説明

マスタスレーブマニピュレータ及び医療用マスタスレーブマニピュレータ

【課題】冗長関節を有するマスタスレーブマニピュレータであっても逆運動学計算にかかる負荷を低減可能なマスタスレーブマニピュレータを提供すること。
【解決手段】マスタ操作入力装置10の操作部11に、スレーブアーム31の冗長関節の駆動量を操作者が指令するための操作部材としての第1ロール関節102を設ける。スレーブアーム31が冗長関節を有していない場合には、スレーブアーム31の全体としての逆運動学を解くことによって各関節の駆動量を求める。また、スレーブアーム31が冗長関節を有している場合には、先端の冗長関節202がないものとして逆運動学を解くことによって冗長関節202以外の関節の駆動量を求める。冗長関節202についてはマスタ操作入力装置10からの指令値に対応した駆動量とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタスレーブマニピュレータ、及びこれを備える医療用マスタスレーブマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療施設の省人化を図るため、ロボットによる医療処置の研究が行われている。特に、外科分野では、多自由度(多関節)アームを有するマニピュレータによって患者の処置をするマニピュレータシステムについての各種の提案がなされている。このようなマニピュレータシステムにおいて、患者の体腔に直接接触するマニピュレータ(スレーブマニピュレータ)を、マスタ操作入力装置によって遠隔操作できるようにしたマニピュレータシステム(マスタスレーブマニピュレータ)が知られている。また、近年では、スレーブマニピュレータが有するスレーブアームに冗長自由度を持たせるようにしたマスタスレーブマニピュレータも知られている。さらに、このような冗長自由度を持つスレーブマニピュレータに対する操作入力のための操作部をマスタ操作入力装置側に設けるようにしたマスタスレーブマニピュレータも知られている。例えば、特許文献1では、ユーザの腕の動きをスレーブアームに伝えるように構成されたアーム本体においてユーザの肘が載せられる部分にさらに2自由度の運動制御が可能な肘スイッチを設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−334695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、冗長関節を有するマスタスレーブマニピュレータの場合、マスタ操作入力装置からの指令値に従ってスレーブアームの各関節の駆動量を計算するための逆運動学計算が複雑化し易い。特許文献1では、スレーブアームの自由度とマスタ操作入力装置の自由度とを対応させるようにすることで逆運動学計算を簡略化するようにしているが、スレーブマニピュレータが冗長でない場合が考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、冗長関節を有しないスレーブマニピュレータであっても冗長関節を有するスレーブマニピュレータであっても、同じマスタ操作入力装置によって冗長関節を有するマスタスレーブマニピュレータであっても逆運動学計算にかかる負荷を低減し操作可能なマスタスレーブマニピュレータ及び医療用マスタスレーブマニピュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様のマスタスレーブマニピュレータは、複数の自由度に対応した関節を有するスレーブマニピュレータと、操作者が位置姿勢を一意に入力可能で、その位置姿勢情報を出力可能な第1の操作部と、前記第1の操作部をベースとして前記第1の操作部とは独立して入力可能な関節を有し、その関節入力量を出力可能な第2の操作部と、を有するマスタ操作入力装置と、前記第2の操作部の位置姿勢を、前記スレーブマニピュレータ先端への位置姿勢入力指令値として前記スレーブマニピュレータの各関節の駆動量を算出して関節駆動指令値を生成し、前記関節駆動指令値に基づいてスレーブマニピュレータを制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冗長関節を有しないスレーブマニピュレータであっても冗長関節を有するスレーブマニピュレータであっても、同じマスタ操作入力装置によって冗長関節を有するマスタスレーブマニピュレータであっても逆運動学計算にかかる負荷を低減し操作可能なマスタスレーブマニピュレータ及び医療用マスタスレーブマニピュレータを提供することができる。さらに、医療用マスタスレーブマニピュレータにおいて特有の術具の交換によるスレーブマニピュレータの関節構造の変化に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の各実施形態に係るマスタスレーブマニピュレータの一例の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る操作部の一例としての構成を示す模式図である。
【図3】スレーブアームの構造の例を示す図である。
【図4】スレーブアームに冗長関節が設けられていない場合の本発明の第1の実施形態のマスタスレーブマニピュレータの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5(a)は、マスタ操作入力装置の模式図あり、図5(b)はスレーブアームが冗長関節を有していない場合の本実施形態の逆運動学計算時において想定されるスレーブアームの模式図である。
【図6】スレーブアームに冗長関節が設けられている場合の本発明の第1の実施形態のマスタスレーブマニピュレータの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7はスレーブアームが冗長関節を有している場合の本実施形態の逆運動学計算時において想定されるスレーブアームの模式図である。
【図8】スレーブアームが冗長関節である場合と、冗長関節でない場合の切替(判定)を行う制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】先端効果器における関節をヨー関節とする場合の変形例を示す図である。
【図10】先端効果器における関節をピッチ関節とする場合の変形例を示す図である。
【図11】先端効果器における関節を直動関節とする場合の変形例を示す図である。
【図12】先端効果器における関節を複数とする場合の変形例を示す図である。
【図13】無線式の操作部の例を示す図である。
【図14】遠位端以外の構造を異ならせた場合の例を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る操作部の一例としての構成を示す模式図である。
【図16】本発明の第2の実施形態のマスタスレーブマニピュレータにおける動作について説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る操作部の一例としての構成を示す模式図である。
【図18】本発明の第3の実施形態のマスタスレーブマニピュレータにおける動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の各実施形態に係るマスタスレーブマニピュレータの一例の全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るマスタスレーブマニピュレータは、マスタ操作入力装置10と、制御装置20と、スレーブマニピュレータ30と、を有している。
【0010】
マスタ操作入力装置10は、本マスタスレーブマニピュレータにおけるマスタとして機能するものであって、例えば操作部11と、表示部12とを有している。
操作部11は、例えば表示部12に固定されており、操作者の操作を受けてスレーブマニピュレータ30を操作するための操作信号を出力する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る操作部11の一例としての構成を示す模式図である。図2に例示する操作部11は、把持部101を有している。把持部101は、操作者が手で把持する部分である。この把持部101は、直交3軸方向及び各軸周りの回転方向に移動可能に支持されている。
【0011】
第1の操作部の一例としての把持部101には、第2の操作部の一例としての第1ロール関節102が軸止されている。第1ロール関節102は、把持部101をベースとし、把持部101とは独立して操作可能な関節である。即ち、この第1ロール関節102は、操作者が把持部101を手で持った際に指先で回転可能なように構成されている。第1ロール関節102の近傍には、図示しない位置検出器(例えばエンコーダ)が設けられている。操作者によって第1ロール関節102が回転操作された場合には、その駆動量(回転量)が位置検出器によって検出される。この位置検出器からは、第1ロール関節102の駆動量(回転量)に応じた操作信号が制御装置20のマスタ制御部21に入力される。
【0012】
また、第1ロール関節102には、先端効果器(end effector)操作部103が取り付けられている。つまり、把持部101の位置姿勢とは独立して、第1ロール関節102と先端効果器操作部103が操作可能に取り付けられており、第2の操作部を成している。先端効果器操作部103は、操作者が把持部101を手で持った際に指先で開閉操作可能なように構成されている。先端効果器操作部103の近傍には、図示しない位置検出器(例えばエンコーダ)が設けられている。操作者によって先端効果器操作部103が開閉操作された場合には、その開閉量(例えば開閉角)が位置検出器によって検出される。この位置検出器からは、先端効果器操作部103の開閉量に応じた操作信号が制御装置20のマスタ制御部21に入力される。
【0013】
また、把持部101は、第1リンクに取り付けられており、この第1リンクには、第2ロール関節104が軸止されている。第2ロール関節104の近傍には、図示しない位置検出器(例えばエンコーダ)が設けられている。操作者の把持部101の操作に伴って第2ロール関節104が駆動された場合には、その駆動量(回転量)が位置検出器によって検出される。この位置検出器からは、第2ロール関節104の駆動量に応じた操作信号が制御装置20のマスタ制御部21に入力される。
【0014】
また、第2ロール関節104は、第2リンクに取り付けられており、この第2リンクには、第1ヨー関節105が軸止されている。第1ヨー関節105の近傍には、図示しない位置検出器(例えばエンコーダ)が設けられている。操作者の把持部101の操作に伴って第1ヨー関節105が駆動された場合には、その駆動量(回転量)が位置検出器によって検出される。この位置検出器からは、第1ヨー関節105の駆動量に応じた操作信号が制御装置20のマスタ制御部21に入力される。
【0015】
また、ヨー関節105は、第3リンクに取り付けられており、この第3リンクには、ピッチ関節106が軸止されている。ピッチ関節106の近傍には、図示しない位置検出器(例えばエンコーダ)が設けられている。操作者の把持部101の操作に伴ってピッチ関節106が駆動された場合には、その駆動量(回転量)が位置検出器によって検出される。この位置検出器からは、ピッチ関節106の駆動量に応じた操作信号が制御装置20のマスタ制御部21に入力される。
【0016】
また、ピッチ関節106は、第4リンクに取り付けられており、この第4リンクは、第1直動関節107に取り付けられている。第1直動関節107の近傍には、図示しない位置検出器(例えばエンコーダ)が設けられている。操作者の把持部101の操作に伴って第1直動関節107が駆動された場合には、その駆動量(直動量)が位置検出器によって検出される。この位置検出器からは、第1直動関節107の駆動量に応じた操作信号が制御装置20のマスタ制御部21に入力される。
【0017】
第1直動関節107からは第5リンクが延在されている。この第5リンクは、第2直動関節108に取り付けられている。第2直動関節108の近傍には、図示しない位置検出器(例えばエンコーダ)が設けられている。操作者の把持部101の操作に伴って第2直動関節108が駆動された場合には、その駆動量(直動量)が位置検出器によって検出される。この位置検出器からは、第2直動関節108の駆動量に応じた操作信号が制御装置20のマスタ制御部21に入力される。
【0018】
また、第2直動関節108は、第6リンクに取り付けられており、この第6リンクには、第2ヨー関節109が軸止されている。さらに、この第2ヨー関節109は、第7リンクを介して例えば表示部に固定されている。また、第2ヨー関節109の近傍には、図示しない位置検出器(例えばエンコーダ)が設けられている。操作者の把持部101の操作に伴って第2ヨー関節109が駆動された場合には、その駆動量(回転量)が位置検出器によって検出される。この位置検出器からは、第2ヨー関節109の駆動量に応じた操作信号が制御装置20のマスタ制御部21に入力される。
【0019】
以上のような構成により、図2に示す操作部11は、把持部101の位置姿勢の変化に対応した6個の操作信号と第1ロール関節102の操作量を示す操作信号との、7自由度に対応した操作信号(+先端効果器の操作信号)を制御装置20のマスタ制御部21に入力する。操作者は把持部101を手の平で把持し、指により先端操作効果器操作部103を把持し、手の平に対して指の動きで第1ロール関節102を動かすことができ、指の動きで先端操作器操作部103を動かすことが可能である。把持部101の位置姿勢は、関節109、108、107、106、105、104の6個の関節によって一意に定めることができ、さらに把持部101の位置姿勢とは独立して先端操作効果器操作部103を第1ロール関節102を用いて回転させたり、先端操作効果器操作部103を開閉させたりすることができる。
【0020】
ここで、図1に戻って説明を続ける。図1に示す表示部12は、例えば液晶ディスプレイから構成され、制御装置20から入力された画像信号に基づいて画像を表示する。後述するが、制御装置20から入力される画像信号は、スレーブアーム31に取り付けられた電子カメラ(電子内視鏡)を介して得られた画像信号を、制御装置20において処理したものである。このような画像信号に基づく画像を、表示部12に表示させることにより、マスタ操作入力装置10の操作者は、マスタ操作入力装置10から離れた場所に配置されたスレーブマニピュレータ30の先端の画像を確認することが可能である。
【0021】
制御装置20は、マスタ制御部21と、マニピュレータ制御部22と、画像処理部23と、を有している。
マスタ制御部21は、マスタ操作入力装置10からの操作信号に従って、スレーブアーム31の先端の位置姿勢の指令値を例えば運動学計算に従って算出し、この位置姿勢の指令値をマニピュレータ制御部22に出力する。また、マスタ制御部21は、マスタ操作入力装置10からの遠位端の関節の駆動量を指令するための操作信号及び先端効果器の駆動量を指令するための操作信号をマニピュレータ制御部22に出力する。
【0022】
マニピュレータ制御部22は、マスタ制御部21からの位置姿勢の指令値を受けて、スレーブアーム31の先端の位置姿勢を指令値に一致させるために必要なスレーブアーム31の各関節の駆動量の指令値を算出する。そして、マニピュレータ制御部22は、算出した指令値に従ってスレーブアーム31の各関節を駆動させる。なお、各関節の駆動量の算出手法については後述する。また、マニピュレータ制御部22は、マスタ制御部21からの先端効果器の駆動量を指令するための操作信号を受けてスレーブアーム31の先端効果器を駆動させる。
【0023】
画像処理部23は、スレーブアーム31の先端に設けられた電子カメラ(電子内視鏡等)から得られた画像信号を処理し、表示部12の表示用の画像信号を生成して表示部12に出力する。
スレーブマニピュレータ30は、スレーブアーム31を有している。スレーブアーム31は、マニピュレータ制御部22からの制御信号に従って各関節が駆動される。図3にスレーブアーム31の構造の例を示す。
【0024】
図3(a)に示すスレーブアーム31は、冗長関節を有しない例である。このスレーブアーム31は、例えば6個の関節203〜208が連設して配置され、さらに遠位端の関節203に先端効果器201が取り付けられている。ここで、遠位端の関節とは、スレーブアーム31が固定されている側から見て最も遠い位置に配置された関節のことを言う。また、図3(a)で示した先端効果器201は、把持器(グリッパー)の例を示している。この他、先端部にカメラ(電子内視鏡)や電気メスなどの処置具を取り付けても良く、先端部は交換可能になっている。
【0025】
図3(a)に示す関節のうち、関節205はロール関節であり、関節203、208はヨー関節であり、関節204、207はピッチ関節である。また、関節206は直動関節である。図3(a)に示した関節203〜208を協調させながら駆動させることによって、スレーブアーム31における先端の位置の3自由度と姿勢の3自由度とが実現される。
【0026】
また、図3(b)に示すスレーブアーム31は、冗長関節を有する例である。このスレーブアーム31は、図3(a)で示したスレーブアーム31の関節203に、さらにロール関節202が連設して配置され、さらにこの関節202に先端効果器201が取り付けられている。ここで、本実施形態においては、スレーブアーム31の遠位端に配置する冗長関節の構造がマスタ操作入力装置の把持部101の近傍に設けた冗長関節操作用の関節102と同構造である。例えば、図2の例では、関節102は、ロール関節である。この場合、関節202もロール関節である。
【0027】
図3(b)に示した関節203〜208を協調させながら駆動させることによって、スレーブアーム31における先端の位置の3自由度と姿勢の3自由度とが実現される。また、これらの関節に加えて図3(b)では、先端効果器201をローリングさせるための関節202を冗長関節として設けている。このような構成により、例えば、スレーブアーム31をローリングさせる場合において、先端効果器201の付近のみをローリングさせるような動作も可能である。
処置具は交換可能になっているため、例えば医療用マスタスレーブマニピュレータの場合、図3(a)や図3(b)のように術具先端の関節配置が術中に変更されることがありうる。また、一腕のマスタ操作入力装置で、複数腕のスレーブマニピュレータを切り替えて操作することがあり、図3(a)のような冗長でないスレーブマニピュレータと図3(b)のような冗長なスレーブマニピュレータを切り替えて操作することがある。
【0028】
以下、本実施形態のマスタスレーブマニピュレータの動作について説明する。本実施形態では、スレーブアーム31に冗長関節が設けられているか否かに応じて異なる動作をする。
図4は、スレーブアーム31に冗長関節が設けられていない場合の本実施形態のマスタスレーブマニピュレータの制御装置20の動作を示すフローチャートである。
マスタ操作入力装置10の操作部11を把持している操作者が、操作部11を操作することにより、その操作に応じて操作部11を構成する各関節が駆動される。各関節が駆動されると、その駆動量が図示しない位置検出器によって検出され、各位置検出器から操作信号が制御装置20に入力される。
【0029】
図5を用いて、スレーブアーム31に冗長関節が設けられていない場合について説明する。図5(a)は、マスタ操作入力装置の模式図である。
スレーブアーム31に冗長関節が設けられていない場合、制御装置20のマスタ制御部21は、操作部11から入力されてきた操作信号に従ってマスタ操作入力装置10の先端効果器操作部103の位置姿勢Mを、運動学を解くことにより、スレーブアーム31の先端の位置姿勢の指令値として求める。なお、先端効果器操作部103の位置姿勢は、関節109、108、107、106、105、104、102及びそれらの関節を結ぶリンク長などから運動学を計算して算出できる。実際には、把持部101を手の平で握って操作しているため把持部101の位置姿勢M101に、関節102の操作量を追加して先端効果器操作部103の位置姿勢Mが計算できる。そして、マスタ制御部21は、算出した指令値Mをマニピュレータ制御部22に入力する。(ステップS1)。
【0030】
続いて、マニピュレータ制御部22は、入力された指令値Mに基づいてスレーブアーム31の先端の逆運動学を解くことにより、スレーブアーム31の各関節の駆動量の指令値を求める(ステップS2)。図5(b)はスレーブアーム31が冗長関節を有していない場合の本実施形態の逆運動学計算時において想定されるスレーブアーム31の模式図である。スレーブアーム31が冗長関節を有していない場合には、図5(b)の先端位置に対して逆運動学を解く。スレーブアーム31が冗長関節を有していない場合には、比較的容易に逆運動学を解くことが可能である。
【0031】
各関節の駆動量の指令値を求めた後、マニピュレータ制御部22は、求めた指令値をスレーブマニピュレータ30に入力し、スレーブアーム31の各関節を駆動する(ステップS3)。
図6は、スレーブアーム31に冗長関節が設けられている場合の本実施形態のマスタスレーブマニピュレータの制御装置20の動作を示すフローチャートである。
【0032】
スレーブアーム31に冗長関節が設けられている場合、制御装置20のマスタ制御部21は、操作部11から入力されてきた関節104〜109に対応した操作信号に従ってマスタ操作入力装置10の把持部101の運動学を解くことにより、把持部101の位置姿勢M101をスレーブアーム31の先端の位置姿勢の指令値Mとして求める。そして、マスタ制御部21は、算出した指令値Mをマニピュレータ制御部22に入力する。(ステップS11)。
【0033】
続いて、マニピュレータ制御部22は、入力された指令値Mに基づいてスレーブアーム31の関節202がないものとして(即ち、関節202を固定関節と仮定して)、スレーブアーム31の先端の逆運動学を解くことにより、スレーブアーム31の関節203〜208の駆動量の指令値を求める(ステップS12)。図7はスレーブアーム31が冗長関節を有している場合の本実施形態の逆運動学計算時において想定されるスレーブアーム31の模式図である。本実施形態では、第1ロール関節102と関節202とが同一構造であり、関節202の駆動量を第1ロール関節によって直接的に指令可能である。このため、図7に示すように、スレーブアーム31が冗長関節を有している場合において、冗長関節がないものとして逆運動学を解いたとしてもスレーブアーム31の先端の位置姿勢を正しく制御することが可能である。スレーブアーム31で先端関節202がないものとして逆運動学をとくことにより、冗長な逆運動学計算をすることなく比較的簡単に逆運動学を解くことが可能である。
【0034】
続いて、マスタ制御部21は、操作部11から入力されてきた第1ロール関節102に対応した操作信号に従って第1ロール関節102の動作量(図5(a)に示す第1ロール関節102の回転量)Mrを求め、求めた動作量Mrをマニピュレータ制御部22に入力する(ステップS13)。これを受けて、マニピュレータ制御部22は、動作量Mrをスレーブアーム31の遠位端の関節202の駆動量(図7に示す関節202の回転量)とする(ステップS14)。
【0035】
各関節の駆動量の指令値を求めた後、マニピュレータ制御部22は、求めた指令値をスレーブマニピュレータ30に入力し、スレーブアーム31の各関節を駆動する(ステップS15)。
以上説明したように、本実施形態においては、スレーブアーム31の冗長関節の駆動量を操作者が指令するための操作関節としての第1ロール関節102をマスタ操作入力装置10の操作部11に設けている。そして、スレーブアーム31が冗長関節を有していない場合には、スレーブアーム31の全体としての逆運動学を解くことによって各関節の駆動量を求めている。また、スレーブアーム31が冗長関節を有している場合には、遠位端の冗長関節202がないものとして逆運動学を解くことによって冗長関節202以外の関節の駆動量を求め、また冗長関節202についてはマスタ操作入力装置10からの指令値を利用して駆動量を求めている。これにより、本実施形態では、スレーブアーム31が冗長関節を有しているか否かによらずに、逆運動学計算にかかる負荷を低減することが可能であり、スレーブマニピュレータの関節構造が変更されても、同じマスタ操作入力装置を用いてマスタスレーブ操作が可能である。
上述では、スレーブアーム31が冗長関節を有している場合と有していない場合とで場合わけしているが、図8に示すような冗長関節を有しているか否かの判定を時々刻々繰り返すようにすれば、マスタスレーブ操作中にスレーブアーム31の先端効果器の関節構成を変更しても、スレーブマニピュレータへの関節駆動指令値を制御部で変更することにより、操作中リアルタイムに変更することができる。
図8において、制御装置20のマスタ制御部21は、操作部11から入力されてきた操作信号に従ってマスタ操作入力装置10の把持部101の位置姿勢M101を、運動学を解くことにより算出する。また、マスタ制御部21は、操作部11から入力されてきた第1ロール関節102の操作信号から関節102の動作量Mrを取得する(ステップS101)。
続いて、マスタ制御部21は、スレーブマニピュレータ30のスレーブアーム31が冗長関節を有しているか否かを判定する(ステップS102)。この判定のための構成として、マスタ制御部21は、内部にメモリを有している。このメモリには、スレーブアーム31が冗長関節を有しているか否かを識別するためのフラグが格納される。例えば、冗長関節を有している場合、メモリには“1”のフラグが格納され、冗長関節を有していない場合、メモリには“0”のフラグが格納される。マスタ制御部21は、メモリからフラグを読み出すことにより、ステップS102の判定を行う。
ステップS102の判定において、スレーブアーム31が冗長関節を有していない場合、マスタ制御部21は、ステップS101で算出した把持部101の位置姿勢Mr101に、関節102の動作量Mrを乗じることにより、スレーブアーム31の先端の位置姿勢の指令値Mを算出する(ステップS103)。
マニピュレータ制御部22は、ステップS103においてマスタ制御部21によって算出された指令値Mに基づいてスレーブアーム31の先端の逆運動学を解くことにより、スレーブアーム31の各関節の駆動量の指令値を求める(ステップS104)。
また、ステップS102の判定において、スレーブアーム31に冗長関節が設けられている場合、制御装置20のマスタ制御部21は、操作部11から入力されてきた関節102の動作量Mrを関節202の駆動量とし、また、位置姿勢M101をスレーブアーム31の先端の位置姿勢の指令値Mとする(ステップS105)。
マニピュレータ制御部22は、入力された指令値Mに基づいてスレーブアーム31の関節202がないものとして(関節202を固定関節と仮定して)、スレーブアーム31の先端の逆運動学を解くことにより、スレーブアーム31の関節203〜208の駆動量の指令値を求める。また、動作量Mrをスレーブアーム31の遠位端の関節202の駆動量とする(ステップS106)。
各関節の駆動量の指令値を求めた後、マニピュレータ制御部22は、求めた指令値をスレーブマニピュレータ30に入力し、スレーブアーム31の各関節を駆動する(ステップS107)。以上の図8で示した制御が時々刻々繰り返される。
【0036】
[変形例]
以下、本実施形態の変形例について説明する。図2に示した例では、把持部101にロール関節を設けた例を示している。これは、スレーブアーム31の遠位端(先端効果器の関節がロール関節であるためである。スレーブアーム31の遠位端の関節がロール関節でない場合には、把持部101に設ける関節も変更する。例えば、図9(a)に示すように、スレーブアーム31の遠位端の関節がヨー関節である場合には、図9(b)に示すように把持部101に設ける関節1021もヨー関節とする。同様に、図10(a)に示すように、スレーブアーム31の遠位端の関節がピッチ関節である場合には、図10(b)に示すように把持部101に設ける関節1022もピッチ関節とする。また、図11(a)に示すように、スレーブアーム31の遠位端の関節が直動関節である場合には、図11(b)に示すように把持部101に設ける関節1023も直動関節とする。
【0037】
さらに、図12(a)に示すように、スレーブアーム31の遠位端に2種以上の独立な関節202a、202bが設けられている場合には、把持部101に設ける関節も複数とする。例えば、図12(a)は、6自由度に対応した関節203〜208に加えて、ロール関節202bと、直動関節202aとを加えた8自由度のスレーブアーム31を例示している。この場合には、把持部101においても、ロール関節102bと直動関節102aとを有する独立して操作可能な2つの関節を設ける。このように構成することで、スレーブアーム31の遠位端の関節と把持部101に設けた関節とを同一の構造とすることができる。これにより、操作者は、スレーブアーム31のロール関節202bと、直動関節202aとを直感的に操作することが可能である。なお、図12(b)の例は、2つの関節を設けた例であるが、スレーブアーム31の関節数が増加した場合にはそれに応じてマスタ操作入力装置10の把持部101に設ける関節数も増加させる。
【0038】
また、スレーブアーム31の先端効果器201の構造が図3で示したものと異なるものとなる場合には、それに合わせて先端効果器操作部103の構造も変化させることが望ましい。
さらに、図2に示した操作部11に設けた関節104〜109は、スレーブアーム31の先端の位置姿勢を指令するためのものであって、スレーブアーム31の先端の位置姿勢を指令できるのであれば、関節104〜109はなくとも良い。例えば、操作部11に3軸の並進移動を検出するためのセンサ(例えば加速度センサ)を設けるようにすれば、図13に示すようにして、操作部11を構成することもできる。図13の例において、操作者1が操作部11の把持部101を把持し、当該操作部11を3次元空間内で移動させたり、回転させたりすることで、位置の3自由度に対応した操作信号を与えることが可能である。姿勢の3自由度に対応した操作信号については、例えばカメラ13によって得られた画像を解析することによって得る。なお、図13は、操作部11で得られた操作信号を、無線通信部14を経由して無線通信可能とした例を示している。勿論、図13の例において、操作部11で得られた操作信号を有線通信するようにしても良い。また、操作部11の姿勢を、角速度センサを用いて検出するようにしても良い。
【0039】
このように、マスタ操作入力装置10の冗長関節操作用の関節102とスレーブアーム31の遠位端の冗長関節202との構造が同一であれば、その他の部分の構造が異なっていたとしても本実施形態の技術を適用することが可能である。即ち、図14に示すように、マスタ操作入力装置10が、関節102以外の部分によってx自由度(DOF)の指令値を与えるような任意の構造であり、スレーブアーム31が、関節202以外の部分によってy自由度の駆動を行えるような任意の構造であっても、関節102と関節202とが同構造であれば、本実施形態の技術を適用することが可能である。
【0040】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図15は、本発明の第2の実施形態に係る操作部11の構成を示す模式図である。ここで、図15において、図2と同一の構成については図2と同一の参照符号を付すことで説明を省略する。
【0041】
図15に示すように、第2の実施形態においては、把持部101の近傍に、独立して操作可能な操作関節としての複数の関節102、1021、1022、1023が配置されている。これらの関節は、何れも異なる自由度に対応している。図15において、関節102はロール関節、関節1021はヨー関節、関節1022はピッチ関節、関節1023は直動関節をそれぞれ示している。
【0042】
さらに、関節102、1021、1022、1023の近傍には、ロック部1024が設けられている。ロック部1024は、ICとロック機構とを有している。このロック部1024は、スレーブアーム31の遠位端の関節構造を示す情報を読み取り、関節102、1021、1022、1023のうち、スレーブアーム31の遠位端の関節構造と対応していない関節を操作不能とするようにロック機構を動作させる。ここで、ロック機構は、係止部材等を用いて機械的に関節をロックするような機構であっても良いし、リレー等を用いて電気的に関節をロックするような機構であっても良い。この他、遠位端の関節構造と対応していない関節が操作されても操作信号が出力されなくなるようにしたり、遠位端の関節構造と対応していない関節からの操作信号を無視するようにしても良い。
【0043】
また、マスタスレーブマニピュレータの一例の全体構成は図1とほぼ同じものが適用できる。ただし、第2の実施形態においては、制御装置20のマニピュレータ制御部22は、スレーブマニピュレータ30と通信してスレーブアーム31の情報を取得し、取得したスレーブアーム31の情報をマスタ制御部21に出力するように構成されている。そして、ロック部1024は、必要に応じてマスタ制御部21に保存されているスレーブアーム31の情報を取得できるように構成されている。ここで、スレーブアーム31の情報としては、スレーブアーム31が遠位端に冗長関節を有しているか否かを示す情報、遠位端に冗長関節を有している場合にはその関節の構造がどのようになっているかを示す情報、を少なくとも含む。
【0044】
図16は、本実施形態のマスタスレーブマニピュレータにおけるロック部1024の動作について説明するためのフローチャートである。
本実施形態のマスタスレーブマニピュレータの動作を開始させるにあたり、ロック部1024は、制御装置20のマスタ制御部21と通信を行い、スレーブアーム31の情報を取得する(ステップS21)。スレーブアーム31の情報を取得した後、ロック部1024は、スレーブアーム31が遠位端に冗長関節を有しているか否かを判定する(ステップS22)。
【0045】
ステップS22の判定において、スレーブアーム31が遠位端に冗長関節を有している場合に、ロック部1024は、スレーブアーム31の情報から、スレーブアーム31の遠位端の関節の構造を識別する(ステップS23)。そして、ロック部1024は、関節102、1021、1022、1023のうち、スレーブアーム31の遠位端の関節構造と対応していない関節を操作不能とするようにロック機構を動作させる(ステップS24)。例えば、スレーブアーム31が図3で示したような構造であれば、ロック部1024は、関節1021、1022、1023を操作不能とするようにロック機構を動作させる。その後は、図6で示した、スレーブアーム31に冗長関節が設けられている場合のマスタスレーブマニピュレータの制御装置20の動作が行われる(ステップS25)。
【0046】
一方、ステップS22の判定において、スレーブアーム31が遠位端に冗長関節を有していない場合に、ロック部1024はロック機構を動作させない。その後は、図4で示した、スレーブアーム31に冗長関節が設けられていない場合のマスタスレーブマニピュレータの制御装置20の動作が行われる(ステップS26)。
【0047】
以上説明したように、本実施形態においては、スレーブアーム31の遠位端の関節を操作するための操作関節として複数の自由度に対応した関節を連接している。そして、スレーブアーム31の遠位端の構造を識別し、操作部11の関節のうちで必要な関節以外を操作不能としている。これにより、マスタ操作入力装置10の構造を変えることなく、種々の構造のスレーブマニピュレータに対して第1の実施形態で説明した技術を適用することが可能である。
【0048】
また、必要な関節以外は操作不能なようにロックしてしまうことにより、操作者が誤って必要な関節以外の関節を操作し、スレーブアーム31が誤った挙動をしてしまう可能性もない。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図17は、本発明の第3の実施形態に係る操作部11の構成を示す模式図である。ここで、図17において、図2と同一の構成については図2と同一の参照符号を付すことで説明を省略する。
【0049】
図17に示すように、第3の実施形態においては、スレーブアーム31の遠位端の関節を操作するための操作関節が差し替え可能となっている。図17では、差し替え可能な関節として、関節102、関節1021、関節1022、関節1023、関節102及び1023を例示している。
また、マスタスレーブマニピュレータの一例の全体構成は図1とほぼ同じものが適用できる。ただし、第3の実施形態においては、第2の実施形態と同様に、制御装置20のマニピュレータ制御部22は、スレーブマニピュレータ30と通信してスレーブアーム31の情報を取得し、取得したスレーブアーム31の情報をマスタ制御部21に出力するように構成されている。そして、マスタ操作入力装置10は、必要に応じてマスタ制御部21に保存されているスレーブアーム31の情報を取得できるように構成されている。
【0050】
図18は、本実施形態のマスタスレーブマニピュレータにおける動作について説明するためのフローチャートである。
本実施形態のマスタスレーブマニピュレータの動作を開始させるにあたり、マスタ操作入力装置10は、スレーブアーム31の情報を取得する(ステップS31)。スレーブアーム31の情報を取得した後、マスタ操作入力装置10は、スレーブアーム31が遠位端に冗長関節を有しているか否かを判定する(ステップS32)。
【0051】
ステップS32の判定において、スレーブアーム31が遠位端に冗長関節を有している場合に、マスタ操作入力装置10は、スレーブアーム31の情報から、スレーブアーム31の遠位端の関節の構造を識別する(ステップS33)。そして、マスタ操作入力装置10は、識別した情報を例えば表示部12に表示させる。表示部12に表示された情報を見て、操作者は、把持部101の近傍に配置される遠位端の冗長関節操作用の関節を、スレーブアーム31の遠位端の関節構造と対応した関節に差し替える(ステップS34)。その後は、図6で示した、スレーブアーム31に冗長関節が設けられている場合のマスタスレーブマニピュレータの制御装置20の動作が行われる(ステップS35)。
【0052】
一方、ステップS32の判定において、スレーブアーム31が遠位端に冗長関節を有していない場合には、差し替えを行う必要がない。この場合に、操作者は、先端効果器操作部103が設けられた任意の構造の関節を把持部101に装着する。勿論、関節を装着しなくとも良い。その後は、図4で示した、スレーブアーム31に冗長関節が設けられていない場合のマスタスレーブマニピュレータの制御装置20の動作が行われる(ステップS36)。
【0053】
以上説明したように、本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、マスタ操作入力装置10の構造を変えることなく、種々の構造のスレーブマニピュレータに対して第1の実施形態で説明した技術を適用することが可能である。
ここで、上述の例では、冗長関節を操作するための操作関節の差し替えを操作者が行う例を示している。この差し替えを自動的に行うようにしても良い。
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本実施形態は、手術中に術具交換を行い、スレーブマニピュレータ30の関節構造が変化するような医療用マスタスレーブマニピュレータにおいて、特にその効果を発揮する。マスタスレーブ操作中に、スレーブマニピュレータ30の先端効果器の関節構成を変更しても、上述の図8に示すようにスレーブマニピュレータ30への指令値を制御部で変更することにより、術中リアルタイムに変更することができる。
【0054】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0055】
10…マスタ操作入力装置、11…操作部、12…表示部、20…制御装置、21…マスタ制御部、22…マニピュレータ制御部、23…画像処理部、30…スレーブマニピュレータ、31…スレーブアーム、101…把持部(第1の操作部)、102…第1ロール関節(第2の操作部)、103…先端効果器操作部(第2の操作部)、104…第2ロール関節、105…第1ヨー関節、106…ピッチ関節、107…第1直動関節、108…第2直動関節、109…第2ヨー関節

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自由度に対応した関節を有するスレーブマニピュレータと、
操作者が位置姿勢を一意に入力可能で、その位置姿勢情報を出力可能な第1の操作部と、前記第1の操作部をベースとして前記第1の操作部とは独立して入力可能な関節を有し、その関節入力量を出力可能な第2の操作部と、を有するマスタ操作入力装置と、
前記第2の操作部の位置姿勢を、前記スレーブマニピュレータ先端への位置姿勢入力指令値として前記スレーブマニピュレータの各関節の駆動量を算出して関節駆動指令値を生成し、前記関節駆動指令値に基づいてスレーブマニピュレータを制御する制御部と、
を有することを特徴とするマスタスレーブマニピュレータ。
【請求項2】
複数の自由度に対応した関節を有するスレーブマニピュレータと、
操作者が位置姿勢を一意に入力可能で、その位置姿勢情報を出力可能な第1の操作部と、前記第1の操作部をベースとして前記第1の操作部とは独立して入力可能な関節を有し、その関節入力量を出力可能な第2の操作部と、を有するマスタ操作入力装置と、
前記スレーブマニピュレータが冗長関節を有していない場合は、前記第2の操作部の位置姿勢を、前記スレーブマニピュレータ先端への位置姿勢入力指令値として前記スレーブマニピュレータの各関節の駆動量を算出して関節駆動指令値を生成し、前記スレーブマニピュレータが冗長関節を有している場合は、前記第1の操作部の位置姿勢を、冗長関節のうち遠位端部を固定関節と仮定し仮想的に冗長関節を有していないスレーブマニピュレータ先端への位置姿勢入力指令値として各関節の駆動量を算出し、前記第2の操作部の関節の駆動量を前記固定関節と仮定した遠位端の冗長関節への指令値としたものと合わせて関節駆動指令値を生成し、前記関節駆動指令値に基づいてスレーブマニピュレータを制御する制御部と、
を有することを特徴とするマスタスレーブマニピュレータ。
【請求項3】
前記第2の操作部と前記冗長関節とは同構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスタスレーブマニピュレータ。
【請求項4】
前記第2の操作部は、
前記スレーブマニピュレータの複数の自由度に対応しており、独立して操作自在に構成された複数の操作関節と、
前記スレーブマニピュレータの冗長関節と対応していない操作関節を操作不能なようにロックするロック部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のマスタスレーブマニピュレータ。
【請求項5】
前記第2の操作部は、前記スレーブマニピュレータの冗長関節と同構造の関節に差し替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のマスタスレーブマニピュレータ。
【請求項6】
前記スレーブマニピュレータは、交換可能な先端効果器を有し、
前記制御部は、前記先端効果器の交換に応じて、前記スレーブマニピュレータが冗長関節を有しているか否かを判定し、該判定結果に応じて、前記関節駆動指令値を生成することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のマスタスレーブマニピュレータ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のマスタスレーブマニピュレータを備えることを特徴とする医療用マスタスレーブマニピュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−148379(P2012−148379A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10001(P2011−10001)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発/超低侵襲治療機器システムの研究開発/内視鏡下手術支援システムの研究開発プロジェクト」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】