説明

メチル{4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートの新規多形

本発明は、式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートの新規形態、特に変形I、それらの調製方法、それらを含む医薬および疾患を処置するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートの新規多形、特に変形I、それらの調製方法、それらを含む医薬および疾患を処置するためのそれらの使用に関する。
【0002】
メチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートは、WO03/095451に記載されており、式(I):
【化1】

で示される化合物に相当する。
【背景技術】
【0003】
例えば、心臓血管疾患および勃起不全を処置するための、式(I)で示される化合物の調製および使用は、WO03/095451からすでに知られている。本明細書に記載の製法を用いて、式(I)で示される化合物は、下記のメソモルファス形態と称される結晶変形の形態で得られる。メソモルファス形態は、特徴的な融点を有しない。それは、特徴的なX線回折像、IRスペクトル、ラマンスペクトル、FIRスペクトル、NIRスペクトルおよび13C固相NMRスペクトルを有する(表1−7、図1−7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第03/095451号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メソモルファス形態は準安定であるため、例えば、固体および半固体製剤などの医薬処方物に用いるのに適していないことが現在見出されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、4種のさらなる多形およびアモルファス形態が見出された。WO03/095451から知られている、メソモルファス形態と比較すると、多形は、244℃(変形I)、201℃(変形II)、165℃(変形III)および141℃(変形IV)の顕著に異なる融点を有し、これらの変形の各々は、特性X線回折像、IRスペクトル、ラマンスペクトル、FIRスペクトル、NIRスペクトルおよび13C固相NMRスペクトルを有する(表1−7、図1−7)。
【0007】
本発明は、変形Iの式(I)で示される化合物を提供する。
【0008】
本発明は、X線回折像において、本質的に6.1に2θ角の以下の好ましいピーク最大値を有する、変形Iの式(I)で示される化合物を提供する。
【0009】
本発明は、好ましくは、X線回折像において、本質的に6.1、14.7および22.2に2θ角の以下の好ましいピーク最大値を有する、変形Iの式(I)で示される化合物を提供する。
【0010】
本発明は、IRスペクトルにおいて、本質的に3451cm−1に以下の好ましいピーク最大値を有する、変形Iの式(I)で示される化合物を提供する。
【0011】
本発明は、NIRスペクトルにおいて、本質的に6834cm−1に以下の好ましいピーク最大値を有する、変形Iの式(I)で示される化合物を提供する。
【0012】
本発明における一般的態様は、式(I)で示される化合物の変形Iの、薬理学的性質、処理可能性、調製方法、副作用プロファイル、安定性および薬理学的活性である。
【0013】
驚くべきことに、式(I)で示される化合物の変形Iは、懸濁液への処理の後でさえ、熱力学的に安定かつ保存的に安定である。したがって、特に、例えば、水性造粒または湿式研削の間など、医薬形態、例えば、懸濁液またはクリームだけではなく、懸濁された活性化合物を介して調製された他の製剤に用いるのにも適している。本発明によれば、安定な変形Iを用いることによって、変換の結果として溶解度が変化しないことは確実である。このことは、式(I)で示される化合物を含む製剤の安定性を増大し、患者のリスクを減少させる。
【0014】
医薬処方物において、本発明に記載の変形Iの式(I)で示される化合物は、高純度で用いられる。安定性の理由のために、医薬処方物は、主に変形Iの式(I)で示される化合物を、そして、多量ではない(no major amount)あらゆる形態の式(I)で示される化合物を含む。好ましくは、医薬は、存在する式(I)で示される化合物の全量を基にして、90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上の変形Iの式(I)で示される化合物を含む。
【0015】
本発明は、疾患を処置するための、特に、心臓血管疾患を処置するための医薬を調製するための変形Iの式(I)で示される化合物の使用をさらに提供する。
【0016】
変形Iの式(I)で示される化合物は、血管弛緩および血小板凝集の抑制を引き起こし、血圧の低下および冠血流量の増大をもたらす。これらの効果は、可溶性グアニル酸シクラーゼの直接刺激および細胞内cGMPの増加によって媒介される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】変形I−IV、メソモルファス形態およびアモルファス形態のDSCおよびTGAサーモグラム。
【図2】変形I−IV、メソモルファス形態およびアモルファス形態のX線回折像。
【図3】変形I−IV、メソモルファス形態およびアモルファス形態のIRスペクトル。
【図4】変形I−IV、メソモルファス形態およびアモルファス形態のラマンスペクトル。
【図5】変形I−IV、メソモルファス形態およびアモルファス形態のFIRスペクトル。
【図6】変形I−IV、メソモルファス形態およびアモルファス形態のNIRスペクトル。
【図7】変形I−IV、メソモルファス形態およびアモルファス形態の13C固相NMRスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0018】
したがって、それは、心臓血管疾患の処置、例えば、高血圧および心不全、安定および不安定狭心症、不整脈などの、末梢および心臓血管疾患の処置、血栓塞栓性疾患および虚血、例えば、心筋梗塞、脳卒中、一過性および虚血性発作、末梢血流量の障害の処置、再狭窄、例えば、血管溶解療法、経皮経管的血管形成(PTA)、経皮経管冠動脈形成(PTCA)、バイパス術後の再狭窄の防止、動脈硬化、線維症、例えば、肝線維症または肺線維症、喘息疾患および泌尿生殖器系の疾患、例えば、前立腺肥大、勃起不全、女性性機能障害、および失禁などの処置、ならびに緑内障の処置などのための医薬に用いられうる。
【0019】
それは、NO/cGMP系の障害を特徴とする中枢神経系の疾患を処置するためにも用いられうる。それは、認知障害を取り除く、例えば、学習能力や記憶力を向上させ、アルツハイマー病を処置するのに特に適している。それは、中枢神経系の障害、例えば、不安、緊張およびうつの状態、CNS関連性機能障害および睡眠障害の処置、ならび食品、覚醒剤および常習性物質の摂取の病理学的障害の制御にも適している。
【0020】
さらに、それは脳血流量の調節にも適しているので、片頭痛の制御に効果的な物質を示す。
【0021】
それは、脳梗塞(脳卒中)の後遺症、例えば、発作、脳虚血および頭蓋大脳外傷の予防および制御にも適している。同様に、疼痛の状態を制御するためにも用いられうる。
【0022】
さらに、それは抗炎症効果を有するため、抗炎症剤として用いられうる。
【0023】
さらに、それは、肺動脈高血圧、微小循環障害、呼吸器感染症、再灌流障害、呼吸器疾患。肺疾患およびレイノー症候群の治療に適している。
【0024】
さらに、本発明は、有効量の変形Iの式(I)で示される化合物を用いて、疾患、特に、上記疾患を治療する方法を提供する。
【0025】
変形Iの式(I)で示される化合物は、適当な手法で、例えば、経口的に、非経口的に、経肺的に、経鼻的に、舌下に、舌側に、口腔に、経直腸的に、皮膚に、経皮的に、結膜に、眼に(otisch)、経膣的にまたはインプラントもしくはステントで投与されうる。
【0026】
これらの投与経路のために、本発明に記載の化合物は適当な投与形態で投与されうる。
【0027】
経口投与に適当な形態は、急速におよび/または変形形態で変形Iの式(I)で示される化合物を放出する、先行技術にしたがって生じる投与形態、例えば、錠剤(非コーティングまたは例えば、本発明に記載の化合物の放出を制御する腸溶性、徐放性または不溶性被覆でコーティングされたコーティング錠剤)、口腔で急速に分解する錠剤またはフィルム剤/ウエファー、フィルム剤/凍結乾燥物、カプセル剤(例えば、硬ゼラチンカプセル剤または軟ゼラチンカプセル剤)、糖コーティング錠剤、顆粒剤、ペレット、散剤、懸濁液またはエアロゾールである。
【0028】
非経口投与は、吸収を回避して行われうるか(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内または腰椎内)または吸収を含んで行われうる(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)。非経口投与のために、適当な投与形態は、とりわけ、懸濁液、凍結乾燥物または滅菌粉末の形態の注射および注入製剤である。
【0029】
他の投与経路に適当な形態は、例えば、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、錠剤、舌側、舌下もしくは口腔に適用されるフィルム剤/ウエファーもしくはカプセル剤、坐剤、耳もしくは眼製剤、膣カプセル剤、水性懸濁液(ローション、シェイクローション)、親油性懸濁液、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ剤など)、ペースト、散布剤、インプラントまたはステントである。
【0030】
本発明に記載の化合物は、記載された投与形態に変換されうる。これは、不活性、無毒性医薬上許容される補助剤と混合することによって自体公知の手法で起こりうる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、硫酸ドデシルナトリウム、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Polyoxysorbitanoleat)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定剤(例えば、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸など)、着色剤(例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄など)ならびに矯味剤および/または矯臭剤が含まれる。
【0031】
さらに、本発明は、通常、1種または複数の不活性、無毒性医薬上適切な補助剤、例えば、結合剤、充填剤などと共に、少なくとも変形Iの式(I)で示される化合物を含む医薬、および上記の目的のためのそれらの使用を提供する。
【0032】
一般に、適当な場合には、所望の結果を得るために、複数の別々の投与量形態で、1日当たり約0.5〜約500、好ましくは5〜100mg/体重kgの総量で本発明に記載の化合物を投与することが有利であることが見出されている。別々の投与量は、約1〜約80、好ましくは3〜30mg/体重kgの量で活性化合物を含有する。
【0033】
さらに、本発明は、例えば、メソモルファス形態の式(I)で示される化合物を不活性溶媒に懸濁し、所望の変換度が達成されるまで、特に好ましくは変形Iへの定量的変換が達成されるまで10℃〜溶媒の還流温度、好ましくは15℃〜35℃、特に好ましくは20℃〜30℃にて撹拌または振盪することによって、変形Iの式(I)で示される化合物の調製方法を提供する。得られた変形Iの結晶は分離され、存在する溶媒を除去するために、室温にてまたは重量が一定になるまで上昇した温度にて乾燥される。
【0034】
適当な不活性溶媒は、低級アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソ−ブタノール、1−ペンタノール、またはケトン、例えば、アセトン、またはアルカン、例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、またはテトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、酢酸エチル、1,4−ジオキサンまたは記載される溶媒の混合液である。アセトニトリルおよびアセトンまたは記載される溶媒の混合液が優先される。
【0035】
一般に、調製方法は大気圧下で行われる。しかしながら、上昇または低下した圧力下で、例えば、0.5〜5barでも操作可能である。
【0036】
下記の試験および実施例のパーセンテージは、特に明記しない限り、重量パーセンテージである;部は重量部である。液体/液体溶液の溶媒率、希釈率および濃度は、いずれの場合においても、容量による。
【実施例】
【0037】
実験部分
実施例:
DSCサーモグラムは、20Kmin−1の加熱速度を用いてPerkin−Elmer提供の示差走査熱量計DSC 7、Pyris−1またはDiamondを用いて記録された。測定は有孔アルミニウムるつぼ中で実施され、用いられるパージガスは窒素であった。サンプル調製はされなかった。
【0038】
TGA測定は、10Kmin−1の加熱速度を用いてPerkin−Elmer提供のTGA7およびPyris−1−TGA熱天秤を用いて実施された。測定は、開いているプラチナるつぼ中で実施され、用いられるパージガスは窒素であった。サンプル調製はされなかった。
【0039】
X線回折像は、室温にて光位置センサー(PSD2)を有するSTOE STADI−P透過型回折計(放射線:銅、Kα1、一次モノクロメータ:Ge[1 1 1]、波長:1.5406Å)を用いて記録された。
【0040】
ラマンスペクトルは、室温にてBruker提供のRFS 100およびMulti RAM FT−ラマン分光計を用いて記録した。分解能は2cm−1であった。サンプル調製はされなかった。測定は、ガラス管中またはアルミニウムディスク上で実施された。
【0041】
IRスペクトルは、室温にてBruker提供のVertex 80vおよびIFS 66v FT−IR分光計を用いて記録された。分解能は2cm−1であった。測定は、プレスディスク(pressed disc)としてKBrマトリックス中で実施された。
【0042】
FIRスペクトルは、室温にてBruker提供のVertex 80vおよびIFS 66v FT−IR分光計を用いて記録された。分解能は2cm−1であった。測定は、プレスディスクとしてポリエチレンマトリックス中で実施された。
【0043】
NIRスペクトルは、室温にてBruker提供のIFS 28/N FT−NIR分光計を用いて記録された。分解能は8cm−1であった。サンプル調製はされなかった。
【0044】
固相13C−NMRスペクトルは、室温にてBruker提供の DRX 400分光計を用いて記録された。測定周波数は100.6MHzであり、回転数は8500Hzおよび10000Hzであった。サンプル調製はされなかった。
【0045】
実施例1
変形Iの式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートの調製
実施例1.1
約100mgのメソモルファス形態の式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートを3mlのアセトニトリルに懸濁し、室温にて撹拌する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温および大気湿度にて乾燥する。残渣は、X線回折法によって試験され、変形Iの表題化合物に相当する。
【0046】
実施例1.2
約100mgのメソモルファス形態の式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートを2mlのアセトンに懸濁し、還流下50℃にて撹拌する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温および大気湿度にて乾燥する。残渣は、X線回折法によって試験され、変形Iの表題化合物に相当する。
【0047】
実施例1.3
7.1kgのジ−DMSO溶媒和物としての式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートを、171.6kgの酢酸エチルおよび42kgのエタノールに懸濁し、20時間還流下約73℃にて撹拌する。懸濁液を室温に冷却し、吸引濾去し、濾過ケークを酢酸エチルおよび水で洗浄する。湿潤生成物を減圧下50℃にて乾燥する。生成物は、X線回折法によって試験され、変形Iの表題化合物に相当する。
【0048】
実施例2
変形IIの式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートの調製
実施例2.1
110.5gのHCl塩としての式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートを、室温にて1960mlのエタノールに懸濁する。140mlのトリエチルアミン中で計量され、混合物を室温にて3時間撹拌する。固体を吸引濾去し、エタノールで洗浄する。湿潤生成物は、減圧下50℃にて一晩乾燥する。生成物は、X線回折法によって試験され、変形IIの表題化合物に相当する。
【0049】
実施例3
変形IIIの式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートの調製
実施例3.1
3.1gの変形IIの式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートを60mlのメタノールに懸濁し、室温にて撹拌する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温および大気湿度にて乾燥する。次いで、活性化合物を125℃にて20分間加熱処理する。活性化合物は、X線回折法によって試験され、変形IIIの表題化合物に相当する。
【0050】
実施例4
変形IVの式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートの調製
実施例4.1
3gの変形IIの式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートを60mlのアセトンに懸濁し、−20℃にて撹拌する。2週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温および大気湿度にて乾燥する。次いで、活性化合物を125℃にて30分間加熱処理する。活性化合物は、X線回折法によって試験され、 変形IVの表題化合物に相当する。
【0051】
実施例5
式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートのアモルファス形態の調製
実施例5.1
3gの式(I)で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメートを1.1lの熱テトラヒドロフランに溶解し、溶液を濾過し、溶媒が蒸発するまで大気湿度で室温にて放置した。残渣は、X線回折法によって分析され、アモルファス形態の表題化合物に相当する。
【表1】

【表2−1】

【表2−2】

【表3−1】

【表3−2】

【表4−1】

【表4−2】

【表5】

【表6】

【表7】

【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図2−1】

【図2−2】

【図2−3】

【図3−1】

【図3−2】

【図3−3】

【図4−1】

【図4−2】

【図4−3】

【図5−1】

【図5−2】

【図5−3】

【図6−1】

【図6−2】

【図6−3】

【図7−1】

【図7−2】

【図7−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形Iの式(I):
【化1】

で示されるメチル {4,6−ジアミノ−2−[1−(2−フルオロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−イル]ピリミジン−5−イル}カルバメート。
【請求項2】
該化合物のX線回折像が、6.1に2θ角のピーク最大値を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
該化合物のX線回折像が、6.1、14.7および22.2に2θ角のピーク最大値を有することを特徴とする、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
該化合物のIRスペクトルが、3451cm−1にピーク最大値を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
該化合物のNIRスペクトルが、6834cm−1にピーク最大値を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
該化合物のNIRスペクトルが、6834、6631および4419 cm−1にピーク最大値を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
疾患を処置するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物および多量ではない式(I)で示される化合物のあらゆる形態を含む、医薬。
【請求項9】
含まれる式(I)で示される化合物の全量を基にして、90重量%以上の量の請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物を含む、医薬。
【請求項10】
例えば、メソモルファス形態の式(I)で示される化合物を不活性溶媒中に懸濁し、変形Iへの定量的変換が達成されるまで10℃から溶媒の還流温度の温度にて撹拌または振盪することによって、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の調製方法。
【請求項11】
心臓血管疾患を処置するための医薬の製造のための請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することによって心臓血管疾患の治療方法。

【公表番号】特表2013−512213(P2013−512213A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540395(P2012−540395)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067985
【国際公開番号】WO2011/064189
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】