説明

マーキング方法、眼鏡レンズの製造方法およびプラスチックレンズ

【課題】 本発明は、プラスチック光学部品にマークを形成するためのマーキング方法、このマーキング方法を用いた眼鏡レンズの製造方法およびプラスチックレンズに関し、レーザ光を照射した後の加熱によるマークの消失を解消することを目的とする。
【解決手段】 プラスチック光学部品の表面にレーザ光を照射して照射部分の前記表面を隆起させマーク形状に対応する形状の隆起部を形成するレーザ光照射工程と、前記プラスチック光学部品の前記表面に形成された前記隆起部を機械的に除去する隆起部除去工程と、前記プラスチック光学部品を加熱して前記隆起部の除去された部分を表面から陥没させてマークを形成するマーク付与工程とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック光学部品にマークを形成するためのマーキング方法、このマーキング方法を用いた眼鏡レンズの製造方法およびプラスチックレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明なプラスチックレンズの表面に隠しマークを形成する方法として、例えば、特許第3081395号公報(以下特許文献1という)に開示されるように、レーザ光を使用する方法が知られている。
特許文献1に開示される方法では、プラスチックレンズの基材の表面に表面処理を行った後、基材にレーザ光を照射することにより照射部分が隆起して隠しマークが形成される。
【特許文献1】特許第3081395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、引用文献1のように、基材にレーザ光を照射することにより照射部分を隆起させて隠しマークを形成する方法では、レーザ光を照射した後の加熱によりマークが消失もしくは極めて薄いものになるため、表面処理後にレーザ光を照射して隠しマークを形成する必要があるという問題があった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、レーザ光を照射した後の加熱によるマークの消失を解消することができるマーキング方法、このマーキング方法を用いた眼鏡レンズの製造方法およびプラスチックレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1のマーキング方法は、プラスチック光学部品の表面にレーザ光を照射して照射部分の前記表面を隆起させマーク形状に対応する形状の隆起部を形成するレーザ光照射工程と、前記プラスチック光学部品の前記表面に形成された前記隆起部を機械的に除去する隆起部除去工程と、前記プラスチック光学部品を加熱して前記隆起部の除去された部分を表面から陥没させてマークを形成するマーク付与工程とを有することを特徴とする。
【0005】
請求項2のマーキング方法は、請求項1記載のマーキング方法において、前記隆起部除去工程は、前記プラスチック光学部品の前記隆起部および前記表面近傍を研磨加工することにより行われることを特徴とする。
請求項3のマーキング方法は、請求項2記載のマーキング方法において、前記レーザ光照射工程の前に、前記プラスチック光学部品の表面を研磨加工することを特徴とする。
【0006】
請求項4のマーキング方法は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のマーキング方法において、前記レーザ光照射工程の前に、前記プラスチック光学部品を専用治具に装着し前記専用治具を基準に前記表面を機械加工して光学面を形成した後、前記専用治具を基準にして前記レーザ光照射工程を行うことを特徴とする。
請求項5のマーキング方法は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のマーキング方法において、前記マーク付与工程は、前記プラスチック光学部品の表面処理工程であることを特徴とする。
【0007】
請求項6のマーキング方法は、請求項5記載のマーキング方法において、前記表面処理工程は、前記プラスチック光学部品への染色工程、ハードコート膜成膜工程または反射防止膜成膜工程であることを特徴とする。
請求項7のマーキング方法は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載のマーキング方法において、前記レーザ光は、炭酸ガスレーザ光であることを特徴とする。
【0008】
請求項8のマーキング方法は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載のマーキング方法において、前記プラスチック光学部品は眼鏡レンズであり、前記マークは前記眼鏡レンズの隠しマークであることを特徴とする。
請求項9の眼鏡レンズの製造方法は、レンズ基材の表面を機械加工して光学面を形成する機械加工工程と、前記レンズ基材の前記表面にレーザ光を照射して照射部分の前記表面を隆起させマーク形状に対応する形状の隆起部を形成するレーザ光照射工程と、前記レンズ基材の前記表面に形成された前記隆起部を機械的に除去する隆起部除去工程と、前記レンズ基材を加熱して表面処理を行うとともに前記隆起部の除去された部分を表面から陥没させてマークを形成する表面処理工程とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項10のプラスチックレンズは、請求項1ないし請求項8のいずれか1項記載のマーキング方法により形成されたマークを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマーキング方法では、レーザ光を照射した後の加熱によるマークの消失を無くすことができる。
本発明の眼鏡レンズの製造方法では、レーザ光を照射した後に加熱を伴う表面処理を行うことができる。
本発明のプラスチックレンズでは、加熱によるマークの消失を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の眼鏡レンズの製造方法の第1の実施形態により製造された眼鏡レンズ(厳密には玉摺り工程の前の状態)を示している。
この眼鏡レンズ11は、累進焦点レンズであり、レイアウトマークRMおよび隠しマークKMが形成されている。レイアウトマークRMとして、幾何学中心マークa、水平基準線マークb、遠用アイポイントマークc、近用参照円マークdおよび左右表示マークeが形成されている。また、隠しマークKMとして、再生マークf、加入度マークgおよび製造者マークhが形成されている。
【0012】
図2は、図1の眼鏡レンズの製造工程を示している。
この製造工程は、機械加工工程S1、レーザ光照射工程S2、研磨加工工程S3、表面処理工程S4、印刷工程S5および玉摺り工程S6を有している。
機械加工工程S1では、レンズ基材の表面を研削あるいは切削により機械加工することにより累進焦点レンズの光学面が形成される。レンズ基材は樹脂を成形することにより所定の形状に形成されている。この状態では、レンズ基材はアニールを施され所謂セミ品とされている。
【0013】
レンズ基材は、分子内に2つのエピスルフィド基を有する化合物を主成分とするモノマーを重合して得られるポリエピスルフィド樹脂(nd=1.74、νd=33)、m−キシレンジイソシアネートと4−メルカプトメチル−3,6一ジチア−1,8−オクタンジチオールとを重合して得られるポリチオウレタン樹脂(nd=1.67、νd=32)、m−キシレンジイソシアネートとペンタエリスリトールテトラキス(γ一メルカプトプロピオネート)とを重合して得られるポリチオウレタン樹脂(nd=1.60、νd=36)、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートを重合して得られる樹脂(nd=1.50、νd=58)等により形成されている。
【0014】
この機械加工工程S1では、図3に示すように、機械加工の前準備として、レンズ基材13の機械加工を行なう面の反対側に機械加工機に固定するための専用治具15を固定する。通常は低融点合金17を用いてレンズ基材13に専用治具15を貼り付ける。また、レンズ表面には外観擦傷を防ぐために薄いフィルム状の保護膜19を貼り付ける。
専用治具15は、例えばジュラルミンからなり、円柱部15aとテーパ部15bとを有している。円柱部15aのレンズ基材13側には、低融点合金17を確実に固定するための蟻溝部15cが形成されている。また、テーパ部15bの端面には、V字状の凹部15dが直線状に形成されている。
【0015】
円柱部15aおよびテーパ部15bは、機械加工機の固定軸21の先端面に形成される嵌合穴21aに嵌合される。そして、この時にテーパ部15bの凹部15dが嵌合穴21aの底面に形成される突出部21bに嵌合される。これにより、固定軸21に対して専用治具15が回転しないように固定され、専用治具15が固定軸21の所定の位置に高い精度で固定される。
【0016】
この時の低融点合金17の底面が軸長方向(Z軸)の基準座標とされる。また、専用治具15の円柱部15aの中心を通る直交する直線(X軸、Y軸)が軸長方向に垂直な平面の基準座標とされる。ここでY軸はテーパ部15bに直線状に形成される凹部15dに沿った方向に設定される。
そして、図4の(a)に示すように、専用治具15の基準座標を基準にして、機械加工機の主軸23に固定される工具25により、レンズ基材13の表面を研削あるいは切削により機械加工することにより累進焦点レンズの光学面が形成される。この実施形態では、レンズ基材13の凹面側に累進面あるいはそれに相当する面を創生する。
【0017】
次に、レーザ光照射工程S2により、図5の(a)に示すように、レンズ基材13の表面にレーザ光を照射して照射部分の表面を隆起させ隠しマークKM形状に対応する形状の隆起部13aを形成する。
このレーザ光照射工程S2は、図4の(b)に示すように、レーザ加工機27からの炭酸ガスレーザ光LBを、走査式あるいはマスク式により機械加工工程S1で創生された面に照射することにより行われる。専用治具15はレーザ加工機27の固定軸29に固定されており、炭酸ガスレーザ光LBの照射位置は、専用治具15の基準座標を基準にして設定される。固定軸29は固定軸21と同様に構成されている。
【0018】
隠しマークKMのレーザ加工は、レンズ基材13の表面が、高さ0.3μm前後,幅150μm前後隆起するようなレーザ加工条件を用いる。このレーザ加工条件は、出力波長が10.6μmで平均出力10Wという走査式小型炭酸ガスレーザーマーカーを用いた場合、5〜10%の低出力で行う。このようなレーザーマーカーは近年様々なメーカーより発売されている。
【0019】
次に、研磨加工工程S3(隆起部除去工程)により、レンズ基材13の表面に形成された隆起部13aを機械的に除去する。この研磨加工工程S3は、図5の(b)に示すように、レーザ光照射工程S2で形成された隆起部13aおよびレンズ基材13の表面を研磨加工することにより行われる。この研磨加工により隆起部13aが除去され、また、レンズ基材13の表面が磨かれレンズ基材13が透明になる。
【0020】
この研磨加工は機械加工工程S1で創生された非球面もしくは自由曲面の研磨を想定しており、その研磨取りしろは、創生面を極力破壊させないためにできるだけ少ないことが望ましい。具体的な研磨取りしろは1μm未満であることが望ましい。研磨取りしろを少なくすることで、レーザ光照射工程S2で施した隠しマークKMの隆起部13aとその下部の変質部分13bを最小限の加工で除去できる。これにより、後工程の表面処理工程S4の熱効果で、比較的深い隠しマークKMを付与することができる。この研磨加工工程S3により、隠しマークKMは肉眼ではほぼ確認できなくなる。
【0021】
研磨加工工程S3の終了後に、レンズ基材13は専用治具15から取り外される。また、低融点合金17も取り除かれる。
次に、表面処理工程S4により、レンズ基材13を加熱して表面処理を行うとともに隆起部13aの除去された部分を表面から陥没させて隠しマークKMを形成する。表面処理工程S4は、レンズ基材13を着色する染色工程、ハードコート膜を形成するハードコート膜成膜工程および反射防止膜を形成する反射防止膜成膜工程とを有している。
【0022】
染色工程では、例えば、染料を溶解させた高温の溶液に基材を浸漬させることにより、基材の表面から染料を含浸させる。ハードコート膜成膜工程では、例えば、レンズの表面にシランを主成分とする溶液を塗布し、これを加熱することにより硬化させハードコート膜を成膜する。反射防止膜成膜工程では、例えば、蒸着により反射防止膜を成膜する。
そして、染色工程、ハードコート膜成膜工程または反射防止膜成膜工程により、レンズ基材13に90℃以上の熱が加わると、図5の(c)に示すように、レーザ光照射工程S2におけるレーザ光の照射部分が再び出現し、結果としてレンズ基材13に半永久的な隠しマークKMが生じる。この原理は、炭酸ガスレーザ光LBで隆起した隆起部13aの下部の変質部分13bは研磨加工工程S3でその一部が除去されるが、残った変質部分13bは、熱効果によりレーザ加工前の元の状態に戻り、レーザ光の照射部分が僅かに陥没し凹状部13cが形成されるためと考えられる。
【0023】
次に、印刷工程S5により、レンズ基材13の表面にレイアウトマークRMを印刷する。このレイアウトマークRMの印刷は隠しマークKMを基準にして行われる。
そして、最後に玉摺り工程S6により、円形状のレンズ基材13が眼鏡枠に合わせて加工され、所定の眼鏡レンズが製造される。
上述した眼鏡レンズの製造方法では、レーザ光を照射した後の加熱によるマークの消失を無くすことができる。すなわち、図6の(a)に示すように、レンズ基材13にレーザ光を照射することにより照射部分を隆起させて隆起部13aにより隠しマークKMを形成する方法では、図6の(b)に示すように、レーザ光を照射した後の加熱によりマークが消失もしくは極めて薄いものになる。従って、表面処理後にレーザ光を照射して隠しマークKMを形成する必要があったが、上述した眼鏡レンズの製造方法では、表面処理の前にレーザ光を照射して隠しマークKMを形成することが可能になる。
【0024】
また、上述した眼鏡レンズの製造方法では、機械加工工程S1で用いる専用治具15の基準座標を基準に、レンズ基準を示す隠しマークKMを形成するようにしたので、機械加工工程S1で創生された面と隠しマークKMおよびレイアウトマークRMとを同一基準で設定することが可能になり、両者の誤差を最小限に抑えることができる。従って、累進面あるいはそれに相当する面とレンズ基準を示すための隠しマークKMおよびレイアウトマークRMとの位置精度が非常に高いものになる。
【0025】
すなわち、近年、累進焦点レンズにおいて、従来の成形加工によるものから、切削,研削,研磨加工等の機械加工により、累進面、もしくは、その要素の一部を含む面、または、収差を軽減させかつ処方値を得るための面を創生するような製造方法が開発されているが、このような製造方法において、隠しマークKMの位置精度を非常に高いものにすることができる。
【0026】
また、上述した眼鏡レンズの製造方法では、印刷工程S5によるレイアウトマークRMの印刷を隠しマークKMを基準にして行うようにしたので、専用治具15を取り外してもレイアウトマークRMを高い精度で位置決めすることができる。
そして、表面処理後に、レンズ基準を示す隠しマークKMを形成する場合には、機械加工工程S1の機械加工時に仮基準マークを形成する必要があるが、上述した眼鏡レンズの製造方法ではその必要がなく、工程を簡素化することができる。
【0027】
また、上述した眼鏡レンズの製造方法では、レーザ光照射工程S2に炭酸ガスレーザを用いたので、品質を向上し、また設備投資費用、設備維持費等を低減することができる。すなわち、表面処理の熱効果で消失しないマーキング方法を挙げると、機械式彫刻あるいはエキシマ式レーザが妥当と考えられるが、前者では、マーク濃度を均一にすることが難しく、薄い彫刻の場合、表面処理後にマークが消失することが予想される。また、後者では、その設備自体が非常に高価で、かつ、その維持に手間がかかる。しかしながら、炭酸ガスレーザを用いることにより、品質を向上し、また設備投資費用、設備維持費等を低減することが可能になる。
【0028】
さらに、上述した眼鏡レンズの製造方法では、研磨加工工程S3の前にレーザ光を照射するようにしたので、レーザ光照射前のレンズ基材13の位置合わせを行う際に接触式センシング方法を擦傷性を気にすることなく採用することができる。すなわち、表面処理後にレーザ光で隠しマークKMを形成する場合には、何らかの方法でレンズ基材13の表面とレーザヘッド間の焦点距離を決定する必要があり、レンズ基材13の擦傷性を考慮すると光電センサーを用いた非接触式が理想的である。しかしながら、非接触式の場合には、センシングの信頼性と精度は接触式に比較して劣ると考えられる。そこで、接触式センシング方法を擦傷性を気にすることなく採用することでセンシングの信頼性と精度を高めることが可能になる。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の眼鏡レンズの製造方法の第2の実施形態を示している。
【0029】
なお、この実施形態において第1の実施形態と同一部分には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この実施形態では、レーザ光照射工程S2の前に、レンズ基材13の表面を予め研磨加工する前研磨加工工程S1’が行われる。
すなわち、上述した第1の実施形態において、研磨加工工程S3の研磨取りしろが大きい場合には、図8に示すように、隆起部13aの下部の変質部分13bを大きく除去してしまうので、後工程の表面処理工程S4で熱効果を受けた場合に、その凹状部13cの深さが浅くなり認識し難くなる。また、さらにハードコート膜成膜工程等により隠しマークKMの濃度が薄くなり、隠しマークKMとしては適切なものにならなくなる。
【0030】
従って、この実施形態では、隠しマークKMの濃度低下を避けるために、レーザ光照射工程S2の前に、レンズ基材13の表面を予め研磨加工する前研磨加工工程S1’が行われる。
前研磨加工工程S1’は、レンズ基材13の最終研磨量の半分程度だけレンズ基材13を研磨加工するものである。具体的には、第1の実施形態の研磨加工工程S3において10分間研磨加工する場合には、5分間の研磨加工を行う。この後、第1の実施形態と同様にしてレーザ光照射工程S2を行う。この後、研磨加工工程S3’において、再度、研磨加工を行い残りの研磨取りしろを除去する。この例では更に5分間だけ研磨加工を行うことになる。この後、第1の実施形態と同様にして表面処理工程S4を行い、レンズ基材13に半永久的な隠しマークKMを付与する。
【0031】
この実施形態では、レーザ光照射工程S2の前にレンズ基材13の表面を予め研磨加工するようにしたので、レーザ光照射工程S2の後の研磨加工工程S3’の研磨取りしろを容易に小さくすることが可能になる。従って、隆起部13aの下部の変質部分13bの除去を少なくして、隠しマークKMの濃度を隠しマークKMとして適切なものにすることができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
【0032】
(1)上述した実施形態では、表面処理工程S4によりレンズ基材13を加熱して隠しマークKMを生成した例について説明したが、例えば、表面処理を行わない場合には、単にレンズ基材13を加熱して隠しマークKMを生成するようにしても良い。なお、この加熱は、例えば温水もしくはオーブン等で、例えば90℃で5分加熱することにより行われる。
【0033】
(2)上述した実施形態では、プラスチック光学部品を眼鏡レンズにした例について説明したが、例えば、顕微鏡等のレンズあるいはレンズ以外の光学部品でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の眼鏡レンズの製造方法の第1の実施形態により製造されたレンズ基材を示す説明図である。
【図2】本発明の眼鏡レンズの製造方法の第1の実施形態を示す工程図である。
【図3】レンズ基材に専用治具を固定した状態を示す説明図である。
【図4】図2の機械加工工程およびレーザ光照射工程を示す説明図である。
【図5】隠しマークの形成方法を示す説明図である。
【図6】隆起部の熱効果による消失を示す説明図である。
【図7】本発明の眼鏡レンズの製造方法の第2の実施形態を示す工程図である。
【図8】研磨取りしろが大きい時の隠しマークの状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
13 レンズ基材
13a 隆起部
13b 変質部分
13c 凹状部
15 専用治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック光学部品の表面にレーザ光を照射して照射部分の前記表面を隆起させマーク形状に対応する形状の隆起部を形成するレーザ光照射工程と、
前記プラスチック光学部品の前記表面に形成された前記隆起部を機械的に除去する隆起部除去工程と、
前記プラスチック光学部品を加熱して前記隆起部の除去された部分を表面から陥没させてマークを形成するマーク付与工程と、
を有することを特徴とするマーキング方法。
【請求項2】
請求項1記載のマーキング方法において、
前記隆起部除去工程は、前記プラスチック光学部品の前記隆起部および前記表面近傍を研磨加工することにより行われることを特徴とするマーキング方法。
【請求項3】
請求項2記載のマーキング方法において、
前記レーザ光照射工程の前に、前記プラスチック光学部品の表面を研磨加工することを特徴とするマーキング方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のマーキング方法において、
前記レーザ光照射工程の前に、前記プラスチック光学部品を専用治具に装着し前記専用治具を基準に前記表面を機械加工して光学面を形成した後、前記専用治具を基準にして前記レーザ光照射工程を行うことを特徴とするマーキング方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のマーキング方法において、
前記マーク付与工程は、前記プラスチック光学部品の表面処理工程であることを特徴とするマーキング方法。
【請求項6】
請求項5記載のマーキング方法において、
前記表面処理工程は、前記プラスチック光学部品への染色工程、ハードコート膜成膜工程または反射防止膜成膜工程であることを特徴とするマーキング方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載のマーキング方法において、
前記レーザ光は、炭酸ガスレーザ光であることを特徴とするマーキング方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載のマーキング方法において、
前記プラスチック光学部品は眼鏡レンズであり、前記マークは前記眼鏡レンズの隠しマークであることを特徴とするマーキング方法。
【請求項9】
レンズ基材の表面を機械加工して光学面を形成する機械加工工程と、
前記レンズ基材の前記表面にレーザ光を照射して照射部分の前記表面を隆起させマーク形状に対応する形状の隆起部を形成するレーザ光照射工程と、
前記レンズ基材の前記表面に形成された前記隆起部を機械的に除去する隆起部除去工程と、
前記レンズ基材を加熱して表面処理を行うとともに前記隆起部の除去された部分を表面から陥没させてマークを形成する表面処理工程と、
を有することを特徴とする眼鏡レンズの製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項記載のマーキング方法により形成されたマークを有することを特徴とするプラスチックレンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−150364(P2006−150364A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340139(P2004−340139)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(300035870)株式会社ニコン・エシロール (51)
【Fターム(参考)】