説明

メモリインターフェースおよび画像処理装置

【課題】 フレームメモリにすでに書き込まれた直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの出力を開始するまでの遅延時間の短縮化が図られたメモリ制御回路、および回路規模の削減化が図られた画像処理装置を提供する。
【解決手段】 垂直同期信号VSYNCの立ち下がりエッジをSDRAMコントローラ22で検知して、初期アドレスにクリアされたアドレス信号A,読み出しを指示するコマンドCを生成してSDRAM10に供給し、SDRAM10から所定の範囲の過去データを先読みして読み出し用FIFO23に格納しておき、現在データの入力が開始された後に読み出し用FIFO23から読み出して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームメモリを制御するメモリ制御回路、およびそのメモリ制御回路を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フレームメモリを制御するメモリ制御回路を備え、フレームを構成する画素の画素値を示すデータ(以下、単にデータと記述する)に基づいた画像処理を行なう液晶表示装置等の画像処理装置が知られている。このような画像処理装置では、複数のフレームのそれぞれを構成するデータの入力を、それら複数のフレームの順番に受け、次のフレーム(N+1)を構成するデータ(現在データと称する)をフレームメモリに書き込むとともに、そのフレームメモリにすでに書き込まれた直前のフレーム(N)を構成するデータ(過去データと称する)を読み出し、これら過去データと現在データとを比較して演算(画像処理)し、その結果が反映されたデータを出力するということが行なわれている。一般に、フレームメモリに書き込まれるデータ量は多く、このためフレームメモリとして、安価で大容量のSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が好適に用いられる。このSDRAMは、ロウアドレスとカラムアドレスによって定められるアドレス空間を有し、定期的なリフレッシュを必要とするダイナミック型ランダムアクセスメモリである。
【0003】
しかし、SDRAMでは、データアクセスの開始にあたり、ローアドレスを指定し、一定時間経過後にカラムアドレスを指定するという動作が必要とされる。また、一定のデータ量ごとに、ローアドレスの指定とカラムアドレスの指定を繰り返す動作も必要とされる。一方、液晶表示装置等の画像処理装置では、常にデータを出力し続ける必要がある。そこで、このような画像処理装置を構成するメモリ制御回路には、例えば特許文献1のように、SDRAMの前段と後段の双方にFIFO(First In First Out)が備えられている。
【0004】
図7は、従来のメモリ制御回路の概略構成を示す図である。
【0005】
図7に示すメモリ制御回路100には、書き込み用FIFO102と、SDRAMコントローラ103と、読み出し用FIFO104とが備えられており、SDRAM110へのデータの書き込み、およびSDRAM110からのデータの読み出しを制御する。このメモリ制御回路100では、フレームを構成する1ライン分の時間内に、そのラインを構成する画素の過去データの読み出しと現在データの書き込みとの両方が行なわれる。具体的には、1つのラインの前半でSDRAM110に記憶された過去データPDを読み出し、読み出し用FIFO104を経由して出力する。そして、その1つのラインの後半で書き込み用FIFO102を経由して受け取った現在データCDをSDRAM110に書き込む。以下、図8を参照して詳細に説明する。
【0006】
図8は、図7に示すメモリ制御回路におけるSDRAM110、ならびに、書き込み用FIFO102および読み出し用FIFO104へのアクセスのタイミングを示す図である。
【0007】
図8には、垂直同期信号VSYNCと、リードデータイネーブル信号RDEと、ライトデータイネーブル信号WDEの波形が示されている。この、リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEが‘H’レベルになっている期間のそれぞれに、1フレームを構成する複数のラインのうちの1つのラインを構成する画素のデータが、メモリ制御回路100に入力される。図8にはまた、過去データのSDRAM110からの読み出しおよび読み出し用FIFO104への書き込み(過去データ読み出し)と、読み出し用FIFO104からの過去データの読み出しおよびメモリ制御回路100からの出力(過去データ出力)が行われる期間と、現在データのメモリ制御回路100への入力と書き込み用FIFO102への書き込み(現在データ入力)と、書き込み用FIFO102からの現在データの読み出しおよびSDRAM110への書き込み(現在データ書き込み)とのそれぞれが行われる期間が示されている。
【0008】
SDRAM110には過去データPDが格納されているものとする。最初に、各フレーム間の区切りを示す垂直同期信号VSYNCが入力される。次いで、リードデータイネーブル信号RDEが‘L’レベルから‘H’レベルに遷移する。すると、SDRAM110に格納されている過去データPDの読み出しが開始される。SDRAM110から読み出された過去データPDは、読み出し用FIFO104に書き込まれる。その後、読み出し用FIFO104に書き込まれた過去データPDが読み出され、出力される。一方、入力される現在データCDは、いったん、書き込み用FIFO102に書き込まれ、過去データのSDRAM110からの読み出しが終わった後に、書き込み用FIFO102から読み出され、SDRAM110に書き込まれる。ここで、図8に示す、リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEが‘H’レベルに維持されている、1ライン分のデータがメモリ制御回路100に入力される期間の前半で、過去データPDが読み出し用FIFO104に書き込まれ、後半に(厳密には、ライトデータイネーブル信号WDEが‘L’レベルに遷移した後の、水平ブランキング期間の一部も利用して)、書き込み用FIFO102から現在データCDが読み出され、SDRAM110に書き込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−133917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した、図7に示すメモリ制御回路100では、リードデータイネーブル信号RDEが‘L’レベルから‘H’レベルに遷移したことを受けて、SDRAM110に書き込まれている過去データPDの読み出しが開始される。このとき、SDRAM110からの過去データPDの読み出しが開始されるまでには遅延時間(レイテンシ)が存在する。従って、このメモリ制御回路100を備えた画像処理装置では、現在データと過去データとを比較して演算(画像処理)するにあたり、以下の問題がある。
【0011】
例えば、この画像処理装置が液晶表示装置であって、直前のフレームである過去フレームの所定の座標位置の画素の過去データと、次のフレームである現在フレームの、上記所定の座標位置の画素の現在データとに基づいて、この液晶表示装置の応答速度が改善されるような画像処理を画像処理回路で行ない、その結果が反映されたデータを出力する場合、その画像処理回路には、これら過去データと現在データのタイミングを揃えて入力する必要がある。即ち、過去データがSDRAM110から読み出されて出力され、画像処理回路に入力されるまでの遅延時間と、現在データが画像処理回路に入力されるまでの遅延時間とを揃える必要がある。そこで、このような画像処理装置には、一般に、過去データが読み出されるまでの遅延時間の分だけ、現在データを遅延させるための遅延回路として、シフトレジスタ(もしくはFIFO)が備えられている。ここで、シフトレジスタのサイズは、過去データの読み出し開始までの遅延時間が長いほど大きなサイズが必要になる。
【0012】
一般に、SDRAMからのデータの読み出し開始までにかかる遅延時間は、tRCD(RAS to CAS Delay)+Cas Latencyとなる。ここで、tRCDとは、ロー系列の命令とカラム系列の命令との間に存在する遅延時間をクロック数で表わした値である。また、Cas Latencyとは、読み出しコマンドの入力から読み出しデータを出力するために必要な時間をクロック数で表わした値である。尚、実際には、SDRAM110からのデータをそのまま読み出し用FIFO104に入力するのはタイミング的に難しく、タイミング調整のために2〜3段のフリップフロップが挿入される。このため、メモリ制御回路100からのデータの出力が開始されるまでの遅延時間はさらに増えることとなる。
【0013】
例えば、tRCD=3,Cas Latency=3のSDRAMを使用し、タイミング調整のために2段のフリップフロップを挿入すると、上記シフトレジスタには8段のフリップフロップが必要になる。すなわち、RGBの画素値を示すデータが各10ビットで、2chの並列処理を行う場合、8×10×2=160個のフリップフロップが必要になる。
【0014】
このように、従来の、図7に示すメモリ制御回路100では、現在データの入力が開始されてから、SDRAM110に書き込まれている過去データの出力が開始されるまでの遅延時間が長く、従って画像処理装置では現在データを長い時間遅らせる必要があり、結果として、上記シフトレジスタの回路規模は大きいという問題がある。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑み、フレームメモリにすでに書き込まれた直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの出力を開始するまでの遅延時間の短縮化が図られたメモリ制御回路、および画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する本発明のメモリ制御回路は、複数のフレームのそれぞれを構成する画素の画素値を示すデータの入力を、そのフレームの順番に受け、次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータをフレームメモリに書き込むとともに、そのフレームメモリにすでに書き込まれた直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータを読み出すために、そのフレームメモリヘのアクセスを行うアドレスを指定するアドレス信号、および、そのフレームメモリヘの書き込み、もしくは、そのフレームメモリからの読み出しを指示する制御信号を生成してそのフレームメモリに供給するメモリ制御回路において、
上記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始される以前に、上記直前のフレームを構成する画素のうちの一部の画素の画素値を示すデータを上記フレームメモリから読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成し、そのフレームメモリに供給することを特徴とする。
【0017】
尚、ここでいう「画像値」としては、輝度値、色差値等が挙げられる。
【0018】
本発明のメモリ制御回路は、次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータ(現在データと称する)の入力が開始される以前に、直前のフレームを構成する画素のうちの一部の画素の画素値を示すデータ(過去データと称する)をフレームメモリから読み出すものである。即ち、現在データの入力が開始される以前に、過去データのうちの一部のデータが先読みされることとなる。このため、フレームメモリにすでに書き込まれた過去データの出力が開始されるまでの遅延時間の短縮化が図られる。
【0019】
ここで、上記複数のフレームのそれぞれを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始されるよりも早いタイミングで、同期信号の入力を受け、
上記同期信号の入力を検知して、初期アドレスにクリアされたアドレス信号を生成するとともに、読み出しを指示する制御信号を生成し、上記フレームメモリに供給することが好ましい。
【0020】
このように、垂直同期信号の入力を検知してアドレス信号をクリアすることにより、大きな追加回路を必要とすることなく、過去データの先読みを実現することができる。
【0021】
また、上記それぞれのフレームが複数のラインで構成されており、その複数のラインのそれぞれを構成する複数の画素の画素値を示すデータの入力を、そのラインの順番に受け、
上記複数のラインのうちの最初のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始される以前に、上記直前のフレームの最初のラインを構成する複数の画素のうちの最初から所定の範囲の画素の画素値を示すデータを読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成し、上記フレームメモリに供給し、
上記最初のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力を受けている期間内に、上記直前のフレームの最初のラインを構成する複数の画素のうちの残りの画素の画素値を示すデータと、上記直前のフレームの次のラインの最初から上記所定の範囲の画素の画素値を示すデータとを読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成し、上記フレームメモリに供給することも好ましい態様である。
【0022】
このようにすると、次のラインについても先読みが行なわれる。このため、次のラインについても、直前のフレームの過去データの出力が開始されるまでの遅延時間を短縮することができる。
【0023】
さらに、上記フレームメモリから読み出したデータを,一時的に保持する読み出し用FIFOをさらに備え、
上記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始される以前に上記フレームメモリから読み出したデータを、上記読み出し用FIFOに保持し、次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始された後に、その読み出し用FIFOから読み出して出力することも好ましい。
【0024】
このような読み出し用FIFOを備えると、先読みした直前の過去データを、次のフレームの同一の座標に位置する現在データとタイミングを合わせて出力し、外部の画像処理回路に入力することができる。
【0025】
また、上記目的を達成する本発明の画像処理装置は、
フレームメモリと、
複数のフレームのそれぞれを構成する画素の画素値を示すデータの入力を、そのフレームの順番に受け、次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータを上記フレームメモリに書き込むとともに、そのフレームメモリにすでに書き込まれた直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータを読み出すために、そのフレームメモリヘのアクセスを行うアドレスを指定するアドレス信号、および、そのフレームメモリヘの書き込み、もしくは、そのフレームメモリからの読み出しを指示する制御信号を生成してそのフレームメモリに供給するメモリ制御回路と、
上記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力と、上記メモリ制御回路が上記フレームメモリから読み出した直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータとの入力を受け、両データに基づいた処理を行う画像処理回路とを備えた画像処理装置において、
上記メモリ制御回路が、
上記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始される以前に、上記直前のフレームを構成する画素のうちの一部の画素の画素値を示すデータを上記フレームメモリから読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成し、そのフレームメモリに供給することを特徴とする。
【0026】
本発明の画像処理装置は、フレームメモリにすでに書き込まれた過去データの出力を開始するまでの遅延時間の短縮化が図られた本発明のメモリ制御回路を備えたものである。このため、従来の、SDRAMからの過去データの読み出しにあたり大きなレイテンシが必要とされる技術と比較し、現在データを遅らせるための時間は短くて済み、従って現在データを遅らせるためのシフトレジスタ等の回路規模は小さくて済む。
【0027】
ここで、上記メモリ制御回路が、
上記複数のフレームのそれぞれを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始されるよりも早いタイミングで、同期信号の入力を受け、
上記同期信号の入力を検知して、初期アドレスにクリアされたアドレス信号を生成するとともに、読み出しを指示する制御信号を生成し、上記フレームメモリに供給することが好ましい。
【0028】
また、上記それぞれのフレームが複数のラインで構成されており、
上記メモリ制御回路が、
その複数のラインのそれぞれを構成する複数の画素の画素値を示すデータの入力を、そのラインの順番に受け、
上記複数のラインのうちの最初のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始される以前に、上記直前のフレームの最初のラインを構成する複数の画素のうちの最初から所定の範囲の画素の画素値を示すデータを読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成し、上記フレームメモリに供給し、
上記最初のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力を受けている期間内に、上記直前のフレームの最初のラインを構成する複数の画素のうちの残りの画素の画素値を示すデータと、上記直前のフレームの次のラインの最初から上記所定の範囲の画素の画素値を示すデータとを読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成し、上記フレームメモリに供給することも好ましい態様である。
【0029】
さらに、上記メモリ制御回路が、
上記フレームメモリから読み出したデータを一時的に保持する読み出し用FIFOをさらに備え、
上記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始される以前に上記フレームメモリから読み出したデータを、上記読み出し用FIFOに保持し、次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始された後に、その読み出し用FIFOから読み出して出力することも好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、フレームメモリにすでに書き込まれた直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの出力が開始されるまでの遅延時間の短縮化が図られたメモリ制御回路、および画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の画像処理装置の一実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1に示すSDRAMインターフェースの構成を示す図である。
【図3】図2に示すSDRAMインターフェースにおけるアクセスタイミングを示す図である。
【図4】垂直同期信号の立ち下がり付近のタイミングを示す図である。
【図5】リードデータイネーブル信号の立ち上がり付近のタイミングを示す図である。
【図6】比較例の、リードデータイネーブル信号の立ち上がり付近のタイミングを示す図である。
【図7】従来のメモリ制御回路の概略構成を示す図である。
【図8】図7に示すメモリ制御回路におけるアクセスのタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0033】
図1は、本発明の画像処理装置の一実施形態の構成を示す図である。
【0034】
図1に示す画像処理装置1には、SDRAM10と、SDRAMインターフェース20と、画像処理回路30と、シフトレジスタ40とが備えられている。
【0035】
画像処理装置1は、複数のフレームのそれぞれを構成する画素の画素値を示すデータ(入力フレームデータIFD)の入力を、それら複数のフレームの順番に受け、この入力されたデータに基づいた画像処理を行い、処理済みの複数のフレームのそれぞれを構成する画素の画素値を示すデータ(出力フレームデータOFD)を、それら複数のフレームの順番に出力する。ここで、画素の画素値としては、輝度値、色差値等が例示される。
【0036】
SDRAM10は、本発明にいうフレームメモリの一例に相当し、ロウアドレスとカラムアドレスによって定められるアドレス空間を有し、定期的なリフレッシュを必要とするダイナミック型ランダムアクセスメモリである。このSDRAM10では、アクセスの開始にあたり、ロウアドレスを指定し一定時間経過後にカラムアドレスを指定するという動作や、一定のデータ量ごとにロウアドレスの指定とカラムアドレスの指定を繰り返す動作が行なわれる。
【0037】
SDRAMインターフェース20は、本発明のメモリ制御回路の一実施形態に相当するものである。このSDRAMインターフェース20には、リードデータイネーブル信号RDEと、ライトデータイネーブル信号WDEと、垂直同期信号VSYNCとが入力される。このSDRAMインターフェース20には、また、前述の入力フレームデータIFDが入力される。そして、現時点においてデータが入力されているフレーム(現在フレームと称する)を構成する画素の画素値を示すデータ(現在データCDと称する)をSDRAM10に書き込む。同時に、すでにSRAM10に書き込まれた、直前のフレーム(過去フレームと称する)を構成する画素の画素値を示すデータ(過去データPDと称する)を読み出し、画像処理回路30に出力する。リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEは、それぞれ、SDRAM10からの過去データPDの読み出し、および、SDRAM10への現在データCDの書き込みのタイミング制御に利用される信号である。本実施形態では、リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEは、同時に有効(‘H’レベル)になる。入力フレームデータIFDは、有効なデータが入力されている期間を示すデータ有効信号とともに入力されることが一般的であり、リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEは、データ有効信号を利用して生成することができる。
【0038】
シフトレジスタ40には、前述の入力フレームデータIDFが入力される。そして、現在データCDを所定の時間だけ遅延させ、前記SDRAMインターフェース20から出力される過去データPDとタイミングを合わせて、画像処理回路30に出力する。すなわち、シフトレジスタ40は、SDRAMインターフェース20がSDRAM10から読み出したデータである過去データPDが画像処理回路30に入力されるまでのレイテンシと、現在データCDが画像処理回路30に入力されるまでのレイテンシとを揃えるための遅延回路として設けられている。
【0039】
画像処理回路30は、シフトレジスタ40からの現在データCDの入力と、SDRAMインターフェース20がSDRAM10から読み出した過去データPDとの入力を受け、両データに基づいた画像処理を行ない、画像処理された出力フレームデータOFDを外部に出力する。
【0040】
図2は、図1に示すSDRAMインターフェースの構成を示す図である。
【0041】
図2に示すSDRAMインターフェース20には、書き込み用FIFO21と、SDRAMコントローラ22と、読み出し用FIFO23とが備えられている。
【0042】
SDRAMコントローラ22は、書き込み用FIFO21を経由して入力された現在データCDを、SDRAM10に書き込むとともに、SDRAMにすでに書き込まれている過去データPDを読み出し、読み出し用FIFO23を経由して出力するための制御を行う。すなわち、SDRAMコントローラ22は、現在データCDの書き込みと過去データPDの読み出しを行うために、SDRAM10ヘのアクセスを行なうアドレスを指定するアドレス信号A、および、SDRAM10ヘの書き込み、もしくは、SDRAM10からの読み出しを指示する制御信号であるコマンドCを生成してSDRAM10に供給する。
【0043】
SDRAMインターフェース20は、現在フレームを構成する現在データCDの入力が開始される以前に、過去フレームを構成する画素のうちの一部の画素の画素値を示す過去データPDをSDRAM10から読み出すように、アドレス信号AおよびコマンドCを生成し、SDRAM10に供給する。これにより、現在データCDの入力が開始される以前に、過去フレームの一部の画素の過去データPDが先読みされる。先読みされた過去データPDは、読み出し用FIFO23に一時的に格納され、現在データCDの入力が開始された後に、読み出し用FIFO23から読み出されて外部に出力される。このために、SDRAMコントローラ22には、垂直同期信号VSYNCと、リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEが入力され、これらの信号にもとづいて決定されるタイミングで、アドレス信号Aおよびコマンド信号CのSDRAM10を生成し、SDRAM10に供給する。SDRAMコントローラ22は、また、書き込み用FIFO21からの読み出しを指示する書き込み用FIFOリードイネーブル信号WF_RE、読み出し用FIFO23への書き込みを指示する読み出し用FIFOライトイネーブル信号RF_WE、ならびに、読み出し用FIFO23のアドレスをクリアするFIFOアドレスクリア信号FACを生成し、それぞれのFIFOに供給する。SDRAMコントローラ22からは、書き込み用FIFO21に対してもアドレスをクリアする信号が供給されるが、図示は省略する。一方、書き込み用FIFO21には、このFIFOへの書き込みを指示する書き込み用FIFOライトイネーブル信号WF_WEが供給される。読み出し用FIFO23には、このFIFOからの読み出しを指示する読み出し用FIFOリードイネーブル信号RF_REが供給される。図2では、書き込み用FIFOライトイネーブル信号WF_WEとしてライトデータイネーブル信号WDEが、読み出し用FIFOリードイネーブル信号RF_REとして、リードデータイネーブル信号RDEが、それぞれそのまま供給される例が示されている。しかし、ライトデータイネーブル信号WDEおよびリードデータイネーブル信号RDEから、それぞれ、書き込み用FIFOライトイネーブル信号WF_WEおよび読み出し用FIFOリードイネーブル信号RF_REを生成する回路を設けることも可能である。例えば、読み出し用FIFOリードイネーブル信号RF_REとしては、読み出し用FIFO23の読み出しレイテンシだけ、リードデータイネーブル信号RDEを遅らせた信号を生成することができる。
【0044】
読み出し用FIFO23には、基準クロックCLKと、基準クロックの2倍の周波数を有する2倍クロックCLK2とが供給されている。図示は省略するが、書き込み用FIFO21にも、基準クロックCLKと2倍クロックCLK2が供給されている。やはり図示を省略するが、SDRAM10には、SDRAMコントローラ22を介して、2倍クロックCLK2が供給されている。基準クロックは、SDRAMインターフェース20に現在データCDが入力され、SDRAMインターフェース20から過去データPDが出力されるクロックである。書き込み用FIFO21への現在データCDの書き込みと、読み出し用FIFO23からの過去データPDの読み出しも、基準クロックCLKを利用して行われる。一方、書き込み用FIFO21からの現在データCDの読み出しおよびSDRAM10への書き込みと、SDRAM10からの過去データPDの読み出しおよび読み出し用FIFO23への書き込みは、2倍クロックCLK2を利用して行われる。
【0045】
図3は、図2に示すSDRAMインターフェースにおけるSDRAM10、ならびに、書き込み用FIFO21および読み出し用FIFO23へのアクセスのタイミングを示す図である。
【0046】
図3には、垂直同期信号VSYNCと、リードデータイネーブル信号RDEと、ライトデータイネーブル信号WDEの波形が示されている。図3に示された例においては、入力フレームデータIFDとともにSDRAMインターフェース20に入力されるデータ有効信号が、そのまま、リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEとして利用されている。従って、リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEは、SDRAMインターフェース20への現在データCDの入力を受けている期間に‘H’レベルになる。より具体的には、リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEは、フレームを構成する各ラインの画素の画素値を示すデータの入力を受けている期間ごとに‘H’レベルになる。
【0047】
図3にはまた、過去データのSDRAM10からの読み出しおよび読み出し用FIFO23への書き込み(過去データ読み出し)と、読み出し用FIFO23からの過去データの読み出しおよびSDRAMインターフェース20からの出力(過去データ出力)が行われる期間と、現在データのSDRAMインターフェース20への入力および書き込み用FIFO21への書き込み(現在データ入力)と、書き込み用FIFO21からの現在データの読み出しおよびSDRAM10への書き込み(現在データ書き込み)とのそれぞれが行われる期間が示されている。過去データ読み出しの期間および過去データ出力の期間は、それぞれ、読み出し用FIFOライトイネーブル信号RF_WEおよび読み出し用FIFOリードイネーブル信号RF_REが読み出し用FIFO21に供給されている期間に対応する。現在データ入力および現在データ書き込みの期間は、それぞれ、書き込み用FIFOライトイネーブル信号WF_WEおよび書き込み用FIFOリードイネーブル信号WF_REが供給されている期間に対応する。
【0048】
図3に示されたように、本実施形態のSDRAMインターフェース20に供給される垂直同期信号VSYNCは、現在データの入力の開始(リードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEの‘H’レベルへの遷移)より前に、立ち下がりエッジを持つ。SDRAMインターフェース20は、この、垂直同期信号VSYNCの‘L’レベルへの遷移を検出して、過去データの一部をSDRAM10から読み出す。具体的には、直前のフレームの最初のラインの、最初から所定の範囲の画素の画素値を示すデータを、SDRAM10から読み出す。そして、所定の範囲(図3に示した例では、最初の32ワード分)の過去データの読み出しを完了した時点で、いったん、過去データのSDRAM10からの読み出しは停止される。このようにSDRAM10から先読みされた過去データは、現在データの入力が開始されるより前の期間では、読み出し用FIFO23に格納されるのみで、読み出し用FIFOからの読み出し(SDRAMインターフェース20からの出力)は行われない。
【0049】
その後、現在データの入力が開始され、リードデータイネーブル信号RDEが‘H’レベルに遷移した後に、再び、過去データのSDRAM10からの読み出しが開始される。ここでの過去データの読み出しは、最初のラインについては、先読みされた32ワード分を除いた、残りのデータ(残データ)について行われる。そして、最初のラインの現在データの入力に対応して、リードデータイネーブル信号RDEが最初に‘H’レベルになっている期間内に、最初のラインの残りの過去データの読み出しに続いて、2つめのラインについても、最初から所定の範囲、すなわち、32ワード分の過去データの読み出し(先読み)が、図3に‘次ライン’と記した期間に行われる。2ライン目以降の現在データの入力に対応して、リードデータイネーブル信号RDEが2回目以降に‘H’レベルになる期間内においても、同様に、対応するラインの残りのデータの読み出しとともに、次のラインの所定の範囲の過去データの先読みが行われる。
【0050】
一方、読み出し用FIFO23からの過去データの読み出し(および、SDRAMインターフェース20からの出力)は、リードデータイネーブル信号RDEの‘H’レベルへの遷移ののち、直ちに開始される。本実施形態においては、リードデータイネーブル信号RDEが‘H’レベルに遷移する時点で、それ以前に先読みされた過去データが読み出し用FIFOに格納されているため、SDRAM10からの過去データ読み出しの開始を待たなくても、読み出し用FIFO23からの過去データの読み出しを開始することができる。厳密には、読み出し用FIFO23からのデータの読み出しの開始にも遅れ時間(レイテンシ)が存在し、本実施形態においても、読み出し用FIFO23の遅れ時間の後に過去データの出力が開始される。しかし、従来技術に比較すると、SDRAM10からの過去データの読み出しが開始されるまでの遅れ時間だけ、過去データの出力開始までの遅延を小さくすることができる。従って、本実施形態のSDRAMインターフェース20を利用してデータ処理装置を構成することにより、現在データの画像処理回路30への入力のタイミングを調整するためのシフトレジスタ40の段数を削減することができる。
【0051】
特に、本実施形態においては、各ラインごとに所定の範囲の過去データの先読みを行うため、1フレームを構成する画素のデータの入力を、それぞれのラインを構成する画素のデータごとに分けて受ける場合であっても、それぞれのラインの過去データの出力開始までの遅延時間を小さくすることができる。
【0052】
また、SDRAMからのデータ読み出し開始までの遅延時間(レイテンシ)は、SDRAMの品種によって異なる。このため、従来の画像処理回路においては、SDRAMのレイテンシに応じて設計変更(シフトレジスタ40の段数の変更)が必要であった。これに対して、本実施形態のSDRAMインターフェース20では、SDRAM20のレイテンシによらず、一定の遅延時間で、過去データの出力を開始することができる。このため、SDRAM20のレイテンシに応じた設計変更が不要である。
【0053】
なお、現在データについては、図3に示されたように、ライトデータイネーブル信号WDEの‘H’レベルの遷移と同時に、書き込み用FIFO21への書き込みが開始される。そして、次のラインの所定の範囲の過去データのSDRAM10からの読み出しを終えてから、現在データの書き込み用FIFOからの読み出し、および、SDRAM10への書き込みが行われる。すなわち、各ラインに対応してリードデータイネーブル信号RDEおよびライトデータイネーブル信号WDEが‘H’レベルになっている期間内の前半において、過去データのSDRAM10からの読み出しが行われ、後半において、現在データのSDRAM10への書き込みが行われる。このように、各ラインの現在データが入力されている期間内での、SDRAM10からの過去データの読み出しおよび現在データの書き込みを可能にするために、SDRAM10へのデータの書き込みおよびSDRAM10からのデータの読み出しは、2倍クロックCLK2を利用して行う。厳密には、SDRAM10からの読み出し、および、SDRAM10への書き込みの開始に遅延時間が必要であるため、現在データのSDRAM10への書き込みは、ライトデータイネーブル信号WDEが‘H’レベルである期間内(現在データの入力を受けている期間内)には終了せず、ライトデータイネーブル信号WDEが‘L’レベルに遷移した後の期間(ライン間のブランキング期間)にも及んでいる。
【0054】
図4は、垂直同期信号の立ち下がりエッジ付近のタイミングを示す図である。
【0055】
図4には、2倍クロックCLK2、基準クロックCLK、垂直同期信号VSYNC、および、リードデータイネーブル信号RDEの波形が示されている。ただし、リードデータイネーブル信号RDEは図示された期間内において‘L’レベルを保つ。図4にはまた、SDRAMコントローラ22が生成する制御信号(SDRAMコマンドC)およびアドレス信号(SDRAMアドレスA)、ならびに、SDRAMコントローラ22が生成して読み出し用FIFO23に供給するFIFOアドレスクリア信号FACが示されている。図4にはさらに、読み出し用FIFO23の書き込みアドレス、SDRAM10から読み出されるデータ(SDRAM読み出しデータ)、および、読み出し用FIFO23から読み出されるデータ(読み出し用FIFO読み出しデータ)が示されている。
【0056】
垂直同期信号VSYNCの‘L’レベルへの遷移を検出すると、SDRAMコントローラ22は、図4に示す‘読み出し準備’期間内に、読み出しを指示するコマンドを生成しSDRAM10に供給する。同時に、SDRAMコントローラ22は、アドレス生成のために設けられた図示しないアドレスカウンタを初期アドレス(0)にクリアし、この初期アドレスを、ロウアドレスとカラムアドレスとに分けて、SDRAM22に供給する。具体的には、まず、アクティブコマンドを供給するとともにロウアドレスを供給し、所定の時間の経過後に、リードコマンドを供給するとともにカラムアドレスを供給する。これにより、SDRAM10からの過去データの読み出しが開始され、所定の遅延時間の後に、アドレス0に記憶されていたデータD0が読み出される。それに続いて、アドレス1,2,3…に記憶されていたデータD1,D2,D3…がSDRAM10から読み出される。
【0057】
ここで、SDRAM10には、初期アドレス(0)のアドレス信号Aのみが供給され、それ以降のアドレスのアドレス信号Aは供給されない。そして、供給されたアドレス信号Aの初期アドレス(0)から所定範囲(32ワード分の範囲)がバースト読み出し(最初のアドレスを指定するのみで、それ以降の指定した範囲の連続したアドレスからクロックに同期して順番にデータを読み出す方式)される。その後、読み出しは一旦停止され、次のフレームのデータの入力の開始(リードデータイネーブル信号RDEが‘H’レベルになる)を待つこととなる。尚、所定範囲のデータがバースト読み出しされる間、アドレスカウンタは、2倍クロックCLK2をカウントし、1〜31のアドレスを生成する。このアドレスはSDRAM10に供給されることはないものの、アドレスカウンタを所定範囲の最後(31)にしておくことにより、所定範囲の次のデータを読み出すときのアドレス生成が容易になる。
【0058】
また、このSDRAMコントローラ22は、垂直同期信号VSYNCの‘L’レベルへの遷移を検出すると、読み出し用FIFO23のアドレスを初期アドレスにクリアするためのFIFOアドレスクリア信号(FAC)を出力する。即ち、読み出し用FIFO23のアドレスも、垂直同期信号VSYNCの次のクロックでクリアされる。そして、SDRAM10から読み出されたデータ(過去データPD)がアドレス0から順に、読み出し用FIFO23に格納される。
【0059】
なお、リードデータイネーブル信号RDEが‘L’レベルである期間内において、読み出し用FIFO23からのデータの読み出しを指示する読み出し用FIFOリードイネーブル信号RF_REの生成は行われない。従って、SDRAM10からの読み出したデータD0〜D31は、図4に示された期間内においては、読み出し用FIFO23に格納されたままの状態で、リードデータイネーブル信号RDEの‘H’レベルへの遷移、すなわち、現在データの入力の開始を待つ。
【0060】
上述した垂直同期信号VSYNCを検知したクリア動作を行なう回路は、単に初期アドレスにクリアする回路であるため、簡単な回路構成で済む。従って、大きな追加回路を必要とせず、容易に実現することができる。また、本実施形態では、あるフレームの期間においてノイズ等の影響で誤動作があったとしても、フレームごとにクリア動作されるため、安定した動作を得ることができる。
【0061】
図5は、リードデータイネーブル信号RDEの立ち上がりエッジ付近のタイミングを示す図である。
【0062】
図5には、図4と同一の信号が示されている。ただし、垂直同期信号VSYNCは、図示された期間内において立ち下がりエッジを持たない。
【0063】
リードデータイネーブル信号RDEの‘H’レベルへの遷移を検出すると、SDRAMコントローラ22は、読み出し用FIFO23からの過去データの読み出しを指示する読み出し用FIFOリードイネーブル信号RF_REを生成し、読み出し用FIFO23に供給する。これにより、所定の遅延時間の後に、読み出し用FIFO23に格納されていたデータが、D0からの順に読み出され、出力される。ここで、読み出し用FIFO23には、図4に示された、垂直同期信号VSYNCの立ち下がりエッジに続く期間内において、SDRAM10からの読み出された所定の範囲(32ワード)の過去データが格納されている。従って、リードデータイネーブル信号RDEの立ち上がり後には、直ちに、読み出し用FIFO23からの過去データの読み出しの指示を行うことが可能である。これにより、短い遅延時間で、過去データPDの出力を開始することができ、画像処理装置1を構成するシフトレジスタ40の段数を削減することができる。
【0064】
このように、リードデータイネーブル信号RDEの立ち上がり後には、読み出し用FIFO23からの過去データの読み出しが開始されるとともに、SDRAM10からの過去データの読み出し、および、読み出し用FIFO23への書き込みも開始される。すなわち、図4に示した垂直同期信号VSYNCの立ち下がりエッジ後の動作と同様に、SDRAMコントローラ22は、リードデータイネーブル信号RDEの‘H’レベルへの遷移を検出して、コマンドCおよびアドレスAを生成し、SDRAM10に供給する。ただし、リードデータイネーブル信号RDEの立ち上がり後においては、アドレスカウンタ(図4に示した期間内において、所定の範囲の最後アドレスである31に到達している)のクリアは行わず、1を加算して、次のアドレスである32を生成し、SDRAM10に供給する。これにより、次のアドレスに記憶されたデータD32から順に、SDRAM10からの過去データの読み出し、および、読み出し用FIFO23への書き込みが行われる。図示は省略されているが、この段階でのSDRAM10からの過去データの読み出しおよび読み出し用FIFO23への書き込みは、1ライン分のデータが読み出され、書き込まれるまで継続される。すなわち、図4に示された範囲で読み出した所定の範囲(最初の32ワード)を除いた、同一ラインの残りのデータと、次のラインの所定の範囲(最初の32ワード)のデータがSDRAM10から読み出され、読み出し用FIFO23に書き込まれる。この間、アドレスカウンタは2倍クロックCLK2のカウントによるアドレスの生成を継続する。図4に示した期間と同様に、図5に示した期間においてもSDRAM10からのバースト読み出しが行われる。このため、生成したアドレスの全てをSDRAM10に供給する必要はない。しかし、1ライン分のデータをバースト読み出しすることはできないので、SDRAMコントローラ22は、必要なタイミングでSDRAM10にアドレスを供給する。SDRAMコントローラ22は、これとともに、コマンドCを生成し、必要なタイミングでSDRAM10に供給する。この動作は、最初のアドレス(32)が異なることを除けば、従来、各ラインのデータの読み出しにおいて行なわれている動作(各ラインの最初から最後までのデータの読み出し)と同一であり、追加回路を必要とせず、実現することができる。本実施形態では、この、所定の範囲の次のアドレスから1ライン分(次のラインの所定の範囲まで)の読み出しを、最後のラインまで行なう。このときに、最後のラインの残りのデータの読み出しに続いて、次のフレームの最初のラインの所定の範囲までのデータが読み出され、読み出し用FIFO23に格納される。しかし、ここで読み出されて格納された最初のラインのデータは利用することができない。すなわち、次のフレームのデータ入力前の垂直同期信号VSYNCによって、SDRAM10および読み出し用FIFO23のアドレスがクリアされ、最初のラインの所定の範囲までのデータのSDRAM10からの読み出し、および読み出し用FIFO23への格納が再び行なわれる。例えば、読み出したライン数をカウントするカウンタ、および、各ラインで読み出しを行なった回数(クロック数)をカウントするカウンタを設け、最後のラインの最後の画素のデータの読み出しが完了したタイミングに達したことを検知するとともに、検知したときに読み出しを停止する回路を追加すれば、最初のラインの無駄な読み出しを行なわないようにすることができる。しかし、本実施形態では、無駄な読み出しを許容して回路規模を小さく抑えている。
【0065】
一方、垂直同期信号VSYNCを検知したアドレスカウンタ(SDRAM読み出しアドレス(A))のクリア、および、それに続く最初のラインの所定の範囲のデータの読み出しを行なわずに、直前のラインにおける最後のラインのデータの読み出しに続いて読み出した、次のフレームの最初のラインの所定の範囲のデータを利用することもできる。この場合、例えば、上記のように、読み出したライン数をカウントするカウンタ、および、各ラインで読み出しを行なった回数(クロック数)をカウントするカウンタを設け、最後のラインの最後の画素のデータの読み出しが完了したタイミングに達したことを検知した時点で、アドレスカウンタをクリアする。クリアの後、(読み出し準備が完了してから)最初のラインの所定の範囲のデータをSDRAM10から読み出し、読み出し用FIFO23に格納する。垂直同期信号VSYNCを検知したクリアを行なわない場合、最初のフレームのデータが入力されている期間内に行なわれる読み出しは、正しいアドレスからは行なわれない。しかし、次のフレームのデータが入力されている期間に、直前のフレームの最後のラインの最後の画素のデータの読み出しが完了したタイミングに達した(正しいアドレスからの読み出しが行なわれていないので、実際に、最後の画素のデータの読み出しが完了したとは限らない)ことを検知してクリアすることにより、次のフレームからは、正しいアドレスから読み出すことができる。もともと、最初に、即ちSDRAM10へのデータ書き込みがまだ行なわれていない状態で行なう読み出しでは、意味のあるデータを読み出すことはできないので、最初に正しいアドレスから読み出すことができなくても、問題はない。
【0066】
図6は、比較例の、リードデータイネーブル信号の立ち上がり付近のタイミングを示す図である。
【0067】
ここでは、リードデータイネーブル信号RDEが‘L’レベルから‘H’レベルに遷移したことを受けて、SDRAMからの過去データPDの読み出し準備が開始される。すなわち、アドレスAとして初期アドレス(0)がSDRAM10に供給されるとともに、コマンドCが供給される。また、読み出し用FIFOのアドレスを初期アドレスにクリアするためのFIFOアドレスクリア信号FACが供給される。これを受けて、SDRAMから過去データ(D0,D1,…)が所定時間だけ遅れて順次出力されて読み出し用FIFOに格納される。そして、さらに所定時間だけ遅れて読み出し用FIFOから過去データ(D0,D1,…)として読み出され、出力される。従って、この比較例では、リードデータイネーブル信号RDEの立ち上がりエッジから起算したレイテンシは大きい。このように大きなレイテンシの分だけ現在データを遅延させるためには、回路規模の大きなシフトレジスタ40が必要とされる。
【0068】
以上、実施形態の一例に沿って本発明のメモリ制御装置および画像処理装置の説明を行った。上記の実施形態では、それぞれのフレームの画素の画素値のデータとともに入力されるデータ有効信号を、そのまま、ライトデータイネーブル信号WDEおよびリードデータイネーブル信号RDEとして利用した。従って、リードデータイネーブル信号RDEとライトデータイネーブル信号WDEとが同時に‘H’レベルになり、これらの信号が‘H’レベルである期間内に、現在データCDがSDRAMインターフェース20に入力される。しかし、画像処理装置の構成によっては、互いに異なるタイミングで‘H’レベルになるリードデータイネーブル信号RDEとライトデータイネーブル信号WDEを利用する場合もある。
【0069】
例えば、本発明のSDRAMインターフェース20は、書き込み用FIFO21の前段に圧縮処理を行う回路を設け、読み出し用FIFO23の後段に伸長処理を行う回路を設けた構成にすることができる。そして、入力された現在データに対して圧縮処理を行ってから、書き込み用FIFO21を介してSDRAM10に格納し、過去データを読み出し用FIFO23を介して読み出した後で、伸長処理を行ってから、画像処理装置に入力することができる。この場合、入力された現在データは、圧縮回路での処理に必要な時間だけ遅れて書き込み用FIFO21に到達する。従って、データ有効信号をこの遅れ時間だけ遅延させて、ライトデータイネーブル信号WDEとして利用することができる。一方、リードデータイネーブル信号RDEとしては、データ有効信号をそのまま利用することができる。なお、この場合にも、入力された現在データは、圧縮処理を行うことなく、シフトレジスタ、もしくはその他の遅延回路に入力され、必要な時間だけ遅延させてから、画像処理装置に入力される。すなわち、圧縮処理を行う回路を書き込み用FIFO21の前段に設ける場合と設けない場合とのいずれであっても、遅延回路には、SDRAMインターフェースへの現在データの入力が開始されるのと同時に、現在データの入力が開始される。
【符号の説明】
【0070】
1 画像処理装置
10 SDRAM
20 SDRAMインターフェース
30 画像処理回路
40 シフトレジスタ
21 書き込み用FIFO
22 SDRAMコントローラ
23 読み出し用FIFO

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレームのそれぞれを構成する画素の画素値を示すデータの入力を、該フレームの順番に受け、次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータをフレームメモリに書き込むとともに、該フレームメモリにすでに書き込まれた直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータを読み出し、読み出し用FIFOを経由して出力するために、該フレームメモリヘのアクセスを行うアドレスを指定するアドレス信号、および、該フレームメモリヘの書き込み、もしくは、該フレームメモリからの読み出しを指示する制御信号を生成して該フレームメモリに供給するメモリインターフェースにおいて、
前記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始される以前に、前記直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータのうちの第1の範囲のデータを前記フレームメモリから読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成して該フレームメモリに供給し、該フレームメモリから読み出したデータを前記読み出し用FIFOに保持し、
前記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始されたときに、前記読み出し用FIFOに保持されたデータの出力を開始するとともに、前記直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータのうちの前記第1の範囲に続く範囲のデータの読み出しを指示するアドレス信号および制御信号を生成して該フレームメモリに供給し、該フレームメモリから読み出したデータを前記読み出し用FIFOに保持することを特徴とするメモリインターフェース。
【請求項2】
前記それぞれのフレームが複数のラインで構成されており、該複数のラインのそれぞれのラインを構成する複数の画素の画素値を示すデータの入力を、該ラインの順番に受け、
前記次のフレームのそれぞれのラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始されたときに、前記読み出し用FIFOに保持されたデータの出力を開始するとともに、前記直前のフレームの同一のラインを構成する複数の画素の画素値を示すデータのうちの、前記第1の範囲のデータを除く残りのデータの読み出しを開始し、該それぞれのラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力を受けている期間内に、該残りのデータと、前記直前のフレームの次のラインの画素の画素値を示すデータのうちの前記第1の範囲のデータとを、もしくは、最後のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力を受けている期間内には、前記次のフレームの最初のラインの画素の画素値を示すデータのうちの前記第1の範囲のデータとを、読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成し、前記フレームメモリに供給し、該フレームメモリから読み出したデータを前記読み出し用FIFOに保持することを特徴とする請求項1記載のメモリインターフェース。
【請求項3】
前記複数のラインのそれぞれを構成する複数の画素の画素値を示すデータが入力されるときに有効となるイネーブル信号の入力を受け、該イネーブル信号が有効になったときに、前記読み出し用FIFOに保持されたデータの出力を開始するとともに、前記アドレス信号および制御信号の生成と前記フレームメモリへの供給を開始することを特徴とする請求項2記載のメモリインターフェース。
【請求項4】
前記次のフレームのさらに次のフレームの複数のラインのうちの最初のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始されたときに、前記次のフレームの最後のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力を受けている期間内に読み出し、前記読み出し用FIFOに保持したデータの出力を開始することを特徴とする請求項2または3記載のメモリインターフェース。
【請求項5】
フレームメモリと、
複数のフレームのそれぞれを構成する画素の画素値を示すデータの入力を、該フレームの順番に受け、次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータを前記フレームメモリに書き込むとともに、該フレームメモリにすでに書き込まれた直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータを読み出し、読み出し用FIFOを経由して出力するために、該フレームメモリヘのアクセスを行うアドレスを指定するアドレス信号、および、該フレームメモリヘの書き込み、もしくは、該フレームメモリからの読み出しを指示する制御信号を生成して該フレームメモリに供給するメモリインターフェースと、
前記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータと、前記メモリインターフェースが前記フレームメモリから読み出して出力した直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータとの入力を受け、両データに基づいた処理を行う画像処理回路とを備えた画像処理装置において、
前記メモリインターフェースが、
前記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始される以前に、前記直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータのうちの第1の範囲のデータを前記フレームメモリから読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成して該フレームメモリに供給し、該フレームメモリから読み出したデータを前記読み出し用FIFOに保持し、
前記次のフレームを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始されたときに、前記読み出し用FIFOに保持されたデータの出力を開始するとともに、前記直前のフレームを構成する画素の画素値を示すデータのうちの前記第1の範囲に続く範囲のデータの読み出しを指示するアドレス信号および制御信号を生成して該フレームメモリに供給し、該フレームメモリから読み出したデータを前記読み出し用FIFOに保持することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
前記それぞれのフレームが複数のラインで構成されており、
前記メモリインターフェースが、
該複数のラインのそれぞれのラインを構成する複数の画素の画素値を示すデータの入力を、該ラインの順番に受け、
前記次のフレームのそれぞれのラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始されたときに、前記読み出し用FIFOに保持されたデータの出力を開始するとともに、前記直前のフレームの同一のラインを構成する複数の画素の画素値を示すデータのうちの、前記第1の範囲のデータを除く残りのデータの読み出しを開始し、該それぞれのラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力を受けている期間内に、該残りのデータと、前記直前のフレームの次のラインの画素の画素値を示すデータの内の前記第1の範囲のデータとを、もしくは、最後のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力を受けている期間内には、前記次のフレームの最初のラインの画素の画素値を示すデータのうちの前記第1の範囲のデータとを、読み出すように、アドレス信号および制御信号を生成し、前記フレームメモリに供給し、該フレームメモリから読み出したデータを前記読み出し用FIFOに保持することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記メモリインターフェースが、前記複数のラインのぞれぞれを構成する複数の画素の画素値を示すデータが入力されるときに有効となるイネーブル信号の入力を受け、該イネーブル信号が有効になったときに、前記読み出し用FIFOに保持されたデータの出力を開始するとともに、前記アドレス信号および制御信号の生成と前記フレームメモリへの供給を開始することを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記メモリインターフェースが、前記次のフレームのさらに次のフレームの複数のラインのうちの最初のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力が開始されたときに、前記次のフレームの最後のラインを構成する画素の画素値を示すデータの入力を受けている期間内に読み出し、前記読み出し用FIFOに保持したデータの出力を開始することを特徴とする請求項6または7記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−101356(P2013−101356A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−269728(P2012−269728)
【出願日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【分割の表示】特願2008−9203(P2008−9203)の分割
【原出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(501285133)川崎マイクロエレクトロニクス株式会社 (449)
【Fターム(参考)】