説明

メモリ素子の駆動方法及びメモリ素子を備える記憶装置

【課題】より安定的にスイッチング動作を行う。
【解決手段】絶縁性基板1と絶縁性基板に設けられた第1電極2及び第2電極3と第1電極と第2電極との間の抵抗値の変化現象を生じる電極間間隙部4とを備えるメモリ素子10に対し、所定の低抵抗状態から所定の高抵抗状態へ移行させるための第1の電圧パルスをパルス発生源から印加し、高抵抗状態から低抵抗状態へ移行させるための第2の電圧パルスの印加を直列接続された抵抗体を介して行うことにより、低抵抗値へ変化後のメモリ素子に流れる電流値を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノギャップ電極を備えるメモリ素子の駆動方法及びメモリ素子を備える記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デバイスの小型化、高密度化に伴い、電気素子の一層の微細化が望まれている。その一例として、微細な間隙(ナノギャップ)を隔てた2つの電極間に電圧を印加することによって、スイッチング動作が可能な素子が知られている。
具体的には、例えば、酸化シリコンと金という安定な材料からなり、傾斜蒸着という簡便な製造方法により製造され、スイッチング動作を安定的に繰り返し行うことができる素子が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなナノギャップを有する素子(以下、「ナノギャップメモリ素子」という。)においては、書き込み又は消去のために、所定の電圧値の電圧パルスを印加して、高抵抗状態(OFF状態)から低抵抗状態(ON状態)へ移行させたり、低抵抗状態(ON状態)から高抵抗状態(OFF状態)へ移行させたりするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−123828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に高抵抗状態から低抵抗状態へ移行させる際、電圧パルスを印加しても、所望の抵抗状態(低抵抗状態)へ移行する確率が低いという問題があった。そこで、高抵抗状態から低抵抗状態へ移行する確率を向上させるために、パルス幅(すなわち、1回の電圧パルスの印加時間)を大きくする方法や、電圧値を高くする等の方法が考えられた。しかしながら、これらの方法では、高抵抗状態から低抵抗状態へ移行する確率がまだ十分でないという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、高い確率で高抵抗状態から低抵抗状態へ移行させることができるメモリ素子の駆動方法及び当該メモリ素子を用いた記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により第1、第2電極間の抵抗値の変化現象が生じるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部とを備え、電圧パルスの印加により、所定の低抵抗状態から所定の高抵抗状態への移行と、前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行とが可能なメモリ素子の駆動方法において、少なくとも、前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行の際には、直列に接続された抵抗体を介在させてパルス発生源から前記メモリ素子に電圧パルスの印加を行うことにより、抵抗値の変化後の電流値を低減させることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ移行させる場合には、前記低抵抗状態から前記高抵抗状態へ移行させる場合よりも、前記パルス発生源から前記メモリ素子の間の電気抵抗が高くなるようにして、前記電圧パルスの印加を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ移行させる場合の前記抵抗体の抵抗値は2MΩから0.5MΩであることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により第1、第2電極間の抵抗値の変化現象が生じるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部とを備えるメモリ素子と、
前記メモリ素子の前記第1電極と第2電極との間における所定の低抵抗状態から所定の高抵抗状態への移行と前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行とを行うために電圧パルスを印加する電圧印加部とを備え、
前記電圧印加部は、
一定電圧のパルスを発生するパルス発生源と、少なくとも前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行の際に印加する電圧パルスによる抵抗値の変化後の前記メモリ素子に流れる電流を低減するための抵抗体とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により第1、第2電極間の抵抗値の変化現象が生じるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部とを備えるメモリ素子と、
前記メモリ素子の前記第1電極と第2電極との間における所定の低抵抗状態から所定の高抵抗状態への移行と前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行とを行うために電圧パルスを印加する電圧印加部とを備え、
前記メモリ素子は複数個であり、少なくともそれぞれのメモリ素子にそれぞれ抵抗体が接続されたことを特徴とする。
この構成により書き込み速度が改善される。メモリセル面積は増加する可能性があるが、前記抵抗体と前記メモリ素子の電極を積層構造にできればメモリセル面積の増加は回避できる。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ移行させる場合には、前記低抵抗状態から前記高抵抗状態へ移行させる場合よりも、前記パルス発生源から前記メモリ素子の間の電気抵抗が高くなるように切り換える切り換え部とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項4から6のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ移行させる場合の前記抵抗体の抵抗値は2MΩから0.5MΩであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
発明者等は、前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、メモリ素子に対して、抵抗状態を切り換える電圧パルスをパルス発生源から直列接続された抵抗体を介して印加することに着目した。かかる電圧パルスの印加を行うことで、より高確率でメモリ素子が高抵抗状態から低抵抗状態へ移行することを見出したものである。
【0015】
本発明によれば、電圧パルスの印加により所定の低抵抗状態から所定の高抵抗状態への移行と、高抵抗状態から低抵抗状態への移行とが行われるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部を備えたメモリ素子に対して、少なくとも、高抵抗状態から低抵抗状態への移行する際には、電圧パルスの印加は直列接続された抵抗体を介して行う。これにより、電圧パルスの印加時には、低抵抗値へ変化後のメモリ素子に流れる電流値が低減される。
従来は、低抵抗状態から高抵抗状態への切り換えに比べて、高抵抗状態から低抵抗状態への切り換えの成功率が劣っていたが、上述のように電圧パルスを印加することにより高抵抗状態から低抵抗状態への切り換えの成功率を飛躍的に向上させることが可能である。
例えば、低抵抗状態から高抵抗状態への切り換えと高抵抗状態から低抵抗状態への切り換えとを交互に行う書き換え繰り返し試験において、低抵抗状態と高抵抗状態との間での状態切り換えがより確実に実行され、また、低抵抗状態の抵抗値の属する範囲と高抵抗状態の抵抗値の属する範囲とが殆ど重複を生じることなく二分され、これによりメモリ素子を識別可能となる二状態に維持することができ、記憶装置としての適応性をより向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(A)は本発明の記憶装置の機能的構成を示すブロック図、図1(B)は記憶装置のナノギャップメモリアレイに含まれる一つのメモリセルの構成を示す図である。
【図2】本発明の記憶装置が備えるナノギャップメモリ素子の要部を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の記憶装置が備える電圧印加部の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】他のナノギャップメモリ素子の要部を模式的に示す断面図である。
【図5】実施例におけるナノギャップメモリ素子を低抵抗状態から高抵抗状態へ移行させる第1の電圧パルスと高抵抗状態から低抵抗状態へ移行させる第2の電圧パルスとを交互に繰り返し印加した場合の素子の抵抗値変化を示すグラフ図である。
【図6】比較例におけるナノギャップメモリ素子を低抵抗状態から高抵抗状態へ移行させる第1の電圧パルスと高抵抗状態から低抵抗状態へ移行させる第2の電圧パルスとを交互に繰り返し印加した場合の素子の抵抗値変化を示すグラフ図である。
【図7】実施例と同じ構成であってメモリ素子に印加するパルスの幅のみを変更した他の例におけるナノギャップメモリ素子を低抵抗状態から高抵抗状態へ移行させる第1の電圧パルスと高抵抗状態から低抵抗状態へ移行させる第2の電圧パルスとを交互に繰り返し印加した場合の素子の抵抗値変化を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0018】
<ナノギャップメモリ素子を備える記憶装置>
まず、記憶装置1000の構成について、図1〜図3を参照して説明する。
記憶装置1000は、複数のメモリセル110をアレイ状に配置したメモリ素子アレイを備えた、データの記憶を行う装置である。ここで、本発明の記憶装置1000においては、メモリセル110は、ナノギャップメモリ素子10と選択素子としてのMOSトランジスタ11とからなり、メモリ素子アレイは、ナノギャップメモリアレイ100である。
具体的には、記憶装置1000は、例えば、図1に示すように、ナノギャップメモリアレイ100と、電圧印加部200と、読み出し部300と、制御部400と、アレイ状に並んだメモリセル110の一つを選択するためにメモリセル110のX方向の位置を指定するX方向のアドレス指定部410と、メモリセル110のY方向の位置を指定するY方向のアドレス指定部420と、などを備えて構成される。
【0019】
(ナノギャップメモリアレイ)
ナノギャップメモリアレイ100は、例えば、複数のメモリセル110をアレイ状(例えば、2次元アレイ状)に配置した高密度メモリである。
メモリセル110は、図1(B)に示すように、MOSトランジスタ11と当該MOSトランジスタ11のドレイン電極又はソース電極に接続されたナノギャップメモリ素子10とからなる。MOSトランジスタ11は、そのソース電極又はドレイン電極がX方向のアドレス指定部410に接続され、ゲート電極はY方向のアドレス指定部420に接続されている。そして、X方向のアドレス指定部410を通じて後述する第1又は第2の電圧パルスが印加され、Y方向のアドレス指定部420から指定信号が入力されると、ナノギャップメモリ素子10に電圧パルスが印加され、後述する抵抗値変化現象が生じるようになっている。
【0020】
(ナノギャップメモリ素子)
ナノギャップメモリ素子10は、例えば、ナノギャップ電極間(電極間間隙部4の間隙)の抵抗値をスイッチさせて、データの記憶を行うメモリ素子である。
具体的には、ナノギャップメモリ素子10は、例えば、図2に示すように、絶縁性基板1と、絶縁性基板1の一面(上面)に設けられた第1電極2及び第2電極3と、第1電極2と第2電極3との間に設けられた電極間間隙部4と、などを備えて構成される。
【0021】
絶縁性基板1は、例えば、ナノギャップメモリ素子10の2つの電極(第1電極2と第2電極3)を隔てて設けるための支持体として機能する。
絶縁性基板1の構造及び材質は、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、絶縁性基板1の表面の形状は、平面であっても良いし、凹凸を有していても良い。また、絶縁性基板1は、例えば、Si等の半導体基板の表面に酸化膜等を設けたものであっても良いし、基板そのものが絶縁性とされたものであっても良い。
絶縁性基板1の材質としては、例えば、ガラス、酸化珪素(SiO)などの酸化物、窒化珪素(SiN)などの窒化物等が好ましく、このうち、酸化珪素(SiO)が、第1電極2及び第2電極3との密着性と、その製造における自由度と、が大きい点で好適となっている。
【0022】
第1電極2は、例えば、第2電極3と対になって、ナノギャップメモリ素子10のスイッチング動作を行うためのものである。
第1電極2の形状は、特に限定されるものではなく、適宜任意に変更することができる。
第1電極2の材質は、導電性を備えていれば特に限定されるものではなく、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、コバルト、クロム、ロジウム、銅、タングステン、タンタル、カーボン又はこれらの合金から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。ここで、第1電極2は、絶縁性基板1との接着性を強化するために、例えば、異なる金属を2層以上重ねて用いても良い。具体的には、例えば、第1電極2は、クロム及び金の積層(多層)構造としても良い。
【0023】
第2電極3は、例えば、第1電極2と対になって、ナノギャップメモリ素子10のスイッチング動作を行うためのものである。
第2電極3の形状は、特に限定されるものではなく、適宜任意に変更することができる。
第2電極3の材質は、導電性を備えていれば特に限定されるものではなく、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、コバルト、クロム、ロジウム、銅、タングステン、タンタル、カーボン又はこれらの合金から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。ここで、第2電極3は、絶縁性基板1との接着性を強化するために、例えば、異なる金属を2層以上重ねて用いても良い。具体的には、例えば、第2電極3は、クロム及び金の積層(多層)構造としても良い。
【0024】
電極間間隙部4は、例えば、第1電極2と第2電極3との間に形成され、ナノギャップメモリ素子10の抵抗値変化現象を発現する役割を具備している。
具体的には、電極間間隙部4は、例えば、第1電極2と第2電極3との間への所定電圧の印加により抵抗のスイッチング現象が生じるナノメートルオーダーの間隙を有するものである。すなわち、第1電極2と第2電極3との間(ナノギャップ電極間)の距離(間隔)Gは、ナノメートルオーダーとなるよう設定されている。
【0025】
第1電極20と第2電極30間(ナノギャップ電極間)の距離(間隔)Gは、例えば、0nm<G≦13nmであるのが好ましく、0.8nm<G<2.2nmであるのがより好ましい。
ここで、距離Gの上限値を13nmとしたのは、例えば、二回の斜め蒸着で作成する場合には、ギャップ間隔が13nmより大きくなるとスイッチングが起きなくなるためである。
また、トンネル電流の理論式に低抵抗状態、高抵抗状態の典型的な値を代入すると、ギャップ幅の計算結果として0.8nm<G<2.2nmの範囲が求められる。
【0026】
なお、第1電極2と第2電極3との間の最近接部位(電極間間隙部4の間隙)は、例えば、第1電極2と第2電極3とが対向する領域に1若しくは複数箇所形成されていても良い。
また、第1電極2と第2電極3との間には、例えば、当該第1電極2と第2電極3の構成材料などからなる島部分(中州部分)が形成されていても良い。この場合には、例えば、第1電極2と島部分との間、第2電極3と島部分との間に所定の間隙(電極間間隙部4の間隙)が形成されて、第1電極2と第2電極3とが短絡していなければ良い。
【0027】
(電圧印加部)
電圧印加部200は、例えば、ナノギャップメモリアレイ100が有する複数のメモリセル110と制御部400とに接続されている。電圧印加部200は、例えば、制御部400から入力される制御信号に従って、メモリセル110内のナノギャップメモリ素子10の第1電極2と第2電極3との間に電圧(電圧パルス)を印加することによって、ナノギャップメモリ素子10にデータを書き込んだり、ナノギャップメモリ素子10からデータを消去したりする。
【0028】
具体的には、電圧印加部200には、例えば、制御部400から、電圧パルスを印加するナノギャップメモリ素子10の所在に関するアドレス情報が入力されるようになっている。そして、これらの情報が入力されると、電圧印加部200は、例えば、ナノギャップメモリアレイ100が有する複数のナノギャップメモリ素子10のうちの、アドレス情報で指定されたナノギャップメモリ素子10に電圧パルスを印加するようになっている。
【0029】
また、電圧印加部200は、個々のナノギャップメモリ素子10に対して、その第1電極2と第2電極3との間の抵抗状態を低抵抗状態と高抵抗状態の二つの状態の間に切り換えるための第1の電圧パルスと第2の電圧パルスを印加するために、図3に示す構成を具備している。
即ち、電圧印加部200は、メモリ素子10に対して所定の電圧及び所定のパルス幅で電圧パルスを発生するパルス発生源としてのパルス発生器210と、このパルス発生器210とナノギャップメモリ素子10の第1電極2とを第一の接続状態と第二の接続状態とに切り換え可能な切り換え部220とを備えている。なお、これらパルス発生器210及び切り換え部220は、X方向のアドレス指定部410を介して各ナノギャップメモリ素子10に接続するように設けられている。なお、電圧印加部部200と各ナノギャップメモリ素子10との間には、実際には、各アドレス指定部410及びMOSトランジスタ11が介在するが、図3ではそれらの図示は省略している。
【0030】
パルス発生器210は、単発の電圧パルスを出力することができ、制御部400によってその電圧とパルス幅とを任意に制御することを可能としている。
切り換え部220は、パルス発生器210とナノギャップメモリ素子10の第1電極2とを直接接続する第一の接続状態を形成する経路と、パルス発生器210とナノギャップメモリ素子10の第1電極2との間で直列に配置された抵抗体として抵抗素子221を介してこれらを接続する第二の接続状態を形成する経路とを備えており、切り換え素子222によっていずれかの経路を選択的に接続することを可能としている。かかる切り換え素子222は、制御部400により切り換えの制御が行われる。
【0031】
切り換え部220により、第一の接続状態で接続されている場合には、パルス発生器210から出力される電圧パルスがそのまま第1の電圧パルスとしてナノギャップメモリ素子10に対して印加される。
また、切り換え部220により、第二の接続状態で接続されている場合には、パルス発生器210から出力される電圧パルスが抵抗素子222を介して第2の電圧パルスとしてナノギャップメモリ素子10に印加される。このとき、抵抗素子222及びナノギャップメモリ素子10を直列接続された二つの抵抗素子と見なすことができるので、電圧パルスに対して抵抗素子222とナノギャップメモリ素子10との合計の抵抗値に反比例した電流がナノギャップメモリ素子10に流れることとなり、低抵抗状態に切り替わったナノギャップメモリ素子10に対して大きく電流が流れることが抑止され、ナノギャップメモリ素子10の低抵抗状態を安定的に維持することができ、低抵抗応対への切り換えの成功率が向上する。
そして、これにより、第2の電圧パルスの印加によって、ナノギャップメモリ素子10は、固定することが可能な範囲内で極力低い抵抗値に固定することができる。
また、データ書き込み時にナノギャップメモリ素子10が高抵抗から低抵抗へ大きな抵抗変化をした際、素子流入電流の急激な増加に起因する断線等の素子破壊を防止する。
【0032】
(X方向及びY方向のアドレス指定部)
X方向のアドレス指定部410は、アレイ状に設けられた複数のメモリセル110の内、Y方向に沿って並んだ複数のメモリセル110のそれぞれのMOSトランジスタ11のソース電極が並列接続された配線を複数備え、各配線はX方向に並んで設けられている。そして、各配線に対して個々に電圧印加部200からの電圧パルスを印加することが可能となっている。
【0033】
Y方向のアドレス指定部420は、アレイ状に設けられた複数のメモリセル110の内、X方向に沿って並んだ複数のメモリセル110のそれぞれのMOSトランジスタ11のゲート電極が並列接続された配線を複数備え、各配線はY方向に並んで設けられている。そして、各配線に対して個々に指定信号としての電圧印加を行うことができ、これにより各MOSトランジスタ11に対してソース電極とドレイン電極の接続を可能としている。
つまり、Y方向のアドレス指定部420に対する位置指定に応じて対応する配線に指定信号を印加し、X方向のアドレス指定部410に対する位置指定に応じて対応する配線に対して電圧パルスを印加することにより、X方向とY方向との位置指定により特定される任意のナノギャップメモリ素子10に対する電圧パルスの印加を行うことを可能としている。
【0034】
なお、メモリセル110はナノギャップメモリ素子10に少なくとも抵抗体を接続した(更にMOSトランジスタ11を接続した)構成とすることで、書き込みを高速化できる。メモリセル110にいたるまでの配線の充放電電流が抵抗体により制限されないからである。メモリセル面積は増加する可能性があるが、前記抵抗体と前記メモリ素子の電極を積層構造にできればメモリセル面積の増加は回避できる。
この場合、図3に示す切替部220は不要でメモリセルはパルス発生器210から電圧駆動が可能である。
【0035】
(読み出し部)
読み出し部300は、例えば、ナノギャップメモリアレイ100が有する複数のナノギャップメモリ素子10と、制御部400とに接続されている。読み出し部300は、例えば、制御部400から入力される制御信号に従って、ナノギャップメモリ素子10からデータを読み出して、当該読み出し結果を制御部400に出力する。
【0036】
具体的には、読み出し部300には、例えば、制御部400から、データを読み出すナノギャップメモリ素子10の所在に関するアドレス情報が入力されるようになっている。そして、この情報が入力されると、読み出し部300は、例えば、ナノギャップメモリアレイ100が有する複数のナノギャップメモリ素子10のうちの、アドレス情報で指定されたナノギャップメモリ素子10のナノギャップ電極間(電極間間隙部4の間隙)の抵抗値を測定することによって、そのナノギャップメモリ素子10からデータを読み出すようになっている。
【0037】
(制御部)
制御部400は、電圧印加部200のパルス発生器210に制御信号(電圧値情報など)を入力し、X方向及びY方向のアドレス指定部410、420に対してアドレス信号を入力して、任意のナノギャップメモリ素子10に所定の電圧値で予め設定された一定のパルス幅の電圧パルスを印加させる制御を行う。
このとき、制御部400は、ナノギャップメモリ素子10に対して低抵抗状態(以下、「ON状態」ともいう)から高抵抗状態(以下、「OFF状態」ともいう)に切り換えを行う際には、切り換え部220が第一の接続状態となるように切り換え素子222を制御した上で、パルス発生器210を設定電圧でパルス発生させて、ナノギャップメモリ素子10に第1の電圧パルスが印加されるよう制御を行う。
また、ナノギャップメモリ素子10に対して高抵抗状態(OFF状態)から低抵抗状態(ON状態)に切り換えを行う際には、切り換え部220が第二の接続状態となるように切り換え素子222を制御した上で、パルス発生振器210を第1の電圧パルスと同様にパルスを発生させて、ナノギャップメモリ素子10に第2の電圧パルスが印加されるよう制御を行う。
【0038】
また、制御部400は、例えば、第2の電圧パルスが印加されると、読み出し部300に制御信号(アドレス情報など)を入力して、ナノギャップメモリ素子10からデータを読み出させ、そして、当該読み出し結果に基づいて、ナノギャップメモリ素子10が高抵抗状態から低抵抗状態へ移行したか否かを判断する。
判断の結果、ナノギャップメモリ素子10が高抵抗状態から低抵抗状態へ移行していない場合には、第2の電圧パルスの印加のリトライを行うよう制御しても良い。
【0039】
(ナノギャップメモリ素子の変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
以下に、本発明に係るナノギャップメモリ素子の変形例について説明する。
【0040】
変形例1のナノギャップメモリ素子10Aは、例えば、図4に示すように、絶縁性基板1Aと、絶縁性基板1Aの上面に設けられた絶縁体5Aと、絶縁性基板1Aの上面に設けられた第1電極2Aと、絶縁体5Aの上面に設けられた第2電極3Aと、第1電極2Aと第2電極3Aとの間に設けられた電極間間隙部4Aとを主に備えている。
具体的には、絶縁体5Aが絶縁性基板1Aの上面に設けられることにより段部を構成しており、当該絶縁体5Aにより、第1電極2Aと第2電極3Aとが高低差をもって基板1A上に配置されている。そして、第1電極2Aは、絶縁性基板1Aの上面と絶縁体5Aの側面51Aの下側部分とに接して設けられており、第2電極3Aは、絶縁体5Aの上面と絶縁体5Aの側面51Aの上側部分とに接して設けられている。そして、電極間間隙部4Aは、絶縁体5Aの側面51Aの下側部分に設けられた第1電極2Aと、絶縁体5Aの側面51Aの上側部分に設けられた第2電極3Aとの間に設けられている。つまり、電極間間隙部4Aは絶縁体5Aにより形成される段部の高さ方向に沿ってギャップGが形成されている。
【0041】
なお、第1電極2A及び第2電極3Aの材質は、前述した第1電極2及び第2電極3と同様のものを選択することが望ましい。
また、絶縁体5Aは、電極間間隙部4Aを構成する第1電極2Aの対向部位と第2電極3Aの対向部位とが基板1Aの平面に対する高さ方向に沿って並ぶように配置するためのものである。従って、上記機能を具備する限り、他の構造を採っても良い。
また、絶縁体5Aは、例えば、絶縁性基板1Aの一部に酸化膜等を設けたものであってもよいし、絶縁性基板1A全面に酸化膜等を設け、その一部を取り去ることで形成されるものであってもよい。また、絶縁体5Aの材質としては、例えば、ガラス、酸化珪素(SiO)などの酸化物、窒化珪素(Si)などの窒化物等が好ましく、このうち、酸化珪素(SiO)が、第1電極2A及び第2電極3Aとの密着性と、その製造における自由度と、が大きい点で好適となっている。
【0042】
また、電極間間隙部4Aは、前述した電極間間隙部4に比して形成される平面の向きが異なる点を除けば、実体的な構造はほぼ同一である。従って、電極間間隙部4Aの寸法などの設計条件やその動作方法は前述した電極間間隙部4の場合と同様である。
【0043】
かかる変形例1のメモリ素子10Aは、前述したメモリ素子10と同様の技術的効果を具備すると共に、絶縁性基板1Aの上面に対して絶縁体5Aにより形成される段部により第1電極2A及び第2電極3Aが高低差をもって配置され、その高さ方向に沿って電極間間隙部4Aが形成されているため、第1電極2A、第2電極3A及び電極間間隙部4Aを同一平面上に並べて配置する場合に比べて当該電極間間隙部4Aが絶縁性基板1Aの平面視での占有面積を低減することが可能となる。これにより、例えば、単一の絶縁性基板1Aを共有して多数のメモリ素子10Aを集積化することでメモリ素子を形成する場合に、集積化に有利であり、メモリ素子の小型化を図ることが可能となる。
【0044】
<実施例>
以下に、具体的な実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
ここでは図4に示したナノギャップメモリ素子10Aを用いた実施例について説明する。なお、ナノギャップメモリ素子10を採用しても良いことはいうまでもない。
かかるナノギャップメモリ素子10Aに対して第1の電圧パルス及び第2の電圧パルスの印加を繰り返し交互に行い、そのナノギャップメモリ素子10Aのナノギャップ電極間(電極間間隙部4Aの間隙)の抵抗値を、各電圧パルスの印加後に測定した。第1の電圧パルス及び第2の電圧パルスの印加時において、いずれも、パルス発生器210から発生される電圧パルスの電圧を10Vとし、パルス幅(1回の電圧パルスの印加時間)を100μsとした。また、電圧印加部200における切り換え部220の抵抗素子は1MΩのものを使用した。
【0046】
また、比較例として、同じナノギャップメモリ素子10Aに対して、切り換え部220を使用しないでパルス発生器210をナノギャップメモリ素子10とを直接接続し、第2の電圧パルスの印加電圧を第1の電圧パルスの印加電圧よりも低く設定して、第1の電圧パルスと第2の電圧パルスとを交互に繰り返し印加して、その時のナノギャップメモリ素子10Aのナノギャップ電極間(電極間間隙部4Aの間隙)の抵抗値を、各電圧パルスの印加後に測定した。この比較例では、第1の電圧パルスを10V、第2の電圧パルスを5Vに設定し、パルス幅はいずれも500nsとした。
【0047】
図5は実施例における第1の電圧パルスと第2の電圧パルスの印加ごとの抵抗値を示すグラフ図であり、図6は比較例における第1の電圧パルスと第2の電圧パルスの印加ごとの抵抗値を示すグラフ図である。各図において■は第1の電圧パルスの印加時(OFF時)の抵抗値、●は第2の電圧パルスの印加時(ON時)の抵抗値を示している。
実施例及び比較例は、いずれも第1の電圧パルスの印加時には抵抗値が上昇し、第2の電圧パルスの印加時には抵抗値が下降する傾向が現れている。
しかしながら、比較例の場合には、図6に示すように、第2の電圧パルスの印加後に、高抵抗状態から十分に低抵抗状態に切り換えが行われない場合が多く、第1の電圧パルス印加後の抵抗値と第2の電圧パルス印加後の抵抗値のそれぞれにバラツキが多く、高抵抗状態の抵抗の数値範囲と低抵抗状態の抵抗の数値範囲とにかなりの重複を生じてしまう。その結果、記憶装置内の一つの記憶素子としてナノギャップメモリ素子10Aを使用すると、ONとOFFの識別が困難となり、実用性が十分とはいえないという結果が現れている。
一方、実施例は、図5に示すように、第1の電圧パルスの印加後のナノギャップメモリ素子10Aの抵抗値と第2の電圧パルスの印加後のナノギャップメモリ素子10Aの抵抗値とがそれぞれバラツキが小さく抑えられ、高抵抗状態の抵抗の数値範囲と低抵抗状態の抵抗の数値範囲とに殆ど重複が生じない。つまり、一定の閾値を定めることで、ナノギャップメモリ素子10AがON状態かOFF状態かをより確実に識別することができ、記憶装置としての実用性が向上していることが分かる。
【0048】
また、図7において、図5の実施例に対して、第1の電圧パルス及び第2の電圧パルスの印加時のパルス幅を150マイクロ秒として図5と同じ試験を行った場合のナノギャップメモリ素子10Aの抵抗値の測定結果を示す。
図7の例では、図5と同様に、第1の電圧パルスの印加後のナノギャップメモリ素子10Aの抵抗値と第2の電圧パルスの印加後のナノギャップメモリ素子10Aの抵抗値とがそれぞれバラツキが小さく抑えられ、高抵抗状態の抵抗の数値範囲と低抵抗状態の抵抗の数値範囲とが良好に分離され、ナノギャップメモリ素子10AのON状態とOFF状態との識別を容易に行うことができ、記憶装置としての実用性が向上していることが分かる。
【0049】
(発明の実施形態の効果)
上述のように、記憶装置1000では、電圧印加部200の切り換え部220において、ナノギャップメモリ素子10(又は10A)に対して、第1の電圧パルスの印加はパルス発生器210から直接的に行い、第2の電圧パルスの印加は直列に接続された抵抗素子221を介して行う。
これにより、第2の電圧パルスの印加時には、ナノギャップメモリ素子10(又は10A)に対してより小さい電流を通電することができる。このため、第1の電圧パルスの印加後のナノギャップメモリ素子10(又は10A)の抵抗値と第2の電圧パルスの印加後の抵抗値とについて、それぞれバラツキを小さく抑えることができ、高抵抗状態の抵抗値の数値範囲と低抵抗状態の抵抗値の数値範囲との重複を効果的に抑制することが可能である。従って、ナノギャップメモリ素子10(又は10A)の記憶素子としての信頼性及び実用性の向上を図ることが可能となった。
また、切り換え部220により抵抗素子221の有無を切り換えることで第1の電圧パルスと第2の電圧パルスの印加を選択的に行うので、パルス発生器の出力電圧を一定のままとすることができ、安定的な電圧印加を行うことが可能である。
【0050】
(その他)
なお、記憶装置1000の一部(例えば、ナノギャップメモリアレイ100)又は全部を、所定の封止部材で封止することによって、電極間間隙部4を大気や水分に接触しないようにしても良い。これにより、ナノギャップメモリ素子10(又は10A)をさらに安定的に動作させることができる。さらに、所定の封止部材で封止することによって、電極間間隙部4を任意の雰囲気中に配置した状態を保つことができ、ナノギャップメモリ素子10(又は10A)を任意の雰囲気中で使用することができる。
【0051】
なお、第1及び第2の電圧パルスの電圧値やパルス幅は、ナノギャップメモリ素子のギャップの寸法や電極の選択材料、ギャップ間の雰囲気の成分などによって適宜変更し得るものであり、また、抵抗素子221の抵抗値も、厳密に1MΩに限定されるものではなく、3MΩから0.3MΩの範囲、より望ましくは、2MΩから0.5MΩの範囲のおおよそ1MΩの範囲でも効果があり、更に、同様の条件に加えて第1及び第2の電圧パルスの電圧値、ナノギャップメモリ素子の高抵抗時や低抵抗時の抵抗値等に応じて適宜選択することができ、上記の例に限定されるものではない。
【0052】
また、上記記憶装置1000では、ナノギャップメモリアレイ100に対して記憶を行う場合を例示したが、単体であるナノギャップメモリ素子10とこれに対する電圧印加部200と読み出し部300と制御部400とからなるデバイスを記憶装置としても良い。
【0053】
なお、上述した記憶装置1000では、電圧印加部200が第2の電圧パルスについてのみ抵抗素子221を介して印加を行っているが、第1の電圧パルスについても抵抗素子を介して印加を行う構成としても良い。但し、第1の電圧パルスの印加時に用いる抵抗素子は、第2の電圧パルスの印加の際に用いる抵抗素子221よりも抵抗値が低いものが選択され、第1の電圧パルスの印加時にナノギャップメモリ素子10に流れる電流値が第2の電圧パルスの印加時よりも大きくなるように調整される。
【符号の説明】
【0054】
1 絶縁性基板
2 第1電極
3 第2電極
4 電極間間隙部
10 ナノギャップメモリ素子(メモリ素子)
200 電圧印加部
210 パルス発生器(パルス発生源)
220 切り換え部
221 抵抗素子(抵抗体)
1000 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により第1、第2電極間の抵抗値の変化現象が生じるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部とを備え、電圧パルスの印加により、所定の低抵抗状態から所定の高抵抗状態への移行と、前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行とが可能なメモリ素子の駆動方法において、
少なくとも、前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行の際には、直列に接続された抵抗体を介在させてパルス発生源から前記メモリ素子に電圧パルスの印加を行うことにより、抵抗値の変化後の電流値を低減させることを特徴とするメモリ素子の駆動方法。
【請求項2】
前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ移行させる場合には、前記低抵抗状態から前記高抵抗状態へ移行させる場合よりも、前記パルス発生源から前記メモリ素子の間の電気抵抗が高くなるようにして、前記電圧パルスの印加を行うことを特徴とする請求項1記載のメモリ素子の駆動方法。
【請求項3】
前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ移行させる場合の前記抵抗体の抵抗値は2MΩから0.5MΩであることを特徴とする請求項1又は2記載のメモリ素子の駆動方法。
【請求項4】
絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により第1、第2電極間の抵抗値の変化現象が生じるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部とを備えるメモリ素子と、
前記メモリ素子の前記第1電極と第2電極との間における所定の低抵抗状態から所定の高抵抗状態への移行と前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行とを行うために電圧パルスを印加する電圧印加部とを備え、
前記電圧印加部は、
一定電圧のパルスを発生するパルス発生源と、少なくとも前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行の際に印加する電圧パルスによる抵抗値の変化後の前記メモリ素子に流れる電流を低減するための抵抗体とを備えることを特徴とするメモリ素子を用いた記憶装置。
【請求項5】
絶縁性基板と、前記絶縁性基板に設けられた第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第1電極と前記第2電極との間への所定電圧の印加により第1、第2電極間の抵抗値の変化現象が生じるナノメートルオーダーの間隙を有する電極間間隙部とを備えるメモリ素子と、
前記メモリ素子の前記第1電極と第2電極との間における所定の低抵抗状態から所定の高抵抗状態への移行と前記高抵抗状態から前記低抵抗状態への移行とを行うために電圧パルスを印加する電圧印加部とを備え、
前記メモリ素子は複数個であり、少なくともそれぞれのメモリ素子にそれぞれ抵抗体が接続されたことを特徴とするメモリ素子を用いた記憶装置。
【請求項6】
前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ移行させる場合には、前記低抵抗状態から前記高抵抗状態へ移行させる場合よりも、前記パルス発生源から前記メモリ素子の間の電気抵抗が高くなるように切り換える切り換え部とを備えることを特徴とする請求項4又は5記載のメモリ素子を用いた記憶装置。
【請求項7】
前記高抵抗状態から前記低抵抗状態へ移行させる場合の前記抵抗体の抵抗値は2MΩから0.5MΩであることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のメモリ素子を用いた記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−48779(P2012−48779A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189132(P2010−189132)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年3月3日 社団法人応用物理学会発行の「2010年春季<第57回>応用物理学関係連合講演会[講演予稿集](DVD−ROM)」に発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ナノエレクトロニクス半導体新材料・新構造ナノ電子デバイス技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(505303059)株式会社船井電機新応用技術研究所 (108)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】