説明

メダル貸出装置

【課題】遊技者がメダル供給管に邪魔されずにメダル貯留皿からメダルを支障なく取り出すことができ、また、メダル貯留皿を利用してメダル供給管を安定させることができるメダル貸出装置を提供する。
【解決手段】メダルを遊技媒体として使用するスロットマシンに隣接して備えられ、メダルの貸出を行うメダル貸出装置2において、メダルを内部に貯留する本体部31と、該本体部31からスロットマシンに設けられたメダル貯留皿16側へ向けて下り傾斜した状態で延設されるとともに、傾斜下端にはメダル排出口44を開設し、本体部31内のメダルを流下させてメダル排出口44からメダル貯留皿16へ供給するメダル供給管32と、を備え、該メダル供給管32には、メダル排出口44の下縁部がメダル貯留皿16の内側表面に沿う状態でメダル貯留皿16に当該メダル供給管32を係止する係止部45を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルを遊技媒体として使用するスロットマシン等の遊技機に隣接して備えられ、メダルの貸出を行うメダル貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メダルを遊技媒体として使用する遊技機、例えばスロットマシンを設置している遊技場においては、メダルを遊技者に貸し出すメダル貸出装置をスロットマシンに隣接した状態で設置して、遊技者がスロットマシンの前から離れずにメダルの貸し出しを受けられるようになっている。また、遊技者がメダルをメダル貸出装置からスロットマシンへ移し変える手間をなくすために、メダル貸出装置にメダル供給管を備え、該メダル供給管の先端をスロットマシンのメダル貯留皿へ臨ませる旨が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−342258号公報
【特許文献2】特開2006−150117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記各特許文献に記載のメダル貸出装置においては、メダル供給管の先端がメダル貯留皿の凹み部(貯留空間部)の上方に重なってしまい、メダル貯留皿内のメダルの一部がメダル供給管の下方に位置してしまう。この結果、遊技者がメダル貯留皿内のメダルをスムーズに取り出すことができない。また、メダル供給管の先端部が支持されておらず不安定である。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技者がメダル供給管に邪魔されずにメダル貯留皿からメダルを支障なく取り出すことができ、また、メダル貯留皿を利用してメダル供給管を安定させることができるメダル貸出装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、メダルを遊技媒体として使用する遊技機に隣接して備えられ、メダルの貸出を行うメダル貸出装置において、
前記メダルを内部に貯留する本体部と、
該本体部から前記遊技機に設けられたメダル貯留皿側へ向けて下り傾斜した状態で延設されるとともに、傾斜下端にはメダル排出口を開設し、前記本体部内のメダルを流下させて前記メダル排出口から前記メダル貯留皿へ供給するメダル供給管と、を備え、
該メダル供給管には、前記メダル排出口の下縁部が前記メダル貯留皿の内側表面に沿う状態で前記メダル貯留皿に当該メダル供給管を係止する係止部を備えたことを特徴とするメダル貸出装置である。
【0007】
請求項2に記載のものは、前記係止部を弾性材で構成したことを特徴とする請求項1に記載のメダル貸出装置である。
【0008】
請求項3に記載のものは、前記係止部は、前記メダル供給管の下面から突設され、当該係止部の基端を挟んで前記メダル排出口とは反対側に向けて下り傾斜することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメダル貸出装置である。
【0009】
請求項4に記載のものは、前記メダル供給管は、当該メダル供給管の長手方向に沿って伸縮可能なジャバラ形状で構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のメダル貸出装置である。
【0010】
請求項5に記載のものは、前記係止部は、前記メダル排出口の下縁部から延設され、前記メダル貯留皿の内側底面上に重なって嵌合する嵌合部を備えて構成されたことを特徴とする請求項1に記載のメダル貸出装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、メダルを遊技媒体として使用する遊技機に隣接して備えられ、メダルの貸出を行うメダル貸出装置において、前記メダルを内部に貯留する本体部と、該本体部から前記遊技機に設けられたメダル貯留皿側へ向けて下り傾斜した状態で延設されるとともに、傾斜下端にはメダル排出口を開設し、前記本体部内のメダルを流下させて前記メダル排出口から前記メダル貯留皿へ供給するメダル供給管と、を備え、該メダル供給管には、前記メダル排出口の下縁部が前記メダル貯留皿の内側表面に沿う状態で前記メダル貯留皿に当該メダル供給管を係止する係止部を備えたので、メダル貯留皿に貯留されたメダルがメダル供給管の下方に入り込む不都合を避けることができる。したがって、遊技者がメダル供給管に邪魔されずにメダル貯留皿からメダルを支障なく取り出すことができる。また、メダル貯留皿を利用してメダル供給管を安定させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記係止部を弾性材で構成したので、係止部を撓ませてメダル貯留皿に係脱させることができ、メダル供給管のメダル貯留皿への係止作業や係止解除作業を容易に行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記係止部は、前記メダル供給管の下面から突設され、当該係止部の基端を挟んで前記メダル排出口とは反対側に向けて下り傾斜するので、メダル排出口がメダル供給管の基端側へ移動しようとする不都合、ひいてはメダル供給管がメダル貯留皿から外れようとする不都合を阻止することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記メダル供給管は、当該メダル供給管の長手方向に沿って伸縮可能なジャバラ形状で構成されたので、メダル供給管を伸縮してメダル排出口の位置を容易に調整することができ、メダル排出口の下縁部がメダル貯留皿の内側表面に沿う状態を簡単に設定することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記係止部は、前記メダル排出口の下縁部から延設され、前記メダル貯留皿の内側底面上に重なって嵌合する嵌合部を備えて構成されたので、メダル貯留皿の縁部の形状に拘らず、メダル供給管をメダル貯留皿へ係止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】メダル貸出装置およびスロットマシンの正面図である。
【図2】メダル貸出装置およびスロットマシンの斜視図である。
【図3】メダル貸出装置およびスロットマシンの平面図である。
【図4】(a)はメダル貸出装置とメダル供給管との位置関係を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は斜視図である。
【図5】メダル供給管の説明図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
【図6】第2実施形態においてジャバラ形状で構成されたメダル供給管の説明図であり、(a)は収縮状態の正面図、(b)は伸長状態の説明図、(c)はメダル貯留皿に係止した状態の説明図である。
【図7】第3実施形態におけるメダル貸出装置およびスロットマシンの正面図である。
【図8】第3実施形態におけるメダル貸出装置およびスロットマシンの斜視図である。
【図9】第3実施形態におけるメダル供給管とメダル貯留皿との位置関係を示す説明図であり、(a)はメダル貸出装置側の前方から見た斜視図、(b)はスロットマシン側の前方から見た斜視図である。
【図10】メダル供給管の下面に係止突起を突設した第3実施形態の変形例であり、(a)はメダル貸出装置の正面図、(b)はメダル供給管の正面図、(c)はメダル供給管の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、メダルを遊技媒体とする代表的な遊技機であるスロットマシンと、このスロットマシンに使用されるメダルの貸出を行うメダル貸出装置とを例に挙げて、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、説明の便宜上、スロットマシンおよびメダル貸出装置に対して遊技者側を「前」または「表」と称し、スロットマシンおよびメダル貸出装置を挟んで遊技者とは反対側を「後」または「裏」と称す。
まず、スロットマシンについて説明する。スロットマシン1は、図1〜図3に示すように、メダル貸出装置2と隣り合わせて配置されている。そして、前面が開口した筐体4の前面側に前扉(前面枠)5を一側縁部(図1中、スロットマシン1を挟んでメダル貸出装置2とは反対側となる左側縁部)が軸着されて開閉可能な状態で取り付け、筐体4の内部には、3つの独立回動可能なリール(図示せず)を備えた可変表示装置7を収納している。また、リールの外周面(表示部)に図柄や数字等の識別情報を複数記載し、前扉5の上下方向の中央部分に開設された可変表示用開口部8からリールの外周面を臨ませて複数の識別情報を可変表示可能としている。さらに、前扉5の前面のうち可変表示用開口部8の上方には演出表示装置11を備え、可変表示用開口部8の下方には、遊技者が操作する操作パネル12を配置している。そして、操作パネル12よりも下方に位置する前扉5の下部には、装飾パネル14、スロットマシン1内からメダルを払い出すメダル払出口15、メダル払出口15から払いだされたメダルを貯留するメダル貯留皿16、灰皿17、スピーカ18を備えている。
【0018】
詳しくは、装飾パネル14よりも下方にメダル貯留皿16を配置し、該メダル貯留皿16を挟んでメダル貸出装置2とは反対の側方(図1中、左側方)に灰皿17を配置している。また、メダル貯留皿16の後側に起立する後側区画壁16aの左右方向の中央部にメダル払出口15を開設し、該メダル払出口15の左右両側方には透音孔19をそれぞれ開設し、該透音孔19の後方にスピーカ18を配置している。さらに、メダル貯留皿16の前側に起立する前側区画壁16bを上縁部が下縁部よりも前方に位置する上り傾斜姿勢に設定して、メダルが貯留される貯留空間部の前後幅(スロットマシン1の前後方向に沿った幅)がメダル貯留皿16の内側底面16cに向かうに連れて次第に狭くなるように構成されている。
【0019】
また、操作パネル12の上面のうち前扉5の軸着端側(図2中、左側)には、ゲームにおける賭数を設定するベットボタン21を配置し、前扉5の自由端側(図2中、右側)には、遊技者が遊技媒体であるメダルを投入可能なメダル投入口22を配置している。そして、操作パネル12の前面のうち前扉5の軸着端側(図2中、左側)には、遊技者がゲームの開始時に操作してリールの回転(識別情報の可変表示)をスタートさせるスタートレバー23を備え、操作パネル12の前面の左右方向の中央部には、リールの回転動作を停止させて識別情報の可変表示をストップさせるストップボタン24をリールの位置に合わせて横方向に並べて配置している。さらに、操作パネル12の前面においてスタートレバー23よりも前扉5の軸着端側の位置には、スロットマシン1内に貯留されているメダルの精算および既に投入されているメダルの払い戻しを行うための精算ボタン25を備え、ストップボタン24よりも前扉5の自由端側の位置には、スロットマシン1内のメダルセレクター(図示せず)に滞留したメダルを返却するためのメダル返却ボタン26を備えている。
【0020】
このような構成を備えたスロットマシン1における遊技は、次のようにして行われる。まず、遊技者がメダル投入口22にメダルを投入し、ベットボタン21を操作してゲームの賭数を設定する。賭数の設定後にスタートレバー23を操作(具体的には押し下げ操作)すると、スロットマシン1が各リールを回転して変動表示ゲームを開始し、可変表示装置7において複数(例えば3つ)の識別情報を可変表示する。さらに、遊技者が任意のタイミングでストップボタン24を押圧操作すると、この押圧操作されたストップボタン24に対応するリールが回転を停止して識別情報の可変表示が終了し、停止状態の識別情報を可変表示用開口部8から臨ませる。そして、全てのストップボタン24が押圧操作された結果、停止した識別情報の組み合わせ、言い換えると変動表示ゲームの結果態様が予め設定された特別結果態様(例えば、各リールが同じ識別情報を可変表示用開口部8から臨ませて直線上に並べた状態で停止)となった場合には、スロットマシン1が特別遊技状態(所謂大当たり)を発生させて、予め定められた特別遊技価値としての賞メダルをメダル払出口15から排出して遊技者へ付与する。
【0021】
次に、スロットマシン1に隣接されるメダル貸出装置2について説明する。
メダル貸出装置2は、遊技者の貸出操作(具体的には、遊技者による紙幣の挿入操作)に基づいてメダルを貸し出す装置であり、図1〜図4に示すように、縦長矩形状の本体部31と、該本体部31の前面から延設されたメダル供給管32とを備えて構成されており、予め設定された金額の紙幣を取り込むと複数枚のメダルを貸し出す(例えば、千円紙幣1枚の取り込みに対して50枚のメダルを貸し出す)ように設定されている。
【0022】
本体部31は、メダルを貯留したり送出したりするホッパー装置や紙幣を取り込む紙幣取込装置等(何れも図示せず)を内蔵し、紙幣取込装置を当該本体部31内の上側に配置するとともにホッパー装置を当該本体部31内の下側に配置している。また、本体部31の前面の上部には紙幣挿入口34を開設して紙幣取込装置へ連通し、紙幣挿入口34の上方には紙幣取出扉35を施錠可能な状態で設け、紙幣取出扉35を開いて本体部内の紙幣(詳しくは、紙幣取込装置に取り込まれて貯留された紙幣)を取り出せるように構成されている。さらに、本体部31の前面の下部にはメダル供給管32を接続してホッパー装置のメダル送出口(図示せず)へ連通し、ホッパー装置から送り出されるメダルをメダル供給管32へ通してメダル貸出装置2の外へ排出可能としている。また、メダル供給管32の上方にはメダル補給扉36を施錠可能な状態で設け、メダル補給扉36を開いてホッパー装置にメダルをメダル貸出装置2の外から補給できるように構成されている。そして、紙幣挿入口34とメダル補給扉36との間にはメダル払出カウント表示器37を配置し、ホッパー装置によるメダル払出動作に基づいて、メダル払出カウント表示器37にメダルの払出残り枚数をカウントダウン表示、または払出済み枚数をカウントアップ表示するように構成されている。
【0023】
メダル供給管32は、本体部31の前面からメダル貯留皿16側へ向けて下り傾斜した状態で延設された管状部材である。具体的には、図4および図5に示すように、本体部31側に位置する上流部41をメダル貸出装置2の前方へ向けて下り傾斜させ、該上流部41の傾斜下端に接続される中流部42をメダル貸出装置2の前方位置からスロットマシン1側(図4(a)中、左側)へ湾曲しながら下り傾斜させ、該中流部42の傾斜下端に接続される下流部43をメダル貯留皿16の側方(図4(b)中、右側方)からメダル貯留皿16側へ向けて下り傾斜させている。そして、下流部43の傾斜下端(メダル供給管32の傾斜下端)には矩形状のメダル排出口44を開設してメダル貯留皿16の上方へ向けて開放し、本体部31内のメダルを当該メダル供給管32内に流下させてメダル排出口44からメダル貯留皿16へ供給するように構成されている。また、下流部43の下面(詳しくは、下流部43の下面のうちメダル排出口44側に位置する箇所)からは、ゴム等の弾性材で構成された係止部45を突設し、該係止部45を当該係止部45の基端を挟んでメダル排出口44とは反対側(図5(a)中、右側)に向けて下り傾斜させている。そして、下流部43の断面の横幅(下流部43の下り傾斜方向とは直交する断面の横幅)を上流部41の断面の横幅(上流部41の下り傾斜方向とは直交する断面の横幅)よりも狭く設定し、中流部42の断面の横幅(上流部41の下り傾斜方向(湾曲方向)とは直交する断面の横幅)を上流部41側から下流部43側に向かうに連れて次第に狭くなる状態に設定している。
【0024】
このような構成を備えたメダル貸出装置2においては、図4(c)に示すように、係止部45をメダル貯留皿16のうちメダル貸出装置2側(図4(c)中、右側)に位置する上縁部へ引っ掛けると、メダル排出口44の下縁部がメダル貯留皿16の内側表面、詳しくはメダル貸出装置2側(図4(c)中、右側)に位置する内側起立面16dに沿う状態でメダル貯留皿16にメダル供給管32を係止する。この結果、メダル貯留皿16に貯留されたメダルがメダル供給管32の下方に入り込む不都合を避けることができる。したがって、遊技者がメダル供給管32に邪魔されずにメダル貯留皿16からメダルを支障なく取り出すことができる。また、メダル貯留皿16を利用してメダル供給管32を安定させることができる。
【0025】
さらに、係止部45が当該係止部45の基端を挟んでメダル排出口44とは反対側に向けて下り傾斜しているので、メダル排出口44がメダル供給管32の基端側へ移動しようとする不都合、ひいてはメダル供給管32がメダル貯留皿16から外れようとする不都合を阻止することができる。また、係止部45を弾性材で構成しているので、係止部45を撓ませてメダル貯留皿16に係脱させることができ、メダル供給管32のメダル貯留皿16への係止作業や係止解除作業を容易に行うことができる。
【0026】
例えば、メダル供給管32の下流部43を二重管構造で構成する等して当該下流部43の下り傾斜方向(長手方向)に沿って伸縮可能とした場合、メダル排出口44をメダル貯留皿16に近づける時には、まず係止部45を突出端(下端)がメダル供給管32の上流側に向く状態で撓ませる。そして、この撓み状態でメダル供給管32の下流部43を伸長すれば、係止部45がメダル貯留皿16の上縁部を容易に乗り越えてメダル貯留皿16の内側に位置することができる。さらに、メダル貯留皿16の内側に位置したところで係止部45の撓みを解いて常態(下り傾斜状態)に復元すると、係止部45の突出端がメダル貯留皿16の内側起立面16dに当接し、メダル貯留皿16にメダル供給管32を容易に係止することができる。また、メダル貯留皿16に係止された状態でメダル供給管32の下流部43を収縮してメダル排出口44をメダル貯留皿16から遠ざける時には、係止部45を突出端(下端)がメダル供給管32の下流側に向く状態で撓ませ、係止部45をメダル貯留皿16の内側起立面16dから外す。そして、この撓み状態でメダル供給管32の下流部43を収縮すれば、係止部45がメダル貯留皿16の内側からメダル貯留皿16の上縁部を容易に乗り越えてメダル貯留皿16の外方へ外れることができ、メダル供給管32のメダル貯留皿16への係止状態を容易に解除することができる。
【0027】
ところで、上記実施形態では、メダル供給管32を断面矩形状の管部材で構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6に示す第2実施形態では、メダル供給管32′を当該メダル供給管32′の長手方向に沿って伸縮可能なジャバラ形状(ジャバラホース)で構成している。具体的に説明すると、図6(a)および(b)に示すように、ジャバラホースで構成されたメダル供給管32′の一端を本体部31の前面に接続してホッパー装置のメダル払出口へ連通し、メダル供給管(ジャバラホース)32′の他端の開口をメダル排出口44′としている。そして、図6(c)に示すように、メダル供給管32′を一端から他端へ向けて下り傾斜させるとともにメダル供給管32′の中間部分を曲げてメダル排出口44′をメダル貯留皿16に向け、他端部をメダル貯留皿16の上縁部に載置すると、他端部の下側(メダル貯留皿16の上縁部に向いた箇所)の山部分(ジャバラ形状の山部分)が係止部45′として機能してメダル貯留皿16の内側起立面16dに引っ掛かり、メダル供給管32′をメダル貯留皿16へ係止することができる。また、メダル供給管32′をジャバラ形状で構成しているので、メダル供給管32′を伸縮してメダル排出口44′の位置を容易に調整することができ(図6(a)および(b)参照)、メダル排出口44′の下縁部がメダル貯留皿16の内側起立面16dに沿う状態を簡単に設定することができる。
【0028】
ところで、上記各実施形態では、メダル排出口44,44′の下縁部をメダル貯留皿16の内側起立面16dに沿う状態でメダル貯留皿16にメダル供給管32を係止したが、本発明はこれに限定されない。例えば、メダル供給管32,32′を下端部がメダル貯留皿16内に挿入できる長さに設定し、係止部45,45′をメダル貯留皿16の上縁部に引っ掛けてメダル供給管32,32′をメダル貯留皿16へ係止すると、メダル排出口44,44′の下縁部がメダル貯留皿16の内側底面16cに沿う状態(言い換えると、メダル供給管32,32′の下端がメダル貯留皿16の内側底面16cに当接する状態)に設定されるようにしてもよい。メダル排出口44,44′の下縁部がメダル貯留皿16の内側底面16cに沿う状態でメダル貯留皿16にメダル供給管32,32′を係止すれば、メダル供給管32,32′とメダル貯留皿16の内側底面16cとの間にメダルが進入可能な隙間が形成され難くなり、メダル貯留皿16に貯留されたメダルがメダル供給管32,32′の下方に入り込む不都合を避けることができる。したがって、遊技者がメダル供給管32,32′に邪魔されずにメダル貯留皿16からメダルを支障なく取り出すことができる。
【0029】
さらに、図7〜9に示す第3実施形態のメダル貸出装置2は、基本的には第1実施形態と同じであるが、メダル排出口44の下縁部をメダル貯留皿16の内側底面16cに沿って配置可能とする係止部をメダル供給管の傾斜下端に備えた点で異なる。具体的に説明すると、第3実施形態におけるメダル供給管32は、下流部43の長さを該下流部43の下端がメダル貯留皿16内に位置可能となる寸法に設定し、下流部43の傾斜下端には、上部および一側部(図8中、メダル排出口44を挟んで本体部31とは反対側に位置する左側部)が開放された塵取り形状の係止ユニット50(本発明における係止部の一種)を備えている。係止ユニット50は、メダル排出口44の上縁部および両側縁部から外方へ延設されたフランジ部51と、メダル排出口44の下縁部からメダル貯留皿16の内側底面16cに沿って延設された平板状の嵌合部52と、該嵌合部52の前後両縁部から上方へ起立した起立壁53とを備えて構成されている。そして、起立壁53のうちフランジ部51側に位置する縁部をフランジ部51の側縁部へ接続し、係止ユニット50の底部となる嵌合部52の前後幅(メダル貯留皿16の前後方向に沿った幅)をメダル貯留皿16の前後方向の内側寸法の最小値、言い換えるとメダル貯留皿16の内側底面16cの前後幅よりも僅かに狭く設定している。
【0030】
このような構成の係止ユニット50を備えたメダル供給管32においては、図9(a)および(b)に示すように、当該メダル供給管32の下流部43をメダル貯留皿16の貯留空間部内に挿入し、係止ユニット50をメダル払出口15から本体部31側(図9(a)中、右側)にずらして起立壁53によるメダル払出口15の閉塞を避け、嵌合部52をメダル貯留皿16の内側底面16c上に載置する。すると、嵌合部52がメダル貯留皿16の内側底面16c上に重なってメダル貯留皿16内に嵌合してメダル供給管32がメダル貯留皿16に係止され、メダル排出口44の下縁部がメダル貯留皿16の内側底面16cに沿って配置される。この結果、メダル供給管32とメダル貯留皿16の内側底面16cとの間にメダルが進入可能な隙間を形成せずに、メダル供給管32をメダル貯留皿16へ係止することができ、メダル貯留皿16に貯留されたメダルがメダル供給管32の下方に入り込む不都合を避けることができる。したがって、遊技者がメダル供給管32に邪魔されずにメダル貯留皿16からメダルを支障なく取り出すことができる。また、メダル貯留皿16を利用してメダル供給管32を安定させることができる。しかも、メダル貯留皿16の縁部の形状に拘らず、メダル供給管32をメダル貯留皿16へ係止することができる。
【0031】
なお、下流部43の傾斜下端に塵取り形状の係止ユニット50を設けたメダル供給管32においては、図10に示すように、メダル供給管32の下流部43の下面に係止突起55を係止ユニット50とは別個に本発明における係止部の一種として備えてもよい。具体的に説明すると、図10に示す第3実施形態の変形例では、メダル供給管32の下流部43の下面のうち係止ユニット50よりも上流側に位置する箇所から、ゴム等の弾性材で構成された係止突起55を突設し、該係止突起55を当該係止突起55の基端を挟んでメダル排出口44とは反対側(図10(b)中、右側)に向けて下り傾斜させている。
【0032】
このような構成の係止突起55を係止ユニット50とともに備えたメダル供給管32をメダル貯留皿16へ係止するには、メダル供給管32の下流部43をメダル貯留皿16の貯留空間部内に挿入し、係止ユニット50の嵌合部52をメダル貯留皿16の内側底面16c上に載置する。すると、嵌合部52がメダル貯留皿16の内側底面16c上に重なってメダル貯留皿16内に嵌合して、メダル排出口44の下縁部がメダル貯留皿16の内側底面16cに沿って配置される。さらには、係止突起55がメダル貯留皿16のうちメダル貸出装置2側に位置する上縁部へ引っ掛かる。したがって、メダル貯留皿16にメダル供給管32を係止ユニット50および係止突起55の2箇所で十分に係止することができる。これにより、遊技者がメダル貯留皿16内のメダルを掴もうとして手をメダル供給管32にぶつけてしまったとしても、メダル供給管32がずれ難い。このため、メダル排出口44の下縁部がメダル貯留皿16の内側底面16cから遠ざかってしまう不都合、ひいては、メダルのメダル供給管32の下方への侵入を許容する隙間が形成されてしまう不都合を避けることができる。
【0033】
ところで、上記第3実施形態およびその変形例では、起立壁53を設けて係止ユニット50を塵取り形状としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、メダル排出口44の下縁部から延設された嵌合部52のみで係止ユニット50を構成し、該嵌合部52(係止ユニット50)をメダル貯留皿16の内側底面16c上に重ねて嵌合して、メダル供給管32をメダル貯留皿16へ係止するように構成してもよい。
【0034】
また、上記各実施形態では、紙幣が投入されるとメダルを貸し出すメダル貸出装置2について説明したが、本発明はこれに限定されない。要は、遊技者に貸し出されるメダルをメダル供給管32へ通してスロットマシン1のメダル貯留皿16へ供給するメダル貸出装置であれば、どのような構成のメダル貸出装置であってもよい。例えば、硬貨が投入されたりプリペイドカードが挿入されたりするとメダルの貸出操作を実行するメダル貸出装置でもよい。さらに、メダル貸出装置に隣接される代表的な遊技機としてスロットマシンを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、遊技媒体であるメダルを貯留可能なメダル貯留皿が備えられた遊技機であればどのような遊技機であってもよい。
【0035】
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
1 スロットマシン
2 メダル貸出装置
4 筐体
5 前扉
7 可変表示装置
11 演出表示装置
12 操作パネル
15 メダル払出口
16 メダル貯留皿
16a 後側区画壁
16b 前側区画壁
16c 内側底面
16d 内側起立面
21 ベットボタン
22 メダル投入口
23 スタートレバー
24 ストップボタン
31 本体部
32,32′ メダル供給管
34 紙幣挿入口
35 紙幣取出扉
36 メダル補給扉
37 メダル払出カウント表示器
41 上流部
42 中流部
43 下流部
44,44′ メダル排出口
45,45′ 係止部
50 係止ユニット
51 フランジ部
52 嵌合部
53 起立壁
55 係止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルを遊技媒体として使用する遊技機に隣接して備えられ、メダルの貸出を行うメダル貸出装置において、
前記メダルを内部に貯留する本体部と、
該本体部から前記遊技機に設けられたメダル貯留皿側へ向けて下り傾斜した状態で延設されるとともに、傾斜下端にはメダル排出口を開設し、前記本体部内のメダルを流下させて前記メダル排出口から前記メダル貯留皿へ供給するメダル供給管と、を備え、
該メダル供給管には、前記メダル排出口の下縁部が前記メダル貯留皿の内側表面に沿う状態で前記メダル貯留皿に当該メダル供給管を係止する係止部を備えたことを特徴とするメダル貸出装置。
【請求項2】
前記係止部を弾性材で構成したことを特徴とする請求項1に記載のメダル貸出装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記メダル供給管の下面から突設され、当該係止部の基端を挟んで前記メダル排出口とは反対側に向けて下り傾斜することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメダル貸出装置。
【請求項4】
前記メダル供給管は、当該メダル供給管の長手方向に沿って伸縮可能なジャバラ形状で構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のメダル貸出装置。
【請求項5】
前記係止部は、前記メダル排出口の下縁部から延設され、前記メダル貯留皿の内側底面上に重なって嵌合する嵌合部を備えて構成されたことを特徴とする請求項1に記載のメダル貸出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−94617(P2013−94617A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243201(P2011−243201)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】