説明

メタクリル系共重合体、その製造方法およびこれを用いたメタクリル系樹脂組成物

本明細書中には、炭素数6〜20の芳香族または脂肪族メタクリレート約20〜約99.9質量%および単官能性不飽和単量体約0.1〜約80質量%を含む単量体混合物の重合体であるメタクリル系共重合体が開示される。前記メタクリル系共重合体は、1.495〜1.59の高屈性率を有することから、ポリカーボネート樹脂とブレンドすると、別途の相溶化剤を用いることなく、相溶性が改善されたメタクリル系樹脂組成物を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向上した屈折率を有するメタクリル系共重合体、その製造方法およびこれを用いたメタクリル系樹脂組成物に関する。より具体的には、本発明は、特定構造を有する芳香族または脂肪族メタクリレートを用いて1.495〜1.59の高屈折率を有するメタクリル系共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大型化および軽量化製品が広く普及するにつれて、ハウジング素材の高機能化および多機能化に対する需要が高まっている。特に、成形品の外観が重要となっており、火に対して安定な難燃性素材に加えて、耐スクラッチ性および高級質感を同時に備える高光沢素材が求められている。
【0003】
耐スクラッチ性および難燃性を同時に獲得するために適用できる方法は、ポリカーボネート(PC)樹脂とメタクリレート系樹脂(より好ましくはポリメチルメタクリレート(PMMA))とをアロイすることである。前記ポリカーボネート樹脂は、機械的強度、透明性、熱安定性、自己消火性および寸法安定性に優れているため、電気・電子製品および自動車部品に広く用いられている。さらに、その化学構造から良好な難燃性が得られるため、前記ポリカーボネ−トは、従来の高分子に比べて、少量の難燃剤で難燃性を獲得しうる。しかしながら、耐スクラッチ性は、B程度の低い鉛筆硬度であるため、前記ポリカーボネート樹脂を用いるだけでは良好な耐スクラッチ性を獲得できない。一方、耐スクラッチ性に優れたポリメチルメタクリレート樹脂の場合、3H〜4H程度の高い鉛筆硬度をもつが、既存の難燃剤を用いて難燃性を獲得するのが難しいという短所を有している。従って、耐スクラッチ性および難燃性の両方を改善するため、PC樹脂とPMMA樹脂とをブレンドする方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、前記PC樹脂と前記PMMA樹脂とは高温で溶融混練されるものの、相溶性に欠けるため、分離した相に分かれうる。また、PCとPMMAとのアロイを電気・電子製品のハウジングに用いることは非常に困難である。PC樹脂とPMMA樹脂とでは屈折率が異なる(それぞれ1.59および1.49)ことから、PC樹脂とPMMA樹脂とのアロイは、光を散乱させうる。このことから、高彩度の色とすることが難しく、押出工程中に融解結合線が明瞭に現れてしまう。
【0005】
大韓民国特許出願公開第2004−79118号には、ポリカーボネート樹脂とメタクリレート樹脂との間での相溶性を改善するために、金属ステアリン酸エステルを用いて、混練工程中にポリカーボネートの分子量を減少させる方法が記載されている。しかしながら、前記方法では、前記ポリカーボネートと前記メタクリレート樹脂とのブレンドの透明性に限界があり、機械的特性も著しく低いという短所がある。
【0006】
米国特許第4,027,073号には、耐スクラッチ性を改善させるために、樹脂の表面をコーティングする方法が記載されている。しかしながら、この方法では追加の工程が必要である。
【0007】
そこで、本発明者らは、特定構造を有する芳香族または脂肪族メタクリレートを適用することによって、ポリカーボネートを用いた高屈折率および高い相溶性をもつメタクリル系共重合体、およびその製造方法、並びにこれを用いたメタクリル系樹脂組成物を開発するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、約1.495〜約1.59の屈折率を有するメタクリル系共重合体およびその製造方法を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、ポリカーボネートとの相溶性に優れたメタクリル系共重合体を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、既存のPC−PMMAアロイにおいて、PMMA樹脂の代わりになるメタクリル系共重合体を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、ポリカーボネート樹脂とブレンドされた際に、全光線透過率が10%であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが98%以下となるようなブレンドを形成するメタクリル系共重合体を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、高屈折率の前記メタクリル系共重合体を用いた相溶化剤を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、前記相溶化剤を用いる方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、高屈折率の前記メタクリル系共重合体を用いることによって、ポリカーボネートとの屈折率の差による透明性および着色性の低下を最小化する一方で、優れた耐スクラッチ性を有するメタクリル系樹脂組成物を提供することである。
【0015】
また、本発明の他の形態によれば、高屈折率前記メタクリル系共重合体の新たな製造方法が提供される。
【0016】
本発明のその他の目的および利点は、発明の開示および添付の特許請求の範囲から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一つの形態によれば、メタクリル系共重合体が提供される。前記メタクリル系共重合体は、(a)特定構造を有する芳香族または脂肪族メタクリレート約20〜約99.9質量%、および(b)単官能性不飽和単量体約0.1〜80質量%を含む単量体混合物を重合することにより製造されうる。前記メタクリル系共重合体と、重量平均分子量が約25,000g/molであるビスフェノール−A型直鎖状ポリカーボネート樹脂とを2:8の比率で混合したブレンドを押出すことにより調製される約2.5mmの厚さの試験片の全光線透過率は約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下である。典型的な実施形態では、前記全光線透過率が約30%以上でありうる。
【0018】
前記単官能性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸エステル、不飽和カルボン酸、酸無水物、ヒドロキシ基含有エステル、(メタ)アクリルアミド、不飽和ニトリル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートおよびスチレン単量体からなる群から選択されうる。
【0019】
他の典型的な実施形態では、前記メタクリル系共重合体は、(a)芳香族または脂肪族メタクリレート約50〜約90質量%、および(b)単官能性不飽和単量体約10〜50質量%を含みうる。
【0020】
いくつかの典型的な実施形態では、本発明のメタクリル系共重合体は、重量平均分子量が約3,000〜300,000g/molであり、屈折率が約1.495〜約1.59でありうる。
【0021】
本発明の他の形態は、メタクリル系共重合体を含む相溶化剤に関する。前記メタクリル系共重合体は、(a)芳香族または脂肪族メタクリレート単位、および(b’)炭素数1〜6のアルキル(メタ)アクリレートまたはスチレンから選択される単官能性不飽和単量体単位を含むことができ、重量平均分子量が約3,000〜300,000g/mol、屈折率が約1.495〜約1.59でありうる。
【0022】
典型的な実施形態では、前記共重合体は、(a)芳香族または脂肪族メタクリレート単位約55〜約90質量%、および(b’)単官能性不飽和単量体単位約10〜45質量%を含みうる。他の典型的な実施形態では、前記共重合体は、不飽和カルボン酸、酸無水物、ヒドロキシ基含有エステル、(メタ)アクリルアミド、不飽和ニトリル、アリルグリシジルエーテルおよびグリシジルメタクリレートからなる群から選択される単官能性不飽和単量体単位をさらに含みうる。
【0023】
前記相溶化剤は、前記メタクリル系共重合体と、重量平均分子量が約25,000g/molであるビスフェノール−A型直鎖状ポリカーボネート樹脂とを2:8の比率で混合したブレンドの、全光線透過率が約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下であることを特徴とする前記メタクリル系共重合体を含む。典型的な実施形態では、前記全光線透過率は約30%以上でありうる。
【0024】
本発明の他の形態によれば、前記メタクリル系共重合体を含むメタクリル系樹脂組成物が提供される。前記メタクリル系樹脂組成物は、約1〜約99質量部の前記メタクリル系共重合体、および約1〜約99質量部のポリカーボネート樹脂を含みうる。前記樹脂組成物は、添加剤をさらに含みうる。
【0025】
いくつかの典型的な実施形態では、前記樹脂組成物は、全光線透過率が約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下でありうる。いくつかの実施形態では、前記全光線透過率は約30%以上でありうる。
【0026】
本発明の他の形態によれば、ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート樹脂とのアロイの相溶化剤として前記相溶化剤を用いる方法が提供される。前記方法のいくつかの実施形態では、前記相溶化剤はポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート樹脂とのアロイ100質量部に対して約10〜約40質量部の範囲の量で用いられうる。
【0027】
本発明の他の形態によれば、メタクリル系共重合体の製造方法が提供される。当該方法は、(a)芳香族または脂肪族メタクリレートと(b)単官能性不飽和単量体とを含む単量体混合物を、重合開始剤および連鎖移動剤の存在下、懸濁重合することを含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、懸濁重合前に、前記単量体混合物に添加剤を加えることをさらに含みうる。いくつかの実施形態では、当該方法はさらに、懸濁重合された前記メタクリル系共重合体に添加剤を加えた後、懸濁重合された前記メタクリル系共重合体を押出すことを含みうる。
【0028】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
メタクリル系共重合体
本発明のメタクリル系共重合体は、炭素数6〜20の芳香族または脂肪族メタクリレート(a)および単官能性不飽和単量体(b)を含む単量体混合物を重合することにより調製されうる。
【0030】
(a)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられうる。前記芳香族または脂肪族メタクリレートは、下記化学式1または下記化学式2で表されうる。
【0031】
【化1】

【0032】
式中、mは0〜10の整数であり、Xはシクロヘキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基またはアミノフェニル基である。
【0033】
【化2】

【0034】
式中、mは0〜10の整数であり、Yは酸素(O)または硫黄(S)であり、Arはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基またはベンジルフェニル基である。
【0035】
前記芳香族または脂肪族メタクリレート(a)の例としては、シクロへキシルメタクリレート、2−エチルフェノキシメタクリレート、2−エチルチオフェニルメタクリレート、2−エチルアミノフェニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニルプロピルメタクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、2−2−メチルフェニルエチルメタクリレート、2−3−メチルフェニルエチルメタクリレート、2−4−メチルフェニルエチルメタクリレート、2−(4−プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2−(4−メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−シクロへキシルフェニル)エチルメタクリレート、2−(2−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチルメタクリレートおよび2−(4−ベンジルフェニル)エチルメタクリレートなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられうる。
【0036】
前記単官能性不飽和単量体(b)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体、アクリル酸エステル単量体、不飽和カルボン酸単量体、酸無水物単量体、ヒドロキシ基含有エステル単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、不飽和ニトリル単量体、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、スチレン化合物など、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびベンジルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルへキシルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体;アクリル酸およびメタクリル酸等の不飽和カルボン酸単量体;無水マレイン酸等の酸無水物単量体;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよびモノグリセロールアクリレート等のヒドロキシ基含有エステル単量体;アクリルアミドおよびメタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体;アリルグリシジルエーテル;グリシジルメタクリレート;スチレンおよびα−メチルスチレン等のスチレン単量体などが挙げられる。これらの単量体は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられうる。これらの単量体の中でも、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有エステルまたはスチレン単量体が好ましい。最も好ましくは、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルである。
【0037】
本発明のメタクリル系共重合体での、使用に適した単量体混合物は、芳香族または脂肪族メタクリレート(a)約20〜約99.9質量%と単官能性不飽和単量体(b)約0.1〜約80質量%を含みうる。芳香族または脂肪族アクリル酸エステル単量体の量が約20質量%未満の場合、重合されたメタクリル系共重合体の平均屈折率が約1.495以下に低下しうる。典型的な実施形態では、単量体混合物は、芳香族または脂肪族メタクリレート(a)約50〜95質量%および単官能性不飽和単量体(b)約5〜50質量%を含みうる。好ましくは、単量体混合物は、芳香族または脂肪族メタクリレート(a)約55〜90質量%および単官能性不飽和単量体(b)約10〜45質量%を含みうる。他の典型的な実施形態では、単量体混合物は芳香族または脂肪族メタクリレート(a)約20〜45質量%および単官能性不飽和単量体(b)約55〜80質量%を含みうる。
【0038】
本発明のメタクリル系共重合体は、直鎖型構造もしくは分岐型構造、またはこれらの混合構造を有しうる。また、当該メタクリル系共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体またはグラフト共重合体でありうる。
【0039】
本発明のメタクリル系共重合体は、約3,000〜約300,000g/molの重量平均分子量を有しうる。前記分子量の範囲内である場合、ポリカーボネート樹脂のブレンドした場合に優れた透明性および着色性を獲得することができる。前記メタクリル系共重合体は、約3,000〜約10,000g/molの重量平均分子量を有しうる。いくつかの典型的な実施形態において、約12,000〜約50,000g/molの重量平均分子量を有しうるが、他の典型的な実施形態では、前記メタクリル系共重合体は、約50,000〜約200,000g/molの重量平均分子量を有しうる。
【0040】
さらに、本発明のメタクリル系共重合体は、約1.495〜約1.59の高屈折率を有しうる。典型的な実施形態において、約1.51〜1.59の屈折率を有する。他の典型的な実施形態では、メタクリル系共重合体は、約1.52〜1.59の屈折率を有しうるが、いくつかの典型的な実施形態では、メタクリル系共重合体は、約1.53〜1.59の屈折率を有しうる。
【0041】
本発明のメタクリル系共重合体は、約1.495〜1.59の高い屈折率を有することから、ポリカーボネート樹脂とブレンドした場合に、他の相溶化剤を加えることなく、相溶性の改善したメタクリル系樹脂組成物を得ることが可能である。
【0042】
従って、上記メタクリル系共重合体は、ポリカーボネート−ポリメチルメタクリレートのアロイにおいて、PMMA樹脂の代わりになりうる。
【0043】
本発明のメタクリル系共重合体は、ポリカーボネート樹脂とブレンドされうるし、当該ブレンドは約2.5mmの厚さの試験片として、光線透過率が約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが98%以下でありうる。いくつかの典型的な実施形態では、前記メタクリル系共重合体と、重量平均分子量が約25,000g/molであるビスフェノール−A型直鎖状ポリカーボネート樹脂を2:8の比率で混合したブレンドを押出すことにより調製される約2.5mmの厚さの試験片は、全光線透過率が約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下でありうる。他の典型的な実施形態では、前記ブレンドのヘイズが約1〜98%、約1〜50%、約1〜45%または約1〜40%でありうる。いくつかの典型的な実施形態では、前記ブレンドの全光線透過率が約10〜90%、約25〜90%、約30〜90%、約35〜90%、約40〜90%、約50〜90%、約55〜90%または約60〜90%でありうる。
【0044】
メタクリル系共重合体の製造方法
本発明の他の形態は、メタクリル系共重合体の製造方法を提供する。本発明のメタクリル系共重合体は、既存の重合法により製造されうるが、屈折率を考慮すると、懸濁重合によってメタクリル系共重合体を製造することが好ましい。
【0045】
いくつかの典型的な実態形態において、前記方法は炭素数6〜20の芳香族または脂肪族メタクリレート(a)および単官能性不飽和単量体(b)を含む単量体混合物を、重合開始剤および連鎖移動剤の存在下、懸濁重合することを含みうる。
【0046】
既存の重合開始剤が重合開始剤として用いられうる。重合開始剤の例としては、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、モノクロロベンゾイルペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、p−メチルベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾアート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−(2,4−ジメチル)−バレロニトリルなどが挙げられ、これらに制限されない。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられうる。
【0047】
前記連鎖移動剤は、分子量調節および熱安定性改善を目的として用いられうる。分子量は、重合開始剤の量によって調節が可能であるが、連鎖移動は重合反応を停止させることで、鎖の末端が第二級炭素構造となる結果、高い結合強度、熱に安定な構造となり、メタクリル系共重合体の光学的特性を改善させる点で連鎖移動剤を使用する利点がある。一方、連鎖移動剤を使用しない場合、不均一化により鎖の末端に二重結合をもつため、優れた結合強度を示さない。本発明での使用に適した連鎖移動剤の例としては、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ターシャリードデシルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−アミルメルカプタン等のCH(CHSHで表されるアルキルメルカプタンおよび四塩化炭素等のハロゲン化合物、並びにα−メチルスチレンダイマーおよびα−エチルスチレンダイマー等の芳香族化合物が挙げられる。種類に依存して変化しうる。連鎖移動剤の量は、単量体混合物100質量部に対して約0.02〜約10質量部の範囲で変動しうる。連鎖移動剤の量が約0.02質量部未満であると、熱分解が起こり、耐熱性が低下しうる。連鎖移動剤の量が約10質量部を超えると、得られる樹脂の分子量が小さくなり、機械的物性が低下しうる。
【0048】
本発明のメタクリル系共重合体の製造方法においては、既存の懸濁安定剤および懸濁安定補助剤などを用いることができる。
【0049】
前記懸濁安定剤の例としては、ポリアルキルアクリレート−アクリル酸、ポリオレフィン−マレイン酸、ポリビニルアルコールおよびセルロース等の有機懸濁安定剤、並びにリン酸三カルシウム等の無機懸濁安定剤が挙げられる。
【0050】
本発明での使用に適した懸濁安定補助剤の例としては、リン酸水素二ナトリウムまたはリン酸二水素ナトリウムが挙げられ、水溶性高分子または単量体の溶解度を調整するために硫酸ナトリウムが用いられてもよい。
【0051】
また、本発明のメタクリル系共重合体は、難燃剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、無機充填剤、着色剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、防炎剤等の他の添加剤をさらに含みうる。これらの添加剤は、制限されないが、重合中またはペレット化工程で添加されうる。
【0052】
前記酸化防止剤の例としては、オクタデシル3−(3,5−ジ−ターシャリー ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、トリエチレングリコール−ビス−3(3−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオナート、2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリー−ブチルフェノール)、トリス(2,4−ジ−ターシャリー−ブチルフェニル)ホスファイト、n−オクタデシル−3(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、1,3,5−トリ(3,5−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート、3−(3,5−ジ−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、ラウリルチオプロピオナートメタン、ジフェニル−イソオクチルホスファイトなどが挙げられる。
【0053】
本発明の典型的な実施形態では、難燃剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、無機充填剤、着色剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、防炎剤等の添加剤が前記単量体混合物に添加されうる。これらの添加剤は、互いに組み合わせて添加されうる。
【0054】
本発明の他の典型的な実施形態において、前記方法は、難燃剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、無機充填剤、着色剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、防炎剤およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの添加剤を懸濁重合されたメタクリル系共重合体に添加すること、並びにその混合物を押出すことをさらに含みうる。
【0055】
メタクリル系共重合体は、約65〜約125℃、好ましくは約70〜約120℃の温度で約2〜約8時間行われる反応によって製造されうる。
【0056】
重合反応が完了した後には、冷却、洗浄、脱水および乾燥工程を経て粒子状の重合体が得られる。前記重合体は、その後、押出工程でペレット化されて樹脂組成物が得られる。
【0057】
相溶化剤
本発明の他の形態は、前記メタクリル系共重合体を含む相溶化剤を提供する。いくつかの典型的な実施形態において、前記メタクリル系共重合体は(a)前記化学式1または前記化学式2で表される芳香族または脂肪族メタクリレート単位、および(b’)炭素数1〜6のアルキル(メタ)アクリレートまたはスチレンから選択される単官能性不飽和単量体単位を含みうる。前記メタクリル系共重合体の重量平均分子量は約3,000〜300,000g/molであり、屈折率は約1.495〜約1.59でありうる。
【0058】
いくつかの典型的な実施形態において、前記メタクリル系共重合体は、(a)芳香族または脂肪族メタクリレート単位約55〜約90質量%、および(b’)単官能性不飽和単量体単位約10〜約45質量%を含みうる。
【0059】
他の典型的な実施形態において、前記メタクリル系共重合体は、不飽和カルボン酸単量体、酸無水物単量体、ヒドロキシ基含有エステル単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、不飽和ニトリル単量体、アリルグリシジルエーテルおよびグリシジルメタクリレートからなる群から選択される単官能性不飽和単量体単位(b”)をさらに含みうる。いくつかの典型的な実施形態において、前記メタクリル系共重合体は、(a)芳香族または脂肪族メタクリレート単位約60〜約85質量%、(b’)単官能性不飽和単量体単位約10〜約30質量%および(b”)単官能性不飽和単量体単位約5〜約20質量%を含みうる。
【0060】
前記相溶化剤は、ポリカーボネート樹脂と前記相溶化剤とのブレンドの全光線透過率が約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下である点に特徴を有する。いくつかの典型的な実施形態では、前記メタクリル系共重合体と、重量平均分子量が約25,000g/molであるビスフェノール−A型直鎖状ポリカーボネート樹脂とを2:8の比率で混合したブレンドを押出すことにより調製される約2.5mmの厚さの試験片の全光線透過率は約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下でありうる。いくつかの典型的な実施形態において、前記ブレンドのヘイズは約1〜98%、約1〜50%、約1〜45%または約1〜40%でありうる。いくつかの典型的な実施形態において、前記ブレンドの全光線透過率は約10〜90%、約25〜90%、約30〜90%、約35〜90%、約40〜90%、約50〜90%、約55〜90%または約60〜90%でありうる。
【0061】
本発明の他の形態は、ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート樹脂とのアロイの相溶化剤として、前記相溶化剤を用いる方法を提供する。いくつかの典型的な実施形態では、前記相溶化剤は、ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート樹脂とのアロイ100質量部に対して、約10〜約40質量部の範囲で用いられうる。好ましくは、前記相溶化剤は、ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート樹脂とのアロイ100質量部に対して約15〜約35質量部の範囲で用いられうる。前記アロイは、制限されないが、ポリカーボネート樹脂約40〜90質量%および(メタ)アクリレート樹脂約10〜60質量%を含みうる。いくつかの典型的な実施形態では、前記アロイは、ポリカーボネート樹脂約55〜90質量%および(メタ)アクリレート樹脂約10〜45質量%を含みうる。
【0062】
メタクリル系樹脂組成物
本発明の他の形態は、高屈折率の前記メタクリル系共重合体を用いたメタクリル系樹脂組成物を提供する。前記組成物は、前記メタクリル系共重合体とポリカーボネート樹脂とを含む。
【0063】
典型的な実施形態では、前記メタクリル系樹脂組成物は、高屈折率の前記メタクリル系共重合体を約1〜約99質量部、およびポリカーボネート樹脂約1〜約99質量部を含みうる。他の典型的な実施形態では、前記メタクリル系樹脂組成物は、高屈折率の前記メタクリル系共重合体約5〜約70質量部、およびポリカーボネート樹脂約30〜約95質量部を含みうる。別の典型的な実施形態では、前記メタクリル系樹脂組成物は、高屈折率の前記メタクリル系共重合体約10〜約50質量部、およびポリカーボネート樹脂約50〜約90質量部を含みうる。他の典型的な実施形態では、前記メタクリル系樹脂組成物は、高屈折率の前記メタクリル系共重合体約10〜約40質量部、およびポリカーボネート樹脂約60〜約90質量部を含みうる。
【0064】
本発明のメタクリル系共重合体とポリカーボネート樹脂とのブレンドにより得られる樹脂組成物は、前記メタクリル系共重合体と前記ポリカーボネート樹脂との間の相違による、透明性および着色性の低下を最小化することが可能である。そのため、樹脂組成物は優れた耐スクラッチ性に加えて、良好な着色性および外観を有する。
【0065】
いくつかの典型的な実施形態において、前記樹脂組成物の、全光線透過率は約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下である。いくつかの典型的な実施形態では、前記組成物のヘイズは約1〜98%、約1〜50%、約1〜45%または約1〜40%でありうる。いくつかの典型的な実施形態では、前記ブレンドの全光線透過率は約10〜90%、約25〜90%、約30〜90%、約35〜90%、約40〜90%、約50〜90%、約55〜90%または約60〜90%でありうる。
【0066】
前記樹脂組成物は、難燃剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、無機充填剤、着色剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、防炎剤等の他の添加剤をさらに含みうる。これらの添加剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられうる。
【0067】
本発明の樹脂組成物は、すべての成分およびその他の添加剤をともに混合し、次いで、押出器を用いて押出すことにより製造でき、ペレット状に製造されうる。当該ペレットを利用してプラスチック射出および圧縮成形品を製造することができる。このように製造された成形品は、透明性、耐スクラッチ性、外観、着色性および機械的強度に優れているため、これらの性質が求められる製品に好適に使用される。特に、本発明の樹脂組成物は、電気・電子の製品またはハウジングの内外部品、自動車部品、建築資材、インテリア用品、玩具、生活用品などに、より適している。
【0068】
本発明は、下記の実施例の参照によって、より理解されうるが、下記の実施例は、本発明の例示目的のためのものであり、いかなる方法においても、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲を制限するものではないと解されるべきである。
【実施例】
【0069】
(実施例1)
フェニルメタクリレート70質量部、メチルメタクリレート30質量部、ラウロイルペルオキシド0.3質量部、ノルマル−オクチルメルカプタン0.31質量部を含む単量体混合物を混合して均一にした。
【0070】
撹拌機が装備されたステンレス高圧反応器中のイオン交換水110質量部に懸濁補助安定剤であるリン酸水素二ナトリウムおよび硫酸ナトリウムを溶解させ、懸濁安定剤としてのポリエチルアクリレート−アクリル酸メチル0.15質量部を加えて撹拌した。窒素、アルゴン等の不活性気体を反応器の内部に満たし、反応器を加熱しながら、懸濁安定剤が溶解した水溶液に前記単量体混合物を加えて激しく撹拌した。72℃で2時間、110℃で1時間反応を行って、重合反応を完結させた。得られた生成物を洗浄、脱水および乾燥することで、粒子状の重合体を得た。その後、重合体の分子量を測定した。重合体粒子を押出し、および射出加工することで試験片とした。当該試験片の物性を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例2は、70質量部のベンジルメタクリレートおよび30質量部のメチルメタクリレートを含む単量体混合物を用いたことを除いて、上記実施例1と同様の方法で行った。
(実施例3)
実施例3は、70質量部のフェノキシエチルメタクリレート70質量部および30質量部のメチルメタクリレートを含む単量体混合物を用いたことを除いて、上記実施例1と同様の方法で行った。
(実施例4)
実施例4は、70質量部のシクロへキシルメタクリレートおよび30質量部のメチルメタクリレートを含む単量体混合物を用いたことを除いて、上記実施例1と同様の方法で行った。
(実施例5)
実施例5は、70質量部のフェニルメタクリレートおよび30質量部のエチルメタクリレートを含む単量体混合物を用いたことを除いて、上記実施例1と同様の方法で行った。
(実施例6)
実施例6は、50質量部のベンジルメタクリレート、20質量部のシクロへキシルメタクリレートおよび30質量部のn−プロピルメタクリレートを含む単量体混合物を用いたことを除いて、上記実施例1と同様の方法で行った。
(実施例7)
実施例7は、30質量部のフェニルメタクリレート、30質量部のベンジルメタクリレート、10質量部のシクロへキシルメタクリレートおよび30質量部のスチレンを含む単量体混合物を用いたことを除いて、上記実施例1と同様の方法で行った。
(比較例1)
比較例1は、100質量部のメチルメタクリレートを用いたことを除いて、上記実施例1と同様の方法で行った。
(比較例2)
比較例2は、70質量部のエチルメタクリレートおよび30質量部のメチルメタクリレートを含む単量体混合物を用いたことを除いて、上記実施例1と同様の方法で行った。
(比較例3)
比較例3は、70質量部のn−プロピルメタクリレートおよび30質量部のメチルメタクリレートを含む単量体混合物を用いたことを除いて、上記実施例1と同様の方法で行った。
【0071】
上記各実施例及び比較例における物性の結果および単量体投入量を下記表1に示す。
【0072】
物性の測定方法
(1)分子量:ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて、分子量を測定した。
【0073】
(2)屈折率:日本のアタゴ社製の屈折器(製品名:DR−A1)を用いて厚さ2.5mmの試験片で、屈折率を測定した。
【0074】
(3)透明性:ポリカーボネート樹脂とブレンドした際のヘイズおよび全光線透過率として、透明性を評価した。前記実施例および比較例で製造された粒子を重量平均分子量が25,000g/molであるビスフェノール−A型直鎖状ポリカーボネート樹脂(日本帝人社製、製品名:PANLITE L−1250WP)と2:8の比率で混合して得られたブレンドをL/D=29、直径45mmの二軸押出器を用いて押出し、ペレット状の製品を製造した。このペレットを80℃で6時間乾燥した後、6oz射出器により試験片を形成した。日本電色社製のヘイズメータNDH 2000を用いてL90mm×W50mm×T2.5mmの試験片の全光線透過率およびヘイズを測定した。全光線透過率は、拡散光線透過率(DF)と平行光線透過率(PT)を加算して算出し、ヘイズ(%)は、拡散光線透過率(DF)/全光線透過率(TT)により算出した。
【0075】
(4)耐スクラッチ性:ボール型スクラッチプロファイル(BSP)テストにより耐スクラッチ性を測定した。BSPテストとは、L90mm×W50mm×T2.5mmの樹脂試験片上に1000gの荷重と75mm/minの速度で、直径0.7mmの球形の金属チップを用いて長さ10〜20mmのスクラッチを加えることにより行った。その後、直径2μmの金属スタイラスのチップを用いた表面スキャニングによりスクラッチプロファイルを提供するAmbios社製の表面プロファイル分析器(XP-I)を用いて、加えたスクラッチのプロファイルを測定した。耐スクラッチ性は、測定したスクラッチにより評価した。測定したスクラッチ幅が減少するにつれて、耐スクラッチ性は向上する。
【0076】
【表1】

【0077】
表1に示すように、実施例1〜7のメタクリル系共重合体は、他の単量体を用いた比較例と比べると、優れた屈折率を示している。また、実施例1〜7のメタクリル系共重合体とポリカーボネートとのブレンドは、良好なヘイズおよび透明性を示す。一方、ポリカーボネートを比較例1〜3の(共)重合体とブレンドすると、ヘイズおよび透過率が低下する。
【0078】
以上のように、本発明では特定の推奨される実施形態について示されているが、当業者であれば、その思想、および添付の特許請求の範囲に記載される発明の範囲から逸脱することなく、容易に様々な変更、修飾を加えることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記化学式1または2で表される芳香族または脂肪族メタクリレート約20〜99.9質量%と、
【化1】

式中、mは0〜10の整数であり、Xはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基またはアミノフェニル基である、
【化2】

式中、mは0〜10の整数であり、Yは酸素(O)または硫黄(S)であり、Arはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基またはベンジルフェニル基である、
(b)(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸エステル、不飽和カルボン酸、酸無水物、ヒドロキシ基含有エステル、(メタ)アクリルアミド、不飽和ニトリル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、およびスチレン単量体からなる群から選択される単官能性不飽和単量体約0.1〜80質量%と、を含む単量体混合物を重合することにより製造されるメタクリル系共重合体であって、
前記メタクリル系共重合体と、重量平均分子量が約25,000g/molであるビスフェノール−A型直鎖状ポリカーボネート樹脂とを2:8の比率で混合したブレンドを押出すことにより調製される約2.5mmの試験片の、全光線透過率が約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下である、メタクリル系共重合体。
【請求項2】
(a)芳香族または脂肪族メタクリレート約50〜90質量%と、(b)単官能性不飽和単量体約10〜50質量%と、を含む請求項1に記載のメタクリル系共重合体。
【請求項3】
前記単官能性不飽和単量体(b)は、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびベンジルメタクリレートを含むメタクリル酸エステル単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルへキシルアクリレートを含むアクリル酸エステル単量体;アクリル酸およびメタクリル酸を含む不飽和カルボン酸単量体;無水マレイン酸を含む酸無水物単量体;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよびモノグリセロールアクリレートを含むヒドロキシ基含有エステル単量体;アクリルアミドおよびメタクリルアミドを含むアミド単量体;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを含むニトリル単量体;アリルグリシジルエーテル;グリシジルメタクリレート;スチレンおよびα−メチルスチレンを含むスチレン単量体からなる群から選択される、請求項1に記載のメタクリル系共重合体。
【請求項4】
重量平均分子量が約3,000〜約300,000g/molであり、屈折率が約1.495〜約1.59である、請求項1に記載のメタクリル系共重合体。
【請求項5】
前記全光線透過率が約30%以上である、請求項1に記載のメタクリル系共重合体。
【請求項6】
下記化学式1または2で表される芳香族または脂肪族メタクリレート単位と、
(b’)炭素数1〜6のアルキル(メタ)アクリレートまたはスチレンから選択される単官能性不飽和単量体単位と、を含むメタクリル系共重合体を含む相溶化剤であって、
前記メタクリル系共重合体の重量平均分子量が約3,000〜300,000g/molであり、前記メタクリル系共重合体の屈折率が約1.495〜約1.59である:
【化3】

式中、mは0〜10の整数であり、Xはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基またはアミノフェニル基である、
【化4】

式中、mは0〜10の整数であり、Yは酸素(O)または硫黄(S)であり、Arはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基またはベンジルフェニル基である。
【請求項7】
前記共重合体が、芳香族または脂肪族メタクリレート単位を約55〜約90質量%、および(b’)単官能性不飽和単量体単位を約10〜約45質量%含む、請求項6に記載の相溶化剤。
【請求項8】
前記共重合体が、不飽和カルボン酸、酸無水物、ヒドロキシ基含有エステル、(メタ)アクリルアミド、不飽和ニトリル、アリルグリシジルエーテルおよびグリシジルメタクリレートからなる群から選択される単官能性不飽和単量体単位をさらに含む、請求項6に記載の相溶化剤。
【請求項9】
前記メタクリル系共重合体と、重量平均分子量が約25,000g/molであるビスフェノール−A型直鎖状ポリカーボネート樹脂とを2:8の比率で混合したブレンドを押出すことにより調製される約2.5mmの厚さの試験片の、全光線透過率が約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下である、請求項6に記載の相溶化剤。
【請求項10】
前記全光線透過率が約30%以上である、請求項9に記載の相溶化剤。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のメタクリル系共重合体約1〜約99質量部と、ポリカーボネート樹脂約1〜約99質量部と、を含む、メタクリル系樹脂組成物。
【請求項12】
難燃剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、無機充填剤、着色剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、防炎剤およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項11に記載のメタクリル系樹脂組成物。
【請求項13】
全光線透過率が約10%以上であり、ヘイズメータにより測定されるヘイズが約98%以下である、請求項11に記載のメタクリル系樹脂組成物。
【請求項14】
請求項6〜10のいずれか1項に記載の相溶化剤を、ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート樹脂とのアロイの相溶化剤として用いる方法。
【請求項15】
前記相溶化剤を、ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリレート樹脂とのアロイ100質量部に対して、約10〜約40質量部の範囲で用いる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(a)下記化学式1または2で表される芳香族または脂肪族メタクリレート、および(b)(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸エステル単量体、不飽和カルボン酸、酸無水物、ヒドロキシ基含有エステル、(メタ)アクリルアミド、不飽和ニトリル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートおよびスチレン単量体からなる群から選択される単官能性不飽和単量体を含む単量体混合物を、重合開始剤および連鎖移動剤の存在下で懸濁重合することを含む、メタクリル系共重合体の製造方法:
【化5】

式中、mは0〜10の整数であり、Xはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基またはアミノフェニル基である、
【化6】

式中、mは0〜10の整数であり、Yは酸素(O)または硫黄(S)であり、Arはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基またはベンジルフェニル基である。
【請求項17】
難燃剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、無機充填剤、着色剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、防炎剤およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を、前記単量体混合物に懸濁重合前に加えることをさらに含む、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
懸濁重合された前記メタクリル系共重合体に、難燃剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、無機充填剤、着色剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、防炎剤およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を加えること、並びに懸濁重合された前記メタクリル系共重合体を押出すことをさらに含む、請求項16に記載の製造方法。

【公表番号】特表2011−500914(P2011−500914A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529852(P2010−529852)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005981
【国際公開番号】WO2009/051373
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】