説明

メタボローム解析における内因性の参照代謝産物を用いた標準化方法

本発明は、内因性の参照代謝産物の使用およびほ乳類被験体の生体サンプルにおける、選択された標的代謝産物の量および/または濃度に対応する強度データを標準化する方法に関し、前記強度データは複数の内因性の参照代謝産物を用い、前記生体サンプルにおける前記選択された標的代謝産物について、少なくとも1つのin vitroでのメタボローム解析を行う工程と、同一の前記サンプルにおいて、複数の内因性の参照代謝産物またはその誘導体の定量分析を同時に行う工程とを有するメタボローム解析法により得られ、前記内因性の参照代謝産物は、前記生体サンプル中にほぼ一定の濃度で存在し、前記内因性の参照代謝産物またはその誘導体は、分子量が1500Da未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の、複数の内因性の参照代謝産物を用いたメタボローム解析により得られるほ乳類被験体の生体サンプルにおける、選択された標的代謝産物の量および/または濃度に対応する強度データを標準化する方法、および請求項13記載の、分子量が1500Da未満の1または複数の化合物またはそれらの誘導体の、メタボローム解析における内因性の参照代謝産物としての使用に関する。
【0002】
本発明はメタボロミクスの分野に関するものである。より具体的には、本発明は、メタボロミクスのための分析において、比較対象となるシグナルを標準化する方法に関する。この新規な方法は、内部標準として内因性の代謝産物を用いていることに依存しており、濃度および相対存在比の決定と共に、任意のサンプル間の直接比較を可能にする。
【0003】
したがって、本発明は、代謝産物濃度の使用および異なる種、組織および異なる細胞間での代謝産物濃度(レベル)の比較に関する。本発明は、参照、対照または標準化(のための)代謝産物の同定および使用を提供し、その濃度(レベル)は、個々の細胞において、異なる条件下でも一貫性を維持していると共に、異なるサンプル、種および起源に由来する体液、細胞および組織間でも一貫性を維持している。
【背景技術】
【0004】
メタボロミクスにおいて、標準化という用語は、シグナルの抽出および処理、それらに先行するデータの分散ならびにそれらに続く統計処理の後に行われるデータの調節工程を意味する(Preprocessing, classification modeling and feature selection using flow injection electrospray mass spectrometry metabolite fingerprint data, D.P. Enot, W. Lin, M. Beckmann, D. Parker, D.P. Overy and J. Draper: Nature Protocols, 2008, 3, 446-470(非特許文献8);Metabolomics by numbers: acquiring and understanding global metabolite data, R. Goodacre, S. Vaidyanathan, W.B. Dunn, .G. Harrigan and D.B. Kell: TRENDS in Biotechnology 2004, 22(5) 245-252(非特許文献1))。メタボロミクスのデータにおいて、実験日、装置、希釈条件等の異なるデータを比較するための標準化方法については、未だに議論の対象であり、絶対的な標準的手法の確立はもとより、推奨法の統一からも程遠い状態にある。
【0005】
メタボロミクスの主な目的は、環境および遺伝子の変化に対する代謝の変化の検討であるため、標準化は、不明確さや関連のない変動要因を排除して、測定結果を比較可能にする上で重要な工程である。通常、サンプル間の変動は、サンプルの濃度および均一性の違い、分析系の感度低下およびドリフト、またはサンプルの経時的な劣化に起因する。複数の実験を考慮する場合や、代謝物の測定結果が、数種類の実験法や異なる分析系に由来するものである場合、これは非常に困難な課題である(非特許文献8参照)。
【0006】
実験計画にも依存するが、標準化因子の計算について数種の有用な手法が存在する。例えば、化学的誘導体化の前または後に、多数の対照物質を、高濃度で、しかし等モル濃度で、しかもこれらのスポットの強度の総和が等しくなるように添加することができる。あるいは、1バッチの血漿由来のサンプル等の一定量の化合物を含む混合物または抽出物を添加してもよい。添加した等モル量の対照物質の強度の測定値は、同様の挙動を示すはずである。
【0007】
より一般的な方法では、プレート上の対照サンプルを用いて、プレート品質全体のばらつきを抑制し(例えば、標準バッチ法および標準調製法)、または差異を測定する。
【0008】
適用可能な標準化方策は、データに関する基礎的前提および個々の実験に用いられる方策に基づいている。したがって、これらの方策は、研究対象である系と実験計画の両者を反映して調節されなければならない。基礎的前提は、添加された一群の対照について、測定された濃度の全対照群についての平均値が1に近くなければならないという点である。
【0009】
メタボロミクスデータを標準化するための従来技術に係る方法は、以下の3種類に大別される。
1− 第1の分類に属する方策には、データそれ自体から、サンプル毎に、希釈因子またはスケーリング因子とも呼ばれるバイアス因子の推論が含まれる(A note on normalization of biofluid 1D 1H-NMR data, R.J.O. Torgrip, K.M. Aberg1, E. Alm, I. Schuppe-Koistinen and J. Lindberg: Metabolomics, 2008 4(2), 114-121(非特許文献5))。
最も簡単な手法は、スケーリング因子が全サンプルにわたる全ての測定値の総和(または関連する値)であるグローバル標準化(一定和標準化、積分標準化、全イオンカウント標準化とも呼ばれる。)である。このような素朴な手法の限界については広く議論されており(非特許文献5、Probabilistic quotient normalization as robust method to account for dilution of complex biological mixtures. Application in 1H NMR metabolomics, F. Dieterle, A. Ross, G. Schlotterbeck, H. Senn: Anal Chem., 2006, 78(13), 4281-90(非特許文献7))、クラス情報の導入(非特許文献8)、ピーク/シグナルのサブセレクション(Normalization strategies for metabolomic analysis of urine samples, B. M. Warrack, S. Hnatyshyn, K.-H. Ott, M.D. Reily, M. Sanders, H. Zhang, and D.M. Drexler: Journal of Chromatography B, 2009, 877(5-6), 547-552(非特許文献6);Normalization Regarding Non-Random Missing Values in High-Throughput Mass Spectrometry Data, P. Wang, H. Tang, H. Zhang, J. Whiteaker, A. G. Paulovich, and M. Mcintosh Pacific Symposium on Biocomputing, 2006, 11:315-326(非特許文献2))、または参照サンプルプロファイルに対する強度分布のマッピング(非特許文献5、非特許文献7)により、より正確なスケーリング因子を導き出すための別の手法が提案されている。このような方法の多くはNMRの分野に属している(米国特許第7,277,807号(特許文献1)、非特許文献7)。用いられる方法の高度さおよび特定の生物学的問題の解決についての有用さに関わりなく、生成されたデータは、依然として無次元量であり、異なる条件または応用分野の間で、データを効率的に変換したり比較したりすることができない、実験に依存する数値であることに変わりはない。
【0010】
2− 第2群に属する標準化では、生物学的に得られた情報を用いてサンプルの濃度の補正を行う(非特許文献6)。そのような情報として、尿を用いた研究においては、サンプリング時のクレアチニン濃度、尿の体積または浸透圧が広く用いられており、植物抽出物または組織の重量を用いてサンプルの測定値のスケーリングを行うこともできる。そのような情報の実際の有効性およびそれらの実験に関連する固有誤差に加え、推定値に劇的な変化をもたらす生化学的プロセス(腎機能障害等)に関する研究の場合、実験/臨床パラメータの標準化への適用可能性については何の保証もない。
【0011】
3− 最後に述べる、1または複数の内部標準に対する補正による絶対的な定量化は、個体間の変動の最小化および複数の部位および実験に由来するデータセット間の比較の両者にとって最も信頼できる手法である(Normalization method for metabolomics data using optimal selection of multiple internal standards, M. Sysi-Aho, M. Katajamaa, L. Yetukuri1 and M. Oresic: BMC Bioinformatics 2007, 8:93(非特許文献3))。しかし、ハイスループットな代謝産物のプロファイリングにおいてそれを実行するのは、次の化学的な多様性のために困難な作業である可能性がある。
i)単一の内部標準を用いることで、広範な化合物に対する有効性を保証する
ii)多数の内部標準の価格および入手可能性、および
iii)特別な分析手順を必要とするマトリックス効果
【0012】
生体サンプルの大量的な代謝産物のプロファイリングにおける他の選択肢は、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)および元のサンプルの誘導体化等の、分離および分子の同定工程を必要とするものである(国際公開第2007/008307号(特許文献2))。データの補正および検証のための方策により、元の代謝産物の誘導体化の後に代謝産物の誘導体の重み付き平均値が求められる。このプロファイリング法において、サンプルを誘導体化剤と混合して誘導体を生成させ、誘導体に対して、誘導体のピーク面積の測定を含む分離−分子同定および定量工程が実行され、対応するピーク面積が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7,277,807号
【特許文献2】国際公開第2007/008307号:Data correction, normalization and validation for quantitative high-throughput metabolomic profiling
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Metabolomics by numbers: acquiring and understanding global metabolite dataR. Goodacre, S. Vaidyanathan, W.B. Dunn, .G. Harrigan and D.B. KellTRENDS in Biotechnology 2004, 22(5) 245-252
【非特許文献2】Normalization Regarding Non-Random Missing Values in High-Throughput Mass Spectrometry DataP. Wang, H. Tang, H. Zhang, J. Whiteaker, A. G. Paulovich, and M. McintoshPacific Symposium on Biocomputing, 2006, 11:315-326
【非特許文献3】Normalization method for metabolomics data using optimal selection of multiple internal standardsM. Sysi-Aho, M. Katajamaa, L. Yetukuril and M. OresicBMC Bioinformatics 2007, 8:93
【非特許文献4】Large-Scale Human Metabolomics Studies: A Strategy for Data (Pre-) Processing and ValidationS. Bijlsma,I. Bobeldijk, E.R. Verheij, R. Ramaker, S. Kochhar, I. A. Macdonald, B. van Ommen and A.K. SmildeAnal. Chem., 2006 78 (2), 567-574
【非特許文献5】A note on normalization of biofluid 1D 1H-NMR dataR.J.O. Torgrip, K.M. Aberg1, E. Alm, I. Schuppe-Koistinen and J. LindbergMetabolomics, 2008 4(2), 114-121
【非特許文献6】Normalization strategies for metabolomic analysis of urine samplesB. M. Warrack, S. Hnatyshyn, K.-H. Ott, M.D. Reily, M. Sanders, H. Zhang, and D.M. DrexlerJournal of Chromatography B, 2009, 877(5-6), 547-552
【非特許文献7】Probabilistic quotient normalization as robust method to account for dilution of complex biological mixtures. Application in 1H NMR metabonomics.F. Dieterle, A. Ross, G. Schlotterbeck, H. SennAnal Chem., 2006, 78(13), 4281-90
【非特許文献8】Preprocessing, classification modeling and feature selection using flow injection electrospray mass spectrometry metabolite fingerprint dataD.P. Enot, W. Lin, M. Beckmann, D. Parker, D.P. Overy and J. Draper Nature Protocols, 2008, 3, 446-470
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
まとめると、従来技術は、目下のところメタボローム解析法において信頼できる標準化法を提示していない。
【0016】
かくして、メタボローム解析法において信頼できる標準化法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、請求項1記載の標準化法および請求項13記載の内因性の参照代謝産物の使用によって達成される。
【0018】
具体的には、本発明は、
ほ乳類被験体の生体サンプルにおける、選択された標的代謝産物の量および/または濃度に対応する強度データを標準化する方法であって、前記強度データは複数の内因性の参照代謝産物を用いたメタボローム解析により得られ、
前記生体サンプルにおける前記選択された標的代謝産物について、少なくとも1つの in vitroでのメタボローム解析を行う工程と、
同一の前記サンプルにおいて、複数の内因性の参照代謝産物またはその誘導体の定量分析を同時に行う工程とを有し、
前記内因性の参照代謝産物は、前記生体サンプル中にほぼ一定の濃度で存在し、
前記内因性の参照代謝産物またはその誘導体は、分子量が1500Da未満であり、
アミノ酸、具体的には、アルギニン、アスパラギン酸、シトルリン、グルタミン酸(グルタミン酸塩)、グルタミン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、オルニチン、プロリン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、チロシン、バリン、キヌレニン、
フェニルチオカルバミルアミノ酸(PTC−アミノ酸)、具体的にはPTC−アルギニン、PTC−グルタミン、PTC−ヒスチジン、PTC−メチオニン、PTC−オルニチン、PTC−フェニルアラニン、PTC−プロリン、PTC−セリン、PTC−トリプトファン、PTC−チロシン、PTC−バリン、
ジメチルアルギニン、具体的には、N,N−ジメチル−L−アルギニン、
カルボン酸、すなわち15(S)−ヒドロキシ−5Z,8Z,11Z,13E−エイコサテトラエン酸[(5Z,8Z,11Z,13E,15S)−15−ヒドロキシイコサ−5,8,11,13−テトラエン酸]、コハク酸(コハク酸塩)、
カルニチン、アシル基に1以上20以下の炭素原子を有するアシルカルニチン、アシル基に3以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上4以下の二重結合を有するアシルカルニチン、アシル基に1以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上3以下のOH基を有するアシルカルニチン、アシル基に3以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上4以下の二重結合および1以上3以下のOH基を有するアシルカルニチン、
リン脂質、具体的には、アシル基に1以上30以下の炭素原子を有するリゾホスファチジルコリン(モノアシルホスファチジルコリン)、アシル基に3以上30以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上6以下の二重結合を有するリゾホスファチジルコリン、
アシル基に合計1以上50以下の炭素原子を有するホスファチジルコリン(ジアシルホスファチジルコリン)、アシル基に合計3以上50以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上8以下の二重結合を有するホスファチジルコリン、
スフィンゴ脂質、具体的には、
アシル鎖に合計10以上30以下の炭素原子を有するスフィンゴミエリン、アシル鎖に合計10以上30以下の炭素原子および1以上5以下の二重結合を有するスフィンゴミエリン、アシル基に合計10以上30以下の炭素原子を有するヒドロキシスフィンゴミエリン、アシル基に合計10以上30以下の炭素原子および(合計)1以上5以下の二重結合を有するヒドロキシスフィンゴミエリン、
プロスタグランジン、すなわち、6−ケト−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンD2、
プトレシン
からなる群より選択され、
前記選択された標的代謝産物の前記検出された強度は、それぞれ前記内因性の参照代謝産物の前記強度と対応している方法に関する。
【0019】
好ましい本発明の方法において、前記標的代謝産物および前記内因性の参照代謝産物の複数の強度(データ)は、数学的前処理、具体的には、対数の適用、一般化対数、べき変換等の変換処理に供される。
【0020】
本発明の好ましい態様において、前記複数の内因性の参照代謝産物の強度を集計して、単一の参照値が得られる。
【0021】
後者の場合において、幾何平均、算術平均、メディアン値、重み付き算術平均値の計算により前記複数の内因性の参照代謝産物の強度が集計され、単一の参照値が得られることが好ましい。
【0022】
好ましくは、線形強度の場合には、個々の標的代謝産物の強度と決定された前記参照値との比を生成してもよく、あるいは、対数強度の場合には、個々の標的代謝産物の強度から、前記決定された参照値を差し引いてもよい。
【0023】
一般に、本発明の目的のためには、前記メタボローム解析法が、質量分析(MS)法、具体的にはマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)法、電子スプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法等のMS技術、必要に応じてMS法と組み合わされた1H−、13C−
および/または31P−核磁気共鳴分光(NMR)法により内因性の代謝産物定量のための強度データを生成する工程と、
分離方法、具体的には液体クロマトグラフィー(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー(GC−MS)またはキャピラリー電気泳動法(CE−MS)と組み合わせたMS技術および/または方法を用いて代謝産物の濃度を決定する工程とを含んでおり、これらの技術は当業者に周知である。
【0024】
本発明の好ましい実施態様は、
15(S)−ヒドロキシ−5Z,8Z,11Z,13E−エイコサテトラエン酸
6−ケト−プロスタグランジンF1α
非対称ジメチルアルギニン
アルギニン
PTC−アルギニン
アスパラギン酸
カルニチン(遊離)
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
デセノイルカルニチン
デカジエノイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
ドデセノイルカルニチン
ドデカンジオイルカルニチン
テトラデカノイルカルニチン
テトラデセノイルカルニチン[ミリストレイルカルニチン]
3−ヒドロキシテトラデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシミリストレイルカルニチン]
3−ヒドロキシテトラデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシテトラデカノイルカルニチン[ヒドロキシミリスチルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
ヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
オクタデカノイルカルニチン[ステアリルカルニチン]
オクタデセノイルカルニチン[オレイルカルニチン]
3−ヒドロキシオクタデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシオレイルカルニチン]
アセチルカルニチン
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
ブテノイルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
イソバレリルカルニチン/2−メチルブチリルカルニチン/バレリルカルニチン
チグリルカルニチン/3−メチル−クロトニルカルニチン
グルタリルカルニチン/ヒドロキシカプロイルカルニチン
グルタリルカルニチン/ヒドロキシカプロイルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
3−ヒドロキシイソバレリルカルニチン/3−ヒドロキシ−2−メチルブチリルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ヘキセノイルカルニチン
ピメリルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
オクテノイルカルニチン
ノナノイルカルニチン[ペラルゴニルカルニチン]
シトルリン
クレアチニン
グルタミン
PTC−グルタミン
グルタミン酸塩
ヒスチジン
PTC−ヒスチジン
キヌレニン
ロイシン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C16:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C16:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:2のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C20:3のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C20:4のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C24:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C6:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
PTC−メチオニン
オルニチン
PTC−オルニチン
合計C24:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C28:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
プロスタグランジンD2
フェニルアラニン
PTC−フェニルアラニン
プロリン
PTC−プロリン
プトレシン
セリン
PTC−セリン
合計C14:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:2のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C22:3のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C26:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C26:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
コハク酸(コハク酸塩)
ジメチルアルギニン全体:ADMAおよびSDMA
トリプトファン
PTC−トリプトファン
チロシン
バリン
PTC−バリン
ロイシンおよびイソロイシン
からなる群より選択される内因性の参照代謝産物にある。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【0025】
さらに、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される統計的な安定性指標に基づいて、安定性を示す代謝産物を前記内因性の参照代謝産物として用いることが特に好ましい。
【0026】
生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される少なくとも2つの統計的な安定性指標に基づいて、安定性を示す代謝産物を前記内因性の参照代謝産物として用い、かつ/または前記内因性の参照代謝産物が、
PTC−アルギニン
カルニチン(遊離)
デセノイルカルニチン
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
ドデセノイルカルニチン
ドデカンジオイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
テトラデカノイルカルニチン
3−ヒドロキシテトラデカノイルカルニチン[ヒドロキシミリスチルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
3−ヒドロキシオクタデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシオレイルカルニチン]
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
3−ヒドロキシイソバレリルカルニチン/3−ヒドロキシ−2−メチルブチリルカルニチン
ヘキセノイルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ピメリルカルニチン
オクテノイルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
グルタミン
PTC−グルタミン
PTC−ヒスチジン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
合計C24:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
フェニルアラニン
PTC−フェニルアラニン
プロリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C14:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:2のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
コハク酸(コハク酸塩)
PTC−トリプトファン
バリン
PTC−バリン
ロイシンおよびイソロイシン
からなる群より選択されることが好ましい。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施態様において、前記選択された内因性の参照代謝産物が、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される少なくとも3つの統計的な安定性指標に基づく安定性を示し、かつ/または前記内因性の参照代謝産物が、
カルニチン(遊離)
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
ドデカンジオイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ピメリルカルニチン
オクテノイルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
グルタミン
PTC−グルタミン
PTC−ヒスチジン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
バリン
PTC−バリン
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【0028】
本発明のさらに好ましい方法は、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される全ての統計的な安定性指標に基づく安定性を示す内因性の参照代謝産物を用い、かつ/またはそのような内因性の参照代謝産物が、特に、合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリンである。
なお、「C42:6」という表現は、アシル基の鎖長を示すものであり、42はアシル基中の全炭素原子数を表し、6はアシル基中の全二重結合数を表す。
【0029】
本発明の範囲内において、前記複数の内因性の参照代謝産物は、2以上80以下、具体的には2以上60以下、好ましくは2以上50以下、望ましくは2以上30以下、より望ましくは2以上10以下、特に望ましくは2以上10以下、さらに好ましくは3以上5以下の内因性の参照代謝産物を含んでいる。
【0030】
本発明の他の実施態様は、分子量が1500Da未満であり、
アミノ酸、具体的には、アルギニン、アスパラギン酸、シトルリン、グルタミン酸(グルタミン酸塩)、グルタミン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、オルニチン、プロリン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、チロシン、バリン、キヌレニン、
フェニルチオカルバミルアミノ酸(PTC−アミノ酸)、具体的にはPTC−アルギニン、PTC−グルタミン、PTC−ヒスチジン、PTC−メチオニン、PTC−オルニチン、PTC−フェニルアラニン、PTC−プロリン、PTC−セリン、PTC−トリプトファン、PTC−チロシン、PTC−バリン、
ジメチルアルギニン、具体的には、N,N−ジメチル−L−アルギニン、
カルボン酸、すなわち15(S)−ヒドロキシ−5Z,8Z,11Z,13E−エイコサテトラエン酸[(5Z,8Z,11Z,13E,15S)−15−ヒドロキシイコサ−5,8,11,13−テトラエン酸]、コハク酸(コハク酸塩)、
カルニチン、アシル基に1以上20以下の炭素原子を有するアシルカルニチン、アシル基に3以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上4以下の二重結合を有するアシルカルニチン、アシル基に1以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上3以下のOH基を有するアシルカルニチン、アシル基に3以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上4以下の二重結合および1以上3以下のOH基を有するアシルカルニチン、
リン脂質、具体的には、アシル基に1以上30以下の炭素原子を有するリゾホスファチジルコリン(モノアシルホスファチジルコリン)、アシル基に3以上30以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上6以下の二重結合を有するリゾホスファチジルコリン、
アシル基に合計1以上50以下の炭素原子を有するホスファチジルコリン(ジアシルホスファチジルコリン)、アシル基に合計3以上50以下の炭素原子を有し、かつアシル基に合計1以上8以下の二重結合を有するホスファチジルコリン、
スフィンゴ脂質、具体的には、
アシル鎖に合計10以上30以下の炭素原子を有するスフィンゴミエリン、アシル鎖に合計10以上30以下の炭素原子および1以上5以下の二重結合を有するスフィンゴミエリン、アシル基に合計10以上30以下の炭素原子を有するヒドロキシスフィンゴミエリン、アシル基に合計10以上30以下の炭素原子および1以上5以下の二重結合を有するヒドロキシスフィンゴミエリン、
プロスタグランジン、すなわち、6−ケト−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンD2、
プトレシンからなる群より選択される複数の化合物またはそれらの誘導体の、メタボローム解析における内因性の参照代謝産物としての使用である。
【0031】
上で述べたように、前記メタボローム解析法は、質量分析(MS)法、具体的にはマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)法、電子スプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法、必要に応じてMS法と組み合わされた1H−、13C−および/または31P−核磁気共鳴分光(NMR)法により内因性の代謝産物定量のための強度データを生成する工程と、
分離方法、具体的には液体クロマトグラフィー(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー(GC−MS)またはキャピラリー電気泳動法(CE−MS)と組み合わせたMS技術および/または方法を用いて代謝産物の濃度を決定する工程とを含んでいる。
【0032】
本発明において、内因性の参照代謝産物として用いることができる特に好ましい化合物は、
15(S)−ヒドロキシ−5Z,8Z,11Z,13E−エイコサテトラエン酸
6−ケト−プロスタグランジンF1α
非対称ジメチルアルギニン
アルギニン
PTC−アルギニン
アスパラギン酸
カルニチン(遊離)
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
デセノイルカルニチン
デカジエノイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
ドデセノイルカルニチン
ドデカンジオイルカルニチン
テトラデカノイルカルニチン
テトラデセノイルカルニチン[ミリストレイルカルニチン]
3−ヒドロキシテトラデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシミリストレイルカルニチン]
3−ヒドロキシテトラデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシテトラデカノイルカルニチン[ヒドロキシミリスチルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
ヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
オクタデカノイルカルニチン[ステアリルカルニチン]
オクタデセノイルカルニチン[オレイルカルニチン]
3−ヒドロキシオクタデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシオレイルカルニチン]
アセチルカルニチン
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
ブテノイルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
イソバレリルカルニチン/2−メチルブチリルカルニチン/バレリルカルニチン
チグリルカルニチン/3−メチル−クロトニルカルニチン
グルタリルカルニチン/ヒドロキシカプロイルカルニチン
グルタリルカルニチン/ヒドロキシカプロイルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
3−ヒドロキシイソバレリルカルニチン/3−ヒドロキシ−2−メチルブチリルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ヘキセノイルカルニチン
ピメリルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
オクテノイルカルニチン
ノナノイルカルニチン[ペラルゴニルカルニチン]
シトルリン
クレアチニン
グルタミン
PTC−グルタミン
グルタミン酸塩
ヒスチジン
PTC−ヒスチジン
キヌレニン
ロイシン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C16:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C16:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:2のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C20:3のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C20:4のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C24:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C6:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
PTC−メチオニン
オルニチン
PTC−オルニチン
合計C24:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C28:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
プロスタグランジンD2
フェニルアラニン
PTC−フェニルアラニン
プロリン
PTC−プロリン
プトレシン
セリン
PTC−セリン
合計C14:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:2のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C22:3のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C26:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C26:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
コハク酸(コハク酸塩)
ジメチルアルギニン全体:ADMAおよびSDMA
トリプトファン
PTC−トリプトファン
チロシン
バリン
PTC−バリン
ロイシンおよびイソロイシン
からなる群より選択される。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【0033】
本発明の他の有利な実施態様は、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される統計的な安定性指標に基づく安定性を示す化合物の内因性の参照代謝産物としての使用である。
【0034】
好ましくは、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される少なくとも2つの統計的な安定性指標に基づく安定性を示す化合物を内因性の参照代謝産物として使用することができ、かつ/またはそのような内因性の参照代謝産物は、
PTC−アルギニン
カルニチン(遊離)
デセノイルカルニチン
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
ドデセノイルカルニチン
ドデカンジオイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
テトラデカノイルカルニチン
3−ヒドロキシテトラデカノイルカルニチン[ヒドロキシミリスチルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
3−ヒドロキシオクタデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシオレイルカルニチン]
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
3−ヒドロキシイソバレリルカルニチン/3−ヒドロキシ−2−メチルブチリルカルニチン
ヘキセノイルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ピメリルカルニチン
オクテノイルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
グルタミン
PTC−グルタミン
PTC−ヒスチジン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
合計C24:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
フェニルアラニン
PTC−フェニルアラニン
プロリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C14:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:2のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
コハク酸(コハク酸塩)
PTC−トリプトファン
バリン
PTC−バリン
ロイシンおよびイソロイシン
からなる群より特に選択される。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【0035】
本発明の他の有利な実施態様は、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される少なくとも3つの統計的な安定性指標に基づく安定性を示す化合物の内因性の参照代謝産物としての使用であり、かつ/または前記内因性の参照代謝産物は、
カルニチン(遊離)
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
ドデカンジオイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ピメリルカルニチン
オクテノイルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
グルタミン
PTC−グルタミン
PTC−ヒスチジン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
バリン
PTC−バリン
からなる群より特に選択される。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【0036】
本発明のさらに好ましい実施態様は、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される全ての統計的な安定性指標に基づく安定性を示す化合物の内因性の参照代謝産物としての使用であり、かつ/または前記内因性の参照代謝産物は、特に、合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリンである。
なお、「C42:6」という表現は、アシル基の鎖長を示すものであり、42はアシル基中の全炭素原子数を表し、6はアシル基中の全二重結合数を表す。
【0037】
さらに、2以上80以下、具体的には2以上60以下、好ましくは2以上50以下、望ましくは2以上30以下、より望ましくは2以上10以下、特に望ましくは2以上10以下、さらに好ましくは3以上5以下の化合物の参照代謝産物としての使用が好ましい。
【0038】
メタボロミクスデータを標準化する優れた方法に対する需要は、決して誇張ではなく、診断分野で必要とされているような、定量的データまたは参照値との比較を必要とする用途においては必須条件である。技術的要因による変動については、試薬の電荷の効果、バッチの効果、希釈効果、組織に添加後の内部標準の再現性のない分布による効果および実験条件における無意識の変動等の多数の原因が存在する。理想的には、標準化により、異なる種類のサンプル、異なる種のサンプル、異なるアッセイ環境、および異なる実験室より得られたサンプル同士の直接比較が可能になる必要がある。さらに、より具体的には、質量分析に関連する未解決の問題には、マトリックスに特異的なシグナルの抑制またはイオンの抑制が含まれており、異なるマトリックス、異なる組織および異なる種を用いて得られたデータの比較にとって有害である。
【0039】
上記の手順を実行して生のシグナルを変換し、データの解析および解釈に適した形式でデータを提示する必要がある。しかし、対照スポットや外部標準サンプルについても、好ましくない変動がデータに混入するおそれがある。実験において、物理的な標準化技術の一部または全部が欠落しているおそれがあり、このような場合には、他の標準化手段を見出すことがより重要である。
【0040】
理論的には、メタボロミクスにおける理想的な内因性の参照物質は、細胞周期、種の異なる細胞間、種々の状態の疾病間、種々の健康状態間、または所望の実験条件間で濃度レベルが変動しない単一または一群の化合物である。さらに、内因性の標準物質(すなわち、内因性の代謝産物である。)がメタボロミクスにおいて有用であるためには、代謝産物のアッセイにおいて、被験代謝産物と参照(または標的)代謝産物の相対存在比が同様であることが非常に重要である。このような分子に関する報告は現在のところなされておらず、これらの分子を定量的多変量メタボロミクスに使用し、質量分析計または定量的または相対的な濃度データを得る任意の他の方法を用いて代謝物レベルを決定する方法についても同様である。
【0041】
外因性の標準物質を添加して用いることには、ユーザーが添加する化合物の添加量を制御でき、サンプル間の変動を小さくできる利点がある。しかし、外因性の標準物質を用いる場合、処理後に解析に供する出発物質または組織の品質の違いを調節することができない。代謝産物の整合性のレベルの違いが、それ以外については同様であるサンプル間に存在すると、外部標準はサンプル間で同程度であるにもかかわらず、抽出収率にはこの変動が反映される。
【0042】
内因性の標準物質については、外部から添加する内部標準と混同すべきではないが、理論上、メタボロミクスの実験における上述の問題の多くを回避することができる。しかし、内因性のハウスキーピング遺伝子の概念は、遺伝子発現およびトランスクリプトミクス分野において既知であったものの、ハウスキーピング代謝産物またはその組み合わせの生成、同定および応用、ならびにこれらの組み合わせの使用については、メタボロミクスにおいて既知ではなく、様々な分野における代謝データの応用に関する多くの研究が存在するにもかかわらず、メタボロミクスにおける対照代謝産物、ハウスキーピング代謝産物、または内因性参照代謝産物の応用に関する報告は未だなされていない。
【0043】
しかし、代謝産物の濃度は、生理的および環境的条件に応じて、栄養状態や食物の摂取量の変動に起因して大幅に変動するため、内因性の化合物または代謝産物を標準化の手段として用いることについては全く可能性がないとの評価が下されている。異なる組織、異なる種、そして言うまでもなく種々の健康状態または異なる疾病に罹患した被験者の間での変動が小さな内因性の化合物の同定の可能性はさらに低く、いかなる場合においても自明ではない。特に、本出願において同定される化合物を内因性の参照代謝産物として使用できることは、当業者にとって驚くべきことである。さらに、実施例において後述する実験結果は、実施例において内因性の参照代謝産物を使用したメタボロミクスの実験は、内因性の参照代謝産物による標準化を使用しない実験と比較して、予測能力の大幅な向上を達成していることも示している。
【0044】
従来技術における障害にもかかわらず、本発明者らは、濃度の変化が最低限であるか「一定の」レベルであり、標準化に使用でき、したがって、疾病に関連する濃度が変化する他の代謝産物の濃度変化の同定、決定、定量化および適用の前提条件である複数の代謝産物の同定が可能であるか否か、およびこれらの参照または対照代謝産物の応用について、診断ツールにおける可変量の代謝産物の決定と共に検討を行った。
【0045】
今回のアプローチにおいて、本発明者らは、内因性の参照代謝産物またはハウスキーパー代謝産物の小集団(subset)が実際に存在し、これらの代謝産物について、濃度分布は、定義された制限内で一定であり、あるいは所定の平均値および標準偏差を有しており、驚くべきことに、それらは任意の具体的なサンプル、被験者の生理的条件、サンプルの処理方法および組織に対して独立であることを示す。
【0046】
したがって、本発明は、メタボロミクスのデータを標準化する一般的な方法および新規な解決策、内因性の参照代謝産物を生成する一般的な方法、内因性の参照代謝産物を使用する方法および内因性の参照化合物および代謝産物の一覧を提供する。
【0047】
本発明の他の目的は、代謝産物およびメタボロミクスのアッセイにおける相対強度データを標準化するための新規な内因性の参照代謝産物の一覧を生成および提供することによる、メタボロミクスのデータの標準化およびデータの応用における、上で概述した問題への対処および解決、これらの標準物質を標準化、ひいては代謝産物の定量および診断に適用する方法である。
【0048】
本発明は、手段は限定されないが、質量分析(MS)、具体的には、MALDI法、ESI法、大気圧化学イオン化(APCI)法および他の方法等のMS技術による内因性の代謝産物の計測、分離法と組み合わされたMS技術または他の方法(LC−MS、LC−NMR、GC−MS、CE−MS)による代謝産物濃度の決定、その後の特徴選択および/または特徴と、少なくとも2つの分子のデータまたは少なくとも2つの同一または異なる分子の分析物のデータ等のクラシファイア(classifier)および異なる被験者、異なる種、異なるサンプリング時間より得られ、異なる実験者によって処理され、変動を伴う実験条件下で得られたこれらのデータの比較との組み合わせにより生成されたメタボロミクスのデータの比較、定量化、ひいては応用に関する解決策を提供する。
【0049】
我々は、一群の内因性の参照代謝産物が、異なる種、異なる組織および処理条件に由来するサンプル間で驚くほどわずかな濃度変動しか示さないことを立証した。さらに我々は、病的状態の評価または診断における応用について示している。
【0050】
このように、本発明は、驚くべきことに、異なる種、動物モデル、健康状態、サンプルの種類、サンプルの処理および実験条件、組織の種類または体液、サンプルの処理およびアッセイ条件に関わりなく殆ど一定のレベルを示す安定した対照代謝産物と共に、個別の生物学的状態に特徴的であり、または個別のそれぞれ疾病、そのような疾病の重篤度およびヒトまたはほ乳類のモデル系におけるそれらの治療に対する応答に関連する代謝産物の、実験条件およびアッセイ環境に依存しない標準化、同定および応用を可能とする内容物の分析的決定方法を提供する。
【0051】
さらに、本発明は、診断、疾病の分類または同定、今後の進展の予測、種々の病態の識別、処方または治療期間の管理、薬物摂取の結果の管理もしくは体内の薬物濃度の変動に伴う結果の管理、または実験条件に起因する内因性の代謝産物の濃度に関するあらゆる結果の管理等のための代謝産物の測定の使用に関する。それは、疾病に関連する代謝の変化を同定および認識し、ひいては、診断および治療モニタリングに応用するための基準点および適切な潜在的価値を提供する。
【0052】
代謝産物の測定の使用は、体液、細胞および組織における代謝産物の濃度の相違を検出または測定できる能力に依存している。解析対象となる代謝産物としては、興味の対象である生物学的な表現型に関連する差異が検出されるものが挙げられる。濃度の異なる1または複数の代謝産物のレベルを、サンプルまたは被験者の細胞、組織または体液中で決定し、次いで、当該1または複数の分析物中の代謝産物の濃度レベルを直接、あるいは複数の分析物について決定する場合には、互いに対比して用いる。後者の場合についての非限定的な一例としては、2つのサンプルの代謝産物の濃度レベルを測定後、一方の測定値の他方に対する相対値として用いる場合が挙げられる。
【0053】
レベルを参照値に対して標準化することにより、細胞、組織、体液間はもとより、異なるサンプルおよび/または起源および異なる実験や異なる測定実験日間での代謝産物レベルの比較の精度が向上する。これは、単一のスケールへの標準化と見なすことができる。これに限定されないが、例えば、複数のプローブを用いるメタボロミクスキットを用いて代謝産物のレベルを決定する際等に標準化を用いると、アッセイ間での、あるいは多穴プレートを用いる場合にはプレート間での直接比較が可能になる。
【0054】
「質量分析法(Mass Spectrometry)」(MS)は、標的分子を断片化し、次いで、質量/電荷比に基づいて各フラグメントの解析を行い、「分子指紋」としての役割を果たす質量スペクトルを生成することを含む、分子の測定および解析技術である。対象物の質量/電荷比の決定は、対象物によって吸収される電磁エネルギーの波長を決定する手段によって行われる。イオンの質量/電荷比の決定に通常用いられる方法には数種類があり、イオンの軌道と電磁波の相互作用を計測するものもあれば、所定の距離をイオンが移動するのに要する時間を計測するものもあり、あるいは両者を組み合わせたものもある。これらのフラグメントの質量の測定データについてデータベース検索を行い、標的分子について信頼性の高い同定結果を得ることができる。質量分析法は、化学の他の分野、特に石油化学または医薬品の品質管理でも広く用いられている。
【0055】
「イオン(ion)」は、原子に電子を加え、あるいは原子から電子を除去することにより生成される電荷を帯びた物体である。
【0056】
「質量スペクトル」は、質量分析計により生成されたデータのプロットであり、通常、x軸にm/z値、y軸に強度を含んでいる。「m/z」という用語は、イオンの質量数をその絶対電荷数で除して得られる無次元量を意味する。それは長い間「質量電荷比」と呼ばれている。
【0057】
本明細書で用いる場合において、「代謝産物(metabolite)」という用語は、細胞、生体、組織、または体液中および上述の供給源の抽出物中に存在し、分子量が通常1500ダルトン未満の内因性の有機化合物を意味する。代謝産物の典型例としては、炭水化物、脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質およびスフィンゴリン脂質、アミノ酸、コレステロール、ステロイドホルモンおよび酸化ステロール、およびヒト代謝産物データベース(Human Metabolite database)[Wishart DS et al., HMDB: the Human Metabolome Database. Nucleic Acids Res. 2007 Jan;35(Database issue):D521-6 (http://www.hmdb.ca/ 参照)]ならびに他のデータベースおよび文献に収録されたもの等の他の化合物が挙げられる。これには、代謝または代謝過程で産生された全ての物質および代謝に関与する全ての物質が含まれる。
【0058】
「代謝(metabolism)」という用語は、生体の組織内で起こる化学変化を意味し、「同化作用」および「異化作用」が含まれる。同化作用は、生合成または分子の形成を意味し、異化作用は、分子の分解を意味する。
【0059】
本発明の範囲内で了解される「メタボロミクス」とは、質量分析法、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーおよび他の分離法によるクロマトグラフィーと組み合わされた質量分析法または核磁気共鳴分光法(NMR)等の方法が挙げられるが、それらに限定されず、数多くの種類(2000種類)の代謝産物の網羅的な定量的測定を意味する。
【0060】
マトリックスとは、体液(血漿、血液)、種々の組織(脳および肝臓等)、植物由来の根に対する葉のような生体の異なる部位等の、解析または処理の対象となるサンプルの種類を意味する。異なるマトリックスには、ヒト血漿に対するラット血漿のような、起源が異なるが同種の組織または体液も含まれる。
【0061】
本発明において、バイオマーカーとは、生物学的過程、発病過程、または病的状態もしくは関連する治療に関連する治療的介入に対する応答の指標として測定または評価された、少なくとも1つの代謝産物のデータを含む特性である。本発明で用いられる複合バイオマーカーは、少なくとも2つの低分子量の内因性の分子および代謝産物から選択することができる。
【0062】
分析物とは、分析対象となる化学物質または化合物の混合物を意味する。分析手法(質量分析法)において、二重結合の位置、コンフィギュレーションの異なる構造異性体(リン脂質またはトリグリセリドにおける脂肪酸残基の位置等)といった構造を区別する能力が限られているため、1つの分析物は、形式上2以上の代謝産物を含んでいてもよい。
【0063】
ハウスキーピング代謝産物(または分析物)、参照(または対照)代謝産物という用語は、本発明において交換可能であり、生理的条件、健康状態が異なり、あるいは様々な治療もしくは前治療を受けた種々の被験者由来の種々のデータを比較した場合に、それぞれのサンプル間での量および濃度レベルの変動が小さな代謝産物および分析物を意味する。したがって、対照、参照またはハウスキーピング代謝産物は、それぞれのサンプル間での濃度の変動が最小限である代謝産物であり、したがって、内因性の参照代謝産物として使用可能である。したがって、これらの内因性の参照代謝産物を用いて、メタボロミクスにおける技術的な設定、サンプルの取り扱い、実験処理およびランダムな変動に関連するばらつきを相殺することができる。
【0064】
内因性の参照代謝産物は、好ましくは、統計的に有意なレベルで(例えば、p値が0.05未満であり、かつ/またはq値が0.05未満である。)存在量が異なっている。仮死に特有の内因性の参照代謝産物の例については、下記の詳細な説明および実施例において述べる。
【0065】
本明細書で用いられる場合において、「疾病に特異的な内因性の参照代謝産物」という用語は、疾病にかかっていない生体と比較した疾病にかかっている生体において、存在量が異なり、または濃度が異なる代謝産物を意味する。例えば、「仮死に特異的な内因性の参照代謝産物」という用語は、仮死状態にない生体と比較した仮死状態の生体において、同じ濃度で存在し、変動の少ない代謝産物を意味する。
【0066】
本明細書で用いられる場合において、「標的代謝産物」という用語は、例えば、疾病にかかっていない生体と比較した疾病にかかっている生体、治療中でない生体と比較した治療中の生体等の種々の条件下または種々の治療の下において、存在量が異なり、または濃度が異なる代謝産物を意味する。例えば、「仮死に特異的な代謝産物」とは、仮死状態にない生体と比較した仮死状態にある生体において、存在量が異なり、または濃度が異なる代謝産物を意味する。
【0067】
本明細書および特許請求の範囲において、「サンプル」という用語は、最も広義に用いられている。一方で、この用語は、標本または培養物を包含する。他方、この用語は、生体または環境サンプルを包含している。サンプルには、合成物由来の標本も含まれる。
【0068】
生体サンプルは、ヒトを含む動物、体液、固形物(糞便等も含む)または組織と共に、酪農製品、野菜、肉および肉の副製品および廃棄物等の液状または固形食品および飼料製品および原料であってもよい。生体サンプルは、有蹄動物、クマ、魚類、齧歯類等を含むがそれらに限定されない、家畜および野生動物に属する種々の属の全てに由来するものであってもよい。
【0069】
生体サンプルは、上述のバイオマーカーの検出に好適な任意の生体物質を含んでいてもよく、被験者に由来する細胞物質および/または非細胞物質を含んでいてもよい。サンプルは、例えば、組織、血液、血漿、尿または脳脊髄液(CSF)、植物抽出液または加工された生体物質(食品等)の任意の好適な生体組織または液体から単離することができる。
【0070】
本明細書で用いられる場合において、「細胞」という用語は、インビトロまたはインビボのいずれにあるかを問わず、任意の真核細胞および原核細胞(例えば、大腸菌、酵母細胞等の細菌細胞、ほ乳類細胞、は虫類細胞、両生類細胞、植物細胞、魚類細胞および昆虫細胞)を意味する。
【0071】
本明細書で用いられる場合において、「検出する」、「検出」または「検知」という用語は、発見または洞察についての一般的行動、あるいは検知可能な標識を有しまたは標識されていない組成物の特異的な観測の両者を表す。
【0072】
標準化:本発明において了解される標準化とは、技術的な変動要因を低減または除去することにより、異なる実験のメタボロミクスデータを比較可能にする手順を意味する。このような種類の比較解析において、標準化は、単離技術、初期の定量化の誤差、前述の化学的または酵素的修飾についてのチューブ毎の変動および他の実験的なばらつきにおける変動を相殺するために非常に重要である。
【0073】
本発明の方法の概略は、下記に示すとおりである。
【0074】
【表1】

【0075】
第1に、被験者または生体から生体サンプルを得る。
【0076】
第2に、生体サンプルより生体分子の量の測定を行い、データベースまたは任意の電子装置に生データとして保存する。
【0077】
第3に、データベース中の生データを前処理する。この工程は任意的なものであるが、以下の解析のために対数変換したデータが用いられることが多く、ここで、対数変換は、変動を安定化し、少なくとも近似的に正規分布したデータを得るために用いられる。もちろん、Box−Coxべき変換[Box G.E.P. and Cox D.R. (1964) An analysis of transformations (with discussion). Journal of the Royal Statistical Society B, 26, 211-252.]、分散安定化標準化法(VSN)[Huber W., von Heydebreck A., Sueltmann H., Poustka A., Vingron M. (2002). Variance stabilization applied to microarray data calibration and to the quantification of differential expression. Bioinformatics 18 Suppl.1 S96-S104.]もしくは分散安定化変換法(VST)[Lin S.M., Du P., Huber W., Kibbe, W.A. (2008). Model-based variance-stabilizing transformation for Illumina microarray data. Nucleic Acids Research, Vol. 36, No. 2 e11.]による一般化された対数変換、または本工程におけるマイクロアレイの標準化について周知の他の標準化法等の他の変換法を用いてもよい。アフィメトリックス(Affymetrix)社のマイクロアレイデータについての標準化法の比較検討については、Copeら(2004年)[L.M. Cope et al. (2004). A Benchmark for Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 20(3):323-331]、またはIrizarryら(2006年)[R.A. Irizarry et al. (2006). Comparison of Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 22(7):789-794]によって報告されている。
【0078】
第4に、少なくとも1つの最も安定な代謝産物をハウスキーピング代謝産物として選抜するが、ここで、安定性は、変動係数、標準偏差、ペアワイズ変動、グループ間またはグループ内変動等を用いて定義づけられる。技術的な変動要因は分析物の種類毎に異なっているため、この選別工程の間にサンプルの分類を行うことができる。
【0079】
第5に、選別されたハウスキーピング代謝産物を用いて標的代謝産物を標準化する。生データまたは前処理データにおける濃度比または濃度差を考慮することにより行うことができる。2以上のハウスキーピング代謝産物が存在する場合、幾何平均、算術平均、メジアン、または他の集計法を用いて、これらの代謝産物の生または前処理後の濃度を集計することができ、標的代謝産物の濃度をこの集計された参照値に関連づけることができる。分析物の種類毎に異なるハウスキーピング代謝産物を用いて、標準化においてサンプルの種類を考慮に入れることもできる。
【0080】
第6に、ハウスキーパーを用いて標準化した標的代謝産物の濃度を、単変量または多変量検定、回帰分析または分類分析等の統計解析に用いる。
【0081】
本発明は、質量分析法(MS)、具体的にはMALDI法、ESI法、大気圧化学イオン化(APCI)法等のMS技術および他の方法であるがそれらに限定されない方法を用いた内因性の代謝産物の定量、分離方法、具体的には液体クロマトグラフィー(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー(GC−MS)またはキャピラリー電気泳動法(CE−MS)と組み合わせたMS技術および/または方法を用いた代謝産物の濃度の決定、その後の特徴選択および/または特徴と、少なくとも2つの分子のデータまたは少なくとも2つの同一または異なる分子の分析物のデータ等のクラシファイア(classifier)および異なる被験者、異なる種、異なるサンプリング時間より得られ、異なる実験者によって処理され、変動を伴う実験条件下で得られたこれらのデータの比較との組み合わせにより生成されたメタボロミクスのデータの比較、定量化、ひいては応用に関する解決策を提供する。
【0082】
参照分析物の濃度を用いて、実験条件、疾病、病的状態、前治療、治療、治療制御および予後に応じて変動する他の分析物の種々の濃度を決定してもよい。
【0083】
「内因性の参照代謝産物」または「内因性の参照分析物」は、実験条件にかかわらずレベルが一定である代謝産物を意味し、参照代謝産物に対する標的代謝産物の相対値は、標準値として特定の病的状態、表現型またはその欠如と共に、複数の病的状態、表現型またはその欠如の指標として用いることができる。
【0084】
本発明の目的のためには、内因性の参照代謝産物の安定性とは、
CVが<0.50、<0.25、<0.10、<0.05であり、かつ/または
SDが<1.0、<0.5、<0.25、<0.10(対数スケール)であり、かつ/または
M値が<0.5、<0.25、<0.10、<0.05であり、かつ/または
ρ値が<0.5、<0.25、<0.10、<0.05であることを意味する。
【0085】
内因性の参照代謝産物の参照レベルは、代謝産物の絶対的または相対的な量または濃度、代謝産物の量または濃度の範囲、代謝産物の量または濃度の平均値、および/または代謝産物の量または濃度のメジアン値であってよく、さらに、複数の参照代謝産物の「参照値」も、2以上の代謝産物のそれぞれについての絶対的または相対的な量または濃度の比または分類によって得られる集計値/スコアであってもよい。
【0086】
特定の病的状態、表現型またはその欠如についての内因性の参照代謝産物の適切な参照レベルは、1以上の適切な被験者における所望の代謝産物のレベルを測定し、内因性の参照代謝産物のレベルと比較することにより決定することができる。代謝産物のレベルおよび内因性の参照代謝産物の参照レベルを、被験者の特定集団に合わせてもよい(例えば、特定の年齢の被験者に由来するサンプル中の代謝産物レベル、および特定の年齢層における特定の病的状態、表現型またはその欠如に対する内因性の参照代謝産物レベル同士の比較が可能にするために、レベルを年齢に適合させてもよい。)。このような代謝産物のレベルおよび参照代謝産物の参照レベルを、生体サンプル中の代謝産物レベルの測定に用いた特定の技術(例えば、LC−MS、GC−MS、ELISA、酵素試験等)に適合させてもよく、代謝産物のレベルまたは参照代謝産物のレベルは、用いた特定の技術により異なる可能性がある。
【0087】
本発明のさらなる特徴および利点は、実施例および添付された図面により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1による子ブタのデータについての対数に変換した分析物の濃度の平均値−標準偏差プロットを示す。
【図2】対数変換を行った子ブタのデータおよび対数変換後にハウスキーパーによる標準化を行った子ブタのデータについての、仮死の開始時と仮死の終了時の比較のために有意な分析物のベン図を示す。
【図3】対数変換を行った子ブタのデータおよび対数変換後にハウスキーパーによる標準化を行った子ブタのデータについての、仮死の終了時と蘇生の終了時の比較のために有意な分析物のベン図を示す。
【図4】対数変換を行った子ブタのデータおよび対数変換後にハウスキーパーによる標準化を行った子ブタのデータについての、仮死の開始時と蘇生の終了時の比較のために有意な分析物のベン図を示す。
【図5】実施例2によるヒツジ血漿のデータについての対数に変換した分析物の濃度の平均値−標準偏差プロットを示す。
【図6】対数変換を行ったヒツジのデータおよび対数変換後にハウスキーパーによる標準化を行ったヒツジのデータについての、有意な治療効果を示した分析物の数のベン図を示す。
【図7】対数変換を行ったヒツジのデータおよび対数変換後にハウスキーパーによる標準化を行ったヒツジのデータについての、有意な時間ポイント数を有する分析物の数のベン図を示す。
【図8】対数変換を行ったヒツジのデータおよび対数変換後にハウスキーパーによる標準化を行ったヒツジのデータについての、治療と時間ポイント数との間に有意な相互作用が存在する分析物の数のベン図を示す。
【図9】実施例3によるラット脳のデータについての対数に変換した分析物の濃度の平均値−標準偏差プロットを示す。
【図10】ハウスキーパーによる標準化を行ったラットの生データについての、3つの群(手術群、疑似手術群、対照群)の少なくとも1つにおいて有意な差が存在する分析物の数のベン図を示す。
【図11】実施例4によるヒト血漿のデータについての対数に変換した分析物の濃度の平均値−標準偏差プロットを示す。
【図12】対数変換後にハウスキーパーによる標準化を行ったヒトのデータについての、3つの群(肺炎群、混合性敗血症群、対照群)の少なくとも1つにおいて有意な差が存在する分析物の数のベン図を示す。
【実施例】
【0089】
以下の実施例は、本発明のある好ましい実施態様および態様を示すためのものであり、その範囲を制限するように解釈されるべきではない。
【0090】
分析全般
サンプルの調製およびメタボローム解析は、オーストリア、インスブルックのBIOCRATES Life Sciences AGで行った。血漿および脳サンプル中の広範な中間体、すなわち、アシルカルニチン、スフィンゴミエリン、ヘキソース、グリセロリン脂質、アミノ酸、生体アミン、胆汁酸、エイコサノイドおよび低分子量の有機酸(エネルギー代謝)、オキシステロールの同時定量には、フローインジェクション分析(FIA)−MS/MSおよびLC−MS/MSからなる、マルチパラメトリックで、高信頼性の、高感度高スループット標的メタボロミクス環境を使用した。全ての手順(サンプルの取り扱い、分析操作)は、グループと接触のない共同研究者により実施された。
【0091】
サンプルの調製
血漿および血清サンプルの調製は定法により行った。
脳のサンプルを氷上で1時間かけて解凍後、組織サンプルにリン酸緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水、0.1μmol/L、Sigma Aldrich(オーストリア、ウィーン))を3:1(w/v)の比率で加えた後、Potter S ホモジナイザー(Sartorius(ドイツ、ゲッティンゲン))を用いて、9gを氷上で1分間かけてホモジナイズした。全サンプルについて1バッチで同時に解析できるようにするために、サンプルを再度凍結(−70℃)し、解析を行う日に氷上で解凍(1時間)後、加速度18000G、2℃で5分間遠心分離した。自動酸化による人為的なプロスタグランジンの生成を防ぐために、全てのチューブを0.001%BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン、Sigma Aldrich(オーストリア、ウィーン))で処理した。
【0092】
アシルカルニチン、スフィンゴミエリン、ヘキソース、グリセロリン脂質(FIA−MS/MS)
脳のホモジネートおよび血漿中のアシルカルニチン、スフィンゴミエリンおよびグリセロリン脂質の濃度を決定するために、メーカーのプロトコールの記載にしたがって、AbsoluteIDQ kit p150 (Biocrates Life Sciences AG)を調製した。要約すると、脳のホモジネート10μLを、上側の96ウェルプレートのフィルターの中心に加え、窒素エバポレーター(VLM laboratories)を用いてサンプルを乾燥した。次いで、誘導体化のために、フェニルイソチオシアネートの5%溶液20μLを加えた。インキュベーション後、エバポレーターを用いてフィルター上のスポットを再度乾燥した。5mMの酢酸アンモニウムのメタノール溶液300μLを用いて代謝産物を抽出した。下側の96ウェルプレートへの遠心分離を行い、次いでMS用ランニング溶媒600μLで希釈する工程により抽出物を得た。質量分析は、電子スプレーイオン化源(ESI)を備えたAPI4000 QTrap(登録商標)タンデム質量分析装置(Applied Biosystems/MDS Analytical Technologies)を用い、AbsoluteIDQキットに添付された分析取得方法を用いて行った。全ての測定について、20μLのインジェクションに、続けて2度(1度はポジティブモード分析用で、もう1度はネガティブモード分析用)標準的なFIA−MS/MS法を適用した。MetIQソフトウェア(Biocrates Life Sciences AG)に組み込まれたスペクトル解析アルゴリズムを用いた定量化のために、多重反応モニタリング(MRM)検出法を用いた。内部較正法を用いて得られた148種の代謝産物の濃度値(別の方法で得られたアミノ酸以外の全てについて、メタボロミクスキットを用いて決定された)を出力し、総合的な統計解析に供した。
【0093】
アミノ酸、生体アミン(LC−MS/MS)
アミノ酸および生体アミンの定量分析には、逆相LC−MS/MSを用い、外部標準法または内部標準法により行われる個別の定量のために、クロマトグラフィーによるアイソバリックな(同一のMRMイオン対)代謝産物の分離を行った。後述するサンプルの調製手順を用いた分析には、10μLの体積のサンプル(血漿、脳のホモジネート)が必要である。96ウェル ソルビナートプレート(内部標準を加え、使用前に窒素下で乾燥させた)に置いたフィルタースポットにサンプルを加え、96深穴プレート(キャプチャープレート)上に固定した。5%フェニルイソチオシアネート誘導体化試薬20μLを加えた。インキュベーション後、水性メタノールを用いて、誘導体化したサンプルをキャプチャープレート中に抽出した。API4000 QTrap(登録商標)タンデム質量分析装置(Applied Biosystems/MDS Analytical Technologies)を用いて、ポジティブMRM検出モードのLC−ESI−MS/MSで、サンプル抽出物の分析を行った。分析により得られた個々の代謝産物の濃度(Analyst 1.4.2ソフトウェア、Applied Biosystems)を出力し、総合的な統計解析に供した。
【0094】
胆汁酸(LC−MS/MS)
MRMネガティブモードでの高選択性逆相LC−MS/MS法を用いて、血漿サンプル中の胆汁酸の濃度を決定した。高スループット分析に非常に好適な96ウェルプレートを用いた乾燥フィルタースポット法により、サンプルを抽出した。高精度の定量化のために、内部較正法および外部較正法を用いた。要約すると、内部標準およびフィルタースポット上に載せた20μLの体積のサンプルを水性メタノールで抽出し、同時にタンパク質を沈殿させた。API4000 QTrap(登録商標)タンデム質量分析装置(Applied Biosystems/MDS Analytical Technologies)を用いて、LC−ESI−MS/MSで、これらのサンプル抽出物の測定を行った。Analyst 1.4.2ソフトウェア(Applied Biosystems)で胆汁酸のデータの定量化を行い、最後に出力し、総合的な統計解析に供した。
【0095】
プロスタノイド、酸化脂肪酸(LC−MS/MS)
プロスタグランジン(PG)、トロンボキサン(TX)およびプロスタサイクリンの総称であるプロスタノイドおよび酸化脂肪酸代謝産物の分析には、血漿抽出物中のものについてはLC−ESI−MS/MS[Unterwurzacher at al. Clin Chem Lab Med 2008; 46 (11):1589-1597]により、脳のホモジネート中のものについてはオンライン固相抽出(SPE)−LC−MS/MS[Unterwurzacher et al. Rapid Commun Mass Specに投稿中]により、MRMネガティブ検出モードのAPI4000 QTrap(登録商標)タンデム質量分析装置(Applied Biosystems/MDS Analytical Technologies)を用いて行った。サンプルの調製方法は、両者共同様であった。要約すると、96ウェルプレート中のフィルタースポットに内部標準を混合し、血漿または脳のホモジネート20μLを加え、水性メタノールで抽出後、個々の抽出物について分析を行った。Analyst 1.4.2ソフトウェア(Applied Biosystems)でプロスタノイドおよび酸化脂肪酸のデータの定量化を行い、最後に出力し、総合的な統計解析に供した。
【0096】
エネルギー代謝(有機酸)(LC−MS/MS)
エネルギー代謝中間体(解糖系、クエン酸回路、ペントースリン酸経路、尿素サイクル)の定量分析のために、高選択性ネガティブMRM検出モードの親水性相互作用液相クロマトグラフィー(HILIC)−ESI−MS/MS法を用いた。API4000 QTrap(登録商標)タンデム質量分析装置(Applied Biosystems/MDS Analytical Technologies)を用いて、MRM検出を行った。水性メタノールを用いて、20μLの体積のサンプル(血漿、脳のホモジネート)のタンパク質の沈殿および抽出を、96ウェルプレート中で同時に行った。高精度の定量化のために、内部標準法(内部標準に対する外部標準の比)および外部較正法を用いた。Analyst 1.4.2ソフトウェア(Applied Biosystems)でデータの定量化を行い、最後に出力し、総合的な統計解析に供した。
【0097】
詳細な実験手順
メタボロミクスデータの解析には多くの可能性が存在するため、最も安定な分析物の選抜のためにいくつかの戦略を採用した。一方で、我々は変動係数(CV)および標準偏差(SD)に基づく直接的なアプローチを用いて選抜を行った。他方、我々は、リアルタイム定量的RT−PCR法で用いられているアルゴリズムを採用し、メタボロミクスの分野でもこれらの方法が有用であることを示した。リアルタイム定量的RT−PCR法の枠組みにおいて、標準化のためのハウスキーピング遺伝子の使用は十分に確立されており、ハウスキーピング遺伝子(参照遺伝子)の選抜のために用いることができる方法は多数存在し、Vandesompeleらによる論文(2009年)を参照されたい[Vandesompele J., Kubista M. and Pfaffl M.W. (2009). Reference Gene Validation Software for Improved Normalization.: Real-Time PCR: Current Technology and Applications. Caister Academic Press. Editor: Logan J., Edwards K. and Saunders N.所収]。
【0098】
ハウスキーピング分析物の選抜後、第2工程として、ハウスキーピング分析物によるメタボロミクスデータの標準化が有効であり、統計解析の能力を向上させることを示す。
【0099】
【表2−1】

【0100】
【表2−2】

【0101】
【表2−3】

【0102】
【表2−4】

【0103】
【表2−5】

【0104】
【表2−6】

【0105】
【表2−7】

【0106】
【表2−8】

【0107】
【表2−9】

【0108】
【表2−10】

【0109】
【表3−1】

【0110】
【表3−2】

【0111】
【表3−3】

【0112】
【表3−4】

【0113】
【表3−5】

【0114】
【表3−6】

【0115】
【表3−7】

【0116】
表1aおよび表1bは、解析の対象となった標的代謝産物、および以下の表でも用いられるそれぞれの略号の一覧であり、グリセロリン脂質については、グリセロール基中のエステル基(a)またはエーテル基(e)の存在でさらに区別してあり、2文字(aa、eaまたはee)のものについては、グリセロール骨格の1位および2位が脂肪酸残基に結合していることを示し、1文字(aまたはe)のものについては、1つの脂肪酸残基のみとの結合を示している。例えば、PC_ea_33:1は、2つの脂肪酸側鎖が33個の炭素原子を有し、それらの一方に二重結合が1つ存在するプラズマローゲンホスファチジルコリンを示している。化合物の表記の末尾に存在する「.K1」または「.K2」は、本出願人による内部的な表記であって、化学的な意味はない。
【0117】
1.仮死
子ブタを仮死状態にした。新生児仮死を「模倣」するため、子ブタを8%酸素で換気することで、全身を低酸素状態にし、CO2を加えて高炭酸血症にした。高炭酸性低酸素症の結果として生じる低血圧症を利用して、虚血障害を起こさせた。
【0118】
実験手順:
実験プロトコールについては、国立動物研究公社(National Animal Research Authority、NARA)の承認を受けた。動物の飼育および取り扱いは、実験動物の使用に関する欧州ガイドライン(Guidelines for Use of Experimental Animals)に準拠して行った。実験プロトコールについては、ノルウェイ動物研究審議会(The Norwegian Council for Animal Research)の承認を受けた。動物の飼育および取り扱いは、FELASA(欧州連合実験動物化学協会)の認証を受けた実験動物の使用に関する欧州ガイドライン(Guidelines for Use of Experimental Animals)に準拠して行った。32頭の新生Noroc (LYxLD)ブタ(生後12〜36時間)を研究に用いた。さらに、全ての手順を通して、6頭の新生ブタからなる対照群を用意した。
【0119】
外科的処置および麻酔
セボフルラン5%(Sevoran、Abbott)を投与することにより麻酔状態に誘導した。耳静脈にカニューレを挿入し、子ブタにペントバルビタールナトリウム15mg/kgおよびフェンタニール50μg/kgを急速静注により血管内投与した。子ブタに経口挿管し、仰臥させ、滅菌のために洗浄した。IVAC P2000点滴ポンプにより各薬剤を供給することにより、フェンタニール(50μg/kg/h)およびミダゾラム(0.25mg/kg/h)を混合物として1mL/kg/h連続点滴し、麻酔状態を維持した。必要な場合(振戦、人工呼吸器へのトリガー、四肢の受動運動により評価される音の増大、血圧および/または心拍数の増大として定義される投薬が必要な場合)には、フェンタニール(10μg/kg)、ミダゾラム(1mg/kg)、またはペントバルビタール(2.5mg/kg)を急速静注した。低酸素症までの間、蘇生開始後15分経過時から実験終了までの間、連続的な静脈内点滴(Salidex:生理食塩水0.3%およびグルコース3.5%、10mL/kg/h)を行った。
【0120】
圧力を制御したベンチレーター(Babylog 8000+; Draegerwerk、ドイツ、リューベック)で子ブタの換気を行った。最大吸気圧または換気速度を制御することにより、通常換気(動脈内二酸化炭素圧(PaCO2)4.5〜5.5kPa)および1回換気量6〜8mL/kgとした。換気速度は、毎分15〜40呼吸であった。実験期間中、0.4秒の吸気時間および4.5cm H2Oの呼吸終末陽圧を一定に維持した。吸気中のO2分圧および呼気終末のCO2を連続的に監視した(Datex Normocap Oxy; Datex、フィンランド、ヘルシンキ)。
【0121】
左大腿動脈にポリエチレン製のカテーテル(Porex PE-50、内径0.58mm、Porex Ltd Hythe、英国ケント州)を挿入した。BioPac systems MP150-CEを用いて、左大腿動脈における平均動脈血圧(MABP)を連続的に測定した。電気毛布および放射加熱灯を用いて、直腸温を38.5〜39.5℃に保持した。手術後1時間安定させた。実験の終了時に、子ブタに150mg/kgのペントバルビタールを血管内に過剰投与した(15分後(30 Gr 3の場合)および60分後に眼球を摘出した)。
【0122】
実験プロトコール
平均動脈血圧20mmHgまたは塩基過剰(BE)−20mMのいずれかに達するまで8%O2を含むN2で換気し、低酸素症を発症させた。低酸素症の間に、PaCO2が8.0〜9.5kPaになるまでCO2を加え、擬似的な周産期仮死とした。蘇生を開始する前に、子ブタを無作為抽出してグループ分けし、21%または100%酸素で15分間蘇生させ、次いで室内空気で45分間換気し(グループ1および2)、または100%酸素を60分間与えた(グループ3)。酸素の再投与の開始後、子ブタを炭酸正常状態(PaCO2 4.5〜5.5kPa)に保持した。実験全般を通して、血圧、酸素飽和度、脈拍、体温および血液ガス測定を連続的に実施した。定常時および終了時に、HemoCue Hb 201+ (HemoCue AB, スウェーデン、アンゲルホルム)を用いてヘモグロビンの測定を行った。Blood Gas Analyzer 860 (Ciba Corning Diagnostics、米国マサチューセッツ州、ミドフィールド)を用いて、実験の全期間を通して温度補正した動脈の酸/塩基状態およびグルコースの測定を行った。低酸素状態の開始前、低酸素状態の終了時および酸素の再投与開始後60分の時間ポイントで、メタボロミクス用の血液サンプルを採取し、Biocratesのプロトコールにしたがって取り扱った。常法にしたがって血漿または血清を調製し、分析に供するまで−70℃で保存した。大腿動脈から採取した血液サンプルは全て、吸引した体積の1.5倍容の生理食塩水で置換した。低酸素状態を終了後1時間経過時に、実験動物にペントバルビタールを血管内に過剰投与(150mg/kg)した。研究スタッフおよび実験室のメンバーは、蘇生時に投与された酸素濃度について知らされていなかった。
【0123】
LC−MS/MSによる生体サンプル中のオキシステロールの決定および定量
【0124】
オキシステロールは、HPLC−タンデム質量分析計(HPLC−API−MS/MS)により、多重反応モード(MRM)を用い、ポジティブ検出モードで決定した。
【0125】
サンプル20μLと、較正剤または内部標準との混合物をキャプチャープレートに取り、アセトニトリル200μLを加えてタンパク質を沈殿させ、遠心分離した。適当な上澄み液180μLを7mmのフィルタースポットを有する新しいフィルタープレート上に移し、窒素気流下で乾燥させた。KOHの0.35M 95%エタノール溶液100μLを加え、分析物を加水分解した後、暗所で2時間インキュベーションした。反応混合物を乾燥後、水200μLで3回洗浄した。90%水性MeOH100μLで、オキシステロールを抽出した。抽出したサンプル20μLを、HPLC−MS/MSシステムに注入した。クロマトグラフィーによる分離および検出は、Zorbax Eclipse XDB C18、150×2.0mm、3.5μmHPLC-カラム、流速0.3mL/分、次いでAPI4000タンデム質量分析計での電子スプレーイオン化を用いて行われた。定量化には、Applied Biosystems の Analyst Quantification ソフトウェアを用いた。
【0126】
ハウスキーピング分析物の選抜
32頭の子ブタのそれぞれについて、SA(仮死開始時)、EA(仮死終了時)およびER(蘇生終了時)の時間ポイントにおけるデータを使用した。
【0127】
第1のステップにおいて、我々は生データを用い、平均値に対する標準偏差(SD)の比で定義される、すなわち、CV=SD/平均値である、変動係数(CV)により分析物を整列させた。表2には、分析物の上位20種をCVの小さい順に示している。さらに、SDおよび濃度の生データの平均値も示している。
【0128】
【表4】

【0129】
さらに解析を行うに当たっては、対数変換された分析物の濃度がよく用いられており、対数変換は、変動を安定化させ、少なくとも近似的に正規分布したデータを得るために用いられているため、我々は、第2のステップにおいて、対数変換されたデータについて、平均値およびSDの計算を行った。もちろん、Box−Coxべき変換[Box G.E.P. and Cox D.R. (1964) An analysis of transformations (with discussion). Journal of the Royal Statistical Society B, 26, 211-252.]、分散安定化標準化法(VSN)[Huber W., von Heydebreck A., Sueltmann H., Poustka A., Vingron M. (2002). Variance stabilization applied to microarray data calibration and to the quantification of differential expression. Bioinformatics 18 Suppl.1 S96-S104.]もしくは分散安定化変換法(VST)[Lin S.M., Du P., Huber W., Kibbe, W.A. (2008). Model-based variance-stabilizing transformation for Illumina microarray data. Nucleic Acids Research, Vol. 36, No. 2 e11.]による一般化された対数変換、または本工程におけるマイクロアレイの標準化について周知の他の標準化法等の他の変換法を用いてもよい。アフィメトリックス(Affymetrix)社のマイクロアレイデータについての標準化法の比較検討については、Copeら(2004年)[L.M. Cope et al. (2004). A Benchmark for Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 20(3):323-331]、またはIrizarryら(2006年)[R.A. Irizarry et al. (2006). Comparison of Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 22(7):789-794]によって報告されている。図1は、対数への変換による変動の安定化が有効であるが完璧ではないことを示している。結果的に、対数に変換した濃度の平均値が低いほど、SDも小さくなる傾向がある。我々は、SDに関して変動が最も小さくなる分析物を探しているため、対数に変換した濃度を3つの部分(low、medium、high)に区分して、低濃度の分析物のみが得られることを回避した。分析物について、濃度の平均値が0.5未満(log2濃度の平均値が<1)である場合、低濃度(low)に、濃度の平均値が0.5〜4(log2濃度の平均値が−1〜2)である場合、中程度の濃度(medium)に、濃度の平均値が4よりも大きい(log2濃度の平均値が>2)場合、高濃度(high)に分類した。その結果、図1に示すように、3つのほぼ同じ大きさのグループが得られた。もちろん、グループの選び方にはかなり任意性があり、他のカットオフ値およびより多数のグループをそれぞれ用いてもよい。低濃度、中程度の濃度および高濃度のそれぞれについて、分析物の上位、すなわちSD値の小さなものから10種を選抜し、表3に示す分析物を得た。
【0130】
【表5】

【0131】
上述の直接的なアプローチ以外に、我々は、リアルタイム定量的RT−PCRデータにおけるハウスキーピング遺伝子(参照遺伝子)の同定に有効であることがよく知られている2つのアルゴリズムを用いた。第1に、我々は、geNormと呼ばれるVandesompeleら(2002年)により報告された方法を用いた [Vandesompele et al. (2002). Accurate normalization of real-time quantitative RT-PCR data by geometric averaging of multiple internal control genes. Genome Biology, 3(7): research0034. 1-0034.11.]。すなわち、我々は、Vandesompeleにより導入された安定性指標Mにより分析物を順位付けし、各ステップにおいてMが最大値を示す、すなわち、安定性が最も低い分析物を除外した。geNorm 法は分析物の比に基づいているため、2つの最も安定な分析物は順位付けされない。geNorm では、濃度プロファイルの類似性によって分析物の順位付けを行う。したがって、結果は、他の選抜方法の結果と非常に異なっており(表6参照)、分析物には、非常に類似した濃度プロファイルを有するため、選抜工程を左右する2つのグループが存在することが示されている。分析物の上位20種を記載した表4を参照されたい。
【0132】
【表6】

【0133】
最後に、我々は、NormFinderと呼ばれる、Andersenらによって導入された方法(2004年)を用いた [Andersen et al. (2004). Normalization of Real-Time Quantitative Reverse Transcription-PCR Data: A Model-Based Variance Estimation Approach to Identify Genes Suited for Normalization, Applied to Bladder and Colon Cancer Data Sets. Cancer Research 64:5245-5250.]。すなわち、我々は、Andersenらによって導入された安定性の尺度ρにより分析物を順位付けし、各ステップにおいてρの値が最も小さい、すなわち安定性が最も高い分析物を、既に選抜されている分析物である場合に追加する。NormFinderによる手順では、我々が考慮しているSA(仮死の開始時)、EA(仮死の終了時)およびER(蘇生の終了時)のグループ(時間ポイント)について、グループ内およびグループ間における分析物の濃度の変動を考慮する。
【0134】
分析物の上位50種を表5に示す。
【0135】
【表7−1】

【0136】
【表7−2】

【0137】
表6は、4つの異なる方法のうち少なくとも1つで選抜された全ての分析物の一覧であり、表中、選抜されたことをTRUEの文字で表示している。2つ、さらには3つの方法により選抜された分析物が数種類存在する。
【0138】
【表8−1】

【0139】
【表8−2】

【0140】
【表8−3】

【0141】
統計解析
我々は、SA(仮死の開始時)、EA(仮死の終了時)およびER(蘇生の終了時)の3つのグループ(時間ポイント)について比較のためにt−検定を行い、Bonferroni-Holmの方法[Holm, S. (1979). A simple sequentially rejective multiple test procedure. Scandinavian Journal of Statistics 6:65-70] により、これら3つのペアワイズ比較のp値を補正した。Benjamini Y.およびHochberg Y.の方法(1995年) [Benjamini Y., and Hochberg Y. (1995). Controlling the false discovery rate: a practical and powerful approach to multiple testing. Journal of the Royal Statistical Society Series B 57:289-300] を用いて、得られたpの補正値を、多変量解析のためにさらに補正した。ハウスキーピング分析物として、我々は、NormFinderアルゴリズムによって最上位に順位付けされたC8.K1、 C6 (C4:1-DC).K1、PC aa C26:0.K1 を用いた。我々は、対数変換されたデータと、対数変換後ハウスキーパー(HK)によって標準化されたデータとの比較を行った。ハウスキーピング分析物による標準化は、選抜された3つのハウスキーパーの対数変換した濃度の平均値を、他の分析物の対数変換した濃度から差し引くことにより行われるが、生データに関しては、この操作は、全ての(ハウスキーパー以外の)分析物の濃度の生データと、ハウスキーパーの濃度の幾何平均との比の対数を統計解析に用いることを意味している。図2〜4に示したベン図は、補正後のp値が0.01よりも小さな全ての分析物に基づくものであり、3つのペアワイズ比較の結果が非常に一致するものであることを示している。しかし、全ての場合において、HKで標準化した対数変換後のデータについて、より有意な差が見いだされ、このことは、HKにより標準化された対数変換後のデータを用いると、統計解析の能力が向上することを示している。
【0142】
能力の向上に関する仮定は、曲線下面積(AUC)の計算により検証することができる。そこで、我々は、ペアワイズ比較のそれぞれ、および分析物のそれぞれについて、単一の分析物についての予測能力の尺度であるAUCの計算を行った。本解析に用いた216種類の分析物のうち、142種類(SAとEAとの比較)、158種類(EAとERとの比較)および131種類(SAとERとの比較)が、HKで標準化した対数変換後のデータの場合により大きなAUCを示した。それぞれ、65.7%(p<0.001)、73.1%(p<0.001)および60.6%(p=0.002)という対応する比率は、50%とは有意に異なっている(大きい)。同時に、AUCの最大値は、SAとEAとの比較、EAとERとの比較およびSAとERとの比較のそれぞれについて、0.915(対数データ)に対し0.912(HK)、0.881(対数データ)に対し0.867(HK)、0.889(対数データ)に対し0.887(HK)と、ほぼ同一の値にとどまっている。したがって、この事実も、対数変換されたデータの代わりにHKにより標準化された対数変換後のデータを用いると、統計解析の能力が向上することを示している。
【0143】
2.リポポリ多糖(LPS)
病原体に対する宿主の応答を、ほ乳類の免疫応答に対する周知の動物モデルであるLPS投与群と対照群について、ヒツジの血漿中で、0時間、2時間、…240時間の種々の時間ポイントで検討した。
【0144】
懐胎後97〜99日目(妊娠期間=147日)のヒツジ胎児12頭を、滅菌法 (Mallard et al., 2003)を用いて全身麻酔下(1.5%イソフルランを含むO2)で計測した。ステソリド(0.1〜0.2mg/kg、血管内投与)を前治療として用い、ペントサールナトリウム(13mg/kg、血管内投与)で麻酔誘導後挿管した。手術時および手術後の最初の2日間、テムゲシック(0.01mg/kg、血管内投与)を投与した。胎児の頭部の上から、子宮壁を通して、全血管に沿って小さく子宮切開を行った。ポリビニル製のカテーテルを、両腋窩動脈、一方の腋窩静脈および羊膜腔に挿入した。側矢状皮質を覆う胎児の頭皮を露出し、頭骨を通し、しかし硬膜を傷つけないように、ブレグマから5および15mm前方、正中線より0.5mm外側に、ドリルで2つの穴を開けた。穿頭孔を通して、2対のEEG電極(P/N Ag7/40T, Leico Ind, Medwire(登録商標) 米国ニューヨーク州、マウントバーノン)を挿入し、シアノアクリレートで接着した小さなゴムディスクを用いて頭骨に固定後、電極を覆うように皮膚片を元通り接着した。参照電極をEEG電極の前方の皮下に埋め込み、接地電極を頸部の皮下に埋め込んだ。手術の最後に、ヘパリンの50E/mL生理食塩水溶液でカテーテルを満たした。子宮を2層閉鎖し、カテーテルおよび電極を露出させた。1本のカテーテルを、雌ヒツジの足根静脈に挿入した。手術後、雌ヒツジを、食餌および水が自由に摂取できる状態で1頭ずつケージで飼育した。手術後、実験開始前に少なくとも4日間動物を回復させ、その間、雌ヒツジに、抗生物質(ゲンタマイシン、5mg/kg)を1日1回血管内投与した。これらの研究は、イェーテボリ大学の動物倫理委員会の承認を得ている(承認番号:307−2006)。
【0145】
実験手順
101〜106日目(妊娠期間=145日)に、常時計測を行っているヒツジ胎児に、ビヒクル(生理食塩水)の急速静注(n=5)またはLPS(LPS, Sigma O55:B5、200ng、n=7)の血管内投与をランダムに割り当てた。BIOPAC Systems (MPA150)を用いて、平均動脈血圧(MAP)および羊膜腔圧力を、注射の少なくとも12時間前から、注射後10日目まで、連続的に記録した。BRM2 BrainZ monitor(ニュージーランド)を用いて、注射の前後のEEGデータを記録した。血液ガス分析(pH、pCO2、kPa、SO2%、グルコースmmol/Lおよび乳酸mmol/L、Radiometer ABL 725、デンマーク、コペンハーゲン)用の血液サンプル(1mL)を、氷上に回収した。残りの血液を遠心分離して、血清は、後述する以後の実験のために−80℃で急速凍結し、保存した。
【0146】
ハウスキーピング分析物の選抜
我々は12頭のヒツジを用い、注射後0時間、2時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間、192時間、216時間および240時間経過後にデータを得た。
第1のステップにおいて、我々は生データを用い、平均値に対する標準偏差(SD)の比で定義される、すなわち、CV=SD/平均値である、変動係数(CV)により分析物を整列させた。表7には、分析物の上位20種をCVの小さい順に示している。さらに、SDおよび濃度の生データの平均値も示している。
【0147】
【表9】

【0148】
さらに解析を行うに当たっては、対数変換された分析物の濃度がよく用いられており、対数変換は、変動を安定化させ、少なくとも近似的に正規分布したデータを得るために用いられているため、我々は、第2のステップにおいて、対数変換されたデータについて、平均値およびSDの計算を行った。もちろん、Box−Coxべき変換[Box G.E.P. and Cox D.R. (1964) An analysis of transformations (with discussion). Journal of the Royal Statistical Society B, 26, 211-252.]、分散安定化標準化法(VSN)[Huber W., von Heydebreck A., Sueltmann H., Poustka A., Vingron M. (2002). Variance stabilization applied to microarray data calibration and to the quantification of differential expression. Bioinformatics 18 Suppl.1 S96-S104.]もしくは分散安定化変換法(VST)[Lin S.M., Du P., Huber W., Kibbe, W.A. (2008). Model-based variance-stabilizing transformation for Illumina microarray data. Nucleic Acids Research, Vol. 36, No. 2 e11.]による一般化された対数変換、または本工程におけるマイクロアレイの標準化について周知の他の標準化法等の他の変換法を用いてもよい。アフィメトリックス(Affymetrix)社のマイクロアレイデータについての標準化法の比較検討については、Copeら(2004年)[L.M. Cope et al. (2004). A Benchmark for Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 20(3):323-331]、またはIrizarryら(2006年)[R.A. Irizarry et al. (2006). Comparison of Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 22(7):789-794]によって報告されている。図5は、対数への変換による変動の安定化が有効であるが完璧ではないことを示している。結果的に、対数に変換した濃度の平均値が低いほど、SDも小さくなる傾向がある。我々は、SDに関して変動が最も小さくなる分析物を探しているため、対数に変換した濃度を3つの部分(low、medium、high)に区分して、低濃度の分析物のみが得られることを回避した。分析物について、濃度の平均値が0.5未満(log2濃度の平均値が<−1)である場合、低濃度(low)に、濃度の平均値が0.5〜4(log2濃度の平均値が−1〜2)である場合、中程度の濃度(medium)に、濃度の平均値が4よりも大きい(log2濃度の平均値が>2)場合、高濃度(high)に分類した。もちろん、グループの選び方にはかなり任意性があり、他のカットオフ値およびより多数のグループをそれぞれ用いてもよい。低濃度、中程度の濃度および高濃度のそれぞれについて、分析物の上位、すなわちSD値の小さなものから10種を選抜し、表8に示す分析物を得た。
【0149】
【表10】

【0150】
上述の直接的なアプローチ以外に、我々は、リアルタイム定量的RT−PCRデータにおけるハウスキーピング遺伝子(参照遺伝子)の同定に有効であることがよく知られている2つのアルゴリズムを用いた。第1に、我々は、geNormと呼ばれるVandesompeleら(2002年)により報告された方法を用いた [Vandesompele et al. (2002). Accurate normalization of real-time quantitative RT-PCR data by geometric averaging of multiple internal control genes. Genome Biology, 3(7): research0034. 1-0034.11.]。すなわち、我々は、Vandesompeleらにより導入された安定性指標Mにより分析物を順位付けし、各ステップにおいてMが最大値を示す、すなわち、安定性が最も低い分析物を除外した。geNorm 法は分析物の比に基づいているため、2つの最も安定な分析物は順位付けされない。geNorm では、濃度プロファイルの類似性によって分析物の順位付けを行う。したがって、結果は、他の選抜方法の結果と非常に異なっており(表11参照)、分析物には、非常に類似した濃度プロファイルを有するため、選抜工程を左右する3つのグループが存在することが示されている。分析物の上位20種を記載した表9を参照されたい。
【0151】
【表11】

【0152】
最後に、我々は、NormFinderと呼ばれる、Andersenらによって導入された方法(2004年)を用いた [Andersen et al. (2004). Normalization of Real-Time Quantitative Reverse Transcription-PCR Data: A Model-Based Variance Estimation Approach to Identify Genes Suited for Normalization, Applied to Bladder and Colon Cancer Data Sets. Cancer Research 64:5245-5250.]。すなわち、我々は、Andersenらによって導入された安定性の尺度ρにより分析物を順位付けし、各ステップにおいてρの値が最も小さい、すなわち安定性が最も高い分析物を、既に選抜されている分析物である場合に追加する。NormFinderによる手順では、我々が、0時間、2時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間、192時間、216時間、240時間の時間ポイントにおけるLPS群(LPSで処理した動物群)および対照群について考慮し、得た26の異なるグループについて、のグループについて、グループ内およびグループ間における分析物の濃度の変動を考慮する。
【0153】
表10に、分析物の上位50種を示す。
【0154】
【表12−1】

【0155】
【表12−2】

【0156】
表11は、4つの異なる方法のうち少なくとも1つで選抜された全ての分析物の一覧であり、表中、選抜されたことをTRUEの文字で表示している。2つ、さらには3つの方法により選抜された分析物が数種類存在する。
【0157】
【表13−1】

【0158】
【表13−2】

【0159】
【表13−3】

【0160】
統計解析
データの解析のために、我々は、自己回帰および異質分散構造を有する線型モデルを用いた。Benjamini Y.およびHochberg Y.の方法(1995年) [Benjamini Y., and Hochberg Y. (1995). Controlling the false discovery rate: a practical and powerful approach to multiple testing. Journal of the Royal Statistical Society Series B 57:289-300] を用いて、得られたp値を補正した。ハウスキーピング分析物として、我々は、geNormアルゴリズムによって最上位に順位付けされたSM C16:0.K1、PC aa C38:1.K1 およびSM (OH) C22:2.K1 を用いた。我々は、対数変換されたデータと、対数変換後ハウスキーパー(HK)によって標準化されたデータとの比較を行った。ハウスキーピング分析物による標準化は、選抜された3つのハウスキーパーの対数変換した濃度の平均値を、他の分析物の対数変換した濃度から差し引くことにより行われるが、生データに関しては、この操作は、全ての(ハウスキーパー以外の)分析物の濃度の生データと、ハウスキーパーの濃度の幾何平均との比の対数を統計解析に用いることを意味している。図6〜8に示したベン図は、補正後のp値が0.01よりも小さな全ての分析物に基づくものである。しかし、全ての場合において、HKで標準化した対数変換後のデータについて、より有意な差が見いだされ、このことは、HKにより標準化された対数変換後のデータを用いると、統計解析の能力が向上することを示している。
【0161】
能力の向上に関する仮定は、曲線下面積(AUC)の計算により検証することができる。我々は、LPS群と対照群との比較のために、分析物のそれぞれについて、単一の分析物についての予測能力の尺度であるAUCの計算を行った。本解析に用いた193種類の分析物のうち、127種類が、HKで標準化した対数変換後のデータの場合により大きなAUCを示した。65.8%(p<0.001)という対応する比率は、50%とは有意に異なっている(大きい)。さらに、AUCの最大値は、0.798(対数データ)から0.892(HK)に増大している。したがって、この事実も、対数変換されたデータの代わりにHKにより標準化された対数変換後のデータを用いると、統計解析の能力が向上することを示している。
【0162】
3.ラット−脳のデータ
低酸素性虚血性脳疾患の動物モデル
Rice-Vanucciの手法に基づく低酸素性虚血性脳疾患モデルの作製は、出産日(P7)に行った。両方の性別のSprague-Dewleyラットの仔(Charles River、米国マサチューセッツ州ウィルミントン)をイソフルランで吸入麻酔(麻酔導入時は3%、継続時は1.5%)し、正中切開により右頸動脈に到達し、二重縫合による外科的結紮を行った後、永久に切断した。手術は室温(23〜25℃)で行った。頸部の傷を閉鎖後、母親の元に2時間戻した。手術の全体は10分以内に終了した。次いで、仔を酸素濃度8%の低酸素状態に100分間置いた。疑似手術群の動物には、同様の麻酔プロトコールおよび頸部切開および血管の操作を行ったが、結紮および低酸素状態への放置は行わなかった。対照群の動物には、何の傷害も与えずに飼育を行った。i)低酸素症の発症直後(P7)、ii)24時間後(P8)、iii)5日後(P12)に動物を安楽死させ、脳の右半球を回収し、さらに調製を行うまで−80℃で保管した。動物への介入および時間ポイントはランダムに割り当てた。
【0163】
ハウスキーピング代謝産物の選抜
我々は、処置後P7、P8およびP12の時間ポイントにおける、手術群、疑似手術群および対照群について考慮し、雄および雌ならびに左半球および右半球の区別も考慮したグループより得られる150匹のラットのデータを用いた。
【0164】
第1のステップにおいて、我々は生データを用い、平均値に対する標準偏差(SD)の比で定義される、すなわち、CV=SD/平均値である、変動係数(CV)により分析物を整列させた。表12には、分析物の上位20種をCVの小さい順に示している。さらに、SDおよび濃度の生データの平均値も示している。
【0165】
【表14】

【0166】
さらに解析を行うに当たっては、対数変換された分析物の濃度がよく用いられており、対数変換は、変動を安定化させ、少なくとも近似的に正規分布したデータを得るために用いられているため、我々は、第2のステップにおいて、対数変換されたデータについて、平均値およびSDの計算を行った。もちろん、Box−Coxべき変換[Box G.E.P. and Cox D.R. (1964) An analysis of transformations (with discussion). Journal of the Royal Statistical Society B, 26, 211-252.]、分散安定化標準化法(VSN)[Huber W., von Heydebreck A., Sueltmann H., Poustka A., Vingron M. (2002). Variance stabilization applied to microarray data calibration and to the quantification of differential expression. Bioinformatics 18 Suppl.1 S96-S104.]もしくは分散安定化変換法(VST)[Lin S.M., Du P., Huber W., Kibbe, W.A. (2008). Model-based variance-stabilizing transformation for Illumina microarray data. Nucleic Acids Research, Vol. 36, No. 2 e11.]による一般化された対数変換、または本工程におけるマイクロアレイの標準化について周知の他の標準化法等の他の変換法を用いてもよい。アフィメトリックス(Affymetrix)社のマイクロアレイデータについての標準化法の比較検討については、Copeら(2004年)[L.M. Cope et al. (2004). A Benchmark for Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 20(3):323-331]、またはIrizarryら(2006年)[R.A. Irizarry et al. (2006). Comparison of Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 22(7):789-794]によって報告されている。図9は、対数への変換による変動の安定化が有効であるが完璧ではないことを示している。結果的に、対数に変換した濃度の平均値が低いほど、SDも小さくなる傾向がある。我々は、SDに関して変動が最も小さくなる分析物を探しているため、対数に変換した濃度を3つの部分(low、medium、high)に区分して、低濃度の分析物のみが得られることを回避した。分析物について、濃度の平均値が0.5未満(log2濃度の平均値が<−1)である場合、低濃度(low)に、濃度の平均値が0.5〜4(log2濃度の平均値が−1〜2)である場合、中程度の濃度(medium)に、濃度の平均値が4よりも大きい(log2濃度の平均値が>2)場合、高濃度(high)に分類した。もちろん、グループの選び方にはかなり任意性があり、他のカットオフ値およびより多数のグループをそれぞれ用いてもよい。低濃度、中程度の濃度および高濃度のそれぞれについて、分析物の上位、すなわちSD値の小さなものから10種を選抜し、表13に示す分析物を得た。
【0167】
【表15】

【0168】
上述の直接的なアプローチ以外に、我々は、リアルタイム定量的RT−PCRデータにおけるハウスキーピング遺伝子(参照遺伝子)の同定に有効であることがよく知られている2つのアルゴリズムを用いた。第1に、我々は、geNormと呼ばれるVandesompeleら(2002年)により報告された方法を用いた [Vandesompele et al. (2002). Accurate normalization of real-time quantitative RT-PCR data by geometric averaging of multiple internal control genes. Genome Biology, 3(7): research0034. 1-0034.11.]。すなわち、我々は、Vandesompeleにより導入された安定性指標Mにより分析物を順位付けし、各ステップにおいてMが最大値を示す、すなわち、安定性が最も低い分析物を除外した。geNorm 法は分析物の比に基づいているため、2つの最も安定な分析物は順位付けされない。geNorm では、濃度プロファイルの類似性によって分析物の順位付けを行う。したがって、結果は、他の選抜方法の結果と非常に異なっており(表16参照)、分析物には、非常に類似した濃度プロファイルを有するため、選抜工程を左右する2つのグループが存在することが示されている。分析物の上位20種を記載した表14を参照されたい。
【0169】
【表16】

【0170】
最後に、我々は、NormFinderと呼ばれる、Andersenらによって導入された方法(2004年)を用いた [Andersen et al. (2004). Normalization of Real-Time Quantitative Reverse Transcription-PCR Data: A Model-Based Variance Estimation Approach to Identify Genes Suited for Normalization, Applied to Bladder and Colon Cancer Data Sets. Cancer Research 64:5245-5250.]。すなわち、我々は、Andersenらによって導入された安定性の尺度ρにより分析物を順位付けし、各ステップにおいてρの値が最も小さい、すなわち安定性が最も高い分析物を、既に選抜されている分析物である場合に追加する。NormFinderによる手順では、我々が、処置後P7、P8およびP12の時間ポイントにおける、手術群、疑似手術群および対照群について考慮し、雄および雌ならびに左半球および右半球の区別も考慮して得たグループについて、グループ内およびグループ間における分析物の濃度の変動を考慮する。上記のようにして、全部で31の異なるグループが得られる。表15に、分析物の上位50種を示す。
【0171】
【表17−1】

【0172】
【表17−2】

【0173】
表16は、4つの異なる方法のうち少なくとも1つで選抜された全ての分析物の一覧であり、表中、選抜されたことをTRUEの文字で表示している。2つ、さらには3つの方法により選抜された分析物が数種類存在する。
【0174】
【表18−1】

【0175】
【表18−2】

【0176】
【表18−3】

【0177】
統計解析
我々は、データの一部についてのみ解析を行った。我々はP7の時間ポイントおよび右半球のデータを選択し、処置および性別の影響を検討した。以前の解析より、性別による顕著な効果は存在しないことが示されている。したがって、我々は、性別を排除し、生の濃度データおよびハウスキーパーで標準化した生の濃度データを用いたKruskal-Wallis検定(ノンパラメトリック一元配置分散分析)を行った。Benjamini Y.およびHochberg Y.の方法(1995年) [Benjamini Y., and Hochberg Y. (1995). Controlling the false discovery rate: a practical and powerful approach to multiple testing. Journal of the Royal Statistical Society Series B 57:289-300] を用いて、得られたp値を補正した。ハウスキーピング分析物として、我々は、生の濃度データのCVについて上位5位に順位付けされたPC aa C26:0.K1、lysoPC a C26:1.K1、lysoPC a C14:0.K1、C10.K1および C8:1.K1 を用いた。我々は、生データと、ハウスキーパー(HK)によって標準化された生データとの比較を行った。ハウスキーピング分析物による標準化は、(5つのハウスキーパー以外の)分析物の濃度の生データを、選択された5つのハウスキーパーの濃度の幾何平均で除することにより行われた。図10に示したベン図は、補正後のp値が0.01よりも小さな全ての分析物に基づくものである。この結果は、2つのアプローチのの結果が非常に一致するものであり、より有意な差という観点から、HKで標準化した生データの場合にわずかに利点が見られることを示している。このことは、HKにより標準化された生データを用いると、統計解析の能力が向上することを示している。
【0178】
能力の向上に関する仮定は、曲線下面積(AUC)の計算により検証することができる。そこで、我々は、手術群と疑似手術群との比較のために、それぞれの分析物についての予測能力の尺度であるAUCの計算を行った。本解析に用いた206種類の分析物のうち、153種類が、HKで標準化した対数変換後のデータの場合により大きなAUCを示した。74.3%(p<0.001)という対応する比率は、50%とは有意に異なっている(大きい)。同時に、両方の場合におけるAUCの最大値は、上限である1.000に等しく、対数変換されたデータの場合には15種の分析物で、対数変換後HKで標準化されたデータの場合には16種で最大値が達成された。したがって、この事実も、対数変換されたデータの代わりにHKにより標準化された対数変換後のデータを用いると、統計解析の能力が向上することを示している。
【0179】
4.ヒト−血漿データ
【0180】
ハウスキーピング代謝産物の選抜
我々は、80名の被験者から得られたデータを使用したが、うち14名は肺炎患者であり、45名は混合敗血症の患者であり、21名は対照群である。
【0181】
実施例1〜3に記載の方法により、血漿サンプル100μLについて標的代謝産物の分析を行った。
【0182】
第1のステップにおいて、我々は生データを用い、平均値に対する標準偏差(SD)の比で定義される、すなわち、CV=SD/平均値である、変動係数(CV)により分析物を整列させた。表17には、分析物の上位20種をCVの小さい順に示している。さらに、SDおよび濃度の生データの平均値も示している。
【0183】
【表19】

【0184】
さらに解析を行うに当たっては、対数変換された分析物の濃度がよく用いられており、対数変換は、変動を安定化させ、少なくとも近似的に正規分布したデータを得るために用いられているため、我々は、第2のステップにおいて、対数変換されたデータについて、平均値およびSDの計算を行った。もちろん、Box−Coxべき変換[Box G.E.P. and Cox D.R. (1964) An analysis of transformations (with discussion). Journal of the Royal Statistical Society B, 26, 211-252.]、分散安定化標準化法(VSN)[Huber W., von Heydebreck A., Sueltmann H., Poustka A., Vingron M. (2002). Variance stabilization applied to microarray data calibration and to the quantification of differential expression. Bioinformatics 18 Suppl.1 S96-S104.]もしくは分散安定化変換法(VST)[Lin S.M., Du P., Huber W., Kibbe, W.A. (2008). Model-based variance-stabilizing transformation for Illumina microarray data. Nucleic Acids Research, Vol. 36, No. 2 e11.]による一般化された対数変換、または本工程におけるマイクロアレイの標準化について周知の他の標準化法等の他の変換法を用いてもよい。アフィメトリックス(Affymetrix)社のマイクロアレイデータについての標準化法の比較検討については、Copeら(2004年)[L.M. Cope et al. (2004). A Benchmark for Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 20(3):323-331]、またはIrizarryら(2006年)[R.A. Irizarry et al. (2006). Comparison of Affymetrix GeneChip Expression Measures, Bioinformatics 22(7):789-794]によって報告されている。図11は、対数への変換による変動の安定化が有効であるが完璧ではないことを示している。我々は、SDに関して変動が最も小さくなる分析物を探しているため、対数に変換した濃度を3つの部分(low、medium、high)に区分して、低濃度の分析物のみが得られることを回避した。分析物について、濃度の平均値が0.5未満(log2濃度の平均値が<−1)である場合、低濃度(low)に、濃度の平均値が0.5〜4(log2濃度の平均値が−1〜2)である場合、中程度の濃度(medium)に、濃度の平均値が4よりも大きい(log2濃度の平均値が>2)場合、高濃度(high)に分類した。もちろん、グループの選び方にはかなり任意性があり、他のカットオフ値およびより多数のグループをそれぞれ用いてもよい。低濃度、中程度の濃度および高濃度のそれぞれについて、分析物の上位、すなわちSD値の小さなものから10種を選抜し、表18に示す分析物を得た。
【0185】
【表20】

【0186】
上述の直接的なアプローチ以外に、我々は、リアルタイム定量的RT−PCRデータにおけるハウスキーピング遺伝子(参照遺伝子)の同定に有効であることがよく知られている2つのアルゴリズムを用いた。第1に、我々は、geNormと呼ばれるVandesompeleら(2002年)により報告された方法を用いた [Vandesompele et al. (2002). Accurate normalization of real-time quantitative RT-PCR data by geometric averaging of multiple internal control genes. Genome Biology, 3(7): research0034. 1-0034.11.]。すなわち、我々は、Vandesompeleらにより導入された安定性指標Mにより分析物を順位付けし、各ステップにおいてMが最大値を示す、すなわち、安定性が最も低い分析物を除外した。geNorm 法は分析物の比に基づいているため、2つの最も安定な分析物は順位付けされない。geNorm では、濃度プロファイルの類似性によって分析物の順位付けを行う。したがって、結果は、他の選抜方法の結果と非常に異なっており(表21参照)、分析物には、非常に類似した濃度プロファイルを有するため、選抜工程を左右する2つのグループが存在することが示されている。分析物の上位20種を記載した表19を参照されたい。
【0187】
【表21】

【0188】
最後に、我々は、NormFinderと呼ばれる、Andersenらによって導入された方法(2004年)を用いた [Andersen et al. (2004). Normalization of Real-Time Quantitative Reverse Transcription-PCR Data: A Model-Based Variance Estimation Approach to Identify Genes Suited for Normalization, Applied to Bladder and Colon Cancer Data Sets. Cancer Research 64:5245-5250.]。すなわち、我々は、Andersenらによって導入された安定性の尺度ρにより分析物を順位付けし、各ステップにおいてρの値が最も小さい、すなわち安定性が最も高い分析物を、既に選抜されている分析物である場合に追加する。NormFinderによる手順では、我々が考慮した肺炎群、混合敗血症群および対照群のグループについて、グループ内およびグループ間における分析物の濃度の変動を考慮する。表20に、分析物の上位50種を示す。
【0189】
【表22−1】

【0190】
【表22−2】

【0191】
表21は、4つの異なる方法のうち少なくとも1つで選抜された全ての分析物の一覧であり、表中、選抜されたことをTRUEの文字で表示している。2つ、さらには3つの方法により選抜された分析物が数種類存在する。
【0192】
【表23−1】

【0193】
【表23−2】

【0194】
【表23−3】

【0195】
統計解析
我々は、一元配置変動解析のWelchによる改良法により、対数変換された濃度データと、対数変換後HKで標準化された濃度データを用いた解析を行った。Benjamini Y.およびHochberg Y.の方法(1995年) [Benjamini Y., and Hochberg Y. (1995). Controlling the false discovery rate: a practical and powerful approach to multiple testing. Journal of the Royal Statistical Society Series B 57:289-300] を用いて、p値を補正した。ハウスキーピング分析物として、我々は、中程度の濃度において小さいSDを有する分析物の上位4位に順位付けされたlysoPC a C26:1.K1、PC ae C40:0.K1、PC aa C42:6.K1、PC aa C26:0.K1 を用いた。我々は、対数変換されたデータと、対数変換後ハウスキーパー(HK)によって標準化されたデータとの比較を行った。ハウスキーピング分析物による標準化は、選抜された4つのハウスキーパーの対数変換した濃度の平均値を、他の分析物の対数変換した濃度から差し引くことにより行われる。図12に示したベン図は、補正後のp値が0.01よりも小さな全ての分析物に基づくものである。この結果は、2つのアプローチの結果が非常に一致するものであり、より有意な差という観点から、HKで標準化した対数変換後のデータの場合にわずかに利点が見られることを示している。このことは、HKにより標準化された対数変換後のデータを用いると、統計解析の能力が向上することを示している。
【0196】
能力の向上に関する仮定は、曲線下面積(AUC)の計算により検証することができる。我々は、対照群と肺炎群、および対照群と混合敗血症群との比較のために、それぞれの分析物についての予測能力の尺度であるAUCの計算を行った。本解析に用いた195種類の分析物のうち、106種類(対照群と肺炎群との比較)および128種類(対照群と混合敗血症群との比較)が、HKで標準化した対数変換後のデータの場合により大きなAUCを示した。対照群と混合敗血症群との比較についての65.6%(p<0.001)という比率は、50%とは有意に異なっている(大きい)が、対照群と肺炎群との比較についての比率は50%よりも大きいが(54.3%)、50%との有意な違いはない。同時に、AUCの最大値は、対照群と肺炎群との比較について、0.997(対数データ)に対し1.000(HK)と、ほぼ同一の値であるが、対照群と混合敗血症群との比較については、0.945(対数データ)に対し0.971(HK)と、わずかに増大している。これらの事実も、対数変換されたデータの代わりにHKにより標準化された対数変換後のデータを用いると、統計解析の能力が向上することを示している。
【0197】
診断用の代謝産物の同定および使用は、対照代謝産物とそのレベルが、所定の疾病についての疾病の種類または状態によって変動せず、健康な個人の対照代謝産物のレベルと区別できないという発見および本質的特徴に基づいている。これにより、他の代謝産物および病的状態に伴うそれらの変化を定量的に決定することができ、したがって、診断、予測および治療制御が可能になる。
【0198】
対照、参照またはハウスキーピング代謝産物による定量データの標準化により、いくつかの利点がもたらされる。それにより、種々の健康状態に伴う代謝産物の同定、あるいは疾病または疾病の個々の段階/スコアにより調節が異なる代謝産物の濃度/レベルの同定、さらにはそれらに基づく診断ツールの開発が可能になる。
【0199】
本発明は、標準化に用いることができる分析物の同定法、サンプル中の内因性の参照または「ハウスキーピング」代謝産物を提供する。これらの分析物または代謝産物の濃度レベルは、代謝情報の決定に基づく方法において、疾病の診断または分類に有利に用い、種々の種、病的状態および組織に由来する被験体をこれらの目的に適用することができる。
【0200】
ある実施態様において、本発明の内因性の参照代謝産物の一部を、被験者の生理状態の特定または被験者における特定の疾病の診断のために、異なる種々の代謝産物の標準化に有利に用いることができる。
【0201】
内因性の参照代謝産物の応用には、レスポンダーとノンレスポンダーの同定、治療制御およびこれらの目的への特定の応答性の代謝産物の使用が含まれる。
【0202】
本発明の方法は、被験者のサンプル中の、1または複数の内因性の参照代謝産物の量、レベルまたは濃度に対する、1または複数の代謝産物または代謝バイオマーカーの有無、量、レベルまたは濃度を決定する能力およびこの情報を診断、予測および治療制御への使用により特徴付けられる。
【0203】
内因性の参照代謝産物は、単一の内因性の参照代謝産物として用いることができ、数値または組み合わせて用いることもできる。
【0204】
1つの実施態様において、前記参照または標的代謝産物は、化合物または化合物の混合物および医薬の毒性、安全性および有効性を決定するための試験および信号伝達経路のモデリングに用いることができる。
【0205】
さらに、本発明は、種々のアッセイ環境で得られたデータを比較するための方法を提供し、ここで、標準化のための上述のステップを反復し、標準化因子を用いて、質量分析等のある所定の方法による供試サンプルの測定より得られたシグナルを補正し、このような補正により、前記シグナルを、赤外分光、NMR分光、ラマン分光、免疫アッセイ、ELISA、ウェスタンブロッティング、アプタマー、ヌクレオチドまたは化学修飾したアプタマーまたは代謝産物に結合させるためのヌクレオチドを用い、蛍光等の任意の定量シグナルでレベルを表示する結合アッセイ等の、代謝産物および内因性の参照代謝産物についての1または複数の他の方法を用いて同一の対照代謝産物をアッセイすることにより得られる代謝産物のシグナルと直接比較することが可能になる。
【0206】
このように、データおよび代謝産物レベルは、
赤外分光、ラマン分光、質量分析、ELISAまたは抗体および/または酵素および/またはヌクレオチドおよび/またはアプタマーを用いる他の免疫アッセイ、または代謝産物もしくはそれを認識する結合相手に特異的に結合し、もしくは固体担体に固定化し、蛍光イメージングまたはMRIイメージング等であるがこれらに限定されない種々の検出方法および可視化方法を用いる他の方法等であるがこれらに限定されない当業者に公知の任意のアッセイを用いて決定することができる。
【0207】
本発明の方法は、高スループットスクリーニング実験への使用に好適である。
【0208】
内因性の参照代謝産物は、イソチオシアネート基、シアネート基、無水物、チオール、アミン、アジド(N3)基またはフッ素、N−ヒドロキシスクシンイミド等の活性化エステルとの反応、またはシアニン、ビオチン、ジゴキシゲニン、フルオレセイン、ジデオキシヌクレオチド、または他の形態の標識等であるがこれらに限定されない反応性の官能基を有する色素による標識等の当業者に公知の好適な手段を用いて化学修飾または標識することができる。
【0209】
他の実施態様は、参照または標的代謝産物の検出のための放射性マーカーまたは標識、具体的には32P、14C、125I、33Pまたは3Hの使用により特徴付けられる。
【0210】
他の実施態様は、参照または標的代謝産物の検出のための非放射性マーカーまたは標識、具体的には色素または蛍光マーカーまたは量子ドット、酵素マーカー、免疫マーカー、または、内因性の参照代謝産物または標的代謝産物に対して電気信号、具体的には電流の変化、抵抗または静電容量の変化により検出が可能なマーカーの使用により特徴付けられる。
【0211】
したがって、酵素または他の抗体またはアプタマーを用いる免疫組織化学的手法、あるいは非限定的な例として他の手法による検出法を用いると、分析物の発現を検出することもできる。酵素または触媒による代謝産物の化学変換、または、ラマン分光、赤外分光、NMR分光、紫外分光および当業者に公知の他の分光法等の、分析物の分析のための他の手段を用いることもできる。これらの方法は、前段階または中間段階における、炭素13、重水素原子等の同位体元素またはぞれぞれの同位体元素を含む官能基による化学修飾もしくは標識、または、特定の方法による検出および定量を可能にするための、蛍光標識もしくは常磁性標識による誘導体化を含んでいてもよい。
【0212】
いくつかの実施態様において、全ての既知の代謝産物または参照分析物の一部への特異的な標識、または内因性の参照代謝産物および可変量の代謝産物を識別するための処置または標識を含んでいてもよい。
【0213】
本発明の他の目的、利点および特徴は、その好ましい実施態様に関する、非限定的で単なる例示として示される以下の記述を、添付された図面を参照しながら読むことでより明らかになる。
【0214】
他の実施態様において、内因性の参照代謝産物または標的代謝産物の値が別個の実験で決定された場合に、内因性の参照代謝産物のレベルを代謝産物のレベルと比較してもよく、あるいは較正曲線または較正表の形態で用いてもよい。
【0215】
いくつかの実施態様において、本発明は、被験者に由来する細胞、組織または体液中の1または複数の代謝産物の代謝産物レベルを決定する方法を提供する。この方法は、1または複数の代謝産物のレベルを決定することを含んでいる。この方法は、前記1または複数の代謝産物または分析物の代謝産物濃度を決定し、前記濃度レベルを、上述の参照分析物または代謝産物の濃度レベルと比較することを含んでいる。
【0216】
本発明の1または複数の参照分析物の濃度レベルは、サンプルから得られるデータの比較のために、関心の対象となる分析物および代謝産物から得られるメタボロミクスデータを「標準化」する手段を提供する。換言すると、関心の対象となる代謝産物の濃度または相対存在比を、本発明の1または複数の参照分析物のレベルに対する「相対比として」計算する。標準化は、サンプル間の比較、特に別個の実験で得られた場合の比較にも用いることができる。本発明の方法は、キット、多穴ウェルアレイ、アレイに基づく形態で用いられることが有利であり、それにより、複数の代謝産物を濃度について同時に評価することができる。本発明の1または複数の参照分析物を、同一の実験の一部として評価してもよい。
【0217】
いくつかの非限定的な実施態様において、被験者を疾病に分類し、疾病の診断を行い、細胞または組織を疾病に分類し、細胞を含むサンプルを、特定の組織型または組織起源の(に由来する)ガン細胞を含むものであると認識する方法において、本発明の内因性の参照代謝産物を用いる。分類または診断は、サンプル中の複数の分析物のレベルまたは濃度または相対存在比を、疾病であることが検証されたサンプルおよび/または疾病にかかっていないことがわかっているサンプルにおけるそれらのレベルと比較することを基礎としている。
【0218】
本明細書で用いられている場合において、「複数」とは、2以上である状態を意味する。分類におけるこのような使用は、後述の非限定的な例としての本発明の追加説明において用いられる。本発明の参照分析物は、ガン細胞に限らず、組織または臓器より採取された体液、あるいは組織または臓器より採取された細胞を含むサンプルの分類において用いることもできる。
【0219】
別の非限定的な実施態様において、ヒトの被験者について本発明を説明している。しかし、他の被験体に由来するサンプルも用いることができる。必要なのは、複数の既知のサンプルに含まれる代謝産物のレベルまたは濃度を評価でき、未知のサンプルまたは供試サンプルにおける発現レベルを比較できることのみである。したがって、本発明は、複数の代謝産物および複数の既知のサンプルを採取可能な任意の生体について適用可能である。
【0220】
1つの好ましい実施態様において、仮死および仮死の重篤度の診断ならびに仮死の治療制御および治療に、対照代謝産物および標的代謝産物との比較を用いる。
【0221】
1つの好ましい実施態様において、対照代謝産物および標的代謝産物との比較を、低酸素症、虚血性疾患、虚血性脳障害および脳梗塞、周産期仮死、窒息、溺水、電気ショック、負傷、または同姓ガスの吸入の診断、および/または前記疾病の重篤度の決定、および/またはこれらの症状の治療制御および治療に用いる。
【0222】
さらに、本発明の方法により、内因性の代謝産物により、正常酸素状態、低酸素状態および高酸素状態、および/または常圧または高圧酸素療法をインビトロでモニタリングする標準化方法が初めて提供された。このような方法は、少なくとも1つの内因性の参照代謝産物およびほ乳類被験体の少なくとも1つの組織の少なくとも1つの生体サンプルの使用により特徴付けられる。
【0223】
例えば、いくつかの実施態様において、本発明は、1または複数の(例えば、2以上、3以上、5以上、10以上等)本発明の内因性の参照代謝産物を用い、2以上、3以上、5以上、10以上等の標的代謝産物と共に、多重分析またはパネル分析により測定し、被験者からのサンプル(組織サンプル(生検サンプル等)、血液サンプル、血漿サンプル、尿サンプル等)中の1または複数の(例えば、2以上、3以上、5以上、10以上等)仮死に特異的な標的代謝産物の存在もしくは非存在の検出または定量を(多重分析またはパネル分析による同時測定により)行い、仮死に特異的な代謝産物の標準化された値に基づき、仮死の診断を行うことを含む仮死、低酸素症または虚血性疾患および/または継続時間/重篤度を診断する方法を提供する。
【0224】
さらに本発明は、仮死に特異的な代謝産物を含む動物、組織、細胞に供試化合物を接触させ、内因性の参照代謝産物を用いて仮死に特異的な代謝産物のレベルを定量的に決定することを含む、応答性の代謝産物を高精度で定量化することにより化合物をスクリーニングする方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、前記内因性の参照代謝産物を用いて、供試化合物または治療介入の存在下での仮死に特異的な代謝産物のレベルを、供試化合物または治療介入の非存在下での仮死に特異的な代謝産物のレベルと比較する工程をさらに含んでいる。いくつかの実施態様において、細胞は、インビトロ、ヒト以外のほ乳類の体内、またはエクスビボのいずれかに存在する。いくつかの実施態様において、供試化合物は、低分子または核酸(例えば、アンチセンス核酸、siRNAまたはmiRNA)または酸素/キセノン、または仮死に特異的な代謝産物の合成または分解に関与する酵素の発現を阻害する任意の神経保護剤である。いくつかの実施形態において、この方法は、高スループットな方法である。
【0225】
本発明において、「仮死」は、酸素、酸素飽和度の不足、低酸素症に関連づけられる任意の病的状態と関連している。仮死は、臍帯からの酸素供給の不足により出産前および周産期のいずれにおいても起こりうるが、呼吸不全および/または、窒息、溺水、電気ショック、負傷または毒性ガスの吸入等の肺の換気障害に関連する任意の状態によっても発症しうる。
【0226】
好ましい実施態様の1つにおいて、参照代謝産物および標的代謝産物との比較を、細菌の断片または細菌の細胞壁の断片への被験者の応答または細菌の断片または細菌の細胞壁の断片への免疫応答、前記状態の重篤度の診断ならびに治療の制御および全身性炎症に起因する症状の治療に用いられる。
【0227】
本発明の好ましい実施態様において、これらの内因性の参照代謝産物を用いて標準化および定量化された内因性の参照代謝産物および標的代謝産物のレベルは、「疾病」という標識に対応する病理学的状態、「健康」という標識に対応する病理学的状態、または「疾病の程度」、「疾病の亜形」、種々の「特定の疾病のスコア」、「良好」、「中程度」、「不良」あるいは、「治療応答あり」、「治療応答なし」または「治療応答不良」という標識に対応する前記予後の特定、決定または検証に用いられる。
【0228】
本発明の方法の特に有用な用途は、前記疾病が低酸素性虚血性脳障害、新生児仮死または全身性炎症または敗血症または免疫応答である場合であり、前記ほ乳類被験者がヒトであり、前記生体サンプルが血液であり、
対数変換を用いて、代謝産物濃度の生データを前処理し、
線型混合効果モデルを用いて、存在量の異なる代謝産物を同定し、
好適な分類アルゴリズムとしてランダム決定木を選択し、前処理された代謝産物濃度を用いる多層ブートストラップ反復を用いた分類アルゴリズムの訓練を行い、
前記訓練された、前記前処理された濃度データセットに対するランダム決定木分類器を、低酸素性虚血性脳障害の疑いが持たれる被験者に適用し、訓練された分類器を用いて低酸素性虚血性脳障害の診断を行うことにより欠測データを補完する場合である。
【0229】
好ましくは、生体サンプルを採取することが可能な組織は、血液および他の体液、尿、脳組織、神経組織からなる群より選択され、かつ/または前記サンプルは生検サンプルであり、かつ/または前記ほ乳類被験者にはヒトが含まれる。
【0230】
いくつかの実施態様において、内因性の参照代謝産物に基づく標準化を、種の比較、種々の組織型の比較、種々のほ乳類種間での同種の組織の比較に用いることができる。したがって、本発明の方法および提供される内因性の参照代謝産物は、データ比較および動物モデルからヒトおよびその逆方向のデータの移動を含む、動物モデルにおける比較およびデータの移動にもちいることができ、これらに限定されないがほ乳類およびヒトにおける医薬の開発、診断および動物の診断にも用いることができる。
【0231】
このように、本発明は、非限定的な例として、ほ乳類、霊長類、臨床試験で使用されている動物(ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコおよびチンパンジー等)のサンプル等の他のサンプルとの併用が期待される。本発明は、本明細書に記載の1または複数の参照分析物とのアッセイの代謝物レベルの標準化を提供する。したがって、分類は、代わりにアッセイ対象の分析物のレベルと同一のサンプル中の参照分析物のレベルとの比較に基づいていてもよいが、公知の疾病患者のサンプルおよび/または公知の疾病に罹患していない被験者のサンプルにおける同様の比較に関連し、または基づいていてもよい。非限定的な例として、アッセイにおける標準化された分析物のレベルを、被験者からのサンプルを含むサンプル、組織、体液または細胞の比較対象となるデータベースを作成するための既知の疾患のサンプルのセット中で決定してもよい。サンプル中の分析物のレベルを、好ましくは同一のサンプルまたは被験者に由来し、通常のまたは疾病に罹患していないサンプル、組織、体液または細胞中の前記分析物のレベルと比較してもよい。本発明の他の実施態様において、分析物のレベルを同一のサンプル中の参照分析物のレベルと比較してもよく、あるいは、濃度レベルの比を用いてもよい。
【0232】
標的代謝産物の数値以外に、この方法は臨床化学および重症管理室で通常用いられている標準的な実験パラメータ、具体的には、血液ガス、好ましくは動脈血酸素濃度、血液pH、塩基状態および乳酸値、通常用いられる低分子量生化学化合物、酵素、酵素活性、細胞表面受容体および/または細胞数、具体的には赤血球数および/または白血球数、血小板数の血清および/または血漿中のレベルを包含させる工程を含んでいてもよい。
【0233】
本発明の1つの非限定的な例は、代謝産物の濃度を決定するための多穴プレートまたはアレイを用い、他の代謝産物のレベルも同時に測定するプラットフォームに見ることができる。
【0234】
対照代謝産物から得られるデータまたは対照代謝産物より誘導されるデータを用いてもよく、ソフトウェアで使用するためにさらに加工してもよく、かつ/またはエキスパートシステム、患者管理システムまたは遠隔診断システムで使用してもよく、疾病の診断、疾病に罹患している被験者の健康な被験者からの区別、病状の同定または特定、疾患の重篤度およびスコアの決定、および疾病の起源または原因の決定に用いてもよい。
【0235】
上述の実施態様において説明した本発明の特徴は、可能な任意の組み合わせで利用可能なことは当業者にとって自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほ乳類被験体の生体サンプルにおける、選択された標的代謝産物の量および/または濃度に対応する強度データを標準化する方法であって、前記強度データは複数の内因性の参照代謝産物を用いたメタボローム解析により得られ、
前記生体サンプルにおける前記選択された標的代謝産物について、少なくとも1つの in vitroでのメタボローム解析を行う工程と、
同一の前記サンプルにおいて、複数の内因性の参照代謝産物またはその誘導体の定量分析を同時に行う工程とを有し、
前記内因性の参照代謝産物は、前記生体サンプル中にほぼ一定の濃度で存在し、
前記内因性の参照代謝産物またはその誘導体は、分子量が1500Da未満であり、
アミノ酸、具体的には、アルギニン、アスパラギン酸、シトルリン、グルタミン酸(グルタミン酸塩)、グルタミン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、オルニチン、プロリン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、チロシン、バリン、キヌレニン、
フェニルチオカルバミルアミノ酸(PTC−アミノ酸)、具体的にはPTC−アルギニン、PTC−グルタミン、PTC−ヒスチジン、PTC−メチオニン、PTC−オルニチン、PTC−フェニルアラニン、PTC−プロリン、PTC−セリン、PTC−トリプトファン、PTC−チロシン、PTC−バリン、
ジメチルアルギニン、具体的には、N,N−ジメチル−L−アルギニン、
カルボン酸、すなわち15(S)−ヒドロキシ−5Z,8Z,11Z,13E−エイコサテトラエン酸[(5Z,8Z,11Z,13E,15S)−15−ヒドロキシイコサ−5,8,11,13−テトラエン酸]、コハク酸(コハク酸塩)、
カルニチン、アシル基に1以上20以下の炭素原子を有するアシルカルニチン、アシル基に3以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上4以下の二重結合を有するアシルカルニチン、アシル基に1以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上3以下のOH基を有するアシルカルニチン、アシル基に3以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上4以下の二重結合および1以上3以下のOH基を有するアシルカルニチン、
リン脂質、具体的には、アシル基に1以上30以下の炭素原子を有するリゾホスファチジルコリン(モノアシルホスファチジルコリン)、アシル基に3以上30以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上6以下の二重結合を有するリゾホスファチジルコリン、
アシル基に合計1以上50以下の炭素原子を有するホスファチジルコリン(ジアシルホスファチジルコリン)、アシル基に合計3以上50以下の炭素原子を有し、かつアシル基に合計1以上8以下の二重結合を有するホスファチジルコリン、
スフィンゴ脂質、具体的には、
アシル鎖に合計10以上30以下の炭素原子を有するスフィンゴミエリン、アシル鎖に合計10以上30以下の炭素原子および1以上5以下の二重結合を有するスフィンゴミエリン、アシル基に合計10以上30以下の炭素原子を有するヒドロキシスフィンゴミエリン、アシル基に合計10以上30以下の炭素原子および1以上5以下の二重結合を有するヒドロキシスフィンゴミエリン、
プロスタグランジン、すなわち、6−ケト−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンD2、
プトレシン
からなる群より選択され、
前記選択された標的代謝産物の前記検出された強度は、それぞれ前記内因性の参照代謝産物の前記強度と対応している方法。
【請求項2】
前記標的代謝産物および前記内因性の参照代謝産物の複数の強度(データ)が、数学的前処理、具体的には、対数の適用、一般化対数、べき変換等の変換処理に供されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数の内因性の参照代謝産物の強度を集計して単一の参照値を得ることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
幾何平均、算術平均、メディアン値、重み付き算術平均値の計算により前記複数の内因性の参照代謝産物の強度を集計して単一の参照値を得ることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
線形強度の場合には、個々の標的代謝産物の強度と決定された前記参照値との比を生成し、対数強度の場合には、個々の標的代謝産物の強度から、前記決定された参照値を差し引くことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記メタボローム解析法が、質量分析(MS)法、具体的にはマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)法、電子スプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法、必要に応じてMS法と組み合わされた1H−、13C−
および/または31P−核磁気共鳴分光(NMR)法により内因性の代謝産物定量のための強度データを生成する工程と、
分離方法、具体的には液体クロマトグラフィー(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー(GC−MS)またはキャピラリー電気泳動法(CE−MS)と組み合わせたMS技術および/または方法を用いて代謝産物の濃度を決定する工程とを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記内因性の参照代謝産物が、
15(S)−ヒドロキシ−5Z,8Z,11Z,13E−エイコサテトラエン酸
6−ケト−プロスタグランジンF1α
非対称ジメチルアルギニン
アルギニン
PTC−アルギニン
アスパラギン酸
カルニチン(遊離)
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
デセノイルカルニチン
デカジエノイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
ドデセノイルカルニチン
ドデカンジオイルカルニチン
テトラデカノイルカルニチン
テトラデセノイルカルニチン[ミリストレイルカルニチン]
3−ヒドロキシテトラデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシミリストレイルカルニチン]
3−ヒドロキシテトラデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシテトラデカノイルカルニチン[ヒドロキシミリスチルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
ヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
オクタデカノイルカルニチン[ステアリルカルニチン]
オクタデセノイルカルニチン[オレイルカルニチン]
3−ヒドロキシオクタデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシオレイルカルニチン]
アセチルカルニチン
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
ブテノイルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
イソバレリルカルニチン/2−メチルブチリルカルニチン/バレリルカルニチン
チグリルカルニチン/3−メチル−クロトニルカルニチン
グルタリルカルニチン/ヒドロキシカプロイルカルニチン
グルタリルカルニチン/ヒドロキシカプロイルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
3−ヒドロキシイソバレリルカルニチン/3−ヒドロキシ−2−メチルブチリルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ヘキセノイルカルニチン
ピメリルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
オクテノイルカルニチン
ノナノイルカルニチン[ペラルゴニルカルニチン]
シトルリン
クレアチニン
グルタミン
PTC−グルタミン
グルタミン酸塩
ヒスチジン
PTC−ヒスチジン
キヌレニン
ロイシン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C16:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C16:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:2のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C20:3のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C20:4のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C24:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C6:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
PTC−メチオニン
オルニチン
PTC−オルニチン
合計C24:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C28:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
プロスタグランジンD2
フェニルアラニン
PTC−フェニルアラニン
プロリン
PTC−プロリン
プトレシン
セリン
PTC−セリン
合計C14:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:2のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C22:3のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C26:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C26:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
コハク酸(コハク酸塩)
ジメチルアルギニン全体:ADMAおよびSDMA
トリプトファン
PTC−トリプトファン
チロシン
バリン
PTC−バリン
ロイシンおよびイソロイシン
からなる群より選択される請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【請求項8】
生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される統計的な安定性指標に基づいて、安定性を示す代謝産物を前記内因性の参照代謝産物として用いることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される少なくとも2つの統計的な安定性指標に基づいて、安定性を示す代謝産物を前記内因性の参照代謝産物として用い、かつ/または前記内因性の参照代謝産物が、
PTC−アルギニン
カルニチン(遊離)
デセノイルカルニチン
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
ドデセノイルカルニチン
ドデカンジオイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
テトラデカノイルカルニチン
3−ヒドロキシテトラデカノイルカルニチン[ヒドロキシミリスチルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
3−ヒドロキシオクタデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシオレイルカルニチン]
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
3−ヒドロキシイソバレリルカルニチン/3−ヒドロキシ−2−メチルブチリルカルニチン
ヘキセノイルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ピメリルカルニチン
オクテノイルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
グルタミン
PTC−グルタミン
PTC−ヒスチジン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
合計C24:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
フェニルアラニン
PTC−フェニルアラニン
プロリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C14:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:2のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
コハク酸(コハク酸塩)
PTC−トリプトファン
バリン
PTC−バリン
ロイシンおよびイソロイシン
からなる群より特に選択されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【請求項10】
前記内因性の参照代謝産物が、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される少なくとも3つの統計的な安定性指標に基づく安定性を示し、かつ/または前記内因性の参照代謝産物が、
カルニチン(遊離)
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
ドデカンジオイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ピメリルカルニチン
オクテノイルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
グルタミン
PTC−グルタミン
PTC−ヒスチジン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
バリン
PTC−バリン
からなる群より特に選択されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【請求項11】
前記内因性の参照代謝産物が、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される全ての統計的な安定性指標に基づく安定性を示し、かつ/または前記内因性の参照代謝産物が、合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリンであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
なお、「C42:6」という表現は、アシル基の鎖長を示すものであり、42はアシル基中の全炭素原子数を表し、6はアシル基中の全二重結合数を表す。
【請求項12】
前記複数の内因性の参照代謝産物が、2以上80以下、具体的には2以上60以下、好ましくは2以上50以下、望ましくは2以上30以下、より望ましくは2以上10以下、特に望ましくは2以上10以下、さらに好ましくは3以上5以下の内因性の参照代謝産物を含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
分子量が1500Da未満であり、
アミノ酸、具体的には、アルギニン、アスパラギン酸、シトルリン、グルタミン酸(グルタミン酸塩)、グルタミン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、オルニチン、プロリン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、チロシン、バリン、キヌレニン、
フェニルチオカルバミルアミノ酸(PTC−アミノ酸)、具体的にはPTC−アルギニン、PTC−グルタミン、PTC−ヒスチジン、PTC−メチオニン、PTC−オルニチン、PTC−フェニルアラニン、PTC−プロリン、PTC−セリン、PTC−トリプトファン、PTC−チロシン、PTC−バリン、
ジメチルアルギニン、具体的には、N,N−ジメチル−L−アルギニン、
カルボン酸、すなわち15(S)−ヒドロキシ−5Z,8Z,11Z,13E−エイコサテトラエン酸[(5Z,8Z,11Z,13E,15S)−15−ヒドロキシイコサ−5,8,11,13−テトラエン酸]、コハク酸(コハク酸塩)、
カルニチン、アシル基に1以上20以下の炭素原子を有するアシルカルニチン、アシル基に3以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上4以下の二重結合を有するアシルカルニチン、アシル基に1以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上3以下のOH基を有するアシルカルニチン、アシル基に3以上20以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上4以下の二重結合および1以上3以下のOH基を有するアシルカルニチン、
リン脂質、具体的には、アシル基に1以上30以下の炭素原子を有するリゾホスファチジルコリン(モノアシルホスファチジルコリン)、アシル基に3以上30以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上6以下の二重結合を有するリゾホスファチジルコリン、
アシル基に合計1以上50以下の炭素原子を有するホスファチジルコリン(ジアシルホスファチジルコリン)、アシル基に合計3以上50以下の炭素原子を有し、かつアシル基に1以上8以下の二重結合を有するホスファチジルコリン、
スフィンゴ脂質、具体的には、
アシル鎖に合計10以上30以下の炭素原子を有するスフィンゴミエリン、アシル鎖に合計10以上30以下の炭素原子および1以上5以下の二重結合を有するスフィンゴミエリン、アシル基に合計10以上30以下の炭素原子を有するヒドロキシスフィンゴミエリン、アシル基に合計10以上30以下の炭素原子および1以上5以下の二重結合を有するヒドロキシスフィンゴミエリン、
プロスタグランジン、すなわち、6−ケト−プロスタグランジンF1α、プロスタグランジンD2、
プトレシン
からなる群より選択される複数の化合物またはそれらの誘導体の、メタボローム解析における内因性の参照代謝産物としての使用。
【請求項14】
前記メタボローム解析法が、質量分析(MS)法、具体的にはマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)法、電子スプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法、必要に応じてMS法と組み合わされた1H−、13C−および/または31P−核磁気共鳴分光(NMR)法により内因性の代謝産物定量のための強度データを生成する工程と、
分離方法、具体的には液体クロマトグラフィー(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー(GC−MS)またはキャピラリー電気泳動法(CE−MS)と組み合わせたMS技術および/または方法を用いて代謝産物の濃度を決定する工程とを含むことを特徴とする請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記内因性の参照代謝産物が、
15(S)−ヒドロキシ−5Z,8Z,11Z,13E−エイコサテトラエン酸
6−ケト−プロスタグランジンF1α
非対称ジメチルアルギニン
アルギニン
PTC−アルギニン
アスパラギン酸
カルニチン(遊離)
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
デセノイルカルニチン
デカジエノイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
ドデセノイルカルニチン
ドデカンジオイルカルニチン
テトラデカノイルカルニチン
テトラデセノイルカルニチン[ミリストレイルカルニチン]
3−ヒドロキシテトラデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシミリストレイルカルニチン]
3−ヒドロキシテトラデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシテトラデカノイルカルニチン[ヒドロキシミリスチルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
ヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
オクタデカノイルカルニチン[ステアリルカルニチン]
オクタデセノイルカルニチン[オレイルカルニチン]
3−ヒドロキシオクタデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシオレイルカルニチン]
アセチルカルニチン
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
ブテノイルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
イソバレリルカルニチン/2−メチルブチリルカルニチン/バレリルカルニチン
チグリルカルニチン/3−メチル−クロトニルカルニチン
グルタリルカルニチン/ヒドロキシカプロイルカルニチン
グルタリルカルニチン/ヒドロキシカプロイルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
3−ヒドロキシイソバレリルカルニチン/3−ヒドロキシ−2−メチルブチリルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ヘキセノイルカルニチン
ピメリルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
オクテノイルカルニチン
ノナノイルカルニチン[ペラルゴニルカルニチン]
シトルリン
クレアチニン
グルタミン
PTC−グルタミン
グルタミン酸塩
ヒスチジン
PTC−ヒスチジン
キヌレニン
ロイシン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C16:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C16:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C18:2のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C20:3のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C20:4のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C24:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C6:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
PTC−メチオニン
オルニチン
PTC−オルニチン
合計C24:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C28:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:3のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:2のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:3のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
プロスタグランジンD2
フェニルアラニン
PTC−フェニルアラニン
プロリン
PTC−プロリン
プトレシン
セリン
PTC−セリン
合計C14:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:2のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C22:3のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C26:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C26:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
コハク酸(コハク酸塩)
ジメチルアルギニン全体:ADMAおよびSDMA
トリプトファン
PTC−トリプトファン
チロシン
バリン
PTC−バリン
ロイシンおよびイソロイシン
からなる群より選択される請求項13または14記載の使用。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【請求項16】
前記内因性の参照代謝産物が、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される統計的な安定性指標に基づく安定性を示すことを特徴とする請求項13から15のいずれか1項記載の使用。
【請求項17】
前記内因性の参照代謝産物が、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される少なくとも2つの統計的な安定性指標に基づく安定性を示し、かつ/または前記内因性の参照代謝産物が、
PTC−アルギニン
カルニチン(遊離)
デセノイルカルニチン
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
ドデセノイルカルニチン
ドデカンジオイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
テトラデカノイルカルニチン
3−ヒドロキシテトラデカノイルカルニチン[ヒドロキシミリスチルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデカジエノイルカルニチン
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
3−ヒドロキシオクタデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシオレイルカルニチン]
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
3−ヒドロキシイソバレリルカルニチン/3−ヒドロキシ−2−メチルブチリルカルニチン
ヘキセノイルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ピメリルカルニチン
オクテノイルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
グルタミン
PTC−グルタミン
PTC−ヒスチジン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
合計C24:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:4のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C30:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C34:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:1のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
フェニルアラニン
PTC−フェニルアラニン
プロリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C18:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C14:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C22:2のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
コハク酸(コハク酸塩)
PTC−トリプトファン
バリン
PTC−バリン
ロイシンおよびイソロイシン
からなる群より特に選択されることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項記載の使用。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【請求項18】
前記内因性の参照代謝産物が、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される少なくとも3つの統計的な安定性指標に基づく安定性を示し、かつ/または前記内因性の参照代謝産物が、
カルニチン(遊離)
デカノイルカルニチン[カプリルカルニチン](フマリルカルニチン)
ドデカンジオイルカルニチン
ドデカノイルカルニチン[ラウリルカルニチン]
ヘキサデセノイルカルニチン[パルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデセノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトレイルカルニチン]
3−ヒドロキシヘキサデカノイルカルニチン[3−ヒドロキシパルミトイルカルニチン]
プロペノイルカルニチン
ヒドロキシプロピオニルカルニチン
3−ヒドロキシブチリルカルニチン/マロニルカルニチン
メチルグルタリルカルニチン
ヘキサノイルカルニチン[カプロイルカルニチン]
ピメリルカルニチン
オクテノイルカルニチン
オクタノイルカルニチン[カプリリルカルニチン]
グルタミン
PTC−グルタミン
PTC−ヒスチジン
C14:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:0のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C26:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
C28:1のアシル基を有するリゾホスファチジルコリン
合計C26:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C32:2のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C36:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:0のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:1のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリン
合計C38:4のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C40:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:0のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C42:5のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C44:6のアシルアルキル基を有するホスファチジルコリン
合計C16:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C16:1のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C20:2のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:0のアシル基を有するスフィンゴミエリン
合計C24:1のアシル基を有するヒドロキシスフィンゴミエリン
バリン
PTC−バリン
からなる群より特に選択されることを特徴とする請求項13から17のいずれか1項記載の使用。
なお、「Cn:mの〜基」または「合計Cn:mの〜基」という表現は、アシル/アルキル基の鎖長を示すものであり、nはアシル/アルキル基中の全炭素原子数を表し、mはアシル/アルキル基中の全二重結合数を表す。
【請求項19】
前記内因性の参照代謝産物が、生強度データの変動係数(CV)、対数強度データの標準偏差(SD)、geNormアルゴリズムの安定性指標(M)またはNormFinderアルゴリズムの安定性指標(ρ)からなる群より選択される全ての統計的な安定性指標に基づく安定性を示し、かつ/または前記内因性の参照代謝産物が、合計C42:6のジアシル基を有するホスファチジルコリンであることを特徴とする請求項13から18のいずれか1項記載の使用。
なお、「C42:6」という表現は、アシル基の鎖長を示すものであり、42はアシル基中の全炭素原子数を表し、6はアシル基中の全二重結合数を表す。
【請求項20】
前記複数の内因性の参照代謝産物が、2以上80以下、具体的には2以上60以下、好ましくは2以上50以下、望ましくは2以上30以下、より望ましくは2以上10以下、特に望ましくは2以上10以下、さらに好ましくは3以上5以下の内因性の参照代謝産物を含むことを特徴とする請求項13から19のいずれか1項記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−531578(P2012−531578A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516718(P2012−516718)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058911
【国際公開番号】WO2011/000753
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(511314566)バイオクレイツ ライフ サイエンシズ アクチェンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】