マイクロ流体システム
第1の反応ゾーンと、第2の反応ゾーンと、前記第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネルと、前記第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネルを有するマイクロ流体システムであって、該マイクロ流体システムが、1以上の試薬を各反応ゾーンに保持する手段を有し、前記第1の反応ゾーンと前記第2の反応ゾーンとが反応ゾーンチャネルにより直列に接続されているマイクロ流体システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体システムに関し、より詳細には、サンプル、特に、生物学的サンプルをアッセイするためのマイクロ流体システムに関する。該マイクロ流体システムは、テストサンプルとコントロールサンプルなど、2種のサンプルを交差汚染なしに同一反応条件下で処理することができる。また、本発明は、該マイクロ流体システムを含むカートリッジシステム、該マイクロ流体システム、又は該カートリッジシステムを使用して行われるアッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体工学は、マイクロスケールに制限される流体の操作に関するものである。マイクロ流体システムは、エンジニアリングやバイオテクノロジーを始めとする、極めて少量の流体の使用する必要がある多種多様な分野において使用されている。例えば、マイクロ流体システムは、インクジェット・プリントヘッドやDNAチップの開発において使用されている。
【0003】
生物学的アッセイにマイクロ流体システムを用いることが知られている。マイクロ流体バイオチップにより、検出、サンプルの前処理、及び1つのチップ上でのサンプル調製等のアッセイ操作が可能となる。バイオチップの新たな適用領域は、臨床病理学、特に、即時性の高いポイント・オブ・ケア診断である。
【0004】
マイクロ流体処理装置やチップの開発により、生物学的アッセイに使用されるカートリッジの開発が容易となった。マイクロ流体工学は、更に小さい(且つ、安価な)カートリッジであって、より大きい頑健なアッセイ装置に装填しやすいカートリッジの製造を可能としたからである。特許文献1は、患者のベッドサイドでのアッセイプロセスに使用できるカートリッジについて記載している。また、PCT/GB07/003666は、生物学的アッセイに使用するためのカートリッジシステムについて記載しており、このカートリッジシステムでは、マイクロ流体工学を利用することができる。
【0005】
いずれのアッセイ法においても、標準曲線及びコントロールの少なくともいずれかと、結果を比較する必要がある。テストサンプルから得られる結果をコントロールと比較することで、テストサンプルに起因しない如何なるバックグラウンドデータも考慮することができる。テストサンプルから得られる結果と標準曲線を比較することで、テストサンプル中のアナライト量を計算することができる。マイクロ流体アッセイシステムには、コントロールチャンバとテストサンプル用の実験チャンバを設けることは、よく知られている。コントロールチャンバ及び実験チャンバは、交差汚染を避けるために、分離させておく必要がある。一方でまた、両チャンバを同一反応条件にすること、同様のチャネル/導管を通ること、を確実にすることが非常に望ましい。多くのマイクロ流体システムにおいては、コントロールチャンバと実験チャンバを並列に設置することによりこれを実現している。このシステムは、並列に設置された各チャンバに供給される前に、試薬を分けるように設けられている。
【0006】
図1及び図2に、そのような並列システムの一例を示す。図1において、試薬は、この装置の上部から試薬輸送チャネルを通って運ばれる。この試薬輸送チャネルは、試薬を分けてコントロールチャンバと実験チャンバに輸送する。コントロールチャンバへの実験サンプルの交差汚染を避けるために、コントロールサンプルと実験サンプルは、これらのチャンバに別々に送られる。実験サンプルは、実験サンプル輸送チャネルを通って実験チャンバへと送られた後、廃棄チャネル(装置の左側)へと送られる。同様にして、緩衝剤などのコントロールは、別のコントロールサンプル輸送チャネルを通ってコントロールチャンバへと送られた後、別の廃棄チャネル(装置の右側)へと送られる。
【0007】
この、いわゆる「並列システム」は、両チャンバに同量の試薬が供給されると共に実験サンプルとコントロールとの交差汚染が生じないように設計されている。しかしながら、マイクロ流体システムにおいて、試薬を正確に分けることは難しく、実際に、大部分の試薬は一方のチャンバへと流れ込み、均等に分配されない。図2において、試薬溶液(チャネル内の黒線で示される)は、トップチャネルと分割後のトップチャンバを満たしている一方で、ボトムチャネルとボトムチャンバには殆ど試薬溶液が含まれていない(淡色のチャネルで示される)ことが分かる。試薬が両チャンバ間で等しく分配されていないと、その2つのチャンバに同量の試薬が供給されておらず、各チャンバから得られたアッセイ結果を比較することができないので、このことは重大な問題である。
【0008】
チャネル内における分割後の試薬溶液の不均等な分配は、マイクロスケールでの流体の動態によるものである。流体は、マイクロスケールにおいてマクロスケールとは異なる振る舞いをする。これは、マイクロスケールでは、表面張力、エネルギー散逸及び流体抵抗などのファクターの流体の流れに対する影響がより大きいからである。これらの作用の1つが、マイクロスケールでの流体を2つのチャネル間に分割しにくいものとしており、本来、システムは、安定した層流を維持しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第02/090995号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アッセイ法への適用を向上させるために、マイクロ流体システムの更なる開発が、アッセイ法依然として必要とされている。特に、上述した問題点などの、公知のマイクロ流体システムに関連した問題点を克服する新たなマイクロ流体システムを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、第1の反応ゾーンと、第2の反応ゾーンと、前記第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネルと、前記第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネルとを有するマイクロ流体システムであって、該マイクロ流体システムが、1以上の試薬を各反応ゾーンに保持する手段を有し、前記第1の反応ゾーンと前記第2の反応ゾーンとが反応ゾーンチャネルにより直列に接続されていることを特徴とするマイクロ流体システムを提供する。
【0012】
2つの反応ゾーンが直列に設置されていることにより、1以上の試薬が同量各反応チャンバに供給されるようになっている。並列システムとは対照的に、本発明は、試薬を含む溶液を2つの別々のチャネルに分割しないので、2つの反応ゾーンに試薬が均等に分配されないという、並列システムで生じる問題が回避される。本発明は、2つのサンプルを十分に類似した反応条件下で分析しアッセイ結果を得るので、これらアッセイ結果は、好ましくは、一方のサンプルを他方のサンプルで較正することによって、該2つのサンプルを比較する上で十分に正確なものである。例えば、アッセイ法において本発明に係るマイクロ流体システムを用いて得られた結果は、テストサンプルと較正サンプルのより正確な比較を可能とする。2つの反応ゾーンでの反応条件は、実質的に一致していることが好ましく、完全に一致していることがより好ましい。
【0013】
本発明に係るシステムはまた、簡略化された設計であるので、より簡単に且つコスト効率よく製造することができる。
【0014】
また、本発明は、
(a)1以上の試薬を保存するための試薬コンポーネントと、
(b)アッセイにおいて前記1以上の試薬を処理するための処理コンポーネントと、を有するカートリッジシステムであって、前記処理コンポーネントが前記マイクロ流体システムを有し、前記試薬コンポーネントと前記処理コンポーネントとが連結されて1つのカートリッジを形成してなるカートリッジシステムを提供する。
【0015】
また、本発明は、サンプル中のアナライトを同定するためのアッセイ法において、前記マイクロ流体システム又は前記カートリッジシステムの使用を提供する。
【0016】
また、本発明は、1つのサンプル中で1以上のアリコートをアッセイするアッセイ法を提供する。この方法は、
サンプル中の1以上のアナライトをアッセイするアッセイ法であって、
a)1以上の試薬を含有する溶液が前記マイクロ流体システムを介して輸送され、前記1以上の試薬を含有する溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーン内に輸送される工程と、
b)前記第1の反応ゾーン及び前記第2の反応ゾーンに前記1以上の試薬を保持する工程と、
c)サンプルを第1のサンプル輸送チャネルを通して第1の反応ゾーン内へと輸送すると共に、サンプルを第2のサンプル輸送チャネルを通して第2の反応ゾーン内へと輸送する工程と、
d)前記1以上のアナライトをアッセイする工程と、を含むことを特徴とするアッセイ法である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、詳細には記載しないため、これを補完するために、例として、以下の図面のみで参照する。
【図1】図1は、該技術分野で知られた並列マイクロ流体システムを表す図である。
【図2】図2は、該技術分野で知られた並列マイクロ流体システムを表す図である。
【図3】図3は、本発明に係るマイクロ流体システムを示す図であり、1は、第1の反応ゾーン、2は、第2の反応ゾーン、3は、試薬輸送チャネル、4は、反応ゾーンチャネル、5は、第1のサンプル輸送チャネル、6は、第2のサンプル輸送チャネル、7は、第2の反応ゾーンの廃棄チャネル、8は、1以上の試薬のためのインレット、9は、第1の反応ゾーンのためのサンプルのインレット、10は、第2の反応ゾーンのためのサンプルのインレット、11は、試薬及び第2の反応ゾーンからのサンプルのアウトレットをそれぞれ示す。
【図4】図4は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示す図であり、12は、反応ゾーンのバルブ、13及び14は、サンプル輸送チャネルのバルブをそれぞれ示す。
【図5】図5は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示す図であり、15は、試薬輸送チャネルのバルブ、16は、更なる廃棄チャネル、17は、更なる廃棄チャネルのバルブ、18は、更なる廃棄チャネルのアウトレットをそれぞれ示す。
【図6】図6は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示す図であり、19は、分岐領域の後に位置する試薬輸送チャネルの更なるバルブ、20は、第2の反応ゾーンの廃棄チャネルのバルブをそれぞれ示す。
【図7】図7は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示す図であり、21は、試薬輸送チャネルに流体を輸送するための輸送チャネル、22は、該輸送チャネルのバルブ、23は、該輸送チャネルのインレットをそれぞれ示す。
【図8】図8は、本発明の一実施形態を示す図であり、24は、試薬輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かい、反応ゾーンチャネルを通って第2の反応ゾーンに向かい更に廃棄チャネルを通る1以上の試薬の流れ、25は、第2のサンプル輸送チャネルを通って第2の反応ゾーンに向かい更に廃棄チャネルを通るサンプルの流れ、26は、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かい更に試薬輸送チャネルを通るサンプルの流れをそれぞれ示す。
【図9】図9は、本発明の一実施形態を示す図であり、24は、試薬輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かい、反応ゾーンチャネルを通って第2の反応ゾーンに向かい更に廃棄チャネルを通る1以上の試薬の流れ、25は、第2のサンプル輸送チャネルを通って第2の反応ゾーンに向かい更に廃棄チャネルを通るサンプルの流れ、27は、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かい、次いで更なる廃棄チャネルを通るサンプルの流れをそれぞれ示す。
【図10】図10は、図9における試薬の流れ24とサンプルの流れ25及び27を示し、更に、輸送チャネルから試薬輸送チャネルに向かい、次いで第1の反応ゾーンにも第2の反応ゾーンにも入ることなく、更なる廃棄チャネルを通る流体の流れ28を示す図である。
【図11】図11は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示し、29は、反応ゾーンチャネルに配置される反応ゾーン廃棄チャネル、30は、反応ゾーン廃棄チャネルのバルブ、31は、反応ゾーン廃棄チャネルのアウトレットをそれぞれ示す図である。
【図12】図12は、輸送チャネルを通って試薬輸送チャネル及び第1の反応ゾーンに向かい、次いで第2の反応ゾーンに入ることなく反応ゾーンチャネルの反応ゾーン廃棄チャネルを通る流体の流れを示す図である。
【図13】図13は、本発明のマイクロ流体システムを示す図であり、試薬輸送チャネル33及び24、反応ゾーンチャネル35及び36、及び第2の反応ゾーン37の廃棄チャネルの各領域が示されている。好ましい実施形態においては、33及び34の領域を満たすのに必要な流体の全量は、35及び35の領域を満たすのに必要な流体の全量と同一である。更に好ましい実施形態においては、34及び35の領域を満たすのに必要な流体の全量は、36及び37の領域を満たすのに必要な流体の全量と同一である。更に好ましい実施形態では、33、34、35、36及び37の各領域を同量の流体で満たす。
【図14】図14は、本発明に係るマイクロ流体システムの反応ゾーンの部分拡大図であり、1以上の試薬を保持する手段は、2つの反応チャンバの間に配置された磁石である。
【図15A】図15Aは、各アッセイ段階での本発明に係るマイクロ流体システムを示し、表明処理溶液(即ち、BSA)の塗布を示す図である。
【図15B】図15Bは、各アッセイ段階での本発明に係るマイクロ流体システムを示し、ビーズを含む試薬溶液が試薬輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに送られ、反応ゾーンチャネルを通って第2の反応ゾーンに送られ、更に廃棄チャネルを通るときのマイクロ流体システムを示す図である。
【図15C】図15Cは、各アッセイ段階での本発明に係るマイクロ流体システムを示し、洗浄溶液が反応ゾーンを通らずに、試薬輸送チャネルと(第1の反応ゾーンの)廃棄チャネルに送られて試薬輸送チャネルとビーズ溶液の廃棄チャネルを清浄にするときのマイクロ流体システムを示す図である。
【図15D】図15Dは、各アッセイ段階での本発明に係るマイクロ流体システムを示し、試薬が反応ゾーンに送られ、1つのサンプルがサンプル輸送チャネルを通って反応ゾーンに送られるときのマイクロ流体システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のマイクロ流体システムは、複数の相互接続チャネル及び2つの反応ゾーンを有する。液体の輸送、混合、保温及び検証に適切なマイクロ流体システムは、公知であるので、当業者であれば、通常の知識を用いて本発明に係るシステムを製造することができよう。流体は、入口ポートを通って該システムのチャネルに入り、出口ポートを通って排出される。該システムは、該技術分野において知られたマイクロ流体ポンピング手段を有していてもよい。
【0019】
第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンは、サンプルを1以上の試薬と反応させるのに適した手段であれば如何なる手段でもよい。これらの反応ゾーンは、チャンバの形態であってもよいし、マイクロ流体チャネルの領域であってもよい。
【0020】
本発明のマイクロ流体システムは、一般に、サンプル中のアナライトを同定するためのアッセイに使用される。また、本発明は、サンプル中の1以上のサンプルのアッセイ法を提供する。
【0021】
そのようなアッセイにおいては、診断(好ましい治療と組み合わせる場合もある(セラノスティクスという))を行うために、患者由来のサンプル(テストサンプル)を試験するのが通常である。このサンプルは、該サンプル中に存在し得る特定のアナライト種類及び量の少なくともいずれかを検出することを目的としてアッセイされる。アナライトの種類としては、特に限定されず、本発明のマイクロ流体システムは、多種のアナライトに適用することができ、順次又は同時に行う複数のアナライトのアッセイを含む。典型的には、アナライトは、生体分子、病原体、ウィルス又はウィルス成分、細胞又は細胞成分から選択される。アナライトとしては、例えば、肝細胞などの全細胞、酵素、全ウィルス(例えば、C型肝炎(HCV)、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)など)、細菌病原体(大腸菌又は黄色ブドウ球菌)、タンパク質ポリペプチド、ペプチド、DNA及びRNAの少なくともいずれかなどの核酸などが挙げられる。炭水化物や、薬剤、製剤、代謝産物などの低分子もアナライトの例として挙げることができる。
【0022】
第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに入れるサンプルは、いずれも例えば、患者から採取したサンプルなどのテストサンプルとすることができる。テストサンプルは、通常、血液、唾液、尿、羊水、粘液、腹水、肺液(胸膜を含む)、洗浄液(例えば、肺水など)、生体検査液、精液、ぬぐい液(PAP、口腔液など)、汗、涙、糞便排泄物、脳脊髄液、傷口滲出物、滑液などから選ばれる。このサンプルは、一人の患者又は異なる複数の患者から採取することができる。
【0023】
別の実施形態においては、一方のサンプルがテストサンプルであり、他方のサンプルが、アナライトの1以上のアリコートであって、各アリコートは、1以上のアナライトをそれぞれ異なる既知の量で含むキャリブレーションサンプルである。テストサンプルのアナライト量の既知のばらつき又は予想されるばらつきを考慮して、前記各アリコートのアナライト量を選択することができる。アナライト量から、特定疾患の有無、該疾患の段階、治療の有効性及び該治療の毒性の少なくともいずれかが示される。
【0024】
一方のサンプルがテストサンプルであり、他方のサンプルがアナライトの1以上のアリコートを含むキャリブレーションサンプルである本実施形態においては、本発明に係るアッセイ法は、キャリブレーションサンプルにおける1以上のアナライトの既知の所定量に対してテストサンプルにおける1以上のアナライトの量を較正する工程を含むことが好ましい。
【0025】
別の実施形態においては、一方のサンプルがテストサンプルであり、他方のサンプルがコントロール液を含むキャリブレーションサンプルである。前記コントロール液は、アッセイ法に必要とされる任意の適切なブランク又は標準サンプルとすることができるアッセイ法である。前記コントロール液は、例えば、テストサンプルと共に混合される試薬と同一の試薬を含んでいてもよい。
【0026】
一方のサンプルがテストサンプルであり、他方のサンプルがコントロール液を含むキャリブレーションサンプルである本実施形態においては、本発明によるアッセイ法は、テストサンプルを含む反応ゾーンのアッセイ結果を、キャリブレーションサンプルを含む反応ゾーンのアッセイ結果で較正する工程を含むことが好ましい。例えば、第1の反応ゾーンに送られたサンプルがテストサンプルであり、第2の反応ゾーンに送られたサンプルがキャリブレーションサンプルである場合には、第1の反応ゾーンのアッセイ結果を第2の反応ゾーンのアッセイ結果で較正する。
【0027】
前記1以上の試薬は、選択したアッセイに必要とされる任意の適切な試薬とすることができる。前記1以上の試薬は、通常、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド模倣薬、核酸、オリゴヌクレオチド、アプタマー及び有機化学試薬又は無機化学試薬からそれぞれ独立して選択される。前記1以上の試薬は、抗体又は抗体の断片、レセプタ又はレセプタの断片、抗原、酵素、酵素阻害剤、結合タンパク質、触媒、血液凝固活性剤、凝固防止剤、血清分離剤、洗浄剤、及び塩からそれぞれ独立して選択されることが好ましい。
【0028】
これらの試薬は、酵素アッセイ、RNAアッセイ及びDNAアッセイ、タンパク質アッセイ又はALT酵素アッセイ用であることが好ましい。好ましい試薬としては、プロテアーゼ阻害剤、RNAse阻害剤、RNAase、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、SYBRグリーン、=コンカナバリンA、磁性抗体、及びMACS(登録商標)ビーズ(Miltenyi Biotech(商標))等の磁性微粒子、グアニジンイソチオシアネート、グリコーゲン、RNAキャリア、塩化ナトリウム、dNTP、塩化マグネシウム及び磁性ナノ粒子、及びStemSeP(登録商標)等の架橋剤などを挙げることができる。
【0029】
一実施形態においては、前記1以上の試薬は、1以上のアナライトのラベルである。前記アナライトは、病原体、特に、ウィルス、ウィルス粒子又はウィルス成分、タンパク質、ポリペプチド、グリコプロティン、DNA又はRNA等の核酸、オリゴヌクレオチド、代謝産物、複合炭水化物等の炭水化物、脂質、脂肪、又は製剤、製薬等の内因生又は外因生小分子を含む。
【0030】
一実施形態においては、前記1以上の試薬は、磁性又は磁化可能である、又は磁性又は磁化可能物質に結合されているか、又は磁性又は磁化可能であり且つ磁性又は磁化可能物質に結合されている。本実施形態においては、前記1以上の試薬が磁性ビーズであるか、又は前記1以上の試薬が磁性ビーズに結合されている。また、前記1以上の試薬が磁性タンパク質であるか、前記1以上の試薬が磁性タンパク質に結合されている。一実施形態においては、試薬は、磁性リポソームか、又は同様な生体物質であってもよい。
【0031】
好ましい実施形態においては、前記1以上の試薬が磁性又は磁化可能である、又はそのそれぞれが磁性又は磁化可能物質に結合されているか、又は磁性又は磁化可能であり且つそのそれぞれが磁性又は磁化可能物質に結合されている場合、これら1以上の試薬のそれぞれがアナライト用のラベルを有する。各試薬は、同一又は異なる1種以上のラベルを有していてもよい。
【0032】
前記1以上の試薬のそれぞれが1以上のアナライトのための1以上のラベルを有し、前記ラベルが、磁性又は磁化可能物質に結合されており、
(a)前記1以上のアナライトに結合するための認識部分と、
(b)前記磁性又は磁化可能物質を結合又は内封する部分を含み、
前記磁性又は磁化可能物質を結合又は内封する部分が金属結合タンパク質、ポリペプチド又はペプチドを含むことが好ましい。
【0033】
PCT/GB07/004188(該特許の内容を参照によりここに援用する)は、前記磁性認識同定ラベルを開示しており、該ラベルは、少量の磁性(又は磁化可能)物質をアナライトに、該アナライト用の認識剤を介して結合させることが可能である。これらのラベルは、ごく少量の磁性物質をアナライトに結合させることができ、本発明に係るマイクロ流体システムの限られたスペースにおいてもアナライトが磁界の影響を受けるようにすることができる点で非常に有利である。
【0034】
マイクロ流体反応システムを通って送られる1以上の試薬は、前記反応ゾーン保持されるのに保持好適である。例えば、磁性又は磁化可能である、又は磁性又は磁化可能な物質に結合されているか、又は磁性又は磁化可能であり且つ磁性又は磁化可能な物質に結合されている試薬は、磁石により反応ゾーンに保持される保持に特に適している。
【0035】
1以上の更なる試薬もまた前記マイクロ流体システムを通って輸送することができるが、これらは、反応ゾーンに保持するのに適していない。
【0036】
反応ゾーンに1以上の試薬を保持する手段は、特に限定されず、任意の適切な物理的、生物的、又は化学的手段を含むことができる。前記保持手段は、反応ゾーン内に配置されていてもよいし、反応ゾーンが1以上の試薬と物理的に接触することを必要としない場合は、反応ゾーンの外側に配置させてもよい。
【0037】
物理的保持手段の一例として、1以上の試薬を反応ゾーン内に留める又は捕捉することが可能となるようにした、反応ゾーンの構造を挙げることができる。
【0038】
保持手段は、自然界における生物学的なものでもよく、1以上の試薬と共有結合又は非共有結合を形成することにより反応ゾーンに1以上の試薬を捕捉することができる剤で、反応ゾーンの内面の全部又は一部を処理する。その一例としては、反応ゾーンに結合された、標的と相補的な核酸プローブ鎖、抗体、又はその断片を挙げることができる。
【0039】
保持手段は、自然界における化学的なものでもよく、1以上の試薬と共有又は非共有結合を形成することにより反応ゾーンに1以上の試薬を捕捉することができる剤で、反応ゾーンの内面の全部又は一部を処理する。該手段は、一連の試薬の化学反応により活性化される任意の好適な化学物質とすることができる。
【0040】
好ましい実施形態においては、1以上の試薬の保持手段は、磁性を有するか又は磁化可能であり、そのため、磁性を有する又は磁化可能であるか、磁性又は磁化可能物質に結合されているかの少なくともいずれかである試薬を保持することができる。本実施形態においては、保持手段は、磁石であることが好ましい。好ましい実施形態においては、1以上の試薬の保持手段は、各反応ゾーンに等しく影響を与えるように配置される。マイクロ流体システムの構造としては、第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとが互いに近接していることが好ましい。したがって、図14に示されるように、1個の磁石を第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとの間に配置してもよい。これは、両反応ゾーンに等しい磁界強度が印加されることにより、同量の試薬が各反応ゾーンに保持されることを確実にするので、特に有利である。
【0041】
また、保持手段は、反応チャンバにそれぞれ隣接する2個の磁石とすることもできる。磁石は、電磁石であってもよい。
【0042】
1以上の試薬の保持手段は、オン/オフが可能であるか、該システムに加える/該システムから除去することが可能であるか、又はその両方が可能であることが好ましい。例えば、保持手段が磁石である実施形態においては、該磁石は、2つの反応ゾーンの間に加えること、及びそこから除去することできる。磁石が電磁石である実施形態においては、電磁石に供給する電流を単にオン/オフすればよい。
【0043】
本発明に係るアッセイ法の好ましい実施形態においては、1以上の試薬の保持手段は、1以上の試薬が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを満たした後の工程b)において、1以上の試薬の保持手段をオンにする又は第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに加える。溶液の流れが止めてから、1以上の試薬の保持手段をオンにする又は加えることが好ましい。1以上の試薬を含む溶液で該システムを満たしつつ反応ゾーンに試薬を保持すると、溶液中の試薬濃度が変化し、異なる濃度の試薬が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに入ってしまうので、この実施形態は、有利である。したがって、試薬を含む溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを満たしてから、好ましくは、その流れが止めてから反応ゾーンに試薬を保持する本実施形態においては、1以上の試薬の保持手段をオンにするか又は加えることで、同濃度の試薬が各反応ゾーンに存在する。これは、両反応ゾーンの反応条件を同一とすることを確実にする。
【0044】
1実施形態のおいては、本発明に係るマイクロ流体システムは、マイクロ流体チャネルを開閉するバルブを有しない。この実施形態においては、チャネルを通る流体の流れは、マイクロ流体チャネルの構造により制御することができる。上述したように、該技術分野において知られた並列システムでは、マイクロスケールでの流体の動態に起因して、チャネルにおける分割後に試薬溶液は、不均等に分配される。並列マイクロ流体システムに関するこの問題は、本発明に係るシステムを用いることで解消することができる。チャネルの分岐領域を、該分岐領域後に1つのチャネルを通して流体を輸送するように設けることができる。例えば、図3において、第1のサンプル輸送チャネルと反応ゾーンチャネルとが合流する分岐領域を、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かってサンプルが流れるようにする一方で、これとは反対方向の第2の反応ゾーンには流れないように設けることができる。分岐領域の構造は、流体が分岐領域後にいずれのチャネルにも向かうようにすることができる。
【0045】
好ましい実施形態においては、本発明のマイクロ流体システムは、マイクロチャネルを通る流体の流れを制御する1以上のバルブを含む。マイクロ流体システムは、反応ゾーンバルブ12、第1のサンプル輸送チャネルバルブ13、第2のサンプル輸送チャネルバルブ14、試薬輸送チャネルバルブ15、分岐領域の後に配置される試薬輸送チャネルバルブ19、廃棄チャネルバルブ20、更なる廃棄チャネルバルブ17、及び流体輸送チャネルバルブ22から選択される1以上のバルブを含むことができる。
【0046】
1実施形態においては、マイクロ流体システムは、バルブ制御と分岐領域の構造との組合わせにより、チャネルを通る流体の流れを制御する。
【0047】
マイクロ流体システムの主要な部分を図3に示す。該システムは、第1の反応ゾーン1、第2の反応ゾーン2、1以上の試薬を第1の反応ゾーン1に輸送する試薬輸送チャネル3、第2の反応ゾーン2からの廃棄物を除去する廃棄チャネル7、第1の反応ゾーン1にサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネル5、及び第2の反応ゾーン2にサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネル6を含み、各反応ゾーンは、1以上の試薬を保持する手段を有し、第1の反応ゾーン1及び第2の反応ゾーン2は、反応ゾーンチャネル4によって直列に接続されている。
【0048】
反応ゾーンチャネルは、第1の反応ゾーン1と第2の反応ゾーン2を直列に接続しているので、1以上の試薬を含む溶液は、第1の反応ゾーンから第2の反応ゾーンに流れる。したがって、1以上の試薬を含む同一の溶液が、両反応ゾーンに送られる。第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンが反応ゾーンチャネルによって直列に接続されている、本発明に係るシステムにおけるチャネルの配置は、各反応ゾーンに入るサンプルが同一の試薬条件で処理されること、及びより正確で信頼性の高い結果が得られることを確実にするので有利である。
【0049】
好ましい実施形態においては、試薬輸送チャネル及び反応ゾーンチャネル(第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンの間に配置される)は、各反応ゾーンに1以上の試薬を同量輸送するようになっている。これにより、同量の試薬含有溶液が各反応ゾーンを通って輸送されるので、各反応ゾーン内に1以上の試薬が同量ずつ保持されることが確実になる。この実施形態は、通常、試薬輸送チャネル及び反応ゾーンチャネルの長さと直径を、同量の流体が第1及び第2の反応ゾーンに送られように調整することにより達成される。例えば、試薬輸送チャネル及び反応ゾーンチャネルが同一の長さと直径を有するようにすることができる。
【0050】
この実施形態の一例を図13に示す。同図において、試薬輸送チャネルにおける分岐領域と更なるバルブ19との間の試薬輸送チャネル領域が領域33であり、バルブ19と第1の反応ゾーンの間の試薬輸送チャネル領域が領域34であり、第1の反応ゾーンと反応ゾーンバルブ12の間の反応ゾーンチャネル領域が領域35であり、反応ゾーン領域バルブ12と第2の反応ゾーンの間の反応ゾーンチャネル領域が領域26であり、廃棄チャネルにおける第2の反応ゾーンからバルブ20に向かう廃棄チャネル領域が領域37である。
【0051】
好ましい実施形態のおいては、領域33及び34を満たすのに必要な流体の全量が領域35及び36を満たすのに必要な流体の全量と同量である。この実施形態は、洗浄工程を行うことにより、チャネルに残っている試薬が同量ずつ各反応ゾーンを通ることを確実にするので有利である。この実施形態においては、該システムにバルブが存在する場合、領域33及び34を満たすのに必要な流体の全量が領域35及び36と同量であれば、バルブ19及び12の正確な位置決めは、特段重要なものではない。
【0052】
更に好ましい実施形態においては、領域34及び35を満たすのに必要な流体の全量が領域36及び37を満たすのに必要な流体の全量と同量である。この実施形態は、各反応ゾーン前後のマイクロ流体チャネルに、1以上の試薬を含む溶液が同量存在することを確実にするので、特に有利である。例えば、バルブ19及び20を閉めて、好ましくは、バルブ12も閉めて工程b)を行ってもよく、これにより、各反応ゾーンの前後のチャネルに同量の試薬が存在する。
【0053】
好ましい1実施形態においては、チャネルの領域33、34、35、36及び37のそれぞれは、同量の流体を輸送するようになっている。領域33、34、35、36及び37は、それぞれ、長さ及び直径を同一とすることができる。
【0054】
好ましい実施形態においては、第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとを接続する反応ゾーンチャネルは、反応ゾーンバルブを含む。反応ゾーンバルブを開けることにより試薬含有溶液を、第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンの両方を通るようにすることができる。試薬が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを通り、1以上の試薬が反応ゾーンに保持された後、反応ゾーンバルブを閉める。反応ゾーンバルブを閉めると、続いて別々のサンプルを接触させることなく各反応ゾーンに輸送することができる。本発明に係るアッセイ法においては、反応ゾーンバルブを開けて工程a)及び工程b)を行うことが好ましく、工程c)の前に反応ゾーンバルブを閉める。
【0055】
1実施形態においては、1以上のバルブがシステムに配置され、1以上の試薬が同量各反応ゾーンに送られることを確実にする。例えば、図13に示すマイクロ流体システムの1実施形態においては、試薬輸送チャネルのバルブ19及び反応ゾーンチャネルのバルブ12が配置されることにより、領域33及び34を満たすのに必要な流体の量が、領域35及び36を満たすのに必要な量と同量となることを確実にする。更に好ましい実施形態においては、試薬輸送チャネルのバルブ19、反応ゾーンチャネルのバルブ12、及び第2の反応ゾーンから出る廃棄チャネルのバルブ20が配置されることにより、領域34及び35を満たすのに必要な流体の量が、領域36及び37を満たすのに必要な量と同量となることを確実にする。1実施形態においては、試薬輸送チャネルのバルブ19、反応ゾーンチャネルのバルブ12、及び第2の反応ゾーンから出る廃棄チャネルのバルブ20が配置されることにより、マイクロ流体チャネルの領域33、34、35、36及び37のそれぞれを満たすのに必要な流体の量が同量となることを確実にする。
【0056】
更に好ましい実施形態においては、第1のサンプル輸送チャネル及び第2のサンプル輸送チャネルは、各反応ゾーンに同量のサンプルを輸送するようになっている。これは、両サンプル輸送チャネルの長さ及び直径を、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに同量の流体を輸送するように調整することにより達成される。サンプル輸送チャネルは、反応ゾーンに直接接続することができる。或いは、例えば、図4に示されるように、サンプル輸送チャネルを反応ゾーンチャネルと合流させる。この実施形態においては、両サンプル輸送チャネル及び反応ゾーンチャネルが、各反応ゾーンに同量のサンプルを輸送するようになっていることが好ましい。
【0057】
各サンプル輸送チャネルがバルブ(図4に示すバルブ13及び14)を有する実施形態においては、バルブ13及び14は、各サンプルが同量ずつ各反応ゾーンに輸送されることを確実にするようにサンプル輸送チャネルに配置されることが好ましい。
【0058】
本発明の1実施形態においては、第1の反応ゾーンの廃棄サンプルは、試薬輸送チャネルを介して除去されるようになっている。この実施形態を図3、4及び8に示す。図8において、矢印26は、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かうサンプルの流れる方向、及び試薬輸送チャネルを通って排出される廃棄サンプルの流れを示す。
【0059】
前記システムが、第1の反応ゾーンの廃棄サンプルが試薬輸送チャネルを介して除去されるようになっている、本発明に係るアッセイ法においては、工程c)は、前記試薬輸送チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、前記廃棄チャネルを経由して第2の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、を含む。
【0060】
前記システムは、1以上のバルブを有し、該バルブは、反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに1以上の試薬が輸送され、サンプルを第2の反応ゾーンに輸送させずに第1のサンプル輸送チャネルを通して第1の反応ゾーンに輸送させ、サンプルを第1の反応ゾーンに輸送させずに第2のサンプル輸送チャネルを通して第2の反応ゾーンに輸送させるように配置されることが好ましい。この実施形態においては、前記システムは、反応ゾーンチャネルに配置されるバルブ、第1のサンプル輸送チャネルに配置されるバルブ、及び第2のサンプル輸送チャネルに配置されるバルブを有することが好ましい。
【0061】
図4は、前記システムにおけるバルブの構造の一例を示す。同図において、バルブ12は、反応ゾーンチャネルに配置されており、バルブ13及び14は、第1のサンプル輸送チャネル及び第2のサンプル輸送チャネルにそれぞれ配置されている。本発明に係る方法の工程a)においては、バルブ12が開き、バルブ13及び14が閉じることにより、1以上の試薬を含む溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送される。工程c)においては、バルブ13が開き、バルブ12が閉じることにより、サンプルは、第2の反応ゾーンに輸送されることなしに、第1のサンプル輸送チャネルから第1の反応ゾーンに輸送され、第1の反応ゾーンから廃棄サンプルが試薬輸送チャネルを介して除去され、また、バルブ14が開き、バルブ12が閉じることにより、サンプルは、第1の反応ゾーンに輸送されることなしに、第2のサンプル輸送チャネルから第2の反応ゾーンに輸送され、第2の反応ゾーンから廃棄サンプルが廃棄チャネルを介して除去される。
【0062】
本発明の更なる実施形態においては、前記システムは、第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する更なる廃棄チャネルを含む。
【0063】
本発明に係るアッセイ法において、前記システムが第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する更なる廃棄チャネルを含む場合には、工程c)は、前記更なる廃棄チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程、及び前記廃棄チャネルを経由して第2の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程を含むことが好ましい。
【0064】
更なる廃棄チャネルを含むシステムの構造の1例を図5に示す。同図において、16は、更なる廃棄チャネル、17は、更なる廃棄チャネルのバルブをそれぞれ示す。図9は、図5のシステムを示す。図9において、矢印24は、試薬輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに輸送され、反応ゾーンチャネルを通って第2の反応ゾーンに輸送され、次いで廃棄チャネルを通る1以上の試薬の流れを示す。図9において、25は、第2のサンプル輸送チャネルを通って第2の反応ゾーンに向かうサンプルの流れ、及び廃棄チャネルを通る廃棄サンプルの流れを示す。図9において、27は、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かうサンプルの流れ、及び更なる廃棄チャネルを通る廃棄サンプルの流れを示す。
【0065】
この実施形態においては、前記システムは、1以上のバルブを含み、前記バルブが、1以上の試薬を、更なる廃棄チャネルに輸送することなしに、前記反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送し、試薬輸送チャネルに輸送することなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルが除去されるように配置されていることが好ましい。好ましくは、前記試薬輸送チャネルがバルブを有し、前記更なる廃棄チャネルがバルブを有する。
【0066】
図5は、前記システムにおけるバルブの構造の1例を示し、バルブ12が反応ゾーンチャネルに配置されており、バルブ13及び14が第1のサンプル輸送チャネル及び第2のサンプル輸送チャネルにそれぞれ配置されており、バルブ15が試薬輸送チャネルに配置されており、バルブ17が更なる廃棄チャネルに配置されている。本発明のアッセイ法の工程a)において、バルブ15及び12が開き、バルブ17、13及び14が閉じることにより、前記1以上の試薬は、前記更なる廃棄チャネルに輸送されることなしに、反応ゾーンチャネルを介して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送される。工程c)において、バルブ13及び17が開き、バルブ12及び15が閉じることにより、サンプルは、第2の反応ゾーンに輸送されることなしに、第1のサンプル輸送チャネルから第1の反応ゾーンに輸送され、廃棄サンプルは、試薬輸送チャネルに輸送されることなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して第1の反応ゾーンから除去され、また、バルブ14が開き、バルブ12が閉じることにより、サンプルは、第1の反応ゾーンに輸送されることなしに、第2のサンプル輸送チャネルから第2の反応ゾーンに輸送され、廃棄サンプルは、廃棄チャネルを介して第2の反応ゾーンから除去される。
【0067】
図6は、前記システムにおけるバルブの構造の1例を示し、バルブ15、19、20及び12が開き、バルブ17、13及び14が閉じることにより、前記1以上の試薬は、前記更なる廃棄チャネルに輸送されることなしに、反応ゾーンチャネルを介して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送される(本発明のアッセイ法における工程a)において)。バルブ13及び17が開き、バルブ12と、バルブ15及び19の少なくともいずれかとが閉じることにより、サンプルは、第2の反応ゾーンに輸送されることなしに、第1のサンプル輸送チャネルから第1の反応ゾーンに輸送され、廃棄サンプルは、試薬輸送チャネルに輸送されることなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して第1の反応ゾーンから除去され、また、バルブ14及び20が開き、バルブ12が閉じることにより、サンプルは、第1の反応ゾーンに輸送されることなしに、第2のサンプル輸送チャネルから第2の反応ゾーンに輸送され、廃棄サンプルは、廃棄チャネルを介して第2の反応ゾーンから除去される(本発明のアッセイ法の工程c)において)。
【0068】
1実施例においては、例えば、図5に示すように、前記更なる廃棄チャネルは、液体が反応ゾーンを通過することなく、サンプル輸送チャネルを通って前記更なる廃棄チャネルに輸送されるように配置される。この実施形態においては、本発明に係るアッセイ法は、工程a)の後であり、且つ、工程c)の前に、液体を反応ゾーンに通過させることなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して試薬輸送チャネルから液体を通して流す更なる工程を含むことが好ましい。この更なる工程は、アッセイ法の工程b)の前、工程b)の間、又は工程b)の後に行うことができ、工程b)の前に行うことが好ましい。
【0069】
この実施形態においては、前記システムは、例えば、図10のフロー矢印28で示されるように、液体が反応ゾーンを通過することなしに、サンプル輸送チャネルを通って前記更なる廃棄チャネルに流れるように1以上のバルブを含むことが好ましい。通常、バルブ22、17が開き、バルブ19が閉じることにより、前記システムを通る液体の流れ28が可能となる。矢印28で示される流体の流れは、矢印24で示される試薬の流れの後に、前記システムを通って輸送される。流体の流れ28により、試薬輸送チャネル3から、ビーズ等の試薬が除去されることが好ましい。
【0070】
本発明に係るアッセイ法は、また、工程a)の後であり、且つ、工程c)の前に、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び該第2の反応ゾーンからの廃棄チャネルを通して液体を流す更なる工程を含んでいてもよい。この工程は、アッセイ法の工程b)の間又は工程b)の後に行うことができる。この工程における液体の流れは、図8から図10において矢印24で示される流れと同じである。この実施形態において、マイクロ流体システムがバルブを有する場合には、試薬輸送チャネルバルブ15及び19が開き、第2の反応ゾーンからの廃棄チャネルのバルブ20が開き、サンプル輸送チャネルバルブ13及び14が閉じる。前記システムが含む更なる廃棄チャネルを有する実施形態においては、バルブ17は、この工程において閉じる。液体は、例えば、図7のチャネル21に示されるように、輸送チャネルから試薬輸送チャネルにと入ることができる。液体が輸送チャネル21から入らない場合は、バルブ22を開き、バルブ15を閉じる。
【0071】
試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び該第2の反応ゾーンからの廃棄チャネルを通して液体を流す更なる工程は、液体を反応ゾーンを通過させることなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して、試薬輸送チャネルを通して流す工程の後に行うことが好ましい。これらの工程を組み合わせることは、反応ゾーンを通過する試薬の量を更に制御できるので有利である。図10を参照すると、工程a)において、1以上の試薬を含有する溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを通って輸送された後(矢印24)、液体が、反応ゾーンを通過することなしに前記更なる廃棄チャネルを介して、試薬輸送チャネルを通って流され(矢印28)、マイクロ流体システムのこの部分から試薬を除去する。この段階で、1以上の試薬を含有する溶液は、二股に分岐する領域と第1の反応ゾーンとの間の試薬輸送チャネルの領域(図13の33及び34)、反応ゾーンチャネル(図13の35及び36)、及び第2の反応ゾーンからの廃棄チャネル(図13の37、及びバルブ20の後の領域)にのみ残る。その後、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び廃棄チャネルを通して液体を流す工程により、工程a)で輸送された1以上の試薬を含有する溶液のうちの残留溶液を押し流し、試薬輸送チャネル(領域33及び34)に存在する試薬を第1の反応ゾーンに通し、反応ゾーンチャネル(領域35及び36)に存在する試薬を第2の反応ゾーンに通す。
【0072】
領域33及び34を満たすのに必要な流体の全量が領域35及び36を満たすのに必要な流体の全量と同量である好ましい実施形態においては、この工程が行われると、同量の1以上の試薬が各反応ゾーンを通って輸送される。更に、反応ゾーンに残留する1以上の試薬を保持する工程b)が、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンを通して液体を流す工程の間又はその後に行うと、領域33、34、35及び36の構造により、同量の1以上の試薬が各反応ゾーンに保持されることが確実となる。これにより、両反応ゾーンの条件が同一となり、より正確なアッセイ結果がもたらされる。この利点は、チャネルの領域33、34、35、36及び37が同量の1以上の試薬を輸送するように設けられる好ましい実施形態においても得られる。
【0073】
試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び廃棄チャネルを通って流される液体は、任意の適切な液体、例えば、洗浄溶液とすることができる。この工程で流される溶液は、工程a)において試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーン、並びに廃棄チャネルを通って輸送される1以上の試薬を含有する溶液の残留溶液を全て押し流す役割をする。
【0074】
本発明に係るアッセイ法においては、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び廃棄チャネルを通って洗浄緩衝剤等の液体を流す更なる工程を工程a)の前に含むことが好ましい。
【0075】
本発明の別の実施形態においては、前記マイクロ流体システムは、第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する反応ゾーン廃棄チャネルを有する。この実施形態の1例を図11に示す。同図において、反応ゾーンチャネル29が示され、30は、反応ゾーン廃棄チャネルのバルブであり、31は、反応ゾーン廃棄チャネルのアウトレットである。この反応ゾーン廃棄チャネルにより、流体は、第2の反応ゾーンを通過することなしに、第1の反応ゾーンを通過して廃棄チャネルに向かうことが可能となる。これは、1以上の更なる試薬を、反応ゾーンを通して輸送する前に、反応ゾーンを別々に洗浄する必要がある場合に特に重要である。従って、本発明の方法は、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、反応ゾーンチャネルからの反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す更なる工程を含んでいてもよい。この工程は、反応ゾーンを通してサンプルを輸送する工程c)の後に行うことが好ましい。この工程により、工程c)で第1の反応ゾーンに輸送されたサンプルのうち、試薬輸送チャネル及び反応ゾーンチャネルの少なくともいずれかに残っているサンプルが、第2の反応ゾーンを通過することなしにマイクロ流体システムから除去することが確実となる。
【0076】
この工程における液体の流れを、図12の矢印32で示す。マイクロ流体システムがバルブを有するこの実施形態においては、試薬輸送チャネルバルブ19は、開き、反応ゾーン廃棄チャネルのバルブ30は、開き、サンプル輸送チャネルバルブ13及び反応ゾーンチャネルバルブ12は、閉じている。試薬輸送チャネルが廃棄チャネル16を有する実施形態においては、バルブ17も閉じている。試薬輸送チャネルバルブ5が開いているか、又は図12に示すように輸送チャネル21から液体が入る場合には、バルブ22が開き、バルブ15は、閉じられる。
【0077】
試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーン廃棄チャネル通って流される液体は、洗浄溶液等の任意の適切な液体とすることができる。
【0078】
本発明に係る方法は、また、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流す工程を含んでいてもよい。この工程における液体の流れを、図8から図10の矢印24で示す。このシステムがバルブを含む場合、矢印24で示す液体の流れに関し上で説明したようバルブと同一のバルブが開閉される。この工程は、反応ゾーンを通してサンプルを輸送する工程c)の後に行うことが好ましい。また、この工程は、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーンチャネルからの反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す工程の後に行うことが好ましい。この実施形態においては、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーンチャネルからの反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す工程により、第2の反応ゾーンを通過することなく、第1の反応ゾーンに輸送されたサンプルの残留サンプルを除去することが好ましい。試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流す後続の工程で、第1の反応ゾーンを通過することなく、第2の反応ゾーンに輸送されたサンプルの残留サンプルを除去することができる。これは、両反応ゾーンのサンプルの交差汚染がないことを確実にするので有利である。
【0079】
試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンから廃棄チャネルを通って流される液体は、洗浄溶液等の任意の適切な液体とすることができる。
【0080】
本発明に係るアッセイ法は、1以上の更なる試薬を第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送する更なる工程を含んでもよい。この工程における溶液の流れを図8から図10の矢印24で示す。システムがバルブを含む場合には、矢印24で示す液体の流れに関し上で述べたものと同じバルブが開閉される。この工程は、工程c)の後、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す工程の後、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流す工程の後に行うことが好ましい。第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを通って輸送される1以上の更なる試薬は、上述した任意の適切な試薬とすることができる。例えば、標的抗原に特異的なラベル化されていてもよい抗体を含有する溶液を、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを通して輸送することができる。
【0081】
本発明に係る方法は、液体を反応ゾーンに流して反応ゾーンを洗浄すると共に更なる試薬を導入する1以上の更なる工程を含んでいてもよい。この方法は、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーンチャネルから反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す工程、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流す工程、1以上の更なる試薬を第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送する工程を繰り返し行うことを含むことが好ましい。これらの工程を繰り返し行うことにより、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを洗浄してから、1以上の更なる試薬をこれら反応ゾーン通して輸送することができる、例えば、前述した通り、抗体を含む溶液をこれら反応ゾーンを通して輸送された後に、これら反応ゾーンを洗浄し、メチルウンベリフェリルリン酸塩(MUP)やフルオレセイン二リン酸塩(FDP)等の基質をこれら反応ゾーンを通して輸送することができる。
【0082】
最後の試薬が反応ゾーンを通して輸送された後、前記方法は、これらの反応ゾーンを洗浄する最終工程を含んでもよい。この最終の洗浄工程は、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、反応ゾーンチャネルからの反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流すことと、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン及び該第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流すことにより行うことが好ましい。
【0083】
本発明に係るマイクロ流体システムは、1以上の更なる反応ゾーンを有していてもよい。前記更なる反応ゾーンは、それぞれ、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに関して説明したように、1以上の試薬を保持する手段を含む。この実施形態において、更なる反応ゾーンは、それぞれ、反応ゾーンにサンプルを輸送するサンプル輸送チャネルに接続されている。システムの使用目的により、前記更なる反応ゾーンの1以上が同一のサンプル輸送チャネルに接続されていてもよい。或いは、サンプルの交差汚染を防止するために、前記更なる反応ゾーンがそれぞれ別々のサンプル輸送チャネルに接続される。更なる反応ゾーンは、それぞれ、廃棄チャネルにも接続させて、反応ゾーンからの廃棄サンプルを、廃棄チャネルを通して除去されるようにすることができる。
【0084】
この実施形態においては、前記1以上の更なる反応ゾーンが、1以上の更なる反応ゾーンチャネルによって第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに直列で接続される。したがって、更なるテストサンプル及び更なるキャリブレーションサンプルの少なくともいずれかである1以上の更なるサンプルをこれらの反応ゾーンに輸送して、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンと同一の反応条件とすることができる。本実施形態においては、同一の反応条件下で複数のサンプルを同時に分析することができる。
【0085】
本発明に係るアッセイ法は、前記更なる反応ゾーンチャネルを通してこれら更なる反応ゾーンに1以上の試薬を輸送すること、及び更なるサンプル輸送チャネルのそれぞれを通して、各反応ゾーンに更なるサンプルを輸送することを含んでいてもよい。また、前記方法は、更なる廃棄チャネルを通して更なる廃棄チャネルから廃棄サンプルを除去することを含んでいてもよい。
【0086】
本発明は、カートリッジシステムも提供する。本発明のカートリッジシステムは、
(a)1以上の試薬を保存するための試薬コンポーネントと、
(b)アッセイにおいて前記1以上の試薬を処理するための処理コンポーネントと、を有するカートリッジシステムであって、前記処理コンポーネントが前記マイクロ流体システムを有し、前記試薬コンポーネントと前記処理コンポーネントとが連結されて1つのカートリッジを形成してなるカートリッジシステムである。
【0087】
前記カートリッジシステムは、アナライトを検出するためのセンシングエレメントを少なくとも1つ含むセンシングコンポーネントを更に有することが好ましい。また、前記カートリッジシステムは、アッセイ用サンプルを調製するためのサンプル調製コンポーネントを更に有することが好ましい。
【0088】
このカートリッジシステムは、PCT/GB2007/003666に開示されているカートリッジシステム(この内容を参照によりここに援用する)であることが好ましく、プロセシングコンポーネントが本発明に係るマイクロ流体システムを含む。
【0089】
本発明に係るアッセイ法においては、上述した通り、前記マイクロ流体システムは、カートリッジシステム内にあってもよい。本実施形態において、工程c)の後に、前記方法は、前記カートリッジシステムを、前記カートリッジシステムを受け入れるようにされたアッセイ装置に連結する工程を更に含み、工程d)は、前記アッセイ装置を使用して行われる。
【0090】
本発明は、また、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネル、第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネル、第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネル、第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネル、及び第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに1以上の試薬を保持する手段を含むマイクロ流体システムであって、前記1以上の試薬を保持する手段が、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに1以上の試薬が同量保持されるように配置されているマイクロ流体システムを提供する。
【0091】
1以上の試薬を保持する手段は、反応ゾーンの外部に配置されるが、好ましくは、各反応ゾーンにおいて試薬が均一に保持されるように、反応ゾーン間で近接して且つ等しい間隔で配置される。この1以上の試薬を保持する手段は、磁性又は磁化可能であることが好ましく、例えば、図14に示すように、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンの間に配置される磁石であることがより好ましい。これは、両反応ゾーンに同一の磁界強度を印加することができ、それにより同量の試薬が各反応ゾーンに保持されることを確実にするので特に有利である。
【0092】
前記第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネル、第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネル、第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネル、及び第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネルは、上述の通りであることが好ましい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体システムに関し、より詳細には、サンプル、特に、生物学的サンプルをアッセイするためのマイクロ流体システムに関する。該マイクロ流体システムは、テストサンプルとコントロールサンプルなど、2種のサンプルを交差汚染なしに同一反応条件下で処理することができる。また、本発明は、該マイクロ流体システムを含むカートリッジシステム、該マイクロ流体システム、又は該カートリッジシステムを使用して行われるアッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体工学は、マイクロスケールに制限される流体の操作に関するものである。マイクロ流体システムは、エンジニアリングやバイオテクノロジーを始めとする、極めて少量の流体の使用する必要がある多種多様な分野において使用されている。例えば、マイクロ流体システムは、インクジェット・プリントヘッドやDNAチップの開発において使用されている。
【0003】
生物学的アッセイにマイクロ流体システムを用いることが知られている。マイクロ流体バイオチップにより、検出、サンプルの前処理、及び1つのチップ上でのサンプル調製等のアッセイ操作が可能となる。バイオチップの新たな適用領域は、臨床病理学、特に、即時性の高いポイント・オブ・ケア診断である。
【0004】
マイクロ流体処理装置やチップの開発により、生物学的アッセイに使用されるカートリッジの開発が容易となった。マイクロ流体工学は、更に小さい(且つ、安価な)カートリッジであって、より大きい頑健なアッセイ装置に装填しやすいカートリッジの製造を可能としたからである。特許文献1は、患者のベッドサイドでのアッセイプロセスに使用できるカートリッジについて記載している。また、PCT/GB07/003666は、生物学的アッセイに使用するためのカートリッジシステムについて記載しており、このカートリッジシステムでは、マイクロ流体工学を利用することができる。
【0005】
いずれのアッセイ法においても、標準曲線及びコントロールの少なくともいずれかと、結果を比較する必要がある。テストサンプルから得られる結果をコントロールと比較することで、テストサンプルに起因しない如何なるバックグラウンドデータも考慮することができる。テストサンプルから得られる結果と標準曲線を比較することで、テストサンプル中のアナライト量を計算することができる。マイクロ流体アッセイシステムには、コントロールチャンバとテストサンプル用の実験チャンバを設けることは、よく知られている。コントロールチャンバ及び実験チャンバは、交差汚染を避けるために、分離させておく必要がある。一方でまた、両チャンバを同一反応条件にすること、同様のチャネル/導管を通ること、を確実にすることが非常に望ましい。多くのマイクロ流体システムにおいては、コントロールチャンバと実験チャンバを並列に設置することによりこれを実現している。このシステムは、並列に設置された各チャンバに供給される前に、試薬を分けるように設けられている。
【0006】
図1及び図2に、そのような並列システムの一例を示す。図1において、試薬は、この装置の上部から試薬輸送チャネルを通って運ばれる。この試薬輸送チャネルは、試薬を分けてコントロールチャンバと実験チャンバに輸送する。コントロールチャンバへの実験サンプルの交差汚染を避けるために、コントロールサンプルと実験サンプルは、これらのチャンバに別々に送られる。実験サンプルは、実験サンプル輸送チャネルを通って実験チャンバへと送られた後、廃棄チャネル(装置の左側)へと送られる。同様にして、緩衝剤などのコントロールは、別のコントロールサンプル輸送チャネルを通ってコントロールチャンバへと送られた後、別の廃棄チャネル(装置の右側)へと送られる。
【0007】
この、いわゆる「並列システム」は、両チャンバに同量の試薬が供給されると共に実験サンプルとコントロールとの交差汚染が生じないように設計されている。しかしながら、マイクロ流体システムにおいて、試薬を正確に分けることは難しく、実際に、大部分の試薬は一方のチャンバへと流れ込み、均等に分配されない。図2において、試薬溶液(チャネル内の黒線で示される)は、トップチャネルと分割後のトップチャンバを満たしている一方で、ボトムチャネルとボトムチャンバには殆ど試薬溶液が含まれていない(淡色のチャネルで示される)ことが分かる。試薬が両チャンバ間で等しく分配されていないと、その2つのチャンバに同量の試薬が供給されておらず、各チャンバから得られたアッセイ結果を比較することができないので、このことは重大な問題である。
【0008】
チャネル内における分割後の試薬溶液の不均等な分配は、マイクロスケールでの流体の動態によるものである。流体は、マイクロスケールにおいてマクロスケールとは異なる振る舞いをする。これは、マイクロスケールでは、表面張力、エネルギー散逸及び流体抵抗などのファクターの流体の流れに対する影響がより大きいからである。これらの作用の1つが、マイクロスケールでの流体を2つのチャネル間に分割しにくいものとしており、本来、システムは、安定した層流を維持しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第02/090995号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アッセイ法への適用を向上させるために、マイクロ流体システムの更なる開発が、アッセイ法依然として必要とされている。特に、上述した問題点などの、公知のマイクロ流体システムに関連した問題点を克服する新たなマイクロ流体システムを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、第1の反応ゾーンと、第2の反応ゾーンと、前記第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネルと、前記第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネルとを有するマイクロ流体システムであって、該マイクロ流体システムが、1以上の試薬を各反応ゾーンに保持する手段を有し、前記第1の反応ゾーンと前記第2の反応ゾーンとが反応ゾーンチャネルにより直列に接続されていることを特徴とするマイクロ流体システムを提供する。
【0012】
2つの反応ゾーンが直列に設置されていることにより、1以上の試薬が同量各反応チャンバに供給されるようになっている。並列システムとは対照的に、本発明は、試薬を含む溶液を2つの別々のチャネルに分割しないので、2つの反応ゾーンに試薬が均等に分配されないという、並列システムで生じる問題が回避される。本発明は、2つのサンプルを十分に類似した反応条件下で分析しアッセイ結果を得るので、これらアッセイ結果は、好ましくは、一方のサンプルを他方のサンプルで較正することによって、該2つのサンプルを比較する上で十分に正確なものである。例えば、アッセイ法において本発明に係るマイクロ流体システムを用いて得られた結果は、テストサンプルと較正サンプルのより正確な比較を可能とする。2つの反応ゾーンでの反応条件は、実質的に一致していることが好ましく、完全に一致していることがより好ましい。
【0013】
本発明に係るシステムはまた、簡略化された設計であるので、より簡単に且つコスト効率よく製造することができる。
【0014】
また、本発明は、
(a)1以上の試薬を保存するための試薬コンポーネントと、
(b)アッセイにおいて前記1以上の試薬を処理するための処理コンポーネントと、を有するカートリッジシステムであって、前記処理コンポーネントが前記マイクロ流体システムを有し、前記試薬コンポーネントと前記処理コンポーネントとが連結されて1つのカートリッジを形成してなるカートリッジシステムを提供する。
【0015】
また、本発明は、サンプル中のアナライトを同定するためのアッセイ法において、前記マイクロ流体システム又は前記カートリッジシステムの使用を提供する。
【0016】
また、本発明は、1つのサンプル中で1以上のアリコートをアッセイするアッセイ法を提供する。この方法は、
サンプル中の1以上のアナライトをアッセイするアッセイ法であって、
a)1以上の試薬を含有する溶液が前記マイクロ流体システムを介して輸送され、前記1以上の試薬を含有する溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーン内に輸送される工程と、
b)前記第1の反応ゾーン及び前記第2の反応ゾーンに前記1以上の試薬を保持する工程と、
c)サンプルを第1のサンプル輸送チャネルを通して第1の反応ゾーン内へと輸送すると共に、サンプルを第2のサンプル輸送チャネルを通して第2の反応ゾーン内へと輸送する工程と、
d)前記1以上のアナライトをアッセイする工程と、を含むことを特徴とするアッセイ法である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、詳細には記載しないため、これを補完するために、例として、以下の図面のみで参照する。
【図1】図1は、該技術分野で知られた並列マイクロ流体システムを表す図である。
【図2】図2は、該技術分野で知られた並列マイクロ流体システムを表す図である。
【図3】図3は、本発明に係るマイクロ流体システムを示す図であり、1は、第1の反応ゾーン、2は、第2の反応ゾーン、3は、試薬輸送チャネル、4は、反応ゾーンチャネル、5は、第1のサンプル輸送チャネル、6は、第2のサンプル輸送チャネル、7は、第2の反応ゾーンの廃棄チャネル、8は、1以上の試薬のためのインレット、9は、第1の反応ゾーンのためのサンプルのインレット、10は、第2の反応ゾーンのためのサンプルのインレット、11は、試薬及び第2の反応ゾーンからのサンプルのアウトレットをそれぞれ示す。
【図4】図4は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示す図であり、12は、反応ゾーンのバルブ、13及び14は、サンプル輸送チャネルのバルブをそれぞれ示す。
【図5】図5は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示す図であり、15は、試薬輸送チャネルのバルブ、16は、更なる廃棄チャネル、17は、更なる廃棄チャネルのバルブ、18は、更なる廃棄チャネルのアウトレットをそれぞれ示す。
【図6】図6は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示す図であり、19は、分岐領域の後に位置する試薬輸送チャネルの更なるバルブ、20は、第2の反応ゾーンの廃棄チャネルのバルブをそれぞれ示す。
【図7】図7は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示す図であり、21は、試薬輸送チャネルに流体を輸送するための輸送チャネル、22は、該輸送チャネルのバルブ、23は、該輸送チャネルのインレットをそれぞれ示す。
【図8】図8は、本発明の一実施形態を示す図であり、24は、試薬輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かい、反応ゾーンチャネルを通って第2の反応ゾーンに向かい更に廃棄チャネルを通る1以上の試薬の流れ、25は、第2のサンプル輸送チャネルを通って第2の反応ゾーンに向かい更に廃棄チャネルを通るサンプルの流れ、26は、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かい更に試薬輸送チャネルを通るサンプルの流れをそれぞれ示す。
【図9】図9は、本発明の一実施形態を示す図であり、24は、試薬輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かい、反応ゾーンチャネルを通って第2の反応ゾーンに向かい更に廃棄チャネルを通る1以上の試薬の流れ、25は、第2のサンプル輸送チャネルを通って第2の反応ゾーンに向かい更に廃棄チャネルを通るサンプルの流れ、27は、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かい、次いで更なる廃棄チャネルを通るサンプルの流れをそれぞれ示す。
【図10】図10は、図9における試薬の流れ24とサンプルの流れ25及び27を示し、更に、輸送チャネルから試薬輸送チャネルに向かい、次いで第1の反応ゾーンにも第2の反応ゾーンにも入ることなく、更なる廃棄チャネルを通る流体の流れ28を示す図である。
【図11】図11は、本発明のマイクロ流体システムの好ましい特徴を示し、29は、反応ゾーンチャネルに配置される反応ゾーン廃棄チャネル、30は、反応ゾーン廃棄チャネルのバルブ、31は、反応ゾーン廃棄チャネルのアウトレットをそれぞれ示す図である。
【図12】図12は、輸送チャネルを通って試薬輸送チャネル及び第1の反応ゾーンに向かい、次いで第2の反応ゾーンに入ることなく反応ゾーンチャネルの反応ゾーン廃棄チャネルを通る流体の流れを示す図である。
【図13】図13は、本発明のマイクロ流体システムを示す図であり、試薬輸送チャネル33及び24、反応ゾーンチャネル35及び36、及び第2の反応ゾーン37の廃棄チャネルの各領域が示されている。好ましい実施形態においては、33及び34の領域を満たすのに必要な流体の全量は、35及び35の領域を満たすのに必要な流体の全量と同一である。更に好ましい実施形態においては、34及び35の領域を満たすのに必要な流体の全量は、36及び37の領域を満たすのに必要な流体の全量と同一である。更に好ましい実施形態では、33、34、35、36及び37の各領域を同量の流体で満たす。
【図14】図14は、本発明に係るマイクロ流体システムの反応ゾーンの部分拡大図であり、1以上の試薬を保持する手段は、2つの反応チャンバの間に配置された磁石である。
【図15A】図15Aは、各アッセイ段階での本発明に係るマイクロ流体システムを示し、表明処理溶液(即ち、BSA)の塗布を示す図である。
【図15B】図15Bは、各アッセイ段階での本発明に係るマイクロ流体システムを示し、ビーズを含む試薬溶液が試薬輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに送られ、反応ゾーンチャネルを通って第2の反応ゾーンに送られ、更に廃棄チャネルを通るときのマイクロ流体システムを示す図である。
【図15C】図15Cは、各アッセイ段階での本発明に係るマイクロ流体システムを示し、洗浄溶液が反応ゾーンを通らずに、試薬輸送チャネルと(第1の反応ゾーンの)廃棄チャネルに送られて試薬輸送チャネルとビーズ溶液の廃棄チャネルを清浄にするときのマイクロ流体システムを示す図である。
【図15D】図15Dは、各アッセイ段階での本発明に係るマイクロ流体システムを示し、試薬が反応ゾーンに送られ、1つのサンプルがサンプル輸送チャネルを通って反応ゾーンに送られるときのマイクロ流体システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のマイクロ流体システムは、複数の相互接続チャネル及び2つの反応ゾーンを有する。液体の輸送、混合、保温及び検証に適切なマイクロ流体システムは、公知であるので、当業者であれば、通常の知識を用いて本発明に係るシステムを製造することができよう。流体は、入口ポートを通って該システムのチャネルに入り、出口ポートを通って排出される。該システムは、該技術分野において知られたマイクロ流体ポンピング手段を有していてもよい。
【0019】
第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンは、サンプルを1以上の試薬と反応させるのに適した手段であれば如何なる手段でもよい。これらの反応ゾーンは、チャンバの形態であってもよいし、マイクロ流体チャネルの領域であってもよい。
【0020】
本発明のマイクロ流体システムは、一般に、サンプル中のアナライトを同定するためのアッセイに使用される。また、本発明は、サンプル中の1以上のサンプルのアッセイ法を提供する。
【0021】
そのようなアッセイにおいては、診断(好ましい治療と組み合わせる場合もある(セラノスティクスという))を行うために、患者由来のサンプル(テストサンプル)を試験するのが通常である。このサンプルは、該サンプル中に存在し得る特定のアナライト種類及び量の少なくともいずれかを検出することを目的としてアッセイされる。アナライトの種類としては、特に限定されず、本発明のマイクロ流体システムは、多種のアナライトに適用することができ、順次又は同時に行う複数のアナライトのアッセイを含む。典型的には、アナライトは、生体分子、病原体、ウィルス又はウィルス成分、細胞又は細胞成分から選択される。アナライトとしては、例えば、肝細胞などの全細胞、酵素、全ウィルス(例えば、C型肝炎(HCV)、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)など)、細菌病原体(大腸菌又は黄色ブドウ球菌)、タンパク質ポリペプチド、ペプチド、DNA及びRNAの少なくともいずれかなどの核酸などが挙げられる。炭水化物や、薬剤、製剤、代謝産物などの低分子もアナライトの例として挙げることができる。
【0022】
第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに入れるサンプルは、いずれも例えば、患者から採取したサンプルなどのテストサンプルとすることができる。テストサンプルは、通常、血液、唾液、尿、羊水、粘液、腹水、肺液(胸膜を含む)、洗浄液(例えば、肺水など)、生体検査液、精液、ぬぐい液(PAP、口腔液など)、汗、涙、糞便排泄物、脳脊髄液、傷口滲出物、滑液などから選ばれる。このサンプルは、一人の患者又は異なる複数の患者から採取することができる。
【0023】
別の実施形態においては、一方のサンプルがテストサンプルであり、他方のサンプルが、アナライトの1以上のアリコートであって、各アリコートは、1以上のアナライトをそれぞれ異なる既知の量で含むキャリブレーションサンプルである。テストサンプルのアナライト量の既知のばらつき又は予想されるばらつきを考慮して、前記各アリコートのアナライト量を選択することができる。アナライト量から、特定疾患の有無、該疾患の段階、治療の有効性及び該治療の毒性の少なくともいずれかが示される。
【0024】
一方のサンプルがテストサンプルであり、他方のサンプルがアナライトの1以上のアリコートを含むキャリブレーションサンプルである本実施形態においては、本発明に係るアッセイ法は、キャリブレーションサンプルにおける1以上のアナライトの既知の所定量に対してテストサンプルにおける1以上のアナライトの量を較正する工程を含むことが好ましい。
【0025】
別の実施形態においては、一方のサンプルがテストサンプルであり、他方のサンプルがコントロール液を含むキャリブレーションサンプルである。前記コントロール液は、アッセイ法に必要とされる任意の適切なブランク又は標準サンプルとすることができるアッセイ法である。前記コントロール液は、例えば、テストサンプルと共に混合される試薬と同一の試薬を含んでいてもよい。
【0026】
一方のサンプルがテストサンプルであり、他方のサンプルがコントロール液を含むキャリブレーションサンプルである本実施形態においては、本発明によるアッセイ法は、テストサンプルを含む反応ゾーンのアッセイ結果を、キャリブレーションサンプルを含む反応ゾーンのアッセイ結果で較正する工程を含むことが好ましい。例えば、第1の反応ゾーンに送られたサンプルがテストサンプルであり、第2の反応ゾーンに送られたサンプルがキャリブレーションサンプルである場合には、第1の反応ゾーンのアッセイ結果を第2の反応ゾーンのアッセイ結果で較正する。
【0027】
前記1以上の試薬は、選択したアッセイに必要とされる任意の適切な試薬とすることができる。前記1以上の試薬は、通常、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド模倣薬、核酸、オリゴヌクレオチド、アプタマー及び有機化学試薬又は無機化学試薬からそれぞれ独立して選択される。前記1以上の試薬は、抗体又は抗体の断片、レセプタ又はレセプタの断片、抗原、酵素、酵素阻害剤、結合タンパク質、触媒、血液凝固活性剤、凝固防止剤、血清分離剤、洗浄剤、及び塩からそれぞれ独立して選択されることが好ましい。
【0028】
これらの試薬は、酵素アッセイ、RNAアッセイ及びDNAアッセイ、タンパク質アッセイ又はALT酵素アッセイ用であることが好ましい。好ましい試薬としては、プロテアーゼ阻害剤、RNAse阻害剤、RNAase、逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、SYBRグリーン、=コンカナバリンA、磁性抗体、及びMACS(登録商標)ビーズ(Miltenyi Biotech(商標))等の磁性微粒子、グアニジンイソチオシアネート、グリコーゲン、RNAキャリア、塩化ナトリウム、dNTP、塩化マグネシウム及び磁性ナノ粒子、及びStemSeP(登録商標)等の架橋剤などを挙げることができる。
【0029】
一実施形態においては、前記1以上の試薬は、1以上のアナライトのラベルである。前記アナライトは、病原体、特に、ウィルス、ウィルス粒子又はウィルス成分、タンパク質、ポリペプチド、グリコプロティン、DNA又はRNA等の核酸、オリゴヌクレオチド、代謝産物、複合炭水化物等の炭水化物、脂質、脂肪、又は製剤、製薬等の内因生又は外因生小分子を含む。
【0030】
一実施形態においては、前記1以上の試薬は、磁性又は磁化可能である、又は磁性又は磁化可能物質に結合されているか、又は磁性又は磁化可能であり且つ磁性又は磁化可能物質に結合されている。本実施形態においては、前記1以上の試薬が磁性ビーズであるか、又は前記1以上の試薬が磁性ビーズに結合されている。また、前記1以上の試薬が磁性タンパク質であるか、前記1以上の試薬が磁性タンパク質に結合されている。一実施形態においては、試薬は、磁性リポソームか、又は同様な生体物質であってもよい。
【0031】
好ましい実施形態においては、前記1以上の試薬が磁性又は磁化可能である、又はそのそれぞれが磁性又は磁化可能物質に結合されているか、又は磁性又は磁化可能であり且つそのそれぞれが磁性又は磁化可能物質に結合されている場合、これら1以上の試薬のそれぞれがアナライト用のラベルを有する。各試薬は、同一又は異なる1種以上のラベルを有していてもよい。
【0032】
前記1以上の試薬のそれぞれが1以上のアナライトのための1以上のラベルを有し、前記ラベルが、磁性又は磁化可能物質に結合されており、
(a)前記1以上のアナライトに結合するための認識部分と、
(b)前記磁性又は磁化可能物質を結合又は内封する部分を含み、
前記磁性又は磁化可能物質を結合又は内封する部分が金属結合タンパク質、ポリペプチド又はペプチドを含むことが好ましい。
【0033】
PCT/GB07/004188(該特許の内容を参照によりここに援用する)は、前記磁性認識同定ラベルを開示しており、該ラベルは、少量の磁性(又は磁化可能)物質をアナライトに、該アナライト用の認識剤を介して結合させることが可能である。これらのラベルは、ごく少量の磁性物質をアナライトに結合させることができ、本発明に係るマイクロ流体システムの限られたスペースにおいてもアナライトが磁界の影響を受けるようにすることができる点で非常に有利である。
【0034】
マイクロ流体反応システムを通って送られる1以上の試薬は、前記反応ゾーン保持されるのに保持好適である。例えば、磁性又は磁化可能である、又は磁性又は磁化可能な物質に結合されているか、又は磁性又は磁化可能であり且つ磁性又は磁化可能な物質に結合されている試薬は、磁石により反応ゾーンに保持される保持に特に適している。
【0035】
1以上の更なる試薬もまた前記マイクロ流体システムを通って輸送することができるが、これらは、反応ゾーンに保持するのに適していない。
【0036】
反応ゾーンに1以上の試薬を保持する手段は、特に限定されず、任意の適切な物理的、生物的、又は化学的手段を含むことができる。前記保持手段は、反応ゾーン内に配置されていてもよいし、反応ゾーンが1以上の試薬と物理的に接触することを必要としない場合は、反応ゾーンの外側に配置させてもよい。
【0037】
物理的保持手段の一例として、1以上の試薬を反応ゾーン内に留める又は捕捉することが可能となるようにした、反応ゾーンの構造を挙げることができる。
【0038】
保持手段は、自然界における生物学的なものでもよく、1以上の試薬と共有結合又は非共有結合を形成することにより反応ゾーンに1以上の試薬を捕捉することができる剤で、反応ゾーンの内面の全部又は一部を処理する。その一例としては、反応ゾーンに結合された、標的と相補的な核酸プローブ鎖、抗体、又はその断片を挙げることができる。
【0039】
保持手段は、自然界における化学的なものでもよく、1以上の試薬と共有又は非共有結合を形成することにより反応ゾーンに1以上の試薬を捕捉することができる剤で、反応ゾーンの内面の全部又は一部を処理する。該手段は、一連の試薬の化学反応により活性化される任意の好適な化学物質とすることができる。
【0040】
好ましい実施形態においては、1以上の試薬の保持手段は、磁性を有するか又は磁化可能であり、そのため、磁性を有する又は磁化可能であるか、磁性又は磁化可能物質に結合されているかの少なくともいずれかである試薬を保持することができる。本実施形態においては、保持手段は、磁石であることが好ましい。好ましい実施形態においては、1以上の試薬の保持手段は、各反応ゾーンに等しく影響を与えるように配置される。マイクロ流体システムの構造としては、第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとが互いに近接していることが好ましい。したがって、図14に示されるように、1個の磁石を第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとの間に配置してもよい。これは、両反応ゾーンに等しい磁界強度が印加されることにより、同量の試薬が各反応ゾーンに保持されることを確実にするので、特に有利である。
【0041】
また、保持手段は、反応チャンバにそれぞれ隣接する2個の磁石とすることもできる。磁石は、電磁石であってもよい。
【0042】
1以上の試薬の保持手段は、オン/オフが可能であるか、該システムに加える/該システムから除去することが可能であるか、又はその両方が可能であることが好ましい。例えば、保持手段が磁石である実施形態においては、該磁石は、2つの反応ゾーンの間に加えること、及びそこから除去することできる。磁石が電磁石である実施形態においては、電磁石に供給する電流を単にオン/オフすればよい。
【0043】
本発明に係るアッセイ法の好ましい実施形態においては、1以上の試薬の保持手段は、1以上の試薬が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを満たした後の工程b)において、1以上の試薬の保持手段をオンにする又は第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに加える。溶液の流れが止めてから、1以上の試薬の保持手段をオンにする又は加えることが好ましい。1以上の試薬を含む溶液で該システムを満たしつつ反応ゾーンに試薬を保持すると、溶液中の試薬濃度が変化し、異なる濃度の試薬が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに入ってしまうので、この実施形態は、有利である。したがって、試薬を含む溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを満たしてから、好ましくは、その流れが止めてから反応ゾーンに試薬を保持する本実施形態においては、1以上の試薬の保持手段をオンにするか又は加えることで、同濃度の試薬が各反応ゾーンに存在する。これは、両反応ゾーンの反応条件を同一とすることを確実にする。
【0044】
1実施形態のおいては、本発明に係るマイクロ流体システムは、マイクロ流体チャネルを開閉するバルブを有しない。この実施形態においては、チャネルを通る流体の流れは、マイクロ流体チャネルの構造により制御することができる。上述したように、該技術分野において知られた並列システムでは、マイクロスケールでの流体の動態に起因して、チャネルにおける分割後に試薬溶液は、不均等に分配される。並列マイクロ流体システムに関するこの問題は、本発明に係るシステムを用いることで解消することができる。チャネルの分岐領域を、該分岐領域後に1つのチャネルを通して流体を輸送するように設けることができる。例えば、図3において、第1のサンプル輸送チャネルと反応ゾーンチャネルとが合流する分岐領域を、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かってサンプルが流れるようにする一方で、これとは反対方向の第2の反応ゾーンには流れないように設けることができる。分岐領域の構造は、流体が分岐領域後にいずれのチャネルにも向かうようにすることができる。
【0045】
好ましい実施形態においては、本発明のマイクロ流体システムは、マイクロチャネルを通る流体の流れを制御する1以上のバルブを含む。マイクロ流体システムは、反応ゾーンバルブ12、第1のサンプル輸送チャネルバルブ13、第2のサンプル輸送チャネルバルブ14、試薬輸送チャネルバルブ15、分岐領域の後に配置される試薬輸送チャネルバルブ19、廃棄チャネルバルブ20、更なる廃棄チャネルバルブ17、及び流体輸送チャネルバルブ22から選択される1以上のバルブを含むことができる。
【0046】
1実施形態においては、マイクロ流体システムは、バルブ制御と分岐領域の構造との組合わせにより、チャネルを通る流体の流れを制御する。
【0047】
マイクロ流体システムの主要な部分を図3に示す。該システムは、第1の反応ゾーン1、第2の反応ゾーン2、1以上の試薬を第1の反応ゾーン1に輸送する試薬輸送チャネル3、第2の反応ゾーン2からの廃棄物を除去する廃棄チャネル7、第1の反応ゾーン1にサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネル5、及び第2の反応ゾーン2にサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネル6を含み、各反応ゾーンは、1以上の試薬を保持する手段を有し、第1の反応ゾーン1及び第2の反応ゾーン2は、反応ゾーンチャネル4によって直列に接続されている。
【0048】
反応ゾーンチャネルは、第1の反応ゾーン1と第2の反応ゾーン2を直列に接続しているので、1以上の試薬を含む溶液は、第1の反応ゾーンから第2の反応ゾーンに流れる。したがって、1以上の試薬を含む同一の溶液が、両反応ゾーンに送られる。第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンが反応ゾーンチャネルによって直列に接続されている、本発明に係るシステムにおけるチャネルの配置は、各反応ゾーンに入るサンプルが同一の試薬条件で処理されること、及びより正確で信頼性の高い結果が得られることを確実にするので有利である。
【0049】
好ましい実施形態においては、試薬輸送チャネル及び反応ゾーンチャネル(第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンの間に配置される)は、各反応ゾーンに1以上の試薬を同量輸送するようになっている。これにより、同量の試薬含有溶液が各反応ゾーンを通って輸送されるので、各反応ゾーン内に1以上の試薬が同量ずつ保持されることが確実になる。この実施形態は、通常、試薬輸送チャネル及び反応ゾーンチャネルの長さと直径を、同量の流体が第1及び第2の反応ゾーンに送られように調整することにより達成される。例えば、試薬輸送チャネル及び反応ゾーンチャネルが同一の長さと直径を有するようにすることができる。
【0050】
この実施形態の一例を図13に示す。同図において、試薬輸送チャネルにおける分岐領域と更なるバルブ19との間の試薬輸送チャネル領域が領域33であり、バルブ19と第1の反応ゾーンの間の試薬輸送チャネル領域が領域34であり、第1の反応ゾーンと反応ゾーンバルブ12の間の反応ゾーンチャネル領域が領域35であり、反応ゾーン領域バルブ12と第2の反応ゾーンの間の反応ゾーンチャネル領域が領域26であり、廃棄チャネルにおける第2の反応ゾーンからバルブ20に向かう廃棄チャネル領域が領域37である。
【0051】
好ましい実施形態のおいては、領域33及び34を満たすのに必要な流体の全量が領域35及び36を満たすのに必要な流体の全量と同量である。この実施形態は、洗浄工程を行うことにより、チャネルに残っている試薬が同量ずつ各反応ゾーンを通ることを確実にするので有利である。この実施形態においては、該システムにバルブが存在する場合、領域33及び34を満たすのに必要な流体の全量が領域35及び36と同量であれば、バルブ19及び12の正確な位置決めは、特段重要なものではない。
【0052】
更に好ましい実施形態においては、領域34及び35を満たすのに必要な流体の全量が領域36及び37を満たすのに必要な流体の全量と同量である。この実施形態は、各反応ゾーン前後のマイクロ流体チャネルに、1以上の試薬を含む溶液が同量存在することを確実にするので、特に有利である。例えば、バルブ19及び20を閉めて、好ましくは、バルブ12も閉めて工程b)を行ってもよく、これにより、各反応ゾーンの前後のチャネルに同量の試薬が存在する。
【0053】
好ましい1実施形態においては、チャネルの領域33、34、35、36及び37のそれぞれは、同量の流体を輸送するようになっている。領域33、34、35、36及び37は、それぞれ、長さ及び直径を同一とすることができる。
【0054】
好ましい実施形態においては、第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとを接続する反応ゾーンチャネルは、反応ゾーンバルブを含む。反応ゾーンバルブを開けることにより試薬含有溶液を、第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンの両方を通るようにすることができる。試薬が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを通り、1以上の試薬が反応ゾーンに保持された後、反応ゾーンバルブを閉める。反応ゾーンバルブを閉めると、続いて別々のサンプルを接触させることなく各反応ゾーンに輸送することができる。本発明に係るアッセイ法においては、反応ゾーンバルブを開けて工程a)及び工程b)を行うことが好ましく、工程c)の前に反応ゾーンバルブを閉める。
【0055】
1実施形態においては、1以上のバルブがシステムに配置され、1以上の試薬が同量各反応ゾーンに送られることを確実にする。例えば、図13に示すマイクロ流体システムの1実施形態においては、試薬輸送チャネルのバルブ19及び反応ゾーンチャネルのバルブ12が配置されることにより、領域33及び34を満たすのに必要な流体の量が、領域35及び36を満たすのに必要な量と同量となることを確実にする。更に好ましい実施形態においては、試薬輸送チャネルのバルブ19、反応ゾーンチャネルのバルブ12、及び第2の反応ゾーンから出る廃棄チャネルのバルブ20が配置されることにより、領域34及び35を満たすのに必要な流体の量が、領域36及び37を満たすのに必要な量と同量となることを確実にする。1実施形態においては、試薬輸送チャネルのバルブ19、反応ゾーンチャネルのバルブ12、及び第2の反応ゾーンから出る廃棄チャネルのバルブ20が配置されることにより、マイクロ流体チャネルの領域33、34、35、36及び37のそれぞれを満たすのに必要な流体の量が同量となることを確実にする。
【0056】
更に好ましい実施形態においては、第1のサンプル輸送チャネル及び第2のサンプル輸送チャネルは、各反応ゾーンに同量のサンプルを輸送するようになっている。これは、両サンプル輸送チャネルの長さ及び直径を、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに同量の流体を輸送するように調整することにより達成される。サンプル輸送チャネルは、反応ゾーンに直接接続することができる。或いは、例えば、図4に示されるように、サンプル輸送チャネルを反応ゾーンチャネルと合流させる。この実施形態においては、両サンプル輸送チャネル及び反応ゾーンチャネルが、各反応ゾーンに同量のサンプルを輸送するようになっていることが好ましい。
【0057】
各サンプル輸送チャネルがバルブ(図4に示すバルブ13及び14)を有する実施形態においては、バルブ13及び14は、各サンプルが同量ずつ各反応ゾーンに輸送されることを確実にするようにサンプル輸送チャネルに配置されることが好ましい。
【0058】
本発明の1実施形態においては、第1の反応ゾーンの廃棄サンプルは、試薬輸送チャネルを介して除去されるようになっている。この実施形態を図3、4及び8に示す。図8において、矢印26は、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かうサンプルの流れる方向、及び試薬輸送チャネルを通って排出される廃棄サンプルの流れを示す。
【0059】
前記システムが、第1の反応ゾーンの廃棄サンプルが試薬輸送チャネルを介して除去されるようになっている、本発明に係るアッセイ法においては、工程c)は、前記試薬輸送チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、前記廃棄チャネルを経由して第2の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、を含む。
【0060】
前記システムは、1以上のバルブを有し、該バルブは、反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに1以上の試薬が輸送され、サンプルを第2の反応ゾーンに輸送させずに第1のサンプル輸送チャネルを通して第1の反応ゾーンに輸送させ、サンプルを第1の反応ゾーンに輸送させずに第2のサンプル輸送チャネルを通して第2の反応ゾーンに輸送させるように配置されることが好ましい。この実施形態においては、前記システムは、反応ゾーンチャネルに配置されるバルブ、第1のサンプル輸送チャネルに配置されるバルブ、及び第2のサンプル輸送チャネルに配置されるバルブを有することが好ましい。
【0061】
図4は、前記システムにおけるバルブの構造の一例を示す。同図において、バルブ12は、反応ゾーンチャネルに配置されており、バルブ13及び14は、第1のサンプル輸送チャネル及び第2のサンプル輸送チャネルにそれぞれ配置されている。本発明に係る方法の工程a)においては、バルブ12が開き、バルブ13及び14が閉じることにより、1以上の試薬を含む溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送される。工程c)においては、バルブ13が開き、バルブ12が閉じることにより、サンプルは、第2の反応ゾーンに輸送されることなしに、第1のサンプル輸送チャネルから第1の反応ゾーンに輸送され、第1の反応ゾーンから廃棄サンプルが試薬輸送チャネルを介して除去され、また、バルブ14が開き、バルブ12が閉じることにより、サンプルは、第1の反応ゾーンに輸送されることなしに、第2のサンプル輸送チャネルから第2の反応ゾーンに輸送され、第2の反応ゾーンから廃棄サンプルが廃棄チャネルを介して除去される。
【0062】
本発明の更なる実施形態においては、前記システムは、第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する更なる廃棄チャネルを含む。
【0063】
本発明に係るアッセイ法において、前記システムが第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する更なる廃棄チャネルを含む場合には、工程c)は、前記更なる廃棄チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程、及び前記廃棄チャネルを経由して第2の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程を含むことが好ましい。
【0064】
更なる廃棄チャネルを含むシステムの構造の1例を図5に示す。同図において、16は、更なる廃棄チャネル、17は、更なる廃棄チャネルのバルブをそれぞれ示す。図9は、図5のシステムを示す。図9において、矢印24は、試薬輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに輸送され、反応ゾーンチャネルを通って第2の反応ゾーンに輸送され、次いで廃棄チャネルを通る1以上の試薬の流れを示す。図9において、25は、第2のサンプル輸送チャネルを通って第2の反応ゾーンに向かうサンプルの流れ、及び廃棄チャネルを通る廃棄サンプルの流れを示す。図9において、27は、第1のサンプル輸送チャネルを通って第1の反応ゾーンに向かうサンプルの流れ、及び更なる廃棄チャネルを通る廃棄サンプルの流れを示す。
【0065】
この実施形態においては、前記システムは、1以上のバルブを含み、前記バルブが、1以上の試薬を、更なる廃棄チャネルに輸送することなしに、前記反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送し、試薬輸送チャネルに輸送することなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルが除去されるように配置されていることが好ましい。好ましくは、前記試薬輸送チャネルがバルブを有し、前記更なる廃棄チャネルがバルブを有する。
【0066】
図5は、前記システムにおけるバルブの構造の1例を示し、バルブ12が反応ゾーンチャネルに配置されており、バルブ13及び14が第1のサンプル輸送チャネル及び第2のサンプル輸送チャネルにそれぞれ配置されており、バルブ15が試薬輸送チャネルに配置されており、バルブ17が更なる廃棄チャネルに配置されている。本発明のアッセイ法の工程a)において、バルブ15及び12が開き、バルブ17、13及び14が閉じることにより、前記1以上の試薬は、前記更なる廃棄チャネルに輸送されることなしに、反応ゾーンチャネルを介して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送される。工程c)において、バルブ13及び17が開き、バルブ12及び15が閉じることにより、サンプルは、第2の反応ゾーンに輸送されることなしに、第1のサンプル輸送チャネルから第1の反応ゾーンに輸送され、廃棄サンプルは、試薬輸送チャネルに輸送されることなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して第1の反応ゾーンから除去され、また、バルブ14が開き、バルブ12が閉じることにより、サンプルは、第1の反応ゾーンに輸送されることなしに、第2のサンプル輸送チャネルから第2の反応ゾーンに輸送され、廃棄サンプルは、廃棄チャネルを介して第2の反応ゾーンから除去される。
【0067】
図6は、前記システムにおけるバルブの構造の1例を示し、バルブ15、19、20及び12が開き、バルブ17、13及び14が閉じることにより、前記1以上の試薬は、前記更なる廃棄チャネルに輸送されることなしに、反応ゾーンチャネルを介して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送される(本発明のアッセイ法における工程a)において)。バルブ13及び17が開き、バルブ12と、バルブ15及び19の少なくともいずれかとが閉じることにより、サンプルは、第2の反応ゾーンに輸送されることなしに、第1のサンプル輸送チャネルから第1の反応ゾーンに輸送され、廃棄サンプルは、試薬輸送チャネルに輸送されることなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して第1の反応ゾーンから除去され、また、バルブ14及び20が開き、バルブ12が閉じることにより、サンプルは、第1の反応ゾーンに輸送されることなしに、第2のサンプル輸送チャネルから第2の反応ゾーンに輸送され、廃棄サンプルは、廃棄チャネルを介して第2の反応ゾーンから除去される(本発明のアッセイ法の工程c)において)。
【0068】
1実施例においては、例えば、図5に示すように、前記更なる廃棄チャネルは、液体が反応ゾーンを通過することなく、サンプル輸送チャネルを通って前記更なる廃棄チャネルに輸送されるように配置される。この実施形態においては、本発明に係るアッセイ法は、工程a)の後であり、且つ、工程c)の前に、液体を反応ゾーンに通過させることなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して試薬輸送チャネルから液体を通して流す更なる工程を含むことが好ましい。この更なる工程は、アッセイ法の工程b)の前、工程b)の間、又は工程b)の後に行うことができ、工程b)の前に行うことが好ましい。
【0069】
この実施形態においては、前記システムは、例えば、図10のフロー矢印28で示されるように、液体が反応ゾーンを通過することなしに、サンプル輸送チャネルを通って前記更なる廃棄チャネルに流れるように1以上のバルブを含むことが好ましい。通常、バルブ22、17が開き、バルブ19が閉じることにより、前記システムを通る液体の流れ28が可能となる。矢印28で示される流体の流れは、矢印24で示される試薬の流れの後に、前記システムを通って輸送される。流体の流れ28により、試薬輸送チャネル3から、ビーズ等の試薬が除去されることが好ましい。
【0070】
本発明に係るアッセイ法は、また、工程a)の後であり、且つ、工程c)の前に、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び該第2の反応ゾーンからの廃棄チャネルを通して液体を流す更なる工程を含んでいてもよい。この工程は、アッセイ法の工程b)の間又は工程b)の後に行うことができる。この工程における液体の流れは、図8から図10において矢印24で示される流れと同じである。この実施形態において、マイクロ流体システムがバルブを有する場合には、試薬輸送チャネルバルブ15及び19が開き、第2の反応ゾーンからの廃棄チャネルのバルブ20が開き、サンプル輸送チャネルバルブ13及び14が閉じる。前記システムが含む更なる廃棄チャネルを有する実施形態においては、バルブ17は、この工程において閉じる。液体は、例えば、図7のチャネル21に示されるように、輸送チャネルから試薬輸送チャネルにと入ることができる。液体が輸送チャネル21から入らない場合は、バルブ22を開き、バルブ15を閉じる。
【0071】
試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び該第2の反応ゾーンからの廃棄チャネルを通して液体を流す更なる工程は、液体を反応ゾーンを通過させることなしに、前記更なる廃棄チャネルを介して、試薬輸送チャネルを通して流す工程の後に行うことが好ましい。これらの工程を組み合わせることは、反応ゾーンを通過する試薬の量を更に制御できるので有利である。図10を参照すると、工程a)において、1以上の試薬を含有する溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを通って輸送された後(矢印24)、液体が、反応ゾーンを通過することなしに前記更なる廃棄チャネルを介して、試薬輸送チャネルを通って流され(矢印28)、マイクロ流体システムのこの部分から試薬を除去する。この段階で、1以上の試薬を含有する溶液は、二股に分岐する領域と第1の反応ゾーンとの間の試薬輸送チャネルの領域(図13の33及び34)、反応ゾーンチャネル(図13の35及び36)、及び第2の反応ゾーンからの廃棄チャネル(図13の37、及びバルブ20の後の領域)にのみ残る。その後、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び廃棄チャネルを通して液体を流す工程により、工程a)で輸送された1以上の試薬を含有する溶液のうちの残留溶液を押し流し、試薬輸送チャネル(領域33及び34)に存在する試薬を第1の反応ゾーンに通し、反応ゾーンチャネル(領域35及び36)に存在する試薬を第2の反応ゾーンに通す。
【0072】
領域33及び34を満たすのに必要な流体の全量が領域35及び36を満たすのに必要な流体の全量と同量である好ましい実施形態においては、この工程が行われると、同量の1以上の試薬が各反応ゾーンを通って輸送される。更に、反応ゾーンに残留する1以上の試薬を保持する工程b)が、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンを通して液体を流す工程の間又はその後に行うと、領域33、34、35及び36の構造により、同量の1以上の試薬が各反応ゾーンに保持されることが確実となる。これにより、両反応ゾーンの条件が同一となり、より正確なアッセイ結果がもたらされる。この利点は、チャネルの領域33、34、35、36及び37が同量の1以上の試薬を輸送するように設けられる好ましい実施形態においても得られる。
【0073】
試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び廃棄チャネルを通って流される液体は、任意の適切な液体、例えば、洗浄溶液とすることができる。この工程で流される溶液は、工程a)において試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーン、並びに廃棄チャネルを通って輸送される1以上の試薬を含有する溶液の残留溶液を全て押し流す役割をする。
【0074】
本発明に係るアッセイ法においては、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び廃棄チャネルを通って洗浄緩衝剤等の液体を流す更なる工程を工程a)の前に含むことが好ましい。
【0075】
本発明の別の実施形態においては、前記マイクロ流体システムは、第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する反応ゾーン廃棄チャネルを有する。この実施形態の1例を図11に示す。同図において、反応ゾーンチャネル29が示され、30は、反応ゾーン廃棄チャネルのバルブであり、31は、反応ゾーン廃棄チャネルのアウトレットである。この反応ゾーン廃棄チャネルにより、流体は、第2の反応ゾーンを通過することなしに、第1の反応ゾーンを通過して廃棄チャネルに向かうことが可能となる。これは、1以上の更なる試薬を、反応ゾーンを通して輸送する前に、反応ゾーンを別々に洗浄する必要がある場合に特に重要である。従って、本発明の方法は、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、反応ゾーンチャネルからの反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す更なる工程を含んでいてもよい。この工程は、反応ゾーンを通してサンプルを輸送する工程c)の後に行うことが好ましい。この工程により、工程c)で第1の反応ゾーンに輸送されたサンプルのうち、試薬輸送チャネル及び反応ゾーンチャネルの少なくともいずれかに残っているサンプルが、第2の反応ゾーンを通過することなしにマイクロ流体システムから除去することが確実となる。
【0076】
この工程における液体の流れを、図12の矢印32で示す。マイクロ流体システムがバルブを有するこの実施形態においては、試薬輸送チャネルバルブ19は、開き、反応ゾーン廃棄チャネルのバルブ30は、開き、サンプル輸送チャネルバルブ13及び反応ゾーンチャネルバルブ12は、閉じている。試薬輸送チャネルが廃棄チャネル16を有する実施形態においては、バルブ17も閉じている。試薬輸送チャネルバルブ5が開いているか、又は図12に示すように輸送チャネル21から液体が入る場合には、バルブ22が開き、バルブ15は、閉じられる。
【0077】
試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーン廃棄チャネル通って流される液体は、洗浄溶液等の任意の適切な液体とすることができる。
【0078】
本発明に係る方法は、また、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流す工程を含んでいてもよい。この工程における液体の流れを、図8から図10の矢印24で示す。このシステムがバルブを含む場合、矢印24で示す液体の流れに関し上で説明したようバルブと同一のバルブが開閉される。この工程は、反応ゾーンを通してサンプルを輸送する工程c)の後に行うことが好ましい。また、この工程は、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーンチャネルからの反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す工程の後に行うことが好ましい。この実施形態においては、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーンチャネルからの反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す工程により、第2の反応ゾーンを通過することなく、第1の反応ゾーンに輸送されたサンプルの残留サンプルを除去することが好ましい。試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流す後続の工程で、第1の反応ゾーンを通過することなく、第2の反応ゾーンに輸送されたサンプルの残留サンプルを除去することができる。これは、両反応ゾーンのサンプルの交差汚染がないことを確実にするので有利である。
【0079】
試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンから廃棄チャネルを通って流される液体は、洗浄溶液等の任意の適切な液体とすることができる。
【0080】
本発明に係るアッセイ法は、1以上の更なる試薬を第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送する更なる工程を含んでもよい。この工程における溶液の流れを図8から図10の矢印24で示す。システムがバルブを含む場合には、矢印24で示す液体の流れに関し上で述べたものと同じバルブが開閉される。この工程は、工程c)の後、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す工程の後、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流す工程の後に行うことが好ましい。第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを通って輸送される1以上の更なる試薬は、上述した任意の適切な試薬とすることができる。例えば、標的抗原に特異的なラベル化されていてもよい抗体を含有する溶液を、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを通して輸送することができる。
【0081】
本発明に係る方法は、液体を反応ゾーンに流して反応ゾーンを洗浄すると共に更なる試薬を導入する1以上の更なる工程を含んでいてもよい。この方法は、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、及び反応ゾーンチャネルから反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流す工程、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、及び第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流す工程、1以上の更なる試薬を第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送する工程を繰り返し行うことを含むことが好ましい。これらの工程を繰り返し行うことにより、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンを洗浄してから、1以上の更なる試薬をこれら反応ゾーン通して輸送することができる、例えば、前述した通り、抗体を含む溶液をこれら反応ゾーンを通して輸送された後に、これら反応ゾーンを洗浄し、メチルウンベリフェリルリン酸塩(MUP)やフルオレセイン二リン酸塩(FDP)等の基質をこれら反応ゾーンを通して輸送することができる。
【0082】
最後の試薬が反応ゾーンを通して輸送された後、前記方法は、これらの反応ゾーンを洗浄する最終工程を含んでもよい。この最終の洗浄工程は、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、反応ゾーンチャネルからの反応ゾーン廃棄チャネルを通して液体を流すことと、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン及び該第2の反応ゾーンからの更なる廃棄チャネルを通して液体を流すことにより行うことが好ましい。
【0083】
本発明に係るマイクロ流体システムは、1以上の更なる反応ゾーンを有していてもよい。前記更なる反応ゾーンは、それぞれ、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに関して説明したように、1以上の試薬を保持する手段を含む。この実施形態において、更なる反応ゾーンは、それぞれ、反応ゾーンにサンプルを輸送するサンプル輸送チャネルに接続されている。システムの使用目的により、前記更なる反応ゾーンの1以上が同一のサンプル輸送チャネルに接続されていてもよい。或いは、サンプルの交差汚染を防止するために、前記更なる反応ゾーンがそれぞれ別々のサンプル輸送チャネルに接続される。更なる反応ゾーンは、それぞれ、廃棄チャネルにも接続させて、反応ゾーンからの廃棄サンプルを、廃棄チャネルを通して除去されるようにすることができる。
【0084】
この実施形態においては、前記1以上の更なる反応ゾーンが、1以上の更なる反応ゾーンチャネルによって第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに直列で接続される。したがって、更なるテストサンプル及び更なるキャリブレーションサンプルの少なくともいずれかである1以上の更なるサンプルをこれらの反応ゾーンに輸送して、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンと同一の反応条件とすることができる。本実施形態においては、同一の反応条件下で複数のサンプルを同時に分析することができる。
【0085】
本発明に係るアッセイ法は、前記更なる反応ゾーンチャネルを通してこれら更なる反応ゾーンに1以上の試薬を輸送すること、及び更なるサンプル輸送チャネルのそれぞれを通して、各反応ゾーンに更なるサンプルを輸送することを含んでいてもよい。また、前記方法は、更なる廃棄チャネルを通して更なる廃棄チャネルから廃棄サンプルを除去することを含んでいてもよい。
【0086】
本発明は、カートリッジシステムも提供する。本発明のカートリッジシステムは、
(a)1以上の試薬を保存するための試薬コンポーネントと、
(b)アッセイにおいて前記1以上の試薬を処理するための処理コンポーネントと、を有するカートリッジシステムであって、前記処理コンポーネントが前記マイクロ流体システムを有し、前記試薬コンポーネントと前記処理コンポーネントとが連結されて1つのカートリッジを形成してなるカートリッジシステムである。
【0087】
前記カートリッジシステムは、アナライトを検出するためのセンシングエレメントを少なくとも1つ含むセンシングコンポーネントを更に有することが好ましい。また、前記カートリッジシステムは、アッセイ用サンプルを調製するためのサンプル調製コンポーネントを更に有することが好ましい。
【0088】
このカートリッジシステムは、PCT/GB2007/003666に開示されているカートリッジシステム(この内容を参照によりここに援用する)であることが好ましく、プロセシングコンポーネントが本発明に係るマイクロ流体システムを含む。
【0089】
本発明に係るアッセイ法においては、上述した通り、前記マイクロ流体システムは、カートリッジシステム内にあってもよい。本実施形態において、工程c)の後に、前記方法は、前記カートリッジシステムを、前記カートリッジシステムを受け入れるようにされたアッセイ装置に連結する工程を更に含み、工程d)は、前記アッセイ装置を使用して行われる。
【0090】
本発明は、また、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネル、第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネル、第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネル、第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネル、及び第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに1以上の試薬を保持する手段を含むマイクロ流体システムであって、前記1以上の試薬を保持する手段が、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに1以上の試薬が同量保持されるように配置されているマイクロ流体システムを提供する。
【0091】
1以上の試薬を保持する手段は、反応ゾーンの外部に配置されるが、好ましくは、各反応ゾーンにおいて試薬が均一に保持されるように、反応ゾーン間で近接して且つ等しい間隔で配置される。この1以上の試薬を保持する手段は、磁性又は磁化可能であることが好ましく、例えば、図14に示すように、第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンの間に配置される磁石であることがより好ましい。これは、両反応ゾーンに同一の磁界強度を印加することができ、それにより同量の試薬が各反応ゾーンに保持されることを確実にするので特に有利である。
【0092】
前記第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン、第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネル、第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネル、第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネル、及び第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネルは、上述の通りであることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の反応ゾーンと、第2の反応ゾーンと、前記第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネルと、前記第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネルと、を有するマイクロ流体システムであって、該マイクロ流体システムが、1以上の試薬を各反応ゾーンに保持する手段を有し、前記第1の反応ゾーンと前記第2の反応ゾーンとが反応ゾーンチャネルにより直列に接続されていることを特徴とするマイクロ流体システム。
【請求項2】
試薬輸送チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する請求項1に記載のマイクロ流体システム。
【請求項3】
1以上のバルブを有し、該バルブが、反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに1以上の試薬が輸送され、サンプルを第2の反応ゾーンに輸送させずに第1のサンプル輸送チャネルを経由して前記第1の反応ゾーンに輸送させるように配置され、且つ、サンプルを第1の反応ゾーンに輸送させずに第2のサンプル輸送チャネルを経由して前記第2の反応ゾーンに輸送させるように配置される請求項1から2のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項4】
反応ゾーンチャネルがバルブを有し、第1のサンプル輸送チャネルがバルブを有し、第2のサンプル輸送チャネルがバルブを有する請求項3に記載のマイクロ流体システム。
【請求項5】
第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する更なる廃棄チャネルを有する請求項1から4のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項6】
1以上のバルブを有し、該バルブが1以上の試薬を更なる廃棄チャネルに輸送せずに、反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送され、試薬輸送チャネルへ輸送せずに、前記更なる廃棄チャネルを経由して前記第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去するように配置されている請求項5に記載のマイクロ流体システム。
【請求項7】
試薬輸送チャネルが1つのバルブを有し、更なる廃棄チャネルが1つのバルブを有する請求項6に記載のマイクロ流体システム。
【請求項8】
更なる廃棄チャネルが、液体が前記反応ゾーンを通過せずに、サンプル輸送チャネルを介して前記更なる廃棄チャネルに輸送されるように配置されている請求項5から7のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項9】
試薬輸送チャネルと反応ゾーンチャネルが同量の1以上の試薬を各反応ゾーンに輸送されるように設けられている請求項1から8のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項10】
1以上の試薬を保持する手段が磁性又は磁化可能である請求項1から9のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項11】
1以上の試薬の試薬を保持する手段が第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとの間に配置された磁石である請求項10に記載のマイクロ流体システム。
【請求項12】
1以上の更なる反応ゾーンを有し、それぞれの前記更なる反応ゾーンが該更なる反応ゾーンへサンプルを輸送するサンプル輸送チャネルに接続されており、1以上の前記更なる反応ゾーンが1以上の更なる反応ゾーンチャネルにより直列に第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンへと接続されており、それぞれの前記更なる反応ゾーンが1以上の試薬を保持する手段を有する請求項1から11のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項13】
反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する反応ゾーン廃棄チャネルを有する請求項1から12のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項14】
(a)1以上の試薬を保存するための試薬コンポーネントと、
(b)アッセイにおいて前記1以上の試薬を処理するための処理コンポーネントと、を有するカートリッジシステムであって、前記処理コンポーネントが請求項1から13のいずれかに記載のマイクロ流体システムを有し、前記試薬コンポーネントと前記処理コンポーネントとが連結されて1つのカートリッジを形成してなることを特徴とするカートリッジシステム。
【請求項15】
アナライトを検出するためのセンシングエレメントを少なくとも1つ有するセンシングコンポーネントを更に有する請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項16】
アッセイ用サンプルを調製するためのサンプル調製コンポーネントを更に有する請求項14から15のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項17】
サンプル中のアナライトを同定するためのアッセイ法において、請求項1から13のいずれかに記載のマイクロ流体システム又は請求項14から16のいずれかに記載のカートリッジシステムの使用。
【請求項18】
サンプル中の1以上のアナライトをアッセイするアッセイ法であって、
a)1以上の試薬を含有する溶液が請求項1から13のいずれかに記載のマイクロ流体システムを介して輸送され、前記1以上の試薬を含有する溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーン内に輸送される工程と、
b)前記第1の反応ゾーン及び前記第2の反応ゾーンに前記1以上の試薬を保持する工程と、
c)サンプルを第1のサンプル輸送チャネルを通して第1の反応ゾーン内へと輸送すると共に、サンプルを第2のサンプル輸送チャネルを通して第2の反応ゾーン内へと輸送する工程と、
d)前記1以上のアナライトをアッセイする工程と、を含むことを特徴とするアッセイ法。
【請求項19】
第1の反応ゾーン内へ輸送されたサンプルがテストサンプルであり、第2の反応ゾーン内へ輸送されたサンプルがコントロール液を含むキャリブレーションサンプルであり、前記第1の反応ゾーンのアッセイ結果を第2の反応ゾーンのアッセイ結果で較正する工程を含む請求項18に記載のアッセイ法。
【請求項20】
第1の反応ゾーンに輸送されたサンプルがテストサンプルであり、第2の反応ゾーンに輸送されたサンプルがアナライトの1以上のアリコートを含むキャリブレーションサンプルであり、各アリコートが前記1以上のアナライトをそれぞれの異なる既知量で含み、アッセイ法が、前記テストサンプルにおける前記1以上のアナライトの量を前記キャリブレーションサンプルにおける前記1以上のアナライトの既知の所定量で較正する工程を含む請求項18に記載のアッセイ法。
【請求項21】
工程b)において、1以上の試薬を保持する手段が、前記1以上の試薬を含む溶液が第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとを満たした後、前記第1の反応ゾーンと前記第2の反応ゾーンとに適用される請求項18から20のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項22】
工程c)が、試薬輸送チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、廃棄チャネルを経由して第2の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、を含む請求項18から21のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項23】
工程c)が、更なる廃棄チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、前記廃棄チャネルを経由して第2の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、を含む請求項18から21のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項24】
工程a)の後であり、且つ、工程c)の前に、反応ゾーンを通過させずに試薬輸送チャネルを介して更なる廃棄チャネルに液体を流す更なる工程を含む請求項18から21又は23のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項25】
工程a)の前に、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン及び廃棄チャネルを介して液体を流す更なる工程を含む請求項18から24のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項26】
工程a)の後であり、且つ、工程c)の前に、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン及び廃棄チャネルを介して液体を流す更なる工程を含む請求項18から25のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項27】
工程c)の後に、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン及び反応ゾーン廃棄チャネルを介して液体を流す更なる工程を含む請求項18から26のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項28】
工程c)の後に、第2の反応ゾーンから試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン及び更なる廃棄チャネルを介して液体を流す更なる工程を含む請求項18から27のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項29】
工程c)の後に、1以上の試薬を含有する溶液を第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーン内に輸送する更なる工程を含む請求項18から28のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項30】
工程b)において保持された1以上の試薬が磁性又は磁化可能な試薬である、又は、前記保持された1以上の試薬がそれぞれ磁性又は磁化可能な物質に結合されているか、又は前記保持された1以上の試薬が磁性又は磁化可能な試薬であり、且つ磁性又は磁化可能な物質に結合されている請求項18から29のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項31】
1以上の試薬が磁性ビーズである、又は、磁性又は磁化可能な物質が磁性ビーズであるか、又は前記1以上の試薬が磁性ビーズであり、且つ磁性又は磁化可能な物質が磁性ビーズである請求項30に記載のアッセイ法。
【請求項32】
マイクロ流体システムが請求項14から16のいずれかに記載のカートリッジシステム内にあり、工程c)の後にカートリッジを受け取るように設けられたアッセイ装置に前記カートリッジシステムを連結する工程を更に含み、工程d)が前記アッセイ装置を使用して行われる請求項18から28のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項33】
第1の反応ゾーンと、第2の反応ゾーンと、前記第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネルと、第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネルと、前記第1の反応ゾーン及び前記第2の反応ゾーン内に1以上の試薬を保持する手段と、を有するマイクロ流体システムであって、前記1以上の試薬を保持する手段が前記第1の反応ゾーン及び前記第2の反応ゾーン内に同量の1以上の試薬を保持するように配置されていることを特徴とするマイクロ流体システム。
【請求項34】
1以上の試薬を保持する手段が磁性又は磁化可能である請求項33に記載のマイクロ流体システム。
【請求項35】
1以上の試薬を保持する手段が第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとの間に配置された磁石である請求項34に記載のマイクロ流体システム。
【請求項1】
第1の反応ゾーンと、第2の反応ゾーンと、前記第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネルと、前記第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネルと、を有するマイクロ流体システムであって、該マイクロ流体システムが、1以上の試薬を各反応ゾーンに保持する手段を有し、前記第1の反応ゾーンと前記第2の反応ゾーンとが反応ゾーンチャネルにより直列に接続されていることを特徴とするマイクロ流体システム。
【請求項2】
試薬輸送チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する請求項1に記載のマイクロ流体システム。
【請求項3】
1以上のバルブを有し、該バルブが、反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに1以上の試薬が輸送され、サンプルを第2の反応ゾーンに輸送させずに第1のサンプル輸送チャネルを経由して前記第1の反応ゾーンに輸送させるように配置され、且つ、サンプルを第1の反応ゾーンに輸送させずに第2のサンプル輸送チャネルを経由して前記第2の反応ゾーンに輸送させるように配置される請求項1から2のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項4】
反応ゾーンチャネルがバルブを有し、第1のサンプル輸送チャネルがバルブを有し、第2のサンプル輸送チャネルがバルブを有する請求項3に記載のマイクロ流体システム。
【請求項5】
第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する更なる廃棄チャネルを有する請求項1から4のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項6】
1以上のバルブを有し、該バルブが1以上の試薬を更なる廃棄チャネルに輸送せずに、反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンに輸送され、試薬輸送チャネルへ輸送せずに、前記更なる廃棄チャネルを経由して前記第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去するように配置されている請求項5に記載のマイクロ流体システム。
【請求項7】
試薬輸送チャネルが1つのバルブを有し、更なる廃棄チャネルが1つのバルブを有する請求項6に記載のマイクロ流体システム。
【請求項8】
更なる廃棄チャネルが、液体が前記反応ゾーンを通過せずに、サンプル輸送チャネルを介して前記更なる廃棄チャネルに輸送されるように配置されている請求項5から7のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項9】
試薬輸送チャネルと反応ゾーンチャネルが同量の1以上の試薬を各反応ゾーンに輸送されるように設けられている請求項1から8のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項10】
1以上の試薬を保持する手段が磁性又は磁化可能である請求項1から9のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項11】
1以上の試薬の試薬を保持する手段が第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとの間に配置された磁石である請求項10に記載のマイクロ流体システム。
【請求項12】
1以上の更なる反応ゾーンを有し、それぞれの前記更なる反応ゾーンが該更なる反応ゾーンへサンプルを輸送するサンプル輸送チャネルに接続されており、1以上の前記更なる反応ゾーンが1以上の更なる反応ゾーンチャネルにより直列に第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーンへと接続されており、それぞれの前記更なる反応ゾーンが1以上の試薬を保持する手段を有する請求項1から11のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項13】
反応ゾーンチャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄物を除去する反応ゾーン廃棄チャネルを有する請求項1から12のいずれかに記載のマイクロ流体システム。
【請求項14】
(a)1以上の試薬を保存するための試薬コンポーネントと、
(b)アッセイにおいて前記1以上の試薬を処理するための処理コンポーネントと、を有するカートリッジシステムであって、前記処理コンポーネントが請求項1から13のいずれかに記載のマイクロ流体システムを有し、前記試薬コンポーネントと前記処理コンポーネントとが連結されて1つのカートリッジを形成してなることを特徴とするカートリッジシステム。
【請求項15】
アナライトを検出するためのセンシングエレメントを少なくとも1つ有するセンシングコンポーネントを更に有する請求項14に記載のカートリッジシステム。
【請求項16】
アッセイ用サンプルを調製するためのサンプル調製コンポーネントを更に有する請求項14から15のいずれかに記載のカートリッジシステム。
【請求項17】
サンプル中のアナライトを同定するためのアッセイ法において、請求項1から13のいずれかに記載のマイクロ流体システム又は請求項14から16のいずれかに記載のカートリッジシステムの使用。
【請求項18】
サンプル中の1以上のアナライトをアッセイするアッセイ法であって、
a)1以上の試薬を含有する溶液が請求項1から13のいずれかに記載のマイクロ流体システムを介して輸送され、前記1以上の試薬を含有する溶液が第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーン内に輸送される工程と、
b)前記第1の反応ゾーン及び前記第2の反応ゾーンに前記1以上の試薬を保持する工程と、
c)サンプルを第1のサンプル輸送チャネルを通して第1の反応ゾーン内へと輸送すると共に、サンプルを第2のサンプル輸送チャネルを通して第2の反応ゾーン内へと輸送する工程と、
d)前記1以上のアナライトをアッセイする工程と、を含むことを特徴とするアッセイ法。
【請求項19】
第1の反応ゾーン内へ輸送されたサンプルがテストサンプルであり、第2の反応ゾーン内へ輸送されたサンプルがコントロール液を含むキャリブレーションサンプルであり、前記第1の反応ゾーンのアッセイ結果を第2の反応ゾーンのアッセイ結果で較正する工程を含む請求項18に記載のアッセイ法。
【請求項20】
第1の反応ゾーンに輸送されたサンプルがテストサンプルであり、第2の反応ゾーンに輸送されたサンプルがアナライトの1以上のアリコートを含むキャリブレーションサンプルであり、各アリコートが前記1以上のアナライトをそれぞれの異なる既知量で含み、アッセイ法が、前記テストサンプルにおける前記1以上のアナライトの量を前記キャリブレーションサンプルにおける前記1以上のアナライトの既知の所定量で較正する工程を含む請求項18に記載のアッセイ法。
【請求項21】
工程b)において、1以上の試薬を保持する手段が、前記1以上の試薬を含む溶液が第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとを満たした後、前記第1の反応ゾーンと前記第2の反応ゾーンとに適用される請求項18から20のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項22】
工程c)が、試薬輸送チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、廃棄チャネルを経由して第2の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、を含む請求項18から21のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項23】
工程c)が、更なる廃棄チャネルを経由して第1の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、前記廃棄チャネルを経由して第2の反応ゾーンから廃棄サンプルを除去する工程と、を含む請求項18から21のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項24】
工程a)の後であり、且つ、工程c)の前に、反応ゾーンを通過させずに試薬輸送チャネルを介して更なる廃棄チャネルに液体を流す更なる工程を含む請求項18から21又は23のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項25】
工程a)の前に、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン及び廃棄チャネルを介して液体を流す更なる工程を含む請求項18から24のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項26】
工程a)の後であり、且つ、工程c)の前に、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン及び廃棄チャネルを介して液体を流す更なる工程を含む請求項18から25のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項27】
工程c)の後に、試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン及び反応ゾーン廃棄チャネルを介して液体を流す更なる工程を含む請求項18から26のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項28】
工程c)の後に、第2の反応ゾーンから試薬輸送チャネル、第1の反応ゾーン、第2の反応ゾーン及び更なる廃棄チャネルを介して液体を流す更なる工程を含む請求項18から27のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項29】
工程c)の後に、1以上の試薬を含有する溶液を第1の反応ゾーン及び第2の反応ゾーン内に輸送する更なる工程を含む請求項18から28のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項30】
工程b)において保持された1以上の試薬が磁性又は磁化可能な試薬である、又は、前記保持された1以上の試薬がそれぞれ磁性又は磁化可能な物質に結合されているか、又は前記保持された1以上の試薬が磁性又は磁化可能な試薬であり、且つ磁性又は磁化可能な物質に結合されている請求項18から29のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項31】
1以上の試薬が磁性ビーズである、又は、磁性又は磁化可能な物質が磁性ビーズであるか、又は前記1以上の試薬が磁性ビーズであり、且つ磁性又は磁化可能な物質が磁性ビーズである請求項30に記載のアッセイ法。
【請求項32】
マイクロ流体システムが請求項14から16のいずれかに記載のカートリッジシステム内にあり、工程c)の後にカートリッジを受け取るように設けられたアッセイ装置に前記カートリッジシステムを連結する工程を更に含み、工程d)が前記アッセイ装置を使用して行われる請求項18から28のいずれかに記載のアッセイ法。
【請求項33】
第1の反応ゾーンと、第2の反応ゾーンと、前記第1の反応ゾーンに1以上の試薬を輸送する試薬輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンから廃棄物を除去する廃棄チャネルと、第1の反応ゾーンにサンプルを輸送する第1のサンプル輸送チャネルと、前記第2の反応ゾーンにサンプルを輸送する第2のサンプル輸送チャネルと、前記第1の反応ゾーン及び前記第2の反応ゾーン内に1以上の試薬を保持する手段と、を有するマイクロ流体システムであって、前記1以上の試薬を保持する手段が前記第1の反応ゾーン及び前記第2の反応ゾーン内に同量の1以上の試薬を保持するように配置されていることを特徴とするマイクロ流体システム。
【請求項34】
1以上の試薬を保持する手段が磁性又は磁化可能である請求項33に記載のマイクロ流体システム。
【請求項35】
1以上の試薬を保持する手段が第1の反応ゾーンと第2の反応ゾーンとの間に配置された磁石である請求項34に記載のマイクロ流体システム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図15D】
【公表番号】特表2012−500966(P2012−500966A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523391(P2011−523391)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060460
【国際公開番号】WO2010/020574
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(507194084)アイティーアイ・スコットランド・リミテッド (30)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060460
【国際公開番号】WO2010/020574
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(507194084)アイティーアイ・スコットランド・リミテッド (30)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]