説明

メタルハライド放電ランプ、メタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置

【課題】
コンパクトで陽極側の封止部におけるクラック発生を抑制した自動車前照灯用として好適な直流点灯用のメタルハライド放電ランプ、これを備えたメタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置を提供する。
【解決手段】
メタルハライド放電ランプMHLは、包囲部1aおよび内部に封着金属箔が気密に埋設された一対の封止部1bを備えた気密容器1と、基端が封着金属箔3A、3Bに接続し、電極主部が包囲部内に離間対向して望み、かつ中間部が封止部で支持された陽極2Aおよび陰極2Kと、一対の電流導入導体4A、4Bと、第1のハロゲン化物および第2のハロゲン化物および希ガスを含み、本質的に水銀を含まない放電媒体とを具備し、上記気密容器内に流れる電流の向きが常に時間と共に変化しない単一方向であるとともに、陽極側の封着金属箔の長さが陰極側の封着金属箔の長さより大きくて、かつその長さが10〜19mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプ、特に自動車前照灯用の水銀フリーのメタルハライド放電ランプ、メタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、HIDランプは高効率・長寿命という特徴から特に屋外照明分野などに広く応用されている。中でもメタルハライドランプは演色性が良く、その特性を生かし屋外照明分野のみならず、屋内照明分野にも普及しつつあり、また映像機器用の光源・車両の前照灯用光源として注目されている。
【0003】
また、ランプ電圧形成物質として特定グループから選択された金属のハロゲン化物を封入することで水銀を封入することなしに水銀を封入したのとほぼ同等の電気特性および発光特性が得られるようにした水銀フリーのメタルハライドランプ(以下、便宜上「水銀フリーランプ」という。)は既知である(特許文献1参照。)。この種の水銀フリーランプは、自動車用前照灯などとして2004年7月から実用化されている。
【0004】
水銀フリーランプは、水銀を封入しないので環境的に良く、また、始動時の分光特性の立ち上がり特性が良い、調光に適する、特性のばらつきが小さいなどの利点があるので、今後このタイプのランプが普及していくと考えられる。このような水銀フリーHIDランプでは希ガスを1気圧以上にすると、効率、ランプ電圧の維持、良好な立ち上がり特性、アーク転移の容易などの点で好適である。
【0005】
ところで、従来から用いられている水銀入りのメタルハライド放電ランプ(以下、便宜上「水銀入りランプ」という。)および上述の実用化された水銀フリーランプは、そのいずれも交流点灯方式で点灯されるように構成されている。
【0006】
しかし、自動車用前照灯に用いるメタルハライド放電ランプを、交流点灯回路を用いて点灯させる場合、電源から供給される電流が直流であるため、点灯回路中に直流−交流変換回路を介在させなければならない。直流−交流変換回路としては、一般的にフルブリッジ形インバータ回路が用いられている。このフルブリッジ回路は、比較的大型の半導体スイッチング素子を用いるため、直流点灯方式に比較してコスト増大、点灯回路の大型化となる。換言すれば、水銀フリーランプを直流方式で点灯できれば、点灯回路のコスト低下、小型化が実現できる。
【0007】
また、直流の方が立ち消え、チラツキなどが少ない。すなわち、例えば交流点灯で矩形波点灯の場合には極性が切り替わる際に電流がゼロポイントを横切る。その際に、水銀フリーランプでは水銀による遊離ヨウ素の吸収効果(ヨウ化水銀の生成)が無いためにランプ電圧の急上昇が生じてランプのチラツキを生じやすく、また立ち消えしやすい。直流点灯ではこれらの点が改善される。同様の理由で直流点灯の方が振動に強い。すなわち、例えば交流点灯で矩形波点灯の場合にランプが強い振動を受けた際に、発光管内のハロゲン化物などの放電媒体が急蒸発するなどで電気特性が急変した場合、電流ゼロポイント近辺での立ち消えしやすさが増大して簡単に立ち消えを生じる。
【0008】
さらに、発光管材料である石英と反応しやすい希土類金属やScなどのハロゲン化物や、石英を抜けやすいNaのハロゲン化物を封入している場合には、発光管の白濁やNa抜けなどは交流よりも直流の方が総括的には少ない。これは直流の場合、一方向の電界のため、金属元素(ScやNaなど)は陰極に引かれるので、陰極側で発光管の白濁やNa抜けが生じやすくなるものの、陽極側ではこれらの現象は少ない。結局、総括的には直流の方が発光管の白濁やNa抜けが少なくなる。
【0009】
さらにまた、水銀フリーランプでは、水銀入りランプの際に見られるような、調光時色度変化を抑制することが可能となる。水銀入りランプでは、定格ランプ電力すなわち全光状態から調光すると、主発光物質よりも蒸気圧の高い水銀が相対的に発光が強くなり、色度変化が起こるものである。水銀フリーとすることで、色度変化はずっと少なくなる。しかし、交流点灯方式では、極性変化点があるため、調光の際に立消えが発生しやすい。すなわち、水銀フリーランプは調光可能であるが、交流よりも直流の方が調光可能な範囲が広くなる。
【0010】
さらにまた、水銀入りランプを直流で点灯すると、封入金属であるScやNaや希土類金属は発光管中でプラスに帯電(イオン化)するので陰極に引かれ、この結果として陰極側ではSc、Na、希土類金属の発光が得られるが、陽極側ではこれらの金属の発光は減少して主に水銀だけが発光する現象を生じる。このため、発光管の陽極側と陰極側で光色が異なり(色分離)、また効率の低い水銀発光の占める割合が多くなるため、ランプの光効率は低下する。水銀フリーランプの場合はこのような傾向は緩和される。
【0011】
以上のように、水銀フリーランプにおいて、直流点灯は交流点灯より望ましいが、以下に示す問題がある。
【0012】
すなわち、放電ランプでは、電子は陽極に叩き込まれるので、電子のエネルギーを吸収するために、陽極が陰極より高温になることである。そのため、温度的に陽極側の方が厳しくなる。電極についての改善策としては、先端部と軸部の寸法を変える方法がある。すなわち、軸部は石英と封着するので、特に自動車前照灯のように点滅が激しいと、軸径が大きいほど点滅に耐えられない。一方、先端部は、電極温度を低下させるために寸法的には大きい方が良い。そのため、先端部を軸部に対して寸法を大きくしたり、先端部を軸部より径の大きい球状にしたりする(先端球状電極)などが改善策として知られている。
【0013】
陽極側が高温になる弊害は、封着金属箔の電流導入導体との接合部において顕著となる。陽極からの熱は、その先端部から軸部、軸部と封着金属箔との接合部、さらに封着金属箔を介して電流導入導体へと伝導する。ところで、電流導入導体と封着金属箔との接合部は、封止部に封着されているが大気と通じている。すなわち、電流導入導体を石英に気密に封着することはできない。このため、電流導入導体と封着金属箔の接合部が高温状態(350℃以上)の場合、除々に酸化される。封着金属箔の酸化はその周囲の石英に応力を及ぼし、封止部の石英のクラックを生じ、結局ランプはリークして不点となる。電流導入導体と封着金属箔との接合部の温度を下げるためには、熱源である陽極から距離を遠ざけることを第一に考慮すべきである。
【0014】
しかし、灯具との関係でコンパクトであることが重要なランプでは寸法的にいろいろ制限があり、それらの制限条件も考慮しなければならない。例えば、コンパクト性が重要である自動車用前照灯用の水銀フリーHIDランプは、図1に示すような構造をしている。寸法的には口金の基準面から光中心までは27.1mmに規定されている。また、灯具との関係から基準面からランプ先端までは最大50mm程度が好ましい。
【0015】
以上の理由から、図1で陽極が口金側かその反対側かの選択の問題がある。この点について水銀フリーのHIDランプにおいて、外部のソケットに電気的に接触する口金が、陽極側に配設したものが知られている(特許文献2参照。)。特許文献2では、陽極側の封着部の熱を口金に伝達することにより、上記封止部における温度状況を改善しようとしている。
【0016】
陽極側を口金側にすることの利点は、寸法を制御できることにもある。すなわち、温度的に厳しい陽極側を口金と反対にした方が寸法的な制限が大きい。すなわち、口金の基準面から27.1mmに光中心があり、また口金の基準面から50mmのところにランプ先端があるためには、光中心からランプ先端までの取れる距離が約23mmしかない。熱源である陽極から封着金属箔と電流導入導体との接合部までの距離を大きくしようとすると、封着金属箔の長さを長くする必要がある。なお、封止部の石英ガラスによる電極軸部のくわえ込み部を長くすると、自動車前照灯のように点滅が厳しい場合、電極のくわえ込み部における電極軸の近傍の石英ガラスがクラック(軸クラック)して不点となりやすくなる。
【0017】
一方、放電ランプが凹面鏡内に組み込まれて両者が一体化される投射型表示装置用に構成された光源装置において、凹面鏡の開口部側に位置する放電ランプの封止部に埋設される金属箔を口金側となる凹面鏡の頂部側に位置する封止部の金属箔より長くすることが知られている(特許文献3参照。)。ところが、自動車前照灯用のメタルハライド放電ランプのようにコンパクトであることが要求される場合には、封着金属箔の長さを長くすると、上記のような封止部の寸法制限に適合し得なくなりやすい。
【0018】
【特許文献1】特開平11−238488号公報
【特許文献2】特開2000−106133号公報
【特許文献3】特開2005−072013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところが、自動車用前照灯用の水銀フリーHIDランプでは、一般照明用ランプに比較して格段に良好な点滅特性が要求されることである。すなわち、前照灯の用途では頻繁にランプを点滅する必要がある。一般的な寿命(2000時間)の間におよそ1万2千回の点滅寿命が必要である。
【0020】
また、前照灯用では光束の立ち上がりが速いことが重要であり、そのため、回路的に始動時は定常時の2倍以上のランプ電力をランプに投入し、その後徐々に電流を絞っていく方式が一般的である。すなわち、定常時35Wのランプ電力の場合において、始動時には75Wの入力電力を印加したりする。このような頻繁でランプに対する負荷の大きい点滅のために、2種類の石英クラックによってランプは不点となりやすい。第1は、電極の軸近傍の石英がクラックしてそれが拡大する場合(電極軸クラック)であり、第2は封着金属箔近傍の石英がクラックし、それが拡大する場合(箔クラック)である。直流点灯の場合は、陽極側の方の温度環境が厳しいため、点滅時のクラックによる不点は圧倒的に陽極側で生じる。
【0021】
本発明者は、陽極側の封着金属箔の長さを所定範囲に規定することにより、自動車前照灯用のメタルハライド放電ランプのようにコンパクトであると同時に、陽極側での上述した2つのクラックの発生を効果的に抑制することが可能になることを見出し、本発明をなすに至った。
【0022】
さらに加えて、陽極側での上述した2つのクラックの発生が陽極側の封着金属箔の長さ(L)と定常時のランプ電流(Q)の積L・Qに関連していることを見出した。すなわち、電極と封着金属箔は接合されている。点滅が行われると、電極と封着金属箔の接合体はその接合部を中心にして石英に応力を与える。L・Qが小さい領域では、電極部の石英に与える応力が主要となり電極軸クラックが生じやすい。L・Qが大きい領域では、封着金属箔の石英に与える応力が主要となり箔クラックが生じやすい。それで点滅特性に関してL・Qの好適な領域が存在する。
【0023】
本発明は、陽極側の封着金属箔の長さを所定値範囲に設定することにより、コンパクトでありがら陽極側の封止部におけるクラック発生を効果的に抑制した自動車前照灯用として好適な直流点灯用のメタルハライド放電ランプ、これを備えたメタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明のメタルハライド放電ランプは、内部に放電空間が形成される包囲部および包囲部に接続するとともに内部に封着金属箔が気密に埋設された一対の封止部を備えた耐火性で透光性の気密容器と;それぞれ基端が気密容器の封止部内に埋設された封着金属箔に接続し、先端の電極主部が包囲部内に離間対向して望み、かつ中間部が封止部で支持されて気密容器内に封装された陽極および陰極と;先端が一対の封止部内に埋設されている封着金属箔に接続し、他端が封止部から外部へ露出した一対の電流導入導体と;第1のハロゲン化物および第2のハロゲン化物および希ガスを含んで気密容器内に封入され、第1のハロゲン化物は、ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属からなるグループから選択された1種または複数種のハロゲン化物であり、第2のハロゲン化物は、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga),チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、スズ(Sn)およびインジウム(In)からなるグループから選択された1種または複数種の金属のハロゲン化物であり、本質的に水銀を含まない放電媒体と;を具備し、上記気密容器内に流れる電流の向きが時間と共に変化しない単一方向であるとともに、陽極側の封着金属箔の長さが陰極側の封着金属箔の長さより大きくて、かつその長さが10〜19mmであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、放電媒体が水銀フリーおいて、陽極側の封着金属箔を陰極側のそれとの対比で所定範囲の長さとしていることにより、陽極側の電流導入導体と封着金属箔の温度を低減してその部分の石英ガラスのクラックを防止するとともに、コンパクトで、しかも点滅特性が良好で長寿命なメタルハライド放電ランプ、これを備えたメタルハライド放電ランプ点灯装置および照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0027】
〔第1の形態について〕
図1および図2は、本発明のメタルハライド放電ランプを実施するための第1の形態を示し、図1は正面図、図2は発光管の拡大平面図である。
【0028】
本発明において、メタルハライド放電ランプMHLは、各図に示すように気密容器1、陽極2A、陰極2K、一対の電流導入導体4A、4Bおよび図示されていない放電媒体を具備して構成されている。
【0029】
また、図示の形態は、その他の付加的な構成として、上記気密容器1、陽極2A、陰極2K、一対の電流導入導体4A、4Bおよび放電媒体により発光管ITが構成されており、この発光管ITを内部に収納する外管OT、絶縁チューブTおよび口金Bを具備していて、自動車前照灯用のメタルハライド放電ランプMHLを構成している。
【0030】
以下、上記各構成要素について説明する。
【0031】
〔発光管ITについて〕
(気密容器1について) 気密容器1は、耐火性および透光性であり、本形態においては石英ガラスからなり、包囲部1aおよび一対の封止部1bを備えている。包囲部1aは中空で、その中空部が放電空間1cとなる。放電空間1cの内容積は、メタルハライドランプの用途に応じて適宜設定することができるが、本発明を適用するのに好適な小形のメタルハライドランプとしては一般的に0.1cc以下である。また、前照灯用の場合、好適には0.05cc以下である。
【0032】
上記放電空間1cは、その形状がほぼ円柱状、球形または楕円球形など任意の形状にすることができる。前照灯用の場合、好適にはほぼ円柱状をなしている。これに対して、透光性気密容器1の包囲部1aの外面は、楕円球状や紡錘状などの回転2次曲面形状をなしている。そのため、包囲部1aの肉厚は、一般的には管軸方向の中央部が最も大きく、両端方向に順次小さくなっている。
【0033】
また、自動車前照灯用のメタルハライド放電ランプMHLとしての気密容器1における包囲部1aおよびその内部に形成される放電空間1cの好ましいサイズは、以下のとおりである。すなわち、包囲部1aの管軸方向の長さは7.4〜8.2mm、放電空間1cの内径は2.2〜2.9mm、外径は5.6〜6.9mm、肉厚は1.7〜2.5mm、放電空間1cの内容積は20〜35μlである。
【0034】
さらに、気密容器1が「透光性で耐火性を有している」とは、少なくとも包囲部1aの外部へ発光を導出しようとする部位である導光部分が透光性であって、かつメタルハライドランプMHLの通常の作動温度に十分耐える程度の耐熱性を少なくとも備えているという意味である。なお、必要に応じて、気密容器1の包囲部1aの内面に耐ハロゲン性または耐ハロゲン化物性の透明性被膜を形成するか、気密容器1の内面を改質することが許容される。
【0035】
一対の封止部1b、1bは、包囲部1aに隣接して包囲部1aと一体的に形成されている。本形態において、封止部1bは、これを包囲部1aの管軸方向の両端に延在するようにその一対を形成することができる。また、封止部1bは、包囲部1aを封止するとともに、後述する陽極2Aおよび陰極2Kの基端部がここに埋設される。これを実現するために、一対の封止部1b、1bには後述する封着金属箔3A、3Bが気密に埋設されている。また、一対の封止部1b、1bは、包囲部1aの両端から管軸方向に沿って一体に延在している。
【0036】
本発明において、一対の封着金属箔3A、3Bは、長さが所定範囲内になるように規定されている。すなわち、封着金属箔3Aは、後述する陽極2Aと接合されて包囲部1aを封止するために封止部1b内に気密に埋設される。また、図示しない好ましくは電子化された点灯回路から陽極2Aおよび陰極2K間に給電できるようにするために、一方の封着金属箔3の包囲部1a側の一端部に、陽極2Aの軸部の基端部が接続され、他端部に後述する電流導入導体4Aが接続される。同様に他方の封着金属箔3の包囲部1a側の一端部に、陰極2Kの軸部の基端部が接続され、他端部に後述する電流導入導体4Bが接続される。なお、上記接続は、例えば溶接により行うことができる。また、封着金属箔3A、3Bの肉厚は、本発明において特段限定されないが、一般的には50μm以下である。
【0037】
本発明において、陽極2A側の封着金属箔3Aは、その管軸方向の長さLが図2に示すように、陰極2K側の封着金属箔3Bの管軸方向の長さLより大きくて、かつ10〜19mmである。封着金属箔3Aの長さLが10mm未満であると、陽極側の封止部にクラックが発生して短寿命になるので、不可である。また、封着金属箔3Aの長さLが19mm超であると、光中心距離を27.1mmにすることが不可能になるので、不可である。なお、好適には12〜16mmである。この範囲であれば、封止部のクラック抑制とランプのコンパクトさとに対して効果的である。
封着金属箔の温度上昇を十分に抑制しながら光中心距離を比較的余裕を持って確保しやすくなる。
【0038】
さらに、封着金属箔3の材質としては特段限定されないが、例えばモリブデン(Mo)またはレニウム−タングステン合金(Re−W)などを用いることができる。
【0039】
さらにまた、封着金属箔3を封止部1bに埋設する方法は、特段限定されないが、例えば減圧封止法、ピンチシール法などを単独で、または組み合わせて採用することができる。包囲部1aの内容積が0.1cc以下の小形でキセノン(Xe)などの希ガスを室温で5気圧以上封入する前照灯などに用いるメタルハライドランプの場合は、後者が好適である。
【0040】
そうして、一対の封着金属箔3A、3Bは、管軸方向の中間部がそれぞれの封止部1bの石英ガラスの溶融によって封止部1bに密着することで気密容器1を封止する。
【0041】
(陽極2Aおよび陰極2Kについて) 陽極2Aは、陽極主部A1および軸部A2からなる。陽極主部A1は、陽極2Aの放電空間1cに露出する先端部であり、ランプ電流の大部分を占める電子の流入により発熱が著しいので、放熱しやすい構造が採用される。例えば、球状ないし円柱状に膨出しているか、または軸部A2の先端部にコイルを巻回して構成されており、表面積が大きくて放熱が促進される構造になっている。陽極主部A1の最大径を0.50〜0.70mmとするのがよい。
【0042】
軸部A2は、陽極2Aの中間部および基端部を担当する。そして、中間部は封止部1bに緩く支持(くわえ込み)され、基端部は封着金属箔3Aに接続されるので、封止部1bにクラックが生じにくいように比較的細く構成される。なお、陽極主部A1が上記数値範囲の場合、軸部A2は、直径0.25〜0.40mmとするのがよい。
【0043】
陰極2Kは、陰極主部K1および軸部K2からなる。陰極主部K1は、陰極2Kの放電空間1cに露出する先端部であり、電子放射しやすいとともに陰極輝点の位置が安定しやすいように、所望により先端を半球状ないし円錐状に形成することができる。軸部K2は、陰極2Kの中間部および基端部を担当する。そして、中間部が封止部1bに緩く支持(くわえ込み)され、基端部が封着金属箔3Bに接続されるので、クラックが生じないように比較的細く構成される。
【0044】
また、陰極2Kの軸部K2は、その直径が一般的には0.25〜0.40mmの範囲内で適当な値に設定されるのがよい。そして、単一の耐火性金属により構成されるのが一般的であるが、所望により異種の耐火性金属を接合して構成されていてもよい。
【0045】
さらに、陽極2Aおよび陰極2Kは、本形態においてタングステン(W)、ドープドタングステン、トリウムタングステン、レニウム(Re)およびタングステン−レニウム合金(W−Re)などのグループから選択された耐火金属により形成することができる。特に陰極2Kは、電子放射性が良好なトリウムタングステンや電子放射性の金属またはその酸化物をドープしたドープドタングステンなどを用いると効果的である。
【0046】
さらにまた、陽極2Aおよび陰極2Kの軸部A2、K2の封止部1bにくわえ込まれる部分の長さすなわち包囲部1aと封止部1bの境界から箔端までの長さは、3〜7mmの範囲であるのが箔クラックや軸クラック防止の観点から好ましい。
【0047】
ところで、図1において、左方の陽極2A側の封止部1bを形成した後に、封止管1dが切除されないで封止部1bの外側端部から一体に延長していて、後述する口金B内へ延在している。
【0048】
(電流導入導体4A、4Bについて) 本発明において、電流導入導体4A、4Bは、その先端が気密容器1の両端の封止部1b内において封着金属箔3A、3Bの他端に溶接され、基端側が外部へ導出されている。
【0049】
図1において、発光管ITから右方へ導出された陰極2K側の電流導入導体4Bは、中間部が後述する外管OTに沿って折り返されて後述する口金B内に導入されて側縁側に位置する一方の口金端子t1に接続している。これに対して、図1において、発光管ITから左方へ導出された陽極2A側の電流導入導体4Bは、封止管1d内を管軸に沿って延在して口金B内に導入されて中央側に位置する他方の口金端子(図示されていない。)に接続している。
【0050】
また、電流導入導体4A、4Bは、本発明においてその材質が特段限定されないが、例えばモリブデン(Mo)、タングステン(W)およびコバール(Fe−Ni−Co合金)などを用いることができる。
【0051】
(放電媒体について) 放電媒体は、第1および第2のハロゲン化物および希ガスを含んでいる。
【0052】
第1のハロゲン化物は、主として可視光を発光する媒体であり、少なくともナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属からなるグループから選択された1種または複数種のハロゲン化物が主体である。なお、水銀は、本質的に含んでいないが、不純物程度にわずかであれば含んでいても許容される。
【0053】
第2のハロゲン化物は、主としてランプ電圧を形成するのに効果的な媒体であり、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga),チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、スズ(Sn)およびインジウム(In)からなるグループから選択された1種または複数種の金属のハロゲン化物である。
【0054】
希ガスは、始動ガスおよび緩衝ガスとして作用し、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)などの一種または複数種を用いることができる。また、水銀フリーランプの場合、希ガスを1気圧以上に封入することで、発光効率、ランプ電圧の維持、良好な光束立ち上がり特性およびグロー・アーク転移の容易さなどの点で効果的である。さらに、自動車前照灯用のメタルハライドランプMHLとしては、光色立ち上がり特性および光束立ち上がり特性をより一層向上させるために、キセノンを5気圧以上、好ましくは7〜18気圧の範囲、より一層好ましくは8〜13気圧の範囲で封入するか、あるいは点灯時の内部空間内の圧力が50気圧以上になるように封入するのがよい。これにより、始動直後の発光金属の蒸気圧が低いときに、立ち上がり時の光束としてXeの白色発光を寄与させることができる。
【0055】
ハロゲン化物を構成するハロゲンの種類としては、反応性に関してハロゲンの中でヨウ素が最も適当であり、少なくとも上記主発光金属は、主としてヨウ化物として封入される。しかし、要すれば、ヨウ化物および臭化物のように異なるハロゲンの化合物を併用することもできる。
【0056】
〔外管OTについて〕 本発明において、メタルハライドランプMHLは、所望により外管OTを具備していることが許容される。外管OTは、石英ガラスまたはハイシリケートガラスなどからなり、その内部に発光管ITの少なくとも主要部を収納する手段である。そして、発光管ITから外部へ放射される紫外線を遮断し、機械的に保護し、かつ発光管ITの透光性気密容器1を手で触れることで人の指紋や脂肪が付いて失透の原因とならないようにしたり、あるいは透光性気密容器1を保温したりする。
【0057】
また、外管OTの内部は、その目的に応じて外気に対して気密に封止してもよいし、不活性ガスが封入されていてもよい。本形態では、窒素を0.1気圧封入している。
【0058】
さらに、外管OTの外面または内面に遮光膜を配設することもできる。
【0059】
図示の形態においては、外管OTを形成する際に、その両端を透光性気密容器1の両端から管軸方向に延在する封止部にガラス溶着させることによって外管OTを透光性気密容器1で支持するように構成することができる。外管OTは、紫外線カット性能を備えており、内部に発光管ITを収納していて、両端の縮径部5が発光管ITの封止部1bにガラス溶着している。しかし、内部は気密ではなく、外気に連通している。
【0060】
〔絶縁チューブTについて〕 絶縁チューブTは、セラミックスからなり、絶縁チューブTは、例えばセラミックスなどの耐熱性絶縁物からなり、電流導入導体4Bの発光管ITに平行に延在している部位を被覆している。
【0061】
〔口金Bについて〕 本発明において、メタルハライドランプMHLは、所望により口金Bを具備していることが許容される。口金Bは、メタルハライドランプMHLを図示しない点灯回路に接続したり、加えて機械的に支持したりするのに機能する手段であって、図示の形態においては、自動車前照灯用として規格化されているもので、発光管ITおよび外管OTを中心軸に沿って植立して支持していて、自動車前照灯の背面に着脱可能に装着されるように構成されている。
【0062】
また、口金Bは、発光管ITの陽極2A側の封止部1bを、封止管1dを介して支持しているので、陽極2A側の封着金属箔3Aが口金Bに接近した位置に配置される。
【0063】
さらに、図1には示されていないが、封着金属箔3Aと電流導入導体4Aとの接合部が口金B内に位置していると、冷却効果がさらに良好になるので、好ましい。
【実施例1】
【0064】
図1に示すランプ構造である。
【0065】
気密容器 :石英ガラス製、包囲部は回転楕円体形状で、
管軸と直交する短軸方向の内径2.6mm
陽極側の封着金属箔3Aの厚さ20μm、幅1.7mm、長さ14mm
陰極側の封着金属箔3Bの厚さ20μm、幅1.7mm、長さ7mm
陽極 :ドープト゛タングステン製で、陽極主部が直径0.65mmの球状、
軸部が直径0.35mm、長さ7mm、封止部埋設長5mm
陰極 :0.1質量%トリア含有トリエーテッドタングステン製で、
陰極主部、軸部が同径で直径0.35mm、長さ7mm、封止部埋設長5mm
電極間距離 :4.2mm
放電媒体 :ScI3-NaI-ZnI2(0.10-0.25-0.12mg)、Xe11気圧
定格ランプ電力:35W
寿命特性 :ライフ試験5000時間でも点灯可能
【0066】
なお、ライフ試験は、1時間直流点灯、10分間消灯のサイクルを用いて行った。

[比較例1]
【0067】
気密容器 :陽極側、陰極側の封着金属箔3A、3Bがともに長さ7mm
その他の仕様は実施例1と同じ。
【0068】
寿命特性 :比較例1のメタルハライド放電ランプ10本について、ライフ試験
を行った結果、1000時間以内に全てのランプが酸化、クラック発生
で不点になった。

【0069】
なお、比較例1の場合、いずれのランプも陽極側の封着金属箔と電流導入導体との接合部近傍でクラックが発生して、気密が破壊され、不点灯となった。詳細に観察すると、封着金属箔3Aは、電流導入導体4Aから徐々に黒く変色している。そこで、分析した結果、酸化していることが分かった。
【0070】
これに対して、陰極側の封着金属箔は酸化現象およびクラック発生が見られなかった。
[比較例2]
【0071】
実用化されている水銀フリーランプ(一対の電極が実施例1の陰極と同じ対称構造である以外は実施例1と同じ仕様)を矩形波交流点灯した。
【0072】
寿命特性 :ライフ試験5000時間経過しても酸化、クラック発生はなく、
点灯可能であった。

【0073】
次に、実施例1のメタルハライド放電ランプにおいて、陽極側の封着金属箔3Aの長さを種々変えたときの寿命特性への影響を調査した結果について表1を参照して説明する。なお、陽極2A側の封止部1bの長さは封着金属箔3Aの長さに応じて変化しているが、その他の仕様は固定している。いずれのランプも3本づつ試験した。
【0074】
表1は、実施例1において、陽極側の封着金属箔3Aの長さを種々変えたときのライフ試験の結果を示す表である。なお、表中のランプNo.は陽極側の封着金属箔3Aの長さ仕様が異なるランプを示し、各No.のメタルハライドランプを、直流点灯回路を用いてライフ試験を行った。封着金属箔長は、L(mm)が陽極2A側の封着金属箔3Aの長さ、L(mm)が陰極2K側の封着金属箔3Bの長さ、をそれぞれ示す。
【表1】

【0075】
表1から理解できるように、ランプ3〜12のように陽極2A側の封着金属箔3Aの長さL(mm)が10〜19mmの範囲内であれば、前述と同様な5000時間のライフ試験の後でもメタルハライド放電ランプの点灯が可能であるとともに、光中心距離27.1mmの規格を満足するメタルハライド放電ランプを得ることが可能になる。
【0076】
しかし、ランプ13の場合、5000時間のライフ試験語でも点灯可能であるが、封着金属箔3Aが20mm以上になると、光中心の距離を27.1mmにすることが不可能となる。
【0077】
これに対して、封着金属箔3Aの長さL(mm)が10mm未満のランプ1、2の場合には、5000時間以内に封着金属箔3Aと電流導入導体4Aとの接合部近傍の石英ガラスにクラックが発生し、気密容器1の気密が破壊されて不点になった。この現象は再現性があった。なお、この場合、陽極2A側の封着金属箔3Aは、徐々に黒く変色していった。変色部分を分析した結果、封着金属箔3Aが酸化されていることが分かった。このことから、封着金属箔3Aは、点灯中の温度が350℃以上になっていたことが分かる。また、陰極2K側の封着金属箔3Bについては別段酸化、クラックなどの不都合は発生していなかった。
【実施例2】
【0078】
次に、実施例2として陽極2A側の封着金属箔3Aの長さを表1と同様に種々変え、かつ陰極2Kを口金B側に配置した以外は実施例と同一の仕様としたメタルハライド放電ランプを製作してライフ試験を行った結果について表2を参照して説明する。なお、表2において、表1と同じ部分については説明を省略する。
【表2】

【0079】
表2から理解できるように、実施例2の場合、陽極2A側の封着金属箔3Aの長さL(mm)が10mm以下で不点になり、ランプ9の16mm以上になると、5000時間後でも点灯可能であるが、口金基準面からランプ先端までを50mm以内にすると、光中心距離が規格外になってしまう。しかし、陽極2A側の封着金属箔3Aの長さL(mm)が11〜15mmの範囲において、本発明の効果を奏することができる。このことおよび図3との対比から、本発明においては、陽極2A側の封着金属箔3Aの長さL(mm)を所定の範囲内で長くすることに加えて、陽極2A側の封着金属箔3Aを口金B側に配置することがより一層効果的であることが分かる。
【実施例3】
【0080】
放電媒体 :ScI3-NaI-MnI2(0.10-0.25-0.15mg)、Xe11気圧
その他は実施例1同じ。
【0081】
実施例3は、第2のハロゲン化物の材料を変更したもので、実施例1におけるのと同様なメタルハライド放電ランプを製作して表1および表2におけるのと同様にライフ試験を行った。その結果、図3および図4におけるのとほぼ同様な結果が得られた。
【実施例4】
【0082】
放電媒体 :NdI3-NaI-ZnI2(0.10-0.25-0.12mg)、Xe11気圧
その他は実施例1同じ。

【0083】
実施例4は、第1のハロゲン化物を変更したもので、実施例1におけるのと同様なメタルハライド放電ランプを製作して表1および表2におけるのと同様にライフ試験を行った。その結果、表1および表2におけるのとほぼ同様な結果が得られた。
【0084】
次に、本発明のメタルハライド放電ランプを実施するための第2の形態について説明する。本形態において、メタルハライド放電ランプMHLは、陽極2A側の封止部1b内に埋設された封着金属箔3Aの長さをL(mm)とし、定常点灯中のランプ電流Q(A)としたとき、数式:7.36<L・Q<15.12を満足するように構成されている。
【実施例5】
【0085】
放電媒体 :ScI3-NaI-ZnI2(0.10-0.25-ZnI2の量を8種類設定)、Xe11気圧
その他は実施例1同じ。

【0086】
ZnI2量はランプ電圧と関連しているので、ZnI2の封入量を8種類に変えたメタルハライド放電ランプA〜Hは35W入力でランプ電圧が38〜52Vになった。
例えば、ZnI20.12mg封入でランプ電圧は42V(ランプF)になった。この場に封着金属箔3Aの長さL(mm)とランプ電流Q(A)との積L・Qが図5に示す表中の数値のようになった。
【表3】

【0087】
なお、表3において、最上段は陽極側の封着金属箔長(mm)であり、左欄から右欄まで6mmから24mmまでに区分されている。また、上から2段から最下段まではそれぞれランプ電圧が異なる各ランプA〜HにおけるL・Qの値を示している。
【0088】
表3から理解できるように、太枠で囲まれて閉じた範囲は、点滅寿命試験において、
点滅回数1万2千回以上を達成した陽極側の封着金属箔長とランプA〜Hの組み合わせにおけるL・Q値を示している。換言すれば、本発明の第1の形態における水銀フリーのメタルハライド放電ランプは、封着金属箔長とランプ電流との積が数式:7.36<L・Q<15.12を満足する範囲内にあれば、クラックが生じなくなるのに加えて点滅寿命も長くなること意味している。
【0089】
図3は、本発明のメタルハライド放電ランプ点灯装置を実施するための一形態の回路ブロック図である。すなわち、メタルハライド放電ランプ点灯装置は、以上説明した本発明のメタルハライド放電ランプ13と、極性が時間と共に変化しない電流を供給してメタルハライド放電ランプを点灯する直流電子化点灯回路とを具備している。図示の形態において、直流電子化点灯回路は、直流主点灯回路12Aおよび始動器12Bを備えている。直流主点灯回路12Aは後述するように構成され、後述する前照灯本体11に取り付けることができる。
【0090】
メタルハライド放電ランプ13は、図1に示すに示す本発明のメタルハライド放電ランプからなる。
【0091】
直流主点灯回路12Aは、昇圧チョッパなどを主体とする直流電子回路により構成され、直流電源電圧を所望の直流出力電圧が得られるように可制御に昇圧してメタルハライド放電ランプ13に印加する。なお、直流電源電圧は、電池電源、整流化直流電源などの直流電源DCから得ることができる。
【0092】
始動器12Bは、メタルハライド放電ランプ13の始動時に高電圧パルスを出力してメタルハライド放電ランプ13に印加して、これを瞬時に始動させる。
【0093】
そうして、メタルハライド放電ランプ点灯装置は、直流主点灯回路12Aがメタルハライド放電ランプ13を始動し、かつ安定に点灯させる。また、自動車前照灯用のメタルハライド放電ランプ点灯装置としては、メタルハライド放電ランプ13を始動し、かつ点灯開始直後に定格ランプ電力の2倍以上の電力を数秒間連続的に投入し、その後ハロゲン化物が急激に蒸発するときに一定比率でランプ電力を低減させ、引き続いて低減率を大きな値から順次減少させながら徐々に定格ランプ電力まで低減しながら安定点灯へと移行させるようにメタルハライド放電ランプ13を制御しながら点灯するように動作をする。
【0094】
図4は、本発明の照明装置を実施するための一形態としての自動車前照灯を示す略図である。図において、11は前照灯本体、12Aは直流主点灯回路、12Bは始動器、13はメタルハライド放電ランプである。
【0095】
本発明において、前照灯本体11とは、前照灯からメタルハライド放電ランプ13、直流主点灯回路12Aおよび始動器12Bを除いた残余の部分をいう。また、前照灯本体11は、容器状をなし、内部に反射鏡11a、前面にレンズ11bおよび図示を省略しているランプソケットなどを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明のメタルハライド放電ランプを実施するための第1の形態を示す正面図
【図2】同じく発光管の拡大平面図
【図3】本発明のメタルハライド放電ランプ点灯装置を実施するための一形態の回路ブロック図
【図4】本発明の照明装置を実施するための一形態としての自動車前照灯を示す略図
【符号の説明】
【0097】
1…気密容器、1a…包囲部、1b…封止部、1c…放電空間、2A…陽極、2K…陰極、3A…陽極側の封着金属箔、3B…陰極側の封着金属箔、4A、4b…電流導入導体、A1…陽極主部、A2…軸部、IT…発光管、K1…陰極主部、K2…軸部、L…陽極側の封着金属箔の長さ、L…陰極側の封着金属箔の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電空間が形成される包囲部および包囲部に接続するとともに内部に封着金属箔が気密に埋設された一対の封止部を備えた耐火性で透光性の気密容器と;
それぞれ基端が気密容器の封止部内に埋設された封着金属箔に接続し、先端の電極主部が包囲部内に離間対向して望み、かつ中間部が封止部で支持されて気密容器内に封装された陽極および陰極と;
先端が一対の封止部内に埋設されている封着金属箔に接続し、他端が封止部から外部へ露出した一対の電流導入導体と;
第1のハロゲン化物および第2のハロゲン化物および希ガスを含んで気密容器内に封入され、第1のハロゲン化物は、ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属からなるグループから選択された1種または複数種のハロゲン化物であり、第2のハロゲン化物は、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga),チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、スズ(Sn)およびインジウム(In)からなるグループから選択された1種または複数種の金属のハロゲン化物であり、本質的に水銀を含まない放電媒体と;
を具備し、上記気密容器内に流れる電流の向きが時間と共に変化しない単一方向であるとともに、陽極側の封着金属箔の長さが陰極側の封着金属箔の長さより大きくて、かつその長さが10〜19mmであることを特徴とするメタルハライド放電ランプ。
【請求項2】
封止部内に埋設された封着金属箔は、その陽極側の長さをL(mm)、定常点灯中のランプ電流をQ(A)としたとき、数式:7.36<L・Q<15.12を満足することを特徴とする請求項1記載のメタルハライド放電ランプ。
【請求項3】
陽極側の封止部に口金を配設していることを特徴とする請求項1または2記載のメタルハライド放電ランプ。
【請求項4】
放電媒体の希ガスは、1気圧以上で封入されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のメタルハライド放電ランプ。
【請求項5】
定格ランプ電力が35Wであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のメタルハライド放電ランプ
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一記載のメタルハライド放電ランプと;
極性が時間と共に変化しない電流をメタルハライド放電ランプに供給して点灯する直流電子化点灯回路と;
を具備していることを特徴とするメタルハライド放電ランプ点灯装置。
【請求項7】
照明装置本体と;
照明装置本体に配設された請求項6記載のメタルハライド放電ランプ点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−77891(P2008−77891A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253565(P2006−253565)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】