説明

マルチポートフィードフォワード増幅器

【課題】誤差増幅器の出力を大きくすることなく、不要波の出力を低減することができるマルチポートフィードフォワード増幅器を得ることを目的とする。
【解決手段】180度ハイブリッド回路31により分配された第1の経路上の信号に含まれている信号2を不要波として低減するハイブリッド偏差調整用可変減衰器14及びハイブリッド偏差調整用移相器15と、180度ハイブリッド回路31により分配された第2の経路上の信号に含まれている信号1を不要波として低減するハイブリッド偏差調整用可変減衰器44及びハイブリッド偏差調整用移相器45とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、地上マイクロ波通信用増幅器に適用されて、複数の送信信号を増幅するマルチポートフィードフォワード電力増幅器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィードフォワード増幅器は、基地局の通信用増幅器や中継機用増幅器として利用することが知られており、高い線形性を得ることができる。
フィードフォワード増幅器を通信用増幅器として用いる場合、故障の発生時にも継続して運用できるようにするために複数台の予備機が用意され、何らかの異常を検知すると、スイッチ等で予備機に切り替えるようにしている。
【0003】
マルチポート電力増幅器は、小型化や低消費電力化を図る目的で、複数の信号を共通増幅する増幅器として用いられている。
例えば、マルチポート電力増幅器は、環境が厳しい衛星通信等で使用され、限られた電力を有効利用している方式であって、空間分割多重方式により複数のアンテナを用いて通信容量を増加させている方式であるMIMO方式などに適用されることがある。
以下の特許文献1には、上記のフィードフォワード技術とマルチポート技術を用いているマルチポートフィードフォワード増幅器が開示されている。
【0004】
マルチポートフィードフォワード増幅器を通信用増幅器として用いるシステムでは、増幅器に求められる線形性が非常に高く、信号の歪みとして50dBc〜60dBcが求められる。
しかしながら、マルチポート構成にすると、ハイブリッド回路の特性と増幅器のバラツキに起因して、ポート間のアイソレーションが悪くなることがある。そのため、不要波が出力されて増幅器に要求される歪み特性に問題を生じることがある(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
ここで、理想的なマルチポート増幅器の動作を説明する。
図10(a)は2つの理想増幅器(1),(2)の両端に、理想90度ハイブリッド回路(1),(2)が接続されているマルチポート増幅器である。
Port1から入力された周波数f1の信号は、理想90度ハイブリッド回路(1)を通過して、理想増幅器(1),(2)で増幅された後、理想90度ハイブリッド回路(2)で合波されて、Port4に出力される。
一方、Port2から入力された周波数f2の信号は、理想90度ハイブリッド回路(1)を通過して、理想増幅器(1),(2)で増幅された後、理想90度ハイブリッド回路(2)で合波されて、Port3に出力される。
【0006】
しかし、90度ハイブリッド回路が理想的でなくなると、ポート間のアイソレーションが悪くなるため、図10(b)に示すように、Port4から周波数f1の信号だけでなく、周波数f2の信号も出力されるようになる。
同様に、Port3から周波数f2の信号だけでなく、周波数f1の信号も出力されるようになる。
この現象は、ポート間のアイソレーションが悪化したことにより、増幅器(1)を通る経路上の信号と、増幅器(2)を通る経路上の信号における振幅及び位相に偏差が生じてしまうことに起因している。以下、Port3,4から出力される余分な信号を不要波と称する。
【0007】
また、増幅器が理想的でない場合も、図10(c)に示すように、Port3,4から不要波が出力される。
これは、増幅器(1),(2)のバラツキに起因して、増幅器(1)を通る経路上の信号と、増幅器(2)を通る経路上の信号における振幅及び位相に偏差が生じてしまうことに起因している。
また、増幅器(1),(2)が理想でないため、信号の近傍に歪みが生じている(図10では、信号を↑で記載しているが、CW2波を想定して近傍にIM3が出力されている)。
【0008】
図10(d)は特許文献1に記載されているマルチポートフィードフォワード増幅器のポートを2つにした場合を示している。
ハイブリッド回路のポート間アイソレーションと増幅器のバラツキによる振幅偏差と位相偏差により不要波のレベルが大きくなり、不要波に対して歪み成分が重畳されている。
このように、特許文献1に記載されているマルチポートフィードフォワード増幅器では、不要波のレベルが大きくなり、増幅器の歪み成分より大きくなる。このため、誤差増幅器の出力を大きくする必要があり、消費電力の増大や大型化を招いてしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−244051号公報
【特許文献2】特開2005−269043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のマルチポートフィードフォワード増幅器は以上のように構成されているので、ハイブリッド回路や増幅器が理想的であれば、不要波が出力されることはないが、ハイブリッド回路や増幅器が理想的でないと、Port3,4から不要波が出力されてしまうことがある。不要波の出力を防止するには、誤差増幅器の出力を大きくする必要があり、消費電力の増大や大型化を招いてしまうなどの課題があった。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、誤差増幅器の出力を大きくすることなく、不要波の出力を低減することができるマルチポートフィードフォワード増幅器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るマルチポートフィードフォワード増幅器は、第1の入力ポートから入力された第1の信号を分波して、分波後の第1の信号を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、第2の入力ポートから入力された第2の信号を分波して、分波後の第2の信号を第1の経路と第2の経路に分配する信号分配手段と、信号分配手段により分配された第1の経路上の信号に含まれている第2の信号を不要波として低減する第1の不要波低減手段と、信号分配手段により分配された第2の経路上の信号に含まれている第1の信号を不要波として低減する第2の不要波低減手段と、第1の不要波低減手段により不要波が低減された第1の経路上の信号を増幅する第1の増幅器と、第2の不要波低減手段により不要波が低減された第2の経路上の信号を増幅する第2の増幅器と、第1の増幅器により増幅された第1の経路上の信号と第2の増幅器により増幅された第2の経路上の信号を合波して、合波後の第1の信号を第1の経路に出力するとともに、合波後の第2の信号を第2の経路に出力する信号合波手段と、信号合波手段から出力された第1の経路上の第1の信号に含まれている歪み成分を抽出する第1の歪み成分抽出手段と、信号合波手段から出力された第2の経路上の第2の信号に含まれている歪み成分を抽出する第2の歪み成分抽出手段と、信号合波手段から出力された第1の経路上の第1の信号と第1の歪み成分抽出手段により抽出された歪み成分を合波して、第1の信号に含まれている歪み成分を除去する第1の歪み成分除去手段と、信号合波手段から出力された第2の経路上の第2の信号と第2の歪み成分抽出手段により抽出された歪み成分を合波して、第2の信号に含まれている歪み成分を除去する第2の歪み成分除去手段とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、信号分配手段により分配された第1の経路上の信号に含まれている第2の信号を不要波として低減する第1の不要波低減手段と、信号分配手段により分配された第2の経路上の信号に含まれている第1の信号を不要波として低減する第2の不要波低減手段とを設けるように構成したので、誤差増幅器の出力を大きくすることなく、不要波の出力を低減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態1によるマルチポートフィードフォワード増幅器を示す構成図である。
【図2】フィードフォワード増幅器1の処理内容を示す説明図である。
【図3】ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されていない場合と、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されている場合の信号処理結果を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2によるマルチポートフィードフォワード増幅器を示す構成図である。
【図5】フィードフォワード増幅器1の処理内容を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態3によるマルチポートフィードフォワード増幅器を示す構成図である。
【図7】フィードフォワード増幅器1の処理内容を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態4によるマルチポートフィードフォワード増幅器を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態4によるマルチポートフィードフォワード増幅器の効果を説明する説明図である。
【図10】マルチポートフィードフォワード増幅器から不要波が出力される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるマルチポートフィードフォワード増幅器を示す構成図である。
図1のマルチポートフィードフォワード増幅器では、2個のフィードフォワード増幅器1,2から構成されている例を示しているが、フィードフォワード増幅器の個数は2個に限るものではなく、2のn乗個のフィードフォワード増幅器から構成されているものであればよい。ただし、nは1以上の整数である。
【0016】
図1において、A,Cは入力ポート、B,Dは出力ポートであり、入力ポートA(第1の入力ポート)から出力ポートBに至る経路を「第1の経路」と称し、入力ポートC(第2の入力ポート)から出力ポートDに至る経路を「第2の経路」と称する。
信号分波器11は入力ポートAから入力されたCW2波である信号1(第1の信号)を分波する部材である。
信号分波器41は入力ポートBから入力されたCW2波(信号1と異なる周波数のCW2波)である信号2(第2の信号)を分波する部材である。
【0017】
歪み抽出用可変減衰器12は後段の信号合波器20で信号1に含まれている歪み成分を抽出することができるように、信号分波器11により分波された信号1の振幅を調整する部材である。
歪み抽出用可変減衰器42は後段の信号合波器50で信号2に含まれている歪み成分を抽出することができるように、信号分波器41により分波された信号2の振幅を調整する部材である。
【0018】
歪み抽出用移相器13は後段の信号合波器20で信号1に含まれている歪み成分を抽出することができるように、歪み抽出用可変減衰器12により振幅が調整された信号1の位相を調整する部材である。
歪み抽出用移相器43は後段の信号合波器50で信号2に含まれている歪み成分を抽出することができるように、歪み抽出用可変減衰器42により振幅が調整された信号2の位相を調整する部材である。
なお、歪み抽出用可変減衰器12及び歪み抽出用移相器13から第1の振幅位相調整手段が構成されており、歪み抽出用可変減衰器42及び歪み抽出用移相器43から第2の振幅位相調整手段が構成されている。
【0019】
180度ハイブリッド回路31は歪み抽出用移相器13により位相が調整された信号1を分波して、分波後の信号1を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、歪み抽出用移相器43により位相が調整された信号2を分波して、分波後の信号2を第1の経路と第2の経路に分配する部材である。なお、180度ハイブリッド回路31は信号分配手段を構成している。
【0020】
ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14は180度ハイブリッド回路31により分配された第1の経路上の信号に含まれている信号2を不要波として低減するために、第1の経路上の信号の振幅を調整する部材である。
ハイブリッド偏差調整用可変減衰器44は180度ハイブリッド回路31により分配された第2の経路上の信号に含まれている信号1を不要波として低減するために、第2の経路上の信号の振幅を調整する部材である。
【0021】
ハイブリッド偏差調整用移相器15は180度ハイブリッド回路31により分配された第1の経路上の信号に含まれている信号2を不要波として低減するために、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14により振幅が調整された第1の経路上の信号の位相を調整する部材である。
ハイブリッド偏差調整用移相器45は180度ハイブリッド回路31により分配された第2の経路上の信号に含まれている信号1を不要波として低減するために、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器44により振幅が調整された第2の経路上の信号の位相を調整する部材である。
なお、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14及びハイブリッド偏差調整用移相器15から第1の不要波低減手段が構成されており、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器44及びハイブリッド偏差調整用移相器45から第2の不要波低減手段が構成されている。
【0022】
主増幅器16はハイブリッド偏差調整用移相器15により位相が調整された第1の経路上の信号を増幅する部材である。なお、主増幅器16は第1の増幅器を構成している。
主増幅器46はハイブリッド偏差調整用移相器45により位相が調整された第2の経路上の信号を増幅する部材である。なお、主増幅器46は第2の増幅器を構成している。
【0023】
180度ハイブリッド回路32は主増幅器16により増幅された第1の経路上の信号と主増幅器46により増幅された第2の経路上の信号を合波して、合波後の信号1を第1の経路に出力するとともに、合波後の信号2を第2の経路に出力する部材である。なお、180度ハイブリッド回路32は信号合波手段を構成している。
【0024】
歪み抽出用遅延線路17は信号分波器11により分波された信号1を伝送する線路である。
歪み抽出用遅延線路47は信号分波器41により分波された信号2を伝送する線路である。
【0025】
信号分波器18は180度ハイブリッド回路32から出力された合波後の信号1を分波する部材である。
信号分波器48は180度ハイブリッド回路32から出力された合波後の信号2を分波する部材である。
【0026】
歪みレベル調整用可変減衰器19は信号分波器18により分波された信号1に含まれている歪み成分を抽出することができるように、その信号1の振幅を調整する部材である。
歪みレベル調整用可変減衰器49は信号分波器48により分波された信号2に含まれている歪み成分を抽出することができるように、その信号2の振幅を調整する部材である。
【0027】
信号合波器20は歪みレベル調整用可変減衰器19により振幅が調整された信号1と歪み抽出用遅延線路17により伝送された信号1を合波することで、主増幅器16や180度ハイブリッド回路31,32で発生している歪み成分(180度ハイブリッド回路32から出力された合波後の信号1に含まれている歪み成分)を抽出する部材である。
信号合波器50は歪みレベル調整用可変減衰器49により振幅が調整された信号2と歪み抽出用遅延線路47により伝送された信号2を合波することで、主増幅器46や180度ハイブリッド回路31,32で発生している歪み成分(180度ハイブリッド回路32から出力された合波後の信号2に含まれている歪み成分)を抽出する部材である。
なお、信号分波器11、歪み抽出用遅延線路17、信号分波器18、歪みレベル調整用可変減衰器19及び信号合波器20から第1の歪み成分抽出手段が構成されており、信号分波器41、歪み抽出用遅延線路47、信号分波器48、歪みレベル調整用可変減衰器49及び信号合波器50から第2の歪み成分抽出手段が構成されている。
【0028】
歪みキャンセル用可変減衰器21は信号合波器20により抽出された信号1に含まれている歪み成分の振幅を調整する部材である。
歪みキャンセル用可変減衰器51は信号合波器50により抽出された信号2に含まれている歪み成分の振幅を調整する部材である。
【0029】
歪みキャンセル用移相器22は歪みキャンセル用可変減衰器21により振幅が調整された信号1に含まれている歪み成分の位相を調整する部材である。
歪みキャンセル用移相器52は歪みキャンセル用可変減衰器51により振幅が調整された信号2に含まれている歪み成分の位相を調整する部材である。
【0030】
誤差増幅器23は歪みキャンセル用移相器22により位相が調整された信号1に含まれている歪み成分を線形増幅する部材である。
誤差増幅器53は歪みキャンセル用移相器52により位相が調整された信号2に含まれている歪み成分を線形増幅する部材である。
【0031】
歪みキャンセル用遅延線路24は信号分波器18により分波された信号1を伝送する線路である。
歪みキャンセル用遅延線路54は信号分波器48により分波された信号2を伝送する線路である。
【0032】
信号合波器25は歪みキャンセル用遅延線路24により伝送された信号1(主増幅器16等で発生している歪み成分を含んでいる信号1)と誤差増幅器23により線形増幅された信号1に含まれている歪み成分を合波することで、信号1に含まれている歪み成分を除去して、歪み成分を含んでいない信号1を出力ポートBに出力する部材である。
信号合波器55は歪みキャンセル用遅延線路54により伝送された信号2(主増幅器46等で発生している歪み成分を含んでいる信号2)と誤差増幅器53により線形増幅された信号2に含まれている歪み成分を合波することで、信号2に含まれている歪み成分を除去して、歪み成分を含んでいない信号2を出力ポートDに出力する部材である。
なお、歪みキャンセル用可変減衰器21、歪みキャンセル用移相器22、誤差増幅器23、歪みキャンセル用遅延線路24及び信号合波器25から第1の歪み成分除去手段が構成されており、歪みキャンセル用可変減衰器51、歪みキャンセル用移相器52、誤差増幅器53、歪みキャンセル用遅延線路54及び信号合波器55から第2の歪み成分除去手段が構成されている。
【0033】
次に動作について説明する。
入力ポートAから入力されたCW2波である信号1は、第1の経路上にある主増幅器16で増幅されるが、主増幅器16等で歪み成分が発生するため、フィードフォワード増幅器1では、信号1に含まれている歪み成分が抽出されて、信号1から歪み成分が除去された後、出力ポートBから出力される。
一方、入力ポートBから入力されたCW2波である信号2は、第2の経路上にある主増幅器46で増幅されるが、主増幅器46等で歪み成分が発生するため、フィードフォワード増幅器2では、信号2に含まれている歪み成分が抽出されて、信号2から歪み成分が除去された後、出力ポートDから出力される。
【0034】
以下、図1のマルチポートフィードフォワード増幅器におけるフィードフォワード増幅器1,2の処理内容を具体的に説明する。
ただし、フィードフォワード増幅器1とフィードフォワード増幅器2の処理内容は同様であるため、ここでは代表して、フィードフォワード増幅器1の処理内容を説明する。
図2はフィードフォワード増幅器1の処理内容を示す説明図である。
【0035】
信号分波器11は、入力ポートAからCW2波である信号1が入力されると、その信号1を分波して、分波後の信号1を歪み抽出用可変減衰器12及び歪み抽出用遅延線路17に出力する。
このとき、信号1と周波数が異なるCW2波である信号2が入力ポートCから入力されるものとする。
【0036】
歪み抽出用可変減衰器12は、後段の信号合波器20で信号1に含まれている歪み成分を抽出することができるようにするために、信号分波器11により分波された信号1の振幅を調整する。
また、歪み抽出用移相器13は、歪み抽出用可変減衰器12と同様に、信号合波器20で信号1に含まれている歪み成分を抽出することができるようにするために、歪み抽出用可変減衰器12により振幅が調整された信号1の位相を調整する。
なお、入力ポートAから入力されるパイロット信号が出力ポートBに出力されず、また、信号1が信号合波器20で消去されるように、歪み抽出用可変減衰器12及び歪み抽出用移相器13で振幅・位相が調整される。
【0037】
180度ハイブリッド回路31は、歪み抽出用移相器13が信号1の位相を調整し、歪み抽出用移相器43が信号2の位相を調整すると、その信号1を分波して、分波後の信号1を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、その信号2を分波して、分波後の信号2を第1の経路と第2の経路に分配する。
これにより、180度ハイブリッド回路31から第1の経路上のハイブリッド偏差調整用可変減衰器14には信号1+信号2が出力され、また、180度ハイブリッド回路31から第2の経路上のハイブリッド偏差調整用可変減衰器44には信号1+信号2が出力される。
【0038】
ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14は、180度ハイブリッド回路31により分配された第1の経路上の信号に含まれている信号2を不要波として低減するために、第1の経路上の信号の振幅を調整する。
また、ハイブリッド偏差調整用移相器15は、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14と同様に、180度ハイブリッド回路31により分配された第1の経路上の信号に含まれている信号2を不要波として低減するために、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14により振幅が調整された第1の経路上の信号の位相を調整する。
【0039】
主増幅器16は、ハイブリッド偏差調整用移相器15が第1の経路上の信号の位相を調整すると、第1の経路上の信号を増幅して、増幅後の信号を180度ハイブリッド回路32に出力する。
180度ハイブリッド回路32は、主増幅器16が第1の経路上の信号を増幅し、主増幅器46が第2の経路上の信号を増幅すると、増幅後の第1の経路上の信号と増幅後の第2の経路上の信号を合波して、合波後の信号1を第1の経路に出力するとともに、合波後の信号2を第2の経路に出力する。
【0040】
このとき、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されていない場合、180度ハイブリッド回路31,32と主増幅器16,46のバラツキに起因して、180度ハイブリッド回路32から信号分波器18に出力される第1の経路上の信号には、信号1の他に、信号1の歪み成分と信号2の一部が含まれてしまう。
主増幅器16,46を通る経路の振幅偏差と位相偏差が大きいほど、180度ハイブリッド回路32の出力が大きくなるため、歪み成分より信号2の不要波が大きい場合、後述する誤差増幅器23の出力電力を大きくする必要があり、その結果、消費電力が増えるとともに、歪みキャンセル用遅延線路24を長くする必要があるため、マルチポートフィードフォワード増幅器全体の効率が低下する問題が発生する。
【0041】
これに対して、この実施の形態1では、偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されており、180度ハイブリッド回路32から第1の経路上に出力される信号の中から信号2が消去されるように、偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が振幅・位相を調整しているので、誤差増幅器23の出力電力を大きくする必要がない。
【0042】
信号分波器18は、180度ハイブリッド回路32から合波後の信号1を受けると、その信号1を分波して、分波後の信号を歪みレベル調整用可変減衰器19と歪みキャンセル用遅延線路24に出力する。
歪みレベル調整用可変減衰器19は、信号分波器18により分波された信号1に含まれている歪み成分を抽出することができるように、その信号1の振幅を調整する。
【0043】
信号合波器20は、歪みレベル調整用可変減衰器19が信号1の振幅を調整すると、振幅調整後の信号1と歪み抽出用遅延線路17により伝送された信号1を合波することで、主増幅器16や180度ハイブリッド回路31,32で発生している歪み成分(180度ハイブリッド回路32から出力された合波後の信号1に含まれている歪み成分)を抽出する。
【0044】
歪みキャンセル用可変減衰器21は、後段の信号合波器25で、信号1に含まれている歪み成分が除去されるようにするために、信号合波器20により抽出された信号1に含まれている歪み成分の振幅を調整する。
また、歪みキャンセル用移相器22は、歪みキャンセル用可変減衰器21と同様に、信号合波器25で信号1に含まれている歪み成分が除去されるようにするために、歪みキャンセル用可変減衰器21により振幅が調整された信号1に含まれている歪み成分の位相を調整する。
なお、入力ポートAから入力されるパイロット信号が出力ポートBに出力されないようにするため、歪みキャンセル用可変減衰器21及び歪みキャンセル用移相器22で振幅・位相が調整される。
【0045】
誤差増幅器23は、歪みキャンセル用移相器22が信号1に含まれている歪み成分の位相を調整すると、その歪み成分を線形増幅する。
信号合波器25は、歪みキャンセル用遅延線路24により伝送された信号1(主増幅器16等で発生している歪み成分を含んでいる信号1)と誤差増幅器23により線形増幅された信号1に含まれている歪み成分を合波することで、信号1に含まれている歪み成分を除去して、歪み成分を含んでいない信号1を出力ポートBに出力する。
【0046】
ここでは、フィードフォワード増幅器1の処理内容を説明したが、フィードフォワード増幅器2がフィードフォワード増幅器1と同様の処理を実施することで、入力ポートCから入力された信号2についても、主増幅器46等で発生する歪み成分が除去されて、歪み成分を含んでいない信号2が出力ポートDに出力される。
【0047】
ここで、図3はハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されていない場合と、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されている場合の信号処理結果を示す説明図である。
ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されていない場合、図3(a)に示すように、不要波である信号2が出力ポートBに出力されており、また、その不要波の影響で大きな歪み成分が出力ポートBに出力されている。このときの180度ハイブリッド回路31,32のポート間アイソレーションは24dBである。
【0048】
一方、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されている場合、図3(b)に示すように、不要波である信号2が出力ポートBに出力されないため、歪み成分を大幅に低減することができる。
なお、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されていない場合、180度ハイブリッド回路32から第1の経路上に出力される信号は、図3(c)に示すようになり、不要波が歪み成分より大きい。
180度ハイブリッド回路31,32のポート間アイソレーションが24dBの場合、不要波のレベルが歪み成分のレベルより5dB以上大きく、少なくとも誤差増幅器23の出力レベルは3.2倍以上必要になる。同様に、誤差増幅器53の出力も3.2倍以上必要になる。
【0049】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、180度ハイブリッド回路31により分配された第1の経路上の信号に含まれている信号2を不要波として低減するハイブリッド偏差調整用可変減衰器14及びハイブリッド偏差調整用移相器15と、180度ハイブリッド回路31により分配された第2の経路上の信号に含まれている信号1を不要波として低減するハイブリッド偏差調整用可変減衰器44及びハイブリッド偏差調整用移相器45とを設けるように構成したので、誤差増幅器23,53の出力を大きくすることなく、不要波の出力を低減することができる効果を奏する。
【0050】
なお、この実施の形態1では、ハイブリッド回路として、180度ハイブリッド回路31,32を実装しているものを示したが、180度ハイブリッド回路31,32の代わりに、90度ハイブリッド回路を実装するようにしてもよい。
ただし、90度ハイブリッド回路を実装する場合、ハイブリッド偏差調整用移相器15,45における位相差を180度に設定する方が、信号分波器18,48での不要波を低減することができる。
【0051】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、歪み抽出用可変減衰器12,42と歪み抽出用移相器13,43が実装されているマルチポートフィードフォワード増幅器を示したが、この実施の形態2では、歪み抽出用可変減衰器12,42と歪み抽出用移相器13,43が実装されていないマルチポートフィードフォワード増幅器について説明する。
【0052】
図4はこの発明の実施の形態2によるマルチポートフィードフォワード増幅器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図4のマルチポートフィードフォワード増幅器では、2個のフィードフォワード増幅器1,2から構成されている例を示しているが、フィードフォワード増幅器の個数は2個に限るものではなく、2のn乗個のフィードフォワード増幅器から構成されているものであればよい。ただし、nは1以上の整数である。
【0053】
次に動作について説明する。
入力ポートAから入力されたCW2波である信号1は、第1の経路上にある主増幅器16で増幅されるが、主増幅器16等で歪み成分が発生するため、フィードフォワード増幅器1では、信号1に含まれている歪み成分が抽出されて、信号1から歪み成分が除去された後、出力ポートBから出力される。
一方、入力ポートBから入力されたCW2波である信号2は、第2の経路上にある主増幅器46で増幅されるが、主増幅器46等で歪み成分が発生するため、フィードフォワード増幅器2では、信号2に含まれている歪み成分が抽出されて、信号2から歪み成分が除去された後、出力ポートDから出力される。
【0054】
以下、図4のマルチポートフィードフォワード増幅器におけるフィードフォワード増幅器1,2の処理内容を具体的に説明する。
ただし、フィードフォワード増幅器1とフィードフォワード増幅器2の処理内容は同様であるため、ここでは代表して、フィードフォワード増幅器1の処理内容を説明する。
図5はフィードフォワード増幅器1の処理内容を示す説明図である。
【0055】
信号分波器11は、入力ポートAからCW2波である信号1が入力されると、その信号1を分波して、分波後の信号1を180度ハイブリッド回路31及び歪み抽出用遅延線路17に出力する。
このとき、信号1と周波数が異なるCW2波である信号2が入力ポートCから入力されるものとする。
この実施の形態2では、歪み抽出用可変減衰器12及び歪み抽出用移相器13が実装されておらず、信号分波器11により分波された信号1の振幅・位相が調整されないため、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14及びハイブリッド偏差調整用移相器15が、歪み抽出用可変減衰器12及び歪み抽出用移相器13の機能を兼ねている。
【0056】
180度ハイブリッド回路31は、信号分波器11から分波後の信号1を受け、信号分波器41から分波後の信号2を受けると、その信号1を分波して、分波後の信号1を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、その信号2を分波して、分波後の信号2を第1の経路と第2の経路に分配する。
これにより、180度ハイブリッド回路31から第1の経路上のハイブリッド偏差調整用可変減衰器14には信号1+信号2が出力され、また、180度ハイブリッド回路31から第2の経路上のハイブリッド偏差調整用可変減衰器44には信号1+信号2が出力される。
【0057】
ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14は、180度ハイブリッド回路31により分配された第1の経路上の信号に含まれている信号2を不要波として低減するとともに、信号合波器20で信号1に含まれている歪み成分を抽出することができるようにするために、第1の経路上の信号の振幅を調整する。
また、ハイブリッド偏差調整用移相器15は、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14と同様に、180度ハイブリッド回路31により分配された第1の経路上の信号に含まれている信号2を不要波として低減するとともに、信号合波器20で信号1に含まれている歪み成分を抽出することができるようにするために、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14により振幅が調整された第1の経路上の信号の位相を調整する。
【0058】
主増幅器16は、ハイブリッド偏差調整用移相器15が第1の経路上の信号の位相を調整すると、上記実施の形態1と同様に、第1の経路上の信号を増幅して、増幅後の信号を180度ハイブリッド回路32に出力する。
180度ハイブリッド回路32は、主増幅器16が第1の経路上の信号を増幅し、主増幅器46が第2の経路上の信号を増幅すると、上記実施の形態1と同様に、増幅後の第1の経路上の信号と増幅後の第2の経路上の信号を合波して、合波後の信号1を第1の経路に出力するとともに、合波後の信号2を第2の経路に出力する。
【0059】
信号分波器18は、180度ハイブリッド回路32から合波後の信号1を受けると、上記実施の形態1と同様に、その信号1を分波して、分波後の信号を歪みレベル調整用可変減衰器19と歪みキャンセル用遅延線路24に出力する。
歪みレベル調整用可変減衰器19は、上記実施の形態1と同様に、信号分波器18により分波された信号1に含まれている歪み成分を抽出することができるように、その信号1の振幅を調整する。
【0060】
信号合波器20は、歪みレベル調整用可変減衰器19が信号1の振幅を調整すると、上記実施の形態1と同様に、振幅調整後の信号1と歪み抽出用遅延線路17により伝送された信号1を合波することで、主増幅器16や180度ハイブリッド回路31,32で発生している歪み成分(180度ハイブリッド回路32から出力された合波後の信号1に含まれている歪み成分)を抽出する。
【0061】
歪みキャンセル用可変減衰器21は、上記実施の形態1と同様に、後段の信号合波器25で、信号1に含まれている歪み成分が除去されるようにするために、信号合波器20により抽出された信号1に含まれている歪み成分の振幅を調整する。
また、歪みキャンセル用移相器22は、歪みキャンセル用可変減衰器21と同様に、信号合波器25で信号1に含まれている歪み成分が除去されるようにするために、歪みキャンセル用可変減衰器21により振幅が調整された信号1に含まれている歪み成分の位相を調整する。
なお、入力ポートAから入力されるパイロット信号が出力ポートBに出力されないようにするため、歪みキャンセル用可変減衰器21及び歪みキャンセル用移相器22で振幅・位相が調整される。
【0062】
誤差増幅器23は、歪みキャンセル用移相器22が信号1に含まれている歪み成分の位相を調整すると、上記実施の形態1と同様に、その歪み成分を線形増幅する。
信号合波器25は、上記実施の形態1と同様に、歪みキャンセル用遅延線路24により伝送された信号1(主増幅器16等で発生している歪み成分を含んでいる信号1)と誤差増幅器23により線形増幅された信号1に含まれている歪み成分を合波することで、信号1に含まれている歪み成分を除去して、歪み成分を含んでいない信号1を出力ポートBに出力する。
【0063】
ここでは、フィードフォワード増幅器1の処理内容を説明したが、フィードフォワード増幅器2がフィードフォワード増幅器1と同様の処理を実施することで、入力ポートCから入力された信号2についても、主増幅器46等で発生する歪み成分が除去されて、歪み成分を含んでいない信号2が出力ポートDに出力される。
【0064】
以上で明らかなように、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14及びハイブリッド偏差調整用移相器15が、歪み抽出用可変減衰器12及び歪み抽出用移相器13の機能を兼ねることで、歪み抽出用可変減衰器12及び歪み抽出用移相器13が実装されない場合でも、上記実施の形態1と同様に、誤差増幅器23,53の出力を大きくすることなく、不要波の出力を低減することができる効果を奏する。
【0065】
なお、この実施の形態1では、ハイブリッド回路として、180度ハイブリッド回路31,32を実装しているものを示したが、180度ハイブリッド回路31,32の代わりに、90度ハイブリッド回路を実装するようにしてもよい。
ただし、90度ハイブリッド回路を実装する場合、ハイブリッド偏差調整用移相器15,45における位相差を180度に設定する方が、信号分波器18,48での不要波を低減することができる。
【0066】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,45が実装されているマルチポートフィードフォワード増幅器を示したが、この実施の形態3では、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,45が実装されていないマルチポートフィードフォワード増幅器について説明する。
この実施の形態3の場合、第1の経路上では、不要波である信号2をパイロット信号として使用し、第2の経路上では、不要波である信号1をパイロット信号として使用することで、パイロット信号の入力を不要としている。
【0067】
図6はこの発明の実施の形態3によるマルチポートフィードフォワード増幅器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図6のマルチポートフィードフォワード増幅器では、2個のフィードフォワード増幅器1,2から構成されている例を示しているが、フィードフォワード増幅器の個数は2個に限るものではなく、2のn乗個のフィードフォワード増幅器から構成されているものであればよい。ただし、nは1以上の整数である。
【0068】
180度ハイブリッド回路33は主増幅器16により増幅された第1の経路上の信号と主増幅器46により増幅された第2の経路上の信号を合波して、合波後の信号1及び信号2の一部を第1の経路に出力するとともに、合波後の信号2及び信号1の一部を第2の経路に出力する部材である。なお、180度ハイブリッド回路33は信号合波手段を構成している。
【0069】
信号分波器61は180度ハイブリッド回路33から出力された合波後の信号1及び信号2の一部を分波する部材である。
信号分波器71は180度ハイブリッド回路33から出力された合波後の信号2及び信号1の一部を分波する部材である。
【0070】
歪みレベル調整用可変減衰器62は信号分波器61により分波された信号1に含まれている歪み成分及び信号2を不要波として抽出することができるように、信号分波器61により分波された信号1及び信号2の一部の振幅を調整する部材である。
歪みレベル調整用可変減衰器72は信号分波器61により分波された信号2に含まれている歪み成分及び信号1を不要波として抽出することができるように、信号分波器71により分波された信号2及び信号1の一部の振幅を調整する部材である。
【0071】
信号合波器63は歪みレベル調整用可変減衰器62により振幅が調整された信号1及び信号2の一部と歪み抽出用遅延線路17により伝送された信号1を合波することで、不要波(180度ハイブリッド回路33から出力された合波後の信号1に含まれている歪み成分と信号2)を抽出する部材である。
信号合波器73は歪みレベル調整用可変減衰器72により振幅が調整された信号2及び信号1の一部と歪み抽出用遅延線路47により伝送された信号2を合波することで、不要波(180度ハイブリッド回路33から出力された合波後の信号2に含まれている歪み成分と信号1)を抽出する部材である。
なお、信号分波器11、歪み抽出用遅延線路17、信号分波器61、歪みレベル調整用可変減衰器62及び信号合波器63から第1の不要波抽出手段が構成されており、信号分波器41、歪み抽出用遅延線路47、信号分波器71、歪みレベル調整用可変減衰器72及び信号合波器73から第2の不要波抽出手段が構成されている。
【0072】
歪みキャンセル用可変減衰器64は信号合波器63により抽出された不要波の振幅を調整する部材である。
歪みキャンセル用可変減衰器74は信号合波器73により抽出された不要波の振幅を調整する部材である。
【0073】
歪みキャンセル用移相器65は歪みキャンセル用可変減衰器64により振幅が調整された不要波の位相を調整する部材である。
歪みキャンセル用移相器75は歪みキャンセル用可変減衰器74により振幅が調整された不要波の位相を調整する部材である。
【0074】
誤差増幅器66は歪みキャンセル用移相器65により位相が調整された不要波を線形増幅する部材である。
誤差増幅器76は歪みキャンセル用移相器75により位相が調整された不要波を線形増幅する部材である。
【0075】
歪みキャンセル用遅延線路67は信号分波器61により分波された信号1及び信号2の一部を伝送する線路である。
歪みキャンセル用遅延線路77は信号分波器71により分波された信号2及び信号1の一部を伝送する線路である。
【0076】
信号合波器68は歪みキャンセル用遅延線路67により伝送された信号1(主増幅器16等で発生している歪み成分を含んでいる信号1)及び信号2の一部と誤差増幅器66により線形増幅された不要波を合波することで、信号1に含まれている歪み成分と信号2を除去して、不要波を含んでいない信号1を出力ポートBに出力する部材である。
信号合波器78は歪みキャンセル用遅延線路77により伝送された信号2(主増幅器46等で発生している歪み成分を含んでいる信号2)及び信号1の一部と誤差増幅器76により線形増幅された不要波を合波することで、信号2に含まれている歪み成分と信号1を除去して、不要波を含んでいない信号2を出力ポートDに出力する部材である。
なお、歪みキャンセル用可変減衰器64、歪みキャンセル用移相器65、誤差増幅器66、歪みキャンセル用遅延線路67及び信号合波器68から第1の不要波除去手段が構成されており、歪みキャンセル用可変減衰器74、歪みキャンセル用移相器75、誤差増幅器76、歪みキャンセル用遅延線路77及び信号合波器78から第2の不要波除去手段が構成されている。
【0077】
次に動作について説明する。
入力ポートAから入力されたCW2波である信号1は、第1の経路上にある主増幅器16で増幅されるが、主増幅器16等で歪み成分が発生するため、フィードフォワード増幅器1では、信号1に含まれている歪み成分が抽出されて、信号1から歪み成分が除去された後、出力ポートBから出力される。
一方、入力ポートBから入力されたCW2波である信号2は、第2の経路上にある主増幅器46で増幅されるが、主増幅器46等で歪み成分が発生するため、フィードフォワード増幅器2では、信号2に含まれている歪み成分が抽出されて、信号2から歪み成分が除去された後、出力ポートDから出力される。
【0078】
以下、図6のマルチポートフィードフォワード増幅器におけるフィードフォワード増幅器1,2の処理内容を具体的に説明する。
ただし、フィードフォワード増幅器1とフィードフォワード増幅器2の処理内容は同様であるため、ここでは代表して、フィードフォワード増幅器1の処理内容を説明する。
図7はフィードフォワード増幅器1の処理内容を示す説明図である。
【0079】
信号分波器11は、入力ポートAからCW2波である信号1が入力されると、その信号1を分波して、分波後の信号1を歪み抽出用可変減衰器12及び歪み抽出用遅延線路17に出力する。
このとき、信号1と周波数が異なるCW2波である信号2が入力ポートCから入力されるものとする。
【0080】
歪み抽出用可変減衰器12は、後段の信号合波器63で信号1に含まれている歪み成分と信号2を抽出することができるようにするために、信号分波器11により分波された信号1の振幅を調整する。
また、歪み抽出用移相器13は、歪み抽出用可変減衰器12と同様に、信号合波器63で信号1に含まれている歪み成分と信号2を抽出することができるようにするために、歪み抽出用可変減衰器12により振幅が調整された信号1の位相を調整する。
なお、信号1及び信号2が信号合波器63で消去されるように、歪み抽出用可変減衰器12及び歪み抽出用移相器13で振幅・位相が調整される。
【0081】
180度ハイブリッド回路31は、歪み抽出用移相器13が信号1の位相を調整し、歪み抽出用移相器43が信号2の位相を調整すると、上記実施の形態1と同様に、その信号1を分波して、分波後の信号1を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、その信号2を分波して、分波後の信号2を第1の経路と第2の経路に分配する。
これにより、180度ハイブリッド回路31から第1の経路上の主増幅器16には信号1+信号2が出力され、また、180度ハイブリッド回路31から第2の経路上の主増幅器46には信号1+信号2が出力される。
【0082】
主増幅器16は、180度ハイブリッド回路31により分配された第1の経路上の信号を増幅して、増幅後の信号を180度ハイブリッド回路33に出力する。
180度ハイブリッド回路33は、主増幅器16が第1の経路上の信号を増幅し、主増幅器46が第2の経路上の信号を増幅すると、増幅後の第1の経路上の信号と増幅後の第2の経路上の信号を合波して、合波後の信号1を第1の経路に出力するとともに、合波後の信号2を第2の経路に出力する。
【0083】
この実施の形態3では、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,55が実装されていないため、180度ハイブリッド回路33から第1の経路上に出力された信号の中には、信号1の他に、その信号1の歪み成分と信号2の一部が含まれている。
また、180度ハイブリッド回路33から第2の経路上に出力された信号の中には、信号2の他に、その信号2の歪み成分と信号1の一部が含まれている。
【0084】
信号分波器61は、180度ハイブリッド回路33から合波後の信号1及び信号2の一部を受けると、その信号1及び信号2の一部を分波して、分波後の信号及び信号2の一部を歪みレベル調整用可変減衰器62と歪みキャンセル用遅延線路67に出力する。
歪みレベル調整用可変減衰器62は、信号分波器61により分波された信号1に含まれている歪み成分と信号2を不要波として抽出することができるように、その信号1及び信号2の一部の振幅を調整する。
【0085】
信号合波器63は、歪みレベル調整用可変減衰器62が信号1及び信号2の一部の振幅を調整すると、振幅調整後の信号1及び信号2の一部と歪み抽出用遅延線路17により伝送された信号1を合波することで、不要波(180度ハイブリッド回路33から出力された合波後の信号1に含まれている歪み成分と信号2)を抽出する。
【0086】
歪みキャンセル用可変減衰器64は、後段の信号合波器68で不要波が除去されるようにするために、信号合波器63により抽出された不要波の振幅を調整する。
また、歪みキャンセル用移相器65は、歪みキャンセル用可変減衰器64と同様に、信号合波器68で不要波が除去されるようにするために、歪みキャンセル用可変減衰器64により振幅が調整された不要波の位相を調整する。
【0087】
誤差増幅器23は、歪みキャンセル用移相器22が不要波の位相を調整すると、その不要波を線形増幅する。
信号合波器68は、歪みキャンセル用遅延線路67により伝送された信号1(主増幅器16等で発生している歪み成分を含んでいる信号1)及び信号2の一部と誤差増幅器66により線形増幅された不要波を合波することで、信号1に含まれている歪み成分と信号2を除去して、不要波を含んでいない信号1を出力ポートBに出力する。
【0088】
ここでは、フィードフォワード増幅器1の処理内容を説明したが、フィードフォワード増幅器2がフィードフォワード増幅器1と同様の処理を実施することで、入力ポートCから入力された信号2についても、主増幅器46等で発生する歪み成分が除去されて、歪み成分を含んでいない信号2が出力ポートDに出力される。
【0089】
以上で明らかなように、ハイブリッド偏差調整用可変減衰器14,44及びハイブリッド偏差調整用移相器15,45が実装されていない場合でも、上記実施の形態1と同様に、誤差増幅器23,53の出力を大きくすることなく、不要波の出力を低減することができる効果を奏する。
また、第1の経路上では、不要波である信号2をパイロット信号として使用し、第2の経路上では、不要波である信号1をパイロット信号として使用することで、パイロット信号の入力が不要になり、部品点数を削減することができる効果を奏する。ただし、不要波をパイロット信号として用いているため、歪み成分の位相や振幅の大きさが不要波の位相や振幅と大きく異なる場合には、上記実施の形態1よりも、歪みの低減量が少なくなる場合もある。
【0090】
なお、この実施の形態2では、ハイブリッド回路として、180度ハイブリッド回路31,33を実装しているものを示したが、180度ハイブリッド回路31,33の代わりに、90度ハイブリッド回路を実装するようにしてもよい。
ただし、90度ハイブリッド回路を実装する場合、ハイブリッド回路33以降の第1の経路と第2の経路を逆に繋ぎ替える必要がある。
【0091】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4によるマルチポートフィードフォワード増幅器を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図8のマルチポートフィードフォワード増幅器では、2個のフィードフォワード増幅器1,2から構成されている例を示しているが、フィードフォワード増幅器の個数は2個に限るものではなく、2のn乗個のフィードフォワード増幅器から構成されているものであればよい。ただし、nは1以上の整数である。
【0092】
90度ハイブリッド回路81は入力ポートAから入力された信号1を分波して、分波後の信号1を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、入力ポートCから入力された信号2を分波して、分波後の信号2を第1の経路と第2の経路に分配する部材である。なお、90度ハイブリッド回路81は第1の90度ハイブリッド回路を構成している。
【0093】
可変減衰器82は90度ハイブリッド回路81により分波された第1の経路上の信号の振幅を調整する部材である。
可変減衰器83は90度ハイブリッド回路81により分波された第2の経路上の信号の振幅を調整する部材である。
【0094】
移相器84は可変減衰器82により振幅が調整された第1の経路上の信号の位相を調整する部材である。
移相器85は可変減衰器83により振幅が調整された第2の経路上の信号の位相を調整する部材である。
ただし、移相器84,85は、第1の経路上の信号と第2の経路上の信号との位相差が180度になるように位相を調整する。
なお、移相器84,85は位相調整手段を構成している。
【0095】
90度ハイブリッド回路86はフィードフォワード増幅器1により増幅された第1の経路上の信号とフィードフォワード増幅器2により増幅された第2の経路上の信号を合波して、合波後の信号1を出力ポートBに出力するとともに、合波後の信号2を出力ポートDに出力する部材である。なお、90度ハイブリッド回路86は第2の90度ハイブリッド回路を構成している。
【0096】
次に動作について説明する。
90度ハイブリッド回路81は、入力ポートAから入力された信号1を分波して、分波後の信号1を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、入力ポートCから入力された信号2を分波して、分波後の信号2を第1の経路と第2の経路に分配する。
90度ハイブリッド回路81から出力された第1の経路上の信号は、可変減衰器82で振幅が調整され、移相器84で位相が調整される。
一方、90度ハイブリッド回路81から出力された第2の経路上の信号は、可変減衰器83で振幅が調整され、移相器85で位相が調整される。
このとき、第1の経路上の信号と第2の経路上の信号との位相差が180度になるように、移相器84,85で位相が調整される。
【0097】
フィードフォワード増幅器1は、移相器84により位相が調整された第1の経路上の信号を増幅し、増幅後の信号を90度ハイブリッド回路86に出力する。
また、フィードフォワード増幅器2は、移相器85により位相が調整された第2の経路上の信号を増幅し、増幅後の信号を90度ハイブリッド回路86に出力する。
【0098】
90度ハイブリッド回路86は、フィードフォワード増幅器1により増幅された第1の経路上の信号とフィードフォワード増幅器2により増幅された第2の経路上の信号を合波して、合波後の信号1を出力ポートBに出力するとともに、合波後の信号2を出力ポートDに出力する。
【0099】
ここで、この実施の形態4の効果を詳細に説明する。
図8のマルチポートフィードフォワード増幅器は、フィードフォワード増幅器1,2が理想増幅器であるとみなすと、図10(b)と同じ構成になる。
したがって、入力ポートAから入力された信号1は、出力ポートDに出力されるはずであるが、この実施の形態4では、第1の経路上の信号と第2の経路上の信号との位相差が180度になるように、移相器84,85で位相が調整されているため、入力ポートAから入力された信号1は、出力ポートBに出力される。これは、180度ハイブリッド回路を用いた場合と同義になる。
【0100】
90度ハイブリッド回路の位相偏差が、図9(b)のように表せるとすると、図9(a)の入力ポートAから入力された信号が出力ポートDに出力され、入力ポートCから入力された信号が出力ポートBに出力され、移相器84,85でΔP,ΔP’の位相を回せるとする。
この場合、不要波が他ポートから出力されない条件は
ΔP−ΔP’=2χ−2γ
ΔP−ΔP’=2β−2α
∴β=χ、かつ、α=γ
となり、常には成立しない。
【0101】
次に、図9(a)の入力ポートAから入力された信号が出力ポートBに出力され、入力ポートCから入力された信号が出力ポートDに出力され、移相器84,85でΔP,ΔP’の位相を回せるとする。
この場合、不要波が他ポートから出力されない条件は
α+γ+ΔP=β+χ+ΔP’+180
∴ΔP−ΔP’=180−α−γ+β+χ
となり、常に成立する。
【0102】
したがって、図9(a)の入力ポートAから入力された信号が出力ポートDに出力され、入力ポートCから入力された信号が出力ポートBに出力される場合は、ある条件が満たされないと、常に位相偏差が生じるが、図9(a)の入力ポートAから入力された信号が出力ポートBに出力され、入力ポートCから入力された信号が出力ポートDに出力される場合は、常に位相偏差を0にすることができる。
そのため、不要波を抑えることができる。
【0103】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、移相器84,85が、第1の経路上の信号と第2の経路上の信号との位相差が180度になるように位相を調整しているので、不要波を抑えることができる効果を奏する。
【0104】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0105】
A 入力ポート(第1の入力ポート)、B,D 出力ポート、C 入力ポート(第2の入力ポート)、1,2 フィードフォワード増幅器、11 信号分波器(第1の歪み成分抽出手段、第1の不要波抽出手段)、12 歪み抽出用可変減衰器(第1の振幅位相調整手段)、13 歪み抽出用移相器(第1の振幅位相調整手段)、14 ハイブリッド偏差調整用可変減衰器(第1の不要波低減手段)、15 ハイブリッド偏差調整用移相器(第1の不要波低減手段)、16 主増幅器(第1の増幅器)、17 歪み抽出用遅延線路(第1の歪み成分抽出手段、第1の不要波抽出手段)、18 信号分波器(第1の歪み成分抽出手段)、19 歪みレベル調整用可変減衰器(第1の歪み成分抽出手段)、20 信号合波器(第1の歪み成分抽出手段)、21 歪みキャンセル用可変減衰器(第1の歪み成分除去手段)、22 歪みキャンセル用移相器(第1の歪み成分除去手段)、23 誤差増幅器(第1の歪み成分除去手段)、24 歪みキャンセル用遅延線路(第1の歪み成分除去手段)、25 信号合波器(第1の歪み成分除去手段)、31 180度ハイブリッド回路(信号分配手段)、32 180度ハイブリッド回路(信号合波手段)、33 180度ハイブリッド回路(信号合波手段)、41 信号分波器(第2の歪み成分抽出手段、第2の不要波抽出手段)、42 歪み抽出用可変減衰器(第2の振幅位相調整手段)、43 歪み抽出用移相器(第2の振幅位相調整手段)、44 ハイブリッド偏差調整用可変減衰器(第2の不要波低減手段)、45 ハイブリッド偏差調整用移相器(第2の不要波低減手段)、46 主増幅器(第2の増幅器)、47 歪み抽出用遅延線路(第2の歪み成分抽出手段、第2の不要波抽出手段)、48 信号分波器(第2の歪み成分抽出手段)、49 歪みレベル調整用可変減衰器(第2の歪み成分抽出手段)、50 信号合波器(第2の歪み成分抽出手段)、51 歪みキャンセル用可変減衰器(第2の歪み成分除去手段)、52 歪みキャンセル用移相器(第2の歪み成分除去手段)、53 誤差増幅器(第2の歪み成分除去手段)、54 歪みキャンセル用遅延線路(第2の歪み成分除去手段)、55 信号合波器(第2の歪み成分除去手段)、61 信号分波器(第1の不要波抽出手段)、62 歪みレベル調整用可変減衰器(第1の不要波抽出手段)、63 信号合波器(第1の不要波抽出手段)、64 歪みキャンセル用可変減衰器(第1の不要波除去手段)、65 歪みキャンセル用移相器(第1の不要波除去手段)、66 誤差増幅器(第1の不要波除去手段)、67 歪みキャンセル用遅延線路(第1の不要波除去手段)、68 信号合波器(第1の不要波除去手段)、71 信号分波器(第1の不要波抽出手段)、72 歪みレベル調整用可変減衰器(第1の不要波抽出手段)、73 信号合波器(第1の不要波抽出手段)、74 歪みキャンセル用可変減衰器(第2の不要波除去手段)、75 歪みキャンセル用移相器(第2の不要波除去手段)、76 誤差増幅器(第2の不要波除去手段)、77 歪みキャンセル用遅延線路(第2の不要波除去手段)、78 信号合波器(第2の不要波除去手段)、81 90度ハイブリッド回路(第1の90度ハイブリッド回路)、82,83 可変減衰器、84,85 移相器(位相調整手段)、86 90度ハイブリッド回路(第2の90度ハイブリッド回路)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力ポートから入力された第1の信号を分波して、分波後の第1の信号を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、第2の入力ポートから入力された第2の信号を分波して、分波後の第2の信号を第1の経路と第2の経路に分配する信号分配手段と、上記信号分配手段により分配された第1の経路上の信号に含まれている第2の信号を不要波として低減する第1の不要波低減手段と、上記信号分配手段により分配された第2の経路上の信号に含まれている第1の信号を不要波として低減する第2の不要波低減手段と、上記第1の不要波低減手段により不要波が低減された第1の経路上の信号を増幅する第1の増幅器と、上記第2の不要波低減手段により不要波が低減された第2の経路上の信号を増幅する第2の増幅器と、上記第1の増幅器により増幅された第1の経路上の信号と上記第2の増幅器により増幅された第2の経路上の信号を合波して、合波後の第1の信号を第1の経路に出力するとともに、合波後の第2の信号を第2の経路に出力する信号合波手段と、上記信号合波手段から出力された第1の経路上の第1の信号に含まれている歪み成分を抽出する第1の歪み成分抽出手段と、上記信号合波手段から出力された第2の経路上の第2の信号に含まれている歪み成分を抽出する第2の歪み成分抽出手段と、上記信号合波手段から出力された第1の経路上の第1の信号と上記第1の歪み成分抽出手段により抽出された歪み成分を合波して、上記第1の信号に含まれている歪み成分を除去する第1の歪み成分除去手段と、上記信号合波手段から出力された第2の経路上の第2の信号と上記第2の歪み成分抽出手段により抽出された歪み成分を合波して、上記第2の信号に含まれている歪み成分を除去する第2の歪み成分除去手段とを備えたマルチポートフィードフォワード増幅器。
【請求項2】
第1の入力ポートから入力された第1の信号の振幅及び位相を調整する第1の振幅位相調整手段と、第2の入力ポートから入力された第2の信号の振幅及び位相を調整する第2の振幅位相調整手段とを信号分配手段の前段に配置していることを特徴とする請求項1記載のマルチポートフィードフォワード増幅器。
【請求項3】
第1の不要波低減手段、第1の増幅器、第1の歪み成分抽出手段及び第1の歪み成分除去手段を有するフィードフォワード増幅器を2のn−1乗個備え(nは1以上の整数)、第2の不要波低減手段、第2の増幅器、第2の歪み成分抽出手段及び第2の歪み成分除去手段を有するフィードフォワード増幅器を2のn−1乗個備えていることを特徴とする請求項1記載のマルチポートフィードフォワード増幅器。
【請求項4】
第1の入力ポートから入力された第1の信号の振幅及び位相を調整する第1の振幅位相調整手段と、第2の入力ポートから入力された第2の信号の振幅及び位相を調整する第2の振幅位相調整手段と、上記第1の振幅位相調整手段により振幅及び位相が調整された第1の信号を分波して、分波後の第1の信号を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、上記第2の振幅位相調整手段により振幅及び位相が調整された第2の信号を分波して、分波後の第2の信号を第1の経路と第2の経路に分配する信号分配手段と、上記信号分配手段により分配された第1の経路上の信号を増幅する第1の増幅器と、上記信号分配手段により分配された第2の経路上の信号を増幅する第2の増幅器と、上記第1の増幅器により増幅された第1の経路上の信号と上記第2の増幅器により増幅された第2の経路上の信号を合波して、合波後の第1の信号及び第2の信号の一部を第1の経路に出力するとともに、合波後の第2の信号及び第1の信号の一部を第2の経路に出力する信号合波手段と、上記信号合波手段から出力された第1の経路上の信号における第1の信号に含まれている歪み成分と第2の信号を不要波として抽出する第1の不要波抽出手段と、上記信号合波手段から出力された第2の経路上の信号における第2の信号に含まれている歪み成分と第1の信号を不要波として抽出する第2の不要波抽出手段と、上記信号合波手段から出力された第1の経路上の信号と上記第1の不要波抽出手段により抽出された不要波を合波して、上記第1の経路上の信号における第1の信号に含まれている歪み成分と第2の信号を除去する第1の不要波除去手段と、上記信号合波手段から出力された第2の経路上の信号と上記第2の不要波抽出手段により抽出された不要波を合波して、上記第2の経路上の信号における第2の信号に含まれている歪み成分と第1の信号を除去する第2の不要波除去手段とを備えたマルチポートフィードフォワード増幅器。
【請求項5】
第1の振幅位相調整手段、第1の増幅器、第1の不要波抽出手段及び第1の不要波除去手段を有するフィードフォワード増幅器を2のn−1乗個備え(nは1以上の整数)、第2の振幅位相調整手段、第2の増幅器、第2の不要波抽出手段及び第2の不要波除去手段を有するフィードフォワード増幅器を2のn−1乗個備えていることを特徴とする請求項4記載のマルチポートフィードフォワード増幅器。
【請求項6】
第1の入力ポートから入力された第1の信号を分波して、分波後の第1の信号を第1の経路と第2の経路に分配するとともに、第2の入力ポートから入力された第2の信号を分波して、分波後の第2の信号を第1の経路と第2の経路に分配する第1の90度ハイブリッド回路と、上記第1の90度ハイブリッド回路により分配された第1の経路上の信号及び第2の経路上の信号のうち、少なくとも一方の信号の位相を調整して、上記第1の経路上の信号と上記第2の経路上の信号との位相差を180度に設定する位相調整手段と、上記第1の経路上の信号を増幅する第1の増幅器と、上記第2の経路上の信号を増幅する第2の増幅器と、上記第1の増幅器により増幅された第1の経路上の信号と上記第2の増幅器により増幅された第2の経路上の信号を合波して、合波後の第1の信号を第1の経路に出力するとともに、合波後の第2の信号を第2の経路に出力する第2の90度ハイブリッド回路とを備えたマルチポートフィードフォワード増幅器。
【請求項7】
第1の増幅器を有するフィードフォワード増幅器を2のn−1乗個備え(nは1以上の整数)、第2の増幅器を有するフィードフォワード増幅器を2のn−1乗個備えていることを特徴とする請求項6記載のマルチポートフィードフォワード増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−110638(P2013−110638A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254968(P2011−254968)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】