれ生成して、当該制御パルス信号をパラレルに出力する制御パルス信号生成部とを備えている請求項8記載のマイクロポンプ装置。
【請求項10】
前記制御装置は、
前記各マイクロポンプの出力レベルをそれぞれ指令する複数のポンプ出力指令値を記憶するポンプ出力指令値記憶部と、
前記ポンプ出力指令値記憶部内の前記各ポンプ出力指令値を、前記各マイクロポンプ用の前記制御パルス信号の前記パルス列パターンにそれぞれ対応する複数のビットパターンにそれぞれ変換して出力するビットパターン変換部と、
前記ビットパターン変換部からの前記各マイクロポンプ用の各ビットパターンを構成するビット情報をシリアルに出力するシリアルデータ生成部と、
前記シリアルデータ生成部からの前記ビット情報に基づいて、前記各マイクロポンプ用の前記制御パルス信号をパラレルに生成して、当該制御パルス信号をパラレルに出力する制御パルス信号生成部とを備えている請求項8記載のマイクロポンプ装置。
【請求項11】
前記制御装置は、
前記各マイクロポンプの出力レベルをそれぞれ指令する複数のポンプ出力指令値を記憶するポンプ出力指令値記憶部と、
シリアルのビット情報の伝送を同期させるクロック信号を生成するクロック信号生成部と、
前記クロック信号を前記マイクロポンプの数だけカウントしてラッチ信号を生成するラッチ信号生成部と、
前記ポンプ出力指令値記憶部内の前記各ポンプ出力指令値を、一つのポンプ出力指令値ずつ前記クロック信号のタイミングで順次取り出して、前記マイクロポンプ用の前記制御パルス信号の前記パルス列パターンに対応するビットパターンに変換して出力するビットパターン変換部と、
前記ビットパターン変換部から出力される一つのポンプ出力指令値のビットパターンを記憶するビットパターンレジスタと、
前記ビットパターンレジスタ内のビットパターンから前記クロック信号のタイミングごとに1ビットのビット情報を取り出し、かつ当該ビット情報を取り出す位置を前記ラッチ信号に従って一つずつシフトすることによって、前記複数のマイクロポンプ用の複数のビットパターンの同一桁のビット情報をシリアルビットパターンとして出力するビットセレクタと、
前記ビットセレクタからの前記シリアルビットパターン、前記クロック信号生成部からの前記クロック信号および前記ラッチ信号生成部からの前記ラッチ信号をそれぞれ伝送する3本の伝送路と、
前記3本の伝送路からの前記シリアルビットパターン、前記クロック信号および前記ラッチ信号を取り込むシフトレジスタを有していて、前記シリアルビットパターンに基づいて、前記各マイクロポンプ用の前記制御パルス信号をパラレルに生成して、当該制御パルス信号をパラレルに出力する制御パルス信号生成部とを備えている請求項8記載のマイクロポンプ装置。
【請求項12】
前記制御装置は、外部から与えられるコマンド列を解釈して、前記ポンプ出力指令値記憶部内の複数のポンプ出力指令値を、前記マイクロポンプの動作中または動作前に書き替えるコマンドインタープリタを更に備えている請求項9、10または11記載のマイクロポンプ装置。
【請求項13】
前記制御装置は、
外部から与えられるコマンド列を解釈して、ポンプ番号、ポンプ出力指令値および実行予約時刻を組とするイベント情報を複数生成するコマンドインタープリタと、
複数の前記イベント情報を記憶するイベント情報記憶部と、
時刻を刻むタイマーと、
前記イベント情報記憶部から複数の前記イベント情報をそれらの実行より先に取り出すプリフェッチ部と、
前記プリフェッチ部内に取り出された前記イベント情報内の実行予約時刻と前記タイマーの時刻とを比較して、時刻が実行予約時刻に達しているイベント情報があれば、当該イベント情報内のポンプ番号のポンプ出力指令値を前記ポンプ出力指令値記憶部に与えて、対応するポンプ番号のポンプ出力指令値を書き替えるイベントマネジメント部とを更に備えている請求項9、10または11記載のマイクロポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−287552(P2009−287552A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54876(P2009−54876)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】