マイクロ粒子を使用する局所麻酔薬の持続放出および手術適用方法
異なるサイズを有する複数のマイクロ粒子と、異なるローディングレベルでマイクロ粒子中へロードされた少なくとも1つの局所麻酔薬とを含む組成物を注射することを含む、例えば、手術回復において、長期疼痛緩和を提供するための方法および組成物。ヒツジ試験において神経作用の延長された持続性の遮断が確認された。一部のマイクロ粒子は、高ローディングの局所麻酔薬を含む。ヒツジにおける試験は、少なくとも6日間の神経遮断を示した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2007年11月19日に出願された米国仮出願第60/989,098号の優先権を主張し、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
マイクロ粒子カプセル化は、インビボで医薬品を送達するためのメカニズムを提供し得る重要な技術である。マイクロ粒子は、さまざまな生物材料および合成材料から作製され得、広範囲の特性を有し得る。マイクロ粒子はまた、溶媒蒸発を含む、多数の方法によって作製され得、水性懸濁液中に置かれ得る。例えば、Masinde et al., International Journal of Pharmaceutics (1993), 100:121-131を参照のこと。さらに、マイクロ粒子は、さまざまな医薬品をカプセル化し得る。
【0003】
マイクロ粒子カプセル化は、薬物を送達しさまざまな生物学的症状を治療するために使用され得る。例えば、参照によりそれらの全体が組み入れられる、米国特許第6,426,339号;第5,618,563号;および第5,47,060号は、さまざまな種類の病態を治療するためのマイクロ粒子カプセル化を記載している。一種類の病態は、疼痛管理、特に、術後の疼痛管理(術後鎮痛法)である。多くの場合において、局所麻酔薬の注射が必要とされる。
【0004】
持続性の制御された放出が、薬物送達の重要な局面である。例えば、第5章「Pathological Evaluation of Injection Injury」、第351-410頁を含むEd. J. R. Robinson (1978) Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systemsを参照のこと。
【0005】
手術後の疼痛管理は、しばしば、手術の一部としての局所麻酔薬の注射で始まる。しかし、これは、比較的より長い持続と考えられる予想される局所麻酔薬についてさえ、単回注射について手術後ものの数時間しか疼痛緩和を提供しない。例えば、米国特許第5,618,563号を参照のこと。多くの場合において、増強剤が、局所麻酔薬の作用を延長するために必要であると考えられる。例えば、米国特許第5,618,563号および第5,747,060号を参照のこと。その場合、患者には、ヒドロコドン、ペルコセット、ヴァイコディン、または他のオピエートもしくはオピエート様物質などの薬品が処方され得る。オピエートは、中枢神経系に作用し、次の5〜7日間疼痛を管理し、その後、疼痛は、イブプロフェン、アセトアミノフェン、またはアスピリンなどの市販の鎮痛剤によって制御され得るレベルへ下がる。しかし、オピエートは、嗜癖、乱用、有害反応、および患者活動の制限を伴う潜在的な問題を示す。
【0006】
長期局所疼痛緩和は、以下が挙げられるがこれらに限定されない、ヒトにおける種々さまざまな病態について必要が示され得る:内部固定を伴う骨折の観血的整復;一般的に骨折の整復;関節または靭帯中への治療物質の注射;骨からの埋め込みデバイスの除去;バニオン切除;一般的に足指変形の治療;膝関節鏡検査;一般的に関節鏡検査;関節包靭帯、または軟骨の分裂;膝の関節半月の切除;滑膜切除;関節構造物の他の切開および切除;人工股関節全置換術;人工膝関節全置換術;一般的に膝の修復;一般的に関節の修復;筋肉、腱、筋膜および滑液包の病巣の切除;一般的に筋肉、腱、筋膜および滑液包に対する他の手術;上肢の切断;下肢の切断;ならびに一般的に筋骨格系に対する他の手術。
【0007】
長期局所疼痛緩和はまた、以下が挙げられるがこれらに限定されない、ヒトにおけるさまざまな病態に関連する慢性疼痛の先制的管理において是認され得る:熱傷、癌、硬膜外、大腿部破壊(epidural, femoral break)、反射性交感神経性ジストロフィー、および複合性局所疼痛症候群。
【0008】
長期局所疼痛緩和はまた、以下が挙げられるがこれらに限定されない、動物におけるさまざまな病態について必要が示され得る:前十字靭帯(anterior cruciate ligament)(ACL)手術、前十字靱帯(cranial cruciate ligament)(CCL)手術;人工股関節置換術、人工膝関節置換術;四肢への外傷;熱傷;および爪の除去(declawing)。
【0009】
オピエート使用についての必要性を排除するかまたは減少させ得かつ副作用を減少させるかまたは排除し得る局所麻酔薬からのより長く持続する疼痛緩和を含む、より良く、より効率的な疼痛管理アプローチを見つける必要性がある。これは、注射され得る麻酔薬の体積に制限がある場合に、特に当てはまる。さらに、増強剤を必要としない持続性の局所麻酔薬についての必要性がある。ある増強剤は、癌などの特定の疾患について病態特異的であり、または、ステロイドなどの他のものは、副作用を生じさせる傾向がある。
【発明の概要】
【0010】
概要
延長および制御された薬物放出プロファイルを生じさせるための、製造方法、使用方法、および組成物が提供される。
【0011】
一態様は、以下を含む組成物を提供する:複数のマイクロ粒子、ここで、マイクロ粒子の各々が実質的に、1つまたは複数の局所麻酔化合物を含み、ここで、マイクロ粒子の少なくとも一部が、局所麻酔化合物の放出を制御するための少なくとも1つのポリマーを含み、ここで、マイクロ粒子の少なくとも一部が、少なくとも約70重量%の量で1つまたは複数の局所麻酔薬を含み、ここで、組成物中の局所麻酔化合物の平均量が、少なくとも約50重量%であり、ここで、組成物が、局所麻酔化合物の疼痛緩和を延長するように適合された増強剤を実質的に含まない。
【0012】
別の態様は、以下を含む組成物を提供する:(a)複数のグループのマイクロ粒子であって、各グループは異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各グループは、複数のグループの全体の異なるパーセンテージを構成する、複数のグループのマイクロ粒子;ならびに(b)該グループのマイクロ粒子中へロードされた少なくとも1つの麻酔薬であって、各グループは異なるローディングレベルの該少なくとも1つの麻酔薬を含む、少なくとも1つの麻酔薬、ここで、該ローディングが、該少なくとも1つの麻酔薬が、異なるグループのマイクロ粒子とは異なる時間で放出されることを可能にし、少なくとも3日間にわたる連続放出プロファイルが提供される。
【0013】
別の態様は、以下を含む組成物を提供する:(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約91,600より大きな分子量、約20〜約50マイクロメートルの粒度、および約80%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約75%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;(c)第3グループのマイクロ粒子であって、該第3グループ中の各マイクロ粒子は、約31,300〜約57,600の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約50%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第3グループのマイクロ粒子;ならびに(d)第4グループのマイクロ粒子であって、該第4グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜約12,900の分子量、約120マイクロメートルより大きな粒度、および約30%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第4グループのマイクロ粒子、ここで、全4グループの総マイクロ粒子のうち、該第1グループが約30%を含み、該第2グループが約40%を含み、該第3グループが約20%を含み、該第4グループが約10%を含む。
【0014】
別の態様は、以下を含む組成物を提供する:(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約80%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約80%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;ならびに(c)遊離形態の該少なくとも1つの麻酔薬であって、遊離形態の各麻酔薬粒子は約50〜約100マイクロメートルの粒度を有する、少なくとも1つの麻酔薬、ここで、要素(a)、(b)および(c)の総質量のうち、該第1グループが約47%を含み、該第2グループが約47%を含み、遊離形態の麻酔薬が約6%を含む。
【0015】
別の態様は、以下を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を製造する方法を提供する:(a)少なくとも1つの麻酔薬を提供する工程;(b)少なくとも1つのポリマーを提供する工程;(c)該少なくとも1つの麻酔薬および該少なくとも1つのポリマーを有機溶媒に溶解し、溶液を作る工程;(d)水性媒体中へ撹拌することによって該溶液を乳化し、水中油型エマルジョンを形成させる工程;(e)該有機溶媒を蒸発させ、該少なくとも1つの麻酔薬および該少なくとも1つのポリマーをマイクロ粒子へ硬化させる工程;ならびに(f)工程(a)〜(e)を繰り返し、多数のバッチのマイクロ粒子を製造する工程、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0016】
別の態様は、以下を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を使用する方法を提供する:(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程;および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0017】
別の態様は、以下を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を使用する方法を提供する:(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程;および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ置く工程、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0018】
別の態様は、以下を含む組成物を提供する:(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約91,600より大きな分子量、約20〜約50マイクロメートルの粒度、および約58%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約80%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;(c)第3グループのマイクロ粒子であって、該第3グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜12,900の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約70%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第3グループのマイクロ粒子;ならびに(d)第4グループのマイクロ粒子であって、該第4グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜約12,900の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約70%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第4グループのマイクロ粒子、ここで、全4グループの総マイクロ粒子のうち、該第1グループが約20%を含み、該第2グループが約20%を含み、該第3グループが約40%を含み、該第4グループが約20%を含む。
【0019】
別の態様は、手術からの回復において疼痛緩和を提供する方法を含み、該方法は、(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程を含み、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0020】
別の態様は、手術からの回復において疼痛緩和を提供する方法を含み、該方法は、(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ置く工程を含み、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0021】
別の態様は、慢性疼痛の緩和を提供する方法を含み、該方法は、(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程を含み、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0022】
別の態様は、慢性疼痛の緩和を提供する方法を含み、該方法は、(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ置く工程を含み、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0023】
本明細書に記載される1つまたは複数の態様は、以下の利点の1つまたは複数を提供し得る。
【0024】
例えば、1つの可能性のある利点は、疼痛からの延長された緩和である。
【0025】
別の可能性のある利点は、増強剤、エピネフリン、および他の血管収縮薬についての必要性を減少させるかまたは排除する能力である。
【0026】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、リドカインベースでもよいことである。
【0027】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、18ゲージ針を介して注射可能であることである。
【0028】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、術後少なくとも6日間、連続的な疼痛緩和を提供し得ることである。
【0029】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、完全な感覚応答回復を可能にすることである。
【0030】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、神経損傷も組織損傷の引き起こさないことである。
【0031】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、最小の運動応答抑制を引き起こすことである。
【0032】
別の可能性のある利点は、ポリマーが、数ヶ月の期間でではなく、数日の期間で迅速かつ完全に吸収可能であることである。
【0033】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、副作用を引き起こさないことである。
【0034】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、オピエートおよびオピエート様薬品についての必要性を最小限にすることである。
【0035】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、オピエートの副作用をなくすことである。
【0036】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、オピエートの誤用および乱用についての可能性をなくすことである。
【0037】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、術後の迅速な回復および理学療法を可能にすることである。
【0038】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子の成分の全てがFDAによって認可されていることである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】遊離リドカイン(リドカイン遊離塩基)のインビトロ放出を示す。
【図2】80%リドカインローディングを有する低分子量ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)(D1)マイクロ粒子からのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図3】80%ローディングを有する中間分子量DL-PLGマイクロ粒子(D3)からのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図4】80%ローディングを有する高分子量DL-PLGマイクロ粒子(D4)からのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図5】80%ローディングを有する高分子量DL-PLGマイクロ粒子(D5)からのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図6】4つの異なるDL-PLGマイクロ粒子の組み合わせからのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図7】同一のDL-PLGマイクロ粒子の2つのバッチと遊離リドカインとの組み合わせからのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図8】同一のDL-PLGマイクロ粒子の2つのバッチと遊離リドカインとの組み合わせからのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図9】1つのマイクロ粒子(D1)の2つのバッチを含む、3つの異なるDL-PLGマイクロ粒子の組み合わせからのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図10】80%リドカインがロードされたD1マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【図11】80%リドカインがロードされたD2マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【図12】80%リドカインがロードされたD3マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【図13】80%リドカインがロードされたD4マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
導入
本明細書に提供されるものには、高局所麻酔薬ロードのマイクロ粒子(70〜80重量%)の混合物を送達し、延長された放出曲線を提供して、通常はオピエートを必要とする3日間の期間を患者に過ごさせることによって、最大の疼痛緩和を得る方法が含まれる。異なる時間および異なる速度で麻酔薬を放出するマイクロ粒子の組み合わせを提供することによって、集合的な放出プロファイルが作り出され得る。このプロファイルは、麻酔薬の所望の時間的送達を作り出すように調整され得る。
【0041】
集合的な放出プロファイルはまた、異なるサイズのマイクロ粒子の組み合わせで作り出され得る。ポリマーから作製されたマイクロ粒子について、ポリマーの分子量は、マイクロ粒子内にカプセル化された薬物がどのように放出されるかに影響する。一般的に、低分子量ポリマーは、高分子量ポリマーよりも早く薬物を放出する。ポリマーを介しての薬物、即ち、リドカインの拡散速度は、一定である。異なる分子量を有するマイクロ粒子を組み合わせて早いおよび遅い薬物放出の重複を提供することによって、集合され、延長された薬物放出が作り出され得る。
【0042】
さらに、グリコール酸および乳酸が、ポリマーマイクロ粒子を作製するためのモノマーとして使用される状況について、ポリマー中の乳酸に対するグリコール酸の高い比率が、ポリマーのより短い分解期間へ至る(何故ならば、グリコール酸は、乳酸よりももろいためである)。従って、この傾向は、ポリマーを、薬物放出後より速く分解させる。例えば、50:50ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)マイクロ粒子、即ち、50%乳酸および50%グリコール酸は、75:25 DL-PLG、即ち、75%乳酸および25%グリコール酸よりも速く分解する。
【0043】
延長された薬物放出を作り出すために必要な組み合わせを決定することに加えて、本明細書において提供されるものには、高ローディングレベルを得るための方法が含まれる。通常の薬物注射剤が弱まる時点を過ぎて、延長された薬物放出を提供するために、マイクロ粒子の少なくとも一部が、80%までの薬物ローディングを含む、高薬物レベルでロードされるべきである。このローディングは、薬物注射剤に与えられる制限に留意して、作り出された。インビボでの薬物注射剤は、このような注射剤を収容するための注射部位の身体間隙中の利用可能な間隙によって制限される。いくつかの間隙は25〜30 mlまでを許容し得るが、典型的には、5〜10 mlの液体体積が、身体間隙の大部分に注射され得る標準的な量である。従って、5〜10 mlの範囲内の液体体積でマイクロ粒子を注射するために、粒子質量と薬物ローディングとのバランスが存在するべきである。多すぎる重量のマイクロ粒子が前記液体体積中に懸濁される場合、懸濁液は注射可能ではない場合がある。しかし、少なすぎるマイクロ粒子が懸濁される場合、薬物用量は、効果および放出の必要な持続を生じさせるに十分には高くない。より高い薬物ローディングで、ポリマーの分子量が低すぎる場合、マイクロ粒子は、粘着性であり、注射され得ない融合された塊りを形成する。このバランスを認識して、注射に好適な液体体積中の総粉末を減少させつつ、80%までの最大薬物ローディングを得るための方法を、作り出した。
【0044】
マイクロ粒子
マイクロ粒子は当技術分野において公知である。マイクロ粒子は、薬物をカプセル化および放出することができる任意の粒子を含み、ペレット、ロッド、ペースト、スラブ、球、カプセル、ビーズ、マイクロ粒子、マイクロカプセル、マイクロビーズ、ナノカプセル、およびナノスフェアが挙げられる。
【0045】
マイクロ粒子はまた、任意の形状へ形成され得る。一態様において、形状は、球形、楕円形、または長円形である。別の態様において、形状はランダムである。
【0046】
マイクロ粒子は、合成および天然材料を含む、さまざまな材料から作製され得る。一態様において、マイクロ粒子は、ポリマーから作製される。
【0047】
ポリマー
合成ポリマーを含むポリマーは、当技術分野において公知である。マイクロ粒子へ形成され得るポリマーとしては、ホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。ホモポリマーの例としては、ポリ乳酸およびポリグリコール酸が挙げられる。本発明へ適用可能な他のクラスのポリマーとしては、ポリエステル、ポリオルトエステル、タンパク質、多糖類、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、ポリマーは、全ての目的について参照によって本明細書に組み入れられる、米国特許第5,922,340号に開示されるポリマーから作製され得、これらとしては、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、およびポリホスファゼンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
局所麻酔化合物
一態様において、薬物または麻酔薬は、マイクロ粒子と共に提供される。
【0049】
別の態様において、麻酔薬は、マイクロ粒子内に組み入れられる。
【0050】
別の態様において、麻酔薬は、70重量%までのローディングレベルで提供される。
【0051】
別の態様において、麻酔薬は、80重量%までのローディングレベルで提供される。
【0052】
別の態様において、麻酔薬は、疼痛緩和を提供する、生物学的、化学的、または薬学的組成物であり得る。薬物クラスの例としては、クラス1Bが挙げられるが、これに限定されない。麻酔薬の例としては、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、ジブカイン、エチドカイン、テトラカイン、キシロカイン、プロカイン、クロロプロカイン、プリロカイン、メピバカイン、それらの混合物、およびそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
増強剤
増強剤としては、局所麻酔化合物の効果を引き延ばす薬剤が挙げられる。増強剤としては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第6,451,335号および第6,534,081号に示されるように、グルココルチコステロイド、アルファキサロン、アロテトラヒドロコルチゾン、アミノピリン、ベンザミル、クロニジン、ミノキシジル、デヒドロエピアンドロステロン、デキストラン、ジアゼパム、ジアゾキシド、ウアバイン、ジゴキシン、スパンチド、タキソール、テトラクチルアンモニム(tetracthylammonimu)、バルプロ酸、ビンクリチン(vincritine)、ならびにそれらの活性誘導体、アナログ、および混合物が挙げられる。
【0054】
一態様において、増強剤は使用されない。
【0055】
他の態様において、増強剤は、使用されるが比較的少ない量で使用される。例えば、量は、上記で参照により既に組み入れられた、米国特許第5,922,340号に記載されるように、0.005〜30%であり得る。
【0056】
実質的に含まない
一態様において、組成物は、増強剤を実質的に含まない。例えば、実質的に含まない組成物としては、上記で参照により既に組み入れられた米国特許第5,922,340号に記載されるように、増強剤が約0.005%未満で存在するものが挙げられる。
【0057】
マイクロ粒子および薬物がロードされたマイクロ粒子の作製
マイクロ粒子は、溶媒蒸発法、またはホットメルトなどの任意の他の好適な方法を使用して、作製され得る。溶媒蒸発法において、局所麻酔薬およびポリマーは、溶液を作るために一般的な有機溶媒中に溶解され得る。次いで、乳化剤を含有する水性媒体中へ撹拌することによって、この溶液は乳化され得、水中油型エマルジョンが形成される。次いで、有機溶媒を蒸発させ、残りの麻酔薬およびポリマーをマイクロ粒子へ硬化させ得る。
【0058】
一態様において、平滑面を有する密な中実のマイクロ粒子が、提供される。
【0059】
別の態様において、蒸発段階の間にエマルジョンへ真空を適用することによって、マイクロ粒子中に孔を生じさせる。孔は、表面上およびマイクロ粒子内部内にあり得る。
【0060】
別の態様において、マイクロ粒子サイズは、乳化プロセスの間異なる撹拌速度を適用することによって変化される。
【0061】
別の態様において、直径を含む、マイクロ粒子サイズは、約20〜約150マイクロメートルの範囲に及ぶ。
【0062】
別の態様において、麻酔薬は、約20〜約80パーセントの範囲内の異なるレベルでロードされる。
【0063】
別の態様において、マイクロ粒子は異なる分子量を有する。
【0064】
別の態様において、マイクロ粒子は、約5,000〜約122,000ダルトンの分子量範囲を有する。
【0065】
別の態様において、マイクロ粒子は、コポリマーから作製される。コポリマーの例は、ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)である。
【0066】
別の態様において、コポリマーマイクロ粒子は、25:75〜75:25の比を有する。
【0067】
別の態様において、マイクロ粒子は、注射用の薬学的に許容される媒体中に懸濁される。
【0068】
別の態様において、マイクロ粒子は、乾燥粉末であり、身体間隙に置かれる。
【0069】
薬物がロードされたマイクロ粒子は、ポリマーおよび薬物を第1溶媒に溶解することによって作製され得る。第1溶媒は第2溶媒と混合され得、得られた混合物は振盪され得る。次いで、混合物は、第2溶媒を含有するさらなる溶液中へ移され、撹拌され、第1溶媒の蒸発を可能にし得る。次いで、懸濁されたマイクロ粒子は、沈殿させられ、得られた上澄みはデカンテーションされ、マイクロ粒子が遠心分離によって回収され得る。
【0070】
マイクロ粒子の組み合わせ
一態様において、異なる種類のマイクロ粒子の組み合わせが提供される。組み合わせは、マイクロ粒子および薬物の、異なるブレンド、または混合物を含み得る。
【0071】
別の態様において、組み合わせは、同一材料から作製されたマイクロ粒子の混合物を含む。例えば、マイクロ粒子は全てポリ乳酸またはポリグリコール酸であり得る。
【0072】
別の態様において、組み合わせは、異なる材料を有するマイクロ粒子の混合物を含む。例えば、マイクロ粒子は、異なる分子量のポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)であり得る。
【0073】
別の態様において、組み合わせは、異なる直径を有する、かつ/または薬物の異なるローディングレベルを有するマイクロ粒子の混合物を含む。
【0074】
別の態様において、マイクロ粒子の混合物は、全混合物の異なるパーセンテージを含むマイクロ粒子のクラスを含む。例えば、混合物は、30%の純粋ポリ乳酸マイクロ粒子および70%の純粋ポリグリコール酸を含み得る。
【0075】
別の態様において、組み合わせは、遊離薬物と混合されたマイクロ粒子を含む。
【0076】
別の態様において、マイクロ粒子の混合物は、異なる分子量から作製されたマイクロ粒子のクラスを含む。
【0077】
別の態様において、マイクロ粒子の混合物は、異なるローディングパーセンテージで作製されたマイクロ粒子のクラスを含む。
【0078】
注射可能な製剤
マイクロ粒子の組み合わせは、薬学的に許容される媒体を含む懸濁液で提供され得る。マイクロ粒子は、胸膜、腹膜、頭蓋、縦隔、心膜、滑液包、硬膜上腔、クモ膜下腔、および眼内腔を含む、身体間隙中へ投与され得るか、または、神経線維または神経幹の近位へ置かれ得る。
【0079】
一態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、選択された神経にまたはその付近に注射される。
【0080】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、ロケーターニードルを使用して、腓骨神経、脛骨神経、または坐骨神経の1〜2 mm内に注射される。
【0081】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、薬学的に許容される媒体の懸濁液中に混合されるまで、冷蔵庫中に維持される。
【0082】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、媒体なしで乾燥粉末として送達される。
【0083】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、増強剤を含まない。
【0084】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、1回だけ注射される。
【0085】
他の態様を下記の非限定的な実施例において示す。
【0086】
適用/手術
前記組成物は、長期局所麻酔薬の必要が示される手術を含む、手術において使用され得る。
【0087】
ヒトの四肢の整形外科手術
内部固定を伴う骨折の観血的整復
骨折の他の整復
関節または靭帯中への治療物質の注射
骨からの埋め込みデバイスの除去
バニオン切除
他の足指変形
膝の関節鏡検査
他の関節鏡検査
関節包、靭帯、または軟骨の分裂
膝の関節半月の切除
滑膜切除
関節構造物の他の切開および切除
人工股関節全置換術
人工膝関節全置換術
膝の他の修復
関節の他の修復
筋肉、腱、筋膜および滑液包の病巣の切除
他の手術/筋肉、腱、筋膜および滑液包
上肢の切断
下肢の切断
筋骨格系に対する他の手術
【0088】
ヒト先制的慢性疼痛管理の例としては、例えば、熱傷、癌、硬膜外、大腿部破壊、およびRSD(反射性交感神経性ジストロフィーまたは複合性局所疼痛症候群)が挙げられる。
【0089】
コンパニオン・アニマル手術の例としては、例えば、ACL/CCL手術、人工股関節置換術、人工膝関節置換術、四肢への外傷、熱傷、およびネコの爪の除去が挙げられる。
【実施例】
【0090】
実施例1:インビトロテスト方法
100 mgの量のマイクロ粒子バッチを、透析管(高保持シームレスセルロースチューブ;23 mm x 15 mm、MWカットオフ05173;Sigma Aldrich)中に配置した。次いで、管を、10 mlの脱イオン化限外濾過水(Fisher Scientific)を含有する30 mlガラス瓶中に配置した。37℃へ調節された温度および100 rpmの振盪速度で往復振盪浴(Reciprocating Shaking Bath Model 50;Precision Scientific)中に、瓶を配置した。
【0091】
薬物放出分析用のサンプルを、0、0.5、2、4、および12時間の時間間隔で抜き取り、図1〜5の薬物放出プロファイルに示されるように継続した。10 mlの溶解媒体の全部を、各サンプリング時間間隔で新鮮な媒体を交換した。取り出したサンプル0.1 mlの希釈物を、ホウケイ酸ガラスのクリーンな培養管(Pyrex)中において、10 mlの水へ希釈した。サンプルを、UV分光光度計(Lambda 3分光光度計Model R100A;Perking Elmer)を使用して、214 nmでのUV吸光度によって、薬物含有量について測定した。1マイクロ粒子バッチ当たり2つのサンプルを、薬物放出について測定し、三重のサンプルを、UV吸光度のために各放出間隔について調製した。
【0092】
実施例2:インビボ注射およびテスト方法
インビボテストを行い、マイクロ粒子調製物と従来のリドカインとの間で疼痛緩和の持続を比較した。以前のパイロット研究(データは示さず)で測定された用量を使用して、6匹のヒツジに、クローズドエンベロープ技術を使用して、盲検無作為交差研究を受けさせた。ヒツジに2つの時点で注射し、一方の時点はマイクロ粒子調製物、他方は従来のリドカインであった。マイクロ粒子調製物および従来のリドカインを注射した順序を、無作為化した。第1注射を、一方の後肢上の総腓骨神経付近に行った。注射間の間隔は少なくとも2週間であり、第1注射からの薬物作用の全てのサインが消えるに十分な時間を提供し、その後、第2注射を、反対側の神経、即ち、逆の後肢の腓骨神経中へ行った。各グループの薬物動態を描写するために、各々2 mlの一連の頚静脈血液サンプルを回収した。運動神経および感覚神経の遮断、またはそれらの欠如について、15、30、および45分、ならびに1、2、4、8、12、16、20、および24時間の持続時間で、観察を行った。この後、12時間間隔で観察を行った。各足指の近位の、頭側の面の皮膚(総腓骨皮膚節)をクランプすることによって、痛覚消失を測定した。
【0093】
これらの実験の全てにおいて使用した神経周囲注射を、全身麻酔下で行い、神経の位置決めの段階の間のヒツジへの最小の不快感を確実にし、局所麻酔薬を置くことについて最大の精度を確実にした。全手順を無菌条件下で行い、即ち、皮膚を刈り、クロルヘキシジン石鹸で少なくとも3回洗浄し、手に無菌手袋をはめ、境界線バリアに無菌カーテンをした。患者に対して使用される標準手順である、エレクトロロケーションを使用して、神経を位置決めし、ここで、適切な筋肉群の運動、即ち、直接の神経刺激によって引き起こされる爪の屈曲、腓骨応答が0.3 mAのわずかな電流で誘発されるまで、小さな導電性の先端を備える絶縁針(18ゲージ)を神経へ向かって徐々に進めた。刺激電流を2 Hzの周波数の方形波で適用し、これは、侵害受容ニューロンよりも運動ニューロンを刺激する。神経が位置決めされると、調製物を注射し、針を引き抜き、ヒツジを全身麻酔から回復させた。この手順は、一般的に、15分未満の全身麻酔を必要とした。
【0094】
マイクロ粒子調製物を注射するために、絶縁針およびそのチューブを、神経を位置決めする前に2.5 mlのカルボキシルメチルセルロースナトリウム溶液で満たした。これは、針アセンブリ中の空気を置換するために行われた。いったん神経が位置決めされると、5 mlまでのカルボキシルメチルセルロース溶液中に懸濁されたマイクロ粒子1.5 mgを含有する注射器を、チューブの開放端へ取り付け、注射を行った。注射を完全とするために、2.5 mlの空気をチューブを通して押し、懸濁液を置換した。
【0095】
実施例3:インビボで注射される量
上述のインビボ手順は、実施例11においても説明され、これは、手順の結果を記載している。実験うちの1つにおいて、2つの1.5 g注射器へ分割された、3.00 gのD4マイクロ粒子が、注射されるように意図された。しかし、注射が困難であったため、総計で推定2.0 gの粉末を注射した。
【0096】
別の実験において、100 mgリドカイン遊離塩基を含む2つの注射器へ分割された、推定量2.5 gのD4 マイクロ粒子を、3〜5 mlの好適な懸濁化媒体中に懸濁し、注射した。
【0097】
図1は、遊離リドカイン(リドカイン遊離塩基)のインビトロ放出プロファイルを示す。放出プロファイルは、約1日で18%放出のピークを示すが、次いで、それは、迅速に漸減し、その結果、薬物は、3日に相当する時間ポイント11で「使い尽くされる」。2.8 gの2%、即ち、5.6 mgの当量が、感覚抑制を生じさせるために必要とされる。100 mgのリドカイン粉末しかないので、5.6 mgの当量は、放出されて機能するに必要とされる最小量として100 mgの5.6%である。リドカイン遊離塩基は、2.5日に相当するポイント10でそのレベル未満に落ちる。
【0098】
実施例4:マイクロ粒子からのインビボおよびインビトロ薬物放出のための材料
(a)ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)(Durect Corp, Lactel Absorbable Polymers)(30℃においてHFIP中でのdL/gを単位とする、下記の固有粘度):
(i)50:50 DL-PLG、7,400 MW、固有粘度0.15〜0.25(D1)
(ii)50:50 DL-PLG、28,500 MW、固有粘度0.26〜0.54(D2)
(iii)50:50 DL-PLG、52,400 MW、固有粘度0.55〜0.75(D3)
(iv)50:50 DL-PLG、81,600 MW、固有粘度0.76〜0.94(D4)
(v)50:50 DL-PLG、122,000 MW、固有粘度0.95〜1.20(D5)
(b)98%純度を超えるリドカイン粉末(L7757;Sigma-Aldrich)
(c)加水分解された、98〜99%純度のポリ(ビニルアルコール)、(Sigma Aldrich)
(d)カルボキシルメチルセルロース、ナトリウム塩、平均MW 90,000(Fisher Scientific)
(e)99.6%純度の塩化メチレン(ジクロロエタン)、A.C.G.試薬(Sigma Aldrich)。
【0099】
実施例5:低分子量を有するD1マイクロ粒子からのインビトロ薬物放出
薬物ローディングを有する低分子量マイクロ粒子(D1)のバッチを、下記の実施例に記載のマイクロ粒子の組み合わせバッチとの比較目的のために提供する。
【0100】
図2は、低分子量ポリマーから作製されたマイクロ粒子を例示する、D1マイクロ粒子のインビトロ放出プロファイルを示す。このバッチは、リドカインの80%ローディングを有するD1マイクロ粒子で構成されている。放出プロファイルは、約1日で20%放出のピークを示すが、次いで、迅速に漸減し、その結果、薬物は、3日に相当する時間ポイント11で「使い尽くされる」。3日で、薬物は依然として放出されているが、D1マイクロ粒子の高ローディングのために、それらは、粘着性であり、注射に適していなかった。
【0101】
実施例6:高分子量を有するD4マイクロ粒子からのインビトロ薬物放出
薬物ローディングを有する高分子量マイクロ粒子(D4)のバッチを、下記の実施例に記載のマイクロ粒子の組み合わせバッチとの比較目的のために提供する。
【0102】
図4は、高分子量ポリマーから作製されたマイクロ粒子を例示する、D4マイクロ粒子の放出プロファイルを示す。このバッチは、リドカインの80%ローディングを有するD4マイクロ粒子で構成されていた。ここでの放出プロファイルは、図2とは相違している。この放出において、2つのピークがあり、一方は12時間に、他方はおよそ5日にある。各ピークは適切なリドカイン放出を提供し、それぞれ1.25および4日に相当するポイント7と13との間の期間は、2%未満の放出を提供する。この低レベルは、疼痛を緩和するに一般的に適切ではない。高分子量ポリマーは、より遅い時間に薬物を放出する傾向があるので、最初の放出はマイクロ粒子の表面上の薬物に起因し、後の放出はマイクロ粒子から外へ出てくる薬物に起因すると推定される。
【0103】
図2および4を比較して、薬物ローディングレベルを有する低および高分子量ポリマーは、それぞれ、薬物の早いまたは遅い放出を生じさせ、より遅いまたはより早い期間での相当する期間の疼痛緩和の低下を引き起こすことが、明らかである。
【0104】
実施例7:リドカインがロードされかつ遊離リドカインと混合されたD4およびD5ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)マイクロ粒子バッチの作製
マイクロ粒子バッチを、0.5257 gの重量のD4ポリマー、および1.2018 gの重量のリドカイン粉末を用いて作製した。バッチを2 mlの塩化メチレンに溶解し、D4/リドカイン溶液を作製した。2つの別個のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を、以下のいずれかを使用して作製した:(1)蒸留水100 ml中に溶解された、0.8031 gの98〜99%加水分解PVA、または(2)蒸留水10 ml中に溶解された、0.2414 gのPVA。D4/リドカイン溶液および(2)PVA溶液を混合し、混合物をガラス瓶中において手動で激しく振盪することによって、エマルジョンを作製した。得られたエマルジョンを、針を用いて注射器中へ移した。次いで、エマルジョンを、撹拌された(1)PVA溶液中へ導入した。500 rpmへ調節された6 cm x 1 cmマグネチックスターラーによって、撹拌を提供した。撹拌を1時間継続し、塩化メチレンを完全に蒸発させた。光学顕微鏡で観察すると、良好な、十分に形成された、小さな(約50マイクロメートル)マイクロ粒子が見られた。顕微鏡スライド上において、結晶性リドカインは検出されなかった。約2時間後に撹拌を停止し、懸濁された粒子を、乱されない状態で室温において沈殿させた。透明な上澄みをデカンテーションし、マイクロ粒子を遠心分離によって回収し、続いて蒸留水を使用して洗浄した。一定に撹拌しながら空気中において注意深く乾燥させてさえ、かなりの部分のマイクロ粒子が融合した(同化した)。乾燥の間マイクロ粒子として残った少ない部分のサンプルを使用し、これらは、約70%の理論的薬物ローディングを有した。D4マイクロ粒子についての放出プロファイルを図4に示す。放出の2つのピークが存在し、一方は12時間に、他方は5日に存在し、間における放出レベルはほとんど2%未満であった。
【0105】
異なるマイクロ粒子バッチを、D5ポリマーを用いて、上記の手順を使用して同様に作製した。D5マイクロ粒子についての放出プロファイルを図5に示す。このポリマーは、D4よりもわずかに高い分子量のものである。それは、多分に表面リドカインに起因して、6時間でピーク放出に達し、続いて、1.25日に2%へ低下する。次いで、第2日に8%への急激な上昇があり、放出パーセンテージは、5.5日まで最低2%を超えたままである。
【0106】
1.5 gのD4マイクロ粒子、1.5 gのD5マイクロ粒子、および100 mgのリドカイン遊離塩基の混合物を使用して、マイクロ粒子の組み合わせバッチを作製した。乳鉢および乳棒で粉末をすりつぶすことによって、リドカイン粉末の粒度を小さくした。この混合物を、ボルテックス(Vortex Genie;Fisher Scientific)の助けを借りて1分間マーク6で2%カルボキシルメチルセルロースナトリウム10 ml中に懸濁し、これは、注射される懸濁液となった。混合物を懸濁した後、次いで、ブレンドを各々5 mlの2つの等しい部分へ分割し、2つの10 ml注射器中に配置した。
【0107】
実施例8:D1/D3/D4/D5マイクロ粒子の組み合わせからのインビトロ薬物放出
表1は、マイクロ粒子の組み合わせの一例を示す。マイクロ粒子(D1、D3、D4、D5)の4つのバッチが示され、各々は、異なるレベルの麻酔薬ローディング、異なる粒度範囲を有し、異なるパーセンテージのマイクロ粒子の総組み合わせを構成している。例えば、D5マイクロ粒子は、全ての4つのクラスのうち最も高い薬物ローディングパーセンテージ、最も小さな粒度を有し、全体の組み合わせ中のマイクロ粒子の第2に最も大きなパーセンテージを構成している。
【0108】
(表1)薬物としてリドカイン麻酔薬を使用するマイクロ粒子の組み合わせの例
【0109】
表1中の製剤は、組み合わせて約67%リドカインを含む。
【0110】
図6は、表1に示されるマイクロ粒子の組み合わせのインビトロ放出プロファイルを示す。連続レベルのリドカイン放出が、時間1から20まで見られ得る。それぞれ、12時間、2日、および4日に相当する、時間ポイント5、9、および14に放出の3つのピークが存在する。
【0111】
12時間での放出は、全体では最も高く、薬物の約12%がその時間で放出された。このレベルの放出は、溶液での注射から通常得られる4〜6時間を越えて治療効果を提供した。この放出は、マイクロ粒子の表面領域からおよび表面吸収された薬物から放出された薬物に起因したと考えられる。
【0112】
2日での放出は5%を少し上回った。このピークは、ナトリウムチャネル遮断を維持するために必要である神経表面での薬物の増加された濃度を示す。この量は、より低分子量のポリマーから作製されたより大きな粒子からの薬物放出の増加を伴い、マイクロ粒子の表面および表面領域からの薬物枯渇に起因して生じた、12時間の後の低下しつつあるレベルを復活させた。より低分子量のポリマーの構造および増加した多孔性が、液体の進入を可能にし、これは、ポリマー鎖加水分解と組み合わさって、薬物放出のレベルを増加させた。
【0113】
4日での放出は7%を少し上回った。増加された加水分解と結び付けられるポリマー鎖加水分解が、薬物放出のこの観察された増加の原因となった。この放出は、より高分子量のポリマーから作製されたより小さなマイクロ粒子に主に由来した。この減少は、第2日ピーク後の低下しつつある薬物レベルの第2の復活を提供した。
【0114】
薬物放出における3つのバーストの間に、薬物レベルが3%未満に落ちることなく、リドカインの連続的な放出が存在した。従って、この分野における他の発明によって未だ提供されていない明確な利益である、5日を超える連続した感覚神経遮断(sensory blockade)が存在した。
【0115】
実施例9:D4/D4マイクロ粒子および遊離リドカインの組み合わせからのインビトロ薬物放出
表2は、D4マイクロ粒子の2つのバッチおよび遊離リドカインの1つのバッチを含むマイクロ粒子の組み合わせを示す。D4マイクロ粒子の各バッチを構成する分子量の範囲のため、図7および8に描写されるように、この組み合わせの放出プロファイルは、組み合わせ間で相違する。しかし、これらの図によって示されるように、これらの組み合わせによって提供される全体的な薬物緩和は、5日を十分に過ぎて継続する。
【0116】
図7は、表2に記載の1つのマイクロ粒子の組み合わせのインビトロ放出プロファイルを示す。この組み合わせは、純粋なリドカイン200 mg、および80%リドカインがロードされたD4マイクロ粒子の2つのバッチ各々1.5 gから構成された。D4マイクロ粒子の2つのバッチ間で、僅かな相違がある。示されるように、純粋なリドカインによって引き起こされるリドカインの最初のバースト放出が存在し、これに、4〜5日間にわたる一定の減少が続き、その後、上向きの振動が再開される。
【0117】
図8は、表2に記載の別のマイクロ粒子の組み合わせに由来するリドカインのインビトロ放出プロファイルを示す。このマイクロ粒子の組み合わせは、純粋なリドカイン6%、78.9%ローディングを有するD4マイクロ粒子47%、および80%ローディングを有するD4マイクロ粒子47%を含有する。このプロファイルにおいて、7日に相当する時間ポイント19までずっと、薬物の連続放出が存在する。4日に相当する時間ポイント14付近を除いて、薬物放出の大部分は4%未満に落ちない。実際に、放出は第7日まで2%未満に落ちず、このことは、感覚応答が、部分的な回復無しにこのポイントまで妨げられ、完全な疼痛緩和が可能にされることを示している。
【0118】
(表2)薬物としてリドカインを使用する別のマイクロ粒子の組み合わせの例
【0119】
実施例10:D5/D3/D1/D1/D1マイクロ粒子の組み合わせからのインビトロ薬物放出
図9は、表3に記載のマイクロ粒子の組み合わせのインビトロ放出プロファイルを示す。この組み合わせは、1.2 gのD1(バッチ033006)、600 mgのD1の第2バッチ(バッチ022406)、600 mgのD3(バッチ041906)、および600 mgのD5(バッチ030306)から構成されている。マイクロ粒子の各グループについてのリドカインのローディングパーセントを表に示す。図に示されるように、5バッチ全てのマイクロ粒子の表面上のリドカインによって引き起こされるリドカインの最初のより高いバースト放出が存在する。この放出に、6日間にわたる迅速な減少が続き、次いで、D4マイクロ粒子に起因する短い上向きの振動が続く。全体的にみれば、リドカイン放出パーセントは、第8日まで2%未満に落ちない。
【0120】
(表3)リドカインを有する4バッチのマイクロ粒子の組み合わせ
【0121】
実施例11:D4/D4マイクロ粒子および遊離リドカインの組み合わせからのインビボ薬物放出
実施例9中の、図7に描写されたマイクロ粒子の組み合わせをまた、インビボ研究においてヒツジに注射した。
【0122】
インビボ研究によって、注射の2時間後に採取されたサンプル中1 mcg/mlの検出可能な血中リドカイン濃度が示され、これは、運動神経遮断(motor blockade)を引き起こすに十分である。その後の採取されたサンプルは、0.5 mcg/ml未満のリドカインを生じさせた。しかし、注射部位を囲む組織中の薬物濃度は、運動神経遮断が注射の2〜4時間後に終わった後、回復可能な感覚神経遮断を生じさせるに十分に高かった。
【0123】
従って、表2中のマイクロ粒子の組み合わせを使用してのインビトロ研究およびインビボ研究は両方とも、確証的なデータを示している。インビボ研究からの結果(データを提示せず)は、第5日(インビトロでの第4〜5日減少の終了に相当する)にヒツジにおいて感覚応答の部分的な回復、続いての、さらに3.5日間持続する感覚神経遮断の即時の再確立(インビトロデータにおける上向きの振動結果に相当)を示している。マイクロ粒子の組み合わせは、7.5日後、インビボで、リドカイン2.6 gの約2%を依然として放出しており、これは、注射後の最初の0.5時間後に放出されるものと類似している。この量は、感覚応答抑制を維持するために、ヒツジにおける連続放出のために注射される必要があるおおよその量であるようである。
【0124】
実施例12:リドカインがロードされた異なるマイクロ粒子の電子顕微鏡写真
図10〜13は、それぞれ、D1、D2、D3、およびD4マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。上述の手順に従って、マイクロ粒子の各々に、80%リドカインをロードした。より低分子量のポリマーを有するD1およびD2マイクロ粒子は、D3およびD4が形成したような分離した注射可能なマイクロ粒子を形成しなかった。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2007年11月19日に出願された米国仮出願第60/989,098号の優先権を主張し、これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
マイクロ粒子カプセル化は、インビボで医薬品を送達するためのメカニズムを提供し得る重要な技術である。マイクロ粒子は、さまざまな生物材料および合成材料から作製され得、広範囲の特性を有し得る。マイクロ粒子はまた、溶媒蒸発を含む、多数の方法によって作製され得、水性懸濁液中に置かれ得る。例えば、Masinde et al., International Journal of Pharmaceutics (1993), 100:121-131を参照のこと。さらに、マイクロ粒子は、さまざまな医薬品をカプセル化し得る。
【0003】
マイクロ粒子カプセル化は、薬物を送達しさまざまな生物学的症状を治療するために使用され得る。例えば、参照によりそれらの全体が組み入れられる、米国特許第6,426,339号;第5,618,563号;および第5,47,060号は、さまざまな種類の病態を治療するためのマイクロ粒子カプセル化を記載している。一種類の病態は、疼痛管理、特に、術後の疼痛管理(術後鎮痛法)である。多くの場合において、局所麻酔薬の注射が必要とされる。
【0004】
持続性の制御された放出が、薬物送達の重要な局面である。例えば、第5章「Pathological Evaluation of Injection Injury」、第351-410頁を含むEd. J. R. Robinson (1978) Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systemsを参照のこと。
【0005】
手術後の疼痛管理は、しばしば、手術の一部としての局所麻酔薬の注射で始まる。しかし、これは、比較的より長い持続と考えられる予想される局所麻酔薬についてさえ、単回注射について手術後ものの数時間しか疼痛緩和を提供しない。例えば、米国特許第5,618,563号を参照のこと。多くの場合において、増強剤が、局所麻酔薬の作用を延長するために必要であると考えられる。例えば、米国特許第5,618,563号および第5,747,060号を参照のこと。その場合、患者には、ヒドロコドン、ペルコセット、ヴァイコディン、または他のオピエートもしくはオピエート様物質などの薬品が処方され得る。オピエートは、中枢神経系に作用し、次の5〜7日間疼痛を管理し、その後、疼痛は、イブプロフェン、アセトアミノフェン、またはアスピリンなどの市販の鎮痛剤によって制御され得るレベルへ下がる。しかし、オピエートは、嗜癖、乱用、有害反応、および患者活動の制限を伴う潜在的な問題を示す。
【0006】
長期局所疼痛緩和は、以下が挙げられるがこれらに限定されない、ヒトにおける種々さまざまな病態について必要が示され得る:内部固定を伴う骨折の観血的整復;一般的に骨折の整復;関節または靭帯中への治療物質の注射;骨からの埋め込みデバイスの除去;バニオン切除;一般的に足指変形の治療;膝関節鏡検査;一般的に関節鏡検査;関節包靭帯、または軟骨の分裂;膝の関節半月の切除;滑膜切除;関節構造物の他の切開および切除;人工股関節全置換術;人工膝関節全置換術;一般的に膝の修復;一般的に関節の修復;筋肉、腱、筋膜および滑液包の病巣の切除;一般的に筋肉、腱、筋膜および滑液包に対する他の手術;上肢の切断;下肢の切断;ならびに一般的に筋骨格系に対する他の手術。
【0007】
長期局所疼痛緩和はまた、以下が挙げられるがこれらに限定されない、ヒトにおけるさまざまな病態に関連する慢性疼痛の先制的管理において是認され得る:熱傷、癌、硬膜外、大腿部破壊(epidural, femoral break)、反射性交感神経性ジストロフィー、および複合性局所疼痛症候群。
【0008】
長期局所疼痛緩和はまた、以下が挙げられるがこれらに限定されない、動物におけるさまざまな病態について必要が示され得る:前十字靭帯(anterior cruciate ligament)(ACL)手術、前十字靱帯(cranial cruciate ligament)(CCL)手術;人工股関節置換術、人工膝関節置換術;四肢への外傷;熱傷;および爪の除去(declawing)。
【0009】
オピエート使用についての必要性を排除するかまたは減少させ得かつ副作用を減少させるかまたは排除し得る局所麻酔薬からのより長く持続する疼痛緩和を含む、より良く、より効率的な疼痛管理アプローチを見つける必要性がある。これは、注射され得る麻酔薬の体積に制限がある場合に、特に当てはまる。さらに、増強剤を必要としない持続性の局所麻酔薬についての必要性がある。ある増強剤は、癌などの特定の疾患について病態特異的であり、または、ステロイドなどの他のものは、副作用を生じさせる傾向がある。
【発明の概要】
【0010】
概要
延長および制御された薬物放出プロファイルを生じさせるための、製造方法、使用方法、および組成物が提供される。
【0011】
一態様は、以下を含む組成物を提供する:複数のマイクロ粒子、ここで、マイクロ粒子の各々が実質的に、1つまたは複数の局所麻酔化合物を含み、ここで、マイクロ粒子の少なくとも一部が、局所麻酔化合物の放出を制御するための少なくとも1つのポリマーを含み、ここで、マイクロ粒子の少なくとも一部が、少なくとも約70重量%の量で1つまたは複数の局所麻酔薬を含み、ここで、組成物中の局所麻酔化合物の平均量が、少なくとも約50重量%であり、ここで、組成物が、局所麻酔化合物の疼痛緩和を延長するように適合された増強剤を実質的に含まない。
【0012】
別の態様は、以下を含む組成物を提供する:(a)複数のグループのマイクロ粒子であって、各グループは異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各グループは、複数のグループの全体の異なるパーセンテージを構成する、複数のグループのマイクロ粒子;ならびに(b)該グループのマイクロ粒子中へロードされた少なくとも1つの麻酔薬であって、各グループは異なるローディングレベルの該少なくとも1つの麻酔薬を含む、少なくとも1つの麻酔薬、ここで、該ローディングが、該少なくとも1つの麻酔薬が、異なるグループのマイクロ粒子とは異なる時間で放出されることを可能にし、少なくとも3日間にわたる連続放出プロファイルが提供される。
【0013】
別の態様は、以下を含む組成物を提供する:(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約91,600より大きな分子量、約20〜約50マイクロメートルの粒度、および約80%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約75%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;(c)第3グループのマイクロ粒子であって、該第3グループ中の各マイクロ粒子は、約31,300〜約57,600の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約50%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第3グループのマイクロ粒子;ならびに(d)第4グループのマイクロ粒子であって、該第4グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜約12,900の分子量、約120マイクロメートルより大きな粒度、および約30%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第4グループのマイクロ粒子、ここで、全4グループの総マイクロ粒子のうち、該第1グループが約30%を含み、該第2グループが約40%を含み、該第3グループが約20%を含み、該第4グループが約10%を含む。
【0014】
別の態様は、以下を含む組成物を提供する:(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約80%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約80%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;ならびに(c)遊離形態の該少なくとも1つの麻酔薬であって、遊離形態の各麻酔薬粒子は約50〜約100マイクロメートルの粒度を有する、少なくとも1つの麻酔薬、ここで、要素(a)、(b)および(c)の総質量のうち、該第1グループが約47%を含み、該第2グループが約47%を含み、遊離形態の麻酔薬が約6%を含む。
【0015】
別の態様は、以下を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を製造する方法を提供する:(a)少なくとも1つの麻酔薬を提供する工程;(b)少なくとも1つのポリマーを提供する工程;(c)該少なくとも1つの麻酔薬および該少なくとも1つのポリマーを有機溶媒に溶解し、溶液を作る工程;(d)水性媒体中へ撹拌することによって該溶液を乳化し、水中油型エマルジョンを形成させる工程;(e)該有機溶媒を蒸発させ、該少なくとも1つの麻酔薬および該少なくとも1つのポリマーをマイクロ粒子へ硬化させる工程;ならびに(f)工程(a)〜(e)を繰り返し、多数のバッチのマイクロ粒子を製造する工程、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0016】
別の態様は、以下を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を使用する方法を提供する:(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程;および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0017】
別の態様は、以下を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を使用する方法を提供する:(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程;および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ置く工程、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0018】
別の態様は、以下を含む組成物を提供する:(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約91,600より大きな分子量、約20〜約50マイクロメートルの粒度、および約58%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約80%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;(c)第3グループのマイクロ粒子であって、該第3グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜12,900の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約70%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第3グループのマイクロ粒子;ならびに(d)第4グループのマイクロ粒子であって、該第4グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜約12,900の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約70%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第4グループのマイクロ粒子、ここで、全4グループの総マイクロ粒子のうち、該第1グループが約20%を含み、該第2グループが約20%を含み、該第3グループが約40%を含み、該第4グループが約20%を含む。
【0019】
別の態様は、手術からの回復において疼痛緩和を提供する方法を含み、該方法は、(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程を含み、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0020】
別の態様は、手術からの回復において疼痛緩和を提供する方法を含み、該方法は、(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ置く工程を含み、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0021】
別の態様は、慢性疼痛の緩和を提供する方法を含み、該方法は、(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程を含み、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0022】
別の態様は、慢性疼痛の緩和を提供する方法を含み、該方法は、(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ置く工程を含み、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む。
【0023】
本明細書に記載される1つまたは複数の態様は、以下の利点の1つまたは複数を提供し得る。
【0024】
例えば、1つの可能性のある利点は、疼痛からの延長された緩和である。
【0025】
別の可能性のある利点は、増強剤、エピネフリン、および他の血管収縮薬についての必要性を減少させるかまたは排除する能力である。
【0026】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、リドカインベースでもよいことである。
【0027】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、18ゲージ針を介して注射可能であることである。
【0028】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、術後少なくとも6日間、連続的な疼痛緩和を提供し得ることである。
【0029】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、完全な感覚応答回復を可能にすることである。
【0030】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、神経損傷も組織損傷の引き起こさないことである。
【0031】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、最小の運動応答抑制を引き起こすことである。
【0032】
別の可能性のある利点は、ポリマーが、数ヶ月の期間でではなく、数日の期間で迅速かつ完全に吸収可能であることである。
【0033】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、副作用を引き起こさないことである。
【0034】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、オピエートおよびオピエート様薬品についての必要性を最小限にすることである。
【0035】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、オピエートの副作用をなくすことである。
【0036】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、オピエートの誤用および乱用についての可能性をなくすことである。
【0037】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子が、術後の迅速な回復および理学療法を可能にすることである。
【0038】
別の可能性のある利点は、マイクロ粒子の成分の全てがFDAによって認可されていることである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】遊離リドカイン(リドカイン遊離塩基)のインビトロ放出を示す。
【図2】80%リドカインローディングを有する低分子量ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)(D1)マイクロ粒子からのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図3】80%ローディングを有する中間分子量DL-PLGマイクロ粒子(D3)からのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図4】80%ローディングを有する高分子量DL-PLGマイクロ粒子(D4)からのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図5】80%ローディングを有する高分子量DL-PLGマイクロ粒子(D5)からのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図6】4つの異なるDL-PLGマイクロ粒子の組み合わせからのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図7】同一のDL-PLGマイクロ粒子の2つのバッチと遊離リドカインとの組み合わせからのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図8】同一のDL-PLGマイクロ粒子の2つのバッチと遊離リドカインとの組み合わせからのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図9】1つのマイクロ粒子(D1)の2つのバッチを含む、3つの異なるDL-PLGマイクロ粒子の組み合わせからのリドカインのインビトロ放出を示す。
【図10】80%リドカインがロードされたD1マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【図11】80%リドカインがロードされたD2マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【図12】80%リドカインがロードされたD3マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【図13】80%リドカインがロードされたD4マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
導入
本明細書に提供されるものには、高局所麻酔薬ロードのマイクロ粒子(70〜80重量%)の混合物を送達し、延長された放出曲線を提供して、通常はオピエートを必要とする3日間の期間を患者に過ごさせることによって、最大の疼痛緩和を得る方法が含まれる。異なる時間および異なる速度で麻酔薬を放出するマイクロ粒子の組み合わせを提供することによって、集合的な放出プロファイルが作り出され得る。このプロファイルは、麻酔薬の所望の時間的送達を作り出すように調整され得る。
【0041】
集合的な放出プロファイルはまた、異なるサイズのマイクロ粒子の組み合わせで作り出され得る。ポリマーから作製されたマイクロ粒子について、ポリマーの分子量は、マイクロ粒子内にカプセル化された薬物がどのように放出されるかに影響する。一般的に、低分子量ポリマーは、高分子量ポリマーよりも早く薬物を放出する。ポリマーを介しての薬物、即ち、リドカインの拡散速度は、一定である。異なる分子量を有するマイクロ粒子を組み合わせて早いおよび遅い薬物放出の重複を提供することによって、集合され、延長された薬物放出が作り出され得る。
【0042】
さらに、グリコール酸および乳酸が、ポリマーマイクロ粒子を作製するためのモノマーとして使用される状況について、ポリマー中の乳酸に対するグリコール酸の高い比率が、ポリマーのより短い分解期間へ至る(何故ならば、グリコール酸は、乳酸よりももろいためである)。従って、この傾向は、ポリマーを、薬物放出後より速く分解させる。例えば、50:50ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)マイクロ粒子、即ち、50%乳酸および50%グリコール酸は、75:25 DL-PLG、即ち、75%乳酸および25%グリコール酸よりも速く分解する。
【0043】
延長された薬物放出を作り出すために必要な組み合わせを決定することに加えて、本明細書において提供されるものには、高ローディングレベルを得るための方法が含まれる。通常の薬物注射剤が弱まる時点を過ぎて、延長された薬物放出を提供するために、マイクロ粒子の少なくとも一部が、80%までの薬物ローディングを含む、高薬物レベルでロードされるべきである。このローディングは、薬物注射剤に与えられる制限に留意して、作り出された。インビボでの薬物注射剤は、このような注射剤を収容するための注射部位の身体間隙中の利用可能な間隙によって制限される。いくつかの間隙は25〜30 mlまでを許容し得るが、典型的には、5〜10 mlの液体体積が、身体間隙の大部分に注射され得る標準的な量である。従って、5〜10 mlの範囲内の液体体積でマイクロ粒子を注射するために、粒子質量と薬物ローディングとのバランスが存在するべきである。多すぎる重量のマイクロ粒子が前記液体体積中に懸濁される場合、懸濁液は注射可能ではない場合がある。しかし、少なすぎるマイクロ粒子が懸濁される場合、薬物用量は、効果および放出の必要な持続を生じさせるに十分には高くない。より高い薬物ローディングで、ポリマーの分子量が低すぎる場合、マイクロ粒子は、粘着性であり、注射され得ない融合された塊りを形成する。このバランスを認識して、注射に好適な液体体積中の総粉末を減少させつつ、80%までの最大薬物ローディングを得るための方法を、作り出した。
【0044】
マイクロ粒子
マイクロ粒子は当技術分野において公知である。マイクロ粒子は、薬物をカプセル化および放出することができる任意の粒子を含み、ペレット、ロッド、ペースト、スラブ、球、カプセル、ビーズ、マイクロ粒子、マイクロカプセル、マイクロビーズ、ナノカプセル、およびナノスフェアが挙げられる。
【0045】
マイクロ粒子はまた、任意の形状へ形成され得る。一態様において、形状は、球形、楕円形、または長円形である。別の態様において、形状はランダムである。
【0046】
マイクロ粒子は、合成および天然材料を含む、さまざまな材料から作製され得る。一態様において、マイクロ粒子は、ポリマーから作製される。
【0047】
ポリマー
合成ポリマーを含むポリマーは、当技術分野において公知である。マイクロ粒子へ形成され得るポリマーとしては、ホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。ホモポリマーの例としては、ポリ乳酸およびポリグリコール酸が挙げられる。本発明へ適用可能な他のクラスのポリマーとしては、ポリエステル、ポリオルトエステル、タンパク質、多糖類、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、ポリマーは、全ての目的について参照によって本明細書に組み入れられる、米国特許第5,922,340号に開示されるポリマーから作製され得、これらとしては、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、およびポリホスファゼンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
局所麻酔化合物
一態様において、薬物または麻酔薬は、マイクロ粒子と共に提供される。
【0049】
別の態様において、麻酔薬は、マイクロ粒子内に組み入れられる。
【0050】
別の態様において、麻酔薬は、70重量%までのローディングレベルで提供される。
【0051】
別の態様において、麻酔薬は、80重量%までのローディングレベルで提供される。
【0052】
別の態様において、麻酔薬は、疼痛緩和を提供する、生物学的、化学的、または薬学的組成物であり得る。薬物クラスの例としては、クラス1Bが挙げられるが、これに限定されない。麻酔薬の例としては、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、ジブカイン、エチドカイン、テトラカイン、キシロカイン、プロカイン、クロロプロカイン、プリロカイン、メピバカイン、それらの混合物、およびそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
増強剤
増強剤としては、局所麻酔化合物の効果を引き延ばす薬剤が挙げられる。増強剤としては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第6,451,335号および第6,534,081号に示されるように、グルココルチコステロイド、アルファキサロン、アロテトラヒドロコルチゾン、アミノピリン、ベンザミル、クロニジン、ミノキシジル、デヒドロエピアンドロステロン、デキストラン、ジアゼパム、ジアゾキシド、ウアバイン、ジゴキシン、スパンチド、タキソール、テトラクチルアンモニム(tetracthylammonimu)、バルプロ酸、ビンクリチン(vincritine)、ならびにそれらの活性誘導体、アナログ、および混合物が挙げられる。
【0054】
一態様において、増強剤は使用されない。
【0055】
他の態様において、増強剤は、使用されるが比較的少ない量で使用される。例えば、量は、上記で参照により既に組み入れられた、米国特許第5,922,340号に記載されるように、0.005〜30%であり得る。
【0056】
実質的に含まない
一態様において、組成物は、増強剤を実質的に含まない。例えば、実質的に含まない組成物としては、上記で参照により既に組み入れられた米国特許第5,922,340号に記載されるように、増強剤が約0.005%未満で存在するものが挙げられる。
【0057】
マイクロ粒子および薬物がロードされたマイクロ粒子の作製
マイクロ粒子は、溶媒蒸発法、またはホットメルトなどの任意の他の好適な方法を使用して、作製され得る。溶媒蒸発法において、局所麻酔薬およびポリマーは、溶液を作るために一般的な有機溶媒中に溶解され得る。次いで、乳化剤を含有する水性媒体中へ撹拌することによって、この溶液は乳化され得、水中油型エマルジョンが形成される。次いで、有機溶媒を蒸発させ、残りの麻酔薬およびポリマーをマイクロ粒子へ硬化させ得る。
【0058】
一態様において、平滑面を有する密な中実のマイクロ粒子が、提供される。
【0059】
別の態様において、蒸発段階の間にエマルジョンへ真空を適用することによって、マイクロ粒子中に孔を生じさせる。孔は、表面上およびマイクロ粒子内部内にあり得る。
【0060】
別の態様において、マイクロ粒子サイズは、乳化プロセスの間異なる撹拌速度を適用することによって変化される。
【0061】
別の態様において、直径を含む、マイクロ粒子サイズは、約20〜約150マイクロメートルの範囲に及ぶ。
【0062】
別の態様において、麻酔薬は、約20〜約80パーセントの範囲内の異なるレベルでロードされる。
【0063】
別の態様において、マイクロ粒子は異なる分子量を有する。
【0064】
別の態様において、マイクロ粒子は、約5,000〜約122,000ダルトンの分子量範囲を有する。
【0065】
別の態様において、マイクロ粒子は、コポリマーから作製される。コポリマーの例は、ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)である。
【0066】
別の態様において、コポリマーマイクロ粒子は、25:75〜75:25の比を有する。
【0067】
別の態様において、マイクロ粒子は、注射用の薬学的に許容される媒体中に懸濁される。
【0068】
別の態様において、マイクロ粒子は、乾燥粉末であり、身体間隙に置かれる。
【0069】
薬物がロードされたマイクロ粒子は、ポリマーおよび薬物を第1溶媒に溶解することによって作製され得る。第1溶媒は第2溶媒と混合され得、得られた混合物は振盪され得る。次いで、混合物は、第2溶媒を含有するさらなる溶液中へ移され、撹拌され、第1溶媒の蒸発を可能にし得る。次いで、懸濁されたマイクロ粒子は、沈殿させられ、得られた上澄みはデカンテーションされ、マイクロ粒子が遠心分離によって回収され得る。
【0070】
マイクロ粒子の組み合わせ
一態様において、異なる種類のマイクロ粒子の組み合わせが提供される。組み合わせは、マイクロ粒子および薬物の、異なるブレンド、または混合物を含み得る。
【0071】
別の態様において、組み合わせは、同一材料から作製されたマイクロ粒子の混合物を含む。例えば、マイクロ粒子は全てポリ乳酸またはポリグリコール酸であり得る。
【0072】
別の態様において、組み合わせは、異なる材料を有するマイクロ粒子の混合物を含む。例えば、マイクロ粒子は、異なる分子量のポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)であり得る。
【0073】
別の態様において、組み合わせは、異なる直径を有する、かつ/または薬物の異なるローディングレベルを有するマイクロ粒子の混合物を含む。
【0074】
別の態様において、マイクロ粒子の混合物は、全混合物の異なるパーセンテージを含むマイクロ粒子のクラスを含む。例えば、混合物は、30%の純粋ポリ乳酸マイクロ粒子および70%の純粋ポリグリコール酸を含み得る。
【0075】
別の態様において、組み合わせは、遊離薬物と混合されたマイクロ粒子を含む。
【0076】
別の態様において、マイクロ粒子の混合物は、異なる分子量から作製されたマイクロ粒子のクラスを含む。
【0077】
別の態様において、マイクロ粒子の混合物は、異なるローディングパーセンテージで作製されたマイクロ粒子のクラスを含む。
【0078】
注射可能な製剤
マイクロ粒子の組み合わせは、薬学的に許容される媒体を含む懸濁液で提供され得る。マイクロ粒子は、胸膜、腹膜、頭蓋、縦隔、心膜、滑液包、硬膜上腔、クモ膜下腔、および眼内腔を含む、身体間隙中へ投与され得るか、または、神経線維または神経幹の近位へ置かれ得る。
【0079】
一態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、選択された神経にまたはその付近に注射される。
【0080】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、ロケーターニードルを使用して、腓骨神経、脛骨神経、または坐骨神経の1〜2 mm内に注射される。
【0081】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、薬学的に許容される媒体の懸濁液中に混合されるまで、冷蔵庫中に維持される。
【0082】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、媒体なしで乾燥粉末として送達される。
【0083】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、増強剤を含まない。
【0084】
別の態様において、マイクロ粒子の組み合わせは、1回だけ注射される。
【0085】
他の態様を下記の非限定的な実施例において示す。
【0086】
適用/手術
前記組成物は、長期局所麻酔薬の必要が示される手術を含む、手術において使用され得る。
【0087】
ヒトの四肢の整形外科手術
内部固定を伴う骨折の観血的整復
骨折の他の整復
関節または靭帯中への治療物質の注射
骨からの埋め込みデバイスの除去
バニオン切除
他の足指変形
膝の関節鏡検査
他の関節鏡検査
関節包、靭帯、または軟骨の分裂
膝の関節半月の切除
滑膜切除
関節構造物の他の切開および切除
人工股関節全置換術
人工膝関節全置換術
膝の他の修復
関節の他の修復
筋肉、腱、筋膜および滑液包の病巣の切除
他の手術/筋肉、腱、筋膜および滑液包
上肢の切断
下肢の切断
筋骨格系に対する他の手術
【0088】
ヒト先制的慢性疼痛管理の例としては、例えば、熱傷、癌、硬膜外、大腿部破壊、およびRSD(反射性交感神経性ジストロフィーまたは複合性局所疼痛症候群)が挙げられる。
【0089】
コンパニオン・アニマル手術の例としては、例えば、ACL/CCL手術、人工股関節置換術、人工膝関節置換術、四肢への外傷、熱傷、およびネコの爪の除去が挙げられる。
【実施例】
【0090】
実施例1:インビトロテスト方法
100 mgの量のマイクロ粒子バッチを、透析管(高保持シームレスセルロースチューブ;23 mm x 15 mm、MWカットオフ05173;Sigma Aldrich)中に配置した。次いで、管を、10 mlの脱イオン化限外濾過水(Fisher Scientific)を含有する30 mlガラス瓶中に配置した。37℃へ調節された温度および100 rpmの振盪速度で往復振盪浴(Reciprocating Shaking Bath Model 50;Precision Scientific)中に、瓶を配置した。
【0091】
薬物放出分析用のサンプルを、0、0.5、2、4、および12時間の時間間隔で抜き取り、図1〜5の薬物放出プロファイルに示されるように継続した。10 mlの溶解媒体の全部を、各サンプリング時間間隔で新鮮な媒体を交換した。取り出したサンプル0.1 mlの希釈物を、ホウケイ酸ガラスのクリーンな培養管(Pyrex)中において、10 mlの水へ希釈した。サンプルを、UV分光光度計(Lambda 3分光光度計Model R100A;Perking Elmer)を使用して、214 nmでのUV吸光度によって、薬物含有量について測定した。1マイクロ粒子バッチ当たり2つのサンプルを、薬物放出について測定し、三重のサンプルを、UV吸光度のために各放出間隔について調製した。
【0092】
実施例2:インビボ注射およびテスト方法
インビボテストを行い、マイクロ粒子調製物と従来のリドカインとの間で疼痛緩和の持続を比較した。以前のパイロット研究(データは示さず)で測定された用量を使用して、6匹のヒツジに、クローズドエンベロープ技術を使用して、盲検無作為交差研究を受けさせた。ヒツジに2つの時点で注射し、一方の時点はマイクロ粒子調製物、他方は従来のリドカインであった。マイクロ粒子調製物および従来のリドカインを注射した順序を、無作為化した。第1注射を、一方の後肢上の総腓骨神経付近に行った。注射間の間隔は少なくとも2週間であり、第1注射からの薬物作用の全てのサインが消えるに十分な時間を提供し、その後、第2注射を、反対側の神経、即ち、逆の後肢の腓骨神経中へ行った。各グループの薬物動態を描写するために、各々2 mlの一連の頚静脈血液サンプルを回収した。運動神経および感覚神経の遮断、またはそれらの欠如について、15、30、および45分、ならびに1、2、4、8、12、16、20、および24時間の持続時間で、観察を行った。この後、12時間間隔で観察を行った。各足指の近位の、頭側の面の皮膚(総腓骨皮膚節)をクランプすることによって、痛覚消失を測定した。
【0093】
これらの実験の全てにおいて使用した神経周囲注射を、全身麻酔下で行い、神経の位置決めの段階の間のヒツジへの最小の不快感を確実にし、局所麻酔薬を置くことについて最大の精度を確実にした。全手順を無菌条件下で行い、即ち、皮膚を刈り、クロルヘキシジン石鹸で少なくとも3回洗浄し、手に無菌手袋をはめ、境界線バリアに無菌カーテンをした。患者に対して使用される標準手順である、エレクトロロケーションを使用して、神経を位置決めし、ここで、適切な筋肉群の運動、即ち、直接の神経刺激によって引き起こされる爪の屈曲、腓骨応答が0.3 mAのわずかな電流で誘発されるまで、小さな導電性の先端を備える絶縁針(18ゲージ)を神経へ向かって徐々に進めた。刺激電流を2 Hzの周波数の方形波で適用し、これは、侵害受容ニューロンよりも運動ニューロンを刺激する。神経が位置決めされると、調製物を注射し、針を引き抜き、ヒツジを全身麻酔から回復させた。この手順は、一般的に、15分未満の全身麻酔を必要とした。
【0094】
マイクロ粒子調製物を注射するために、絶縁針およびそのチューブを、神経を位置決めする前に2.5 mlのカルボキシルメチルセルロースナトリウム溶液で満たした。これは、針アセンブリ中の空気を置換するために行われた。いったん神経が位置決めされると、5 mlまでのカルボキシルメチルセルロース溶液中に懸濁されたマイクロ粒子1.5 mgを含有する注射器を、チューブの開放端へ取り付け、注射を行った。注射を完全とするために、2.5 mlの空気をチューブを通して押し、懸濁液を置換した。
【0095】
実施例3:インビボで注射される量
上述のインビボ手順は、実施例11においても説明され、これは、手順の結果を記載している。実験うちの1つにおいて、2つの1.5 g注射器へ分割された、3.00 gのD4マイクロ粒子が、注射されるように意図された。しかし、注射が困難であったため、総計で推定2.0 gの粉末を注射した。
【0096】
別の実験において、100 mgリドカイン遊離塩基を含む2つの注射器へ分割された、推定量2.5 gのD4 マイクロ粒子を、3〜5 mlの好適な懸濁化媒体中に懸濁し、注射した。
【0097】
図1は、遊離リドカイン(リドカイン遊離塩基)のインビトロ放出プロファイルを示す。放出プロファイルは、約1日で18%放出のピークを示すが、次いで、それは、迅速に漸減し、その結果、薬物は、3日に相当する時間ポイント11で「使い尽くされる」。2.8 gの2%、即ち、5.6 mgの当量が、感覚抑制を生じさせるために必要とされる。100 mgのリドカイン粉末しかないので、5.6 mgの当量は、放出されて機能するに必要とされる最小量として100 mgの5.6%である。リドカイン遊離塩基は、2.5日に相当するポイント10でそのレベル未満に落ちる。
【0098】
実施例4:マイクロ粒子からのインビボおよびインビトロ薬物放出のための材料
(a)ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)(Durect Corp, Lactel Absorbable Polymers)(30℃においてHFIP中でのdL/gを単位とする、下記の固有粘度):
(i)50:50 DL-PLG、7,400 MW、固有粘度0.15〜0.25(D1)
(ii)50:50 DL-PLG、28,500 MW、固有粘度0.26〜0.54(D2)
(iii)50:50 DL-PLG、52,400 MW、固有粘度0.55〜0.75(D3)
(iv)50:50 DL-PLG、81,600 MW、固有粘度0.76〜0.94(D4)
(v)50:50 DL-PLG、122,000 MW、固有粘度0.95〜1.20(D5)
(b)98%純度を超えるリドカイン粉末(L7757;Sigma-Aldrich)
(c)加水分解された、98〜99%純度のポリ(ビニルアルコール)、(Sigma Aldrich)
(d)カルボキシルメチルセルロース、ナトリウム塩、平均MW 90,000(Fisher Scientific)
(e)99.6%純度の塩化メチレン(ジクロロエタン)、A.C.G.試薬(Sigma Aldrich)。
【0099】
実施例5:低分子量を有するD1マイクロ粒子からのインビトロ薬物放出
薬物ローディングを有する低分子量マイクロ粒子(D1)のバッチを、下記の実施例に記載のマイクロ粒子の組み合わせバッチとの比較目的のために提供する。
【0100】
図2は、低分子量ポリマーから作製されたマイクロ粒子を例示する、D1マイクロ粒子のインビトロ放出プロファイルを示す。このバッチは、リドカインの80%ローディングを有するD1マイクロ粒子で構成されている。放出プロファイルは、約1日で20%放出のピークを示すが、次いで、迅速に漸減し、その結果、薬物は、3日に相当する時間ポイント11で「使い尽くされる」。3日で、薬物は依然として放出されているが、D1マイクロ粒子の高ローディングのために、それらは、粘着性であり、注射に適していなかった。
【0101】
実施例6:高分子量を有するD4マイクロ粒子からのインビトロ薬物放出
薬物ローディングを有する高分子量マイクロ粒子(D4)のバッチを、下記の実施例に記載のマイクロ粒子の組み合わせバッチとの比較目的のために提供する。
【0102】
図4は、高分子量ポリマーから作製されたマイクロ粒子を例示する、D4マイクロ粒子の放出プロファイルを示す。このバッチは、リドカインの80%ローディングを有するD4マイクロ粒子で構成されていた。ここでの放出プロファイルは、図2とは相違している。この放出において、2つのピークがあり、一方は12時間に、他方はおよそ5日にある。各ピークは適切なリドカイン放出を提供し、それぞれ1.25および4日に相当するポイント7と13との間の期間は、2%未満の放出を提供する。この低レベルは、疼痛を緩和するに一般的に適切ではない。高分子量ポリマーは、より遅い時間に薬物を放出する傾向があるので、最初の放出はマイクロ粒子の表面上の薬物に起因し、後の放出はマイクロ粒子から外へ出てくる薬物に起因すると推定される。
【0103】
図2および4を比較して、薬物ローディングレベルを有する低および高分子量ポリマーは、それぞれ、薬物の早いまたは遅い放出を生じさせ、より遅いまたはより早い期間での相当する期間の疼痛緩和の低下を引き起こすことが、明らかである。
【0104】
実施例7:リドカインがロードされかつ遊離リドカインと混合されたD4およびD5ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)(DL-PLG)マイクロ粒子バッチの作製
マイクロ粒子バッチを、0.5257 gの重量のD4ポリマー、および1.2018 gの重量のリドカイン粉末を用いて作製した。バッチを2 mlの塩化メチレンに溶解し、D4/リドカイン溶液を作製した。2つの別個のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を、以下のいずれかを使用して作製した:(1)蒸留水100 ml中に溶解された、0.8031 gの98〜99%加水分解PVA、または(2)蒸留水10 ml中に溶解された、0.2414 gのPVA。D4/リドカイン溶液および(2)PVA溶液を混合し、混合物をガラス瓶中において手動で激しく振盪することによって、エマルジョンを作製した。得られたエマルジョンを、針を用いて注射器中へ移した。次いで、エマルジョンを、撹拌された(1)PVA溶液中へ導入した。500 rpmへ調節された6 cm x 1 cmマグネチックスターラーによって、撹拌を提供した。撹拌を1時間継続し、塩化メチレンを完全に蒸発させた。光学顕微鏡で観察すると、良好な、十分に形成された、小さな(約50マイクロメートル)マイクロ粒子が見られた。顕微鏡スライド上において、結晶性リドカインは検出されなかった。約2時間後に撹拌を停止し、懸濁された粒子を、乱されない状態で室温において沈殿させた。透明な上澄みをデカンテーションし、マイクロ粒子を遠心分離によって回収し、続いて蒸留水を使用して洗浄した。一定に撹拌しながら空気中において注意深く乾燥させてさえ、かなりの部分のマイクロ粒子が融合した(同化した)。乾燥の間マイクロ粒子として残った少ない部分のサンプルを使用し、これらは、約70%の理論的薬物ローディングを有した。D4マイクロ粒子についての放出プロファイルを図4に示す。放出の2つのピークが存在し、一方は12時間に、他方は5日に存在し、間における放出レベルはほとんど2%未満であった。
【0105】
異なるマイクロ粒子バッチを、D5ポリマーを用いて、上記の手順を使用して同様に作製した。D5マイクロ粒子についての放出プロファイルを図5に示す。このポリマーは、D4よりもわずかに高い分子量のものである。それは、多分に表面リドカインに起因して、6時間でピーク放出に達し、続いて、1.25日に2%へ低下する。次いで、第2日に8%への急激な上昇があり、放出パーセンテージは、5.5日まで最低2%を超えたままである。
【0106】
1.5 gのD4マイクロ粒子、1.5 gのD5マイクロ粒子、および100 mgのリドカイン遊離塩基の混合物を使用して、マイクロ粒子の組み合わせバッチを作製した。乳鉢および乳棒で粉末をすりつぶすことによって、リドカイン粉末の粒度を小さくした。この混合物を、ボルテックス(Vortex Genie;Fisher Scientific)の助けを借りて1分間マーク6で2%カルボキシルメチルセルロースナトリウム10 ml中に懸濁し、これは、注射される懸濁液となった。混合物を懸濁した後、次いで、ブレンドを各々5 mlの2つの等しい部分へ分割し、2つの10 ml注射器中に配置した。
【0107】
実施例8:D1/D3/D4/D5マイクロ粒子の組み合わせからのインビトロ薬物放出
表1は、マイクロ粒子の組み合わせの一例を示す。マイクロ粒子(D1、D3、D4、D5)の4つのバッチが示され、各々は、異なるレベルの麻酔薬ローディング、異なる粒度範囲を有し、異なるパーセンテージのマイクロ粒子の総組み合わせを構成している。例えば、D5マイクロ粒子は、全ての4つのクラスのうち最も高い薬物ローディングパーセンテージ、最も小さな粒度を有し、全体の組み合わせ中のマイクロ粒子の第2に最も大きなパーセンテージを構成している。
【0108】
(表1)薬物としてリドカイン麻酔薬を使用するマイクロ粒子の組み合わせの例
【0109】
表1中の製剤は、組み合わせて約67%リドカインを含む。
【0110】
図6は、表1に示されるマイクロ粒子の組み合わせのインビトロ放出プロファイルを示す。連続レベルのリドカイン放出が、時間1から20まで見られ得る。それぞれ、12時間、2日、および4日に相当する、時間ポイント5、9、および14に放出の3つのピークが存在する。
【0111】
12時間での放出は、全体では最も高く、薬物の約12%がその時間で放出された。このレベルの放出は、溶液での注射から通常得られる4〜6時間を越えて治療効果を提供した。この放出は、マイクロ粒子の表面領域からおよび表面吸収された薬物から放出された薬物に起因したと考えられる。
【0112】
2日での放出は5%を少し上回った。このピークは、ナトリウムチャネル遮断を維持するために必要である神経表面での薬物の増加された濃度を示す。この量は、より低分子量のポリマーから作製されたより大きな粒子からの薬物放出の増加を伴い、マイクロ粒子の表面および表面領域からの薬物枯渇に起因して生じた、12時間の後の低下しつつあるレベルを復活させた。より低分子量のポリマーの構造および増加した多孔性が、液体の進入を可能にし、これは、ポリマー鎖加水分解と組み合わさって、薬物放出のレベルを増加させた。
【0113】
4日での放出は7%を少し上回った。増加された加水分解と結び付けられるポリマー鎖加水分解が、薬物放出のこの観察された増加の原因となった。この放出は、より高分子量のポリマーから作製されたより小さなマイクロ粒子に主に由来した。この減少は、第2日ピーク後の低下しつつある薬物レベルの第2の復活を提供した。
【0114】
薬物放出における3つのバーストの間に、薬物レベルが3%未満に落ちることなく、リドカインの連続的な放出が存在した。従って、この分野における他の発明によって未だ提供されていない明確な利益である、5日を超える連続した感覚神経遮断(sensory blockade)が存在した。
【0115】
実施例9:D4/D4マイクロ粒子および遊離リドカインの組み合わせからのインビトロ薬物放出
表2は、D4マイクロ粒子の2つのバッチおよび遊離リドカインの1つのバッチを含むマイクロ粒子の組み合わせを示す。D4マイクロ粒子の各バッチを構成する分子量の範囲のため、図7および8に描写されるように、この組み合わせの放出プロファイルは、組み合わせ間で相違する。しかし、これらの図によって示されるように、これらの組み合わせによって提供される全体的な薬物緩和は、5日を十分に過ぎて継続する。
【0116】
図7は、表2に記載の1つのマイクロ粒子の組み合わせのインビトロ放出プロファイルを示す。この組み合わせは、純粋なリドカイン200 mg、および80%リドカインがロードされたD4マイクロ粒子の2つのバッチ各々1.5 gから構成された。D4マイクロ粒子の2つのバッチ間で、僅かな相違がある。示されるように、純粋なリドカインによって引き起こされるリドカインの最初のバースト放出が存在し、これに、4〜5日間にわたる一定の減少が続き、その後、上向きの振動が再開される。
【0117】
図8は、表2に記載の別のマイクロ粒子の組み合わせに由来するリドカインのインビトロ放出プロファイルを示す。このマイクロ粒子の組み合わせは、純粋なリドカイン6%、78.9%ローディングを有するD4マイクロ粒子47%、および80%ローディングを有するD4マイクロ粒子47%を含有する。このプロファイルにおいて、7日に相当する時間ポイント19までずっと、薬物の連続放出が存在する。4日に相当する時間ポイント14付近を除いて、薬物放出の大部分は4%未満に落ちない。実際に、放出は第7日まで2%未満に落ちず、このことは、感覚応答が、部分的な回復無しにこのポイントまで妨げられ、完全な疼痛緩和が可能にされることを示している。
【0118】
(表2)薬物としてリドカインを使用する別のマイクロ粒子の組み合わせの例
【0119】
実施例10:D5/D3/D1/D1/D1マイクロ粒子の組み合わせからのインビトロ薬物放出
図9は、表3に記載のマイクロ粒子の組み合わせのインビトロ放出プロファイルを示す。この組み合わせは、1.2 gのD1(バッチ033006)、600 mgのD1の第2バッチ(バッチ022406)、600 mgのD3(バッチ041906)、および600 mgのD5(バッチ030306)から構成されている。マイクロ粒子の各グループについてのリドカインのローディングパーセントを表に示す。図に示されるように、5バッチ全てのマイクロ粒子の表面上のリドカインによって引き起こされるリドカインの最初のより高いバースト放出が存在する。この放出に、6日間にわたる迅速な減少が続き、次いで、D4マイクロ粒子に起因する短い上向きの振動が続く。全体的にみれば、リドカイン放出パーセントは、第8日まで2%未満に落ちない。
【0120】
(表3)リドカインを有する4バッチのマイクロ粒子の組み合わせ
【0121】
実施例11:D4/D4マイクロ粒子および遊離リドカインの組み合わせからのインビボ薬物放出
実施例9中の、図7に描写されたマイクロ粒子の組み合わせをまた、インビボ研究においてヒツジに注射した。
【0122】
インビボ研究によって、注射の2時間後に採取されたサンプル中1 mcg/mlの検出可能な血中リドカイン濃度が示され、これは、運動神経遮断(motor blockade)を引き起こすに十分である。その後の採取されたサンプルは、0.5 mcg/ml未満のリドカインを生じさせた。しかし、注射部位を囲む組織中の薬物濃度は、運動神経遮断が注射の2〜4時間後に終わった後、回復可能な感覚神経遮断を生じさせるに十分に高かった。
【0123】
従って、表2中のマイクロ粒子の組み合わせを使用してのインビトロ研究およびインビボ研究は両方とも、確証的なデータを示している。インビボ研究からの結果(データを提示せず)は、第5日(インビトロでの第4〜5日減少の終了に相当する)にヒツジにおいて感覚応答の部分的な回復、続いての、さらに3.5日間持続する感覚神経遮断の即時の再確立(インビトロデータにおける上向きの振動結果に相当)を示している。マイクロ粒子の組み合わせは、7.5日後、インビボで、リドカイン2.6 gの約2%を依然として放出しており、これは、注射後の最初の0.5時間後に放出されるものと類似している。この量は、感覚応答抑制を維持するために、ヒツジにおける連続放出のために注射される必要があるおおよその量であるようである。
【0124】
実施例12:リドカインがロードされた異なるマイクロ粒子の電子顕微鏡写真
図10〜13は、それぞれ、D1、D2、D3、およびD4マイクロ粒子の電子顕微鏡写真を示す。上述の手順に従って、マイクロ粒子の各々に、80%リドカインをロードした。より低分子量のポリマーを有するD1およびD2マイクロ粒子は、D3およびD4が形成したような分離した注射可能なマイクロ粒子を形成しなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロ粒子を含む組成物であって、
ここで、マイクロ粒子の各々が実質的に、1つまたは複数の局所麻酔化合物を含み、
ここで、マイクロ粒子の少なくとも一部が、局所麻酔化合物の放出を制御するための少なくとも1つのポリマーを含み、
ここで、マイクロ粒子の少なくとも一部が、少なくとも約70重量%の量で1つまたは複数の局所麻酔薬を含み、
ここで、組成物中の局所麻酔化合物の平均量が、少なくとも約50重量%であり、かつ
ここで、組成物が、局所麻酔化合物の疼痛緩和を延長するように適合された増強剤を実質的に含まない、
組成物。
【請求項2】
少なくとも2つのグループのマイクロ粒子を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
増強剤を全く含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
マイクロ粒子の少なくとも一部が、ポリマーを実質的に含まない局所麻酔化合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
ポリマーを含むマイクロ粒子の実質的に全てがまた、少なくとも70%の局所麻酔薬を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
マイクロ粒子の少なくとも90重量%が、少なくとも60%の局所麻酔薬を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記複数のマイクロ粒子が、少なくとも2つのグループのマイクロ粒子の混合物を含み、各グループが、他のグループと異なり得る、平均ポリマー分子量、および平均薬物ローディングパーセンテージ、および平均粒度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
マイクロ粒子のための懸濁媒体をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
麻酔化合物の少なくとも1つが、不水溶性化合物またはクラス1B薬物である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
麻酔化合物の少なくとも1つが、リドカインである、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
局所疼痛緩和のために懸濁剤へ製剤化され注射されると、ヒツジにおいて少なくとも5日間のパフォーマンスを示す、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
局所疼痛緩和のために懸濁剤へ製剤化され注射されると、ポリマーが2〜4週間で体内に吸収されるパフォーマンスを示す、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
局所疼痛緩和のために懸濁剤へ製剤化され注射されると、7〜10日間で完全な感覚応答が戻るパフォーマンスを示す、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
乾燥粉末として製剤化されている、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
(a)複数のグループのマイクロ粒子であって、各グループは異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各グループは、複数のグループの全体の異なるパーセンテージを構成する、複数のグループのマイクロ粒子;ならびに
(b)該グループのマイクロ粒子中へロードされた少なくとも1つの麻酔薬であって、各グループは異なるローディングレベルの該少なくとも1つの麻酔薬を任意で含む、少なくとも1つの麻酔薬
を含む、組成物であって、
ここで、該ローディングが、該少なくとも1つの麻酔薬が、異なるグループのマイクロ粒子とは異なる時間で放出されることを可能にし、少なくとも3日間にわたる連続放出プロファイルが提供される、
組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)コポリマーである、請求項15記載の組成物。
【請求項19】
増強剤を含まない、請求項15記載の組成物。
【請求項20】
(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約91,600より大きな分子量、約20〜約50マイクロメートルの粒度、および約80%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;
(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約75%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;
(c)第3グループのマイクロ粒子であって、該第3グループ中の各マイクロ粒子は、約31,300〜約57,600の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約50%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第3グループのマイクロ粒子;ならびに
(d)第4グループのマイクロ粒子であって、該第4グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜約12,900の分子量、約120マイクロメートルより大きな粒度、および約30%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第4グループのマイクロ粒子
を含む、組成物であって、
ここで、全4グループの総マイクロ粒子のうち、該第1グループが約30%を含み、該第2グループが約40%を含み、該第3グループが約20%を含み、かつ該第4グループが約10%を含む、
組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項20記載の組成物。
【請求項23】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがPLGAコポリマーである、請求項20記載の組成物。
【請求項24】
増強剤を含まない、請求項20記載の組成物。
【請求項25】
(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および少なくとも約80%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;
(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および少なくとも約80%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;ならびに
(c)遊離形態の該少なくとも1つの麻酔薬であって、遊離形態の各麻酔薬粒子は約50〜約100マイクロメートルの粒度を有する、少なくとも1つの麻酔薬
を含む、組成物であって、
ここで、要素(a)、(b)および(c)の総質量のうち、該第1グループが約47%を含み、該第2グループが約47%を含み、該第3グループが約6%を含む、
組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項25記載の組成物。
【請求項28】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)である、請求項25記載の組成物。
【請求項29】
増強剤を含まない、請求項25記載の組成物。
【請求項30】
(a)少なくとも1つの麻酔薬を提供する工程;
(b)少なくとも1つのポリマーを提供する工程;
(c)該少なくとも1つの麻酔薬および該少なくとも1つのポリマーを有機溶媒に溶解し、溶液を作る工程;
(d)水性媒体中へ撹拌することによって該溶液を乳化し、水中油型エマルジョンを形成させる工程;
(e)該有機溶媒を蒸発させ、該少なくとも1つの麻酔薬および該少なくとも1つのポリマーをマイクロ粒子へ硬化させる工程;
(f)工程(a)〜(e)を繰り返し、多数のバッチのマイクロ粒子を製造する工程
を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を製造する方法であって、
ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、
ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ
ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、
方法。
【請求項31】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項30記載の方法。
【請求項33】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)である、請求項30記載の方法。
【請求項34】
組成物が増強剤を含まない、請求項30記載の方法。
【請求項35】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程;および
(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程
を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を使用する方法であって、
ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、
ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ
ここで、各バッチは、恐らく異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、
方法。
【請求項36】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
麻酔薬がリドカインである、請求項35記載の方法。
【請求項38】
溶液が増強剤を含まない、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも5日間連続的に放出される、請求項35記載の方法。
【請求項40】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程;および
(b)該粉末を体腔中へ置く工程
を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を使用する方法であって、
ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、
ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ
ここで、各バッチは、恐らく異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、
方法。
【請求項41】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
麻酔薬がリドカインである、請求項40記載の方法。
【請求項43】
粉末が増強剤を含まない、請求項40記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも3日間連続的に放出される、請求項40記載の方法。
【請求項45】
(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約91,600より大きな分子量、約20〜約50マイクロメートルの粒度、および約58%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;
(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約80%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;
(c)第3グループのマイクロ粒子であって、該第3グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜12,900の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約70%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第3グループのマイクロ粒子;ならびに
(d)第4グループのマイクロ粒子であって、該第4グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜約12,900の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約70%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第4グループのマイクロ粒子
を含む、組成物であって、
ここで、全4グループの総マイクロ粒子のうち、該第1グループが約20%を含み、該第2グループが約20%を含み、該第3グループが約40%を含み、該第4グループが約20%を含む、
組成物。
【請求項46】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項45記載の組成物。
【請求項47】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項45記載の組成物。
【請求項48】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがPLGAコポリマーである、請求項45記載の組成物。
【請求項49】
増強剤を含まない、請求項45記載の組成物。
【請求項50】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程を含む、手術からの回復において疼痛緩和を提供する方法であって、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、方法。
【請求項51】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
麻酔薬がリドカインである、請求項50記載の方法。
【請求項53】
溶液が増強剤を含まない、請求項50記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも5日間連続的に放出される、請求項50記載の方法。
【請求項55】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程、および(b)該粉末を体腔中へ置く工程を含む、手術からの回復において疼痛緩和を提供する方法であって、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、方法。
【請求項56】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
麻酔薬がリドカインである、請求項55記載の方法。
【請求項58】
粉末が増強剤を含まない、請求項55記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも3日間連続的に放出される、請求項55記載の方法。
【請求項60】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程を含む、慢性疼痛の緩和を提供する方法であって、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、方法。
【請求項61】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項60記載の方法。
【請求項62】
麻酔薬がリドカインである、請求項60記載の方法。
【請求項63】
溶液が増強剤を含まない、請求項60記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも5日間連続的に放出される、請求項60記載の方法。
【請求項65】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程、および(b)該粉末を体腔中へ置く工程を含む、慢性疼痛の緩和を提供する方法であって、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、方法。
【請求項66】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項65記載の方法。
【請求項67】
麻酔薬がリドカインである、請求項65記載の方法。
【請求項68】
粉末が増強剤を含まない、請求項65記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも3日間連続的に放出される、請求項65記載の方法。
【請求項1】
複数のマイクロ粒子を含む組成物であって、
ここで、マイクロ粒子の各々が実質的に、1つまたは複数の局所麻酔化合物を含み、
ここで、マイクロ粒子の少なくとも一部が、局所麻酔化合物の放出を制御するための少なくとも1つのポリマーを含み、
ここで、マイクロ粒子の少なくとも一部が、少なくとも約70重量%の量で1つまたは複数の局所麻酔薬を含み、
ここで、組成物中の局所麻酔化合物の平均量が、少なくとも約50重量%であり、かつ
ここで、組成物が、局所麻酔化合物の疼痛緩和を延長するように適合された増強剤を実質的に含まない、
組成物。
【請求項2】
少なくとも2つのグループのマイクロ粒子を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
増強剤を全く含まない、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
マイクロ粒子の少なくとも一部が、ポリマーを実質的に含まない局所麻酔化合物を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
ポリマーを含むマイクロ粒子の実質的に全てがまた、少なくとも70%の局所麻酔薬を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
マイクロ粒子の少なくとも90重量%が、少なくとも60%の局所麻酔薬を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記複数のマイクロ粒子が、少なくとも2つのグループのマイクロ粒子の混合物を含み、各グループが、他のグループと異なり得る、平均ポリマー分子量、および平均薬物ローディングパーセンテージ、および平均粒度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
マイクロ粒子のための懸濁媒体をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
麻酔化合物の少なくとも1つが、不水溶性化合物またはクラス1B薬物である、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
麻酔化合物の少なくとも1つが、リドカインである、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
局所疼痛緩和のために懸濁剤へ製剤化され注射されると、ヒツジにおいて少なくとも5日間のパフォーマンスを示す、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
局所疼痛緩和のために懸濁剤へ製剤化され注射されると、ポリマーが2〜4週間で体内に吸収されるパフォーマンスを示す、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
局所疼痛緩和のために懸濁剤へ製剤化され注射されると、7〜10日間で完全な感覚応答が戻るパフォーマンスを示す、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
乾燥粉末として製剤化されている、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
(a)複数のグループのマイクロ粒子であって、各グループは異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各グループは、複数のグループの全体の異なるパーセンテージを構成する、複数のグループのマイクロ粒子;ならびに
(b)該グループのマイクロ粒子中へロードされた少なくとも1つの麻酔薬であって、各グループは異なるローディングレベルの該少なくとも1つの麻酔薬を任意で含む、少なくとも1つの麻酔薬
を含む、組成物であって、
ここで、該ローディングが、該少なくとも1つの麻酔薬が、異なるグループのマイクロ粒子とは異なる時間で放出されることを可能にし、少なくとも3日間にわたる連続放出プロファイルが提供される、
組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)コポリマーである、請求項15記載の組成物。
【請求項19】
増強剤を含まない、請求項15記載の組成物。
【請求項20】
(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約91,600より大きな分子量、約20〜約50マイクロメートルの粒度、および約80%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;
(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約75%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;
(c)第3グループのマイクロ粒子であって、該第3グループ中の各マイクロ粒子は、約31,300〜約57,600の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約50%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第3グループのマイクロ粒子;ならびに
(d)第4グループのマイクロ粒子であって、該第4グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜約12,900の分子量、約120マイクロメートルより大きな粒度、および約30%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第4グループのマイクロ粒子
を含む、組成物であって、
ここで、全4グループの総マイクロ粒子のうち、該第1グループが約30%を含み、該第2グループが約40%を含み、該第3グループが約20%を含み、かつ該第4グループが約10%を含む、
組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項20記載の組成物。
【請求項23】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがPLGAコポリマーである、請求項20記載の組成物。
【請求項24】
増強剤を含まない、請求項20記載の組成物。
【請求項25】
(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および少なくとも約80%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;
(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および少なくとも約80%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;ならびに
(c)遊離形態の該少なくとも1つの麻酔薬であって、遊離形態の各麻酔薬粒子は約50〜約100マイクロメートルの粒度を有する、少なくとも1つの麻酔薬
を含む、組成物であって、
ここで、要素(a)、(b)および(c)の総質量のうち、該第1グループが約47%を含み、該第2グループが約47%を含み、該第3グループが約6%を含む、
組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項25記載の組成物。
【請求項28】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)である、請求項25記載の組成物。
【請求項29】
増強剤を含まない、請求項25記載の組成物。
【請求項30】
(a)少なくとも1つの麻酔薬を提供する工程;
(b)少なくとも1つのポリマーを提供する工程;
(c)該少なくとも1つの麻酔薬および該少なくとも1つのポリマーを有機溶媒に溶解し、溶液を作る工程;
(d)水性媒体中へ撹拌することによって該溶液を乳化し、水中油型エマルジョンを形成させる工程;
(e)該有機溶媒を蒸発させ、該少なくとも1つの麻酔薬および該少なくとも1つのポリマーをマイクロ粒子へ硬化させる工程;
(f)工程(a)〜(e)を繰り返し、多数のバッチのマイクロ粒子を製造する工程
を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を製造する方法であって、
ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、
ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ
ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、
方法。
【請求項31】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項30記載の方法。
【請求項33】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)である、請求項30記載の方法。
【請求項34】
組成物が増強剤を含まない、請求項30記載の方法。
【請求項35】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程;および
(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程
を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を使用する方法であって、
ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、
ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ
ここで、各バッチは、恐らく異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、
方法。
【請求項36】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
麻酔薬がリドカインである、請求項35記載の方法。
【請求項38】
溶液が増強剤を含まない、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも5日間連続的に放出される、請求項35記載の方法。
【請求項40】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程;および
(b)該粉末を体腔中へ置く工程
を含む、薬物がロードされたマイクロ粒子を使用する方法であって、
ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、
ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ
ここで、各バッチは、恐らく異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、
方法。
【請求項41】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
麻酔薬がリドカインである、請求項40記載の方法。
【請求項43】
粉末が増強剤を含まない、請求項40記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも3日間連続的に放出される、請求項40記載の方法。
【請求項45】
(a)第1グループのマイクロ粒子であって、該第1グループ中の各マイクロ粒子は、約91,600より大きな分子量、約20〜約50マイクロメートルの粒度、および約58%の少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第1グループのマイクロ粒子;
(b)第2グループのマイクロ粒子であって、該第2グループ中の各マイクロ粒子は、約57,600〜約91,600の分子量、約70〜約100マイクロメートルの粒度、および約80%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第2グループのマイクロ粒子;
(c)第3グループのマイクロ粒子であって、該第3グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜12,900の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約70%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第3グループのマイクロ粒子;ならびに
(d)第4グループのマイクロ粒子であって、該第4グループ中の各マイクロ粒子は、約5,000〜約12,900の分子量、約100〜約120マイクロメートルの粒度、および約70%の該少なくとも1つの麻酔薬の薬物ローディングを有する、第4グループのマイクロ粒子
を含む、組成物であって、
ここで、全4グループの総マイクロ粒子のうち、該第1グループが約20%を含み、該第2グループが約20%を含み、該第3グループが約40%を含み、該第4グループが約20%を含む、
組成物。
【請求項46】
少なくとも1つの麻酔薬がリドカインである、請求項45記載の組成物。
【請求項47】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーである、請求項45記載の組成物。
【請求項48】
マイクロ粒子が全て一種類のポリマーであり、かつ、ポリマーがPLGAコポリマーである、請求項45記載の組成物。
【請求項49】
増強剤を含まない、請求項45記載の組成物。
【請求項50】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程を含む、手術からの回復において疼痛緩和を提供する方法であって、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、方法。
【請求項51】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
麻酔薬がリドカインである、請求項50記載の方法。
【請求項53】
溶液が増強剤を含まない、請求項50記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも5日間連続的に放出される、請求項50記載の方法。
【請求項55】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程、および(b)該粉末を体腔中へ置く工程を含む、手術からの回復において疼痛緩和を提供する方法であって、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、方法。
【請求項56】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
麻酔薬がリドカインである、請求項55記載の方法。
【請求項58】
粉末が増強剤を含まない、請求項55記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも3日間連続的に放出される、請求項55記載の方法。
【請求項60】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む溶液を提供する工程、および(b)該マイクロ粒子を体腔中へ注射する工程を含む、慢性疼痛の緩和を提供する方法であって、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、方法。
【請求項61】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項60記載の方法。
【請求項62】
麻酔薬がリドカインである、請求項60記載の方法。
【請求項63】
溶液が増強剤を含まない、請求項60記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも5日間連続的に放出される、請求項60記載の方法。
【請求項65】
(a)少なくとも1つの麻酔薬がロードされたマイクロ粒子の多数のバッチを含む粉末を提供する工程、および(b)該粉末を体腔中へ置く工程を含む、慢性疼痛の緩和を提供する方法であって、ここで、各バッチは、異なるサイズ範囲内のマイクロ粒子を含み、ここで、各バッチは、異なるパーセンテージの全てのバッチの組み合わせを構成し、かつ、ここで、各バッチは、異なるローディングレベルで該少なくとも1つの麻酔薬を含む、方法。
【請求項66】
マイクロ粒子が全てポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸)から作製される、請求項65記載の方法。
【請求項67】
麻酔薬がリドカインである、請求項65記載の方法。
【請求項68】
粉末が増強剤を含まない、請求項65記載の方法。
【請求項69】
前記少なくとも1つの麻酔薬が、少なくとも3日間連続的に放出される、請求項65記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−503213(P2011−503213A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534273(P2010−534273)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/083940
【国際公開番号】WO2009/067462
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(510133964)カプスレイテッド システムズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/083940
【国際公開番号】WO2009/067462
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(510133964)カプスレイテッド システムズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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