説明

メタリック感のある印刷物

【課題】軟包装等の材料として、アルミニウム等の金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体にメタリック感を生かしさらにデザイン的に優れた意匠性の高いメタリック感のある印刷物を提供することにある。
【解決手段】本発明は、金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体にメタリック感を生かした絵柄を印刷したものであり、絵柄は、三角形、四角形又は六角形のグラデーション印刷のよるスポットグラデーションパターンだけで連続した模様を形成し、集合して全体としてグラデーションの絵柄を形成していることを特徴とするメタリック感のある印刷物であり、スポットグラデーションパターンにおけるグラデーションの色調は、網点の%が0〜100%の範囲の3色(シアン+マゼンタ+イエロー)の組み合わせで表現され、3色の網点%の合計を、60〜200%の範囲とすることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタリック感のある印刷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、軟包装等の材料として、アルミニウム等の金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体が使用されている。その積層体には、一般的に、絵柄・表示等の印刷が行われるが、その印刷にはグラビア印刷が多く用いられ、その金属箔あるいは金属蒸着層の表面に絵柄・表示等のメタリック感のある印刷を行なわれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の軟包装等において、材料である積層体に印刷された絵柄・表示等はメタリック感はあるものの意匠性の点では高いものとは言えず、満足できるものではなかった。
【0004】
そこで、本発明は、軟包装等の材料として、アルミニウム等の金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体にメタリック感を生かしさらにデザイン的に優れた意匠性の高いメタリック感のある印刷物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明の印刷物は、金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体にメタリック感を生かした絵柄を印刷したものであり、前記絵柄は、地となる絵柄模様の上に所定の形状のグラデーション印刷のよるグラデーションパターンを一定間隔で設け、集合して全体としてグラデーションの絵柄を形成していることを特徴とするメタリック感のある印刷物である。
【0006】
また、本発明の請求項2の発明の印刷物は、金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体にメタリック感を生かした絵柄を印刷したものであり、前記絵柄は、三角形、四角形又は六角形のグラデーション印刷のよるスポットグラデーションパターンだけで連続した模様を形成し、集合して全体としてグラデーションの絵柄を形成していることを特徴とするメタリック感のある印刷物である。
【0007】
そして、本発明の請求項1および請求項2の発明の印刷物において、前記スポットグラデーションパターンにおけるグラデーションの色調は、網点の%が0〜100%の範囲の3色(シアン+マゼンタ+イエロー)の組み合わせで表現され、前記3色の網点%の合計を、60〜200%の範囲とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上述のように構成されているので、次に記載する効果を奏する。
【0009】
本発明の印刷物は、小さいスポットグラデーションパターンの集合で大きなグラデーションを作成することができ、アルミニウム等の金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体にメタリック感を生かし、さらに、デザイン的に優れた意匠性の高いメタリック感のあるものであり、印刷の付加価値を高めるものである。
【0010】
すなわち、金属箔又は金属蒸着層の上に、グラデーション印刷による同一形状のスポットグラデーションパターンを一定間隔で設け、集合して全体としてグラデーションの絵柄を形成することによって、意匠性の高いメタリック感のある絵柄とすることができるという効果を有するものである。
【0011】
また、金属箔又は金属蒸着層の上に、グラデーション印刷による同一形状のスポットグラデーションパターンだけで隙間無く連続した模様を形成し、集合して全体としてグラデーションの絵柄を形成することによって、意匠性の高いメタリック感のある絵柄とすることができ、ホログラムの模様に類似した絵柄を低コストで作成できるという効果を有している。
【0012】
さらに、軟包装等の材料として、アルミニウム等の金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体を使用した軟包装等において、デザイン的に優れた意匠性の高いメタリック感のある印刷が施された軟包装等を提供することができるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の印刷物は、アルミニウム等の金属箔あるいは金属蒸着層の表面に行う意匠性の高い絵柄・表示等を印刷したものであり、特に、軟包装等の材料として、アルミニウム等の金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体にメタリック感を生かした意匠性の高い印刷を行ったものである。本発明の印刷物における印刷絵柄は、小さいスポットグラデーションパターンの集合で大きなグラデーションを作成する感覚で絵柄を形成している。ここでグラデーションとは、図1に示すように、色の濃度を連続的に濃く(うすく)変化させているものであり、印刷では、図1−bのグラデーションスケールに示すように、網点の大きさによる網点の面積比率%を変化させることにより形成することができるものである。
【0014】
まず、本発明のメタリック感のある印刷物の第一の実施形態について説明する。印刷物Aは、図2に示すように、地となる絵柄模様Qの上にある所定の形状のスポットグラデーションパターンPを一定間隔で設けて集合模様としている。スポットグラデーションパターンPのグラデーションと地となる絵柄模様との対比が独特である絵柄模様を形成している。
【0015】
スポットグラデーションパターンPの形状は、本例の円形以外にも、長円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、その他の多角形、ハート形、星形、その他種々の形状とすることができる。そのスポットグラデーションパターンPをそれぞれ連続するカラーのグラデーションとする。この時、赤系〜紫系〜青系〜緑系〜橙系〜赤系へと連続するように並べて全体として大きなグラデーションに見えるようにする。
【0016】
そのためには、各スポットグラデーションパターンPにおけるグラデーションは、赤系〜紫系〜青系〜緑系〜橙系へと連続する総ての色彩を含むレインボー色のグラデーションではなく、赤系、青系、緑系、紫系、橙系等の単独でのグラデーション、あるいは、部分的に、赤系〜青系等を連続的に設けたグラデーションとしてもよい。
【0017】
各スポットグラデーションパターンPにおけるグラデーションの色調は印刷の基本である3色(シアン+マゼンタ+イエロー)の組み合わせで表現されている。印刷においては、各色(シアン、マゼンタ、イエロー)の網点の%を0〜100%の範囲として組み合わせることにより、すべての色を理論的には再現することができる。本発明のスポットグラデーションパターンPの色調は、3色の網点%の合計を、60〜200%の範囲とすることが好ましい。60%未満の場合、下地のアルミニウムの反射面が目立ち過ぎて冷たい印象となり好ましくなく、一方、200%を越えるとグラデーションの色彩が極端に濁ってしまい好ましくない。
【0018】
本発明のメタリック感のある印刷物の第一の実施形態の一例である印刷物Aでは、各スポットグラデーションパターンPにおけるグラデーションの色調を、赤系を(マゼンタ100%+イエロー100%)〜(マゼンタ100%+イエロー0%)、紫系を(マゼンタ100%+シアン0%)〜(マゼンタ100%+シアン100%)、青系を(シアン100%+マゼンタ100%)〜(シアン100%+マゼンタ0%)、緑系を(シアン100%+イエロー0%)〜(シアン100%+イエロー100%)、黄系を(シアン100%+イエロー100%)〜(シアン0%+イエロー100%)、燈系を(イエロー100%+マゼンタ0%)〜(イエロー100%+マゼンタ100%)としている。
【0019】
また、地となる絵柄模様Qに関しては、無地あるいは種々の絵柄模様とすることができる。本例の印刷物Aでは、スポットグラデーションパターンPと同様にグラデーションとし、スポットグラデーションパターンPと地となる絵柄模様のグラデーションの方向を同一としているが、特に、限定されるものではなく、スポットグラデーションパターンPのグラデーションとは、方向性および色合いは任意のものとすることで、独特な模様を形成することができる。
【0020】
また、スポットグラデーションパターンPの形状を同一とし、図3−aに示すように、大きさを異なるものとすることができる。また、スポットグラデーションパターンPを、図3−bに示すように、一定間隔ではなくランダムに設けることもできる。さらに、図3−cに示すように、スポットグラデーションパターンPの一部が重なる模様とすることができる。この場合も、色彩の極端な濁りを避けるためには、重なり合った部分の全ての網点の%の合計を0〜200%の範囲とすることが好ましい。
【0021】
つぎに、本発明のメタリック感のある印刷物の第二の実施形態について説明する。印刷物Bは、図4に示すように、スポットグラデーションパターンPの形状を六角形としてスポットグラデーションパターンPだけで隙間なく連続した模様を形成している。従って、地となる絵柄模様のない連続したスポットグラデーションパターンPだけで形成された独特の絵柄模様を形成している。このスポットグラデーションパターンPの形状としては、同一形状で隙間なく連続した模様を形成することができればよく、本例の六角形以外にも、三角形、四角形、台形状扇形等とすることができる。
【0022】
また、そのスポットグラデーションパターンPをそれぞれ連続するカラーのグラデーションとするが、この時、赤系〜紫系〜青系〜緑系〜燈系へと連続するように並べて全体として大きなグラデーションに見えるようにする。そのためには、各スポットグラデーションパターンPにおけるグラデーションは、赤系〜紫系〜青系〜緑系〜燈系へと連続する総ての色彩を含むレインボー色のグラデーションではなく、赤系、青系、緑系、紫系、榿系等単独でのグラデーション、あるいは、部分的に、赤系〜紫系等のグラデーションとしてもよい。
【0023】
それぞれのスポットグラデーションパターンPはグラデーションとするが、の色調は、第一の実施形態と同様に、3色の網点%の合計を、60〜200%の範囲とすることが好ましい。
【0024】
本発明のメタリック感のある印刷物の第二の実施形態の一例である印刷物Bでは、第一の実施形態の一例である印刷物Aと同様に、各スポットグラデーションパターンPにおけるグラデーションの色調を、赤系を(マゼンタ100%+イエロー100%)〜(マゼンタ100%+イエロー0%)、紫系を(マゼンタ100%+シアン0%)〜(マゼンタ100%+シアン100%)、青系を(シアン100%+マゼンタ100%)〜(シアン100%+マゼンタ0%)、緑系を(シアン100%+イエロー0%)〜(シアン100%+イエロー100%)、黄系を(シアン100%+イエロー100%)〜(シアン0%+イエロー100%)、燈系を(イエロー100%+マゼンタ0%)〜(イエロー100%+マゼンタ100%)としている。
【0025】
この模様は、ホログラムの絵柄と類似しており、簡単な方法でホログラム調とすることができるという特徴を有している。
【0026】
いずれの実施形態の場合においても、イエローインキは透明性のあるインキを使用することが好ましい。また、シアン、マゼンタ、イエローの基準3色以外にも、金属の持つ冷たさの感覚を減じるために、ホワイトの印刷を網点%で50%以下で加えることができる。また、色の濃度感が不十分な場合、濃度を補うために、スミの印刷を網点%で50%以下で加えることができる。いずれの場合においても、網点%の合計を、0〜200%の範囲とすることが好ましい。
【0027】
本発明の印刷物は、アルミニウム等の金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体上に印刷するため主に網点を使用したグラビア印刷で印刷が行なわれるが、オフセット印刷等でも行うことができる。
【実施例】
【0028】
つぎに、本発明の印刷物およびその作成方法について、具体的に実施例をあげてさらに詳しく説明する。
【0029】
<実施例1>
スポットグラデーションパターンPが円形である集合体全体で、独特な絵柄を形成しているが、スポットグラデーションパターンP単体では赤系のみの色合いとしている。ただし、微妙な色合いの変化の特徴を持たせるために、色濃度が濃い色合い(マゼンタ60%+イエロー0%)〜(マゼンタ100%+イエロー100%)等を数種と、色濃度が薄い色合い(マゼンタ60%+イエロー30%)〜(マゼンタ30%+イエロー30%)、(マゼンタ30%+イエロー100%)〜(マゼンタ50%+イエロー50%)、マゼンタ60%〜マゼンタ100%等を数種設定し、その集合体全体では赤系ではあるものの、濃度に微妙な変化を持たせたグラデーションのデザインとした。
【0030】
上記デザインを延伸ナイロン15μmに印刷(使用色:スポットグラデーションパターン部はマゼンタ・イエローの2色、全体ではシアン・マゼンタ・イエロー、黒、白の5色)し、印刷面とアルミニウム7μmをドライラミネートし、さらに、順次二軸延伸ボリアミド15μm、ボリエスチレンフイルム60μmをドライラミネートすることで、印刷されたデザインの下地に、アルミ蒸着面を貼り合わせて、メタリック感のある印刷物を完成した。この印刷物を使用して、内容物の絵柄の印刷等を施し包装用の軟包装袋とした。
【0031】
<実施例2>
スポットグラデーションパターンPである台形状扇形の集合体全体で、絵柄を形成するのであるが、スポットグラデーションパターンP単体では、赤系を(マゼンタ100%+イエロー100%)〜(マゼンタ100%+イエロー0%)、紫系を(マゼンタ100%+シアン0%)〜(マゼンタ100%+シアン100%)、青系を(シアン100%+マゼンタ100%)〜(シアン100%+マゼンタ0%)、緑系を(シアン100%+イエロー0%)〜(シアン100%+イエロー100%)、黄系を(シアン100%+イエロー100%)〜(シアン0%+イエロー100%)、燈系を(イエロー100%+マゼンタ0%)〜(イエロー100%+マゼンタ100%)等の色合いとし、その集合体全体では赤系〜紫系〜青系〜緑系〜黄系〜榿系〜赤系に見えるデザインとした。
【0032】
上記デザインを延伸ポリプロピレン20μmのコロナ処理面に印刷(使用色:メタグラム柄部はシアン・マゼンタ・イエローの3色、全体ではシアン・マゼンタ・イエロー、黒、白の5色)し、ポリエチレン13μmでバキユームメタライズド延伸ポリエステル(アルミ蒸着)12μmとラミネートし、さらにバキュームメタライズド延伸ポリエステル面と無延伸ポリプロピレンをポリエチレン13μmでラミネートすることで、印刷されたデザインの下地に、アルミ蒸着面を貼り合わせて、メタリック感のある印刷物を完成した。この印刷物を使用して、内容物の絵柄の印刷等を施し包装用の軟包装袋とした。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の印刷物は、材料として、アルミニウム等の金属箔あるいは金属蒸着層を含む構成の積層体が使用されている製品に広く利用でき、例えば、包装材料、特に軟包装等に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】グラデーションの説明図である。
【図2】本発明のメタリック感のある印刷物の第一の形態の一例を示す図である。
【図3】本発明のメタリック感のある印刷物の第一の形態のスポットグラデーションパターンのパターン例を示す図である。
【図4】本発明のメタリック感のある印刷物の第二の形態の一例を示す図である。
【図5】本発明のメタリック感のある印刷物の第一の形態の他の例を示す図である。
【図6】本発明のメタリック感のある印刷物の第二の形態の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
A 印刷物(第一の形態の一例)
B 印刷物(第二の形態の一例)
P スポットグラデーションパターン
Q 地の絵柄


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも金属箔又は金属蒸着層を含む層構成からなる積層体の前記金属箔又は前記金属蒸着層の上にメタリック感を生かした絵柄を印刷し、該絵柄は、グラデーション印刷による同一形状のスポットグラデーションパターンを一定間隔で設け、集合して全体としてグラデーションの絵柄を形成していることを特徴とするメタリック感のある印刷物。
【請求項2】
少なくとも金属箔又は金属蒸着層を含む層構成からなる積層体の前記金属箔又は前記金属蒸着層の上にメタリック感を生かした絵柄を印刷し、該絵柄は、グラデーション印刷による同一形状のスポットグラデーションパターンだけで隙間無く連続した模様を形成し、集合して全体としてグラデーションの絵柄を形成していることを特徴とするメタリック感のある印刷物。
【請求項3】
前記スポットグラデーションパターンの形状が、三角形、四角形、六角形、台形状扇形であることを特徴とする請求項2に記載のメタリック感のある印刷物。
【請求項4】
前記スポットグラデーションパターンにおけるグラデーションの色調は、網点の%が0〜100%の範囲の3色(シアン+マゼンタ+イエロー)の組み合わせで表現され、前記3色の網点%の合計を、60〜200%の範囲とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のメタリック感のある印刷物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−320178(P2007−320178A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153279(P2006−153279)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】