説明

マルチファンクションプリンタ記録装置

【課題】 マルチファンクションプリンタ装置において、印刷中のジョブに関しては、サイレントモードへの移行/解除を行うことができなかった。このため、速度を優先した通常のモード(以下、通常モード)での印刷中に電話着信があり、使用者が通話する場合、プリンタ機能部の作動音が気になってもサイレントモードへ移行させることはできず、どうしても通話が困難な場合は、印刷を一時停止するかキャンセルするしかなかった。
【解決手段】 印刷速度を優先した第一の動作モードと、前記第一の動作モードよりも動作時の静音性が高い第二の動作モードを設定可能な動作制御手段と、前記電話機能への外部回線からの通話着信を検知する検知手段を備え、印刷中に前記検知手段から着信を検知した場合には、自動的に前記動作手段を第二の動作モードへ切り替えるマルチファンクションプリンタ装置を提供することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチファンクションプリンタ記録装置に関し、特に、使用者が使用する機能に応じて自動的に動作モードを切り替える機能を持つマルチファンクションプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電話機能を備えたマルチファンクションプリンタ装置において、プリンタ部が、記録ヘッドを主走査方向へ往復移動しながらインクを吐出し、且つ印刷媒体を副走査方向へ搬送することで当該印刷媒体に印刷を行うインクジェット記録装置のものには、プリンタの動作速度を抑えることで作動音を低減するモード(以下、サイレントモード)を備えた装置が存在する(例えば、特許文献1)。これは、深夜における使用や図書館における使用など、静粛性が要求される環境での使用を考慮した機能である。サイレントモードでは、主に印刷媒体の搬送及び排出時のモーター駆動速度を抑えることで静音性を高めているが、そのモードへの移行は、印刷ジョブの開始前、ホストコンピュータに予めインストールされているプリンタドライバによって使用者が設定しておく必要があった。つまり、印刷中のジョブに関しては、サイレントモードへの移行/解除を行うことができなかった。
【特許文献1】特開2003−91391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、マルチファンクションプリンタ装置において、印刷中のジョブに関しては、サイレントモードへの移行/解除を行うことができなかった。このため、速度を優先した通常のモード(以下、通常モード)での印刷中に電話着信があり、使用者が通話する場合、プリンタ機能部の作動音が気になってもサイレントモードへ移行させることはできず、どうしても通話が困難な場合は、印刷を一時停止するかキャンセルするしかなかった。
【0004】
本発明の目的は、電話機能を備えたマルチファンクションプリンタ装置において、プリンタ機能部は、複数の吐出口からインクを吐出可能な記録ヘッドを主走査方向へ往復移動しながらインクを吐出し、且つ印刷媒体を副走査方向へ搬送することで当該印刷媒体に印刷を行うインクジェット記録装置であり、前記印刷を行わせるための動作手段として、印刷速度を優先した第一の動作モードと、前記第一の動作モードよりも動作時の静音性が高い第二の動作モードを設定可能な動作制御手段と、前記電話機能への外部回線からの通話着信を検知する検知手段を備え、印刷中に前記検知手段から着信を検知した場合には、自動的に前記動作手段を第二の動作モードへ切り替えることにより、印刷中であっても、快適な通話ができるマルチファンクションプリンタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明におけるマルチファンクションプリンタ装置は、電話機能を備えたマルチファンクションプリンタ装置において、プリンタ機能部は、複数の吐出口からインクを吐出可能な記録ヘッドを主走査方向へ往復移動しながらインクを吐出し、且つ印刷媒体を副走査方向へ搬送することで当該印刷媒体に印刷を行うインクジェット記録装置であり、前記印刷を行わせるための動作手段として、印刷速度を優先した第一の動作モードと、前記第一の動作モードよりも動作時の静音性が高い第二の動作モードを設定可能な動作制御手段と、前記電話機能への外部回線からの通話着信を検知する検知手段を備え、印刷中に前記検知手段から着信を検知した場合には、自動的に前記動作手段を第二の動作モードへ切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように本発明によれば、印刷中に着信を検知した場合には、自動的に動作手段をサイレントモードへ切り替えることにより、印刷中であっても、快適な通話が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(実施例1)
図1は、本発明を適用可能なマルチファンクションプリンタ装置の主要部を示すブロック図である。
【0008】
ホスト装置200からマルチファンクションプリンタ装置100に印字すべき文字や画像のデータが送信され、受信バッファー111に蓄えられる。また、正しくデータが転送されているかどうかを確認するデータ、およびマルチファンクションプリンタ装置100の動作状態を知らせるデータがマルチファンクションプリンタ装置100からホスト装置200に送信される。
【0009】
受信バッファー111に蓄えられたデータは、CPU112の管理下において、プリンタ部119に含まれる不図示の記録ヘッドが主走査した時に印字を行うためのデータに加工され、ランダムアクセスメモリ部114内のプリントバッファー部に記憶される。プリントバッファー部のデータは、プリンタ部119により不図示の記録ヘッドに転送され、記録ヘッドを制御して文字や画像のデータを印字する。プリンタ部は、印刷に必要な機械のコントロールも行う。例えば、CPU112からの指令により不図示のキャリッジモータやラインフィードモータ等の機械部を駆動制御する。
【0010】
スキャナ部115で読み込んだデータは、CPU112を介してRAM114に蓄えられプリンタ部119へ転送される。
【0011】
FAX部117で受信したデータも同様に、CPU112を介してRAM114に蓄えられプリンタ部119へ転送される。
【0012】
回線インタフェース116は、FAX部117及びハンドセット118と電話回線301を接続するものである。
【0013】
ハンドセット118は、送話器と受話器、その他電話機に必要な構成部材を含み、回線インタフェース116を介して通信を行う。
【0014】
図2は本発明におけるマルチファンクションプリンタ装置の印刷中のサイレントモード移行の動作を表したフローチャートである。この処理を実現するプログラムは図1のROM113に格納されており、それをCPU112が実行する。本実施例において、印刷は、図2の受信バッファー110にホスト装置200によって転送される印刷コマンド及びデータに基づいて行われる。印刷コマンドには、印刷媒体搬送命令も含まれる。サイレントモードは、プリンタ部119が印刷媒体の搬送速度を通常モードよりも低減することで実現する。
【0015】
以上を踏まえた上で以下にフローチャートの説明を以下に示す。
【0016】
CPU112は、印刷中、電話の着信の有無を監視している(ステップS400)。着信のない場合は、ステップS401へ進み、プリンタ部119によって通常モードでの印刷処理が続行される。ステップS401で着信を検知した場合は、ステップS402へ進みサイレントモードでの印刷に切り替わる。ステップS403では、ホスト装置200からの印刷終了コマンドを監視しており、それを受信した場合には、印刷を終了する。印刷終了コマンドを受信するまでは、ステップS400へ戻り印刷処理を続ける。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態に係るマルチファンクションプリンタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態係るマルチファンクションプリンタ装置におけるサイレントモード移行動作を表したフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機能を備えたマルチファンクションプリンタ装置において、
プリンタ機能部は、
複数の吐出口からインクを吐出可能な記録ヘッドを主走査方向へ往復移動しながらインクを吐出し、且つ印刷媒体を副走査方向へ搬送することで当該印刷媒体に印刷を行うインクジェット記録装置であり、
前記印刷を行わせるための動作手段として、印刷速度を優先した第一の動作モードと、前記第一の動作モードよりも動作時の静音性が高い第二の動作モードを設定可能な動作制御手段と、前記電話機能への外部回線からの通話着信を検知する検知手段を備え、
印刷中に前記検知手段から着信を検知した場合には、自動的に前記動作手段を第二の動作モードへ切り替えることを特徴とするマルチファンクションプリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−103095(P2006−103095A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291322(P2004−291322)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】