説明

メモリタグ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】画像形成装置に着脱可能な部品に取り付けられたメモリタグに、簡単な構成で、ばね材による電気的接続ができるようにすることである。
【解決手段】画像形成装置の装置本体部と着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、感光体ドラム30は回転軸40の周りに回転し、メモリタグ50は、この回転するフランジ44に取り付けられる。メモリタグ50は、メモリICを備え、メモリICと接続して略半球状のタグ側接点部60が設けられる。装置本体部には、先端部74が折れ曲がるばね材からなる本体側接点部70が設けられ、その先端部はフランジ44と近接している。感光体ドラム30が回転すると、タグ側接点部60の略半球状の盛り上がりに、本体側接点部70の先端部74が乗り上げつつ面接触し、メモリICと本体側接点部70との間が導通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリタグ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に係り、特に、接点の接触を用いて画像形成装置本体側と電気的に接続されるメモリタグと、そのメモリタグを備えるプロセスカートリッジと、そのプロセスカートリッジを着脱可能に装着する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成プロセスを用いる複写機等の電子写真画像形成装置においては、一様に帯電させた感光体ドラムと呼ばれる電子写真感光体に選択的な露光をして静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで顕像化するとともに、このトナー像を記録媒体に転写して画像記録を行う。このような装置にあっては長期間使用すると電子写真感光体が削れること等の消耗が起こる。この交換を容易にするため、電子写真感光体をカートリッジ化し、あるいはその周辺の帯電装置、現像装置、クリーニング装置等も含めてプロセスカートリッジとすることが行われる。
【0003】
これらのカートリッジが消耗され、やがて交換時期になると消費者等により取外され、新しい電子写真感光体のカートリッジに交換される。このように交換可能な消耗部品には、その消耗部品の履歴等をトレースするために、画像形成装置と交信可能なメモリモジュールが取り付けられることがある。例えば、このメモリモジュールに、その電子写真感光体の仕様等を記憶させておけば、カートリッジの交換の際に、複写機の仕様に合うものかどうかが判別でき、複写機の性能を保証できる。また、交換後に回収・リサイクルを行うときも、その電子写真感光体カートリッジの仕様等が読み出せるので、正しく回収・リサイクルを行うことができる。また、消費者の使用状況を記憶するようにすれば、それを読み出すことで故障解析等を容易に行うことができ、また消費者の消費動向等のデータを収集できるので、サービス向上に役立てることができる。
【0004】
このようなメモリモジュールとしては、基板に書き換え可能な不揮発性メモリを配置したもの、あるいはこれらを樹脂封止したもの、さらにプラスチックケースに収めたもの等を用いることができる。これらは、例えば15〜30mm角で、厚さが数mm程度と小型のタグ状にすることができ、メモリタグ等と呼ばれることがある。
【0005】
カートリッジに搭載されたメモリタグと、画像形成装置本体とを電気的に接続するための手段としては、コネクタやばね材による接点を用いて接続する接触式のもの、発行素子・受光素子を用いて光通信を行うものやアンテナを用いて無線通信を行うもの等の非接触式のものがある。ばね材による電気的接点部を用いる接触式の電気接続手段は、一般的に構成が簡単でコストが低いと考えられている。
【0006】
例えば、特許文献1には、プロセスカートリッジに取り付けられるメモリタグと、メモリタグの接点部と接触する本体側のコネクタの組み合わせが開示される。ここでは、プロセスカートリッジの感光体ドラムを覆う筐体であるドラム枠体の上部面に装着部を設け、そこにメモリタグが取り付けられる。メモリタグは、中央に記憶素子を、その両側にそれぞれ接点部を、そのさらに外側の両側にそれぞれ本体側のコネクタを突き当てるための突き当て部を、プリント基板上に配置した札状部材である。ここで、接点部は、プリント基板の銅箔面にNiめっきを施し、さらに金めっきを行った積層膜である。本体側のコネクタは、弾性部材であるりん青銅等の金属ばね材料からなる電気接点を有し、この電気接点は、基部がコネクタに固設され、先端部は折曲されている。
【0007】
つまり、特許文献1においては、メモリタグの積層膜の接点部と、本体側コネクタの先端が折曲する弾性板ばね材の電気接点とは、接触により、弾性板ばね材の先端で、積層膜の接点部の表面を0.5〜2mm程度変位してワイピングし、導通を確保するようにしている。このワイピングを安定して行うために、コネクタの突き当てをメモリタグの最外側両端の突き当て部を用いて行い、コネクタの電気接点は、メモリタグの両接点部のそれぞれ2つずつ設けられる。
【0008】
また、特許文献2には、特許文献1と同様なメモリタグを用い、本体側コネクタをメモリタグにスムーズに接触させるために、コネクタの移動のための案内となる突き出しリブを設けることが開示される。
【0009】
【特許文献1】特開2003−330335号公報
【特許文献2】特開2004−37876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ばね材による電気的接点部を用いる接触式の電気接続手段は、一般的に構成が簡単でコストが低いと考えられているが、特許文献1、2における構成は複雑で、高価なものとなっている。すなわち、メモリタグは、記憶素子の配置スペースの他に、2つの接点部のスペースと、2つの突き当て部のスペースを要し、寸法が大きくなる。また、本体部のコネクタも、2つの電気接点と、2つの突き当て部を必要とし、複雑な構成とともに大型となる。
【0011】
また、特許文献1、2においては、メモリタグの接点部をワイピングしてその後固定接触を取るので、メモリタグは、プロセスカートリッジの固定位置に設ける必要がある。したがって、例えば回転軸周りに回転する位置にはメモリタグを配置できない等、メモリタグの配置場所に制約がある。
【0012】
本発明の目的は、簡単な構成で、ばね材による電気的接続を可能とするメモリタグ、そのメモリタグと、そのメモリタグを備えるプロセスカートリッジと、そのプロセスカートリッジを着脱可能に装着する画像形成装置とを提供することである。特に、本発明の目的は、回転軸周りに回転する部品に、簡単な構成で、ばね材による電気的接続を可能として設けられるメモリタグと、そのメモリタグを備えるプロセスカートリッジと、そのプロセスカートリッジを着脱可能に装着する画像形成装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るメモリタグは、画像形成装置本体に着脱可能でかつ回転軸周りに回転する部品に設けられるメモリタグであって、前記部品の回転する部分に取り付けられるタグ枠体と、前記タグ枠体に載置され、前記プロセスカートリッジに関する情報を記憶するメモリと、前記メモリと接続して前記タグ枠体の表面に配置され、前記画像形成装置本体側に設けられる本体側接点部と接触して前記メモリと前記画像形成装置本体側との間を導通し、略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形を有するタグ側接点部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るメモリタグは、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジに設けられるメモリタグであって、前記プロセスカートリッジの回転する部分に取り付けられるタグ枠体と、前記タグ枠体に載置され、前記プロセスカートリッジに関する情報を記憶するメモリと、前記メモリと接続して前記タグ枠体の表面に配置され、前記画像形成装置本体側に設けられる本体側接点部と接触して前記メモリと前記画像形成装置本体側との間を導通し、略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形を有するタグ側接点部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るプロセスカートリッジは、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記画像形成装置本体側と交信可能なメモリタグを有し、前記メモリタグは、前記プロセスカートリッジの回転する部分に取り付けられるタグ枠体と、前記タグ枠体に載置され、前記プロセスカートリッジ及び前記画像形成装置本体に関する情報を記憶するメモリと、前記メモリと接続して前記タグ枠体の表面に配置され、前記画像形成装置本体側に設けられる本体側接点部と接触して前記メモリと前記画像形成装置本体側との間を導通し、略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形を有するタグ側接点部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、画像形成装置本体との間でプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置であって、前記プロセスカートリッジに設けられるメモリタグと、前記画像形成装置本体側に設けられ、前記メモリタグと接触する本体側接点部と、を有し、前記メモリタグは、前記プロセスカートリッジの回転する部分に取り付けられるタグ枠体と、前記タグ枠体に載置され、前記プロセスカートリッジ及び前記画像形成装置本体に関する情報を記憶するメモリと、前記メモリと接続して前記タグ枠体の表面に配置され、前記画像形成装置本体側に設けられる本体側接点部と接触して前記メモリと前記画像形成装置本体側との間を導通し、略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形を有するタグ側接点部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記構成によれば、メモリタグは、タグ枠体に、メモリと、メモリに接続されるタグ側接点部が配置され、タグ側接点部は、略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形を有する。したがって、本体側の接点部は、従来からよく用いられるばね材を用いても、タグ側接点部の盛り上がった略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形に、倣ってスムーズに接触することができる。このときの接触は、本体側の接点部がばね材、例えば板ばね状としても、略半球状外形に面で接触することができ、従来例のように、回路基板上の導体層の上をワイピングするときの線接触に比べ、接触を安定して行うことができる。特に、部品の回転軸周りに回転する部分にメモリタグを設ける場合に、タグ側接点部の盛り上がった略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形に、倣いながらスムーズに移動しつつ面接触することができる。
【0018】
このように本発明に係るメモリタグと、プロセスカートリッジと、画像形成装置によれば、簡単な構成で、ばね材による電気的接続が可能となり、特に、回転軸周りに回転する部品に設けられるメモリタグについて、簡単な構成で、ばね材による電気的接続が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態に付き詳細に説明する。以下において、本発明に係るメモリタグが取り付けられる部品として、複写機におけるプロセスカートリッジの中の感光体ドラムを取り上げるが、感光体ドラム単体に適用されるものとしてもよい。また、感光体ドラム以外であっても、回転軸周りに回転する部品であれば、その回転部品に保持具が取り付けられるものとすることができる。また、プロセスカートリッジは、感光体ドラムの他、帯電ローラ、現像手段、クリーニング手段を含むものとして説明するが、感光体ドラムを含んでいればよく、これらをすべて含まなくてもよい。また、これら以外の要素、例えば電源等を含んでもよい。
【0020】
また、以下では、メモリモジュールとしてメモリタグを用いる場合について説明する。市場においてメモリタグと呼ばれるものは様々なものがあるが、以下においてメモリタグの語は、電気的に書き換え可能なメモリデバイスを含み、外部との交信により、メモリデバイスのデータを読み書きできるものを広くさすものとする。
【0021】
図1は、電子写真複写機である画像形成装置10の構成を示す図である。画像形成装置10は、装置本体部12と、これに着脱可能に設けられるプロセスカートリッジ20を含む。プロセスカートリッジ20は、感光体ドラム30を含む電子写真の画像形成を行う主要要素をまとめてカートリッジ化したものである。装置本体部12には、さらに、感光体ドラム30に露光するための露光光学系14、紙等の画像転写媒体を搬送する搬送系16、未使用の紙等を収納するストッカー18が備えられる。
【0022】
プロセスカートリッジ20は、装置本体部12に交換可能に組み込まれるもので、カートリッジ筐体22の内部に電子写真画像形成を行う各要素が収納される。カートリッジ筐体22の一部には露光部24が設けられ、内部には、感光層を有する感光体ドラム30と、感光体ドラム30の表面を帯電させる帯電ローラ32と、露光部24からの光像によって感光体ドラム30上に形成される静電潜像を現像して可視像化したトナー像とする現像手段34と、トナー像を転写ローラ等で記録媒体に転写した後感光体ドラム30に残留するトナーを除去するクリーニング手段36とが収納される。
【0023】
プロセスカートリッジ20に関する情報を記憶するメモリタグは、装置本体部12と交信しやすいように、プロセスカートリッジ20の外側に向いたところに設けられるのが好ましい。感光体ドラム30は、帯電−露光−現像−転写−クリーニング等の電子写真画像形成工程を効率的に繰り返し行えるよう、回転軸の周りに回転する。メモリタグは、この感光体ドラム30の回転する端面に設けられる。
【0024】
図2は、回転軸40の周りに回転する感光体ドラム30を示す図である。感光体ドラム30は、外径が例えば30〜40mmのアルミニウム製のシリンダの上に有機感光体が塗布されたものである。シリンダの長手方向両端面にはポリアセタール等の潤滑性のよい樹脂でできたフランジ42,44がはめ込まれる。フランジ42,44の中心部には、図示されていないが金属製の軸が感光体ドラム30の回転中心軸として貫通するための開口46が設けられる。
【0025】
メモリタグ50は、この一方側のフランジ44に取り付けられる。感光体ドラム30は、帯電、現像等の過程で交流電圧が印加され、これによるノイズがメモリタグ50の無線交信に影響を与えることがあるので、メモリタグ50が取り付けられる側のフランジ44は、帯電、現像等と接続される部位から遠い側のフランジであることが好ましい。
【0026】
メモリタグ50は、この回転軸40回りに回転するフランジ44に固定して取り付けられるので、メモリタグ50もまた回転軸40回りに回転する。メモリタグ50は、装置本体部12に固定されて設けられる本体側接点部70と、接触により導通をとるが、その導通は、回転するメモリタグ50がちょうど本体側接点部70と向かい合い、そこで接触している間に行われる。
【0027】
図3は、メモリタグ50の平面図及び側面断面図である。メモリタグ50は、概略矩形形状の電子部品搭載回路モジュールであり、タグ枠体52の中にメモリIC54が配置される。タグ枠体52は、メモリIC54が配置される回路基板56を基体とし、回路基板56の一方側にメモリIC54が搭載され、これを保護するために樹脂封止部58が設けられる。タグ枠体52のメモリIC54が配置される反対側には、略半球状のタグ側接点部60が設けられる。タグ側接点部60は、メモリIC54における装置本体部12と交信するための端子と接続される。
【0028】
メモリIC54は、電気的に書き換え可能で、不揮発性の記憶素子を含むICチップで、適当な構造のEEPROM等を用いることができる。回路基板56は、両面配線基板で、適当なガラスエポキシ基板等を用いることができる。メモリIC54とタグ側接点部60の接続は、スルーホール配線等を用いて行うことができる。樹脂封止部58は、枠を用いた樹脂ポッティングで形成することができる。あるいは、回路基板56を含めて樹脂成形により樹脂ケース体のタグ枠体としてもよい。樹脂としては、例えば半導体素子用途のエポキシ樹脂等を用いることができる。寸法の一例を述べると、回路基板56は厚みが約0.4mmで、各辺が約15〜30mmの矩形形状を有する。メモリIC54は、厚みが約0.9mmで、その大きさは縦横ともそれぞれ数mm程度である。タグ枠体52全体の厚みは、2〜3mm程度とすることができる。なお、これらの数値は、あくまで説明のための一例に過ぎず、これ以外のものであってもよい。
【0029】
タグ側接点部60は、装置本体部12側に設けられる本体側接点部70と接触してメモリIC54と装置本体部12側に設けられる図示されていない制御部とを接続する機能を有する接点である。具体的には、金属等の導体からなる略半球状外形のものである。かかるタグ側接点部60は、半田ボールや金ボール等の導体ボールを、回路基板56上の接続端子にはんだ付け等で接続し、必要があれば適当な外形形状に整えることで得ることができる。なお、上記のように、回路基板上の接続端子は、メモリIC54の端子と、基板配線等で接続されている。タグ側接点部60の大きさは、本体側接点部70との接触の具合により適当に定めることができる。例えば、半径が3〜5mm程度の半球状とすることができる。もちろんこれと異なる大きさでもよい。より大きな形状とするときは、例えばコア部分をプラスチック等で形成し、表面に適当な厚みの導体層を塗布やめっき等で形成したものを用いてもよい。
【0030】
略半球状の形状に代えて、滑らかな表面盛り上がり形状のタグ側接点部としてもよい。図4は、円弧形状の一部を含む断面形状のタグ側接点の例で、図4(a)は、円弧断面形状のタグ側接点部62を示し、図4(b)は、頂部が平坦で、斜面が円弧形状の一部で構成される外形のタグ側接点部64を示す図である。かかる外形のタグ側接点部62,64は、そのような外形の導体を予め作って、タグ枠体52に取り付けてもよいが、図3で説明した略半球状形状を押しつぶし、あるいは半田ボールのときは加熱流動させて形状を整えることで得ることもできる。
【0031】
再び図2に戻り、本体側接点部70は、タグ側接点部60と接触してメモリIC54と装置本体部12側に設けられる図示されていない制御部とを接続する機能を有する接点部材である。具体的には、装置本体部12に固定される根元部72と、折れ曲がりを有する先端部74からなる金属板である。この折れ曲がりにより、先端部74は、外力に対し適当な弾力を有する。かかる本体側接点部70は、りん青銅等の導電性を備え、弾力のある金属板を適当な幅の細長い板に切断し、これに適当な形状の曲げ加工を施すことで得ることができる。先端部74に金めっき等の適当な表面処理を行ってもよい。
【0032】
図2では、説明のために、本体側接点部70と感光体ドラム30のフランジ44とは離して図示してある。実際には、本体側接点部70と感光体ドラム30のフランジ44とはかなり接近して配置される。その配置は、次の条件を満たすように行われる。すなわち、感光体ドラム30が回転して本体側接点部70とタグ側接点部60が対向する関係になったときには、本体側接点部70の先端部74の折れ曲がりがタグ側接点部60の略半球状の盛り上がりに乗り上げて接触すること、及びタグ側接点部60が本体側接点部70と対向していないときには、本体側接点部70の先端部74の折れ曲がりは、フランジ44に接触せず、空中の自由端となることである。
【0033】
なお、プロセスカートリッジ20を装置本体部12に挿入するときに、フランジ44と本体側接点部70との間で予期しない接触が起こることを避けるため、本体側接点部70を適当な可動台に取り付け、可動台をプロセスカートリッジ20の着脱にあわせフランジ44側に対し出退自在とする構成をとることができる。この場合には、プロセスカートリッジ20が装置本体部12より外されているとき、本体側接点部70は図2のようにフランジ44から十分離れており、プロセスカートリッジ20が装置本体部12に挿入され、所定の位置に収まってから、本体側接点部70がフランジ44に接近を行い、所定の接触可能位置に落ち着く。
【0034】
かかる構成の画像形成装置10の作用を説明する。装置本体部12から古いプロセスカートリッジが引き抜かれ、新しいプロセスカートリッジ20が挿入される場合を例にとる。古いプロセスカートリッジが引き抜かれた状態においては、本体側接点部70は空中に自由端となり、本体側接点部70と接続されている図示されていない制御部は、接点開放を検出し、プロセスカートリッジがないことを知る。もちろんこれ以外の手段でプロセスカートリッジがないことを知るようにしてもよい。次に新しいプロセスカートリッジ20が装置本体部12に挿入される。このとき、上記のように必要があれば本体側接点部70は一旦退避位置にしておくことができる。プロセスカートリッジ20は、図示されていない装置本体部12の案内部や位置決め部等によって、挿入方向を案内され、所定の組み込み位置まできちんと挿入され、そこで固定される。そのとき、本体側接点部70は、プロセスカートリッジ20のフランジ44と所定の接触可能位置にある。
【0035】
画像形成装置10は、プロセスカートリッジ20が挿入されたことを図示されていない検出手段により知ると、プロセスカートリッジ20に対する初期化を行う。すなわち、まず本体側接点部70からの信号をチェックし、本体側接点部70が接点開放の状態のままであるときは、感光体ドラム30を回転する。この回転により、フランジ44の回転とともにメモリタグ50が回転し、やがて略半球状の盛り上がりのタグ側接点部60が本体側接点部70と対向する位置に来る。そして、タグ側接点部60の略半球状の盛り上がりに本体側接点部70の先端部74が乗り上げ、面接触しながら移動する。このとき、本体側接点部70からの信号で、図示されていない制御部は接点短絡を知る。したがって、制御部は、接点短絡の間に、メモリIC54と必要な交信を行うことができる。交信は、シリアル通信によるメモリ内容の読み出し、書き込み等を行うことができ、必要があれば電力の供給等を行ってもよい。一旦接点短絡を検出すれば、初期化のためのデータ交信が完了するまで、プロセスカートリッジ20の回転を止め、連続して接点短絡に状態を維持するようにできる。あるいは、プロセスカートリッジ20を連続回転させ、定期的に繰り返される接点短絡のときを利用して、複数回のデータ交信を行うものとしてもよい。
【0036】
初期化が終わると、通常の複写作業が行われる。そして、感光体ドラム30が回転するたび、タグ側接点部60の略半球状の盛り上がりに本体側接点部70の先端部74が乗り上げ、面接触しながら移動する。したがって、必要があれば、図示されていない制御部は、この接点短絡のタイミングごとに、メモリタグ50のメモリIC54と交信できる。
【0037】
このように、タグ側接点部60を略半球状等の滑らかな盛り上がり形状としたので、本体側接点部70を一般的な板ばねの折り曲げ形状として用いても、滑らかな盛り上がり形状に乗り上げつつ面接触をすることができるので、接点接触を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る実施の形態における画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態における感光体ドラムを示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態におけるメモリタグの平面図及び側面断面図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、メモリタグのタグ側接点形状の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
10 画像形成装置、12 装置本体部、14 露光光学系、16 搬送系、18 ストッカー、20 プロセスカートリッジ、22 カートリッジ筐体、24 露光部、30 感光体ドラム、32 帯電ローラ、34 現像手段、36 クリーニング手段、40 回転軸、42,44 フランジ、46 開口、50 メモリタグ、52 タグ枠体、54 メモリIC、56 回路基板、58 樹脂封止部、60,62,64 タグ側接点部、70 本体側接点部、72 根元部、74 先端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能でかつ回転軸周りに回転する部品に設けられるメモリタグであって、
前記部品の回転する部分に取り付けられるタグ枠体と、
前記タグ枠体に載置され、前記プロセスカートリッジに関する情報を記憶するメモリと、
前記メモリと接続して前記タグ枠体の表面に配置され、前記画像形成装置本体側に設けられる本体側接点部と接触して前記メモリと前記画像形成装置本体側との間を導通し、略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形を有するタグ側接点部と、
を備えることを特徴とするメモリタグ。
【請求項2】
画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジに設けられるメモリタグであって、
前記プロセスカートリッジの回転する部分に取り付けられるタグ枠体と、
前記タグ枠体に載置され、前記プロセスカートリッジに関する情報を記憶するメモリと、
前記メモリと接続して前記タグ枠体の表面に配置され、前記画像形成装置本体側に設けられる本体側接点部と接触して前記メモリと前記画像形成装置本体側との間を導通し、略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形を有するタグ側接点部と、
を備えることを特徴とするメモリタグ。
【請求項3】
画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記画像形成装置本体側と交信可能なメモリタグを有し、
前記メモリタグは、
前記プロセスカートリッジの回転する部分に取り付けられるタグ枠体と、
前記タグ枠体に載置され、前記プロセスカートリッジ及び前記画像形成装置本体に関する情報を記憶するメモリと、
前記メモリと接続して前記タグ枠体の表面に配置され、前記画像形成装置本体側に設けられる本体側接点部と接触して前記メモリと前記画像形成装置本体側との間を導通し、略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形を有するタグ側接点部と、
を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
画像形成装置本体との間でプロセスカートリッジが着脱可能な画像形成装置であって、
前記プロセスカートリッジに設けられるメモリタグと、
前記画像形成装置本体側に設けられ、前記メモリタグと接触する本体側接点部と、
を有し、
前記メモリタグは、
前記プロセスカートリッジの回転する部分に取り付けられるタグ枠体と、
前記タグ枠体に載置され、前記プロセスカートリッジ及び前記画像形成装置本体に関する情報を記憶するメモリと、
前記メモリと接続して前記タグ枠体の表面に配置され、前記画像形成装置本体側に設けられる本体側接点部と接触して前記メモリと前記画像形成装置本体側との間を導通し、略半球状外形又は円弧の一部を含む断面形状の外形を有するタグ側接点部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−58598(P2006−58598A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240349(P2004−240349)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】