説明

マレイミド系高分子を含有する組成物、およびマレイミド系高分子共重合体の製造方法

【課題】良好な特性を有する液晶配向膜の形成にも用いることができる、ビスマレイミドを含有する新規な組成物、並びにビスマレイミドと酸性添加剤の新規共重合体、及び新規共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】マレイミド系高分子、添加剤、並びに溶剤を含有する組成物は、新規組成物であり、良好な特性を有する。そのため、様々な用途への適用が期待できる。また、上記添加剤のうち、酸性の添加剤とビスマレイミドを共重合させた共重合体は、新規の共重合体である。この共重合体についても、良好な特性を有し、新規の材料として応用が期待される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスマレイミドとジアミンとを用いて重合させて得られるマレイミド系高分子、添加剤、及び溶剤を含有する組成物、並びにマレイミド系高分子共重合体の製造方法、及び新規マレイミド系高分子共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の応用分野の一つには、液晶表示素子が挙げられる。
液晶表示素子は、ノートパソコンやデスクトップパソコンのモニターをはじめ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型のディスプレイ等の様々な液晶表示装置に使われており、最近ではテレビとしても用いられるようになってきた。さらに液晶表示素子は、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子としても利用されている。
【0003】
液晶表示素子は、通常は、1)対向配置されている一対の基板、2)前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極、3)前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜、及び4)前記一対の基板間に形成された液晶層、を有する。
【0004】
液晶表示素子はネマチック液晶を用いた表示素子が主流であり、液晶表示素子としては、例えば、1)90度ツイストしたTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子、2)通常180度以上ツイストしたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、3)薄膜トランジスタを使用したいわゆるTFT(Thin
Film Transistor)型液晶表示素子が知られている。また、これらの液晶表示素子における視野角の広さをさらに改良した液晶表示素子としては、例えば、4)光学補償フィルムを用いたTN−TFT型液晶表示素子、5)垂直配向と光学補償フィルムを用いたVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子、6)垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi Domain Vertical
Alignment)型液晶表示素子、7)横電界方式のIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、8)ECB(Electrically Controlled Birefringence)型液晶表示素子、及び、9)光学補償ベンド(Optically Compensated Bend又はOptically
self−Compensated Birefringence:OCB)型液晶表示素子が知られている。
【0005】
液晶表示素子の技術の発展は、単にこれらの駆動方式や素子構造の改良のみならず、液晶表示素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は、液晶表示素子の表示品位に係わる重要な要素の一つであり、液晶表示素子の高品質化に伴って液晶配向膜の役割が年々重要になってきている。
【0006】
液晶配向膜は、液晶配向剤より形成される。従来より用いられてきた代表的な液晶配向剤としては、テトラカルボン酸無水物又はその誘導体と、ジアミン又はその誘導体とを反応させて得られる、ポリアミック酸又は可溶性のポリイミドを有機溶剤に溶解させた溶液が知られている。
【0007】
一方、ポリイミド、すなわちポリアミック酸又は可溶性のポリイミド以外にも、ビスマ
レイミドとジアミンとを反応させて得られるマレイミド系高分子も、良好な電気光学特性を有する液晶配向膜を形成する液晶配向剤として使用できることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
前記ポリイミドは、焼成によって、フィルム、基板、繊維、及び粒子等の種々の形態の成形物を形成することができ、また必要に応じてさらに機能性を付加することによって、接着剤や、分離膜及び電解質膜等の機能膜を形成することができる。マレイミド系高分子についても、このような種々の用途への適用が期待されている。
特に、マレイミド系高分子は前記ポリイミドとは異なり、成形物を形成する際に、イミド化させるための高温での焼成、所望のイミド化率を得るための焼成条件の厳密な制御、又は可溶性ポリイミドを得るための溶液中でのイミド化反応等の煩雑な工程が不要である。このため、例えばポリイミドに代えてマレイミド系高分子を使用することにより、工程の短縮、作業時間の短縮、作業の容易性の向上、又は品質の安定化等の改善が期待され、さらにそれらが改善された結果として、製造にかかるエネルギーの低減、又はコストの削減等の効果も期待される。
【0009】
一方、ポリイミド以外にも、ビスマレイミドとジアミンとを反応させて得られる高分子(以下、マレイミド系高分子ともいう)を含有する組成物も液晶配向剤として使用できることが知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。これらの文献に記載の高分子を使用した場合、液晶配向性及び電気光学特性は良好である。しかし、これらの文献に記載のビスマレイミドとジアミンとの重合反応は、毒性及び臭気の点で課題のあるクレゾール等のフェノール系溶剤中で行う必要があり、得られた高分子溶液をそのまま液晶配向剤として使用することは現実的ではなかった。即ち、重合の終了した高分子溶液にはフェノール系溶剤が存在し、この溶液からフェノール系溶剤を除くために、一旦メタノール等の貧溶剤中で得られた高分子を沈殿させ、該高分子をN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤やその他の組成物に再溶解して液晶配向剤を調製するような、煩雑な操作が必要であった。
【0010】
また、従来ビスマレイミドとジアミンとを反応させて得られる高分子(以下、マレイミド系高分子ともいう)、他の物質、及び溶剤を含有する組成物が、接着剤として使用できることが知られている(例えば、特許文献4参照)。これらの文献に記載のビスマレイミドとジアミンとの重合反応もまた、毒性及び臭気の点で課題のあるクレゾール等のフェノール系溶剤中で行う必要があり、得られた高分子溶液をそのまま組成物として使用することは現実的ではなかった。即ち、重合の終了した高分子溶液にはフェノール系溶剤が存在し、この溶液からフェノール系溶剤を除くために、一旦メタノール等の貧溶剤中で得られた高分子を沈殿させ、該高分子を他の溶剤に再溶解して接着剤組成物を調製するような、煩雑な操作が必要であった。また、この先行技術中には、本発明の組成物を用いた液晶配向剤が有する、優れた電気光学特性等に係わる効果が、記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平07−110483号公報
【特許文献2】特開平7−043725号公報
【特許文献3】特開平7−110483号公報
【特許文献4】特開平11−246840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、良好な特性を有する液晶配向膜の形成にも用いることができる、マレイミド系高分子を含有する新規な組成物を提供する。また、マレイミド系高分子共重合体の製造
方法、及び新規マレイミド系高分子共重合体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意研究を行った。その結果、マレイミド系高分子、添加剤、及び溶剤を含有する組成物を、液晶配向剤として使用したときに、液晶配向剤の電気特性が向上し、液晶表示素子のイオン密度が低下することを見出し、本発明を完成させた。また、上記添加剤が特定の化合物である場合、該化合物とマレイミド系高分子を共重合させた共重合体は新規コポリマーであった。本発明は以下のとおりである。
【0014】
[1]マレイミド系高分子、添加剤、並びにアルコール性水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択された何れか1種以上の溶剤を含有する組成物。
[2]前記マレイミド系高分子の重量平均分子量が3,000〜500,000である、[1]に記載の組成物。
[3]前記マレイミド系高分子がビスマレイミドとジアミンを用いてマイケル付加反応させた高分子である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]前記ジアミンは、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンである、[3]に記載の組成物。
[5]前記マレイミド系高分子が、アルコール性水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む溶剤中で重合させたものである、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]前記アルコール性水酸基を有する溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及び1)アルコール性水酸基、並びに2)アミド、エステル、及び環状エーテルからなる群から選択されるいずれか1種以上の基を有する高極性アルコールからなる群から選択されるいずれか1種以上を含む溶剤である、[5]に記載の組成物。
[7]前記高極性アルコールが、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び下記式(1)〜(21)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含み、前記プロトン性アミド系溶剤が下記式(22)〜(26)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、[6]に記載の組成物。
【化1】

[8]前記溶剤はアルコール性水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を含有し、溶剤全量に対して前記アルコール性水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を20重量%以上含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]前記マレイミド系高分子は、重合後に溶剤置換する工程を含まない方法で製造された、[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]前記添加剤が酸性基の構造、重合性基の構造、及び環状エステルの構造からなる群から選択されるいずれか1種以上の構造を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]前記添加剤が酸性基を含み、該酸性基がカルボキシル基、スルホン酸基、及びフェノール性水性基からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、[10]に記載の組成物。
[12]前記添加剤が酸性基を含み、該酸性基を含む添加剤が、ポリアミック酸、ポリエステル酸、及びポリマレアミック酸からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、[11]に記載の組成物。
[13]前記添加剤が酸性基を含み、該酸性基を含む添加剤が、前記マレイミド系高分子鎖中に組み込まれている、[10]〜[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]前記添加剤が酸性基を含み、該酸性基を含む添加剤が、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール、フラボノイド系フェノール、及びベンゾオキサジン化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、[1]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]前記添加剤が、環状エステル系化合物、エポキシ化合物、エポキシ化合物用硬化剤、マレイミド、ナジイミド、アクリル化合物、メタクリル化合物、ビニルスルホン化合物、チオール化合物、オキサゾリン化合物、チイラン化合物、金属化合物、界面活性剤、及び顔料からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、[1]〜[14]のいずれかに記載の組成物。
[16]前記添加剤が、エポキシ化合物、及び/又はオキサゾリンである[15]に記載の組成物。
[17]前記添加剤が、ノボラックエポキシ化合物である、[15]又は[16]に記載の組成物。
[18]前記添加剤が、ラクトンである、[15]〜[17]のいずれかに記載の組成物。
[19]ビスマレイミドとジアミンとを重合させて得られるマレイミド系高分子、並びにリンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び下記式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、及び(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を含有する組成物。
【化2】

[20]前記ジアミンが脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンである、[19]に記載の組成物。
[21]前記ビスマレイミドが下記式(M1)、(M2)、(M7)、及び(M8)で示される化合物からなる群から選択される一以上であり、前記ジアミンが下記式(II−1−5)、(II−1−6)、(II−1−22)、(II−1−24)、(II−1−30)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、[19]又は[20]に記載の組成物。
【化3】

[22]前記溶剤が、該溶剤全量に対してリンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を合計で20重量%以上含有する、[19]〜[21]のいずれか一項に記載の組成物。
[23]ビスマレイミドとジアミンとを含有する原料を、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び下記式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を含有する溶剤中で重合させて高分子を得る工程を含む、前記高分子と下記式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を含有する組成物の製造方法。
【化4】

[24]前記ジアミンが脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンである、[23]に記載の方法。
[25]前記ビスマレイミドが下記式(M1)、(M2)、(M7)、及び(M8)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含み、前記ジアミンが下記式(II−1−5)、(II−1−6)、(II−1−22)、(II−1−24)、(II−1−30)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、[23]または[24]に記載の方法。
【化5】

[26]前記溶剤が、該溶剤全量に対してリンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を合計で20重量%以上含有する、[23]〜[25]のいずれかに記載の方法。
[27]3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(イ):ビスマレイミドと過剰のジアミンを反応させることでアミノ基末端のオリゴマーを作製し、それに(ロ):テトラカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物無水物、又はジカルボン酸塩化物を添加することで共重合させる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
[28]3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(イ):ビスマレイミドと過剰のジアミンを反応させることでアミノ基末端のオリゴマーを作製し、それに(ハ):過剰のテトラカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物無水物、又はジカルボン酸塩化物、及びジアミン又はジオールとを用いて合成した酸無水物末端のオリゴマーを混合することで共重合させる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
[29]3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにマレアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(ニ):過剰の無水マレイン
酸とジアミンを反応させることでマレアミック酸基末端のオリゴマーを作製し、それに(ホ):ジアミン及びビスマレイミドを混合することで共重合させる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
[30]3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにマレアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(ニ):過剰の無水マレイン酸とジアミンを反応させることでマレアミック酸基末端のオリゴマーを作製し、それに(ヘ):過剰のジアミン及びビスマレイミドとを用いて合成したアミノ基末端のオリゴマーを混合して共重合させる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
[31]3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにマレアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(イ):ビスマレイミドと過剰のジアミンを反応させることでアミノ基末端のオリゴマーを作製し、それに(ト):無水マレイン酸、次いでジアミンを混合して共重合させる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
[32]主鎖中に、ジアミンとテトラカルボン酸誘導体から誘導されたアミック酸構成単位と、ジアミンとビスマレイミドから誘導された3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位とを有する共重合体。
[33]前記アミック酸構成単位の構築において、2級アミンを用いる、[32]に記載の共重合体。
[34]主鎖中に、ジオールとテトラカルボン酸誘導体から誘導されたエステル酸構成単位と、ジアミンとビスマレイミドから誘導された3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位とを有する共重合体。
[35]主鎖中に、無水マレイン酸とジアミンから誘導されたスクシンアミック酸構成単位と、ジアミンとビスマレイミドから誘導された3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位とを有する共重合体。
[36]前記スクシンアミック酸構成単位の構築において、2級アミンを用いる、[35]に記載の共重合体。
[37][1]〜[22]のいずれかに記載の組成物、[23]〜[26]のいずれかに記載の方法により製造された組成物、[27]〜[31]のいずれかに記載の製造方法により製造された共重合体、及び[32]〜[36]のいずれかに記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する被覆材料。
[38][1]〜[22]のいずれかに記載の組成物、[23]〜[26]のいずれかに記載の方法により製造された組成物、[27]〜[31]のいずれかに記載の製造方法により製造された共重合体、及び[32]〜[36]のいずれかに記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する絶縁材料。
[39][1]〜[22]のいずれかに記載の組成物、[23]〜[26]のいずれかに記載の方法により製造された組成物、[27]〜[31]のいずれかに記載の製造方法により製造された共重合体、及び[32]〜[36]のいずれかに記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有するプリント配線基板用材料。
[40][1]〜[22]のいずれかに記載の組成物、[23]〜[26]のいずれかに記載の方法により製造された組成物、[27]〜[31]のいずれかに記載の製造方法により製造された共重合体、及び[32]〜[36]のいずれかに記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する液晶配向剤。
[41][40]に記載の液晶配向剤の塗膜が加熱処理されて形成される液晶配向膜。
[42]一対の基板と、液晶分子を含有し、前記一対の基板の間に形成される液晶層と、液晶層に電圧を印加する電極と、前記液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜とを有する液晶表示素子において、
前記液晶配向膜が[41]に記載の液晶配向膜である液晶表示素子。
[43][1]〜[22]のいずれかに記載の組成物、[23]〜[26]のいずれかに記載の方法により製造された組成物、[27]〜[31]のいずれかに記載の製造方法により製造された共重合体、及び[32]〜[36]のいずれかに記載の共重合体、から選
択されるいずれかを含有する接着剤。
[44][1]〜[22]のいずれかに記載の組成物、[23]〜[26のいずれかに記載の方法により製造された組成物、[27]〜[31]のいずれかに記載の製造方法により製造された共重合体、及び[32]〜[36]のいずれかに記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する封止材。
[45][1]〜[22]のいずれかに記載の組成物、[23]〜[26]のいずれかに記載の方法により製造された組成物、[27]〜[31]のいずれかに記載の製造方法により製造された共重合体、及び[32]〜[36]のいずれかに記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する成形材料。
[46][1]〜[22]のいずれかに記載の組成物、[23]〜[26]のいずれかに記載の方法により製造された組成物、[27]〜[31]のいずれかに記載の製造方法により製造された共重合体、及び[32]〜[36]のいずれかに記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有するガス分離膜材料。
[47][1]〜[22]のいずれかに記載の組成物、[23]〜[26]のいずれかに記載の方法により製造された組成物、[27]〜[31]のいずれかに記載の製造方法により製造された共重合体、及び[32]〜[36]のいずれかに記載の共重合体、から選択されるいずれかから形成した線材用材料。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、マレイミド系高分子を含有する組成物を液晶配向剤に用いた場合、添加剤を添加することで、電気特性が向上する。すなわち、本発明の組成物は良好な電気特性を有する組成物を提供することができる。また、本発明によれば、新規な共重合体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、アルキレン中の−CH2−が−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、−NY2−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてもよく、アルキレン中の−CH2CH2−が−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH32−O−Si(CH32−、又は−N=N−で置き換えられてもよく、と定義されている場合は、以下の態様を含む。
例えばアルキレンが−(CH24−である場合、1つ又は複数の−CH2−が−O−で置き換えられて−O−(CH23−若しくは−O−CH2−O−CH2−となってもよく、1つ又は複数の−CH2CH2−がーCH=CH−で置き換えられて−CH=CH−(CH22−若しくは−CH=CH−CH=CH−となってもよく、又は−CH2−及び−CH2CH2−が同時に−O−及び−CH=CH−で置き換えられて−O−CH2−CH=CH−となってもよい。
上記の例でアルキレンがアルキルである場合も同様であり、例えばアルキルが−(CH23CH3である場合、1つ又は複数の−CH2−が−O−で置き換えられて−O−(CH22CH3−若しくは−O−CH2−O−CH3となってもよく、1つ又は複数の−CH2CH2−がーCH=CH−で置き換えられて−CH=CH−CH2−CH3−若しくは−CH=CH−CH=CH2となってもよく、又は−CH2−及び−CH2CH2−が同時に−O−及び−CH=CH−で置き換えられて−O−CH2−CH=CH2となってもよい。
上記のアルキレン中の−CH2−若しくは−CH2CH2−が置き換えられてもよい場合、又はアルキル中の−CH2−若しくは−CH2CH2−が置き換えられてもよい場合において、各基によって置き換えられてもよい基の選択肢の数又は種類が異なる場合においても、同様に考えるものとする。
上記のアルキレン中の−CH2−又は−CH2CH2−が置き換えられた基を、本発明においては「置き換えられたアルキレン」と記載することがあり、上記のアルキル中の−CH2−又は−CH2CH2−が置き換えられた基を、本発明においては「置き換えられたアルキル」と記載することがある。
なお、本発明においては、連続する2つの−CH2−が−O−で置き換えられて、−O−O−のようになることは好ましくない。
【0017】
本発明の組成物は、マレイミド系高分子、添加剤、及び溶剤を含有する。より具体的には、マレイミド系高分子、添加剤、並びにアルコール性水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択された何れか1種以上の溶剤を含有する組成物である。
【0018】
本発明の組成物におけるマレイミド系高分子の含有量は、マレイミド系高分子の溶剤に対する溶解度や前記組成物の用途に応じて0.05〜80重量%の範囲から決めることができる。例えば組成物が液晶配向剤である場合では、前記マレイミド系高分子の含有量は0.1〜40重量%であることが好ましい。また、本発明の組成物におけるマレイミド系高分子及び添加剤の合計の含有量は、前記組成物の用途に応じて0.05〜90重量%の範囲から決めることができる。例えば組成物が液晶配向剤である場合では、前記マレイミド系高分子及び添加剤の合計の含有量は0.1〜60重量%であることが好ましい。
【0019】
上記組成物の粘度は、その用途や採用する作業手段、マレイミド系高分子の濃度、マレイミド系高分子の種類、溶剤の種類と割合等の諸条件によって適宜決めることができる。例えば組成物の用途が液晶配向剤であって、印刷機によって塗膜を形成する場合は、塗膜の十分な膜厚を得る観点及び印刷ムラの発生の抑制の観点から、組成物の粘度は5〜100mPa・sであることが好ましく、10〜80mPa・sであることがより好ましい。また、スピンコートによって塗膜を形成する場合は、組成物の粘度は5〜200mPa・sであることが好ましく、10〜100mPa・sであることがより好ましい。
【0020】
上記組成物の粘度は、回転粘度測定法により測定することができ、例えば回転粘度計(東機産業製TVE−20L型)を用いて25℃の測定温度で測定することができる。
なお、本発明において、左右が非対称である基は、左右がどちらの方向を向いていてもよいものと定義する(例えば、−COCH=CH−は、「−COCH=CH−」又は「−CH=CHCO−」のいずれかを意味する)。アルキル又はアルキレン中の−CH2−が−O−で置き換えられる場合、−O−が連続することはない。アルキル又はアルキレンは、直鎖又は分岐のどちらでもよいものとする。
また、本願発明において、同一の記号が、同一の一般式又は異なる一般式に使用されているときは、それぞれの記号がその定義の範囲内で互いに独立した意味を有するものとする。
【0021】
マレイミド系高分子は、ビスマレイミドとジアミンとの反応生成物の構造であって、ビスマレイミドの不飽和結合へのジアミンのアミノ基の付加反応によって生じる重合体の構造(3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位)を多く有するものが好ましい。本発明に使用するマレイミド系高分子は、二重結合同士の反応に起因する、高分子鎖の枝分かれ、架橋、又は着色が顕著な単位を多く有する高分子よりも、ビスマレイミドとジアミンとのマイケル付加反応による、直鎖状で着色の少ない単位を多く有する高分子であることが好ましい。
【0022】
前記マレイミド系高分子をビスマレイミドとジアミンとの付加反応によって合成する場合には、反応時(重合時)における副反応(二重結合同士の反応による高分子鎖の枝分かれ若しくは架橋に起因する、反応液の固化若しくはゲル化、又は着色)を抑制する観点から、アルコール性水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤を含む溶剤を、重合時に使用する溶剤として用いることが好ましい。
【0023】
重合時に使用する溶剤に用いるアルコール性水酸基を有する溶剤としては、メタノール
、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族モノアルコール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール等の芳香族アルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコキシモノアルコール;エチレングリコール、グリセロール等の脂肪族多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル;トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル;1)アルコール性水酸基、並びに2)アミド、エステル、及び環状エーテルからなる群から選択される一以上の基とを有する高極性アルコール、プロトン性アミド系溶剤、又はこれらの混合物を含有する溶剤等を用いることができる。
高極性アルコールとして、具体的には、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール等の水酸基含有エステル、及び下記式(1)〜(21)で示される化合物などが挙げられる。
【0024】
【化6】

プロトン性アミド系溶剤として、具体的には、下記式(22)〜(26)で示される化合物などが挙げられる。
【0025】
【化7】

【0026】
重合時に使用する溶剤に、前記アルコール性水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を用いる場合、その使用量は重合時に使用する溶剤の総和に対して10〜100重量%となる量であることが、反応時(重合時)における副反応(二重結合同士の反応)に
よる枝分かれ、架橋(反応液の固化若しくはゲル化)、又は着色を抑制する観点から好ましい。なお、重合反応後に反応液を、前記アルコール性水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤以外の溶剤で希釈し、その結果、溶液中の前記アルコール性水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤が、溶剤の総和に対して10重量%を下回ることになっても、何等問題は無い。
前記溶剤のうち、前記高極性アルコール性水酸基を有する溶剤を含む溶剤を重合溶剤に用いることは、これらの溶剤がビスマレイミド、ジアミン、及び重合により得られる高分子を溶解させる能力、及び前記付加反応の過程における副反応を抑制する能力に優れているため、その結果として反応液の固化又はゲル化を抑制する観点から好ましい。
高極性アルコールとして、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び一般式(2)〜(7)、(17)〜(19)で示される化合物の使用が、上記の観点からより好ましい。
重合時に使用する溶剤に、前記アルコール性水酸基を有する溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤を用いる場合、臭気が少ないために重合時に使用する溶剤を含んだまま樹脂組成物として使用できる、すなわち重合後に溶剤置換する工程を含まない方法で製造できるため、好ましい。これらの溶剤を用いる場合、反応時(重合時)における副反応(マレイミド基の開環)を抑制する観点からも好ましい。
これらの溶剤を用いる場合、反応時(重合時)に触媒、例えばプロトン供与体、三級アミン、又はそれらを組み合わせた成分を反応系内に使用しなくても、高重合度のマレイミド系高分子が得られるため、好ましい。また、反応時(重合時)に触媒を反応系内に添加しなくてもよいため、不純物の混入が少ない高分子を得ることができ、品質の点で好ましい。さらに、重合後に高分子を精製する工程が不要であり、重合後の反応液をそのまま所望の用途に使用することができるため、工数の点で好ましい。あるいは、高分子溶液を使用して被膜を形成する際に、臭気、毒性、又は腐食性のある蒸気の発生が抑制されるため、好ましい。
なお、前記プロトン供与体としては無機酸(例えば塩化水素、硫酸、燐酸、若しくは過塩素酸等)、カルボン酸(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、若しくはトリフルオロ酢酸等)、フェノール類(例えばフェノール、クレゾール類、クロロフェノール類、キシレノール類、若しくはヒドロキノン等)、又は塩類(例えば塩化アンモニウム、硫化アンモニウム、塩化トリブチルアンモニウム、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、若しくは塩化アルミニウム等)等が挙げられ、三級アミン類としては例えばトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、又はジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。
重合時に使用する溶剤に、前記高極性アルコール系溶剤、又はプロトン性アミド系溶剤を用いる場合、高分子の溶解力が高いために樹脂組成物の保存安定性が良好であるため、好ましい。
重合時に使用する溶剤に、前記ベンジルアルコール等の芳香族アルコールを有する溶剤を用いる場合、剛直な構造の比率が高い組成の高分子の溶解力が高く重合時の操作性及び樹脂組成物の保存安定性が良好であるため、このような組成を使用する際には好ましい。
なお、重合時に使用する溶剤にフェノール性水酸基を有する溶剤を用いることは、組成物を使用する際の溶剤の揮発に伴う毒性や臭気の問題が生じる恐れがあるため、好ましくない。
【0027】
前記重合時に使用する溶剤に、前記アルコール性水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を用いる場合、その使用量は、前記付加反応における原料であるビスマレイミド及びジアミンと前記溶剤との総和に対する前記原料の濃度が0.5〜70重量%となる量であることが前記付加反応の過程における反応液の固化又はゲル化を抑制する観点から好ましく、1〜50重量%となる量であることがより好ましい。
【0028】
前記マレイミド系高分子を得る際の反応(重合)温度は、モノマーの反応性等に応じて適宜変更してよい。好ましくは、−50℃〜溶剤の沸点である。より好ましくは、−20
℃〜溶剤の沸点である。
反応時間は、モノマーの反応性等に応じて適宜変更してよい。好ましくは1〜200時間である。より好ましくは、2〜100時間である。また、重合時の圧力としては常圧であることが好ましい。
【0029】
本発明のマレイミド系高分子は、上記ビスマレイミドと上記ジアミンとが、モル比で0.8:1.2〜1.2:0.8の割合で存在する原料を反応に供することで得ることが好ましく、原料のモル比が0.9:1.1〜1.1:0.9であることがより好ましい。また、マレイミド系高分子と組み合わせる添加剤が、高分子または重合性基を有する化合物である場合は、上記ビスマレイミドと上記ジアミンとが、モル比で0.5:1.0〜1.0:0.5の割合であることが好ましい。
【0030】
マレイミド系高分子の重量平均分子量は、使用時の取扱い性の観点から、3,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜250,000であることがより好ましく、10,000〜200,000であることがさらに好ましく、20、000〜150,000であることが特に好ましい。また、マレイミド系高分子と組み合わせる添加剤が、高分子または重合性基を有する化合物である場合は、マレイミド系高分子の重量平均分子量が3,000以下であっても好ましい。
【0031】
重量平均分子量は、測定機器にAlliance2695、WATERS社製を用い、展開溶剤に1%リン酸含有N,N−ジメチルホルムアミドを用い、標準試料として(ポリスチレン)を用い、カラムにHSPgel(登録商標) RTMB−M、WATERS社製を用いて液体クロマトグラフィー分析を行うことによって測定することができる。
【0032】
本発明のマレイミド系高分子を構成するビスマレイミドは、ジアミン又はその誘導体から製造することができる。具体的には、例えばジアミンと、このジアミンに対して2モル比以上の無水マレイン酸とを付加反応させ、次いで酸の存在下で脱水イミド化させる方法等、公知の方法(特開平05−140096等)に準じて製造することができる。
【0033】
本発明のマレイミド系高分子を構成するビスマレイミドは、特段の限定はなく、どのような構造のものでも用いることができる。例えば、下記式(M)で示される構造のビスマレイミドや、特開2002−265541号公報に記載されているビスマレイミドが挙げられる。
【0034】
【化8】

【0035】
上記式(M)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキルを表す。Rの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルペンチル、イソプロピル、イソブチル、ターシャリーブチル、イソペンチル、セカンダリーイソペンチル、ネオペンチル及びターシャリーペンチルが挙げられる。
【0036】
本発明のマレイミド系高分子を構成するジアミンは、特段の限定はなく、芳香族ジアミ
ン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、シロキサン骨格ジアミンなど、どのような構造のものでも用いることができる。例えば、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
20−HN−X1−X1−X1−X1−X1−X1−X1−NH−Y20 (I)
【0037】
一般式(I)において、Y20は独立して下記一般式(XXI)を表し、
〜A1−A1−A1−A1−A1−A1−A2 (XXI)
【0038】
一般式(XXI)において、
1は独立して単結合、炭素数1〜12のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
1がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、A1のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、アルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、A1のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよく、
1が環である場合、環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、−N(Y22、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよく、
〜A3−A3−A3−A2 (XXII)
【0039】
一般式(XXII)において、
3は独立して単結合、直鎖又は分岐の炭素数1〜30のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
3がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、A3のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、A3のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
3が環である場合、環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、
【0040】
一般式(I)において、
1は独立して単結合、炭素数1〜30のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を有する2価の基を表し、
1がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY1−、−C(Y12−、又は−NY1−で置き換えられてよく、
1のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、 アルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2−は独立して−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、アルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、X1のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F
、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、で置き換えられてよく、
1が環である場合、骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環上の−Hは、独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−Y1で置き換えられてよく、−CHY1−、−C(Y12−、及び−Y1におけるY1は独立して、−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は下記一般式(XXI)を表し、−NY1−におけるY1は下記一般式(XXI)を表し、
〜A1−A1−A1−A1−A1−A1−A2 (XXI)
【0041】
一般式(XXI)において、
1は独立して単結合、炭素数1〜12のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、及び酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
1がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、A1のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、A1のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよく、
1が環である場合、環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、−N(Y22、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよく、
〜A3−A3−A3−A2 (XXII)
【0042】
一般式(XXII)において、
3は独立して単結合、直鎖又は分岐の炭素数1〜30のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
3がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、A3のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、A3のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
3が環である場合、環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、
【0043】
一般式(XXI)又は一般式(XXII)において、
2は独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜40のアルキルを表し、
2がアルキルである場合、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
【0044】
一般式(I)を構成する各基において、Y22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキ
ル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよく、
【0045】
一般式(I)において、Y20は、他方のアミノ基のY20に、又は独立してX1に結合して環を形成してもよく、Y1が複数存在するときは、互いに結合して環を形成してもよく、但し、X1の少なくとも1つは炭素数1〜30のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表す。
【0046】
本発明に用いることができるジアミンは、具体的には下記一般式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、又は(IX)で示される。
【0047】
【化9】

【0048】
一般式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、及び(IX)中、
−NH2上の1つの−Hは独立して炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてよく、
アルキル中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2−は
独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
一般式(II)中、
21は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数1〜20のアルキレンを表し、前記アルキル又はアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、アルキル又はアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、アルキル又はアルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル又はアルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、このアルキル若しくはアルキレン、又は置き換えられたアルキル若しくは置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、で置き換えられてよく、Y21が前記の炭素数1〜20のアルキレンである場合は、Y21は、他方のアミノ基のY21に、又は独立してY1に結合して環を形成し、
一般式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)中、
−NH2と、シクロヘキサン環、ベンゼン環、又はこれらの環が置き換えられたシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ジオキソオキサゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、ジオキソチアゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン、ナフタレン、アントラセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、クリセン、ペリレン、ピセン、ペンタセン、フラン、チオフェン、ピラン、クロメン、イソクロメン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、インドリジン、フラザン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、9H−キサンテン、ベンゾ[b]チオフェン、フェノキサチイン、チアントレン、シクロペンタ[a]フェナントレン(ステロイド)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.2]オクタンとの間の単結合は、炭素数1〜12のアルキレンで置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、アルキレン中のNH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキレン中のNH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてよく、
【0049】
一般式(II)において、
2は独立して炭素数1〜12のアルキレンを表し、
アルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、アルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキレン中の−NH−と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてよく、
【0050】
一般式(IV)、(VI)、(VII)、及び(VIII)において、
3は独立して単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−COO−、−NH−、−N(CH3)−(CH2m−N(CH3)−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、−S−(CH2m−S−(mは1〜6の整数を表す)、−COCH=CH−、−N=N−、又は−C≡C−を含む基であり、
【0051】
一般式(IX)において、
4は独立して炭素数1〜6のアルキレン、又はフェニレンを表し、フェニレン上の−Hは独立して炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよく、
22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよく、
lは1〜10の整数を表し、
【0052】
一般式(II)〜(VIII)において、
1は独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は下記一般式(XXI)を表し、
〜A1−A1−A1−A1−A1−A1−A2 (XXI)
【0053】
一般式(XXI)において、
1は独立して単結合、炭素数1〜12のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
1がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、A1のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、A1のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよく、
1が環である場合、環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、−N(Y22、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよく、
〜A3−A3−A3−A2 (XXII)
【0054】
一般式(XXII)において、
3は独立して単結合、直鎖又は分岐の炭素数1〜30のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
3がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、
−CO−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、A3のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、A3のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
3が環である場合、環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、
【0055】
一般式(XXI)又は一般式(XXII)において、
2は独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜40のアルキルを表し、
2がアルキルである場合、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
【0056】
一般式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)中、aは結合先の構造に応じて0〜4の整数を表し、
一般式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)中、シクロヘキサン環又はベンゼン環は独立してシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、ジメチルシクロヘキサン、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ジオキソオキサゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、ジオキソチアゾリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン、ナフタレン、アントラセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、クリセン、ペリレン、ピセン、ペンタセン、フラン、チオフェン、ピラン、クロメン、イソクロメン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、1H−1−ピリンジン、1H−2−ピリンジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、インドリジン、フラザン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、9H−キサンテン、ベンゾ[b]チオフェン、フェノキサチイン、チアントレン、シクロペンタ[a]フェナントレン(ステロイド)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、又はビシクロ[2.2.2]オクタン等で置き換えられてよい。
【0057】
本発明に用いることができるジアミンは、要求される特性に応じて適宜使用できる。
例えば、VA又はTN液晶表示素子等には、配向性側鎖構造を有するジアミンの使用が好ましい。配向性側鎖構造を有するジアミンとは、例えば二つのアミノ基を結ぶ置換基を主鎖としたときに、主鎖から分岐する置換基(側鎖)を有し、かつ液晶に対して垂直配向性又はプレチルト角を発現させる性質を有するジアミンである。側鎖は、要求される配向
性に応じて適宜選択すればよい。
一方、IPS液晶表示素子等には、配向性側鎖構造を有さないジアミンの使用が好ましい。
これらのジアミンでは、二つのアミノ基が同じ六員環の炭素に結合している場合は、互いにメタ又はパラに結合していることが好ましい。
【0058】
本発明に用いることができるジアミンの具体例としては、一般式(II−1)、(II−2)、(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(V−2)、(V−3)、(V−11)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)、(VI−11)、(VI−12)、(VI−21)、(VI−22)、(VII−1)、(VII−2)、(VII−3)、(VII−11)、(VII−12)、(VII−13)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−3)、(VIII−4)、(VIII−11)、又は(IX−1)で表される化合物が挙げられる。
【0059】
【化10】

【0060】
【化11】

【0061】
【化12】

【0062】
一般式(II−2)、(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(V−2)、(V−3)、(V−11)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)、(VI−11)、(VI−12)、(VI−21)、(VI−22)、(VII−1)、(VII−2)、(VII−3)、(VII−11)、(VII−12)、(VII−13)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−3)、(VIII−4)、(VIII−11)、及び(IX−1)において、
−NH2上の1つの−Hは独立して炭素数1〜12のアルキルで置き換えられてよく、
アルキル中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、アルキル中のNH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中のNH2と隣接しない−
CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
一般式(II−1)において、
21は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数1〜20のアルキレンを表し、前記アルキル又はアルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、アルキル又はアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、アルキル又はアルキレン中の−NHと隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル又はアルキレン中の−NHと隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、このアルキル若しくはアルキレン、又は置き換えられたアルキル若しくは置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、で置き換えられてよく、Y21が前記の炭素数1〜20のアルキレンである場合は、Y21は、他方のアミノ基のY21に、又は独立してY3に結合して環を形成し、
一般式(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(V−2)、(V−11)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)、(VI−11)、(VI−12)、(VI−21)、(VI−22)、(VII−1)、(VII−2)、(VII−3)、(VII−11)、(VII−12)、(VII−13)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−3)、(VIII−4)、及び(VIII−11)において、
−NH2と、シクロヘキサン環、ベンゼン環、又はこれらが置き換えられたピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロリジン環、ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ステロイド環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾフラン環、クロメン環、イソクロメン環、9H−キサンテン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、又はフルオレン環との間の単結合は、炭素数1〜12のアルキレンで置き換えられてよく、
アルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、
アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキレン中の−NH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、
アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
【0063】
一般式(II−1)中、X11は0〜4個の−Y3を置換基として有する炭素数1〜12のアルキレンを表し、
(V−3)及び(VII−13)中、X11は独立して炭素数1〜12のアルキレンを表し、
(II−2)中、X11は−X12−Y11を置換基として有する炭素数1〜12のアルキレンを表し、
一般式(II−1)、(II−2)、(V−3)、及び(VII−13)のX11において、
アルキレン中の−CH2−は独立して−NH−、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、
アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、又は−C≡C−で置き換えられてよく、
アルキレン中のNH2と隣接しない−CH2−は独立して−O−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキレン中のNH2と隣接しない−CH2CH2−は独立して−N=N−で置き換えられてよく、アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてよく、
一般式(II−2)において、X12は単結合又は2価の有機基を表す。
一般式(VI−11)、(VII−11)、及び(VIII−11)において、X5は独立して−COCH=CH−、−N=N−、又は−C≡C−を表す。
【0064】
一般式(IV−1)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)、(VI−11)、(VI−12)、(VII−1)、(VII−3)、(VII−11)、(VII−12)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−3)、(VIII−4)、及び(VIII−11)において、
6は独立して単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−COO−、−NH−、−N(CH3)−(CH2m−N(CH3)−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、−S−(CH2m−S−(mは1〜6の整数を表す)、−COCH=CH−、−N=N−、又は−C≡C−を表す。
【0065】
一般式(IX−1)において、
7は独立して炭素数1〜6のアルキレン又はフェニレンを表し、X7がフェニレンである場合はフェニレン上の−Hは独立して炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよい。
一般式(VIII−2)において、
8は独立して単結合又は炭素数1〜3のアルキレンを表し、
9は独立して単結合、1,4−フェニレン又は1,4−シクロヘキシレンを表す。
【0066】
一般式(V−2)、及び(VI−3)において、
10は独立して単結合、−O−、−COO−、−CO−、−CONH−、−(CH2m−(mは1〜6の整数を表す)、−CHY2−、−C(Y22−、又は−NY2−を表し、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表す。
一般式(V−3)において、X13は独立して単結合、または炭素数1〜30のアルキレンを表し、
13がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、−CHY2−、−C(Y22−、−NY2−、−S−、−SO−、−SO2−、又は−Si(Y222−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、X13のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、X13のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、Y22は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、又はフェニルを表し、フェニル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルで置き換えられていてもよい。
【0067】
一般式(II−1)、(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(V−11)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)、(VI−11)、(VI−12)、(VII−1)、(VII−2)、(VII−3)、(VII−11)、(VII−12)、(VII−13)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−3)、(VIII−4)、及び(VIII−11)において、aは結合先の構造に応じて0〜4の整数を表す。
【0068】
一般式(V−3)、(VII−3)、(VII−13)、及び(VIII−4)において、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表す。
一般式(II−1)、(III−1)、(IV−1)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)、(VI−11)、(VI−12)、(VII−1)、(VII−11)、(VII−12)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−3)、(VIII−4)、及び(VIII−11)において、
3は独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32、又は炭素数1〜2のアルキルを表し、
3がアルキルである場合、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
3が複数存在するときは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0069】
一般式(V−1)において、
4は独立してベンジル、−H、−F、−Cl、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、−NHY5、又は−N(Y52を表し、Y5は独立して炭素数1〜30のアルキル、又は炭素数2〜30のアルケニルを表す。
一般式(IX−1)において、Y6は独立して炭素数1〜3のアルキル又はフェニルを表し、lは1〜10の整数を表す。
一般式(VI−2)において、Y7は独立して炭素数1〜30のアルキル、シクロヘキシル、又はビシクロヘキシルを表し、
7がシクロヘキシル又はビシクロヘキシルである場合、シクロヘキシル又はビシクロヘキシル上の−Hは独立して炭素数1〜30のアルキルで置換されてもよい。
【0070】
一般式(VIII−2)において、
8は−H又は炭素数1〜30のアルキルを表し、
8がアルキルである場合、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0071】
一般式(VIII−3)において、
9は炭素数6〜30のアルキルを表し、
10は炭素数1〜30のアルキルを表す。
【0072】
一般式(VII−2)において、
17は−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜20のアルキルを表し、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独
立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0073】
一般式(II−2)、(V−2)、及び(VI−3)において、Y11は下記一般式(XXIII)で表される基を有し、
【0074】
【化13】

【0075】
一般式(XXIII)において、
環Sは独立してシクロペンタン環、シクロヘキサン環、1,3−ジオキサン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、フェニレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、ナフタレン環、アントラセン環、インドール環、ステロイド環、ヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン環、サクシニミド環、グルタルイミド環、フタルイミド環、又はスピロ[4.5]デカン環を有する基を表し、
環S上の−Hは独立して−F、−Cl、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、炭素数1〜30のアルキル、又はフェニルで置き換えられてよく、
環S上の−Hがアルキルで置き換えられた場合、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−でさらに置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH32−O−Si(CH32−、又は−N=N−でさらに置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32でさらに置き換えられてよく、
環S上の−Hがフェニルで置き換えられた場合、フェニル上の−Hは独立して、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32でさらに置き換えられていてもよく、
4は独立して、単結合、又は炭素数1〜12のアルキレンを表し、
4がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
12は独立して、−F、−CH3、又はサクシニミド環を有する基を表し、
bは独立して0〜1の整数を表し、c、d、及びeは独立して0〜3の整数を表し、fは独立して0〜4の整数を表し、c+d+e≧1でかつ6≧b+c+d+eであり、
13は−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は炭素数1〜30のアルキルを表し、
13がアルキルである場合、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH32−O−Si(CH32−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよい。
【0076】
一般式(V−11)、(VI−12)、(VI−21)、(VI−22)、及び(VII−12)において、Y14は独立して下記一般式(XXI)を表す。
〜A1−A1−A1−A1−A1−A1−A2 (XXI)
【0077】
一般式(XXI)において、
1は独立して単結合、直鎖又は分岐の炭素数1〜30のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、及び酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
1がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、アルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよく、
1が環である場合、環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は下記一般式(XXII)で置き換えられてよい。
〜A3−A3−A3−A2 (XXII)
【0078】
一般式(XXII)において、
3は独立して単結合、直鎖又は分岐の炭素数1〜30のアルキレン、あるいは骨格を構成する炭素、窒素、酸素、硫黄、及びケイ素数の和が3〜30である環を表し、
3がアルキレンである場合、アルキレン中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、−CO−、又は−NY2−で置き換えられてよく、Y2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、A3のアルキレン中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、A3のアルキレン又は置き換えられたアルキレン上の−Hは独立して−F、−Br、−Cl、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルで置き換えられてよく、
3が環である場合、環上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は−N(Y22で置き換えられてよく、
2は独立して−H、−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32、又は直鎖又は分岐の炭素数1〜40のアルキルを表し、
2がアルキルである場合、アルキル中の−CH2−は独立して−O−、−NH−、又は−CO−で置き換えられてよく、アルキル中の−CH2CH2−は独立して−CH=CH−、−C≡C−、又は−N=N−で置き換えられてよく、アルキル又は置き換えられたアルキル上の−Hは独立して−F、−Cl、−Br、−C≡N、−OH、−COOH、−SO3H、又は−PO32で置き換えられてよく、
但し、Y14の少なくとも1つは−COCH=CH−、−N=N−、又は−C≡C−を含む基である。
【0079】
一般式(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(V−2)、(V−11)、(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)、(VI−11)、(VI−12)、(VI−21)、(VI−22)、(VII−1)、(VII−2)、(VII−3)、(VII−11)、(VII−12)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−3)、(VIII−4)、及び(VIII−11)において、
シクロヘキサン環又はベンゼン環は独立して、ピペラジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾ
ール環、ピラゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピロリジン環、1H−1−ピリンジン環、1H−2−ピリンジン環、インドリジン環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ステロイド環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ヘキサヒドロ−フロ[3.2−b]フラン環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾフラン環、クロメン環、イソクロメン環、9H−キサンテン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、又はフルオレン環で置き換えられてよい。
【0080】
更に具体的には、下記一般式で表される化合物が挙げられる。
一般式(II−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(II−1−1)〜(II−1−14)、及び(II−1−21)〜(II−1−30)で表されるジアミンが挙げられる。
【0081】
【化14】

【0082】
一般式(II−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(II−2−1)〜(II−2−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0083】
【化15】

【0084】
一般式(III−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(III−1−1)、(III−1−5)で表されるジアミンが挙げられる。
【0085】
【化16】

【0086】
一般式(IV−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(IV−1−1)〜(IV−1−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0087】
【化17】

【0088】
一般式(V−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(V−1−1)〜(V−1−26)で表されるジアミンが挙げられる。
【0089】
【化18】

【0090】
一般式(V−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(V−2−1)〜(V−2−54)で表されるジアミンが挙げられる。
【0091】
【化19】

【0092】
【化20】

【0093】
【化21】

【0094】
【化22】

【0095】
【化23】

【0096】
前記一般式(V−2−1)〜(V−2−54)中、
2は独立して−H、炭素数1〜20のアルキル、又は炭素数2〜20のアルケニルを表し、
5は独立して炭素数1〜30のアルキル、又は炭素数2〜30のアルケニルを表し、
16は独立して−H、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜29のアルコキシ、又は炭素数2〜30のアルケニルを表し、
18は独立して−F、−CF3、又は−OCF3を表す。
【0097】
一般式(V−3)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(V−3−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0098】
【化24】

【0099】
一般式(V−11)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(V−11−1)〜(V−11−19)、(V−11−21)〜(V−11−23)、及び(V−11−31)〜(V−11−55)で表されるジアミンが挙げられる。
【0100】
【化25】

【0101】
【化26】

【0102】
【化27】

【0103】
【化28】

【0104】
【化29】

【0105】
【化30】

【0106】
【化31】

【0107】
【化32】

【0108】
一般式(VI−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VI−1−1)〜(VI−1−40)で表されるジアミンが挙げられる。
【0109】
【化33】

【0110】
【化34】

【0111】
一般式(VI−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VI−2−1)〜(VI−2−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【0112】
【化35】

【0113】
一般式(VI−2−1)〜(VI−2−8)中、
15は独立して炭素数3〜30のアルキル、炭素数3〜29のアルコキシ、又は炭素数3〜30のアルケニルを表す。
16は独立して−H、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜29のアルコキシ、又は炭素数2〜30のアルケニルを表す。
【0114】
一般式(VI−3)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VI−3−1)〜(VI−3−2)で表されるジアミンが挙げられる。
【化36】

【0115】
一般式(VI−3−1)〜(VI−3−2)中、
15は独立して炭素数3〜30のアルキル、炭素数3〜29のアルコキシ、又は炭素数3〜30のアルケニルを表す。
16は独立して−H、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜29のアルコキシ、又は炭素数2〜30のアルケニルを表す。
【0116】
一般式(VI−11)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VI−11−1)〜(VI−11−16)で表されるジアミンが挙げられる。
【0117】
【化37】

【0118】
一般式(VI−12)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VI−12−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0119】
【化38】

【0120】
一般式(VI−21)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VI−21−1)〜(VI−21−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【0121】
【化39】

【0122】
【化40】

【0123】
一般式(VI−22)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VI−22−1)〜(VI−22−2)で表されるジアミンが挙げられる。
【0124】
【化41】

【0125】
一般式(VII−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VII−1−1)〜(VII−1−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【0126】
【化42】

【0127】
一般式(VII−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VII−2−
1)〜(VII−2−15)で表される化合物が挙げられる。
【0128】
【化43】

【0129】
一般式(VII−3)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VII−3−1)〜(VII−3−4)で表される化合物が挙げられる。
【0130】
【化44】

【0131】
一般式(VII−11)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VII−11−1)〜(VII−11−6)で表されるジアミンが挙げられる。
【0132】
【化45】

【0133】
一般式(VII−12)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VII−12−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0134】
【化46】

【0135】
一般式(VII−13)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VII−1
3−1)〜(VII−13−4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0136】
【化47】

【0137】
一般式(VIII−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VIII−1−1)〜(VIII−1−16)で表されるジアミンが挙げられる。
【0138】
【化48】

【0139】
一般式(VIII−2)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VIII−2−1)〜(VIII−2−8)で表されるジアミンが挙げられる。
【0140】
【化49】

【0141】
一般式(VIII−2−1)〜(VIII−2−8)中、
16は独立して−H、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜29のアルコキシ、又は炭素数2〜30のアルケニルを表す。
【0142】
一般式(VIII−3)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VIII−3−1)〜(VIII−3−3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0143】
【化50】

【0144】
一般式(VIII−3−1)〜(VIII−3−3)中、
16は独立して−H、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜29のアルコキシ、又は炭素数2〜30のアルケニルを表し、
9は炭素数6〜30のアルキルを表す。
【0145】
一般式(VIII−4)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VIII−4−1)〜(VIII−4−8)で表される化合物が挙げられる。
【0146】
【化51】

【0147】
【化52】

【0148】
一般式(VIII−11)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(VIII−11−1)で表されるジアミンが挙げられる。
【0149】
【化53】

【0150】
一般式(IX−1)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(IX−1−1)で表される化合物が挙げられる。
【0151】
【化54】

【0152】
前記一般式で表した以外のジアミンとしては、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、及びフルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン等が挙げられる。
【0153】
本発明のマレイミド系高分子を構成するジアミンは、上記ジアミンのうち、反応性の観点から、上記一般式(II−1)、(III−1)、(IV−1)、(IX−1)、(V−1−20)〜(V−1−22)、又は(VI−1−40)で表される脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンが好ましく用いられる。
特にマレイミド系高分子を構成するモノマーとしてジアミンに脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンを用いる場合には、反応時(重合時)に触媒、例えばプロトン供与体、三級アミン、又はそれらを組み合わせた成分を反応系内に使用しなくても、高重合度のマレイミ
ド系高分子が得られるため、好ましい。また、反応時(重合時)に触媒を反応系内に添加しなくてもよいため、不純物の混入が少ない高分子を得ることができ、品質の点で好ましい。さらに、重合後に高分子を精製する工程が不要であり、重合後の反応液をそのまま所望の用途に使用することができるため、工数の点で好ましい。あるいは、高分子溶液を使用して被膜を形成する際に、臭気、毒性、又は腐食性のある蒸気の発生が抑制されるため、好ましい。
なお、前記プロトン供与体としては無機酸(例えば塩化水素、硫酸、燐酸、若しくは過塩素酸等)、カルボン酸(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、若しくはトリフルオロ酢酸等)、フェノール類(例えばフェノール、クレゾール類、クロロフェノール類、キシレノール類、若しくはヒドロキノン等)、又は塩類(例えば塩化アンモニウム、硫化アンモニウム、塩化トリブチルアンモニウム、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、若しくは塩化アルミニウム等)等が挙げられ、三級アミン類としては例えばトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、又はジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。
【0154】
本発明の組成物は、上記マレイミド系高分子の他に、添加剤及び溶剤を含有する。
上記添加剤は、組成物に添加することができるものであれば特段の限定はされず、各種モノマー等の低分子化合物、ポリイミド等の高分子化合物などを用いることができる。さらに、上記添加剤は、酸性の添加剤とそれ以外の添加剤に大別される。
上記添加剤は、揮発性の添加剤を使用する場合は、揮発した添加剤による腐食、又は添加剤の有する毒性若しくは臭気等の問題を回避するため、これらの問題が無いか若しくは少ないものの使用、又は添加剤の分子中に重合性基を有するものの使用が好ましい。不揮発性の添加剤の使用は、揮発に伴うこれらの問題が生じないため、好ましい。
【0155】
上記の酸性の添加剤は酸性基を含む添加剤であり、酸性基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などがあげられる。酸性の添加剤としては、ポリアミック酸、ポリエステル酸、又はポリマレアミック酸などのカルボン酸系添加剤、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フラボノイド系フェノール、又は反応時にフェノール性水酸基を生成するベンゾオキサジン化合物などのフェノール系添加剤、などが挙げられる。酸性の添加剤は、添加剤による腐食、又は添加剤の有する毒性若しくは臭気等の問題を回避するため、揮発性が無いものの使用が好ましい。
【0156】
上記ポリアミック酸は、テトラカルボン酸無水物とジアミンを反応させることで得られ、上記ポリエステル酸は、テトラカルボン酸無水物とジオールを反応させることで得られ、上記ポリマレアミック酸は、無水マレイン酸とジアミンを反応させることで得られる。反応は公知の方法で行えばよい。例えば、ポリアミック酸であれば、原料投入口、窒素導入口、温度計、攪拌機及びコンデンサーを備えた反応容器に、ジアミンを仕込む。次に溶剤(例えば、アミド系極性溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンやジメチルホルムアミド等)及びテトラカルボン酸を投入する。攪拌下に温度0〜70℃で1〜48時間反応させることで得ることができる。
【0157】
添加剤としての上記ポリアミック酸の重量平均分子量は、500〜500,000であることが好ましく、1,000〜250,000であることがより好ましい。また、添加剤としての上記ポリエステル酸の重量平均分子量は、500〜500,000であることが好ましく、1,000〜250,000であることがより好ましい。また、添加剤としての上記ポリマレアミック酸の重量平均分子量は、500〜500,000であることが好ましく、1,000〜250,000であることがより好ましい。
上記カルボン酸系添加剤は、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜10,000重量部添加することが好ましく、0.05〜1,000重量部添加することがより好ましい。
【0158】
上記ポリアミック酸やポリマレアミック酸の調製に用いるジアミンは公知のジアミンを用いることができ、式(I)に述べたジアミンを例示することができる。
【0159】
また、ポリアミック酸、ポリエステル酸、ポリマレアミック酸などのカルボン酸系添加剤の原料にこれらのジアミンを使用する際、−NH2上の1つの−Hがアルキル等で置き換えられたジアミンを用いることにより、加熱処理時にイミド化が起きないような構造の分子を設計することが可能である。従って、これらのイミド化が起きない添加剤とマレイミド系高分子とを任意の計算された割合で混合することにより、塗膜を加熱処理する際の条件変動に起因する、イミド化率のばらつきを排除することが可能となり、その効果によって塗膜の基板への密着性、電気特性、又は塗膜を液晶配向膜に使用した時のプレチルト角等、それぞれの変化を抑制することが可能となり、安定した品質の製品を得ることができる。
【0160】
上記ポリアミック酸やポリエステル酸の調製に用いるテトラカルボン酸無水物としては、例えば芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、及び脂環式テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0161】
本発明に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、式(K−1)〜(K−12)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0162】
【化55】

【0163】
式(K−1)において、G11は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、1,4−フェニレン環、もしくは1,4−シクロヘキシレン環を表し、Q1はそれぞれ独立して単結合もしくはCH2を表し、例えば下記構造式(K−1−1)〜(K−1−12)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0164】
【化56】

【0165】
【化57】

【0166】
式(K−2)において、R13、R14、R15、およびR16は独立して水素、メチル、エチル、もしくはフェニルを表し、例えば下記構造式(K−2−1)〜(K−2−7)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0167】
【化58】

【0168】
【化59】

【0169】
式(K−3)において、環A5はシクロヘキサン環もしくはベンゼン環を表し、例えば下記構造式(K−3−1)又は(K−3−2)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0170】
【化60】

【0171】
【化61】

【0172】
式(K−4)において、G12は単結合、−CH2−、−CH2CH2−、−O−、−S−、−C(CH32−、−SO−、または−C(CF32−を表し、環A5はそれぞれ独立してシクロヘキサン環もしくはベンゼン環を表し、例えば下記構造式(K−4−1)〜(K−4−22)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0173】
【化62】

【0174】
【化63】

【0175】
式(K−5)において、R17は水素、またはメチルを表し、例えば下記構造式(K−5−1)又は(K−5−2)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0176】
【化64】

【0177】
【化65】

【0178】
式(K−6)において、Q1はそれぞれ独立して単結合もしくは−CH2−を表し、vは1または2を表し、例えば下記構造式(K−6−1)又は(K−6−11)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0179】
【化66】

【0180】
【化67】

【0181】
式(K−7)において、Q1は単結合もしくは−CH2−を表し、例えば下記構造式(K−7−1)又は(K−7−2)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0182】
【化68】

【0183】
【化69】

【0184】
式(K−8)において、R18は水素、メチル、エチル、もしくはフェニルを表し、環A6はシクロヘキサン環もしくはシクロヘキセン環を表し、例えば下記構造式(K−8−1)〜(K−8−20)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0185】
【化70】

【0186】
【化71】

【0187】
式(K−9)において、w1およびw2は0または1を表す。例えば下記構造式(K−9−1)〜(K−9−3)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0188】
【化72】

【0189】
式(K−10)は以下のテトラカルボン酸二無水物である。
【化73】

【0190】
【化74】

【0191】
式(K−11)において、環A5はシクロヘキサン環またはベンゼン環を表す。例えば下記構造式(K−11−1)〜(K−11−3)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0192】
【化75】

【0193】
【化76】

【0194】
式(K−12)において、Q2は炭素数2から6のアルキルを表し、例えば下記構造式(K−12−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0195】
【化77】

【0196】
好ましいテトラカルボン酸二無水物としては、以下の構造を挙げることができる。
【化78】

【0197】
上記ポリエステル酸の調製に用いるジオールとしては、公知のジオールを用いることができ、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、3,6−オクタンジオール、1,2,8−オクタン
トリオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2,10−デカントリオール、1,2−ドデカンジオール、又は1,12−ドデカンジオール、などが挙げられる。
【0198】
ノボラック樹脂の例としては、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂などが挙げられる。これらは、公知の樹脂であり、市販品を用いることができる。上記ノボラック樹脂を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
【0199】
ポリビニルフェノール樹脂の例は、ポリ−o−ビニルフェノール、ポリ−m−ビニルフェノール、ポリ−p−ビニルフェノール、ポリ−o−イソプロペニルフェノール、ポリ−m−イソプロペニルフェノール、又はポリ−p−イソプロペニルフェノールなどが挙げられる。さらにこれらの重合体は他の構成単位を含む共重合体でもよい。これらも公知の樹脂であり、公知の方法で重合するか、市販品を用いることができる。上記ポリビニルフェノール樹脂を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
【0200】
フラボノイド系フェノールの例は、5−ヒドロキシフラボン、6−ヒドロキシフラボン、7−ヒドロキシフラボン、6−ヒドロキシフラバン−4−オン、7−ヒドロキシフラバン−4−オン、2’−ヒドロキシフラバン−4−オン、3’−ヒドロキシフラバン−4−オン、4’−ヒドロキシフラバン−4−オン、5,7−ジヒドロキシフラボン、5,7−ジヒドロキシ−4’,6−ジメトキシフラボン、5,7−ジヒドロキシ−4’−メトキシフラボン、3,5,7−トリヒドロキシフラボン、4’,5,7−トリヒドロキシフラボン、5,6,7−トリヒドロキシフラボン、4’,5,7−トリヒドロキシフラバン−4−オン、3,3’,4’,7−テトラヒドロキシフラボン、3,4’,5,7−テトラヒドロキシフラボン、3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラボン、4’,5,6,7−テトラヒドロキシフラボン、3,3’,4’,5−テトラヒドロキシ−7−メトキシフラボン、2’,3,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン、3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン、3,3’,4’,5,5’,7−ヘキサヒドロキシフラボン、3,3’,4’,5,6,7−ヘキサヒドロキシフラボン、(2S)−4’,5−ジヒドロキシ−7−メトキシフラバン−4−オン、(2S)−3’,4’,5,7−テトラヒドロキシフラバン−4−オン、(2R,3S)−フラバン−3,4’,5,7−テトラオール、(2R,3S)−フラバン−3,3’,4’,5,7−ペンタオール、(2R,3S)−フラバン−3,3’,4’,5,5’,7−ヘキサオール、3,5,7−トリヒドロキシ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、3,5,7−トリヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、3,5,7−トリヒドロキシ−2−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、(2R−trans)−2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−3,5,7−トリオール、(2R−trans)−3,4−ジヒドロ−2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−2H−1−ベンゾピラン−3,5,7−トリオール、(2R−trans)−3,4−ジヒドロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−2H−1−ベンゾピラン−3,5,7−トリオール、(S)−2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2,3−ジヒドロ−5,7−ジヒドロキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、(S)−2,3−ジヒドロ−5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−メトキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−3,5,7−トリヒドロキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3,5,6,7−テトラヒ
ドロキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3,5,7−トリヒドロキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3,5−ジヒドロキシ−7−メトキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、又は2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3,7−ジヒドロキシ−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、シリビンなどが挙げられる。これらは公知の物質であり、化合物、混合物、またはこれらを含む抽出物として市販品を用いることができる。あるいは、天然物から、化合物、混合物、またはこれらを含む抽出物として、アルコール抽出法などの公知の方法により得ることができる。上記フラボノイド系フェノールを添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜10重量部添加することが好ましく、0.05〜5重量部添加することがより好ましい。
【0201】
ベンゾオキサジン化合物のオキサジンの構造は特に限定されず、ベンゾオキサジンやナフトオキサジン等の、縮合多環芳香族基を含む芳香族基を有するオキサジンの構造が挙げられる。
【0202】
ベンゾオキサジン化合物としては、例えば下記一般式(a)〜(f)に示す化合物が挙げられる。なお下記一般式において、環の中心に向けて表示されている結合は、環を構成しかつ置換基の結合が可能ないずれかの炭素に結合していることを示す。
【0203】
【化79】

【0204】
一般式(a)〜(c)中、R1及びR2は独立して炭素数1〜30の有機基を表す。また一般式(a)〜(f)中、R3乃至R6は独立して水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を表す。また前記一般式(c)、(d)及び(f)中、Xは独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2m−、−O−(CH2m−O−、−S−(CH2m−S−を表す。ここでmは1〜6の整数である。また一般式(e)及び(f)中、Yは独立して、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−又は炭素数1〜3のアルキレンを表す。前記Yにおけるベンゼン環、ナフタレン環に結合している水素は、独立して−F、−CH3、−OH、−COOH、−SO3H、−PO32と置き換えられていてもよい。
【0205】
また、ベンゾオキサジン化合物には、オキサジン構造を側鎖に有するオリゴマーやポリマー、ベンゾオキサジン構造を主鎖中に有するオリゴマーやポリマーが含まれる。
【0206】
ベンゾオキサジン化合物は、国際公開2004/009708号パンフレット、特開平11−12258号公報、特開2004−352670号公報に記載の方法と同様の方法で製造することができる。
【0207】
上記ベンゾオキサジン化合物を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
【0208】
酸性の添加剤以外の添加剤としては、環状エステル系化合物、エポキシ化合物、エポキシ化合物用硬化剤、マレイミド、ナジイミド、アクリル化合物、メタクリル化合物、ビニルスルホン化合物、チオール化合物、オキサゾリン化合物、チイラン化合物、金属化合物、界面活性剤、及び顔料などが挙げられる。
【0209】
環状エステル系化合物としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、前記式(18)で表される化合物、又は前記式(19)で表される化合物の他、公知のラクトン系化合物を用いることができる。上記ラクトン系化合物を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、1〜100,000重量部添加することが好ましく、10〜100,000重量部添加することがより好ましい。また、前記式(18)で表される化合物又は前記式(19)で表される化合物を重合時の溶剤として用いた場合、得られた高分子溶液に含まれるそれらを、そのまま添加剤とみなしてもよい。
【0210】
エポキシ化合物は、2個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。エポキシ化合物は一種でも二種以上でもよい。
エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、エポキシ基含有アクリル系樹脂、グリシジルアミド、グリシジルイソシアヌレート、鎖状脂肪族型エポキシ化合物、及び環状脂肪族型エポキシ化合物が挙げられる。
【0211】
グリシジルエーテルとしては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−S型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物、脂環式ジグリシジルエーテル化合物、脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物、ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物、及びビフェノール型エポキシ化合物が挙げられる。
【0212】
グリシジルエステルとしては、例えばジグリシジルエステル化合物及びグリシジルエステルエポキシ化合物が挙げられる。
グリシジルアミンとしては、例えばポリグリシジルアミン化合物及びグリシジルアミン型エポキシ化合物が挙げられる。
【0213】
エポキシ基含有アクリル系化合物としては、例えばオキシラニルを有するモノマーの単独重合体及び共重合体が挙げられる。
グリシジルアミドとしては、例えばグリシジルアミド型エポキシ化合物が挙げられる。
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばシクロアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0214】
上記エポキシ化合物を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
【0215】
エポキシ化合物を使用する場合に、エポキシ系樹脂用硬化剤を併用することができる。エポキシ系樹脂用硬化剤としては、酸無水物、アミンなどを挙げることができる。
エポキシ系樹脂用硬化剤として用いられる酸無水物としては、前記のテトラカルボン酸二無水物が挙げられ、それ以外には、例えばトリメリット酸無水物、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、リカシッドHNA100(商品名;新日本理化(株)製)、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。
【0216】
エポキシ系樹脂用硬化剤として用いられるアミンとしては、前記のジアミンが挙げられ、それ以外には、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン;ポリアミド、ケテミン;ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリスジメチルアミノフェノールなどが挙げられる。
【0217】
上記エポキシ系樹脂用硬化剤を添加剤として用いる場合、エポキシ系樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部添加することが好ましく、0.1〜10重量部添加することがより好ましい。
【0218】
マレイミドとしては、モノマレイミド及びポリマレイミドが挙げられる。
モノマレイミドは下記一般式で表される化合物であり、N−置換マレイミドと呼ばれる。本発明に用いられるN−置換マレイミドの具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミドがある。特に好ましいのはN−フェニルマレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミドである。N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0219】
【化80】

(上記一般式中、Rは1価の有機基である。)
ポリマレイミドは分子中に1個を超える数のマレイミド基を有する化合物であり、前記のビスマレイミド等が挙げられる。
【0220】
上記マレイミドを添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
【0221】
ナジイミドとしては、下記一般式(Ina)で表される化合物が挙げられる。
【化81】

【0222】
一般式(Ina)中、L1及びL2は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、アリール又はベンジルを表し、nは1又は2を表す。
n=1のとき、Wは炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−Z1−(O)q−(Z2O)r−Z3−H(Z1、Z2及びZ3は独立して炭素数2〜6のアルキレンを表し、qは0又は1を表し、そしてrは1〜30の整数を表す。)で表される基、−(Z4s−B−Z5−H(Z4及びZ5は独立して炭素数1〜4のアルキレン又は炭素数5〜8のシクロアルキレンを表し、Bはフェニレンを表し、そしてsは0又は1を表す。)で表される基、−B−T−B−H(Bはフェニレンを表し、そしてTは−CH2−、−C(CH32−、−O−、−CO−、−S−又はSO2−を表す。)で表される基、又はこれらの基の1〜3個の水素が水酸基で置換された基を表す。
このとき、好ましいWは、炭素数1〜8のアルキル、炭素数3〜4のアルケニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、炭素数4〜10のポリ(エチレンオキシ)エチル、フェニルオキシフェニル、フェニルメチルフェニル、フェニルイソプロピリデンフェニル、及びこれらの基の1個又は2個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
【0223】
一般式(Ina)においてn=2のとき、Wは炭素数2〜20のアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−Z1−O−(Z2O)r−Z3−(Z1、Z2及びZ3は独立して炭素数2〜6のアルキレンを表し、qは0又は1を表し、そしてrは1〜30の整数を表す。)で表される基、−Z4−B−Z5−(Z4及びZ5は独立して炭素数1〜4のアルキレン又は炭素数5〜8のシクロアルキレンを表し、Bはフェニレンを表す。)で表される基、−B−(O−B)s−T−(B−O)s−B−(Bはフェニレンを表し、Tは炭素数1〜3のアルキレン、−O−又は−SO2−を表し、sは0又は1を表す。)で表される基、又はこれらの基の1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基を表す。
このとき、好ましいWは炭素数2〜12のアルキレン、シクロヘキシレン、フェニレン、トリレン、キシリレン、−C36−O−(Z2−O)r−O−C36−(Z2は炭素数2〜6のアルキレンを表し、rは1又は2で表される。)で表される基、−B−T−B−(Bはフェニレンを表し、そしてTは−CH2−、−O−又は−SO2−を表す。)で表される基、−B−O−B−C36−B−O−B−(Bはフェニレンを表す。)で表される基、及びこれらの基の1個又は2個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
【0224】
このようなナジイミド化合物は、例えば特許第2729565号公報に記載されている
ように、ナジック酸無水物誘導体とジアミンとを80〜220℃の温度で0.5〜20時間保持することにより合成して得られる化合物や市販されている化合物を用いることができる。上記ナジイミドを添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
【0225】
アクリル化合物、メタクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0226】
上記アクリル化合物、メタクリル化合物を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
【0227】
上記ビニルスルホン化合物としては、フェニルビニルスルホンなどが挙げられる。
【0228】
上記ビニルスルホン化合物を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
上記チオール化合物としては、ポリチオールQE-340M(東レ・ファインケミカル株式会社製)などが挙げられる。
【0229】
上記チオール化合物を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.001〜10重量部添加することが好ましく、0.005〜5重量部添加することがより好ましい。
【0230】
なお、アクリル化合物、メタクリル化合物、ビニルスルホン化合物、又はチオール化合物は、本発明で定義する添加剤としてではなく、高分子中に組み込むモノマーとしてマレイミド系高分子の中に組み込むこともできる。即ち、マレイミド系高分子を製造する際にビスマレイミドの一部をビスアクリル化合物、ビスメタクリル化合物、若しくはビスビニルスルホン化合物で、又はジアミンの一部をビスチオール化合物で置き換えて共重合させることにより、マレイミド系高分子の中に組み込むことができる。
例えば、アクリル化合物、メタクリル化合物、又はビニルスルホン化合物の場合には、ビスマレイミド、並びにビスアクリル化合物、ビスメタクリル化合物、及びビスビニルスルホン化合物から選択されるいずれか又は複数の化合物の混合物と、ジアミンとを反応させて、マレイミド系高分子との共重合体を得ることができる。
同様に、チオール化合物の場合には、例えば、(イ):過剰のビスマレイミドとジアミンを反応させることでマレイミド基末端のオリゴマーを作製し、それに(ロ):ビスチオール化合物を添加して共重合させることにより、マレイミド系高分子との共重合体を得ることができる。上記(ロ)を添加する際、必要に応じてさらにジアミンを添加することもできる。
このようにして得られた共重合体は、「本発明の新規マレイミド系高分子共重合体」とは異なるものであり、このようにして得られた共重合体を本発明の組成物に使用する際には、本発明で定義する添加剤及び溶剤と組み合わせて本発明の組成物とする。
【0231】
上記ビスアクリル化合物、又はビスメタクリル化合物としては、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,
6−ビス(アクリロイルオキシ)−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン、1,4−ビス(アクリロイルオキシ)ブタン、1,6−ビス(アクリロイルオキシ)ヘキサン、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、N,N’−ジアクリロイルエチレンジアミン、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、又は1,4−ビス(アクリロイル)ピペラジンなどが挙げられる。
上記ビスビニルスルホン化合物としては、下記式(VS−1)及び(VS−2)で示された化合物などが挙げられる。
【0232】
【化82】

【0233】
ビスアクリル化合物、ビスメタクリル化合物、又はビスビニルスルホン化合物の添加量は、適切な分子量の高分子を得る観点から、ビスマレイミド/(ビスアクリル化合物、ビスメタクリル化合物、及びビスビニルスルホン化合物の和)のモル比が100/0〜10/90であることが好ましい。
【0234】
上記ビスチオール化合物としては、下記式(HS−1)及び(HS−2)で示された化合物などが挙げられる。
【0235】
【化83】

【0236】
ビスチオール化合物の添加量は、適切な分子量の高分子を得る観点から、ジアミン/ビスチオール化合物のモル比が100/0〜50/50であることが好ましい。
【0237】
オキサゾリン化合物はオキサゾリン構造を有する化合物である。前記オキサゾリン化合物は一種の化合物であってもよいし、二種以上の化合物であってもよい。オキサゾリン化合物としては、例えば2,2'−ビス(2−オキサゾリン)、1,2,4−トリス−(2−オキサゾリニル−2)−ベンゼン、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2'−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2'−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2'−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2'−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、及び2,2'−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)が挙げられる。これらの他、エポクロス(商品名、株式会社日本触媒製)のようなオキサゾリルを有するポリマーやオリゴマーも挙げられる。
【0238】
上記オキサゾリン化合物を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加す
ることがより好ましい。
【0239】
チイラン化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、及び3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、及び3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン
、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N',−テトラグリシジル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、及び3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランにおけるグリシジル基の酸素を、例えばJ.Org.Chem.,28,229(1963)に記載されている方法に従って硫黄に置換し、前記グリシジル基をエチレンスルフィド基に置換した化合物等が挙げられる。
【0240】
上記チイラン化合物を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
【0241】
金属化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
シラン化合物としては、例えばヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、21−ドコセニルトリエトキシシラン、アリロキシウンデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシリアミド、スチリルエチルトリエトキシシラン、(R)−N−1−フェニルエチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、(1−ナフチル)トリエトキシシラン、(1−ナフチル)トリメトキシシラン、m−スチリルエチルトリメトキシシラン、p−スチリルエチルトリメトキシシラン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミック酸、1−トリメトキシシリル−2−(p−アミノメチル)フェニルエタン、1−トリメトキシシリル−2−(m−アミノメチル)フェニルエタン、ベンゾイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(4−メトキシフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルキニンウレタン、3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、1−[(2−トリエトキシシリル)エチル]シクロヘキサン−3,4−エポキシド、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、N−(1
,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、N,N'−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、11―ブロモウンデシルトリメトキシシラン、2−(ジフェニルフォスフィノ)エチルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノ−プロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトメチルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−ウレイドプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、及びトリブトキシシラン等が挙げられる。
【0242】
その他の金属化合物としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラt−ブトキシチタン、テトラペントキシチタン、及びテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ジブチルスズジアセチルアセトナート、トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、及びテトラキス(エ
チルアセトアセテート)ジルコニウム等が挙げられる。
【0243】
上記金属化合物を添加剤として用いる場合、マレイミド系高分子100重量部に対し、0.01〜100重量部添加することが好ましく、0.05〜50重量部添加することがより好ましい。
【0244】
界面活性剤としては、例えばシリコン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、またはフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
具体的には、シリコン系界面活性剤としては、Byk−300、Byk−306、Byk−335、Byk−310、Byk−341、Byk−344、およびByk−370(それぞれ商品名;ビックケミー・ジャパン(株)製)などが挙げられ、アクリル系界面活性剤としては、Byk−354、Byk−358、およびByk−361(それぞれ商品名;ビックケミー・ジャパン(株)製)などが挙げられ、フッ素系界面活性剤としては、DFX−18、フタージェント250、またはフタージェント251(それぞれ商品名;ネオス(株)製)、F470,F475,F479,F553,F554,F477,MCF350(それぞれ商品名;DIC(株)製)などが挙げられる。
上記界面活性剤を添加剤として用いる場合、本発明の組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部添加することが好ましく、0.01〜1重量部添加することがより好ましい。
【0245】
顔料としては、種々の有機顔料又は無機顔料が挙げられる。そのような顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック8、C.I.ピグメントブラック9、C.I.ピグメントブラック11、C.I.ピグメントホワイト6、チタンブラック、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ71などが挙げられる。
また本発明において、顔料(B)は、1種単独でも、2種以上の混合物であってもよい。
【0246】
上記顔料を添加剤として用いる場合、本発明の組成物100重量部に対し、0.1〜30重量部添加することが好ましく、0.3〜20重量部添加することがより好ましい。
【0247】
これらの添加剤は、マレイミド系高分子と共に溶剤中に添加されるが、添加剤が酸性の添加剤であり、かつポリアミック酸、ポリエステル酸、又はマレアミック酸などの構造を有するものである場合には、マレイミド系高分子中に組み込むこと、即ち、マレイミド系高分子と共重合させてもよい。
【0248】
具体的には、ポリアミック酸及びポリエステル酸を添加剤として用いる場合には、例えば、(イ):ビスマレイミドと過剰のジアミンを反応させることでアミノ基末端のオリゴマーを作製し、それに(ロ):テトラカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物無水物、又はジカルボン酸塩化物を添加することで共重合させることができる。上記(ロ)を添加する際、必要に応じてさらにジアミン又はジオールを添加することができる。
或いは、(イ):ビスマレイミドと過剰のジアミンを反応させることでアミノ基末端のオリゴマーを作製し、それに(ハ):過剰のテトラカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物無水物、又はジカルボン酸塩化物、及びジアミン又はジオールとを用いて合成した酸無水物末端のオリゴマーを混合することで共重合させることができる。
【0249】
マレアミック酸を添加剤として用いる場合には、例えば、(ニ):過剰の無水マレイン酸とジアミンを反応させることでマレアミック酸基末端のオリゴマーを作製し、それに(ホ):ジアミンを添加し、さらに必要に応じてビスマレイミドを混合することで共重合させることができる。
或いは、(ニ):過剰の無水マレイン酸とジアミンを反応させることでマレアミック酸基末端のオリゴマーを作製し、それに(ヘ):過剰のジアミン及びビスマレイミドとを用いて合成したアミノ基末端のオリゴマーを混合することで共重合させることができる。
或いは、(イ):ビスマレイミドと過剰のジアミンを反応させることでアミノ基末端のオリゴマーを作製し、それに(ト):無水マレイン酸、次いでジアミンを混合することで共重合させることができる。
【0250】
(イ)、(ロ)、(ハ)、及び(ニ)において、アミック酸構成単位の構築時に2級アミンを用いることにより、 また、アミック酸、エステル酸、マレアミック酸構成単位の構築時に、−NH2上の1つの−Hがアルキル等で置き換えられた2級ジアミンを用いることにより、塗膜を加熱処理する際にイミド化が起きないような構造の分子を設計することが可能である。従って、これらのイミド化が起きない添加剤とマレイミド系高分子とを計算された割合で共重合させることにより、塗膜を加熱処理する際の条件変動に起因する、イミド化率のばらつきを排除することが可能となり、その効果によって塗膜の基板への密着性、電気特性、又は塗膜を液晶配向膜に使用した時のプレチルト角等、それぞれの変化を抑制することが可能となり、安定した品質の製品を得ることができる。
【0251】
マレイミド系高分子とポリアミック酸を共重合して得られた共重合体は、主鎖中に、ジアミンとテトラカルボン酸を用いたアミック酸構造と、ジアミンとビスマレイミドとを用いた3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構造とを具備する共重合体である。
【0252】
マレイミド系高分子とポリエステル酸を共重合して得られた共重合体は、主鎖中に、ジオールとテトラカルボン酸を用いたエステル酸構造と、ジアミンとビスマレイミドとを用いた3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構造とを具備する共重合体である。
【0253】
マレイミド系高分子とマレアミック酸を共重合して得られた共重合体は、主鎖中に、無水マレイン酸とジアミンを用いたマレアミック酸構造と、ジアミンとビスマレイミドとを用いた3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構造とを具備する共重合体である。これらの共重合体はいずれも新規化合物であり、共重合体の形成は重合時に反応液の粘度が上昇する現象、あるいは前述の液体クロマトグラフィー分析を行い、重合後に中間体オリゴマーよりも分子量が上昇する現象等により確認することができる。
【0254】
上記共重合体とする場合には、マレイミド系高分子と酸性添加剤の共重合比は10,000:1〜1:100とすることが好ましく、10,000:5〜1:10とすることがより好ましい。
【0255】
本発明の組成物に用いる溶剤は、種々の観点から適宜選択される。例えば前記溶剤は、組成物の物性の調整(粘度、溶解能力、表面張力等)、取り扱いの容易さ(蒸発速度が適切である、又は腐食性、臭気、若しくは毒性が無い等)等の観点から用いることができる。溶剤は一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。前記溶剤としては、本発明の組成物に使用する高分子の調製に用いられる、前記アルコール性水酸基を有する
溶剤及びプロトン性アミド系溶剤が挙げられるが、それ以外にも以下の溶剤が用いられる。例えば上記マレイミド系高分子を溶解させる能力の高い極性有機溶剤、及び表面張力を変えて組成物の塗布性を改善する能力の高い塗布性改善溶剤が挙げられ、前記溶剤はこれらを含む混合溶剤であることも好ましい。本発明の組成物を塗布用組成物として用いる場合には、本発明の組成物に上記塗布性改善溶剤を含有する態様が好ましく例示できる。
【0256】
前記極性有機溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトンが挙げられる。前記極性有機溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトンからなる群から選ばれるいずれか1種以上を含むことが好ましい。
【0257】
前記塗布性改善溶剤としては、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキル又はフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びこれらアセテート類等のエステル化合物が挙げられる。前記塗布性改善溶剤は、前記高極性アルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれるいずれか1種以上を含むことが好ましい。
【0258】
上記の各定義に挙げた例の他にも、構造別に以下の例を挙げることが出来る。
ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系;酢酸エチル、酢酸ブチル等の鎖状エステル系;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系;トルエン、キシレン等の芳香族系。これらは、単独又は2種以上組み合わせて用いることが出来る。
【0259】
本発明の組成物は、液晶配向膜を形成することができる。液晶配向膜は、ポリイミド系の液晶配向剤からの液晶配向膜の作製と同様の方法、すなわち塗膜を形成する工程、形成された塗膜を加熱処理する工程、及び必要により配向処理を行う工程を含む方法によって作製することができる。
【0260】
前記塗膜の形成工程は、例えば液晶表示素子用の基板、又はフッ化カルシウムやシリコン等の測定用の基板に本発明の液晶配向剤を塗布することによって行うことができる。また前記加熱処理工程は、得られた塗膜を例えば50〜400℃、好ましくは120〜280℃で1分〜3時間、好ましくは1分〜1時間、加熱することによって行うことができる。ここで液晶配向膜の膜厚は、10〜300nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。
【0261】
また、前記液晶配向膜の作製は、用途に応じたさらなる工程を含んでいてもよい。このようなさらなる工程としては、例えば、IPS型用の液晶配向膜又はTN型用の液晶配向
膜を作製する場合における、加熱処理して得られた液晶配向膜中の高分子の主鎖を一方向に配向させるラビング処理する工程が挙げられる。
また、前記液晶配向膜の作製は、材料に応じたさらなる工程を含んでいてもよい。このようなさらなる工程としては、例えば、マレイミドの主鎖又は側鎖構造がアゾ基、炭素間二重結合、炭素間三重結合のような光配向性を有する基を含む場合、このようなマレイミドをモノマーとして用いた高分子を含有する液晶配向剤の塗膜に紫外線等の放射線を照射して塗膜中の高分子を一方向に配向させる工程が挙げられる。このような光配向工程を適用できる前記液晶配向剤としては、前記高分子の全構成単位に対して前記光配向性を有する基を含む構成単位が5%以上である高分子を含有する液晶配向剤が挙げられる。このような光配向工程は、例えば特開2007−248637号公報や特開2007−279691号公報に記載されているように行うことができる。
【0262】
本発明の液晶配向膜の膜厚は、液晶配向剤の粘度や液晶配向剤の塗布方法によって調整することができる。また液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。さらに液晶配向膜中の成分は、必要に応じて加水分解等の処理を行い、IRやMS等の通常の分析手段を利用して分析することができる。
【0263】
本発明の液晶表示素子は、前述した本発明の液晶配向膜を有する。本発明の液晶表示素子の構成は、液晶配向膜が前述した本発明の液晶配向膜である以外は、特に限定されない。
【0264】
例えば前記液晶表示素子は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方又は両方に形成されている電極と、前記一対の基盤それぞれの対向している面に形成されている本発明の液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成されている液晶層を有する。
【0265】
前記対向配置された一対の電極付き基板は、透明基板(例えばガラス基板)であることが好ましい。
【0266】
前記一対の基板の少なくとも一方又は両方の基板の表面には、液晶表示素子の形態に応じて電極が設けられる。前記電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。電極は、基板の表面の全体に形成されていてもよいし、例えばパターン化されている所定の形状に形成されていてもよい。また電極は一対の基板の一方のみに設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。
【0267】
本発明の液晶配向膜は、電極の表面又は基板の表面に形成される。本発明の液晶配向膜の形成については前述したとおりである。
【0268】
前記一対の基板間に挟持された液晶層は液晶組成物を含む。ここで液晶組成物は特に制限はされず、駆動モードに応じて、誘電率異方性が正の液晶組成物及び誘電率異方性が負の液晶組成物のいずれの組成物も用いることができる。前記誘電率異方性が正又は負の液晶組成物に、一つ以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
【0269】
本発明の液晶表示素子は、もちろんその他の部材を有していてもよい。
【0270】
本発明の液晶表示素子は任意の方法で製作され得るが、例えば前述の方法をまとめると、1)前記二枚の透明基板上に液晶配向剤を塗布する工程(塗膜形成工程)、2)塗布された液晶配向剤を加熱処理により乾燥する工程、3)必要に応じて得られた液晶配向膜を配向処理する工程、4)二枚の基板を張り合わせた後に、基板の間に液晶組成物を封入す
る工程、又は一方の基板に液晶組成物を滴下させた後に、もう一方の基板と張り合わせる工程を含む方法で製作される。
【0271】
前記液晶配向剤を塗布する工程における塗布方法としては、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。
【0272】
また、前記加熱処理工程を施す方法として、オーブン又は赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法が本発明においても適用可能である。加熱処理は1回で行う方法、複数回に分けて行う方法、徐々に温度を上昇させながら行う方法のいずれでもよいが、発泡を防ぐための低温での乾燥と、溶剤を十分に除くための高温での乾燥とを組み合わせる方法が好ましい。すなわち、1回目の加熱処理の乾燥工程は、溶剤の緩やかな蒸発が可能な範囲内の比較的低温(50〜140℃)で実施することが好ましい。2回目の加熱処理の工程は残存した溶剤をできるだけ除く目的で、又は添加剤に熱反応性のものを用いた場合はそれらの反応を促進させる目的で、比較的高温(140〜400℃)で行うことが好ましい。また、比較的低温(50〜140℃)で加熱処理を開始し、その後徐々に温度を上昇させて比較的高温(140〜400℃)で加熱処理を終了する方法も好ましい。
【0273】
次いで、一方の基板上に接着剤を塗布し貼りあわせ真空中で液晶組成物を注入する。滴下注入法の場合には、貼りあわせる前に液晶組成物を基板上に滴下し、その後もう一方の基板で貼りあわせる。貼りあわせに使用した接着剤を熱又は紫外線で硬化させて本発明の液晶表示素子が作製される。
【0274】
本発明の液晶表示素子には、偏光板(偏光フィルム)、波長板、光散乱フィルム、駆動回路等が実装されてもよい。
【0275】
本発明の組成物は、その添加剤の種類などにより、上記液晶配向剤の他、接着剤やフィルターなどに用いることができ、公知の方法を用いて調製することが可能である。
【実施例】
【0276】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例において用いる化合物は次の通りである。
<ビスマレイミド>
【化84】

【0277】
<ジアミン>
【化85】

【化86】

【0278】
<テトラカルボン酸無水物>
・ピロメリト酸二無水物:T1、
・1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物:T2、
・3,4,3’、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物:T3
【0279】
【化87】

【0280】
<ジオール>
・4,4’−ビシクロヘキサノール:L1、
・テトラデカン−1,2−ジオール:L2、
・トリメチロールエタン:L3
【0281】
【化88】

【0282】
<無水マレイン酸>
【化89】

【0283】
<ノボラック樹脂>
・ビスフェノールAノボラック樹脂:H1(商品名:VH4170、DIC株式会社製)<ポリビニルフェノール樹脂>
・ポリパラビニルフェノール:H2(商品名:マルカリンカーM、丸善石油化学株式会社製)
<ベンゾオキサジン>
・ビスフェノールS型ベンゾオキサジン:H3(商品名:BS−BXZ、小西化学工業株式会社製)
<エポキシ化合物>
・ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物:N1(商品名:157S70、三菱化学株式会社製)
・N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン:N2(アルドリッチ社製)
・3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート:N3(商品名:セロキサイド2021P、ダイセル化学工業株式会社製)・ビスフェノールA型エポキシ化合物:N4(商品名:828、三菱化学株式会社製)
【0284】
<ナジイミド>
・ビス(4−ナジイミドフェニル)メタン:N5(商品名:BANI−M、丸善石油化学株式会社製)
<アクリル化合物>
・アミン変性ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート:N6(商品名:EBECRYL3703、ダイセルサイテック社製)
・N,N’−(2,3−ジヒドロキシブタン−1,4−ジイル)ビス(アクリルアミド):N7(アルドリッチ社製)
・リン酸変性エポキシアクリレート:N8(商品名:168、ダイセルサイテック社製)<ビニルスルホン化合物>
・ビス(ビニルスルホニル)メタン:VS−1
<チオール化合物>
・ビスムチオール:HS−1
・4、4’−チオビスベンゼンチオール:HS−2
<オキサゾリン化合物>
・1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン:N9(東京化成工業株式会社製)
【0285】
<チイラン化合物>
・グリシジルメタクリレートとチオ尿素とから公知の方法(Phosphorus, Sulfur and Silicon and the Related Elements, 2005, vol. 180, #8 p. 1809-1814等に記載の方法)に準じて製造した2,3−エピチオプロピルメタクリレートとN−フェニルマレイミドとを、公知の方法(特開平7−5684号公報等に記載の方法)に準じて重合させた、モル比2/8の共重合体溶液:N10
<シラン化合物>
・グリシジルオキシジメトキシシラン:N11(チッソ株式会社製)
・3−アミノプロピルトリメトキシシラン:N12(チッソ株式会社製)
<アリル化合物>
・臭化アリルと4,4’−ジアミノジフェニルメタンとから公知の方法(Journal of the
American Chemical Society, 2007, vol.129, #35 p.10707-10713等に記載の方法)に準じて製造したN,N,N’,N’−テトラアリル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン:N13
【0286】
<溶剤>
・テトラヒドロフルフリルアルコール:S1
・N−メチルピロリドン:S2
・γ−ブチロラクトン:S3
・ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル):S4
・キシレン:S5
・ベンジルアルコール:S6
・m−クレゾール:S16
【0287】
【化90】

【化91】

・その他
p−トルエンスルホン酸:Z1
【0288】
[参考例1]ビスマレイミドM3の製造
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた300mLの四つ口フラスコにS2を80mL及びA10を13.242g(31.328mmol)入れ、乾燥窒素気流下、攪拌、溶解した。次いで、得られた溶液に、氷冷下、D1を6.758g(68.921mmol)加えて、室温で3時間反応させた。3時間後、Z1を2.0g及びS5を240mL加え、徐々に加熱し昇温した。還流が始まったら、生成した水を系外に除きながら反応を7時間継続した。反応終了後室温まで冷却して、反応液を減圧濃縮した。残渣を水中に投入し、固形物を濾過して回収した。さらにカラムクロマトグラフィー(SiO2、トルエン/酢酸エチル=5/1(容量比))で精製して、M3を13.510g(23.183mmol、収率74%)得た。
【0289】
[参考例2]ビスマレイミドM5の製造
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた300mLの四つ口フラスコにS2を80mL及びA11を10.772g(24.895mmol)入れ、乾燥窒素気流下、攪拌、懸濁させた。次いで、得られた懸濁液に、氷冷下、D1を5.3705g(54.769mmol)加えて、室温で3時間反応させた。反応中に反応温度が上昇する場合は、反応温度を約80℃以下に抑えて反応させた。3時間後、Z1を2.0g及びS5を240mL加え、徐々に加熱し昇温した。還流が始まったら、生成した水を系外に除きながら反応を7時間継続した。反応終了後室温まで冷却して、反応液を減圧濃縮した。残渣を水中に投入し、固形物を濾過して回収した。さらに残渣をトルエンに溶解し、エタノール中で再沈殿させて、M5を10.090g(17.022mmol、収率74%)得た。
【0290】
[参考例3]ビスマレイミドM6の製造
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた500mLの四つ口フラスコにS2を100mL及びA12を18.362g(86.495mmol)入れ、乾燥窒素気流下、攪拌、溶解した。次いで、得られた溶液に、氷冷下、D1を18.659g(190.29mmol)加えて、室温で3時間反応させた。3時間後、3.0gのZ1を300mLのS5に溶解した溶液を反応液に加え、徐々に加熱し昇温した。還流が始まったら、生成した水を系外に除きながら反応を7時間継続した。反応終了後室温まで冷却して、析出した固体を濾取した。固体を水で洗浄し、S2を用いて再結晶を行い、M6を19.325g(51.897mmol、収率60%)得た。
【0291】
<1.マレイミド系高分子の合成>
[製造例A1]
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにA1を0.978g(11.35mmol)、及びS1を23.5g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで、得られた溶液に、M1を5.022g(11.35mmol)、及びS1を23.5g加えて、室温環境下で24時間反応させた。24時間後、S2を反応液に47.0g加えて均一になるまで攪拌して、濃度が6重量%のマレイミド系高分子の溶液を得た。この高分子溶液をPM1とする。PM1の組成比及び物性を表1に示す。
【0292】
[製造例A2〜A4]
表1に示したようにビスマレイミド、ジアミン、又は希釈時の溶剤を変更した以外は、製造例1に準拠して高分子溶液PM2〜4を調製した。
【0293】
[製造例A5〜A14]
表1に示したように重合時の溶剤、及び希釈時の溶剤を変更した以外は、製造例1に準拠して高分子溶液PM5〜14を調製した。
【0294】
[製造例A15]
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにA13を3.758g(14.11mmol)、及びS16を23.5g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで、得られた溶液に、M1を6.242g(14.11mmol)、及びS1を23.5g加えて、室温環境下で24時間反応させた。24時間後、S2を反応液に47.0g加えて均一になるまで攪拌して、濃度が10重量%のマレイミド系高分子の溶液を得た。この高分子溶液をPM15とする。PM15の組成比及び物性を表1に示す。
【0295】
【表1】

【0296】
<2.アミック酸−マレイミド系共重合高分子の合成>
[製造例B1]
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにA1を1.023g(11.88mmol)、及びS1を23.5g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで、得られた溶液に、M1を4.731g(10.69mmol)、及びS1を23.5g加えて、室温環境下で5時間反応させた。5時間後、氷冷下T1を0.130g(0.594mmol)、T2を0.116g(0.594mmol)加えた。さらに、S2を47.0g加えて、室温環境下で15時間反応させて、濃度が6重量%のアミック酸−マレイミド系共重合高分子の溶液を得た。この高分子溶液をPMA1とし、PMA1の組成比及び物性を表2に示す。
【0297】
[製造例B2]
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにA1を0.947g(10.99mmol)、及びS1を23.5g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで、得られた溶液に、M1を3.927g(8.874mmol)、及びS1を23.5g加えて、室温環境下で5時間反応させた。5時間後、氷冷下A1を反応液に0.194g(2.252mmol)加え、次いでT1を0.491g(2.252mmol)、T2を0.442g(2.252mmol)加えた。さらに、S2を47.0g加えて、室温環境下で15時間反応させて、濃度が6重量%のアミック酸−
マレイミド系共重合高分子の溶液を得た。この高分子溶液をPMA2とし、PMA2の組成比及び物性を表2に示す。
【0298】
[製造例B3〜B15]
各原料比を表2に示したように変更した以外は製造例B2に準拠して高分子溶液PMA3〜PMA15を得た。PMA3〜PMA15の組成比及び物性を表2に示す。
【0299】

【表2−1】

【表2−2】

【0300】
<3.マレアミック酸−マレイミド系高分子の合成>
[製造例B16]
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにA2を0.227g(1.145mmol)、及びS2を23.5g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで、得られた溶液に、氷冷下D1を0.225g(2.291mmol)、及びS2を23.5g加えて、室温環境下で24時間反応させた。5時間後、S1を反応液に47.0g加え、次いでA1を0.987g(11.454mmol)、M1を4.562g(10.309mmol)加え、70℃で15時間反応させて、濃度が6重量%のマレアミック酸−マレイミド系共重合高分子の溶液を得た。この高分子溶液をPMA16とし、PMA16の組成比及び物性を表3に示す。
【0301】
【表3】

【0302】
<4.ポリエステル酸の合成>
[製造例C1]
温度計、攪拌機、原料投入口および窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにT3を3.674g(12.489mmol)、L1を2.326g(12.489mmol)、S2をg入れ、乾燥窒素気流下120℃で3時間攪拌して反応させ、固形分の濃度が6重量%のポリエステル酸の溶液(PE1)を得た。PE1の組成比及び物性を表4に示す。
【0303】
[製造例C2]
表3に示すようにテトラカルボン酸無水物をT1(2.918g、13.378mmol)に、ジオールをL2(3.082g、13.378mmol)に変更した以外は、製造例C1に準拠して高分子溶液(PE2)を調製した。PE2の組成比及び物性を表4に示す。
【0304】
【表4】

【0305】
<5.ポリエステルアミック酸の合成>
[製造例D1]
温度計、攪拌機、原料投入口および窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにT1を1.705g(7.818mmol)、T2を1.533g(7.818mmol)、L3を0.282g(2.345mmol)、S2を54.0g入れ、乾燥窒素気流下120℃で1時間攪拌した。25℃まで冷却した後、A2を反応液に2.480g(12.508mmol)添加した。反応系の温度を25℃に保ちながら30時間反応させた後、S4を25.0g、S3を15.0g加え、50℃に昇温して攪拌を続け、ポリエステル−ポリアミック酸の溶液(PEA1)を得た。PEA1の組成比及び物性を表5に示す。
【0306】
【表5】

【0307】
<6.ポリアミック酸の合成>
[製造例E1]
温度計、攪拌機、原料投入口および窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにA1を2.934g(14.801mmol)、S2を54.0g入れて、氷冷した。次いで、得られた溶液に、氷冷下攪拌しながらT1を1.614g(7.401mmol)、T2を1.451g(7.401mmol)加え、反応系の温度を25℃に保ちながら30時間反応させた後、反応液にS4を25.0g、S3を15.0g加え、50℃に昇温して攪拌を続け、濃度が6重量%のポリアミック酸の溶液(PA1)を得た。PA
1の組成比及び物性を表6に示す。
【0308】
[製造例E2〜E5]
表6に示したようにテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを変更した以外は、合成例1に準拠してポリアミック酸溶液PA2〜PA5を調製した。PA2〜PA5の組成比及び物性を表6に示す。
【0309】
【表6】

【0310】
<7.ビニルスルホン化合物−マレイミド系共重合高分子の合成>
[製造例F1]
温度計、攪拌機、原料投入口及び窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにA1を1.078g(12.52mmol)、及びS1を23.5g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで、得られた混合物に、M1を4.431g(10.01mmol)、VS1を0.491g(2.503mmol)、及びS1を23.5g加えて、室温環境下で24時間反応させた。24時間後、S2を反応液に47.0g加えて均一になるまで攪拌して、濃度が6重量%のビニルスルホン化合物−マレイミド系高分子の溶液を得た。この高分子溶液をPMS1とする。PM1の組成比及び物性を表7に示す。
【0311】
[製造例F2]
表7に示したようにビスマレイミド及びジアミンを変更した以外は、製造例F1に準拠して高分子溶液PMS2を調製した。PMS2の組成比及び物性を表7に示す。
[製造例F3]
表7に示したように溶剤を変更した以外は、製造例F1に準拠して高分子溶液PMS3を調製した。PMS3の組成比及び物性を表7に示す。
【0312】
【表7】

【0313】
<8.チオール化合物−マレイミド系共重合高分子の合成>
[製造例G1]
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口及び窒素ガス導入口を備えた100mlの四つ口フラスコにA8を1.534g(7.290mmol)、及びS1を23.5g入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで、得られた混合物に、M2を3.919g(10.93mmol)、及びS1を10.0g加えて、室温環境下で8時間反応させた。8時間後、混合物にHS1を0.548g(3.645mmol)、及びS1を13.5g加えて、室温環境下で16時間反応させた。16時間後、S2を反応液に47.0g加えて均一になるまで攪拌して、濃度が6重量%のチオール化合物−マレイミド系高分子の溶液を得た。この高分子溶液をPMT1とする。PMT1の組成比及び物性を表8に示す。
【0314】
[製造例G2]
表8に示したようにチオールを変更した以外は、製造例G1に準拠して高分子溶液PMT2を調製した。PMT2の組成比及び物性を表8に示す。
[製造例G3]
表8に示したように溶剤を変更した以外は、製造例G1に準拠して高分子溶液PMT3を調製した。PMT3の組成比及び物性を表8に示す。
【0315】
【表8】

【0316】
<9.液晶表示素子の作製>
[実施例1]
製造例A1で得られた6重量%のマレイミド系高分子溶液(PM1)と製造例E1で得られた6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)とを8/2(重量比)で混合し、さらにS1/S2=1/1(重量比)の混合溶剤を加えて全体を高分子の濃度が4重量%となるように希釈して液晶配向剤を得た。
【0317】
[実施例2〜43、48〜56、比較例1、2、3]
表9、10、及び11に示した組成で混合した後、実施例1と同様に、S1/S2=1/1(重量比)の混合溶剤を加えて全体を高分子の濃度が4重量%となるように希釈して液晶配向剤を得た。
【0318】
<液晶表示素子の作製方法(実施例1〜36、48〜56、比較例1、3)>
得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
液晶配向剤を、二枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、210℃にて20分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。次いで、液晶配向膜が形成された基板の表面をラビング装置にてラビング処理して配向処理を行った。まず、得られた液晶配向膜Aを株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置を用いて、ラビング布(毛足長1.8mm:レーヨン)の毛足押し込み量0.40mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1,000rpmの条件でラビング処理した。その後、液晶配向膜を超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
【0319】
一方のガラス基板に7μmのギャップ材を散布し、液晶配向膜を形成した面を内側にしてラビング方向が逆平行になるように対向配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ7μmのアンチパラレルセルを作製した。該セルに、下記に示す液晶組成物を注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。
【0320】
【化92】

【0321】
<液晶表示素子の作製方法(実施例37〜43、比較例2)>
得られた液晶配向剤を用いて、下記の通り液晶表示素子を作製した。
液晶配向剤を、二枚のITO電極付きガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥した後、210℃にて20分間加熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。その後、液晶配向膜を超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。
【0322】
一方のガラス基板に7μmのギャップ材を散布し、液晶配向膜を形成した面を内側にして配置させた後、エポキシ硬化剤でシールし、ギャップ7μmのセルを作製した。該セルに、下記に示す液晶組成物を注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、実施例37〜43、及び比較例2に係る液晶表示素子を作製した。
【0323】
【化93】

【0324】
<10.配向特性の評価>
実施例1〜43、48〜56、比較例1、2で作製した液晶表示素子において、液晶組成物を注入後加熱処理前の該素子を2枚の偏向板の間にはさみ、バックライトを当て、液晶の配向状態を観察し、流動配向の有無によって評価した。流動配向が無いものが、配向性が良好といえる。結果を表9、10、及び11に示す。
【0325】
<11.電気特性の評価>
実施例1〜43、48〜56、比較例1、2で作製した液晶表示素子について、イオン密度の測定と長期信頼性の測定を以下のようにして行った。
【0326】
1)イオン密度の測定(実施例1〜35,37〜43,48〜56、比較例1、2)
液晶表示素子を、東陽テクニカ製液晶物性評価装置6254型を用いてイオン密度の測定を行った。測定条件は、波形:三角波、周波数:0.01Hz、電圧:±10Vであり、測定温度は60℃とした。この値が小さいほど電気特性は良好であると言える。結果を
表9及び11に示す。
【0327】
2)イオン密度の保持特性の測定(実施例36,比較例1)
作製した液晶表示素子について、経時的にイオン密度[pC]を求め、その保持特性を評価した。保持特性の試験方法には、温度100℃の雰囲気中に液晶表示素子を放置し、所定時間経過後に取り出しイオン密度[pC]を測定する方法を採用した。500時間後のイオン密度の数値が小さいほどイオン密度の保持特性が良好であると言え、また電気特性の長期信頼性が良好であると言える。500時間後のデータを表10に示す。
【0328】
【表9−1】

【表9−2】

【表9−3】

【0329】
【表10】

【0330】
【表11】

【0331】
表9、10、及び11から明らかなように、本発明のマレイミド系高分子を含む組成物からなる成形体は、電気特性に非常に優れていることがわかる。そのため、特に液晶配向膜に用いることに好適である。
比較例3では溶剤の臭気が強いので、溶液をそのまま塗布して被膜を得ることができなかった。
【0332】
<11.被膜の形成>
[実施例44]
製造例F1で得られた高分子溶液(PMS1)を、S1/S2=1/1(重量比)の混合溶剤を加えて全体を高分子の濃度が4重量%となるように希釈して、塗布溶液を得た。得られた溶液を、ガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥して、被膜を形成した。
【0333】
[実施例45〜47、比較例4、5]
表12に示した高分子溶液を、実施例44と同様にS1/S2=1/1(重量比)の混合溶剤を加えて全体を高分子の濃度が4重量%となるように希釈して、塗布溶液を得た。得られた溶液を、ガラス基板にスピンナーにて塗布し、膜厚70nmの膜を形成した。塗膜後80℃にて約5分間加熱乾燥して、被膜を形成した。
【0334】
【表12】

【0335】
実施例44〜47では、均一な被膜を得ることができた。
比較例4及び5では、溶剤の臭気が強いため、溶液をそのまま塗布して被膜を得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0336】
マレイミド系高分子は、ビスマレイミドとジアミンとの付加反応によって形成されることから、酸二無水物基とそれに隣接する二級又は三級アミノ基とを含むテトラカルボン酸二無水物を原料とするポリアミック酸由来のポリイミド系高分子では形成困難な構成を実現することができる。したがって、ポリイミド由来の機能性材料において、この機能性材料の機能のさらなる向上や新たな機能の発現が期待され、従来ではポリイミド由来とされていた機能性材料のさらなる多様化が期待される。
そのような用途の具体例としては、被覆材料、絶縁材料、プリント配線基板用材料、接着剤、封止材、成形材料、ガス分離膜材料、線材用材料が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マレイミド系高分子、添加剤、並びにアルコール性水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択された何れか1種以上の溶剤を含有する組成物。
【請求項2】
マレイミド系高分子の重量平均分子量が3,000〜500,000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記マレイミド系高分子がビスマレイミドとジアミンを用いてマイケル付加反応させた高分子である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ジアミンは、脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記マレイミド系高分子が、アルコール性水酸基を有する溶剤及びプロトン性アミド系溶剤からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む溶剤中で重合させたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルコール性水酸基を有する溶剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メチルベンジルアルコール、(o−、m−、又はp−)メトキシベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、並びに、1)アルコール性水酸基、並びに2)アミド、エステル、及び環状エーテルからなる群から選択されるいずれか1種以上の基を有する高極性アルコールからなる群から選択されるいずれか1種以上を含む溶剤である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記高極性アルコールが、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ−3−ブテン酸メチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び下記式(1)〜(21)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含み、前記プロトン性アミド系溶剤が下記式(22)〜(26)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項6に記載の組成物。
【化1】

【請求項8】
前記溶剤はアルコール性水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を含有し、溶剤全量に対して前記アルコール性水酸基を有する溶剤又はプロトン性アミド系溶剤を20重量%以上含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記マレイミド系高分子は、重合後に溶剤置換する工程を含まない方法で製造された、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記添加剤が酸性基の構造、重合性基の構造、及び環状エステルの構造からなる群から選択されるいずれか1種以上の構造を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記添加剤が酸性基を含み、該酸性基がカルボキシル基、スルホン酸基、及びフェノール性水性基からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記添加剤が酸性基を含み、該酸性基を含む添加剤が、ポリアミック酸、ポリエステル酸、及びポリマレアミック酸からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記添加剤が酸性基を含み、該酸性基を含む添加剤が、前記マレイミド系高分子鎖中に組み込まれている、請求項10〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記添加剤が酸性基を含み、該酸性基を含む添加剤が、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール、フラボノイド系フェノール、及びベンゾオキサジン化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記添加剤が、環状エステル系化合物、エポキシ化合物、エポキシ化合物用硬化剤、マレイミド、ナジイミド、アクリル化合物、メタクリル化合物、ビニルスルホン化合物、チオール化合物、オキサゾリン化合物、チイラン化合物、金属化合物、界面活性剤、及び顔料からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記添加剤が、エポキシ化合物、及びオキサゾリンからなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記添加剤が、ノボラックエポキシ化合物である、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
前記添加剤が、ラクトンである、請求項15〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
ビスマレイミドとジアミンとを重合させて得られるマレイミド系高分子、並びにリンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び下記式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、及び(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を含有する組成物。


【化2】

【請求項20】
前記ジアミンが脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記ビスマレイミドが下記式(M1)、(M2)、(M7)、及び(M8)で示される化合物からなる群から選択される一以上であり、前記ジアミンが下記式(II−1−5)、(II−1−6)、(II−1−22)、(II−1−24)、(II−1−30)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項19又は20に記載の組成物。



【化3】

【請求項22】
前記溶剤が、該溶剤全量に対してリンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を合計で20重量%以上含有する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
ビスマレイミドとジアミンとを含有する原料を、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び下記式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を含有する溶剤中で重合させて高分子を得る工程を含む、前記高分子と下記式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を含有する組成物の製造方法。



【化4】

【請求項24】
前記ジアミンが脂肪族ジアミン又は脂環式ジアミンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ビスマレイミドが下記式(M1)、(M2)、(M7)、及び(M8)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含み、前記ジアミンが下記式(II−1−5)、(II−1−6)、(II−1−22)、(II−1−24)、(II−1−30)、(IV−1−1)、及び(IV−1−2)で示される化合物からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項23又は24に記載の方法。



【化5】

【請求項26】
前記溶剤が、該溶剤全量に対してリンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチル、リンゴ酸ジプロピル、リンゴ酸ジブチル、二酢酸グリセロール、及び式(2)、(4)、(5)〜(10)、(12)〜(14)、(17)〜(19)からなる群から選択されたいずれか1種以上の溶剤を合計で20重量%以上含有する、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(イ):ビスマレイミドと過剰のジアミンを反応させることでアミノ基末端のオリゴマーを作製し、それに(ロ):テトラカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物無水物、又はジカルボン酸塩化物を添加することで共重合させる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
【請求項28】
3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(イ):ビスマレイミドと過剰のジアミンを反応させることでアミノ基末端のオリゴマーを作製し、それに(ハ):過剰のテトラカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物無水物、又はジカルボン酸塩化物、及びジアミン又はジオールとを用いて合成した酸無水物末端のオリゴマーを混合することで共重合さ
せる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
【請求項29】
3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにマレアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(ニ):過剰の無水マレイン酸とジアミンを反応させることでマレアミック酸基末端のオリゴマーを作製し、それに(ホ):ジアミン及びビスマレイミドを混合することで共重合させる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
【請求項30】
3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにマレアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(ニ):過剰の無水マレイン酸とジアミンを反応させることでマレアミック酸基末端のオリゴマーを作製し、それに(ヘ):過剰のジアミン及びビスマレイミドとを用いて合成したアミノ基末端のオリゴマーを混合して共重合させる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
【請求項31】
3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位、並びにマレアミック酸構成単位を含むマレイミド系高分子共重合体の製造方法であって、(イ):ビスマレイミドと過剰のジアミンを反応させることでアミノ基末端のオリゴマーを作製し、それに(ト):無水マレイン酸、次いでジアミンを混合して共重合させる、マレイミド系高分子共重合体の製造方法。
【請求項32】
主鎖中に、ジアミンとテトラカルボン酸誘導体から誘導されたアミック酸構成単位と、ジアミンとビスマレイミドから誘導された3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位とを有する共重合体。
【請求項33】
前記アミック酸構成単位の構築において、2級アミンを用いる、請求項32に記載の共重合体。
【請求項34】
主鎖中に、ジオールとテトラカルボン酸誘導体から誘導されたエステル酸構成単位と、ジアミンとビスマレイミドから誘導された3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位とを有する共重合体。
【請求項35】
主鎖中に、無水マレイン酸とジアミンから誘導されたスクシンアミック酸構成単位と、ジアミンとビスマレイミドから誘導された3−アミノピロリジン−2,5−ジオン構成単位とを有する共重合体。
【請求項36】
前記スクシンアミック酸構成単位の構築において、2級アミンを用いる、請求項35に記載の共重合体。
【請求項37】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物、請求項27〜31のいずれか1項に記載の製造方法により製造された共重合体、及び請求項32〜36のいずれか1項に記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する被覆材料。
【請求項38】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物、請求項27〜31のいずれか1項に記載の製造方法により製造された共重合体、及び請求項32〜36のいずれか1項に記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する絶縁材料。
【請求項39】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物、請求項27〜31のいずれか1項に記載の製造方法に
より製造された共重合体、及び請求項32〜36のいずれか1項に記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有するプリント配線基板用材料。
【請求項40】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物、請求項27〜31のいずれか1項に記載の製造方法により製造された共重合体、及び請求項32〜36のいずれか1項に記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する液晶配向剤。
【請求項41】
請求項40に記載の液晶配向剤の塗膜が加熱処理されて形成される液晶配向膜。
【請求項42】
一対の基板と、液晶分子を含有し、前記一対の基板の間に形成される液晶層と、液晶層に電圧を印加する電極と、前記液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜とを有する液晶表示素子において、
前記液晶配向膜が請求項41に記載の液晶配向膜である液晶表示素子。
【請求項43】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物、請求項27〜31のいずれか1項に記載の製造方法により製造された共重合体、及び請求項32〜36のいずれか1項に記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する接着剤。
【請求項44】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物、請求項27〜31のいずれか1項に記載の製造方法により製造された共重合体、及び請求項32〜36のいずれか1項に記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する封止材。
【請求項45】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物、請求項27〜31のいずれか1項に記載の製造方法により製造された共重合体、及び請求項32〜36のいずれか1項に記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有する成形材料。
【請求項46】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物、請求項27〜31のいずれか1項に記載の製造方法により製造された共重合体、及び請求項32〜36のいずれか1項に記載の共重合体、から選択されるいずれかを含有するガス分離膜材料。
【請求項47】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法により製造された組成物、請求項27〜31のいずれか1項に記載の製造方法により製造された共重合体、及び請求項32〜36のいずれか1項に記載の共重合体、から選択されるいずれかから形成した線材用材料。

【公開番号】特開2012−180482(P2012−180482A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45661(P2011−45661)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(596032100)JNC石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】