説明

ミスト除去装置

【課題】繊維質のフィルタを使用しない構成とすることによって、メンテナンスの頻度を低く抑えることのできるミスト除去装置を提供する。
【解決手段】ミスト除去装置は、流入口5及び排出口6を有するケーシング1を備えている。ケーシング1の内部には、流入口5に連通する第1室Aと、第1室Aに連通する第2室Bと、第2室B及び排出口6に連通する第3室Cとが形成されている。第2室Bには、第1室A内の空気を吸引するとともに、その空気を第3室C側へ向かって排出する羽根車11が収容されている。第2室B内における羽根車11の周囲に、複数の貫通孔を有する板状の第1分離部材として、パンチングメタルからなる外周側分離部材13a、前側分離部材13b及び後側分離部材13cを配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト含有空気中からミストを分離して空気を浄化するミスト除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工等を行う工場においては、加工時に使用する切削油等が空気中に微細な煙状として分散することによって、オイル由来のミスト(オイルミスト)が発生することがある。空気中におけるオイルミストの濃度が高くなると、工場内の見通しが悪くなる、床が滑りやすくなるといった問題が生じることから、工場内には、オイルミストを含む空気(ミスト含有空気)を吸引し、その空気中からオイルミストを分離して空気を浄化するミスト除去装置が設置されている。
【0003】
上記ミスト除去装置としては、例えば特許文献1に開示される装置が知られている。特許文献1のミスト除去装置は、モータに接続される羽根車と、羽根車の前後にそれぞれ配置される板状の第1フィルタ及びドラム状の第2フィルタとを備えるものである。そして、羽根車の回転によって工場内のミスト含有空気を吸引するとともに、吸引したミスト含有空気を第1フィルタ及び第2フィルタに順に通過させ、各フィルタによってミスト含有空気中に含まれるオイルミストを捕捉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−225524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のミスト除去装置に設置される各フィルタとしては、ポリエステル繊維等からなる一定厚みの不織布を何枚も重ねたものや、多重構造の繊維質マット等が用いられている。繊維質のフィルタを使用する従来のミスト装置では、装置の使用に伴って、フィルタにオイルミストが付着して徐々にフィルタの目詰まりが進行する。そして、このフィルタの目詰まりが一定以上に達するとオイルミストの分離効果を十分に発揮することできなくなる。そのため、ミスト装置内の各フィルタを交換するメンテナンス作業を頻繁に行う必要があった。こうしたメンテナンス作業は、交換するフィルタ自体のコスト、及びメンテナンスを行う人的コストの観点からできる限りなくすことが好ましい。
【0006】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、繊維質のフィルタを使用しない構成とすることによって、メンテナンスの頻度を低く抑えることのできるミスト除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために請求項1に記載のミスト除去装置は、ミスト含有空気中からミストを分離するミスト除去装置であって、流入口及び排出口を有するケーシングと、前記ケーシング内に収容され、前記流入口から空気を吸引するとともに、その空気を前記排出口へ向かって排出する羽根車とを備え、前記羽根車の径方向外方位置及び軸方向外方位置の少なくとも一方に、複数の貫通孔を有する板材からなる第1分離部材を配置し、前記羽根車から排出された空気を前記第1分離部材に衝突させることにより、空気中に含まれるミストを前記第1分離部材に付着させて分離することを特徴とする。
【0008】
本発明の装置では、羽板車が回転されることによって、流入口を通じて外部のミスト含有空気がケーシング内に吸引される。そして、羽根車によって吸引されたミスト含有空気は排出口から外部へと排出される。ここで、羽根車によって吸引されたミスト含有空気は、排出口へと流れる際に第1分離部材の壁面に衝突する。この第1分離部材の壁面との衝突によって、ミスト含有空気中に含まれるミストは、第1分離部材の壁面に付着して排出口へと流れる空気から分離される。これにより、排出口からはミストの除去された清浄な空気が排出される。
【0009】
上記構成によれば、繊維質のフィルタを使用せずともミスト含有空気からミストを分離することができる。そのため、繊維質のフィルタを使用する従来の装置のように頻繁にフィルタを交換する必要はなく、メンテナンスの頻度を少なくすることができる。
【0010】
請求項2に記載のミスト除去装置は、請求項1に記載の発明において、前記ケーシング内には、前記流入口に連通する第1室、該第1室に連通する第2室、並びに該第2室及び前記排出口に連通する筒状の第3室が区画形成され、前記第2室内に、前記羽根車及び前記第1分離部材を配置し、前記第1室内に、複数の貫通孔を有する板材からなる第2分離部材を配置し、前記第1室内において、前記流入口から吸引された空気を前記第2分離部材に衝突させることにより、空気中に含まれるミストを前記第2分離部材に付着させて分離することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、羽板車が回転されることによって、流入口及び第1室を通じて外部のミスト含有空気が第2室内に吸引され、第2室内に吸引されたミスト含有空気は第3室を通じて排出口から外部へと排出される。そして、流入口から流入したミスト含有空気が第1室内を流れる際に第2分離部材に衝突する。第2分離部材との衝突によって、ミスト含有空気中に含まれるミストは、第2分離部材に付着して下流側へと流れる空気から分離される。これにより、ミスト含有空気中からのミストの除去効率を高めることができる。
【0012】
請求項3に記載のミスト除去装置は、請求項2に記載の発明において、前記第3室内に、複数の貫通孔を有する板材からなる第3分離部材を、その側面が前記第3室の周方向又は軸方向に対して対向するようにして配置し、前記第3室内において、前記流入口から吸引された空気を前記第3分離部材に衝突させることにより、空気中に含まれるミストを前記第3分離部材に付着させて分離することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、流入口から流入したミスト含有空気が第3室内を流れる際に、第3分離部材の壁面に衝突する。第3分離部材との衝突によって、ミスト含有空気中に含まれるミストは、第3分離部材の壁面に付着して排出口へと流れる空気から分離される。これにより、ミスト含有空気中からのミストの除去効率を高めることができる。
【0014】
請求項4に記載のミスト除去装置は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記第2室を前記第1室の後方に形成するとともに、前記第3室を前記第2室の前方において前記第1室の外周を囲む筒状に形成したことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、第1室の外周を囲むように第3室が形成されていることから、第3室を設けることによる装置の大型化を最小限に抑えることができ、比較的狭い設置スペースであっても装置を設置することが可能となる。
【0016】
請求項5に記載のミスト除去装置は、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記第1室、第2室、及び第3室の少なくとも1つの室内に圧縮空気を噴射する目詰まり防止手段を備えることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、各室内に圧縮空気の圧力が作用することにより、各室内に配置される各分離部材の貫通孔を塞ぐように付着したミストを吹き飛ばすことができる。したがって、ミストによって各分離部材の貫通孔が塞がれた目詰まり状態を好適に解消させることができる。
【0018】
請求項6に記載のミスト除去装置は、請求項5に記載の発明において、前記目詰まり防止手段は、前記第2分離部材側に向かって開口した噴射口を有する供給管を備え、前記第2分離部材及び前記供給管の少なくとも一方の部材を、他方の部材に対して相対移動可能とし、前記目詰まり防止手段の作動時において、前記第2分離部材と前記供給管の噴射口との相対的な位置関係を変化させるように構成したことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、第2分離部材と供給管の噴射口との位置関係が相対的に変化することによって、第2分離部材において、供給管の噴射口から噴射される圧縮空気が当たる部位が変化するようになる。これにより、第2分離部材における広範囲の部位に圧縮空気を当てることができ、第2分離部材の広範囲に対して目詰まり防止手段による付着ミストの除去作用を及ぼすことが可能となる。
【0020】
請求項7に記載のミスト除去装置は、請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記第1室、第2室、及び第3室の少なくとも1つの室内に消臭液を供給する消臭手段を備える。上記構成によれば、各室内へ供給された消臭液がミスト含有空気中に含まれる臭いや、ケーシング内に残存するミスト由来の臭いを消臭する。これにより、排出口から排出される清浄空気中に残存する臭いや装置から発生される臭いを低減することができる。
【0021】
請求項8に記載のミスト除去装置は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記ケーシングは消音部材を備えることを特徴とする。上記構成によれば、装置の駆動時における騒音を低減することができる。
【0022】
請求項9に記載のミスト除去装置は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の発明において、前記流入口から流入した粉塵含有空気に対してミストを噴霧するミスト供給手段を備え、空気中に飛散した粉塵を除去する粉塵除去装置として適用されることを特徴とする。
【0023】
空気中に飛散した粉塵は非常に細かく軽い物質である。そのため、ミスト除去装置内に粉塵含有空気を吸引して各分離部材に衝突させたとしても、各分離部材に付着されることなく再び空気中に飛散して下流へと流れてしまい、粉塵含有空気からの分離が困難になる場合もある。そこで、ミスト供給手段によって、流入口から流入した粉塵含有空気に対してミストを噴霧することにより、粉塵をミストに捕捉させる。ミストに捕捉された粉塵は、装置内の各分離部材によって、下流側へと流れる粉塵含有空気からミストと共に分離される。
【発明の効果】
【0024】
本発明のミスト除去装置によれば、繊維質のフィルタを使用しない構成とすることによって、メンテナンスの頻度を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態のミスト除去装置の断面図。
【図2】図1におけるX−X線断面図。
【図3】図1におけるY−Y線断面図。
【図4】第2実施形態のミスト除去装置。
【図5】図4におけるA−A線断面図。
【図6】図4におけるB−B線断面図。
【図7】(a)は軸受部材の斜視図、(b)は羽根車の斜視図。
【図8】別例のミスト除去装置の部分断面図。
【図9】別例のミスト除去装置の断面図。
【図10】別例のミスト除去装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
第1実施形態のミスト除去装置を図1〜3に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態のミスト除去装置のケーシング1は、円筒状をなす周壁2と、同周壁2の両側縁を閉塞する第1側壁3及び第2側壁4とにより形成されている。周壁2は、金属製の円筒部材からなる内層2a及び外層2cと、ポリウレタン等の樹脂発泡体からなり、内層2a及び外層2cの間に設けられる消音部材としての消音層2bとを有する3層構造となっている。そして、第1側壁3及び第2側壁4は、金属製の円板部材からなる層のみを有する1層構造となっている。また、第1側壁3の中央部には円形の貫通孔が形成されるとともに、その貫通孔に対して円筒状に形成される流入口5が固定されている。周壁2の第1側壁3側の上部には上面視四角形状の貫通孔が形成されるとともに、その貫通孔に対して四角筒状に形成される排出口6が固定されている。
【0027】
ケーシング1の周壁2の内面には、ケーシング1内の空間を前後に区画する金属製の円板部材からなる区画側壁7が固定されている。この区画側壁7の中央部には第1通気口7aが貫通形成されるとともに、周縁部には4つの第2通気口7bが等間隔に切欠形成されている。なお、第2通気口7bについては図3にも示している。また、第1側壁3及び区画側壁7の内面には、金属製の円筒部材からなる区画周壁8の両端部がそれぞれ固定されている。この区画周壁8は、区画側壁7により区画されたケーシング1内の前側(図1の紙面左側)の空間をさらに径方向に内外に区画する。したがって、ケーシング1内の空間は、区画側壁7及び区画周壁8により3つの室に区画される。
【0028】
具体的には、第1室Aは、区画側壁7により区画されたケーシング1内の前側の空間において、区画周壁8の内側に位置する円柱状の空間である。第2室Bは、区画側壁7により区画されたケーシング1内の後側に位置する空間である。第3室Cは、区画側壁7により区画されたケーシング1内の前側の空間において、区画周壁8の外側に位置する筒状の空間である。
【0029】
図1に示すように、第1室Aは第1側壁3の流入口5に連通されている。そして、第1室Aの内径は流入口5の径よりも大きくなっている。第1室A内には、一方側に開口を有する有底円筒状をなす複数(本実施形態では2個)の第2分離部材9が配置されている。具体的には、互いに径の異なる複数の第2分離部材9を、その開口を第1側壁3に形成される流入口5に対向させるようにして多層状に重ねて配置した状態とし、第1側壁3に対して各第2分離部材9の開口側の端部を固定している。第2分離部材9はパンチングメタルにより形成される部材であって、第2分離部材9の各面には、その内面側から外面側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。ここで、第2分離部材9に形成する貫通孔の内径は例えば1〜10mmの範囲に設定することが好ましく、第2分離部材9における貫通孔の占有率(開口率)は各面ごとに例えば20〜70%の範囲に設定することが好ましく、40〜60%の範囲に設定することがより好ましい。
【0030】
また、第1室A内において、区画側壁7に形成される第1通気口7aの前方には、区画側壁7から所定の間隔をあけて第1通気口7aの前方を塞ぐように、円板状の整流部材10が複数(本実施形態では2個)配置されている。この整流部材10は第2分離部材9と同様のパンチングメタルにより形成される部材であって、その前面側から後面側へ貫通する複数の貫通孔を有している。
【0031】
図1に示すように、第2室Bは、区画側壁7の中央に形成される第1通気口7aを通じて第1室Aに連通されるとともに、区画側壁7の周縁に形成される第2通気口7bを通じて第3室Cに連通されている。第2室B内には、軸体11aを中心に回転する羽根車11が収容配置されている。羽根車11の軸体11aは、第2側壁4の中央に形成される貫通孔に挿通されるとともに、第2側壁4の外面に取り付け固定された駆動手段としてのモータ12の回転軸に対して一体回転可能に連結されている。モータ12は図示しない制御手段に接続されるとともに、同制御手段からの信号に基づいてその駆動が制御されている。なお、羽根車11に設けられる各羽根は、羽根車11の回転時に、第1室A内の空気を第2室B側へ軸体11aの軸線方向に吸引し、吸引した空気を第3室C側へ羽根車11の径方向外方に排出することができる形状となっている。
【0032】
図1及び図2に示すように、第2室B内において、羽根車11の径方向外方の位置には、筒状の外周側分離部材13aが羽根車11の外周を囲むように配置されている。この筒状の外周側分離部材13aは、その両端部が区画側壁7及び第2側壁4にそれぞれ固定されている。また、羽根車11の前方(軸方向外方位置)には、第1通気口7aと同じ大きさの通気口を有する円環板状の前側分離部材13bが配置されるとともに、同後方(軸方向外方位置)には円板状の後側分離部材13cが配置されている。前側分離部材13b及び後側分離部材13cの外径は、外周側分離部材13aの内径に等しく、前側分離部材13b及び後側分離部材13cの各周縁部分が外周側分離部材13aの内周面に固定されている。したがって、羽根車11は、その周囲が外周側分離部材13a、前側分離部材13b及び後側分離部材13cによって囲まれた状態となっている。
【0033】
なお、外周側分離部材13a、前側分離部材13b及び後側分離部材13cはいずれも、第2分離部材9と同様のパンチングメタルにより形成される部材であって、その内面側から外面側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。そして、本実施形態においては、外周側分離部材13a、前側分離部材13b及び後側分離部材13cによって第1分離部材が構成されている。
【0034】
図1に示すように、第3室Cは周壁2の排出口6に連通されている。また、図1及び図2に示すように、第3室C内には、第3室Cの軸線方向に延びる長尺板状の第3分離部材14が、第3室Cの周方向に等間隔に複数(本実施形態では4個)配置されている。図2に示すように、各第3分離部材14は断面V字状に形成され、V字の折り曲げ部分側の辺を区画周壁8の外周面に当接させるとともに、V字の両端部側の辺を周壁2の内周面に当接させるようにして固定されている。そして、各第3分離部材14は、その各側面が第3室Cの周方向に対して対向するようになっている。また、第3分離部材14は、第2分離部材9と同様のパンチングメタルにより形成される部材であって、その一方側の側面から他方側の側面へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。
【0035】
また、第3室C内において、ケーシング1の周壁2の内周面には、排出口6の内側開口を塞ぐ板状の第4分離部材15が固定されている。この第4分離部材15は、第2分離部材9と同様のパンチングメタルにより形成される部材であって、その内面側から外面側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。
【0036】
図1に示すように、ケーシング1の周壁2の下部には、排液口2dが貫通形成されるとともに、周壁2の外側面には排液口2dに挿通される外側排液管16が取り付けられている。同様に、区画周壁8の下部には、排液口8aが貫通形成されるとともに、区画周壁8の外側面には排液口8aに挿通される内側排液管17が取り付けられている。内側排液管17は、その外径が外側排液管16の内径よりも小さくなるように設定されるとともに、その先端が外側排液管16内に位置するように設けられている。また、外側排液管16の先端部にはバルブ18が取り付けられている。
【0037】
図1〜図3に示すように、ケーシング1内には、ケーシング1の軸方向に延びる第1供給管19a及び第2供給管19bがそれぞれ3本ずつケーシング1の周方向に等間隔に配置されている。第1供給管19aは、第2室Bにおける羽根車11と外周側分離部材13aとの間、及び第3室Cにおける第3分離部材14と周壁2との間を通るように配置されている。第2供給管19bは、第2室Bにおける羽根車11と外周側分離部材13aとの間、及び第1室Aにおける第2分離部材9と区画周壁8との間を通るようにクランク状に配置されている。そして、第1供給管19a及び第2供給管19bの周面全体に、複数の噴射口19cが設けられている。
【0038】
第1供給管19a及び第2供給管19bの基端部分は、ケーシング1の外部において圧縮空気供給装置20及び消臭液供給装置21に接続されている。そして、圧縮空気供給装置20及び消臭液供給装置21からそれぞれ圧縮空気及び消臭液が各供給管に供給された場合には、消臭液を含む圧縮空気を噴射口19cから第1室A、第2室B及び第3室C内に噴射する。
【0039】
上記消臭液としては、工場や室内等の異臭を低減する目的で一般に使用される公知の消臭液を用いることができる。また、消臭液には、臭い成分を中和することにより消臭する消臭液、臭い成分をマスキングすることにより消臭する消臭液、臭い成分を攪拌することにより消臭する消臭液等、消臭作用の異なる消臭液が存在するが、そのいずれの消臭液を用いることができる。具体例としては、例えば青森ヒバ水蒸気・蒸留水(キセイテック社製、商品名「青い森のヘレネー」(登録商標))を用いることができる。
【0040】
また、圧縮空気供給装置20及び消臭液供給装置21は図示しない制御装置に接続され、同制御手段からの信号に基づいて、各供給管への圧縮空気及び消臭液の供給動作が制御されている。なお、本実施形態においては、制御手段、圧縮空気供給装置20及び各供給管によって目詰まり防止手段が構成されるとともに、制御手段、消臭液供給装置21及び各供給管によって消臭手段が構成されている。
【0041】
次に本実施形態の液体分離装置の作用について説明する。
まず、作業者の操作に基づいて制御手段がモータ12を駆動し、羽根車11を回転させる。この羽根車11の回転による吸引作用が区画側壁7の第1通気口7a及び第1室Aを介して流入口5に及ぶことによって、外部に存在するミスト含有空気が流入口5から装置内に吸引される。
【0042】
流入口5から吸引されたミスト含有空気は、第1室Aにおいて径方向に拡散しつつ、第2分離部材9の壁面との衝突を繰り返しながら徐々に第2分離部材9に形成された貫通孔を通過して第2分離部材9の外側へと流れる。この第2分離部材9を通過する際におけるミスト含有空気と第2分離部材9との衝突によって、含有ミストの一部が第2分離部材9の壁面に付着して、第2分離部材9の外側へと流れるミスト含有空気から分離される。
【0043】
そして、第2分離部材9の外側へ流れたミスト含有空気の大部分は、整流部材10を迂回して第1通気口7a及び第2室B側へと流れる。また、第2分離部材9の外側へ流れたミスト含有空気の一部は、整流部材10の貫通孔を通過して第1通気口7a及び第2室B側へと流れる。
【0044】
次いで、第1通気口7aを通って第2室Bへ流入したミスト含有空気は、羽根車11に向かってその軸方向に吸引されるとともに、羽根車11の径方向外方へ排出される。羽根車11から排出されたミスト含有空気は、羽根車11を囲む外周側分離部材13a、前側分離部材13b及び後側分離部材13cを通過して外周側分離部材13aの外側へ流れるとともに、区画側壁7に形成される第2通気口7bを介して第3室Cへと流れる。ここで、ミスト含有空気が外周側分離部材13a、前側分離部材13b及び後側分離部材13cを通過する際においても、第2分離部材9を通過する場合と同様の含有ミストの分離がなされる。
【0045】
そして、第3室Cに流入したミスト含有空気は、羽根車11の回転の影響により筒状の第3室C内を旋回しながら第1側壁3側(前方側)へと流れる。そのため、図1及び図2の矢印で示すように、ミスト含有空気は第3室C内に配置された第3分離部材14を何度も通過しながら第3室C内を流れることになる。したがって、第3室C内では、ミスト含有空気が第3分離部材14を通過する毎に、第2分離部材9を通過する場合と同様の含有ミストの分離がなされることになる。さらに、第3室Cの第1側壁3側へ到達したミスト含有空気は最後に第4分離部材15を通過して排出口6から装置の外部へ排出される。第4分離部材15を通過する際においても、第2分離部材9を通過する場合と同様の含有ミストの分離がなされる。そして、ミスト含有空気は、各分離部材によって含有ミストが除去された清浄な空気となって排出口6から装置の外部へ排出される。
【0046】
一方、第2分離部材9の壁面に付着したミストは徐々に液滴となって、自重により壁面を伝って区画周壁8の底部分に落下する。そして、区画周壁8の底部分に落下したミスト由来の液体は、内側排液管17を通じて外側排液管16内へ排出される。また、外周側分離部材13a、前側分離部材13b及び後側分離部材13c、並びに第3分離部材14の各壁面に付着したミストも同様に、徐々に液滴となって、自重により壁面を伝ってケーシング1の周壁2の底部分に落下する。そして、周壁2の底部分に落下したミスト由来の液体は外側排液管16内へ排出される。そして、外側排液管16内へ排出されたミスト由来の液体はバルブ18を開くことにより、所定の貯留部へとさらに排出される。
【0047】
また、本実施形態のミスト除去装置では、モータ12の駆動時において、消臭液供給手段及び目詰まり防止手段を作動させている。圧縮空気供給装置20から各供給管に圧縮空気を供給するとともに、消臭液供給装置21から各供給管に消臭液を供給し、供給管の噴射口19cから消臭液が混合された圧縮空気を第1室A、第2室B及び第3室内に噴射する。この圧縮空気の圧力によって、各分離部材の貫通孔を塞ぐように付着したミスト由来の液体が吹き飛ばされる。また、圧縮空気に混合される消臭液によって、ミスト含有空気及び装置の消臭がなされる。なお、圧縮空気中に混合される消臭液は、ミスト含有空気中のミストと同様にして装置内を流れるミスト含有空気から分離される。
【0048】
次に本実施形態における効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態のミスト除去装置は、流入口5及び排出口6を有するケーシング1を備えている。ケーシング1の内部には、流入口5に連通する第1室Aと、第1室Aに連通する第2室Bと、第2室B及び排出口6に連通する第3室Cとが形成されている。また、第2室Bには、第1室A内の空気を吸引するとともに、その空気を第3室C側へ向かって排出する羽根車11が収容されている。そして、第2室B内における羽根車11の周囲に、パンチングメタルからなる外周側分離部材13a、前側分離部材13b及び後側分離部材13cを配置している。
【0049】
上記構成によれば、繊維質のフィルタを使用せずとも、吸引されたミスト含有空気からミストを分離することができる。そのため、繊維質のフィルタを使用する従来の装置のように頻繁にフィルタを交換する必要はなく、メンテナンスの頻度を少なくすることができる。さらに、羽根車11とモータ12との連結部分等に防水処理を施すことにより、ケーシング1内の各分離部材を水洗いすることも可能である。仮に、各分離部材に目詰まりが生じたとしても、各分離部材の水洗いを行うことにより目詰まりを解消させることができ、各分離部材を長期的に使用することができる。
【0050】
(2)ケーシング1内において、第1室Aの外周を囲むように第3室Cを配置している。上記構成によれば、第3室Cを設けることによる装置の大型化を最小限に抑えることができ、比較的狭い設置スペースであっても装置を設置することが可能となる。
【0051】
(3)第1室A内に、一方側に開口を有する有底筒状をなし、複数の貫通孔を有する第2分離部材9を、その開口側を流入口5に対向させるようにして配置している。上記構成によれば、流入口5から流入したミスト含有空気が第1室A内を流れる際に、第2分離部材9の壁面に衝突することになる。第2分離部材9の壁面との衝突によって、流入口5から流入したミスト含有空気中に含まれるミストは、第2分離部材9の壁面に付着して第2室Bへと流れる空気から分離される。これにより、ミスト含有空気中からのミストの除去効率を高めることができる。
【0052】
(4)第3室C内に、複数の貫通孔を有する板状の第3分離部材14を、その側面が第3室Cの周方向に対して対向するように配置している。上記構成によれば、第2室Bから流入したミスト含有空気が第3室C内を流れる際に、第3分離部材14の壁面に衝突することになる。第3分離部材14の壁面との衝突によって、第2室Bから流入したミスト含有空気中に含まれるミストは、第3分離部材14の壁面に付着して排出口6から排出される空気から分離される。これにより、ミスト含有空気中からのミストの除去効率を高めることができる。
【0053】
(5)第3分離部材14を、断面V字状をなし、第3室Cの軸線方向に延びる板状に形成している。上記構成によれば、第3室Cを旋回するミスト含有空気が1つの第3分離部
材14を通過するに際して、第3分離部材14の壁面に2度衝突することになるため、断面I字状の第3分離部材14を用いた場合と比較して、2倍の分離効果が得られる。
【0054】
(6)第3室C内に、排出口6の内側開口を塞ぐ板状の第4分離部材15を配置している。上記構成によれば、第3室Cの第1側壁3側へ到達したミスト含有空気は、排出口6から排出される際に第4分離部材15に衝突することになる。第4分離部材15の壁面との衝突によって、第3室Cの第1側壁3側へ到達したミスト含有空気中に含まれるミストは、第4分離部材15の壁面に付着して排出口6から排出される空気から分離される。これにより、ミスト含有空気中からのミストの除去効率を高めることができる。
【0055】
(7)ケーシング1内に圧縮空気を吹き付ける目詰まり防止手段として、制御装置(図示略)、圧縮空気供給装置20、第1供給管19a及び第2供給管19bを備えている。上記構成によれば、各室内に圧縮空気の圧力が作用することにより、各室内に配置される各分離部材の貫通孔を塞ぐように付着したミストを吹き飛ばすことができる。したがって、ミストによって各分離部材の貫通孔が塞がれた目詰まり状態を好適に解消させることができる。
【0056】
(8)ケーシング1内におけるミスト含有空気の流路である第1室A、第2室B及び第3室C内へ消臭液を供給する消臭手段として、制御手段(図示略)、消臭液供給装置21、第1供給管19a及び第2供給管19bを備えている。上記構成によれば、第1室A、第2室B及び第3室Cへ供給された消臭液がミスト含有空気中に含まれる臭いを消臭することにより、排出口6から排出される清浄空気中に残存する臭いを低減することができる。また、装置内に付着した臭いも消臭されるため、装置の臭いを低減することもできる。
【0057】
(9)本実施形態のミスト分離装置は、繊維質のフィルタに対してミスト含有空気を通過させる従来の手法とは異なり、各分離部材の壁面に対してミスト含有空気を衝突させることによってミストを分離している。そのため、ケーシング1が振動して駆動時の騒音が大きくなりやすい。そこで、ケーシング1の周壁2の内部に、発泡体等から形成される消音層2bを設けている。上記構成によれば、駆動時の騒音を好適に低減することができる。
【0058】
[第2実施形態]
第2実施形態のミスト除去装置を図4〜7に基づいて説明する。
図4〜6に示すように、本実施形態のミスト除去装置のケーシング31は、円筒状をなす周壁32と、その周壁32の両側縁を閉塞する第1側壁33及び第2側壁34とにより形成されている。周壁32の第1側壁33側の側部には、貫通孔が形成されるとともに、その貫通孔に対して円筒状に形成される流入口35が挿通固定されている。また、周壁32の第1側壁33側の上部には、貫通孔が形成されるとともに、その貫通孔に対して円筒状に形成される排出口36の端部が固定されている。
【0059】
図6に示すように、ケーシング31の第1側壁33の内面には、ケーシング31内の空間を内外に区画する区画壁37が固定されている。この区画壁37は、一方側に開口を有する有底円筒状をなし、その開口側の端部が第1側壁33の内面に固定されている。また、図5に示すように、区画壁37の周壁部分には、貫通孔が形成されるとともに、その貫通孔を塞ぐように流入口35の端部が固定されている。なお、本実施形態においては、ケーシング31内における区画壁37の内側の空間が第1室に相当する空間であるとともに、区画壁37の外側の空間が第2室及び第3室に相当する空間であり、第2室と第3室とが一続きの室として区画されている。
【0060】
図4及び6に示すように、ケーシング31内において、有底円筒状をなす区画壁37の底壁部分と第2側壁34との間の空間(第2室)には、第1軸体38aを中心に回転する羽根車38が収容配置されている。羽根車38の第1軸体38aは、第2側壁34の中央に形成される貫通孔に挿通されるとともに、第2側壁34の外面に取り付け固定された駆動手段としての第1モータM1の回転軸に対して一体回転可能に連結されている。第1モータM1は図示しない制御手段に接続されるとともに、同制御手段からの信号に基づいてその駆動が制御されている。
【0061】
図7(b)に示すように、羽根車38は、互いに中心を合わせるようにして対向配置された円環状の第1板材38b及び円形状の第2板材38cと、両板材間に配置される複数枚の羽根38dとから構成されている。各羽根38dは、第1板材38bの内面に沿って円環状に並べて配置されるとともに、その両端縁が第1板材38b及び第2板材38cの内面にそれぞれ固定されている。各羽根38dの形状は、羽根車38の回転時に、第1板材38bの外側の空気を羽根車38内に吸引し、吸引した空気を羽根車38の径方向外方に排出することができる形状に形成されている。さらに、第1板材38bの外面には、羽根車38内への空気の吸引を促進するための略円筒状の案内部材38eが取り付けられている。案内部材38eの内面は、先端側から基端側に向かって徐々に通路断面積が大きくなるようなテーパ状に形成されている。
【0062】
また、図6に示すように、有底円筒状をなす区画壁37の底壁部分の中央には、区画壁37の内側の空間と外側の空間とを連通する通気口37aが形成されている。この通気口37aは、羽根車38の案内部材38eの先端に対向する位置に設けられ、羽根車38は通気口37aを介して区画壁37の内側の空間の空気を吸引可能となっている。
【0063】
図4及び6に示すように、ケーシング31内における区画壁37の内側の空間(第1室)には、第2軸体40を中心に回転する回転分離部材41が収容配置されている。回転分離部材41の第2軸体40は、第1側壁33の中央に形成される貫通孔に挿通されるとともに、第1側壁33の外面に取り付け固定された駆動手段としての第2モータM2の回転軸に対して一体回転可能に連結されている。また、第2軸体40は円筒状に形成されるとともに、その内部に流路40aが設けられている。なお、第2モータM2は図示しない制御手段に接続されるとともに、同制御手段からの信号に基づいてその駆動が制御されている。
【0064】
図6に示すように、回転分離部材41は、一方に開口を有する有底円筒状をなす複数(本実施形態では2個)の第1部材42と、各第1部材42の開口を閉塞する円板状の第2部材43とからなるドラム状の部材である。具体的には、互いに径の異なる複数の第1部材42を、その開口側を同方向に揃えて多層状に重ねた状態とし、各第1部材42の開口側の端部を一枚の第2部材43にて閉塞したものである。なお、回転分離部材41を構成する各第1部材42は、第1実施形態における第2分離部材9と同様のパンチングメタルにより形成される部材であって、第1部材42の各面には、その内面側から外面側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。本実施形態においては、回転分離部材41(特に第1部材42)によって第2分離部材が構成されている。
【0065】
そして、回転分離部材41は、第2部材43の中央部にて、第2軸体40に対して一体回転可能に固定されている。なお、第2軸体40内に形成される流路40aと回転分離部材41内とは連通された状態となっている。また、回転分離部材41の最外層に位置する第1部材42の底壁部分の外面中央には軸部44が固定されている。この軸部44は、回転分離部材41の最外層に位置する第1部材42の底壁と区画壁37の底壁との間に配置される軸受部材45の軸受部45aに軸支されている。図7(a)に示すように、軸受部材45は、リング状の軸受部45aと軸受部45aの外面から放射状に3方向に延びる板状の支持部45bとからなる部材であり、各支持部45bの先端が区画壁37の内面にそれぞれ固定されている。
【0066】
図6に示すように、区画壁37の周壁内面には、区画壁37と回転分離部材41との間の空間を前後に区画する円環板状の区画側壁39が固定されている。なお、本実施形態においては、ケーシング31の軸方向における第1側壁33側(図6の紙面左側)を前側とし、第2側壁34側(図6の紙面右側)を後側とする。ここで、流入口35は、区画壁37における区画側壁39よりも前側(第1側壁33側)の部分に接続されている。なお、回転分離部材41の回転時において回転分離部材41と区画側壁39とが接触することを防止するために、区画側壁39の内径は回転分離部材41の外径よりも僅かに大きく形成され、区画側壁39の内周縁と回転分離部材41との間には隙間が設けられている。
【0067】
図6に示すように、ケーシング31内において、区画壁37及び羽根車38の径方向外方位置には、筒状の外周分離部材46が区画壁37及び羽根車38を囲むように配置されている。外周分離部材46は、その両端部が第1側壁33及び第2側壁34にそれぞれ固定されている。なお、図5に示すように、ケーシング31の周壁32の側部から挿通される流入口35は、外周分離部材46を貫通して区画壁37の周壁部分に固定されている。一方、排出口36の端部は、外周分離部材46の外側(ケーシング31側)に位置するとともに、外周分離部材46に対向するように開口した状態となっている。
【0068】
また、ケーシング31内において、羽根車38の後方位置には、円板状の後側分離部材47が配置されている。後側分離部材47の外径は外周分離部材46の内径に等しく、後側分離部材47の周縁部分が外周分離部材46の内周面に固定されている。なお、外周分離部材46及び後側分離部材47は、第1実施形態における第2分離部材9と同様のパンチングメタルにより形成される部材であって、その内面側から外面側へ貫通する複数の貫通孔が形成されている。本実施形態においては、外周分離部材46及び後側分離部材47によって第1分離部材が構成されている。
【0069】
図6に示すように、ケーシング31の周壁32の下部には、排液口32aが貫通形成されるとともに、周壁32の外側面には排液口32aに挿通される外側排液管48が取り付けられている。また、区画壁37の周壁部分の下部における区画側壁39の前側及び後側には、それぞれ排液口37bが貫通形成されるとともに、両排液口37bには内側排液管49の一端が接続されている。内側排液管49の他端は外周分離部材46を貫通し、ケーシング31の周壁32の下部内面に向かって開口した状態となっている。また、外側排液管48の先端部にはバルブ50が取り付けられている。
【0070】
図5及び6に示すように、ケーシング31内において、区画壁37と回転分離部材41との間には、ケーシング1の軸方向(前後方向)に延びる第3供給管51(第1実施形態における第2供給管19bに相当)が周方向に3本並設されている。各第3供給管51は基端部分がケーシング31の第1側壁33に固定されるとともに、区画側壁39を貫通して配置されている。また、回転分離部材41内には、ケーシング31の軸方向(前後方向)に延びる第4供給管52が配置されている。第4供給管52は第2軸体40に対して、一体回転可能、且つ第2軸体40に形成される流路40aと連通した状態で固定されている。第3供給管51における回転分離部材41側の周面、及び第4供給管52の周面全体には、回転分離部材41に向かって開口する複数の噴射口53が設けられている。
【0071】
第3供給管51の基端部分及び第2軸体40の端部は、ケーシング31の外部において圧縮空気供給装置(図示略)及び消臭液供給装置(図示略)に接続されている。そして、圧縮空気供給装置及び消臭液供給装置からそれぞれ圧縮空気及び消臭液が第3供給管51及び第4供給管52に供給された場合には、各供給管の噴射口53から消臭液を含む圧縮空気を回転分離部材41に向かって噴射する。
【0072】
また、ケーシング31の第1側壁33及び第2側壁34には、複数の側壁噴射口54aが設けられている。具体的には、第1側壁33においては、ケーシング31の周壁32と外周分離部材46との間に対応する位置に側壁噴射口54aが設けられている。そして、第2側壁34においては、ケーシング31の周壁32と外周分離部材46との間に対応する位置、及び後側分離部材47に対向する位置に側壁噴射口54aが設けられている。また、ケーシング31の周壁32には周壁噴射口54bが設けられている。各側壁噴射口54a及び各周壁噴射口54bは、圧縮空気供給装置及び消臭液供給装置に接続され、圧縮空気供給装置及び消臭液供給装置からそれぞれ圧縮空気及び消臭液が各側壁噴射口54a及び各周壁噴射口54bに供給された場合には、消臭液を含む圧縮空気をケーシング31内に噴射する。
【0073】
なお、圧縮空気供給装置及び消臭液供給装置は図示しない制御装置に接続され、同制御手段からの信号に基づいて、第3供給管51、第4供給管52、側壁噴射口54a及び周壁噴射口54bへの圧縮空気及び消臭液の供給動作が制御されている。本実施形態においては、制御手段、圧縮空気供給装置、第3供給管51、第4供給管52、側壁噴射口54a及び周壁噴射口54bによって目詰まり防止手段が構成されている。そして、制御手段、消臭液供給装置、第3供給管51、第4供給管52、側壁噴射口54a及び周壁噴射口54bによって消臭手段が構成されている。
【0074】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、作業者の操作に基づいて制御手段が第1モータM1を駆動し、羽根車38を回転させる。この羽根車38の回転による吸引作用が区画壁37の通気口37a、及び区画壁37内を介して流入口35に及ぶことによって、外部に存在するミスト含有空気が流入口35から装置内に吸引される。
【0075】
流入口35から吸引されたミスト含有空気は、区画壁37内において、回転分離部材41を介して、区画側壁39よりも前側(第1側壁33側)の空間から後側(第2側壁34側)の空間へと流れる。そして、区画側壁39よりも後側へと流れたミスト含有空気は、区画壁37に形成される通気口37aを通じて羽根車38に吸引される。このとき、ミスト含有空気は、回転分離部材41の第1部材42の壁面を通過することになるが、その際におけるミスト含有空気と第1部材42との衝突によって、含有ミストの一部が第1部材42の壁面に付着して、区画側壁39よりも後側へと流れるミスト含有空気から分離される。なお、区画壁37内に区画側壁39が存在することにより、流入口35から吸引されたミスト含有空気が回転分離部材41を介することなく、直接、羽根車38に吸引されることが規制されている。
【0076】
次いで、羽根車38に吸引されたミスト含有空気は、羽根車38の径方向外方へ排出され、外周分離部材46及び後側分離部材47との衝突を繰り返しながら、ケーシング31内における区画壁37の外側の空間を前方側へと流れる。ミスト含有空気が外周分離部材46及び後側分離部材47を通過する際においても、回転分離部材41の第1部材42を通過する場合と同様に含有ミストの分離がなされる。そして、ミスト含有空気は、各分離部材によって含有ミストが除去された清浄な空気となって排出口36から装置の外部へ排出される。
【0077】
一方、回転分離部材41の第1部材42の壁面に付着したミストは徐々に液滴となって、自重により壁面をつたって区画壁37の下部に落下する。そして、区画壁37の下部に落下したミスト由来の液体は、内側排液管49を通じてケーシング31の周壁32の下部へと流れ、外側排液管48内へ排出される。そして、外側排液管16内へ排出されたミスト由来の液体はバルブ50を開くことにより、所定の貯留部へとさらに排出される。
【0078】
また、本実施形態のミスト除去装置では、第1モータM1の駆動時において、消臭液供給手段及び目詰まり防止手段を作動させている。圧縮空気供給装置から各供給管、各側壁噴射口54a及び各周壁噴射口54bに圧縮空気を供給するとともに、消臭液供給装置から各供給管、各側壁噴射口54a及び各周壁噴射口54bに消臭液を供給する。そして、各供給管の噴射口53、各側壁噴射口54a及び各周壁噴射口54bから、消臭液が混合された圧縮空気をケーシング31内に噴射する。
【0079】
この圧縮空気の圧力によって、回転分離部材41の第1部材42、外周分離部材46、及び後側分離部材47の貫通孔を塞ぐように付着したミスト由来の液体が吹き飛ばされる。具体的には、第3供給管51及び第4供給管52の噴射口53から噴射される圧縮空気によって、回転分離部材41の第1部材42に付着したミスト由来の液体が吹き飛ばされる。そして、各側壁噴射口54a及び各周壁噴射口54bから噴射される圧縮空気によって、外周分離部材46、及び後側分離部材47に付着したミスト由来の液体が吹き飛ばされる。
【0080】
さらに、本実施形態のミスト除去装置では、目詰まり防止手段の作動時において、第2モータM2を駆動させて回転分離部材41及び第4供給管52を回転させるように制御している。回転分離部材41を回転させることによって、回転分離部材41における第1部材42周壁の各部位と第3供給管51の噴射口53との位置関係が相対的に変化していく。これにより、第1部材42の周壁全体に圧縮空気が当たるようになり、第1部材42の周壁全体に対して、目詰まり防止手段による付着ミストの除去作用が発揮される。
【0081】
第2実施形態においても、第1実施形態における(1)〜(3)、(7)、及び(8)と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態においては、以下のような効果が得られる。
【0082】
(10)第2分離部材としての回転分離部材41を、第3供給管51に対して相対回転可能に構成している。これにより、第1部材42の周壁全体に圧縮空気が当たるようになり、第1部材42の周壁全体に対して、目詰まり防止手段による付着ミストの除去作用を及ぼすことができる。また、装置の駆動時に回転分離部材41の清掃を同時に行うことになることから、清掃メンテナンスの頻度を最小限に抑えることができる。
【0083】
(11)区画壁37内において、区画壁37と回転分離部材41との間の空間を前後に、具体的には、流入口35側と羽根車38側とに区画する区画側壁39を設けている。これにより、流入口35から吸引されたミスト含有空気が回転分離部材41を通過することなく、直接、羽根車38に吸引されることが規制される。よって、ミスト含有空気が回転分離部材41の第1部材42の壁面をより確実に通過するようになり、回転分離部材41によるミスト含有空気中からのミストの除去作用を好適に得ることができる。
【0084】
なお、上記各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記各実施形態を変更することも可能である。
【0085】
・ 第1実施形態において、ケーシング1内における第1室A、第2室B及び第3室Cの位置関係は上記実施形態の位置関係に限定されるものではない。たとえば、特許文献1のミスト除去装置のように、第1室Aの後方側に第2室Bを形成し、さらに第2室Bの後方側にてモータ12を囲むように筒状の第3室Cを形成してもよい。
【0086】
・ 第1実施形態において、第1室A及び第3室Cの少なくとも一方を省略してもよいし、第1室Aと第2室B、又は第2室Bと第3室とを一続きの室として構成してもよい。たとえば、第1室A及び第3室Cを省略して、ケーシング1内に第2室Bのみを形成し、第2室Bと流入口5及び排出口6とが直接、連通する構成としてもよい。この場合、上記実施形態における区画側壁7が設けられていた位置に第1側壁3が位置するとともに、ケーシング1の周壁2における羽根車11の径方向外方位置に排出口6が位置することになる。
【0087】
・ 第1実施形態において、羽根車11の周囲に配置される第1分離部材としては、外周側分離部材13a、前側分離部材13b及び後側分離部材13cの全てが設けられている必要はなく、少なくとも外周側分離部材13a及び前側分離部材13bの一方が設けられていればよい。なお、外周側分離部材13aを省略した場合には、図9に示すように、前側分離部材13bを一回り大きく形成し、前側分離部材13bの外縁とケーシング1の周壁2の内面とが接するように構成することが好ましい。これにより、外周側分離部材13aを省略した場合にも、羽根車11から排出されたミスト含有空気と第1分離部材としての前側分離部材13bとの衝突を好適に発生させることができる。
【0088】
・ 第1実施形態において、複数の外周側分離部材13aを多層状に配置してもよい。前側分離部材13b及び後側分離部材13cについても同様である。
・ 第1実施形態において、第2分離部材9の配置数は特に限定されるものではなく、1つのみ設ける構成としてもよい。また、第2分離部材9を省略してもよい。
【0089】
・ 第1実施形態において、第2分離部材9の形状は上記実施形態の形状に限定されるものではない。たとえば、有底角筒状に形成してもよいし、円板状又は多角板状に形成し、これを流入口5に対向するように配置してもよい。
【0090】
・ 第1実施形態において、第3分離部材14の配置数は特に限定されるものではなく、1個であってもよい。また、第3分離部材14の形状は上記実施形態の形状に限定されるものではない。たとえば、V字の折り曲げ部分の角度は何度であってもよいし、断面V字状に代えて断面I字状や断面W字状としてもよい。また、短尺の第3分離部材14を第3室Cの軸線方向に複数配置する構成としてもよい。
【0091】
・ 第1実施形態において、第3分離部材14は、一方側の辺(V字の折り曲げ部分側の辺)が区画周壁8の外周面に当接するとともに、他方側の辺(V字の両端部側の辺)が周壁2の内周面に当接していたが、一方側の辺と区画周壁8との間、又は他方側の辺と周壁2との間に隙間を設けてもよい。
【0092】
・ 上記第1実施形態では、第3分離部材14の各側面を第3室Cの周方向に対して対向させるようにして第3分離部材14を配置していたが、図9及び図10に示すように、第3分離部材14の側面を第3室Cの軸方向に対して対向させるようにして第3分離部材14を配置してもよい。図9に示す構成は、5個の円環板状の第3分離部材14を並置したものであり、第3分離部材14の側面と第3室Cの軸線方向とが直交した状態となっている。
【0093】
一方、図10に示す構成は、螺旋状に延びる第3分離部材14を第3室Cに配置したものであり、第3分離部材14の側面と第3室Cの軸線方向とが交差した状態となっている。これらの場合にも、上記実施形態と同様の分離作用を得ることができる。なお、第3分離部材14を螺旋状に形成する場合には、第2室B側から排出口6側へ向かって視た場合の螺旋の回転方向と羽根車11の回転方向とを異ならせることにより、第3室C内を流れるミスト含有空気と第3分離部材14とを好適に衝突させることができる。
【0094】
ここで、「第3分離部材14の側面が第3室Cの周方向又は軸方向に対して対向する」とは、第3分離部材14の側面と同周方向又は軸方向とが直交している状態に限らず、交差している状態の全てを含む。すなわち、断面円弧状の板状の部材や円筒状の部材を第3室Cの周方向及び軸方向に沿うように配置した構成のみが除かれる。また、第3分離部材14を省略してもよい。
【0095】
・ 第1実施形態において、第3分離部材14に加えて第3室C内に、断面円弧状の補助分離部材、又は円筒状の補助分離部材を第3室Cの周方向に沿うようにして配置してもよい。図10に示す構成においては、第3室C内に円筒状の補助分離部材24を第3室Cの周方向に沿うようにして配置し、その内側に螺旋状の第3分離部材14を配置している。
【0096】
・ 第1実施形態において、複数の第4分離部材15を多層状に配置する構成としてもよいし、第4分離部材15を省略してもよい。
・ 上記第1実施形態では、区画側壁7の周縁の一部に第2通気口7bを設けていたが、区画側壁7の周縁全体に第2通気口7bを設ける構成としてもよい。この場合、第2室Bから第3室Cへの通気効率を高めることができる。
【0097】
・ 第1実施形態において、第2分離部材9と同様の貫通孔を有する部材(たとえば、パンチングメタル)により区画側壁7を形成してもよい。また、図10に示すように、前側分離部材13bが設けられる場合には、区画側壁7を省略し、区画周壁8の第2側壁4側の端部を前側分離部材13bに固定するように構成してもよい。この場合には、前側分離部材13bが区画側壁7の代わりにケーシング1内の空間を前後に区画する部材となる。
【0098】
・ 第1実施形態において、区画周壁8の底面に対して排液口8aに向かって下降する傾斜を設けた構成としてもよい。この場合には、区画周壁8の底面に落下した液体を排液口8aからスムーズに排出させることができる。同様に、周壁2の底面に対して排液口2dに向かって下降する傾斜を設けた構成としてもよい。
【0099】
・ 第1実施形態において、ケーシング1の第1側壁3及び第2側壁4の内部にも消音層を設ける構成としてもよい。また、消音層2bを省略してもよい。
・ 上記各実施形態では、各分離部材をパンチングメタルにより形成していたが、壁面を貫通する所定の貫通孔を有する部材(繊維質のフィルタを除く)であれば、分離部材の材質は特に限定されるものではない。たとえば、合成樹脂により各分離部材を形成してもよいし、金網等の網により各分離部材を形成してもよい。なお、網により板状に形成された分離部材も、特許請求の範囲に規定する「複数の貫通孔を有する板材からなる第1〜3分離部材」の技術概念に含まれる。
【0100】
・ 第2実施形態において、回転分離部材41を回転可能に構成するとともに、第4供給管52を回転不能に構成することにより、回転分離部材41と第4供給管52との位置関係を相対的に変化させるようにしてもよい。また、回転分離部材41及び第4供給管52を共に回転可能に構成し、互いに逆方向に回転させることにより、回転分離部材41と第4供給管52との位置関係を相対的に変化させるようにしてもよい。さらに、回転分離部材41を固定するとともに、第4供給管52及び第3供給管51の少なくとも一方を回転可能に構成することにより、回転分離部材41と各供給管との位置関係を相対的に変化させるようにしてもよい。このように構成した場合にも、回転分離部材41における第1部材42の周壁全体に対して、目詰まり防止手段による付着ミストの除去作用を及ぼすことができる。
【0101】
・ 上記第2実施形態では、回転分離部材41を回転させることによって、回転分離部材41と第4供給管52の噴射口53との相対的な位置関係を変化させていたが、両部材間の相対的な位置関係を変化させる構成はこれに限られるものではない。たとえば、第4供給管52を、回転分離部材41の外周を囲むような円環状に形成し、円環状の第4供給管52を前後方向(軸方向)にスライド移動可能に構成してもよい。
【0102】
・ 第2実施形態において、回転分離部材41における第1部材42の配置数は特に限定されるものではなく、1つのみ設ける構成としてもよい。また、複数の外周分離部材46及び後側分離部材47をそれぞれ多層状に配置してもよい。
【0103】
・ 第2実施形態において、区画側壁39を省略してもよい。この場合には、流入口35の先端開口部を区画壁37よりも内側に突出させるとともに、流入口35の先端開口部と回転分離部材41とを近接させて配置して、流入口35から吸引されたミスト含有空気を確実に区画壁37の壁面に衝突させるように構成することが好ましい。
【0104】
・ 第2実施形態において、回転分離部材41における羽根車38側の支持構成は軸部44と軸受部材45とによる支持構成に限定されるものではない。たとえば、回転分離部材41の最外層に位置する第1部材42の底壁外面に回転分離部材41の回転軸を中心とする円環状の突出部を設けるとともに、区画壁37の底壁の内面に同形状の凹部を設け、区画壁37側の凹部に対して回転分離部材41の突出部を回転摺動可能に係合させることにより支持構成を形成してもよい。また、回転分離部材41における羽根車38側の支持構成を省略し、回転分離部材41を片持ち状に回転支持する構成としてもよい。
【0105】
・ 第2実施形態において、ケーシング31の周壁32における流入口35及び排出口36の形成位置、並びに流入口35と排出口36との互いの位置関係は特に限定されるものではない。また、流入口35及び排出口36の内径は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0106】
・ 第2実施形態において、第3供給管51からの圧縮空気又は消臭液の噴射タイミングと、第4供給管52からの圧縮空気又は消臭液の噴射タイミングとを異ならせるように制御してもよい。
【0107】
・ 上記の変更例を含めて第1実施形態のミスト除去装置に採用していた構成を第2実施形態のミスト除去装置に適用してもよいし、第2実施形態のミスト除去装置に採用していた構成を第1実施形態のミスト除去装置に適用してもよい。たとえば、第1実施形態のミスト除去装置において、第2分離部材9を回転可能に構成してもよいし、第2実施形態のミスト除去装置において、区画壁37の代わりに区画側壁7及び区画周壁8を適用してケーシング31内を第1室〜第3室に区画してもよい。
【0108】
・ 第1及び第2実施形態において、各分離部材に設けられる貫通孔の形状は特に限定されるものではなく、例えば円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
・ 第1及び第2実施形態において、各分離部材における貫通孔の形状、径及び占有率(開口率)は、同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。たとえば、第1実施形態において、第2分離部材9、第1分離部材、第3分離部材14の順に開口率が小さくなるように、即ち下流側に配置される分離部材ほど開口率が小さくなるように構成してもよい。また、各分離部材を多層に重ねて配置した場合(たとえば、第1実施形態における第2分離部材9)に、その重ね方向において、それぞれの分離部材に形成される貫通孔の位置が重なっていてもよいし、ずれていてもよい。
【0109】
・ 上記各実施形態では、目詰まり防止手段及び消臭手段は、各供給管を共用する構成であったが、目詰まり防止手段専用の供給管、及び消臭手段専用の供給管を設ける構成としてもよい。また、ケーシング内における各供給管の形状及び配置位置も特に限定されるものではない。たとえば、図9に示すように、第2室B内に環状の供給管(第3供給管19d)を設けてもよい。第1供給管19a及び第2供給管19bと同様に、第3供給管19dも圧縮空気供給装置20及び消臭液供給装置21(図示略)に接続されている。
【0110】
・ 第1及び第2実施形態において、目詰まり防止手段及び消臭手段の作動タイミングは上記実施形態の構成に限定されるものではない。たとえば、目詰まり防止手段及び消臭手段を別々に作動させて、目詰まりの防止と消臭とをそれぞれ行う構成としてもよい。また、モータ12の停止時に目詰まり防止手段のみを作動させるようにしてもよい。なお、第2実施形態においては、目詰まり防止手段の作動に合わせて、第2モータM2を駆動して回転分離部材41を回転させればよい。
【0111】
・ 第1及び第2実施形態において、目詰まり防止手段及び消臭手段のうちの一方のみを備える構成としてもよいし、両方を省略してもよい。
・ 第1及び第2実施形態において、バルブを省略してもよい。
【0112】
・ 第1及び第2実施形態において、ケーシング内に各分離部材を加温するためのヒーター等の加温部材を設けてもよい。冬場等の気温の低い環境では、各分離部材に付着したミスト(液滴)が冷えて固化してしまい、各分離部材に付着したまま排出されなくなるという問題が起こり得る。そこで、上記加温部材によって各分離部材を加温するように構成することにより、各分離部材に付着したミストの固化を抑制して、同ミストを効率的に排出することが可能となる。
【0113】
なお、ケーシング1内における上記加温部材の設置位置としては、例えば第1実施形態においてはケーシング1の内面、区画側壁7の内面又は外面、区画周壁8の内面又は外面が挙げられる。また、区画側壁7及び区画周壁8の内部に加温部材を埋め込み、区画側壁7及び区画周壁8を介して各分離部材を加温するように構成することも可能である。
【0114】
・ 本発明のミスト除去装置は、空気中に飛散した粉塵を除去する粉塵除去装置としても適用することが可能である。この場合には、流入口5から流入した粉塵含有空気に対してミストを噴霧するミスト供給手段がさらに設けられる。たとえば、図9に示す構成では、第1室A内に先端ノズル22aが位置するミスト供給管22と、ミスト供給管22の基端に接続されるミスト供給装置23とからなるミスト供給手段を備えている。また、図8に示す構成では、第4供給管52に代えてミスト供給ノズル55を第2軸体40に取り付けるとともに、第2軸体40にミスト供給装置(図示略)を接続している。
【0115】
空気中に飛散した粉塵は非常に細かく軽い物質である。そのため、ミスト除去装置内に粉塵含有空気を吸引して各分離部材の壁面に衝突させたとしても、各分離部材に付着されることなく、再び空気中に飛散して下流へと流れてしまうため、分離することが困難である。ここで、ミスト供給手段により、流入口から流入した粉塵含有空気に対してミストを噴霧すると、粉塵含有空気内の粉塵がミストを構成する微細な水滴の内部に入り込み、ミスト内に粉塵が捕捉された状態となる。そして、ミストに捕捉された粉塵は、装置内の各分離部材の壁面に衝突した際に、ミストと共に各分離部材の壁面に付着し、下流側へと流れる粉塵含有空気からミストと共に分離される。したがって、粉塵含有空気中に含まれる粉塵を好適に除去することができるようになる。なお、粉塵含有空気が異臭を有するものである場合には、上記消臭液を混合したミストを噴霧してもよい。また、各供給管等を利用してミストを噴霧する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0116】
A…第1室、B…第2室、C…第3室、1…ケーシング、2a…消音層、5…流入口、6…排出口、9…第2分離部材、11…羽根車、12…モータ、13a…外周側分離部材(第1分離部材)、13b…前側分離部材(第1分離部材)、13c…後側分離部材(第1分離部材)、14…第3分離部材、15…第4分離部材、19a…第1供給管、19b…第2供給管、20…圧縮空気供給装置、21…消臭液供給装置、22…ミスト供給管、23…ミスト供給装置、37…区画壁、38…羽根車、41…回転分離部材(第2分離部材)、46…外周分離部材(第1分離部材)、47…後側分離部材(第1分離部材)、51…第3供給管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミスト含有空気中からミストを分離するミスト除去装置であって、
流入口及び排出口を有するケーシングと、
前記ケーシング内に収容され、前記流入口から空気を吸引するとともに、その空気を前記排出口へ向かって排出する羽根車とを備え、
前記羽根車の径方向外方位置及び軸方向外方位置の少なくとも一方に、複数の貫通孔を有する板材からなる第1分離部材を配置し、
前記羽根車から排出された空気を前記第1分離部材に衝突させることにより、空気中に含まれるミストを前記第1分離部材に付着させて分離することを特徴とするミスト除去装置。
【請求項2】
前記ケーシング内には、前記流入口に連通する第1室、該第1室に連通する第2室、並びに該第2室及び前記排出口に連通する筒状の第3室が区画形成され、
前記第2室内に、前記羽根車及び前記第1分離部材を配置し、
前記第1室内に、複数の貫通孔を有する板材からなる第2分離部材を配置し、
前記第1室内において、前記流入口から吸引された空気を前記第2分離部材に衝突させることにより、空気中に含まれるミストを前記第2分離部材に付着させて分離することを特徴とする請求項1に記載のミスト除去装置。
【請求項3】
前記第3室内に、複数の貫通孔を有する板材からなる第3分離部材を、その側面が前記第3室の周方向又は軸方向に対して対向するようにして配置し、
前記第3室内において、前記流入口から吸引された空気を前記第3分離部材に衝突させることにより、空気中に含まれるミストを前記第3分離部材に付着させて分離することを特徴とする請求項2に記載のミスト除去装置。
【請求項4】
前記第2室を前記第1室の後方に形成するとともに、前記第3室を前記第2室の前方において前記第1室の外周を囲む筒状に形成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のミスト除去装置。
【請求項5】
前記第1室、第2室、及び第3室の少なくとも1つの室内に圧縮空気を噴射する目詰まり防止手段を備えることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載のミスト除去装置。
【請求項6】
前記目詰まり防止手段は、前記第2分離部材側に向かって開口した噴射口を有する供給管を備え、
前記第2分離部材及び前記供給管の少なくとも一方の部材を、他方の部材に対して相対移動可能とし、
前記目詰まり防止手段の作動時において、前記第2分離部材と前記供給管の噴射口との相対的な位置関係を変化させるように構成したことを特徴とする請求項5に記載のミスト除去装置。
【請求項7】
前記第1室、第2室、及び第3室の少なくとも1つの室内に消臭液を供給する消臭手段を備えることを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載のミスト除去装置。
【請求項8】
前記ケーシングは消音部材を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のミスト除去装置。
【請求項9】
前記流入口から流入した粉塵含有空気に対してミストを噴霧するミスト供給手段を備え、空気中に飛散した粉塵を除去する粉塵除去装置として適用されることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のミスト除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−176393(P2012−176393A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98487(P2011−98487)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(392028848)クマクラ工業株式会社 (21)
【Fターム(参考)】