説明

マッサージ機

【課題】ツボ位置の検出精度を高めることができ、マッサージ効果を向上させることのできるマッサージ機を提供する。
【解決手段】使用者に対してマッサージを施すための揉み玉7を備えている。使用者の身体情報を検出するためのセンサ手段により、情報処理手段は身体情報として骨格情報を求める。この骨格情報に基づいてマッサージ位置導出手段13はマッサージ位置を導出する。このマッサージ位置について動作制御手段は揉み玉7にマッサージ動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
マッサージ機として知られているものに、座部と背もたれ部とを備え、これらにバイブレータ機構や背もたれ部に揉み玉などの施療具が設けられている椅子型のものがある。このようなマッサージ機は、例えば、背もたれ部に設けた揉み玉を上下に移動させつつ揉み動作や叩き動作をさせることによって、使用者に対してマッサージを施すことができる。
このマッサージ機を用いて使用者の身長に応じた適切なマッサージを行うために、マッサージ機が使用者毎に異なる肩位置を検出し、それに基づいてツボ位置(患部)を推定し、揉み玉がそのツボ位置に対してマッサージを施すものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このマッサージ機における肩位置検出は次のような手段によって行われる。使用者が座部に着座し背もたれ部にもたれた状態で、背もたれ部において揉み玉を上から下へ移動させ、揉み玉が肩に当たった際に当該揉み玉に作用する負荷を検出し、その負荷が検出された位置を肩位置として自動的に検出している。
さらに、この肩位置が検出されると、その肩位置に基づいてマッサージを施すツボの位置を推定することができる。これについて簡単に説明すると、背中におけるツボの位置分布は体型(身長)によって個人差があるが、体型が異なっていても胸椎、腰椎、仙椎の位置を基準としてツボ位置を求めることができる。従って、使用者の胸椎、腰椎、仙椎の位置が求まればツボ位置を正確に求めることができる。そして、使用者の胸椎、腰椎、仙椎の位置は肩位置を求めることによって求められ、これによりツボ位置を推定することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−52780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されているマッサージ機は、使用者の肩位置を検出することによってツボ位置を推定しているが、この肩位置検出が正確に行われない場合がある。それは、例えば使用者が背中を丸めて前かがみの姿勢で着座している場合であり、この場合、肩が背もたれ部から離れ、肩位置まで揉み玉が降下しても揉み玉が肩に当接しない。揉み玉が使用者に当接するのは肩よりも下の位置であり、この位置を肩位置として検出するおそれがある。さらに、従来のマッサージ機によるツボ位置の検出は、肩位置の一カ所のみに基づいて演算することで推定するものであり、誤差が生ずることも考えられる。
【0006】
そこでこの発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、骨格情報の検出及びツボ位置の検出により、精度の高いマッサージを実現できるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するためのこの発明のマッサージ機は、使用者に対してマッサージを施すための施療具と、使用者の身体情報を検出するためのセンサ手段と、このセンサ手段による検出結果に基づいて使用者の身体情報として骨格情報を求める情報処理手段と、前記骨格情報に基づいてマッサージ位置を導出するマッサージ位置導出手段と、導出したマッサージ位置について前記施療具にマッサージ動作を行わせる動作制御手段とを備えていることを特徴としている。
これによれば、センサ手段と情報処理手段とによって求めた各使用者の骨格情報から、マッサージ位置導出手段によりマッサージ位置を導出することができる。そして、このマッサージ位置について動作制御手段は施療具にマッサージ動作を行わせることができる。つまり、骨格(骨の位置)とツボ位置とに相関があることより、このマッサージ機は骨格情報からツボ位置を精度良く検出でき、このツボ位置をマッサージ位置とすることによって、効果的なマッサージが可能となる。
【0008】
また、前記センサ手段は、使用者の身長方向に沿って機能させるセンサ部を有し、前記情報処理手段は、使用者の身長方向に沿った骨格情報を求めるのが好ましい。
これにより、使用者の身長方向に沿った骨格情報を検出することができる。従って、身長方向に沿って各骨の位置を知ることができ、身長方向に複数存在するツボ位置を知ることができる。
【0009】
また、前記センサ手段が有するセンサ部は、使用者の身体に対して作用を及ぼす入力部と、この入力部からの作用により身体を伝播した情報を受け取る受信部とを有しているのが好ましい。
これにより、身体内部における骨格情報を外部から精度良く求めることができる。
【0010】
また、前記マッサージ機において、前記センサ手段は、使用者の身体に対して振動を与える入力部と、身体を伝播した前記入力部による振動を受け取る受信部と、を有し、前記情報処理手段は、身体の骨格の凹凸形状に応じて身体内部を伝播する振動の変化を検出することによって、身体情報として骨格情報を求める演算処理部を有しているのが好ましい。これにより、身体内部における骨格情報を求めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマッサージ機によれば、骨格情報の正確な検出が可能となり、この骨格情報に基づいてツボ位置の検出が精度良く行われ、このツボ位置をマッサージ位置とすることによって、精度が良く施療効果の高いマッサージを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の実施の一形態に係るマッサージ機を示す斜視図であり、このマッサージ機は椅子型として構成されたものである。この椅子型マッサージ機は、座部1と、脚載置部(フットレスト)2と、背もたれ部3と、座部1の左右両側の肘掛け部4とを備えている。脚載置部2は座部1の前部において水平方向の軸中心周りに回動可能に取り付けられており、昇降機構(図示せず)によって、図1の降下状態から前方へ突出した上昇状態へ動くことができる。背もたれ部3は座部1の後部において水平方向の軸中心周りに回動可能に取り付けられており、リクライニング機構(図示せず)によって、図1の起立状態から後方へ倒れたリクライニング状態へ動くことができる。
【0013】
背もたれ部3の内部には、マッサージを施すための揉み玉7を備えているマッサージユニット5が設けられている。マッサージユニット5は、背もたれ部3の内部に設けられた上下方向(使用者の身長方向)にまっすぐな左右一対のガイドレール(図示せず)に沿って移動可能とされており、移動機構(図示せず)によってマッサージユニット5は背もたれ部3内を上下方向に移動できる。さらに、この移動機構は、マッサージユニット5(揉み玉7)を前後方向に移動させることができ、さらにこの前後方向の移動においてその方向の力の強弱を変化させることができる。
【0014】
マッサージユニット5は、マッサージを施すための施療具としての揉み玉7と、この揉み玉7に揉みと叩きのマッサージ動作をさせることができるマッサージ機構(図示せず)を備えている。このマッサージ機構は、図示しないが、揉み動作用として、モータと、このモータによって揉み玉7に揉み動作をさせる揉み動作機構部とを有しており、叩き動作用として、モータと、このモータによって揉み玉7に叩き動作をさせる叩き動作機構部とを有している。揉み動作機構部は揉み玉7を周期的な回転動作させることによって揉み動作させ、叩き動作機構部は揉み玉7を前後方向に周期的に動作させることによって叩き動作させる。
【0015】
さらに、このマッサージ機には施療具として、エアの吸排気によって膨張収縮するエアセル6a,6b,6cが設けられている。これらエアセル6a,6b,6cは、座部1の下方に設けられたエアポンプを有するエアユニット(図示せず)と接続されており、エアポンプによるエアセル6a,6b,6cの膨張動作によって使用者に対してマッサージを施すことができる。さらに、図示しないが、施療具としてバイブレータ機構が設けられており、これを座部1、脚載置部2、背もたれ部3などに設けてマッサージを施すこともできる。
【0016】
このマッサージ機は、背もたれ部3にもたれた使用者の上半身背面側に対してマッサージを施す際、使用者のツボ位置に対して前記施療具を動作させることができるように、ツボ位置を自動的に求めることができる。
これについて概略をまず説明する。
図2はこのマッサージ機がツボ位置を検出し、施療具にマッサージ動作をさせるための制御ブロックを説明する図である。このマッサージ機は、使用者の身体情報として骨格情報を検出するためのセンサ手段11と、センサ手段11の検出結果を演算処理して骨格情報を求める情報処理手段12と、この情報処理手段12からの情報に基づいてマッサージ位置を導出するマッサージ位置導出手段13と、これに基づいて前記マッサージユニット5を上下方向・前後方向に移動させ(移動機構)当該マッサージユニット5が有する前記施療具(揉み玉7など)にマッサージ動作を行わせる動作制御手段14とを備えている。つまり、このマッサージ機は、センサ手段11と情報処理手段12とによって使用者の骨格情報(脊柱部における骨の位置)を求め、この骨格情報からマッサージ位置導出手段13によりマッサージ位置としてツボ位置を導出する。骨格(骨の位置)とツボ位置とに相関があることが知られており、マッサージ位置導出手段13にはこの関係が記憶(格納)されていることによってツボ位置が選択されることとなる。そして、このツボ位置について動作制御手段14は施療具にマッサージ動作を行わせることとなる。
【0017】
次にこれらの構成について具体的に説明する。
図3は前記センサ手段11を説明するための概略構成図である。このセンサ手段11は使用者の骨格情報を検出するためのものであり、背もたれ部3に設けられている。センサ手段11は、使用者の身長方向に沿って機能させるセンサ部15を有している。つまり図3の場合、センサ部15を使用者の上半身に対応するようにその身長方向に沿って設けている。
図4はセンサ部15を説明するための概略構成図である。このセンサ部15は、使用者の身体に対して例えば振動などの作用を及ぼす(働きかける)入力部16と、この入力部16からの作用により身体を伝播した情報(振動)を受け取る受信部17とを有している。センサ部15についてさらに具体的に説明すると、前記入力部16は、電圧を作用させることによって振動源として機能するピエゾ素子を有しており、前記受信部17は、身体を伝播した情報を振動として検出する(入力部側とは別の)ピエゾ素子を有している。この場合図3に示しているように、ピエゾ素子を線状として(ピエゾワイヤ)、使用者の少なくとも胸椎から仙椎にわたって身長方向をピエゾワイヤの線方向として設けている。またはピエゾ素子を線状とする以外にフィルム状として(ピエゾフィルム)、背もたれ部3内にピエゾフィルムの長手方向を身長方向に沿って図3と同様に設けても良い。なお、入力部16により身体に対して及ぼす作用としての振動は、超音波を含む。つまり、センサ部15を超音波センサとすることができる。
【0018】
これにより、入力部16と受信部17とを使用者の上半身に対応させ、前記情報処理手段12がセンサ部15(受信部17)からの検出結果を演算処理することによって、身長方向に沿った身体内部の骨格情報を得ることができる。つまり、身体の振動伝播の検出によって身体内部における骨格の形態を知ることができる。センサ部15が検出し情報処理手段12が処理した信号としては、図5の右側部分に示しているように、身長方向に沿って凹凸波形の分布を有するデータを得ることができる。これは、図5の左側部分に示しているように、脊柱部における骨格(脊柱部における一連の骨)の形状は身長方向に沿って凹凸形状を有するため、この骨格の凹凸形状に応じて内部を伝播する振動に変化が生じるためである。そして、センサ部15と情報処理手段12とによって、この骨格の凹凸形状を使用者の身長方向に沿った骨格情報として求めることができる。具体的に説明すると、情報処理手段12により、脊柱部における12個の胸椎と、5個の腰椎と、4個の仙椎におけるそれぞれの位置と相互の間隔を検出することができる。つまり、骨格情報として骨の数、骨の位置を検出することができる。
そして、情報処理手段12はこの骨格情報を座標として記憶することができる。例えば、胸椎の最上点を基準点として身長方向を座標軸とし、脊柱部の各骨の位置を基準点からの座標(距離)として数値管理することができる。
【0019】
情報処理手段12において行われる骨格情報の検出についてさらに説明すると、情報処理手段12は、センサ手段11からの検出信号により図5の右側に示している凹凸波形の分布を有するデータを得ることができる。そして、情報処理手段12はこのデータから各骨の位置を求めるための基点を得る。例えば、得られたデータの中で胸椎と腰椎とで骨の形状に相違があることにより、その点(図5の矢印a)を抽出し基点とすることができる。または、センサ手段11と情報処理手段12により脊柱部の場合と同じ方法により、肋骨(図示せず)の最下点を求め、肋骨と胸椎との位置関係に基づいて胸椎の最下点を基点として求めることができる。
【0020】
そして、胸椎と腰椎との間を基点とし、得られた凹凸波形のデータのうち、例えば基点から上へ7番目の凸部が第5胸椎T5であることがわかる。そして、この第5胸椎T5の近傍に心兪が存在することは知られており、この関係が後述するマッサージ位置導出手段13に記憶されている。
以上の構成によれば、入力部16によって使用者の身体に対して振動を与え、身体を伝播した入力部16による振動を受信部17が受け取り、情報処理手段12の演算処理部において、身体の骨格の凹凸形状に応じた身体内部を伝播する振動の変化を検出することによって、身体情報として骨格情報を求めることができる。
【0021】
この情報処理手段12における処理をさらに説明すると、情報処理手段12は、前記センサ手段11による検出結果に基づいて使用者の身体情報として骨格情報を求めるように機能するものであり、マイクロコンピュータを情報処理手段12の演算処理部として機能させることにより構成できる。情報処理手段12は、センサ手段11からの検出信号により図5の右側に示している使用者の身長方向に沿った骨格形状のデータとして得る。センサ手段11からの検出信号にはノイズが含まれているが、情報処理手段12はフィルタ演算部を有しており、このフィルタ演算部の働きによってノイズを除去して必要な骨格情報のみを抽出することができる。
【0022】
マッサージ位置導出手段13は、情報処理手段12によって得られた骨格情報に基づいてマッサージ位置を導出するように構成されたものであり、マイクロコンピュータをマッサージ導出手段13として機能させることで構成できる。マッサージ位置導出手段13は、上半身におけるツボ位置と上半身における脊柱部における骨の位置との相関を予め記憶させた記憶部を有している。従って、情報処理手段12において求めた骨格情報としての骨の位置に基づいて各ツボ位置を座標として知ることができる。
具体的には、マッサージ位置導出手段13の記憶部には、人体の脊柱部の骨格に応じた凹凸波形の基準パターン(図5の右側部分と同等のデータ)と、この基準パターンに対応させた各ツボ位置とが予め記憶されている。そして、情報処理手段12によって得られた凹凸波形のデータと、基準パターンとしての凹凸波形のデータとを対比し、実際に得られたデータに対応させて被測定者のツボ位置を特定することができる。
【0023】
そして、マッサージ位置導出手段13は、使用者がマッサージ機を使用する際に操作部8(図1参照)において選択したマッサージコースに基づいて、マッサージ動作が必要なマッサージ位置を決定する機能を有している。つまり、各マッサージコースに応じて施療に必要なツボ位置が、マッサージ位置導出手段13に予め設定され記憶されており、使用者が例えば疲労回復を重点とするマッサージコースを選択すると、マッサージ位置導出手段13はこれに必要なツボ位置を自動的に決定し、そのツボ位置の座標を、情報処理手段12で得た骨格情報に基づいて求めることができる。そして、このツボ位置の座標をマッサージ位置として導出し、これを記憶部において記憶する。例えば、疲労回復コースを選択すると、マッサージ位置導出手段13は、図5に示しているツボ位置である肩中兪、心兪、肝兪及び腎兪の位置(座標)をマッサージ位置として記憶する。
【0024】
動作制御手段14は、導出したマッサージ位置について施療具にマッサージ動作を行わせることができる。動作制御手段14は、揉み玉7に揉みや叩き動作をさせる動作機構部の動作を制御する。動作制御手段14はマッサージ位置導出手段13の記憶部に記憶されているマッサージ位置の情報に基づいて動作機構部を動作させ、そのマッサージ位置について揉み玉7に所定のマッサージ動作をさせる。動作制御手段14は揉み玉7を各マッサージ位置に対して必要なマッサージ回数や必要なマッサージ時間動作させる。例えば、疲労回復コースを選択すると、ツボ位置である肩中兪、心兪、肝兪の順にマッサージした後、腎兪をマッサージするように揉み玉7を動作させる。なお、動作制御手段14は、図1において、揉み玉7を揉みや叩き動作させるのみではなく、エアセル6a,6b,6cを動作させたり、図示しないバイブレータ機構を動作させたりすることもできる。
【0025】
以上の構成のマッサージ機によれば、使用者が操作部8(図1参照)においてマッサージコースを選択すると、施療のための動作が開始する前に、センサ手段11と情報処理手段12とによって使用者の骨格情報(脊柱部の各骨の位置)を求める。そして、マッサージ位置導出手段13によりこの骨格情報に基づいて、選択されたマッサージコースに必要なマッサージ位置を導出することができる。つまり、骨格情報の正確な検出が可能となり、この骨格情報に基づいてツボ位置の検出が精度良く行われる。そして、このマッサージ位置について動作制御手段14が施療具にマッサージ動作を行わせることができる。マッサージ位置導出手段13に予め記憶させてある骨格(骨の位置)とツボ位置とに相関により、骨格情報からツボ位置を精度良く検出することができ、このツボ位置をマッサージ位置として、動作制御手段14が施療具を動作させ、マッサージ位置の精度が良く施療効果の高いマッサージが可能となる。
また、センサ部15においてピエゾ素子を有していることにより、人体に皮膚、筋肉、脂肪などを有していても、身体を伝播した微細な振動及び振動の変化を高精度に検出することができ、骨格情報を精度良く知ることができる。
【0026】
さらに、前記情報処理手段12が有する演算処理部では、身体におけるツボ部を伝播する振動を検出することによって、身体情報としてツボ部の状態を検出することができる。
これについて説明すると、センサ手段11をマッサージ位置導出手段13によって求めたツボ位置に対応させて、センサ手段11が身体情報としてツボ部における硬さなどの状態を検出する。つまり、前記入力部16がツボ部に対して振動を与え、ツボ部を伝播した振動を受信部17が検出する。そして、情報処理手段12の記憶部には、標準的(健全)なツボ部に対して入力部16が振動を与え当該ツボ部を伝播した振動を受信部17が受信した場合の基準データが記憶されている。
そして、身体内部のツボ部における硬さが異なることによって、入力部16による振動の伝播の様子(受信部17による受信信号の大小)が異なるため、実際の使用者のツボ部において情報検出手段12が測定データを取得し、この測定データを標準データと比較することによって、当該ツボ部における硬さ比較を行い、ツボ部の状態を検出することができる。これにより、ツボ部における硬さを検出することによって、ツボ部のコリ具合を知ることができる。
【0027】
この場合についてマッサージ機全体における動作について説明すると、情報処理手段12によって身体情報としてまず骨格情報を求め、この骨格情報からマッサージ位置導出手段13によってツボ位置を求め、次に、このツボ位置について情報処理手段12が身体情報として当該ツボ位置におけるツボ部の状態を検出し、動作制御手段14によって前記ツボ位置に対して施療具を動作させるように構成することができる。これにより、ツボ部におけるコリ具合に応じて施療具を動作させてマッサージを施すことができ、効果的なマッサージが可能となる。
【0028】
センサ手段11の変形例について説明すると、図示しないが、センサ部15を使用者の身長方向に沿って機能させるために、センサ部15を使用者の身長方向に沿って移動させる駆動手段を備えさせても良い。この場合、センサ部15を前記マッサージユニット5(図1参照)に設けることができ、さらには、センサ部15を揉み玉7または揉み玉7を取り付けているアーム部材(図示せず)に取り付ければよい。例えば、図1と図4を参考にして説明すると、左右両側にそれぞれ設けられている揉み玉7のうちの一方側に入力部16用のピエゾ素子を設け、他方側に受信部17用のピエゾ素子を設けることができる。さらに、センサ部15を身長方向に沿って移動させる前記駆動手段を、マッサージユニット5を昇降動作させるための移動機構とすることができ、構成の省略化が可能となる。
【0029】
さらに、センサ手段11の別の変形例としては、図4ではセンサ部15において入力部16をマッサージ機に別途設けたが、この入力部16を、マッサージ機が備えている施療具としての揉み玉7(図1参照)とすることができる。つまり揉み玉7はマッサージユニット5に設けられた叩き動作機構部によって叩き動作するように構成されており、この叩き動作機構部が使用者の背中に対して揉み玉7に叩き動作をさせることで、使用者に対して振動を与え、その振動の伝播をセンサ部15の受信部17で受信するように構成してもよい。これによれば、元来マッサージ機が備えている揉み玉7を、骨格情報を求めるための装置として機能させることができ、装置の簡略化が可能となる。
【0030】
さらに、センサ手段11の各実施形態において、センサ部15は、図示しないが、身体の表面側の硬さを検出するための圧力センサを有しているのが好ましい。この場合、圧力センサを使用者に沿って移動させるように構成し、使用者の身体の表面部における硬さ(硬度)を知ることができる。なお、圧力センサは揉み玉7や、揉み玉7を取り付けているアーム部材(図示せず)に備えさせることができ、これらを介して得られる負荷を検出するようにしてもよい。これにより、身体表面側におけるコリ具合を知ることができる。
そして、この圧力センサは情報処理手段12と接続され、圧力センサの検出結果を情報処理手段12が評価して、マッサージが必要と判断された部位をマッサージ位置導出手段13が記憶する。そして、動作制御手段14の働きによって施療具を動作させ、コリ具合によりマッサージが必要とされた部位についてもマッサージを施すことができる。
【0031】
また、本発明のマッサージ機は、図示する形態に限らずこの発明の範囲内において他の形態のものであっても良く、検出する骨格情報は脊柱部にかぎらず肋骨や肩胛骨であってもよく、または脊柱部とこれらを含むものであってもよい。また、マッサージ機は椅子型に限らずベッド型など他の型式であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の一形態に係るマッサージ機を示す斜視図である。
【図2】マッサージ機における制御ブロックを説明する図である。
【図3】センサ手段を説明するための概略構成図である。
【図4】センサ手段が有するセンサ部を説明するための概略図である。
【図5】情報処理手段によって得られる骨格情報を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0033】
11 センサ手段
12 情報処理手段
13 マッサージ位置導出手段
14 動作制御手段
15 センサ部
16 入力部
17 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に対してマッサージを施すための施療具と、使用者の身体情報を検出するためのセンサ手段と、このセンサ手段による検出結果に基づいて使用者の身体情報として骨格情報を求める情報処理手段と、前記骨格情報に基づいてマッサージ位置を導出するマッサージ位置導出手段と、導出したマッサージ位置について前記施療具にマッサージ動作を行わせる動作制御手段と、を備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記センサ手段は、使用者の身長方向に沿って機能させるセンサ部を有し、前記情報処理手段は、使用者の身長方向に沿った骨格情報を求める請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記センサ手段が有するセンサ部は、使用者の身体に対して作用を及ぼす入力部と、この入力部からの作用により身体を伝播した情報を受け取る受信部と、を有している請求項1または2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記センサ手段は、使用者の身体に対して振動を与える入力部と、身体を伝播した前記入力部による振動を受け取る受信部と、を有し、前記情報処理手段は、身体の骨格の凹凸形状に応じて身体内部を伝播する振動の変化を検出することによって、身体情報として骨格情報を求める演算処理部を有している請求項1に記載のマッサージ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−14458(P2007−14458A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197347(P2005−197347)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】