ミシンの縫製技能判定装置
【課題】技能判定の客観化を図る。
【解決手段】オペレータが行ったミシンの一工程の縫製において時系列的に変化する単位時間間隔ごとの縫製速度が記録された縫製速度データに基づいてオペレータの縫製技能を判定するミシンの縫製技能判定装置1において、各縫製速度の高低に対応する評価値を算出し、当該評価値に基づいて技能判定を行う判定手段11aを備えている。
【解決手段】オペレータが行ったミシンの一工程の縫製において時系列的に変化する単位時間間隔ごとの縫製速度が記録された縫製速度データに基づいてオペレータの縫製技能を判定するミシンの縫製技能判定装置1において、各縫製速度の高低に対応する評価値を算出し、当該評価値に基づいて技能判定を行う判定手段11aを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの縫製技能判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンによる縫製物の生産を効率的に行うため、ミシンの作業分析装置が開発されている。従来の作業分析装置は、縫製開始から終了までの縫製速度(ミシンモータ回転数)を所定のサンプリング間隔で計測し、縫製速度の時系列的な変化を速度値の順番でソートしたものをグラフ化して表示し、当該グラフについて熟練度に応じたサンプリンググラフを視覚的に比較することで作業者の熟練度を評価していた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−160391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の作業者の技能の評価方法の場合には、計測データに基づいて得られたグラフとサンプルグラフとを人間が目で見て近似するものを特定するという方法を採っているので、客観性が乏しく、評価する人間によってその評価にばらつきを生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、客観的に作業者の技能を評価することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、オペレータが行ったミシンの一工程の縫製において時系列的に変化する、単位時間間隔ごとの縫製速度が記録された縫製速度データに基づいて前記オペレータの縫製技能を判定するミシンの縫製技能判定装置において、前記各縫製速度の高低に対応する評価値を算出し、当該評価値に基づいて技能判定を行う判定手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記単位時間間隔ごとの個々の縫製速度を速度順に並べ直して変換縫製速度データを得るデータ変換手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記判定手段は、前記変換縫製速度データにおける個々の縫製速度を時間軸について複数の区間に区分すると共に、当該各区間ごとに縫製速度の平均値を算出し、当該各平均値と前記各区間ごとに予め定められた基準速度との差を求めると共に、前記各区間ごとの前記差の合計値を前記評価値として技能判定を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記一工程の縫製について単位時間間隔ごとの縫製速度を速度順に並べたサンプルデータを技能レベルに応じて複数記憶する記憶手段を備え、前記判定手段は、前記変換縫製速度データと前記各サンプルデータとを比較し、前記変換縫製速度データと最も近似するサンプルデータを判定し、当該判定結果に基づいて技能判定を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記判定手段は、前記縫製速度データにおける個々の縫製速度を時間軸について複数の区間に区分すると共に、当該各区間ごとに縫製速度の平均値を算出し、当該各平均値に対して段階的に得点を付け、前記各区間の特定の合計値を前記評価値として技能判定を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、実測により時系列の縫製速度の変化を縫製速度データとして取得し、各縫製速度の高低に対応する評価値を算出し、技量の判断を数値に基づいて行うことができるので、評価者による偏りを生じることなく、客観的に技量を判定することが可能となる。
なお、縫製速度とは、例えば、縫製の駆動源となるモータや主軸の回転速度が挙げられる。
【0012】
時系列的に変化する縫製速度の変化は、単位時間間隔ごとの縫製速度の値の増減を繰り返して並ぶデータとなるが、この請求項2では速度順に並べ直しを行うので、個々の縫製速度が降順又は昇順に並んだデータが生成される。従って、ある速度範囲での稼働時間を算出するのが容易となり、オペレータの縫製がどのような縫製速度で稼働していたかを把握するのが容易となり、技能判定をより適切に行うことが可能となる。
また、並べ直しを行った変換縫製速度データをグラフで表示する機能を新たに付加することにより、視覚的にもオペレータの技能を把握することが容易となる。
【0013】
請求項3記載の発明は、個々の縫製速度が速度の高低の順に並び替えられた変換縫製速度データに対して、複数の区間に分割する。このとき、各区間も縫製速度の高低の順番に分かれることとなり、その順番に応じて例えば、縫製速度が高い区間では高い基準速度を設定し、低い区間では低い基準速度を設定する。これにより、各区間の基準速度を容易且つ適切に設定することができる。そして、各区間の平均値と基準速度を比較することで、各区間ごとの差の合計値から各区間ごとに要求される基準速度を満たす縫製速度での縫製が行われているかにより適切な技能判定を行うことが可能となる。
なお、各区間の基準速度について任意に設定する設定手段を設けても良い。
【0014】
請求項4記載の発明は、個々の縫製速度が速度の高低の順に並び替えられた変換縫製速度データに対して、各レベルでのサンプルデータと比較し、近似を判定することで該当するレベルの判定を行うので、オペレータの技能をレベルごとに適切に判定することが可能となる。
【0015】
請求項5記載の発明は、縫製速度データに記録された個々の縫製速度の区間ごとの平均値の得点付けを行い、その合計から評価するので、少ない工程数で客観的な技能判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ミシンの全体構成を示す正面図である。
【図2】ミシンの全体構成を示すブロック図である。
【図3】縫製速度データの内容を示す図表である。
【図4】横軸を縫製開始からの経過時間、縦軸を縫製速度として縫製速度データを示した実測値グラフである。
【図5】変換縫製速度データの内容を示す図表である。
【図6】横軸を時間、縦軸を縫製速度としてソートした順番で縫製速度を並べた変換縫製速度データに基づく比較用グラフHである。
【図7】比較用グラフを四等分した説明図である。
【図8】速度差と点数の関係を示すテーブルを示す図表である。
【図9】技能評価判定処理を示すフローチャートである。
【図10】図10(A)〜(F)は段階的にレベル分けされた技能レベルに対応するレベルグラフを示す線図である。
【図11】比較用グラフと基準グラフとを重合わせて表示したズレ量算出の説明図である。
【図12】変換縫製速度データと基準データとで同じ時間での縫製速度の差の絶対値を個々に算出する例を示す説明図である。
【図13】技能評価判定処理を示すフローチャートである。
【図14】実測値グラフを複数の区間ごとに等分した説明図である。
【図15】平均速度と点数の関係を示すテーブルを示す図表である。
【図16】技能評価判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの技能評価装置の形態について詳細に説明する。
図1に示すように、ミシンの技能評価装置1は、主に、ミシン10の制御装置11と操作パネル20とから構成されている。
ミシン10は、電源スイッチ2のオンにより通電される主軸モータ3と、主軸モータ3の回転駆動がベルト4を介して伝達される主軸と、その主軸の回転駆動により上下動する針棒5と、針棒5に交換可能に備えられるミシン針6と、針棒5(ミシン針6)の下方において被縫製物としての布を送る布送り機構7と、ミシン10を操作するためのペダル8と、ミシンの各部を制御する制御装置11(図2参照)が内部に収容された制御ボックス9等を備えている。また、ミシン10には、有線又は無線の回線(信号線)により操作パネル20が接続されている。
【0018】
図2に示すように、ミシン10は、制御ボックス9に収容された制御装置11と、ミシン10の各部に対して操作指示の入力を行う各種操作スイッチ13と、各部を動作させる際に用いられる各種アクチュエータ15、主軸モータ3により回転する主軸の回転速度を検出する回転速度検出手段としての主軸エンコーダ16、ペダル8の操作位置を電気信号に変換してCPU11aに出力するペダルセンサ17等を備えている。
【0019】
制御装置11は、ミシン10や操作パネル20の動作を制御するためにプログラムの実行や演算処理を行うCPU11aと、CPU11aの作業エリアとなるRAM11bと、各プログラムが記憶されたROM11cと、書き換え可能なデータが記憶されるEEPROM11dと、を備えている。
制御装置11には、インターフェース11eが設けられて操作パネル20と接続され、操作パネル20との間でデータや検出信号等のやりとりができるようになっている。
【0020】
ミシン10は、ペダル8の操作に基づきペダルセンサ17から速度指令信号が出力されると、主軸モータ3が回転駆動して、針棒5(ミシン針6)が上下動し、布送り機構7が所定の送りピッチで布送りすることにより、縫製が実行される。
【0021】
EEPROM11dには、縫製に関する各種の設定と、ミシン固有のID、操作するオペレータのID、ロットの識別コード、縫製速度データが記憶される。縫製速度データは、縫製中に主軸エンコーダ16により検出される所定の単位時間間隔ごとの縫製速度と、糸切りソレノイド14を作動させるためにCPU11aにより出力される糸切り信号の発生時刻が記憶されている。また、ミシンの起動開始時刻やミシンを停止させた時の時刻の情報が記憶されている。
【0022】
ROM11cには、EEPROM11dに記憶された縫製速度データからオペレータの技能を判定する技能判定プログラムが記憶されている。かかる技能判定プログラムについては、後に詳細を説明することとする。
【0023】
図2に示すように、操作パネル20は、ユーザに報知する情報の液晶表示を行う表示部21と、表示部21に重ね合わされて配置され、タッチにより入力が行われる入力部としてのタッチスイッチ22と、を有する表示入力手段としてのタッチパネル23と、タイマー25等を備えている。
縫製技能判定装置1では、技能判定プログラムにより、操作パネル20の表示部21において各種のグラフの表示を行うようになっている。
操作パネル20は、インターフェース26を介してミシン10と接続され、ミシン10との間で表示指令等のやりとりが行われる。また、操作パネル20は、インターフェース27を介して操作パネル20に着脱自在の外部記録媒体28(例えば、メモリーカード等)と接続され、ユーザは外部記録媒体28に記録されたデータを制御装置11のEEPROM11dに記憶させたり、制御装置11から外部記録媒体28の内容を直接読み出すこともできる。さらに、必要なデータを外部記録媒体30に記録して持ち出すことができる。
【0024】
(技能判定プログラムによる技能判定の処理)
次に、前述した技能判定プログラムによる処理内容について説明する。なお、以下に説明する処理は全て技能判定プログラムを実行する制御装置11のCPU11aが行う前提として説明する。
前述したように、縫製中には、一つの縫製工程について縫製開始から終了までの間に主軸エンコーダ16により検出される縫製速度が所定の単位時間間隔ごとにサンプリングされた縫製速度データが取得される。図3は0.5[s]単位で縫製速度V[rpm]が検出されて取得された縫製速度データの内容を示す図表、図4は横軸を縫製開始からの経過時間t、縦軸を縫製速度Vとして縫製速度データを示した実測値グラフJである。
縫製後、EEPROM11dに格納された縫製速度データは、単位時間ごとに検出された縫製速度が時系列的に並んだ状態にあるが、CPU11aは、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度が降順(大きい順)となるようにソートして、変換縫製速度データを新たに生成する。図5は変換縫製速度データの内容を示す図表、図6は横軸を時間t、縦軸を縫製速度Vとしてソートした順番で縫製速度を並べた変換縫製速度データに基づく比較用グラフHである。
【0025】
実測値グラフJは、実測値なので、随所に縫製速度の増減が発生しているが、比較用グラフHは、縫製速度でソートをかけているので、グラフがシンプルに下降勾配の形状となる。
また、変換縫製速度データは、縫製速度でソートがかけられているので、一回の縫製工程において、各縫製速度についてどの程度の時間で縫いが行われているか、つまり、縫製速度ごとの稼働時間の分布が得られることとなる。
そして、このような縫製速度ごとの稼働時間分布は、オペレータの技量が高くなるにつれて高速の占める時間の割合が多く且つ低速の占める時間の割合が低くなる。また、オペレータの技量が低ければ、その逆で、高速の占める時間の割合が少なく且つ低速の占める時間の割合が多くなる。
【0026】
そして、技能評価装置1は、このような変換縫製速度データの特性に着目し、ソートされた変換縫製速度データを時間軸について複数の区間(本実施形態では四区間)に均等に分割し、各区間の縫製速度の平均値と各区間ごとに予め設定された基準速度との差を求め、差の値に応じて点数が決定される共に、各区間の点数の合計値を求め、当該合計値をオペレータの技能の評価値としている。
【0027】
ここで、技能判定の処理について図7に基づいて詳述する。図7は比較用グラフHを四等分した説明図である。
まず、前述したように、変換縫製速度データは、その稼働時間全体を四等分する。このとき、稼働時間の総計が長くとも短くとも予め定められた区間数で等分する。
【0028】
図7の着色部は、各区間A1〜A4における単位時間ごとの縫製速度の平均化を図った領域を示し、その上端の破線は当該平均値を示している。そして、各区間A1〜A4に示された一点鎖線はその区間における基準速度を示している。各区間における基準速度は、換言すると、各区間での目標縫製速度であり、実測された縫製速度の各区間における平均値は基準速度に達していなければ評価値が減点され、達してれば加点される。
【0029】
上記基準速度は、個々の縫製工程ごとに個別に用意することが望ましい。
また、各区間における基準速度は、平均速度が高くなる区間ほど高く設定することを前提とし、また、具体的な数値は、例えば統計的な経験則やその縫製工程の難易度に応じて定めることが望ましい。例えば、直線の縫い目が多い工程であれば各区間の基準速度は高く設定され、曲線状の縫い目や方向を変えて行う縫い、その他時間を要する縫いが含まれる場合などには各区間の基準は低く設定される。なお、基準速度は、操作スイッチ13から任意に設定可能としても良い。
【0030】
そして、各区間について基準速度と平均速度の差が求められると、各区間の差の値に対して予め定められた点数が決定される。図8は速度差と点数の関係を示すテーブルであり当該点数テーブルはEEPROM11d内に格納されている。
図示のように、速度差と点数との関係は、速度差が大きくなるにつれて点数も大きくなるように設定されている。
そして、各区間での点数を特定し、それらの合計値を算出し、評価値として表示部21に表示する。なお、この評価値が高いほど技能が高いことを示すことは言うまでもない。
【0031】
上記技能判定プログラムによる処理を図9のフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
まず、CPU11aは、ミシン10のペダル8の操作により縫製が開始されると、制御装置11は、主軸エンコーダ16の出力を所定のサンプリング間隔(0.5[s])で縫製が終了するまで繰り返し受信し、縫製速度データ(図3参照)を生成する(ステップS11)。かかる処理により、CPU11aは「縫製速度データ取得手段」として機能する。なお、縫製の終了はペダルセンサ17から判定しても良いし、ペダル操作による糸切り指示の入力を終了と見なしても良い。また、縫製終了を入力するカウントスイッチを制御装置11又は操作パネル20に設けても良い。
そして、縫製速度データが取得されると、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度が降順にソートして、変換縫製速度データ(図5参照)を新たに生成する(ステップS12)。かかる処理により、CPU11aは「データ変換手段」として機能する。
さらに、CPU11aは、変換縫製速度データの単位時間ごとの縫製速度をプロットして比較用グラフHを作成し、表示部21にて表示させる(ステップS13)。
【0032】
そして、比較用グラフH(変換縫製速度データ)を時間軸で四等分する(ステップS14)。
次に、区間A1から順番に、区間における縫製速度の平均値を算出する(ステップS15)。さらに、求められた平均速度から区間における基準速度を減算し、その減算値に応じて速度差と点数の関係を示すテーブルを参照して点数を特定する(ステップS16)
そして、これらステップS15,S16の処理を全ての区間A1〜A4について繰り返し実行する。
そして、CPU11aは、点数を合計し、当該合計値に基づく該当レベルを技能評価の結果として表示部21に表示させる(ステップS17)。ステップS14〜S17の処理により、CPU11aは「判定手段」として機能する。
【0033】
(第一の実施形態の効果)
このように、ミシンの技能評価装置1では、実測により時系列の縫製速度の変化を縫製速度データとして取得し、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度の順にソートして変換縫製速度データ及び比較用グラフを取得する。そして、比較用グラフ(又は変換縫製速度データ)と各レベルの基準グラフ(又は基準データ)とを比較して差が最も少ないグラフから該当レベルの特定を行うことから、技量の判断を数値に基づいて行うことができるので、評価者による偏りを生じることなく、客観的に技量を判定することが可能となる。
【0034】
(第二の実施形態)
次に第二の実施形態について説明する。この実施形態では、前述したミシン10及び技能判定装置1とハードウェア的には全く同じ構成を利用し、前述した技能判定処理とは異なる他の技能判定処理を行う技能判定プログラムを用いている。従って、ミシン10,操作パネル20及び技能判定装置1の説明は省略し、専らその技能判定手法及びその処理内容についてのみ説明を行うこととする。
前述したように、縫製中には、一つの縫製工程について縫製開始から終了までの間に主軸エンコーダ16により検出される所定の単位時間間隔ごとの縫製速度からなる縫製速度データが取得され、これに基づいて、CPU11aは、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度が降順(大きい順)となるようにソートして、変換縫製速度データHを生成する(図5、6参照)。
【0035】
そして、技能評価装置1は、EEPROM11d内に予め、段階的にレベル分けされた技能レベルごとのレベルデータ及びベルに対応するレベルグラフKのデータを用意している。図10(A)〜(F)は各レベルことのレベルグラフKの例である。なお、この基準データ及び各基準グラフデータは、実際に技量が異なる各オペレータによる縫製時に実測により生成したものを利用しても良いし、過去の統計から得られる傾向に従って生成しても良い。なお、EEPROM11dは、これにより「記憶手段」として機能する。
また、各レベルのレベルグラフKのデータ(サンプルデータ)については、任意に設定する設定手段(例えば、タッチパネル23)を設け、設定入力により作成可能とし、記憶手段としてのEEPROM11dに保存しても良い。
そして、実測から得られた変換縫製速度データ(又は比較用グラフH)と段階的にレベル分けされた技量ごとの基準データ(又は各基準グラフK)とを照合して相互のズレ量を算出し、最もズレ量が小さくなるレベルを求め、当該レベルをオペレータの技量と判定する。
なお、基準データ及び基準グラフKは、比較を行う変換縫製速度データ及び比較用グラフHの取得の際と同じ縫製物について同じ縫製工程の縫いを行ったものとすることが望ましい。
【0036】
ここで、上記ズレ量の算出について詳述する。図11は比較用グラフHと基準グラフK(レベル4)とを重合わせて表示したズレ量算出の説明図である。
図11の着色部のように、基準グラフKに対する比較用グラフHの非重合部分の面積の総和をズレ量として算出する。非重合部分の面積の総和は、例えば、各グラフ時間軸を等しくする微小時間幅の面積の差を求め、これを合計することで算出する。この場合、比較用グラフHが基準グラフKを上回っても下回ってもいずれも正のズレ量として算出し、正負の概念は導入しない。
また、図示のように各データからグラフを作成し、その面積からズレ量を求めても良いが、ここでは、図12に示すように、変換縫製速度データと基準データとで同じ時間での縫製速度の差の絶対値を個々に求め、それらの合計値を算出する。
そして、各レベルの基準データ又は基準グラフに対するズレ量を算出し、最もズレ量が小さくなるレベルをそのオペレータの該当レベルに決定する。
【0037】
上記技能判定プログラムによる処理を図13のフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
まず、CPU11aは、ミシン10のペダル8の操作により縫製が開始されると、制御装置11は、主軸エンコーダ16の出力を所定のサンプリング間隔(0.5[s])で縫製が終了するまで繰り返し受信し、縫製速度データ(図3参照)を生成する(ステップS31:「縫製速度データ取得手段」)。なお、縫製の終了はペダルセンサ17から判定しても良いし、ペダル操作による糸切り指示の入力を終了と見なしても良い。また、縫製終了を入力するカウントスイッチを制御装置11又は操作パネル20に設けても良い。
そして、縫製速度データが取得されると、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度が降順にソートして、変換縫製速度データ(図5参照)を新たに生成する(ステップS32:「データ変換手段」)。
さらに、CPU11aは、変換縫製速度データの単位時間ごとの縫製速度をプロットして比較用グラフHを作成し、表示部21にて表示させる(ステップS33)。
次に、レベル1から順番に基準グラフKを比較用グラフHと重合させ(ステップS34)、非重合部分の面積の総和を算出し、RAM11bに一時的に記憶する(ステップS35)。そして、これらステップS34,S35の処理を全てのレベルの基準グラフKについて繰り返し実行する。
次いで、CPU11aは、RAM11b内の各レベルごとの差の値の中から最小値を検索し、該当するレベルを特定する(ステップS36)。
そして、CPU11aは、技能評価の結果として該当レベルを表示部21に表示させる(ステップS37)。ステップS33〜S37の処理により、CPU11aは「判定手段」として機能する。
【0038】
(第二の実施形態の効果)
このように、ミシンの技能評価装置1では、実測により時系列の縫製速度の変化を縫製速度データとして取得し、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度の順にソートして変換縫製速度データ及び比較用グラフを取得する。そして、比較用グラフ(又は変換縫製速度データ)と各レベルの基準グラフ(又は基準データ)とを比較して差が最も少ないグラフから該当レベルの特定を行うことから、技量の判断を数値に基づいて行うことができるので、評価者による偏りを生じることなく、客観的に技量を判定することが可能となる。
【0039】
(第三の実施形態)
次に第三の実施形態について説明する。この実施形態では、前述したミシン10及び技能判定装置1とハードウェア的には全く同じ構成を利用し、前述した技能判定処理とは異なる他の技能判定処理を行う技能判定プログラムを用いている。従って、ミシン10,操作パネル20及び技能判定装置1の説明は省略し、専らその技能判定手法及びその処理内容についてのみ説明を行うこととする。
前述したように、縫製中には、一つの縫製工程について縫製開始から終了までの間に主軸エンコーダ16により検出される所定の単位時間間隔ごとの縫製速度からなる縫製速度データを取得する(図3、4参照)。
【0040】
そして、技能評価装置1は、縫製速度データを時間軸について複数の区間(第一の実施形態よりも多くの区間)に均等に分割し、各区間の縫製速度の平均値を求め、各平均値に応じて段階的な点数が決定される共に、各区間の点数の合計値を求め、当該合計値をオペレータの技能の評価値としている。
【0041】
ここで、技能判定の処理について図14に基づいて詳述する。図14は実測値グラフJを複数の区間ごとに等分した説明図である。
縫製速度データは、稼働時間全体を複数の区間に等分する。このとき、区間数は細かいほど適切な技能判定が可能となるが、計算処理量が増加するので、適宜加減することが望ましい。最大で縫製速度のサンプリング間隔と同じ周期で分割しても良い。その場合、各区間に縫製速度のデータが一つしか存在しないので、当該縫製速度=平均速度となる。
【0042】
そして、各区間について平均速度が求められると、各区間の平均速度の値に対して予め定められた点数が決定される。図15は平均速度と点数の関係を示すテーブルであり当該点数テーブルはEEPROM11d内に格納されている。
図示のように、平均速度と点数との関係は、平均速度が大きくなるにつれて点数も大きくなるように設定されている。
そして、各区間での点数を特定し、それらの合計値を算出し、評価値として表示部21に表示する。なお、この評価値が高いほど技能が高いことを示すことは言うまでもない。
【0043】
上記技能判定プログラムによる処理を図16のフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
まず、CPU11aは、ミシン10のペダル8の操作により縫製が開始されると、制御装置11は、主軸エンコーダ16の出力を所定のサンプリング間隔(0.5[s])で縫製が終了するまで繰り返し受信し、縫製速度データ(図3参照)を生成する(ステップS51)。かかる処理により、CPU11aは「縫製速度データ取得手段」として機能する。
さらに、CPU11aは、縫製速度データの単位時間ごとの縫製速度をプロットして実測値グラフJを作成し、表示部21にて表示させる(ステップS52)。
【0044】
そして、実測値グラフJ(縫製速度データ)を時間軸で設定分割数nで等分する(ステップS53)。
次に、各区間ごとに順番に、区間における縫製速度の平均値を算出する(ステップS54)。さらに、求められた平均速度から、その平均速度と点数の関係を示すテーブルを参照して点数を特定する(ステップS55)。
そして、これらステップS54,S55の処理を全ての区間1〜nについて繰り返し実行する。
そして、CPU11aは、点数を合計し、当該合計値に基づく該当レベルを技能評価の結果として表示部21に表示させる(ステップS56)。ステップS52〜S56の処理により、CPU11aは「判定手段」として機能する。
【0045】
(第三の実施形態の効果)
このように、ミシンの技能評価装置1では、縫製速度データに記録された個々の縫製速度の区間ごとの平均値の得点付けを行い、その合計から評価するので、少ない工程数で客観的な技能判定を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 ミシンの技能評価装置
10 ミシン
11 制御装置
11a CPU(判定手段、データ変換手段)
11d EEPROM(記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの縫製技能判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンによる縫製物の生産を効率的に行うため、ミシンの作業分析装置が開発されている。従来の作業分析装置は、縫製開始から終了までの縫製速度(ミシンモータ回転数)を所定のサンプリング間隔で計測し、縫製速度の時系列的な変化を速度値の順番でソートしたものをグラフ化して表示し、当該グラフについて熟練度に応じたサンプリンググラフを視覚的に比較することで作業者の熟練度を評価していた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−160391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の作業者の技能の評価方法の場合には、計測データに基づいて得られたグラフとサンプルグラフとを人間が目で見て近似するものを特定するという方法を採っているので、客観性が乏しく、評価する人間によってその評価にばらつきを生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、客観的に作業者の技能を評価することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、オペレータが行ったミシンの一工程の縫製において時系列的に変化する、単位時間間隔ごとの縫製速度が記録された縫製速度データに基づいて前記オペレータの縫製技能を判定するミシンの縫製技能判定装置において、前記各縫製速度の高低に対応する評価値を算出し、当該評価値に基づいて技能判定を行う判定手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記単位時間間隔ごとの個々の縫製速度を速度順に並べ直して変換縫製速度データを得るデータ変換手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記判定手段は、前記変換縫製速度データにおける個々の縫製速度を時間軸について複数の区間に区分すると共に、当該各区間ごとに縫製速度の平均値を算出し、当該各平均値と前記各区間ごとに予め定められた基準速度との差を求めると共に、前記各区間ごとの前記差の合計値を前記評価値として技能判定を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記一工程の縫製について単位時間間隔ごとの縫製速度を速度順に並べたサンプルデータを技能レベルに応じて複数記憶する記憶手段を備え、前記判定手段は、前記変換縫製速度データと前記各サンプルデータとを比較し、前記変換縫製速度データと最も近似するサンプルデータを判定し、当該判定結果に基づいて技能判定を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記判定手段は、前記縫製速度データにおける個々の縫製速度を時間軸について複数の区間に区分すると共に、当該各区間ごとに縫製速度の平均値を算出し、当該各平均値に対して段階的に得点を付け、前記各区間の特定の合計値を前記評価値として技能判定を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、実測により時系列の縫製速度の変化を縫製速度データとして取得し、各縫製速度の高低に対応する評価値を算出し、技量の判断を数値に基づいて行うことができるので、評価者による偏りを生じることなく、客観的に技量を判定することが可能となる。
なお、縫製速度とは、例えば、縫製の駆動源となるモータや主軸の回転速度が挙げられる。
【0012】
時系列的に変化する縫製速度の変化は、単位時間間隔ごとの縫製速度の値の増減を繰り返して並ぶデータとなるが、この請求項2では速度順に並べ直しを行うので、個々の縫製速度が降順又は昇順に並んだデータが生成される。従って、ある速度範囲での稼働時間を算出するのが容易となり、オペレータの縫製がどのような縫製速度で稼働していたかを把握するのが容易となり、技能判定をより適切に行うことが可能となる。
また、並べ直しを行った変換縫製速度データをグラフで表示する機能を新たに付加することにより、視覚的にもオペレータの技能を把握することが容易となる。
【0013】
請求項3記載の発明は、個々の縫製速度が速度の高低の順に並び替えられた変換縫製速度データに対して、複数の区間に分割する。このとき、各区間も縫製速度の高低の順番に分かれることとなり、その順番に応じて例えば、縫製速度が高い区間では高い基準速度を設定し、低い区間では低い基準速度を設定する。これにより、各区間の基準速度を容易且つ適切に設定することができる。そして、各区間の平均値と基準速度を比較することで、各区間ごとの差の合計値から各区間ごとに要求される基準速度を満たす縫製速度での縫製が行われているかにより適切な技能判定を行うことが可能となる。
なお、各区間の基準速度について任意に設定する設定手段を設けても良い。
【0014】
請求項4記載の発明は、個々の縫製速度が速度の高低の順に並び替えられた変換縫製速度データに対して、各レベルでのサンプルデータと比較し、近似を判定することで該当するレベルの判定を行うので、オペレータの技能をレベルごとに適切に判定することが可能となる。
【0015】
請求項5記載の発明は、縫製速度データに記録された個々の縫製速度の区間ごとの平均値の得点付けを行い、その合計から評価するので、少ない工程数で客観的な技能判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ミシンの全体構成を示す正面図である。
【図2】ミシンの全体構成を示すブロック図である。
【図3】縫製速度データの内容を示す図表である。
【図4】横軸を縫製開始からの経過時間、縦軸を縫製速度として縫製速度データを示した実測値グラフである。
【図5】変換縫製速度データの内容を示す図表である。
【図6】横軸を時間、縦軸を縫製速度としてソートした順番で縫製速度を並べた変換縫製速度データに基づく比較用グラフHである。
【図7】比較用グラフを四等分した説明図である。
【図8】速度差と点数の関係を示すテーブルを示す図表である。
【図9】技能評価判定処理を示すフローチャートである。
【図10】図10(A)〜(F)は段階的にレベル分けされた技能レベルに対応するレベルグラフを示す線図である。
【図11】比較用グラフと基準グラフとを重合わせて表示したズレ量算出の説明図である。
【図12】変換縫製速度データと基準データとで同じ時間での縫製速度の差の絶対値を個々に算出する例を示す説明図である。
【図13】技能評価判定処理を示すフローチャートである。
【図14】実測値グラフを複数の区間ごとに等分した説明図である。
【図15】平均速度と点数の関係を示すテーブルを示す図表である。
【図16】技能評価判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの技能評価装置の形態について詳細に説明する。
図1に示すように、ミシンの技能評価装置1は、主に、ミシン10の制御装置11と操作パネル20とから構成されている。
ミシン10は、電源スイッチ2のオンにより通電される主軸モータ3と、主軸モータ3の回転駆動がベルト4を介して伝達される主軸と、その主軸の回転駆動により上下動する針棒5と、針棒5に交換可能に備えられるミシン針6と、針棒5(ミシン針6)の下方において被縫製物としての布を送る布送り機構7と、ミシン10を操作するためのペダル8と、ミシンの各部を制御する制御装置11(図2参照)が内部に収容された制御ボックス9等を備えている。また、ミシン10には、有線又は無線の回線(信号線)により操作パネル20が接続されている。
【0018】
図2に示すように、ミシン10は、制御ボックス9に収容された制御装置11と、ミシン10の各部に対して操作指示の入力を行う各種操作スイッチ13と、各部を動作させる際に用いられる各種アクチュエータ15、主軸モータ3により回転する主軸の回転速度を検出する回転速度検出手段としての主軸エンコーダ16、ペダル8の操作位置を電気信号に変換してCPU11aに出力するペダルセンサ17等を備えている。
【0019】
制御装置11は、ミシン10や操作パネル20の動作を制御するためにプログラムの実行や演算処理を行うCPU11aと、CPU11aの作業エリアとなるRAM11bと、各プログラムが記憶されたROM11cと、書き換え可能なデータが記憶されるEEPROM11dと、を備えている。
制御装置11には、インターフェース11eが設けられて操作パネル20と接続され、操作パネル20との間でデータや検出信号等のやりとりができるようになっている。
【0020】
ミシン10は、ペダル8の操作に基づきペダルセンサ17から速度指令信号が出力されると、主軸モータ3が回転駆動して、針棒5(ミシン針6)が上下動し、布送り機構7が所定の送りピッチで布送りすることにより、縫製が実行される。
【0021】
EEPROM11dには、縫製に関する各種の設定と、ミシン固有のID、操作するオペレータのID、ロットの識別コード、縫製速度データが記憶される。縫製速度データは、縫製中に主軸エンコーダ16により検出される所定の単位時間間隔ごとの縫製速度と、糸切りソレノイド14を作動させるためにCPU11aにより出力される糸切り信号の発生時刻が記憶されている。また、ミシンの起動開始時刻やミシンを停止させた時の時刻の情報が記憶されている。
【0022】
ROM11cには、EEPROM11dに記憶された縫製速度データからオペレータの技能を判定する技能判定プログラムが記憶されている。かかる技能判定プログラムについては、後に詳細を説明することとする。
【0023】
図2に示すように、操作パネル20は、ユーザに報知する情報の液晶表示を行う表示部21と、表示部21に重ね合わされて配置され、タッチにより入力が行われる入力部としてのタッチスイッチ22と、を有する表示入力手段としてのタッチパネル23と、タイマー25等を備えている。
縫製技能判定装置1では、技能判定プログラムにより、操作パネル20の表示部21において各種のグラフの表示を行うようになっている。
操作パネル20は、インターフェース26を介してミシン10と接続され、ミシン10との間で表示指令等のやりとりが行われる。また、操作パネル20は、インターフェース27を介して操作パネル20に着脱自在の外部記録媒体28(例えば、メモリーカード等)と接続され、ユーザは外部記録媒体28に記録されたデータを制御装置11のEEPROM11dに記憶させたり、制御装置11から外部記録媒体28の内容を直接読み出すこともできる。さらに、必要なデータを外部記録媒体30に記録して持ち出すことができる。
【0024】
(技能判定プログラムによる技能判定の処理)
次に、前述した技能判定プログラムによる処理内容について説明する。なお、以下に説明する処理は全て技能判定プログラムを実行する制御装置11のCPU11aが行う前提として説明する。
前述したように、縫製中には、一つの縫製工程について縫製開始から終了までの間に主軸エンコーダ16により検出される縫製速度が所定の単位時間間隔ごとにサンプリングされた縫製速度データが取得される。図3は0.5[s]単位で縫製速度V[rpm]が検出されて取得された縫製速度データの内容を示す図表、図4は横軸を縫製開始からの経過時間t、縦軸を縫製速度Vとして縫製速度データを示した実測値グラフJである。
縫製後、EEPROM11dに格納された縫製速度データは、単位時間ごとに検出された縫製速度が時系列的に並んだ状態にあるが、CPU11aは、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度が降順(大きい順)となるようにソートして、変換縫製速度データを新たに生成する。図5は変換縫製速度データの内容を示す図表、図6は横軸を時間t、縦軸を縫製速度Vとしてソートした順番で縫製速度を並べた変換縫製速度データに基づく比較用グラフHである。
【0025】
実測値グラフJは、実測値なので、随所に縫製速度の増減が発生しているが、比較用グラフHは、縫製速度でソートをかけているので、グラフがシンプルに下降勾配の形状となる。
また、変換縫製速度データは、縫製速度でソートがかけられているので、一回の縫製工程において、各縫製速度についてどの程度の時間で縫いが行われているか、つまり、縫製速度ごとの稼働時間の分布が得られることとなる。
そして、このような縫製速度ごとの稼働時間分布は、オペレータの技量が高くなるにつれて高速の占める時間の割合が多く且つ低速の占める時間の割合が低くなる。また、オペレータの技量が低ければ、その逆で、高速の占める時間の割合が少なく且つ低速の占める時間の割合が多くなる。
【0026】
そして、技能評価装置1は、このような変換縫製速度データの特性に着目し、ソートされた変換縫製速度データを時間軸について複数の区間(本実施形態では四区間)に均等に分割し、各区間の縫製速度の平均値と各区間ごとに予め設定された基準速度との差を求め、差の値に応じて点数が決定される共に、各区間の点数の合計値を求め、当該合計値をオペレータの技能の評価値としている。
【0027】
ここで、技能判定の処理について図7に基づいて詳述する。図7は比較用グラフHを四等分した説明図である。
まず、前述したように、変換縫製速度データは、その稼働時間全体を四等分する。このとき、稼働時間の総計が長くとも短くとも予め定められた区間数で等分する。
【0028】
図7の着色部は、各区間A1〜A4における単位時間ごとの縫製速度の平均化を図った領域を示し、その上端の破線は当該平均値を示している。そして、各区間A1〜A4に示された一点鎖線はその区間における基準速度を示している。各区間における基準速度は、換言すると、各区間での目標縫製速度であり、実測された縫製速度の各区間における平均値は基準速度に達していなければ評価値が減点され、達してれば加点される。
【0029】
上記基準速度は、個々の縫製工程ごとに個別に用意することが望ましい。
また、各区間における基準速度は、平均速度が高くなる区間ほど高く設定することを前提とし、また、具体的な数値は、例えば統計的な経験則やその縫製工程の難易度に応じて定めることが望ましい。例えば、直線の縫い目が多い工程であれば各区間の基準速度は高く設定され、曲線状の縫い目や方向を変えて行う縫い、その他時間を要する縫いが含まれる場合などには各区間の基準は低く設定される。なお、基準速度は、操作スイッチ13から任意に設定可能としても良い。
【0030】
そして、各区間について基準速度と平均速度の差が求められると、各区間の差の値に対して予め定められた点数が決定される。図8は速度差と点数の関係を示すテーブルであり当該点数テーブルはEEPROM11d内に格納されている。
図示のように、速度差と点数との関係は、速度差が大きくなるにつれて点数も大きくなるように設定されている。
そして、各区間での点数を特定し、それらの合計値を算出し、評価値として表示部21に表示する。なお、この評価値が高いほど技能が高いことを示すことは言うまでもない。
【0031】
上記技能判定プログラムによる処理を図9のフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
まず、CPU11aは、ミシン10のペダル8の操作により縫製が開始されると、制御装置11は、主軸エンコーダ16の出力を所定のサンプリング間隔(0.5[s])で縫製が終了するまで繰り返し受信し、縫製速度データ(図3参照)を生成する(ステップS11)。かかる処理により、CPU11aは「縫製速度データ取得手段」として機能する。なお、縫製の終了はペダルセンサ17から判定しても良いし、ペダル操作による糸切り指示の入力を終了と見なしても良い。また、縫製終了を入力するカウントスイッチを制御装置11又は操作パネル20に設けても良い。
そして、縫製速度データが取得されると、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度が降順にソートして、変換縫製速度データ(図5参照)を新たに生成する(ステップS12)。かかる処理により、CPU11aは「データ変換手段」として機能する。
さらに、CPU11aは、変換縫製速度データの単位時間ごとの縫製速度をプロットして比較用グラフHを作成し、表示部21にて表示させる(ステップS13)。
【0032】
そして、比較用グラフH(変換縫製速度データ)を時間軸で四等分する(ステップS14)。
次に、区間A1から順番に、区間における縫製速度の平均値を算出する(ステップS15)。さらに、求められた平均速度から区間における基準速度を減算し、その減算値に応じて速度差と点数の関係を示すテーブルを参照して点数を特定する(ステップS16)
そして、これらステップS15,S16の処理を全ての区間A1〜A4について繰り返し実行する。
そして、CPU11aは、点数を合計し、当該合計値に基づく該当レベルを技能評価の結果として表示部21に表示させる(ステップS17)。ステップS14〜S17の処理により、CPU11aは「判定手段」として機能する。
【0033】
(第一の実施形態の効果)
このように、ミシンの技能評価装置1では、実測により時系列の縫製速度の変化を縫製速度データとして取得し、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度の順にソートして変換縫製速度データ及び比較用グラフを取得する。そして、比較用グラフ(又は変換縫製速度データ)と各レベルの基準グラフ(又は基準データ)とを比較して差が最も少ないグラフから該当レベルの特定を行うことから、技量の判断を数値に基づいて行うことができるので、評価者による偏りを生じることなく、客観的に技量を判定することが可能となる。
【0034】
(第二の実施形態)
次に第二の実施形態について説明する。この実施形態では、前述したミシン10及び技能判定装置1とハードウェア的には全く同じ構成を利用し、前述した技能判定処理とは異なる他の技能判定処理を行う技能判定プログラムを用いている。従って、ミシン10,操作パネル20及び技能判定装置1の説明は省略し、専らその技能判定手法及びその処理内容についてのみ説明を行うこととする。
前述したように、縫製中には、一つの縫製工程について縫製開始から終了までの間に主軸エンコーダ16により検出される所定の単位時間間隔ごとの縫製速度からなる縫製速度データが取得され、これに基づいて、CPU11aは、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度が降順(大きい順)となるようにソートして、変換縫製速度データHを生成する(図5、6参照)。
【0035】
そして、技能評価装置1は、EEPROM11d内に予め、段階的にレベル分けされた技能レベルごとのレベルデータ及びベルに対応するレベルグラフKのデータを用意している。図10(A)〜(F)は各レベルことのレベルグラフKの例である。なお、この基準データ及び各基準グラフデータは、実際に技量が異なる各オペレータによる縫製時に実測により生成したものを利用しても良いし、過去の統計から得られる傾向に従って生成しても良い。なお、EEPROM11dは、これにより「記憶手段」として機能する。
また、各レベルのレベルグラフKのデータ(サンプルデータ)については、任意に設定する設定手段(例えば、タッチパネル23)を設け、設定入力により作成可能とし、記憶手段としてのEEPROM11dに保存しても良い。
そして、実測から得られた変換縫製速度データ(又は比較用グラフH)と段階的にレベル分けされた技量ごとの基準データ(又は各基準グラフK)とを照合して相互のズレ量を算出し、最もズレ量が小さくなるレベルを求め、当該レベルをオペレータの技量と判定する。
なお、基準データ及び基準グラフKは、比較を行う変換縫製速度データ及び比較用グラフHの取得の際と同じ縫製物について同じ縫製工程の縫いを行ったものとすることが望ましい。
【0036】
ここで、上記ズレ量の算出について詳述する。図11は比較用グラフHと基準グラフK(レベル4)とを重合わせて表示したズレ量算出の説明図である。
図11の着色部のように、基準グラフKに対する比較用グラフHの非重合部分の面積の総和をズレ量として算出する。非重合部分の面積の総和は、例えば、各グラフ時間軸を等しくする微小時間幅の面積の差を求め、これを合計することで算出する。この場合、比較用グラフHが基準グラフKを上回っても下回ってもいずれも正のズレ量として算出し、正負の概念は導入しない。
また、図示のように各データからグラフを作成し、その面積からズレ量を求めても良いが、ここでは、図12に示すように、変換縫製速度データと基準データとで同じ時間での縫製速度の差の絶対値を個々に求め、それらの合計値を算出する。
そして、各レベルの基準データ又は基準グラフに対するズレ量を算出し、最もズレ量が小さくなるレベルをそのオペレータの該当レベルに決定する。
【0037】
上記技能判定プログラムによる処理を図13のフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
まず、CPU11aは、ミシン10のペダル8の操作により縫製が開始されると、制御装置11は、主軸エンコーダ16の出力を所定のサンプリング間隔(0.5[s])で縫製が終了するまで繰り返し受信し、縫製速度データ(図3参照)を生成する(ステップS31:「縫製速度データ取得手段」)。なお、縫製の終了はペダルセンサ17から判定しても良いし、ペダル操作による糸切り指示の入力を終了と見なしても良い。また、縫製終了を入力するカウントスイッチを制御装置11又は操作パネル20に設けても良い。
そして、縫製速度データが取得されると、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度が降順にソートして、変換縫製速度データ(図5参照)を新たに生成する(ステップS32:「データ変換手段」)。
さらに、CPU11aは、変換縫製速度データの単位時間ごとの縫製速度をプロットして比較用グラフHを作成し、表示部21にて表示させる(ステップS33)。
次に、レベル1から順番に基準グラフKを比較用グラフHと重合させ(ステップS34)、非重合部分の面積の総和を算出し、RAM11bに一時的に記憶する(ステップS35)。そして、これらステップS34,S35の処理を全てのレベルの基準グラフKについて繰り返し実行する。
次いで、CPU11aは、RAM11b内の各レベルごとの差の値の中から最小値を検索し、該当するレベルを特定する(ステップS36)。
そして、CPU11aは、技能評価の結果として該当レベルを表示部21に表示させる(ステップS37)。ステップS33〜S37の処理により、CPU11aは「判定手段」として機能する。
【0038】
(第二の実施形態の効果)
このように、ミシンの技能評価装置1では、実測により時系列の縫製速度の変化を縫製速度データとして取得し、単位時間ごとに検出された縫製速度を当該縫製速度の順にソートして変換縫製速度データ及び比較用グラフを取得する。そして、比較用グラフ(又は変換縫製速度データ)と各レベルの基準グラフ(又は基準データ)とを比較して差が最も少ないグラフから該当レベルの特定を行うことから、技量の判断を数値に基づいて行うことができるので、評価者による偏りを生じることなく、客観的に技量を判定することが可能となる。
【0039】
(第三の実施形態)
次に第三の実施形態について説明する。この実施形態では、前述したミシン10及び技能判定装置1とハードウェア的には全く同じ構成を利用し、前述した技能判定処理とは異なる他の技能判定処理を行う技能判定プログラムを用いている。従って、ミシン10,操作パネル20及び技能判定装置1の説明は省略し、専らその技能判定手法及びその処理内容についてのみ説明を行うこととする。
前述したように、縫製中には、一つの縫製工程について縫製開始から終了までの間に主軸エンコーダ16により検出される所定の単位時間間隔ごとの縫製速度からなる縫製速度データを取得する(図3、4参照)。
【0040】
そして、技能評価装置1は、縫製速度データを時間軸について複数の区間(第一の実施形態よりも多くの区間)に均等に分割し、各区間の縫製速度の平均値を求め、各平均値に応じて段階的な点数が決定される共に、各区間の点数の合計値を求め、当該合計値をオペレータの技能の評価値としている。
【0041】
ここで、技能判定の処理について図14に基づいて詳述する。図14は実測値グラフJを複数の区間ごとに等分した説明図である。
縫製速度データは、稼働時間全体を複数の区間に等分する。このとき、区間数は細かいほど適切な技能判定が可能となるが、計算処理量が増加するので、適宜加減することが望ましい。最大で縫製速度のサンプリング間隔と同じ周期で分割しても良い。その場合、各区間に縫製速度のデータが一つしか存在しないので、当該縫製速度=平均速度となる。
【0042】
そして、各区間について平均速度が求められると、各区間の平均速度の値に対して予め定められた点数が決定される。図15は平均速度と点数の関係を示すテーブルであり当該点数テーブルはEEPROM11d内に格納されている。
図示のように、平均速度と点数との関係は、平均速度が大きくなるにつれて点数も大きくなるように設定されている。
そして、各区間での点数を特定し、それらの合計値を算出し、評価値として表示部21に表示する。なお、この評価値が高いほど技能が高いことを示すことは言うまでもない。
【0043】
上記技能判定プログラムによる処理を図16のフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
まず、CPU11aは、ミシン10のペダル8の操作により縫製が開始されると、制御装置11は、主軸エンコーダ16の出力を所定のサンプリング間隔(0.5[s])で縫製が終了するまで繰り返し受信し、縫製速度データ(図3参照)を生成する(ステップS51)。かかる処理により、CPU11aは「縫製速度データ取得手段」として機能する。
さらに、CPU11aは、縫製速度データの単位時間ごとの縫製速度をプロットして実測値グラフJを作成し、表示部21にて表示させる(ステップS52)。
【0044】
そして、実測値グラフJ(縫製速度データ)を時間軸で設定分割数nで等分する(ステップS53)。
次に、各区間ごとに順番に、区間における縫製速度の平均値を算出する(ステップS54)。さらに、求められた平均速度から、その平均速度と点数の関係を示すテーブルを参照して点数を特定する(ステップS55)。
そして、これらステップS54,S55の処理を全ての区間1〜nについて繰り返し実行する。
そして、CPU11aは、点数を合計し、当該合計値に基づく該当レベルを技能評価の結果として表示部21に表示させる(ステップS56)。ステップS52〜S56の処理により、CPU11aは「判定手段」として機能する。
【0045】
(第三の実施形態の効果)
このように、ミシンの技能評価装置1では、縫製速度データに記録された個々の縫製速度の区間ごとの平均値の得点付けを行い、その合計から評価するので、少ない工程数で客観的な技能判定を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 ミシンの技能評価装置
10 ミシン
11 制御装置
11a CPU(判定手段、データ変換手段)
11d EEPROM(記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが行ったミシンの一工程の縫製において時系列的に変化する、単位時間間隔ごとの縫製速度が記録された縫製速度データに基づいて前記オペレータの縫製技能を判定するミシンの縫製技能判定装置において、
前記各縫製速度の高低に対応する評価値を算出し、当該評価値に基づいて技能判定を行う判定手段を備えたことを特徴とするミシンの縫製技能判定装置。
【請求項2】
前記単位時間間隔ごとの個々の縫製速度を速度順に並べ直して変換縫製速度データを得るデータ変換手段を備えることを特徴とする請求項1記載のミシンの縫製技能判定装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記変換縫製速度データにおける個々の縫製速度を時間軸について複数の区間に区分すると共に、当該各区間ごとに縫製速度の平均値を算出し、当該各平均値と前記各区間ごとに予め定められた基準速度との差を求めると共に、前記各区間ごとの前記差の合計値を前記評価値として技能判定を行うことを特徴とする請求項2記載のミシンの縫製技能判定装置。
【請求項4】
前記一工程の縫製について単位時間間隔ごとの縫製速度を速度順に並べたサンプルデータを技能レベルに応じて複数記憶する記憶手段を備え、
前記判定手段は、
前記変換縫製速度データと前記各サンプルデータとを比較し、前記変換縫製速度データと最も近似するサンプルデータを判定し、当該判定結果に基づいて技能判定を行うことを特徴とする請求項2記載のミシンの縫製技能判定装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記縫製速度データにおける個々の縫製速度を時間軸について複数の区間に区分すると共に、当該各区間ごとに縫製速度の平均値を算出し、当該各平均値に対して段階的に得点を付け、前記各区間の特定の合計値を前記評価値として技能判定を行うことを特徴とする請求項1記載のミシンの縫製技能判定装置。
【請求項1】
オペレータが行ったミシンの一工程の縫製において時系列的に変化する、単位時間間隔ごとの縫製速度が記録された縫製速度データに基づいて前記オペレータの縫製技能を判定するミシンの縫製技能判定装置において、
前記各縫製速度の高低に対応する評価値を算出し、当該評価値に基づいて技能判定を行う判定手段を備えたことを特徴とするミシンの縫製技能判定装置。
【請求項2】
前記単位時間間隔ごとの個々の縫製速度を速度順に並べ直して変換縫製速度データを得るデータ変換手段を備えることを特徴とする請求項1記載のミシンの縫製技能判定装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記変換縫製速度データにおける個々の縫製速度を時間軸について複数の区間に区分すると共に、当該各区間ごとに縫製速度の平均値を算出し、当該各平均値と前記各区間ごとに予め定められた基準速度との差を求めると共に、前記各区間ごとの前記差の合計値を前記評価値として技能判定を行うことを特徴とする請求項2記載のミシンの縫製技能判定装置。
【請求項4】
前記一工程の縫製について単位時間間隔ごとの縫製速度を速度順に並べたサンプルデータを技能レベルに応じて複数記憶する記憶手段を備え、
前記判定手段は、
前記変換縫製速度データと前記各サンプルデータとを比較し、前記変換縫製速度データと最も近似するサンプルデータを判定し、当該判定結果に基づいて技能判定を行うことを特徴とする請求項2記載のミシンの縫製技能判定装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記縫製速度データにおける個々の縫製速度を時間軸について複数の区間に区分すると共に、当該各区間ごとに縫製速度の平均値を算出し、当該各平均値に対して段階的に得点を付け、前記各区間の特定の合計値を前記評価値として技能判定を行うことを特徴とする請求項1記載のミシンの縫製技能判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−55867(P2011−55867A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205596(P2009−205596)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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