説明

マスク面塗布材料押込みスクリーン印刷装置及びその印刷法

【課題】十分な厚い塗布膜厚でかつ高解像力及び高寸法精度のある優れた像を安定的に印刷することができるマスク面塗布材料押込みスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】枠101に張られた紗102の裏側の表面に大小の孔または画線パターンの孔を開口したマスキングシート103を配置し、紗102の表側には前記マスキングシート103の開口に印刷用塗布材料を押し込み、または掻き取るための第1スキージーを配置し、更に前記マスキングシート103の裏側には前記マスキングシート103の裏面に摺動させて前記マスキングシートの開口部内に印刷用塗布材料を押し込みながら前記マスキングシート103の裏面から余分の印刷用粘性塗料を掻き取るための第2スキージー105を配置したマスク面塗布材料押込みスクリーン印刷装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種インキ、樹脂、導電ペースト等の各種の比較的粘度の高い塗布材料を用いて印刷対象物の表面に印刷するスクリーン印刷装置及びそれの印刷法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建材分野、パッケージ分野、出版分野やエレクトロニクス分野等は勿論のこと、生活系、電気系或いは情報系等の様々な分野で製品に印刷する方法として、シルクスクリーン印刷法及びロータリースクリーン印刷法等が利用されている。このような孔版印刷方式では、ナイロンや金属メッシュ、多孔構造を持つシートに、印刷するべき画像部分を除いて樹脂膜、或いはニッケル、銅、クロム箔等の金属箔のマスクを貼り付けてなる積層シートを用い、マスクが無い表側からゴムまたは金属のスクレーパー若しくはドクターを用いて、印刷対象物の表面に塗布材料を塗布して印刷する。このことから、各種インキ、樹脂、導電ペースト等の粘度の高い塗布材料を用いることになり、これを厚く塗布し、かつ高解像度、高寸法精度で印刷する。
【0003】
これに応じるために、シルクスクリーン印刷法及びロータリースクリーン印刷法等の孔版印刷法にあっては、下記のような条件が要求される。
(1)より高細線の印刷を可能にするために高粘度の樹脂が扱えること。
(2)印刷対象物に印刷された細線が断線しない状態で印刷されること。
(3)安定した高膜厚の細線を印刷できるようになること。
【0004】
まず、(1)の条件である、高粘度の樹脂を印刷するために、上記スクリーンメッシュ及びマスクで形成された細線パターンの孔を高粘度の樹脂が、より多くスムーズに通過し、印刷対象物に転移させられることが必要である。
【0005】
(2)の条件である、断線しないことを実現するには、マスクに形成された細線パターンの孔の中に高粘度の樹脂が残らない様にするか、高粘度の樹脂をなんらかの方法で多く印刷対象物に転移させることが必要である。
【0006】
(3)の条件である、安定した高膜厚の細線を可能にするには、安定した量の樹脂をマスクで形成された細線パターンの孔に常に充填しておくことが必要である。
【0007】
しかしながら、従来のスクリーン印刷方式ではそれらの課題に対応することが困難であった。その理由を具体的な例で述べると次の通りである。
【0008】
図4は、従来のシルクスクリーン及びロータリースクリーン印刷方式を模式的に示している。従来の印刷方式に使用する印刷版100は、ナイロンまたはステンレス等の紗102を広げた状態でその紗102の外周縁を、アルミ等の金属製または木製の四角い枠101に取り付けると共に紗102の裏側若しくは下側表面に樹脂または金属箔からなるマスキングシート103を張り付けて構成されている。マスキングシート103には、直接レーザーを照射する方法やエッチング法で大小の孔または画線パターンの開口を形成し、または感光性樹脂を塗布した上で写真製版法等によって大小の孔または画線パターンの開口を形成している。印刷版100の上側または表側には金属または樹脂で形成した板状のスクレーパー若しくはドクター104が配置される。
【0009】
この従来のスクリーン印刷装置を用いて印刷する場合、図5(a)〜(c)の順序の工程で行われる。まず、図5(a)は、印刷版100の上側または表側からスクレーパー若しくはドクター104を用いて樹脂等で構成されたインキまたはペースト202を紗102の左側から右側へ掻き始める状態を示している。このとき、紗102の裏側には大小の孔または画線パターンを開口した部分203内に先の印刷によって形成された空洞204とインキまたはペースト202の一部が残っている。
【0010】
そして、この状態から印刷工程が始まる。つまり、紗102の上側からスクレーパー若しくはドクター104でインキまたはペースト202を紗102に押し込み、インキまたはペースト202を印刷対象物201に転移させる。図5(b)は、インキまたはペースト202をスクレーパー若しくはドクター104で紗102の左側から右側へ掻き終わった状態を示している。図5(c)で示すように開口した部分203にあるインキまたはペースト202が被印刷物201に転写されるが、開口した部分203に空洞204が存在することが原因となって、開口した部分203に対して偏った状態で印刷対象物201に印刷される。
【0011】
図5(c)で示す状態は、これまでの工程によって転移させた樹脂等で構成されたインキまたはペースト202が載った被印刷物201が、マスキングシート103から離れて印刷が終了した状態である。この印刷終了状態で被印刷物201に転移されたインキまたはペースト202の膜高さ507は印刷すべき領域に対して不均一で部分的に低い部分のある状態にある。
【0012】
図6は、上述した従来の印刷方式で印刷した場合の印刷面を真上から観察した状態の一例を示している。ここでの印刷パターンは開口した部分203が縦横に等間隔で配置された矩形孔であるが、転移された樹脂等で構成されたインキまたはペースト202の印刷領域がその開口した部分203よりも小さくなっているところが散見される。また、開口した部分203の空洞204が原因となって、被印刷物201に転移されたインキまたはペースト202が、その転移時に部分的に樹脂転移時間差が生じ、ずれて転移して開口した部分203の領域からはみ出した部分や薄くなった部分、さらに隣の部分と連なった部分となった汚れ部分も散見される。つまり、図6は従来のものでは再現性が不十分であることを示している。
【0013】
ところで、大小の孔または画線パターンの幅が20μmから100μmの細線を印刷する場合にあっては樹脂等で構成されたインキまたはペースト202の粘度を、より高くする必要がある。したがって、粘度の高いインキまたはペーストを用いる場合にあっては従来のシルクスクリーン及びロータリースクリーン印刷方式ではシャープな線及び膜厚の再現性が不十分になり易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平11−157042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来のシルクスクリーン及びロータリースクリーン等の印刷法では、高精細線や高膜厚の細線を連続的に印刷すると、一度印刷対象物に樹脂が転写された後、メタルマスク及び樹脂マスクに形成された孔の中の樹脂が無くなり、空洞が出来易い。そして、この空洞があるままの状態で、次の印刷に移行すると、この空洞の距離分、印刷対象物への樹脂転移時間差が生じ、十分な樹脂の転移が出来ずに、例えば、断線が発生したり、必要な膜厚が得られない等の不具合が発生したりし易い。
【0016】
本発明は前記課題に着目してなされたものであり、十分な厚い塗布膜厚でかつ高解像力及び高寸法精度のある優れた像を安定的に印刷することができるマスク面塗布材料押込みスクリーン印刷装置及びそのマスク面塗布材料押込みスクリーン印刷法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、枠に張られた紗と、前記紗の裏側の表面に配置され大小の孔または画線パターンの孔を開口したマスキングシートと、前記紗の表側に配置され前記マスキングシートの開口に印刷用塗布材料を押し込み、または掻き取るための第1スキージーと、前記マスキングシートの裏側に配置され前記マスキングシートの裏面に摺動させて前記マスキングシートの開口部内に印刷用塗布材料を押し込みながら前記マスキングシートの裏面から余分の印刷用粘性塗料を掻き取るための第2スキージーと、を具備したことを特徴とするマスク面塗布材料押込みスクリーン印刷装置である。
【0018】
他の発明は、枠に張られた紗の裏側の表面に大小の孔または画線パターンを開口したマスキングシートを配置し、前記紗の表側から第1スキージーにより印刷用塗布材料を押し込みながら前記マスキングシートの表面から余分の印刷用塗布材料を掻き取り、この後に前記マスキングシートの裏側面に第2スキージーを摺動させて前記マスキングシートの開口内に印刷用塗布材料を押し込みながら前記マスキングシートの裏面から余分の印刷用塗布材料を掻き取るようにしたことを特徴とするマスク面塗布材料押込みスクリーン印刷法である。
【0019】
本発明は、例えば、金属箔を使用したメタルマスク及び乳剤を使用した樹脂マスクの側から例えばゴムまたは金属のスキージーまたはスクレーパー、ドクター等で樹脂を、予め上記マスクの空洞へ押し込むと同時にマスク表面の余分なインキをマスクレベルで掻きとった後に通常の印刷を行うことが可能である。
【0020】
また、本発明は、金属製または木製の枠に貼られた紗の裏側若しくは下側表面に、例えば金属箔若しくは樹脂の膜に大小の幅1μmから数mmの孔または画線パターンを開口したマスキングシートを設け、このマスキングシート側に例えば金属または樹脂で形成した板状のスクレーパー若しくはドクター等を配置した構造とすることが可能である。
【0021】
更に、本発明は、例えば、金属製または木製の枠に貼られた紗の裏側若しくは下側の表面にマスキングシートを設け、このマスキングシート側にもスクレーパー若しくはドクター等を配置し、このスクレーパー若しくはドクター等でマスキングシート側の面からマスキングシートの膜に形成された空洞に塗布材料を押し込む工程を実施することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来のシルクスクリーン法及びロータリースクリーン法等のマスクを使用した印刷方法で、高粘度樹脂を高細線で厚い膜厚に安定して印刷することが可能である。高細線で厚い膜厚の印刷が可能になったことにより、下記(1)〜(8)のような具体的な効果が得られる。
【0023】
(1)本発明によれば、例えば、ICカードアンテナ(コイル状のパターン)や太陽電池バックシート導配線、電磁シールド、タッチパネルITO配線等を印刷目的として、PET、PEN、アクリル等のシート上に導電性インキ、導電性ペースト等を高細線で厚い膜厚で印刷することが可能になったことによって、電子回路としての配線の断面積が向上するため、導電性を示す指標である抵抗値を、下げることが可能となり、エッチング法によって従来形成されていた、金属性回路を導電性インキ、導電性ペーストで置き換えることが容易になった。
【0024】
(2)本発明によれば、例えば、ICカードアンテナ(コイル状のパターン)や太陽電池バックシート導配線等は、銅、アルミ、鉄、鉛、SUS、スズ、亜鉛、チタン、金、銀等の導電性シート単体、または銅、アルミ、鉄、鉛、SUS、スズ、亜鉛、チタン、金、銀等の導電性シートをPET、PEN、アクリル等のシートに貼り付けたものに、高細線で厚い膜厚の防腐剤や耐腐食性インキ等を安定して印刷することが可能となり、塩酸、硫酸、塩化第2鉄、塩化第2銅、王水、硝酸等の薬品を使い、画線部以外の導電性シート、金属面を腐食させ、除去することで絶縁部を形成する場合に、画線部の防腐剤や耐腐食性インキの膜厚の耐薬品性が向上し、腐食中の画線部の欠損等が減少する。
【0025】
(3)本発明によれば、画線部、非画線部の微細な表現意匠を表現する場合、塗布材料の粘度の調整可能範囲が広がるため、任意の膜厚に塗布材料の制約がなく印刷ができるようになる。
【0026】
(4)本発明によれば、マスク側の樹脂とマスク側でない樹脂の種類を変えて印刷することも可能となり、1回の印刷で、2層の樹脂を同時に印刷できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に適用する印刷方式の概略的説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に適用した印刷方式の工程を概略的に示す説明図である。
【図3】本発明の印刷方式を適用し、この印刷方式で印刷した印刷状態を概略的に示す説明図である。
【図4】既存のシルクスクリーン印刷方式の概略的説明図である。
【図5】既存のシルクスクリーン印刷方式の工程を概略的に示す説明図である。
【図6】既存のシルクスクリーン印刷方式で、実際に印刷し、その印刷した印刷状態を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る印刷装置について説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態の印刷装置に適用する印刷版100を示す。この印刷版100は、ナイロンまたはステンレス等で構成した紗102を広げた状態で、その紗102の外周縁を、アルミ等の金属製または木製の四角い枠101に取り付けると共に紗102の裏側(下側)の表面に例えば金属箔からなるマスキングシート(マスク)103を張り付けてなるものである。マスキングシート103には、印刷に必要な領域にわたり例えば金属箔にレーザーを直接照射して大小の孔または画線パターンの孔を形成する加工法またはエッチングにより大小の孔または画線パターンの孔を形成する加工法、更には金属箔に感光性樹脂を塗布した上で露光〜現像したのちエッチングして大小の孔または画線パターンの孔を形成する写真製版方式等によって大小の孔または画線パターンの孔が形成されている。印刷版100のマスキングシート103には印刷パターンに応じて大小の孔または画線パターンの孔が開口している。
【0030】
更に、印刷版100の上側(表側)には例えば金属または樹脂で形成した板状のスクレーパー、ドクター若しくはスキージー等の塗布材料押込み部材(本発明ではこれらをスキージーと呼ぶ。)としての第1スキージー104が配置される。第1スキージー104は紗102の上側から印刷用粘性塗料であるところのインキまたはペースト202等を押し込み、印刷する操作部材である。
【0031】
また、印刷版100の版下側または裏側であるシート側(下側または裏側)には、本発明の特徴であるところの例えば金属または樹脂等で形成した板状のスクレーパー、ドクター若しくはスキージー等の塗布材料押込み部材(本発明ではこれをスキージーと呼ぶ。)としての第2スキージー105が配置される。第2スキージー105は版下側または裏側であるマスキングシート103の下側からはみ出す樹脂等で形成された印刷用粘性塗料であるところのインキまたはペースト202等の塗布材料を押し込むものである。
【0032】
このスクリーン印刷装置を用いて印刷する場合、図2(a)〜(e)に示す順序で行われる。
【0033】
まず、図2(a)は、紗102の裏側若しくは下側表面に印刷パターンである大小の孔または画線パターンの孔を開口したマスキングシート103を当てまたは載せた状態である。この状態は、既に前回の印刷全工程が終了し、印刷済みの被印刷物201を取り除いた状態である。この状態では、印刷用塗布材料例えば樹脂等で構成されたインキまたはペースト202の塗布材料が紗102の部分に残っており、紗102の裏側に位置したマスキングシート103に形成された大小の孔または画線パターンの孔を形成した開口した部分203には前回の印刷時にインキまたはペースト202が抜けたことによって形成された空洞(空間)204が存在している。
【0034】
次に、図2(b)で示す工程で、前回の印刷時、インキまたはペースト202が抜けたことによって形成された空洞204に、インキまたはペースト202をシート103の裏側または下側から押し込む工程を行う(この工程は本発明の主要な工程である。)。すなわち、第2のスキージー105で大小の孔または画線パターンを開口した部分203以外の面のインキまたはペースト202をシート103の裏面に擦り付けて、インキまたはペースト202を、マスキングシート103の裏側または下側のシート面205に一致したレベルで空間204内に押し込む。また、大小の孔または画線パターンを開口した部分203以外の面のインキまたはペースト202は限りなく残らないようにペースト202を掻き取る。この工程によって紗102の裏側に形成された大小の孔または画線パターンの孔が開口した部分203に形成された空洞204は、インキまたはペースト202がシート面205に一致したレベルまで強制的に充填された状態になる。
【0035】
次に、図2(c)(d)に示すように、印刷版100の上側または表側から第1のスキージー104を用いて樹脂等で構成されたインキまたはペースト202を紗102の左側から右側へ紗102の上面を一定速度で掻く。このとき、図2(b)で示した前工程で開口した部分203にインキまたはペースト202が埋まった状態にあるから、そのインキまたはペースト202は、纏まって下方向へ一体的なかたまりとなって押し出され、マスキングシート103の下方に配置された被印刷物201の表面へ転移する。インキまたはペースト202は乱れのない状態で大小の孔または画線パターンを開口した部分203の形に対応した形でかつ十分な量の一つのかたまりとなって被印刷物201の表面に塗布される。
【0036】
次に、図2(e)で示すように、図2(a)〜(d)までの工程によって転移させた樹脂等で構成されたインキまたはペースト202が載った被印刷物201が、マスキングシート103から離れ、これにより印刷が終了する。図2(e)では被印刷物201に転移されたインキまたはペースト202の膜高さ206が均等で所望の高い(厚さ)状態であることを示している。
【0037】
図3は、上記実施形態の工程で被印刷物201に転写されたインキまたはペースト202の印刷面を真上から観察した状態の一例を概念的に示したものである。この場合、印刷パターンの開口した部分は、縦横に等間隔で配置された矩形孔の形であり、その形に応じてインキまたはペーストがむらなく被印刷物に良好に印刷されていることが分かる。
【0038】
本発明の印刷方式は、複数の平版印刷ユニットを用いて、複数種類の塗布材料を塗布するようにすれば、各塗布材料を所定膜厚の所定パターンで塗布することが可能な、印刷装置とすることが可能である。
【実施例】
【0039】
ニッケルを主材とする厚さ350μmの紗102の部材を用いて、版面部分が940mm×940mmになるような枠101を用いて印刷版を作成した。また、印刷版の下面の側に金属または樹脂で構成した板状のスクレーパー若しくはドクター105を、上面の側に板状のスクレーパー若しくはドクター104を配置した。
この実施例の形態でも、上述した図2(a)〜(e)に示す工程の順序で印刷することが行われ、上述したと同様の作用効果が得られる。
【0040】
(実施例1)
厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを被印刷物201とし、市販の導電銀ペースト(太陽インキ製造株式会社性 ECM−100)をPDP用のシールドメッシュパターン状に塗布した。得られた導電銀ペーストのシールドメッシュパターン(乾燥後)は、膜厚30μmでありながら30μm幅の高精細な画線を形成している事が確認された。
実施例1では、高粘度のシルクスクリーン用の導電性銀ペーストを使用することが可能であった。
【0041】
また、得られたPDP用のシールドメッシュパターンの導電性について調べた結果、抵抗値5×10-5Ω・cmと低抵抗であることが確認できた。
【0042】
(実施例2)
1色目の印刷ユニットで、上記実施例1と同様にして導電銀ペーストでPDP用のシールドメッシュパターンを印刷して、乾燥炉を通して乾燥させた後、2色目の印刷ユニットで、一般にソルダーレジストと呼ばれる絶縁性インキをベタ塗りで印刷した。この結果、導電性銀ペーストによって印刷されたシールドメッシュパターンの上に、絶縁性インキの層を積層することが出来た。
【0043】
乾燥後、PDP用のシールドメッシュパターンの導通テストを実施した結果、抵抗値は上記実施例1と同様の5×10-5Ω・cmを示し、PDP用のシールドメッシュパターンと絶縁層の積層が可能であることがわかった。さらに印刷ユニット数の多い多色グラビア印刷機を用いることにより、8〜10層の多層回路形成が可能であることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0044】
この発明によって、エレクトロニクス用デバイス関連等の配線パターンをよりシャープに、断面積を増加することが可能となり、電気抵抗値の少ない、低発熱回路を形成することができる。
【0045】
この発明によって、エレクトロニクス用デバイス関連等の導線層、絶縁層、から形成される多層回路形成が、容易に短時間で形成できる。
【0046】
この発明によって、建材用化粧シートの繊細パターン、たとえば抽象パターン等いままで表現することが困難だった意匠を表現することができる。
【0047】
この発明によって、医療分野等の研究用、工業用の幅数μm深さ数μmからなるポリマー基盤に溝が掘られたパターンに再度ポリマーで蓋をした構造をもつマイクロチャンネルまたはマイクロフラスコと結われるチップを大量に安価に製作できる。
【0048】
これを使って、例えばキレート水溶液と油相をマイクロレベルで混合する事が可能となり油水界面から油相へキレート化合物を溶け出し、分離することができる。
【0049】
その他、マイクロレベルでの化学反応がこのチャンネルで可能となり、レーザー等によるDNA分析等も可能となる。
【0050】
この発明によって、この発明のシステム自体の規模をサイズ的に縮小する事で、超微細パターン印刷への応用も可能となる。
【0051】
この発明によって、膜厚のある多色印刷が可能となり、食品加工印刷として多層カラー食品印刷分野への展開が望める。
【符号の説明】
【0052】
101…枠
102…紗
103…マスキングシート
104…スクレーパー若しくはドクター
105…裏側配置のスクレーパー若しくはドクター
201…被印刷物
202…インキまたはペースト
203…開口した部分
204…空洞
205…シート面
206…膜高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠に張られた紗と、
前記紗の裏側の表面に配置され、大小の孔または画線パターンの孔を開口したマスキングシートと、
前記紗の表側に配置され、前記マスキングシートの開口に印刷用塗布材料を押し込み、または掻き取るための第1スキージーと、
前記マスキングシートの裏側に配置され、前記マスキングシートの裏面に摺動させて前記マスキングシートの開口部内に印刷用塗布材料を押し込みながら前記マスキングシートの裏面から余分の印刷用粘性塗料を掻き取るための第2スキージーと、
を具備したことを特徴とするマスク面塗布材料押込みスクリーン印刷装置。
【請求項2】
枠に張られた紗の裏側の表面に、大小の孔または画線パターンを開口したマスキングシートを配置し、前記紗の表側から第1スキージーにより印刷用塗布材料を押し込みながら前記マスキングシートの表面から余分の印刷用塗布材料を掻き取り、この後に前記マスキングシートの裏側面に第2スキージーを摺動させて前記マスキングシートの開口内に印刷用塗布材料を押し込みながら前記マスキングシートの裏面から余分の印刷用塗布材料を掻き取るようにしたことを特徴とするマスク面塗布材料押込みスクリーン印刷法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−201271(P2011−201271A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73351(P2010−73351)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】