説明

メタリック塗料、それを製造するための方法、およびその使用

本発明は、水および/または有機溶媒、およびさらには少なくとも1種の膜形成剤、少なくとも1種の有機官能性シラン、および少なくとも1種のメタリック効果顔料を含むメタリック塗料に関し、そのメタリック効果顔料は、リーフィングアルミニウム顔料である。
本発明はさらに、本発明のメタリック塗料を調製するためのプロセス、およびその使用にも関する。さらに、本発明のメタリック塗料を用いて塗装された物品、ならびに車両の仕上げ塗装にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水および/または有機溶媒、さらには有機官能性シランを含む少なくとも1種の膜形成剤、および少なくとも1種のリーフィングメタリック効果顔料を含むメタリック塗料に関する。本発明はさらに、このメタリック塗料を調製するためのプロセス、さらにはその使用、さらにはこのメタリック塗料を用いて塗装した物品、およびリム仕上げ塗装に関する。
【背景技術】
【0002】
作業対象物、例を挙げればたとえば車両部品では、光学、装飾、ならびに腐食および摩耗の防止の目的でコーティングが用いられる。
【0003】
従来からのコーティング法は、クロム処理法、蒸発法、または塗装法である。
【0004】
クロム処理法、特に光沢クロム処理法の場合には、鉄、銅、銅−亜鉛、銅−スズ、およびアルミニウムの材料が従来から使用されている。しかしながら、クロム処理する作業表面は多くの場合、人の手によるか、または機械的な研磨をする必要がある。
【0005】
これまた金属表面をコーティングするために使用される、加熱蒸発法(蒸着法、気相コーティング法)は、高真空をベースとするコーティング技術であって、PVDプロセスの項目に分類される。この操作のための典型的な材料は、たとえばアルミニウム、銅、銀、および金のような金属であるが、他の好適な材料であってもよい。しかしながら、この公知のコーティング法は、かなり高いレベルの技術的複雑さを必要とする。
【0006】
車両の仕上げ塗装、特にリム仕上げ塗装の場合、メタリック塗料が特に有利に使用される。
【0007】
DIN 971−1(09/1996)に従えば、塗料とは、液状、ペースト状または粉体状の形態にあるコーティング材料であって、基材に塗布したときに、保護的、装飾的または特定の技術的性能を有する被覆コーティングを作り出すものである。塗料の主成分は、バインダー、溶媒、顔料、充填剤、および塗料助剤である。これらの塗料は、各種の技術的観点に従って細分類される。
【0008】
メタリック塗料は、効果塗料であって、メタリック光沢、高い明/暗フロップ性、および高い明度、さらには高い隠蔽力を典型的な特徴とする。メタリック仕上げ塗装。それらは微小板形状のメタリック顔料を含んでいて、それが、塗布されると、基材にほとんど平行な配向をとる。このようにして、無数の小さな鏡の作用により、指向性の反射が作られて、それがメタリック光沢をもたらす。しかしながら、常にある程度の割合で発生する散乱光も存在するが、これは、顔料の配向が面に完全に平行になってはいない結果として、およびさらには個々の顔料粒子の粗さ、たとえば端部や凹凸のある表面の結果として生じたものである。したがって、メタリック仕上げ塗装は、指向性光と拡散性散乱光の相互作用を特徴とし、それが明/暗フロップ性を生み出す。さらに、一般的なメタリック仕上げ塗装の場合においては、すでに個々の顔料粒子を見分けることは不可能ではあるものの、それにもかかわらず、塗料に対する粒子の組織は見分けることが常に可能である。この現象は、色度測定により検出することは困難である。
【0009】
したがって、一般的には、微小板形状のメタリック顔料によって着色されたメタリック塗料の視覚上の外観は、散乱効果が実質的に存在しない純粋な金属表面の外観とは異なる。
【0010】
メタリック塗料は、高価なPVDメタリック顔料を使用しても得ることができる。
【0011】
PVD顔料は、その調製がかなり高額であるが、非リーフィング顔料、すなわち、バインダーによって完全に濡らされ、塗料膜の表面ではなく、塗料膜全体に分散する顔料である。PVD顔料塗料では、塗料の全重量を基準にして、バインダーの割合がわずか約10重量%までであり、そのために、顔料の光学的な塗装の性質、たとえば光沢が全面的に現れる。
【0012】
PVDメタリック顔料を含むメタリック塗料を用いて所望の仕上げ塗装効果を得るためには、その塗装される基材が、極めて滑らか(平坦)で、完全な前処理をされていなければならない。さらに、摩擦傷を持つ作業対象物は、PVDメタリック顔料を含むメタリック塗料で塗装することは、摩擦傷を隠せないために、不可能であるというのも不利な点である。それに加えて、仕上げ塗装の欠陥を消し去ることも不可能である。代わりに、仕上げ塗装の欠陥がある場合には、そのPVD仕上げ塗装を作業対象物から取り除き、その作業対象物を新規に塗装し直さなければならない。
【0013】
さらに、PVD顔料を含むこれら公知のクロム効果塗料は、特にスプレー仕上げ塗装の場合においては、塗料表面に「まだら模様」、すなわち異なった明暗を有する色むらの領域を形成する傾向があり、そのために、塗料表面の光学的品質に悪影響を与える。まだら模様は、従来からのアルミニウム顔料の不均一な配向、特に仕上げ塗装においてほとんど垂直に立っているアルミニウム顔料の結果である。
【0014】
これらの仕上げ塗装の欠陥は、大表面積の材料、たとえば車体部品の仕上げ塗装において特に現れる。さらに、最適な仕上げ塗装効果は、特定の塗布方式(乾式、湿式)のパラメーターに依存する。
【0015】
PVD顔料塗料のさらなる欠点は、水性コーティング組成物における管理が困難なことである。それらが極端に高くかつ滑らかな比表面積を有しているために、集塊する傾向が極めて高い。さらに、PVD顔料塗料の塗布はかなり難しい。均質な外観を有する自動車の仕上げ塗装は、多くの塗装工程において、薄膜コートで人の手による塗装の手段によってのみ達成可能である。そのように繊細な塗布行為は、たとえば車両の仕上げ塗装においては普通の自動化塗装の類とは相容れないものである。
【0016】
リーフィング顔料は界面張力が高いために、バインダーによって濡れることがなく、そのため、水性塗料膜の中で浮上して、塗料膜の表面で配向される。この効果は、メタルショット、たとえばアルミニウムスプレーショットの粒子を摩砕させる際に、粉砕助剤としてステアリン酸を使用することによって得られる。このタイプの微小板形状のリーフィング顔料は、塗料表面で、塗料表面に対して平行に配向されたメタリック効果顔料からなる、密度の高い鏡を形成する。しかしながら、高いメタリック光沢を有するこれらのメタリック効果顔料は、極めて低い拭き取り抵抗性および引っ掻き抵抗性しか有していないが、その理由は、メタリック効果顔料のバインダーマトリックス中への固定が、不十分であるからである。したがって、それらの浮上挙動の結果として、リーフィング顔料は塗料表面に、密度の高いバリヤー層を作り出す。その結果、たとえばクリヤコートを用いた再コーティングをするための効果的な余地が、もはや存在し得ない。このバリヤー層が、ベースコート表面に対するトップコートの信頼できる接着を邪魔し、妨害して、その結果、塗装された物品を使用しているうちに、トップコート膜が剥がれたり、メタリック効果顔料を含むコートが損傷を受けたりすることが起こりうる。さらに、トップコート、たとえばクリヤコートが、メタリックベースコートの光学的性質、特にその光沢に悪影響を与える、すなわち光沢が低下する。
【0017】
従来からのメタリック仕上げ塗装のさらなる本質的に不利な点は、それらの拭き取り抵抗性および引っ掻き抵抗性(これらは日常的な使用にも十分でない)、ならびに、先に述べたようにバインダーマトリックスの中でのアルミニウムフレークの固定が不十分であるための、それらの摩耗安定性(DIN 55923)である。
【0018】
環境に優しい水性塗料系、たとえば水系塗料の中でアルミニウム効果顔料を使用する場合、アルミニウムと水との化学反応を防いで、望ましくない水素の発生を抑制しなければならないという問題がある。この問題に対処する目的で採用される、従来からの、たとえばステアリン酸などの粉砕助剤によって、アルミニウム表面を疎水化させることは、通常、アルミニウム顔料と水との反応を防止するには十分ではなく、そのために、メタリック光沢の低下や、たとえば集塊による貯蔵安定性への悪影響がある。したがって、水性塗料系、たとえば使用される水系塗料では、使用されるアルミニウム効果顔料には、腐食防止コーティングをする。腐食防止効果は、たとえば、アルミニウム表面に腐食防止剤、たとえば有機リン化合物を適用することによって与えられる。さらに、アルミニウム顔料を不動態化させる、すなわち、たとえばクロメート処理のようないわゆる化成被膜によって腐食から保護してもよい(EP 0 259 592 B1)。第三の安定化原理は、化学的に不活性で、ほとんど透明なコート、その典型は、たとえばSiOコーティングのような、ゾル/ゲル法によって得られる保護コートであり、その中にアルミニウム効果顔料を完全に包埋させる方法に基づくものである。
【0019】
高光沢メタリック塗料の着色では、薄い、微小板形状の、リーフィングアルミニウム効果顔料を使用するのが有利であるが、このものはアルミニウムショットの摩砕成形で得られ、「シルバーダラー」とも呼ばれる。微粉砕摩砕からのアルミニウム顔料(「コーンフレーク」と呼ばれる)に比較して、これらのアルミニウム効果顔料は、比較的丸い形状と、比較的滑らかな表面を有している。コーンフレークとも呼ばれているアルミニウム効果顔料は、表面がより粗く、端部の一部にぎざぎざがある点で、シルバーダラーとも呼ばれているアルミニウム効果顔料とは異なっている。
【0020】
WO 01/81483は、車両の仕上げ塗装のための特に優れた剪断安定性を有する、顔料の調製法と、それから製造される水性の効果ベースコートに関する。その顔料調製法には、少なくとも1種のカルボキシル官能性樹脂および水混和性有機溶媒、さらにケイ素−酸素マトリックスを用いてコーティングされた金属顔料が含まれるが、そのような顔料の例は、アルミニウム顔料、たとえばEckartから市販されている“STAPA IL Hydrolan”という非リーフィングアルミニウム効果顔料である。そこに記載されている塗料組成物は、典型的なメタリック塗料に相当するが、ただし、クロム効果塗料の特徴は有していない。
【0021】
さらに、WO2006/110331A1には、金属、プラスチック、その他の基材のための腐食防止塗料のためのコーティング組成物が開示されている。これらの組成物には、100〜325メッシュの粒子サイズを有する(フレークの形状およびさらには金属粉体の)金属顔料粉体が含まれる。米国標準局によれば、これは、D100が約212μm、D50が約62μmの顔料に相当する。
【0022】
DE 100 39 404 A1は、金属表面上での腐食を防止するための、有機変性された無機着色組成物に関する。この組成物は、ポリシロキサンをベースとしてゾル−ゲルプロセスの手段により調製されるが、それは、「潤滑剤」、たとえばステアリン酸の存在下に、ボールミル中で円形のアルミニウム粒子が従来からの摩砕法によって調製され、少なくとも0.5μmの平均粒子径を有するリーフィングメタリック顔料を用いて着色されていてよい。
【0023】
対照的に、DE 198 20 112 A1には、少なくとも1種の反応性表面変性剤を用いてコーティングされ、インキ、印刷インキ、塗料、コーティング、およびプラスチックを調製することを目的としている効果顔料が開示されている。1〜200μmの粒子サイズを有するこれらの効果顔料には、なかんずくアルミニウム効果顔料が含まれ、インキまたは塗料のバインダーまたは溶媒によって容易に濡らされるだけではなく、液状の塗料膜の中で効果的な配向をとり、さらには、それらを取り巻いているバインダーマトリックスと密接な結合をして、塗布媒体の性質、たとえば風化作用安定性、腐食防止、ブリリアンス、および衝撃強さを向上させると言われている。
【0024】
半透明のポリシロキサンコーティングを有するリーフレット形状の非リーフィングおよびリーフィングアルミニウム顔料の静電スプレー湿式塗料における使用が、DE 263 07 31 B2から公知である。もっぱら静電気の手段によって適用することが可能である、この湿式塗料は、溶媒中の溶液の状態にあるシラン化合物を、メタリック顔料のペーストの中に組み込むと同時に、公知の方法で加水分解を開始させることによって調製される。シランの加水分解および/または架橋は、化学的または熱的に達成される。
【0025】
DE 10100195 A1は、効果顔料、バインダー、および少なくとも2種の脂肪酸の中和性混合物を含む水性効果コーティング材料に関する。その可能な用途に自動車車両の仕上げ塗装が含まれる、このコーティング材料においては、使用可能な顔料に、これらの顔料のタイプに特有の粒子径を有する、不動態化されたシルバーダラーおよびコーンフレークアルミニウム効果顔料が含まれる。
【0026】
WO 2005/118722には、さらに、少なくとも1種の水混和性膜形成剤、および少なくとも1種の無機腐食防止コートを有する微小板形状のアルミニウム顔料を含む水性コーティング組成物が開示されている。高光沢な自動車用仕上げ塗装でも使用することが可能な、このコーティング組成物の中に存在する不動態化されたアルミニウム効果顔料(その顔料はスプレーショット法の機械的な成形によって調製される)は、少なくとも50nmの平均厚みを有する。塗布した場合、ここに記述されたコーティング組成物は、クロム効果塗料の光沢は有していない。
【0027】
DE 697 06 471 T2は、金属基材、たとえば鋼材を含めた基材に熱硬化によって適用することが可能な、水で希釈ができるコーティング組成物に関する。このコーティングは腐食防止コーティングとして使用され、その成分には、高沸点有機液体(100℃を超える沸点)、微粒子からなる金属、たとえばアルミニウムフレーク、および水で還元可能なエポキシ官能性シランバインダーが含まれる。
【0028】
DE 20 2006 016 073U1には、自動車車両および自動車車両部品のためのクロム効果塗料およびクロム効果仕上げ塗装が開示されている。このクロム効果塗料には、10μm以下の平均粒子サイズを有する非リーフィングアルミニウム顔料と、少なくとも1種の有機溶媒、たとえばブチルグリコールとの懸濁液が含まれる。権利主張されたクロム効果仕上げ塗装は、少なくとも1種のアンダーコート、アルミニウム顔料を含む効果コート、およびさらにクリヤコートからなる。
【0029】
DE 101 54 030 A1には、自動車車両の車体/部品への仕上げ塗装を含めた用途に有用である筈の、水性効果コーティング組成物が開示されている。この公知のコーティング材料には、異なった種類のバインダー、たとえば(メタ)アクリレートコ(ポリマー)とポリウレタン、効果顔料、ならびに効果顔料のための安定化剤の機能と架橋剤の機能とを果たすケイ素化合物が含まれている。規定されている効果顔料には、異なった使用形態における複数の顔料タイプ、たとえば、有機および無機の着色顔料、金属フレーク顔料、および非メタリック効果顔料の形態が含まれる。しかしながら、その出願の主題を説明する唯一の実施例においては、アルミニウム効果顔料が挙げられているが、物理的特性についてのさらなる記載はない。
【0030】
DE 696 25 797 T2には、水系コーティング材料において使用するための硬化可能な樹脂組成物が開示されている。新規な樹脂組成物を使用し、多くの用途の中でもたとえば自動車分野での使用を目的として製造されたそのコーティング材料は、実質的に改良されたコーティング性能および硬化性能、さらには優れた耐候性、耐溶媒性、耐薬品性、および耐水性を有すると言われている。この公知のコーティング材料(樹脂組成物)には、三級アミノ基を有する少なくとも1種のエマルションポリマー(A)ならびに少なくとも1種のエポキシ基および加水分解性シリル基を有する化合物(B)を含み、その上に、さらなる化合物(C)も含んでいてよい。メタリックな輝きのある表面を得るためには、このコーティング材料は、さらに、アルミニウムペーストを含んでいてもよいが、それについては、さらに詳細な記述がない。
【0031】
DE 10 2005 026 523 A1は、腐食防止コーティングを得るための、金属顔料、エポキシバインダー成分、およびアミン系硬化剤を含む、2成分系耐腐食塗料に関する。この公知の保護塗料は、微小板様の金属顔料および少なくとも1種のエポキシシランおよび/またはエポキシシリコーン、さらに有機溶媒を含む成分(A)ならびに少なくとも1種のアミン系硬化剤および微小板様の金属顔料および有機溶媒を含む成分(B)とからなっている。この公知の耐腐食塗料においては、亜鉛およびアルミニウムを含む微小板様のメタリック顔料が、各種異なった重量割合および混合比で使用されている。この塗料の場合、光学的−装飾的な性質は関心外である。
【0032】
最後に、DE 0 451 785 B1では、従来からの湿式摩砕法で調製され、高い反射率と高い不透明性とを有する非リーフィングアルミニウム顔料が提供されている。被膜によって不動態化されたそのアルミニウム顔料の平均粒子径は、5〜25μmである。
【発明の概要】
【0033】
本発明の目的は、調製するのが容易であり、貯蔵安定性があり、そして低レベルの着色で、極めて高いメタリック光沢と、好ましくは、実質的に非構造性の、干渉性液体金属膜の外観とを与える仕上げ塗装を可能とする、新規なメタリック効果塗料を提供することである。
【0034】
その意図するところは、水系または溶媒系のメタリック塗料を単層コート系として使用すること、およびそれを再コーティングすることの両方を可能とすることであり、すなわち、2層コートまたは多層コート系に発展させることを可能とすることである。さらに、この新規なメタリック塗料は、好ましくは高い隠蔽力および摩擦傷被覆性、低い汚れ付着性、高い耐引っ掻き性および耐摩耗性、および/または高い耐薬品性および風化作用安定性を有するメタリック塗料を用いた、車両の仕上げ塗装、特にリム仕上げ塗装において特に有利に使用できるべきである。
【0035】
本発明のさらなる目的は、安価なメタリック効果顔料を含むメタリック塗料を提供することである。
【0036】
さらに、その新規なメタリック塗料は、PVD顔料を含むメタリック塗料よりも容易に適用できるべきである。
【0037】
この目的は、水および/または有機溶媒、少なくとも1種の膜形成剤、少なくとも1種の有機官能性シラン、および少なくとも1種のリーフィングメタリック効果顔料を含むメタリック塗料を提供することにより達成されるが、ここでそのメタリック効果顔料は、リーフィングアルミニウム効果顔料である。
【0038】
本発明のメタリック塗料は、クロム効果を特徴とし、そのため、クロム効果を有するメタリック塗料と呼ぶことも可能である。
【0039】
「クロム効果塗料」とは、成膜用途において、金属化された、より詳しくはクロム化された表面の光学的性質を大いに有する塗料である。このことは、特に、極端に高い光沢、および実質的に非構造性の、干渉性液体金属膜の外観を意味している。本発明の文脈においては、クロム効果塗料は、350光沢単位を超える光沢値を有している。この光沢値は、Byk−Gardenerのmicro−Tri−gloss μ装置を使用し、メーカーの取扱説明書に従って、60度の測定角で求めることが可能な無次元指数である。
【0040】
一つの好ましい実施態様においては、本発明のメタリック塗料を適用した後では、350単位を超える、より好ましくは400単位を超える、さらにより好ましくは425単位を超える光沢値を有し、それによって、クロム効果塗料の性質を有している。これらの光沢の測定は、Byk−Gardenerからのmicro−Tri−gloss μ装置を使用し、メーカーの取扱説明書に従って、60度の測定角で実施される。
【0041】
本発明において使用するためのアルミニウム効果顔料は、機械的成形処理、好ましくは摩砕によって得られる微小板形状のアルミニウム顔料を含んでいるのが好ましい。
【0042】
リーフィングアルミニウム効果顔料を用いた本発明のメタリック塗料の好適な展開法は、従属請求項2〜22において特定されている。
【0043】
本発明のベースとなっている目的は、さらに、本発明のメタリック塗料を調製するための請求項23に記載のプロセスによって達成されるが、前記プロセスには、次の、リーフィングアルミニウム効果顔料、少なくとも1種の有機官能性シラン、および少なくとも1種の膜形成バインダーを組み合わせるステップが含まれる。
【0044】
本発明の一つの好ましい展開においては、塗料を塗布するために必要な粘度を、有機溶媒および/または水を添加することによって生じさせることができる。
【0045】
さらに、本発明のプロセスの場合、本発明のプロセスにおいて、ペーストの形態にあるリーフィングアルミニウム顔料を、さらなる成分、およびさらに水および/または有機溶媒と組み合わせて、メタリック塗料を得るのが好ましい。
【0046】
本発明のプロセスの一つの展開においては、リーフィングアルミニウム効果顔料を、少なくとも1種の有機潤滑剤、好ましくはステアリン酸を使用して、アルミニウム粒子を機械的摩砕および/または機械的成形することによって調製する。
【0047】
本発明のベースとなっている目的は、さらに、請求項1〜22のいずれかに記載の本発明のメタリック塗料の使用、および本発明のメタリック塗料を用いて塗装された物品、好ましくは車両リム、ラジエータグリル、ドアハンドル、トリムストリップ、バンパーなど、およびさらに車両仕上げ塗装、好ましくはリム仕上げ塗装によって達成される。
【0048】
請求項1〜22のいずれかに記載の本発明のメタリック塗料は、好ましくは、傑出したメタリック効果を有する高光沢コーティング、たとえば自動車の塗装、再仕上げ塗装、産業用コーティング、ならびに金属、プラスチック、木材またはガラスの上へのコーティングに使用される。
【0049】
本発明のメタリック塗料を調製するには、Eckart GmbH & Co.KG、D−91235 Velden、Germanyから市販されているリーフィングアルミニウム顔料ペースト、このものには、イソプロパノールおよびステアリン酸の存在下にボールミル加工することにより得られたアルミニウム効果顔料が含まれているが、これを分散させるのが有利であり、その分散は、市販の有機溶媒、たとえばイソプロパノールの中で実施し、そして、この顔料分散体を、少なくとも1種の市販の有機官能性シラン、たとえばエポキシシラン、および好ましくは少なくとも1種の樹脂成分を含む少なくとも1種の市販の膜形成バインダーと混合して、塗料を形成する。得られた塗料は、有機溶媒、たとえばブチルグリコールを用いるかおよび/または水を用いて必要な塗布粘度にまで希釈し、作業対象物、たとえば車両構成部品、たとえば、車両リム、または非金属表面、たとえば、プラスチック、木材またはガラスなどに、公知の方法、たとえば高圧スプレー法を用いて塗布することができる。
【0050】
驚くべきことには、エポキシシラン含有バインダーと共にリーフィングアルミニウム効果顔料を含む塗料を提供することによって、液体金属を模する極めて高い光沢度と非構造性の外観を有するメタリック仕上げ塗装が得られることが見出された。
【0051】
それらのリーフィング性能によって、そのアルミニウム効果顔料は主として塗布された塗料膜の表面またはその近辺に局在して極めて良好な配向性を示し、その結果、好ましくは350光沢単位を超える極めて高い塗料光沢が得られる。
【0052】
しかしながら、驚くべきことには、このタイプの仕上げ塗装は、再コーティングすることが可能であるが、これは、従来技術に従ったリーフィングアルミニウム効果顔料では不可能なことであった。通常は、リーフィングアルミニウム効果顔料は耐摩耗性がなく、ベースコートとその次のクリヤコートとの間のバリヤーとなって、これらのコートの間の接着性が不十分となる。明らかに、エポキシシランを添加したことによってまさにこの必要とされる接着性が得られているが、ただし、現時点においては、正確なメカニズムは不明である。
【0053】
エポキシシランが、少なくとも部分的には加水分解および縮合プロセスによって、Si−O−Al結合を介して金属顔料の表面に結合されているものと考えられる。そのエポキシラジカルが、次いで、クリヤコート系に対して架橋のために利用される。
【0054】
驚くべきことには、上述の目的を達成するのに特に適した、2種のアルミニウム効果顔料が特に存在することもまた見出された。いずれの顔料も、従来からの湿式摩砕によって調製されるので、PVD法によるものではない。
【0055】
実質的に面に平行な配列になっている顔料を使用したX線回折図測定においては、これらのアルミニウム効果顔料は、[111]反射および/または[222]反射に相当しない、一つ、二つまたはそれ以上のメインピークを示す。
【0056】
したがって、本発明のメタリック塗料において使用されるアルミニウム効果顔料は、そのX線回折測定挙動において、PVD顔料とは顕著に異なっている。X線回折法(XRD、−Ray eflection iffraction)の手段によって微小板形状のアルミニウム顔料のサンプルを検討するために、顔料をまず、サンプル基材に対して実質的に面に平行に配向させる。適切な装置は、原理的には、各種市販のX線回折計である。
【0057】
本発明の目的においては、実質的に面に平行な配列とは、顔料の少なくとも80%が、基材平行面に対して±15度の許容範囲内にあるということを意味している。
【0058】
PVD顔料は、常に、[111]面の反射による一つのメインピークを有することが見出された。[111]面とは、ミラー指数を意味している。[111]面は、面心立方様式で結晶化する金属で可能な最密面に相当する。アルミニウムを箔の上にスパッタすると、このタイプの結晶が形成されることは公知であるので、この結果自体公知のものである。しかしながら、驚くべきことには、本発明のアルミニウム顔料が、[111]面の反射でのメインピークを有していないことが判明した。[111]面の反射は、たとえ存在するとしても、常に弱い。メインピーク、または、場合によっては複数のメインピークは、好ましくは、[200]面および/または[220]面の反射に相当している。メインピークが[200]面に相当しているのが特に好ましい。
【0059】
PVD顔料の場合とは対照的に、本発明のメタリック塗料のアルミニウム効果顔料の場合においては、[111]/[200]の強度比が常に<1である。この比率は、好ましくは<0.5、より好ましくは<0.1である。
【0060】
これらの性質は、摩砕操作の間および/またはその後に、アルミニウム顔料が示す塑性変形状態を反映しているものと考えられる。形状を付与する摩砕手順の間に、少なくとも多結晶のアルミニウムショットが強い剪断力に暴露される。個々の結晶の間で相互に剪断が生じ、最密充填の[111]面が剪断面となるのは明らかである。当然のことながら、摩砕は、微小板表面に対して垂直の方向に起きるので、これらの面が微小板面から破壊除去されるが、このことは、回折図においてピーク強度が低下していくことからも明らかである。同時に、[200]面および[220]面のピークがより強くなる。
【0061】
一つの好ましい実施態様においては、問題となる顔料が、好ましくは、比較的粗いリーフィングアルミニウム効果顔料、好ましくはシルバーダラー顔料である。これらのリーフィングアルミニウム効果顔料、好ましくはシルバーダラー顔料は、比較的滑らかな表面と丸みをおびた端部とを有する微小板形状のアルミニウム効果顔料である。それらは、湿式摩砕によって得られるが、この方法は、本質的に、アルミニウムショットの形状付与摩砕操作からなっている。
【0062】
これらのリーフィングアルミニウム効果顔料、好ましくはシルバーダラー顔料は、好ましくは、アルコール系媒体、たとえばイソプロパノール、エタノールまたはn−ブタノール中における湿式摩砕によって調製される。使用される潤滑剤は、好ましくは長鎖飽和脂肪酸、たとえば、ステアリン酸、パルミチン酸またはラウリン酸である。
【0063】
さらなる好ましい実施態様においては、これらのリーフィングアルミニウム効果顔料、好ましくはシルバーダラー顔料は、特定のサイズ割合を有している。これらの比率は、体積平均サイズ分布の累積篩下分布曲線の特性パラメーターによって表されるが、これは、レーザー回折法の手段によって、常法に従って求められる。これを検討する目的ために、Cilas(France)製のCilas 1064装置を使用してこれらの値を求めた。
【0064】
それらの顔料は、好ましくは11〜35μm、より好ましくは13〜25μm、さらにより好ましくは15〜21μmのd50を有する。さらに、それらのサイズ分布において、これらのシルバーダラー顔料は、好ましくは23〜50μmのd90、より好ましくは25〜35μmのd90を有する。
【0065】
50は、顔料の50%が、表記されたサイズ範囲の中にあるということを意味している。d90は、顔料の90%が、表記されたサイズ範囲の中にあるということを意味している。
【0066】
50が11μm未満では、その顔料は、塗料用途において必要とされる光沢値をもはや有していない。d50が35μmを超えると、望ましくないきらめき効果および顕著な光沢低下が起きる。d50が25を超えると、干渉性の液体金属膜の視覚的印象が弱まる。
【0067】
リーフィング性を有するこれらの微小板形状のシルバーダラー顔料は、80を超え150nmまでの平均厚み、好ましくは100〜135nmの平均厚みを特徴とするのが好ましい。
【0068】
平均厚みは、たとえばDE 103 15 775 A1に記載されているようなSEMでの計数によるか、または、慣用される拡散法によって求めることができる。
【0069】
平均の微小板厚みが80nm未満であると、アルミニウム効果顔料の周縁領域に散乱中心が生じて、光沢性が低下する可能性がある。平均厚みが150nmを超えると、塗料の塗布物が、不十分な光沢値を示す。
【0070】
このタイプのリーフィングアルミニウム効果顔料、好ましくはシルバーダラー顔料の例は、市販されている顔料のVP−59710/G(Eckart)またはEBP 251(Silverline)である。
【0071】
これらのリーフィングシルバーダラー顔料を用いて製造した本発明のメタリック塗料は、それらが優れた再コーティング性を有しているので、主として多層コート仕上げ塗装に好適である。この文脈において、水性メタリック塗料が特に好ましい。
【0072】
本発明のまた別な好ましい実施態様においては、極端に薄いリーフィングアルミニウム効果顔料が、新規なメタリック塗料を調製するのに使用される。そのような顔料は、それらの光学的性質の観点からは、上述のシルバーダラー顔料とPVD顔料との間に位置するものであって、ほとんどの高価値用途において、少なくとも部分的にPVD顔料を置き換えることが可能である(たとえばDE 103 15 775 A1を参照されたい)。ここでは、「プラチナダラー顔料」という用語も使用する(Platindollar(登録商標)はEckart社のブランド名である)。
【0073】
プラチナダラーとも呼ばれ、極めて滑らかな表面および丸みをおびた端部を有し、高い隠蔽力を有する、これらの微小板形状のアルミニウム効果顔料は、極めて小さな平均厚みと、さらに極めて狭い厚み分布とを示す。
【0074】
本発明において使用されるアルミニウム顔料は、精細で、比較的に狭い帯域のアルミニウムグリットで、極端に穏やかな形状付与摩砕操作によって製造される。好ましくは、「アトマイザー」中で、液体アルミニウム、好ましくはアルミニウム溶融物のアトマイゼーションにより調製され、適切であるならば、所望の粒子サイズ分布に分級され、球状〜やや楕円状の形状のアルミニウム粒子を含む、そのアルミニウムグリットは、極めて狭いサイズ分布と、5重量%未満という低い酸化物含量を有する極めて微細な金属グリットである。このアルミニウムグリットは、公知のレーザー回折分光法によって(たとえばSympatec GmbH、Clausthal−Zellerfeld、Germany製のHelos装置によって)求めたサイズ分布が、dgrit,10<3.0μm、dgrit,50<5.0μm、およびdgrit,90<8.0μmである。そのサイズ分布は、好ましくは、dgrit,10<0.6μm、dgrit,50<2.0μm、およびdgrit,90<4.0μmの範囲である。
【0075】
そのアルミニウムグリットは、分級の後、適切であるならば、溶媒、たとえばホワイトスピリット、ソルベントナフサ、イソプロパノール、エーテル、ケトン、エステルなど、および潤滑剤、たとえば少なくとも14〜24個のC原子のアルキルラジカルを有する脂肪酸、好ましくは飽和脂肪酸たとえばステアリン酸、ならびに粉砕媒体、たとえば球状体、たとえば、好ましくは、個々の重量が2〜13gの球の存在下に、粉砕機構を用いて摩砕される。次いで、その顔料をさらにサイズ分級するか、そうでなければ、微粉砕する。典型的なサイズ分級の方法としては、たとえば、湿式篩別法、デカント法、またはそうでなければ沈降分離法などが挙げられる。篩別の場合においては、一般的には、粗い画分を篩によって分離除去する。その他の方法を用いることによって、より特に、超微細な画分を分離することも可能である。次いで、たとえばフィルタープレスの手段によってその懸濁液を過剰の溶媒から分離し、好ましくは溶媒を用いてペースト化する。
【0076】
一つの好ましい実施態様においては、リーフィングアルミニウム効果顔料、好ましくはプラチナダラー顔料が、2〜25μm、好ましくは2.5〜10μm、より好ましくは3〜8μmのd50を有している。
【0077】
50が2μm未満であると、適用したときの光沢値が低すぎて、摩耗傷の被覆が不十分となるし、25μmを超えると、同様に、単層コート仕上げ塗装において光沢の低下が観察される。
【0078】
これらのリーフィングアルミニウム効果顔料、好ましくはプラチナダラー顔料が、それらのサイズ分布の累積篩下曲線において、8〜40μm、より好ましくは9〜14μmのd90を有していればさらに好ましい(Cilas 1064)。これらの数値は、好ましくは以下のように理解するべきである:d90の下限=8μmは、主として、低い範囲の、たとえば約2〜4μmのd50値を有する顔料にほとんど一致しており、d90の上限=16μmは、高い範囲の、たとえば約5〜8μmのd50値を有する顔料にほとんど一致している。
【0079】
これらのプラチナダラー顔料は、15〜100nmの平均厚みh50、好ましくは20〜75nm、より好ましくは25〜60nmの平均厚みを特徴とするのが好ましい。
【0080】
平均厚みが15nm未満であると、その顔料が暗くなりすぎるが、その理由は、アルミニウムの金属反射能が失われて高い吸収性が保持されるからである。さらに、アルミニウムの機械的性質も悪い方に変化して、顔料が極めて脆くなる。平均厚みが75nmを超えると、有利な光学的性質に対する悪影響が強くなっていき、100nmを超えると、クロム効果塗料に相当する性質がもはや得られなくなる。
【0081】
本発明において使用されるこれらのプラチナダラー顔料は、走査型電子顕微鏡法による慣用される厚み計数から求められ、次式に従って計算された厚み分布の相対幅Δhによって特徴付けられ:
Δh(%)=100×(h90−h10)/h50 (I)
Δhが、好ましくは30%から70%未満まで、より好ましくは35%〜67%、さらにより好ましくは40%〜65%、特に好ましくは40%〜60%である。
【0082】
Δhが70%を超えると、本発明のメタリック塗料中のこれらのアルミニウム顔料の有利な性質がもはや観察されない。現在のところ、厚み分布の相対幅Δhが30%未満の顔料は調製できていない。
【0083】
(バインダー系に関連して、アルミニウム顔料が表面化学的に調和しないことに加えて)微小板形状のメタリック顔料が面に平行に配向するためのドライビングフォースは、主として顔料の形状因子である。形状因子は、顔料の長手方向の長さd50の厚みh50に対する比である。長手方向の長さは、主としてレーザー回折法をベースにして求められる。一般的には、本明細書においては、累積篩下曲線のd50が採用される。
【0084】
本発明のメタリック塗料において使用される2種のリーフィングアルミニウム顔料のタイプ(シルバーダラーおよびプラチナダラー)の形状因子は、80〜400である。好ましくは100〜350、より好ましくは200〜300である。
【0085】
コーティングの中でアルミニウム効果顔料の配向が乱されると、光沢が低くなるだけではなく、「まだら模様」すなわち塗料表面の光学的品質を低下させる明暗の色むらのある状況が発生して、数デシメートルの大きさで確認されることがあり得る。
【0086】
粗さの特性値である、粗さ値Rは、比表面積(BET法(DIN 66132)で測定されたもの)の幾何学的顔料表面積に対する比である。顔料表面積(顔料の周縁部分は無視)は、h50値(SEM)から公知の式によって求めた広がり値の2倍として、下記の式を用いて計算することができる:
R=BET値(m/g)×10:2×広がり値(cm/g) (II)
【0087】
上述の式において、実験的に求める広がり値に代えて、SEM測定によって求めた平均厚みh50から計算した広がり値を使用することも可能である:
広がり値=10/h50(nm)×2.5(g/cm) (III)
(2.5は、アルミニウム顔料の密度である。)
【0088】
顔料表面積を求めるためのいずれの方法も物理的に正確な結果は与えないので、粗さ値Rは相対的な値である。理想的に滑らかな表面は、理論的には粗さ値1を有するべきであるが、実際には、1より低い値が時により見出される。
【0089】
本発明のメタリック塗料において使用される、上述の二つのタイプのアルミニウム顔料は、機械的変形のために、0.3〜1.0、好ましくは0.5〜0.9の粗さ値(粗さまたは波打ちを特性づける)を有するが、そのことによって、面に平行な付着、すなわちアルミニウム顔料相互の集塊が防止され、これらの顔料が、それらの光学的性質、たとえば、反射率および光沢に実質的な悪影響をまったく受けずに済む。この値が低いということは、問題となる顔料表面が極めて滑らかであることを示している。
【0090】
本発明のメタリック塗料の全重量を基準にした、本発明の塗料系において使用されるリーフィングアルミニウム効果顔料の合計量(顔料着色のレベルとも呼ばれる)は、10重量%未満であるのが好ましい。より好ましくは5重量%未満、極めて好ましくは3重量%未満で使用する。
【0091】
顔料の厚みが薄いことで、特異な隠蔽力が優れ、極端に低いレベルの顔料着色であっても、所望の視覚的印象を与えるには十分である。
【0092】
それらがPVD顔料に似て、厚みが薄く、またそれらの厚み分布が狭いので、本発明のクロム効果塗料において使用されるリーフィングアルミニウム顔料は、ユニークなメタリックな外観と高い隠蔽力を特徴とする。
【0093】
さらに、それらの厚み分布が極めて狭いことから、メタリック塗料の中で、良好な配向と均質な顔料のスタッキングが得られる。
【0094】
従来からの水性メタリック効果塗料において使用され、本発明のメタリック塗料において使用されるリーフィングアルミニウム顔料よりも大きな厚みと広い厚み分布を有している、不動態化された(すなわち、腐食防止コートを備えた)アルミニウム顔料は、顔料スタッキングにおいてむらを生じやすい。たとえば、特に極めて厚い顔料は、「スペーサー」として機能する可能性があり、この現象は、周囲の顔料の配向に悪影響を与える。言うまでもないことであるが、このことは、顔料の重要な性質、たとえば光沢、フロップ性、ならびにある種の環境においては隠蔽力などに悪影響を与える。
【0095】
本発明のメタリック塗料において使用されるリーフィングアルミニウム効果顔料は、PVD顔料に似た平均厚みと狭い厚み分布を有しているために、それらの光学的性質に関してはPVD顔料に似ているが、PVD顔料よりも、実質的により容易に、従ってより安価に調製することが可能であり、取扱い性も大いに改良されているので、その結果として、たとえば、調製において実質的により高い濃度を実現することが可能である。本発明の場合において使用されるアルミニウム効果顔料とは異なり、PVDアルミニウム顔料は、極めて平面的である。PVDアルミニウム顔料に比較して、本発明において使用するためのリーフィングアルミニウム効果顔料では粗さが増しているということは、本発明のメタリック塗料を塗布した後の光沢の点では、光学的に著しい悪影響は及ぼさない。
【0096】
実質的に非構造性、好ましくは非構造性金属膜の視覚的印象を与える、干渉性金属膜の光学効果は、塗布(コーティング)した後で、そのアルミニウム顔料が、可能な最密の形で互いの上にスタックされるという事実の結果として表れるものと考えられる。
【0097】
このことは、特に、それらが、浮上する顔料(「リーフィング顔料」)として、ベースコートの上の極めて小さな三次元層の中に局在するという事実の結果である。
【0098】
それらは薄いために、相互の上にきわめて良好にスタックすることができ、たとえば曇りのような問題は何も起きない。そのような挙動は、PVDプロセスによって調製された薄いアルミニウム顔料でも同様に知られており、それらは、それらの基材に完全に適合する。
【0099】
本発明のメタリック塗料におけるアルミニウム効果顔料がほぼ鏡のようなメタリック効果を有しているのは、主としてそれらのリーフィング性能のため、そしてさらなる原因としては、塗料中で顔料が面に平行に配向するためのドライビングフォースと考えられる、薄い顔料厚みとそれらの厚み分布の幅の狭さのため、さらにそれらの形状因子のためであると考えられる。
【0100】
本発明のメタリック塗料において成膜剤として使用されるシランは、次式の有機官能性シランであるのが有利である。
SiX(4−a−b) (IV)
この式において、Rは非加水分解性ラジカルであり、Rは少なくとも1つのエポキシ基を担持する非加水分解性ラジカルであり、Xは相互に同一であっても異なっていてもよいが、ヒドロキシル基およびヒドロキシル基の加水分解性置換生成物から選択されるラジカルを表し、aは0〜3の整数値を取ることができ、bは1〜3の整数値を取ることができ、aとbとを合わせて1、2または3の値をとる。
【0101】
さらに好ましい実施態様においては、一般式(IV)のエポキシシランがオリゴマーまたはポリマーの形態であり、その単位がSi−O−Si橋かけで相互に結合されている。
【0102】
一つの好ましい実施態様においては、aが0で、bが1である。
【0103】
ラジカルXは、OH基、ハロゲン基、または1〜6個、好ましくは1〜3個のC原子を有するアルコキシ基からなっているのが好ましい。この場合、好ましいのはアルコキシ基であって、特に好ましいのは、メチル−および/またはエチルアルコキシ基である。アルコキシ基が加水分解されたときに遊離されるアルコールは、一つの好ましい方式においては、蒸留によって除去され、そのためそのエポキシシランは実質的に溶媒を含まない。
【0104】
基は、好ましくは、グリシジルまたはグリシジルオキシ−(C〜C20)−アルキレンラジカル、さらには、オキシラン−2−イル、2,3−エポキシ−および3,4−エポキシシクロペンチル、2,3−および3,4−エポキシシクロヘキシル、ならびに2,3−、3,4−、および4,5−エポキシシクロヘプチルラジカルであり、とりわけオキシラン−2−イル、ならびに2,3−および3,4−エポキシシクロヘキシル基が選択される。特に、それは、γ−グリシジルオキシエチル、γ−グリシジルオキシプロピル、γ−グリシジルオキシブチル、γ−グリシジルオキシペンチル、γ−グリシジルオキシヘキシル、または2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルラジカルである。
【0105】
基は、好ましくは以下のものからなる群より選択される:(C〜C40)−アルキル、−フッ素化アルキル、−部分フッ素化アルキル;(C〜C40)−アルケニル、−アルキニル;(C〜C36)−アリール、−フッ素化アリール、−部分フッ素化アリール;(C〜C40)−アルキルアリール、−アリールアルキル、−フッ素化アルキルアリール、−部分フッ素化アルキルアリール;(C〜C40)−アルケニルアリール、−アリールアルキニル、−アルキニルアリール;(C〜C40)−シクロアルキル、−アルキルシクロアルキル、−シクロアルキルアルキル基。a=2の場合には、R基は相互に同一であっても異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。Rがメチル、エチル、またはプロピルであるか、またはa=0であるのが好ましい。
【0106】
さらに、式(IV)のオリゴマー性シランを使用することも可能であり、それは混合物であっても、および/または異なったシランのオリゴマーであってもよい。
【0107】
その入手の容易さから、エポキシシランおよび/またはエポキシシリコーンとして、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランもしくはγ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランのオリゴマーまたはそれらの混合物を使用するのが特に好ましい。γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランは、たとえば、Degussa(Untere Kanalstrasse 3、D−79618 Rheinfelden、Germany)からDynasylan GLYMOの名称で市販されている。
【0108】
本発明の塗料において使用可能なさらなるシランは、たとえば、BASFのUS 7,109,263 B2に包括的に記載されている。
【0109】
そのようなシランは市販されている。それらは、たとえば、多くの代表的製品で、Degussa、Rheinfelden、Germanyにより製造され、商品名“Dynasylan(登録商標)”で販売されているもの、OSi Specialties製造のSilquest(登録商標)シラン、Wacker、Burghausen、Germany製造のGENOSIL(登録商標)シランなどである。
【0110】
使用されるエポキシシランまたはエポキシシラン混合物は、約0〜40℃の塗布温度で液体であるのが好ましい。この性質によって、特に溶媒含有塗料系においては有利となり、VOCの割合を最低限とすることができる。
【0111】
官能性のシラン基は、コーティング材料の中の化学的に相補的な基と反応することが可能であって、その有機官能性シランをコーティング組成物に共有結合的に結合させるのが好ましい。
【0112】
さらに、本発明の塗料の中で市販のバインダーを使用することも可能である。そのバインダーは、物理的、化学的、または熱的に、電磁照射との組合せ(「デュアルキュア」)で硬化させることが可能であってもよい。バインダーは水との相溶性を有しているのが好ましい。
【0113】
熱硬化可能なバインダーは、自己架橋性であっても、外部架橋性であってもよい。
【0114】
自己架橋性バインダーは、硬化に必要な相補的な反応性基の両方を有しており、外部架橋性バインダーの場合には硬化剤または架橋剤が必要である。
【0115】
可能なバインダーの例としては以下のものが挙げられる:ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、メラミン樹脂、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エポキシ樹脂、ポリエーテル、またはポリエステルをベースとするもの。これらの官能性を組み合わせて使用することも可能であって、そのようなものとしては、たとえば、ポリエステル−ポリウレタンもしくはポリエステル−ポリエーテル−ポリウレタン、ポリエステル−ポリアクリレート、またはポリアクリレート−ポリウレタンなどが挙げられる。
【0116】
一級、二級または三級アミンを含むアミン官能性バインダーを使用するのが好ましく、これらの中でも、メラミン樹脂が特に好ましい。このタイプのバインダーは、たとえばDE 101 540 30 A1に記載されている。
【0117】
本発明のメタリック塗料において採用される溶媒としては以下のものが挙げられる:水および/または有機溶媒、好ましくは、アルコール、たとえば、n−ブタノール、イソプロパノール、Dowanol PM、グリコール、たとえば、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、およびエチルジグリコール、ならびに炭化水素、たとえば、ホワイトスピリットまたはソルベントナフサ、さらにはヘテロサイクリック化合物、たとえば、N−メチルピロリドン。
【0118】
本発明のメタリック塗料は、塗料の全重量を基準にして、重量比で、5%〜85%、好ましくは6%〜60%、より好ましくは10%〜50%の水含量および/または溶媒含量を有しているのが好ましい。
【0119】
本発明のリーフィングメタリック塗料は、さらに、たとえば以下のような添加剤を含んでいてもよい:充填剤、反応性希釈剤、UV吸収剤、光安定剤、フリーラジカル捕捉剤、光重合開始剤もしくは共重合開始剤、架橋剤、脱気剤、スリップ添加剤、禁止剤、消泡剤、乳化剤、濡れ分散剤、接着促進剤、流動調節剤、膜形成助剤、増粘剤、難燃剤、乾燥剤、ドライヤー、皮張り防止剤、腐食防止剤、耐食顔料、ワックス、および/またはこれら添加剤の組合せ。
【0120】
特定の利点のために使用することが可能な添加剤としては、さらに、BYK、Wesel、Germanyから市販されている添加剤が挙げられる。
【0121】
本発明のメタリック塗料の総固形分含量、すなわちDIN 53216による非揮発含量は、5%〜40重量%である。総固形分含量は、好ましくは9%〜30%、より好ましくは10%〜25重量%である。
【0122】
固形分含量が5重量%未満の場合には、塗布および硬化(乾燥)の後の仕上げ塗装が、もはや機械的に堅牢とはいえない。その塗料はバインダー含量が少なすぎる。
【0123】
固形分含量が40重量%を超えるものは、従来からのコーティング組成物の分野では自体公知である(「ハイソリッド」として知られている)が、このような薄いアルミニウム顔料を含む水性系に適用することはできない。この場合、コーティング組成物のレオロジーがあまりにも貧弱になるであろう。
【0124】
本発明における塗料調製に使用されるリーフィングアルミニウム効果顔料は、本発明において使用される少なくとも1種の有機官能性シラン(ポリシロキサンであってもよい)と相溶性があり、相分離することがない、好ましくは前処理されたプレミックス、より好ましくはペースト様のプレミックスの形態で採用されるが、そのようなものの例としては、Eckart GmbH & Co.KGのSTAPA製品シリーズからの、市販のリーフィングアルミニウム顔料ペーストが挙げられる。
【0125】
本発明のメタリック塗料を調製するのに有利に使用されるアルミニウム顔料ペーストの固形分含量は、いずれの場合もアルミニウムペーストの全重量を基準にして、好ましくは20%〜65%、より好ましくは25%〜60%、極めて好ましくは30%〜55%、さらにより好ましくは40%〜50重量%である。
【0126】
固形分含量が65重量%を超えると、そのアルミニウム顔料がペーストの中で集塊する可能性があり、それは、光学効果に致命的な悪影響を与える。さらに、その極端に薄い顔料が高い比表面積を有しているために、完全に濡らすにはより多量の溶媒が必要である。20重量%未満になると、そのペーストがあまりにも流れやすくなり、さらなる撹拌ステップ無しでは、塗料とするための添加を正確に計量することがもはや不可能となる。
【0127】
使用される溶媒は、先に顔料を形成させる際に採用した溶媒が好ましく、たとえばホワイトスピリットおよび/またはソルベントナフサ、ブチルグリコールまたはイソプロパノールである。
【0128】
メタリック基材またはその他の基材に塗布する水性で再コート可能なメタリック塗料は、高光沢で、非構造性のメタリックコーティングを作る。その光学効果は、「クロム効果」の範疇に入ることが知られている外観現象に相当する。
【0129】
顕著なメタリック光沢を有するこの水性で再コート可能なメタリック塗料は、特別な有利さをもって、車両の仕上げ塗装、たとえば、リム仕上げ塗装、または車両の再仕上げ塗装において用途を見出す。
【0130】
クロム効果塗料と名付けてもよいような、本発明のメタリック塗料は、特別な有利さをもって、クリヤコート仕上げ塗装を必要としないベースコートとして使用することが可能である。言うまでもないことであるが、所望とあれば、このベースコートの上にクリヤコートを塗装することも可能である。
【0131】
すべて公知のプロセスによって容易に塗布したり、容易に再コートしたりすることが可能で、好ましくは350を超える極めて高い光沢効果を有する、このメタリック塗料は、特に、高い拭き取り抵抗性および引っ掻き抵抗性、摩耗安定性、ならびに摩擦傷被覆性を特徴としている。
【0132】
水系および/または溶媒系メタリック塗料は、すべての公知の塗布方法により、メタリック基材またはその他の基材に、特別な有利さをもって、クリヤコートコーティングが不要なベースコートとして容易に塗布することが可能であるが、そのような方法としては、たとえば以下のものが挙げられる:工業用エアレススプレー法、浸漬法、スプレー法(HVLP)、静電法(ESTA)、プラズマ法、フローコーティング法、ローラー塗布法、缶コーティング法、およびコイルコーティング法。
【0133】
この新規なメタリック塗料は、特別な有利さをもって、高光沢コーティング、たとえば自動車の仕上げ塗装、再仕上げ塗装、産業用コーティング、および金属、プラスチック、木材、またはガラスの上へのコーティングにおいて使用することができる。
【0134】
本発明のメタリック塗料は、1成分(1K)または2成分(2K)メタリック塗料の形をとることができる。
【0135】
以下の実施例によって本発明を説明するが、これらは、本発明を限定するものではない。
【0136】
本発明実施例1:
2成分系:
車両リム塗装のための本発明のメタリック塗料を調製するために、市販のリーフィングアルミニウム顔料ペーストを使用したが、このものは、Eckart & GmbH Co.KG、D−91235 Velden、Germany製のVP−59710/Gの名称を持つものである。このペーストは、ステアリン酸およびイソプロパノールの中でのボールミル加工により得られ、120nmのh50(SEM)ならびにd50が17μm、d90が29μmの粒子サイズ分布を有するシルバーダラー顔料を、市販のバインダー剤(Surface Specialties製のMaprenal 900Wおよび成膜剤として使用されるエポキシシラン(GE製のWetlink 78)の中に分散体の形で含んでいる。
【0137】
成分1を構成する、1重量部のこのペースト化顔料を、4重量部の成分2を用いて希釈した。この第二の成分は、1重量部の有機溶媒(たとえば、ブチルグリコール)と3重量部の水からなっている。次いでこの2成分系を、室温で10分間混合する。市販の希釈剤/増粘剤を使用して、そのメタリック塗料のレオロジー的性質を設定し、市販のブチルグリコールおよび蒸留水を用いて塗料のスプレー粘度を設定した。3%〜50重量%の固形分含量、11秒〜60秒の粘度(DIN 53211)、および1.0%〜45.0重量%シランの膜形成剤含量、さらに1.0%〜50.0重量%のメラミン樹脂含量(重量%は全塗料重量基準)を有するメタリック塗料を、1〜6バールで、HVLPスプレーガン(ESTA/高圧/HVLP)を使用して、プライマー処理した基材に、膜厚み1〜25μmで塗布し、次いで100〜300℃の温度で20〜60分間かけて乾燥させた。
【0138】
本発明実施例2:
a)アトマイゼーション:
誘導加熱るつぼ炉(Induga、炉容積約2.5トン)の中に、アルミニウム棒を連続的に供給して溶融させる。いわゆる前炉において、約720℃の温度でアルミニウム溶融物は液状の形態にある。インジェクターの原理に基づいて動作する複数のノズルをその溶融物の中に沈み込ませ、そのアルミニウム溶融物を垂直上向きに噴霧させる。その噴霧ガスは、圧縮機(Kaeser)中で圧縮して20バールとし、ガスヒーターで約700℃にまで加熱する。得られたアルミニウムグリットを冷却し、飛行固化させる。誘導炉は密閉されたプラントの中に統合されている。アトマイゼーションは不活性ガス(窒素)下で実施する。アルミニウムグリットはまずサイクロン中で堆積させるが、その中で分離された粉体状のアルミニウムグリットは14〜17μmのd50を有している。これに続けて、マルチサイクロンによりさらなる分離を行うと、このマルチサイクロン中で堆積した粉体状のアルミニウムグリットは2.3〜2.8μmのd50を有している。金属エレメント(Pall)を有するフィルター(Alpine)の中で、気体/固体分離を行う。この場合において、得られる最も細かいフラクションは、0.4μmのd10、1.0〜1.9μmのd50、および2.0〜3.8μmのd90を有するアルミニウムグリットである。
【0139】
b)摩砕:
ポットミル(長さ:32cm、幅:19cm)の中に、4kgのガラスビーズ(直径:2mm)、75gのa)からの極めて細かいアルミニウムグリット、200gのホワイトスピリット、および3.75gのステアリン酸を供給する。次いでこの仕込み物を58rpmで15時間摩砕させる。ホワイトスピリットを用いて洗い流すことによりその生成物を摩砕ビーズから分離し、次いで湿式篩操作により、25μmの篩の上で篩別する。その微細フラクションを、吸引フィルター上でホワイトスピリットからほとんど分離し、次いで実験室混合機中でホワイトスピリットを用いたペースト化を行う(固形分約50%)。
【0140】
このアルミニウムペースト中に含まれるプラチナダラー顔料は、50のh50(SEM)、ならびに5μmのd50および11μmのd90(Cilas 1064)で特徴付けられる粒子サイズ分布を有する。
【0141】
これらの顔料を、市販のバインダー(Surface Specialties製のMaprenal 900Wおよび成膜剤として使用されるエポキシシラン(GE製のWetlink 78)の中に分散させる。1重量部のこの顔料ペーストを、同量の有機溶媒(BG)および2重量部の脱イオン水およびさらに1重量部の市販のバインダー(Cytec製のSetal 6608)に導入し、これらの成分を室温で約10分間混合した。その顔料混合物を、0.05重量部の市販の触媒(Worlee製のNacure 2500)と混合した。市販の希釈剤を用いてそのメタリック塗料のレオロジー的性質を設定した。ブチルグリコールおよび蒸留水を用いてその塗料のスプレー粘度を設定した。
【0142】
3%〜50重量%の塗料固形分含量、約11秒〜60秒の粘度(DIN 53211)を有するそのメタリック塗料を、従来からのスプレーガン(ESTA/高圧/HVLP)を使用し、1〜6バールの圧力で、プライマー処理した基材に塗布し、80℃〜160℃の温度で5〜60分間かけて乾燥させた。次いで、その水性リーフィングメタリック塗料コーティングに、2成分PURクリヤコートを用いて再コートし、そのコーティング系を80℃で30分間かけて乾燥させた。
【0143】
比較例3:
市販されているMetalure(登録商標)L55700(PVD顔料、Eckart)、酢酸メトキシプロピル中のアルミニウム顔料分散体(固形分10重量%)。
【0144】
顔料パラメーター:h50は47nm(SEM)、および粒子サイズ分布はd50が13μm、d90が21μm(Cilas 1064)。
【0145】
車両リム塗装のためのPVD顔料を含む2成分メタリック効果塗料を調製するために、15重量部のアルミニウム顔料分散体であるMetalure L55700(Eckart製)を、溶解機(パドル撹拌機)の中で撹拌しながら、13重量部の市販の成膜剤(セルロースエステル製品CAB381−2、Eastmann製)の中に組入れ、次いで、0.1重量部の市販の乳化剤(Lipotin 100、Cargilltexturizing製)、1.5重量部の市販のアクリル樹脂(Uracron CY474E、DSM製)およびさらに0.1重量部の市販の粘着付与樹脂(LTW、Degussa製)と、約20分間激しく混合した。撹拌しながら、24重量部の市販の酢酸ブチル98/100、および1.5重量部の市販の低分子量添加剤(メチルポリシロキサンを含む)(Baysilone(登録商標)MA、0.4%キシレン含有、Borchers製)、約2.6重量部のフッ素含有濡れ用添加剤(Zonyl(登録商標)FSG、1%酢酸ブチル98/100含有、Degussa製)、およびさらに約33重量部の市販の希釈剤(酢酸メトキシプロピル)を、均質化した顔料ペーストに分散させた。第二の塗料成分は、約1.4重量部の市販の硬化剤(Desmodur(登録商標)N75、Bayer製)を、酢酸ブチル98/100を用いて希釈することにより調製した。この2液塗料成分は、加工(塗布)する直前まで混合せず、混合を9対1の量比で行うと、直ぐに塗布できる2成分クロム効果塗料を与える。市販の希釈剤(酢酸メトキシプロピル)を添加することにより、その2成分メタリック塗料が、約15秒のスプレー粘度(DIN 53211、4mmカップ、23℃)、約5時間のポットライフ(DIN 53150、4mmカップ、23℃)を有するように設定した。
【0146】
約3%〜10重量%の固形分含量および1.5%〜8重量%のバインダー含量(重量%は全塗料重量基準)を有するそのメタリック塗料を、プライマー処理した基材に対して、スプレーガン(HVLP/ESTA/高圧)により1〜6バールで塗布して、1〜10μmの膜厚みとし、次いで70℃の温度で約60分間かけて乾燥させた。
【0147】
比較例4:
市販のSILVERSHINE(登録商標)P4110(Eckart製)。このものも同様にPVDアルミニウム顔料であり、比較例3の場合と同様にして、2成分塗料系の中に組入れてから塗布した。
【0148】
この非リーフィングPVD顔料は、60nmのh50(SEM)ならびにd50が9〜11μm、d90が最大20μmの粒子サイズ分布(Cilas 1064)を有している。この顔料を用いて着色された塗料の調製/塗布は、比較例3の場合と同様にして実施した。
【0149】
比較例5:
SILVERSHINE(登録商標)S1100(Eckart製)。塗料のための高ブリリアンスな非リーフィングアルミニウム顔料であって、DE 103 15 775 A1に基づく。
【0150】
このアルミニウム顔料は、実施例2からのものと同様にして調製したが、ただし、微細なアルミニウムグリットの摩砕は、オレイン酸を含む潤滑剤と共に実施して、非リーフィング顔料とした。
【0151】
顔料パラメーター:h50は50nm(SEM)、および粒子サイズ分布はd50が10μm、d90が15μm(Cilas 1064)。
【0152】
その顔料を、実施例2の場合と同様にして、加工して塗料とし、塗布した。
【0153】
比較例6:
市販のSilvershine(登録商標)S2100(DE 103 15 775 A1に基づくものでEckart製)。
【0154】
従来からのボールミル加工の手段によって調製された、塗料のためのこの高ブリリアンスな非リーフィングアルミニウム顔料は、ホワイトスピリット/ソルベントナフサ中の溶液の状態であって、h50が70nm(SEM)、粒子サイズ分布のd50が20μmおよびd90が32μm(Cilas 1064)のメタリックな光学的品質を有しているが、これを、実施例2の場合と同様にして、加工して塗料とし、塗布した。
【0155】
比較例7:
市販のSTAPA(登録商標)METALLUX 3540(Eckart製)、(非リーフィングシルバーダラー顔料)塗料用。
【0156】
車両リム塗装のためのこのメタリック塗料を調製するために、市販のアルミニウム顔料分散体であるEckart製のSTAPA METALLUX 3540を使用した。この顔料分散体には、ホワイトスピリット/ソルベントナフサの中でボールミル加工し、320nmのh50(SEM)およびd50が18μm、d90が27μmの粒子サイズ分布(Cilas 1064)を有するシルバーダラーアルミニウム顔料が含まれている。
【0157】
1重量部のこの顔料分散体を、1重量部の酢酸ブチルおよびさらに17.5重量部の2層コートメタリック仕上げ塗装のための市販のベース混合ワニス“Mipa BC Mischlack”(MIPA製)に、溶解機(パドル撹拌機)中、室温で10分間かけて混合した。市販の希釈剤を使用して、そのメタリック塗料のスプレー粘度を設定した。そのすぐに塗装可能なメタリック塗料を、プライマー処理した基材に、HVLPスプレーガン/ESTA/高圧を使用し、1〜6バールで10〜30μmの膜厚みになるように塗布してから、80℃の温度で30分間かけて乾燥させた。
【0158】
比較例8:
市販のSTAPA(登録商標)METALLUX 2154(非リーフィングシルバーダラー、Eckart製)。
【0159】
塗料のためのシルバーダラー顔料を含み、従来からのボールミル加工の手段により調製され、ソルベントナフサ/ホワイトスピリット(2.1ppw/ppw)中に懸濁され、290nmのh50(SEM)と、d50が20μm、d90が32μmの粒子サイズ分布(Cilas 1064)を有する、このアルミニウム分散体を、比較例7の場合と同様にして、加工して塗料とし、塗布した。
【0160】
比較例9:
市販のSTAPA(登録商標)5(コーンフレークタイプのリーフィングアルミニウム顔料ペースト、Eckart製)、塗料用。
【0161】
車両リム塗装のためのこの銀色のアクリレート反射塗料は、12重量部の市販のリーフィングアルミニウム顔料分散体であるStapa 5(Eckart製)を使用して調製した。これには、サイズ縮小粉砕によって得られ、極めて粗い表面を有し、d50が15μm、d90が41μmの粒子サイズ分布(Cilas 1064)を有する、コーンフレークタイプのアルミニウム顔料が含まれる。12重量部のこのアルミニウム顔料ペースト(固形分65重量%)を、溶解機(パドル撹拌機)中で、12重量部の市販のソルベントナフサを用いてペースト化してから、バインダーとして使用される20重量部の市販のアクリルエマルション(Neocryl B731、Noveon製)およびさらに46重量部の市販の溶媒/希釈剤(メトキシプロパノール、トルエン、Kristalloel)および2重量部の市販の「脂肪族アミン」(Forbest 410、Raybo製)およびさらに8重量部の市販のアルキド樹脂溶液(Uralac表面コーティング331 W60、DSM製)と、室温で10分間混合した。市販の希釈剤(Kristalloel 21)を添加することによって、この塗料のスプレー粘度(DIN 53211、4mmカップ、23℃)を19秒に設定した。そのメタリック塗料を、プライマー処理した基材に、HVLPスプレーガン/ESTA/高圧の手段で、1〜6バールで10〜30μmの膜厚みになるように塗布してから、80℃で30分間かけて乾燥させた。
【0162】
本発明実施例10:
1成分系:
車両リム塗装のための本発明のメタリック塗料を、市販のリーフィングアルミニウム顔料ペーストである商品名VP−59710/G(Eckart & GmbH Co.KG、D−91235 Velden、Germany製)を使用して調製した。このペーストは、イソプロパノールおよびステアリン酸の中でのボールミル加工により得られ、120nmのh50(SEM)ならびにd50が17μm、d90が29μmの粒子サイズ分布を有するシルバーダラー顔料を、市販のバインダー剤(Surface Specialties製のMaprenal 900Wおよび成膜剤として使用されるエポキシシラン(GE製のWetlink 78)の中に分散体の形で含んでいる。1重量部のこの顔料ペーストを、3重量部の有機溶媒(たとえば、ブチルグリコール)を用いて希釈し、その成分を室温で約10分間かけて混合した。
【0163】
市販のブチルグリコールを用いてそのメタリック塗料のレオロジー的性質を設定した。3%〜50重量%の固形分含量、11秒〜60秒の粘度(DIN 53211)、および1.0%〜45.0重量%シランの膜形成剤含量、さらに1.0%〜50.0重量%のメラミン樹脂含量(重量%は全塗料重量基準)を有するメタリック塗料を、1〜6バールで、HVLPスプレーガン(ESTA/高圧/HVLP)を使用して、プライマー処理した基材に、膜厚み1〜25μmで塗布し、次いで100〜300℃の温度で20〜60分間かけて乾燥させた。
【0164】
メタリック塗装(例1〜9)の光沢および表面構造(艶消度)の性質(光学的性質)を求め、まだら模様は視覚的に評価した。
【0165】
市販のByk Gardner製のTrigloss光沢計を使用し、20度および60度の測定角で求めた光沢値を次の表1に示す。
【0166】
【表1】

【0167】
表1の測定から、例1〜2の本発明のメタリック仕上げ塗装が、20度および60度の両方の測定角で、比較例3〜9のメタリック仕上げ塗装の光沢値よりも実質的に高い光沢値を示すことは確かである。
【0168】
驚くべきことには、例1および2の本発明のメタリック仕上げ塗装が、PVD顔料を含む例3および4のメタリック塗料よりも実質的に高い光沢値を有することも見出された。このことについての可能な説明は、本発明のメタリック塗料において使用されたアルミニウム顔料が、それらの粗さまたは波打ちのために、相互に点状の接触面積しか存在しない状態で、相互の上に位置しているということである。結果として、PVD顔料の場合とは対照的に、近距離の誘引力、たとえばファンデルワールス力または水素結合の形成が最小となって、そのために塗料中におけるアルミニウム顔料の集塊または凝集がより困難となり、その結果として、リーフィングアルミニウム顔料が塗料表面の領域において配置をとり、すなわち塗料表面に平行に整列し、塗料表面に当たった光線をその塗料が高い光沢値を有するように反射させる(鏡面効果)。
【0169】
さらに、本発明実施例1および2の本発明のメタリック仕上げ塗装が、裸眼で認識できるような構造を有していないということも視覚的に見出された。これらの仕上げ塗装の視覚的印象は、「液体」金属のそれに相当する。それとは対照的に、従来からのメタリック塗料で実施された比較例4〜9の仕上げ塗装、これらの内でも特に例5〜9のものは、多少なりとも明瞭な表面構造を特徴としている。仕上げ塗装中の個々の顔料粒子はヒトの眼では識別できないが、粒子構造は見える。
【0170】
さらに、例1〜9のメタリック仕上げ塗装の塗料表面について、望ましくないまだら模様の評価をした。まだら模様は、塗料表面上に明暗の色むらが存在していることに関係がある。表面品質に悪影響を及ぼし、その結果、仕上げ塗装の光学的品質を低下させる、この光学的な現象は、特に塗料膜の厚みが薄い場合および仕上げ塗装が広い場合には、特に大きな要素となる。
【0171】
比較可能な塗布条件下(LacTec製のLabPainter上での空気圧塗布の手段によるくさびの仕上げ塗装;テストパネル、70cm×30cm;搬送速度、0.8m/秒;吐出塗料容積、200mL/分;ホーン空気、400NL/分;アトマイザー空気、6000NL/分;乾燥塗料膜厚(くさび)5〜24μm)での、例1〜9のメタリック仕上げ塗装についてのこの視覚的評価の結果として、本発明実施例1および2の本発明のメタリック塗料から得られたメタリック仕上げ塗装、およびさらには例9のメタリック仕上げ塗装(このものは、リーフィング性を有していたが、再コート不可能であった)は、まだら模様がまったく無いか、または比較例3〜8のメタリック仕上げ塗装に比較して、まだら模様が少なくとも低下しているということが見出されたが、このことは次の表2からも明らかである。
【0172】
【表2】

【0173】
上の表2から明らかなように、従来からの仕上げ塗装(比較例3〜9)と比較したときの、本発明の仕上げ塗装(本発明実施例1および2)の有利な光学効果は、極めて薄く微小板形状のアルミニウム顔料が塗料膜中で最適に配向されていることと、それらの不透明性が高いことから説明することができる。これら二つの顔料効果が、塗料膜の厚みが薄い場合におけるまだら模様となる傾向を抑えている。
【0174】
最後に、例1〜9のメタリック仕上げ塗装の視覚的外観を、波打ちおよびオレンジピールの面から検討した。この目的のためには、Byk Gardnerによる従来からの測定法(マイクロ波スキャン法)を使用して、艶消度(長波)の値を求めたが、これも同様に表2から明らかである。
【0175】
表2における値のベースとなる測定の目的は、視覚的な評価を、対応するDOI(像鮮鋭性)の測定値と関係づけることであった。DOIは、艶消度(du)および波打ち(Wa、Wb)の変数から計算されるものであり、すなわち、DOI=f(du、Wa、Wb)である。光散乱中心が<0.1mmであると、艶消度(du)に影響し、波打ち(Wa、Wb)が0.1〜0.3mmまたは0.3〜1.0mmのサイズオーダーを有する波構造を表す。計算されたDOIならびに艶消度(du)および波打ち(Wa、Wb)の測定は、0〜100の目盛りで表され、ここで、DOIでの高い数値はプラスであり、それに対して艶消度(du)および波打ち(Wa、Wb)での高い数値はマイナスである。
【0176】
上の表2における測定値は、本発明のメタリック塗料を含む例1および2の仕上げ塗装の光学的外観が、市販されているメタリック塗料を含む例3〜9のメタリック仕上げ塗装の視覚的外観よりは、実質的に波打ちが少なく、実質的にオレンジピールが少ないことを示している。
【0177】
実験結果の総括的な評価において、車両リム塗装の文脈においては、本発明のメタリック塗料を用いて得られる仕上げ塗装は、市販されているメタリック塗料の仕上げ塗装よりは、光沢およびまだら模様の面において顕著に良好な光学的性質を示し、同時に波打ちおよびオレンジピールの面でも実質的に良好な光学的品質を有しているということが見出された。
【0178】
さらに、傑出したメタリック光沢(クロム効果)を有する本発明の水性メタリック塗料は、従来からのPVD塗料ではこれまで達成できなかった摩擦傷被覆性を有し、1回塗り塗料として、および、特別な有利さをもって、車両の仕上げ塗装のためのメタリック表面上への多層コート仕上げ塗装におけるベースコートとして、両方で使用することが可能であり、そして高い生産性を有していて、車両リムの仕上げ塗装のためにとりわけ特に有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水および/または有機溶媒、ならびにさらに少なくとも1種の膜形成剤、少なくとも1種の有機官能性シラン、ならびに少なくとも1種のメタリック効果顔料を含むメタリック塗料であって、メタリック効果顔料がリーフィングアルミニウム効果顔料であることを特徴とする、メタリック塗料。
【請求項2】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、[111]および/または[222]反射に相当しない、一つ、二つ、またはそれ以上のメインピークを有するX線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載のメタリック塗料。
【請求項3】
膜形成剤が、少なくとも1種の樹脂成分をさらに含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項4】
膜形成剤の少なくとも1種の樹脂成分が、アミノ基を含む樹脂、好ましくはメラミン樹脂であることを特徴とする、請求項3に記載のメタリック塗料。
【請求項5】
アルミニウム効果顔料の膜形成剤に対する重量割合比が、1:1〜1:30、好ましくは1:3〜1:20、より好ましくは1:4〜1:15であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項6】
メタリック塗料が、塗料の全重量を基準にして、5%〜85重量%の溶媒含量を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項7】
メタリック塗料が、塗料の全重量を基準にして、5%〜85重量%の水含量を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項8】
メタリック塗料が、塗料の全重量を基準にして、5%〜40重量%の固形分含量を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項9】
少なくとも1種の有機官能性シランが、エポキシシランを含むか、またはエポキシシランであることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項10】
少なくとも1種のエポキシシランが、一般式(IV)の化合物:
SiX(4−a−b) (IV)
[式中、Rは非加水分解性ラジカルであり、Rは少なくとも1つのエポキシ基を担持する非加水分解性ラジカルであり、Xは相互に同一であっても異なっていてもよいが、ヒドロキシル基およびヒドロキシル基の加水分解性置換生成物から選択されるラジカルを表し、aは0〜3の整数値を取ることができ、bは1〜3の整数値を取ることができ、aとbとを合わせて1、2または3の値をとる]であるか、または式(IV)の化合物から誘導されるSi−O−Si橋かけされたオリゴマー性またはポリマー性エポキシシリコーンであることを特徴とする、請求項9に記載のメタリック塗料。
【請求項11】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、好ましくは、少なくとも1種の有機潤滑剤、好ましくはステアリン酸を使用した、アルミニウム粒子の機械的摩砕および/または成形により調製されることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項12】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、11〜35μmのd50を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項13】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、25〜50μmのd90を有することを特徴とする、請求項11または12に記載のメタリック塗料。
【請求項14】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、80を超え150nmまでの平均厚みを有することを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項15】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、2〜25μmのd50を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項16】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、8〜40μmのd90を有することを特徴とする、請求項15に記載のメタリック塗料。
【請求項17】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、15〜100nmの平均厚みを有することを特徴とする、請求項15または16に記載のメタリック塗料。
【請求項18】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、30%から70%未満までの厚み分布の相対幅Δh(対応する相対度数の累積篩下曲線から式Δh=100×(h90−h10)/h50に従って計算される)を有することを特徴とする、請求項15〜17のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項19】
リーフィングアルミニウム顔料が、80〜400の形状因子を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項20】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、0.5〜1.0の粗さ値を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項21】
基材に対する塗布および乾燥の後に、高光沢、非構造性、メタリックコーティングを形成することを特徴とする、請求項1〜20のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項22】
さらに、たとえば、充填剤、反応性希釈剤、UV吸収剤、光安定剤、フリーラジカル捕捉剤、光重合開始剤もしくは共重合開始剤、架橋剤、脱気剤、スリップ添加剤、禁止剤、消泡剤、乳化剤、濡れ分散剤、接着促進剤、流動調節剤、膜形成助剤、増粘剤、難燃剤、乾燥剤、ドライヤー、皮張り防止剤、腐食防止剤、耐食顔料、ワックス、および/またはこれら添加剤の組合せのような添加剤を含んでいてもよいことを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載のメタリック塗料。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれかに記載のメタリック塗料を調製するためのプロセスであって、リーフィングアルミニウム効果顔料、少なくとも1種の有機官能性シラン、および少なくとも1種の膜形成バインダーを組み合わせるステップを含む、プロセス。
【請求項24】
リーフィングアルミニウム効果顔料が、少なくとも1種の有機潤滑剤、好ましくはステアリン酸を使用した、アルミニウム粒子の機械的摩砕および/または機械的成形により調製されることを特徴とする、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
傑出したメタリック効果を有する高光沢コーティング、たとえば自動車の仕上げ塗装、再仕上げ塗装、産業用コーティング、および金属、プラスチック、木材またはガラスの上へのコーティングにおける、請求項1〜22のいずれかに記載のメタリック塗料の使用。
【請求項26】
請求項1〜22のいずれかに記載のメタリック塗料を用いて塗装されていることを特徴とする、塗装された物品。
【請求項27】
請求項1〜22のいずれかに記載のメタリック塗料を用いた、車両の仕上げ塗装、好ましくはリム仕上げ塗装。

【公表番号】特表2010−534748(P2010−534748A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518531(P2010−518531)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005901
【国際公開番号】WO2009/015788
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(502099902)エッカルト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (48)
【氏名又は名称原語表記】Eckart GmbH
【Fターム(参考)】