説明

マンニトールと顆粒状デンプンの圧縮性自由流動共凝集体

本発明は、結晶質マンニトールと顆粒状デンプンの共凝集体において、テストAにしたがって決定された場合に120N超、および好ましくは200〜450Nの圧縮性と、テストBにしたがって決定された場合に3〜15秒および好ましくは4〜8秒の流動時間を有することを特徴とする共凝集体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、卓越して高い打錠性を示しそのために錠剤製造の用途に特に適した結晶性マンニトールと顆粒状デンプンの共凝集体にある。
【0002】
本発明は同様に、優れた流動能力を示しそのことによってもまた硬ゼラチンカプセルの充填において使用するのに適している、結晶質マンニトールと顆粒状デンプンの共凝集体にも関する。
【0003】
最後に、本発明はこれらの共凝集体を得ることを可能にする方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ポリオール類の使用の分野においては、本発明が具体的に関係する分野、すなわち医薬品賦形剤および食品業界で使用されるバルク甘味料の分野においては、いくつかの粉体ポリオール類が一般に使用されている。それらはソルビトール、キシリトール、そして特にマンニトールである。
【0005】
医薬品産業は、大量のマンニトールを消費する。マンニトールは、詳細には乾燥形態で賦形剤として使用され、これらの乾燥形態とは例えば硬質ゼラチンカプセルに充填するための粉末、使用時に水中に分散または溶解させるべきサシェ用粉末、固体経口形態そして錠剤である。
【0006】
これは、マンニトールが、その芳香およびその結晶質形態の非常に低い吸湿性に起因して、詳細には有効成分に対するその非常に高い化学的不活性のため賦形剤として優れているからである。
【0007】
残念なことに、過飽和溶液から水中での結晶化により得られる生成物は、本来圧縮性を有さない。
【0008】
この状況を改善するために、この分野の専門家にとっては、結合剤を加えてその打錠性を高めることが公知である。
【0009】
例えば米国特許第3,145,146号明細書は、マンニトール粉末の製造という結果に至る噴霧乾燥ステップの前に結合剤としてパラフィンろう、ゴムまたはセルロース誘導体を使用することからなるプロセスについて記載している。
【0010】
しかしながら、この技術的解決法は、ユーザーから高い評価を受けていない。
【0011】
硬質ゼラチンカプセルの充填のために使用される混合物は、均一な投薬量を保証できるようにするために自動充填に適合していなければならないということは、硬質ゼラチンカプセルの製造にあたり当業者にとって公知のことである。
【0012】
非常に高速の機械上で均一かつ正確な充填を確保するために、一部の物質にとっては医薬品投薬量調合作業が必要であることは明白である。
【0013】
詳細には、以下のパラメータに関して注意を払う必要がある:
− 粒子の形状およびサイズ、
− 均一な粒径、
− 混合物の均質性、
− 粉末の流動特性、
− 水分レベル、
− 圧力下での良好な凝集。
【0014】
ところが、それらが打錠性を有さないことと共に、水中での結晶化によって得られるマンニトールの別の欠点として、その結晶の斜方晶系構造、詳細にはその過度の脆弱性に起因してその流動特性があまり良くないということを加える必要がある。
【0015】
この脆弱性は、微粒子を形成させる結果となり、これらの微粒子は詳細には、特に錠剤を製造するかまたは硬質ゼラチンカプセルを充填するために用いられる装置に補給するためのホッパーおよびシュートの充填および排出の際にその流動特性を妨害する。
【0016】
このような理由で、水中で結晶化されたマンニトールは、硬質ゼラチンカプセルの充填において使用できる最適な賦形剤ではないことは確実である。
【0017】
ここでもまた、結合剤を添加することが必要である。
【0018】
しかしながら、米国特許第3,145,146号明細書では、結合剤を添加しても、粉末の粒子の少なくとも50%がなお75μm未満のサイズを有することを妨げられず、このことは、優れた流動を生み出す上で理想とはほど遠いものである。
【0019】
錠剤の分野では、予備焼成を施した場合にデンプンを結合剤として使用することが有利であり得、これは希釈剤としても作用し得る。
【0020】
さらに、それは、顆粒の形で使用された場合にその親水性のため優れた崩壊特性を有する。
【0021】
しかしながら、それは、一般に最終調合物の15%超という大きな量で取込まれなくてはならない。
【0022】
一方、それは、粒子のサイズが小さく密度が低いことから、流動しないという欠点を示す。
【0023】
その顆粒の弾性が高いことで、さらに、打錠性は非常に低くなり、そのため、充分な高度をもつ錠剤の製造は可能にならない。
【0024】
したがって、当業者は、マンニトールに欠如している打錠性または流動特性をマンニトールに提供するためにデンプンの結合特性を活用する目的でマンニトールと顆粒状デンプンとの組合せを想定することができない。
【0025】
実際、デンプンとマンニトールの組合せが実践されたとすると、それはむしろ、詳細にはデンプンの崩壊および希釈特性の活用が問題となっている口内分散性錠剤の製造の分野においてである。
【0026】
例えば、国際公開第00/47233号パンフレットには、活性成分およびデンプンと詳細にはマンニトールとの物理的混合物を含む錠剤のための製造についての記載がある。
【0027】
ところが、この特許出願においては、錠剤の製造用機器品目内での前記混合物の流動を容易にするためにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ナトリウムステアリルおよび軽量無水ケイ酸から選択される1つ以上の潤滑剤をこの物理的混合物に添加することが強く勧められている。
【0028】
特開平09−077669号明細書には、マンニトール、デンプンおよびビタミンCを含む物理的混合物についての記載がある。前記物理的混合物は、従来の噴霧乾燥プロセス、すなわち微粒子の再循環を伴わない単一効果型の噴霧乾燥によって乾燥させられる。その結果、打錠性が比較的低く、流動の悪い粉末がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】米国特許第3,145,146号
【特許文献2】国際公開第00/47233号
【特許文献3】特開平09−077669号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
したがって、結晶質マンニトール粉末の打錠性特性と流動能力の両立を可能にする単一の解決法を提供することは困難に思われ、マンニトールと顆粒状デンプンの凝集体を使用することからなる1つの解決法を提供するという技術的先入観に矛盾することである。
【0031】
したがって、出願人の会社でさえその欧州特許第1,138,661号明細書の中で、微粒径の結晶質マンニトールに対し優れた流動能力を付与することに成功したものの、それに打錠性特性を与えることはできないでいた。
【0032】
前記欧州特許第1,138,661号明細書によって得られた粉末マンニトールはこうして、硬質ゼラチンカプセルを充填するための粉末の調合において例証されたものの、この充填は実験用に特別に設計された装置上でシミュレートせざるを得なかった。
【課題を解決するための手段】
【0033】
したがって、本発明の目的は、これらの欠点を克服することにあり、出願人の会社は、数多くの研究の後、顆粒状デンプンとマンニトールに基づく共凝集体を使用すれば直ちにこの目的が達成可能であることを見出した。
【0034】
「顆粒状デンプン」という用語は、顆粒タイプの天然またはハイブリッドの由来を問わない未変性デンプンおよび顆粒形状を保持した全ての化学的に改質されたデンプンを意味するものとして理解される。
【0035】
好ましくは、出願人の会社が「超白色デンプン(extra white starch)」という名で販売しているもののような、完全に満足のゆく白色度を有する顆粒を得ることを可能にする白色コーンスターチが使用される。
【0036】
本発明の別の主題は、
− 直接打錠による、特筆すべき硬度特性を示す錠剤の製造、
− 利用される装置への補給のためのホッパーおよびシュートの充填および排出を容易にするために潤滑剤および流動剤を大量に使用する必要なく製造可能な硬質ゼラチンカプセルの充填、
を可能にすることを特徴とする結晶質マンニトールと顆粒状デンプンの共凝集体にある。
【0037】
したがって、本発明の主題は、顆粒状デンプンが前記凝集体の打錠性に参与し潤滑を容易にする結晶質マンニトールと顆粒状デンプンの共凝集体の使用にあり、顆粒状デンプンのこのような特性は、当業者が発見を予想しなかったものである。
【0038】
最後に、本発明の主題は、顆粒状デンプンが結合剤および潤滑剤の両方として作用する、結晶質マンニトールと顆粒状デンプンの共凝集体を含む、
− 錠剤、
− 硬質ゼラチンカプセル、
にある。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の主題は、より詳細には、
結晶質マンニトールおよび顆粒状デンプンの共凝集体であって、
− テストAにしたがって決定される打錠性が120N超、好ましくは200〜450N、そしてさらに好ましくは220〜400Nであり、
− テストBにしたがって決定される流動等級が3〜15秒、好ましくは4〜8秒、そしてさらに好ましくは4〜6秒の間である、
共凝集体にある。
【0040】
本発明に係る共凝集体は、テストAにしたがって決定されるその打錠挙動により特徴づけされる。
【0041】
テストAは、1.2%のステアリン酸マグネシウムで潤滑された前記共凝集体(潤滑は、Willy A.Bachofen製のTurbula T2Cミキサー内で5分間共凝集体とステアリン酸マグネシウムを混合させることにより実施される)から出発してSviac(France)社が販売するFrogerais AM実験室用往復プレスを使用して製造された錠剤の圧壊をもたらすのに必要な、ニュートン単位で表わした力を測定することからなり、こうして凸状面を伴う円筒形で、13mmの直径、6mmの厚みおよび0.734gの重量を有する、すなわち1.3g/mlのバルク密度を伴う錠剤の圧壊強度を反映するものである。錠剤の硬度ひいては粉末の打錠性を表わすこの力は、Erweka TBH 30GMD硬度試験機上で測定される。ニュートン単位で示される値は、10回の測定から生成された平均値に対応する。
【0042】
本発明に係る共凝集体はこのとき、テストAにしたがって決定された120N超、好ましくは200〜450Nの打錠性を示す。
【0043】
デンプンは非常に低い打錠性を有することから、マンニトールとデンプンの前記共凝集体が高い打錠性を示し、それにより、医薬品、獣医薬、または栄養補助食品用活性成分または食品または賦形剤、着香剤または着色剤を追加で含むものの、フィルムコーティング、ブリスターパック内への包装、チューブ内への包装また実際にはバルク包装でさえあれ、その後の取り扱いのために充分な硬度を保持する錠剤を生産することが可能になるということを見出したのは意外なことであった。
【0044】
高い打錠性は、とりわけ液量計または秤量ディスクの原理を用いた工業用カプセル充填機上での硬質ゼラチンカプセルの充填のためにも所望される。
【0045】
本発明に係る共凝集体は同様に、テストBにしたがって決定されるその流動能力によっても特徴づけされる。
【0046】
テストBは、ヨーロッパ薬局方(EP 5.0、第1巻、01/2005:20916、2.9.1.6項;図2.9.16.−2にしたがった機器)により推奨された測定方法にしたがって100gの粉末が流動するのに必要な時間を決定することからなる。
【0047】
本発明に係る共凝集体は、このとき、テストBにしたがって決定された3〜15秒、好ましくは4〜8秒の流動等級を示す。
【0048】
共凝集体は優れた自由流動を示す一方、顆粒状デンプンは自由に流動せず、マンニトールとデンプンの物理的混合物は流動しないかまたは極くわずかしか流動しない。
【0049】
本発明に係る共凝集体は、60〜500μm、好ましくは100〜250μmのレーザー体積平均径D4,3を示す。
【0050】
粒径分布の値は、メーカーの技術便覧および仕様書にしたがって、粉末分散モジュール(乾燥経路)の備わったBeckman−Coulter製のLS200型レーザー回折粒径測定器上で決定される。
【0051】
ホッパー下のスクリュー速度および分散シュートの振動強度の作動条件は、光学濃度が4%〜12%、理想的には8%となるように決定される。
【0052】
LS200型のレーザー回折粒径測定器の測定範囲は、0.04μm〜2000μmである。結果は体積%として計算され、μm単位で表わされる。
【0053】
粒径分布曲線は同様に、体積平均径(算術平均)D4,3の値を測定することも可能にする。
【0054】
活性成分を含む錠剤および硬質ゼラチンカプセルにおいて、活性成分の投薬量の均一性は、活性成分の平均径に対して賦形剤の平均径を最適化すること、一般的には、系統的にならないようにしながら両方の平均径を接近させることによって得られる。
【0055】
本発明に係る共凝集体は、錠剤の製造および硬質ゼラチンカプセルの充填の両方について60〜500μmという、活性成分の大部分に対応する平均径に近づくことができるようにする。
【0056】
本発明に係る共凝集体は同様に、マンニトール/デンプン比が99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30であることも特徴としている。
【0057】
マンニトールが99.5%超または50%未満では、前記共凝集体が満足のいく打錠性特性または流動特性を有さないということを、出願人の会社は見出した。
【0058】
好ましくは、95/5〜70/30のマンニトール対デンプン比が選択される。
【0059】
本発明の別の実施形態によると、共凝集体はマンニトールとデンプンを含み、最終的な顆粒に所望される特性と干渉しないことを条件として、詳細には着香剤、着色剤、安定剤、結合剤、潤滑剤または保存料などの任意の適切な添加剤をさらに含むことができる。
【0060】
これらは同様に、医薬品または植物保護活性成分または洗剤でもあり得る。
【0061】
本発明に係る共凝集体は、
− 0.400〜0.750g/ml、好ましくは0.450〜0.650g/mlの嵩密度、
− 0.500〜0.850g/ml、好ましくは0.550〜0.750g/mlのタップ密度、を示す。
【0062】
本発明に係る共凝集体の嵩密度およびタップ密度は、ヨーロッパ薬局方(EP5.1、第1巻、01/2005:20915、2−9−15項;図2−9−15−1にしたがった機器)により推奨された測定方法にしたがって決定される嵩密度およびタップ密度であり、タップバルク密度は1250回のタップの後に得られる。
【0063】
嚥下すべき錠剤および硬質ゼラチンカプセルの体積を削減し、こうして患者による投薬治療の順守を改善するために、高いタップ密度が所望される。
【0064】
それでも、共凝集体と活性成分で形成された粉末との間の混合の均質性には、嵩密度に類似性が求められることが多い。したがって共凝集体は、取込まれるべき活性成分に応じて多少の差こそあれ高密度であることが必要である。
【0065】
本発明に係る共凝集体は、大部分の場合に適した広範囲にわたる密度を示し得る。
【0066】
本発明に係る結晶質マンニトールと顆粒状デンプンの共凝集体は最終的に、マンニトールがアルファおよびベータの両方の結晶形態で提供されることを特徴としている。
【0067】
マンニトールは従来、アルファ、ベータおよびデルタという三つの結晶形態で販売されており、より安定したものであるためベータ形態が最も一般的に使用されている形態である。
【0068】
これは、アルファまたはデルタ結晶形態のマンニトールが少量の水の存在下に置かれたときに、溶解して次にベータ形態に再結晶化するため不安的であることが極く一般的に公知であるからである。
【0069】
したがって、出願人の会社は、詳細には、アルファ形態が再結晶化してベータ形態を提供する危険性が、例えばそれを含む錠剤の口中崩壊能力にとって、あるいはマンニトールの打錠性特性または流動能力特性を最適化する試みにおいて有害である利用分野では、アルファ形態よりもベータ結晶形態を選好すべきであると考える技術的先入観に反対の立場をとっていた。
【0070】
マンニトールにアルファおよびベータ結晶形態の2つが共存することは、従来、当業者にとってさらに公知である任意の方法、すなわち赤外線分光分析によってかまたはX線回折により見つけ出され得る。
【0071】
赤外線分光分析による場合、一般的に用いられる方法は、臭化カリウムペレットによるものである。このとき、マンニトールの2つの結晶形態は異なるプロフィールを示す。
【0072】
差異は、多少の差こそあれ局所的に顕著である。検討対象のスペクトル領域は、それ故、2850〜3050cm−1のところにある。アルファ形態は、約2885cm−1における吸着バンドの存在により特徴づけされ、ベータ形態の方は、約2985cm−1と2900cm−1における吸着バンドにより特徴づけされる。
【0073】
これら2つの形態の混合物はこのとき、2つの形態の割合及び検討対象のスペクトル領域に応じて多少の差こそあれ目立った差を示す。
【0074】
アルファおよびベータ結晶形態の標準混合物について実施される測定によって、以下の実施例において見られるように、本発明に係る結晶質マンニトールと顆粒状デンプンの共凝集体内の結晶形態の割合を定量化することは比較的容易である。
【0075】
これらの値は、X線回折分光分析により確認することができる。
【0076】
これは、当業者であれば、回折ラインの強度の比を用いることで相対的定量化が可能になることがわかっているからである。すなわち、20°1のラインの高さはアルファ形態に対応し、それに対して27°2のラインの高さはベータ結晶形態に対応する。
【0077】
例えば25%のアルファ結晶形態と75%のベータ結晶形態を示す混合物は、21のライン高さ比を提供し、一方、50%を含む混合物は、5のライン比値を提供する。
【0078】
上述の特徴を有する本発明に係る共凝集体は、極く詳細には、マンニトールとデンプンの混合物の噴霧乾燥または造粒のステップを含む方法にしたがって得ることができる。
【0079】
この目的は、これまでのところ、当業者にとって公知でマンニトールとデンプンの両方に応用可能である方法によって達成されたことがない。これは、デンプンは水性媒質中での熱プロセスが使用された場合に焼成し、それ故顆粒性を失うという欠点を示すからである。
【0080】
本発明に係るプロセスの第1の好ましい実施形態において結晶質マンニトールとデンプンの共凝集体は、マンニトール溶液とデンプンの混合物の噴霧乾燥または造粒により製造され、デンプンはマンニトール溶液中に懸濁されている。
【0081】
本発明に係るプロセスの第2の好ましい実施形態において、結晶質マンニトールとデンプンの共凝集体は、マンニトール溶液と乾燥デンプンの混合物の噴霧乾燥または造粒によって製造され、デンプンは、噴霧乾燥機内にまたは造粒ステップの間に乾燥形態で取込まれる。
【0082】
第1の好ましい形態においては、
a) マンニトールと顆粒状デンプンの「溶液」を45〜65℃の温度で製造するステップであって、
− マンニトール/デンプン比が99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30であり、
− 固形分含有量が乾燥重量として25〜45%であるステップと、
b) マンニトールとデンプンの前記溶液を45〜65℃の温度に保つステップと、
c) 噴霧乾燥機の上部に微粒子の再循環を伴う高圧噴霧乾燥ノズルの備わったMSD型噴霧乾燥機内で前記溶液を噴霧乾燥させるステップと、
d) こうして得たマンニトールとデンプンの共凝集体を回収するステップと、
にしたがって作業を進めることが可能である。
【0083】
したがって、第1のステップは、
− マンニトール/デンプン比が99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30であり、
− 固形分含有量が乾燥重量として25〜45%である、マンニトールと顆粒状デンプンの溶液を45〜65℃の温度で製造するステップ、
からなる。
【0084】
マンニトール結晶の初期粒径は本質的な特徴ではないが、デンプン含有量は反対に、マンニトールに対するその比と同様、重要なパラメータである。
【0085】
このとき、99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30のマンニトール/デンプン比が選択される。
【0086】
第2のステップは、マンニトール結晶とデンプンの前記溶液を45〜65℃の温度に保つことからなる。
【0087】
この温度に保つことで、マンニトールを溶解状態または低粒径の結晶の形に保持することが可能になる。温度は、デンプンを顆粒形態に保持するために選択される。
【0088】
次に、第3のステップは、噴霧乾燥機の上部に微粒子の再循環を伴う高圧噴霧乾燥ノズルの備わったMSD型(すなわち多段乾燥機)噴霧乾燥機内で前記溶液を噴霧乾燥させることからなる。
【0089】
以下の実施例でわかるように、出願人の会社は、Niroが販売するMSD20型噴霧乾燥機の使用を推奨している。
【0090】
スプレーノズルは、50〜170l/h、好ましくは約120l/hの流量について20〜250バールの圧力を得るように選択される。
【0091】
入口空気の温度は以下の通りに調整される。
− 噴霧乾燥機の上流側の入口空気について、120℃〜240℃の温度、
− 静的流動床について、50〜120℃の温度、
− 振動流動床について、約20℃の温度。
【0092】
噴霧乾燥機の出口温度はこのとき、50〜120℃である。
【0093】
本発明に係る共凝集体は、噴霧乾燥機の出口において最終的に回収される。
【0094】
第2の好ましい形態によると、
a) 固形分含有量が乾燥重量として25〜50%であるマンニトール溶液を、45〜90℃の温度で製造するステップと、
b) 前記マンニトール溶液を45〜90℃の温度に保つステップと、
c) 噴霧乾燥機の上部に微粒子の再循環を伴う高圧噴霧乾燥ノズルの備わったMSD型噴霧乾燥機内で前記溶液を噴霧乾燥させるステップであって、乾燥デンプンが重量計量装置を介して、99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30のマンニトール/デンプン比で微粒子を再循環させるためのシステム内に注入されるステップと、
d) こうして得たマンニトールとデンプンの共凝集体を回収するステップと、
にしたがって作業を進めることが可能である。
【0095】
したがって、出願人の会社は、回収システム内へのデンプンの注入が、乾燥中のマンニトールとの密な混合を可能にするということを見出した。
【0096】
溶液は、先行する好ましい形態の場合と同様に、噴霧乾燥機の上部に微粒子の再循環を伴う高圧噴霧乾燥ノズルの備わったMSD型(すなわち多段乾燥機)噴霧乾燥機内で噴霧乾燥される。
【0097】
以下の実施例でわかるように、出願人の会社は、Niroが販売するMSD20型噴霧乾燥機を使用することを推奨している。
【0098】
スプレーノズルは、50〜170l/h、好ましくは約120l/hの流量について20〜250バールの圧力を得るように選択される。
【0099】
入口空気の温度は以下の通りに調整される。
− 噴霧乾燥機の上流側の入口空気について、120℃〜240℃の温度、
− 静的流動床について、50〜120℃の温度、
− 振動流動床について、約20℃の温度。
【0100】
噴霧乾燥機の出口温度はこのとき、50〜120℃である。
【0101】
本発明に係る共凝集体は、噴霧乾燥機の出口において最終的に回収される。
【0102】
第3の好ましい形態によると、
a) マンニトールと顆粒状デンプンの溶液を45〜65℃の温度で製造するステップであって、
− マンニトール/デンプン比が99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30であり、
− 固形分含有量が乾燥重量として25〜45%であるステップと、
b) マンニトールとデンプンの前記溶液を45〜65℃の温度に保つステップと、
c) 流動空気床造粒機内に噴霧することにより前記溶液を造粒するステップと、
d) こうして得たマンニトールとデンプンの共凝集体を回収するステップと、
にしたがって作業を進めることができる。
【0103】
造粒を実施するためには、連続流動空気床造粒機を利用することなどが可能である。
【0104】
排出管を伴う円形連続流動空気床造粒機または、栓流矩形連続流動空気床造粒機が有利には選択され得る。
【0105】
以下の実施例に見られるように、出願人の会社は、Glattが販売するAGT型の分類器を伴う連続流動空気床造粒機を利用することを選択した。
【0106】
本発明は、限定を意味せず例示を目的とした以下の実施例の援用により、より良く理解されるものである。
【実施例】
【0107】
実施例1
顆粒状デンプンが懸濁されているマンニトール溶液の混合物の噴霧乾燥による本発明に係る共凝集体の製造
【0108】
それぞれ99/1、95/5、90/10、85/15および80/20の比でマンニトールと顆粒状デンプンからなる共凝集体の異なる組成物を、本発明にしたがって噴霧乾燥により製造する。
【0109】
約50μmのレーザー体積平均径を示す、PEARLITOL(登録商標)50Cの名称で出願人の会社が販売する結晶質マンニトールと、「超白色」コーンスターチが使用される。
【0110】
55℃で脱塩水中に結晶質マンニトールを溶解させ超白色コーンスターチをその中に懸濁させることによって、所望の固形分含有量でのマンニトールとデンプンの溶液を製造する。
【0111】
撹拌により、塊のない流動的かつ均質な溶液を得ることが可能となる。Niroが販売するMSD20型噴霧乾燥機内でのこれらの共凝集体の製造のための作動条件は、下表1に記される。
【0112】
【表1】

【0113】
デンプン含有量の変更中、より詳細には、本発明に係る共凝集体の製造には、類似の平均粒径を得るため、ノズル、噴霧乾燥圧力および空気温度の選択における調整が必要となる。
【0114】
本発明に係るマンニトールとデンプンの共凝集体の特徴は、下表2に提示されている。
【0115】
【表2】

【0116】
本発明に係るマンニトール共凝集体の挙動は、打錠性および流動に関して完全に満足のいくものである。
【0117】
低い(1%)またはより高い(20%)デンプン含有量で、本発明に係る共凝集体は高い打錠性を示す。
【0118】
この高い打錠性により、高含有量で活性成分を取込んだ後に充分な硬度ひいては凝集力を保持する錠剤を調合することが可能になる。
【0119】
したがって、これは、錠剤および硬質ゼラチンカプセル専用の医薬品賦形剤にとって本質的で所望される特徴である。その上、測定された流動等級は非常に短かく、そのため、打錠プレスおよびカプセル充填機上で非常に高い処理量での工業的使用が可能となる。
【0120】
実施例2
噴霧乾燥機内でのマンニトール溶液の噴霧乾燥および乾燥形態の顆粒状デンプンの取込みによる、本発明に係る共凝集体の製造
【0121】
それぞれ80/20、70/30および50/50の比でマンニトールとデンプンからなる共凝集体の異なる組成物を、本発明にしたがって噴霧乾燥により製造する。
【0122】
約50μmのレーザー体積平均径を示す、PEARLITOL(登録商標)50Cの名称で出願人の会社が販売する結晶質マンニトールと、「超白色」コーンスターチが使用される。
【0123】
所望の固形分含有量でのマンニトールの溶液を、70℃で脱塩水中に結晶質マンニトールを溶解させることで製造する。
【0124】
デンプンは、K−Tronにより販売されている重量計量装置を介して微粒子の再循環中に乾燥形態で導入される。
【0125】
Niroが販売するMSD20型噴霧乾燥機内でのこれらの共凝集体の製造のための作動条件は、下表3に示されている。
【0126】
【表3】

【0127】
本発明に係る共凝集体H、IおよびJの製造のための条件は、同じパラメータで、デンプン含有量の増大が平均粒径を減少させるということを示している。
【0128】
共凝集体FおよびGの製造に関する条件は、噴霧乾燥圧力が高くなればなるほど、平均粒径が減少することを示している。
【0129】
本発明に係るマンニトールとデンプンの共凝集体の特徴は、2つの物理的混合物P1およびP2と比較して、下表4中に提示されている。
− 混合物P1は、80%のPEARLITOL(登録商標)50Cと20%の「超白色」デンプンで構成されている。
− 混合物P2は、80%のPEARLITOL(登録商標)200SD(出願人の会社が販売)と20%の「超白色」デンプンで構成されている。
【0130】
【表4】

【0131】
本発明に係るマンニトール共凝集体の挙動は、流動および打錠性に関して完全に満足のいくものである。
【0132】
粉末の粒径および密度を調整するために生産パラメータを変動させることが可能である。
【0133】
賦形剤と活性成分の混合物中の均質性は、利用される混合方法のみならず2つの粉末の特性の類似性にも左右される。
【0134】
活性成分粉末と賦形剤粉末は、同じ粒径および同じ密度を示す場合に、より混合しやすい。
【0135】
このことは、活性成分で形成されたさまざまな粉末に適したものとなるように、これらの特性を変動させること、そして異なる特性をもつ様々な粉末を利用できるようにしておくことの利点を説明している。その上、粉末の特筆すべき流動特性を妨げることなく、調合すべき製品の打錠性を調整するために共凝集体のデンプン含有量を変動させることが可能である。
【0136】
粉末の単なる物理的混合物(P1およびP2)では、所望の錠剤を得ることが不可能である。
【0137】
実施例3
デンプンがマンニトール溶液中に懸濁している状態でのマンニトール溶液とデンプンの混合物の造粒による本発明に係る共凝集体の製造
【0138】
それぞれ85/15、70/30および50/50の比でマンニトールとデンプンからなる共凝集体の異なる組成物を、本発明にしたがって造粒により製造する。
【0139】
約50μmのレーザー体積平均径を示す、PEARLITOL(登録商標)50Cの名称で出願人の会社が販売する結晶質マンニトールと、「超白色」コーンスターチが使用される。
【0140】
55℃で脱塩水中に結晶質マンニトールを溶解させ超白色コーンスターチを懸濁させることによって、所望の固形分含有量でのマンニトールとデンプンの溶液を製造する。
【0141】
撹拌により、塊のない流動的かつ均質な溶液を得ることが可能となる。
【0142】
Glattが販売するAGT150型の連続流動空気床造粒機内でこれら共凝集体を製造するための作動条件は下表5に示されている。
【0143】
噴霧ノズルは、「底面噴霧」位置にある。
【0144】
【表5】

【0145】
本発明に係るマンニトールとデンプンの共凝集体の特性は下表6に提示されている。
【0146】
【表6】

【0147】
得られた結果は、噴霧乾燥により得られるものと同等のものである本発明に係る共凝集体が造粒によって得られることを実証している。
【0148】
実施例4
マンニトール溶液と乾燥形態で導入された顆粒状デンプンとの混合物を噴霧乾燥機内で噴霧乾燥させることによる本発明に係る共凝集体の製造
【0149】
80/20の比率でマンニトールとデンプンからなる3つの共凝集体を、結晶質マンニトールと3つの異なる顆粒状デンプンすなわち「超白色」コーンスターチ、ジャガイモデンプンおよび出願人の会社によりCLEARAM(登録商標)CR20/10という名称で販売されている安定化されリン酸塩架橋されたヒドロキシルプロピル化ろう質コーンスターチを用いて本発明にしたがって噴霧乾燥することによって製造する。
【0150】
これらの共凝集体の製造のための作動条件は下表7中に示されている。
【0151】
【表7】

【0152】
本発明に係るマンニトールとデンプンの共凝集体の特徴は下表8に提示されている。
【0153】
【表8】

【0154】
本発明に係るマンニトール共凝集体の挙動は、打錠性および流動に関して完全に満足のいくものである。
【0155】
本発明に係る生成物の本質的な特性を保持しながら、任意の他のタイプの顆粒状デンプンで超白色コーンスターチを置換することは可能である。
【0156】
したがって、利用可能な顆粒状デンプンの如何に関わらずこの凝集体を生産し、それ故利用可能性、地域的文化性の問題から解放されることが可能であるばかりでなく、消費者(遺伝子組換えされた生体の不在)または患者(セリアック病をひき起こす小麦でんぷん)の希望または制約条件を考慮に入れることも可能である。
【0157】
特性を調整するためのデンプンの化学的修飾も、そのデンプンが顆粒状にとどまることを条件として実施可能である。
【0158】
実施例5
本発明に係る共凝集体そして比較用として出願人の会社が販売する2つのマンニトール粉末を用いた、秤量ディスクタイプの自動カプセル充填機上での硬質ゼラチンカプセルの充填。
【0159】
これらの試験の目的は、カプセル充填機の適正な作動に必要な最低限の潤滑剤含有量を測定することにある。
【0160】
医薬品分野で最も広く用いられている潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムがこのために使用される。
【0161】
被験粉末と、Barloecher(ドイツ)製のステアリン酸マグネシウムpharma vegの均質な混合物を製造する。両方で300gという最終重量に達するのに必要とされる被験生成物とステアリン酸マグネシウムの量を、1リットル入りのジャーの中に入れる。
【0162】
2つの生成物をその後、Willy A.Bachofen(スイス)製のTurbula T2Fエピサイクリックミキサーを用いて5分間混合した。こうして生成された混合物は、潤滑された混合物と呼ばれる。
【0163】
前記硬質ゼラチンカプセルを充填するために使用される機器は、Dott.Bonapace(イタリア)製のIn−Capカプセル充填機である。
【0164】
選択される硬質ゼラチンカプセルのサイズは、「2」号であり、この号数に対応する全ての構成部品がIn−Capカプセル充填機上に設置される。
【0165】
In−Capカプセル充填機上では、2つの秤量ドラムフォーマットが可能である。大型を使用する。
【0166】
圧縮ピンは、以下の通りに調整される、すなわちピン1=27.5mm、ピン2=29mm、ピン3=32mmそしてピン4=35mm。
【0167】
表わされた距離は、各ピンを取付けるためのナットの上面と各ピンを調整するためのナットの下面の間で測定されたものである。
【0168】
ピン1は、最初に作動するピンである。ピン1は秤量ディスク内に最も深く貫入し、ピン4は、秤量ディスクへの貫入深さが最も小さい。秤量ディスクおよびカウンタディスクは、14.5mmの厚みを有する。
【0169】
使用された硬質ゼラチンカプセルシェルは、Capsugel製のConi−Snapシェルである(照会番号2CS Natural Tr.Code 43.000)。
【0170】
秤量ドラム内の粉末床の厚みは、潤滑された混合物と共に充填され、最終重量が310mgの硬質ゼラチンカプセルを得るように調整される。
【0171】
連続した一連の300個の硬質ゼラチンカプセルの生産が可能となった場合に、試験は合格とみなされる。
【0172】
これら300個の硬質ゼラチンカプセルの生産中は、いかなる種類の中断も一切許容されない。
【0173】
硬質ゼラチンカプセルは、それらを再度開放してその中に存在するプラグを観察することができるように、永久閉鎖されない。
【0174】
【表9】

【0175】
In−Capカプセル充填機は、ステアリン酸マグネシウムの含有量が、PEARLITOL(登録商標)200SDおよびPEARLITOL(登録商標)300DC(出願人の会社が販売する2つの等級のマンニトール)については3%未満、または本発明に係る共凝集体については1.5%未満である場合、適正に作動できない。
【0176】
プラグが秤量ディスク内および突き出しピン内に詰まると、それらを硬質ゼラチンカプセルの本体内に押し込むために、異常に強い力を及ぼさなくてはならない。
【0177】
これは、硬質ゼラチンカプセルの重量の均一性欠如から、頻繁な生産停止、さらにはカプセル充填機に対する損傷にまで至る複数の問題の原因となる。
【0178】
ステアリン酸マグネシウムの高含有量(3%)添加は、あらゆる場合において問題の解決を可能にするが、硬質ゼラチンカプセルの溶解ひいては有効成分の生物学的利用能の遅延をひき起こし、患者に提供されるケアに不利益が及ぶ。
【0179】
これは、ステアリン酸マグネシウムが水中で不溶性であり、3%というこの高い濃度では、硬質ゼラチンカプセルの内容物のまわりに不溶性障壁層を生成し、この不溶性障壁層が硬質ゼラチンカプセルの溶解を大幅に減速させるからである。
【0180】
本発明に係る共凝集体は、先行する含有量の半分という低いステアリン酸マグネシウム含有量しか必要としない。不溶性障壁層は形成され得ないか、または脆弱過ぎて有効成分の溶解および生物学的利用能を制限できない。
【0181】
実施例6
本発明に係る共凝集体と有効成分パラセタモールでの硬質ゼラチンカプセルの充填
【0182】
硬質ゼラチンカプセルの充填に用いられる機器は、Instron(USA)汎用引張/圧縮機に取り付けられたシミュレータである。このシミュレータは、下部部分が可動蟻継ぎにより閉鎖される垂直円筒形穴のあいた金属ブロックである。
【0183】
この穴の内径は、「0」フォーマットの硬質ゼラチンカプセルシェルの内径よりもわずかに小さい。金属ブロックの下部部分は、垂直方向穴の軸内に硬質ゼラチンカプセルのシェルの下部部分を保持する支持体を収容するように設計されている。
【0184】
垂直方向穴の直径よりわずかに小さい直径を有するピストンと呼ばれる金属シリンダが、金属ブロック内で潤滑された粉末を突き固め、プラグを形成するために使用される。
【0185】
共凝集体、パラセタモール(Rhodia製の細かい結晶質RHODAPAP(登録商標))およびBarloecher(ドイツ)製ステアリン酸マグネシウムpharma vegの均質な混合物が製造される。
【0186】
1リットル入りのジャー内に147.75g(49.25%)の共凝集体と147.75g(49.25%)のパラセタモールを入れる。Willy A.Bachofen(スイス)製のTurbula T2Fエピサイクリックミキサーを用いて5分間、2つの生成物を混合する。
【0187】
4.5g(1.5%)のステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに5分間、混合を実施する。こうして生成された混合物は潤滑された混合物と呼ばれる。
【0188】
使用された「0」号の硬質ゼラチンカプセルシェルはLaboratoire LGA(Bandol、フランス)製である。
【0189】
シミュレータに500mgの潤滑された混合物を導入する。粉末の突き固めを行うピストンは、プラグを形成するために潤滑された混合物に加えられる力が600Nとなるまで、毎分20mmの一定の垂直方向速度で降下する。
【0190】
プラグがひとたび形成されると、可動蟻継ぎを撤去した後、このプラグをピストンで硬質ゼラチンカプセルのシェルの下部部分の中に押し込む。
【0191】
その後、硬質ゼラチンカプセルを手作業で閉じる。
【0192】
このように製造された硬質ゼラチンカプセルの崩壊時間は、ヨーロッパ薬局方(E.P.6.0、01/2008:20901、2.9.1.錠剤とカプセルの崩壊)により推奨されている方法にしたがって測定され、この測定は12個の硬質ゼラチンカプセルについて実施される。
【0193】
【表10】

【0194】
こうして製造されたパラセタモール硬質ゼラチンカプセルは、3分未満という非常に短い水中崩壊時間を示す。この時間は、ヨーロッパ薬局方が硬質ゼラチンカプセルについて設定した崩壊時間である15分よりもはるかに短い。
【0195】
これらの試験は、本発明に係る共凝集体が非常に短い崩壊時間を達成できるようにするということを確認している。
【0196】
実施例7
本発明に係る共凝集体そして比較用として出願人の会社が販売するマンニトール粉末を用いた、錠剤の製造。
【0197】
これらの試験の目的は、打錠プレスの適正な作動に必要な最低限の潤滑剤含有量を測定することにある。医薬品分野で最も広く用いられている潤滑剤であるステアリン酸マグネシウムがこのために使用される。
【0198】
被験粉末と、Barloecher(ドイツ)製のステアリン酸マグネシウムpharma vegの均質な混合物を製造する。
【0199】
両方で300gという最終重量に達するのに必要とされる被験生成物とステアリン酸マグネシウムの量を、1リットル入りのジャーの中に入れる。
【0200】
2つの生成物をその後、Willy A.Bachofen(スイス)製のTurbula T2Fエピサイクリックミキサーを用いて5分間混合する。こうして生成された混合物は、潤滑された混合物と呼ばれる。
【0201】
錠剤は、直径13mmの凹状パンチが備わったSviac(France)が販売するFrogerais AM実験室用復動プレスを用いて製造される。凸状面を有する直径13mmの錠剤は、6mmの厚みおよび0.734gの重量を有する。
【0202】
ステアリン酸マグネシウムの漸減的含有量すなわち1.2%、1.0%、0.8%、0.6%および0.4%が試験される(%は、2つの粉末の混合物に対して表わされたものである)。
【0203】
スティッキング(粉末の一部分が、錠剤の放出後パンチの表面に粘着して残っている)およびジャミング(錠剤の断面が条痕を示す)の存在を観察する。最小限の潤滑剤含有量は、これら2つの欠陥のいずれも観察されない含有量に対応する。
【0204】
出願人の会社が販売するマンニトール粉末であるPEARLITOL(登録商標)200SDについては、この含有量は1.2%である。本発明に係る共凝集体については、それは0.6%である。
【0205】
潤滑剤含有量が低い方が、有効成分の溶解および生物学的利用能にとって有利である。その上、それは錠剤を工業的に生産するのがさらに容易であることを予測させる。
【0206】
単純かつ容易な潤滑により、スティッキングまたはジャミングの問題の結果としての品質低下または運転停止の危険性無く、非常に高い生産速度を達成することが可能となる。
【0207】
実施例8
本発明に係る共凝集体と、単一効果噴霧乾燥機内で生産された共凝集体とマンニトールの凝集体との比較
【0208】
それぞれ80/20および50/50のマンニトール/デンプン比での結晶質マンニトールと顆粒状デンプンの凝集体を、単一効果噴霧乾燥機内で製造する。
【0209】
このために、約50μmのレーザー体積平均径を示す、PEARLITOL(登録商標)50Cの名称で出願人の会社が販売する結晶質マンニトールと、「超白色」コーンスターチが使用される。
【0210】
55℃で脱塩水中に結晶質マンニトールを溶解させ超白色コーンスターチをその中に懸濁させることによって、所望の固形分含有量でのマンニトールとデンプンの溶液を製造する。
【0211】
撹拌により、塊のない流動的かつ均質な溶液を得ることが可能となる。Niroが販売する単一効果噴霧乾燥機(Niro Minor アトマイザー)内でのこれらの共凝集体の製造のための作動条件は、下表11に提示されている。
【0212】
【表11】

【0213】
単一効果噴霧乾燥機内で製造されたマンニトールとデンプンの凝集体の特徴は、下表12に提示されている。
【0214】
【表12】

【0215】
本発明に係る共凝集体の挙動と比べて、単一効果噴霧乾燥機内で生産されたマンニトールとデンプンの凝集体の挙動は、圧縮性および流量に関して確かに満足のいくものではない。
【0216】
打錠性が低い(凝集体「R」)、打錠性が極めて欠如している(凝集体「S」)と、高含有量の有効成分の取込みの後に充分な硬度ひいては凝集力を保持する錠剤を調合することができない。
【0217】
さらに、凝集体「R」および「S」は流動特性が非常に低いため、流動時間を測定することができない(テストBによると、時間は無限小)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶質マンニトールおよび顆粒状デンプンの共凝集体において、
− テストAにしたがって決定される打錠性が120N超、好ましくは200〜450Nであり、
− テストBにしたがって決定される流動等級が3〜15秒、好ましくは4〜8秒の間である、
共凝集体。
【請求項2】
レーザー体積平均径D4,3が60〜500μm、好ましくは100〜250μmである、請求項1に記載の共凝集体。
【請求項3】
前記マンニトール/デンプン比が99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30である、請求項1〜2のいずれかに一項に記載の共凝集体。
【請求項4】
− 嵩密度が0.400〜0.750g/ml、好ましくは0.450〜0.650g/mlであり、
− タップ密度が0.500〜0.850g/ml、好ましくは0.550〜0.750g/mlである、
請求項1〜3のいずれかに一項に記載の共凝集体。
【請求項5】
前記デンプンが、標準コーンスターチ、超白色コーンスターチおよびジャガイモデンプンからなる群から単独または組合せた形で選択される、請求項1〜4のいずれかに一項に記載の共凝集体。
【請求項6】
前記マンニトールが、アルファおよびベータ結晶質形態の両方で提供される、請求項1〜5のいずれかに一項に記載の共凝集体。
【請求項7】
マンニトール「溶液」とデンプンの混合物の噴霧乾燥または造粒ステップを含み、前記デンプンが前記マンニトール溶液中に懸濁されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の結晶質マンニトールおよびデンプンの共凝集体の製造のための方法。
【請求項8】
マンニトール溶液と乾燥デンプンの混合物の噴霧乾燥または造粒ステップを含み、前記デンプンが噴霧乾燥機内または前記造粒ステップ中に乾燥形態で取込まれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の結晶質マンニトールとデンプンの共凝集体の製造のための方法。
【請求項9】
a) マンニトールと顆粒状デンプンの溶液を45〜65℃の温度で製造するステップであって、
− マンニトール/デンプン比が99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30であり、
− 固形分含有量が乾燥重量として25〜45%であるステップと、
b) マンニトールとデンプンの前記溶液を45〜65℃の温度に保つステップと、
c) 前記噴霧乾燥機の上部に微粒子の再循環を伴う高圧噴霧乾燥ノズルの備わったMSD型噴霧乾燥機内で前記溶液を噴霧乾燥させるステップと、
d) こうして得たマンニトールとデンプンの前記共凝集体を回収するステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
a) 固形分含有量が乾燥重量として25〜50%であるマンニトール溶液を、45〜90℃の温度で製造するステップと、
b) 前記マンニトール溶液を45〜90℃の温度に保つステップと、
c) 前記噴霧乾燥機の上部に前記微粒子の再循環を伴う高圧噴霧乾燥ノズルの備わったMSD型噴霧乾燥機内で前記溶液を噴霧乾燥させるステップであって、前記乾燥デンプンが重量計量装置を介して、99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30のマンニトール/デンプン比で前記微粒子を再循環させるための前記システム内に注入されるステップと、
d) こうして得たマンニトールとデンプンの前記共凝集体を回収するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
a)マンニトールと顆粒状デンプンの溶液を45〜65℃の温度で製造するステップであって、
− 前記マンニトール/デンプン比が99.5/0.5〜50/50、好ましくは95/5〜70/30であり、
− 前記固形分含有量が乾燥重量として25〜45%であるステップと、
b) マンニトールとデンプンの前記溶液を45〜65℃の温度に保つステップと、
c) 流動空気床造粒機内に噴霧することにより前記溶液を造粒するステップと、
d) こうして得たマンニトールとデンプンの前記共凝集体を回収するステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
食品、医薬品、植物保護および洗剤の分野向け錠剤の製造における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の、または請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法にしたがって製造された、前記共凝集体の使用。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマンニトールと顆粒状デンプンの前記共凝集体で構成された、または請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法にしたがって得られた、錠剤。
【請求項14】
食品および医薬品の分野向けの硬ゼラチンカプセルの製造における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の、または請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法にしたがって製造された、前記共凝集体の使用。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマンニトールと顆粒状デンプンの前記共凝集体で構成された、または請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法にしたがって得られた、硬ゼラチンカプセル。

【公表番号】特表2012−525361(P2012−525361A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507804(P2012−507804)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050813
【国際公開番号】WO2010/125313
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(592097428)ロケット・フルーレ (58)
【Fターム(参考)】