説明

マデカッソシド及び/またはターミノロシド並びにアルギニン及び/またはその塩及び/またはその誘導体の組み合わせを含む組成物;ヒトケラチン線維の成長を誘導及び/または刺激するための、及び/またはヒトケラチン線維の損失を予防するための前記組み合わせの使用

【課題】抗毛髪損失有効性を有するヒトケラチン線維のためのケア組成物の提供。
【解決手段】生理学的に許容可能な媒体中に、a)アルギニン及び/またはその有機酸塩若しくは無機酸塩及び/またはその誘導体;b)式(I)の化合物若しくは化合物の混合物、


または式(I)の化合物若しくは化合物の混合物を含むCentella asiaticaの抽出物を含む、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、ヒトケラチン線維のための、特にヒトケラチン線維の損失の減少及び/または予防のための、及び/またはヒトケラチン線維の成長の誘導及び/または刺激のための、及び/またはヒトケラチン線維の密度の増大のための、生理学的に許容可能な媒体中に、少なくとも
a)アルギニン及び/またはその有機酸塩若しくは無機酸塩及び/またはその誘導体;
b)式(I)の化合物若しくは化合物の混合物、またはそれらを含むCentella asiaticaの抽出物
を含むケア組成物である。
【0002】
本発明はまた、ヒトケラチン線維の成長を誘導及び/または刺激するための、及び/またはヒトケラチン線維の損失を予防するための、及び/またはヒトケラチン線維の密度を増大するための美容処理方法、並びにヒトケラチン線維の成長を誘導及び/または刺激するための、及び/またはヒトケラチン線維の損失を予防するための前記組み合わせの使用に関する。
【0003】
本発明が適用するヒトケラチン線維は、特に毛髪、眉毛、睫毛、あごひげ、口ひげ、及び陰毛である。とりわけ本発明は、ヒトの毛髪及び/またはヒトの睫毛に適用する。
【0004】
ヒトにおいては、毛髪の成長及び毛髪の再生は、毛包及びその表皮−上皮環境の活性によって主として決定されている。それらの活性は循環型であり、特に3つのフェーズ、とりわけ成長期、退行期、及び休止期を含む。
【0005】
成長期(活性期または増殖期)は数年間継続し、その間で毛髪はより長くなり、その後非常に短く一過的な退行期が引き続き、それは数週間継続する。この期の間で、毛髪は変化を受け、毛包は萎縮し、その表皮の移植はますます高くなる。
【0006】
数ヶ月継続する最終期は、休息期を表し、休止期としても知られている。この休息期の最後で、毛髪は抜け落ちて新たな循環が再開する。
【0007】
かくして頭髪は、一定の再生環境にあり、頭髪を形作る約150000の毛髪の中で、いずれかの瞬間で約10%が休止状態にあり、それ故数ヶ月以内に生え変わるであろう。
【0008】
早期の毛髪の損失を導く多くの理由が、文献に示唆されている;特にこの早期の損失は、遺伝学的に素因を有する個人で生じ、それは特に男性に影響する。とりわけ雄性遺伝学的脱毛症またはアンドロゲン性脱毛症または別法としてアンドロゲン遺伝的脱毛症に当てはまる。
【0009】
この脱毛症は、毛髪の再生の障害を必須に原因とするものであり、前記循環の頻度の加速を導いて、第一の段階で毛髪の質の悪化を、次いで毛髪の量の悪化を導く。頭髪が次第に枯渇することは、後退期での「末期の」毛髪の退行によって生じる。特定の領域が優先的に影響されている;特に男性における側頭葉または前頭葉、一方女性における後頭葉の上部、頭の冠状の拡散脱毛症が特に記載される。
【0010】
他の原因は、深刻な一時的または永続的な毛髪の損失を導くであろう。これは、妊娠の後(産後)、栄養失調または食事バランスの悪化の状態の間、あるいは衰弱またはホルモン機能不全の状態の間、さらには閉経の間または閉経後の場合であっても良い、毛髪の損失及び改変であっても良い。これは、季節的な現象に関する毛髪の損失または改変であっても良い。
【背景技術】
【0011】
長年に亘り、特に化粧品産業においては、脱毛症の作用を除去または減少するための、特に毛髪の成長及び/または特定の体毛の成長を誘導または刺激する、及び/または毛髪の損失を減少または遅延する組成物が求められている。
【0012】
特許出願WO99/13717は、局所適用による毛髪の損失の美容的処置における使用のための活性剤として、D−アルギニン、D,L−アルギニン、L−アルギニン、及びそれらの塩またはそれらの誘導体を開示している。しかしながら、その有効性は制限されたままである。
【0013】
特許出願EP277455、FR2606634及びJP7010722は、毛髪の損失の予防のため及び/または毛髪の成長のための活性剤として、Centella asiaticaの抽出物が既知であることを開示している。特許出願WO2005/123032では、毛髪の損失の予防における及び/または毛髪の再生における使用のための組成物における、Centella asiaticaの抽出物、コーヒーの抽出物、及び抗酸化剤の組み合わせの使用について既に提案している。しかしながら、その有効性は制限されたままである。
【0014】
更に、特許出願WO2004/062678は、マデカッソシド及びターミノロシドが富化したCentella asiaticaの抽出物を記載し、炎症機構の調節におけるその使用を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許出願WO99/13717
【特許文献2】特許出願EP277455
【特許文献3】特許出願FR2606634
【特許文献4】特許出願JP7010722
【特許文献5】特許出願WO2004/062678
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本出願人は驚くべきことに、その研究の過程で、a)アルギニン及び/またはその有機酸塩若しくは無機酸塩及び/またはその誘導体と、b)以下に規定されるであろう式(I)の化合物若しくは化合物の混合物、または式(I)の化合物若しくは化合物の混合物を含むCentella asiaticaの抽出物の組み合わせが、単独で使用される活性剤のそれぞれよりも実質的に大きい抗毛髪損失有効性を導くことを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の主題は、生理学的に許容可能な媒体中に、
a)アルギニン及び/またはその有機酸塩若しくは無機酸塩及び/またはその誘導体;
b)式(I)の化合物若しくは化合物の混合物、または式(I)の化合物若しくは化合物の混合物を含むCentella asiaticaの抽出物
を含む、ヒトケラチン線維のためのケア組成物である。
【0018】
本発明はまた、ヒトケラチン線維の成長を誘導及び/または刺激する、及び/またはヒトケラチン線維の損失を予防する、及び/またはヒトケラチン線維の密度を増大する目的を有する、ヒトケラチン線維のケアのための組成物における、a)アルギニン及び/またはその有機酸塩若しくは無機酸塩及び/またはその誘導体から選択される一つ以上の化合物、並びにb)式(I)の化合物若しくは化合物の混合物、あるいは式(I)の化合物若しくは化合物の混合物を含むCentella asiaticaの抽出物の組み合わせの美容的使用に関する。
【0019】
用語「ヒトケラチン線維の密度、特に毛髪密度の増大」は、頭皮のような皮膚の1cm当たりのケラチン線維、特に毛髪の数を増大することを意味するように企図される。かくしてこの組成物は、頭髪を良好な状態に維持し、及び/または特に男性における天然の毛髪の損失を打ち消すことが可能である。
【0020】
特に本発明は、天然起源の脱毛症、特にアンドロゲン性脱毛症またはアンドロゲン遺伝性脱毛症を処理するための毛髪ケア組成物における前記組み合わせの美容的使用に関する。
【0021】
本発明の主題は、ヒトケラチン線維及び/または頭皮に前述の化粧品組成物を適用し、これらのケラチン線維及び/または頭皮と前記組成物を接触させ、任意にこれらのケラチン線維及び/または頭皮をすすぐことを含む、ヒトケラチン線維、特に毛髪及び特定の体毛、例えば睫毛の成長を誘導及び/または刺激するための、及び/またはそれらの損失を予防するための、及び/またはそれらの密度を増大するための、ヒトケラチン線維及び/または頭皮の美容処理方法である。
【0022】
この処理方法は、より大きな活力と改良された外観を与えることによって、ヒトケラチン線維、特に毛髪及び睫毛の審美性を改良することが可能である範囲で、美容方法の特徴を有する。更に、それは数ヶ月間毎日使用されても良い。
【0023】
本発明に係る組成物は、第一の活性剤として、アルギニン及び/またはその塩及び/またはその誘導体を含む。
【0024】
各種の形態のアルギニンは、一般的にD−アルギニン、D,L−アルギニン、及びL−アルギニンである。
【0025】
アルギニンの有機酸塩または無機酸塩としては、例えば塩酸塩、グルタミン酸塩、酪酸塩、及びグリコール酸塩が挙げられる。
【0026】
本発明の目的のため、用語「アルギニン誘導体」は、前記アルギニンのカルボキシル基、またはカルボキシル基に関してα位の炭素によって担持されるアミノ基のいずれか、またはこれらの二つの基で置換基を有するアルギニンを意味するように企図される。
【0027】
L−アルギニン誘導体としては、L−アルギニンのC−Cアルキルエステル(アルキルは例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びイソブチルから選択される)が挙げられる。
【0028】
L−アルギニン誘導体としては、特許出願EP1060739及び特許出願WO03/072039に記載されているもののような、L−アルギニンのオリゴマー(ポリアルギニンとしても既知である)が挙げられる。
【0029】
本発明によって好ましいアルギニンオリゴマーは、7から15のL−アルギニン単位、例えば7、9、11、13または15のL−アルギニン単位を含む。
【0030】
L−アルギニンがとりわけ使用されるであろう。
【0031】
本発明に係るアルギニン及び/またはその塩及び/またはその誘導体は、好ましくは組成物の全重量の0.01から5%の範囲の量、より好ましくは組成物の全重量の0.1から5%を占める量、更により好ましくは1から5%の量で、組成物中に存在するであろう。
【0032】
本発明に係る式(I)の化合物は、下式に対応する:
【化1】

[式中、R=Hまたは−CH;R=Hまたは−CH;R=−CH;RとRは同時にHではない]。
【0033】
式(I)の好ましい化合物は、マデカッソシド(R=R=−CH及びR=Hを有する式(I)の化合物)及びターミノロシド(R=H及びR=R−CHを有する式(I)の化合物)である。
【0034】
これらの式(I)の化合物、特にその混合物は、WO2004/062678に記載された方法によって特にCentella asiaticaの抽出物であることができる。
【0035】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、マデカッソシドとターミノロシドの混合物が使用される。より好ましくは、マデカッソシドとターミノロシドの混合物は、混合物の全重量に対して30から70重量%の範囲のマデカッソシド含量、とりわけ50重量%のマデカッソシドを有する。
【0036】
本発明の特定の好ましい実施態様によれば、抽出物の全重量に対して95重量%を超えるマデカッソシド/ターミノロシド混合物を含むCentella asiaticaの抽出物が使用されるであろう。
【0037】
95重量%を超えるマデカッソシド/ターミノロシド(50/50重量%)を含むCentella asiaticaの抽出物は、特にBAYER社によりMADECASSOSIDEの商標名で市販されている。この混合物のCTFA名はMADECASSOSIDEである。
【0038】
上述の式(I)の化合物または化合物の混合物は、組成物の全重量に対して例えば0.001から20重量%、好ましくは0.01から5重量%の範囲の量で、局所適用用組成物中に存在してよい。
【発明を実施するための形態】
【0039】
生理学的に許容可能な媒体
本発明によって使用される化合物は、特に化粧品及び皮膚科学組成物を構成する。そのような応用のために、それらは生理学的に許容可能な媒体を含む。用語「生理学的に許容可能な媒体」は、皮膚と、任意に唇、頭皮、睫毛、眼、及び/または毛髪と適合可能な媒体を意味するようにここで企図される。
【0040】
本発明に係る組成物は、ヒトの頭皮またはヒトのケラチン線維(処理される皮膚または線維のいずれかの領域)に局所的に適用されて良い。
【0041】
この組成物は、使用の方法に適した既知の生薬形態のいずれかで存在してよい。
【0042】
頭皮を含む皮膚に対する局所適用のために、前記組成物は、水性、アルコール性、水性/アルコール性、または油性溶液または懸濁物、多かれ少なかれ流体、特に液体または半液体の稠性のエマルションまたは分散物、特に水性相における脂肪相(O/W)またはその逆(W/O)の分散によって得られるもの、多かれ少なかれ液体または固体である水性、水性−アルコール性、または油性ゲル、そのままでまたは生理学的に許容可能な媒体、マイクロカプセル若しくはミクロ粒子に取り込まれて使用される緩いまたは圧縮パウダー、イオン性及び/または非イオン性タイプのベシクル分散物の形態で存在してよい。
【0043】
加圧噴射剤を含むフォームの形態、またはスプレー若しくはエアゾールの形態の組成物が考慮されても良い。
【0044】
前記組成物は、ローション、漿液、乳液、O/W若しくはW/Oクリーム、ゲル、膏薬、軟膏、パウダー、バーム、パッチ、含浸パッド、石鹸、バー、またはフォームの形態で存在しても良い。
【0045】
特に、頭皮または毛髪に対する適用のための組成物は、例えば毎日若しくは週に二度の適用のためのヘアケアローション、特に毎週または週に二度の適用のためのシャンプー若しくはヘアコンディショナー、毎日の適用のための頭皮のクレンジング用液体または固体石鹸、ヘアスタイルを成型するための製品(ラッカー、ヘアセット製品、ヘアスタイリングゲル)、トリートメントマスク、または毛髪のクレンジングのための起泡性ゲル若しくはクリームの形態で存在してよい。ブラシまたは櫛で適用されるヘアダイまたはヘアマスカラの形態で存在しても良い。
【0046】
更に、睫毛または体毛への適用のために、本発明で適用される組成物は、睫毛または陰毛若しくは口ひげにブラシで適用される着色化されたまたはされていないマスカラの形態で存在してよい。
【0047】
一つの特定の実施態様によれば、本発明に係る組成物は、ヘアクリームまたはローション、シャンプーまたはヘアコンディショナー、ヘアマスカラまたは睫毛マスカラの形態で存在する。
【0048】
本発明に係る組成物の生理学的な媒体の各種の成分の量は、考慮される分野で一般的に使用されているものである。更にこれらの組成物は、常法によって調製される。
【0049】
前記組成物がエマルションである場合、脂肪相の割合は、組成物の全重量に対して1から80重量%、好ましくは1から50重量%の範囲であって良い。水性相は、脂肪相と化合物(A)の含量、及び考え得る更なる製品の含量によって、100重量%を得るように調節される。実際には、水性相は5から99.9重量%を占める。
【0050】
脂肪相は、環境温度(25℃)で大気圧(760mmHg)で液体であり、一般的にオイルとして知られる脂肪または油性化合物を含んでよい。これらのオイルは、互いに適合可能であってもなくても良く、巨視的に均一な液体脂肪相または二相若しくは三相システムを形成しても良い。
【0051】
脂肪相は、オイルに加えて、ワックス、ゴム、親油性ポリマー、または固体部分と液体部分とを含む「ペースト状」若しくは粘性製品を含んでも良い。
【0052】
水性相は、水と、任意にいずれかの割合で水混和性である成分、例えばCからCの低級アルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール、ポリオール、例えばプロピレングリコール、グリセロール、またはソルビトール、あるいはアセトンまたはエーテルを含む。
【0053】
エマルション形態の組成物を得るために使用される乳化剤及び共乳化剤は、化粧品及び製薬分野で一般的に使用されるものである。その性質は、エマルションの配向にも依存する。実際には、乳化剤、及び任意に共乳化剤は、0.1から30重量%、好ましくは0.2から20重量%、好適には0.2から8重量%の範囲の割合で組成物中に存在する。エマルションはまた、脂質ベシクル、特にリポソームを含んでも良い。
【0054】
前記組成物が油性溶液またはゲルの形態で存在する場合、脂肪相は組成物の全重量の90%を超えて占める。
【0055】
有利には、前記組成物は、水性、アルコール性、または水性−アルコール性溶液若しくは懸濁物であり、好適には水/エタノール溶液若しくは懸濁物である。アルコール分画は、5から99.9%、好適には8から80%を占めてもよい。
【0056】
マスカラタイプの応用のために、前記組成物は、水中ワックスまたは油中ワックス分散物、ゲル化オイル、または水性ゲルであり、それらは着色されていてもいなくてもよい。
【0057】
本発明の更なる成分
本発明の組成物はまた、溶媒、水性相若しくは油性相増粘剤またはゲル化剤、組成物の媒体中で可溶性の染料、フィラー若しくは顔料タイプの固体粒子、抗酸化剤、防腐剤、香料、電解質、中和剤、サンスクリーン剤のようなUV遮蔽剤、皮膜形成性ポリマー、毛髪及び頭皮に対して有益な作用を有する化粧品及び医薬品活性剤、抗フケ剤、栄養性活性剤、脂を打ち消すための薬剤、及び鎮静剤、並びにそれらの混合物から選択される、考慮される分野で通常使用される他の美容添加剤を含んでも良い。
【0058】
これらの添加剤は、化粧品及び皮膚科学の分野で通常使用される量、特に組成物の全重量の0.01から50%、好適には0.1から20%、例えば0.1から10%の割合で組成物中に存在してよい。それらの性質に依存して、これらのアジュバントは、脂肪相、水性相、及び/または脂質ビヒクル、特にリポソーム中に導入されて良い。
【0059】
もちろん当業者は、任意の更なる添加剤及び/またはその量を選択するのに注意を払い、本発明に係る組み合わせの有利な特性が、考慮される添加によって損なわれない、または実質的に損なわれないようにするであろう。
【0060】
本発明で試用されて良い溶媒としては、CからCの低級アルコールまたはポリオール、例えばエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリオールエーテル、例えばジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及び特定の軽い化粧品オイル、例えばCからC16のアルカンが挙げられる。
【0061】
本発明で使用できるオイルとしては、鉱物起源のオイル(流動ワセリン、水素化イソパラフィン)、植物起源のオイル(シェアバターの液体分画、ヒマワリオイル、アンズオイル、ダイズオイル、アボカドオイル、アルコールまたは脂肪酸)、動物起源のオイル(パーヒドロスクアレン)、合成オイル(脂肪酸エステル、パーセリンオイル)、シリコーンオイル(直鎖状または環状ポリジメチルシロキサン、フェニルトリメチコーン)、及びフルオロオイル(パーフルオロポリエーテル)が挙げられる。ワックスとして、シリコーンワックス、ビーズワックス、カンデリラワックス、ライスワックス、カルナウバワックス、ホホバワックス、パラフィンワックス、またはポリエチレンワックスが挙げられる。
【0062】
本発明で使用できる乳化剤として、W/Oエマルションについて例えばグリセリルステアレート若しくはラウレート、ソルビタンステアレート若しくはオレエート、アルキルジメチコーンコポリオール(8以上のアルキルを有する)、及びそれらの混合物が挙げられる。O/Wエマルションについては、ポリエチレングリコールモノステアレート、イソステアレート、若しくはモノラウレート、ポリオキシエチレン化ソルビタンステアレート若しくはオレエート、ジメチコーンコポリオール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0063】
アニオン性、非イオン性、カチオン性、または両性界面活性剤の使用も挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、とりわけアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、及びアルキルエーテルカルボキシレートが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、とりわけアルキルポリグルコシド、ポリソルベート、オキシアルキレン化もしくはグリセロール化脂肪アルコール、及びオキシアルキレン化トリグリセリドが挙げられる。両性界面活性剤としては、とりわけベタイン及びカンホジアセテートが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、とりわけ脂肪鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩及びジエステルクアットが挙げられる。
【0064】
本発明で使用できる親水性ゲル化剤としては、カルボキシビニルポリマー(カーボマー)、アクリルコポリマー、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリサッカリド、例えばヒドロキシエチル若しくはヒドロキシプロピルセルロース、天然ゴム及びクレーが挙げられ、親油性ゲル化剤としては、変性クレー、例えばベントン、脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸アルミニウム、疎水性化処理されたシリカ、エチルセルロース、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0065】
前記組成物は、親水性であってよく、タンパク質またはタンパク質加水分解産物、アミノ酸、尿素、アラントイン、糖及び糖誘導体、水溶性ビタミン、植物抽出物(アヤメ植物またはダイズのもの)、及びヒドロキシ酸(果実酸、サリチル酸)から選択される;あるいは親油性であって良く、レチノール(ビタミンA)及びその誘導体、特にエステル(レチニルパルミテート)、トコフェロール(ビタミンE)及びその誘導体、特にエステル(トコフェリルアセテートまたはパルミテート)、ビタミンF及びそのエステル、特にビタミンFとグルコースのエステル、必須脂肪酸、例えばリノール酸、エイコサテトラエン酸、リノレン酸、及びエイコサトリエン酸、またはそれらのエステル及びアミド;セラミド;エッセンシャルオイル;サリチル酸及びその誘導体、例えば5−n−オクタノイルサリチル酸;ヒドロキシ酸のエステル;ホスホリピド、例えばレシチン;抗脂漏剤;抗ウイルス剤;鎮痒剤;カロテノイド、例えばβ−カロチン;ラクトン及びその対応する塩;フェノール及びポリフェノール、例えばフラボノイド;並びにそれらの混合物から選択される、上述のもの以外の更なる活性剤を含んでも良い。
【0066】
使用できる抗アンドロゲン性薬剤は、特に5α−レダクターゼのステロイド系または非ステロイド系インヒビター、例えばフィナステリド及びUS5516779に記載された化合物、シプロステロンアセテート、アゼライン酸、その塩及びその誘導体、US5480913に記載された化合物、フルタミド、US5411981、5565467、及び4910226に記載された化合物、及びオキセンドロン、スピロノラクトン、ジエチルスチルベストロール、及びフルタミドを含む。
【0067】
抗細菌性または抗真菌性化合物は、セレン誘導体、ケトコナゾール、オクトピロックス、トリクロカルバン、トリクロサン、亜鉛ピリチオン、イトラコナゾール、メトロニダゾール、クロタミトンまたはピレトリノイド、アジア酸、ヒノキチオール、ミピロシン、テトラサイクリン、特にエリスロマイシン及びEP0680745に記載された化合物、塩酸クリニシン、ベンゾイルまたはベンジルパーオキシド及びミノサイクリン及びイミダゾール群に属する化合物、例えばエコナゾール、ケトコナゾール、またはミコナゾールまたはそれらの塩、ニコチン酸エステル、特にトコフェロールニコチネート、ベンジルニコチネート、及びC−Cアルキルニコチネート、例えばメチルニコチネートまたはヘキシルニコチネートから選択されて良い。
【0068】
抗炎症剤は、ステロイド系抗炎症剤、例えばグルココルチコイド、コルチコステロイド(例えばヒドロコルチゾン)、及び非ステロイド系抗炎症剤、例えばグリシルレチン酸、α−ビサボロール、ベンジダミン、及びEP0770399、WO94/06434、及びFR2268523に記載された化合物から選択されて良い。レチノイドは、レチノイン酸、イソトレチノイン、アチトレチン、及びタザロテンから選択されて良い。
【0069】
本発明に係る組成物で使用できる、毛髪の成長を促進する及び/または毛髪の損失を制限するための活性剤である他の更なる化合物として、2,4−ジアミノピリミジン−3−N−オキシド(またはアミネキシル)、6−O−[(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエノイル]ヘキサピラノース、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、エストラジオール、クロルフェニルアミンマレエート、クロロフィリン誘導体、コレステロール、システイン、メチオニン、メントール、ペパーミントオイル、パントテン酸カルシウム、パンテノール、レゾルシノール、プロテインキナーゼCアクチベーター、グリコシダーゼインヒビター、クリコサミノグリカナーゼインヒビター、ピログルタミン酸エステル、ヘクソサッカリジン酸またはアシルヘキソサッカリン酸、置換アリールエチレン、N−アシルアミノ酸、フラボノイド、アスコマイシン誘導体及び類似体、ヒスタミンアンタゴニスト、サポニン、プロテオグリカナーゼインヒビター、エストロゲンアゴニスト及びアンタゴニスト、シュードテリン、サイトカイン及び成長因子促進剤、IL−1またはIL−6インヒビター、IL−10促進剤、TNFインヒビター、ベンゾフェノン及びヒダントイン;ビタミン、例えばビタミンD、ビタミンB12類似体、及びパントテノール;トリテルペン、例えばウルソール酸及びUS5529769、US5468888及びUS5631282に記載された化合物;鎮痒剤、例えばテナルジン、トリメプラジン、またはシプロヘプタジン;ホルモン、例えばエストリオールまたはその類似体、チロキシン及びその塩、プロゲステロン;FPレセプター(プロスタグランジンタイプFレセプター)アゴニスト、例えばラタノプロスト、ビマトプロスト、トラボプロスト、またはウノプロストン;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
局所適用用組成物は、特に文献WO94/22468に記載されたようにリポソーム形態にカプセル化されることが考慮されて良い。
【0071】
本発明に係る組成物は、個人の頭皮及び毛髪の脱毛症領域に適用され、任意に数時間接触させられ、任意にすすがれて良い。
【0072】
例えば、夕方に組成物を適用し、一晩前記組成物の接触を維持し、任意に翌朝シャンプーをすることが可能である。これらの適用は、個人に依存して一から数ヶ月間毎日繰り返してよい。
【0073】
有利には、本発明に係る方法において、5から500μlの間の前述の溶液または組成物を、処理されるべき頭皮の領域に適用する。
【0074】
以下の実施例は、本発明に係る組成物を説明するように機能するが、制限する性質を有するものではない。各種の製剤で示される量は、組成物の全重量に対する重量パーセンテージとして記載される。
【実施例】
【0075】
実施例1:ローション
【表1】

【0076】
実施例2:エマルション
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容可能な媒体中に
a)アルギニン及び/またはその有機酸塩若しくは無機酸塩及び/またはその誘導体から選択される一つ以上の化合物;
b)下式(I)
【化1】

[式中、R=Hまたは−CH;R=Hまたは−CH;R=−CH;RとRは同時にHではない]
の化合物または化合物の混合物、あるいは式(I)の化合物または化合物の混合物を含むCentella asiaticaの抽出物
を少なくとも含む、ヒトケラチン線維のケア組成物。
【請求項2】
式(I)の化合物がマデカッソシド及び/またはターミノロシドから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
マデカッソシドとターミノロシドの混合物を含むことを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
マデカッソシドとターミノロシドの混合物が、混合物の全重量に対して30から70重量%の範囲のマデカッソシド含量、とりわけ50重量%のマデカッソシドを有することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
抽出物の全重量に対して95重量%を超えるマデカッソシド/ターミノロシド混合物を含むCentella asiaticaの抽出物を含むことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
式(I)の化合物または化合物の混合物が、組成物の全重量に対して0.001から20重量%、好ましくは0.01から5重量%の範囲の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
アルギニンがD−アルギニン、D,L−アルギニン、及びL−アルギニンから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
アルギニン塩が塩酸塩、グルタミン酸塩、酪酸塩、及びグリコール酸塩から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
L−アルギニン誘導体が、L−アルギニンのC−Cアルキルエステル;7から15のL−アルギニン単位を含むL−アルギニンのオリゴマーから選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
アルギニンがL−アルギニンである、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
アルギニン及び/またはその塩及び/またはその誘導体が、組成物の全重量の0.01から5%の範囲の量、より好ましくは組成物の全重量の0.1から5%を占める量、更により好ましくは1から5%の量で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
溶媒、水性相若しくは油性相増粘剤またはゲル化剤、組成物の媒体中で可溶性の染料、フィラー若しくは顔料タイプの固体粒子、抗酸化剤、防腐剤、香料、電解質、中和剤、UV遮蔽剤、皮膜形成性ポリマー、毛髪及び頭皮に対して有益な作用を有する化粧品及び医薬品活性剤、抗フケ剤、栄養性活性剤、脂を打ち消すための薬剤、及び鎮静剤、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも一つの美容添加剤を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
毛髪の成長の刺激及び/または誘導を促進するための、及び/またはヒトケラチン線維の損失を制限するための少なくとも一つの更なる化合物を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ヒトケラチン線維の成長を誘導及び/または刺激する、及び/またはヒトケラチン線維の損失を予防する、及び/またはヒトケラチン線維の密度を増大する目的を有する、ヒトケラチン線維のケア組成物における、請求項1から13のいずれか一項に規定される、アルギニン及び/またはその有機酸塩若しくは無機酸塩及び/またはその誘導体から選択される一つ以上の化合物と、式(I)の化合物若しくは化合物の混合物、あるいは式(I)の化合物若しくは化合物の混合物を含むCentella asiaticaの抽出物の組み合わせの美容的使用。
【請求項15】
ヒトケラチン線維及び/または頭皮に請求項1から13のいずれか一項に記載の化粧品組成物を適用し、これらのケラチン線維及び/または頭皮と前記組成物を接触させ、任意にこれらのケラチン線維及び/または頭皮をすすぐことを含むことを特徴とする、ヒトケラチン線維、特に毛髪及び睫毛の成長を誘導及び/または刺激するための、及び/またはそれらの損失を予防するための、及び/またはそれらの密度を増大するための、ヒトケラチン線維及び/または頭皮の美容処理方法。

【公開番号】特開2009−242396(P2009−242396A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−80287(P2009−80287)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】