説明

マンホールの止水器

【目的】 本発明は推進管端を側面孔にて受け入れたときの可撓ゴム継手の取付けの困難を解消する潜函布設するマンホール用の止水器を新規に提供するものである。
【構成】 本発明はマンホールに推進管を受け入れる側面孔と下端に潜凾布設用の刃体を装備し、該側面孔の外面に短円筒形の止水器筐体を張出し取付け、該筐体内に剥ぎ取り可能な仮蓋を有すシール用のゴムリングと土砂水の外圧を防止する耐圧輪板とおよび側面孔を抜き外し可能に閉塞するシャッター板とを固定ボルトにて串挿しナット止め収容して、該側面孔内を可撓ゴム継手の張設を可能に開放し、下部の潜凾布設用の刃体を止水器の張出し分において外側に突出し形成し、該止水器筐体外より推進管端を側面孔内に受け入れの際にシール用のゴムリングが推進管表に圧接して水封止するようにしたことを特徴とするマンホールの止水器にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はマンホールの潜凾布設時および推進管端の側面孔内受け入れ時における漏水を防止する止水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の止水器としては特許第3599394号公報がある。
該公報はマンホールの側面孔内にフランジを組み付け、側面孔より外側に張り出さないようにして覆い蓋とシールゴム板と覆い蓋を補強する補強板を並設した止水器を収容することを記載している。
【特許文献1】特許第3599394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、該公報はマンホールの側面孔内に止水器を設けるので、推進管端を側面孔にて受け入れたときの可撓ゴム継手の取付けに困難するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、マンホールの側面孔の外側に止水器を張出し形成して側面孔内を開放することで可撓ゴム継手の取付け困難を解消し、また止水器内に設けるシール用のゴムリングの内端を延長することで受け入れ推進管の管表に圧接する圧接幅を広げることで、可撓ゴム継手なしでも水封止を可能とし、さらにシャッター板にナットの止穴と大きい遊嵌穴とを交互させることで半数のナットを外すことで素早くシャッター板を抜き外し得るようにして、上記の公報の課題すべてを解消するほか、公報に記載のない技術上格段に進歩した止水器を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、マンホールの側面孔の外側に止水器を張出し形成して側面孔内を開放したので、受け入れ推進管との間に張設すべき可撓ゴム継手を困難なく取付けることができるという効果を生ずる。
【0006】
シャツター板の止穴を大きい遊嵌穴と交互させることで半分以下の少ないナット外しにてシャッター板を素早く抜き外すことができるという効果を生ずる。
【0007】
シール用のゴムリングの内端を延長することで受け入れ推進管表との間の圧接幅を拡げて、バンド止めすることで、可撓ゴム継手なしにても水封止を満足させることができるという効果を生ずる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、マンホールの側面孔の外面に短円筒形をした止水器を張出し形成して該側面孔内を可撓ゴム継手の取付け用に開放し、止水器内のシール用のゴムリングの内端を延長することで受け入れ推進管表との間で圧接幅を拡大して可撓ゴム継手なしでも水封止が可能になるようにし、さらにシャッター板の止穴と遊嵌穴を交互させることで少数のナットを外すだけでシャツター板を素早く抜き取ることができるようにしたのである。なおマンホールの下端の潜凾用刃体は止水器の張出し分において外側に突出するようにして潜凾布設に支障が生じないようにする。
【実施例1】
【0009】
以下図面に基づいて第1実施例を説明する。
潜凾布設するマンホール1は側壁に側面孔を2を形成し、その外側に50mmの張出し幅において同径大きさの鍔付筐体3をアンカーボルト4止め取付けする。
【0010】
図1乃至図2に示すように鍔付筐体3内には外側から仮蓋5a付のゴムリング5と、その内側に外部土砂水圧に耐応してゴムリング5を支える耐圧輪板6と、および側面孔2を閉塞するシャッター板7とを複数本の内向きボルト8にて串挿し固定する。各内向きボルト8は筐体3の内面に取付けた止板9にボルトヘッド8aを溶接などして固定取付けする。なお、シャッター板7は図3に示すようにナットの止穴7aとバカ穴と呼ばれる大きい遊嵌穴7bとを交互に形成するなどして半数以下の少ない数のナット7cを外すことでシャッター板7だけを素早く抜き外し得るようにする。
【0011】
マンホール1の下端の潜凾用の刃体10は筐体3の張出し分において外側に突出して潜凾布設に支障が生じないようにしている。
以上により第1実施例の止水器11を構成する。
【0012】
潜凾用の刃体10の掘削により潜凾布設したマンホール1の側面孔2に土中推進する推進管12端を受け入れするに当っては、図4乃至図6に示すように数少ない止穴7aのナット7cを外して素早くシャッター板7を抜き外して側面孔2を開口し、外したナット7cにて耐圧輪板6を当て止め、続いて仮蓋5aを剥ぎ取り外しして、止水器11の外側から推進管12端を受け入れるのである。耐圧輪板6にてゴムリング5は内側から支えられて推進管12の管表に圧接して筐体3内への土砂と地下水の流入を防止する。推進管端12が側面孔2の内端に到達したところで可撓ゴム継手13を嵌め一端を側面孔2の内面に拡開バンド14a止め圧着させ、他端を管表12aに圧接しバンド14b止め固定して水封止するようにする。
【実施例2】
【0013】
図7に示す第2実施例は、推進管12端に先導の細い公知ののパイロット推進体12bを取付けた例であって、止水器は上記のほか、シャッター板7をゴムリング5と同形に形成し、中心孔7dの周囲に別途内向きボルト8bを設けて、小ゴムリング5c、小耐圧輪板6b、小シャッター板7eを串挿しナット7c止めして止水器11aを構成させるのである。ゴムリング5の仮蓋5aは装着していない。
【0014】
パイロット推進体12aを受け入れるときは遊嵌穴7bを除くナット7cを外して小シャッター7eを抜き外し、小ゴムリング5cの仮蓋5aを剥がしとって準備するほかは第1実施例と同じである。
【実施例3】
【0015】
図8は可撓ゴム継手の他例を示すもので、可撓ゴム継手13aの一端を側面孔2の内面に圧着することにかえて、内向きボルト8を利用してナット7c止めにて密着固定するようにしたのである。
【実施例4】
【0016】
図9は可撓ゴム継手を使わずにゴムリング5の内端を延長するようにして受け入れ推進管表12aへの圧接幅を拡げてバンド14b止めするようにした例を示すものである。別途可撓ゴム継手の取付けを要しないので作業の迅速化とコストダウンを図ることができるものとなる。
【実施例5】
【0017】
図10は、止水器11に土砂固め用の薬剤注入用孔を設けた例を示すもので、内向きボルト8間の1乃至数個所に止板9,ゴムリング5,シヤッター板7を貫通する薬剤注入口15を設け、六角穴ボルト16を抜き外し自在に螺挿止めして閉塞している。推進管端12を受け入れる前に仮蓋5aを少し剥がすことで推進管端12の位置確認と同時に土砂の情況を把握することができるため、薬剤注入により固める必要がある場合には六角穴ボルト16を抜き外して薬剤注入口15を開口し、マンホール1の内側から薬剤注入用ホース(図示してない)を挿通し、側面孔2の外部周囲の土砂に薬剤を注入して固めるようにしたのである。作業後、薬剤注入孔15は六角穴ボルト16を螺挿して再閉塞する。マンホール1外部の薬剤注入設備を要せずしてマンホール1内から作業することができるので薬剤の注入が至極容易にできることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は以上のようにして、マンホールの側面孔の外側に短円筒形にて止水器を張出し取付けするようにしたので、既製のマンホールに取付けることができ、潜凾布設は勿論、他の方法による布設にも適用することができて広く利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)はマンホールに取付けた止水器部分の横断面図、(b)は同、縦断面図
【図2】止水器の各部材を組付け前の状態にて示す拡大縦断面図
【図3】同、マンホール取付け側から見た部材別図
【図4】(a)はマンホールの内側から見た取付け状態図、(b)は遊嵌穴を除く半数のナットを外してシャッター板を抜き外した状態図
【図5】推進管端の到達によりシャッター板を抜き外し、仮蓋を剥がした状態の部分平面図
【図6】推進管端を受け入れて可撓ゴム継手を装着した状態を示す横断端面図
【図7】パイロット推進体を取付けた推進管用の止水器を示すもので、(a)は小ゴムリング,小耐圧輪板,小シャッター板の取付け前の状態を示す縦断面図、(b)は、同、マンホール側から見た各部材図
【図8】可撓ゴム継手を内向きボルトとナットにて固定した実施例を示す横断半平面図
【図9】ゴムリングの延長部をバンド締めして水封止する実施例を示す横断半平面図
【図10】薬剤注入口を設けた例を示し、(a)はマンホール側から見た図、(b)は(a)のb−b線縦断面図
【符号の説明】
【0020】
1は潜凾布設するマンホール
2は側面孔
3は鍔付筐体
3aは鍔
3bはボルト穴
4はアンカーボルト
5はゴムリング
5aは仮蓋
5bは止穴
5cは小ゴムリング
6は耐圧輪板
6aは止穴
6bは小耐圧輪板
7はシャツター板
7aは止穴
7bは遊嵌穴
7cはナット
7dは中心孔
7eは小シャッター板
8は内向きボルト
8aはボルトヘッド
8bはシャッター板に設けた内向きボルト
9は止板
10は刃体
11,11aは止水器
12は推進管
12aは管表
12bはパイロット推進体
13,13aは可撓ゴム継手
14aは拡開バンド
14bは締付けバンド
15は薬剤注入口
16は六角穴ボルト
17は接着剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールに推進管を受け入れる側面孔と下端に潜凾布設用の刃体を装備し、該側面孔の外面に短円筒形の止水器筐体を張出し取付け、該筐体内に剥ぎ取り可能な仮蓋を有すシール用のゴムリングと土砂水の外圧を防止する耐圧輪板とおよび側面孔を抜き外し可能に閉塞するシャッター板とを固定ボルトにて串挿しナット止め収容して、該側面孔内を可撓ゴム継手の張設を可能に開放し、下部の潜凾布設用の刃体を止水器の張出し分において外側に突出し形成し、該止水器筐体外より推進管端を側面孔内に受け入れの際にシール用のゴムリングが推進管表に圧接して水封止するようにしたことを特徴とするマンホールの止水器。
【請求項2】
シャッター板はナットの止穴と大きい遊嵌穴とを交互に設けて、半数のナットの外しにて抜き外し得るようにした請求項1に記載の止水器。
【請求項3】
シャッター板は別途内側に内向きボルトを設けて、パイロット推進体を受け入れる小ゴムシート、小耐圧輪板および小シャッター板を串挿しナット止めする請求項1または2に記載の止水器。
【請求項4】
シール用のゴムリングは内端を延長して受け入れ推進管表への圧接幅を拡げてバンド止め水封止する請求項1乃至3のいずれかに記載の止水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−243079(P2009−243079A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88878(P2008−88878)
【出願日】平成20年3月29日(2008.3.29)
【出願人】(000146582)株式会社信明産業 (17)
【出願人】(000210687)秩父コンクリート工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】