説明

メディア処理システム、その制御方法及びプログラム

【課題】印刷ヘッドのクリーニングのためにメディア作製処理のスループットが低下することを防止することができるメディア処理システム及びその制御方法を提供する。
【解決手段】ホストコンピューター100が、プリンター11の印刷ヘッドのクリーニングが必要か否かを判定するステップS13と、プリンター11にメディアを搬送させるための搬送命令をパブリッシャー1へ送信する前に、印刷ヘッドのクリーニングが必要であると判定したときは、搬送命令よりも前にクリーニング実行命令をパブリッシャー1へ送信するステップS14と、を実行し、プリンター11が、クリーニング実行命令に応じて、クリーニングを実行するステップS15、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピューターからの命令に基づいて、メディアの記録面へのデータ書込み処理や、前記メディアの印刷面に対する印刷処理を実施するメディア処理システム、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CD、DVDなどのメディアを保管するためのメディア保管部と、メディアへのデータの書込み、およびメディアからのデータの読み出しを行うメディアドライブと、データが書き込まれたメディアのレーベル面に、書込みデータを表すタイトル、書込み年月日などを含むレーベルを印刷するためのレーベルプリンターと、メディアを搬送するためのメディア搬送機構と、各部の駆動制御を司る制御部を備えたメディア処理装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のメディア処理装置のメディア搬送機構、メディアドライブ、レーベルプリンターは、いずれも、当該メディア処理装置に通信可能に接続されたホストコンピューターのアプリケーションからメディア発行ジョブを受けて各種ドライバがメディアドライブ、レーベルプリンター及びメディア搬送機構を制御し、メディアに対する規定の処理を行う。
図5は、特許文献1に記載のメディア処理装置が、ホストコンピューターにインストールされているアプリケーションからのメディア発行ジョブに基づいてメディアを処理するメディア作製処理の手順を示したものである。
【0004】
ホストコンピューターのアプリケーションへの情報入力(メディアの記録面へ書き込むデータの入力や、メディアのレーベル面へ印刷するデータの入力)が完了しメディア発行命令が与えられると、メディア作製ジョブが生成される。メディア作製ジョブに基づき、メディア搬送機構への搬送命令がメディア処理装置へ送信されると(ステップS101)、それに応じてメディア搬送機構がメディアをメディア保管部からメディアドライブへ搬送する(ステップS102)。メディアの搬送が完了するとその旨をホストコンピューターへ通知する。メディアを受け取ったメディアドライブは、書込み命令(ステップS103)に従ってデータ書込みを行う(ステップS104)。
【0005】
次に、メディア搬送機構はメディアをメディアドライブからレーベルプリンターに搬送する旨の搬送命令を受信すると(ステップS105)、メディアドライブからレーベルプリンターへメディアを搬送し(ステップS106)、搬送が完了するとその旨をホストコンピューターに通知する。メディアを受け取ったレーベルプリンターは、ホストコンピューターから印刷命令を受信すると(ステップS107)、それ以前の印刷ヘッドの使用状況から、印刷処理前に印刷ヘッドのクリーニングが必要か否かを判定する。
【0006】
印刷命令を受けたレーベルプリンターは、印刷ヘッドのクリーニングが必要と判定した場合には、予め設定されたヘッドクリーニング条件に基づいて実施するヘッドクリーニングの動作を選択して、ヘッドクリーニングを実行する(ステップS108)。クリーニング終了後、メディアに対するレーベル印刷を実行する(ステップS109)。
【0007】
レーベル印刷が終了後、メディア搬送機構がレーベルプリンター上のメディアをメディア保管部に移す旨の搬送命令を受信すると(ステップS110)、その命令に基づいてメディア搬送機構がレーベルプリンター上のメディアをメディア保管部に搬送する(ステップS111)と一連の処理が完了する。
【0008】
ところで、上述した特許文献1に記載のメディア処理装置に搭載されているレーベルプリンターは、各インクカートリッジから供給されるインクを印刷ヘッドのノズルから吐出させて、メディアのレーベル面への印刷を行うインクジェットプリンターである。インクジェットプリンターでは、ノズルの汚れや目詰まりによる印刷品質の低下を防止するため定期あるいは不定期に、印刷ヘッドの汚れや目詰まりの程度に応じたヘッドクリーニングを実施することが必要である。
【0009】
上述したステップS108では、印刷ヘッドを拭くワイピング動作、印刷ヘッドのノズルから規定量のインクを吸い出す本吸引動作、微量吸引動作、空吸引動作、及び休止動作といった予め設定されている各種の動作のうちから、印刷ヘッドの汚れや目詰まりの程度に応じて、何れか1つあるいは複数を組み合わせた印刷ヘッドのクリーニングを実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−331534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図5に示したように、従来はステップS107においてレーベルプリンターが印刷命令を受けたときに、印刷ヘッドのそれまでの使用状況からヘッドクリーニングが必要か否かの判定を実施し、必要と判定するとヘッドクリーニングを実行する。このため、印刷ヘッドのクリーニングが完了するまでは、メディアのレーベル面への印刷処理を開始することができないため、印刷開始時期が遅れ、メディア作製処理のスループットが低下する場合がある。
【0012】
印刷ヘッドのクリーニングが、印刷ヘッドを拭くワイピング動作のように軽度のクリーニング動作だけで済む場合は、印刷開始時期の遅れはそれほど目立たず、メディア作製処理のスループットの低下もそれほど気にならない。
【0013】
しかしながら、印刷ヘッドの汚れがひどいために、複数のクリーニング動作を組み合わせた重度のクリーニングを実行する場合は、クリーニングの所要時間が長くなるため、メディア作製処理のスループットの低下が無視できなくなる。特に、メディア処理装置の電源をOFF状態からON状態にした場合などのように、印刷ヘッドが長時間使用されていなかった場合は、比較的動作時間の長い強力なクリーニング動作を実行する必要があるため、最初のレーベル印刷にかかる時間、いわゆるファーストプリントの遅延が顕著となる。
【0014】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、印刷ヘッドのクリーニングのためにメディア作製処理のスループットが低下することを防止することができるメディア処理システム、その制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決することのできる本発明に係るメディア処理システムは、メディアの記録面へのデータ書込み処理を実行するデータ書込み部と、印刷ヘッドのノズルからインクを吐出させて前記メディアのレーベル面に対する印刷処理及び前記印刷ヘッドのクリーニング処理を実行する印刷部と、前記メディアを前記データ書込み部や前記印刷部へ搬送する搬送部と、を備えたメディア処理装置と、前記メディア処理装置と通信可能に接続されたホストコンピューターと、を有するメディア処理システムであって、
前記ホストコンピューターは、前記印刷ヘッドのクリーニングが必要か否かを判定するクリーニング判定部を備え、前記印刷部にメディアを搬送させるための搬送命令を前記メディア処理装置へ送信する前に、前記クリーニング判定部が前記印刷ヘッドのクリーニングが必要であると判定したときは、前記搬送命令よりも前にクリーニング実行命令を前記メディア処理装置へ送信し、
前記印刷部は、前記クリーニング実行命令に応じて、前記クリーニングを実行することを特徴とする。
上記構成によれば、印刷ヘッドのクリーニングが必要な場合は、印刷部へメディアを搬送させる搬送命令よりも前にクリーニング実行命令をメディア処理装置へ送信する。
このため、従来のように、データ書込み部によるデータ書込み処理、印刷部へのメディアの搬送処理の終了後に、ホストコンピューターから印刷命令を受信してからクリーニングを実行していた場合と比較すると、ファーストプリントを早めることができる。印刷部は、ホストコンピューターが発行した印刷命令を従来よりも速やかに実行することができ、印刷ヘッドクリーニングのためにメディア作製処理のスループットが低下することを防止又は軽減することができる。例えば、メディア処理装置の電源をOFF状態からON状態にした場合などのように、印刷部が停止状態となっており印刷ヘッドが長時間使用されていなかった場合には、クリーニング処理時間が長いクリーニング処理を実行する必要があるが、このような場合に特に有効である。
【0016】
なお、印刷部は、例えば、アプリケーションを使っているユーザーからの指示でクリーニングを実行可能なように、ホストコンピューターからのクリーニング実行命令を認識できる構成になっていればよい。このため、既存のメディア処理装置はそのまま転用することができ、ホストコンピューターに搭載される、印刷部を制御するプリンタードライバーにクリーニング判定部を備える構成とすればよい。
【0017】
また、本発明のメディア処理システムにおいて、前記印刷部は、前記クリーニング実行命令に応じて、前記メディアの搬送処理又は前記データ書込み処理の何れかの処理に並行して前記クリーニングを実行することを特徴とする。
上記構成によれば、ホストコンピューターから印刷命令が送信される前に、データ書込み部へのメディアの搬送処理やデータ書込み部におけるデータ書込み処理などと並行して、クリーニングを実行させておくことができる。
データ書込み部におけるデータ書込み処理は、通常であればヘッドクリーニングの所要時間よりも大きい。このため、例えば、データ書込み部におけるデータ書込み処理の前にヘッドクリーニングが開始された場合には、そのクリーニング処理はホストコンピューターから印刷命令を受信する前に終了する。したがって、印刷部がホストコンピューターからの印刷命令を受信した時、印刷ヘッドのクリーニングのためにホストコンピューターから受けた印刷処理を保留する事態が発生することを防止することができる。すなわち、印刷部は、ホストコンピューターから受信した印刷命令をすぐに実行することができ、印刷ヘッドのクリーニングのためにメディア作製処理のスループットが低下することを防止することができる。
【0018】
また、本発明のメディア処理システムにおいて、前記クリーニング判定部は、少なくとも前記メディア処理システムの起動時には、前記クリーニングが必要であると判定することを特徴とする。
メディア処理システムの起動前は少なくともメディア処理装置が非稼働状態にあるため、印刷ヘッドのヘッドクリーニングの必要性が高い。さらに、メディア処理システムの起動時に、無条件にクリーニング実行命令を出すことによって、より早期にクリーニング実行命令を発行することが可能となる。したがって、印刷部が印刷命令を受けるまでのクリーニング処理に使用可能な時間をより長く確保することができ、比較的長い処理時間を必要とするクリーニングを実行する場合でも、印刷命令を受けるまでに確実にクリーニング処理を完了させることができる。すなわち、印刷部が印刷命令を受けていない空き時間を有効に活用して、効率良くクリーニング処理を実行することができる。
【0019】
また、本発明のメディア処理システムにおいて、前記クリーニング判定部は、前記メディア処理装置に対して印刷ヘッドのクリーニング状況を問い合わせ、前記問い合わせに応じて送信された前記クリーニング状況に基づきクリーニングが必要か否かを判定することを特徴とする。
上記構成によれば、クリーニング判定部は、クリーニング状況を問い合わせることができるので、過去のクリーニング履歴に基づいてクリーニングを実行するか否かを判定することができる。このため、無駄なクリーニングを実行することを防止し、クリーニングによるインク消費量を抑えることができる。また、例えば前回のクリーニングからの経過時間等を取得することによって、次に実施するクリーニングの種類を決定することもできる。ノズルの汚れや目詰まりの程度に相応したクリーニングの動作の選択が可能になり、過度なクリーニングの実施を防止することができる。
【0020】
また、上記課題を解決することのできる本発明に係るメディア処理システムの制御方法は、メディアの記録面へのデータ書込み処理を実行するデータ書込み部と、印刷ヘッドのノズルからインクを吐出させて前記メディアのレーベル面に対する印刷処理及び前記印刷ヘッドのクリーニング処理を実行する印刷部と、前記メディアを前記データ書込み部や前記印刷部へ搬送する搬送部と、を備えたメディア処理装置と、前記メディア処理装置と通信可能に接続されたホストコンピューターと、を有するメディア処理システムの制御方法であって、
前記印刷ヘッドのクリーニングが必要か否かを判定する判定ステップと、
前記印刷部にメディアを搬送させるための搬送命令を前記メディア処理装置へ送信する前に、前記印刷ヘッドのクリーニングが必要であると判定したときは、前記搬送命令よりも前にクリーニング実行命令を前記メディア処理装置へ送信する送信ステップと、
前記メディア処理装置の印刷部が、前記クリーニング実行命令に応じて、前記クリーニングを実行するクリーニング実行ステップと、を実行することを特徴とする。
上記構成によれば、従来のように、データ書込み部によるデータ書込み処理、印刷部へのメディアの搬送処理の終了後に、ホストコンピューターから印刷命令を受信してからクリーニングを実行していた場合と比較すると、ファーストプリントを早めることができる。印刷部は、ホストコンピューターが発行した印刷命令を従来よりも速やかに実行することができ、印刷ヘッドクリーニングのためにメディア作製処理のスループットが低下することを防止又は軽減することができる。
【0021】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、前記ホストコンピューターに上記の判定ステップ、送信ステップ及びクリーニング実行ステップを実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態のパブリッシャーの開閉扉を開状態としたときの外観斜視図である。
【図2】図1に示したパブリッシャーのケースを外した状態の前方上側から見た斜視図である。
【図3】メディア処理システムの一実施の形態のブロック図である。
【図4】図3に示したメディア処理システムの制御方法の説明図である。
【図5】従来のメディア処理装置の制御方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るメディア処理システム及びその制御方法の実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、メディア処理システムを構成するメディア処理装置の一例として、CDやDVD等の円板状のメディアへのデータの書き込みやメディアのレーベル面への印刷を行うディスクパブリッシャー(以下、「パブリッシャー」という。)を例示して説明する。
【0024】
(パブリッシャーの構成について)
図1は本実施形態のパブリッシャーの開閉扉を開状態としたときの外観斜視図、図2はパブリッシャーのケースを外した状態の前方上側から見た斜視図である。
パブリッシャー1は、例えばCDやDVD等の円板状のメディアへのデータの書き込みやメディアのレーベル面への印刷を行う装置であり、ほぼ直方体形状のケース2を備えている。このケース2の前面には、左右に開閉可能な開閉扉3,4が取り付けられている。ケース2の上側左端部には、表示ランプ、操作ボタン等が配列された操作面5が設けられており、また、ケース2の下端には、下方に突出するように載置用の脚部6が左右両側に設けられている。左右の脚部6の間位置には引出機構7が設けられている。
【0025】
正面視右側の開閉扉3は、図1に示すように、パブリッシャー1の前面側の開口部8を開閉するもので、例えば未使用のメディアMを開口部8を介してセットする時、あるいは作成済みのメディアMを、開口部8を介して取り出すときに、開閉する扉である。
また、正面視左側の開閉扉4は、図2に示すプリンター11のインクカートリッジ12の入れ換え時に開閉するためのものであり、この開閉扉4を開けると、鉛直方向に配列された複数のカートリッジホルダ13を有するカートリッジ装着部14が露出するようになっている。
【0026】
図2に示すように、パブリッシャー1のケース2の内部には、データ書き込み処理が行われていない複数枚(例えば50枚)の未使用のメディアMをスタック可能なメディア保管部としてのメディアスタッカー21と、複数枚(例えば50枚)の未使用のメディアMあるいは作成済みメディアMが保管されるメディア保管部としてのメディアスタッカー22とが保管されるメディアMの中心軸線が同一となるように上下に配置されている。メディアスタッカー21及びメディアスタッカー22は、それぞれ所定位置に対して着脱自在である。
【0027】
上側のメディアスタッカー21は、左右一対の円弧状の枠板24,25を備えており、これにより、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能な構成をなしている。メディアスタッカー21にメディアMを収容あるいは補充する作業は、開閉扉3を開けてメディアスタッカー21を取り出すことにより、簡単に行うことが可能となっている。
【0028】
下側のメディアスタッカー22も同一構造となっており、左右一対の円弧状の枠板27,28を備え、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能なスタッカーが構成されている。
【0029】
メディアスタッカー21及びメディアスタッカー22の後側には、メディア搬送機構31が配置されている。メディア搬送機構31は、本体フレーム30とシャーシ32の天板33との間に垂直に架け渡されている垂直ガイド軸35を有している。この垂直ガイド軸35に搬送アーム36が昇降及び旋回可能な状態で支持されている。搬送アーム36は、駆動モータ37によって垂直ガイド軸35に沿って昇降可能であるとともに、垂直ガイド軸35を中心に左右に旋回可能である。
【0030】
上下のスタッカー21,22及びメディア搬送機構31の側方の後方の部位には、上下に積層された2つのメディアドライブ41,41が配置され、これらメディアドライブ41,41の下側にプリンター11のキャリッジが移動可能に配置されている。
メディアドライブ41は、メディアMへのデータ書き込み位置とメディアMの受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ41aをそれぞれ有している。
【0031】
また、プリンター11は、メディアMのレーベル面へ印刷可能な印刷位置とメディアMの受け取り受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ45を有している。
【0032】
図2では、上下のメディアドライブ41のメディアトレイ41aが手前に引き出されてメディア受け渡し位置にある状態及び下側のプリンター11のメディアトレイ45が手前側のメディア受け渡し位置にある状態が示されている。また、プリンター11はインクジェットプリンターであり、インク供給機構60として各色(本実施形態ではブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6色)のインクカートリッジ12が用いられ、これらのインクカートリッジ12がカートリッジ装着部14の各カートリッジホルダ13に前方から装着されている。
【0033】
ここで、メディアスタッカー21の左右一対の枠板24,25の間及びメディアスタッカー22の左右一対の枠板27,28の間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、これら上下のメディアスタッカー21とメディアスタッカー22との間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が水平に旋回して、メディアスタッカー22の真上に位置できるように隙間が開いている。さらに、両メディアトレイ41aをメディアドライブ41に押し込むと、メディア搬送機構31の搬送アーム36を下降させて、メディア受け渡し位置にあるメディアトレイ45にアクセス可能となっている。
【0034】
メディア搬送機構31の搬送アーム36は、両メディアトレイ41aをデータ書き込み位置に位置させ、メディアトレイ45を奥側の印刷位置に位置させた状態で、メディアトレイ45の高さ位置よりもさらに下側まで下降可能となっている。そして、メディアトレイ45のメディア受け渡し位置の下方には、搬送アーム36がこの位置まで下降してリリースしたメディアMが通過するガイド穴であって、メディアスタッカー(別体スタッカー)が装着されるガイド穴65が形成されている。
【0035】
図1及び図2に示すように、引出機構7は、本体フレーム30の下側に、本体フレーム30から引き出して開いたり、収納して閉じたりすることが可能な引出トレイ70を有している。引出トレイ70には、スタッカー部71が下方に凹んで設けられている。引出トレイ70が収納位置(閉位置)にあるとき、スタッカー部71は、ガイド穴65の下方に位置し、スタッカー部71の中心部は、受け渡し位置にある両メディアトレイ41aとメディアトレイ45の中心軸線が同一となるように位置されている。このスタッカー部71は、ガイド穴65を介して投入されるメディアMを受け入れ、このメディアMを比較的少量(例えば5枚〜10枚程度)だけ収容する。スタッカー部71は、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能となっている。
【0036】
収納状態にある引出トレイ70のスタッカー部71及びガイド穴65には、スタッカー部71よりもメディアMの収容量が多いメディアスタッカー(別体スタッカー)72が着脱可能となっている(図2参照)。このメディアスタッカー72も、一対の円弧状の枠板73,74を備えており、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で複数枚(例えば50枚)収容可能となっている。一対の円弧状の枠板73,74の間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、一方の枠板74の上部には着脱時にユーザーによって把持される取っ手75が設けられている。
【0037】
そして、メディアスタッカー72を取り付けた状態とすれば、下側のメディアスタッカー22から未使用のメディアMを取り出し、メディアドライブ41およびプリンター11でデータ記録および印刷を行った後に、メディアスタッカー72に収容することができる。
また、例えば、上側のメディアスタッカー21および下側のメディアスタッカー22にそれぞれの最大収容枚数(50枚+50枚)の未使用のメディアMを装填し、下側のメディアスタッカー22の全枚数(50枚)のメディアMを順次処理してメディアスタッカー72に収容し、次に、上側のメディアスタッカー21の全枚数(50枚)のメディアMを順次処理して、空となった下側のメディアスタッカー22に収容する。このようにして、上側のメディアスタッカー21および下側のメディアスタッカー22の最大収容枚数(50枚+50枚)のメディアMを一度に処理する(バッチ処理モード)。
【0038】
また、メディアスタッカー72を取り外した状態とすれば、上側のメディアスタッカー21あるいは下側のメディアスタッカー22から未使用のメディアMを取り出し、メディアドライブ41及びプリンター11でデータ記録及び印刷を行った後に、収納状態にある引出トレイ70のスタッカー部71に収容することができる。
【0039】
これにより、その後、引出トレイ70を引き出すことでスタッカー部71から処理が完了したメディアMを取り出すことができる。つまり、メディアMへの処理中であっても、開閉扉3を閉じたまま、処理が完了したメディアMから順に1枚ずつあるいは複数枚ずつ取り出すことができる(外部排出モード)。
【0040】
(メディア処理システムの内部処理について)
次に上述したパブリッシャー1とパブリッシャー1と通信可能に接続されたホストコンピューターと、を備えた本実施形態のメディア処理システムの内部処理について説明する。図3はメディア処理システムの一実施の形態のブロック図、図4は図3に示したメディア処理システムの制御方法の説明図である。
【0041】
図3に示したメディア処理システム200は、ホストコンピューター100と、パブリッシャー1とから構成されている。
【0042】
ホストコンピューター100は、主に、アプリケーション101、プリンタードライバー102、搬送命令生成部105、書込み命令生成部106及び送受信部107を備えている。
【0043】
アプリケーション101は、ホストコンピューター100上で動作するアプリケーションプログラムで、パブリッシャー1によるメディア作製動作に必要なデータを、プリンタードライバー102、搬送命令生成部105及び書込み命令生成部106を介して、パブリッシャー1に送信するユーザーインターフェースを提供する。
【0044】
また、送受信部107は、各種命令、印刷データ及び記録データ等をパブリッシャー1へ送信し、パブリッシャー1から送信されるデータを受信するためのインターフェースである。
【0045】
プリンタードライバー102は、アプリケーション101からメディア作製指示を受信すると、プリンター11が処理可能な形式の印刷データ、印刷コマンドを生成する印刷データ生成部103と、プリンター11の印刷ヘッドのクリーニングが必要か否かを判定するクリーニング判定部104と、を備えている。クリーニング判定部104は、印刷ヘッドのクリーニングが必要であると判定したときは、クリーニング実行命令を生成し送受信部107を介してパブリッシャー1へ送信する。
【0046】
搬送命令生成部105は、アプリケーション101からメディア作製指示を受信すると、メディア搬送機構31が処理可能な形式の搬送コマンドを生成し、送受信部107を介してパブリッシャー1へ送信する。
また、書込み命令生成部106は、アプリケーション101からメディア作製指示を受信するとメディアドライブ41が処理可能な形式の書込みコマンドを生成し、アプリケーション101から指示された記録データとともに送受信部107を介してパブリッシャー1へ送信する。
【0047】
ユーザーは、アプリケーション101上で印刷データの作成や編集、メディア作製指示を行う。プリンタードライバー102は、アプリケーション101により呼び出され、プリンター11の動作を制御する。同様に、搬送命令生成部105はアプリケーション101により呼び出されてメディア搬送機構31の動作を直接制御し、書込み命令生成部106はアプリケーション101により呼び出されてメディアドライブ41の動作を制御する。
【0048】
なお、アプリケーション101及びプリンタードライバー102は、ホストコンピューター1の図示しないROMに予め格納されたプログラムであり、各機能部は、ホストコンピューター1の図示しないCPUが上記プログラムを読み出し、実行することにより構成される。
【0049】
本実施の形態において、クリーニング判定部104は、プリンター11にメディアを搬送させるための搬送命令をパブリッシャー1へ送信する前に、印刷ヘッドのクリーニングが必要か否かを判定する。
印刷ヘッドのクリーニングが必要であるとクリーニング判定部104が判定すると、搬送命令よりも前にクリーニング実行命令を生成してパブリッシャー1へ送信する。なお、クリーニング判定部104が生成するクリーニング実行命令には、いずれの動作に関連づけてクリーニングするかが指示されている。
【0050】
一方、パブリッシャー1は、プリンター11、メディア搬送機構31及びメディアドライブ41の3つのUSBデバイスを内蔵している。パブリッシャー1が内蔵する各USBデバイスは、ホストコンピューター100のUSBポートに複数のUSBデバイスを接続するための分岐装置であるハブ110を介して、ホストコンピューター100と通信可能に接続されている。
【0051】
各USBデバイスは、通信インターフェースとしての送受信部111,131,141をそれぞれ備えている。
プリンター11は、送受信部111の他に、印刷データを展開保存するプリントバッファ112と、不図示の印刷ヘッドやキャリッジの動作を制御する印刷制御部113と、印刷ヘッドのクリーニング動作を制御するクリーニング実行部114とを備えている。送受信部111、印刷制御部113及びクリーニング実行部114は、不図示のCPUがROM等の不揮発性の記憶部に記憶されているファームウェアを実行することによって構成される。
【0052】
送受信部111は、ホストコンピューター100からハブ110を介して送信された印刷データや印刷命令等を受信するためのインターフェースである。送受信部111で一時保存した印刷データはプリントバッファ112に展開され、印刷可能なドットデータに変換される。印刷制御部113は、受信した印刷命令に基づいて、印刷ヘッドやキャリッジ等を駆動させてプリントバッファ112に展開されたドットデータをメディアのレーベル面に印刷する。
【0053】
クリーニング実行部114は、ホストコンピューター100からクリーニング実行命令を受けると、それに応じて印刷ヘッドのクリーニングを実行する。印刷ヘッドのクリーニング処理としては、例えば、印刷ヘッドを拭くワイピング動作、印刷ヘッドのノズルから規定量のインクを吸い出す本吸引動作、微量吸引動作、空吸引動作、及び休止動作といった各種の動作を実行できるように構成されている。
【0054】
メディア搬送機構31は、送受信部131の他に、搬送アーム36によるメディアの搬送動作を制御する搬送制御部132を備えている。
送受信部131は、ホストコンピューター1からハブ110を介して送信された搬送命令を受信するためのインターフェース部である。送受信部131で一時保存した搬送命令に基づき、搬送制御部132は、搬送アーム36やメディアを把持する把持機構等を駆動させて、メディアを搬送する。例えば、搬送制御部132からの指示に応じて搬送アーム36が、メディアが積層されたメディア保管部からメディアを把持し、把持したメディアをメディアドライブ41のメディアトレイ41aやプリンター11のメディアトレイ45まで搬送する。また、搬送制御部132からの指示に応じて搬送アーム36が、レーベル印刷後のメディアをメディアトレイからピックアップし、ピックアップしたメディアを引出しトレイ70へ搬送する。
【0055】
また、メディアドライブ41は、前述の送受信部141の他に、データ書込み動作を制御するデータ書込み制御部142を備えている。送受信部141は、ホストコンピューター1からハブ110を介して送信された書込み命令を受信するためのインターフェースである。データ書込み制御部142は、記録データをメディアの記録面に記録する。
【0056】
なお、送受信部131及び搬送制御部132、送受信部141及びデータ書込み制御部142は、メディア搬送機構31及びメディアドライブ41がそれぞれ備える不図示のCPUがROM等の不揮発性の記憶部に記憶されているファームウェアを実行することによって構成される。
【0057】
(メディア作製処理について)
次に、以上に説明した本実施形態のメディア処理システム200におけるメディア作製処理の流れを説明する。図4は、メディア作製処理の流れを説明するための図である。
【0058】
本実施の形態の場合、プリンタードライバー102のクリーニング判定部104は、アプリケーション101の起動時(メディア処理システムの起動時)に、パブリッシャー1のプリンター11に対して印刷ヘッドのそれまでのクリーニング状況を問い合わせ、問い合わせに応じて送信された印刷ヘッドのクリーニング状況に基づきクリーニングが必要か否かを判定する。
【0059】
クリーニング判定部104から印刷ヘッドのクリーニング状況の問い合わせを受けたプリンター11のクリーニング実行部114は、不図示のRAM等の記録保存されているインクの消費履歴や、クリーニング履歴等の情報をクリーニング判定部104に送信する。クリーニング判定部104は、プリンター11から送信されてきた印刷ヘッドのクリーニング状況の情報に基づいて、ノズルの汚れや目詰まりの程度に相応のクリーニングとなるように、上記のクリーニング処理の動作の1つ、または複数個の組み合わせを指定したクリーニング実行命令を生成する。
【0060】
まず、ホストコンピューター100上で、アプリケーション101が起動されると、プリンタードライバー102のクリーニング判定部104が機能して、プリンター11に印刷ヘッドのクリーニング状況を問い合わせる(ステップS11)。クリーニング判定部104は問い合わせに対して応答された印刷ヘッドのクリーニング状況からクリーニングが必要か否かを判定する(ステップS12,ステップS13)。クリーニングが必要であると判定した場合は、プリンター11にクリーニング実行命令を送信する(ステップS14)。クリーニング実行命令を受けたプリンター11のクリーニング実行部114は、クリーニング実行命令中に指示されている内容のクリーニングを実行する(ステップS15)。
【0061】
次に、アプリケーション101への情報入力画面で、メディアの記録面に記録する記録データの入力や、メディアのレーベル面への印刷データの入力が完了すると、アプリケーション101からメディア作製指示が送信され、搬送命令生成部105がメディア搬送機構31に対する搬送命令を生成し送信する(ステップS16)。搬送命令に応じてメディア搬送機構31がメディアをメディアスタッカー21からメディアドライブ41へ搬送する(ステップS17)。そして、メディアを受けたメディアドライブ41は、書込み命令生成部106からの書込み命令(ステップS18)に従ってデータ書込みを行う(ステップS19)
【0062】
メディアドライブ41におけるデータ書込み処理(ステップS19)が完了すると、搬送命令生成部105はメディアをメディアドライブ41からプリンター11に搬送する旨の搬送命令をメディア搬送機構31へ送信する(ステップS20)。搬送命令を受けたメディア搬送機構31がメディアドライブ41からプリンター11へメディアを搬送すると(ステップS21)、印刷データ生成部103がプリンター11に対してレーベルの印刷命令を送信する(ステップS22)。
【0063】
印刷命令を受けたプリンター11はプリンタードライバー102を介して送信されてくる印刷データに基づいて、メディアに対するレーベル印刷を実行する(ステップS23)。
次に、搬送命令生成部105はプリンター11上のメディアをメディア保管部であるメディアスタッカー22に移す旨の搬送命令をメディア搬送機構130に発行し(ステップS24)、その命令に基づいてメディア搬送機構31がプリンター11上のメディアをメディア保管部(例えば、メディアスタッカー22)に搬送する(ステップS25)。以上で一連のメディア作製処理が完了する。
【0064】
以上に説明した一実施の形態のメディア処理システム200及びその制御方法では、アプリケーション101の起動時にクリーニング判定部104が発行したクリーニング実行命令をクリーニング実行部114が速やかに実行するため、クリーニングが実施される時期はプリンター11へメディアを搬送させる搬送命令よりも前である。例えば、メディアドライブ41へのメディアの搬送処理中若しくはメディアドライブ41におけるデータ書込み処理中など、ホストコンピューター100からプリンター11に印刷命令が発行される前に開始されることになる。
そのため、プリンター11がホストコンピューター100からの印刷命令を受けた時、印刷処理を保留にして印刷処理前に印刷ヘッドのクリーニングを実行していた従来のパブリッシャー1と比較すると、印刷ヘッドのクリーニングのためにホストコンピューター100から受けた印刷処理を保留する時間を軽減したり、あるいは印刷処理の保留を防止することができる。
【0065】
従って、プリンター11は、ホストコンピューター100が発行した印刷命令を従来よりも速やかに実行することができ、プリンター11のヘッドクリーニングのためにメディア作製処理のスループットが低下することを防止又は軽減することができる。
【0066】
なお、上記実施の形態のメディア処理システム200は、ホストコンピューター100に搭載するプリンタードライバー102にクリーニング判定部104を備え、クリーニング判定部104でヘッドクリーニングが必要であると判定された時にクリーニング実行命令を出すよう改良されていれば、プリンター11としては既設のものをそのまま転用することができ、既存のメディア処理システムへの応用も容易になる。
【0067】
また、上記実施の形態のメディア処理システム200のクリーニング判定部104は、パブリッシャー1に対して印刷ヘッドのそれまでのクリーニング状況を問い合わせ、その問い合わせに応じて送信された印刷ヘッドのクリーニング状況に基づきクリーニングが必要か否かを判定している。
そのため、クリーニング判定部104は、印刷ヘッドのノズルの汚れや目詰まりの程度を把握して、ノズルの汚れや目詰まりの程度に相応したクリーニングの動作の選択が可能になり、過度なクリーニングの実施や無用なクリーニングの実施を防止することができる。
【0068】
なお、上記実施の形態では、クリーニング実行部114は、ホストコンピューター100からクリーニング実行命令を受信すると、直ちにクリーニングを実行するようにしていた。しかし、本発明に係るメディア処理システムでは、クリーニング実行部114は、図2に示したクリーニング実行処理(ステップS15)を、メディアドライブ41へのメディアの搬送処理又はメディアドライブ41におけるデータ書き込み処理の何れかの処理に並行して実施する構成としても良い。
【0069】
このようにクリーニングの実施タイミングを制御するメディア処理システム及びその制御方法では、ホストコンピューター100が発行するクリーニング実行命令でプリンター11が実行するヘッドクリーニングは、メディアドライブ41へのメディアの搬送処理中若しくはメディアドライブ41におけるデータ書込み処理中など、ホストコンピューター100からプリンター11に印刷命令が発行される前に確実に開始される。
そして、例えば、メディアドライブ41におけるデータ書込み処理は、一般に所要時間が長い強力なヘッドクリーニングよりも大きいため、例えば、メディアドライブ41におけるデータ書込み処理の前にヘッドクリーニングが開始された場合には、そのクリーニングは、確実に、プリンター11がホストコンピューター100から印刷命令を受ける前に終わる。
【0070】
そのため、プリンター11がホストコンピューター100からの印刷命令を受けた時、ヘッドクリーニングのためにホストコンピューター100から受けた印刷処理を保留する必要がなくなる。
したがって、プリンター11は、ホストコンピューター100が発行した印刷命令を即座に実行することができ、プリンター11のヘッドクリーニングのためにメディア作製処理のスループットが低下することを防止することができる。
【0071】
さらに、上記実施の形態におけるクリーニング判定部104は、アプリケーション101の起動時に作動し、その際、プリンター11に印刷ヘッドのクリーニング状況を問い合わせして、それ以前の印刷ヘッドのクリーニング状況に応じてクリーニングが必要か否かを判定したが、アプリケーション101の起動時には印刷ヘッドの使用状況を問い合わせせずに、無条件に、クリーニングが必要であると判定するように構成することも考えられる。
【0072】
メディアを処理するアプリケーション101の起動前は少なくともパブリッシャー1が非稼働状態にあり、アプリケーション101の起動時は、プリンター11のそれまでの非稼働状態によってヘッドクリーニングの必要性が高まっている蓋然性が高い。
【0073】
そして、アプリケーション101の起動時に無条件にクリーニング実行命令を出すことによって、より早期にクリーニング実行命令を発行することが可能になる。したがって、プリンター11がアプリケーション101からの印刷命令を受けるまでのヘッドクリーニング処理に使用可能な時間をより長く確保することができる。さらに、処理時間の長いヘッドクリーニングを実行する場合でも、アプリケーション101からの印刷命令を受けるまでに確実に完了させることが可能になり、プリンター11が印刷命令を受けていない印刷空き時間を有効に活用して、効率良くヘッドクリーニングを実行することができる。
また、クリーニング判定部104における制御処理が容易になり,制御プログラムを単純にすることができる。
【0074】
また、パブリッシャー1の電源投入時も、それ以前にはプリンター11が長時間に渡って非稼働状態になっていたために、ヘッドクリーニングの必要性が高まっている蓋然性が高い。そこで、クリーニング判定部104は、パブリッシャー1の電源投入時にも、印刷ヘッドの使用状況を問い合わせせずに、無条件に、クリーニングが必要であると判定して、クリーニング実行命令を発行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0075】
1:パブリッシャー、11:プリンター、31:メディア搬送機構、41:メディアドライブ、100:ホストコンピューター、101:アプリケーション、102:プリンタードライバー、103:印刷データ生成部、104:クリーニング判定部、105:搬送命令生成部、106:書込み命令生成部、107:送受信部、110:ハブ、112:プリントバッファ、113:印刷制御部、114:クリーニング実行部、132:搬送制御部、142:データ書込み部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアの記録面へのデータ書込み処理を実行するデータ書込み部と、印刷ヘッドのノズルからインクを吐出させて前記メディアのレーベル面に対する印刷処理及び前記印刷ヘッドのクリーニング処理を実行する印刷部と、前記メディアを前記データ書込み部や前記印刷部へ搬送する搬送部と、を備えたメディア処理装置と、前記メディア処理装置と通信可能に接続されたホストコンピューターと、を有するメディア処理システムであって、
前記ホストコンピューターは、前記印刷ヘッドのクリーニングが必要か否かを判定するクリーニング判定部を備え、前記印刷部にメディアを搬送させるための搬送命令を前記メディア処理装置へ送信する前に、前記クリーニング判定部が前記印刷ヘッドのクリーニングが必要であると判定したときは、前記搬送命令よりも前にクリーニング実行命令を前記メディア処理装置へ送信し、
前記印刷部は、前記クリーニング実行命令に応じて、前記クリーニングを実行することを特徴とするメディア処理システム。
【請求項2】
前記印刷部は、前記クリーニング実行命令に応じて、前記メディアの搬送処理又は前記データ書込み処理の何れかの処理に並行して前記クリーニングを実行することを特徴とする請求項1に記載のメディア処理システム。
【請求項3】
前記クリーニング判定部は、少なくとも前記メディア処理システムの起動時には、前記クリーニングが必要であると判定することを特徴とする請求項1に記載のメディア処理システム。
【請求項4】
前記クリーニング判定部は、前記メディア処理装置に対して印刷ヘッドのクリーニング状況を問い合わせ、前記問い合わせに応じて送信された前記クリーニング状況に基づきクリーニングが必要か否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のメディア処理システム。
【請求項5】
メディアの記録面へのデータ書込み処理を実行するデータ書込み部と、印刷ヘッドのノズルからインクを吐出させて前記メディアのレーベル面に対する印刷処理及び前記印刷ヘッドのクリーニング処理を実行する印刷部と、前記メディアを前記データ書込み部や前記印刷部へ搬送する搬送部と、を備えたメディア処理装置と、前記メディア処理装置と通信可能に接続されたホストコンピューターと、を有するメディア処理システムの制御方法であって、
前記印刷ヘッドのクリーニングが必要か否かを判定する判定ステップと、
前記印刷部にメディアを搬送させるための搬送命令を前記メディア処理装置へ送信する前に、前記印刷ヘッドのクリーニングが必要であると判定したときは、前記搬送命令よりも前にクリーニング実行命令を前記メディア処理装置へ送信する送信ステップと、
前記メディア処理装置の印刷部が、前記クリーニング実行命令に応じて、前記クリーニングを実行するクリーニング実行ステップと、を実行することを特徴とするメディア処理システムの制御方法。
【請求項6】
前記ホストコンピューターに請求項5に記載の判定ステップ、送信ステップ及びクリーニング実行ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−165431(P2010−165431A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8517(P2009−8517)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】